エレン「………」(179)

エレン「……」

<見ろよあれwwww

ってな感じで、エレンが嫌われつつ、しかし誰かに支えられる感じのよろしくお願いします。

エレン「……」チラッ

<おいこっち見たぜwww
<うげぇ…身体が腐るwww
<行こうぜ行こうぜwww

エレン(下らねぇ…)



みたいな感じですか?わかりません

丁度今日俺も考えついたネタだw

手「ハーイ!」ピョコッ

エレン「!」

手「カモーン」チョイチョイ

エレン「…」スタスタ

エレン「…」チラッ

アルミン「エレン、おはよう」ヒラヒラ

エレン「やっぱりアルミンか!おはよう」

5>
あ、書き込む?

ごめんやり方間違えた

>>5
書き込む?

アルミン「へへ。今日はね、こんな本を持って来たんだ!」ジャジャーン

エレン「へぇ。どんな本なんだ?」

アルミン「えっとね。これは――」ペラペラ

エレン「…」wktk


―――…
――…
―…


エレン「面白かったな!」キラキラ

アルミン「うん!」キラキラ

エレン「アルミン家にはいっぱい面白い本があるんだな!いいなぁ…俺ん家にもあればいいのになぁ…」ホワワーン

アルミン「…あ、あのさエレン///」モジモジ

エレン「ん?」

アルミン「その・・・こ、今度…!」

アルミン(僕の家に…!)

アルミン母『イェーガー家の子には近付いては駄目よ?』

アルミン「」ビクッ

アルミン「…こ、今度は違う本を持ってくるよ…」

エレン「…」

エレン「あぁ、アルミンが持ってくる本は面白いのばかりだからな!楽しみに待ってる!」

アルミン「…うん…」

アルミン「…ごめん」ボソッ

エレン「…気にするな」ボソッ

オレはこの街で嫌われている。
理由は悪魔の子供…だかららしい。
オレの父さんは医師で、ふらりとこの街に訪れ、原因不明の病気を瞬く間に治したらしい。
もちろん、病気を治してた時はとても感謝されていたようだ。
ただ、病気が落ち着いてくると、この病気を街に持ってきたのは父さんじゃないか?という噂が街に広がっていった。
何故原因不明の病気を街に来てすぐ治せた?この街に来る前にすでに知っていたのか?
何故知っていた?もしかしたら、お前が作った毒なんじゃないか?
この街に恩を着せたいがためにわざと毒を伝染させたんじゃないか?
最初はこの街に元々居た医師が父さんを妬んで流し始めた噂だったのかもしれない。
しかし、だんだん噂好きの奴らが寄ってたかってその噂に跳び付き、話が湾曲され、
いつの間にか街全体に父さんが悪魔なんじゃないかという噂が広まっていた。

オレは別に気にしていなかった。
母さんからは、人を助けて回ってる、とても偉大な人だと教えられていたからだ。
"人は助けると、稀に妬まれる事がある。けどそれは気にしなくていい。
人を助けるというのはとても立派な事。誰も見ていなくても母さんは見ているから。
エレンもそういう人間になるのよ"
そう言われ続けた。
オレ自体、父さんは尊敬している。
どんなに悪口を言われようと、どんなに蔑まれようと、人を助け続ける父さんはかっこいいと思えた。
だからオレは気にしていない。
どんなに悪口を言われても、避けられても、
イジメを見つけたら助けに入ったし、困ってる人を助ける事を止めなかった。

助けに入っても誰も俺には感謝する事はなかった。
みんな逃げるようにオレから離れていった。
けどよかった。家に帰れば、母さんが褒めてくれる。それだけでオレはよかった。

そんな生活の中、アルミンに出会った。
アルミンはいじめっ子からいじめられているところ、オレが助けた。
助けた後、アルミンはみんなと同じように俺から離れていった。
いつもの事だったので、オレは気にせず街中を歩いた。
もう、その日は大分時間がたってそろそろ家に帰るかという時、オレの前にアルミンが立っていた。
なんだろうと見ていたら「さっきはありがとう!」と言って走り去って行った。
初めて母さん以外に感謝された。
その時の感動や高揚感は今でも覚えてる。

それからと言うものの、人気のないところを見つけては二人で会っていた。
主に話の内容は、アルミンが持ってきた本だが、いつも内容は違っていた。
アルミンは凄く物知りだったし、話を聞いてても楽しかった。
けど、アルミンはだんだんと人気のないところで会うのに罪悪感を持って来たらしい。
たまに、こうしてオレを誘う素振りを見せて来た。
けれど肝心の言葉が出ないらしい。
当然だ、オレと一緒に居ればアルミンもオレのようになる。
そしてなにより、オレが嫌だった。
オレのせいでアルミンが苛められる。それだけは避けたかった。
だから、もし誘われても断る事にしていた。まぁまだ完全に誘われたことないから、アルミンは知らないだろうけど。

アルミン「じゃあね、エレン。また明日」

エレン「あぁ、またな」

ただ、少し寂しい気持ちに、オレは蓋をした。

地文長くなった。もう長くしないよう頑張る。
今はおしまい

―数日後―


アルミン「~♪」タッタッタッ

アルミン(今日は民族についての本だ!エレンは喜んでくれるかな?)

アルミン(…今日こそエレンを書斎に誘えるかな…?)

アルミン(…うん!頑張れ僕!)

エレン「アルミン」チョイチョイ

アルミン「エレン!」ダッ

アルミン「今日はここに居たんだ――」ヒョコッ

エレン「」

???「」

アルミン「」

エレン「アルミン、紹介する。こいつミカサって言うんだ。ミカサ、さっき言っていたアルミンだ」

ミカサ「」ペコッ

アルミン「あ、よ、よろしく」ペコッ

アルミン(友達…出来たんだ…)

アルミン(けど、エレンの噂を知ったら…エレンから去っちゃうのかな・・・)

エレン「紹介して早々、頼むのは悪いんだけどさ。こいつのこと頼めないか?」

アルミン「え?」

エレン「ほら、オレといると何かとこいつも悪く言われるじゃん?だからさ――」

ミカサ「エレン、昨日もさっきも話したけど、私は悪く言われようがなんだろうが気にしない。私は貴方の傍に居る」

アルミン(あ…)

エレン「お前なぁ…まだお前がオレん家に住み始めた事、誰も知らないんだぞ。
自ら悪口の原因や、避けられる理由を作るもんじゃねぇ」

ミカサ「あいつらは勝手にエレンを悪者にしてるだけ。私は知ってる。貴方はいい人。
私が貴方の傍に居る理由はそれだけで十分」

アルミン(…この子は、エレンから去らないんだ)

エレン「だから――」

アルミン「ミカサの言う通りだよ」

エレン「!アルミンまで!」

アルミン(この子は僕なんかよりずっと強い。きっと、エレンを一人にしないだろう)

アルミン「ミカサ――」

アルミン(ただ――)

アルミン「よろしくね」

アルミン(――僕より強いのが…)

ミカサ「…よろしく」

アルミン(…悔しいな)

―ウォール・マリア陥落して数日―


エレン(最近、悪口や避けられる事がなくなった…)

エレン(そりゃそうか。皆自分の事に必死だからな…)

エレン(――)

エレン(…俺は、何を考えてるんだ?)

アルミン「あれ?エレンは?」

ミカサ「!…エレン?」キョロキョロ

アルミン「どっか行っちゃったんだね…」キョロキョロ

ミカサ「あ、アルミン…どうしよう…エレンがどっか行っちゃった…」アタフタ

アルミン「…僕、探してくるよ!」ダッ

ミカサ「私も!」

アルミン「ミカサはここに居て!もしエレンがここに戻ってきたら擦れ違いになっちゃうから…ね?」

ミカサ「…わかった」コクン

アルミン「ちょっと待っててね、すぐ戻るから!」ダッ

アルミン(エレン…どこ行ったんだ?)タッタッタッ

アルミン(エレンはいつも人通りのない場所を好んでた…好まざるを得なかったんだけど…)タッタッタッ

アルミン(…あっちかな?)タッタッタッ

アルミン(・・・居た!)ダッ

アルミン「エレン!」タッタッタッ

エレン「…アルミン」

アルミン「エレン、どうしたんだ…。ミカサも心配してるよ?」

エレン「…」

アルミン「…エレン?」

ごめん、闇落ちはしないんだ、ごめん

エレン「…アルミン、オレ、おかしいよな」

アルミン「?」

エレン「オレはシガンシナ区が巨人に襲われた時、巨人を憎んだ。
オレ達が住んでいた場所も、オレの母さんも奪っていったんだ…、憎んで当然だ。
けどそれと同時に――安心しているオレが居るんだ」

アルミン「…」

エレン「おかしいよな…こんな大変な時にこんな気持ちになるなんて…」

アルミン「…」

エレン「もうあんな扱いされなくて済む…そう思うと、オレ安心してしまうんだ…。
はは。平気だ平気だ思ってても、結構参っていたらしい…。
ごめん、なんかいろんな事があったからオレも混乱してるらしい。ごめん…アルミン」ギュッ

アルミン「…エレン…」ギュッ

アルミン(僕は…とても無力だ…。今でさえ、エレンに何も言ってやれない。
せめて、もうエレンから離れないように…)

―――…
――…
―…


エレン「…ごめん、アルミン。ミカサが待ってるだろ?早く戻ろう」

アルミン「…うん、エレン…」

エレン「ん?」

アルミン「…なんでもない、行こう」

エレン「あぁ」

―数日後―


エレン(大分開拓地の仕事も慣れてきた)

エレン(力仕事は元々慣れてる。…ミカサほどじゃないが、自信もあるからな)

エレン(アルミンは…大丈夫そうだな)

エレン(…ん?)

おばさん「」ウンショ、ドッコイショ

エレン(…)

エレン「」ヒョイ

おばさん「!…坊や、持ってくれるのかい?」

エレン「うん」

おばさん「ありがとう」ニコッ

エレン「ん」

おばさん「ウォール・マリアが陥落してから、仕事が増えてねぇ。人手が増えても仕事は減らねぇもんさ――」ペラペラ

エレン「…」テクテク

おばさん「野菜を作るって言っても、すぐには出来ないからねぇ。長い月日を見なきゃならない――」ペラペラ

エレン「…」テクテク

おばさん「土地は有っても野菜が育つ土地とは限らないからねぇ。なかなか、畑を増やすのも一苦労さ――」ペラペラ

エレン「…」テクテク

おばさん「…お前さん、話聞いているのかい?」

エレン「ん」テクテク

おばさん「…そこでいいよ。運んでくれてありがとね」

エレン「うん」ドサッ

エレン(あのおばさん…何言ってるんだ?)

エレン(オレしか居ないのに…誰に話してるつもりだったんだ?)

エレン(オレはちゃんと――)

アルミン「エレン!お待たせ!」

エレン「ああ、お疲れ」

アルミン「ミカサは?」

エレン「一足先に終わったから、飲み物取りに行ってもらってる」

アルミン「そっか…悪いことしちゃったな…」

エレン「大丈夫だよ、行こうぜ」

エレン(――あれ?)

エレン(そういえば、オレからおばさんに喋ってないや…)

エレン(あれ?)

エレン(アルミンとは普通に喋れるのに)

エレン(あれ?)

エレン(他の人たちと…どうやって喋るんだっけ?)

―数日―


エレン(やっぱり駄目だ…会話が出来ない)

エレン(他の人の前じゃなんの話題も思いつかない。相槌すら面倒に感じる)

エレン(…アルミンとミカサの前じゃそんなことないのに…)

ミカサ「…エレン、手が止まってる」

エレン「!あぁ、悪い…」

ミカサ「…疲れているなら休んだ方がいい」

エレン「オレよりアルミンの方が休んだ方がいいと思うんだが」

アルミン「」ハァハァ

ミカサ「…確かに」

ミカサ「アルミン、重いなら私が持とう」

アルミン「だ、だいじょうぶ…」ハァハァ

エレン「無茶するな。ほれ」ヒョイ

ミカサ「…」ヒョイ

アルミン「ご、ごめん…ありがとう」ハハ

エレン「まかせろ」

ミカサ「」コクン

エレン(…)

エレン(まぁこいつらと話せるならいいか・・・)

―訓練兵団 入団―


エレン「ふぅ…立体起動の試験、何とかなった…」

アルミン「まさか、ベルトが破損しているとわね」

エレン「通りで教官のアドバイス通り出来ないはずだよな…重心のかけ方すら違っていたぜ」

アルミン「それであれだけ持ったんだ、すごいよ!」

ミカサ「うん、エレンはよく頑張っていた。失敗しては黙々と何度も何度も少しずつ工夫を加えて。
だから破損したベルトでもあそこまで出来たし、教官も認めてくれた。さすがエレン」

エレン「お前ら褒めすぎだって…」テレ

マルコ「あ、エレンだ」

エレン「…」

マルコ「さっきのすごかったね!破損したベルトであそこまで出来るなんて、僕じゃ真似できないよ!」

ライナー「だな!よかったぜ。一時はお前が落ちるかと冷や冷やした」

エレン「…どうも」

ジャン「まぁ俺は、一人でも脱落者が出た方が嬉しいけどな!」

マルコ「ジャン!」

ジャン「冗談だよ!」ハハハ

エレン「…」

モブ1「まぁ、教官が気付いてくれてよかったな!」

モブ2「教官気付かなかったら開拓地送りだぜw」

エレン「…あぁ」

アルミン(…あれ?)

モブ1「けどベルトの破損気付かなかったのか?」

モブ2「違和感あるのには気付きそうだけどな!」

エレン「…特には」

アルミン「い、違和感と言うのは、初めて触れるものには気付きづらいものだよ!」

モブ2「…それもそうか」

モブ1「まぁ何とかなってよかったな」

エレン「あぁ…」

アルミン(…エレン?)

アルミン(なんかエレンが変だ…)

アルミン(今まで、開拓地でいっぱいいっぱいで気付かなかったけど、
僕ら以外の誰かが居るといきなり口数が減る…)

アルミン(どうしたんだろう…)

―――…
――…
―…


アルミン(やばい…図書室に長くいすぎた)タッタッタッ

アルミン(エレン達待ってるかな…悪いことしちゃったな…)タッタッタッ

<…でさ、あいつ…
<わかるわかる

アルミン(ん?)

<エレンの奴反応悪すぎるよなw
<いつも返答は「あぁ…」とか「うん…」とかwカッコつけてんのかよw
<しょっぱなからあんな失敗してカッコつけとかwwwマジうけるwww

アルミン「…」

アルミン「あ、あの…」

<!おいあいつ…
<いつもエレンと一緒に居る奴だぜ…
<しらけた…行こうぜ…

アルミン「…」

アルミン(違う!エレンはそんな奴なんじゃない!)

アルミン(違うのに…)

アルミン(なんで言えなかったんだろう…)

アルミン「」トボトボ…

エレン「アルミン、遅かったな」

アルミン「…うん」

エレン「?どうしたんだ?元気ねぇぞ?」

アルミン「!ううん、なんでもないよ!」

エレン「最近訓練も厳しくなってきたからな。疲れ、出てきたのか?」

アルミン「そうかも」ハハハ

エレン「じゃあ早く飯食って寝ようぜ。ミカサが席取っといてくれてる」

アルミン「うん…」

ヒソヒソ…
クス…マジー…
キャハハ…

アルミン「」ビクッ

エレン「…アルミン、さっきっから顔色悪いぞ?隊長でも崩したのか?」

ミカサ「それは大変。ちゃんと食べられる?無理しないで、残していいのよ?」

アルミン「大丈夫だよ…」パクパク

アルミン(さっきのことで、過剰に反応してしまってる…)

アルミン(エレンやミカサも優しいから、きっとこの事に気付いたらきっと気を遣わせる)

アルミン(気にしないようにしなきゃ…!)

エレン(アルミンが変だ…)

エレン(訓練で無茶してるのか?最近慣れてきたからな…。疲れが一気に来たのか?)

エレン(それとも他に何か――)

<でよ!あいつは――
<おい!声でけぇよ!エレンに聞こえるだろ!
<わ、悪い…

エレン(…)

エレン(あぁ、ここでもか…)

エレン(まぁ、オレは気にしねぇけど――)

エレン「」チラッ

ミカサ「…」パクパク

アルミン「…」モグモグ

エレン(…)

―――…
――…
―…


アルミン(…エレンの口数が減った)

アルミン(三人で居る時はいつも通りだ。三人で居る時だけは)

アルミン(誰かが居ると、途端に口を閉じる)

アルミン(酷い時は、そのまま一人でどっか行ってしまう…)

アルミン(…食堂でも一人で食べようとしたぐらいだ…)

アルミン(…ばれてる…んだと思う)

アルミン(エレンは何もしてないじゃないか!)

アルミン(誰よりも優しく、頼もしい彼の、何処が気に食わないって言うんだ!)

アルミン(…)

アルミン(けど、それを言えない僕も、結局は彼らと同じなのか…)

アルミン(…)

アルミン(僕はあいつらと違う、違うんだ!)

アルミン(…僕が何とかしなきゃ…)

<でさ、あいつよ――
<おい
<ん?

アルミン「…」

モブ1「おうおう、エレンの腰巾着じゃないか」

モブ2「どうしたんだよこんなところで」

モブ3「僕のエレン様の悪口言うなぁ!てかw」

モブ1「おまw似てねぇよwww」

アルミン「ぼ、ぼくは、ち、違うよ!」

モブ「」

アルミン「僕は、エレンのこしg――」

モブ1「マジ!?そうかそうか」

モブ2「いやぁ、意外だなぁ」パシパシ

アルミン「え?あの」

モブ3「そうだよなぁ…お前だって、故郷が同じだからって」


モブ3「――あんな奴と付き合うの嫌だよな?」


アルミン「!!?」

アルミン「ち、違う!僕は――!」

モブ2「そう遠慮すんなよ。本音言っちまえ本音」

モブ3「アルミンちゃんはお優しいですねぇw」

モブ1「おまえさっきっからきめぇwww」

アルミン「ち、ちが!」

アルミン(違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う)


エレンは君たちが思ってるような――エレンは優しい――君たちはエレンの何を――エレンはそんなことをする奴じゃ――違う違う違う君たちの知ってるエレンは本当のエレンじゃない!!

エレンはエレンはエレンはエレンはエレンは!!


ライナー「おい」

モブ「!?」

ライナー「おい、なんの話してんだ?俺たちも混ぜろよw」

ベルトルト「やぁ」ヒラヒラ

モブ1「い、いや、なんでもないぜw」

モブ2「お、おうw」

モブ3「あ、俺達用事思い出したから行くわ!w」

スタコラサッサ

ライナー「」ンベー

ベルトルト「アルミン、大丈夫かい?」

アルミン「違う違う違う違う」ブツブツ

ライナー「アルミン!」

アルミン「!」

アルミン「ラ、イナー…」

ライナー「ベルトルトも居るぞ」

ベルトルト「」ヒラヒラ

ライナー「お前、どうしてあんな奴らと一緒に居たんだ?お前もエレンの事――」

アルミン「違う!」

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アルミン「あ、えっと、その…」

ライナー「落ち着け、ほれ深呼吸、ひっひっふー」

ベルトルト「ライナー、それ深呼吸じゃないよ」

アルミン「…エレンは、とても優しい人なんだ…」ポツリ

ライナー「…」

アルミン「強くて、優しくて、逞しくて…僕の大切な友人なんだ…」

アルミン「エレンを悪く言うのを知って…じっとしてられなくなって…」ジワ

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アルミン「違うんだよって…そんな人じゃないよって言おうと思ったのに…」ヒック

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アルミン「けど、言葉が出なくて…何も言えなくて…」グスン

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アルミン「僕は自分が情けない…」ズズズ…

ライナー「…アルミン…」

アルミン「ごめん!いきなりこんなこと言って!」ゴシゴシ

アルミン「ごめん、ライナー達はあいつ等みたいに悪口言わないのに…」

アルミン「あいつ等に言わなきゃ意味ないのに…」ジワ

アルミン「ごめん!」ダッ

ライナー「あ、おい!」

ベルトルト「…行っちゃった」

ライナー「…どうしたもんかね…」

アルミン(僕のバカバカバカ!)タッタッタッ

アルミン(僕が何とかしなきゃと思ったのに…)タッタッタッ

アルミン(何も…出来ないじゃないか…)タッタッタッ

アルミン(…僕はいつも無力だ…)タッタッタッ

ドン

アルミン「うわ!」

???「うお!」

アルミン「いたたぁ…」

???「いてててて…」

アルミン「ご、ごめんなさい」

???「あ?」

アルミン「!ジャン!」

ジャン「なんだよ」

アルミン「…こんなところで何してるの?」


こんなところ
|   _
| ジ|
| ア|壁
   ↑
こっからドン
ジャンは曲がり道の角から何か見ていたらしい


ジャン「」ビクッ

アルミン「」ヒョコッ

アルミン「…ミカサ?」

ジャン「い、いや!たまたま見かけただけだから!可愛いなぁ、て思って見とれてたわけじゃないから!!」

アルミン「いや、聞いてないよ」

ジャン「お、お前こそなんなんだよそんな勢いよく走って!よく見たら目も赤いじゃねぇか!
もしかして泣いてたのか!?」

アルミン「…」

アルミン「」ハッ

アルミン「」ブワッ

ジャン「」ビクッ

アルミン「ジャンのばかぁぁぁぁ!!」ダー

ジャン「ファッ!?」

―――…
――…
―…


ジャン「落ち着いたか?」

アルミン「うん…」

ジャン(…どうしてこうなった…)

アルミン「ごめん…いきなり泣いて・・・」

ジャン「いや、まぁ」

アルミン「」グズグズ

ジャン(だめだこりゃぁ)

ジャン「取りあえず泣きやめ…こんなとこミカサにでも見られたら殺されちまう…」

アルミン「うん、ごめん…」

ジャン「…お前が何で泣いてんのかしらねェが、俺は関係ないよな?」

アルミン「うん、ごめん…」

ジャン「なら、俺は行くぞ」クルッ

アルミン「」グイッ

ジャン「うお!」

アルミン「…」

ジャン「なんだよ」

アルミン「…ジャンは…」

アルミン「…どうしてそんなに素直に居られるの?」

ジャン「はぁ?」

アルミン「どうしてそんなに自分の意見を言えるの?」

ジャン「…」

ジャン「そんなの決まってんだろ」

ジャン「俺は自分のことしか考えてないからな」

アルミン「…」

ジャン「他人の為に悩んでるなら止めとけ。自分の事も満足に出来ねぇ奴が、他人の事も出来るわきゃねぇだろ」

アルミン「…」

アルミン「」ポロ

ジャン「」ビクッ

ジャン「だから泣くな!」ゴシゴシ

アルミン「うー」ダー

―――…
――…
―…


アルミン(結局夕飯の時間までジャンを付き合わせてしまった…)

アルミン(ジャンには悪いことしたな…やつあたりまでしちゃって…)

アルミン(…今度座学の課題教えよう…僕には、それぐらいしかできないし…)

アルミン「…」グズグズ

エレン「…」

エレン(アルミン、目真っ赤だ。泣いていたのか?)

エレン(なんでだ?いじめられたか?)

エレン(…オレと一緒に居るからか?)

エレン「…ちょっと一人で食うわ」

アルミン「!?」

ミカサ「なんで?私も付いて行く」

エレン「いや、それじゃあ意味が――」

アルミン「なんで?」ウルウル

エレン「…わかった、ここで食うから、そんな顔するな…」

アルミン「!…ごめん」ゴシゴシ

ミカサ「アルミンだめ、そんなゴシゴシしちゃ」ポンポン

アルミン「ありがとう、ミカサ」

ジャン(う ら や ま し い)

ジャン(くそ…俺はあの後ずっと付き合わされたんだぞ!)

ジャン(御蔭で夕食前の自由時間潰れちまったじゃねぇか!)

ジャン(相変わらずミカサの近くに居やがってそこ変われ!)

ジャン(…)イライラ

ライナー「よう、お前ら」

マルコ「あ、ライナーにベルトルト」

ライナー「一緒にいいか?」

サシャ「夕飯分けてくれるんですか!?」

ライナー「分けねぇよ」

コニー「相変わらずだな芋女は」

マルコ「はは、どうぞ」

ライナー「おう」

ベルトルト「失礼します」

ジャン「…いやこの人数でこの席は狭いだろ」

ライナー「気にしない気にしない」

ライナー「でだ、最近エレンの悪口が広まってるの知ってるよな?」

サシャ「え?そうだったんですか?」

コニー「おおお俺は知ってたぜ!」

ジャン「興味ねぇ」

マルコ「…」パチクリ

ライナー「あぁ、そうだったな…お前らはそういうのと縁薄いよな…ジャンを除いて」

???「ね、ねぇ」

ライナー「ん?」

クリスタ「悪口が広まってるって本当?」キラキラ

マルコ(神様…)

ジャン(女神…)

ライナー(結婚したい)

ユミル「おい、クリスタ。相変わらずいい子ちゃんで居ようってか?自分から面倒事に突っ込むな」

クリスタ「ユミル…けど、ほっとけないよ…」

ユミル「チッ」

クリスタ「それで、本当なの?ライナー」

ライナー「」…ハッ

ライナー「あ、あぁ。悪口言ってもエレンは言い返す事もないしな。
あと、黙々と努力していく様も、あいつ等には気に食わないらしい」

クリスタ「そんな…」

ユミル「くだらね…」ボソ

ジャン「全くだ…」ボソ

クリスタ「どうすればいいのかな…」アタフタ

ライナー「アルミン曰く、エレンは“強くて、優しくて、逞しい”らしい。
それをあいつらにアピールすりゃあいい。
後はそうだな、社交的な人間だってことを出してみればいい。
あいつはアルミンやミカサ意外とあまり喋らないからな!そのイメージをぶっ壊すんだ!」

クリスタ「な、なるほど!」

コニー「頭いいな!」

サシャ「」モグモグ

マルコ「…そんなにうまく出来るのかな…」

ジャン「無理だな」

ユミル「無理だろうな」

ベルトルト「…ごめんよ」

ライナー「やってみないとわからねぇだろ!俺から行くぞ!」スタスタ

ジャン「あ、行った」

クリスタ「ライナー頑張って!」

コニー「ハラハラしてきたぜ!」

ユミル「お、喋りかけてる」

ジャン「どうやら座る事には成功したようだな」

マルコ「流石だね」

ベルトルト「…一生懸命エレンに話題振ってるね」

マルコ「凄い…食事から一切目を離さない!」

ジャン「おい、アルミンにだけ気を使わせてるぞ」

ユミル「あ、立ち上がった」

ベルトルト「帰って来るよ」

クリスタ「ラ、ライナー!どうだった?」

ライナー「…アルミンはいい奴だった…」グスン

ジャン「駄目じゃねぇか」

クリスタ「つ、次は私が行ってくる!」ガタッ

ライナー「気をつけろよ!」

コニー「負けるな!」

ユミル「私も…」

クリスタ「一人で大丈夫!」スタスタ

ユミル「」

ジャン「おい、ここに面倒な奴増やしてどうする」

ベルトルト「クリスタ座れたね」

マルコ「流石かみsいやなんでもない」

ジャン「お、頑張ってるじゃねぇか」

ベルトルト「…けどテンパってるね」

ガシャガシャガシャン

ジャン「…テンパりすぎて食器落としやがった」

ベルトルト「泣きながら帰って来るよ」

ユミル「よし削gジャン「やめろ」

コニー「次は俺か!」ゴキゴキ

ライナー「相手は手強いぞ!」

コニー「任せろ!!」ダッ

ジャン「嫌な予感しかしねぇ」

マルコ「…座れたね。ここからだよ」

コニー「」ペチャクチャペチャクチャ

―1分後―

コニー「」ペチャクチャペチャクチャ

―5分後―

コニー「」ペチャクチャペチャクチャ

ジャン「」ガタ

ジャン「」スタスタ

ジャン「」スパコーン

ジャン「」ズルズル

ジャン「回収してきた」

サシャ「次は私ですね!」ガタッ

ライナー「おお!お前もやってくれるか!」

クリスタ「私の敵をとって!」

サシャ「任せてください!」ダッ

マルコ「まさか、サシャも乗るとは…」

ジャン「いや、あいつの場合…」

ベルトルト「あ、泣きながら帰ってきた」

ライナー「はや!?」

クリスタ「え!?」

サシャ「夕飯分けてもらえませんでしたああああああああ!」ドバー

ジャン「だと思ったよ」

マルコ「期待を裏切らないねホントに」

マルコ「え!?僕も?」

ライナー「頼む!」

クリスタ「お願い!」

マルコ「…わかった…行こう」スタスタ

ジャン「座った」

ベルトルト「喋りかけてる」

ジャン「!?エレンが喋った!」

ライナー「なに!?」

クリスタ「うそ!?」

ベルトルト「あ、戻って来るよ」

ライナー「マルコォ!何を喋った!!」

クリスタ「」wktk

マルコ「聞いてくれ!憲兵団に入りたいっていったらエレンが『そうか』って言ってくれたんだ!!
否定しないエレンはいい子だよ!!僕は訓練兵団に入団してから、周りからは――」

ジャン「ただの相槌だった」

ベルトルト「無念」

ライナー「ベルトルトォォォォォォ!!」

ベルトルト「いや、僕も喋るの苦手だし――」

ライナー「」号泣

クリスタ「」ウルウル

ベルトルト「分かったよ…とくに力になれないけど、行ってくるよ…」スタスタ

ジャン「…まぁ座れるわな…」

―1分後―

ジャン「…」

―5分後―

ジャン「…」

ジャン「」チョイチョイ

ベルトルト「」スタスタ

ジャン「無言の奴がいるか!」スパコーン

ベルトルト「いたい」

ジャン「なんなんだよお前ら!なんも出来ないなら初めからするな!!」

ライナー「す、すまねぇ…」

クリスタ「ごめんなさい…」

コニー「いや、俺喋ってたぞ?」

サシャ「ぱぁん…」グズグズ

マルコ「希望の兵団は違っても、志が高ければ僕らは通じ合えるんだ――」

ベルトルト「いや、僕は断ったよ」

ジャン「コニー、お前は自分だけが喋ってただけだろうが!
後マルコ!いい加減語るのやめろ!」スパコーン

マルコ「いたい」

ライナー「あとユミルとジャンだけしか…」

ユミル「パス」

ジャン「俺もパス」

ライナー「なんでだよ!お前はこのままでいいのか!?」

ジャン「俺関係ないし」

ユミル「私はクリスタが居ればいい」

ライナー「薄情ものぉぉぉぉぉ!!!」

ライナー「こうなりゃ長期戦だ!1分や5分で親しくなれると思うな!
絆の強さは時間の長さだ!」

クリスタ「おー!」
コニー「おー!」

ジャン「時間が長くても気が合わなきゃ続かねぇがな」

ライナー「」
クリスタ「」
コニー「」

ジャン「例え長く続いて親しくなれても、一瞬で縁が切れることも珍しくないからな」

ライナー「」ブワッ
クリスタ「」ブワッ
コニー「」ブワッ

ユミル「ジャン…貴様…」ユラ

ジャン「OKOK落ち着けブラザー」

ユミル「誰がブラザーだ」

ユミル(ジャンの野郎…調子のりやがって…)

ユミル()ピコーン

ユミル()ニヤニヤ

ユミル「おいジャン、お前はホントに手伝わなくていいのかよ?」ガシッ

ジャン「あ?」

ユミル「お前はあいつらに恩を売っといた方がいいんじゃないか?」ニヤニヤ

ジャン「なんでだよ」イライラ

ユミル「お前…ミカサが好きなんだろ?」ボソッ

ジャン「はぁ?!」

ユミル「なかなかミカサと二人になれないよなぁ!必ずどちらか一人近くに居るからな!」

ジャン「…」

ユミル「ここで恩を売れば、それが叶うかも知れないぜ…?」

ジャン「な、なに言ってんだよ、ユミル」

ジャン(いや、たしかにそうだ)

ジャン(しかし俺にはすでにアルミンに借りがある!)

ジャン(ま、まあ恩は多く売っても損はないと思うが…)

ジャン(…)

ジャン「」ガタッ

ユミル「お?やるのか?」

ジャン「ま、まあ恩を売っても損はないからな…」

ライナー「おお!ジャンも手伝ってくれるか!」

クリスタ「本当!?嬉しい!」

ジャン「手伝うもクソもこれは俺の為にやるんだからな!!」ズカズカ

マルコ(ツンデレ)

ベルトルト(ツンデレ)

マルコ「けど意外だよ。ユミルがジャンをやる気にさせるとは…。意外とエレンの事も気にしてるんだね」

ユミル「あ?別にしらねぇよ、あいつなんか」

マルコ「え?」

ユミル「私は、自分が面倒事に巻き込まれるのは嫌だが、
他人が面倒事に巻き込まれているのを見るのは大好きなんだ」ケケケ

マルコ「…嫌な奴だ」

ベルトルト「一番嫌われる性格をしてると思うよ」

マルコ「けど一番イジメの対象にならない性格だよね…」

ベルトルト「報復が恐いからね…」

ユミル「」ケケケ

マルコ「…」

マルコ「…ジャンはどんなに結果が良くても、何か考えがないと行動しないと思うんだよなぁ…」

―――…
――…
―…


ジャン「おい、吊り目野郎」

エレン「…」モグモグ

ジャン「聞こえないのか悪人面」

エレン「…」ゴクゴク

ジャン「巨大な耳くそでも詰まってんのか?もちも~ち、聞こえまちゅかぁ?」

ミカサ「」ガタッ

エレン「ミカサ」

ミカサ「…クッ!」ストン

ジャン(ま、こんぐらいじゃ反応しないよな)

ジャン(そもそもこいつは自分に言われている悪口は慣れてる。俺と同じく、気にしない自己中野郎だ)

ジャン(じゃあ何にこいつは反応する?)

ジャン(そもそも、何故喋らなくなった?)

ジャン(最初の頃は他の奴とは喋らないものの、アルミンやミカサには普通に喋っていた、この食堂でも)

ジャン(けど、一時を境に喋るのが極端に減った)

ジャン(そう、エレンに対しての悪口が酷くなってからだ)

ジャン(本人が言い返さないことをいいことに、奴らは本人が目の前に居るにも関わらず、悪口を言い始めた時期。
きっとこの時、自分が悪口を言われたことに気付いたんだろ)

ジャン(それに傷ついたのか?いや違う。こいつはんなデリケートじゃねぇ)

ジャン(だったら答えは一つ――)

ジャン「おいエレン、アルミンとミカサがなんて言われてるか知ってるか?」

ジャン(こいつらを――)

ジャン「エレンの腰巾着だってよ」

ジャン(――イジメの対象にしないためだ)

エレン「」ギロッ

ジャン(ほら反応した…)


―――…
――…
―…


ライナー「な、なんか険悪になったな…」

クリスタ「だ、大丈夫かな…」

コニー「ど、どうすんだよ…」

ユミル「…こいつは…予想外だ」

クリスタ「私止めてくる!」

ユミル「まぁ待てクリスタ。ちょっと様子を見ようぜ」

クリスタ「で、でも…」

マルコ「…」


―――…
――…
―…

ジャン「可哀想だよなぁ、お前の面倒を見てるからこの二人には誰も寄ってこないんだぜ?」

アルミン「ジャ、ジャン」アタフタ

エレン「…」

ジャン「全く…同郷者だから仲よくしてもらってんのか?ん、いや、違うな…」

エレン「…」

ジャン「さっき別の場所に行こうとしてるのを止められてたよな…なるほどなるほど、わかったぞ」

アルミン「?」

ミカサ「?」

ジャン「お前が無理矢理世話焼かれてるのか。悪かったなぁ、あんなこと言って」

エレン「!」
アルミン「!」
ミカサ「!」

ジャン(あ、やば、ミカサに嫌われるかも。ミカサごめん)

ジャン「そうだよな…こんな他人に嫌われてる奴の周りに人集まるわけないよな…。
そんな奴の周りに集まりたいと思うのは、ただ人助けして自分の正義に酔いたい偽善者ぐらいだもんな」

エレン「…」

ジャン「お前は、ただ利用されてるだけだったのか…悪かったなぁ、あんなこと言って」

エレン「…かいしろ…」

ジャン「けど鬱陶しいと思ってたんだろ?さっき離れたがってたしな」

エレン「撤回しろ!!」ガタン

ジャン(よし釣れたよかったミカサが切れる前で!!)

エレン「てめぇ…黙って聞いてりゃあることない事言いやがって!」

ジャン「あることないこと?巨大な耳くそのことか?それともミカサとアルミンのことか?
あ、お前聞こえてるのか。じゃあ後者の方だな」

エレン「!てっめぇ!」ガシッ

ジャン「お?その反応は図星か?」

エレン「違う!」ドシンッ

ジャン「おいおい、そう熱くなるなよ!みっともないぜ!」

エレン「くそが!」ガンッ

ジャン「は!お前はボキャブラリーがとことん少ないな!手じゃなくて言い返してみろよ!」

エレン「うるせぇ!黙れクズ野郎が!!」

ジャン「」カチーン

ジャン「いい加減!テメ―の行動がうr」

キース「貴様ら――」

キース「なにをしている」

ジャン「」サァー…
エレン「」サァー…

キース「…」

キース「グラウンド20周だ!!」


―――…
――…
―…

ジャン「」サァー…
エレン「」サァー…

キース「…」

キース「グラウンド20周だ!!」


―――…
――…
―…

ジャン「」タッタッタッ

エレン「」タッタッタッ

ジャン「くそ…テメ―が暴れるから…」タッタッタッ

エレン「…お前が先に喧嘩売ってきたんだろ…」タッタッタッ

ジャン「たったか買わないお前が悪い」タッタッタッ

エレン「買ったからこうなったんだろ」タッタッタッ

ジャン「早く終わったら教官来る前に終わったし」タッタッタッ

エレン「そもそも売らなきゃ教官は来なかった」タッタッタッ

ジャン「仕方ねぇだろ。そんぐらいしなきゃ口開かねえだろ」タッタッタッ

エレン「…」タッタッタッ

ジャン「ほれ黙る」タッタッタッ

ジャン「終わったぁぁぁぁぁ!」

エレン「」スタスタ

ジャン「おい待てよ」

エレン「」ピタッ

ジャン「俺の言った事、少なからず思ってる奴は居るぜ」

エレン「…」

ジャン「こんな野郎の傍にいるなんて、物好きな奴だなとは俺も思ってるしな」

エレン「…」

ジャン「…はぁ」

エレン「?」

ジャン「お前な…黙ってたってなんにもならないんだぜ」

ジャン「そんな風に思われたくなきゃ喋らなきゃ伝わらねぇんだよ、人間って奴は。面倒くさいがな」

ジャン「それが出来なきゃ他人の面倒見ようとすんな、出来ないから」

エレン「…どうすればいい」

ジャン「んなの自分の事だけ考えりゃいいだろ」

エレン「…は?」

ジャン「お前の腰巾着にも言ったが、俺は自分の事しか考えてないぜ。
御蔭で今のところ成績はいいからな!このまま行けば内地行きは可能だろ!流石俺!!」ビシッ

エレン「」ウワァ…

ジャン「人には薄情者と言われようが知ったこっちゃねぇよ!内地に行けりゃあ同期の評価なんて関係ないからな!」

エレン「いや、オレお前みたいな最低な奴じゃねぇし」

ジャン「今最低と言ったなぶっ殺すぞ」

ジャン「つまりだな、俺が言いたいのは人間、そこまで処理能力は高くねぇんだよ。
ましてや俺らみてぇな餓鬼なんて、ミジンコ並にねぇんだよ。他人気遣う前に自分を磨けくそが」

エレン「…」

ジャン「喋りたい時に喋り、黙りたい時は黙る。それでいいんじゃねぇのか」

エレン「…そうしたら、あいつらに迷惑かかるだろ」

ジャン「んなのもしらねぇよ。そもそも、そういうの覚悟で付き合ってんだろ。
てめぇが気を使うのは筋違いじゃねぇのか?」

エレン「けどオレは!」

ジャン「お前、勘違いしてるかもしれねぇが、
あいつ等がお前と一緒に居るのはお前が決めてんじゃねぇ、あいつらが決めたんだろ」

エレン「!」

ジャン「ならそれで嫌われようがなんだろうが、あいつ等の自己責任だろ。お前が気にする事なんかなんもねぇじゃん」

ジャン「ま、そういうこったな。というわけで…相談に乗ったんだ。ミカサと二人きりになりたいから協力しろ」

エレン「いやお前が勝手に喋ってたんだろ」

ジャン「実際悩み解決しただろ!お前の方向性も決まっただろ!
だから俺のも協力しろよ協力してくださいお願いします!!!」

エレン「お前なんなのいきなり喧嘩売りだして悩み相談し始めた次の瞬間頼みごととかホントなんなの?」

ジャン「ジャンだよ」

エレン「ナルシストが」

エレン「…まぁ、別にいいが…」

ジャン「ホントか!?」

エレン「協力するも何も、別にオレからあいつ等と一緒に居るわけじゃねぇからな」

ジャン「なんとかしろよ悪人面」

エレン「お前には言われたくない馬面」

ジャン「チェッ!たく…つかえねぇ奴だな…」スタスタ

エレン「は!?お前はつかえるのかよ!?」

ジャン「俺は有能だからな!少なくとも、周りのお前の印象は変えたぜ?」

エレン「!」

ジャン「お前のこれからの行動で、お前の周りからどう思われるか変わるだろうよ。
それに巻き込まれるように、周りの連中も変わってくんだよ。人間関係ってそんなもんだ」

エレン「…周りも…」

ジャン「ま、これをどう転ばすかはお前次第だろ」

エレン「…」

ジャン「これは貸しだからな。後できっちり返してもらうからな。じゃあな」スタスタ

エレン「…自分の事を…考える…」

―数日後―


アルミン(ジャンが喧嘩を吹っ掛けてきてから、エレンの周りががらりと変わった)

アルミン(悪口は少なくなった。たぶん、ジャンとの取っ組み合いを見て怖気づいたんだと思う)

アルミン(ライナー達とは結構会話をするようになった)

アルミン(その影響か、他の人たちも喋り掛けてくるようになった。やっぱりライナー達は凄い人徳だな…)

アルミン(…いや、なにより一番すごいのはジャンだ)

アルミン(お互い口を開けば喧嘩ばかりだけど、なんだか前より楽しそうだ)

アルミン(ライナー達もきっと、ジャンと喧嘩しているエレンを見て、知って、エレンと話せるようになったんだろう)

アルミン(…なんで、その席が僕じゃなかったんだろう…)

アルミン(…いや、きっとジャンだから出来たことなんだろうな…)

アルミン(…悔しいな…)

アルミン(そして僕の周りも変わった…)

〈アルミンのやつ、最近生意気じゃね?
〈座学しか出来ないくせにな
〈女みたいな顔のくせになwww

アルミン「…」

アルミン(いや、これは別に平気なんだ。エレンが言われない、それだけで僕は満足だ)

アルミン(エレンはもう長く言われ続けてきた。もう言われなくてもいい頃だ)

アルミン(大丈夫、エレンがずっと耐えてきたことだ。僕も耐えられる)

<おい、そこに居るぜwww
<ばっかやめろ指差すなってwww

アルミン「…」

アルミン(…行こう)

<どっか行っちまうぜw
<俺らが怖くて逃げるんじゃないかwww

アルミン「」チラッ

<お、こっち見たぜw
<なんだ?やんのかこら?
<やめとけってw実技俺らより評価下なのにwww
<あ、その前に立ち向かう勇気もないか

ドンッ

<ビクッ

アルミン「!?」

アルミン「…エレン」

モブ1「な、なんだよエレン」アセアセ

モブ2「俺たちに何か用か?」アセアセ

エレン「…立ち向かう勇気がないだって?」ギロッ

モブ「ヒッ!」ゾクッ

エレン「それはお前たちじゃねぇか。
アルミンは違う、俺なんかよりも勇気がある奴だ。お前たちと一緒にするな、屑共が」

モブ3「い、いや、俺らはただ…」ビクビク

エレン「…あぁ?」

モブ1「お、おい、もう行こうぜ?」ダッ

モブ3「あ、おい!」ダッ

モブ2「待ってくれ!」ダッ

エレン「…」

エレン「アルミン!」ダッ

アルミン「」ビクッ

エレン「…ごめん」

アルミン「エレン?」

エレン「たぶん、お前の悪口が広まりだしたのは…オレが原因だろ?」

アルミン「!」

エレン「ジャンとの喧嘩の後、オレの悪口が減ったのは気付いてた。
それまで、お前を悪くいう奴は居なかったのに現れるようになったのは、オレからお前に標的が変わったからなんだろ?
ごめん…今まで気付かなかった…」

アルミン「…」

エレン「だからオレ、また嫌われるよ。お前が標的にならないように、嫌われる」

アルミン「!?」

エレン「やり方はわかんないけど、今まで嫌われ続けてきたんだ。たぶん、また出来る。
だからアルミンは安心して――」

アルミン「どうしてそんなこと言うんだ!!」

エレン「」ビクッ

アルミン「…どうして…」

アルミン「エレンは、人から憎悪や嫌悪をぶつけられてきたんだ!理不尽なほどに!!」

アルミン「君は、ようやくそれから解放される時が来たんだ!ようやく平穏が来るんだよ!?
どうしてそれを手放そうとするんだ!!」

アルミン「どうして…何もできない僕なんかのために…どうして…こんな僕に…優しくしてくれるんだ…」

エレン「…」

エレン「…俺はそんな平穏いらない」

アルミン「!」

エレン「初めて会った時のこと、覚えているか?」

アルミン「…エレンが…僕を助けてくれた…」

エレン「そして、“ありがとう”と言ってお前は去って行った。知ってたか?お前。
オレ、初めて母さん以外に感謝されたんだ」

アルミン「…僕が、初めて?」

エレン「あぁ。その時の感動や昂揚感は今でも覚えているよ。たぶんオレはその時、アルミンに救われてたんだ」

アルミン「!」

エレン「なんであの時、そんなに感動したのか、当時のオレには分からなかった。
けど、今なら分かる。初めて赤の他人から認められた。オレの行いは間違っていなかった。
オレはこの街にいてもいい。ここに居てもいい。…生きていていいんだ。そう認められた瞬間だったんだ」

アルミン「…僕は、ただ助けてくれた、お礼を言っただけなんだよ?」

エレン「けど、オレにはそう感じたんだ」

アルミン「…」

アルミン「…けど、今は僕だけじゃない、いろんな人が君に感謝してるよ。
ミカサだってそうだ。だから、僕なんか居なくても――」

エレン「そこにお前が居なきゃ、オレには意味がないんだ」

エレン「オレはどこまでもオレのためにお前を救ってみせる。たとえそれで離れ離れになってもオレは後悔しない」

エレン「ただ、オレを嫌いにならないでくれ…」

エレン「お前に必要とされることが、オレが生きていていいと言う証明なんだ。今までも、これからも」

エレン「他の連中に、どう思われようが、それこそ嫌われようが構わない」

エレン「お前が必要としてくれるなら、他に何も要らない。それだけで、オレは強く生きられる」

エレン「だからどうか、嫌わないでくれ…」

エレン「オレを必要としてくれ…」

アルミン「…ぼ、ぼくも」ポロポロ

アルミン「エレン以外いらない。エレンが居ればいい」ポロポロ

アルミン「僕も、他の人にどう思われてもいい」ポロポロ

アルミン「僕は、いつも助けてくれるエレンに、
いつも僕の話を馬鹿にせず聞いてくれるエレンに、いつも優しいエレンに、恩返しがしたかった」ポロポロ

アルミン「けど僕は、エレンを悪くいう奴に立ち向かうことが出来なかった。
エレンが落ち込んでるとき、何も言ってやれなかった」ポロポロ

アルミン「僕はどこまでも無能で…いつも与えてくれるエレンに何も返せない自分が嫌だったんだ」ポロポロ

アルミン「エレンにはいつも僕に幸せをくれたから、エレンに幸せになってほしかった。幸せを与えたかった」ポロポロ

アルミン「けど、それが出来なくて、ごめんなさい!」ウワァーン

エレン「お前が幸せならオレも幸せだから…」ポロポロ

エレン「何も与えられなかったなんて言うなよ。オレはアルミンから、もう十二分にいろんなものもらってる」ポロポロ

エレン「オレのほうこそごめん。
お前をいつも苦しめてたんだな。ごめん、ごめん」ポロポロ

エレン「――ありがとう」ウワァーン

アルミン「ううん、僕のほうこそありがとうエレン」ギュッ


僕らは抱き合って大声で泣きながら感謝と謝罪を言い合った。
僕らには幼いころから支えてくれる大人は居なかった。だから、お互いを支えられるよう、大人になろうとしていた。
けど、僕らは自分のことすら満足にすることも出来ない子供でしかなかったんだ。
涙とともに、僕らの中にあった言葉を、気持ちを、体の外に吐き出し続けた。
ただ、僕らの絆だけは、涙とともに流れ落ちないように、僕らは強く、抱き合った。

取り敢えず完

ってやる前に完言われた…orz
一応その頃ジャンはも考えたんだけど居る?

じゃあ書くわ。けど眠いから明日以降ね

―数十分前 図書室―


ミカサ「ジャン、エレンを知らないだろうか?」

ジャン「エレン?…さっきまでここに居たんだけどな…」

ミカサ「そう、ありがとう」クルッ

ジャン「待て待てミカサ。もしかしたらトイレかもしれねぇ。ちょっとここで待ってみたらどうだ?」

ミカサ「…分かった」ストン

ジャン(よっしゃあぁぁぁぁぁ!)

ジャン(あの野郎が思いついた作戦だからどうなるかと思ったが…)


―――…
――…
―…


ジャン「なに!?もうすぐミカサが来る!?」

エレン「あぁ。夕方はここに居るって言ってあるから、向こうの用事が終わったらこっちに来るだろ。
オレはこれからどっか行くから、あとは何とかしろ」

ジャン「待て待て待て待て!これで丸投げかよ!」

エレン「オレより口上手いだろ」

ジャン「急に話題なんか思いつかねえよ!何話せばいいんだよ!」

エレン「しらね」

ジャン「ふざけてんのかこのコミュ障が!」

エレン「コミュ障で悪かったな!」

エレン「じゃ、オレ行くから」スタスタ

ジャン「お、おい!」

ジャン「何分ぐらいでお前戻ってくるんだ」ダラダラ

エレン「」

エレン「きも。え、なに、そういうこと」NO THANK YOU(AA略

ジャン「んなわけねえだろ!その、いつまでも二人きりじゃミカサも気まずいだろ!!」

エレン「いつもの口八丁はどうしたんだよ!」

ジャン「俺は意外と奥手なんだよ好きな奴の前では!!」

エレン「その顔で奥手とかよく言えるな!」

ジャン「お前より爽やかイケメンの面してるわ!!」

エレン「よーし分かったその不細工な面もっと不細工にしてやるからこっちこい!!」

ジャン「うっせぇ、こっちは一目惚れなんだよちくしょう」カァァ

エレン「…」

エレン「だったら余計オレに聞くなよ。こっちはコミュ障なんだから」

ジャン「まぁ確かにそうだが」

エレン「お世辞でも否定ぐらいしろ傷つくぞ」

エレン「二人きりになりたいと言ったのはお前だろ。お前でなんとかしろ」

ジャン「クッ…」

エレン「じゃ、ホントにもう行くからな」

バタン

ジャン「…」ポリポリ


―…
――…
―――…

ジャン(なんとか足止めには成功したが…話題がねぇぇぇぇぇぇぇ!)

ジャン(どどどどうする俺!?と、とりあえず何か――)チラッ

ミカサ「…」

ジャン「…」

ジャン「あの、悪かったな、この間」

ミカサ「?」

ジャン「ミカサやアルミンのこと、偽善者だって言って」

ミカサ「…気にしていない」

ジャン「…そうか。けど、悪く言ったのは確かだ。ちゃんと謝りたい」

ミカサ「…」

ミカサ「…私は、今はジャンに感謝している」

ジャン「俺に?」

ミカサ「確かに、エレンを悪く言ったのは許せない。けど、あの後からエレンの様子は変わった」

ジャン「…」

ミカサ「エレンが、あまり元気がないのは、気付いていた。しかし、私は励ます言葉も術もあまり詳しくはない。
どうすればいいのかわからなかった。アルミンに相談しようと思ったが、アルミンもいつの間にか元気がなくなっていた。
私は、人の気持ちや様子の変化に鈍感だ。気付いた時には、もう遅くなっている場合がほとんどだ」

ジャン「まぁ、そうかもしれねぇな」

ミカサ「…あの時、私はどうすればいいか分からなかった。何が敵で誰から守ればいいのか、わからない」

ジャン「…」

ミカサ「今でも分からない。また、あんなことになったら、私は守れるのだろうか…」

ジャン「…こればかりは、難しいだろうな…」

ミカサ「…そう…」

ジャン「ミカサは、なんつうか、人より強い人間なんだよ。
他人を気にしないことに長けてる。だからこそ、見えないものには気付きづらい」

ミカサ「…」

ジャン「いや、アルミンは違うが、エレンもどちらかというと、気にしない奴だな」

ミカサ「…」

ジャン「俺が思うに、あいつらを一番追い詰めてるのは、あいつら自身だ。…と思う」

ジャン「あいつらは、自分よりお互いが他人からどう思われてるかを気にしている。
それを、あいつらは“自分のせいだ”とか“自分がなんとかしないと”とかって、自分を追い詰めてるんだ…と思う」

ミカサ「どうすれば、止めさせられる?」

ジャン「こればかりは、個人の考え方だ。
考え方を変えるには、長い時間をかけなければ変わらないかもしれないし、ふとした瞬間変わるかもしれない」

ミカサ「…」

ジャン「外野が出来ることといえば、考え方を変えるチャンスを多く与えるだけしかない。
けど、これも正直賭けだがな。最悪、悪化するかもしれないしな…」

ミカサ「けど、あなたは成功した。今なら分かる。あの喧嘩は賭けでしょ?」

ジャン「…」パチクリ

ジャン「ばれたか。まぁ俺はどっちに転んでもどうでもよかったからな。成功すれば儲けもんだぐらいにしか考えてないぜ」

ミカサ「…」

ジャン「それに、まだ結果はわかんねぇよ。もしかしたら、これから悪化するかもな。
ま、それもあいつら次第だし、あいつらがどうにかするしかない」

ミカサ「…」

ミカサ「私は…何をすればいいのだろうか…」

ジャン「また、ハンカチでも出してやればいいんじゃないか?」

ミカサ「!」

ミカサ「…見ていたの?」

ジャン(しまった!いつも見ている事をミカサは知らないんだった!!)

ジャン「あ、いや、ライナー達がお前らの事気にしていたからな!相談されたから俺もちょっっっっっと気にしてたんだよ!」

ジャン(順番違うけど俺嘘ついてないYO!)

ミカサ「…」

ドンッ

ミカサ「!」
ジャン「!」

ミカサ「今のは…?」

ジャン「なんだ?喧嘩の音か?」

ミカサ「…!エレンが遅い…もしかしたら、エレンが巻き込まれたのかも!」ダッ

ジャン「あ、お、おい!…ちくしょう!」ダッ

ミカサ(エレン…エレン…!)タッタッタッ

ジャン「おい、ミカサ!」タッタッタッ

ミカサ「!ジャン、何故あなたも?」タッタッタッ

ジャン(ミカサと離れたくなかった…じゃなくて!)タッタッタッ

ジャン「まだあいつと決まったわけじゃないぞ!んな焦らなくても――」タッタッタッ

ミカサ「けど、もしエレンが巻き込まれていたなら、私は助けなければならない」タッタッタッ

ジャン「――クソ!分かった!付き合うよ!!」タッタッタッ

ジャン(あとで覚えていやがれ!!)タッタッタッ

ミカサ「…」タッタッタッ

…――…
…―

ミカサ「!エレンの声…?それにアルミンも!」ダッ

ジャン「は?俺には聞こえなかった――ってはや!?」ダッ

ミカサ(――違う、ここじゃない)タッタッタッ

ミカサ(ここも違う――)タッタッタッ

ミカサ(もっとこっち――)タッタッタッ

ミカサ「!」

ジャン「おい、ミカサ。どうし――」

アルミン「ウワァァーン!」ギュッ
エレン「ウワァァーン!」ギュッ

ジャン「何この状況」

ミカサ「…」スタスタ

ミカサ「誰?」

エレン「うわ!ミカサ!?」バッ

アルミン「え、え!?どうして?」バッ

ミカサ「誰に泣かされたの?」

アルミン「あ、えっとこれは!」アセアセゴシゴシ

エレン「これは違うんだ!」アセアセゴシゴシ

ミカサ(なんで?なんで二人は…?)

ミカサ「…私には話してくれないの?」

ミカサ(知っていた。昔から二人の間には、私の入る隙間がないことぐらい)

ミカサ(ただ、二人の空間を見ているのが好きだった。エレンもアルミンも楽しそうで好きだった)

ミカサ(だから二人とも私は守ろうとした。守りたかった。けど私は何も出来ない)

ミカサ(私は…どうすればいいの?何が出来るの?)

ジャン『また、ハンカチでも出してやればいいんじゃないか?』

ミカサ「!」ゴソゴソ

ハンカチ「ハイ」

ミカサ「アルミンだめ、そんなゴシゴシしちゃ」ポンポン

アルミン「うわ!ミカサ!大丈夫だよ」アセアセ

ミカサ「エレンも、次に拭うから待って」ポンポン

エレン「俺は平気だ!」ゴシゴシ

ミカサ「だめ。これだけでも…私にやらせて」

アルミン「…」
エレン「…」

エレン「ん」

ミカサ「?」

エレン「早くしろよ、恥ずかしいんだから」

ミカサ「…うん」

アルミン「…ミカサは優しいね」

ミカサ「二人ほどじゃない」ポンポン

ミカサ「…」

ミカサ「ジャン」クルッ

ミカサ「?」

アルミン「ジャンもいるの?」

エレン「居ないぞ?」

ミカサ「…」

―――…
――…
―…


ジャン「…チッ」スタスタ

ジャン(ついていかなきゃよかったぜ)スタスタ

ジャン(あいつらの距離の近さは理解してるけど…)スタスタ

ジャン(…やっぱこの恋は無理なんだろうな…)スタスタ

グイッ

ジャン「うお!」

ジャン「誰だ――」クルッ

ミカサ「」

ミカサ「アドバイス、ありがとう」

ジャン「…」

ミカサ「それだけ言いたかった。それじゃあ、また」ダッ

ジャン「…くそっ。情けねぇ面してんだろうな」グイッ

ジャン(さっきまで諦めていたくせに)

ジャン(この一言だけをいうために追いかけてきたミカサを)

ジャン(やっぱり、愛おしく思う…)

ジャン「俺って意外と女々しい男だな」ポリポリ

エレン「………」 完
長い間、お付き合いいただきありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom