ミカサ「巨人を駆逐した」(25)



――エレンを除いて

※捏造未来設定注意

私は今エレンと2人で暮らしている
巨人のいない平和な世界で
何者の介入も受けず
家族と共に過ごす

あれ程渇望して止まなかった生活なのに
こんな筈じゃなかったとそれ以上を求めてしまうのは私の我儘だろうか?

私達が暮らしているのは旧調査兵団本部

かつて特別作戦班が根城として使っていた場所だ

そして私達は兵団所属時の給金と僅かばかりの退職金で食い繋いでいる

贅沢ではないながらも最愛の家族とのささやかな暮らし
正に待ち望んでいた未来がここにある



――エレンが地下室に繋がれている事を除いては

エレンがまだエレンであった頃に漏らしていた事がある

近頃夢を見ると

周りに何も見えない暗闇の中
いつの間にかライナー ベルトルト アニがそこに居て
無表情でただこちらを見ている
そして何も言わず去って行くという
そんな夢を

思えばその頃から少しずつおかしくなっていたのだろう

それでもエレンは決してそれを表に出さず
ただ自分の使命を全うしようと力を尽くし

そして全てが終わったその瞬間に

エレンのは心は壊れてしまった

突然我を失ったかの様に発狂しては自傷行為に走る

かと思えば何も言葉を発さず突然涙を流す

一日中笑い続け引き付けを起こす事もあった

その姿はまるで人の皮を被った獣の様だ

決まった時間に食物を与え
体を拭き清め
髪を梳き
排泄物を片し
お休みのキスをする
……これが現在の私の日課だ

本来ならばこの様な非人間的な暮らしなどエレンにさせたくはないのだが

――今の私は左足を失っている

今のエレンに能力があるかは分からないけれど
何かあってからでは遅い

かつての私はエレンを守ると息巻いていたが
この身体ではそれも叶わない

……私は無力だ

それでも命があるだけ私達はまだ幸運なのかもしれない

ジャンもサシャもコニーもクリスタもユミルも

リヴァイ兵士長もハンジ分隊長もエルヴィン団長もハンネスさんも

――そしてアルミンも

……皆みんな いなくなってしまった

皆が皆 生きようと必死にもがいて足掻いて

人が死に行く中でそれでも明日を繋ごうとして

……そして結局何も残らなかった

……この世界は残酷だ

私に生きる意味を与えてくれたエレン

そのエレンが生きる意味を失っているのに

私は何も返す事が出来ないでいる

……この世界は残酷だ

誰よりも人間らしく
誰よりも強く生きたいと願ったエレン

その為に我が身を捧げ
その為だけに全てを投げ打って

――その顛末がこれだ

「駆逐してやる
この世から一匹残らず」

……かつてエレンが言っていた言葉だ

もし本当に巨人を一匹残らず駆逐するその時まで この戦いが終わらないのであれば
私は一体どうすれば良いのだろうか

……私にはもう分からない

何でエレンはいつも
私から遠くへ行くんだろう

私はただそばにいるだけでいいのに


……それだけなのに……

終わり

御支援有り難う御座いました

絶対こうはならないだろうという結末を書く事が出来るのも二次創作の醍醐味ですよね

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