魔王「今日も魔王の間でゴロゴロぉゴロゴロぉ」(1000)

側近「………」

魔王「あーあ、勇者転んで岩に頭ぶつけて死なねえかなぁ」

側近「魔王様……」

魔王「なぁに?」

側近「そうだらしないお姿では……下の者達に示しがつかないかと……」

魔王「下の者達……お前と四天王しかいないじゃん」

側近「………」

魔王「あーあ、異空間から美少女降って来ないかなぁ」

側近「いい加減にしてください……」

魔王「ええ?いい加減にって言われてもねぇ……」

側近「そんなんですから皆から裏切られたり独立されたりするんですよッ!」

魔王「怒鳴らないでよ……」

側近「いいえ!今日は言わせて貰います!」

魔王「………」

側近「毎日毎日ぐうたらと過ごして!恥ずかしく無いんですか!」

魔王「………」

側近「そんな姿見せられたら下の者達も魔王様に付いていく事に嫌になります!」

魔王「………」

側近「各地の中ボス達もそんな魔王様の姿を見たから独立して勇者と戦ってるんですよ!」

魔王「………」

側近「その者達を見て何も思わないんですか!」

魔王「あい……すいません……」

側近「すいませんじゃありません!それに勇者がもし攻めいって来たらどうするんです!」

魔王「四天王いるから……」

側近「その四天王も今は……いえ……魔王様はご自分の力で!」

魔王「え……」

側近「………」

魔王「もしかして……四天王に何かあったの?」

側近「………」

魔王「ねえ!何かあったのッ!」

側近「はい……」

魔王「何があったの……?」

側近「………」

魔王「………」ゴクリ……

側近「今は三人しかいません……」

魔王「四天王なのに三人って……」

側近「………」

魔王「誰が抜けたの……」

側近「……全員」

魔王「…………は?」

側近「全員……魔王様を見限って出て行かれました……」

魔王「………」

側近「止めたんですけど力及ばず……」

魔王「………」

側近「魔王様が確りと威厳を

魔王「ななななならッ!今いる三人の四天王ってッ!?」

側近「………」

魔王「………」

側近「私が勝手に雇用しました……」

魔王「………」

側近「だって……言えないじゃないですか……」

魔王「何を……」

側近「……魔王使えねえ、魔王ヤル気ねえ、魔王童貞臭え、魔王カスアホ死ねだなんて言われてたなんて」

魔王「………」

側近「それで四天王さん達は城の魔物引き連れて出てったなんて……」

魔王「………」



魔王「………」ズーン……

側近「魔王様?」

魔王「もう完全にヤル気無くした……」

側近「………」

魔王「引き込もってやる……」

側近「止めてください……」

魔王「側近も嫌なら出てっていいよ……」

側近「それは出来ません」

魔王「……なんで?」

側近「……だって私は魔王様の事が」

魔王「………」

側近「す、す

バターーンッ!!

……「ささあ!出来ましたぞッ!」

魔王「………」

側近「侍さん……いつも言ってますよね?入るならもっと静に……」

侍「ああ!側近殿それはすまなかった!」

魔王「……だれ?」

側近「四天王の一人……侍で御座います……」

魔王「………」

侍「やややッ!これはこれは大殿!御初に御目にかかり候ッ!」

魔王「う、うん……」

侍「大殿にこうしてお会い出来た事、誠嬉しゅう御座いますぞッ!」

魔王「………」

側近「………」

魔王「側近……ちょっといいかな……」

側近「出来たら何も言わず受け入れて欲しいです……」

魔王「あれ……人間だよね?」

側近「……はい」

魔王「何をどう間違ったら人間がここにいるの……」

側近「行き倒れているところを偶然助けて……」

魔王「………」

側近「なんか……路銀を稼がないといけないらしくって……」

魔王「………」

側近「……そのまま登用と」

魔王「あのさ……」

側近「言いたい事はわかります!ですが、もう魔王様に従ってくれる魔物なんて殆んどいないんですよ!」

魔王「……そんなにいないの?」

側近「残念ながら……」

魔王「うそぉ?ちょっとはいるよね?」

側近「もっと現実を見てください……」

魔王「………」

侍「大殿ぉッ!」

魔王「……なに?」

侍「ご夕食の準備が整いましたぞ!さあ!熱いうちに!」

魔王「ありがとう……四天王の一人侍よ……うぅぅ……」

侍「そ、そのように泣く程感激されるとは……大殿……」

側近「………」

侍「拙者……大殿の為に腕を奮った甲斐があったと言うもの……うおおおお!」

側近「さ、侍さん落ち着いて!」



魔王「……これはなに?」

侍「これはですな!先程鳥を仕留めましてな!それを鍋にしてみました!」

魔王「なべ?……美味しいの?」

侍「それは勿論!」

魔王「へぇ……」

侍「取り分け……ささ!熱いうちに!」

魔王「うん……」

侍「しかしこの辺りの鳥は随分と堅いクチバシやら羽根やらを持っているんですな!」

魔王「あー……」ピタッ

侍「なにやら金属のようなクチバシで御座った」

魔王、側近「………」

侍「如何なされた?」

魔王「いや……ちょっと聞いていいかな……」

侍「は!なんなりと!」

魔王「その鳥ってさ……青銅色ぽかったかな?」

侍「そうで御座いますな!」

魔王「群れで行動してたりしてたかな……?」

侍「そうで御座いますな!」

魔王「………」

側近「……魔王様」

魔王「間違いなく……ステュムパリデスだよね……」

側近「………」

侍「……??」ニコニコ

魔王「……君が仕止めたなんて言わないよね?ちょうど弱ってるのを

侍「いやぁあの鳥は中々しぶとく!群れで襲って来るので難儀しましたぞ!」

魔王「………」

側近「魔王様……」

魔王「なに?彼……なんだか冗談

側近「多分……侍さんならやれます……」

魔王「はぁ?またまたぁ君まで冗談かい?」

側近「あのですね……行き倒れているところを助けた時……」

魔王「………」

側近「……傍らにファイアードレイクが横たわっていたんですよ」

魔王「冗談だよね……?」

側近「本当です……」

魔王「………」

侍「大殿……如何なされた?」

魔王「いや……うん……」

侍「………」

魔王「ごめんなさい……」

侍「何を謝って……まさか拙者が拵えた鍋が食せ無いと申されるのですか……」

魔王「………」

侍「………」

側近「さ、侍さん!魔王様は先程食事を済ましたばかりなんですよ!」

侍「な、なるほどッ!これは失礼申した!」

魔王「………」



魔王「………」

側近「………」

魔王「側近……君さ……」

側近「言わないでください……」

魔王「えらいの連れて来たね……どうすんのさ……」

側近「………」

魔王「もし本当に……侍がファイアードレイクを倒したとしたなら……」

側近「………」

魔王「僕より強いかもしれないよ……」

側近「そんな事は……」

魔王「僕……ファイアードレイク倒せないもん……」

側近「………」

魔王「………」

側近「だ、大丈夫ですよ!路銀が貯まったら出て行きますって!」

魔王「……それまで僕が無事ならいいけどね」

側近「………」

魔王「あああああ……」

側近「………」

魔王「ねえ……四天王の後の二人もあんなんじゃ無いよね?」

側近「………」

魔王「………」

側近「……モチロンですよぉ」

魔王「ちゃんとこっち見て言ってよ!」

側近「魔王様が……心配なさる……事など一つもありませんよぉ」

魔王「………」



魔王「………」

側近「魔王様……こちらが現四天王で御座います……」

侍「大殿ぉッ!大殿ぉッ!」

側近「四天王の一人……さむ

魔王「そこはいいから次……」

側近「はい……」

……「いやあ今日も可愛いねぇ側近ちゃん!オジサンには眩しいよぉ」

魔王「………」

側近「四天王の一人……傭兵で御座います……」

傭兵「側近ちゃん今夜オジサンと城の裏で密会なんかしちゃわないかい?」

側近「傭兵さん……魔王様に挨拶を……」

魔王「………」

傭兵「ヨロシク……チッ」

魔王「………」

側近「魔王様……後程説明しますので……」

魔王「詳しく頼むよ……」

側近「はい……」

……「………」フシュウ……

魔王 (この中じゃ一番まともなのかな……全身鎧や兜で包まれてるけど……)

側近「四天王の一人……エリゴスで御座います……」

魔王「……え?」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「ゴメン側近……もう一度名前言ってくれるかな……」

側近「エリゴスで御座います……」

魔王「………」

側近「………」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「側近……ちょっと来い……」

側近「………」

魔王「エリゴスってあのエリゴス?」

側近「……恐らくそのエリゴスかと」

魔王「マジで?」

側近「マジで……」

魔王「魔神……だよね?」

側近「魔神……ですね……」

魔王「なんでいるの……」

側近「さあ……」

魔王「さあって……」

側近「何か城内を徘徊してる鎧がいて……なんだろうと調べてみたらエリゴスだったと……」

魔王「何それ……凄い怖いんだけど……」

側近「こちらに危害を加えるとか無いみたいなので四天王にしちゃえと……」

魔王「………」

側近「……やっぱりマズかったでしょうか」

魔王「マズいよ……魔神だよ?こんな所にいていい存在じゃ無いよ……」

側近「………」

魔王「帰って貰って……」

側近「出来ません……」

魔王「なんでさ?」

側近「話し掛けてもフシュウとしか言わないので……」

魔王「でもここに来たって事は言う事は聞くんじゃ無いの?」

側近「なんか自分が聞きたくない事は無視なんですよ……」

魔王「………」

側近「無言でフシュウフシュウ長時間やられると怖くって……」

魔王「……でもなぁ」

側近「じゃあ魔王様言ってくださいよ」

魔王「無理だよ……」

側近「お願いしますよ……」

魔王「………」



魔王「エリゴスさん……ちょっといいかな?」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「君……魔神だよね?なんでこんな所にいるの?」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「………」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「怒らないで聞いてね……君、帰る気は無いのかい?」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「うん……ごめん。聞き方が悪かったね」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「あのね……このままここにいると僕の配下みたいな扱いになるんだよ」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「それだと君の立場って言うかさ……魔神としての威厳みたいなものが無くなっちゃうと思うんだ」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「どうだろう?僕なんかの配下になるより帰った方がいいと思うんだ」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「モチロン君が配下になってくれたらこれ程心強い事は無いんだけどね。うん」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「でもそうはいかない。まあぶっちゃけると僕もさ君が配下だと色々気を使わなきゃいけないのさ」

エリゴス「………」

魔王「だからね?」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「………」



側近「どうでした!?」

魔王「うん……あれはあのままでいいや……」

側近「えええ……」

魔王「僕には手に追えそうも無いよ……」

側近「………」

魔王「エリゴスの扱いは触らぬ神に祟り無しの方向で行こう……」

側近「わかりました……」

魔王「取り合えず四天王戻していいよ……」

側近「はい……」

魔王「………」

側近「皆さん持ち場に戻っていいので……」

侍「ははぁッ!」

エリゴス「………」フシュウ……

傭兵「側近ちゃん、お仕事終わったぁ?」

側近「………」

傭兵「ねえ、オジサンとイチャイチャっとさ!」

側近「傭兵さん……やめてください……」

傭兵「なんでぇ?あ!なるほどなるほど……まだ女性としての臨戦態勢が整ってないって訳かぁ」

側近「違います……魔王様の前ですよ!」

魔王「………」

傭兵「……チッ」

魔王「側近……こいつはなんなの?ちょっとムカつくんだけど」

側近「四天王の一人

魔王「そうじゃ無くてさ……こいつも人間だよね?」

側近「はい……」

魔王「侍と同じで行き倒れを助けたりしたの?」

側近「実は……傭兵さんはこの城に捕らえていた捕虜だったんですよ……」

魔王「……で?」

側近「……お城で捕虜を管理って言っても人手が足りないじゃ無いですか」

魔王「………」

側近「だから解放したんですよね……捕虜」

魔王「へぇ……じゃあ何でこいつはまだいるの?」

側近「………」

傭兵「側近ちゃん気に入ったからに決まってるだろうがッ!」

側近「だそうです……」

魔王「………」

傭兵「これからさぁバルコニー辺りでヒーユーでも見ながらオジサンと青春語り合おうよぉ」

側近「結構です……」

傭兵「おほっ!決行だなんて!」

側近「違います!いい加減にしてください!」

傭兵「なんだい連れないねぇ……」

魔王「………」

側近「魔王様……傭兵さんに言って

魔王「君が四天王にしたんだから自分で何とかしなよ」

側近「………」

魔王「………」

側近「………」グリッ!

魔王「いたたたたたッ!つねんないでよ!」

側近「………」グリリリッ!

魔王「だから痛いって!」

側近「………」

タタタ……

魔王「なんなんだい一体!」

傭兵「なるほどねぇ……これはオジサンに興味を示さない筈だわ……」

魔王「……?」

傭兵「はぁ……参ったね……」

魔王「それは僕のセリフだよ……」



エリゴス「………」フシュウ……

側近「エリゴスさん!魔王様酷いと思いません!」

エリゴス「………」

側近「少しは助けてくれても良いじゃないですかね!」

エリゴス「………」

側近「それは……私が悪いんですから自分で解決しなきゃってのはわかってるんですけど……」

エリゴス「………」

側近「それでも……上司なんですから助けてくれても……」

エリゴス「………」フシュウ……

側近「……はぁぁ」

侍「エリゴス殿ッ!」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「宜しければ手合わせ願いたいのだが!」

エリゴス「………」

侍「左様か!ならばお願い致す!」

側近「………」

侍「ははは!お互い精進すれば大殿の為になると言うもの!」

エリゴス「………」

侍「エリゴス殿はかなりの手練れと拙者は思っている……だから手加減せぬが宜しいか?」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「ふふふふッ!拙者も負けませぬぞッ!」

側近 (え?意思疏通出来てるの……?)



側近「……こんな所で

侍「だああああぁぁッ!」シュバッ!

ガガガギッガギンッ!バッ……

エリゴス「………」

侍「おおおッ!拙者の斬撃でキズひとつ付かんとは!」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「拙者もまだまだと言う訳ですな!」

エリゴス「………」ウィーン……ガチャコン……

側近「……?」

侍 (両腕より細い筒?……嫌な雰囲気がするな)

エリゴス「………」ギャリギャリ……

侍「………」グッ

エリゴス「………」ウィ……

ズドドドドドドドドッ!!!

侍「ッ!ぬああああッ!!!」ガガガガガガギィッ!

側近「ヒィィィィィィッ!」

侍「アハハハッ!面白いカラクリで御座るな!拙者では捌く事だけで精一杯ですぞッ!」ガガギィガギィンッ!

エリゴス「………」

ズドドドドドドドドッ!

侍「そらそらそらそらぁぁぁッ!」ガガガガガガッ!

側近「や、ヤメテくだ

エリゴス「………」ウィ……ガコン……

侍「ははッ!次はどのような出し物を披露してくださるのか!」

エリゴス「………」ゥゥゥ……

侍「………」ザッ!

側近「二人とも本当に……」

エリゴス「………」キュイン……キュイン……

侍「不味いッ!」

側近「へ?」

侍「側近殿ッ!拙者の手を!」

側近「え?え?な?」

エリゴス「………」キュインキュインキュイン……

侍「側近殿……口を確り閉じておいてくだされ。舌を噛みますぞ」

側近「そ、それはどういう……」

エリゴス「………」ゴゴゴゴッ!

ズバアアアァァァァァアアアッ!!!



ズゴゴゴ……パラパラ……

傭兵「騒がしいな……侍の奴何やってんだ?」

魔王「………」

傭兵「なぁ、側近ちゃんのスリーサイズは?」

魔王「あのさ……僕……魔王なんだけど……」

傭兵「それがどうした?」

魔王「どうしたって……敵の大将の目の前に君はいるんだよ?」

傭兵「大将だぁ?ぷっ」

魔王「………」

傭兵「この城の惨状見られてまだそんな事言えんのかい。てめえの配下なんか側近ちゃんしかいねえじゃねえか」

魔王「……確かにそうだけどさ」

傭兵「そんなんじゃ怖かねえよ。いくら魔王だからってな」

魔王「へぇ……」

傭兵「なんだ?」

魔王「……そんな魔王でもね、それなりに力はあるんだよ?」

傭兵「ほう……」

魔王「君は……さっきから態度見てると僕を嘗めてるのかな?」

傭兵「どうだろうな。側近ちゃんにしか眼中にねえから?てめえの事なんかどうでもいいし」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「なるほど。君は今……僕の部下だよね……」

傭兵「側近ちゃんの部下だけどな」

魔王「……今から君に僕の力を少しだけ見せてあげるよ」

傭兵「へぇ……そいつは楽しみだ」

魔王「君は僕の力を知ったらひれ伏さずにはいられないだろうね……フフフ」

傭兵「………」

魔王「さあ……行くよ」

傭兵「………」

魔王「はぁぁああッ!」

傭兵「……?」

魔王「……上から88、55、84」

傭兵「あ?……ま、まさか!」

魔王「そう……どうかな?これで……まだ四分の一しか力を使ってないよ?」

傭兵「あ……ああ……」

魔王「もっと力を使えば……クククッ!」

傭兵 (と、とんでもねえ力の持ち主だったのか……)



側近「あがが……お城に風穴が……」ガクガク……

侍「………」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「側近殿……大丈夫で御座ろうか?」

側近「あは……はは……あんなに夕日が綺麗ですよぉぉ……」

侍「エリゴス殿……」

エリゴス「………」

侍「いやあ!天晴れ!お見事ですな!」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「流石エリゴス殿ッ!感服つかまりましたぞ!」

エリゴス「………」

侍「これならば大殿もお喜びになられるでしょうな!」

エリゴス「………」フシュウ……

側近 (どどどどうしよう!この二人洒落にならない!)



魔王、傭兵「………」

側近「………」

魔王「側近……」

側近「聞かないでください……」

魔王「城のさ……部屋があったらしき場所から夕日が眺められたら普通何があったか聞くよね?」

側近「………」

傭兵「侍よ……これやったのお前だろ……やり過ぎだぜ……」

侍「拙者では御座らんぞ!」

傭兵「なら誰……エリゴス?」

侍「そうで御座いますな!エリゴス殿凄かったんですぞ!いやぁお見せしたかったぁ!」

エリゴス「………」フシュウ……

傭兵「………」

魔王「何がどうなったら城の四分の一が消し飛ぶんだい……」

側近「エリゴスさんが……ズバァっとやったら……」

魔王「なんだいそのズバァって……」

エリゴス「………」

侍「エリゴス殿……」

エリゴス「………」

侍「先程のモノを今一度披露しては如何か?」

エリゴス「………」

侍「何やら大殿は何があったのかわからないご様子。だからですな?」

エリゴス「………」

侍「アレを御覧になられれば大殿もきっと御満足頂ける。ささエリゴス殿ッ!」

エリゴス「………」フシュウ……

側近「……ん?」

エリゴス「………」ウィ……ガコン!

側近「やややややめてくださいぃッ!!!」

エリゴス「………」ウィ……

側近「なにやってるんですかッ!?」

侍「側近殿……お止めになされるな!」

側近「危ないですもん!止めますよ!」

侍「心配ご無用!」

側近「心配しかありませんよ!」

侍「大殿に先程のアレを御見せすれば大層喜ばれる事受け合いですぞ!そうですな大殿ッ!」

魔王「………」

侍「大殿?」

魔王「いや……見ないよ?」

侍「ななななんとッ!?」

魔王「そんなショック受けないでよ……」

侍「エリゴス殿の本領を御覧にならんとは……これ如何に!」

魔王「城が消し飛ぶもの……そう何度も見る訳無いだろ……」

侍「………」

傭兵「侍よ、魔王もな本当は見てえと思ってんだよ」

魔王 (……は?)

侍「ならば!」

傭兵「まあ聞け。もしだ……ここでよエリゴスの力?使いまくって魔王の命を狙ってる奴に見られたらどうする?」

侍「………」

傭兵「な?まじいだろ?それでよ、城が吹き飛ぶくらいの威力だ。これを切り札にしたらどう思う?」

侍「敵は大殿に畏怖の念を抱かれるかと……」

傭兵「そう。魔王もなそれがわかって見ないって言ってんだよ」

侍「なんと……」

傭兵「わかったか?」

侍「はい……よもや大殿がそのように深く考えていたとは……」

傭兵「な!魔王ッ!」

魔王「……………………うん」

傭兵「わかったなら無理はすんなよ?」

侍「わかり申した……」

傭兵「よし」

魔王「………」

側近「……?」

侍「拙者……少し頭を冷して参りまする……」

エリゴス「………」フシュウ……



魔王「やるね君」

傭兵「伊達にオジサンやってる訳じゃねえからな。ああ言う奴の扱いは慣れてんのさ」

魔王「へぇ……助かったよ。ありがとう」

傭兵「礼言われる程じゃねえよ」

側近「あの……」

魔王「なに?」

側近「なんでそんなに仲良さそうな雰囲気になってるんですか……」

魔王「……別に」

側近「………」

魔王「……最初からこんな感じだったよ」

側近「………」

魔王「ね!傭兵よ!」

傭兵 (こっちに振るんじゃねえよッ!)

側近「………」

傭兵「あ、あれだよ……」

側近「あれとは?」

傭兵「……さっき魔王の力見せて貰ったのよ。それ見てオジサン感服しちゃってねぇ」

側近「………」

傭兵「こいつは……逆らえねえ。流石魔王だ。仲良くしておいた方がいいって思っちゃった訳よ」

側近「………」

傭兵「幸い、オジサンにどうこうしようって気も無いみたいだしな!」

側近「なるほど……」

傭兵「そうだよな魔王!」

魔王「そうそう!」

側近「………」

傭兵「……本当だぜ?」

側近「なら……魔王様にどのような力を見せて貰ったんですか?」

魔王、傭兵「………」

側近「なんで二人とも黙るんですか……」

魔王「いや……うん……どんな力見せたっけねぇ傭兵よ」

傭兵「どんなんだったけなぁ……魔王」

側近「………」

魔王 (傭兵フォローしてよッ!)

傭兵 (そうなんべんも理由思い付く訳ねえだろッ!)

側近「言え無い事なんですか……?」

魔王「そ、そんな変な事じゃないよ?」

傭兵「うん!変な事じゃ無いな!」

側近「………」

側近「……エリゴスさん呼んで来ます」

魔王「……なんで?」

側近「侍さんの方がいいですか?」

魔王「だからなんで……」

側近「二人に口を割らせる為ですよ……」

魔王、傭兵「………」

側近「………」

魔王「わかったよ……言うよ。ちょっと半生透過しただけだよ」

側近「なんですそれ?」

魔王「生きる者の半生を透過して部分的に見れる力だよ」

側近「なんか凄そうな感じですね……そんな力使えるなんて初めて知りました……」

魔王「まあ滅多に使わないからね。使っても見たい物が見れる訳でも無いし」

側近「へぇ……それで何を見たんですか?」

魔王、傭兵「………」

側近「なんでまた黙るんですか……」

魔王、傭兵「………」

側近「……まさかその力で私を見たなんて言わないですよね?」

魔王「……見てないよぉ。ね?傭兵」

傭兵「あ、ああ!見てないとも!」

側近「………」



侍「………」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「拙者……出過ぎた真似をしてしまいました……」

エリゴス「………」

侍「しかも大殿を危険な目にあわせていたかもしれない行動を……迂闊で御座いました……」

エリゴス「………」

侍「……それに大殿の考えもわからず」

エリゴス「………」

侍「………」

エリゴス「………」

侍「もうこれは……腹を切って詫びるしか……」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「そうで御座いますな……」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「側近殿に助けられたこの命……そう簡単に散らしては……」

エリゴス「………」

侍「それに拙者の命では償いきれない事……」

エリゴス「………」

侍「……生きて償え……で御座いますか」

エリゴス「………」

侍「………」

エリゴス「………」フシュウ……

侍「エリゴス殿が仰るなら……それが拙者が歩むべき正しき道なのでしょう……」

エリゴス「………」

侍「感謝致す……エリゴス殿」



側近「………」ジトォ……

傭兵「……ま、魔王!聞いていいか?」

魔王「うん!いいとも!なんでも聞いて!」

傭兵「あのエリゴスって何者なんだい?」

魔王「一緒に四天王してるんだから知ってるんじゃ無いの?」

傭兵「化物だって言うのはわかるが……色々聴いても返事ねえしさ」

魔王「なるほど……エリゴスさんは魔神だよ」

傭兵「ランプ擦って出てくる野郎なんかか?」

魔王「それは魔人。エリゴスさんは魔の神で魔神だね」

傭兵「へぇ……同じなんじゃねえのか?」

魔王「全然違う。魔人って言うのはね人に近い精霊とかがなるものなんだよ」

傭兵「………」

魔王「それで魔神は……そうだね、悪魔の神様的な存在って言うのかな」

傭兵「………」

魔王「地獄で特に位が高い悪魔なんかがなるものなんだよね」

傭兵「そんな偉え奴なのか……」

魔王「うん……こんな所にいちゃいけないくらいにね」

傭兵「なるほど……で、それがなんでここにいるんだ?」

魔王「知らない……」

傭兵「知らねえって……それヤバいんじゃねえのか?」

魔王「そうなんだけど……手の打ちようが無くてね……」

傭兵「………」

魔王「こちらに手を出すって事も無いみたいだし側近と相談して触らぬ神に祟り無しの方向で行こうって事になったんだよ」

傭兵「その方がいいな。変な事して暴れられたら……な?」

魔王「僕じゃあ止められないし、最悪この城無くなるよ……」

傭兵「間違いない。まぁ……魔王とってはエリゴスの方が安全っていやぁ安全か」

魔王「……方がって何?」

傭兵「俺はな……侍の方がヤバいと思う……」

魔王「なんで……」

傭兵「………」

魔王「怖いから黙らないで……」

傭兵「あいつなファイア

魔王「ああ、それなら側近から聞いたよ。僕より強そうだからヤバいって事だね?」

傭兵「そっか……後な」

魔王「まだなんかあるの……?」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「お前を人間だと思ってる……」

魔王「え……?」

傭兵「……あいつわかって無いんだよ。ここが魔王の城って事が!」

魔王「………」

傭兵「お前をここら辺りの王様か何かと勘違いしてやがるんだ!」

魔王「まさかぁ……」

傭兵「本当だ……」

魔王「………」

傭兵「魔王と側近ちゃんってよ、容姿が人間と同じだろ?それにこの城に魔物なんかいねえし……」

魔王「………」

傭兵「気い付けろよ……」

魔王「……何を?」

傭兵「正体がバレないようにだ!」

魔王「………」

傭兵「お前が魔物だってバレたら……」

魔王「たら……?」

傭兵「真っ二つにされるだろうな……」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「やめてよ……」

側近「魔王様は真っ二つにされればいいんです」

魔王「そ、側近……?」

側近「と言うか是非とも真っ二つにされてください」

魔王「………」

側近「もうぅぅッ!私の何を見たんですかぁッ!」

傭兵「大したものじゃ無いって……」

側近「傭兵さん教えてください。な!に!を!見たんですかッ!?」

傭兵「……最初に言っておくけどオジサン悪く無いからね?魔王が見せるって言ったんだぜ!」

魔王「君ズルいよッ!」

傭兵「オジサンはいつでも側近ちゃんの味方だッ!」

魔王「クッ!」

側近「で?何を見たんですか?」

傭兵「……側近ちゃんがエリゴスを見付けたところ」

側近「………」

魔王、傭兵「………」

側近「あ……あああああぁぁぁぁッ!ッ!?」

魔王、傭兵「………」

側近「なななななッ!さ、最低ですよッ!」

魔王「……まさかね」

側近「いわいわいわ言わないでいいですからッ!」

傭兵「オジサンはいつでも側近ちゃんの味方だぜ……」

側近「ぁぁぁぁ……」



側近「ぁぁぁぁ……」

魔王「あーああ五月蝿いよ!」

側近「……誰のせいだと思ってるんですか!?」

魔王「自分が悪いんだろ!エリゴスと鉢合わせた時ビックリして漏ら

側近「ギャアアアッ!」

傭兵「そんな側近ちゃんもオジサンは好きだぜ!」

魔王、側近「………」

傭兵「漏ら

側近「ギャアアアッ!」

傭兵「いや……そう言う行為が好きって限定な事じゃ無いからな?」

魔王「あっそう……」

ーーー

侍「大殿!御早う御座りまする!」

魔王「うん……おはよう……」

侍「ささ!朝げの準備が整いましたで御座るぞッ!」

魔王「………」

侍「どうぞ御召し上がりをッ!」

魔王「……側近さ」

側近「察してください……」

魔王「何で侍に食事を作らせるの?」

側近「大殿の食事は拙者がッ!……と引かなくって……」

魔王「………」

侍「………」ニコニコ

魔王「侍、あのさ……これは何て食べ物かな?」

侍「酒蒸しで御座ります!今朝方、活きの良い魚を捕まえましてな!」

魔王「朝から酒蒸しって……」

侍「御心配無用!然程強き酒では御座らん故!」

魔王「……まあ、頂くよ」

侍「ははッ!」

側近「魔王様……」

魔王「なに?」

側近「材料……聞かなくていいんですか?」

魔王「……そうだね。侍、これはどんな魚だったの?」

侍「なにやら長き鼻を持ちとぐろを巻いた尾など持っていましたな。それに鱗が硬く捌く時、難儀しましたぞ!」

魔王「………」

側近「見た事無いようなお魚ですねぇ……魔王様?」

魔王「どうしよう……」

側近「何をです?」

魔王「……マカラだ」

側近「マカラって名前のお魚なんですか」

魔王「………」

側近「……?」

魔王「あああああ……」

側近「ど、どうしたんですか!」

魔王「マカラがこんな姿になったら返せないよ……」

側近「返せないって……このお魚はいったいなんなんですか……」

魔王「……マカラは神の乗り物だよ」

側近「………」

魔王「………」

側近「なんでそんなのがこんな所に……?」

魔王「いや……うん……」

側近「……はっきり言ってください」

魔王「ほら……僕、魔王じゃん?」

側近「………」

魔王「一応偉い立場じゃん?」

側近「………」

魔王「側近いつもさ威厳を威厳を言ってくるじゃん?」

側近「……そのじゃん?って言うの止めてください。それで……?」

魔王「それだと……僕もさ、偉そうなところ見せないといけないような感じになるじゃん?」

側近「………」

魔王「だからそのさ……神が乗ってる奴に乗れば少しは……」

側近「魔王様……魔王らしいところ見せようとしてたんですね……」

魔王「………」

側近「私……嬉しいです……。魔王様はそう言う事全くお考えになられていないと思っていましたから……」

魔王「………」

側近「……マカラの事は、ちゃんと理由を言えば許して貰えるんじゃありませんか?」

魔王「どうかな……多分無理だよ」

側近「なんでです?それは多少は言われるかもしれませんが誠意を示せば……」

魔王「誠意か……黙って借りてきちゃったけどそれで大丈夫かな」

側近「は?」

魔王「大丈夫だよね!うん!」

側近「このマカラ……ちゃんと許可を得て借りてきたんですよね?」

魔王「許可なんて貰える訳無いじゃん?だって僕魔王じゃん?」

側近「………」イラッ……

魔王「神がこんな若輩魔王なんかに自分が大切にしてる乗り物貸す訳無いじゃんッ!」

側近「………」

魔王「でも誠意を持って

側近「馬鹿ですか魔王様はぁッ!!!」

魔王「ば、馬鹿じゃ無いよ?」

側近「じゃあアホですッ!もうぅぅぅなんですか!神から盗んできてッ!」

魔王「盗んだんじゃ無いよ……借りて……」

側近「黙って借りたなら盗んだのも同じですッ!」

魔王「………」

側近「どうするんですか……マカラこんな姿になちゃってるのに……」

魔王「どうしようね……」

側近「……これマズイですよね?」

魔王「マズイだろうね……」

側近「………」

魔王「もしマカラ借りたのバレて……こんな事になってるの神に知れたら……」

側近「……たら?」

魔王「最悪……ラグナロクだろうね……」

側近「………」

魔王「………」

側近「笑えません……本当どうするんですか……」

魔王「……黙っておこう」

側近「え……」

魔王「うん、それしかない」

側近「……ぁぁぁ」

侍「……??」

傭兵「ぶあぁぁぁ……おはようさん」

侍「おはよう御座りまする傭兵殿ッ!」

傭兵「お前さん朝から元気だな……はぁぁぁ年取ってから夜更かしなんてするもんじゃねえなぁ」

魔王、側近「………」

傭兵「なんだぁ?こっちは朝から辛気臭え顔して……」

魔王「ちょっとね……」

傭兵「……?お?これ旨そうだな!どれ」ヒョイッ

魔王、側近「ッ!!!」

侍「傭兵殿ッ!大殿の前ですぞ!そのようなはしたない真似を!」

傭兵「毒味だよ毒味。うめえなこれ」モグモグ……

侍「………」

傭兵「いやあ側近ちゃん作ったんだろこれ。うめえぜ!」

側近「……私じゃありません」

傭兵「じゃあ誰だい?もうひとつ貰いっと」ヒョイッ

側近「侍さんが魔王様の為に作りました……」

傭兵「おお、そっか。うめえぜ侍よ」モグモグ……

侍「ああ……拙者丹精込めて作りましたものを……」

魔王「………」

傭兵「なんだよ、そんな恨めしそうに見るなよ。いいじゃねえか少しぐらい食ってもよ」

魔王「いやそうじゃ無いよ……」

傭兵「あ?」

魔王「君さ……体に異常は無いかい?」

傭兵「……ねえけど。それはどう言う……」

魔王「君の勇気には恐れ入ったよ……」

傭兵「………」

魔王、側近「………」

傭兵「おい……」

魔王、側近「………」

傭兵「俺は今……何を食べた……?」

魔王、側近「………」

傭兵「おいってッ!俺は何を食べたんだッ!?」

魔王「世の中には……知らない方が幸せって事もあるんだよ……」

傭兵「………」

側近「そうですね……それを知ってしまったら……うぅ傭兵さん……」

傭兵「………」

魔王「側近……今は泣いちゃ駄目だよ……」

側近「ですが!傭兵さんが……」

傭兵「………」

魔王、側近「………」

傭兵「うわあああああああッ!何を食べたんだ俺はぁぁぁぁッ!?」



傭兵「俺……何……食……」ブツブツ……

側近「傭兵さんしっかりしてください……」

侍「それでは大殿ッ!拙者、城の警備兼清掃兼城の修復兼ご夕食の食材調達に行って参りまするッ!」

魔王「まった……侍……」

侍「はッ!何かッ!」

魔王「君……この城でそんなに仕事してるの?」

侍「如何にもッ!」

魔王「側近……」

側近「侍さんがどうしてもと言うので仕方無く……」

魔王「でもさ……」

側近「なら魔王様も働いてください」

魔王「………」

側近「………」

魔王「さ、侍!頑張ってくれたまえ!」

侍「はッ!」

魔王「ところでエリゴスさんは?」

侍「エリゴス殿は朝の湯浴をしている頃かと!」

魔王「湯浴って……」

侍「では拙者行きます故ッ!」

魔王「うん……」

側近「………」

魔王「エリゴスさん

側近「聞かないでください……」

魔王「……何で?」

側近「………」

魔王「……?……湯浴って事は鎧兜取ってるかもしれないよね」

側近「………」

魔王「凄く気にならないかい?……覗いてみようか?」

側近「無理です……」

魔王「なんで無理なの?」

側近「……何か部屋の周りに結界みたいな物が張ってあって」

魔王「………」

側近「それに触るとビリビリと……」

魔王「なるほど。側近……君も気になっちゃったのか……」

側近「……はい」



チャパンッ……

魔王「なるほど……確かに扉の向こうで水を使ってる音がするね……」

側近「魔王様やめましょうよ……」

魔王「側近……君も気になるだろ?」

側近「なりますけど……結界はどうするんです?」

魔王「それなんだけどさ……本当に結界なんてあるの?」

側近「……扉を触ってみたらわかります」

魔王「………」

側近「………」

魔王「………」ソゥ……

側近「やめた方が……」

魔王「……ん?」パシッ

側近「え……」

魔王「何とも無いよ?」

側近「あれぇ……?」

魔王「側近さ……」

側近「ほ、本当に私が触った時はビリビリしたんですよ!」

魔王「はいはい……」

側近「本当ですってッ!」

魔王「なら君触ってごらんよ」

側近「嫌です……」

魔王「大丈夫だって!僕なんかほら!全然平気だし!」パシッパシッ!

側近「………」ソゥ……

魔王「………」

バリバリバリィィッ!



魔王「………」

側近「………」プシュゥ……

魔王「……だ、大丈夫かい?」

側近「私……安全……」ガクッ

魔王「側近ッ!!」

側近「」

魔王「………」

魔王「あわわ……どうしよう……」

魔王「………」

ガチャ……キィ……

……「静かにしろ……」

魔王「………」

……「なに用だ?」

魔王「………」

……「……?」

魔王「………」

……「なに用だと言っている」

魔王「……誰?」

エリゴス「エリゴスだが?」

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「オッケー……僕は魔王だからこれしきの事じゃ狼狽えない」

エリゴス「………」

魔王「うん……今、目の前にいる全裸な幼女が!自分はエリゴスだと言ってもね」

エリゴス「………」

魔王「いやそれより目の前に全裸な幼女が!いる事に狼狽えないのが先か……」

エリゴス「………」

魔王「側近どうしよう側近どうするか側近側近側近うわあああああッ!」

エリゴス「思いっきり狼狽えてるではないか……」



魔王、側近、傭兵「………」

エリゴス「鎧を着ていいか?」

魔王「ちょっと待っててくれるかな……」

傭兵「魔王よ……これはマジいだろ……。笑えんぜ……」

魔王「いや……エリゴスさんだよ?」

側近「うわああん!遂に魔王様が犯罪に手をお染にぃぃぃ!」

魔王「………」

傭兵「……いい奴だと思ってたのによ……軽蔑するぜ」

側近「私の体を弄ぶだけだは飽きたらずこんな子供にまで手を出そうだなんてぇぇ!」

傭兵「なッ!魔王テメエ!オジサンに内緒で側近ちゃんの体を弄んでんのか!」

側近「わあああん!魔王の名も地に堕ちましたぁぁ!」

魔王「………」

傭兵「このロクデナシがッ!88、55、84の体じゃ満足しねえってのかッ!?」

側近「ペド魔王フィリア様ッ!ペド魔王様ペド魔王様ッ!」

魔王「うん……二人とも落ち着こうか……」

傭兵「これが落ち着いてッ!」

側近「いられますかッ!」

魔王「まあそうだよね……こう感情の持っていき方がわからないのは僕にもわかる。だけどね……」

傭兵、側近「………」

魔王「この子は紛れもなくエリゴスさんだよ……」

エリゴス「………」

傭兵「あり得ません……」

側近「あり得んだろ……」

魔王「セリフが逆転する程ショックなのはわかるけど……本当だよ。ね?エリゴスさん」

エリゴス「ああ……」



エリゴス「………」

側近「……まだ信じられません」

エリゴス「鎧を着ていいか?」

魔王「もうちょっとだけ待っててくれるかな」

傭兵「オジサン年がいもなくテンパッちまったぜ……」

魔王「わかるよ……僕も狼狽えたから……」

傭兵「つーかよ。エリゴス、喋れるなら最初っから喋れよ」

エリゴス「何を言っている……最初から喋っていただろ」

傭兵「はあ?フシュウとしか言ってねえだろうが」

エリゴス「貴様……我の言葉が聴こえていなかったのか……」

傭兵「……魔王と側近ちゃん聞こえてた?」

魔王、側近「いいえ……」

エリゴス「な……」

魔王、側近、傭兵「………」

エリゴス「貴様ら……我の言葉を理解し相槌等を打っていたのではないのか……?」イラッ……

魔王 (あれ……ちょっと怒ってる……?マズイ……)

傭兵 (これはマズいな……)

側近 (適当に流してたなんて言えないですよね……それに怒って……)

エリゴス「………」

傭兵「あ、あれよ!言葉はわからずとも心なら理解したってやつだ!」

エリゴス「………」

側近「そうですよ!それなければ私エリゴスさんに話し掛けたりしませんって!」

エリゴス「………」

魔王「そうそう!」

エリゴス「……そうか」

魔王「そ、そうだ!エリゴスさんに聞きたい事があるんだけど!」

エリゴス「なんだ?」

魔王「そもそも、なんでこんな所にいるの?」

エリゴス「理解しているのでは無かったのか……?」

魔王「いや、うん……ド忘れしちゃってッ!」

エリゴス「なるほど。魔王とあろう者がド忘れか……」

魔王「………」

傭兵「オジサンがド忘れしちゃったのよッ!それを魔王が聞いてくれてな!」

エリゴス「………」

傭兵「いやぁ人間ってよ年取ると物忘れが激しくなってな!だからよ……」

エリゴス「なら次は忘れぬようにしろ」

傭兵「あ、ああ……」

魔王 (ゴメン……傭兵……)コソコソ

傭兵 (貸し……ひとつな……)コソコソ

側近「………」

エリゴス「魔王……そいつに喚ばれ我はここにいる」

魔王「……は?」

傭兵「お前やっぱり……」

側近「魔王様……」

魔王「ち、違うよ!喚んでないし!」

傭兵、側近「………」

魔王「そんな目で見ないで……」

傭兵「……なら、エリゴスが何であんな事言ったんだ?」

魔王「ししし知らない!」

側近「最低です……魔王様……」

魔王「いや本当に知らないって!」

傭兵「エリゴス……魔王がお前を喚んだんだよな?」

エリゴス「そうだ」

魔王「………」

エリゴス「余程我の力を欲したのだろ。魔王の間で我を喚び寄せる儀式を行う程だからな」

魔王「……儀式?」

側近「魔王様いつの間にそんな事してたんですか……」

魔王「覚えが無いよ……」

傭兵「その儀式ってのは?」

エリゴス「寝そべり祈りを念ずる。そして我を喚び寄せる呪文をだな」

魔王、側近「………」

傭兵「何か心当たりあるか?」

魔王「あれ……かな……」

側近「まさか……」

傭兵「なんだよ?」

魔王「………」

傭兵「なんだよ言えよ」

魔王「傭兵……僕、怠け者じゃん?」

傭兵「まあ否定はしねえよ。で?」

魔王「で……魔王の間でだらしなくゴロゴロしたりするのが日課だったりしたんだよ……」

傭兵「………」

魔王「後は……うん、察しの通りかな……」

傭兵「偶然エリゴス喚んじまった……か?」

魔王「かな?アハハハッこんな偶然もあるんだね!」

傭兵「笑ってる場合じゃ無いと思うが……」

魔王「……どうしよう」

傭兵「知らねえよ……」

側近「どうするんですか……ダラダラしてたら偶然エリゴスさん喚んじゃったなんて知られたら……」

魔王「怒るだろうね……」

傭兵「そんなの誰でも怒るわな……」

側近「問題はその怒りの度合いがどの程度まで……」

魔王「中身あんな感じだし……怒り狂うかな……」

側近「………」

傭兵「そうならねえうちに帰って貰ったらどうだ?」

魔王「そうだね……エリゴスさんちょっといいかな?」

エリゴス「なんだ?」

魔王「あのさ……喚んでおいてアレなんだけど帰る予定とかは無いかい?」

エリゴス「無いな。……どうしてそんな事を聞く?」

魔王「ん……なんて言うかな……ほら故郷の親御さんが心配してるかもしれないよ!」

エリゴス「………」

傭兵 (親御さんがって……馬鹿かこいつは!もっと聞き方ってもんがあるだろうが!)

側近 (魔王様のアホッ!)

魔王「どうだろう?そろそろね……」

エリゴス「ふふ……」

魔王「……?」

エリゴス「我の親の心配をするなど面白い考えをするな魔王よ」

魔王「………」

エリゴス「だが心配は無用だ」

魔王「なんでかな?」

エリゴス「親御などいない。それにな我は召喚されたのだ。召喚者の為に我はこの世界に存在しなければならない」

魔王「……召喚者。僕だよね……?」

エリゴス「他に誰がいる」

魔王「な、なら!その召喚者の命令は……聞くの?」

エリゴス「勿論だ」

魔王「………」

エリゴス「ただし……」

魔王「え……ただし何?」

エリゴス「その命令がふざけた物だと我が判断した場合には……」

魔王「……には?」

エリゴス「それ相応の代償を差し出して貰うがな」

魔王「………」

エリゴス「まぁ……魔王たる者、ふざけた事等言う筈が無いが」

魔王「そうだね……あはは……」

傭兵、側近「………」

エリゴス「では、我は鎧を着てくる」

魔王「いってらっしゃい……」

傭兵、側近「………」



魔王「アアアアア……」

側近「どうするんですか……」

傭兵「あれじゃ帰れなんて言えねえぜ……」

魔王「………」

側近「それに代償がって言ってましたけど……」

魔王「………」

傭兵「まあ俺達には危害が及ばないようだが」

魔王「……それはどうだろうね」

傭兵「どうだろうって?」

魔王「僕だけが代償を差し出す事で済めばいいけど……」

側近「それだけでは済まないんですか……?」

魔王「……多分」

傭兵、側近「………」

魔王「………」

側近「魔王様……絶対エリゴスさんにふざけた命令しないでくださいね……」

魔王「わかってるよ……」

バターンッ!

侍「大殿オォッ!」

側近「侍さん静かにと……」

侍「一大事で御座りまするゥッ!」

魔王 (一大事って?って聞かなきゃならないけど……聞きたく無いな……)

侍「……大殿?」

傭兵 (魔王の野郎……逃げ腰だな……)

側近「侍さん……一大事とは?」

魔王 (ああ……聞いちゃうのか……)

侍「先程、城の近くにて不審な輩が彷徨いておりました!」

側近「不審な輩ですか?」

侍「男女合わせて四人の野盗かと思われまする!」

側近「魔王様……?」

魔王 (なんでこうも問題ばかり降りかかるんだい!もう!)

側近「……?侍さん、それって人間でしたか?」

侍「そうで御座いますな!」

側近「この辺りに人間の野盗なんて……」

傭兵「オジサンもおかしいと思うぜ」

側近「ですよね……」

傭兵「それで侍、そいつらどうしたんだ?」

侍「無論成敗致しましたッ!この辺りの野盗共はおかしな術やら!きらびやかな装飾を施した武具等を着けているんですな!」

傭兵「………」

側近「きらびやかな武具ですか……そんな野盗なんて聞いた事が……」

傭兵「侍……」

侍「傭兵殿何か!」

傭兵「そいつらって……若かったか?」

侍「そうで御座いますな……年は側近殿くらいかと!」

傭兵「……そうかい。で、何か変わったもん持ってなかったか?竜が彫られてる盾とか」

侍「ん……確かにそのような物を持っておりましたな!」

傭兵「………」

側近「……傭兵さん?どうしたんですか?」

傭兵「魔王よ……こいつは一大事だ……」

魔王「やっぱり一大事なんだ……」

傭兵「わかるのか……」

魔王「いや、何の事かわからないけどそんな気がしただけだよ……」

傭兵「………」

魔王「本当は聞きたく無いんだけど……何が一大事なの?」

傭兵「侍がやったの……勇者だ……」

魔王、側近「………」

傭兵「聴かれる前に言っておくが八割方間違いない……勇者にしか持てない竜の盾って言うのがあってな……」

魔王「もういいよ……聞きたくない……」

傭兵「そうか……」

侍「……?」

魔王、側近、傭兵「………」



侍「はぁ……」

エリゴス「………」

侍「?」

エリゴス「侍……」

侍「あああ!エリゴス殿で御座ったか!」

エリゴス「……何だと思ったのだ?」

侍「いやあ!中エリゴス殿を拝見致すのは初めてで御座った故。御勘弁くだされ!」

エリゴス「中エリゴス……まあよい。侍、我の鎧を知らんか?」

侍「あの鎧は上にて虫干ししておりますな!」

エリゴス「………」

侍「……何か不味かったで御座ったでしょか?」

エリゴス「いや、いい……」

侍「エリゴス殿……折入って御相談があるのですが宜しいか?」

エリゴス「……言ってみろ」

侍「はい……拙者、先程この城の近くにて野盗を成敗致しましたのですが……」

エリゴス「………」

侍「大殿はこの事にあまり関心が無い御様子でしてな……」

エリゴス「………」

侍「それはそれで拙者が大殿を御守りすれば良い事なのですが……」

エリゴス「………」

侍「………」

エリゴス「なるほど。己の結実した事を認めて貰えぬが辛い……か」

侍「いえ……あの……」

エリゴス「隠さずとも良い。人間ならば当たり前の事」

侍「………」

エリゴス「確かに貴様がした事は魔王の為になっている。だが侍、魔王がこれしきの事で喜ぶべきだと思うか?」

侍「………」

エリゴス「我はこう思う。魔王は貴様の先を見据えて今は誉める事も認める事もしないのだとな」

侍「先……で御座いますか?」

エリゴス「そうだ」

侍「それは一体……」

エリゴス「己の野望の為……貴様を使える手駒に育てる事だろうな……」

侍「………」

エリゴス「恐ろしい男だ……」

侍「大殿は何を為さろうと……」

エリゴス「知りたいか?……知ってしまったら貴様は忠義だけでなく……」

侍「………」ゴクッ

エリゴス「貴様が持つ全てを魔王の為に捧げる事になるが……」

侍「………」

エリゴス「引き返すなら今のうちだ。付いてこれぬ者は魔王に必要無いからな」

侍「………」

エリゴス「………」

侍「エリゴス殿……お聞かせ願いますか……」

エリゴス「フフ……貴様ならそう言うであろうと思っていた」

侍「………」

エリゴス「教えてやる……魔王の野望を!それはな……」

侍「………」

エリゴス「世界を統一する事だ!」

侍「な、なんとぉッ!!?」

エリゴス (我をこの世界へ喚んだのだ。これぐらいしてもらわなければなクククッ)

侍「あ……ああ……なんと言う事で御座ろうか……」



側近「魔王様……」

傭兵「一人にしてくれって言ってんだから良いじゃねえか。それよりさ側近ちゃん!」

側近「なんです……」

傭兵「ここで!オジサンと一緒にチリチリ日焼けしちゃわないかーいッ!」

側近「………」

傭兵「オジサンいいオイル持ってんだよぉぉ!」

側近「結構です……」

傭兵「おほっ!決

側近「それはもういいですから……ん?」

傭兵「なんだい?」キリッ

側近「あれ……何でしょう?」

傭兵「あれ?」

側近「……これ」

傭兵「外エリゴスじゃねえか……」

側近「なんでこんな所に……」

傭兵「はあ……中身こうなってんだな……」

側近「魔神の鎧って凄いんですね……」

傭兵「………」チョンッ

側近「ななななにやってるんですか!触ったらエリゴスさんに怒られますよ!」

傭兵「大丈夫だって!」

側近「大丈夫じゃ無いですよ!それにもしエリゴスさんの武器が動いちゃったらどうするんです!」

傭兵「たかが人間が魔神の武器なんか動かせねえって!それにオジサンこう言うの得意なんだぜ!」

側近「得意って……」

傭兵「凄えぜ……何か男のロンマンってやつを感じるな……」ガチャガチャ

側近「本当にやめてくださいよ……」

傭兵「平気!平気!」ポチッ

側近「………」

ウィ……ガコン……

側近「え……」

傭兵「おおおおッ!何か出てきたぜ!」

キュイン……キュイン……

側近「あわわわわわ……とめ止めてください!」

傭兵「いや……どうやるかわかんねえ……」ガチャガチャ

キュインキュインキュイン……

側近「に、逃げましょう!」

傭兵「これヤバイ系……?」

側近「ヤバイなんてもんじゃ無いですよ!エリゴスさんが城を

ゴゴゴゴゴッ!



エリゴス「………」

傭兵、側近「すいませんでした……」

エリゴス「どちらがやった……?」

傭兵「俺だ……いやぁ悪いな……」

側近「わ、私も止めなかった……ので同罪です……」

エリゴス「そうか……」

傭兵、側近「………」

エリゴス「あれは魔導波動砲と言ってな、万物の源より力をバイパスさせ凝縮しその力を解き放つ武器なのだ」

傭兵、側近「………」

エリゴス「後は……魔導バルカン砲に魔導ロケットパンチに魔導反応弾

側近「あ、あのエリゴスさん?」

エリゴス「なんだ?……ああ、魔導反応弾と言うのはだな」

側近「そうじゃなくて……」

エリゴス「なら魔導バルカン砲の方か?」

側近「いえ……あの……怒ったりはしないんですか……?」

エリゴス「………」

傭兵「勝手によ……お前の武器を……」

エリゴス「怒る事などするわけ無いだろ」

傭兵「……何でだ?」

エリゴス「フフ、仲間が扱う武器を熟知しておく……大切な事だと思わぬか?」

傭兵「………」

エリゴス「世界を統一する為ならば当然の事。怒ろう筈が無い」

傭兵「そうか……」

側近「………」

傭兵、側近「……?」

エリゴス「どうした?」

側近「……何か聞きたくないような言葉が聴こえたんですが」

傭兵「オジサンもだぜ……やべぇな歳かな……」

側近「私はそんな歳じゃ無いですよ!」

傭兵「側近ちゃんなら何歳でもオジサンはOKだぜ!」

側近「………」

エリゴス「何が聞きたくない言葉だったのだ?」

側近「その……世界統一とか?」

エリゴス「それか。確かにその言葉は発したがそれがどうかしたか?」

側近「どうかしたかって……意味がわからないんですけど……」

エリゴス「世界全ての者を従え統べると言う意味だ」

側近「………」

傭兵「エリゴス……そこじゃ無くてよ、誰がそんな事をやるって事だ……」

エリゴス「………」

側近、傭兵「………」

エリゴス「そうか……貴様らはまだ聞かされていないのだな……恐ろしい男だな魔王よ……」

側近「え?魔王様?」

傭兵「どう言うこった……」

エリゴス「どうやら……敵を欺くなら味方から……のようだな」

傭兵「魔王が世界統一とか言ってんのか?」

エリゴス「そうだ」



ズゴゴゴゴ……パラパラ……

魔王「………」

魔王「また……何かあったのかな……」

魔王「知りたくないなぁ……」

魔王「あの連中がいるから……もう静かに暮らす事出来ないのかな……」

魔王「魔王の世襲制なんて止めれば良かったんだ……」

魔王「僕みたいなやる気の無い者を魔王にして……」グチグチ……

侍「………」

魔王「あれ?……侍がここにいるって事はさっきの轟音は君じゃ無かったのかい」

侍「………」

魔王「……?」

侍「………」

魔王「侍?」

侍「………」

魔王「おーい!侍ッ!」

侍「ななななななんとッ!大殿いつの間にッ!」

魔王「いや、ずっといたよ……何さ?ボーッとして」

侍「いえ……」

魔王「……何かあったの?」

侍 (この様な人畜無害の風体を醸し出している大殿が……よもや世界統一など……)

魔王「………」

侍 (それ程の大義を志して……何故こう平然といられるのか……)

魔王「……?」

侍 (恐ろしきかな……拙者との器の大きさの違い様々と見せ付けられた気分に……)

魔王「何……僕の顔に何か付いてる?」

侍「大殿……」

魔王「うん?」

侍「拙者……まだまだ未熟で御座いました……」

魔王「そう……?」

侍「………」ジィ……

魔王「………」

侍「我が君主……ここに見付けたり……で御座ります」

魔王「……君主って」

侍「拙者……もう迷いませぬ!我が故郷を捨ててまでも仕えるべき主を見付けた故ッ!」

魔王「故郷は捨てない方がいいんじゃないかな……」

侍「何を仰います大殿ッ!」

魔王「でもさ……」

侍「これが拙者の覚悟で御座りますッ!」

魔王「……君、帰る為に路銀貯めてるんじゃないの?それにこんな所まで来る用事って何だったのさ」

侍「それは……」

魔王「………」

侍「……大殿に隠し事など出来ませんな。拙者、竜の牙を採る為この地に参りました」

魔王「……こんな所まで?」

侍「はい……ある城主に言われ仕官したいなら竜の牙を持参せよと」

魔王「その城主って言うのは無茶苦茶言うね……」

侍「………」

魔王「無茶苦茶……?……それってさその城主……」

侍「大殿のお考えの通りかと……」

魔王「………」

侍「……無理難題を申し付け拙者を……仕官させないようにと」

魔王「………」

侍「………」

魔王「何でかな?こう言うのもあれだけど君はとんでもなく強いだろ?それを雇わないって……」

侍「………」

魔王「……なるほど。言わないでいいよ」

侍「御察しくださり感謝いたします……」

魔王「………」

侍「………」

魔王 (これは……困ったね……)



魔王「……なに?」

側近、傭兵「………」

魔王「………」

側近「魔王様……世

傭兵「側近ちゃん!」フルフル

魔王「………」

側近、傭兵「………」

魔王「もう!さっきから何なの!?」

側近「いえ……なんでも……」

魔王「そんな態度見せられたら何でもない事無いだろ!」

傭兵「本当に何でもねえって……なぁ側近ちゃん……」

側近「はい……」

魔王「………」

側近 (ほ、本当にこの魔王様が世界統一なんて考えているんでしょうか……)

傭兵 (やられたぜ……この間抜け面の裏に真の魔王の姿があったなんてな……)

魔王「………」

側近、傭兵「………」

魔王「なんか喋ってよ……怖いよ……」

側近「ま、魔王様!エリゴスさんの鎧凄かったんですよぉ!」

傭兵「本当な!凄かったぜぇ!」

魔王「鎧……?」

側近「もうまたズバァって!」

傭兵「本当な!あれ人間でも動かせるんだぜ!」

魔王「………」

側近「魔王様?」

魔王「さっきの轟音……君達だったのか……」

側近、傭兵「………」

魔王「また城がちょっと消し飛んだりした?なんてねハハハッ」

側近、傭兵「………」

魔王「……え?まさか本当に消し飛んだの……?」

側近「……はい」

魔王「………」

傭兵「ま、魔王の言った通りちょっとだぜ!ちょっと!」

側近「本当にちょっとですよね!」

魔王「………」

傭兵「前は4分の1だったろ?今回も同じくらいな!」

側近「ええ!今は丁度お城が上半分無くなった状態になってますよね!」

魔王「………」

側近、傭兵「………」



魔王「アアアアア……」

傭兵「すまねえって……」

側近「申し訳ありませんって……」

魔王「アアアアア……」

傭兵「………」

側近「そうだ魔王様!侍さんはいつ帰るんでしょうね!」

傭兵「そそそそそうだな!」

魔王「………」

側近、傭兵「……?」

魔王「彼は……うん……もう帰らないよ」

側近「路銀を貯めて帰ろうとしてたんじゃ無いんですか?」

魔王「なんて言ったらいいかな……困るんだよなぁこんなんだと……」

傭兵「なんだ?侍がまた無茶苦茶言いやがったのか?」

魔王「そうだけどそうじゃないんだよ……」

傭兵「どう言うこった?」

魔王「侍はね……帰っても居場所無いんだよ……」

側近「居場所ってなんです……?」

魔王「それは……まぁ説明するとねさっき侍に聞いたんだけどね、彼はここに竜の牙を取りに来たんだって……」

傭兵「それで?」

魔王「侍はどう見てもここら辺の民族じゃないのはわかるよね?多分侍が暮らしてた場所って言うのはここから遠い所だと思うんだ」

側近「………」

魔王「で、侍はさなんでこんな所まで竜の牙を取りに来たのかわかるかい?」

傭兵「……わかんねえけど」

魔王「仕官しようとした先で取ってこいって言われたんだって」

傭兵「侍じゃ可能だろ。強えもんな」

魔王「そうだよね可能だよ。でもね……普通そんな事言うと思うかい?」

側近「侍さんだから言ったんじゃ……?」

魔王「そうだよ。だけどね側近が今思ってる事と僕が思ってる事とじゃ意味合いが違うんだよ」

傭兵「……侍は強過ぎたって事か」

魔王「うん……」

側近「ええ?なら……」

傭兵「側近ちゃん……侍の周りにいた人間はな侍を危険だって感じたんだ」

側近「………」

魔王「そう思うのもわからなくはないよね。僕が今その立場だから」

傭兵「なんだ魔王……お前、侍を……」

魔王「するわけ無いだろ……出来ないよ僕には」

傭兵「そっか……悪い……」

側近「何を出来ないんです?」

魔王「侍をさ……ここへやった人間と同じ事だよ」

側近「………」

魔王「こんなの聞いちゃったら……もう何も言えないよね」

傭兵「そうだな……侍に裏切られたらたまらない怖えからどっか行けなんてな……」

魔王「それでね……困ってるんだよ」

傭兵「何も困る事なんかねえだろ。お前が侍を受け入れてやりゃいいんだからよ」

魔王「僕が魔王だったとしてもかい?」

傭兵「ああ。侍はお前を慕ってるじゃねえか。侍の態度見てたらな……お前の事魔王だって侍が知っても今まで通りだと思うぜ?」

魔王「………」

傭兵「後はオジサンがとやかく言う事じゃねえから言わねえが」

魔王「うん……」



側近「………」

侍「てあああぁぁッ!」ブオッ

ズバーンッ!

側近「薪はあまり割らなくていいですよ……」

侍「ふぅは。そうで御座いますか!」

側近「………」

侍「……?如何なされた側近殿」

側近「いえ……その……あの……」

侍「そのような事は……拙者困り申す……」

側近「はい?」

侍「女子が煮えきらぬ態度を取ると言う事は愛の告白をする事と

側近「違います……」

侍「なんと……側近殿、これは失礼した!」

側近「侍さんは……ここにいたいですか?」

侍「それは愚問ですぞ側近殿。いたいのでは無く!居なければならぬ!ですぞ」

側近「………」

侍「大殿が内に秘める野望を達成したお姿……この目で見るまでは大殿の傍を離れませぬッ!」

側近「そう言う事じゃなくて……はぁいいです……今のは忘れてください」

侍「そうで御座りますか?……む」

側近「どうしました?」

侍「側近殿……拙者の側を離れぬよう……」

側近「………」

侍「………」ザッ……

ガサガサガサッ!

勇者「あ……」

侍「また来たか……野盗めがッ!」

勇者「いいいいや待

侍「ツアアアアッ!」ババッ!

ドボグッ!

勇者「」ドサッ……

侍「ふんっ馬鹿めがッ!」

側近「………」

侍「側近殿ご無事か?」

側近「身の安全を心配する暇も無かったですよ……」

侍「左様で御座りますか!」

側近「……こ、この人は侍さんが前にやっつけた野盗ですか?」

侍「如何にも!」

側近 (これが勇者なんだ……)

侍「さ、側近殿参りましょうか!」

側近「いや……この人をこのままにしておけないですよ……」

侍「何を仰います!大殿に歯向かうような真似をする輩は獣の糧にでもなればいいのです!」

側近「………」

侍「側近殿?」

側近「やっぱりこのままには出来ないです……侍さん……」

侍「………」

側近「………」

侍「……わかり申した。側近殿は何かお考えがあっての事、連れて行きます故」

側近「お願いします……」

侍「いえ……ただし!何かこの輩が仕出かしたのなら即刻首をはねるので!」

側近「………」



傭兵「………」

エリゴス「貴様……我の鎧のどこを触ったのだ……」

傭兵「どこってよ……何かいっぱいポチポチ出来たろ?そんなの覚えて無いぜ……」

エリゴス「覚えておけ!我の鎧の動きがおかしくなったのは貴様のせいなのだからッ!」

傭兵「悪かったって……」

エリゴス「悪かったで済むかッ!」

……侍さん!そんな持ち方したら骨が折れちゃいますよ!

侍「構いませぬ!」

側近「構ってください!」

傭兵「あああ!側近ちゃん!助けてくれよ……」

側近「何かあったんですか……」

傭兵「何かよ……エリゴスの鎧の調子が悪いんだと」

エリゴス「魔導エンジンに異常は無い……駆動系か……またはシステム系統か……」ブツブツ……

傭兵「な?」

側近「な?なんて言われても私がどうにか出来るわけ無いです……」

傭兵「そんな事言わずによ……ってそいつは?」

側近「………」

侍「大殿の大義を脅かす大罪人で御座ります!」

傭兵「……聞いていいかい?」

側近「聞かない方がいいです……」

傭兵「これ勇者だろ……」

側近「はい……」

傭兵「ヤバいんじゃねえのか……?」

側近「そうなんですけど……あのままにしておけなくて……」

傭兵「あのまま?」

侍「はんッ!この輩は拙者の一撃にも耐えられぬ凡愚で御座る故!ここらの獣の糧にでもと!」

傭兵「………」

侍「側近殿が余計な……いえ仏心をですな加えたのでこうして」

傭兵「もういいぜ……わかったから……」

侍「左様か!」

側近「侍さん……この方は私達が見ておくので自分の仕事に戻っていいですよ」

侍「……しかし」

側近「大丈夫ですから。エリゴスさんもいますし」

侍「わかり申した……では」

側近「………」

傭兵「侍の一撃なんか外エリゴスぐらいしか耐えられんだろ……」

側近「………」

傭兵「側近ちゃんよ……これどうするんだ?」

側近「……特に考えないで連れてきてしまったので」

傭兵「そっか……勇者の仲間の奴等は?」

側近「この方一人でしたよ?」

傭兵「……?なんでだ?仲間がいるはずなんだが……」

側近「なら、お仲間さん達とはぐれたんですかね……」

傭兵「………」

側近「どうしました?」

傭兵「いや、なんでもねえよ」

側近「そうですか?」

傭兵 (なんで一人だったんだ?有り得ねえだろ……)

側近「……?」



勇者「んん……」

傭兵、側近「………」

勇者「………はあっ!」ガバァッ!

側近「あの……大丈夫ですか?」

勇者「………」

側近「……?」

勇者「ハッ!?」キョロキョロッ!

側近「どうしました!?」

勇者「ああああの黒髪のオーガは!?」

側近「……いないので大丈夫ですよ」

勇者「良かった……」

傭兵 (黒髪のオーガって……侍か……)

勇者「あの……ここは?やけにしっかりした造りの……」

側近、傭兵「………」

勇者「……?」

傭兵「知らない方がいい……」

勇者「何故ですか御父さん……」

傭兵「あ?……俺は御父さんじゃねえ!」

勇者「え……こちらは娘さんでは?」

傭兵「違えわッ!こっちはオジサンのコレッ!」ビシッ!

側近「小指立てないでください!違いますッ!」

勇者「……なら犯罪臭い事?」

傭兵「だからコレだってッ!」ビシッ!

側近「だから違いますッ!」

勇者「………」



傭兵「側近ちゃん頑固だぜ……」

側近「やめてください……」

勇者「あの……ここはどこ?」

側近「ここは……」

バタンッ

魔王「側近、ちょっといいかな?……ん?」

側近、傭兵「………」

勇者「………」

魔王「……誰?」

側近「知らない方がいいです……」

勇者「僕は勇者ですけど……貴方は?」

魔王「僕?僕は魔王だよ」

側近、傭兵「………」

勇者「そうなんですか」

魔王「そうなんだよ」

側近、傭兵「………」

魔王、勇者「……あれ?」

側近、傭兵「………」

勇者「魔王?」

魔王「勇者?」

側近、傭兵「………」

魔王、勇者「………」

傭兵「まあ……なんだよな……」

勇者「なななななッ!まままま魔王ッ!」

魔王「ゆゆゆゆゆ勇者だってぇぇッ!」

勇者「ひ、卑怯だぞッ!魔王ならもっと勿体ぶって出てこいッ!」

魔王「お、お前こそッ!勇者なら堂々と正面から来いッ!」

勇者「なにをぉ!黒髪のオーガを使って城に寄せ付けなかったくせに!」

魔王「……黒髪のオーガって?」

側近「侍さんです……」

魔王「ああ……」

勇者「それに……なんと言う卑劣な!僕の弱点まで付いてくるなんて!」

魔王、側近、傭兵「……?」

エリゴス「駆動系もシステムも異常無しか……ならなんだと言うのだ……」

勇者「………」ポッ……

魔王、側近、傭兵「うわ……」

勇者「……魔王を倒して救いだしてみせるからね」

側近「魔王様……」

魔王「傭兵よ……」

傭兵「こっちに振るなよ……」



エリゴス「………」ブツブツ……

勇者「………」キラキラ!

魔王「誰がこれ連れて来たの……」

側近「………」チョイ

魔王「側近……」

側近「すいません……」

傭兵「これはマズイぜ……エリゴスの事を目を輝かせて見てるぜ……」

魔王「笑えないね……」

側近「あああの勇者さん?もう体は大丈夫ですよね!」

勇者「………」キラキラ!

側近「……こっちを見てください」

勇者「御母さん……」

側近「おか……」

勇者「娘さんを僕にください!」

側近「………」

勇者「もう速攻で魔王倒すんで!」

傭兵「おい……」

勇者「御父さんもそれでいいですよね!?」

傭兵「あのな……御父さんじゃねえ!犯罪者が!」

勇者「大丈夫です!僕は種族の壁なんか気にしませんから!」

傭兵「人の話を聞け!」

勇者「さあ魔王ッ!覚悟しろ!」

魔王「君ね……」

勇者「どうした!怖じ気付いたか!」

魔王「……困ったね」

勇者「まさか……本当に僕が怖いのか魔王」ニヤ……

魔王「………」イラッ

勇者「魔王と言っても所詮一匹の魔物だし、勇者には敵わないか」

魔王「………」

勇者「それに……見た目人間と変わらないし?魔王っぽく無いし?」

魔王「………」

勇者「って言うか本当に魔王なの?」

魔王「本当だよ……後ね、ここは魔王の城なんだけどよく平気でいられるね……」

勇者「ぷっ!こんな何も感じない所が魔王の城だって言われても怖くないね!」

魔王「………」

勇者「そんな所にいる魔王なんかたかが知れてると思わないかい?」

魔王「………」イラッ

傭兵 (やべえな……オジサンこいつと同じ事考えてたぜ……)

側近 (あああ……魔王様相当イライラしてる……)

勇者「ふふふ……来い魔王ッ!その間抜け面ボコボコにしてやる!」

魔王「……武器も無いのに?」

勇者「……あれ?……武器は無くてもボコボコに出来るから平気だ!」

魔王「へぇ……なら来い馬鹿勇者……」ムカッ

側近「よ、傭兵さん!止めてください!」

傭兵「側近ちゃん……この戦いは止めらんねえ……」

側近「はぁぁ?」

傭兵「人間と魔物……双方の存在を賭けた戦いなんだぜ……」

側近「………」

傭兵「男なら黙って見守る事しか出来ねえ!」

側近「……私は女です」

勇者「タアアアアアッ!」ザッ!

魔王「トリャアアアッ!」バッ!



側近、傭兵「………」

魔王「この!この!」ポカポカ!

勇者「こんにゃろ!こんにゃろ!」ポカポカ!

側近「これが……双方の存在を賭けた戦いなんですか……」

傭兵「………」

側近「これじゃ子供同士の喧嘩です……」

傭兵「いくらなんでも低レベル過ぎるぜ……」

勇者「この卑怯者!」ポカポカ!

魔王「犯罪者がなにを!」ポカポカ!

勇者「チッ……やるじゃないか魔王……」はぁはぁ

魔王「君こそ……よく魔王の攻撃に耐えられるものだ……」はぁはぁ

側近「二人共止めてください!」

魔王「止めないで側近……今良いところなんだからさ……」

勇者「そうだよオバサン!」

側近「オバ……サン……?」

魔王「あ……」

勇者「ほら!邪魔だから向こう行っててよオバサン!」

側近「………」

魔王「ぼぼぼぼぼ僕はそんな事微塵も思って無いからね側近!」

勇者「こんなオバサンに気を使うなんてどうしようもない魔王だな!」

側近「………」

魔王「………」

勇者「……?」

傭兵「側近ちゃんよ大丈夫だぜ?な?」

魔王「うん大丈夫だよ?全然若いよ?」

側近「………」

勇者「ははッ!大丈夫じゃ無いだろ!若いってのはあそこの子みたいな事を言うんだぞ!」

魔王、傭兵 (こいつは本物の馬鹿だ……)



側近「キィィィッ!誰がオバサンだって言うんですかぁぁぁッ!」グバッ!

勇者「ひぃぃぃぃぃッ!」

傭兵「魔王……止めろよ……」

魔王「無理だよ……君こそ止めなよ……」

傭兵「やだよ……怖えもん……」

バターンッ!

侍「側近殿!おお……早速やられていますか!よい事よい事!」

魔王「おお!良いところに来たね侍!悪いんだけど側近止めてよ……」

侍「何故で御座いましょう?側近殿は御自分で成敗したかったのでしょう。それをお止めになるのは……」

魔王「……?なんの事かわからないけど止めて……」

侍「……なるほど。流石は大殿で御座ります……」

魔王「いや……なに考えてるかわからないけど普通に止めてよ?」

侍「ははははッ!お任せあれ!」



側近「このボケッ!人を年増呼ばわりですかぁぁぁッ!」

勇者「う、馬乗りにならないでぇぇッ!」

侍「待たれよ!側近殿!」

側近「……何ですか?止めないでください侍さん」

勇者 (え?……黒髪のオーガが助けてくれる……?)

侍「側近殿……これは大殿より仰せつかった事ですのでな……」

側近「魔王様が止めろと……?」

侍「いいえ!その状態から殴るのならば!手を開き、手の下の方で顎をシャープかつコンパクトに左右から打ち抜くと効果的とッ!」

側近「………」

勇者「え……」

侍「後ですな!人の顔には人中と言う急所が御座いましてな!鼻の下、顎の真ん中、眉間、こめかみ等も合わせてお打ちくだされ!」

側近「……なるほど」ニヤ……

勇者「………」



シネッ!……ひぃぃぁぁぁッ!……

侍「ははははッ!止めは逆十字固めが良いですぞ!」

傭兵「笑ってねえで本気で止めろよ!」

侍「何故で御座いましょう?側近殿は中々筋がいいと思うのですが」

傭兵「お前は側近ちゃんをバーリトゥーダーにでもするつもりかよ……」

魔王「そろそろ本気で止めないとね……僕みたいに力が拮抗しているならいいんだけど……」

侍「………」

傭兵「そうだな……あれじゃ一方的過ぎるぜ……」

侍「……御聞きして宜しいか?」

魔王「なに?」

侍「あの者……大殿に手を上げたのですか?」

魔王「いやぁ互角だったよ。流石は勇者だって感じだね!」

傭兵「何が流石は勇者だ……見てられなかったぜ……」

侍「………」

魔王、傭兵「……?」

侍「なんと……」

傭兵「どうした?侍……」

侍「あの馬鹿者がぁぁぁぁッ!」

魔王「いや……侍?」

侍「よりによって大殿に手を上げるなど言語道断んんッ!」

魔王、傭兵「………」

侍「許すまじ……」ゴゴゴゴッ……

魔王、傭兵「………」

魔王「本気でマズイよね……?」

傭兵「本気でマズイな……」

魔王「彼……死ぬよね?」

傭兵「ああ……死ぬな……」

魔王「どうしよう……」

傭兵「どうするか……」

魔王「………」

傭兵「え、エリゴスよ!侍止めてくれよ!」

エリゴス「煩い!今はそれどころでは無いのだ!」

傭兵「一応人類の希望の火が消えかかってるんだよ!」

エリゴス「知るか!」

傭兵「な?頼むよ……侍止められんのお前しかいねえんだよ……」

魔王「はあ……仕方無いね……」

傭兵「何か手があるのか!」

魔王「こんな事はしたく無いんだけど……」

傭兵「………」

魔王「魔王が勇者を助けるなんてね……」

傭兵「………」



側近「この口が!この口が!」ズバッ!ズバッ!

勇者「ヒグッやめグブッ助けて」

侍「側近殿……そこまでで……」

側近「止めないでください!丁度乗ってきたとこなんです!」

侍「………」グイッ!

側近「イタタタッ侍さん腕をそんな持ち方したら……」

侍「………」ゴゴゴゴッ……

側近「ひ、ひぃぃ……」

勇者「たたたた助けて……」

侍「………」スゥ……

カランッカラン……

側近、勇者「………」

侍「その短刀を持て……」

勇者「持ってどうするの……?」

侍「腹を切れ……介錯はしてやるから安心をしろ……」スチャ……

勇者「………」

側近「ああああの侍さん?それはちょっと……」

侍「側近殿お止めなされるな。この愚か者……大殿に手を上げる愚行を……」

側近「そ、それはですね……」

侍「この事は死をもって償わせる故……早く短刀を持て」

勇者「いいいいい嫌です!」

侍「そうか……ならじっとしていろ。せめて痛みがないよう逝かせてやる……」

勇者「あ……ああ……」ガクガク……

側近「勇者さん……」

勇者「と、止めて!助けて!」

側近「そうしてあげたいのは山々ですが……もう無理そうです……」

勇者「………」

側近「………」

勇者「なんとかしてよ……」

側近「諦めてください……」

勇者「まだ死にたく無いんだけど」

側近「………」

勇者「ほら!まだ魔王倒してないし!ね!」

側近「何でそんな楽しそうに言うんですか……」

勇者「いやぁ人間追い詰められると悟っちゃうって言うの?こう……ね?」

側近「ね?なんて言われてもわかりません……」

侍「………」ォォオオッ……

勇者「………」チラッ!ジィィィッ!

側近「あちらを脳裏に焼き付けておくように見ないでください……」

侍「ツァァアアッ!」シュパッ……

魔王「待ったぁッ!」

侍「………」ピタッ

勇者「あがが……」

侍「お止めなされるな大殿……」

魔王「止めるよ」

侍「何故に……?この愚か者は大殿に対し……」

魔王「彼ね……今日から四天王になったから」

侍「……は?」

側近、勇者 (……え?)

魔王「四天王だよ。君の仲間だ」

侍「………」

魔王「わかったね?」

侍「わかりませぬ……この馬鹿者が……拙者達の仲間になるなど……」

魔王「そう……」

侍「………」

魔王「なら君が四天王から抜けるんだね」

侍「……ッ!そ、それは……」

魔王「君がこれを受け入れられないなら……君がここから出て行くしか無い」

侍「………」

魔王「………」

侍「大殿……」

魔王「君が出て行くとしても……僕は止めたりしないから」

侍「………」

勇者「いやそんなこフガフガッ」

側近「ちょっと黙っててください!」コソコソ

侍「少し……頭を冷して参ります……」フラフラ……ガシッ

エリゴス「は、離せ!何をするか侍!我を猫のように持つんじゃ無い!」バタバタ!

魔王「………」



魔王「アアアア……」

傭兵「あんな事言って良いのかよ……なぁ……」

側近「そうですよ……」

魔王「良くないよ……よくないけどああでも言わないと侍止められなかったんだよ……」

傭兵「止める方法……もっと他にあったんじゃねえか?」

魔王「あるなら教えてよ……」

傭兵「お前が命令して止めるとかよ」

魔王「それじゃ多分とまらないよ。……恐らく最悪な選択肢になってたね」

傭兵「最悪って……?」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「侍は……こう思うだろうね。大殿がお止めに!なるほど!大殿が介錯をしたい……そう言う事ですな!……って」

傭兵「………」

魔王「それで無理矢理……僕に剣を握らせ有無も言わさず勇者にドスッ!と……」

傭兵「有り得すぎて笑えねえ……」

魔王「だろ……?」

傭兵「ならエリゴスに頼まなかったのは?」

魔王「うん……それね……」

傭兵「………」

魔王「ほら……エリゴスさんの怒りの基準と言うの?そう言うのがね……」

傭兵「ああ……なるほど……」

魔王「下手に命令して怒られても嫌だしねぇ……」

傭兵「まぁな……」

魔王「………」

傭兵「魔王よ、侍が本当に出てったらどうするんだ?」

魔王「侍なら大丈夫じゃないかな。僕はそう思うけど」



勇者「お腹空いた」

側近「………」

勇者「ねえ、お腹空いたって」

側近「あの……勇者さん?今、自分が置かれている状況わかってます?」

勇者「魔王のお城で魔物に囲まれ僕大ピンチ」

側近「………」

傭兵「駄目だこいつは……」

側近「そう理解してるなら何故そんなに落ち着いているんですか……」

勇者「なんでかねぇ……何かここ落ち着くんだよね」

魔王「君……帰っていいよ?」

勇者「………」

側近「魔王様いいんですか?」

傭兵「そうだぜ……一応これでも勇者だぞ?」

勇者「………」

魔王「四天王って言ったけども、いてもらってもね……困るだろ?」

側近「そうですけど……」

魔王「だからか帰っていいよ」

勇者「………」

魔王「なに?どうしたの?」

勇者「帰り道がわからない」

魔王、傭兵、側近「………」

勇者「帰り方がわからない」

魔王「君ね……どうやって来たの……」

勇者「戦士と一緒に来たよ」

傭兵「あのよ……お前、そいつらと一緒じゃなかったのか?」

勇者「黒髪のオーガにこてんぱにやられて逃げちゃった」

傭兵「逃げちゃったって……お前一人残してか?」

勇者「そう。酷いよね!」

魔王、側近「………」

傭兵「なんて奴等だ……」

勇者「まあ僕は戦士達嫌いだったしいいんだけどね!」

側近「よくないですよ……」

勇者「いいや!いいね!一人の方が気楽だし!喋れるし!勇者なんだからってグチグチ言われなくていいし!」

魔王「??……喋れるしってなんだい?」

勇者「人前では黙ってろって。喋ると勇者に見えないらしいから」

魔王「確かに勇者には見えないよね……」

勇者「見えないでいいんだよ!本当は勇者になんかなりたく無かったんだから!」

魔王「………」



エリゴス「………」

侍「おーいおいおい……おーいおいおい……」ブワワッ

エリゴス「鬱陶しい泣き方をするな……」

侍「おおおおエリゴス殿ぉぉ大殿がぁ!大殿にぃ!大殿はぁ!」

エリゴス「………」

侍「何故に屑を庇うような真似をぉぉおーいおいおい……」ブワワッ

エリゴス「ええい!侍!いい加減にせぬか!大の男が泣くな!」

侍「ですが……ですがぁぁ!」

エリゴス「ですがでは無い!……はぁ」

侍「グスッ……」

エリゴス「貴様がそれ程取り乱すとはな……侍、一体なにがあったのだ?」

侍「………」

エリゴス「話してみよ」

侍「はい……グスッ……」



侍「と、言うわけで御座ります……」

エリゴス「なるほど……」

侍「……?」

エリゴス「自分が選ばれず屑を庇った事への嫉妬か。らしくないな侍」

侍「なっ!しし嫉妬などでは!」

エリゴス「ほう、嫉妬では無いと言うか?」

侍「………」

エリゴス「ふふっ面白い奴だな貴様は」

侍「………」

エリゴス「だがな侍、我は魔王が屑を選び侍を蔑んだ……とは思わん」

侍「なら何故に大殿は……」

エリゴス「ふむ……いいか侍、貴様には類い稀なる力の才があるな?」

侍「そこまでの才では御座いませんが……」

エリゴス「いいから聞け。もしその屑に貴様が持ち得ない力があったらどうだ?」

侍「………」

エリゴス「貴様の武は我が認める程の物だ。これ以上は無いと思う」

侍「な、ならあの屑めが持ち得る力とは……」

エリゴス「さあ……それは知らぬ。魔王はその力を見抜いたのであろう」

侍「………」

エリゴス「貴様が屑を討っていたら……な。後は言わずともわかるな?」

侍「はい……大殿の戦力を削ぐ行為をし、大殿が敷かれる大道を邪魔する者は不要と……」

エリゴス「そうだ」

侍「大殿……そこまで深くお考えを……」

エリゴス「侍よ、もう良いな?」

侍「はい……拙者、屑を受け入れようと思いまする」

エリゴス「うむ」

侍「エリゴス殿……有り難う御座いました……」

エリゴス「侍……もしその屑をどうしても認められぬ場合……」

侍「……場合?」

エリゴス「闇にて葬ってしまえば誰にもわかる事は無い」ニヤ……

侍「……なるほど。承知……」ニヤ……

エリゴス「では我は戻る」

侍「ははッ!」

エリゴス (それにしても……屑とは一体……)

エリゴス (そのような輩いたか……?)

エリゴス (まあよい。侍も納得したようだしな)

エリゴス (鎧をどうにかせねば……)



勇者「今日から魔王四天王の一人になりました勇者でぇす!ヨロピクぅ!」てへっ

魔王、側近、傭兵「………」イラッ!

勇者「では皆で自己紹介大会をば!」

傭兵「あのよ……お前本当にここに居座る気か?」

勇者「居座るね!帰ってもまたここに来なきゃいけないし!めんどくさいじゃん!」

魔王「………」

側近「魔王様のせいですよ……」

魔王「君が連れて来なければこんな事にはなってないと思うけど……」

側近「そうですけど……魔王様が四天王にするなんて言うから……」

傭兵「責任のなりすり付け合いはいいからよ……どうにかしろよ……」

魔王、側近「………」

勇者「何々?歓迎会でも開いてくれる相談!」

側近「……勇者さん?待ってる人とかいないんですか?」

勇者「いないけど?」

側近「ほら……親とか恋人とか……」

勇者「親は……まあいるけど待ってないかな」

側近「後者は?」

勇者「………」ニヤ

側近「言わないでいいです……」

魔王「参ったね……」

傭兵「放っぽり出して……死んでも困るしな……」

魔王「魔王的には死んで貰っても全然構わないんだけど……」

傭兵「おいおい……」

魔王「僕的にはそんな事出来ないし……」

傭兵「そうだよな……」

魔王「ん……」

傭兵 (こんなんが勇者だなんて……)

側近「逃げちゃった仲間の人も今頃心配してるかもしれませんよ?」

勇者「してないしてない。あんな筋肉モリモリマッチョマンの変態が心配する筈が無いし!」

側近「………」

勇者「僕の扱い本当酷かったんだから!これでも王子なのにさ!」

側近「……あの王子ってなんですか?」

勇者「ああ?ああ、僕ね一応王子なんだよ。王子って言っても三男だから将来王様になるとかは無いんだけど」

側近「へぇ……その王子がなんで勇者やってるんですか?」

勇者「話すとちょっと長くなるけど……いい?」

側近「じゃあ話さないでいいです」

勇者「………」

側近「……?」

勇者「話聞いてよ……」

側近「………」



勇者「聞いてったらぁ面白いからぁー!」

側近「わかりましたよ!はい!どうぞ!」

勇者「仕方無いな……どうしても聞きたいって言うし話してあげるよ……」

側近「………」

傭兵 (側近ちゃん……苦労人だぜ……)

魔王「君さ、そもそも勇者になりたくなかったのに何で勇者やってるの?しかも王子なんだろ?」

勇者「いやあ……あれだよ。僕は王の間でゴロゴロぉゴロゴロぉってして隠居後の生活の事とか」

魔王、側近「………」

勇者「あーあ、異世界から幼女降ってこないかなぁなんて考えながら毎日ダラダラ過ごしてたんだけどね」

側近「………」

勇者「それがある日突然!この盾を持ってみろって言われてさ……持ってみたらこの盾が反応しちゃってね」

側近「………」

勇者「そこからお前は勇者だ。魔王倒してこいなんて事になったんだよ……」

魔王、側近「………」

勇者「いきなりだよ?酷いよね!それにさお供付けるなら幼女入れろっていうの!」

魔王「……犯罪になりそうだったから付けなかったんじゃないかな」

勇者「………」

魔王「………」

勇者「話続けるけど……」

魔王「ちゃんと否定して……」

勇者「本当はね……僕の兄ちゃんが勇者になる予定だったんだよ。もう準備万端でさ……」

魔王「………」

勇者「国を挙げて次期勇者なんてやってたんだよ。……それで僕が勇者に選ばれてさあ大変!」

魔王「違う意味でも大変だよね……」

勇者「兄ちゃん……ぶちギレちゃって……」

魔王「だろうね……自分がなる筈が君が勇者に選ばれたんだから……」

勇者「うん……で、あれやこれやで
勇者になったと」

魔王「あれやこれやの所も説明して欲しいんだけど……」

勇者「うん……それはね……」

魔王「……?」

勇者「………」

魔王「どうしたの?」

勇者「勝手に人を勇者にしてさ……魔王倒さないとお前は人以下だなんて言われてさ……酷いよね」

魔王「………」

勇者「本当なんだよって感じなんだよ……こんな盾なんかで勇者選ばないでさ……」

魔王「………」

勇者「やりたい人が勇者やればいいんだ……」

魔王「………」

勇者「………」



魔王「彼はどう?」

側近「少し休むよう、勝手に出歩かないように空いてる部屋に閉じ込めておきました」

魔王「……なんで閉じ込めたの?」

側近「エリゴスさんの身を案じて……」

魔王「なるほど……しかしね……」

側近「………」

魔王「またこんなんだと困るんだよね……」

側近「そうですね……」

魔王「人間はあれかい?何か病んでいるのかい?……人間同士であんな事出来るなんて」

側近「………」

魔王「人間が僕達魔物に言うならまだわかるよ。人が人を人以下だなんて普通言うかい……」

側近「魔王様が思われてるより……人間は普通では無いのかもしれませんね……」

魔王「………」



側近「なんだか……今日は寝れない夜ですね……」

側近「………」

側近「はぁ……でも魔王様と勇者さんが対峙しても問題無さそうで安心したな……」

側近「これはこれで問題なのかもしれないけど……」

側近「……さて、お城戻ろ……ん?」

側近「……んん……なんであんな所に明かりが?」

側近「………」

側近「行きたくないけど……行かないと……」

側近「………」

側近「ふあいとぉ私ぃ……」



傭兵「ふぃ……後ちょっとだぜ」

カサカサ……

傭兵「……チッ、誰だ!」

側近「あああ……よ、傭兵さん?」

傭兵「……側近ちゃんか」

側近「何かと思いましたよ……」

傭兵「………」

側近「こんな夜中にこんな所で……なにやってるんですか?」

傭兵「なんでも……」

側近「………」

傭兵「本当になんでもねえから」

側近「……そうですか?」

傭兵「側近ちゃんこそ何やってんだい?」

側近「私は……ちょっと寝れなくって……」

傭兵「勇者の話聞いてかい?」

側近「後、侍さんの事もですかね……」

傭兵「そっか……」

側近「………」

傭兵「めんどくさいよな……ああ言うの」

側近「めんどくさいだなんて……」

傭兵「めんどくさいって。もっとさスッキリ生きられる世の中にならねえのかなってさ」

側近「………」

傭兵「強過ぎるだけで周りから認められねえ……嫉妬で弟を全部否定しちまう……なんだかな」

側近「………」

傭兵「本当めんどくせえぜ……」

側近「そう言う事って……どうにかならないんですかね……」

傭兵「さあね。人間の問題だから側近ちゃんが心配する事も無いだろ?」

側近「そうですねとは言えないです……」

傭兵「……なんで?」

側近「魔王様も魔物達の間で色々と……ですね……」

傭兵「へぇ……」

側近「………」

傭兵「なあ側近ちゃん」

側近「……なんです?」

傭兵「今何色のパンテェ履いてるの?」

側近「………」

傭兵「………」

側近「なんで今それを聞くんですか……話の流れ的におかしいですよね……」

傭兵「おかしくはねえよ?……ほら、人間とさ魔物がこうして冗談言い合える事って大事なんじゃねえかなってさ」

側近「………」

傭兵「現実ってのはこんな簡単な事も出来ないんだぜ?」

側近「………」

傭兵「で?何色?」

側近「黒です……」

傭兵「ッ!?」

側近「……?」

傭兵「おお……おおおおおッ!」

側近「よ、傭兵さん?」

傭兵「白だと思ってたのに黒だったぜぇぇぇぇッ!」

側近「おお大声で言わないでください!」

傭兵「うおおおおおッ!」

ダダダダッ!!

側近「ちょっと傭兵さん!……どこへ……」

側近「………」

ーー

側近「おはようご……」

魔王「………」ゴロゴロ

勇者「………」ゴロゴロ

側近「………」

魔王「………」ゴロゴロ

勇者「そうか……」ゴロゴロ

魔王「んん?」ゴロゴロ

勇者「何で落ち着くかわかったよ」ゴロゴロ

魔王「なんでぇ?」ゴロゴロ

勇者「僕が住んでた城にここは似てるんだ」ゴロゴロ

魔王「へぇそうなの」ゴロゴロ

側近「二人とも……朝からゴロゴロしてないでください……」

魔王、勇者「あーおはよー」ゴロゴロ

側近「ゴロゴロしながら言わないでください……」

魔王「えぇそうねぇ」ゴロゴロ

勇者「言われてもねぇ」ゴロゴロ

側近「………」

魔王「やる事無いしぃ」ゴロゴロ

勇者「暇だしぃ」ゴロゴロ

側近「いい加減にしてください……」

魔王「いい加減にってねぇ」ゴロゴロ

勇者「言われてもねぇ」ゴロゴロ

側近「………」ムカッ……

魔王「あーあ、世界平和になんないかなぁ」ゴロゴロ

勇者「あーあ、世界幼女で埋め尽くされないかなぁ」ゴロゴロ

バタンッ……

エリゴス?「………」フシュウ……

側近「あっ、エリゴスさんおはようございます。鎧治ったんですか?」

エリゴス?「………」フシュウ……

側近「聞いてくださいよ!魔王様達が朝からゴロゴロして困ってるんですよ!」

魔王「ちょっと側近!……そう言うのはエリゴスさんに言わない方がいいんじゃないかな!」

側近「言われるのが嫌ならゴロゴロしてないでください!」

魔王「へぇい……」

エリゴス?「………」

側近「エリゴスさんもそう思いますよね!」

エリゴス?「………」

側近「………」

エリゴス?「………」フシュウ……

側近「………」

エリゴス?「………」ガチャ……ガチャ……

側近「え?エリゴスさんどこへ……」

バタンッ……

側近「あれぇ?行っちゃいましたね……」

魔王「エリゴスさん、何か様子が変だったよね……」

側近「そうですね……」

勇者「ねぇ……あああああれは何……?」

魔王「あれかい?あれは女の子いたろ?あの子の鎧だよ」

勇者「マジで?」

魔王「うん、マジで」

勇者「………」

側近「魔王様!そんな事言っちゃっていいんですか!」コソコソ

魔王「言っといた方がいいと思うね」

側近「何故です?」

魔王「あれを見たらエリゴスさんに下手な事出来ないだろ?」

側近「なるほど……確かにあれをどうこうしようなんて思いませんよね……」

バターンッ!

側近「侍さん静かに……え?あれ?何で!?」

エリゴス「………」

側近「ぇぇぇ……さっきのは……」

魔王「………」

側近「魔王様また喚んだなんて事は……」

魔王「いくらなんでも……無いと思うよ……」

側近「ですが……ここにエリゴスさんが居るって事はそうじゃ……」

エリゴス「側近、侍を知らぬか?」

側近「今日はまだ見てませんけど……」

エリゴス「チッ……」

側近「どうかしたんですか?」

エリゴス「あの馬鹿者また我の鎧を持ち出して!」

側近「………」

エリゴス「余計におかしくなったらどうするのだ……ったく!」

側近「あの……さっきエリゴスさんの鎧がここに来たんですけど……」

エリゴス「何を言っている。そのような事があるか」

側近「でもフシュウって言って……ね?魔王様」

魔王「確かに来たけど……」

エリゴス「………」

側近「あの鎧って勝手に動くんですか……?」

エリゴス「いや……そのような仕組みにはなっていない……」

側近「なら……誰か入って動かしてるんじゃ……」

エリゴス「それも有り得ん……魔導認証システムで我以外は着れないからな……」

側近「よくわかりませんけど……」

魔王「エリゴスさん……」

エリゴス「……なんだ?」

魔王「もしかして一大事?」

エリゴス「……かもしれんな」

魔王、側近「………」

エリゴス「最悪……ラグナロクを引き起こすかもしれんな……」

側近「最悪過ぎます……」

魔王「早く追い掛けて

勇者「ほらエリゴスたん!ここ!ここ!」ポンポン

エリゴス「……あ?」

魔王「君ね今そんな

勇者「おいで!ね?僕の膝の上空いてるよ!」

エリゴス「………」

勇者「ほぉぉらぁぁッ!はーやーくーぅぅ!」はぁはぁ

エリゴス「……事情はわからんが良かろう」

側近「え、エリゴスさん?止めた方が……」

勇者「オバサンは黙って!エリゴスたん!エリゴスたん!」

側近「………」

エリゴス「行くぞ……」ダッ!

勇者 (幼女は警戒しないで膝の上に座ってくれるから……グヘヘッ!)

エリゴス「………」ダダッ!

勇者 (カムヒアッ!)

ダダダ……トンッバギャンッ!!

勇者「」ドサッ……

魔王 (ぇぇぇ……)

エリゴス「随分と奇特な輩だな。すすんで我の蹴りを喰らいたいなど……」

魔王「………」

側近 (なるほど……ああ言う蹴り方もあるんですねぇ……勉強になるなぁ)

エリゴス「鎧はどちらに行った?」

側近「えーと……わからないです……」

エリゴス「そうか……我は行く」

側近「……あのッ!エリゴスさん……」

エリゴス「なんだ?」

側近「先程の蹴り……なんて言うんですか?」

エリゴス「……閃光の魔術師」

側近「………」

エリゴス「ではな……」

バタンッ……

魔王「勇者……死んで無いよね……?」

側近「………」

魔王「自業自得だからしょうがないけど……側近?」

側近「閃光の魔術師……かぁ……」

魔王「………」

側近「………」

魔王「それを顔を赤らめて呟くの止めてくれるかな……」



傭兵「あー……こう寝そべりながら見張りなんてしてると暇でしょうがねえな」

侍「………」ジャブジャブ……

傭兵「なあ侍よ、そう思うだろ?」

侍「そう思っているのなら洗濯を手伝ってくだされ……」

傭兵「やだよめんどくせぇ……」

侍「………」ジャブジャブ……

傭兵「それにしてもよ……」

侍「………」ジャブジャブ……

傭兵「魔王の奴、世界統一とか言ってるの知ってるか?」

侍「……はい」

傭兵「そっか。……本気でやろうなんて思ってんのかな?」

侍「あの大殿ならお思いでしょうな……」

傭兵「………」

侍「大殿から発せられる大儀を為さろうとしている覇気……御感じになられませぬか?」

傭兵「いやぁ……俺はそう言うの全然わかんねえから……」

侍「左様か……」

傭兵 (そんなもんこれっぽっちも出てねえだろ……)

侍「しかし……大殿はこれからどのような方略で事を成そうとしているのか……」

傭兵「さあ……どうするんだろうな」

侍「………」

傭兵「それによ……世界統一する理由がわかんねえよな……」

侍「大殿は卓見の出来る御方故……きっと素晴らしい世に治められる筈」

傭兵「素晴らしい世……ねぇ……」

侍「何か疑問でも御座ろうか?」

傭兵「お前の考えてる素晴らしい世ってなんだい?」

侍「え……それは……」

傭兵「………」

侍「素晴らしい……としか……」

傭兵「まぁわからんよな。こんな漠然してんじゃ」

侍「………」

傭兵「なあ侍……」

侍「はい……」

傭兵「もしだ……魔王が世界統一して、その後の世界がお前にとって地獄だったらどうする?」

侍「………」

傭兵「それでもお前は魔王に付いて行くか?魔王の為に力を貸せるか?」

侍「………」

傭兵「あ……悪い……。オジサン、イジメ過ぎたな。今のは忘れてくれよ。あの魔王じゃそんな事にはならねえだろうしな!はは!」

侍「そうで……御座りますな……」

傭兵「………」

侍「………」ジャブ……ジャブ……

傭兵「侍よ……」

侍「何で御座ろうか……」

傭兵「側近ちゃん……黒のパンテェ履いてるんだと!」

侍「………」

傭兵「いやぁ参ったね!あの側近ちゃんが黒だぜ!」

侍「赤色や桃色や縞柄の下着等も履いておるようですな……」

傭兵「………」

侍「あのような布の面積が少ない物を履いて腹が冷えぬのでしょうか……」

傭兵「なんで……知ってんだ……?」

侍「側近殿の洗濯物も洗いましたからな」

傭兵「………」

侍「……?」

傭兵「洗濯……変わってやるよ。お前休んでていいからさ!」

侍「はぁ……?」



エリゴス「ぐぬぬ……」

エリゴス「鎧めどこへ行ったのだ!」

エリゴス「………」

エリゴス「それにしても……何故?自立システム系など組み込んだ覚えは無いが……」

エリゴス「いや……一つだけあるな。音声理解システム……」

エリゴス「まさか……そこから自我を形成し自立したと言うのか……」

エリゴス「有り得ん……有り得んが……」

エリゴス「………」

エリゴス「もしそうだとしても我の力が及ばなくなる筈が無いが……」

エリゴス「……自我に目覚めた鎧は我の上の存在になったのならあるいは……」

エリゴス「………」

エリゴス「ええい!わからん!早く見付け確かめてみねば!」



エリゴス「……いた」

鎧「………」

エリゴス「貴様!何故勝手に出歩きおった!……って受け答えするのか?」

鎧「………」

エリゴス「………」

鎧「………」

エリゴス「???」

鎧「………」ズッ……

エリゴス「ッ!う、動いた本当に動いた!」

鎧「………」

エリゴス「真とは……一体どうなっておるのだ……」ソゥ……

バチッ!

エリゴス「いッ!……なんだと」

鎧「………」

エリゴス「今のは結界の効果か……」

鎧「………」

エリゴス「貴様……我を拒否しようと言うのか……」

鎧「………」

エリゴス「貴様は誰の鎧だと思っておるのだ!我の物だろ!」

鎧「………」

エリゴス「なんとか言え!出来ぬのなら行動で示せ!」

鎧「………」ズズッ……

エリゴス「……なんだ?そのような所を指差して……」

鎧「………」ウゥーン……

エリゴス「今のはシステムダウンしたのか……何故?……」

鎧「………」

エリゴス「一体なにがどうなっている……結界も切れているな」コンコン

エリゴス「鎧よ……貴様は何がしたかったのだ……」

エリゴス「………」

エリゴス「……?これは……題名の無い本か?」

エリゴス「………」ペラッ

エリゴス「………」

エリゴス「ほう凄いな……この書物を記したのは人間では無いな……」

エリゴス「なるほど、こうすればエネルギー効率が上昇するのか……」

エリゴス「………」ペラッ

エリゴス「ッ!?な……何故我の鎧が記されている!?」

エリゴス「………」ペラッ!ペラッ!

エリゴス「我しか知り得ない物を何故……?」

エリゴス「なんだこの本はッ!言うのか誰が記した!?」

エリゴス「………」ペラペラペラッ!

エリゴス「………」

エリゴス「嘘であろう……こんな事……」

エリゴス「エリゴス著……など……」



魔王「エリゴスさぁーん……」

魔王「………」

魔王「ああああ……僕が行っても何も出来ないだろって!もう!」

魔王「側近が行けば良いのに……」

魔王「『私が行ったらまた二人でゴロゴロしますよね!』って……ああ、その通りだけども!」

魔王「かと言って勇者一人に出来ないし……」

魔王「………」

魔王「絶対エリゴスさん探して悪さするよねぇ……あの犯罪者め……」

魔王「エリゴスさわぁーん!」

魔王「もしかして城にいないんじゃ……ん?」

魔王「なんで蔵書庫開いて……ここかな……」

魔王「入りたく無いな……ま行の本達、僕を襲ってくるんだよね……」

魔王「……行こうか」



エリゴス「………」

魔王「エリゴスさん……いるぅ……?」

エリゴス「我か……我なのか……」

魔王「エリゴスさん?」

エリゴス「………」

魔王「……?」

エリゴス「魔王よ……これを見どう思う?」

魔王「わかってるなら返事……これは?」

エリゴス「ここにあった書物だ。最後のページを見よ」

魔王「………」パラパラ

エリゴス「………」

魔王「……は?エリゴス著?」

エリゴス「………」

魔王「同じ名前の……」

エリゴス「同じ名の魔神がいると思うか?」

魔王「いや……」

エリゴス「後な、その本には我の知り得る事と……それを上回る技術が記されている」

魔王「……ならエリゴスさんが書いたのこれ?」

エリゴス「そのような覚えは無い」

魔王「そう……」

エリゴス「………」

魔王「もしかしてこの鎧が指差してる所にあったの?……なんだこれ?」

エリゴス「………」

魔王「手紙……」

エリゴス「貸せ!」ビリビリッ

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「そんな馬鹿な……」

魔王「なに?なんて書いてあったの?」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「この書物と手紙……我が書いた物らしい……」

魔王「らしいって……覚えが無いんじゃないの?」

エリゴス「覚えがある筈がない。……未来の我が書いたのだからな」

魔王「……???」

エリゴス「………」

魔王「意味がわかんないんだけど……」

エリゴス「待て。手紙を全て読み終えたら話す」

魔王「………」

エリゴス「………」



エリゴス「……なるほど」

魔王「………」

エリゴス「どうやら全てはこの鎧のせいらしい……」

魔王「どう言う事?」

エリゴス「この鎧は……もう限界に達しているのだと」

魔王「………」

エリゴス「我があのまま鎧を使い続けていたら大変な事になっていたらしいな。……それを止める為、鎧が自らシステムダウンしたと言うわけだ」

魔王「今一わからないけど……大変な事って何が起ころうとしてたの……?」

エリゴス「それは……魔導縮退炉の暴走だな……」

魔王「……つまり?」

エリゴス「森羅万象この世のあらゆる物を飲み込む穴が開き……光も闇も全て消え去り……」

魔王「………」

エリゴス「そして我も消えよう……」

魔王「そんな最後の悪者が言いそうな事が起ころうとしてたの……?」

エリゴス「そうだ」

魔王「………」

エリゴス「それを思念体となり得た未来の我が時空間を越え止めた……と言うわけだ」

魔王「………」

エリゴス「どおりでいくらシステム系統を調べてもわからぬ筈だ……」

魔王「さっぱりわからないんだけど……そんな事可能なの?時間を越えるなんて……」

エリゴス「不可能だ……だがそれを可能にする者がお前の側にいるみたいだな」

魔王「……だれ?」

エリゴス「この手紙に書かれている事が間違いでは無いなら……傭兵らしい」

魔王「な……」

エリゴス「………」

魔王「人間の普通のオッサンじゃ無かったのか……」

エリゴス「みたいだな。時空間を越える力を持つか……興味深い……」

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「エリゴスさん……傭兵の事はみんなに内緒ね?傭兵自身にも僕達が知ってるの言わないで……」

エリゴス「……良かろう。理由は聞かないでおいてやる。今はそれどころではないからな」

魔王 (何者なんだい……傭兵……)

エリゴス「それにしても……我の思念体が鎧を動かしていたとはな……」

パラッ……

魔王「……何か落ちたよ?……ッ!」

エリゴス「まだ手紙に続きがあったのか」

魔王「………」

エリゴス「寄越せ」

魔王「い、いやぁエリゴスさん見ない方がいいんじゃないかなぁ……」

エリゴス「……あ?何を言っている。早く寄越せ」

魔王「本当に……ね……」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「我がこうしているうちに渡した方がいいと思うが?」

魔王「……後悔するかもよ?だから……」

エリゴス「いいから早く寄越せッ!」

魔王「はい……」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「何をそんなに隠す事が……ああああッ!?」

魔王「………」

エリゴス「………」フルフル……

魔王「………」

エリゴス「ふざけるなぁぁぁッ!なんだこれはぁッ!!」

魔王「僕に怒鳴られてもね……」

エリゴス「………」

魔王「ほ、ほら!未来のエリゴスさんだし!」

エリゴス「未来の我がこうなると言うのか……」

魔王「ならないんじゃ……無いかなぁハハ……」

エリゴス「うああああ……」

魔王「………」



側近「………」

侍「さあ!」ニコニコ!

勇者「……何ですかこれ?」

侍「ただのお茶だ。早く飲め」

勇者「はあ……」

側近「あの……なんでそんなに笑顔何ですか……?」

侍「仲間!に対してぶきっちょ面では失礼では御座らんか!」

側近「………」

勇者「あのね……」

侍「どうした?」ニコニコ!

勇者「……中に針みたいなの仕込んであるんだけど」

侍「気にするなぁ!ささ!グイッと!」

勇者「………」チョン……

ズバァッ!

勇者、側近「………」

侍「チッ……」

側近「侍さん……気に入らないのはわかりますが暗殺しようするのは止めてください……」

侍「それは暗殺ではなければ良いと言う意味で御座ろうか……?」

側近「違います……」

侍「………」

勇者「………」

侍「あああ!」スチャッ!

ズダーンッ!

勇者「あががが……」

侍「すまん!刀が勝手に暴れた!」

側近「侍さん!いい加減にしてください!」

侍「いい加減にと申されましてもな……」

側近「魔王様に怒られますよ!」

侍「………」

側近「もっとこうですね、相手が殺られたのに気付かないようにですね!」

勇者「………」

侍「なるほど……御意……」ニヤァ……

側近「あっ……いや……そうじゃなくてですね……」

魔王「………」

側近「ま、魔王様!聞いてくださいよ!侍さんたら……?」

魔王「……ちょっと静かにしてもらえる」

側近「何かあったんですか……?エリゴスさん見付からなかったとか……」

魔王「そっちは解決したかな……」

側近「……?」

魔王「侍さ……席を外してくれるかな?」

侍「何故で御座ろうか……」

魔王「いいから……」

侍「……。わかり申した……」

魔王「………」

側近「本当に何かあったんですか?」

魔王「側近、君さ傭兵の事をどこまで知ってるの?」

側近「どこまでって……言ってる意味がわかりません……」

魔王「どう言う人間なのかとか」

側近「捕虜だった以外は知りませんけど……」

魔王「そう。……うう、まただよ。困ったね……」

側近「傭兵さんがどうかしたんですか?」

魔王「どうもこうも……何かいっぱい隠し事してるみたいなんだよね……」

側近「………」

魔王「悪い事を考えてるってのは多分無いとは思うんだけど……側近さ何か見たりとかしてない?」

側近「見て……無いです……」

魔王「そっか……」

側近「………」

勇者「……いいかな?」

魔王 (ああ……これいたの忘れてた……)

勇者「………」

魔王「なにさ?」

勇者「あのオッチャン……人間?」

魔王「そうだよ」

勇者「なんで魔物と人間が一緒にいるの……?」

魔王「君ね……それ本気で言ってるの?君だって一緒にいるだろ」

勇者「そっか……そうだよね。君は魔王だけど人間?」

魔王「僕は魔物だよ……」

勇者「人間?」

側近「私も魔物です……」

勇者「オッチャンは人間……エリゴスたんも人間?」

魔王「エリゴスさんは一番魔物してるね!ついでに侍は人間だから!」

勇者「????」

魔王「理解してよ……確かに色々とおかしいけども……」

勇者「………」

魔王「………」

勇者「ひとつだけは理解したよ……」

魔王「全部理解して……」

勇者「エリゴスたんは人間じゃ無いから犯罪にはならないって!」

魔王「君がしようとしている事は世間的に見たら犯罪だよ……」

勇者「エリゴスたんはどこッ!?」

魔王「絶対教えない……」



エリゴス「うああああ……」

エリゴス「なんだこれは……なんだこれは……」

エリゴス「この手紙……」ガサッ

…………

ヤッピー!過去の我は元気かな?

未来の我は元気です!ついでに下の方も元気!元気!キャハッ!下ネタ!

只今、鎧が大変な事になろうとしたいるでゴワス。
ってのは一枚目に書いたからいいとして『ふわゆるモテ髪』コットンカールミディな我の思念体は感じられたかな?
無理かなぁ?無理だよねぇ?無理無理!

でぇ、今はどうしたら未来の我と同じようにモテかわスピリチュアリーな魔神女子になれるか悩んでると思いますが無理なので悩まなくていいですぅ!

だってね!この手紙を読んだって事は時間軸が枝分かれしてラグジュアリーな我に近付く事が出来ないからですぁパチパチッ!

それと……まだ、拘っていますか?

地獄の魔神で騎士である事に……
我はもう重い肩書きは捨ててもいいと思います。
魔王の元ならば誰も貴女を責めたりしません。
魔神だからと……騎士なのだからと……

もっと自由に生きてもいいと思います。
鎧も魔神ある事も棄て……ただの魔物して今を生きる我のように。

枝分かれした未来の事を書いても無意味ですが、このような女子力解放しまくってる我のような未来もある事を忘れないでください。

親愛なる過去のエリゴスへ……未来のエリゴスより

…………

エリゴス「……何がただの魔物して生きるだ。ふざけるな……」

エリゴス「………」

エリゴス「我は貴様とは違う……我は魔神で騎士だ。そう簡単に捨てられるか……」

エリゴス「………」

エリゴス「有り得ぬ未来の話など書きおって……」

エリゴス「肝心な事が一切書いてないではないか」

エリゴス「それぞれの未来……いや、それを知る事も無意味か……」

エリゴス「どう足掻いても辿り着けぬ未来なのだからな」

エリゴス「………」

エリゴス「くだらぬエリゴスよ……我は……決めたぞ」

エリゴス「フフフ……感謝する……」

エリゴス「………」

エリゴス「……もし貴様と同じ未来を歩む事になるのならば……」

エリゴス「我は潔く命を断とう。……女子力など解放してなるものか……」



傭兵「腰痛え……洗濯なんかするんじゃ無かったぜ……」

魔王、側近「………」

傭兵「……なんだ?」

魔王「いや……」

側近「傭兵さん、何か私達に隠してますか?」

魔王「そ、側近!」

側近「………」

傭兵「なんの事だい?」

側近「教えてください。何を隠してるんですか!」

傭兵「………」

側近「言えないですか……?」

傭兵「今は言いたくねえかな。そんなマジな顔しないでもさ大した事じゃねえって!」

側近「………」

傭兵「……本当だぜ?」

側近「………」

傭兵「………」

側近「………」ジワッ……

傭兵「……うおお」

側近「駄目なんでウゥすか……」

傭兵「ななな泣くなよ……」

側近「何でッグス……教えられないんですか!」

傭兵「………」

側近「そんなに……」

傭兵「すまねえ側近ちゃん……出来心だったんだ……」

側近「……?」

傭兵「………」スゥ

側近「なんで……私の下着持ってるんですか……」

傭兵「い、いや……な?うん……出来心としか言いようが無いな……」

側近「………」

傭兵「無防備でよ……甘美な誘惑の罠があったら男ってやつは手を出しちまうのよ……」

側近「………」

傭兵「魔王もわかるだろ?」

魔王「わからないよ……」

側近「最低ですよ傭兵さんッ!それ返してくださいッ!」

傭兵「悪かったって……」スゥ

側近「後ろに隠さないで返してくださいッ!」

傭兵「………」

側近「もうぅぅッ!傭兵さんの馬鹿ッ!」バッ!

傭兵「ひぁぁぁッ!」

魔王 (普通……?のオッサンだよね……。ん……)



側近「うぅ……侍さんだからお洗濯任せておいたのにぃ……酷いです……」

魔王「ねぇ側近」

側近「ああああ……」

魔王「側近ッ!」

側近「は、はい?」

魔王「……君、何か僕に言う事は無いの?」

側近「何も……」

魔王「………」

側近「……申し訳ありません。隠してました……」

魔王「何を?」

側近「傭兵さんが……夜中に森の中で何かしてたのをです……」

魔王「………」

側近「………」

魔王「何でそれを隠してたの?」

側近「その……傭兵さんが魔王様をですね……どうにかってまだ言いたく無かったんです……」

魔王「………」

側近「私……もう嫌なんです……。やっと四天王揃ったのに欠けたりするの……」

魔王「………」

側近「このまま皆と仲良く出来ませんか?何も知らなければ……今が変わらないって……」

魔王「……側近」

側近「はい……」

魔王「ごめんね……」

側近「………」

魔王「こうしよう。傭兵の事は保留で。これでいいかな?」

側近「魔王様……」

魔王「………」

側近「ふぇぇん……」

魔王「なかなか泣かないでよ!」

側近「ふぅえぇ」

魔王「おいで……」

側近「うぅ……?いいんですか?」

魔王「う

勇者「あーあッ!お暑いですなぁッ!」

魔王、側近「………」ビクゥッ!

勇者「見せ付けてくれますなぁ!ええ!?魔王さんよ!」

魔王「……いたの?」

勇者「いたの?いたのって言っちゃいますか!魔王様ぁ!ねぇ!?」

魔王「………」

勇者「ああああ!もう自分だけいい思いして人にはエリゴスたんの居場所教えないんだもんなぁぁぁッ!」

魔王「………」

勇者「やってられないなああッ!」

魔王「………」

勇者「どうぞどうぞッ!お続けになられてッ!魔王のうっすい胸板へダイブしてくださいよ!」

側近「やめてください……」

勇者「ほうぅぅッ!行く気マンマンだったのにやめろと!?」

魔王「勇者……こうしよう……」

勇者「ああん!?僕の内から沸き起こる

魔王「エリゴスさんの部屋はね……」

勇者「………」ピタァッ!

側近「ま、魔王様!」

魔王「いいんだ……」

側近「よくありませんよ!エリゴスさんにもしもの事があったら……」

魔王「………」

勇者「どこッ!?」

魔王「そこの通路を右に行って突き当たりの部屋

バビュンッ!

魔王「………」

側近「私……知りませんよ……」

魔王「大丈夫じゃないかな……あの結界張ってあるし……」

側近「ああ……ありましたね……」

魔王「あれなら勇者は入れないと思うよ……」

側近「……もし結界解いてたら

ギィャアアアアァァッ!!

魔王「うん……安心だね……」

側近「そうですね……」



エリゴス「魔王……いいか?」

魔王「うん、何かな?」

エリゴス「我の部屋の前に黒い塊を置いておくなと侍に言っておけ」

魔王「……言っとくよ」

エリゴス「それとな、我はこれから部屋に籠る」

側近「やめてください……」

エリゴス「何故だ?」

側近「魔王様だけでも手一杯なんですから……」

エリゴス「引き籠るわけでは無い……理由があり籠るだけだ」

側近「理由ってなんです?」

エリゴス「少しな……では我は行く」

側近「はぁ……?」

バタンッ……

側近「魔王様……エリゴスさん何しようとしてるんですかね?」

魔王「………」

側近「魔王様?」

魔王「そうか……手一杯か……」

側近「………」

魔王「本格的に引き籠っちゃおうかな……」

側近「それは本当にやめてください……」

魔王「………」

側近「え、エリゴスさんが部屋に籠る理由ってなんですかね!魔王様!」

魔王「さあ……なんだろ?」

側近「危険な事だったらどうしましょう……」

魔王「……そうじゃ無いといいね」

側近「………」



傭兵「………」

侍「人様の物に手を付けようなど言語道断!手打ちにされても文句は言えませんぞ!」

傭兵「制裁は喰らったんだからもう言うなよ……」

侍「大殿の配下と言う立場でありながら……」ブツブツ……

傭兵「……お前は平気なのかよ」

侍「何がで御座ろう?」

傭兵「側近ちゃんみたいなのが側にいたら……こうな?ナニがナニしてナニナニナンダロってなるだろ?」

侍「なりませぬッ!」

傭兵「なんで……お前まさか!」ズササッ

侍「……?」

傭兵「や、やめろよ……な?」

侍「……男に興味があるわけではありませぬ」

傭兵「……本当か?」

侍「本当で御座ります……」

傭兵「なら……なんでだ?男ならバインバインなのがいたら堪らんだろ?」

侍「特に興味が無いと申そうか……それに側近殿は大殿の物で御座ろう?」

傭兵「………」

侍「それをどうこうしようとは思いませぬ」

傭兵「まだ魔王の物じゃねえって……」

侍「………」

傭兵「………」

侍「男同士で色恋の話は止めにしませぬか?」

傭兵「……そうだな。気色悪りもんな……」

エリゴス「おい、侍」

侍「やややッ!エリゴス殿!如何なされた!」

エリゴス「我はこれから部屋に籠るが身の回りの事はその間せぬでよい。いいな?」

侍「わかり申した」

エリゴス「………」

傭兵「……なんだ?オジサンの顔に何か付いてるか?」

エリゴス「いや、何を考えここにいるのかとな」

傭兵「側近ちゃんの事考えてここにいるんだぜ?」

エリゴス「そうか……なら良いが」

傭兵「………」

侍「……?」

エリゴス「ではな侍……それと傭兵」

傭兵「………」

侍「……エリゴス殿は何故あのような事を聞かれたので御座ろうか?」

傭兵「さてね、知らねえよ。子供の考える事なんかわかるかよ」

侍「………」

ーーー

魔王、側近「………」

チュイィィィンッ!ガガガッ!

魔王「何やってんだろうねエリゴスさん……」

側近「そうですね……本当にここ数日籠りっきりですし……」

ガンガンガンッ!

傭兵「エリゴスうるせえよ!なんとかしろよ!」

魔王「何とかって言われてもね……僕にエリゴスさんを何とか出来ると思ってるのかい?」

傭兵「思ってねえが……お前以外エリゴスをなんとかなんて出来ねえだろうが……」

魔王「………」

勇者「よし!ここは僕に任してよ!」

傭兵「側近ちゃん!オジサン寝不足なのよぉ……」

側近「それでなんです……?」

傭兵「それで!側近ちゃんが膝枕してくれたら!この騒音の中でもグッスリ寝れると思うわけよぉ」

側近「………」

傭兵「だからさ……オジサン助けると思って!」

側近「嫌です……」

傭兵「えええ……残念んん!」

ドガガガッ!ガガッガッ!

魔王「はあ……こううるさいと、ゴロゴロしてても落ち着かないね……」

側近「それは落ち着かなくていいです!」

魔王「どうしようねぇ……」

傭兵「いつ終わるか知ってんのか?」

魔王「わからない……」

傭兵「聞いとけよ……」

勇者「無視はやめてよ……一番傷付くんだから……」

魔王「………」

側近「……なんです?」

勇者「うわ……冷たい態度……」

傭兵「どうせエリゴスの部屋の前で叫ぶだけだろ。そんなんで止まるかよ」

勇者「チッチッチッ甘いなオッチャン」

傭兵「何か他にあるのか?」

勇者「あるね!ここ数日ね、エリゴスたんの部屋を調べ回ったんだよ」

魔王「……そう言う事はやめて欲しいね」

勇者「で!どうもあの部屋の天井辺りに結界が弱い所があるんだよ。そこをなんとか突破すれば!」

魔王、側近、傭兵「………」

勇者「どおッ!?」

魔王「うん……こんな事は百も承知で言うけども……」

勇者「うん?」

魔王「君は馬鹿かい?その突破するなんとかはどうするの?」

勇者「……ふふっ」

魔王「………」

勇者「魔王も甘いな!そこもちゃんと考えての発言さ!」

魔王「あっそう……」

勇者「この盾を使えば!薄くなってる結界が突破出来そうなんだよ!」

魔王「まぁ頑張って……」

勇者「おし!頑張ってくる!エリゴスたん止めて愛の逃避行してくるから!」

ダダダダッ!

魔王「………」

側近「本当に結界を突破したらどうするんです?」

魔王「もしそうでもエリゴスさんが黙ってやられないと思うけどね……」

傭兵「………」

側近「傭兵さん?」

傭兵「なななななんでもねえよ!うん!なんでもねえから!」

側近「何をそんなに慌ててるんですか?」

魔王「君は……」

傭兵「………」ビクッ!

側近「……?」

魔王「……程々にしておいた方がいいと思うけど」

傭兵「あ、ああ……」

魔王「これで貸しは返したよ」

傭兵「すまねえ……」

側近「なんです?二人して何を話してるんですか?」

魔王「なんでも無いよ。男同士でしかわからない話だからね」

側近「はあ……?」

傭兵 (やべぇ……側近ちゃんに勇者と同じ事してなんて言えねえぜ……)

魔王 (この城の弱点は各部屋の天井か……侍に言って補強してもらおうかな……)



カンカンッ!ジュイィィッ!

侍「………」

侍「ふむ……エリゴス殿は一体何をなさっておいでか……」

侍「飯も食わず籠りっきりとは……」

侍「………」

侍「………」ウズウズ……

侍「ああいかん……どうもエリゴス殿の御世話をせぬと落ち着かんな……」

侍「大殿は食事以外は世話をさせてくれぬし……傭兵殿も然り……」

侍「側近殿は洗濯さえさせて貰えぬようになったし……ああ……」

侍「………」

侍「かと言って……あの馬鹿者は論外……」

侍「どうにかならぬものか……」

侍「………」

侍「掃除でも致すか……」

ガチャ……キィィ……

侍「……?」

エリゴス「………」

侍「ええええエリゴス殿ッ!」

エリゴス「侍……すまぬが水をくれ……」

侍「ああ!今すぐに!」

ダダダッ!

エリゴス「ふ……ふふ……」

エリゴス「ついに完成だ……」

エリゴス「アハハハハッ!……ゴホッ……はぁ……」

エリゴス「………」

エリゴス「……zzz」



エリゴス「……zzz」

侍「エリゴス殿……立ったまま寝てしまわれる程に御自身を追い詰められるとは……おいたわしや……」

魔王、傭兵「………」

側近「はああ……エリゴスさんのお部屋ってこうなってるんですね……」

魔王「……ここまで魔改造されると本当に自分の城か?って錯覚するね」

傭兵「本当だな……よくわかんねえ管とか鉄の箱とか……見た事ねえもん一杯あるぜ……」

側近「傭兵さん……」

傭兵「なんだい?」

側近「この部屋の物、絶対弄らないでくださいね……」

傭兵「わかってるよ……流石にオジサンだって同じ過ちは繰り返さないぜ……」

魔王「………」

侍「エリゴス殿は……このようになるまで部屋で何をなさっていたのか……」

魔王「え……わかるよね?」

侍「いえ……」

魔王「だって……ね……コレしか無いよね……」

側近「コレですよね……」

傭兵「コレしかねえよな……」

侍「この鎧で御座ろうか?」

魔王「そうだよ……多分ね……」

侍「………」

側近「コレだけこの部屋で禍々しい雰囲気放ってますもんね……」

傭兵「しかし随分と形が違うな。前のより細くなって弱そうに見えるが……」

魔王「そうだね……」

側近「エリゴスさんの鎧なんですから動くと凄いんですよきっと」

魔王「……それはそれで困るよね。色々と……」

傭兵「エリゴスの奴なんでこんなもん作ったんだろうな?前のも凄かったろ」

側近「傭兵さんが弄って壊れたからじゃないんですか……」

傭兵「あれ……結局壊れたのか……」

側近「この鎧……勝手に動いてましたもん……」

傭兵「……エリゴスにちゃんと謝っとくわ」

側近「そうしてください……」

魔王「………」

傭兵「だがなんだよな、こうして寝てるエリゴス見ると普通の子供だよな」

側近「そうですね。我が!とか言っちゃう魔神には見えませんよねぇ」

侍「………」

魔王「……側近」

側近「はい?」

魔王「………」クイッ

側近「あ……」

侍「………」

側近「……違いますよ侍さん。違いますからね?」

侍「……魔神で御座りますか」

魔王、側近「………」

傭兵「侍!あれよあれ!な?」

侍「………」

魔王「本当!あれだよ!うん!」

側近「あれですよね!あああ!」

侍「そう慌てぬとも拙者知っておりました故ご安心くだされ……エリゴス殿が人では無いと」

魔王「……知ってたんだ」

侍「はい……大殿も側近も……」

魔王「そ、それも知ってたんだね……」

側近「………」

侍「後、傭兵殿も……」

傭兵「馬鹿野郎!俺は人間だよッ!」

侍「……は?」

傭兵「は?じゃねえよ!」

侍「………」

傭兵「そんな信じられねえって目で見るな……本当に人間だからな?」



傭兵「マジでオジサン人間だって……」

侍「左様か……」

傭兵「信じてねえだろ……お前……」

魔王「侍さ……いつから知ってたの?」

侍「最初にお会いした時からで御座ります……」

魔王「最初からって……じゃあ僕より先に会ってた側近の事も魔物だってわかってたの?」

侍「はい……」

魔王「そうなんだ……」

侍「………」

側近「今更こんな事を聞くのもどうかと思うんですけど……どう思って私達といるんですか……?」

侍「それは……側近殿にお助け頂いたのですから、その御恩返しと最初は思っておりました……」

側近「………」

侍「それが終れば去ればよいとも……ですな」

側近「………」

侍「されど……ここはどうにも心地がよい故……」

傭兵「あー、わかるわぁそれ」

魔王「わかるの?心地いいのここ?」

傭兵「お前はここでゴロゴロしてて心地よく思った事ねえのかよ……」

魔王「人間からしたらだよ……僕が心地よく思うのは当たり前なんだから……」

側近「侍さん、それで?」

侍「そうしてる内に……大殿の真意を知りと……」

魔王「……?」

側近「なるほど。でも……私達は魔物ですよ?それでも構わないんですか?」

侍「魔物とか人間とか……大殿を見れば小さき事故、構いませぬ。……ッ!?」

側近「……どうしました?」

侍「いえ……何も……」

傭兵「ところでよ侍、お前よく側近ちゃんとか魔王が魔物だってわかったな」

侍「それは簡単にわかるでは御座らんか。このような辺境の地にいる事とか纏っている気みたいな物が人間では御座らん」

傭兵「……で?なんでオジサンの事は魔物だと思ったんだ?」

侍「………」

傭兵「言えよ……凄え気になるじゃんか……」

侍「それは

ガラガラガラッ!ドスンッ!

勇者「グァァァァいったぁ……背中打った……」

魔王、側近、傭兵、侍「………」

勇者「はッ!エリゴスたん迎えに来たよッ!魔王が君に凌辱の限りを尽くそうとしてるんだッ!早くここから逃げ………」

魔王「………」

勇者「やあ……」

魔王「………」

勇者「なんでいるの……どうやって入ったの……」

魔王「………」



ヒギャアァァァァッ!

傭兵「うるせえよ!殺るならもっと静かにやれよなぁ……」

エリゴス「……zzz」

傭兵「なんでオジサンがエリゴス見てなきゃいけねえんだよ……」

傭兵「魔王がぶちギレ……侍ぶちギレ……ついでに側近ちゃんもぶちギレて……」

傭兵「勇者の奴あれか……相手を怒らせる天才ってやつか……」

傭兵「………」

傭兵「確かに野郎に喋らせちゃ駄目だわな……」

傭兵「勇者の名が地より下に堕ちそうだもんな……」

傭兵「………」

エリゴス「………」

傭兵「よし……」ガダッ……

エリゴス「………」

傭兵「グフフ……これはオジサンの心をくすぐる鉄の箱じゃねえか!」ソゥ……

エリゴス「……触るな」

傭兵「……な、ななんだ起きてたのか」

エリゴス「貴様が触ると物が壊れる」

傭兵「そんな事ねえよ……」

エリゴス「それにしても……何故貴様がここにいる?」

傭兵「侍がエリゴス殿がぁ!って騒いでよ、それで皆で来てみたらお前が立ったまま寝ちまってて」

エリゴス「………」

傭兵「それでお前を寝かして今に至るってわけだ」

エリゴス「なら他の者はどうした?」

傭兵「狩りの時間さ」

エリゴス「意味がわからぬ……」

傭兵「わかんねえ方がいい……その内戻って来るだろ」

エリゴス「……戻って来るのか」

傭兵「あ?そりゃ戻って来るだろ。皆お前の事心配してたんだぜ」

エリゴス「………」

傭兵「侍なんてよ……エリゴス殿が!エリゴス殿が!ってうるさかったんだぜ……」

エリゴス「………」

傭兵「魔王も側近ちゃんもそれ見てあたふたしてな。お前は寝てるだけだから安心したみたいだがな」

エリゴス「我を心配か……くだらぬ」

傭兵「………」

エリゴス「………」

傭兵「まあ……くだらないよな。くだらないお前事を心配したオジサンもそう思うわ」

エリゴス「………」

傭兵「そのくだらない事をした奴らに助けられたのは誰だ?言ってみろ」

エリゴス「我だ……」

傭兵「わかってんなら余計な事言うな。後な、あいつら戻って来たら礼のひとつでも言ってやってくれよ。特に侍にな」

エリゴス「………」

傭兵「……返事は?」

エリゴス「わかった……」

傭兵「よし」

エリゴス「………」

傭兵「いくらお前が魔神だからって俺は遠慮しねえから。オジサン怒らすと怖いからな?」

エリゴス「……そうか。遠慮せぬのなら我も遠慮せずともよいな?」

傭兵「………」

エリゴス「この鎧の試運転も兼ねて手合わせ願おう」

傭兵「いや……それは……」

エリゴス「遠慮せずともよいぞ?」

傭兵「勘弁してくれ……」

エリゴス「ふふっ」

傭兵「くそッ……」

エリゴス「……これは魔王に止められているのだが、聞いてよいか?」

傭兵「何をだ?」

エリゴス「貴様は何故ここにいる?魔王といる理由は何だ?」

傭兵「前にも言っただろ!側近ちゃんラブだからだぜ!」

エリゴス「……本当にそうか?」

傭兵「………」

エリゴス「………」

傭兵「何感ずいてるか知らねえが本当だぜ。今はそれ以外ねえから」

エリゴス「………」

傭兵「……時が来たら話してやるよ」

エリゴス「いいだろう。楽しみにしている」

傭兵「楽しい事なんかねえよ」

エリゴス「………」

傭兵「………」

エリゴス「ところで……この天井の穴は何だ?」

傭兵「天才が開けた穴だ」

エリゴス「……?」



魔王「………」

侍「側近殿!いい角度で掌打が入りましたな!」

側近「ええ!もう手応えありみたいな!」

侍「あの後は倒れた相手の背後から相手の襟元を掴み締め上げればいい感じですぞ!」

側近「なるほど!勉強になります!」

魔王「……エリゴスさん大丈夫かな?」

エリゴス「あ、ああ……もう問題無い」

侍「ならば快気祝いに!」

エリゴス「……侍」

侍「は!何用で御座りますか!」

エリゴス「心配かけたな。……我を救いた事……感謝するぞ」

侍「………」

エリゴス「魔王も側近も心配かけたな」

傭兵「……ふっ」

エリゴス「………」

魔王「あんまり無理しないでよ。ね?特に侍なんかさこうなる……?」

侍「………」

側近「侍さん……どうしました?」

侍「おぉ……」

魔王、側近「……おぉ?」

侍「おーいおいおいッ!エリゴス殿!エリゴス殿ぉぉぉ!」ブワワッ

魔王、側近「うわ……」

エリゴス「泣くな!それとその泣き方は鬱陶しいからやめろ!」

侍「おーいおいおいッ!されどエリゴス殿ぉぉぉ!拙者ぁ!拙者ぁ!」ブワワッ!

エリゴス「………」

魔王「あんな泣き方初めて見たよ……」

側近「本当に鬱陶しい事この上無いですね……」

傭兵「………」



侍「……ぉぉぉ」

エリゴス「もう良いか……侍……」

侍「はいぃ……うくぅ……」

エリゴス「貴様に世話になってなんではあるが……頼みがある」

侍「なんなりと申してくだされ!」

エリゴス「我と手合わせを願いたい」

侍「それは……いつで御座ろう?」

エリゴス「今すぐに」

侍「お断り致す」

エリゴス「何故だ?」

側近「エリゴスさん……さっき魔王様に無理するなって言われたばかりじゃないですか……」

エリゴス「………」

侍「そう急がなくとも拙者お相手いたす故……確りとお身体を休ませくだされ」

エリゴス「そうか……わかった」

側近「エリゴスさん……もう歩いても大丈夫そうですか?」

エリゴス「それくらいならば平気だが……」

側近「ならお部屋を移りましょう」

エリゴス「必要無い。この部屋

側近「駄目ですッ!」

エリゴス「……何故だ?この程度の穴で我は気にせぬが……?」

側近「………」

エリゴス「………」

魔王「エリゴスさん……ちょっと問題があってね……うん、この穴が塞がるまででいいんだよ。ね?頼むよ」

エリゴス「……よくわからぬが良かろう」

魔王「そうして貰うとこっちも安心出来るよ……」

エリゴス「では、我はどこへ行けばいい?」

側近「私のお部屋ですよ。私と一緒に寝る事になりますけど……」

傭兵「なッ!?」

エリゴス「ふむ……」

側近「ちょっと狭くなっちゃいますけど……構いませんよね?」

エリゴス「構わぬ」

側近「良かった……」

傭兵「エリゴス……変わってくれ!オジサンの部屋使っていいから!」

側近「じゃあ行きましょうか」

エリゴス「あ、ああ……」

魔王「………」

側近「何か持ってく物とかあります?」

エリゴス「いや……」

側近「そうですか」

傭兵「うおぉぉぉ側近ちゃん!オジサン無視しないでくれぇぇ!」

魔王「……君はいい加減にしないと勇者と同じ目線で見られるよ」



チャポンッ……

エリゴス「………」

側近「エリゴスさん熱くないですか?」

エリゴス「いや、大丈夫だ」

側近「そうですか。……はぁ」

エリゴス「側近……何故貴様の部屋の浴槽は他の部屋より広いのだ……」

側近「んー……この部屋は前にいた四天王の方が使ってた部屋だったんですよ」

エリゴス「………」

側近「凄っいお風呂好きの方でですね……意地悪で我儘で!私なんかいっつも下に見られて!」

エリゴス「………」

側近「……あ、話ズレましたね。その方はもういませんからこの部屋使っちゃえって。それでですね」

エリゴス「なるほど。……この城はライフラインがやけに整い過ぎてると思っておったがその者達の恩恵か」

側近「はい。前の四天王の方々は四精霊?とか言う方達で……それぞれが協力して設備とかを整えたみたいですね」

エリゴス「………」

側近「皆……魔王様の事嫌になって出てっちゃいましたけど……」

エリゴス「………」

側近「………」チャプ……

エリゴス「……皆は出て行ったのに貴様は残っているのだ?」

側近「それは……」

エリゴス「………」

側近「……魔王様とかに言っちゃ駄目ですよ?内緒にしてくださいね?」

エリゴス「わかった」

側近「側近の立場でなんですけど……私ですね魔王様の事好きなんです……」

エリゴス「………」

側近「他の魔物から裏切られたり呆れられたり……毎日だらしなくダラダラ過ごしてどうしようもない魔王様ですけど……」

エリゴス「………」

側近「……それでも優しくて争う事があまり好きじゃなくて他人の事で悩んじゃったり」

エリゴス「………」

側近「魔王様のそう言う所を見て……好きになっちゃったんですよね……」

エリゴス「………」

側近「……エリゴスさん、私がこんな事言ったの絶対言わないでくださいね?」

エリゴス「わかっている。安心しろ」

側近「………」

エリゴス「貴様は今の言葉を魔王には伝えんのか?」

側近「……言えないですよ。それで何か変わっちゃったら怖いじゃないですか」

エリゴス「怖いのか?」

側近「もし魔王様に拒否されちゃったり……傭兵さんと魔王様の間に亀裂みたいなの出来たりとか……」

エリゴス「………」

側近「私の言葉で今揃ってるみんながバラバラになっちゃったら……私……」

エリゴス「………」

側近「………」

エリゴス「……ふむ」

側近「……あれ?それだけですか?」

エリゴス「……?」

側近「くだらんな!とか言われちゃうと思ってました」

エリゴス「……別にくだらんとは思わん」

側近「………」

エリゴス「理解しずらい事ではあるがな」

側近「そうですか……」

エリゴス「色恋の話は我にはわからぬ」

側近「はあ……」

エリゴス「……側近」

側近「なんでしょう?」

エリゴス「我の部屋の浴場に忘れ物をした。後で取ってきて貰えぬか?」

側近「いいですけど、何を持ってくるんです?」

エリゴス「アヒルちゃんだ」

側近「………」



傭兵「………」ソゥ……

傭兵「………」ピタッ

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「おい……」

勇者「ぐはらなかぁだざいッ!!?」ビクゥッ!

傭兵「………」

勇者「ななななな……なんだぁオッチャンか……ビックリさせないでよ!」

傭兵「なんでお前が側近ちゃんの部屋の前にいるんだ!こらっ!」

勇者「なんでって……あれだよ……」

傭兵「………」

勇者「警護みたいな……感じ?」

傭兵「嘘つけ……」

勇者「本当だってぇ……オッチャンこそなんでこんな所に来たのさ?」

傭兵「おおおオジサンも警護みたいな感じよ!」

勇者「………」

傭兵「お前とは違うぜ!」

勇者「嘘つき……」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「あ……なんだな。この辺危険だもんな。心配になるよな」

勇者「そうだね。本当心配になっちゃうよね……」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「心配し過ぎて……ちゃんと寝れてるのかって気になるよな!」

勇者「心配し過ぎて……ちょっと寝顔とか拝見したくなるよね!」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「……この部屋に入るプランは?」

勇者「この扉から正面突破!」

傭兵「なるほど……悪くないプランだ」

勇者「………」

傭兵「……なあ勇者よ。オジサンの方が歳上だよな」

勇者「それがなに……」

傭兵「ここは年長者のオジサンに先を譲るのが筋だと思うが」

勇者「僕の方が先にいたんだけど……」

傭兵「それはわかってる……後な四天王的にオジサンの方が先輩だよな?」

勇者「………」

傭兵「……普通こう言う時は先輩に譲るものなんじゃねえの?なあ?」

勇者「………」

傭兵「……これ以上は言わねえ。先を譲るな?」

勇者「……わかったよ」

傭兵「ふふっ……物わかりのいい奴は嫌いじゃないぜ」

勇者「これだから大人は嫌いなんだよ!いっつも狡い事ばかり言ってぇ!」

傭兵「なに思春期のガキみてえな事言ってやがる……お前もう二十歳近えだろうが……」

勇者「クソォォ!汚いな!さすが大人汚い!」

傭兵「……うるせえよ。……じゃ!その汚い大人がさっそく!グフフフ……」

勇者「………」ゴクッ

傭兵「失礼をばしますよぉ側近ちゅわぁん!」ソゥ……

バリバリバリバリィィイッ!!

傭兵「………」プシュウゥゥ……

勇者「……お、オッチャン?」

傭兵「」ドサッ……

勇者「………」

勇者「う、うん……多分こうなるんじゃないかなって思ってたんだ……」

勇者「……扉触るの躊躇してて良かったよ。オッチャンありがとう……」

傭兵「」シュゥゥ……

勇者「………」

勇者「それにしても……オッチャン声すら挙げる暇も無かったよね……煙も出てるし……」

勇者「僕が触った時より強力になってるんじゃないかな……」

勇者「………」

勇者「オッチャン……マジでありがとう……」

勇者「このご恩は多分忘れません……」

勇者「……寝よ」

勇者「………」

ーー

魔王「………」ゴロゴロ

勇者「………」ゴロゴロ

魔王「………」ゴロゴロ

勇者「中々にいい絨毯使ってるね」ゴロゴロ

魔王「まあね。僕のお気に入りさ」ゴロゴロ

バタンッ

側近「おはようございます……魔王様……」イライラ……

魔王「……?おはよう」

側近「魔王様聞いてくださいよ!勇者さんたら私の部屋まで来てエリゴスさんをですね……?」

魔王「勇者がどうかしたの?」

側近「なんで勇者さんいるんですか……」

勇者「いたっていいだろ……」

側近「あれぇ……じゃあ私の部屋の前で消し炭になってるのは……」

勇者「………」

魔王「勇者じゃ無かったら後は一人しかいないよね……」

側近「………」

勇者「困るなぁオッチャン!夜這いなんて人間のする事じゃないだろって!」

魔王、側近「………」

勇者「もう最低だね!人として軽蔑するよ!」

魔王、側近「………」

勇者「四天王としてもどうかと思わないかい!魔王!全く歳上だからって譲れってッ!」

魔王「……君、譲れってなんだい?」

勇者「……あれ?僕そんな事言った?」

魔王「間違いなくね。……傭兵が消し炭になってる事に君は関与してる?」

勇者「全然知らないよぉ……」

魔王、側近「………」

勇者「……あああ!ゴロゴロしないと!ね!?」

魔王、側近「………」

勇者「ほら!魔王!」ゴロゴロッ!

魔王「………」フラフラ……ゴロ……

側近「魔王様!」

魔王「ごめん側近……どうしてもこの誘惑に勝てないんだ……」ゴロゴロ

側近「それは打ち勝ってください……」

魔王「………」ゴロゴロ

側近「魔王様、傭兵さんの事どうしましょう……」

魔王「放っておいていいんじゃないかな……多分自業自得だし」ゴロゴロ

側近「………」

勇者「自業自得ぅ……」ゴロゴロ

魔王「自業自得ぅ……」ゴロゴロ

側近「………」イラッ……



魔王、勇者「………」ゴロゴロ

側近「本当……いい加減にしてください……」

魔王「いつも言ってるけど、そう言われてもねぇ……」ゴロゴロ

側近「もう!魔王様ったら!勇者さんもだらしなくしてないでください!これ大事な盾なんですよね!」

勇者「そうだよ……うー」ゴロゴロ

側近「こんな所に放っておかないでください!無くなっちゃいますよ!」ヒョイ

勇者「そこに置いてあるだけだよ……」

側近「そんな事言って!……え?」ピカーン!

勇者「………」

側近「な、なんかこれ光っちゃいましたけど!あわわ何ですかこれ!」

勇者「………」

側近「……勇者さん?」

勇者「君……勇者だったのか……」

側近「……は?」

勇者「僕が勇者になった時もそう反応してたんだよ……」

側近「冗談ですよね?」

勇者「いや本当……」

側近「………」

魔王「困るよ側近……新たな勇者誕生させちゃ……」

側近「そんな事言われましても……」

勇者「これで僕はお役御免かな!」

魔王「側近……その盾貸して」

側近「どうぞ……」

勇者「いやぁ良かった!僕には荷が重すぎたんだよねぇ!」

側近「………」

魔王「………」ピカーン!

勇者「………」

魔王「これは……」

勇者「君も勇者だったのか……」

魔王「そんなわけ無いだろ……」

側近「この盾……壊れてるんじゃ……」

勇者「………」

魔王「そうかもね……」

勇者「………」

魔王、側近「………」

勇者「……まだ僕が勇者名乗っていいのかな?」

側近「私は名乗っていいと思いますよぉ……こんな所まで頑張って来たんですから!」

勇者「うぅ……ありがとう……」

側近「………」

魔王「………」

側近 (この方が勇者ならエリゴスさんの事以外安心出来ますし!魔王様も安泰!)

勇者「オバサン……マジでありがとう……」

側近「………」



エリゴス「ふふっ……」ガチャ……

侍「エリゴス殿……本当に大丈夫で御座ろうか……」

エリゴス「心配せずともよい。良き枕と出会えたのでな快眠し、すっかり良くなった」

侍「はぁ……良き枕で御座りますか……?」

エリゴス「側近の物は中々の物だったぞ」

侍「そうで御座いますか……??」

エリゴス「さて……侍、手合わせの件覚えておるか?」

侍「はい……」

エリゴス「そうか。では、宜しく頼む」

侍「エリゴス殿……前にも申したが拙者手加減は出来ませぬぞ?」

エリゴス「構わぬ。もし貴様が手を抜くような事があればその命……無くすぞ」

侍「……ははは、承知いたしたッ!」



傭兵「まったく酷え目に合ったぜ……あーあ……オジサン自慢の髪がチリチリだ……」

侍「………」

傭兵「おう、侍。おはようさん。飯は……どうしたんだ?そんな真剣な顔して」

侍「拙者……用がありますので……」

タタタ……

傭兵「おい侍……なんだぁ?」

エリゴス「………」フシュウ……

傭兵「うお!……ってエリゴス……だよな?」

エリゴス「そうだ」

傭兵「………」

エリゴス「……なんだ?」

傭兵「いや……鎧着てんのに声が聴こえるからよ……」

エリゴス「貴様達が我の声が聴こえぬと言っていたのでな、この鎧には音声伝導装置を施しておいた」

傭兵「へぇ……」

エリゴス「それに……色々と新造してもいる」

傭兵「へぇ……」

エリゴス「後な運動性能やエネルギー効率も飛躍的に向上させる事も出来た!フフフ……」

傭兵「へぇ……」

エリゴス「……貴様、理解して無いだろ」

傭兵「魔神の鎧なんか人間に理解出来るわけねえだろ……」

エリゴス「………」

傭兵「………」

エリゴス「ならば我に付いて来い。良い物を見せてやる」

傭兵「なんだ……良い物って……」

エリゴス「来ればわかる」

傭兵「………」



イヒャアァァァァァッ!

魔王「………」

魔王「こっそり避難して正解だったね……でもこれは困ったねぇ……」

魔王「ああも側近が強くなるといつ僕に牙を向くか……」

魔王「ちょっとゴロゴロするの控えよ……」

侍「………」

魔王「ん?おはよう侍」

侍「………」

タタタ……

魔王「……何かあったのかな。侍があんな顔してる時はろくな事がないんだよな……」

エリゴス「………」フシュウ……

魔王「………」

エリゴス「退かぬか。通れんではないか」

魔王「あ、あれ?声が聴こえるけど……」

傭兵「魔神の鎧に付けた音声なんたらかんたらのおかげだとよ」

魔王「へぇ……」

傭兵「後な、新造って武器と運動飛躍的にってのが付いてるんだと」

魔王「へぇ……」

エリゴス「傭兵……ただ単語を並べて言うんじゃない!我の発した言葉ぐらい正確に伝えぬか!」

傭兵「しょうがねえだろ……」

エリゴス「しょうが無くないッ!」

魔王「……それで?今から何かするつもりなの?」

エリゴス「……魔王も付いて来い。さすればわかる」

魔王「………」

傭兵「そんな嫌そうな顔するんじゃねえよ……オジサンも一緒に行くからよ」

エリゴス「行くぞ」

傭兵「良い物見せてくれるみたいだぜ?な?」

魔王「その良い物がこの世の終わりじゃなきゃいいけど……」



魔王、傭兵「………」

侍「………」スチャ

エリゴス「………」ウィ……グバッ……

傭兵「良い物って……侍との勝負かよ……」

魔王「僕はそうなんじゃないかなって思ってたよ……」

傭兵「じゃあ言えよ……」

魔王「君が何か期待してたから……」

傭兵「魔神が良い物見せてやるって言ったら期待するだろうがよ……」

魔王「………」

侍「エリゴス殿……拙者いつでも構いませぬ」

エリゴス「そうか。こちらもシステムチェックが終わったところだ。我もいつでもいいぞ」

侍「………」ザッ……

エリゴス「………」ガチョン……

魔王「ち、ちょっと待った!」

エリゴス「……なんだ?」

侍「大殿……お止めなされるな……」

魔王「あのあのあのね!勝負するのは構わないんだ!」

エリゴス、侍「………」

魔王「エリゴスさんに約束して欲しい事がね……」

エリゴス「……言ってみよ」

魔王「うん……こうさズバァとかズバーンとかドカーンとか……そう言う武器は使わないで欲しいんだ……」

エリゴス「………」

魔王「……ね?危ないから!」

エリゴス「ふむ……」

魔王「侍は剣だけなのにエリゴスさんはズバァとか出来たら狡いだろ?」

侍「拙者は構いませぬが……」

魔王「構ってよ……」

エリゴス「魔王の言う事に一利あるな。わかった、魔導縮退砲は使わぬようにする」

魔王「……聞いていいかな?」

エリゴス「もし魔導縮退砲を使えばどうなるかか?」

魔王「うん……」

エリゴス「大した事ではない。魔導縮退炉の話は覚えているか?」

魔王「忘れたくても忘れられない話だから覚えてるよ……」

エリゴス「あの話の事情を局地的に起こす事が出来る」フフン

魔王「………」

エリゴス「フフフ……相手の防御など無に等しい事だろう」

魔王「それは絶対使わないでね……」

エリゴス「………」

魔王「絶対に!使わないでね!」

エリゴス「チッ……わかった……」

魔王「………」



魔王「………」

傭兵「まぁ……使わせないようにするのに必死になるわな……」

魔王「必死にならざるを得なかったからね……」

傭兵「城……吹き飛ぶくらいの武器だもんな……」

魔王「今回はそれで済めば良い方だったんだよ……」

傭兵「エリゴスの新しい武器ってそんなに凄えのか?」

魔王「簡単に説明聴いただけだけど……エリゴスさんが武器を使ったら無くなるんじゃないかな……」

傭兵「城がか?」

魔王「いや……この辺り……」

傭兵「辺り?どう言うこった?」

魔王「……見渡す限りの風景が無くなるかな」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「アホかあいつは……」

魔王「大きい声じゃ言えないけど同意だね……」

傭兵「……魔王よ、この勝負止めた方がいいんじゃないか?」

魔王「………」

傭兵「侍死ぬぞ……」

魔王「さすがにエリゴスさん手加減するんじゃないかな……」

傭兵「オジサンはしないと思うぜ……」

魔王「………」

傭兵「………」



侍「………」バッ!

エリゴス「……行くぞ、侍」ガチャ……

侍「……どうぞ!」

エリゴス「………」シュンッ……

侍「ッ!!」

スガァッ!ギギギギィィ……

侍「ぬああぁぁぁあッ!」

エリゴス「フハハハハッ!流石だ侍!」

侍「ぐううッ!はああッ!」グッ!

ガギンッ!……ズザ……

侍「お、驚きました……そのような神速の如く動かれるとは……」

エリゴス「以前の鎧と同じ……と思っていては困る事になるな。心せよ」

侍「ははッ!畏まり候ッ!」ダッ!

ズガガガガッ!ガギッ!ガスッ!

侍「ハアァァァアアアッ!」ガッ!

エリゴス「………」

侍「そらそらそらそらぁぁぁッ!」

ガスガスガキガガガッ!

エリゴス「………」

侍「ぐうあああッ!」ダッ!

ズガシュンッ!ガギィィ……

エリゴス「ふん……」シュンッ!

侍「ッ!消え……後ろかッ!」グッ!

ギリィ……

エリゴス「まだまだ行くぞ!」ダッ!

ガギッ……ガキガガガッ!

侍「うがあああッ!」ガッガッ!

エリゴス「ハハハハハハッ!」

ガガガガガガガッ!



魔王「………」

傭兵「なあ魔王……あいつらの攻撃見えてる……?」

魔王「……いいえ」

傭兵「そっか……オジサンだけ見えてねえんじゃないかって心配したぜ……」

魔王「………」

傭兵「化けもんどもが……」

魔王「………」

スパッ……

魔王「……?」

傭兵「ま、魔王……」

スパッ……スパッ……

魔王「何か飛んで来た……?」

傭兵「かもな……服が裂けてるぜ……」

魔王「本当だ……ぁぁぁッな、な!」

傭兵「………」

魔王「あががが……」

傭兵「ににに逃げるぞ魔王!」

魔王「う、うん!」ダ

侍「お止まりなされ!」

魔王、傭兵「………」ビタッ

侍「その場から動かぬよう……願います……」

魔王「な、何でかな……?」

エリゴス「我らが動き、その場から飛ぶ石などの餌食になりたく無いのならばそのままにしていろ」

魔王「だから僕はこの場から離れたいんだけど!」

侍「大殿……その離れてる最中では拙者らは大殿達を関知いたせませぬ。ですから……」

傭兵「……どう言う事だ?」

エリゴス「この場なら貴様らに我らが動き、その衝撃で出た破片や衝撃波を当てぬよう配慮出来るが」

傭兵「………」

エリゴス「離れれば貴様らにその配慮が出来なくなると言っている」

傭兵「配慮しろよ……」

エリゴス「さあ!続きだ侍ッ!」

侍「おうッ!!」

傭兵「聞けぇッ!」

ズガガガガッ!

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「傭兵に色々当たっても僕助けられないからね……」

傭兵「オジサンだって同じだ……」

魔王「……死の間際ってこんな感じなのかね」

傭兵「多分そうだ……」



ズザザッ……

侍「………」

エリゴス「ふ……ふふ……」

侍「……いかがなされた?」

エリゴス「いや……貴様と戦う事で我が蓄積した幾多の戦闘データが書き換えられていく……」

侍「???」

エリゴス「……つまりだ、いくつも戦を経験するより貴様との戦闘の方が有意義だとな」

侍「左様か??」

エリゴス「………」

侍「エリゴス殿……拙者、ご提案があるのですが」

エリゴス「言ってみろ」

侍「はい……お互い、次の一撃で終わりにしませぬか?」

エリゴス「………」

侍「このまま続けていても結果が見えませぬ」

エリゴス「……ふむ」

侍「ですからな、ここは己の持つ最大に近い力をぶつけ決着を付けようと……如何か?」

エリゴス「良かろう……ふふッ」

侍「………」

エリゴス「貴様から来い。侍、貴様の本気……見せて貰おう」

侍「ははッ!……」スチャ……

エリゴス「………」

侍「拙者……この力を使うのは二度目で御座ります……」

エリゴス「………」

侍「……もう使う機会は訪れぬと思っておりました。エリゴス殿……感謝いたします……」

エリゴス「………」

侍「行きますぞ……超波動斬りッ!」

エリゴス「ほう……陸と海の狭間の力かッ!面白い!」



傭兵「おお……お……」

魔王「………」

傭兵「ふざけんな!なんか顔かすってったぞ!」

魔王「………」

傭兵「足下に小石が凄え勢いでめり込んだ……どうした魔王……?」

魔王「………」

傭兵「魔王……?」

魔王「あは……あははは!」

傭兵「………」

魔王「侍の肩に妖精が乗っててね!ハイパーオーラとか叫んでるよ!」

傭兵「………」

魔王「あはははははは!」

傭兵「やべぇ……魔王の野郎恐怖でおかしくなりやがった……」



侍「手加減は出来ませぬッ!」

エリゴス「来いッ!」

侍「おぉぉおおおッ!!!」バッ!

エリゴス「………」グッ……

ダダダダダッ!ダンッ!

侍「えいぁぁぁぁあッ!」

ズガッ……ギリギリギギギ……

エリゴス「グヌアアアッ!」

ガギンッ!

エリゴス「侍!耐えたぞ!陸と海の狭間の力はそんなもの……ッ!」

侍「うおおおおおッ!」ガギッ!

エリゴス「グッ!斬り返すか!」

侍「落ちろぉぉぉッ!」

ズギャギャリリリリィィッ!



魔王「………」ブツブツ……

傭兵「なあ魔王……」

魔王「………」ブツブツ……

傭兵「おい!しっかりしろ!」

魔王「……は!え?ここは?」

傭兵「……お前が侍らと来た所だ」

魔王「夢じゃ無かったのか……」

傭兵「悪夢の方がましだったな……」

魔王「………」

傭兵「オジサンな……あいつらの戦い見てこう思ったわけよ……」

魔王「うん……?」

傭兵「魔王と勇者の戦闘は本来あんな感じになるんじゃないのかって!」

魔王「………」



ズシャンッ……

侍「………」

エリゴス「ふ……ふふ……我の鎧に傷を付けるとはな……驚いた……」

侍「はぁはぁ……」

エリゴス「侍、貴様を敬服するぞ。人間の身でありながらそれ程の力を有するのだからな」

侍「………」

エリゴス「魔王との事情を果たした後、我に付いて来ぬか?」

侍「……いえ、まだ拙者は未熟故」

エリゴス「そうか」

侍「次はエリゴス殿の番ですぞ」

エリゴス「……侍、構えよ」

侍「………」バッ……

エリゴス「………」ガチャン……

魔王「ええええエリゴスさん?腕上げて何するつもりかな!?」

エリゴス「黙って見ていろ」

魔王「いや!本当危険な事止めてね?ズバァとか!」

エリゴス「それは聞いた!うるさいぞ魔王!」

魔王「プシュウとかも駄目だからね!?」

エリゴス「……チッ」

魔王「………」

エリゴス「なら何なら良いのだ?」

魔王「周りに迷惑かからなくて侍が消滅したりしない物!」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「難しいな……」

魔王「難しくない物はないの……」

エリゴス「………」

侍「大殿お離れくだされ。エリゴス殿……拙者は何が来ても構いませぬ」

魔王「しかしねぇ……」

侍「もし本当に危ないのなら避けます故、御心配なされるな」

魔王「………」

侍「………」

魔王「わかった。もうどうなっても知らないからね……」

侍「はッ!大殿……ありがとう御座ります!」

魔王「………」

エリゴス「いらぬ邪魔が入ったな」

侍「大殿はお優しき故……未熟な拙者の事を思い仰ったのでしょう……」

エリゴス「………」



傭兵「ふぅん……」

魔王「………」

傭兵「お優しいこって」

魔王「別にそう言うのじゃ無いよ」

傭兵「侍をあそこまで心配しといてそう言うのじゃ無いよって?」

魔王「………」

傭兵「オジサンは……そう言う考え嫌いじゃ無いぜ」

魔王「だから違うって……」

傭兵「あ?」

魔王「もしだよ……侍でも防ぎきれない物をエリゴスさんが使ったらここにいる僕達はどうなると思う……?」

傭兵「………」

魔王「そう言う事だよ……」



エリゴス「………」ウィ……ガコンッ……

侍「………」

エリゴス「耐えよ侍……我を失望させるでないぞ」

侍「はッ!」グッ!

エリゴス「魔導……」ギャリ……

侍「………」

エリゴス「ターボスマッシャーパァァァァァァンチィィッ!!」ギャリギャリギャリッズドムッ!!

侍「ぐあああッ!」ガギギギギッ!

エリゴス「アハハハハハッ!耐えろよ侍!」

侍「グヌアアアアアッ!」ギャャアッ!ガキッ……

エリゴス「あ……」

侍「……ッ!?」

パキーンッ……カランカラン……

エリゴス「………」カチンッギュルルゥ……

侍「………」

エリゴス「………」

魔王、傭兵「………」

エリゴス「あの……すまぬ侍……」

侍「………」

エリゴス「貴様の剣を折るつもりは……」

侍「うわああああッ!せつせつせつ拙者の刀がぁぁぁぁぁッ!!」

エリゴス「………」

侍「あがが……かたかたかた……」

エリゴス「………」

魔王「………」

傭兵「………」



侍「」

側近「何があったんですか……侍さん魂が抜けたような顔してますけど……」

魔王「侍の剣が折られちゃったんだよね……」

側近「……エリゴスさんにですか?」

魔王「そう……」

エリゴス「………」

側近「エリゴスさん……」

エリゴス「言うな。わかっている。確りと詫び……代わりの物を用意しよう……」

側近「………」

エリゴス「少し調子に乗りすぎた我のせいだからな……」

側近「そうしてください……」

勇者「いやぁあったあった!僕の武器枝に引っ掛かってたよ……?」

魔王「今は君の相手してらんないから静かにしてよ」

勇者「何かあったの?」

魔王「死地より無事生還したんだけど犠牲が出てね……」

勇者「死地って……だれか怪我したの?まさかエリゴスたんが!」

魔王「いや、侍の剣が折れてさ……」

勇者「なら良かった」

魔王「良くないよ……見なよ侍を……」

侍「」

魔王「ね……」

勇者「………」

傭兵「……勇者よ」

勇者「何?」

傭兵「その武器侍にやれよ」

勇者「嫌だけど……」

傭兵「お前が持ってたって宝の持ち腐れだろうが」

勇者「………」

傭兵「な?後な……ここは侍に恩を売る最大のチャンスだとオジサンは思うぜ」

勇者「………」

側近「暗殺されなくなるかもしれませんよ?」

魔王「侍が起こす事故で君が命を落とす確率が減るかもしれないね……」

傭兵「怒らせても骨折程度で済むかもしれねえな……」

勇者「………」

傭兵「だからよ……」

勇者「でもなぁ……」

傭兵「ちょっと来い……」

勇者「……?」

傭兵「……なら交換条件その2だ」

勇者「何と交換するの……これ一応伝説の武器らしいから変な物とは交換しないよ?」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「エリゴスと二人っきりでお話中タイムを授けよう」

勇者「………」

傭兵「……どうだ?」

勇者「……お触りは?」

傭兵「無しだ……」

勇者「ぐぬぬ……」

傭兵「アホか……そんなの許可出来るわけねえだろ……」

勇者「じゃあ……無理かなぁ……」フッ……

傭兵「………」

勇者「オッチャン……この武器欲しいんだよね?」

傭兵「ああ……」

勇者「ん……僕はねこの武器あげたくないわけじゃ無いんだよ……」

傭兵「………」

勇者「それに見合った物って言うの?」

傭兵「………」

勇者「……エリゴスたんとトークだけじゃ僕は満足しないよねフフッ」

傭兵 (このボケ……足下見やがって……)



側近「……傭兵さんと勇者さん何を話してるんでしょうね」

魔王「ろくな事じゃないよ……多分」

側近「………」

魔王「見てよあの勇者の顔……悪いそうな顔してるよ……」

側近「イラッときますね……」

魔王「イラッとするね……」

側近「……殴っときましょうか」

魔王「側近……君がそんな発言をするとはね……」

側近「あ……いえ……」

魔王「………」

側近 (あああ……)



勇者「どうするのオッチャン。いらないなら別にこのままでも僕は全然構わないよ?」

傭兵「………」!

勇者「ほらほら」ニヤニヤ

傭兵「はぁ……負けたぜ勇者よ」

勇者「……?」

傭兵「好きにしていいぜ……エリゴスをなッ!」

勇者「なッ!マジでッ!」

傭兵「ああ!マジだ!触ろうが舐めようが好きにしろ!」

勇者「な、舐めても……」

傭兵「……勿論、状況次第でその先まで行っちまってもいいぜ!」

勇者「先まで……もう行き着く所までって事……?」

傭兵「フッ!何言ってやがる。まだまだその先まで行っちまってもいいんだぜ?」

勇者「そんな事まで……いいのかよ……」ゴクッ……

傭兵「……頑張れよ。勇者さんよ」

勇者「………」

傭兵「魔物の生殖欲求は底が無いらしいぜ?ふふふっ」

勇者「………」

傭兵「じゃあ……この剣貰うからな。いいな?」

勇者「おおおおおおオッチャンオッチャン!僕、ビギナーで初心者の青二才なんだけどトバロにいる生半可な見経験者でも大丈夫なのかなッ!」

傭兵「大丈夫だぜッ!明日は太陽が黄色いな勇者よ!クククッ!」

勇者「………」

傭兵「……?」

勇者「……何で太陽が黄色いの?」

傭兵「え?」



傭兵「ほれ貰ってきたぜ」

魔王、側近「………」

傭兵「勇者の野郎、快く渡してくれたぜ!」

魔王「君さ……勇者に何言ったの?」

傭兵「……エリゴス好きにしていいぜって」

側近「最低です……」

魔王「何考えてんの……」

傭兵「しょうがねえだろ……これしか無かったんだから……」

魔王「それでもだね……」

傭兵「大丈夫だって」

側近「………」

傭兵「鎧脱がさなければいいんだから」



傭兵「ほれ!侍!剣だぞ!」

侍「」

魔王「反応しないね……刀?って言ったらどうだい?」

傭兵「刀ってなんだ?」

魔王「さあ……?だけど侍がこうなる時に叫んでたじゃん……かたかたかた刀がぁぁって」

傭兵「ふむ……侍!刀?だぞ!」

侍「」ピクッ

魔王「おお!やっぱり」

傭兵「……ほら握れ」

侍「……あ」ニギ

側近「侍さん……大丈夫ですか?」

侍「………」

エリゴス「侍……」

侍「すいませぬ……このような醜態を晒し……」

エリゴス「いや、我が悪いのだ……こちらこそすまぬ……」

傭兵「どうだ?新しい刀?だぜ!」

侍「……これは刀では御座らん」

傭兵「でも今日からお前の武器だ」

侍「………」カチャ……

魔王「………」

侍「フンアッ!!」バギィンッ!

カランカラン……

魔王、側近、傭兵「………」

勇者「………」

侍「お心遣いは有り難いのですが……このような鈍らでは……」

魔王「……鈍らなの?」

勇者「伝説の武器らしいけど……」

傭兵「伝説の武器ってあんなに簡単に折れるのか……」

側近「伝説って言うくらいですから折れないと思いますよ……」

魔王「……偽物じゃないの?」

勇者「家の家宝とか言ってたけど……案外そうかも……」

傭兵「その家宝を折られてお前は何故平気なんだ……」

勇者「え?いらないから。僕使ったら事ないし」

魔王「君さ……戦わずここまで来たの?」

勇者「そうだよ。僕、後衛だもん」

魔王、側近、傭兵「………」

勇者「なんでそんな哀れんだ目で見るの……」

魔王「いや……君のお供だった者は苦労したんだなってね……」

勇者「失礼だな!苦労したのは僕なんだよ!」

傭兵「戦ってもねえのに何でお前が苦労するんだよ……」

勇者「そりゃあ回復魔法連発してたからね」

魔王「魔法……?」

勇者「後衛で魔法連発!回復してやったのにお礼も無いんだよ!酷いと思うだろ!」

魔王「あれ……ひょっとして君さ、結構凄いの?」

勇者「凄いのかな?わからないけど回復ならお任せって感じ?」

魔王「へぇ……」

傭兵、側近「………」

魔王「……え?何で僕見るの……?」

傭兵「いや……」

側近「いえ……」

魔王「………」



エリゴス「………」

侍「はぁぁぁぁ……刀……刀……」

エリゴス「侍、その剣を見せよ」

侍「……どうぞ?」

エリゴス「………」

侍「……?」

エリゴス「……なるほど。剣身の部分は確かに鈍らのようだな」

侍「そのような粗悪な物ですからな……剣身は?」

エリゴス「この剣の真価は柄にあるようだぞ」

侍「………」

エリゴス「この剣柄を持ちあの力を……我の鎧に傷を付けた力を込めよ」

侍「込めるとどうなるので御座りましょう?」

エリゴス「さあ……そこまでは我にはわからぬ。やってみる価値はあると思うが」

侍「………」グッ

エリゴス「………」

侍「ォォォオオオッ!!!」バッ!

カキンッ……シュオォォォォッ!

侍「な……こ、これは……」

エリゴス「ふむ、オーラの刃だな。貴様が言う波動の刃だ」

侍「なんと……」

エリゴス「このような場所でこれにお目にかかるとはな……」

侍「……エリゴス殿はこの剣柄の事をご存知なのですか?」

エリゴス「………」

侍「………」



魔王「………」

傭兵「へぇ!回復魔法か!やるじゃんか!」

側近「本当ですね!」

勇者「いやぁそれほどでも……」

傭兵「どこぞの体たらくな奴に聴かせてやりたいな!」チラッ

側近「本当ですね!」チラッ

魔王「こっち見ないでくれる……?」

傭兵、側近「………」

魔王「ぼ、僕だってね半生透過出来るんだからね!」

傭兵「使えねえだろそれ……」

側近「最低の力じゃないですか……」

魔王「な……」

勇者「半生透過って何?」

魔王「……生ける者の半生を透過して見れる力だよ」

勇者「………」

魔王「……?」

勇者「……それは私生活を覗き放題出来るの?」

魔王「そうだね。部分的にしか見れないけど」

勇者「スゲェェェェェッ!それマジ凄いじゃん!」

魔王「そ、そうかな……」

勇者「いいなぁ……」

魔王「いいだろぉ」フフン!

勇者「エリゴスたん

魔王「……君の思ってるような使い方はしないけどねッ!」

勇者「えええ!勿体無い……」

魔王「………」

勇者「……魔王、お願いがあるんだけど」

魔王「絶対嫌だよ……」

勇者「察しないでよ!」

魔王「察するよ……」

勇者「エリゴスたんの色々を知りたいんだよ!」

魔王「僕は知りたくないし……それにエリゴスさんの半生なんて見れないよ……」

傭兵「……?」

勇者「頼むよぉぉぉぉ!」

傭兵「……魔王よ、何でエリゴスのは見れねえんだ?」

魔王「ん?ん……この力は色々と問題があってね」

傭兵「………」

魔王「見たい物は見れないし……僕より力がある者の半生は見れないんだよ」

傭兵「なるほど……ってお前それ……」

魔王「………」

側近「どう言う事です?」

魔王「もしだよ?僕に敵意がある者が現れて……その者の半生が見れないなら僕はどうなると思う?」

側近「魔王様より力があって魔王様に敵意があるんですから……」

魔王「………」

側近「………」

魔王「そう言う事。……自分の死期がわかっちゃうかもって言うのはあんまり穏やかじゃないよね」

傭兵、側近「………」

勇者「エリゴスたんの私生活覗いて僕に事細かに教えてくれよぉぉ!」

魔王「君は僕の話ちゃんと聞いてなかったのかい……」



エリゴス「……侍、我はこの世界の者では無いと言うのはわかるか?」

侍「なんとなくは……」

エリゴス「ふむ。我は違う世界である部隊を率いていてな、その部隊の中にその剣と同じような物を持つ者がおったのだ」

侍「それで御存知だったと」

エリゴス「そうだ。そいつは……中々に見所があったのだぞ」

侍「ほぅ……その者は今エリゴス殿の世界に?」

エリゴス「それは……恐らくいないだろうな」

侍「何故?」

エリゴス「我には従えぬと我の元を去ったからだ……」

侍「………」

エリゴス「侍に似ていたな……そいつは……」

侍「………」

エリゴス「………」

魔王「鬱陶しいから来ないで!」

勇者「見たいって言ってるの!」

魔王「見れないよって言ってるだろ!」

勇者「また自分だけ楽しむ為にそんな事言ってるんだろ!」

魔王「しつこいよ!」

侍「………」スチャ……

勇者「………」

侍「大殿が嫌がっているだろ……下がれ……」

魔王「そうそう!下がれ!」

勇者「……くっ!卑怯な魔王め!……あれ?」

魔王「ん?……侍それって」

侍「先程頂いた剣で御座いますな!」

魔王「……何か剣身がブオンブオン言ってるけど」

侍「何やら拙者の波動を込めると刃が柄より出てこのように」

シュオォォォォッ!

魔王、勇者「………」

侍「摩訶不思議なからくりになっているので御座ります!」

魔王「へぇ……何か凄いね……」

勇者「本物だったんだ……」

魔王「みたいだね……君には使いこなせそうもない武器だけど……」

勇者「普通の人間にあんな事出来ないよ……」

魔王「普通の魔物でも出来ないと思うよ……」

侍「大殿、この剣は一体どこから調達してきたので御座ろうか?」

魔王「ああ、それは彼のだよ。一応家宝なんだって」

侍「………」

勇者「……怖いから睨まないで」

侍「お前の物か……いいのか?己の得物を……」

勇者「それは構わないよ。僕、使えないし」

侍「だが……家宝なのだろ?」

勇者「それで家宝よりも大事な物を……僕は手に入れられるんだ。気にしないでよ」

侍「………」

勇者「………」

侍「そうか……ならありがたく使わせて貰う。ありがとう……」

勇者「どういたしまして……」

侍 (家宝よりも大事な物……仲間の為にと言うわけか……こいつは拙者が思っていたより屑では無いのかもな……)

勇者 (家宝よりも大事な物なんてエリゴスたんしかいないだろ!グヒョヒョヒョッ!)

魔王 (侍……君は多分勘違いしているよ……)

エリゴス「………」

側近「魔王様!エリゴスさんと侍さんの話を邪魔しちゃ駄目ですよ!」

エリゴス「側近よ、よい。気にするな」

側近「ですけど……」

エリゴス「………」

側近「……エリゴスさんどうかしたんですか?」

エリゴス「いや……」

側近「………」

エリゴス「侍の剣の件はあれでよいだろう。我は部屋にて休ませて貰うぞ」

側近「はい……わかりました……」

エリゴス「………」ガチャン……

側近「………」

傭兵「……エリゴスの奴どうかしたのかい?」

側近「わかりませんけど……何か元気無いって言う感じでしたね……」

傭兵「ふむう……あいつ侍の刀?折ったの気にしてんのかな」

側近「そうなんですかね……ちょっと違うようでしたけど……」

傭兵「エリゴスの事ちゃんと見てんだな……側近ちゃん……」

側近「なんです?」

傭兵「オジサンと一緒にエリゴスを育てよう。きっとナイスなママンになる事間違い無しだぜ……」

側近「………」

傭兵「なッ!もう色々すっ飛ばして夫婦って言うのでも全然オジサン構わねえぜッ!」

側近「……傭兵さん」

傭兵「そんな水臭く傭兵さんなんて言わずによアナタぁって呼んでくれればいいから!」

側近「私……侍さんに色々習おうかと思ってるんですよ……」

傭兵「……一体何を?」

側近「格闘術とか……暗殺

傭兵「ああああまままままだ早いよな!こう言うのはちゃんと段階踏まないといけないよな!うん!オジサン焦り過ぎた!」



エリゴス「………」

コンコン……カチャ……

側近「……エリゴスさん」

エリゴス「なんだ?」

側近「元気無いみたいですけど……大丈夫ですか?」

エリゴス「………」

側近「侍の剣はアレ気に入ったみたいですし結果的に良かったんだと思いますからあんまり気にしない方が……」

エリゴス「そうではない。そうでは無いのだ……」

側近「なら……なんです?」

エリゴス「侍の剣を見て……少しな……」

側近「………」

エリゴス「我の配下だった者を思い出しただけだ。後……」

側近「後……?」

エリゴス「……これは貴様だから話す事だ。誰にも話すで無いぞ」

側近「大丈夫です。私もエリゴスさんに話されたら困る事話しちゃってますし」

エリゴス「そうだったな……」

側近「それで……なんです?」

エリゴス「我は皆の輪の中に入っても……大丈夫なのだろうか……」

側近「皆の輪ですか?……それは魔王様達と仲良くしてもいいかと言う事でしょうか?」

エリゴス「……そうだ。我は魔王に召喚された身だ。こんな事は……」

側近「ふふっ」

エリゴス「何がおかしい……」

側近「エリゴスさんがそんな事を思っていたなんてと思いまして」

エリゴス「悪いか……」

側近「全然!私はむしろ嬉しいんですよ。エリゴスさん……皆と一線引いてるような感じでしたし……」

エリゴス「………」

側近「……そっかぁ。ふふ!」

エリゴス「……なんだ?」

側近「いいえ!ちょっと可愛いなと思いまして!」

エリゴス「………」

側近「あぁ!顔赤くなってきましたよ!」

エリゴス「貴様がおかしな事を言うからだ!」

側近「おかしい事なんて言ってませんよ。本当の事ですし」

エリゴス「………」

側近「エリゴスさん……遠慮はいりませんからね?魔王様も私も……ちゃんとエリゴスさんを仲間だと思っていますから」

エリゴス「………」

側近「勿論、侍さんも傭兵さんも同じですから」

エリゴス「そうか……」

側近「……うん!」

エリゴス「……?」

側近「ん……ちょっと待っててください!」

エリゴス「構わないが……どうかしたのか?」

側近「ちょっといい事思い付きましたので!」

エリゴス「……そうか?」

コンコンッ

……「側近いるぅ?」

側近「魔王様?開いてますからどうぞ」

カチャ



傭兵「………」

勇者「オッチャン!ちゃんと約束は守ってよ!」

傭兵「わかってるよ。今考えんだ」

勇者「え……何を?」

傭兵「どうやって側近ちゃんの部屋に入るか!」

勇者「もう了承済みなんじゃないの……」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「と、とにかく!入っちまえばこっちのもんだから!」

勇者「僕……大丈夫だよね?」

傭兵「ああ!平気だ!安心しろ!」

勇者「………」

傭兵「ふぅむ……あの結界をどうにかしねえとならねえな……」

勇者「だよね……」

傭兵「側近ちゃん、部屋に入る時普通に扉を触ってたよな?」

勇者「そうだね」

傭兵「……なら今は結界は張られていない……かもな」

勇者「それで?」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「今なら大丈夫だ……行け!」

勇者「やだよ……」

傭兵「平気だって!」

勇者「ならオッチャン確かめてきてよ!」

傭兵「やだよ……」

勇者「………」

傭兵「………」

勇者「……あれ?」

傭兵「どうした?」

勇者「いや、魔王が……」

傭兵「な……あいつ……」

勇者「普通に入っていったね……」

傭兵「ああ……」

勇者、傭兵「………」

傭兵「男なら……この好機逃さねえよな……」

勇者「勿論……魔王が入って行ったって事は今は結界が張られていないって事だからね……」

傭兵「なら……行くぜッ!」ダッ!

勇者「ガッテンッ!」ダッ!

ダダダダダッ!……バリバリバリバリィィィイイッ!!!



側近「魔王様、どうかしたんですか?」

魔王「いや……勇者と傭兵が姿を眩ましてね……」

側近「……来てませんので安心してください」

魔王「そう……なら良かった」

エリゴス「魔王……」

魔王「ん?何エリゴスさん」

エリゴス「………」

魔王「……?」

エリゴス「貴様がこの世界に召喚し……今は召喚者の配下と言う立場だ。……この事について貴様はどう思っている?」

魔王「……ちょっと意味がわからないんだけど」

側近「わわわ私席を外しますね……」

カチャ!



バタンッ……

側近「はぁ……エリゴスさん魔王様にも聞くのかな……」

側近「その方が……」

側近「………」

側近「エリゴスさん……まさか魔王様に……」

側近「……ちょっと気になりますね。こんな事はどうかと思いますけど聞き耳立てて……」ピトッ

……ランデブー……バと言ってな……

……そう……?

側近「……ランデブー?」

側近「え?は?へ?あ?……ぇぇぇぇ」

側近「………」フラフラ……

ドッ……ズデンッ!

側近「いたた……何でこんな所に塊……」

傭兵、勇者「………」プスプス……

側近「………」

傭兵「ウゴゴ……全然解除されてねえじゃねえか……」プスプス……

勇者「アガガ……僕に言わないでよ……」プスプス……

側近「二人ともいい加減にしてください……」

傭兵「……ああ!側近ちゃんこんな所で偶然だな!」

側近「………」

傭兵「これが運命ってやつかね……な!」

側近「また結界に触ったんですか……」

傭兵「………」

勇者「オバ

側近「………」ピクッ

勇者「いや……な、なんでこの扉触っても平気なの!」

側近「それはエリゴスさんが触っても大丈夫なようにしてくれたからですよ」

傭兵「なら魔王が触っても平気だったのは……?」

側近「魔王様はエリゴスさんの召喚主じゃないですか。だからですよ」

傭兵「なるほど……」

勇者「オッチャン……召喚主とかって何?」

傭兵「魔王がエリゴスをこの世界に喚んだんだよ」

勇者「………」

傭兵「それでだ。我の主は……フフフとか言ってな!」

勇者、側近「………」

傭兵「なんだ……?側近ちゃんまで怖い顔して……」

側近「いえ……」

勇者「そう言う事か……」

傭兵「あ?」

勇者「魔王め……通りで僕をエリゴスたんに近付けさせないと思った……」

傭兵「………」

勇者「もう……一人でエリゴスたんにアレやコレやとッ!楽しむために……」

傭兵「………」

勇者「許せない……許せない……許せないッ!」

傭兵「落ち着けよ……」

勇者「僕のエリゴスたんをぉぉぉぉッ!」

傭兵「お前のじゃねえから……」

勇者「そう言う事するならなんで僕も誘ってくれないんだよッ!」

傭兵「………」

勇者「あああああッ!今頃この部屋の中で二人イチャイチャイチャイチャ……トォッ!」

側近「……ッ!」

傭兵「だから落ち着けって……」

勇者「落ち着いてなんかいられないね!」

傭兵「……オジサンはお前が思ってる事はこの部屋で行われていないと思うぜ?な、側近ちゃん」

側近「………」

傭兵「側近ちゃん?」

側近「……私……用がありますので」

タタタ……

傭兵「なんだぁ?」

勇者「ここを開けろぉ魔王ッ!表へ出ろぉぉぉぉッ!このロリコン魔王がッ!!!」

傭兵「うるせえ……それはお前だろ……」

勇者「僕も混ぜろぉぉぉぉッ!お前ばかりエリゴスたんに踏まれてズイルぞッ!!!」

傭兵「やめろよ……それにしても側近ちゃん……」

勇者「ウガアアアアッ!扉に触れないのがもどかしいぃぃぃッ!」



側近「………」

傭兵「……側近ちゃん」

側近「………」

傭兵「どうした?何か顔色悪いぜ?」

側近「傭兵さん……」

傭兵「何かあったのか?」

側近「魔王様とエリゴスさん……やっぱりそう言う関係なのかもしれないんですよ……」

傭兵「……はぁ?」

側近「私……聞いちゃったんです……」

傭兵「………」

側近「エリゴスさんが魔王様にランデブーなんとかって言ってる所を……」

傭兵「有り得ねえだろ……」

側近「うわあああん!私どうしたらぁ!」

傭兵「………」

側近「ううッ……まさかそんな事になってるなんてぇ……」

傭兵「………」

側近「勇者さんがさっき言っていた事が今頃あの部屋で行われているんですよぉ……」

傭兵「ふぅむ……」

側近「うええん!」

傭兵「側近ちゃん……泣くなよ。オジサン確めてきてやるから……」

側近「確めなくても

傭兵「いいから。オジサン任せとけって」

側近「………」

傭兵「………」

侍「お二方、このような場所で如何なされた?」

傭兵「侍、お前も来い」

侍「はあ?」



魔王「………」

エリゴス「つまりだ、閉じた経路に発生する起電力がその経路によって囲われた任意の面を通過する磁束の変化率に比例する事を

魔王「あ、あのねエリゴスさん……」

エリゴス「……なんだ?」

魔王「さっきから有機なんとかとか磁力のなんとかとかって言ってるけど……なんの事かな……」

エリゴス「………」

魔王「エリゴスさんの言ってる事さっぱり理解出来ないんだけど……」

エリゴス「それは……」

魔王「うん?」

エリゴス「それはだな……あれだ……」

魔王「………」

エリゴス「磁力がこうして

魔王「また話が最初に戻っちゃうよ……」

エリゴス「ぐぬぬ……」

魔王「一体何が言いたいの……?」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「あのな……我は……貴様達の……」

魔王「………」

エリゴス「こう磁力が……」

魔王「だあああ!エリゴスさん!磁力とかから離れて!」

エリゴス「ふむ……」

魔王「で?僕達のなに?」

エリゴス「………」モジモジ……

魔王「………」

エリゴス「仲間……とかな?」

魔王「は?」

エリゴス「いや……」

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「……なんとなくはわかったよ。磁力だランデブーなんたらだって言ってたのが」

エリゴス「………」

魔王「ようは仲間のように扱え。仲良くしてくださいって事でしょ?」

エリゴス「まぁ……平たく言うとそうだ……」

魔王「僕から言わせて貰うと何を今更って感じだよ……」

エリゴス「………」

魔王「一名を除いて皆エリゴスさんを仲間じゃないなんて思って無いから……」

エリゴス「誰か我を邪魔だと感じているのか……」

魔王「………」



侍「側近殿は具合でも悪いのでしょうか……」

傭兵「そうだな……」

侍「ならば拙者秘伝の丸薬を」

傭兵「いや、あれは薬じゃ治んねえ病だよ」

侍「そのような不治の病に側近殿は侵されてるので御座りますか……」

傭兵「恋の病ってやつだよ。……はあーあ」

侍「………」

傭兵「やんなるよな……こっちにはちっとも振り向いてくれねえし」

侍「………」

傭兵「かと言って放っとけねえし……ふぅ……」

侍「状況が今一飲み込めないので御座りますが……」

傭兵「エリゴスが魔王の事な……」

侍「まさか……」

傭兵「その現場を側近ちゃんが聞いちまってな……」

侍「それであのような……」

傭兵「………」

侍「で、拙者は何故に傭兵殿と大殿に会わねばならぬのですか?」

傭兵「……入らねえんだよ」

侍「どこに?」

傭兵「側近ちゃんの部屋に!」

侍「どうしてで御座ろうか……側近殿は鍵もかけておられぬ故、入るのは容易いと思うのですが……」

傭兵「な……お前は入った事あるの……?」

侍「はい。洗濯物の回収やら掃除やらで御座いますな」

傭兵「………」

侍「側近殿は怪しげな書物をべっと?と言う物の下に隠しておいでですな……あんな物……」

傭兵「侍……」

侍「どういたした?」

傭兵「その怪しげな書物について詳しく話せ……」

侍「………」

傭兵「………」

侍「詳しくと申されましてもな……男同士が抱き合ってる物やらありましたな」

傭兵「………」

侍「……?」

傭兵「これは色々と大変な事になりやがったぜ……」

侍「左様か?」

傭兵「行くぞ……」

侍「はい……?」



勇者「魔王はエリゴスたんを渡せーッ!」

勇者「ワタセー!」

勇者「魔王はエリゴスたんから離れろーッ!」

勇者「ハナレロー!」

傭兵「お前は一人でなにやってんだよ……」

勇者「デモだよ!示威運動だよ!デモンストレーションだよッ!」

傭兵「一人でそんなもんしてんじゃねえよ……それになんだ鉢巻きに書いてある春闘って……」

勇者「これ?なんか僕のお城に人が集まってた時に皆これしてたからそれで」

傭兵「………」

勇者「さあ!オッチャンも一緒に!」

傭兵「やらねえよ……」

侍「………」

コンコンッ

……誰だ?

侍「エリゴス殿、侍で御座りまする」

……開いている。入れ。

侍「ははッ!」

カチャ

勇者「なん……だと……?」

傭兵「………」

勇者「なんでオーガが簡単に扉を開けられるの……?」

傭兵「どうやら結界に反応するの……オジサンとお前だけみたいだぜ……」

勇者「酷い……汚い大人のオッチャンならまだわかるよ!なんで綺麗な子供の僕まで入れないんだ!」

傭兵「……お前が一番汚れてるんじゃねえか」

勇者「あああああ……」



傭兵、勇者「………」

魔王「……なんで君達は『こいつマジかよ』みたいな顔で僕を見るのかな?」

エリゴス「………」

傭兵 (や、やっぱりそうなのか……)

勇者 (エリゴスたんが顔を赤らめてるって事は……)

魔王「側近なら今いないけど……?」

傭兵「……それはいいんだ。知ってたからな……」

魔王「そう?」

勇者「……あ"

傭兵「待て!勇者よ……まだ慌てる時間じゃないぜぇ……」

勇者「くっ!」

魔王「何なの……一体……」

傭兵「魔王よ……磁石って言うのはな反発もするが引かれもするよな?」

魔王「傭兵……悪いんだけど単刀直入に言って貰えるかな……。例え話はちょっと食傷気味なんだよ……」

傭兵「そうかい……なら言わせて貰うぜ……」

魔王「うん……」

傭兵「……お前はエリゴスとどう言う関係だ?」

魔王「………」

傭兵「………」

勇者「魔王おぼぼ!お前は僕のエリゴスたんとイヂャイヂャイヂャイヂャイヂャイヂャしでだんだろヴぅ!」

傭兵「オジサンにそれ聞かせてみろよ……な?最初は見た目的にどうかと思ったがオジサンが口出しする事じゃねえからさ……」

勇者「うばばばば!うごご……人は……憎み過ぎると胃が痛くなってぐるんだぞぉ……」

魔王「……意味が理解出来ないんだけど」

傭兵「エリゴスによ……告白されたんだろ?ふふっ羨ましいな魔王よ!」

勇者「グガガ……胃が痛い胃が痛い……血反吐を吐きそうなくらい羨ましいぞぉぉ……魔王……」

魔王「……は?されて無いけど……」

傭兵「………」

勇者「嘘を付くなぁぁぁ……血染めの薬草お前の部屋の前にこれでもかってくらい置いてやるからなああ!」

魔王「やめて……勇者……さっきから怖いよ。……本当にそんな事されて無いから。ね?エリゴスさん」

エリゴス「……ああ」

傭兵「隠してえ気持ちはわかる。まぁバレたら勇者と同じ扱いされるもんな!」

勇者「もうぅぅこんもりと盛ってやるからなぁぁぁ……」

魔王「あのさ……なんでそんな事になってるの?」

勇者「グハハハ!お前は薬草臭いってエリゴスたんから嫌われるんだぁぁぁ……」

傭兵「お前はちょっと黙ってろよ……」

勇者「なーんーでーさーあー!おーっーちーゃーんー!」

傭兵「うるせえ!おっとエリゴスちょっとどいてくれよ」ゴソゴソ

エリゴス「………」

傭兵「ん……」ゴソゴソ

魔王「………」

傭兵「大変だよなっと」ゴソゴソ

魔王「なに……やってるの……?」

傭兵「あ?いいからいいから」

魔王「………」

エリゴス「魔王……今の状況を我に説明せよ……」

魔王「どこで聞いたか知らないけど傭兵はエリゴスさんが僕に愛の告白をしたと……」

勇者「お前に愛など無いだろぉぉ……お前はエリゴスたんの体だけ貪られればそれでいい最低な奴だぁぁ……」

エリゴス「………」

魔王「……怒るなら僕に怒らないでね。傭兵が言ってるんだから……」

エリゴス「馬鹿馬鹿しくて怒る気にもならん………ふむ?」

勇者 (ななななななになになに?エリゴスたん僕を見つめてぇ!)

エリゴス「……誰だ貴様は?」

勇者「………」

魔王「ほら……エリゴスさんが蹴りを入れた……」

エリゴス「………」

勇者「………」

エリゴス「全く覚えがない」

勇者「………」

魔王「………」

傭兵「あったぜ!ふふふ……」

魔王「君はさっきから何をやってるんだい……」

傭兵「側近ちゃんの……秘密の花園探訪よ……」

魔王「その本?」

傭兵「そうだぜ!」

魔王「そう言うのは見ない方がいいんじゃないの……」

傭兵「ここまで来て止められるか!……どれどれ!」

魔王「………」

傭兵「うわ……」

魔王「……?」

傭兵「こ、これは……キツいぜ……ほら……」

魔王「うわ……」

傭兵「………」

魔王「………」

エリゴス「………!」ビクッ!

側……「………」

エリゴス「側近……貴様は扉の隙間から覗いて何をやっているか……」

側……「なにも……」

エリゴス「………」



侍「………」

魔王、勇者、傭兵、側近、エリゴス「………」

侍 (むう……拙者まだ残っている洗濯などしたいのだが……この雰囲気では……)

魔王「さて……誰から話そう?後、側近は僕とエリゴスさんをあまり睨まないように……」

側近「………」

エリゴス「………」

傭兵「まぁ睨みたくもなるわな……」

魔王「なんで?」

傭兵「………」

魔王「あのね……愛の告白なんてされてないよ?誰がそんな事を……」

側近「私……聞いちゃったんです……」

魔王「君かい……何を聞いたの?」

側近「エリゴスさんが……魔王様にぃぃぃランデブーってぇぇううぅ!」

魔王「ああ……それ……」

側近「まさかエリゴスさんがぁぁぁ!」

魔王「お、落ち着いて側近……」

側近「落ち着いてなんていられませんよォォ!」

魔王「エリゴスさん、さっき僕に言った事をね言ってあげて……」

側近「………」ジトォ……

エリゴス「言わねばならんのか……」カァ……

魔王「そんな恥ずかしがらずに……」

傭兵、側近、勇者「………」

魔王「君達もそんな目で見ないで……誤解だから……」

側近「これが……誤解なんですか……」

魔王「誤解だよ……」

側近「………」

魔王「ほ、本当!エリゴスさん早く!」

エリゴス「うむ……そのな……貴様らの間に……その……」

側近「………」

エリゴス「ランデブー・ピッチ・マニューバを行うような……」

側近「ぁぁぁやっぱり……」

魔王「ちゃんと聞いて!」

エリゴス「つまりだ……磁束の事情をだな……」

側近「……あ」

エリゴス「………」

魔王「わかったかい?だから誤解って言っただろ……」

側近「は、はい……」

傭兵「どう言う事だ?」

魔王「エリゴスさんは仲良くしてねって言ってるんだよ……」

傭兵「なんだそりゃ……」

エリゴス「貴様!なんだとはなんだ!」

傭兵「そうなるだろ……」

エリゴス (チッ!こいつか!我を邪魔だと思っているのは!)

傭兵「今更なに言ってやがる。同じ屋根の下に暮らしてる者をよ仲間じゃねえなんて思わねえだろ……」

エリゴス「………」

魔王「そうだよエリゴスさん……」

傭兵「お前を邪魔だなんて思う奴はここにはいねえよ。まったく……そんなくだねえ事考えてたのかよ……」

エリゴス「我は……真剣に……」

傭兵「……魔王言ってやれよ。お前が気の済むまでここに居ていいぜって」

魔王「……え?い、いや……うん、いていいよ!」

エリゴス「………」

魔王「あははは!本当本当!」

エリゴス (まさか魔王が邪魔だと思っているのか…… )

魔王「………」

エリゴス「………」

側近「あの……エリゴスさん……ランデブーなんとかってなんです?」

エリゴス「それは、ある物とある物がドッキングする機動を言う」

側近「……恋愛とかとは?」

エリゴス「まったく関係無い言葉だ」

側近「そ、そうなんですか!」

傭兵「ふふっ良かったな側近ちゃん」

側近「………」

エリゴス (そう言う事か……側近は我に嫉妬と……なるほど)

魔王「……?」



魔王「誤解が解けて良かったよ……」

側近「申し訳ありません……」

魔王 (側近は僕が勇者のようにならないか心配してくれたのか……)

傭兵「本当良かったな!」

側近「……傭兵さん、その本なんです?」

傭兵「ああ……返すよ……」

側近「……?」

傭兵「側近ちゃんの趣味にアレコレ言いたくはねえが……そう言うのはな……」

側近「はい?」

魔王「傭兵……個人の自由なんだから言わない方がいいよ……」

傭兵「そうだな……悪い……」

側近「???」ペラッ

魔王、傭兵「………」

側近「ななななななんですかこれッ!」

傭兵「オジサンはそう言うの気にしないからさ……」

魔王「僕もだよ……」

側近「いや!違いますよ!私のじゃないですから!」

傭兵「いいって……」

側近「良くないです!第一こんな物と私がどう関係あるんですか!」

傭兵「自分のベットの下に隠して……」

側近「人の部屋で何をやっているんですか!?……って」

傭兵「………」

側近「……ああ、なるほど……それは私のじゃ無いです。本当に……」

傭兵「側近ちゃんの部屋のベットの下にあったのに側近ちゃんのじゃ無いって言うのか!」

側近「前にこの部屋を使ってた方の忘れ物ですよ……」

魔王「え……水の?」

側近「はい……この辺は私弄ってませんから……」

魔王「………」

傭兵「魔王……水って?」

魔王「君達の前にいた四天王の一人だよ……」

傭兵「へぇ……」

側近「傭兵さん……」

傭兵「い、いやあ側近ちゃんのだと思ってたからさ!でもオジサン安心したぜ!側近ちゃん歪んだ性癖の持ち主じゃ無くて!」

側近「………」

エリゴス「ふむ」ペラッ

側近「エリゴスさん!そんな物見ちゃ駄目です!」

エリゴス「何故だ?」

魔王「ほほほほほら!子供にはまだ早いって言うか!」

傭兵「そうだぜ!子供の見るもんじゃねえ!」

エリゴス「我は子供では無い!」

魔王「でもね!」

勇者「エリゴスたんが見たいって言ってるんだよ!いいじゃないか!」

エリゴス「いや……別に見たいとは……」

勇者「大人はすぐそうだ!子供を押さえ付けようと!」

エリゴス「………」

傭兵「……お前それ見てみろよ」

勇者「ああん!?……うわ……」

魔王「………」

勇者「エリゴスたんに相応しく無い書物だ……見ない方がいいよ……」

エリゴス「そうなのか……」

勇者「………」

魔王 (この勇者が引くなんてね……)

側近「この本……どうします?」

魔王「あっても誰も特しないからね……焼き捨てちゃいなよ……」

側近「そうですね……」

エリゴス「側近……用は済んだのか?」

側近「え?……ああ……もう一度行ってきます!魔王様達は魔王の間で待っててください」

魔王「何するの……?」

側近「ふふっ秘密です!」

魔王「………」

側近「危険な事じゃ無いですから安心してください……」

魔王「そう……?」

側近「傭兵さんも……」

傭兵「見ろよ勇者!これが大人のタンスの中味ってやつだ!」

勇者「こんな婆臭い物見せられも嬉しく無いんだけど……」

側近「………」



魔王「………」

傭兵「あがが……本の角で思いっきり殴らなくても……」

勇者「ぐああ……眉間にクリティカルヒットさせなくても……」

魔王「………」

侍「大殿、側近殿は何をなさろうとしているのでしょうか?」

魔王「さあ?……でもエリゴスさんがらみの事じゃないかな。エリゴスさんを部屋にいさせたし」

侍「ふむ……」

傭兵「オジサンは何となくわかるぜ」

魔王「へ?本当?」

傭兵「ああ!本当だぜ!オジサンは女の思ってる事はだいたいわかるからな!」

魔王「それがわかってるなら本で殴られたりしないと思うけどね……」

傭兵「あれだ!側近ちゃんはエリゴスと一緒にエロエロ下着でファッションショーをするんだ!」

魔王「………」

勇者「マジで!」

傭兵「マジだ!エリゴスとの親睦を深める為にだな!」

勇者「おおおおッ!」

魔王「やめなよ……それは君の願望だろ……」

傭兵「それでな!それでな!」

勇者「うん!うん!」

魔王「………」

侍「………」

魔王「エリゴスさんとの親睦を深めるって言うのはあるかもしれないね……」

侍「大殿、ならば拙者達も何か用意しておきまするか?」

魔王「侍、お願い出来る?」

侍「お任せあれ!」



側近「お待たせしました!」

魔王「あれ?エリゴスさんは?」

側近「この扉の向こうにいますよ!」

魔王「そうなの」

勇者「オッチャン……オバサンは普通の格好しているよ?」コソコソ

傭兵「おかしいな……」コソコソ

側近「では!エリゴスさん!」

魔王「………」

側近「………」

魔王「……?」

側近「……エリゴスさん?」

……「我は何故……」

側近「いいですから!早く!」

……「や、やめぬか!」

魔王「………」

エリゴス「………」

側近「魔王様!エリゴスさんに何か言ってあげてください!」

魔王「うん……良く似合ってると思うよ」

エリゴス「この格好がか……?こんなヒラヒラした物……」

側近「いつもの格好だと何処かの元十三人衆みたいですし……たまにはこう言うのも良いと思いますよ」

エリゴス「しかしな……」

魔王「エリゴスさん……側近のわがままだと思ってさ……ね?」

エリゴス「………」

勇者「オッチャンオッチャンオッチャン!エリゴスたんエロエロ下着じゃ無いよ!」

傭兵「それはどうでもいいわ……興味ねえし……」

勇者「良くないよ!でもドレス姿のエリゴスたんもいい……いや……でも……いや……」

傭兵「なんかガッカリだぜ……」

側近「ほらエリゴスさん!笑顔笑顔!」

エリゴス「………」ニヤリ……

側近「目が笑って無いですよ……」

エリゴス「いきなりやれと言われても出来ん……」

魔王「側近、このエリゴスさんが着てるフリフリのドレスはどこから持ってきたの?」

側近「この前ですね、お城の地下を掃除していたら見付けたんですよ!」

魔王「へぇ……?」

側近「このサイズですと私着れませんしそのままにしていたんですけど、エリゴスさんならって!」

魔王「ぴったりだよね。……でも何でこんな物が城の地下にあったんだろ」

側近「誰かの忘れ物かもしれませんね」

魔王「ん……」

側近「気になります?」

魔王「まあね……ドレス着るような魔物なんて水以外いなかったし……」

側近「………」

魔王「それにこのサイズだろ?」

側近「誰かがエリゴスさんがここへ来る事を知っていて予め置いておいたんじゃないんですか?なんて!」

魔王「………」

側近「冗談ですよ!」

魔王「あ……うん……」

側近「……?」

傭兵「つまんねえ……つまんねえ……」

勇者「いや……でも……いや……でも……」

魔王 (まさか……ね……)



侍「ささぁッ!拙者がよりをかけて作りました馳走、美肴!ご賞味あれッ!」

エリゴス「ほほう……侍、頑張ったな」

侍「エリゴス殿の為にですからな!」

エリゴス「我の為?」

侍「ははは!皆で卓を囲み食事すれば相手との距離も縮まると言うもの」

エリゴス「………」

侍「エリゴス殿との親睦、更に深まる事請け合いですぞ!」

エリゴス「そうか……ありがとう侍……」

侍「礼は……大殿にお願いしまする」

エリゴス「魔王にか?」

侍「大殿のお考えに拙者が従ったまでですからな」

エリゴス「………」

傭兵「侍!旨そうだな!」

侍「ささぁッ!大殿方もお食べに!」

傭兵「………」

魔王、側近「………」

勇者「どうしたの?」

傭兵「……勇者、先食べていいぜ」

勇者「……なんで?」

側近「あれですよ……このお城では、一番年下の方から手を付けなければならないってマナーがあるんですよ……」

魔王「そ、そう!そう!」

傭兵「な!オジサンもそれで魔王に怒られたんだぜ!」

勇者「……本当?」

魔王「本当本当!コラ傭兵!ってね!」

傭兵「マナーだからな!」

勇者「………」

側近「こうやって集まって食べる事なんて初めてですから勇者さんにはわからないんですよ!」

魔王「そうだね!」

勇者「そっか……じゃあ先にいただくね」

魔王、側近、傭兵「………」

勇者「………」カチャ……モグ……

魔王、側近、傭兵「………」

勇者「おお……美味しいねこれ!」

侍「当たり前だ。拙者が作ったのだからな!」

勇者「オーガが……?いつも食事作ってたのは……」

侍「拙者だ」

勇者「………」

侍「なんだ?問題あるか?」

勇者「いや……強いだけじゃないんだなって……」

侍「大殿に仕える者としてこの程度の事が出来なくてどうするか!」

勇者「………」

側近「エリゴスさん!まだ待ってください!」

エリゴス「何故だ?」

側近「それは……」

エリゴス「……?」カチャ

勇者「………」

エリゴス「あー……」

勇者「エリゴスたん……待って」

エリゴス「あ?」

勇者「食事のマナーと言うのはね必ず守らなければならない礼儀なんだよ」

エリゴス「………」

勇者「それが人間であっても魔物であっても関係無い。ほら、スプーンはそう握るんじゃなくてこう!」

エリゴス「………」カチャ……

勇者「背筋をもっと伸ばして!音を出来るだけ起てない!」

エリゴス「………」

勇者「口元に物を運ぶ時は静かに!それでいて優雅に!」

エリゴス「………」

勇者「ダメダメ!そうするとドレスが崩れるだろ!淑女のたしなみをもっと学ばないとね!」

エリゴス「………」

魔王、側近「………」

傭兵「凄え……勇者がまともな事言ってるぜ……」

側近「エリゴスさんの食べ方を注意してますよ……」

魔王「あれかね……王子してたからああ言うのにうるさいのかね……」

傭兵「かもしれねえな……」

側近「………」



勇者「この白身魚の煮込みいいね。確りと味が染み込んでるのに煮崩れしていない。基本がちゃんと出来てる証拠だね」

侍 (なんだ……?食事の時だけこいつが大きく見える……)

エリゴス「くっ……」

勇者「最初は難しいかもしれないけど慣れたら簡単だから」

エリゴス「う、うむ……」

傭兵「勇者の独壇場だぜ……」

魔王「それに食べても大丈夫そうだね……」

側近「そうですね……」

勇者「この付け合わせの根菜も上手く煮えてる。……飾り切った物を使っているから見た目にも楽しい、この配慮嬉しいね」

侍「………」

勇者「へぇ、この香菜で少々ダルくなった舌を蘇らせ、再び白身魚の旨味、根菜の旨味を楽しめるってわけか」

魔王「………」



勇者「この生地は練り込んだ柑橘系の皮で清涼感を出しつつうんたらかんたら……」

魔王、側近、傭兵「………」

勇者「ん?なに?」

傭兵「鬱陶しいよ……お前……」

勇者「………」

魔王「傭兵……ストレートに言い過ぎだよ……」

側近「もっと遠回しに言った方が……」

傭兵「いいんだよ。こんな美食家気どった野郎に遠慮しなくても」

勇者「あのね……食と言うのは生きる者の基本的本能のひとつなんだよ?わかる?」

傭兵「もうそんな蘊蓄いいからよ……黙って食え!」

勇者「はっ……やれやれ」

傭兵「………」イラッ

勇者「食の道を極めんとする僕の言葉はオッチャンには届かないか……」

魔王「君はどこへ行こうとしているの……」

勇者「料理会とか倶楽部とか作りたいね!」

魔王「………」

勇者「極致対無繆の対決とか息子としたいね!」

魔王「それで巨大化したり口からビーム出したりするのかい……」

勇者「そう!」

傭兵「そう!じゃねえよ……」

エリゴス「ぐぬぬ……」

側近「エリゴスさん……魚の骨取りましょうか?」

エリゴス「はあ……頼む……」

侍 (エリゴス殿は魚の小骨を取るのが苦手か……ならば次は骨まで食べられるよう柔らかく炊いてみるか……)

傭兵 (これで酒があれば文句ねえんだけどなぁ……)

側近 (エリゴスさん……こんなに魚料理に苦戦して……フフッちょっと可愛い)

勇者 (行く末は、この風猪の海賊風を作ったのは誰だぁッ!とか言いながら怒鳴りたいよねフフッ)

エリゴス (ええい!魚料理ごときに我が苦戦を強いいられるのか!)

魔王「………」

側近「……魔王様?」

魔王「うん?……こう言うのもいいねって思っただけだよ」

側近「………」

魔王「前の四天王の時は皆で卓を囲んで食事なんて無かったろ?」

側近「そうですね……」

魔王「側近……君の言う通りこのままが続くといいね」

側近「続きますよ……きっと」

魔王「………」

傭兵「侍……酒はねえのか?」

侍「ありませぬ」

傭兵「はあ?なんで?」

侍「全て使いきってしまいましたからな。ただ拙者が今醸造している物ならあり申すが」

傭兵「それでいい……どこにある?」

侍「炊事場の樽の中にありますな」

タタタタッ!

侍「………」



魔王「はあ……ふふっ」

傭兵「ガハハハ!ほらエリゴスよ!飲めよ!オジサンより歳上なんだろうが!」

側近「駄目ですよ!傭兵さん!」

侍「エリゴス殿にはまだ早いですぞ!」

勇者「エリゴスたんはロリババアなのかいッ!?」

エリゴス「………」

傭兵「ぐっと行けって!子供じゃねえところ見せてみろよ!」

側近「傭兵さん!」

侍「傭兵殿!酔い過ぎですぞ!」

勇者「それともババアロリなのかいッ!?」

エリゴス「良かろう……我を子供扱いした事を後悔させてやる……」

傭兵「おっしゃ!ほれ!」

エリゴス「………」

側近「エリゴスさん……やめた方が……」

エリゴス「貴様まで我を子供扱いか……?」

側近「い、いえ!」

エリゴス「なら黙っていろ!」

側近「………」

勇者「エリゴスたんはヤングオールドなのかいッ!?」

傭兵「ささ!エリゴス殿ぉ!グイッと!エリゴス殿!エリゴス殿!」

エリゴス「………」グッ……

侍 (拙者の真似はせんでいただきたい……)

エリゴス「………」グイッ!

傭兵「おお!あっそれ!エリゴスの!ちょっといいとこ見てみたいぃ!」

側近「………」

傭兵「イッキ!イッキ!ほれ勇者もやれ!」

勇者「え?イッキ?イッキ?」

エリゴス「くぅぅ……」ゴクゴク

側近、侍「………」

傭兵、勇者「イッキ!イッキ!」

エリゴス「……ぐはぁ!」ダンッ!

傭兵「やるなぁエリゴスさんよぉ!」

エリゴス「なめるなよ……はぁ人間め……」

傭兵「おし!今日からエリゴス殿は大人の仲間入りだ!」

勇者「それは困るよオッチャン……」

エリゴス「ふん……貴様覚えていろよ!このようなマズイ物を我……」

傭兵「……どうした?」

エリゴス「」キュウ……

傭兵「………」

側近「ええええエリゴスさん!」

エリゴス「」

側近「あああこうなるんじゃないかなってちょっとは思ってたんですよ……もう傭兵さん!」

傭兵「いや……な?こんな子供でも魔神だしな?」

側近「………」

勇者「こ

側近「それ以上言ったら殴ります……」

勇者「………」

侍「む……流石にエリゴス殿でもキツかったので御座ろうか……」

傭兵「みたいだな……オジサンにはいい感じなんだが……」

侍「竜の血と人の形をした根と、以前使用した魚の骨の汁を

傭兵「……おい」

侍「なんで御座ろうか?」

傭兵「その材料で酒を作ったのか……?」

侍「ふふん!拙者自慢の逸品になり申したぞ!」

傭兵「………」

側近「エリゴスさん!しっかり!」

エリゴス「」

側近「魔王様……私、エリゴスさんを運んで行きます……」

魔王「うん……頼むよ……」

勇者「な

魔王「君はここにいなよ……」

勇者「でも!」

魔王「……顎砕かれても知らないよ?」

勇者「………」



傭兵「うげぇ……」

侍「大丈夫で御座ろうか……」

傭兵「大丈夫じゃねえよ!なんだよ竜の血ってよ!」

侍「いやぁ……この辺りは一般に流通してる食材が少ない故、使える物は使わなければいけないので御座いまする」

傭兵「それでもだな……うっぷ……」

侍「………」

傭兵「みんな部屋戻ったみてえだしオジサンも戻るわ……」

侍「傭兵殿……少しお時間宜しいか?」

傭兵「あ?なんだ?」

侍「以前……拙者、大殿が目指す素晴らしい世と申しましたな?」

傭兵「ああ……言ってたな。それがどうかしたのか?」

侍「拙者……大殿が目指す世がどの様なものか……理解いたしましたぞ」

傭兵「へぇ……言ってみろよ」

侍「大殿は……今宵の夕げの如く皆で笑って暮らせる世を創ろうとしているのかと」

傭兵「皆で?……ここにいる奴等だけでか?」

侍「いえ!そのような狭い範囲では無く……人間も魔物も分け隔てなく暮らせる世を創ろうとしているのかと……」

傭兵「………」

侍「……そんな世にするのならば拙者、全力で大殿に付いて行く所存!」

傭兵「………」

侍「その道程が例え地獄であっても……」

傭兵「そっか……」

侍「………」

傭兵「………」

侍「大殿は……流石で御座いまする。そう思われませんか?」

傭兵「ん?ん……そうだな……」

侍「何か問題でも御座ろうか?」

傭兵「いや……ちょっと飲み過ぎただけだ。オジサン先戻るぜ」

侍「はぁ……左様か」

傭兵「………」

侍「……?」

傭兵「………」

侍「傭兵殿……」



側近「……エリゴスさん大丈夫ですか?」

エリゴス「水をぐれ……」

側近「はい……どうぞ……」

エリゴス「我は何を飲んだ……あれは酒ではないのが……」

側近「さぁ……侍さんが作った物みたいでしたけど……」

エリゴス「チッ……喉が焼けそうだ……傭兵め覚えておれ……」

側近「………」

エリゴス「……側近聞きたいがよいか?」

側近「なんです?ああ……着替えさせたのは私ですから心配なさらずに」

エリゴス「違う、そうではない」

側近「なら……?」

エリゴス「何故、魔王はあの場の輪に入っていなかった?」

側近「……輪にですか?どう言う事です?」

エリゴス「我よりも魔王の方が皆との距離を感じたが」

側近「そんな事は……」

エリゴス「それが我の思い違いならそれでいい」

側近「………」

エリゴス「だがな側近、貴様もそう感じているだろ」

側近「………」

エリゴス「………」

側近「皆で笑ったり騒いだり……そんな事は魔王様経験無いんだと思うんですよ……」

エリゴス「………」

側近「あんな魔王様でも魔物の長でしたから……友達みたいな関係の仲間なんていなかったんですよね」

エリゴス「………」

側近「……でも、今は傭兵さんとか侍さんが魔王様の側にいてくれて……勿論エリゴスさんもですよ」

エリゴス「………」

側近「それが嬉しいんだと思います。ですから……それを眺めて確めたい、感じていたいとか……」

エリゴス「………」

側近「皆から一歩離れてそれを実感したかった。だから魔王様を見てそう思ったんだと……」

エリゴス「ふむ……」

側近「これは私の推測ですから……違うのかもしれませんけど……」

エリゴス「……ふふっ」

側近「……?」

エリゴス「いや、なんでも無い」

側近「そうですか?」

エリゴス (そこに欲しい物があるのならば求めればいいものをな……魔王も側近も……我も……。それが決まり悪かろうがな……)



勇者「魔王さぁエリゴスたん召喚したんだろぉぉぉ!僕にもエッチな事に興味津々な可愛い幼女召喚してくれよぉぉぉ!」

魔王「……しない」

勇者「なんでぇぇ!魔王ばかりズルいじゃんかぁぁぁ!」

魔王「と言うか出来ないよ……」

勇者「どうしてええええ?」

魔王「語尾延ばすの鬱陶しいからやめて……こんな事言うのはアレんなだけどね……」

勇者「うん?」

魔王「エリゴスさん喚んだの偶然だったんだよ……」

勇者「………」

魔王「……だから出来ない」

勇者「また偶然に喚び出してよ」

魔王「そんな偶然が何度もあるわけ無いだろ……」

勇者「ズールーいーぞー魔ー王ー!」

魔王「………」

勇者「……ソウダッ!」

魔王「………」

勇者「魔物の中にも幼女っぽいのいるだろ!?それ紹介してッ!」

魔王「はぁ……嫌だし」」無理!」

勇者「なんで!」

魔王「なんでもなにも……この城を見たらわかるだろ?僕の側にいる魔物なんて側近くらいしかいないよ」

勇者「………」

魔王「後はエリゴスさんか。侍も力だけは化け物だけど……」

勇者「あのさ……なんでそんな事になってんの?」

魔王「僕が働かないでゴロゴロしてるのが嫌みたいでね……皆に裏切られたかな」

勇者「………」

魔王「笑っちゃうだろ?魔王なのに」

勇者「………」

魔王「………」

勇者「そもそもなんで君みたいなのが魔王やってるの?僕が言えた義理じゃ無いけど」

魔王「世襲ってやつだよ」

勇者「へぇ……魔物の世界にもそう言うのあるんだ……」

魔王「うん……僕も君と同じで魔王になんてなりたく無かったんだよ」

勇者「………」

魔王「僕みたいな皆を束ねる力も無い者が魔王をなんて無理なんだから……」

勇者「………」

魔王「かと言って他の力がある者が魔王やっても混乱が続くだけだし」

勇者「魔王さ……」

魔王「うん?」

勇者「君は戦うのとか争うのとか……好きじゃ無いの?」

魔王「はっきり言って好きじゃ無いよ。見てればわかるだろ……」

勇者「そうだけどさ……それは魔王として……」

魔王「良くないよね。でも仕方がない事なんだよ……嫌いな物は嫌い」

勇者「………」

魔王「君だけに話してあげるけど……本当はね君が真面目な勇者だったら僕逃げちゃおうかと思ってたんだよ」

勇者「は?僕真面目な勇者だろ?」

魔王「どこがだい……」

勇者「それで?」

魔王「付いて来てくれる物とひっそりとね。まぁ……それは側近くらいしかいなかったんだけど」

勇者「………」

魔王「でも今は侍も傭兵もエリゴスさんもいて……それに君がいる」

勇者「………」

魔王「このまま人間とかと争わずにならないかなって……そうすれば皆とここにいられるし……」

勇者「………」

魔王「いいよね……仲間とかって」

勇者「……仲間かぁ。僕にもちゃんとした仲間いたらこうなってないかもね」

魔王「それはどうだろ……」

勇者「頼りになる脳筋戦士とドジっ娘爆乳僧侶とツルペタ魔法使いがいたら君を倒すの頑張れたと思うよ……」

魔王「なにそのベターなパーティーは……」

勇者「現実はうまくいかないね……」

魔王「……君の仲間だった人間ってどんなんだったの?」

勇者「ガチムチ冷酷戦士とガチムチ冷酷僧侶とガチムチ冷酷魔法使い……」

魔王「あれ……?男女とか侍は言ってたけど……」

勇者「………」

魔王「………」

勇者「僧侶と魔法使いは女の人だね……」

魔王「……ガチムチなのに?」

勇者「ガチムチなのに……凄いんだよ……素手でここまで来たんだから……」

魔王「………」

勇者「もうね……回し受けとか水の上走ったりとか頭を持ってクルクル回したりとかね……」

魔王「………」

勇者「なんか遊具の周りで戦ったりすると妙に強かったり……」

魔王「………」

勇者「オーガには敵わなかったけどね」

魔王 (僕に会う前に倒してくれて良かった……)



パチッ……

傭兵「………」

傭兵「そんな世の中……なると思うのか侍……」

傭兵「人間同士だって仲良くなれねえんだぜ……」

傭兵「………」

ガサッ……

傭兵「………」

側近「また夜の森で会いましたね……傭兵さん……」

傭兵「……寒いだろ。焚き火の側に座んなよ」

側近「じゃあ……失礼して」

傭兵「また寝れなねえのかい?」

側近「今回は物理的にですね……」

傭兵「物理的に?」

側近「エリゴスさんが寝ながら私の胸噛んできたり吸ってきたりして……」

傭兵「……へぇ」

側近「冗談ですよ?」

傭兵「………」

側近「……?真剣な顔してどうかしたんですか?」

傭兵「ん……いや、なんでもねえよ」

側近「………」

傭兵「本当だって!……ほらオジサンいつも側近ちゃんにがっついてるだろ?だからさ……」

側近「はい……?」

傭兵「こうして焚き火に当たりながら……ナイフでハム削って食ってダンディーな部分を演出してよ……」

側近「………」

傭兵「静かで大人な渋いオジサンを見たら側近ちゃん惚れるじゃん?」

側近「別に……」

傭兵「……渋いんだぜ?」

側近「ですから別に……」

傭兵「そっか……」

側近「………」

傭兵「側近ちゃんさ……」

側近「なんですか……」

傭兵「もし……人間と魔物がよ、仲良く暮らせる世の中になったらどう思うよ?」

側近「……それは難しいんじゃないんですかね。悲しいですけど……」

傭兵「だよな……」

側近「でも……そう言う世の中になったら私は嬉しいですけどね」

傭兵「………」

側近「人間だから魔物だからとか柵が無い……そんな世の中なら見てみたいです」

傭兵「………」

側近「本当……見てみたいです……」

傭兵「………」

側近「………」

傭兵「オジサンも見てみたてえぜ側近ちゃん……」

側近「はい……」

傭兵「さて、寝るか。明日もどうせゴタゴタするだろうしよ。な?」

側近「……あんまりゴタゴタして欲しくないですけど」

傭兵「ふっ、それは無理な相談ってやつだぜ。勇者に侍にエリゴスがいるんだぜ?絶対問題起こすって」

側近「あとは傭兵さんもですね!」

傭兵「オジサンは……巻き込まれてる……」

側近「………」

傭兵「………」

ーー

魔王「………」

勇者「おはよー」ゴロゴロ!

魔王「君は朝早くからゴロゴロと……」

勇者「ここまで来るのにあんまりゴロゴロ出来なかったからその分を取り戻してるんだよ!」ゴロゴロ!

魔王「あんまりって……一応はゴロゴロしてたんだ……」

勇者「うん!」ゴロゴロ!

魔王「………」

勇者「ほら魔王!隣空いてるよ!」ゴロゴロ!

魔王「……君も好きだね。では……」ゴロ……

バターンッ!

側近「まままままま魔王様ぁッ!」

魔王「……何?」

側近「たたたい大変なんです!」

魔王「誰か何かした?」

側近「違いますよ!その……前の四天王の方達が……」

魔王「え?」

側近「来てます……」

魔王「………」

側近「………」

魔王「なんでまた……」

側近「このお城を明け渡せと……」

魔王「………」

側近「……今は侍さんが受け答えしてますけど」

魔王「それ余計にまずい事になるからここに通して!」

側近「わかりました!」

勇者「……?」ゴロゴロ?



魔王、側近「………」

傭兵 (へぇ……これが元魔王四天王様かい……)

侍「………」イラッ……

炎「魔王様お変わり無いようで」

魔王「炎も……他の者も変わってないようだね」

水、風、土「………」

炎「……変わりましたよ。もう皆、屑な貴方を魔王と認めていない者としてね」

魔王「ふーん……」

侍「屑とは……大殿に対してなんと失礼な……」

炎「本当の事を言ったまでだ。兵を統べる王でありながらダラダラと無駄に時を過ごし!」

魔王、勇者「………」グサッ……

炎「やる気も無し力も無し……ただ出来る事と言ったらゴロゴロし妄想に耽る事だけ」

魔王、勇者「………」グサッ

炎「貴様はこれを屑以外で表現出来るか?」

侍「は!お前は元四天王でありながら大殿の事を何も見ていなかったのだな!」

炎「………」

侍「一見……このような凡愚で屑の風体を醸し出している大殿であらせられるが……」

魔王「………」グサッ

侍「その内には大義を成そうと燃えたぎっているのだぞ!」

炎「馬鹿を言え!屑は所詮屑でしかないのだ!そのような物を考えているわけ無いだろ!」

侍「考えている!外見が屑な大殿であってもな!」

魔王「………」グサリッ

炎「………」

侍「大殿に付いて行けぬお前にはわかるまい……凡愚で屑で間抜けで腑抜けで腰抜けの朴念仁な姿でも後光がお指しになられている事に……」

魔王「………」

側近「さ、侍さん!言い過ぎですよ!」

傭兵「魔王涙目になってるだろ……」

魔王「グスッ……」

侍「大殿ッ!拙者の言葉に感動してぇ!」

傭兵「魔王よ大丈夫だぜ?オジサンはちっともそんな事思ってねえから……」

側近「ええ!そうですよ!私だってアホで馬鹿で屑な魔王様だなんて思ってませんから!」

魔王「………」

傭兵「側近ちゃん……それじゃ逆効果だぜ……」

側近「ええ!?……あれ?え?」

傭兵「………」

水「相変わらずドジな女。胸ばかりに栄養が行って頭に回って無いんじゃない?」

側近「水様……」

水「貴女見なくなってから随分立つから少しはましになってるかと思ったけど……そう簡単には変わらないわよね」

側近「………」

水「屑な魔王には……屑な貴女がお似合いね。ふふふっ」

側近「………」イラッ……

傭兵 (おいおい……なんだこのフラットバストのこの女は……)

水「貴女ここ追い出されたら行く所無いんじゃない?どお?私が下僕として使ってあげてもいいけど」

側近「結構です……」

水「そう言わないでね。私の雑用を任せられる魔物いないのよ。だから」

側近「……私は」

水「うん?」

側近「男同士でゴチャゴチャしてるのを見る趣味はありませんから」

水「………」

側近「なんですかあれ。あんなの見て楽しいんですか?ねえ?水様?」

水「な……なんの事かしら……」

側近「思春期の少年じゃ無いんですからベットの下にああ言う物を隠すのは止めた方がいいですよ」

水「………」

側近「……恥ずかしい」ボソッ

水「………」イラッ……

傭兵「魔王……早く話つけろよ……」

魔王「う、うん……炎さ、用件だけは聞こう。僕にこの城から出ていけって聞いたけど」

炎「……そうですね。魔王様……我々は貴方を魔王として認めていない。だからこの魔王の城に居座るべきでは無い」

魔王「………」

炎「それと……魔王の座も新しき魔王になる者に明け渡して貰いましょう」

魔王「新しき魔王……?」

炎「ふふっ……私ですよ。今、魔物の軍勢を統べているのは私です」

魔王「………」

炎「皆が認め……得たのです。統べる者の力をね」

魔王「………」

炎「もう魔王で無い貴方がここにいるべきでは無いし、魔王を語る資格も無い」

魔王「そう……」

炎「……どうでしょう?この事に従うのであれば私は貴方達を傷付けずこの城からお送り致しましょう」

魔王「………」

侍「なんだそれは!その用な事、大殿が聞き入れるわけ無いだろうがッ!」

炎「……貴様は黙っていろ。屑に従う屑めが」

侍「なんだと……」

魔王「さ、侍……君はちょっと落ち着こう!ね?」



勇者 (空気だな僕……)

風 (これだと……アッシは空気のまま終わってしまうでヤンス……風だけになんて!)

土 (会話に入れないでゲス……侵略したいでゲス……)

勇者「………」

風、土「………」チラッ

勇者「……え?」

風、土「………」ニヤッ

勇者「な、なに……?」

風「お前……魔王の新しい配下でヤンス?」

勇者 (……ヤンス?)

土「きっとそうでゲス!こんな弱々しい奴を配下にするなんて流石屑な魔王でゲスぅ!」

勇者 (ゲスって……)

風「そうでヤンスな!ぎゃばばばば!」

土「グスススススッ!」

勇者「………」

風「おいお前でヤンス!」

勇者「………」

風「……ヤンス?」

勇者「あんた達さ……雑魚だろ?」

風、土「ざ、雑魚ッ!?」

勇者「わかるよわかる……なんか僕と同じ空気出してるからさぁ……」

風、土「………」

勇者「うんうん!……あの一緒に来た人達強そうだもんね……」

風「こ、こいつ……」

勇者「あ!認めたく無いのは当然だよね!……でもね、現実をもっと見つめなきゃ自分が辛くなるだけだよ」

土「………」

勇者「ほら……あそこのオーガいるだろ?」

土「……艶々キューティクルの黒髪のでゲスか?」

勇者「そうそう。あの人さ……とんでも無いんだよ……」

土「どう……とんでも無いんでゲスか……?」

勇者「君は勇者の仲間は知ってる?」

土「確か……鋼の肉体を持ったど偉く強い男女だって聞いたゲスが……それが?」

勇者「それを瞬殺しちゃったんだよね……」

土「………」

勇者「もう赤子の手をへし折るが如く!」

土「そ、そんなにでゲス……?」

勇者「そんなになんだよ……あれを相手にしないといけないかもなんだよ?」

土「………」

勇者「だからさ……現実を見つめ直して雑魚同士はじっこで大人しくしてよ?ね?」

土「そ、そうでゲスね……」

風「この馬鹿野郎!何を乗せられてんだ土!そんなのこいつのデマカセに決まってるでヤンス!」

土「デマカセ……でゲス?」

風「確かにキューティクルオーガは強そうでヤンスが……我らが苦戦してる勇者の仲間を瞬殺なんて出来るわけ無いでヤンス!」

土「そうでゲスね……」

風「お前!いい加減な事言うんじゃ無いでヤンス!」

勇者「……本当だよ」

風「証拠も無しに信じられ無いでヤンス!」

勇者「証拠か……」

風「はん!出せない証拠があるはずが無いでヤンス!」



側近、侍「………」ゴゴゴゴッ……

炎、水「………」ゴゴゴゴッ……

傭兵「や、やばいぜ魔王……一触即発ってやつだぜ……」

魔王「う、うん……」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「……お前どっち止めたい?」

魔王「そ

傭兵「オジサン側近ちゃんの方な!」

魔王「なッ!き、君ズルいよ!」

傭兵「いいから!」

魔王「良くないよ!」

傭兵「女の扱い慣れてるオジサンに任せとけってッ!」

魔王「侍みたいな者の扱いも慣れてるんだろ!だから君が!」

傭兵「駄目だ!むさ苦しい野郎同士の戦いなんて誰が止めんだ!」

魔王「……君はそれを僕にやれって言ってるんだよ?」

傭兵「………」

魔王「はぁ……仕方無いね。今回は折れてあげるよ……」

傭兵「おし!」

魔王 (側近の方が危険は少ないと思うけど……ヒステリックな水を僕が止められるわけ無いしね……)

傭兵 (アホか!侍の戦闘が始まってみろ!周りなんていたら刻まれるだろうが!)

魔王、傭兵「………」

魔王「ふふふ……」

傭兵「ははは……」

魔王「そっちは任せたよ……」

傭兵「ああ……そっちもちゃんとやれよ……」

魔王、傭兵「………」



侍「……話にもならん。帰れ」

炎「貴様では話にならん。退け」

魔王「………」

侍「何が譲歩だ。ただの乗っ取りだろうが……くだらん」

炎「こちらが手を出さずこの城から出ていけるのだ。感謝して欲しいものだな」

魔王「………」

侍「感謝?……お前こそ大殿が怒りも表さず黙って話を聞いている事に感謝するんだな」

炎「魔王が黙っているのはこちらの意を受け入れたからだろ。何を勘違いしている」

魔王「いや……」

侍「ほれ見たことか!大殿は拒否なされている」

炎「……拒否なされますか魔王」

魔王「いや……」

侍「………」

炎「ふふ……この城から出て行く事を受け入れているではないか」

魔王「いや……」

侍「出ていかぬ!お前の申し出は受けられぬ……と申しているぞ?」

炎「ほう……」

魔王「いや……」

侍「ははは!流石大殿で御座いますな!」

魔王「ち、違うよ!違うからね侍!」

侍「皆まで申されずとも拙者、大殿の心中理解していますので!」

炎「私の言っている事に従えぬのなら……貴様らはどうするのだ?」

侍「決まっている!……言ってわからぬ輩なら力で排除するのみ!」

魔王「いやいやいや!まだ話し合う余地はあるから!」

侍、炎「………」

魔王「二人とも落ち着こう!ね!?」

侍、炎「………」

魔王「……こう力で解決しても双方に遺恨が残るだろ?」

侍「そのような事は無いと思われますが……」

炎「力で捩じ伏せ……それでも歯向かうのなら命散らせばいいだけの事だからな」

魔王「………」

侍「まあ……力で捩じ伏せられるのはお前になるだろうが」

炎「ほう……やってみろ」

魔王「だからね……そっちの方向に向かわないでよ……」

侍、炎「………」

魔王「炎さ……なんでこの城欲しいの?半壊してるしさ……弱点は各部屋の天井だしさ……」

炎「……わかりませんか?」

魔王「わからないよ……君達だけで新しい拠点作ればいいじゃないか」

炎「それでは意味が無い。ここが魔王の城だから欲しいのです」

魔王「………」

炎「魔王が鎮座するならば魔王の城が相応しい。ここならば魔王がいる場所として知れ渡っていますからな」

魔王「……なるほど」

炎「憎き勇者めを迎え撃つには格好の場所。ここ以外には有り得ないでしょう」

魔王「そうだね……格好の場所だね……」

侍「そんな事でこの城を明け渡せと言っておるのか……くだらんな」

炎「………」

侍「守りの考え方だな。憎いならば己で探しだしさっさと討ってしまえばいいものの……」

炎「貴様は視野が狭いな……愚かしい」

侍「………」

炎「ここで討つから意味があるのだ。さすれば人の世に絶望が広がり……」

侍「愚かなのはお前だ」

炎「なに?」



側近、水「………」ォォォオオオ……

傭兵 (やべッ……こっちの方が洒落にならんかも……)

水「……私達がわざわざ足を運んで来てあげたのに持て成しも無いわけ?」

側近「裏切って出ていかれた方にどうして持て成しもなどしないといけないんですか……」

傭兵「そうだそうだ……」

水「………」ギロッ

傭兵「………」

側近「それに持て成ししろとか……厚かましいと思いませんか?それとも恥など捨ててるのでわかりませんか?」

傭兵 (側近ちゃんの先制攻撃だ!)

水「……言うじゃない。なんでそんなに強気な態度になれるのかわからないけど」

側近「………」プイッ

水「………」ムカッ

傭兵 (おおっと!側近ちゃんの攻撃は効いているのか!?)



勇者「これ何だと思う?」

風「盾でヤンスね。それが?」

勇者「この前まで勇者にしか持てなかった盾なんだよぉ」フフン

風「へぇ……で?」

勇者「わからないの?これ持ってるって事は僕が勇者なんだよ?」

風「今は誰でも持てるんでヤンスよね?……それで勇者を語られても信じられるわけ無いでヤンス!」

勇者「ええ……困ったな。本当に僕が勇者なんだけど……」

土「……勇者が普通に魔王の城で寛いでるわけ無いでゲス」

勇者「ん……」

風「………」

土「風……こいつは放って向こう行くでゲス。話聞いてないと炎に怒られるでゲスよ」

風「……ッ!」ピコーン!

土「……?」

風「ふふ……ふふふ……でヤンス……」

勇者、土「………」

風 (この馬鹿を使って……日頃の鬱憤を晴らしてやるでヤンス……クククッ!)

土「風?……どうしたでゲス?」

風 (あのアマにさんざん馬鹿にされているでヤンスからね……ふふ!)

勇者「ヤンスさんどうしたの?」

土「さぁ……?」

風「おいお前!お前が勇者だと言う事を証明するいい方法があるでヤンス!」

勇者「……なにいきなり」

風「これをやれば……お前が勇者だって事認めてやるでヤンス……」

勇者「………」

風「……やる?」

勇者「別にいいや……」

風「駄目でヤンスッ!やらなければいけない宿命なんでヤンス!」

勇者「宿命って……どうせ危ない事だろ?」

風「……危なく無いでヤンスぅ」

勇者「………」

風「大丈夫でヤンス!何かあったらアッシと土とでお前を助けるでヤンスから!」

土「は?俺まで巻き込むなでゲス!」

風「いいからでヤンス!」コソコソ

土「良くないでゲス!」コソコソ

風「何かあったら知らんぷりすればいいでヤンスから!」コソコソ

土「……なにやるつもりでゲス?」

風「ふふふ……内緒でヤンス!」

土「………」

風「おい!耳貸せでヤンス!」

勇者「………」



傭兵「うん……なんだな。過去のわだかまりがあるかもしれねえがな?」

水「……黙れ中年」

側近「静かにしてください……」

傭兵「………」

水「……最近どお?」

側近「はい……?」

水「魔王との関係。進展あった?」

側近「………」

水「あら?まだなにも無いの……そう。ふふ」

側近「水様には……関係無いと思いますけど……」

水「まあ関係は無いわね。でも気になるじゃない?」

側近「………」

水「一方通行の恋って言うの?」

側近「………」

水「……報われもしないのに想ってるって」

側近「そ、そんな事は……」

水「無い?」

側近「………」

傭兵「………」

水「魔王に聞いてあげようか?」

側近「やめてくださいッ!」

水「……どうして?ねえ?」

側近「………」

水「ふふ面白ぉい。……貴女のその顔好きよ私……」

側近「……変わりませんね水様」

水「そお?」

側近「その陰湿で……人の嫌がる所ばかり突いて……」

水「誉め言葉として受け取ってあげるわ。ありがとう」

側近「………」

水「でも魔王も魔王よね。貴女があれだけ好き好き電波飛ばしても気づきもしないなんて」

側近「………」

水「あれかな?……こうね周りを三種の……」

側近、傭兵「……?」

水「『ああ中年……その潤んだ唇が僕の

傭兵「それはマジでやめろよッ!想像しちまうだろうがッ!」

水「なんで!?素敵じゃない!」

傭兵「気色悪いんだよ!」

水「どこが!?素敵でしょ!」

傭兵「………」

男色好きのババアは引っ込んでろでヤンスぅッ!



土「………」

風「あ、アホかお前!語尾にヤンスを付けるなでヤンス!」

勇者「ええ……ヤンスさんがそう言えって言ったじゃん……」

風「これはアッシの語尾であってお前の語尾じゃ無いでヤンス!」

勇者「じゃあ僕はどんな語尾にすればいいの?」

風「知るか!」

水「………」

風「………」

水「……今、ババアって言ったの誰?」

風「こ、こいつでヤンスぅ……」

勇者「………」

水「へぇ……」

風「ほほほ本当に……な!」

勇者「うん。ヤンスさんに言えってね言われて」

水「………」

風「デタラメ言うんじゃ無いでヤンス!」

水「どういう事かしら?説明して貰える?」

風「………」

水「ねえ?……どういう事かな?……ねえ風ッ!?」ゴゴゴッ……

風「あわわわ……」

側近「言葉通りの意味なんじゃないんですか?風様は本心を言ったまでですよ」

水「貴女は黙ってなさいよ……」

側近「私が黙ってても誰かが同じ事を言いますから意味無いですよ」

水「………」

風 (このままだとアッシ……殺されるでヤンス……)

水「なにそれ……ここにいる皆が私の事を年増だと思ってるってわけ?」

側近「あらら?自覚無いんですか?」

水「………」

側近「風様も直接言いにくいから言わせたんじゃないんですか?ねえ、風様」

風「え……側近……こっちに振られても困るでヤンス……」

水「貴方……そっちの味方するの……へぇ……」

風「………」

水「そう……私達を裏切るわけか……」

風「いやぁ……そのでヤンスな……」

水「四天王最弱が……」

風「………」カチンッ

水「貴方なんていなくても支障は無いけど、裏切るとかね……最低の行為だと思わないの?」

風「別に裏切るとか言って無いでヤンス……」

水「でもね……味方の悪口を言うのはどうかしら?例え気に入らなくてもよ?」

風「………」

水「私だって我慢してるのに」

風「………」

水「……ねえ土、そう思わない?」

土「水……言い過ぎでゲス」

水「貴方は風の味方するの……」

土「味方するとかそう言う事じゃ無くて!仲間に対して言う言葉じゃ無いと言ってるんでゲス!」

水「………」

土「風も日頃の鬱憤を晴らしたいのはわかるでゲスが、今はそんな事をしてる場合じゃ無いでゲス!」

風「………」

土「わかったでゲスか?水、風。それに誰かが下で上でなんて事は無いでゲスよ」

水、風「はーい……」

勇者 (あれぇ?この人が一番まともなのかな……)

傭兵 (あれぇ?語尾以外は一番まともだな……)

土「我らが野望を早く成就させる為にゲスな!」

勇者「……ゲスさん、質問」

土「ゲスって言うなでゲス……なんゲス?」

勇者「野望ってなに?」

土「勇者を亡き者にして人間の世界を絶望の底に陥れる事でゲス。あと侵略もでゲス」

勇者「………」

傭兵、側近「………」

土「お前も魔物ならそれくらいの事わかるでゲス?」

勇者「……いやぁ……ねえ……」

土「勇者をもうグチャグチャにしてでゲス!」

勇者「………」

風「勇者の内臓えぐり出して!そこから手を突っ込んで奥歯ガタガタ言わせるでヤンス!」

勇者「………」

水「雄に飢えてる雄の魔物の中に放り込むって言うのもアリよね……ふふ!」

勇者「………」

土「お前は勇者に何をやりたいでゲス?」

勇者「……優しくしてあげたいかな」

土「はぁ?」

勇者「うん……その方がいい。絶対にその方がいいよ……ね?」

土「………」

勇者「後さ……幼女なんかも与えて!」

土、風「………」

勇者「人間でも食べられる魔物の料理なんかもご馳走して欲しいよねぇ!」

土、風、水「………」

勇者「それでさ!うまいぃぃぃぃッ!うぅぅぅまぁぁぁいいぃぃぃぞぉぉぉぉッ!なんて言って口からビーム吐くの!」

傭兵、側近「………」

勇者「このふくよかな味わい……筆舌に尽くし難し!なんともコクがありサッパリとしてどこまでもどこまでも旨味が広がって行く……」

風「お、おい

勇者「それでね!隣にいる幼女が『勇者様!』」

勇者「『うむ……カーリカリのフーワフワ……この包み込む衣が何とも言えぬ至福の味わいを醸し出している……』」

勇者「『本当!こんな美味しい物私初めてです!』」

勇者「『ほほほ、だがな幼女よ。……ワシは幼女の方がより美味しそうで究極にして至高だと思ってる……』」

勇者「『勇者様……』」

勇者「『幼女……』」

傭兵、側近、風、土、水「………」



侍「ふふふ……」

炎「………」

侍「お前は浅いな……それしきの事しか考えられんのか?」

炎「何を……」

侍「はっきり言ってやるが……そんな事をしてなんになる?」

炎「我ら魔物の為だッ!」

侍「……なら人間はどうなる?」

炎「そんなものは決まっている。根絶やしし!それでも残っているのならば奴隷するまで!」

侍「やれやれ……お前は上に立つ器では無いな。それでは大殿の足元にも及ばん」

炎「………」

侍「お前がしようとしている事ではな……先が無い。そうですな大殿!」

魔王「……そうなの?」

侍「お惚けに……ははは!大殿!このような時にご冗談を申されるとは余裕で御座いますな!」

魔王「………」

炎「先……?ならば魔王様……いや魔王!貴方の言う先とは何なのですか……?」

魔王 (ええ……そんなの知らないし……)

炎「……お答え願いますか?」

魔王「………」

傭兵「……あれは終わってるな」

側近「もう病気ですよあれは……」

魔王「あああ!傭兵!ね!あれだね!」

傭兵「……何がだ?」

魔王「ほらほら!」

傭兵「……?」

炎「………」

魔王「炎ね……僕の口からじゃ答え難い事なんだよ……」

傭兵 (ああ……こいつ何か答えなきゃならんのに答えらんねえのか……)

炎「……ほう、魔王が言うには都合が悪いと」

魔王「そうそう!」

傭兵 (って、ふざけんな!いきなりこっちに丸投げしてんじゃねえよ!)

炎「………」

魔王「………」

侍「大殿

魔王「君は黙ってて!傭兵に言って貰うから!」

侍「は、はぁ……?」

炎「ふむ……貴様は余程魔王に信頼されているのだな」

傭兵「お、おう……」

魔王「今の魔王四天王筆頭だからね!当然だよ!」

炎「………」ピクッ

傭兵 (こ、こいつ……アホか!)

水「四天王?貴女も四天王してるの?」

側近「私は側近のままです」

土「じゃあ後一人はでゲス?」

魔王、側近 (忘れてた……)

侍「後一人はな!」

魔王「侍!黙ってようか!」

侍「大殿……」

傭兵「………」

魔王「ほら!傭兵!言ってあげて!」

炎「聞こうか。……現魔王四天王筆頭殿」

傭兵「あ……あのな……」

魔王 (傭兵!頑張って!色々な命運が君の言葉にかかっているよ!)



風「………」

勇者「『ふふ……ここがいいのかい?』」

風「………」

勇者「『あああ……お止めください勇者様……』」

風「………」

勇者「『へぇ……止めていいの?幼い体なのにこんなになってるよ……』」

風「………」

勇者「『い、言わないでください……恥ずかしい……』」

風「………」

勇者「……ってな風にッ!……あれ?」

風「………」

勇者「他の人は?」

風「……帰って来たでヤンスか?」

勇者「え?……なんでそんな優しい目で見るの?」

風「うん……いいんでヤンスよ。お前には優しく接する事に決めたでヤンスから……」

勇者「………」

風「辛い事とか悲しい事があったら何でもアッシに言ってくれればいいでヤンスよ……」

勇者「そんなの別にいいけど……」

風 (妄想癖に虚言癖……こいつはきっと何か恐ろしいめにあってオカシクなったでヤンスな……)

勇者「……?」

風 (可哀想に……)

勇者「ヤンスさん……?」

風「アッシはいつでもお前の味方でヤンスからな……」

勇者「はあ?」

風「………」キラキラッ

勇者「あのさ……止めて貰えるかな……小動物を愛でる時のような目するの……」

風「ふふ……」

勇者「………」

バタンッ……

エリゴス「………」フシュウ……

風「……なななな!」

エリゴス「ぐぬぬ……まだ頭痛が抜けぬ……」

風 (何て事でヤンスか!……洒落にならないくらい強そうな奴が現れたでヤンス……)

エリゴス「………」

風「………」

勇者「固エリゴスたん……どうしたの?」

エリゴス「……誰だこいつは?」

勇者「ヤンスさんだけど?」

エリゴス「………」

風「……お、おい!ここここここの方は?」

勇者「エリゴスたんだけど」

風「エリゴスタン……?」

エリゴス「………」

風 (エリゴスタンなんて魔物聞いた事が無いでヤンス……。それに……鎧に包まれた姿がなんとも言えず禍々しいでヤンス……)

エリゴス「……?」

風 (もしかして……魔王はアッシ達がこうなる事を見越してこのような魔物をでヤンス……?)

エリゴス「なんだ貴様……我を睨み付けたりして」

風 (ヤバイでヤンス……ヤバイでヤンス……絶対にアッシより強いでヤンス!)

エリゴス「なんだと聞いている。答えろ」

風「あ、あのでヤンスな……素晴らしい鎧を着てるでヤンスな!」

エリゴス「………」

風「その肩のエッジがシャープでモールドも細かく!」

エリゴス「………」

風「いやぁそのウェザリングしたような塗装の剥げ具合やらツェメリットコーティングが映えそうな装甲なんかいいでヤンスな!」

エリゴス「ほう……わかっているな貴様は」

風「いえいえ!」

エリゴス「おい、見慣れぬ奴等がおるが奴等は?」

勇者「さあ……?ヤンスさん達ってなんで来たの?」

風「そ、それはでヤンスな……」

勇者「僕を魔王の配下とか言ってたよね?魔王と関係あるの?」

風「………」

勇者、エリゴス「……?」

風「あれでヤンス……昔の友と言うやつでヤンス……」

勇者「へぇ!そうなんだ!」

風「そうなんでヤンス!ほら!昔の友は今も友って言うでヤンスから!」



炎「………」

傭兵「魔王はな……その……」

魔王 (僕が言えそうに無くて当たり障りの無い事でいいからね!)

炎「早く言え……」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「魔王はな……世界を統一しようとしてるんだぜ」

魔王 (は?)

炎「………」

傭兵「……魔物と人間が共存し共に暮らせる世を造る為にな!」

炎「………」

魔王 (ええ……なにそれぇ……。確かに僕が言えそうに無い事だけどさ……)

傭兵「驚いたろ?普通はこんな事考えないよな。自分が命狙われてるって言うのにだぜ」

炎「……確かに驚いたな。馬鹿馬鹿し過ぎて……」

傭兵「あ?馬鹿馬鹿しいだ?」

炎「そうだろ、どこかのイカれた神が言っている戯言のような事出来る筈が無い」

傭兵「………」

炎「お前はそれを本当に信じるのか?」

傭兵「……信じるさ。現に今だって魔物と人間が一緒にいられるんだぜ」

炎「……人間?」

傭兵「俺は人間だ」

炎「………」

傭兵「正真正銘のな。……あと、こいつも人間だ」

侍「………」

炎「………」

傭兵「魔王にとっちゃ魔物だ人間だなんてどうでもいい事なんだよ。わかったか」

炎「わかるか……そのような事……」



魔王「………」

風「おっす!チャンマオ!元気してるでヤンス?」

魔王「……チャンマオ?」

風「やだなぁ!いつもそう呼んでるんじゃないでヤンスかぁ!」

エリゴス、勇者「………」

魔王「………」

風「ほらぁいつもみたくゴロゴロしてるぅでヤンス?」

魔王「君はなんでそんな馴れ馴れしくするの……?」

風「………」

魔王「……?」

勇者「魔王とヤンスさんは友達なんだろ?」

魔王「………」

風「そうなんでヤンス!ね!チャンマオ!」

魔王 (エリゴスさん見たのか……相変わらず自分に矛先が向かないように直ぐ見破られる嘘を……)

風「暫く見ないうちに強そうな奴引き入れて!コノコノ!」

魔王「………」

エリゴス「魔王よ、ここにいる見慣れぬ奴等は……元の四天王か?」

魔王「そうだね……」

エリゴス「ふむ……」

風「わかりましたでヤンス?アッシはただ友達のチャンマオに逢いに来ただけでヤンスよぉ」

エリゴス「………」

風「………」

エリゴス「なら何故、貴様だけで無く他の者も一緒にいるのだ?」

風「ええと……それはでヤンスな……」

エリゴス「魔王よ、そもそもこいつらは何故いる?」

魔王「この城を明け渡せってさ。それで僕に出て行けとね」

エリゴス「なるほど。……ならばこいつらは敵だな?」

風「………」



土、水「………」

側近「………」

水「な、なにあれ……」

土「よ、鎧でゲスな……」

水「そんなの見ればわかるわよ……」

土「そうゲスか……」

側近「………」

水「……私達より強そうよね」

土「そうゲスね……」

水「あれって俗に言う裏ボスってやつかしら……」

側近「違いますよ」

土「え……ならゲス?」

側近「今の魔王四天王の一人ですよ」

土「………」

水「……嘘よね?」

側近「嘘なんか言ってもしょうがないです。本当の事ですよ」

土「じゃ、じゃああれは見かけ倒しなんでゲス!」

側近「見かけ倒し……に見えます?」

土「………」

水「な、ならどう強いのか言って御覧なさいよ!」

側近「……知らない方がいいと思いますけど」ニヤ……

水「そんな事言って!言えないんでしょ!」

側近「言えますよ。……このお城、半分ありませんよね?」

土「……確かにゲス。何か強力な力で削り取られたような感じでゲスが……」

側近「あの方がやったんですよね……」

水、土「………」

側近「ズバァァって!私はそれを目の前で見てましたから……」

土「う、嘘……でゲス……」

側近「別に信じなくてもいいですよぉ……」

水「土!どどどどどうするのよ!?」コソコソ

土「おおお落ち着くでゲス!我等には炎がいるでゲス!」コソコソ

側近「………」

水、土「………」



炎「よりにもよって人間と共存などッ!」

傭兵「……出来ないってか?」

炎「当たり前だッ!」

傭兵「めんどくせえ奴だな。人間が魔物がなんて考え捨てちまえよ」

炎「……ググガ」

傭兵「お互い歩み寄ればこうして話も出来るだろうが」

炎「……歩み寄った所で刺し合うとは考えんのか!」

傭兵「………」

炎「戦い合っている者が今更手を結べるとでも?何も蟠りも無く!」

傭兵「出来るさ。……あの魔王ならな」

炎「………」

傭兵「だからよ、このままお前ら帰ってくれねえか?」

炎「……我々に引けと?」

傭兵「そうだ。どのみちお前らには勝ち目が無いしな」

炎「……ふざけるな!そんな……オゴッ!」

傭兵「オゴッ?」

炎「………」ガタガタ……

エリゴス「貴様か?魔王を語ろうとしている輩は」

炎「………」

風「そんなんでヤンスよ!チャンマオじゃどうしようも無いから私が魔王やるって!」

エリゴス「ほう……」

風「仮面なんか着けちゃって!『我等……魔物の為に人間を討ち滅ぼす刃となろうッ!』とか言っちゃう奴でヤンス!」

エリゴス「………」

炎「………」

風「エリゴスタン様の前でも同じ事言えるでヤンスかねぇ!ちゃんちゃら笑っちゃうでヤンスぅ!」

炎 (こいつ……後で八つ裂きにしてやる……)

傭兵「エリゴス……今はオジサンがこいつと話してんだ。邪魔するな」

エリゴス「そうか」

傭兵「……悪いな。邪魔入っちまって」

炎「………」

傭兵「……どうした?」

炎「な……なんでモナイヨー」

傭兵「……は?」

魔王、側近「……え?」

水、土、風「……え?」

炎「………」

傭兵「ど、どうしたんだ?そんな声出しやがって……」

炎「モトモトこんな声だったじゃ無いですかーヤダナーハハハ!」

傭兵「………」

侍「ふざけるなッ!」

炎「フザケテ無いですヨー」

エリゴス「………」

炎「………」ガタガタ……

水「ち、ちょっと炎!どうしたのよ!」

土「そうでゲス!いつもの威勢はどこ行ったでゲス!」

風「炎ちゃんビビってる!ヘイヘイヘイ!」

炎「………」

水「あんた!どっちの味方なのよ!」

風「アッシは強い方の味方でヤンス!」

水、土「………」

風「エリゴスタン様見た途端オカマみたいな声出して!こんなビビりの仮面野郎なんかの下になんか付けないでヤンス!」

土「お前ッ!それでも仲間だろうがでゲス!」

風「仲間?は!寝言は寝て言えるでヤンス!」

水「あんた最低ね……」

土「ゲスが……ゲス」

風「ゲス言う方がゲスなんでヤンス!」



風「こいつ本当は一番弱いんじゃないでヤンスか?ぎゃばばばばばッ!」

炎 (真の屑め……こちらの事情も知らず言いたい放題……)

エリゴス「………」

風「ね!?エリゴスタン様もそう思うでヤンスぅ?」

エリゴス「……ヤンスよ」

風「ヘイ?」

エリゴス「貴様は……仲間を蔑ろにするのか……」

風「………」

エリゴス「仲間と言う物は……そんな事をしていい物なのか……」

風「……あ、あれ?」

エリゴス「………」

風「そそそそそう言うわけじゃ無いでヤンス!ね!水、土、炎!」

炎、水、土「………」

風「………」

エリゴス「……貴様、己のしている事に恥じれッ!」バッ!

ズガァァァンッ!

エリゴス「ふん!馬鹿めが……」フシュウ……

魔王、側近、傭兵「………」

水、土「………」

炎「………」

水「……ねえ土」

土「なんゲス……」

水「これって……四天王の一人がやられちゃったのよね……」

土「そうゲスな……」

水「なら……アレ言うの?」

土「……まあ、言わないといけないでゲスな」ニヤ……

水「そっか……」ニヤ……

炎 (ああああ!お前達今それをやるのか!)

魔王、側近、傭兵「……?」

炎「………」

水「フフフ……風がやられたようね……」

土「くくくッ!奴は魔王四天王の中でも最弱でゲスッ!」

炎「………」

水、土「………」

炎「………」

水、土「……?」

炎「………」

水「……炎……早く言いなさいよ!」

土「そうゲス!何やってるでゲスか!」

炎「……アア、アレかなー」

水「ふざけてないでちゃんとやりなさいよ!」

土「形式美を疎かにしちゃ駄目でゲスッ!」

炎「………」

水「いい!?また最初っからやるから!次はちゃんとやりなさいよ!」

土「まったく……四天王の長としての自覚が無いわけじゃないゲス?しっかりしてくれでゲス」

炎「………」

魔王、側近「………」

傭兵「……これは聞かねえとまずいのか?」

側近「聞いてあげてください……」

魔王「四天王ならしなきゃいけない事だからね……」

傭兵「……は?もしかしてオジサン達もあれやらなきゃいけないのか?」

魔王「そうだよ?なに言ってるの……常識だよ?」

側近「そうですよね」

傭兵「………」



炎「………」

水「オホンッ!……フフフ!どうやら風がやられたようね!」

土「くくくッ!奴は魔王四天王の中でも最弱でゲスッ!」

炎「あ……あ……」

水、土「………」

炎「……ええいッ!エリゴス様ごときにやられるとは四天王の面汚しよッ!」

エリゴス「………」

炎「………」

水、土「アハハハハハッ!……ん?」

魔王「おお……やっぱり生で見ると違うね側近」

側近「そうですね!」

魔王、側近「……ん?」

傭兵 (あれならオジサン最弱でいいや……んん?)

炎「………」

水「ねえ……聞いていいかしら?」

炎「……なんだ?」

水「あんた……なんでこの方の名前知ってるの……?」

炎「………」

土「知り合いなんでゲスか?」

炎「そうだな……」

エリゴス「………」ジィ……

炎「………」ダラダラ……

エリゴス「その声……貴様は火か?」

炎「はい……お久し振りで御座います。エリゴス様……」

エリゴス「………」

魔王「……どういう事?」

エリゴス「こいつは……我の部下だった奴だ」

魔王「へぇ……なるほど。魔物の中でも異様に強かったのはそれでか……」

エリゴス「貴様……何故、名を変え仮面など付けている?」

炎「……私はもう過去の私では御座いませんので」

エリゴス「………」

炎「エリゴス様の元にいた火は既にいないもと思って頂きたい……」

エリゴス「むぬ……」

炎「………」

侍 (エリゴス殿を見て様子がおかしくなったのはそれでか……)

炎「何故このような場所で……とお思われでしょうが、ここでなら私の求めていた物が手に入るからで御座います……」

エリゴス「求めていた物?」

炎「……私による統治」

エリゴス「………」

炎「私を慕い共に歩める者との世界……それを私が統治する……」

エリゴス「………」

炎「……エリゴス様の下にいたのでは到底成し得なかった事で御座いましょう」

エリゴス「我の元を去ったのはそれが理由か?」

炎「それだけでは御座いませんが……」

エリゴス「貴様は魔王を名乗ると言ったな?……魔王の下に世界を統治するのか?」

炎「はい」

エリゴス「その世界では貴様を慕っている者以外はどうなる?」

炎「……邪魔な者は排除致します」

エリゴス「………」

炎「私の世界には不要なので。……特に人間は」



勇者「………」

風「オゴゴ……」

勇者「……誰もヤンスさんの事気にしてないよ」

風「ぐがが……」

勇者「まあ……あれだけ言いたい放題してたんだから当然だけど……」

風「ひぶぶ……」

勇者「ヤンスさん……」

風「あ……あ……目が……霞んできた……でヤンス……」

勇者「………」

風「この戦いが終わったら……告白しようと……」

勇者「誰に?」

風「……ツルペタサキュバス」

勇者「なッ!?」

風「こう……幼女っぽくて……それでいてエッチな事に興味津々でヤンス……」

勇者「………」

風「ふふ……でも……叶わない願いみたいでヤンスね……」

勇者「……なんで?」

風「もうアッシの……ゲハッ!……はぁ……命も長くないみたいでヤンス……」

勇者「………」

風「………」

勇者「………」

風「……?」

勇者「まだ命無くならないの?」

風「お前は!」

勇者「ツルペタサキュバスたんは僕に任せとけばいいから!ヤンスさん死んでいいよ!」

風「………」

勇者「ねえ早く!まぁだぁッ!?」

風 (アッシの上を行くゲスっぷりでヤンス……)

勇者「お願いだからぁ!」

風「………」

勇者「ヤンスさんの分までしっかりツルペタサキュバスたんを堪能するから!」

風「……お前、そのツルペタサキュバスの居場所わかってるでヤンス?」

勇者「え?……どこにいるの?」

風「お前には絶対教えないでヤンス……」

勇者「ええッ!?さっき僕には優しくしてくれるって言ってじゃん!」

風「お前はそれに対して早く死ねって言ったでヤンスよ……」

勇者「それはそれ!これはこれだろ!」

風「………」

勇者「しょうがないな!じゃあ交換条件でいいだろ!?」

風「交換条件でヤンス……?」

勇者「そう!ヤンスさんはツルペタサキュバスたんの居場所を僕に教える!」

風「で、お前はでヤンス?」

勇者「ヤンスさんの傷を全回復してあげるから!」

風「回復……お前そんな事出来るでヤンス?」

勇者「もちろんさ!出来なきゃ言ってないよ!」

風「へぇ……」

勇者「どおッ!?」

風「………」

勇者「………」ソワソワ!

風 (……まあ、回復して貰って約束を反故すればいいでヤンスね)

勇者「サキュバスかぁ……全男子の夢と希望だよね!ツルペタなら尚更ッ!」

風 (本当に出来るのかさえ怪しいもんでヤンスからね……)

勇者「ああああ!どうしよ!どうしよ!」

風「わかったでヤンス……その交換条件を飲むでヤンス」

勇者「本当ッ!?やったぜぇぇ!」

風「………」

勇者「じゃあさっそく!」

風「回復してくれでヤンス……」

勇者「はぁぁ?ツルペタサキュバスたんを僕に会わせるのが先でしょ!」

風「お前……アッシは今、怪我をして動けない状態なんでヤンスよ?」

勇者「だから?」

風「だからって……」

勇者「あ!気にしなくていいからね!」

風「……は?……アッシがポックリ逝っても僕は気にしないから!とでも言うつもりでヤンスか……?」

勇者「おお!当たり!」

風「………」

勇者「……早くしてよ。こっちはエリゴスたんにお触り出来なくてフラストレーション溜まってるんだから……」

風「……?」

勇者「………」

風 (こ、こいつ……ロリコンだけじゃなくアーマーフェチズム略して鎧フェチまで発症してるでヤンスか……)

勇者「………」

風「あ、あのでヤンスな……アッシが回復したら……素早く行動出来るでヤンスよ?」

勇者「ああん?それで?」イラッ

風「……素早くツルペタサキュバスの所まで行ける……でヤンス」ニヤ

勇者「な、なるほどッ!目先の欲に駈られて全然思い付かなかったよ!」

風「先に回復……してくれるでヤンスな?」

勇者「もちッ!」

風 (よし!)

勇者「じゃあいっくよぉッ!……病入膏肓心身耗弱焼肉定食……」

風「………」

勇者「心身喪失茫然自失四捨五入……」

風「ち、ちょっと待つでヤンス!……それはなんでヤンス?」

勇者「何って回復呪文だよ?」

風「心身的に悪影響が出そうな呪文でヤンスね……」

勇者「いいから!邪魔しないで!……リーチ一発フィレオフィッシュ単品プリーズぅぅぅッ!!!」

風「……リーチ一発って」

バァァァアアアッ!!!

風「え……おおおおッ!」



炎「……そもそも何故エリゴス様がこの世界にいるのです!」

エリゴス「………」

炎「冥界の騎士であらせられる貴女が魔物や人間のいる世界で一体何をなさるおつもりなのですか!」

エリゴス「火よ、簡単な事だ。……我は召喚されここにいる」

炎「……ご冗談を。エリゴス様程の魔神を召喚など一体誰がすると言うのです!」

エリゴス「我は今、四天王の一員だ。ふふふ……この言葉の意味わかるであろう」

炎「馬鹿な……」

魔王「………」

炎「己の野望の為に……エリゴス様まで利用しようと言うのですか魔王……」

魔王「いや……そんなつもりは……」

炎「ならば何の為にエリゴス様を召喚されたのです!」

魔王「………」

傭兵 (言えるわけねえよな……)

側近 (言えるわけ無いですよね……)

炎「それにエリゴス様!召喚された身とは言え貴女は魔王の下に就いて何も思われないのですか!」

エリゴス「思わん。今はこれで良かったとさえ我は思っているぞ」

炎「………」

エリゴス「……ふふ。魔王の下と言うのも中々に居心地が良いぞ」

炎「エリゴス様……お変わりになられましたな。……過去の貴女からでは聞けぬ言葉で御座います」

エリゴス「お互い様だろ。貴様も変わったのだからな」

炎「そうですね……」

エリゴス「………」

炎「……もしお相手するのだったならば過去の貴女が良かった。それならば躊躇無く斬れましたものを……」

エリゴス「ほう……」



勇者「あわわわわわ……」

風「おおッ!」

勇者「………」

風「お前凄いんでヤンスな!」

勇者「………」

風「んん!はあ……こんなに体が軽くなった事は無いでヤンスよ!」

勇者「………」

風「何故か重心が前にかかるでヤンスが……気になる程のものじゃないでヤンスし!」

勇者「そう……」

風「まさか本当に出来るとは思って無かっでヤンス……」

勇者「………」

風「これだと……交換条件を飲まないわけにはいかないでヤンスな……」

勇者「……いいよ」

風「ええッ!?お前あれ程ツルペタサキュバスたんが言ってたのにどうしてでヤンス!」

勇者「………」

風「……?」

勇者「マジでごめんなさい……」

風「何で謝るんでヤンスか……?」

勇者「いや……」

風「………」

勇者「僕の事のは気にしないでよ……ヤンスさんが治れば僕は満足だからさ……」

風「お前……凄いいいやつなんでヤンスな……」

勇者「………」

風「おし!チャンマオ勢におべっか攻撃してくるでヤンス!」

勇者「止めた方が……」



炎「………」

エリゴス「………」

魔王「えええエリゴスさん!ちょっと落ち着こう?ね?」

側近「そそそそうですよ!」

エリゴス「……我を斬ると言っているのだぞ?ならば相手をしてやるのが道理だろ」

侍「そうで御座いますな!」

魔王「君は黙ってて!」

侍「………」

水「ほほほほ炎!魔神って!騎士って何よ!?」

炎「知らないのか?エリゴスと言う魔神を」

水「………」

炎「名前ぐらいは聞いた事があるだろ。あの地獄の魔神だぞ?」

土「有名でゲスからね……」

水「………」

炎「……?」

土 (あれ……?こいつマジで知らないゲスか……)

水「……つ、土!エリゴスって?」コソコソ

土「水……」

水「仕方ないでしょ!知らない物は知らないんだから!」コソコソ

土「魔物の中であの魔神を知らないなんて水ぐらいでゲスよ……」

炎「どうした?」

水「ななななんでも無いわよ!」

炎「そうか?」

水「………」

土「………」

水「……で、あれどれくらい強いの?」コソコソ

土「水と俺が百人乗っても大丈夫なくらいでゲス」

水「な……マジで?」

土「本当でゲス……」

水「……!」

土「……なんゲス?」

水「あんた……それ私が重いって言いたいの?」

土 (何でこう言う事は気付くの早いんでゲスか……)

風「エリゴスタン様ぁ!チャンマオぉ!」

魔王、側近、侍、エリゴス、水「……?」

傭兵、炎、土「ッ!?」

勇者「………」

風「グヘヘヘェ先程は失言した事お詫びするでヤンス!」

エリゴス「………」

風「どうかよしなによしなにぃ……」

エリゴス「……誰だ貴様」

風「は?や、やだなぁそんなご冗談を!」

エリゴス「………」

風「ね?チャンマオ!」

魔王「僕の事をチャンマオって言う事はもしかして君は風なの……?」

風「確認するまでも無い事だと思うでヤンスが……」

魔王「………」

風「……な、なんでヤンス?」

土「本当に風でゲスか……?」

風「そうでヤンス……」

側近、水「………」

風「何故二人は冷たい視線で見るでヤンスか……?いや、心当りはあるでヤンスが……」

側近、水「別に……」

風「………」

傭兵「………」ジィィィィ!

風「あんまり見るなでヤンス……」

土「………」ジィィィィ!

風「……お前もなんでヤンス」

炎「………」

魔王「君さ……」

風「はいでヤンス?」

魔王「変身能力なんてあったの?」

風「……そんなの無いでヤンスが」

魔王「ならどうして女の格好になってるの?」

風「はぁ?」サワサワ

魔王「………」

風「………」サワサワグニグニ……

魔王「………」

風「なななななんじゃこりゃぁぁぁぁぁあでヤンスぅッ!」

勇者「………」

風「パイオツカイデーでヤンスぅッ!」

魔王「………」

風「ななななんなんなんなんで!?」

土「………」

風「つ、土!アッシの体がこんなんになっちゃったでヤンス!」

土「……いいんじゃないゲス?」

風「……は?」

土「俺は……そっちの方がいいと思うてゲスよ……」

風「………」

傭兵「へぇ、お前もそう思うかい?」

土「当然!」

傭兵「奇遇だな。オジサンもそう思うぜ……ふっ」

風「やめろでヤンス……」

土「知らなかったでゲス……お前にそんな戦闘力があったなんてでゲス……」

傭兵「くっ……こいつは羨ま……けしからん戦闘力だなッ!」

風「……本気でやめろでヤンス」

水「………」

風「な、なんでヤンス?」

水「ちょっとぐらいデカイからっていい気になってんじゃないわよ」

風「へ?」

側近「そうですよ。なんですかポッと出の癖に……」

風「………」

水「あんたね……私よりは劣るけど少し美人になったからって調子に乗ってるじゃないの?ねえ?」

風「………」

側近「そうですよ。私よりは劣りますけど少し胸が大きいからって調子に乗ってますよね?ねえ?」

風「そんなつもりは無いでヤンス……」

水「ふぅん……」

側近「へぇえ……」

風「………」



風「………」

魔王「何がどうなったらそうなるのさ……」

風「わからないでヤンス……いつのまにか……はっ!」バッ!

勇者「………」

風「まさか……お前が……?」

勇者「……違うよぉ。僕知らないしぃ……」

風「ちゃんとこっちを見ろでヤンス……」

魔王「……何かされたの?」

風「こいつに回復して貰ったでヤンス……」

魔王「それで気が付いたらその体になっていた……と?」

風「はいでヤンス……」

魔王「………」

勇者「ほほほほほ本当に僕は回復しただけなんだよ!」

魔王「ならなんでこうなるの……」

勇者「知らない……僕にも何がなんだか……」

魔王「………」

侍「その回復と言うのはどうやるのだ?」

勇者「え?こう呪文をナムナムカーって」

侍「……人間以外に使った事は?」

勇者「無いよ……」

魔王「………」

勇者「………」

侍「………」

風「元に戻せでヤンス!」

勇者「知ってたらこっそり戻してる……」

風「………」

土「風よ……」

風「ああああ……なんでヤンスぅ……」

土「俺は四天王にとってお前が如何に必要か今知ったゲス……」

風「………」

土「……さっきはゲスって言って悪かったなでゲス」

風「………」

土「これからは共に手を取り合って!進もうではないかでゲス!」

風「………」

土「……な!」ビシッ!

風「もっと目線を上げろでヤンス……全くもって説得力の欠片も無い発言でヤンスよ……」

土「仕方無いでゲスろ!」

傭兵「おいおい……今更見捨てた仲間を引き戻すのか?」

土「……お前には関係無いでゲス」

傭兵「いいや、関係あるな。……こいつはもうこちらの仲間だ」

土「………」

傭兵「……そうだろ?な!」ビシッ!

風「だから目線を上げろでヤンス……」

土「出来たらやってるでゲス!」

傭兵「凄え魔力が目線を強引に下げるんだよ!」

風「………」

側近「………」グイッ!

傭兵「いててててッ!いてぇって側近ちゃん!耳引っ張らないでぇ!」

水「………」グイッ!

土「あががががッ!目の中に指突っ込まないでゲスぅ!」

風「………」

水「……チッ」

風「アッシは何も悪い事してないでヤンスよ……」



炎「………」

エリゴス「どうする火よ。……我を越えこの世界を支配するか?それともここで我に討たれ朽ち果てるか?」

炎「………」

エリゴス「貴様には後、このまま引き下がると言う選択肢もあるがな」

炎「………」

エリゴス「………」

炎「ぐぬぬ……」

バターンッ!

使い魔「キィーッ!キィーッ!」

炎「なんだッ!入って来るなと言っておいた筈だ!」

使い魔「キィーッ!」

炎「……なに?」

使い魔「……キィ」

炎「………」

エリゴス「……それは貴様の使い魔か何かか?」

炎「はい……」

エリゴス「何やらただ事では無いようだが?」

炎「………」

エリゴス「………」

炎「人間の軍隊が攻めいってきたようです……」

エリゴス「ほう……」

炎「チィ……人間め……」

エリゴス「……ならばこの場は引くのか?」

炎「流石に双方を相手にする程愚かではございませんよ……」

エリゴス「………」

炎「水!土!……それと風、出直しだ!」

水、土「は?なんで?」

炎「人間共が攻めいってきた。迎え撃つぞ」

水「へぇ!そうなの!」

土「………」

水 (このどさくさに紛れて風をね……ふふっ)

土 (なんか悪そうな事考えてる顔してるゲス……)

炎「風……」

風「へい……?」

炎「貴様は私の後ろにいろ。……片時も離れるのではないぞ?」

風、水、土「は?」

炎「貴様の事は私が全力で守ってやる……この命に代えても貴様に指一本触れされはしない!」

風「い、いや……あのでヤンスな……」

炎「………」

風「何でそんな事になるでヤンスか……?」

炎「言わせるな……面はゆいだろ……」

風「………」



エリゴス「………」

傭兵「なんだぁ?奴ら何かあったのか?」

エリゴス「人間の兵が押し寄せているようだ」

傭兵「な……」

エリゴス「……あ奴らは、この場を引き人間との戦いに出るようだぞ」

傭兵「………」ダッ!

魔王「傭兵!どこ行くの!」

傭兵「上だ!ここからじゃ状況がわからんだろ!」

魔王「………」

側近「魔王様……」

魔王「なんか……来る時が来ちゃった感じなのかな……」

側近「………」

魔王「覚悟はしていたつもりなんだけどね……」

側近「………」

魔王「まあ……覚悟なんて言ってもこの勇者見ちゃった後だとその覚悟も必要無いんじゃないかなぁなんて思ってたんだけど」

勇者「魔王……」

側近「確かに必要ありませんよね……勇者さんなら!」

勇者「あれ?……僕馬鹿にされてる?」

魔王「そうじゃ無いよ。……君がここにいるなら人間も攻めて来ないんじゃ無いかなって思ってたの」

勇者「あのさ……魔王?僕がここにいる事なんか知ってるのかな?」

魔王「さあ?……でもね、勇者居なくなったら困るだろ人間は」

勇者「……困るかどうかは自信無い」

魔王「……それは置いといて、勇者を探すくらいはすると思ってたんだけど……それもなく攻めて来るとはね……」

勇者「………」

魔王「困ったね……」

侍「大殿……如何致す?」

魔王「………」

侍「拙者は……断固戦うべきだと思うので御座るが……」

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「エリゴスさんはどう思うかな……」

エリゴス「さあ、知らぬ」

魔王「………」

エリゴス「己で考えろ。……我は貴様の配下だ。貴様の選択に従うまでだ」

魔王「………」

エリゴス「それがどのような選択でもな。……だがな魔王、その選択が間違いであり最悪の結果になろうが我は最後まで貴様に従うと約束をする」

魔王「………」

エリゴス「……仲間なのだからな」

魔王「………」

侍「拙者も同じで御座りますぞ大殿!」

側近「わ、私も同じです!」

魔王「………」

侍「お前もそうだな!?」

勇者「……え?……いや……」

侍「………」スチャ

勇者「同じ!同じ!やだなぁ!ははは……」

魔王「僕は……正直、逃げるべきだと思うんだ……」

エリゴス、侍「………」

魔王「誰も傷付けたく無いし傷付くのも嫌なんだよ……」

側近、勇者「………」

魔王「僕さえ何もしないで何処かに消えちゃえばそれで収まるだろ?」

傭兵「……それはどうかな」

魔王「へ?」

傭兵「………」

魔王「傭兵……どうかなって何さ……」

傭兵「遂に来たってやつだ。……ちょっとオジサンに付いて来い。あいつらも連れてな」

魔王「………」

傭兵「先に上にいるからよ……」

魔王「………」

エリゴス「魔王……」

魔王「うん……」

勇者「オッチャン何するつもりなの……」

魔王「わからない……けど、行こう……」

勇者「………」

ーー

炎「我らを連れて来て何をするつもりだ?」

傭兵「……お前ら本当にこの数を相手にするのか?」

炎「当然だ!」

エリゴス「ふむ……ざっと十万か」

侍「何がで御座ろう?」

エリゴス「ここから見える兵の数だ」

魔王「十万って……」

傭兵「………」

勇者「こんな事するなら勇者いらないじゃん……」

傭兵「いや、勇者は必要なんだぜ」

勇者「なんで……」

傭兵「………」

魔王「傭兵……聞いていいかな?こんな事は聞かないつもりだったけど……君は何者で何をしようとしているの……」

傭兵「……魔王よ」

魔王「うん……」

傭兵「多分……こうなったのはオジサンの責任だ。すまねえ……」

魔王「なんなの責任って……」

傭兵「止められなかった事のな。どうも痺れを切らしたらしい……」

魔王「………」

傭兵「オジサンが自分の仕事を放置した事にな」

魔王「本当に一体何者なの……」

傭兵「いいから聞け!魔王……人間が描いた魔王討伐のシナリオってやつがあるんだわ」

魔王「シナリオ……?」

傭兵「勇者は必ず魔王を打ち倒す。何がなんでも魔王を倒すんだ」

魔王「なにそれ……」

勇者「……そんなの聞いた事無いよ」

傭兵「だろうな」

魔王「それ……僕が倒されなかったら失敗だよね……?」

傭兵「いいや、必ずだ。必ず魔王は倒される」

魔王「意味がわからないんだけど……」

傭兵「勇者に何か不都合が起きても魔王は倒される。それが死んだ事になってもな……」

魔王「………」

傭兵「それで、魔王と勇者が対峙した時……この城を含めここら一帯消滅させる」

魔王「そんな事って……」

傭兵「……そんなシナリオだった筈なんだが」

魔王「え?」

傭兵「それをやる奴が放棄しやがったのさ」

魔王「まさか……」

傭兵「そうだな……その役はオジサンがする筈だった」

魔王「放棄した理由って何なの……」

傭兵「それは……まあ簡単だ。側近ちゃんがいたからだな」

側近「私……ですか?」

傭兵「………」

炎「……愛故の放棄か。ふふふ……」

傭兵「笑うな……」

炎「悪かった……そう言うつもりで笑ったわけではない。貴様の行動した理由……実によくわかるぞ」

傭兵「あ?」

炎「愛故に……なぁ風よ」

風「やめろ……やめろ……やめろ……」

傭兵「………」

魔王、勇者、側近、水、土「うわ……」



傭兵「それでよ……側近ちゃんがいて……」

側近「………」

傭兵「こんな魔王いて……」

魔王「………」

傭兵「侍によエリゴスがいて……」

侍、エリゴス「………」

傭兵「どうしょうもねえ勇者がいるんだ……」

勇者「オッチャンにどうしょうもねえなんて言われたくないね……」

傭兵「そんな奴らに囲まれて暮らして……出来ると思うか?いくら仕事だからってよ……」

魔王「………」

エリゴス「……貴様はそのような事が出来る力を有しているのか?」

傭兵「あるな……エリゴス、法陣師って知ってるか?」

エリゴス「聞いた事が無い。なんだそれは?」

傭兵「……簡単に言うと何でも出来る力だ」

エリゴス「簡単過ぎる……もっと細かく教えろ」

傭兵「そうか……魔法陣ってあるだろ?そいつにオジサンが思っている事を文字として移すんだ」

エリゴス「………」

傭兵「その思っている事はなんだっていい。で、魔法陣を通してそれを実現させられるんだ」

エリゴス「有り得ん……有り得んが本当の事なのだろ……」

傭兵「………」

魔王「……エリゴスさん解説して」

エリゴス「わかるだろ……」

魔王「いまいちわからない……」

エリゴス「……簡単に言うと万物の事情を引っくり返す程の強力な力だ」

魔王「………」

エリゴス「思いが現実となるのだぞ……これ程恐ろしい力も無い……」

魔王「………」

エリゴス「理解したか?」

魔王「……うん」

エリゴス「そうか」

傭兵 (いや絶対理解してねえ顔してるぜ……)

エリゴス「それが法陣師が使う力だと言うのか……」

傭兵「そうだな……」

エリゴス「……我が知らぬのだから法陣師と言うのは数がいないのだろ?」

傭兵「まぁ……こんな事出来るのはオジサンだけみてえだな」

エリゴス「………」

傭兵「……まだ何か言いたそうだな」

エリゴス「まあな。……その力を使えば時間を越える事も可能だな?」

傭兵「時間だあ?……まあ出来ると思うがやんねえよ」

エリゴス「何故だ?」

傭兵「そんな訳わかんねえ事に使えるかよ……それに無意味だしな」

エリゴス「無意味と言えば無意味だが……」

魔王「また……いいかな?」

エリゴス「なんだ!今度は何がわからぬ!」

魔王「何で無意味なの?」

エリゴス「……ふむ、いくら歴史を変えても変えた本人が認識出来なければ意味が無いだろ」

魔王「………」

エリゴス「変えた本人がそれで構わぬのなら良いが……普通は変えた事を知りたいものだ」

魔王「………」

エリゴス「だが……それを知ればそこで本来進むべきだった未来とは違う未来へと枝分かれしてしまう」

魔王「………」

エリゴス「結局は時間を越え何かを変えてしまっても時間を変えてしまった事すらわからないと言う事だ」

魔王「………」

エリゴス「理解したか?」

魔王「……うん」

エリゴス「そうか」

傭兵「………」

勇者「オッチャンさ……」

傭兵「なんだ?」

勇者「僕と魔王を殺そうとしてたんだよね……?」

傭兵「もうそんなつもりはねえよ……安心しろ……」

勇者「そっか……仕事だって言ってたけど誰かに頼まれてやろうとしてたって事だよね……?」

傭兵「……そうだな」

勇者「……誰に頼まれたの?」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「お前の兄貴だよ……」

勇者「………」

傭兵「………」

勇者「そうなんだ……兄ちゃんが……」

傭兵「………」

勇者「そっか……そうなんだ……僕……そんなに恨まれてたんだ……」

傭兵「………」

勇者「……そんなに僕がいらないなら……勇者になんてさせなければあいのにね……」

傭兵「お前が思ってるより……お前の兄貴は最低なんだぜ」

勇者「………」

傭兵「……お前の兄貴な……勇者の名を利用する事しか考えてなかったんだぜ」

勇者「………」

魔王「利用って……勇者が必要って言ってたのかい?」

傭兵「そうだ。……勇者が魔王を倒したなら、それがどんな形であれ勇者を英雄扱いするよな」

魔王「するだろうね……」

傭兵「だが……こいつの兄貴は勇者はいらねえが勇者って言う英雄の名は欲しかった。色々と利用できるからな」

魔王「………」

傭兵「そこでさっきの……オジサンが頼まれた仕事が出てくるのよ……」

魔王「……なるほど」

傭兵「もうやんねえけどな」

魔王「………」

傭兵「なあ勇者よ……」

勇者「………」

傭兵「本当はよ……お前がそんなんじゃ無かったらオジサン……」

勇者「………」

傭兵「勇者だけでも殺しとくかって思ってたんだぜ……」

勇者「………」

傭兵「でもな……お前そんなんだろ?どうしょうもねえ野郎で……馬鹿でアホで……」

勇者「………」

傭兵「……そんでオジサンの仲間だ」

勇者「………」

傭兵「………」

勇者「オッチャン……」

傭兵「ムカつく兄貴だよな……忘れちまえよそんな兄貴」

勇者「………」

傭兵「その顔するって事は出来ねえか……」

勇者「そうだね……僕が勇者になる前は優しかったんだよ……」

傭兵「………」

勇者「……僕はどうしたらいいかな……」

傭兵「……オジサンに任せとけ。ちょっとお痛が過ぎた兄貴にはキツい灸を据えてやんねえとな!」

勇者「………」

傭兵「………」

侍「……大殿、拙者一万は相手に出来まするが!」

魔王「……は?いや……」

炎「ふっ……」

侍「何がおかしい……」

炎「たった一万かとな……クククッ」

侍「………」イラッ

炎「私ならば三万の兵を蹴散らせるな」

侍「ほう……」

炎「前の私ではこうはいかなかっただろう……だが守る者がいると言うのはより強くなれるのだぞ!」チラッ

風「こっちを見て言うなでヤンス……」

侍「大殿ッ!拙者も三万程兵を蹴散らせますぞ!」

魔王「張り合わないでいいから……」

侍「何を仰いますか!このような輩に負けたとあっては大殿の名折れですぞ!」

魔王「勝ち負けとか……」

侍「それに!このような場なら大殿のお考えを世に広める絶好の機会では御座らんか!」

魔王「それはあれかい?……魔物と人間が共存するとかって言う……」

侍「そうで御座いますッ!」

魔王「なら……蹴散らちゃうとまずいんじゃないかなぁ……」

侍「………」

エリゴス「ならば……人間の兵などいなかった事にすればよい」

魔王「……駄目だからね」

エリゴス「まだ何をするか言っておらんだろ!」

魔王「言わないでもわかるよ……」

エリゴス「ぐぬぬ……魔導縮退砲の威力ここで確かめずしていつ確かめるか!」

魔王「それは帰ってからやってね!」

エリゴス「………」

側近「魔王様……」

魔王「………」

傭兵「……魔王」

魔王「………」

傭兵「これはオジサンの責任だって言ったな?」

魔王「言ったね……」

傭兵「なら……オジサンに任せとけ。オジサンが尻拭いしなきゃならん事だからな」

魔王「君の持ってる力を使うんだよね……」

傭兵「ああ……使うな」

魔王「………」

傭兵「はっ……安心しろ。消滅とかよそんなのはしねえから」

魔王「ならどうするの……」

傭兵「ちっと眠らせればビビって帰るだろ」

魔王「……ちっと?」

傭兵「この城を中心として……そうだなあの兵の最後尾くらいか」

魔王「ほぼ全部って事だよねそれ……」

傭兵「そうなるな」

エリゴス「………」

魔王「………」

傭兵「なんだ?」

エリゴス「貴様……魔法陣を使うのだろ?そんな広範囲の魔法陣をどうやって書くのだ……」

魔王「そうだよ……今からせっせと書くつもりなの……」

傭兵「ふっ……オジサンを舐めてもらっちゃ困るな。……側近ちゃんならわかるんじゃないか?」

側近「あ……夜に森でコソコソ何かしてたあれですか?」

傭兵「そう。この城に仕掛けた魔法陣を夜な夜な移動させてよ大変だったんだぜ?」

側近「……傭兵さん」

傭兵「こんな事になるじゃねえかなってさ……」

側近「………」

傭兵「側近ちゃん……」

側近「はい?」

傭兵「オジサン今から格好いいとこ見せてやるぜ」

側近「………」

傭兵「だからな……それでな……うん……」

側近「………」

傭兵「………」

側近「ごめんなさい……私は……」

傭兵「そっか……よっしゃッ!一発ぶちかますか!はははッ!」

側近「………」

炎「………」

水「……どうしたの?」

炎「愛と言うのは美しいな……叶う愛も叶わぬ愛も……ぐうぅぅ……」ブワワ!

水、土、風「………」



傭兵「………」バッ!

魔王、側近「………」

侍「傭兵殿の本気……如何様なものか……」

エリゴス「ふふふ……楽しみであるな」

侍「……そうで御座いますな」

傭兵「その場に広がる我が敵なる者達を……生と死の狭間……」

傭兵「煉獄の彼方へ……眠りと共に誘え……」

傭兵「………」

魔王「……な、なにか不吉な言葉言ってるけど」

側近「魔王様!シッ!」

魔王「………」

傭兵「……フェーゲフォイアーシュラーフェンッ!!」ジュバババッ!

ズォォォオオオッ………

侍「なんと……」

魔王「見た事もない文字が空に浮かんでるよ……」

エリゴス「………」

傭兵「眠れぇぇええッ!」ザッ!

シュウゥゥゥ………

側近「文字が……地面に吸い込まれて行きます……」

魔王「こ、これからどうなるの……?」

傭兵「見てりゃわかる」

魔王「………」ゴクッ

傭兵「………」

ズゥ……ズォォグォォォォオオオオッ!!

ーーーー

……あの元四天王の方が来て……お城が人間達の兵に囲まれた日から三ヶ月が過ぎようとしてます

……傭兵さんが放った魔法で人間の兵隊さん達は眠りに落ち……

……私達は一応?人間との戦闘は避けられたみたいです

……エリゴスさんの一言で炎様も追撃には出ず……

……魔王様も追撃に荷担しようとする侍さんを本気で宥めて!はぁ……事態は終息に向かいました

…………

……そして……



魔王「………」

傭兵「どうした?こんな所でよ」

魔王「……いやねぇ、あの日からまだ寝てる人間がちらほらいると思ってね」

傭兵「………」

魔王「いい加減だよね……ちゃんと回収しないのかね……」

傭兵「そうだな……」

魔王「後さ……あれちゃんと起きるんだよね?」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「も、もちろんだぜ!多分個人差ってやつだ!」

魔王「本当かい……?」

傭兵「本当本当!」

魔王「ならいいけど……」

傭兵「………」

魔王「……あの人間達、侍に一応は見て貰ってるけどどうしょうかね」

傭兵「この城に集めればいいじゃねえか。そうすりゃ侍の手間もはぶけるだろうよ」

魔王「………」

傭兵「不満か?」

魔王「そうじゃないけど……不安ではあるよね」

傭兵「……まあなるようになるだろ」

魔王「そうだね……」

傭兵「………」

魔王「ところでさ……勇者の様子はどお?」

傭兵「駄目だな。あれから塞ぎこんじまって……あいつの兄貴の行動が相当ショックだったみてえだぜ」

魔王「そっか……」

傭兵「……なんとかしてやりてえがなぁ」

魔王「………」

傭兵「いっちょエリゴスを裸にして会わせてみるか!」

魔王「………」

傭兵「……冗談だぜ?」

魔王「笑えない冗談だね!……でも、やっぱりエリゴスさんに頼んだ方が元気になるのかな……」

傭兵「エリゴスたん!エリゴスたん!って元気なりゃいいが」

魔王「そこまでは元気になって欲しくないね……」



水「ねえ、私の本は?」

側近「………」

水「ねえったら」

側近「なんで帰ったのにまた来たんですか……?」

水「仕方無いでしょ……炎がエリゴス様の傘下に!とか言うから……」

側近「………」

水「私達はそれに付いてくだけだからね」

側近「あの方は自分の世界とか言ってたじゃないですか……」

水「なんかそれ諦めちゃったみたいよ。それはそうよね……あんな力を見せられちゃったんだから……」

側近「………」

水「そうそう、またこの部屋使うから」

側近「駄目です。今は私が使っていますから!」

水「はあ?元の持ち主が帰って来たんだから空けなさいよ!」

側近「………」プイッ

水「………」

側近「どっか空いてる部屋にしたらいいじゃないですか!」

水「……いーや!私はここがいいの!お風呂広いし!」

側近「私だってお風呂広いですからここがいいです!」

水「………」

側近「………」

水「貴女……他に丁度いい部屋があるんだからそこ行ったらいいじゃない……」

側近「……丁度いい部屋?」

水「ふふ……魔王の部屋よ」

側近「だだだだ駄目ですよ!」

水「なんで?」

側近「なんででもです!」

水「………」

側近「それに!今はこの部屋は二人で使っているんですよ!」

水「……は?二人で?」

側近「そうですよ!」

水「……この部屋……誰と使ってるの?」

側近「エリゴスさんですよ!」

水「ッ!?」

側近「……?」

水 (こ、この娘……あれと一緒に寝てるって言うの……?)

側近「どうしました……?」

水 (そうか!あれを四天王に引き入れる代わりに……この娘があれの慰み者になってるってわけね……)

側近「………」

水 (なに……健気じゃないの……。自分の恋路より相手の野望の為になんて……)

側近「………」

水 (夜が更け……また今宵、禁断の宴が始まる……)

側近「………」

水 (禍々しい雰囲気を放つ鎧に包まれた魔神の前に……月明かりで照らされ美しい肢体を晒した一人の女がいた……)

側近「………」

水 (それを見……魔神の目は怪しく光り……)

側近「………」

水 (女は魔神の目の光を見て……屈辱に表情が歪む……)

側近「………」

水 (『私は……決して貴方に屈しない!心は魔王様の物……だから……』)

側近「………」

水 (クククッ……嘲笑う魔神……屈辱と快楽の狭間で耐える女……愛する者の為に耐える女……終わる事の無い宴は今始まる……)

側近「………」

水 (なんて!なんて!)

側近「何考えてるかわかりませんがエリゴスさん女の子ですからね……」

水「……はあ?」

側近「ですから……あの鎧の中身は女の子なんですよ」

水「………」

側近「………」

水「貴女……そっちなの?折角設定考えたのに私そっちは興味無いんだけど……」

側近「設定って……それにそっちってどっちですか……私にそんな趣味ありません……」

水「………」

側近「水様と一緒にしないでください」

水「……あ?」

側近「いえ……」

水「チッ……もういいわ。本はどこ?」

側近「……燃やして捨てちゃいました」

水「な……なんですってぇッ!?」

側近 (なんでエリゴスさんの事よりこっちの方が驚いてるんですか……)



エリゴス、魔王「………」

炎「手を出さないでもらおうか」

侍「何を言ってる……これは拙者の仕事だ」

炎「これからはエリゴス様のお世話は私する。貴様は引っ込んでいろ」

侍「ふざけるな……エリゴス殿のお世話は拙者の役目だ。お前こそ出しゃばるな」

魔王「やめなよ……」

炎「魔王、口を出さないでいただきたい」

侍「大殿……これは拙者の問題!お下がりあれ!」

魔王「………」

炎「ささあ!エリゴス様!」

侍「エリゴス殿!なんなりと!」

エリゴス「双方やめぬか……魔王よ、侍に頼みがあったのだろ?」

魔王「うん……侍、外に君が世話をしてる人間達いるだろ?」

侍「はい!今は調度血抜きが終わる頃かと!」

魔王「……はぁぁぁぁ?」

侍「冗談で御座います!」

魔王「そんな本当かどうかわからない悪趣味な冗談やめてよ……」

侍「ははは!それでその人間達が何か?」

魔王「……その人間達をね城へ保護してくれないかな」

侍「大殿……それほどまでにせずとも……」

魔王「保護!だからね!」

侍「……な、なるほど!」

魔王「保護なんて言う拷問は無いから!言葉通りの意味で受け取って!」

侍「……畏まり候」

魔王「残念がらないで……」

エリゴス「火よ、貴様も手伝え」

炎「お断り致します」

エリゴス「……何故だ?」

炎「こいつの仕事を手伝うなど……」

エリゴス「ならばここから出て行け。……そもそも貴様は己の世界を作るのだろ?」

炎「………」

魔王、エリゴス「………」

炎「あのような……わけのわからない力を見せ付けられ我らに勝ち目がありましょうか……」

エリゴス「………」

炎「私は世界を我が物にと申しましても、配下をみすみす死なせる程愚かでは御座いません……」

エリゴス「そのような事になるのならば下に付くと?」

炎「はい……」

エリゴス「なるほど。では命令だ、侍と協力し

炎「お断り致します」

エリゴス「………」



土「人使いが荒いでゲス……なんゲス!デカイ風呂場作れって!そんなの自分でやれでゲス!」

風「まあまあ……」

土「……お前もプルンプルンといつまでもしてるんじゃ無いでゲス」

風「それは仕方無いでヤンス!元に戻らないでヤンスから!」

土「………」

風「なんでヤンス?」

土「中身がお前じゃなかったらって何度思った事かでゲス……はぁ」

風「……溜め息を付きたいのはこっちでヤンス」

傭兵「………」

土、風「おお!筆頭殿!」

傭兵「お前ら……何でいるんだ?」

土「何でいるって……そりゃあ魔神の配下になったからでゲス」

傭兵「魔神って……エリゴスか?」

風「そうでヤンス」

傭兵「………」

風「そう言うわけでアッシ達も付いて来たわけでヤンス」

土「筆頭殿!これからはお仲間でゲス!」

風、土「よろしくお願いします!筆頭殿!」テヘッ

傭兵「その筆頭殿って言うのやめろよ……」

土「なんででゲス?」

傭兵「オジサン……別にそんな偉くねえし……ただ始めに四天王になったから魔王が筆頭だとか言ってるだけだしよ……」

風「またまたご謙遜をでヤンス!」

土「そうでゲス!」

傭兵「………」

風「あんな力を持つ方は一味違うでヤンスな!」

土「そうでゲスな!」

傭兵「……そう言う態度もやめろ」

土「おお!風!筆頭殿はまたも胸に視線を釘付けでゲスぞ!」

風「おお!流石筆頭殿!配下になった途端セクシャルハラスメントの嵐でヤンスぅ!」

傭兵「………」

土、風「ナアハハハハッ!」

傭兵「ぶちのめすぞお前ら……」

風「ところで筆頭殿!あいつはいないでヤンス?」

傭兵「……あいつ?」

風「アッシをこんな身体にした張本人でヤンス」

傭兵「ああ……あいつは……ちょっとな」

風「何かあったでヤンス……?」

傭兵「………」

風「……こ、困るでヤンス!あいつが唯一元に戻る手掛かりなんでヤンスから!何かあっては……」

土「元に戻らなくてもいいじゃないでゲスか!」

風「ふざけんなでヤンス!炎に連日愛を呟かれる身にもなれでヤンス!」

土「炎はお前にお熱でゲスからね……」

風「………」

傭兵「あいつ……堅苦しそうなのにそんなのかよ……」

土「堅苦しい分……強烈なんでゲス……」

風「定例時間別に愛を呟き……花だ服だと贈り物をしてきて……」

傭兵「………」

風「……こっちの言葉は一切聞かずでヤンス」

土「………」

風「アッシはどうしたらいいか……」

傭兵「もうめんどくせえから受け入れちまえよ……」

風「なッ!?」

土「そうでゲス……炎ならきっと幸せにしてくれるでゲス!」

風「……本当それだけは無理でヤンス」

傭兵「なんで?いいじゃねえか」

風「筆頭殿……それは他人事だからそう言えるでヤンスよ!」

傭兵「そりゃそうだ他人事だもんな。オジサンには関係ねえし!」

風「………」

土「案外……筆頭殿は冷たいでゲスな……」

風「そうでヤンスね……」

傭兵「ゲスはオジサンと同じ意見だったろうが……」

土「ゲスって言わないで欲しいゲス!」

風「ああ……あのとんでもない力を使ってる時の筆頭殿は格好良かったのにでヤンス……」

土「そうでゲスな……」

傭兵「………」

土「こう……バッ!ってでゲス!」

風「こう……生と死の狭間……煉獄の彼方へ……ってでヤンス!」

傭兵「……おい、やめろ」

土「眠りと共に誘え……でゲス!」

傭兵「マジでそれ以上やめろって……」

土、風「………」

傭兵「……もう言うな

土、風「フェーゲフォイアーシュラーフェンッ!! (笑)」

傭兵「………」

風「眠れぇぇぇえッ!でヤンスぅ!」

傭兵「………」

土、風「ナアハハハハッ!」

傭兵「………」

土、風「……?」

傭兵「お前らをこれからぶちのめす……」



エリゴス「………」

水「あらま……本当に女の子なのね……で?」

側近「本当はこんな事したくは無いんですが魔王様がどうしてもと言うので……」

水「うん?」

側近「エリゴスさんを使ってですね……勇者さんに元気になって貰おうと」

水「あの病気の子?」

側近「そうです……今ちょっとショックな事があって鬱ぎこんでるんですよ……」

水「ふぅん……」

側近「ですからエリゴスさんを着飾って勇者さんに見せれば元気になるのではとですね……」

水「……それでなんで私が必要なのよ」

側近「魔王様が女性の服装を選ぶなら女性だろと」

水「なるほど……」

側近「ではどうします?私はこのドレスでいいと思うんですけど」

水「……駄目ね」

側近「何でですか?」

水「貴女……相手は幼児趣味なのよ?そんなのじゃ満足しないわよ」

側近「………」

水「そうね……理想はスッポンポンなんだけど嫌よね?」

エリゴス「……嫌に決まっておるだろ。そもそもだな我に拒否権

水「んーどうしようかしら」

エリゴス「話を聞け!」

水「私も専門じゃ無いからなぁ……これが雄×雄の娘なら専門的にアドバイスできるんだけど!」

側近、エリゴス「………」

水「困ったなぁ……」

エリゴス「側近、雄の娘とはなんだ?」

側近「私に聞かれてもわかりませんよ……」

エリゴス「ふむ……」

水「素朴な感じで……いやそれだとありきたりか……」ブツブツ……

エリゴス「………」

水「いっそ女子力開放してビッチっぽく攻めるって言うのも……」ブツブツ……

エリゴス「……ッ!?」

水「ん……」ブツブツ……

エリゴス (こ、こいつが原因なのかッ!未来の我があのような馬鹿げた事になっていたのは!?)

側近「……エリゴスさん?」

エリゴス (おのれ……我が女子力を開放する原因を作りおって……)

側近「……?」

水「………」ブツブツ……

エリゴス「………」

側近「………」

エリゴス (させはせん……何がなんでも女子力開放だけは阻止せねばならん……)

水「……まずはニーソかな。雄ってあれ好きだものね」

側近「そうなんですか?」

水「そうよ。それ履いて魔王に擦り寄ればイチコロかもしれないわよね」

側近「……ッ!?」

水「後は……」ブツブツ……

側近 (なななななるほど!胸元ばかりで攻めても興味が無ければ意味が無いと……)

水「………」ブツブツ……

側近 (足か……盲点でした……。魔王様攻略の光明が指して来ましたよ!)

水「……キャミにホットパンツかな。ね!」

エリゴス「………」

水「どお?そんな物だと思うけど」

エリゴス「……それは女子力は高めなのか?」

水「高めなんじゃない?」

エリゴス「ならば却下だ!」

水「……なんで?」

エリゴス「なんででもだッ!女子力が低い物を我は所望する!」

水「ええ?」

エリゴス「………」

水 (ああ、なるほど!幼児趣味に露出が高いのは逆に仇になるかもしれないわね……)

エリゴス (ふざけた真似をしてみろ……女子力なる言葉ごと貴様の存在を消し去ってやるからな……)

側近 (そっかぁ足かぁ……ふふっ早速試してみよ!)

水「ふふふ……」

エリゴス「ふふふ……」

側近「ふふふ……」

ーー

魔王、傭兵「………」

炎「お手並み拝見といこうか。侍殿」

侍「見ておれ。……立ていお前達!」

兵士「………」

士卒「………」

衛兵「くっ……」

侍「ふふふ……お前達、ここが何処かわかるか?」

兵士、士卒「………」

衛兵「……魔王の城か?」

侍「そうだ……ならばここにいる人間達がどうなるかは理解……出来るで御座ろう」

衛兵「おのれ……命を賭け戦った者への仕打ちがそれか!」

兵士「……命を賭けて戦ったのは主に俺らだよな」

士卒「こいつ衛兵だもんな……」

衛兵「………」

兵士「……こいつ凄え後ろに居たのに何で捕まってるんだよ」

士卒「周り見ても最後尾の方に居たのに捕まってるのこいつだけだもんな……」

衛兵「………」

兵士「……何が仕打ちがそれか!だよ。ダサい奴……」

士卒「しかも俺らより一歩下がっての発言だもんな……」

衛兵「ええい!うるさい!お前達は黙っていろ!」

兵士「じゃあ前行って喋れよ」

衛兵「………」

士卒「ほれ衛兵さん前行けって」

衛兵「……ば、馬鹿者!お前達は私がどうなってもいいと言うのか!」

兵士「あのな……こんな状況でどうなってももクソも無いだろ……」

衛兵「………」

兵士「俺達はこれから殺される。それ以外に無いだろ」

士卒「そうそう」

衛兵「………」

侍「……殺しはしない」

兵士「ああ?じゃあどうすんのよ」

衛兵「……拷問だな。魔王……」

侍「それも違うし拙者は魔王でも無い……」

兵士、士卒、衛兵「……はあ?」

侍「わかるであろう。この中で大器を備えし覇気を放つ者が誰なのか」

兵士、士卒、衛兵「………」チラッ

炎「まあそうだとは言いたいが私も違う。近い者ではあるがな」

兵士、士卒、衛兵「………」チラッ

傭兵「オジサンじゃねえよ。そんなわけわかんねえもん放ってねえし!」

兵士、士卒、衛兵「………」チラッ

魔王「………」

衛兵「ええい!やはり貴様が魔王ではないか!」

侍「……違うと言っておろうが」

衛兵「なら誰だと言うんだ!」

バターン!

風「筆頭殿ぉ!土が……土が……」

傭兵「知るか!お前らが悪いんだろうが!」

兵士「ッ!!」

風「土がぁ……粉々に砕けて微風に乗り優しく運ばれてしまったでヤンスぅぅ!」

傭兵「………」

魔王「なにやったの……」

傭兵「いや……何かよ……超乾燥の魔法陣に入れたらよ……」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「まあ土なら雨でも降れば固まって元に戻るだろうからいいけど……」

傭兵「へぇそうなのか。なら良かった」

風「良くないでヤンス!」

兵士「あ……ああ……」

士卒「どうした?」

兵士「魔王だ……」

士卒、衛兵「は?」

兵士「魔王が現れやがった……」

衛兵「………」

士卒「お前どこ見て言ってるんだよ……」

兵士「馬鹿野郎!俺は聞いた事あるんだ……魔王は魔乳の持ち主だと!」

士卒「そんなの聞いた事無い……」

衛兵「くだらない……バインバインの色香に惑わされて……」

兵士「ああ?お前らは平気なのかよ!」

士卒、衛兵「平気だが?」

兵士「うそ……だろ……?」

傭兵「……中身がこれってわかって無かったらそうなるわな」

魔王「普通ならないよ……」

風「ならないで欲しいでヤンス……」

バターン!

側近「魔王様ぁぁ!ほら!ほら!」

魔王「……なに?」

士卒「ッ!!」

側近「……ほら?」

魔王「だからなに……」

側近「え……ニーソですよ?」

魔王「それがどうかしたの?」

傭兵「……お前いい加減にしろよ」

魔王「なにをだい……ああ、側近似合ってるよ」

側近「それだけ……ですか?」

魔王「それだけだよ?」

側近「………」

傭兵「側近ちゃん……オジサンが怒ってやるから。な?そうガッカリしなさんなって……」

側近「……いいですよ。多分私は外したんですから……」

士卒「魔王だ……」

兵士、衛兵「は?」

士卒「目の前に現れたのは魔王だ……」

衛兵「………」

兵士「お前こそどこ見て言ってるんだ……」

士卒「アホだなお前!あの胸から足先に駆けての美曲線……胸元はそれなりに!尚且つあのニーソに少し食い込む位の肉付き……そして何とも言えない脚線美……」

兵士「あのな……」

士卒「あれこそ魔王に違いない!」

衛兵「馬鹿馬鹿しいにも程があるだろ……ボンッキュッボンッの色香に惑わされて……」

士卒「お前達はあれを見て舐め回したいって思わないのかよ!」

兵士、衛兵「別に……」

士卒「そんな……馬鹿な……」

傭兵「うんうん……よーくわかるぜ……」

側近「やめてください……」

傭兵「ならねえ方がおかしいんだって!オジサンなんか毎日……いや……」

側近「毎日……なんですか……」

傭兵「………」

魔王「側近……聞かないであげてよ……」

側近「………」

バタンッ

水「一応着せてみたわよ」

側近「……ご苦労様です」

衛兵「ッ!!」

魔王「頼んで悪かったね」

水「いいえ、また配下になったんだからちょっとくらいは言う事聞くわよ」

魔王「……で、エリゴスさんは怒ったりして無かったかな?」

水「別にそんな素振りはしてなかったけど」

魔王「そう……良かった……」

側近「どう言う物を着せたんですか?」

水「ふふふ……それは見てのお楽しみってやつ?」

魔王「………」

側近「……魔王様どう思います?」

魔王「エリゴスさん怒ったりして無いんだから大丈夫だよ……きっと……」

側近「そうですね……」

衛兵「魔王だ……」

兵士、士卒「は?」

衛兵「あれこそ……紛う事無き魔王に違いない……」

兵士「アホくさ……」

士卒「お前の目は節穴かよ……」

衛兵「愚か者共が!あの自己主張の無いオッパイ……行き遅れ感たっぷりな風貌……良く見れば目尻に皺……」

兵士「言い過ぎだぞ……」

士卒「お前節穴じゃ無かったんだな……」

衛兵「あれこそ真の魔王に違いない!」

水「………」オオオオオッ!!

魔王、側近、傭兵、風「………」

士卒「凄いなあいつ……」

兵士「ああ……あそこまで命を賭ける奴だとは思わなかったわ……」

士卒「ちょっと見直した……」

兵士「もし帰れたら立派な最後でしたって言ってやろうな……」

士卒「うん……」



兵士、士卒「………」

衛兵「おのれぇぇ……魔王の軍勢は選り取りみどりかぁッ!」ボロボロ

魔王「君はタフな人間だね……」

侍「ふむ……そこまで打たれ強いのなら使えるな」

炎「……チッ」

侍「……なんだ?」

炎「同意見だなと思っただけだ」

侍「ほう……お前もそう思うか」

魔王「なにするつもりなの……」

侍「わかりませぬか大殿」

魔王「……グサッとかザンッとかやめてね」

侍「………」

魔王「やめてね!絶対だよ!」

侍「ははは……拙者はその様な事、微塵たりとも考えておりませぬ……」

魔王「………」

炎「この人間らを魔王の兵として使うのだろ?」

侍「……そう!拙者もそう言いたかったので御座ります!」

魔王「………」

兵士「……はいそうですかでそんなの受け入れるわけ無いだろ」

士卒「そんな事するなら死んだ方がましだ!」

衛兵「……え」

兵士、士卒「……え?」

衛兵「い、いや!うん!死んだ方がましだぁ!」

兵士、士卒「………」

炎「そうか」チャキッ

魔王「はいはい待ってね……」

炎「止めに入らないで頂きたい……」

魔王「侍も止めてるのに君を止めない理由が無いだろ」

炎「……従えぬなら殺してしまえばいいものを」

魔王「そう言う考えは僕好きじゃ無いね……」

炎「………」

魔王「それに君……エリゴスさんに従えないから一度エリゴスさんの元を去ったんだろ?同じ事されたらどう思うの……」

炎「………」

魔王「……だからさ、そう言う事はしないでね」

炎「わかりました……」

侍「ふん!大殿の深きお考えわかったか!」

魔王「君は黙っててね!」

侍「大殿……」

魔王「……さて、どうしようね……この人間達」

兵士「………」



土「筆頭殿は酷いでゲス!俺じゃ無かったら優しさに包まれた大地の塵と一体化してたでゲス!」プンプン!

エリゴス「………」

土「指圧の心は母心なんて事になったらどうするでゲスか!まったく……ゲス?」

エリゴス「……退け」

土「………」

エリゴス「……?」

土「なんでこんな所に子供が……?」

エリゴス「………」

土「こら!何処から入ってきたか知らないでゲスがこんな所にいたら食っちまうでゲスぞ!」

エリゴス「………」

土「……あれ?これは……どこかで……」

エリゴス「………」

土「そ、そうかでゲス!」

エリゴス「やっと気が付いたか……」

土「あれでゲス!この子供は城に幽閉されていて!黒い影の魔物に追われているでゲスね!」

エリゴス「はぁ?」

土「なるほど……なら……この場に居合わせた俺が手を繋ぎ子供を城の外へと連れて行かないといけないでゲスな……」

エリゴス「………」

土「ふむ!丁度俺には角があるし!ピッタリでゲスね!」

エリゴス「何を言っている……」

土「この城には風車が無いでゲスが……まあいいでゲス。後でこっそり作るでゲス!」

エリゴス「………」

土「さあ!俺の手を取って魔王の城から脱出するでゲスよ!ヨル

エリゴス「………」グバッ!

ズキャンッ!!

土「ギヤァァスッ!なななな何をするでゲス!いきなり裏拳かまして……」

エリゴス「訳のわからぬ事しているな……ゲスよ」

土「ゲスって言うなゲス……?」

エリゴス「………」

土「ん……?その声はエリゴス様でゲスか……?」

エリゴス「そうだ」

土「ああああッ!?ヨルダじゃ無いでゲス!ガッカリでゲス……」

エリゴス「誰だヨルダとは……まあよい、ゲスよ付いて参れ」

土「……どこにゲス?」

エリゴス「ふむ……何やらこのヒラヒラ格好で四天王の一人を元気付けてやれとな魔王から言われた」

土「………」

エリゴス「我で無くとも他にいるだろうに……まったく面倒だ……」

土「それで何故俺が付いて行かないといけないんでゲス?」

エリゴス「目通しだ」

土「はあ……」



側近「なんで一緒にいるんですか……?」

土「たまたまでゲス」

傭兵「なんでいるんだ……」

土「……筆頭殿にそんな事言う権利は無いでゲス」

エリゴス「側近、この部屋か?」

側近「は、はい。そうですね」

傭兵「しかしまぁ……これがエリゴスか……へぇ……」

エリゴス「………」

側近「そうですね……水様、中々やりますね……」

エリゴス「……側近、この格好は女子力開放気味になってはいないな?」

側近「なってないと思いますけど……」

エリゴス「そうか……良かった……」

側近「白のワンピースに麦わら帽子……ですからね」

傭兵「こんなのどっから持ってきたんだろうな……」

側近「水様の私物なんじゃないんですかね……」

傭兵「私物かよ……あの女何の為にこんなもん持ってんだ……」

側近「知りません……」

土「エリゴス様!女子力って何でゲス?」

エリゴス「……恐ろしい力だ」

土「そんなに……?」

エリゴス「………」

土 (エリゴス様がこんなに恐れてる力……一体どんな力でゲスか……)

側近「勇者さん!入りますよ!」コンコン!



勇者「………」

側近「勇者さん……気分はどうですか?」

勇者「ほっといてくれないかな……」

側近「………」

傭兵「お前の気持ちもわかるが……」

勇者「僕の気持ちなんてわかる筈無いだろッ!」

傭兵「………」

勇者「兄ちゃんに憎まれてッ!捨てられた僕の気持ちがわかるって言うのッ!?」

傭兵「………」

勇者「……ごめん。オッチャンは僕の為に色々してくれたのに大声出して……」

傭兵「謝んなくていい……。オジサンはお前に元気になって貰いたくて勝手にした事だからな……」

勇者「………」

側近「魔王様もずっと心配していますし……そうやって部屋に籠ってないでですね……」

勇者「………」

側近「………」

勇者「一人にしてくれないかな……」

傭兵、側近「………」

勇者「駄目なんだ……まだ……僕は弱い人間だから……」

傭兵「……そうか」

勇者「………」

傭兵「………」

側近「勇者さん……エリゴスさんを連れて来てますけど……」

勇者「そう……エリゴスたんには悪いけど……今は会いたくない……」

側近「そうですか……」

傭兵「エリゴスに会いたくないなんてな……ここまで重症だったなんて……」

勇者「………」

側近「でも折角ですから……」

傭兵「そうだぜ勇者、エリゴスの奴お前を喜ばせる為にわざわざ着替えてくれたんだぜ?」

勇者「………」

傭兵「会うだけ会えよ……こんな事もうねえかもしれねえんだからさ……」

勇者「………」

側近「……白のワンピースに麦わら帽子ですよ」

勇者「………」

傭兵「駄目か……」

側近「そうみたいですね……」

傭兵「じゃあ勇者……出直して来るわ……」

勇者「……入道雲と青空と虫の鳴き声と田舎の道と」

傭兵、側近「……?」

勇者「流れの緩い渓流に素足で入ってはしゃいだりとか……」

傭兵「ど、どうしたんだ勇者?」

勇者「そう言うシチュエーションが合いそうな格好をエリゴスたんはしてるの……」

側近「……意味がわかりません」

勇者「そう……一人にして……」

傭兵「……あ、ああ!確かにピッタリだぜ!」

勇者「………」

側近「そう言えばそうかもしれませんね!」

傭兵「虫取り網持って鼻水垂らしながら走り回るのも似合いそうだぜ!」

勇者「……エリゴスたんには悪いけど……今は会いたくない……」

傭兵「………」

側近「傭兵さん!余計な事言っちゃ駄目ですよ!」コソコソ

傭兵「すまねえ……」

側近「ええっと……こう健康的な笑顔が似合いそうですよ?」

勇者「………」

傭兵 (あああ?エリゴスがあんな格好をしてしてそうな事かつ勇者の言ったキーワードに合いそうな物ねえ……)

側近「お日様の中で遊んでちょっと日焼けして!肩の辺りの日焼けの跡を見せてくれるかもしれませんよ!」

勇者「………」ピクッ……

側近「……今、一緒に上に行けば風が吹いてますからもしかしたらスカート捲れちゃうかもしれませんね」

勇者「………」ピクッ!

側近 (よし!後ちょっとかな?)

傭兵「そうだぜ!カブトムシに首輪をしようとしてそのまま首チョンパするかもしれねえぜ!」

勇者「………」シュン

側近「もうぅ!なにやってるんですか傭兵さん!」

傭兵「い、いや……勇者が言ったキーワードだとオジサンこう言うのしか浮かばなくて……」

側近「じゃあ黙っててください!」

傭兵「あい……」



魔王「君達はここから帰れる?」

兵士「ああ……生きてここから出られたらな」

魔王「そう……じゃあこの場にいる人間が全員起きたら帰っていいよ」

侍「大殿!それは……」

魔王「侍、そうすれば君の仕事が減るよ?いいじゃないさ」

炎「魔王……一部だと言っても、城の構造や我等の正体が人間の手に渡ってしまいますよ……」

魔王「……いいと思うけど」

侍、炎「………」

魔王「何か問題ある?」

侍、炎「………」

兵士「……さっきからこの兄ちゃん何なんだ?偉そうにしてるが……」

炎「……魔王だ」

兵士「………」

士卒「………」

衛兵「………」

炎「………」

侍「………」

魔王「え?誰か何か言ってよ……」

兵士「嘘だろ……?」

士卒「嘘だよな……?」

衛兵「嘘に決まってる……」

炎「嘘だと思うだろ」

侍「嘘では無い」

魔王「……何で本当って言葉を誰も使わないの?」

兵士、士卒、衛兵「………」

魔王「………」

兵士「嘘だろ……?」

士卒「嘘だよな……?」

衛兵「嘘に決まってる……」

魔王「だあああ!そこを信じないと話が進まないだろッ!いい加減にして!」

兵士「だってな……」

士卒「うん……俺らでも勝てそうだもんな……」

衛兵「行方不明の勇者なら一撃で終わりそうだからな……」

魔王「……あのね、僕は勇者より弱くは無いよ」

兵士「はあ?戦った事も無いのによく言えるな……」

魔王「え?戦った事あるよ?」

兵士、士卒、衛兵「????」

魔王「????」

兵士「勇者は……火山口で戦って華々しく散ったんだぞ……?」

魔王「………」

士卒「それなのに戦えるわけないもんな……」

魔王「………」

衛兵「勇者が火山口に落ちる所を再現した演劇は大爆笑したな!」

魔王「………」

兵士「今回ここへの遠征だって勇者の弔い合戦だって来たんだからな」

魔王「………」

兵士「……だからお前が言った事は信用出来ない」

魔王「そう……そうなんだ……」

炎「勇者が亡き者になったと言うのは本当か!」

兵士、士卒「………」

炎「……本当なのだな?」

兵士「ああ……」

炎「そうか……そう……クククッ」

兵士「………」

炎「喜べ魔王よ!今こそ人間の世界へ侵攻をかける時だ!勇者がいないのなら何も恐れる者は無くなった!」

魔王「……いや」

炎「我等の前にもはや障害は無いのだぞ!?」

魔王「やる気になってる所……悪いんだけどね……」

炎「なにか?」

魔王「勇者は生きてるよ。しかもこの城にいるね……」

炎「………」

兵士「生きてるのか!」

士卒「なら!」

衛兵「……なぁ、もしかしてあれ見て大爆笑してたの私だけか?」



勇者「………」

側近「ですから!」

傭兵「側近ちゃんよ……」

側近「何ですか!」

傭兵「もうめんどくせえからコイツぶん殴ってエリゴスに会わせた方が早いんじゃねえか?」

側近「………」

傭兵「………」

勇者「………」

側近「……そうですね」

勇者「……ッ!?」

側近「最近、侍さんに稽古つけて貰ってるので丁度いいかもしれませんね!いや!そんなの駄目ですよ傭兵さん!」

傭兵「………」

側近「最近、空中三段蹴りが出来るようになったんですよ!いや!やっぱり駄目ですよ傭兵さん!」

傭兵「………」

側近「どれくらい私は上達してるか確かめてみたいですから!いや!駄目ですよ傭兵さん!」ウズウズ……

傭兵「………」

側近「打撃関節投げを同時にやる技を考えたんですけど中々試せなかったんですよね!傭兵さん!」

傭兵「やる気満々なのはいいが手加減してな……」

側近「はい!」

勇者「いやいやいやいやいやッ!!」

側近「……なんですか?」

勇者「う、うん!僕元気になったから!エリゴスたんにも直ぐに会えるよ!」

側近「………」

勇者「いやぁ!楽しみだな!」

側近「……何を言ってるんですか?あんなに鬱ぎこんでいたのに直ぐに良くなるわけ無いじゃ無いですか」ニヤァ……

勇者「………」

傭兵「……助けてやらないからな」

勇者「なんで!」

傭兵「ほれ!側近ちゃんやる気になってるからな!」

勇者「僕をやる気にさせる為に来たんだよね!?」

傭兵「……悪い。けどお前も悪いんだぜ……」

勇者「僕何も悪く無いよ!」

傭兵「………」フイッ

勇者「視線反らされても

側近「勇者さんには悪いんですけど強行手段と言う事で!」

勇者「行くから!行くから!部屋から出るから!」

側近「アーアー聴こえないですよ!」バッ!

勇者「ギャアアアアアッ!」

傭兵「………」



ギャアアアアアッ!

エリゴス「………」

土「なんで……断末魔の叫び声がこの部屋から聴こえるんでゲス……?」

エリゴス「知らん……」

ガチャ……

側近「はぁぁぁ」ニコニコッ!

傭兵「………」

エリゴス「側近……なんだそのやりきった顔は……」

側近「勇者さんが凄い鬱ぎこんでいたんでちょっと!」

傭兵「あれはちょっとじゃねえぜ……」

側近「何言ってるんですか!肘へのインパクトの時、少しズレましたから大丈夫ですよ!」

傭兵「………」

側近「まともに入ってたら両腕折れてますもん!」

傭兵「……折ろうとしないでくれ」

エリゴス「……何をやったのだ」

側近「何って……相手の腕を交差させてカンヌキ投げみたく持つんですよ」

エリゴス「………」

側近「それで!交差させた腕に膝を打ち上げてそのまま投げる!どうです?」

エリゴス「ほう、ストライクスリーか」

側近「……え?もう誰かが考えた技なんですか?」

エリゴス「そうだな」

側近「そっかぁ……」

エリゴス「だが、やるではないか側近。己だけでストライクスリーに辿り着いたのだろ?」

側近「はい……」

傭兵「感心してんじゃねえよ……」

エリゴス「……そうだな。で、この部屋の主は?」

傭兵「………」

勇者「ふぇぇぇん……腕が痛いよぉぉぉぉ……」

傭兵「この通りだぜ……」

エリゴス「………」

勇者「ふぇぇぇん……魔王に言い付けてやるぅぅぅ……」

側近「勇者さん……まだ開発中の技とかあるんですけど……」

勇者「………」

側近「………」

エリゴス「ふん……おい!」

勇者「……え」

エリゴス「貴様の為にわざわざこれを着てやったのだ。我と魔王に感謝しろ」

勇者「………」

エリゴス「……?」

勇者「エリゴスたん……だよね?」

エリゴス「そうだが?」

勇者「………」ジィ……

エリゴス「………」

勇者「触っていい?」

側近、傭兵「ダメッ!ゼッタイッ!」

エリゴス「触りたいなら自由に触らせてやればいいだろ……」

側近「そんなの認められません!」

エリゴス「減る物でもあるまいに……」

勇者「そうそう!」

傭兵「エリゴス……お前はこいつに何されるかわかってねえみてえだな……」

エリゴス「触るだけだろ」

傭兵「そんなわけあるか……仕方ねえな、今から側近ちゃんと実演!を兼ねて何やるか見せてやるよ……ったく」

側近「………」

傭兵「お子様はこれだから困るよなぁ側近ちゃん!そう思うだろ?」

側近「………」

傭兵「はぁ……困る困る……オジサン本当はやりたくグヘヘねえグヘヘんだけどなグヘヘ……」

側近「……そうですね。実演してみましょうか……」

傭兵「おおおおおッ!」

側近「………」ガシッ!

傭兵「……え?こ、これ……」

側近「傭兵さんが実演するとか言うから悪いんですよ……そんな事言われたら……私その気になっちゃうじゃないですか……」グッ!

傭兵「ちょっ!まままま

側近「エリゴスさん見ていてください!これが私のストライクスリーですッ!」

ズガッ!

側近「とりゃあああッ!」

傭兵「ギャアアアアアッ!」

ズゥゥゥンッ……

傭兵「」

側近「どうです!」

エリゴス「……駄目だな」

側近「え……」

エリゴス「それでは打撃の時に余計な力が入り過ぎ投げの威力が半減しているぞ」

側近「なるほど……」

エリゴス「見ておれ」ガシッ!

勇者「………え?え?え?」

エリゴス「我を触りたかったのだろ?ふふふっ……」

勇者「いや!そうじゃ無くて

エリゴス「見よ側近!これが完全なるストライクスリーだぁッ!」バッ!

トンッ……ズガンッ!

エリゴス「アハハハハッ!」

勇者「ギャアアアアアッ!」

ズドォォォンッ……

勇者「」

側近「お見事……」



魔王「………」

傭兵、勇者「ふぇぇぇん……腕が痛いよぉぉぉぉ……」

魔王「なにやったの……」

エリゴス「ストライクスリーだ」

魔王「なにそれ……」

侍「大殿……」

魔王「ああ、そうだった。……勇者だよ」

勇者「ふぇぇぇん?」

炎、兵士、士卒「は?」

魔王「だからこれが勇者だよ……」

兵士「勇者は……ふぇぇぇんなんて言わない……」

士卒「そうだそうだ……」

炎「人間の……未来を切り開く剣になろう者がこんなバカ面してる筈が無い……」

士卒「そうだそうだ……」

魔王「そんな事ね言われても困るんだけど……」

水、土、風「………」

勇者「なんでゲンス……?」

風「混ぜるなでヤンス……お前本当に勇者だったでヤンスか……」

勇者「……そうだけど」

水「あんた達!勇者見付けといてなんで言わないの!」

土「こんな所に勇者がいるなんて思わなかったんでゲス!」

風「しかも魔王の城で堂々としているなんてでヤンス!」

水「………」

土「自分だって勇者いたのに気付かなかったでゲス?」

水「仕方無いでしょ……」

土、風「………」

勇者「ヤンスさんさ……」

風「……なんでヤンス?」

勇者「元に……いや……いいや……」

風「……そうだったでヤンス、この身体を元に戻せでヤンス」

勇者「………」

風「………」

勇者「ごめんなさい……」

風「………」

勇者「お、お湯を被ったら元に戻るかもよ!」

風「それはもう試したでヤンス……」

勇者「………」

炎「……風よ、仲が良いな。どう言う事だ?」

風「べ、別に仲がいいわけじゃ無いでヤンス!」

炎「楽しそうに話していたように見えたが……?」

風「お前はこれが楽しそうに話していたように見えたでヤンスか……?」

炎「………」

水 (あれぇ?……プッ!炎のやつ嫉妬してんの?)

炎「そう見えたな……なるぼど」

風「……なるぼどってなんでヤンス?」

炎「貴様……私では無くそちらを選ぶか」

風「………」

炎「禁断の愛……障害が多い方が燃え上がり……」

風「違うでヤンス……」

炎「じゃあなんだッ!私と言う者がありながらッ!?」

水「まあまあ……炎落ち着きなさいよ。違うから」

炎「ふぅ!ふぅ!何が違うと……?」

水「……勇者が風をこんな姿に変えたんだって」

炎「………」

水「……風は別に勇者とどうこうって無いみたいよ?」

炎「………」

水「良かったわね……炎ぉ?ふふ……」

風「良くないでヤンス!」

水「……ねえ風」

風「何でヤンス……?」

水「もし私がここで……炎に今言った事嘘よって言ったらどうなるかしら?」

風「………」

水「………」

風「お、お前もただじゃ済まないでヤンスよ!」

水「それはどおかしらね?……一番被害が出るのはあの勇者と……貴方なのは間違いないけど」

風「………」

水「やってみようか?」

風「やややややめてくれでヤンス!」

水「ふふふっ!」

土 (悪そうな顔してるでゲス……水……)

風「………」

水「アハハハハッ!私そう言う顔好きよ……ふふ!」

風「最低最悪でヤンス……」

水「まあ勇者は八つ裂きよね。で、貴方は……」

風「言わないでいいでヤンス!」

水「真に私の物にせねばなって……嫌がっている貴方を無理矢理!」

風「うわあああああ!聴きたくない聴きたくない!」

水「何度も何度も繰り返しッ!」

風「………」ガタガタッ……

水「我が子を宿すまでって!ふふふふふッ!」

土、勇者「………」



兵士「し、証拠は!?」

魔王「………」

傭兵「勇者にしか持てねえ盾があるだろうが」

兵士「……それらしい物は持っているが」

傭兵「仕方ねえな……何がどうなってるかオジサンが教えてやるよ」

兵士「………」

士卒「それは魔王にお願いしたい」ヨリ!

側近「………」

傭兵「近寄ってんじゃねえよ!……それ以上近寄ったらお前の頭髪を残らず死滅させるからな!」

士卒「な、なんだと!いくら魔物でもやっていい事と駄目な事の区別ぐらい付かないのかッ!」

傭兵「……オジサン魔物じゃねえし」

士卒「ならなんだ!そんな悪魔の如き所業を考えてつくなんて人間には無理だろ!」

魔王「魔物でも悪魔でも思い付かないよ……」

傭兵「オジサンは……人間だ」

兵士、士卒「はぁ!?」

傭兵「………」

兵士「元々人間だったと言うわけでは無く……か?」

傭兵「そうだ。……ついでに操られたりなんかもしてねえからな」

士卒「自分の意思で魔王に仕えてるって言うのかよ……」

傭兵「そうだ……」

兵士、士卒「………」

傭兵「最初は違ったがな……」

兵士「最初は?」

傭兵「このよ……ボデェ見たら仕えたくもなるだろ?」

側近「………」

士卒「なるぼど……痛いほどわかる……」

兵士「同意するな……」

傭兵「それは置いといて……本当ならな魔王と勇者は相討ち、世界は平和になりましためでたしめでたしって事なんだが」

兵士「本当なら?意味がわかんねえ……そんな事が始めから決まってたみたいじゃないか……」

傭兵「決まってたんだよ。……お前らの王がこうしようって考えてたんだぜ」

兵士「………」

傭兵「だがそれは失敗、で勇者は行方不明だ。……でもなお前らの王は勇者の名だけはどうしても欲しかったのさ」

兵士「……なんで?」

傭兵「便利だからさ。お前ら……戦う事になった時どうだった?士気が凄かったろ?」

兵士「………」

傭兵「勇者の名を使えば十万の兵も纏められる。それだけじゃないが……」

兵士「で、でも勇者が現れたら……いや……」

傭兵「……現れてもお前らは戦う事になってたんだよ」

魔王「……その時は勇者と一緒にだね?」

傭兵「そう。……王はもう待てなかったんだろうな」

兵士「勇者の名を使って権力を欲しいままにする事をだな?」

傭兵「そうだ……」

兵士「………」

傭兵「その思惑も大失敗したがな」

兵士「………」

傭兵「………」

兵士「……聞いていいか?」

傭兵「なんだ?」

兵士「今回の戦いで……人間側はどのくらい死者が出たかわかるか?」

傭兵「ああ、わかるぜ」

兵士「……どれくらい死んだ?」

傭兵「ゼロだ。一人も死んじゃいねえよ」

兵士「………」

傭兵「やった本人がそう言ってるんだ。本当だぜ」

兵士「どうやってだよ……」

傭兵「全部眠らせてな。凄えだろ!」

兵士「………」

魔王「僕じゃ無いよ……」

傭兵「オジサン優しいからな!その程度で済ましたんだぜ」

兵士「あんたがやったのか……?」

傭兵「やったって言ってるだろ?」

兵士「冴えなさそうなオッサンなのに……」

傭兵「………」

衛兵「なるほど……わかってきたぞ」

士卒「遅いって……」

衛兵「ここから熟して腐り落ちていく様を堪能したいんだな?」

士卒「違うぅ!今だ今!この時このボディを堪能するの!」

側近「………」

衛兵「………」

士卒「お前何なの……?女に興味無いのか……?」

衛兵「あるが?だが……お前らが興味ある物には反応しないな」

士卒「………」

衛兵「……?」

士卒「お前まさか……ああ言うのが良いって言うのか……?あそこにいる子供……」

衛兵「アホか……いくらなんでも無い。あれに欲情するなんて人間の屑だ」

士卒「……ならどんなのが良いんだよ」

衛兵「選り取りみどりな魔王の軍勢でも私を満足させるには至らなかったとだけ言っておこう」

士卒「………」

傭兵「でだ、あれが勇者だって信じらんねえだったな」

兵士「ああ……」

傭兵「お前は本来の勇者って見た事あるか?」

兵士「ねえけど……無口でガチムチ野郎に囲まれてちょっと偉そうにしてて……なら知ってるが……」

傭兵「そんな勇者のイメージが作られた物って言ったらどうだ?」

兵士「………」

魔王「彼ね……相当周りから押さえ付けられてたみたいだよ」

兵士「………」

魔王「勇者らしくね……喋る事も許して貰えなかったみたい」

傭兵「まあ……あれだと勇者のイメージが180度変わっちまうもんな……」

兵士「………」

傭兵「あの馬鹿みてえな奴が本来の勇者なんだぜ」

兵士「………」

魔王「あと……周りにいたのはガチムチの野郎じゃなくて男女なんだって」

兵士「はあああ?」

魔王「それが一番驚くのかい……」

兵士「あり得ん……あの中に女がいるなんて……ガチムチしてるんだぞ……」

魔王「………」

ーーー

衛兵「……zzz」

兵士「………」

士卒「こいつよく寝れるよな……」

兵士「………」

士卒「なあ、一時はどうなるかと思ったけど生きて帰れそうで良かったな」

兵士「………」

士卒「でもさ……あんなんが魔王だと……これからやりずらいよな……」

兵士「………」

士卒「俺の話し聴いてる?」

兵士「ああ……聴いてるよ」

士卒「どうしたんだよ?マジな顔しちゃって」

兵士「………」

士卒「……?」

兵士「よし……決めた!」

士卒「……なんだ突然」

兵士「俺……魔王側に着くわ」

士卒「はぁ?……俺もその気持ちもわかるかけどさ」

兵士「オッパイは関係無い。こちらの方がましだと思ったからそう言ったんだ」

士卒「………」

兵士「そう思わないか?……俺達は負けたのにこの扱いだ。手を出さなければ何も起きないんじゃないか……」

士卒「………」

兵士「それに勇者生きてるんだぞ、この戦なんてする必要も無いんだ……」

士卒「……だけどさ魔物だろ?」

兵士「放っておけばいいんだ。今の無意味な戦いに巻き込まれるくらいならこっちにいた方がいい……」

士卒「………」

衛兵「……兵を辞めて民間人として生きる選択肢は無いのか?」

兵士「起きてねえで寝てろよ」

衛兵「聞き捨てなら無い話が聴こえたのでな」

兵士「………」

衛兵「……お前は人間を裏切って何をするつもりだ」

兵士「別に何もしやしねえよ。……本心を言うと……もうあの王に仕えたくないって思っただけだ」

衛兵「………」

兵士「………」

衛兵「そうか……魔王の狙いもわらないのによくそんな事が出来るな」

士卒「お前わかるの?」

衛兵「わからないからそう言っているんだ。この城にいる者もそうだ、何故人間と魔物が一緒にいるんだ」

士卒「……あのオッサン本当に人間かよ?」

衛兵「私が知るか。本当は……人間では無いのかもしれんが」

士卒「………」

カチャ……

侍「まだ起きておったのか。早く眠らなければ明日に差し支えるぞ」

兵士、士卒、衛兵「………」

侍「……?」

兵士「なんで明日に差し支えるんだ……?」

侍「それはお前達に仕事をして貰うのでな」

士卒「何やらせようって言うんだ……」

侍「やればわかる」

兵士、士卒「………」

衛兵「……聞きたい事がある」

侍「なんだ?」

衛兵「我々の扱いにどう言う意図がある?……敗戦の兵にこの待遇は……」

侍「……不満か?」

衛兵「いや……待遇が良過ぎる……満足な食事、寝床……まだ眠りに着いている者への介護……」

侍「………」

衛兵「何故だ?……魔物が人間にこのような事をする必要が無いだろ……」

侍「……大殿はお優しき故、お前達をそう扱おうと思ったのだろ。拙者はそれに従ったまでだ」

衛兵「そのような事をしてなんになる……魔王は何を企んでいるんだ!」

侍「………」

衛兵「………」

侍「知りたいなら教えてやる。大殿が思い描きし大道の事を」

衛兵「………」ゴクッ

侍「大殿は……人間と魔物が共存出来る世界をお造りになろうとしておられるのだ」

衛兵「………」

侍「わかったか?」

衛兵「いや……そんな事無理……」

侍「我ら凡人にはそう思うだろうな。……だが大殿はそれを成そうとしておられる」

衛兵「………」

侍「現に大殿の元に仕えている人間も既にいる」

衛兵「あのオッサンか……」

侍「それだけでは無い。拙者も馬鹿者もそうだ」

衛兵「……お前人間なのか!」

侍「見ればわかるだろうに……」

衛兵「………」

士卒「……お前人間だと思ってた?」

兵士「いや、我々と違って髪の色も違うしな……それに顔付きも……そう言う魔物だと思ってた……」

士卒「だよな……あと、馬鹿者って誰?」

侍「勇者とか言われている者だ」

衛兵、兵士「な……」

士卒「勇者は既に魔王と手を組んでたのかよ……」

侍「それは少し違うな。配下と言った方が正しい。魔王四天王の一人だ」

兵士「……勇者が魔王の配下だなんて」

士卒「しかも四天王だと……」

侍「拙者も四天王の一人である!」

兵士「ただでさえここにいるのがおかしいのに……」

士卒「きっと魔王に世界の半分をくれてやるって言われたんだ……」

兵士「なるほど……」

侍「………」

ーー

側近「おはようございます……」

魔王「………」ゴロゴロッ!!!

勇者「………」ゴロゴロッ!!!

魔王「………」ゴロゴロゴロゴロッ!

勇者「………」ゴロゴロゴロゴロッ!

魔王「いやぁ最高だね……」ゴロゴロ

勇者「本当に最高だね……」ゴロゴロ

側近「………」

魔王「それにしても君が元気になって良かったよ」

勇者「エリゴスたんがあそこまでしてくれたんだ。元気にならざるを得ないよ」

魔王「そっか。エリゴスさんに頼んで良かったよ」

勇者「……え?あれはエリゴスたんが自主的に着たんじゃないの?」

魔王「エリゴスさんが自主的にあんなの着るわけ無いだろ……」

勇者「………」

側近「魔王様が水様に頼んだんですよ。勇者さんが元気になるような物を着せてくれって」

勇者「……あれあのオバサンの物なの?」

魔王「そうみたいだけど……本人の前でそんな事言っちゃ駄目だよ……」

勇者「言わないし言えないよ……あっちのオバサンは洒落にならないみたいだし!」

側近「……あっちがあるって事はこっちがあるんですか?勇者さん……」

勇者「………」

側近「………」

魔王「ま、まあいいじゃない側近!そんなの無いから!ね?勇者!」

勇者「な、無いよ……多分」

側近「………」

勇者「それにしてもなぁ……もうちょっと刺激的な物なら僕はもっと元気になったんだけど!」

魔王「……言わないでいいよ」

勇者「なんでぇ!聴いてよ!同じ趣味の仲間だろ!」

魔王「同じだなんて言わないで……僕は全くもってそんな趣味は無いから……」

勇者「嘘ばっかり!僕にはわかるんだよ!もう僕と同じ雰囲気醸し出しちゃってるじゃん!」

魔王「出してない……絶対出してないから……」

勇者「……頑固だな!君は!」

魔王「それ以上同じとか言ったら本気でぶつからね……」

勇者「じゃあどう言うのがいいのさ?」

側近「……ッ!」ピクッ

魔王「あのね……」

勇者「色々あるだろ?僕と同じとか!オッチャンと同じとか!」

魔王「………」

側近「………」

勇者「……無いの?」

魔王「あるけど言う必要が無いね」

勇者「ええ!ズルいじゃん!魔王ばかり僕の趣味知ってて!」

魔王「それは自分で告白したんだろ……」

側近「……わ、私もそれ……聞きたいですぅ……」

魔王「………」

勇者「オバ……いや、そう言ってるんだしさ!」

魔王「………」

側近、勇者「………」



侍「気を付けぇぇッ!!」ザッ!

兵士、士卒、衛兵「………」

侍「これよぉぉぉりッ!お前達にはこれをやって貰うッ!」

兵士「あのさ……」

侍「私語は謹め!お前達の返事は『御意!上官殿!』のみだッ!覚えておけ!」

兵士「やだよ……」

士卒「そんな胃がもたれそうな返事しないよ……」

衛兵「……え?やんないの?」

兵士「誰がやるか……」

士卒「そうそう……」

衛兵「……ふざけるな!誰がそんな事するか!なぁ?ははははッ!」

兵士、士卒「………」

侍「ぐぬぬ……」

兵士「それに……今からやるのって薪割りだよな?」

侍「そうだ……」

士卒「なんでやんなきゃならんの……」

衛兵「そうだそうだ!」

侍「……お前達……」

兵士「なんだよ……」

侍「ただ飯食えると思っておったら大間違いだぞッ!働けッ!」

兵士「……へ?」

侍「大殿はお前達全員眠りから覚めたら帰ってもいいと仰っていたが……それまではどうする!?」

兵士、士卒「………」

侍「何もせず……ゴロゴロとしているつもりか……?」

兵士、士卒「………」

侍「そんな事は絶対拙者が許さん……」

兵士「いや……そんなつもりは無いけどよ……」

侍「無いけどなんだ……?」

士卒「あんた……俺達を魔王の兵として使うんじゃ無いのか……?」

侍「そう扱うが?」

士卒「もっとこうさ……兵として使うなら訓練鍛練とかそう言う事するんじゃ無いのか……?」

侍「はんッ!!!」

兵士、士卒「………」

侍「そんな事をして腹が膨れるか?城が綺麗になるか?日々溜まる洗濯物が無くなると思うのか?」

兵士、士卒「………」

侍「その日食す食材を集め!献立を考え!……大殿の兵ならばこれら全て出来ずどうするかッ!」

兵士、士卒「………」

侍「これらをやらずに訓練鍛練?ちゃんちゃら可笑しい事を言うな!」

兵士、士卒「……ごめんなさい」

侍「………」

兵士「俺達……薪割りするよ……」

士卒「うん……頑張ろうな……」

衛兵「……え?やるの?」

兵士「可哀想だろ……」

士卒「雑用全部押し付けられてるんだぞ……」

衛兵「………」

兵士「取り合えずここにある分をやればいいのか?」

侍「……そうだ。早くしろよ、まだ次があるのだから」

兵士「あ、ああ……」グッ……

士卒、衛兵「………」

兵士「……ん?ングウウウウ……」

士卒、衛兵「………」

兵士「………」

士卒、衛兵「……?」

兵士「……交代だ」

士卒「はぁ?」

兵士「いいから……」

士卒「うん?」グッ……

兵士「………」

士卒「……へ?グギギギギ……」

兵士、衛兵「………」

士卒「………」

衛兵「……?」

士卒「お前やってくれよ……」

衛兵「はぁぁ?」

士卒「やればわかるよ……」

衛兵「なんだ……だらしない奴等め……」グッ……

兵士、士卒「………」

衛兵「この程度も出来ないのか……ガアアアア!」

兵士、士卒「な?」

衛兵「………」

侍「どうした?早く薪を割らんか」

兵士「上官殿……この斧さ……」

士卒「クソ重くて持てないんだけど……」

衛兵「なんだこれは……早く薪割りを終わらたいなら我々を試そうとかしないでくれ……」

侍「……?何を言っている……こんな物片手で持てるであろう……」ヒョイ

兵士、士卒、衛兵「………」

侍「ほれ、持ってみろ」

ポイッ……ズドォッ!

衛兵「グギャアアアッ!どどど退かしてくれぇぇぇッ!手が手がぁぁぁッ!」

兵士「あんたなにやってんだよッ!」

士卒「だだだ大丈夫かッ!グヌヌヌヌゥう、動かねえぇッ!」

侍「………」



エリゴス「この場所は良い風が吹くな」

傭兵「そうだな……誰かさんが吹き飛ばしたからな……」

エリゴス「貴様のせいでもあるだろ……」

傭兵「あん時は鎧……ぶっ壊しちまって悪かったな……」

エリゴス「あ?……ああ、あれは貴様のせいで鎧が不調になっていたのでは無い」

傭兵「そうなのか?てっきりオジサンが弄ったからかと思ってたぜ……」

エリゴス「………」

傭兵「あのよ……こんな事聞くのはアレだが……なんでそんな格好してんだ?」

エリゴス「聞くな……」

傭兵 (……なんだっけかこれ……チャイナドレス?とか言ったけ……)

エリゴス「………」

傭兵「………」

エリゴス「ふむ……」

傭兵「……どうした?」

エリゴス「傭兵よ、我が思っている疑問に応えてくれぬか?」

傭兵「疑問だぁ?魔神の疑問に答えられる程オジサン偉くねえぞ?」

エリゴス「なに、貴様に関しての事だ」

傭兵「……オジサンの事?今更隠そうとは思わねえから答えられる範囲でなら答えてやるよ」

エリゴス「……貴様は例の力を自身の為に使おうとは思わんのか?」

傭兵「あれ……前使ったのはオジサンの為でもあったぜ?」

エリゴス「そうではない……己の思い通りの世界に作り替えられる程の力だぞ?それをだな……」

傭兵「そんな事しねえよ」

エリゴス「何故だ……?」

傭兵「面白くねえだろ……」

エリゴス「………」

傭兵「こんな事は誰にも言った事はねえんだが……それやった事あんだよ……」

エリゴス「………」

傭兵「なんでもオジサンの思い通りになってな……魔王と勇者……ぶっ殺して……」

エリゴス「………」

傭兵「気に入らねえ奴等は片っ端から……うんまあそうやってよ……」

エリゴス「………」

傭兵「オジサンが望んだ世界が出来たんだが……これがなつまらねえんだ……」

エリゴス「………」

傭兵「本当につまらなくてよ……」

エリゴス「貴様が……無意味だと言っていたのはそれだったのか?」

傭兵「そうだな……」

エリゴス「……何回目だ」

傭兵「……なにが?」

エリゴス「貴様が時間を移動して何回やり直した?」

傭兵「一回だ……」

エリゴス「………」

傭兵「あんな思い通りの世界……何回も経験なんてしたくねえって……」

エリゴス「………」

傭兵「……この力も本当はいらねえんだが、どうしようもならないしな」

エリゴス「………」

傭兵「それに今だけは必要だろ?」

エリゴス「そうだな」

傭兵「………」



土「だあああッ!俺は土木担当じゃ無いでゲス!城の増設なんて必要が無いでゲスのに!」

風「お前がそう言うのに一番向いてるのが悪いんでヤンス」

土「ぐぬぬ」

水「ねえ、あんた達」

土「なんゲス……」

水「エリゴス見なかった?」

土、風「………」

水「なに?」

風「お前……魔神を呼び捨てにするでヤンスか……?」

土「聴かれて無いから良いようなもののでゲス……」

水「別にこう呼んでも怒られなかったけど?」

風「……なんででヤンス」

水「さあ?」

土、風「………」

水「それはいいから見なかった?」

風「見てないでヤンスよ」

水「そう……どこ行っちゃったのかしら」

風「………」

土「なんで探してるでゲス?」

水「なんかお着替えしてたのに暴れだして……逃げ出しちゃったのよ」

土「へぇ……」

水「これは内緒なんだけどね、こっそりエリゴスの女子力高めちゃおかなって思ってたの」

土「ッ!?」

水「だってぇこの城でこう言う話題振れるの側近しかいないし寂しいじゃない?だから女子友増やそうかなって」

土「そ、そうでゲスか……」

水「……あんたは入れてあげなからね」

風「別に女子友なんかになりたいなんて思わないでヤンス……あれでヤンスよね?」

水「あれ?」

風「雄同士でこう……チョメチョメしてるのを薄目でニヤニヤと……」

水「………」

風「そんな事を楽しむ仲間なんて絶対嫌でヤンス……」

水「そお?楽しいと思うけど」

風「………」

水「前の姿のあんたと土とで

土、風「ウワアアアアッ!そんな事考えるなぁぁぁッ!」

水「いいじゃない。炎と土と

土「それ以上言うなでゲスッ!」

風「この女なんて事考えるんでヤンスッ!」

水「………」ニヤ……

土、風「………」



兵士、士卒、衛兵「………」

侍「今日は良い肉が手に入ったな!ふふ!夕食は豪勢にすき焼きといくか!」

士卒「笑えないんだけど……」

兵士「笑う必要は無いな……」

衛兵「なんだこの生き物は……上半身豚で下半身魚って……」

兵士「……食えるのか?」

士卒「知らない……」

兵士「素手で倒せるような物なのか……?」

士卒「知らない……」

兵士「この辺りって……こんなんウジャウジャいるのか……?」

士卒「知らない……」

兵士「………」

士卒「………」

衛兵「兵士、お前は肝心な事を聞いて無いぞ……」

兵士「肝心な事?」

衛兵「………」

士卒「なんだよ肝心な事って」

衛兵「……我々が食べていた食事に使われた材料ってなんだろうな」

兵士、士卒「………」

衛兵「我々は何を食べさせられていたんだろうな……」

兵士、士卒「………」

衛兵「いつも……上官殿が食事を作っているのだろ……」

士卒「か、考え過ぎだってぇ……」

兵士「………」

衛兵「………」

士卒「………」

侍「どうかしたか?」

兵士「い、いや……上官殿は凄えなってさ……」

侍「誰でも出来るであろう……何を言っている……」

士卒「無理だし……」

侍「はあ?」

兵士「こんな豚魚素手で倒せねえし……」

士卒「あんな重い斧持てないもんな……」

衛兵「こんな危険そうな場所でもその軽装で探索など……」

侍「………」

兵士、士卒、衛兵「………」

侍「お前達はその程度の力で大殿に牙を向けたのか……同じ人間として情けないぞ……」

兵士「絶対同じ人間じゃねえよ……」

士卒、衛兵「………」

侍「仕方無い……まだ帰るまでに時間はかかるであろう?」

兵士「さあ……残りの者がいつ起きるか知らねえけど……」

侍「ならばその間、仕事の合間に拙者が一から鍛え直してやる。感謝しろよ」

兵士、士卒、衛兵「結構です……」

侍「ふむ、決行だな。よし」

士卒「ちちちち違うって!」

侍「何も違わない!この程度の仕事もこなせない奴に発言する権利は無い!」

兵士「だから無理だって……」

侍「……む?」バッ……

兵士「……?」

侍「お前達……ついているな。今日はもう一品オカズが増えそうだぞ」

士卒「それってどう言う意味……」

ズゥゥゥゥゥンッ……



エリゴス「………」キョロキョロ

魔王「……エリゴスさん?」

エリゴス「ぬあがばらがッ!」ビクッ!

魔王「………」

エリゴス「なななななんだ……魔王か……」

魔王「なんなのその格好……」

エリゴス「聞くな……」

魔王「………」

エリゴス「……あの者を見なかったか?」

魔王「あの者?誰の事かな?」

エリゴス「水だ……」

魔王「見てないけど……ああ、その格好は水に着せさせられたのかい?」

エリゴス「………」

魔王「……?」

エリゴス「貴様は我の有り得ぬ未来を知っているな」

魔王「……うん。知りたく無かったけど……」

エリゴス「我があのふざけた様になる原因を作ったのは……恐らく水だ」

魔王「へぇ……?」

エリゴス「……原因がわからずとも我が抵抗もせず易々と女子力に取り込まれたなどとは思えぬ」

魔王「………」

エリゴス「きっとまだ……我があの様な事になる別の起因が存在する筈だ……」

魔王「………」

エリゴス「水は別の起因となる力を持ち合わせているのか……?」

魔王「無いんじゃないかな……」

エリゴス「……本当か?」

魔王「多分だけど……」

エリゴス「………」

魔王「エリゴスさんさ……僕はあんまり気にしない方がいいと思うんだけど……」

エリゴス「………」

魔王「だって、有り得無い未来なんでしょ?」

エリゴス「有り得ぬ未来でも……こちら側がその未来に近い時間軸に存在していたらどうするのだ……」

魔王「………」

エリゴス「考えただけでも恐ろしい……」

魔王「………」

エリゴス「……?」

魔王「どう言う事?」

エリゴス「……時間と言う物はいくつも枝分かれしているのは理解出来るな?」

魔王「ギリギリね……」

エリゴス「その枝分かれした未来が必ずしも全く別の時間を辿るわけでは無い」

魔王「………」

エリゴス「枝分かれした先の未来と似たような未来を辿る事もあるのだ……」

魔王「………」

エリゴス「有り得ぬ未来と然程変わらぬ未来を辿る……アアアア……」

魔王「……大丈夫かい?」

エリゴス「大丈夫な筈が無い!我がああなるのかもしれぬのだぞ!」

魔王「本当……気にしない方がいいよ……」

エリゴス「貴様は有り得ぬ未来がわからぬからそう言える……いや……」

魔王「……どうしたの?」

エリゴス「………」

魔王「……?」

エリゴス「………」

水「あ!いたいた!探したのよ!」

エリゴス「ッ!?」

水「もう駄目じゃない……まだ着せたい物いっぱいあるのに!」

エリゴス「も、もう良いだろ!こんな物でも我は我慢して着てやっているのだ!」

水「……そう。あれ!また女子力高くなってるわ!」

エリゴス「なにぃッ!?」

水「これは大変!また着替えないとどんどん高くなっちゃ……ごめんなさい……余計なお世話だったわね……」

エリゴス「あ……ああ……」

水「うん……もう着替えたくないんだもんね……そっか……」

エリゴス「………」

水「女子力抑える為に私頑張ってたんだけど……本人が女子力高くなっても構わないから着替えたくない!って言うなら仕方無いよね……」

エリゴス「………」

水「このまま手遅れになるのを黙って見てるしか無いなんて辛いわ……」

エリゴス「どどどどどうすれば女子力を抑えられるッ!」

水「……任せて」ニヤッ……

魔王「………」



侍「ハハハッ!大漁!大漁!」

兵士、士卒、衛兵「………」

侍「こいつの骨は良い出汁が出て美味いのだぞ!」

士卒「さいですか……」

兵士「あれ……ドラゴンだよな……?」

衛兵「昔見た絵本の絵が間違っていないならな……」

兵士「強いんだよな……?」

衛兵「数匹で国が滅ぶと言う情報が間違っていないならな……」

兵士「……現実だよな?俺達……夢から覚めてるんだよな?」

衛兵「自分の頬でもつねってみろ……私の頬はもう真っ赤だから無理だぞ……」

兵士「………」

士卒「聞いていいかな……」

衛兵「なんだ……」

士卒「……帰っていいって言われてるけど……これ帰れるのか?」

衛兵「………」

士卒「ちゃんと人間がいる所まで送り届けてくれるんだよな……?」

衛兵「知らん……上官殿に聴け……」

士卒「……じょ、上官殿!」

侍「なんだ?」

士卒「俺達が帰る時には送り届けてくれるの……?」

侍「阿呆か!そんなものするわけ無いだろ!」

士卒「………」

侍「帰るのなら……城より離れた時、お前達はまた敵となるのだ。そこまで敵に塩を送れるか」

士卒「そっか……もうひとつ質問……」

侍「………」

士卒「ここら辺りってあんなのが出るの……?たまたま遭遇しただけ……」

侍「頻繁に見るが?何処かに巣があるのだろ」

士卒「………」

侍「そうそう、青い奴は毒があるのでな食べるなよ」

士卒「………」

侍「前に食した時にな拙者死にかけたからな!ハハハッ!」

兵士、士卒、衛兵 (こっちが食われるわ!化け物め……)

……「侍さぁーん……」

侍「……不味い!少し場所を移動するぞ!」

兵士「……なんで?」

侍「あの声は側近殿だ……この獲物を見られては食して貰えなくなる……」

兵士「何食べさせてるか教えて無いのかよ……」

侍「仕方無いだろ……食せる物が限られているのだから。それに聞かれれば教えているから問題無い」

衛兵「大有りだと思うが……」

侍「行くぞ!」

兵士、士卒、衛兵「………」



側近「侍さん!どんな女性がタイプなんですかッ!?」フンスッ!

侍「あの……」

側近「真面目に答えてくださいね!私も真剣に聞いていますから!」

侍「いきなり何で御座ろうか……」

側近「いいですから!早くッ!」

侍「………」

側近「………」

侍「好みの女性で御座るか……ん……」

側近「………」

侍「特にこれと言って好みとかは……」

側近「それでは駄目ですッ!ちゃんと言ってください!」

侍「そう言われましてもな……」

側近「ほら!優しいとか芯があるとか!色々あるじゃないですか!」

侍「………」

側近「どうなんですか!?」

侍「ならそれで……」

側近「それ!?それじゃわかりませんッ!ちゃんと答えてくださいッ!」

侍「……側近殿みたいな女性で」

側近「やッ!?……そ、そうですか……そう……」

侍「………」

側近「………」

侍「もう良いで御座

側近「……やったぁぁぁぁあッ!」パァァァアッ!

侍「………」

側近「そうだったんですね!うん!うん!そっかぁ!ふふふふッ!」

侍「………」

側近「なるほどなるほどぉ!」

タタタタッ!

侍「そ、側近殿?……行ってしまわれた……一体何なんで御座ろうか……」

士卒、兵士「………」

侍「さて、側近殿が行ってしまわれたし今の内に獲物を……?」

士卒「クソッ!」

兵士「諦めろって……これが相手じゃ勝ち目無いだろ……」

士卒「でもだな!」

兵士「でももクソも無いだろ?お前……これと張り合えるの?」

士卒「………」

侍「………」

兵士「無理だって……」

士卒「ぐぬぬ!」

兵士「しっかしなぁ……魔物の女って大胆だよな」

侍「うむむ……」

兵士「本人目の前にして迫って告白なんてな!」

侍「おかしい……」

兵士「何がおかしいのよ上官殿」

侍「ん……側近殿はだな、心に決めたお方がおるのだが……」

兵士「へぇ?」

侍「何故あのような事を拙者に聞かれたのか……」

兵士「そいつより上官殿の方が好きになったとかじゃねえの?」

侍「それは無いと言っていい。もしそんな事があれば……拙者腹を切らねばならん……」

兵士「腹を切るって……?」

侍「相手は大殿だぞ?当然の事だ……」

兵士「魔王の女に告白されたのかよ……」

侍「………」

衛兵「それはマズイよな……」

侍「………」

士卒「クソォォォッ!可能性があっても俺は三番目だったのか!」

兵士「何でお前が三番目に選ばれる可能性が出てくるんだ……」

侍「ん……」

士卒「三番目だろ!」

衛兵「何故そこまで自信満々なんだ……」

侍「わからん……女心は秋のなんたらと言うやつか……」

兵士「………」

侍「お前達、獲物を城へ運んどけよ」

兵士「……は?」

侍「拙者は先に行っているからな」

兵士「いやいやいやッ!」

タタタッ……

兵士「………」

衛兵「………」

士卒「………」



傭兵「空は青いがオジサンの心は曇り空ってか……はあ……」

傭兵「エリゴスにあんな事話すんじゃ無かったぜ……思いだしちまうな……」

傭兵「………」

傭兵「ま、いいか。ふっ……今は楽しいもんな……この先に何が起こるかわからねえってよ」

ザッ……

傭兵「あん?……侍か。なんだ?」

侍「傭兵殿……」

傭兵「どうした?そんな真剣な顔してよ……誰か何かしたのか?」

侍「………」

傭兵「エリゴスか?勇者か?……それとも四馬鹿共か?」

侍「……側近殿で御座ります」

傭兵「はあ?側近ちゃんかよ。……何があった?泣いてたか?」

侍「いえ……鼻息も荒く大変お喜びになられていました……」

傭兵「……??それで何か問題あるのか?笑ってたんだろ?」

侍「はい……ですが……」

傭兵「………」

侍「側近殿に拙者……告白をされてしまいましてな……」

傭兵「告白?なんのだい?」

侍「……愛の」

傭兵「………」

侍「………」

傭兵「いやいや無えだろそれは。側近ちゃん魔王にぞっこんなのはお前だってわかってんじゃねえのか」

侍「………」

傭兵「……マジでされたの?」

侍「マジでされたの……」

傭兵「………」

侍「うああああ!拙者!拙者はどうすればぁぁぁ!」

傭兵「う、嘘だろ?やめろよ笑えない冗談言うのよ……」

侍「………」

傭兵「………」

侍「それが冗談だったら拙者この様に悩んでおりませぬ……」

傭兵「でもな……側近ちゃんがそう心変わりするとは思えんぜ?」

侍「………」

傭兵「なんてったってこのオジサンの愛の叫びをかわし続けたんだからな!」

侍「左様か……」

傭兵「ワイルドでダンデェなオジサンのだぜ?」

侍「………」

傭兵「お前何か勘違いしてんじゃねえの?」

侍「……それなら宜しいが」

傭兵「ん……こりゃ直接、本人に聞いてみた方がいいな」

侍「はぁ……」



炎「ふっ……見よ、花弁が一枚残ったぞ」

人狼「………」

炎「やはり私と風は結ばれる運命にあるみたいだ……」

人狼「やめてくださいな……気持ち悪い……」

炎「何を言うか!」

人狼「何を言うかじゃ無いですって……風ちゃんがあんなんになってから炎様気持ち悪いですって!」

炎「仕方無いだろ……一目惚れだったのだから……」

人狼「一目惚れはいいです……でも中身はアレですよって?」

炎「中身なぞいくらでも矯正してしまえば良い」

人狼「………」

炎「あの容姿に合うな……ふふ」

人狼 (もう駄目だこいつ……)

炎「……時に人狼よ、何故貴様はここにいる?」

人狼「聴きますかそれ……」

炎「わからぬから聞いている」

人狼「炎様が魔物の軍勢ほっぽりだしてここに来たからですってッ!しかも他の四天王連れて!」

炎「………」

人狼「せっかく統制が取れていたのに……なんなんですかってッ!」

炎「それは言ったではないか……我等はエリゴス様の傘下にと……」

人狼「そのエリゴスって誰ですって?」

炎「知らんのか?」

人狼「知りません」

炎「そうか……私よりも上の存在で地獄の魔神だ。私が昔、仕えていた御方だ……」

人狼「……魔神って」

炎「………」

人狼「………」

炎「そんな御方が我等と対立する立場になろうとしていたのだ。……それでは非常に不味い事になる」

人狼「どう不味い事になるんですって……?」

炎「楯突いて命を落とすのならまだ良い方だな。最悪は……実験の道具か……」

人狼「………」

炎「お前のような雌の魔物は貴重な存在のようだからな、特に持て囃されるだろう」

人狼「………」

炎「それらをおさめる為にだな……」

人狼「わかりましたって……」

炎「そうか……待っていろよ」

人狼「はい……で、我等はどう待っていたらって?人間をチマチマ狩りながらって?」

炎「それは駄目だ……」

人狼「はあ?」

炎「人間は襲ってはならん……」

人狼「何故?」

炎「……エリゴス様及び魔王はな人間と魔物の共存を望んでおられる」

人狼「………」

炎「だから余計な事はせず、私の声があるまで待っていろ。わかったな?」

人狼「………」

炎「……わからぬなら私が引導を渡す。いいな?」

人狼「わかりました……」

兵士「ぐはぁぁぁ!重めええええッ!」

士卒「お前ちゃんと力入れろよッ!」

衛兵「うるさい!ヌルヌルして持ちにくいんだッ!」

炎、人狼「………」

兵士「おおおお……お!あ、あんた手伝ってくれッ!」

炎「……私か?」

兵士「あんたしかいないだろ!頼むよ!」

炎「ふざけるな……誰が手伝うか」

兵士「………」

人狼「そうだ!人間なんかの

士卒「い、犬が喋った!」

人狼「………」

士卒「おい!犬が喋ったぞ!」

兵士「おいおいそんなので一々驚くなよ……上官殿見た後じゃ犬が喋ろうが珍しくねえだろ……」

士卒「そ、そうだな……」

兵士「で?なんで手伝わないんだ?」

人狼「犬って言うなってッ!」ガァッ!

兵士「うるせえな!こっちに聞いてんだッ!黙ってろ!」

人狼「……犬って……」

炎「………」

兵士「気に食わないからか?」

炎「そうだ。……?」

衛兵「………」

兵士「……てめえだってこれ食うんだろ。手伝え」

炎「………」

兵士「………」

炎「良かろう。手伝ってやる。人狼よ、頼んだぞ」

人狼「はああああ?嫌ってッ!こんな犬扱いする

士卒「この骨やるからさ……旨いんだってよこの骨」

人狼「……そ、それでも

士卒「この肉も付けるぞ?」

人狼「………」プルプル……

士卒「………」

人狼「……し、仕方無いなぁって炎様の命令だから手伝う!」

士卒 (流石犬だ……チョロいな……)

兵士「わかってくれて良かったよ」

炎「そう言う事では無い」

兵士「あ?」

炎「気に食わないが気が変わっただけだ。それに私はそんな物は食わん」

兵士「そうかい……」

炎「手伝ってやる代わりに……そこ人間を貸せ」

兵士「………」

炎「取って食うつもりは無い。ただ話すだけだ」

兵士「……なんだ話って」

炎「貴様には関係無い。貸すか?城までこれを運ぶか?」

兵士「………」

衛兵「言っていいぞ……」

兵士「は?いや、お前……」

衛兵「話すだけと言っているんだ。そうなんだろ」

士卒「でもさ……もし何かあったら……」

衛兵「昨日の上官殿の話を覚えているか?私に何かあれば彼方は只では済まないと思うぞ」

兵士、士卒「………」

衛兵「わかったら行け。この機会を逃せば日が暮れる」

兵士「……わかった」

士卒「いいのかよ……」

兵士「良いって言ってるんだ……」

士卒「………」

兵士「行くぞワン子……」

人狼「ワン子って言うなってッ!」



側近「ふふふふふふ」

勇者「………」

側近「ふふふふふふ」

勇者「あのね……」

側近「どうしました?ふふふふふふ」

勇者「怖いんだけど……」

側近「そうですか?ふふふふふふ」

勇者「………」

傭兵「探したぜ」

側近「ふふふふふふ」

傭兵「……側近ちゃんどうしたんだ?」

勇者「壊れたかな……」

傭兵「それは見ればわかるが……」

勇者「余程嬉しい事があったみたいよ……あんなになるぐらいに!」

傭兵「………」

勇者「僕、一緒にいるの怖いんだけど……」

傭兵「……なら何で一緒にいるんだ?」

勇者「離れたいけど離れてくれないの!」

傭兵 (ああ……エリゴス関係でそうしてるんだな……)

勇者「エリゴスたん探しに行きたいのに!」

傭兵「………」

側近「ふふふふふふ!」

傭兵「……なあ側近ちゃんよ」

側近「なんです?ふふふふふふ」

傭兵「その……ふふふふふふって言うのやめてくれ……」

側近「えー?でもぉ!ふふん!」

傭兵「それとよ……何でそんなに機嫌がいいんだ……?」

側近「えー?侍さんがですねぇ私の事を好みだって言ってくれたんですよぉ!ふふん」

傭兵「………」

勇者 (ああ……それでか……)

側近「やっぱりそうだったんですねぇえへへへへ!」

傭兵「………」

勇者「………」

傭兵「うああああ……側近ちゃんよぉぉぉオジサンより侍の方がいいって言うのかよぉぉぉ!」

側近「あ、え?そうですけどそうじゃ無くて……」

傭兵「うああああ……そうですけどって言われたぜぇぇぇ!」

側近、勇者「………」

傭兵「側近ちゃんの馬鹿ぁ!うああああん!」ダッ

側近「ち、ちょっと傭兵さん!」

ダダダダッ!

側近、勇者「………」

勇者「オッチャン……号泣してたよ……」

側近「はい……」

勇者「オッチャン……恥ずかしげも無くうああああん!とか言ってたよ……」

側近「はい……」

勇者「オバサンも歳を考えずえへへへとか言うの止めた方がいいよ……」

側近「………」スゥ……

スパァァァンッ!

勇者「イタァッ!……ご、こめんなさい……」

側近「傭兵さんの事どうしましょう……」

勇者「……オッチャンだし放っておけばいいと思うけど」

側近「そうですね……傭兵さんですから放っておきましょうか……」

勇者「じゃ!僕はエリゴスたん探しに行くから!」

側近「私から見えない範囲から出たら酷い事しますからね……」

勇者「………」



土「もうぅぅぅッ!食材の貯蔵庫とドレッサー作れってなんでゲス!作って欲しかったら手伝えでゲスッ!」

風「なんだかんだでこなしてる所が凄いでヤンスな……」

土「お前も見てないで手伝えでゲス!」

風「嫌でヤンス……」

エリゴス「ヤンス!ゲス!」

土「ゲスって言わないで……そんなに慌ててどうしたんでゲス?」

エリゴス「我を匿え!」

土、風「はあ?」

エリゴス「いいから早くしろッ!」

土「わかったでゲスが、ここら辺で隠れそうな所は……」

風「これなんかどうでヤンス?」

土「エリゴス様なら入れそうでゲスな」

エリゴス「ええい!どこでもいい!早く!」

土「ならこの箱の中にどうぞでゲス」

ガサゴソガサゴソッ!

土「……一体なんでゲスか」

風「さあ……」

箱エリゴス「我がここに隠れている事を誰にも言うでないぞ!」

土、風「へぇい」

水「ねえ、あんた達エリゴス見なかった?」

風「またでヤンスか……?」

水「またなのよ……もう」

土「………」

水「どこ行ったのかしら……あの格好で彷徨かれると困るのよねぇ……」

土「へぇ……」

水「まさかまた逃げるなんて思わないからとっておきを着せてあげたんだけどね」

風「……とっておきでヤンス?」

水「そうなの。いつ何時何処でも良いようにって持ってたんだけど……」

土 (あれをでゲスか……)

風 (そのいつ何時が来るかも怪しいのにでヤンス……)

水「ん……」

土、風「………」

水「その箱の中に入ってたりしない?」

箱エリゴス「ッ!?」

土「は、入って無いでゲスよ!」

水「………」

風「な、何を言ってるんでヤンス!」

水「………」

土「本当でゲス!なぁ?」

風「本当でヤンス!」

水「………」

土、風「………」

箱エリゴス「………」

水「そっかぁならいいけど」

箱エリゴス「………」

水「……あんまり密閉された所にいると女子力が逃げなくなって許容量オーバーしちゃうのよね」

箱エリゴス「……ッ!」

水「それはそれは大変な事になっちゃうんだけど!」

箱エリゴス「………」

水「でも密閉された所にはいないみたいだし……この箱とかね!」

箱エリゴス「………」

水「安心したわ……もしこの箱の中にいるんだったら……ああッ!考えただけでも恐ろしい事がッ!」

箱エリゴス「………」

水「………」

土「……恐ろしい事ってなんでゲス?」

水「聞きたいの?……じゃあこの箱の中に聴こえるくらい大きい声で教えてあげる!」

箱エリゴス「………」

水「そうね……最初は顔の化粧が濃くなってくるの」

風「水みたいにでヤンスか?」

水「………」ググッ!

風「じょ、冗談でヤンス!やだなぁはははは!」

水「……それでね、段々とまつ毛が長くなって髪の毛も上へ上へと盛っていくようになるのよ……」

土「………」

水「そして最後には……宵闇にキラキラと輝く蝶になり……消えていくの……」

土「………」

水「ね?恐ろしいでしょ」

土「……何処がでゲス?」

水「あんた……お水の花道なめてるの?どんだけ苦労する事か……」

土「……はぁ?」

箱エリゴス「………」ガタガタ……

水「あらぁ?この箱ガタガタいって何かしら!」

箱エリゴス「………」ダッ!

水「あッ!」

ガダダダダッ!

水「チィッ!逃がさないわよ!」ダッ!

土、風「………」

風「あれは……追い掛けた方がいいでヤンスかね……」

土「そうゲスね……」

風「しかし……エリゴス様は何故あそこまで水を恐れているんでヤンスかね?」

土「さあ……でも女子力と言う物も恐れてるみたいでゲスたが……」

風「……意味がわかんないでヤンス」

土「本当でゲスね……」

風「時に土、あのエリゴス様が着てた服……水が着る時が来ると思うでヤンス?」

土「いいえ……」

風「ですよね……」

土、風「………」



兵士「ワン子よくやったッ!」

士卒「本当だな!助かったよ!」

人狼「………」

兵士「偉いなぁお前は!」ナデ

人狼「撫でるな!触るなって!」

兵士「なんだよ……」

人狼「人間ごときがアチシの毛皮に触るなって!」

兵士「褒めてやってるじゃねえか……怒んなよ……」

人狼「……炎様の命令が無かったらお前の喉笛食い千切ってやるのにって」

士卒「………」

人狼「がルルルルッ……」

士卒「ほれ……例のブツだぞ」ポイッ!

人狼「はあああ!ハァ!ハァ!スンスン!ハッハッ!」

兵士、士卒「………」

人狼「ハフッハフッ!ウマッ!これ美味しいって!」フリフリッ!

兵士、士卒「………」

人狼「ああああ!幸せぇぇぇ……はっ!」

兵士、士卒「………」

人狼「………」

士卒「気にしないでいいぞ。本能にはさからえないもんな!」

人狼「………」

士卒「……犬の」ニヤッ

人狼「こ、こいつッ!犬って言うなって!」

士卒「ん……鼻の頭が濡れてるから明日は雨か?」

人狼「知るかって!」

兵士「そう虐めるなよ……」

士卒「だってな?」

人狼「こっちに同意を求めるなって!やなやつ!」

……うおおおおんッ!

兵士「……なんだ?」

傭兵「うおおおお……」

兵士「………」

傭兵「うおおおおん!聴いてくれよぉぉぉ!」

兵士「オッサン泣くなよ……気持ち悪りいよ……」

傭兵「………」

兵士「って真顔になられても困るがよ……」

士卒「オッサンどうしたんだよ?」

傭兵「うおお側近ちゃんがよ!侍の方がいいてぇぇ!」

士卒「ああ……あれな……」

傭兵「……お前何かわかるの?」

士卒「そりゃ……わざわざ上官殿の所まで息をきらして走って来て……」

傭兵「………」

士卒「『上官!私……上官の事が……』って!」

傭兵「………」

士卒「もうさ上目使いで頬染めて!恥ずかしそうに……」

傭兵「うおおおおんッ!」

兵士「やめてやれよ……オッサンの号泣なんて鬱陶しいだけだろ……」

士卒「やめるもなにもその通りだったろ!」

兵士「そうだけどよ……」

傭兵「うおおおおッ!側近ちゃんよぉぉ魔王だからオジサン諦めたんだぜぇぇぇ!」

兵士、士卒「………」

人狼「………」

兵士「な?オッサン、辛いだろうが嫌な事は酒飲んで忘れちまえって」

士卒「そうそう!俺も飲んでナンバースリーだった事忘れたいしさ!」

傭兵「えっぐっ……」

兵士「酒は傷付いた男の心を癒してくれるって言うだろ?」

傭兵「……うぅ」

兵士「俺らもさ付き合ってやるから……」

士卒「そうそう……」

傭兵「お前……いいやつだなぁぁぁぁぁぁッ!」ガバッ!

兵士「抱き付くなよオッサン!鼻水付くだろ!」

傭兵「うおおおお……」

兵士「………」

ダダダダッ!

勇者「ひぃぃぃぃぃ!」

側近「むぁてえッ!」

勇者「追って来ないでぇぇぇ!」

側近「時おり見せる悪そうな顔を見て逃がすと思ってるんですか!」

勇者「そんな顔してな……あっ」ガッ!

ズデンッ!

勇者「いつつ……はっ!」

側近「………」

勇者「………」ズサッ……

側近「大人しくしていたら……腕が折れる事も無かったんですよ……」

勇者「いや……折れてなんか無いけど……?」

側近「これから折れますから。少し痛いかもしれませんが我慢してくださいね」

勇者「いや……いや……」

兵士、士卒、傭兵「………」

人狼「あれ?側近ちゃんって!」

側近「え?人狼ちゃん!」

人狼「久し振りだねって!元気だった?」

側近「ええ!元気でした!人狼ちゃんも毛並みの艶がいいですから元気だったんですね!」

人狼「うん!」

側近「それは何よりです!」

人狼「側近ちゃん、魔王とはあれからどおなのって?」

側近「えへへへ!」

人狼「おお!遂にって!?やったね!」

側近「ありがとうございます!」

傭兵「……?」

人狼「あの鈍チンがようやく気が付いたか……なるほどなるほどって……」

傭兵「……側近ちゃんよ、聞いていいかい?」

側近「なんでしょう?」

傭兵「魔王の事が好きだったんだよな……?」

側近「だったじゃないです!現在進行形ですよ!」

傭兵「そうかい……侍の事も好きなのかい……?」

側近「は?侍さんには別にそう言う感情は湧きませんけど……」

傭兵「んん?どう言う事だ?……侍に告白されたんだよな?」

側近「されてませんよ?」

士卒「オッサン違うって……魔王が上官殿に告白したんだよ」

側近「……してませんけど?」

士卒「えええ!あれはどう見てもしてたもんな?」

兵士「してたな」

傭兵、側近、士卒「????」

傭兵「オッケー……最初から整理しよう……何か食い違いがあるみたいだな……」

側近「はぁ……」

傭兵「まずは……側近ちゃんは魔王の事が好き、オジサンは振られた。これは間違い無いな?」

士卒「オッサン振られたのかよ!ダッセエな!」

傭兵「うるせえよッ!お前は相手にもしてもらってねえじゃねえか!」

士卒「ぐぬぬ……」

傭兵「それでだ……それでも側近ちゃんは侍に告白したんだよな?」

側近「だからしてませんて」

傭兵、士卒「………」

側近「侍の理想の女性を聞いただけですよ」

傭兵「……なんでそんな事聞いたんだ?」

側近「それはですね……魔王様が!自分の好みは侍さんと同じだって言ったからですよ!」

傭兵「………」

側近「もう魔王様ったらそれならそうと言ってくれたら良かったんですよね!えへへへ!」

傭兵「そう言う事か……」

士卒「なんだよそれ……」

傭兵「……侍は側近ちゃんが理想の女性と言ったんだな」

側近「はい!」

傭兵「あれ?は?……と言う事は侍の野郎は……」

側近「……?」

傭兵「………」

士卒「ヘッポコ兄ちゃんと上官殿の取り合いか……」

側近「魔王様はヘッポコじゃ無いです!」

傭兵「これはまた……ややこしい事になったな……」

勇者「………」

ガタダダ……

勇者「……ん?」

ガダダダダダッ!

勇者「え?な、なに?箱が

バカーンッ!

勇者「あいたぁッ!ななななになに??」

エリゴス「チィッ!誰だ!」

勇者「あ……ああ……」

エリゴス「貴様か……邪魔だ退け……?」

勇者「そ、そうだったのか……そうか……」

エリゴス「……なんだ?」

勇者「………」

エリゴス「………」

勇者「ウワアアアアッ!エリゴスたん僕の為にそんな格好してくれたんだねぇぇぇッ!」

エリゴス「………」

勇者「しかもそれだけじゃ無い!箱から出てくるサプライズ!」

エリゴス「………」

勇者「僕にはまだ帰れる所があるんだ……こんなに嬉しい事は無い……」

エリゴス「意味のわからぬ事を言言うな……これは着せられただけだ……」

勇者「ウエディングドレスってやつは自分を相手に差し出す儀式をする時に着るもんなんだよッ!」

エリゴス「………」

勇者「それを着たって事は!もう僕の所へお嫁さんに来たのも当然な事ぉッ!」

エリゴス「……そうなのか?」

傭兵「んなわけあるか……」

勇者「さあ!行こうエリゴスたん!」

エリゴス「何処へだ……?」

勇者「僕達の楽園……ヴァルハラへッ!」

エリゴス「悪魔がそんな所へ行けるか……」

勇者「なら!なら!」

水「エリゴス見いぃつけたぁ……」ニタリ……

エリゴス「ッ!?き、貴様が余計な事を言うから追い付かれてしまったではないか!」

水「ふふふ……駄目よ逃げちゃあ……」

エリゴス「ぐっ……」

水「ほらぁ……女子力下げる為にお着替えしましょうねぇ……」

エリゴス「い、嫌だ!」

勇者「あ、僕も付き合うよ」

傭兵「お前はサラッとそんな事
言ってんじゃねえ……」

人狼「………」カタカタ……

兵士「……ワン子どうした?」

人狼「アレコワイ……ケガワカラレル……」

兵士「なんで片言なんだよ……」

士卒「……勇者っていつもあんなんなの?」

側近「そうですよ」

士卒「俺達が理想としてた勇者が……人間の粕だったなんて……」

側近「心中お察しします……」

土、風「………」

土「あれぇ……なんか俺達だけ蚊帳の外みたいでゲス……」

風「これじゃ来ない方が良かったでヤンス……」



炎「………」

衛兵「………」

炎「この世界で見る夕陽は実に美しい……」

衛兵「………」

炎「光と闇が共存し存在する……」

衛兵「………」

炎「そんな夕陽を見ていると……心が締め付けられる気分になるな……」

衛兵「……話とはなんだ?」

炎「………」

衛兵「………」

炎「人間よ……」

衛兵「………」

炎「貴様の心も……私が今言った心情ではないか?」

衛兵「………」

炎「無言で返すか……ふふっ」

衛兵「………」

炎「隠さずとも良い。……私は既にわかっている」

衛兵「………」

炎「その目……良い目だ」

衛兵「………」

炎「私と同じ……恋をした者の眼だな……」

衛兵「………」

炎「違うか?」

衛兵「……そうだ」

炎「やはりな。……人狼にか?」

衛兵「………」

炎「魔物と人間……相違なれぬ者同士の恋……」

衛兵「………」

炎「私が応援をしてやるッ!」

衛兵「なんで……あんたにはそんな事する必要が無いだろ……」

炎「あるな。エリゴス様や魔王が言っていた魔物と人間の共存……貴様の恋が成就すればそれも可能だと証明してくれる」

衛兵「………」

炎「それに恋する者同士……協力するものであろう」

衛兵「あんた……いや、御名前を聞かせて貰えないか?」

炎「炎だ。貴様は?」

衛兵「衛兵……」

炎「そうか……衛兵よ、苦難は一緒に乗り越える友がいれば容易く乗り越えられるもの!」

衛兵「友……?」

炎「そうだ!お互い同じ志を持った者が出逢えば……もうそれは友と言っていい!」

衛兵「なるほど……」

炎「衛兵……」

衛兵「炎……」

炎「いざッ!禁断の扉に閉ざされし恋路の先へ!」

衛兵「おおッ!」



風、人狼「ッ!!!」ゾゾゾゾッ!

土「どうしたでゲス?」

風「いや……今まで感じた事の無い悪寒がしたでヤンス……」

人狼「アチシもって……」

土「はぁ?」

風「なんでヤンスか……これ……」

人狼「わからないって……風ちゃん……」

風「アッシをちゃん付けで呼ぶなでヤンス!」

人狼「ええ?なんでって?」

風「これでも立場はお前より上でヤンスよ!」

人狼「………」

風「……なんでヤンス?」

人狼「だって……風ちゃん弱いしって」

風「弱く無いでヤンス!」

人狼「弱いって。土様もそう思いますって?」

土「………」

風「なあああ!なんで土には様付けるでヤンスか!」

人狼「弱いからって!」

風「だから弱く無いでヤンス!土もそう思うでヤンスよね!」

土「……確かに弱いでゲス」

風「………」

土「ただ……」

風、人狼「ただ?」

土「オッパイとシブトさだけなら一番でゲスね!」

風「………」

人狼「おお!風ちゃん誇れる物があったって!」

風「そんなもの誇れても……何にも嬉しくは無いでヤンス……」

土「人狼……何か用事があってここに来たでゲス?」

人狼「炎様が放ってる軍勢をどうすればいいか聞きに来たって」

土「は?……あいつ何も命令とか出して無いで来たでゲスか?」

人狼「そうって!」

土「………」

風「てっきりちゃんとしてきてるかと思えば……」

土「なに考えてるでゲス……」

人狼 (この二人も同じだよねって……)

土「で?炎はなんて言ってたでゲス?」

人狼「人間を襲ったりしないで待ってろって」

土「ならお前はそれを伝えに帰らないといけないんじゃいけないんでゲス?」

人狼「それは使い魔飛ばして伝えとくって。……最初からそうしろよって……まったく」

土「………」

風「……人狼は帰らないでヤンスか?」

人狼「お前は残れって言われたって」

土「なんででゲス?」

人狼「さあって?」

土「………」

風「……上の者を敬わない奴は早く帰ればいいでヤンスのに」

人狼「ヤンスとか語尾に付けちゃう者を敬えって方が無理って!」

風「なあああ!そんなの土も同じでヤンスよ!」

人狼「同じじゃ無いって!」

風「ゲス言ってるじゃないでヤンスか!」

人狼「ゲスは悪者っぽくていいって。ヤンスは……本当雑魚っぽいって!」

風「ぐぬぬ……」

土 (炎……お前は一体何をしようとしているのでゲスか……)

人狼「そうそう!風ちゃん!」

風「なんでヤンス……」

人狼「炎様……気を付けた方がいいよって……」

風「それは十分承知してるでヤンス……」

人狼「そう?炎様ね……何か恋占いとかやってるみたいよって」

風「………」

人狼「……お前は恋する乙女か!って。気持ち悪いよねって……」

風「………」

人狼「もう末期だよアレは!」

風「うぁぁぁぁぁ……」

人狼「炎様の頭の中じゃ風ちゃんキラキラしちゃってるんじゃないかなって……」

風「やめてくれでヤンス……」

人狼「………」

土 (本当にエリゴス様や魔王に従って……なら、俺も炎に付いて行くと決めた身でゲス!)

人狼「その体に合った人格に矯正するって!」

風「アホかッ!そんな事されてたまるかでヤンス!」

人狼「だから……気を付けてねって……」

風「もうううう笑えない域まで来てるでヤンスぅぅぅ……」

土 (地獄の果てまでも付き合うでゲスよ……炎……)

風「どうにかしないと……どうにかしないと……」

人狼「頑張って風ちゃん……」

土「男ならば!なぁッ!風でゲス!」

風「……?」

人狼「………」

土「………」フンスッ!

人狼「ど、どうしたって?」コソコソ

風「わからないでヤンス……」



傭兵「………」

側近「ね!?ふふ!」ルンルン!

勇者「よくわからない同意を求められても困るんだけど……」

水「ん……このまま成就しちゃうのもつまらないわね……」

側近「つまらなくて結構です!後は魔王に直に聞いて……やっと……やっとですよ!」

水「………」

傭兵 (ちっとはオジサンの事も配慮してくれたら嬉しいんだが……)

側近「ふふん!」

傭兵「まぁ……側近ちゃんが幸せになればいいか」

水「黒髪のはどこ行ったの?」

傭兵「わかんねえんだよ……探してもいねえし……」

水「魔王といたりして……」

傭兵「ん……そうかもしれねえが今はねえんじゃないか?」

水「そうよね……」

傭兵「………」

側近「さあ!いざ魔王の間に行き

……ああ……侍……

側近「………」ピタッ……

……やめて……そんな深々と……

側近「………」

傭兵「……どうした?扉開けねえのか?」

側近「………」パクパク……

傭兵「……?」

側近「……あああ」ガクッ

傭兵「おおおい!側近ちゃん!……なんだって

……大殿……お感じになられますか……

傭兵「………」

……あああ……抜かないで侍……

傭兵「ぇぇぇ……」

勇者、水「……?」

……拙者……もう……

勇者「は?」

水「まあ!」

……まだ駄目……侍……

勇者「魔王……君ってやつは……」

水「ほうほう!なるほどなるほど!」

側近「は……はは……」

傭兵「嘘だろ……」

水「そう言う事なのね!」

側近「ふぐぅええん……」

水「魔王が貴女に何も反応示さなかったのって!そっか……ふふ!」

側近「これはあんまりですよぉぉ魔王様ぁぁ……」



魔王「ああ……侍……」

侍「………」

魔王「やめて……そんな深々と……」

侍「………」ドゲザッ!

魔王「もう頭上げていいから……」

侍「頭を上げる事は出来ませぬ……」

魔王「何でなの……」

侍「拙者……拙者……とんでもない事をぉ!」

魔王「………」

侍「うおおお……」

魔王「一体何をしたの……」

侍「大殿……お感じになられますか……拙者が仕出かした事……」

魔王「ごめん……全くわからないや……」

侍「……側近殿がその……」

魔王「………」

侍「拙者に……その……」

魔王「………」

侍「親愛の情を……ですな……」

魔王「そう。良かったじゃない」

侍「………」

魔王「側近は……ん、ちょっとおかしいところがあるけど良い娘だよ」

侍「………」ガバッ!

魔王「ななななに?」

侍「やはりいけませぬ!……大殿」シュバッ!

魔王「あああ……そんなの抜かないで侍……それで何するの……」

侍「腹を斬り……

魔王「あああ!待って待って!」

侍「しかし……」

魔王「そんな事しないでいいから……」

侍「………」

魔王「………」

侍「拙者……やはりもう責任を取り!」

魔王「駄目だって!まだ駄目!駄目だからね侍!」

侍「………」

魔王「あのさ……なんなの責任って?別に側近が侍の事を好きだろうと僕は何も思わないけど」

侍「………」ガバッ!

魔王「だからやめて……その刃物は置いてよ……」

侍「あああ!」

魔王「………」

侍「大殿との仲を切り裂った拙者はやはりぃ!」

魔王「……僕との仲?」

侍「そうで御座います!これでは……これでは……」

魔王「………」

侍「………」

魔王「あのね……もしかして側近に聞かれた事で側近って答えた?」

侍「如何にも……」

魔王「それでかぁ……」

侍「……?」

魔王「ん……まずはね……君に謝らないといけないね……」

侍「何をで御座ろうか……」

魔王「側近が侍の好きなタイプはって聞きに行ったのは僕のせいなんだよ……」

侍「………」

魔王「僕が僕の好みは侍と同じだよって言ったからね……」

侍「何故そのような事を……」

魔王「いやぁ……側近と勇者にどんなのが好きなのかって迫られてね……」

侍「………」

魔王「それで咄嗟に侍と同じと答えちゃったんだよ……」

侍「………」

魔王「ほら……君なら変な事にならないと思ってね……」

侍「はぁ……大殿……」

魔王「侍……僕は君を信頼してね言ったんだよ」

侍「……ッ!」

魔王「ゴメンね……何か色々と変な事になっちゃったけど……」

侍 (信頼して……信頼して……大殿が拙者を信頼してぇぇ!)

魔王「……聞いてる?」

侍 (うおおおおお!大殿ぉぉぉ!)

魔王「……?」



傭兵「開けるぞ……」

側近「えっぐっえっぐっ……」

勇者「やめようよ……最中だったら本当洒落にならないし……」

水「何言ってるの!そうそう見れるものじゃ無いでしょ!」

勇者「………」

傭兵「側近ちゃんよ……何かの間違いかもしれねえしよ……」

側近「うぅ……ですが……」

傭兵「確認だけは……しておいた方がいい……」

側近「………」

傭兵「行くぞ……」

カチャ……

侍「うおおおおお大殿ぉぉぉッ!」ガバッ!

魔王「ヒイイイ!だ、抱き付かないで侍ぃぃッ!」

側近、傭兵、勇者「………」

侍「拙者ぁ!それ程までに拙者を信頼して頂き感激の極みですぞぉぉぉッ!」ギュゥッ!

魔王「わかった!わかったから!離れて!し、死ぬから!イダダダッ!」

側近「………」フラッ……

傭兵「側近ちゃん!」

魔王「き、君!ちょうどいい時に……グエェ……助け……」

勇者「………」

魔王「なんで……助けくれない……」ガクッ……

勇者「今のアンタが一番醜いぜ……って昔の人の言葉を思い出したよ魔王……」

侍「大殿ぉぉぉッ!」ギュゥッ!!!

魔王「………」ブクブク……

侍「は!大殿?大殿ぉぉぉ?」

傭兵「側近ちゃん!しっかりしろって!」

側近「………」ブクブク……

傭兵、侍「………」

傭兵「侍!魔王!てめえらが!てめえらがおかしな事してるからなぁッ!」

侍「おかしな事?」

傭兵「それ見て側近ちゃん泡吹いて倒れただろうがッ!」

侍「なんの事で御座ろう……?」

傭兵「しらばっくれるな!お前ら野郎同士でなにやってんだよ!」

侍「何を言っているのか……」

傭兵「……お前は側近ちゃんの事を好きと言っておきながら魔王と宜しくやってたんだろうが」

侍「は?」

傭兵「答えろ……返答次第で俺はお前を許さんからな……」

侍「ごごごご誤解で御座りまする!これはですな!」



侍「……と、言うわけで御座いますな」

傭兵「えええ……なんだそりゃ……」

水「あらつまらない……」

勇者「………」

魔王、側近「………」グデェ……

侍「どうやら誤解が誤解を呼んでしまわれたようで……」

傭兵「そうみたいだな……」

侍「………」

勇者「どうするのこの二人……」

傭兵「………」

水「一緒に寝かせとけばいいじゃない?」

傭兵「あ?……そうだな……」

水「起きたらどうなるかしらね!」

傭兵「……悪趣味な奴だな」



魔王「……うぐぐ」

側近「………」ジィ……

魔王「ん……ここは……?」

側近「………」ジィ……

魔王「……やあ側近」

側近「………」ジィ……

魔王「あ、あのさ……その光を宿して無い眼で見られるの凄い嫌なんだけど……」

側近「そうですか」

魔王「………」

側近「侍さんと幸せになる魔王様には相応しい眼差しかと」

魔王「……は?」

側近「もう二人の相瀬を隠される事無く抱き合うのも私達は気にしませんので」

魔王「……違うよ?」

側近「違いますか。そうですか」

魔王「あれは……侍がさ……」

側近「侍さんが感激の余り暴走して魔王様に抱き付いたですか」

魔王「そう!」

側近「………」

魔王「……本当だからね?」

側近「本当ですよね。皆がいる前では」

魔王「………」

側近「二人きりの時は何をしている事か」

魔王「あのね……」

側近「あのねなんでしょうか」

魔王「そんな事なるわけ無いだろ?侍だよ?」

側近「侍さんだからじゃないんですか」

魔王「………。イヤイヤ!そんな事は無いから!」

側近「………」

魔王「僕は男とか雄とか興味無いしね?」

側近「………」

魔王「侍と……それだけじゃ無いけど、二人きりになっても水が喜びそうな事にはならないよ……」

側近「………」

魔王「……だからと言って勇者と同列でも無いからね」

側近「………」

魔王「………」

側近「なら……再度お訊きしますが、何なら興味があると?」

魔王「特にこれと言っては……」

側近「そのような答えでは満足出来ません」

魔王「………」

側近「………」

魔王「……ん、僕みたいな駄目な魔王だとしても付いてきてくれる者かな」

側近「あああ……やっぱり侍さんなんじゃないですかぁぁ……」

魔王「それは今だろ!もっと前から!」

側近「あああ……やっぱりエリゴスさんとぉぉ……」

魔王「もっと前!」

側近「あああ……傭兵さんとなんてぇぇ……」

魔王「あのさ……」

側近「不潔です魔王様ぁぁ……」

魔王「言い方が悪かったよ……この城で僕と一番長く時間を過ごした者だよ!」

側近「………」

魔王「………」

側近「……水様?土様?風様?」

魔王「君は自分だって答えは出てこないのかい……」

側近「………」

魔王「……まったく」

側近「………」

魔王「……こんな事は言いたく無いんだよ?君がいなかったら僕はもうこの世界にはいない存在になっているだろうしね」

側近「………」

魔王「君がいたから……魔王を続けられて……」

側近「………」

魔王「君がいたから……今があるんだ」

側近「………」

魔王「側近……ずっと一緒にいてくれた者をそう言う感情で見るのは本当はいけないんだけどね……」

側近「………」

魔王「僕はそう言う感情でしか側近を見れなくなってしまったんだよ。君はよく思わないかもしれないけど」

側近「よよよよよよく思わないなんて事はありありありませんし!」

魔王「………」

側近「ずっと一緒にいますし!その様な事言われてうれうれ嬉しいですし!」

魔王「そう……良かった……」

側近「それそれに魔王様の事は私もすすすす

バダァーンッ!

魔王、側近「………」

傭兵「馬鹿野郎!お前ら押すんじゃねえよ!」

水「そうよ!今一番盛り上がってる所なんだから!」

風「アッシ達にも聴かせろでヤンス!」

土「人狼!俺の上に乗るんじゃ無いでゲス!」

人狼「アチシも事の行く末を同期の者として聞きたいって!」

兵士「上官殿が押したんだよ!」

士卒「そうそう!」

侍「拙者は何もしとらん!」

エリゴス「………」

魔王、側近「………」

傭兵、水、風、土、人狼、兵士、士卒「やあ……」

魔王、側近「………」



魔王「……どう言う事かな?誰か説明してもらえる?」ビキビキ

側近「………」ビキビキ

傭兵「お前言えよ……」

水「嫌よ……あんた達言いなさいよ……」

風「アッシらあんまり関係無いでヤンス……」

土「そうでゲス……」

人狼「側近ちゃん良かったね!」

兵士「上官殿が悪いんだぜ……」

士卒「そうそう……」

侍「拙者は何も悪く無いだろ!」

エリゴス「………」

魔王、側近「………」ビキビキ

傭兵「そんなこめかみに血管浮かせるなよ……怖えよ……」

水「悪かったって……」

魔王「……で?」

傭兵「ほら……色々誤解があってよ?二人きりにしてやりてえと思って!」

魔王「そう思ってたなら何で扉から雪崩れ込んできたりするのかな?」

傭兵「……オジサンはお前らの話聞く権利あるし!」

魔王「………」

水「ここまで引っ張ってきた話聞きたいものねぇ?」

風、土「そうそう!」

魔王「………」

人狼「側近ちゃんおめでとうって!」

魔王「………」

兵士「えーと……何かあるか?」

士卒「特に無いけど……」

魔王「………」

傭兵「てか!聞いてたらお前の言い方は遠回し過ぎるぜ!なんだよあれ!」

魔王「え……ええっとね……」

水「本当よね!雄ならその辺ビシッと決めるものなんじゃないのかしら?」

魔王「………」

風「チャンマオ意気地無し!ヘイヘイヘイ!」

土「その通りでゲスな!」

人狼「側近ちゃんがどんだけ待ってた事かって!」

兵士「上官殿見習えよ!」

士卒「ヘッポコ兄ちゃんだな本当に!」

魔王「………」

傭兵「皆に謝れよ!」

魔王「……ごめんなさい」

傭兵「よし」

側近「魔王様?謝る所じゃ無いですよ……」

魔王「そ、そうだよね!?」

傭兵「チッ……誤魔化せなかったか……」

エリゴス「ふ……ふふ……」

侍「エリゴス殿如何なされた?」

エリゴス「いや、魔王と側近めが欲しい物を手に入れ目出度いとな」

侍「はぁ……?目出度いのならば……」

エリゴス「そうだな。侍、頼むぞ」

侍「ははッ!」

魔王「……あれ?」

傭兵「あ?なんだ?極楽能天気楽天うかれポンチ様ぁぁ?」

魔王「そこまで皮肉らないで……ところでさ、勇者は?」

傭兵「……勇者は?」

水「勇者は?」

風、土、人狼「勇者は?」

兵士「勇者は?」

士卒「勇者は?」

侍「知らん!」

士卒「知らないって」

兵士「知らないっ

魔王「聴こえてるから……何でいないの?」

傭兵「エリゴスはここにいるからな……変な事はしてねえと思うけど」

水「あれじゃないの?若いし」

魔王「………」

傭兵「ああ、若いからな」

人狼「……何で若いといなくなるって?」

風、土、兵士、士卒「………」

人狼「……?」



勇者「………」

炎「さあ!恋と言う火炎の刃を振りかざし!いざ!」

衛兵「ああ!愛しき人の突き立てんと!」

勇者「……あのね」

炎「なんだ!同志よ!」

勇者「同志ってなに……?僕いきなり連れて来られて意味わからないんだけど……」

炎「………」

衛兵「友よ……少しばかり説明不足だったのではないか?」

炎「そのようだな……」

勇者「説明不足もなにも……何も説明されて無いんだけど……」

炎「見ればわかるであろう!」

衛兵「勇者ならそれぐらい出来て当然だろ!」

勇者「………」

炎「まだわからぬと言った顔をしているな……困ったものだ」

衛兵「情けない……人間の刃先となりし者がその様ではな……」

勇者「なんなの一体……」

炎「ふぅ……友よ、どう説明するべきか」

衛兵「友よ……迷う事は無い。我々の心の内をただぶつければいい……」

炎「なるほど……流石だ友よ!」

衛兵「いやいや……ふふふ」

勇者「………」

炎「恋とは美しい物だ……そう思うだろ……」

衛兵「その美しい物をこの手にする為には……一人では心細い……」

炎「ならばどうするか……」

衛兵「同志を募り!共に歩まんと!」

勇者「それが僕とどう言う関係があるの……?」

炎「同志よ……ここまで言ってまだわからないのか?」

衛兵「……やれやれ」

勇者「………」

炎「我々と志を共にし歩もうではないかとな!」

勇者「嫌だけど……」

炎、衛兵「なッ!?」

勇者「………」

炎「何故だ!?私が魔物であるからか勇者ッ!」

衛兵「恋や愛に人間や魔物など関係無いだろッ!」

勇者「うん関係無いね……あのさ、さっきから聞いてると……なんて言うの?君達まだ恋だの愛だの言ってる立場なんだろ?」

炎、衛兵「………」

勇者「僕ね……もうそこは通り過ぎた後なんだよね……」

炎、衛兵「……は?」

勇者「まあ……君達のようなお子様の遊びは卒業したんだよ。わかるかなぁふふ……」

炎、衛兵「………」

勇者「やれやれって言いたいのはこっちなんだよ……ねぇ?」

炎「貴様……何を言っている……」

勇者「何って?」

炎「エリゴス様が貴様とチョメチョメしたとでも言うのか……」

勇者「ふふふ……」

炎「………」

衛兵「友よ……エリゴス様とは?」

炎「小さき体の者がいただろ?その方だ……」

衛兵「……は?あの子供とチョメチョメしたのか……?」

勇者「さあ……それはどうでしょう?クスクスッ」

炎、衛兵「………」

勇者「………」ニヤニヤ

衛兵「……に、人間の屑めッ!」

炎「そ、そうだッ!エリゴス様が貴様なんぞにッ!」

勇者「なんとでも吠えてよ。お、子、様ぁ!」

炎、衛兵「………」ムカッ!

勇者「アハハハハッ!」

炎「友よ……」

衛兵「何か……友よ……」

炎「魔物と人間……共存共栄すると言う事はな……」

衛兵「ああ……」

炎「何か共通する目的を持たなければならぬと私は思うわけだ……」

衛兵「………」

炎「ならば最初の共通する目的を……双方で生きるに値しない者の抹殺からと言うのはどうだろう……」

衛兵「………」

勇者「い、いや冗談ですよ?エリゴスたんがそう簡単に

衛兵「流石だな友よ……私もそう考えていたところだ……」

勇者「………」

炎、衛兵「………」



兵士「上官殿ぉ!これこっちか?」

侍「そうだ。それが終わったら上に行き、炭に火を入れておけ」

兵士「了解」

士卒「上官殿!農具用のホーク見付けて来たよ」

侍「御苦労!どのくらい用意出来たか?」

士卒「十本だよ。これね」

侍「……ん、刃が思ったより細いな……まぁ良いだろう」

士卒「ところでこんなの何に使うの?」

侍「ふふっいずれわかる」

士卒「……それを片手に持ってドンドコ踊ったりしないよな?」

侍「そんな事するか……拙者は下ごしらえに忙しい故、上に行き兵士を手伝ってこい」

士卒「……了解」

人狼「……ウウゥ」コソコソ

士卒「………」

人狼「ウウゥ……」

士卒「ワン子なにやってんだよ……」

人狼「肉ぅぅ……」

士卒「ば、馬鹿!摘まみ食いしようとするんじゃない!」

人狼「うるさい……人間って……ゥゥ……」

士卒「聞けって!そんな事したらお前が肉になるぞ!」

人狼「……ゥゥ」

士卒「な?絶対摘まみ食いだけは止めとけよ……もう少ししたら食べさせてやるから……」

人狼「……ゥゥ」

士卒「我慢だ……ワン子

人狼「もう我慢出来ないってぇぇ!」グワッ!

侍「………」

士卒「ワン子ぉぉぉッ!」

人狼「グルアアアッ!」ガバッ!

侍「………」スゥ……

バカンッ!

人狼「キャイン!キャイン!」

侍「………」

士卒「………」

侍「……縄で繋いでおけ。確りと飼い主の責任を果さぬか!」

士卒「い、いや……俺が飼ってるわけじゃ……」

侍「ではこれは野良か。そうか……ふふ……」

士卒「ああ!飼い主です飼い主!しっかり縄に繋いでとくんで!」

侍「……チッ」

士卒「………」



魔王、側近「………」

傭兵「………」

側近「あの傭兵さん……二人きりにしてもらえませんか?」

傭兵「駄目だ!こんな夕陽が沈む間際の絶好なシチュエーションで二人きりなんて出来ねえ!」

側近「………」

傭兵「魔王の奴は!二人きりでこの風景を眺めあわよくば側近ちゃんをもうぅぅぅ!」

魔王、側近「………」

傭兵「オジサンはそんな事許しませんよ!」

魔王「君が考えてる事はしないよ……」

側近「え?しないんですか……」

魔王「………」

傭兵「なああああ!側近ちゃん!オジサンならいつでも何時でもしてあげられるぜ!だから!」

側近「ちょっと黙っててください!」

魔王「………」

側近「魔王様……」

魔王「……いつかね。それでいいだろ?」

側近「魔王様冷たいですぅぅ!」

傭兵「お前は!なんだ!クール・アンド・ザ・ギャングな俺カッコイイとでも思ってるのか!なぁ!」

魔王「君が付きまとうからこうなってるんだろ!」

傭兵「………」

側近「傭兵さん向こうに行ってください。魔王様はやる気になってるみたいなんで」

魔王「いや……やる気にはなって無い

傭兵「絶対離れん!断固阻止だ!」

エリゴス「少しは静かにせんか」ズズ……

魔王、側近、傭兵「………」

魔王「い、いつの間にいたの……?」

エリゴス「しないんですか……の辺りからだ」

魔王「へぇ……」

側近「………」

傭兵「……何でいるんだ?もう暗くなるぞ?」

エリゴス「貴様達も侍に言われここに居るのでは無いのか?」

傭兵「いや、言われてねえよ?オジサンは側近ちゃんの貞操守る為にいるだけだし」

魔王「………」

側近「侍さんに何て言われたんですか?お二人で何か話でも?」

エリゴス「何やらここで食事すると言っていたな。だから茶でも飲んで待っていろと」

側近「そうなんですか……」

魔王「こんな所で食事?確かに見晴らしは良いけど……暗くなるしな……」

傭兵「エリゴスが吹っ飛ばしたこの場所を何か再利用しよっていうのか」

エリゴス「それは貴様も同罪だろ!」

兵士「ごめんなさってよっと」

ドサッ

魔王「何やってるの……?」

兵士「炭を運んで来ただけだけど?」

傭兵「侍に言われてか?」

兵士「そう。何するんだかね」

傭兵「お前も何するか聞かされてねえの?」

兵士「炭に火を入れておけって言われただけだぜ。これで何か焼くんだろ」

魔王、側近、傭兵「………」

兵士「……?」

傭兵「何焼くんだと思う……?」

魔王「僕にわかるわけないじゃないか……」

側近「……ふ、普通にお野菜とかお肉焼くんですよ!」

傭兵「普通ならいいが……」

側近「………」

魔王「何かの丸焼きとかだったらどうしようね……」

傭兵「やめろよ……そんなんだったらオジサン食えねえぞ……」

兵士「農具用のホークとか用意してたぜ。だから丸焼きとかは無いんじゃね?」

魔王「ホーク……?」

側近、傭兵「………」

エリゴス「侍は召喚の儀でもするつもりかもな」

魔王「やめて……それ以上言わないで……」

エリゴス「生け贄を炭で囲み……更にそれをホークを持った者達で囲み……ドンドコドンドコと踊りながら……」

魔王「………」

傭兵「どうするんだよ魔王……」

魔王「ま、待ってみようよ……違うかもしれないしさ……ははは……」

傭兵、側近、兵士「………」



土「………」カンカンッ……

風「………」

土「………」カンカンカンッ……

風「もう文句を言うのも諦めたでヤンスか……」

土「ふっ……」

風「そんな悟ったような顔してもカッコ良く無いでヤンス……」

土「……一応出来たでゲスが、こんなの何に使うんでゲスかね」

風「さあ……」

土「キューティクルオーガの頼みで作ってみたでゲスが……」

風「これ……藁とか集めるホークでヤンスよね?」

土「そうでゲスな」

風「………」

土「……?」

風「まさかキューティクルオーガはアッシ達に農業やれって言うんじゃないでヤンスか……?」

土「ん……わざわざ使いにくくコレを加工してまででゲスか?」

風「………」

土「そんな事させる為とは思えないでゲスが……」

風「じゃああれでヤンス!コレ持ってドンドコ踊る為にでヤンス!」

土「ん……わざわざ使いにくくコレを加工してまででゲスか?」

風「……え?コレだと使いにくいってどう言う意味でヤンスか?」

土「刃をこんなに曲げたらドンドコ踊れないでゲス」

風「………」

土「もしドンドコするなら最後に生け贄をコレで突かないといけないでゲスからな」

風 (こいつ……経験者でヤンスか……)

土「召喚の儀でも無いなら一体なんなんでゲスかね……」

風「………」

勇者「ふぇぇぇぇん……」

風「……何を泣いてるでヤンスか?」

勇者「ゲンスさん達の仲間にいじめられたよぉぉ……」

土「混ぜるなでゲス……仲間にと言うと水でゲスか?」

勇者「違う……仮面の方……グスッ」

土「炎がゲスか……」

風「……ッ!?おまおまお前それ!」

勇者「ふぇぇぇぇん……?」

風「かたかたかた片腕がぁぁぁ……」

勇者「斬られて取れちゃったの……」

土「取れちゃったのって……」

風「………」

土「………」

勇者「ふぇぇぇぇん……」

風「………」

土「炎……やり過ぎでゲス……」

風「本当にでヤンスな……お前、大丈夫……なわけ無いでヤンスな……」

勇者「大丈夫だよ?」

風「何が大丈夫なんでヤンスか……片腕取れてるんでヤンスよ……」

勇者「ほら」

土、風「……?」

勇者「んぐぐぐ……」グニョグニョ……

土、風「………」

勇者「……ハァッ!」グニョアッ!ズバッ!

土、風「………」

勇者「ね?また生えてくるから」

土、風「ぇぇぇぇぇ……」

勇者「何驚いてるの?」

風「驚くに決まってるでヤンス!どこの人間が腕生やせるでヤンスか!」

土「そうでゲス!緑の魔物じゃ無いんでゲスから!」

風「……お前本当は魔物ヤンスか?」

勇者「違うけど……」

土「じゃあ何でそんな事出来るんでゲス……」

勇者「回復魔法使ったから?」

土「………」

風「人間の回復魔法ってあんな事まで出来るんでヤンスか……?」

土「知らないでゲス……でも、お前をそんな姿にしたくらいでゲスから可能かもしれないでゲスな……」

風「………」

勇者「凄いよね回復魔法!」

土、風「………」



侍「うむ……」

魔王、側近、傭兵、勇者「………」

兵士、士卒、衛兵「………」

水、土、風、人狼「………」

炎「エリゴス様、おかわりは?」

エリゴス「貰おう」

炎「はっ!」

魔王「………」

傭兵「何やってんだあれ?」コソコソ

魔王「わからない……」

側近「ホーク?を熱してますけど……」コソコソ

魔王「わからない……って僕に聞かないで侍に聞きなよ!」

傭兵「お前本当に召喚の儀とかやりだしたらどうするんだよ!」

側近「そうですよ!もしそうなったら魔王様しか止められないんですから!」

魔王「………」

兵士「上官殿……一体何が始まるんだい?」

魔王、側近、傭兵 (ナイスッ!)

侍「言ったであろう。鋤焼きだ」

兵士「スキヤキ?」

侍「拙者の国の料理だ。拙者の国ではコレと似た鋤と言う農具があってな」

兵士「………」

侍「戦の中で鍋など持たぬ故、代わりに鋤を熱し鋤の背で肉や野菜などを焼いて食べた……と言うのが始まりの料理だ」

兵士「へぇ……鋤で焼くから鋤焼きか」

侍「コレのように幾多の鋤の刃を噛み合わせるように置いてな」

兵士「……旨いのか?」

侍「それは食べてからのお楽しみだな!」

兵士「………」

魔王「侍は不味い物は出さないから味の方は大丈夫だよ」

兵士「味の方は……?」

魔王「………」

士卒 (ああ……意味がわかんない物食べさせられた事があるんだな……)

衛兵 (沈黙すると言う事はそう言う事かに……)

傭兵「召喚の儀だかじゃ無くて良かったな……」

側近「まだもうひとつクリアしなきゃならない問題が残ってますけどね……」

魔王、傭兵「……それは大丈夫」

側近「何故です……?」

魔王、傭兵「………」チラッ

勇者「エリゴスたん!お茶を飲み過ぎるとオネショしちゃうよ!」

エリゴス「誰がするか!」

側近「なるほど……」



侍「大殿!暫しお待ちを!」

魔王「うん……」

側近「………」

炎「もう少し……こちらへ寄っても構わぬぞ」

風「………」

衛兵「……素敵な毛並みをしていますね」

人狼「触ろうとするなって!」

勇者「さあ!膝の上にこれを敷いて!」

エリゴス「う、うむ……」

傭兵、兵士、士卒、水、土「………」

傭兵「なんだ……この席順……」

兵士「こっちの五名はどうでもいいって席順みたいに見えるが……」

士卒「俺……魔王の隣に移るわ……」

傭兵「ふざけんな!オジサンに許可無くそんな事してみろ……マジでお前の毛根死滅させるからな!」

士卒「それはやめろって!ただでさえ将来的に不安なんだから!」

水「なんなのこれ……」

土「俺に聞かないでくれでゲス……」

水「………」

土「……?」

水「黒い蝶ネクタイ持ってくる……」

土「そんな物どうするんでゲスか?」

水「雄野郎を上半身裸にして着けさせるのよ」

土「………」

水「あんたも着ける?」

土「絶対誰も着けないでゲスよ……」

侍「ふふん!ふふん!」

ジュワァッ!

勇者「いい音だね。エリゴスたん、いい肉を焼くとこう言う音がするんだよ」

エリゴス「ほう、そうなのか」

勇者「きっとさしが程好く入って柔らかい肉だね」

エリゴス「音だけでそう判断出来るものなのか?」

勇者「僕ぐらいになればこのくらいはね……ふっ」

エリゴス「ふうむ……」

炎「飲め……貴様の為に用意した……」

風「………」

炎「………」

風「だあああ!いい加減にしろでヤンス!アッシを見るたび頬を染めるなッ!」

炎「な、何を怒っておるのだ……」

衛兵「逞しい肉球ですね!」

人狼「逞しい肉球って……」

衛兵「………」

人狼「………」

衛兵「美しい尻尾ですね!」

人狼「そんなの当たり前って……」

衛兵「………」

人狼「………」

士卒「ワン子ぉ骨貰ってきてやったぞ」

人狼「おお!麗しのぉって!」ハフハフ!

士卒 (喋れるって事は普通の犬じゃ無いんだろうが……もうすっかり飼い慣らされてるなコイツ……)

衛兵「………」

士卒「ん?なんだ?」

衛兵「許さん……許さんぞ……」

士卒「はあ?」

水「………」

土「筆頭殿!おひとつでゲス」

傭兵「おう!すまねえな!」

兵士 (魔物に人間が酒を進められてるって結構シュールだな……)

傭兵「どうした?お前も飲めよ!」

兵士「あ、ああ……」

傭兵「お前らさ……全員起きたら帰るんだろ?」

兵士「ん……俺は帰らないな」

傭兵「帰らないのか?……せっかく生きてんだ、帰った方が良いんじゃねえのか?」

兵士「………」

傭兵「……何かあるのか?」

兵士「いや、ねえけど。……帰ったところで受け入れて貰えねえし」

傭兵「………」

兵士「ここに置いて行かれたって事は俺らいらねえんだろ……」

傭兵、土「………」

兵士「そんなんで帰れるかよ……それにあの王に付くのも嫌だしな」

傭兵「そっか……他の奴等は?」

兵士「………」

傭兵「……?」

兵士「多分帰れないな……」

土「帰れないでゲスか?」

兵士「俺らの力じゃ人間のいる所まで辿り着けない……」

土「……人間避けの魔物放ってあるからゲスか」

兵士「そう……帰る前に食われちまうよ……」

傭兵「……ならオジサンが送ってやろうか?」

兵士「出来んの?」

傭兵「ああ、出来るぜ。どうする?」

兵士「それは……帰りたい奴だけ頼むわ」

傭兵「わかった」

水 (あれ?……私今逆ハーレム状態?)

兵士「それにしてもこれ変わった味の酒だな」

傭兵「………」

土「そうでゲスな。でも旨いでゲス」

水 (ええ!困るし!私の取り合いになるなんて!)

兵士「こんな事聞くのあれだが……あんたさ、人間と話して平気なのかい?」

土「別に平気でゲスが?」

兵士「そっか……」

土「上が人間と共存しろって言ってるんでゲスからそれに従うまででゲス。過去に蟠りがあったとしても……それはお互い様でゲスからな」

兵士「………」

傭兵「いい事言うじゃねえかゲスよ」

土「ゲスって言わないでゲス!」

水 (どうしよう!どうしよう!)

土「……人間も俺と話して平気でゲスか?」

兵士「そうだな……あんた俺と同じ下っぱだろ?だから平気なんだな」

土「………」

傭兵「ぷっ……ふふ……ゲスよぉその語尾やめちまえって。だからこう思われるんだぜ?」

土「………」

侍「ささあ!大殿!焼き上がりましたぞ!」

魔王「僕は後で構わないから勇者あげてよ!」

侍「何を仰られますか大殿!拙者は……拙者は……大殿の為に……」

魔王「………」

侍「ぐうっ!」

魔王「………」

側近「魔王様……侍さんの為にもここは覚悟決めて食べた方が……」

魔王「でもね……」

側近「最近は普通の食材だったじゃないですか。今回も多分大丈夫ですよ……」

魔王「その多分が物凄く気になるよね……」

側近「そうですけど……」

侍「拙者が自信を持ってすすめていますのに……それを大殿に拒否されるなら拙者の存在意義が揺らいでえええ!」

魔王「………」

侍「あああ!なんと言う事か……拙者が望む極小の願いさえ大殿はお叶えにならぬ事を許されないとはああ!」

魔王「………」

侍「天よ……誠酷しき大殿に!七難八苦を与えたまえええええッ!」

魔王「わかったよ……食べるよ……」

侍「おお!大殿!さすれば!」サッ!

魔王「………」

側近 (魔王様……頑張って下さい!)

侍「………」ニコニコッ!

魔王「聞いていいかな……」

侍「は!なんなりと!」

魔王「これ……何のお肉……?」

侍「………」

魔王「………」

侍「……猪の肉で御座ります」

魔王「……本当?」

侍「ええ!これでもかってくらいに猪の肉で御座いますぞ!なッ!」

士卒「……え?俺に言ってるの……」

侍「一緒に猪を捕まえたではないか!おかしな奴だ!はははは!」

士卒「………」

魔王「……君……これ本当に猪だった?」

侍「まごう事なき猪でしたぞ!」

魔王「君はちょっと黙ってて……どうなの……?」

士卒「………」

侍「………」

士卒「ああ……猪だったよ……」

魔王「そう……」

士卒 (上半身だけそれっぽかったな……)

侍「ささあ!冷めてしまいますぞ!」

魔王「うん……頂くよ……」

側近、士卒「………」

侍「既に味は付けてありますのでそのままで食べれますぞ!」

魔王「………」パクム……

士卒、側近「………」ゴクッ……

侍「………」ワクワク!

魔王「おおお……このお肉美味しいね……凄いよ!」

士卒「………」

魔王「伝説のホグフィッシュを彷彿とさせる味だねぇ!」モグモグ

士卒「ホグフィッシュ……?」

側近「え!魔王様はあれを食べた事があるんですか!」

魔王「まあね!昔ちょっとだけ!」

側近「良いなぁ……魔王様羨ましいです!」

士卒「あのさ……ホグフィッシュって?」

魔王「上半身豚で下半身魚って生き物なんだけどね、中々御目にかかれないんだよ」

士卒「………」

魔王「そのお肉は伝説的に美味しくて、なんでも人間の世界で売ると国が買える程って話だよ」

士卒「く、国が買えるのか……」

魔王「それぐらいレアなんだよ。……今は神とか悪魔のお偉いさんが保護なんかしてるみたいだけど」

士卒「神……?悪魔……?」

魔王「ああ……そう言えば言ってなかったけど、あの女の子悪魔だからね」

士卒「………」

魔王「だから下手な事しないように……」

士卒「………」

魔王「それとホグフィッシュの保護の事聞きたいならエリゴスさんの方が詳しいと思うから聞いてみたら?」

士卒「う、うん……」

傭兵、兵士、土「………」

水「ど、れ、に、し、よ、う、か、な!」

傭兵、兵士、土「………」

水「ねッ!?」

傭兵 、兵士、土 (何考えてんだこのババア……)

水「なに?あ!わかった!もし選ばれなかったらって思ってるんでしょ!」

傭兵「待て……あのよ、何で俺達がお前を狙ってるって思ったんだ……?」

水「ええ?だってさっきから三人揃って私の事チラチラ見てたじゃない」

傭兵、兵士、土「………」

水「もう下から舐め回すように見てたでしょ!特に貴方!」

兵士「………」

傭兵、土「………」スゥ……

兵士「ふざけんなよ!遠ざかってんじゃねえよ!」コソコソ

傭兵「だってな……」

土「別に悪い事じゃ無いでゲスから……俺は遠慮するゲスが……」

兵士「見てねえし!気もねえし!」

傭兵、土「………」

水「中年も見ていたわよね!舌舐めずりして……やらしい!」

傭兵「………」

兵士、土「………」スゥ……

傭兵「ふざけんなよ!遠ざかってんじゃねえよ!」コソコソ

兵士「それはさっき俺が言ったから……それにしてもなぁ……」

土「やはり歳が近い方が捗りますゲスか?」

傭兵「捗らねえよ!これっぽっちも捗る要素がねえだろ!」

兵士、土「………」

水「土も私が好きなのはわかるけど……そうあからさまに見られると困るわ……」

土「………」

傭兵、兵士「………」スゥ……

土「ふざけんゲスよ!遠ざかってんじゃ無いでゲス!」コソコソ

傭兵「まあ……お似合いだぜ……」

兵士「魔物と魔物だし相性がいいんだろうな……」

土「土と水が混じったらドロドロになるのに相性が良いわけ無いでゲス!」

傭兵、兵士「………」

水「私はぁ三人まとめてでも全然オッケーなんだけど!」

傭兵、兵士、土「………」

勇者「ほら来たよエリゴスたん!」

エリゴス「うむ」

勇者「美味しそうだね!ねえ……これはハシを使うのかな?」

侍「そうだな。よく知っておるな」

勇者「シーフィールドさんに教えて貰ったからね」

侍「……?なら使い方はわかるな?」

勇者「うん。エリゴスたんにも教えておくから」

侍「わかった。頼むぞ」

勇者「エリゴスたん、これ持って食べるんだよ」

エリゴス「この棒でか……?」

勇者「こう持ってね。やってごらん」

エリゴス「う、うむ……」

勇者「………」

エリゴス「難しいな……くっ!」

勇者 (ああ……こうやって愛を育むのっていいなぁ……むふは……)

士卒「ちょっといいかな……」

エリゴス「なんだ?」

士卒「ホグフィッシュって奴の事で聞きたいんだけど……」

エリゴス「ホグフィッシュ?なんだ言ってみろ」

士卒「……ホグフィッシュって貴重なんだよな?」

エリゴス「そうだな」パクッ

士卒「もしだ……それを捕まえて食べたりしたらどうなるんだ……?」

エリゴス「モグモグ……ふむ、もしそのような事があれば神や悪魔の怒りを買うであろうな」

士卒「………」

エリゴス「ホグフィッシュを捕らえた者が大きければ大きい程その怒りの過程は激しくなるな」モグモグ……

士卒「……最悪どうなる?」

エリゴス「最悪か……者にもよるだろうが世界の崩壊……いや、その時間軸そのものの消滅か」

士卒「つまり……?」

エリゴス「何も無かった事になる。この世界が無に帰るのだからな」

士卒「………」

エリゴス「それにしてもよくホグフィッシュなど知っておるな。人間でも一握りの者しか知らぬと思っていたが」

士卒「………」

エリゴス「……なんだ?顔を青くし……は?……貴様……何故ホグフィッシュの事を我に聞いた……?」

士卒「………」

エリゴス「………」ガタッ……

士卒「そう言う事……」

エリゴス「嘘で……あろう……」

士卒「どうやらそのホグフィッシュって奴と容姿も味も一致してるみたいだ……」

エリゴス「ふざけるな……我は食べてしまったぞ……」

勇者 (ああああ!いつしかそれは男女の事情へと昇華し僕とエリゴスたんはぁぁぁぁッ!)

士卒「……俺ら……どうなるの……?」

エリゴス「……この事を知ってる者は?」

士卒「俺とあんただけ……」

エリゴス「………」

士卒「………」

エリゴス「わかった……ならこの事誰にも話すで無いぞ……」

士卒「黙ってろって言うのか……?」

エリゴス「……そうだ。万が一の時、知らぬ存ぜぬで通せるからな……」

士卒「………」ゴクリ……

エリゴス「ホグフィッシュの事は忘れろ……二度とそれを口にするで無いぞ……」

士卒「わかった……」

勇者 (……何これ。この人エリゴスたんを横取りしようとしている……?)

エリゴス「………」

士卒 (ぐああ……こんな事知りたく無かったぁぁぁ……)

勇者「……エリゴスたん、この人と何話したの……?」

エリゴス「秘密だ……知る必要は無い……」

勇者「秘密って……」

エリゴス (笑えん……何故こんな物がここに……)

勇者「………」

士卒 (うををを……こんな重い秘密耐えられないよぉぁ……)

勇者「………」

エリゴス (……だが旨いな)モグモグ

士卒 (うあああ……絶対禿げる……秘密保持の重圧で絶対禿げてしまうぅ……)

勇者「許さない……僕のエリゴスたんを……」

水「王様だぁれだ!」

傭兵、兵士、土「………」

水「ノリが悪いぞ!」プンプン!

兵士「……ハズレ」

土「俺もでゲス……」

傭兵「………」

水「あら!中年大当り!」

兵士「はは……おめでとう……」

土「流石……筆頭殿でゲスな……」

傭兵「………」

水「さあ中年!サクッといってみよお!」

傭兵 (こんな全然ワクワクしねえ王様ゲーム初めてだぜ……)

兵士 (オッサンマジで頼むぜ……変な命令するなよ……)

土 (筆頭殿……信じてるでゲスよ……)

水 (ふふふ……これは良いところが引いたわね!中年!空気読みなさいよ!)

士卒「……なぁ」

兵士「んだよ!てめえ逃げてんじゃねえよ!」

士卒「この中で……髪の毛に詳しい方いるかな……」

兵士「ああ?……ワン子に聴けばいいだろが」

士卒「確かにフサフサしてるけどさ……」

兵士「そうじゃ無くてな……」

士卒「……?」

兵士「あいつ……あの女に毛皮刈られた事あるんだと……」

士卒「………」

兵士「だから、どうやって元に戻ったか聴けばいいだ

士卒「………」ダッ!

兵士「待て!てめえも地獄の王様ゲームやってけ!」

水「………」

兵士「野郎……こっちとらババアの相手しなきゃならんのに……」

水「ババアって私の事?」

兵士「それ以外にいねえじゃん……」

水「………」

兵士「………」

衛兵「素晴らしい牙をお持ちですね!」

人狼「………」

衛兵「鼻の頭が濡れてますね!明日は雨ですか!」

人狼「知るかって……さっきから鬱陶しい人間って……」

衛兵「……鬱陶しい?」

人狼「気持ち悪い……」

衛兵「………」

人狼「アチシらより下等な癖に気安いんだよって!」

衛兵「下等……ですか……」

人狼「何って……?魔物より下な存在に下等だ言って悪い?」

衛兵「………」

人狼「………」

衛兵「……もっと言ってください」

人狼「……は?」

衛兵「もっと罵ってください!」

人狼「………」

衛兵「なんだったら!肉球でペタペタと

士卒「ワン子ワン子ワン子ぉッ!」ガアッ!

人狼「ななな何ってッ!」ビクゥッ!

士卒「お前の毛生えた理由教えろよ!」

人狼「……何でって?」

士卒「もう遺伝とか言ってられないレベルで毛が抜けそうなんだよ!」

人狼「………」

衛兵「貴様!邪魔をするな!」

士卒「うるせえ!人類滅亡する前に俺の頭髪が滅亡するかもしれないんだよ!」

衛兵「貴様の髪の毛など知らん!退け!」

士卒「退かんッ!」

人狼「毛は……風ちゃんに治して貰ったって……」

士卒「あのオッパイかッ!よし!」

人狼「………」

士卒「ワン子!後でブラッシングしてやるからな!」ダッ!

人狼、衛兵「………」

衛兵「カスめ……邪魔をしくさって……なッ!?」

人狼「………」フリフリ!

衛兵 (何故そんなに尾を振るんですか……そんなにあいつのブラッシングを望んでるとでも……)

人狼「………」フリフリ!

衛兵「許さん……絶対に許さん……」

兵士「いや……あのさ……」

水「うええん!」

傭兵「あーあ……泣かせちまったな……」

土「最低でゲスな……」

兵士「………」

傭兵「オジサンな……女を泣かす男は最低だと思うんだわ……」

兵士「そうだけどよ……」

傭兵「なら……する事はわかってるな?」

兵士「……嫌だ」

水「う"わあああん!」

土「あっそれ泣っかした!泣っかした!」

兵士「………」

傭兵、土「泣っかした!泣っかした!」

兵士「おめえらどっちの味方だよ!」

傭兵「オジサンは面白くなりそうな方に付くぜ!」

土「これが水にとって最後の好機になるかもしれないんでゲス!ならば仲間として応援してあげたいでゲス!」

兵士「………」

傭兵「名付け親になってやるからよぉ……な?」

兵士「そんな所まで話をすっ飛ばすな……」

傭兵「……いいから」カキカキ……

兵士「良くねえよ!」

傭兵「………」カキカキ……

水、土「……?」

兵士「……オッサンさっきから何してんだ?」

傭兵「いや……もうめんどくせえからよ……出来た」カキカキ……

兵士「………」

傭兵「すまんな……」

兵士「何謝ってんだよ……」

傭兵「理性と本能の狭間……迷いの憧れへと誘え……」パッパッパ!

兵士「………?」

水、土「……え?」

傭兵「グラオザームトラオム……」

風「本当……いい加減にしてくれでヤンス……」

炎「……わからないのか!私がどれだけ

風「元はあんなんで中身はこんなんでヤンスよ!それでも構わないなんて頭イカれてるでヤンス!」

炎「……イカれさせたのは貴様だ。貴様が全て悪い……」

風「はあ?」

炎「ならば責任を取らねばな……ふふ……」

風「………」ゾワワッ……

士卒「オッパイさん……お話があるんですが……」

風「あ……ちょ、丁度いいでヤンス!」

士卒「……?」

風「アッシはこの人間の方がいいでヤンス!」

士卒「……何言ってんの?」

炎「………」

風「……だからアッシの事は諦めて

炎「………」スチャ……

風「………」

炎「塵も残さず焼き爆ぜてみせよう……」

風、士卒「………」

炎「死ね……」ザッ!

侍「待たれいッ!」バッ!

炎「退け……」

侍「お前はこの席で何をしておるか!大殿の御前だぞ!」

炎「……男子たる者の宿命を果たすだけだ。問題無いだろ……」

侍「………」

風「あわわわ……」

士卒「あわわわ……」

炎「………」

侍「……なら仕方無い。迅速に済まされよ」

士卒「いや!止めてくれよ!」

侍「男ならば己の力で女子を勝ち取ってみよ!」

士卒「そんなんじゃないから!」

風 (すまぬ……すまぬぅ……)

土「何……やったでゲスか……?」

傭兵「仕方無かったんだ……」

土「あいつと水はどこへフラフラと行ってしまったでゲスか……?」

傭兵「仕方無かったんだ……」

土「………」

傭兵「本当に……仕方無かったんだ……」

土「………」

傭兵「オジサン達が助かる道はあれしか無かったんだ……」

土「教えてくれでゲス!水とあいつに一体何したでゲスか!」

傭兵「……一夜のアバンチュールだ」

土「………」

傭兵「あいつの犠牲は……無駄にはしないぜ……」

土「………」

傭兵「飲もうぜ……あいつと水に乾杯……」

土「……ふっ、乾杯でゲス……」

傭兵「………」

土「………」



魔王「………」

側近「……魔王様、みんな楽しそうにしてますね」

魔王「そうかな……」

側近「魔物と人間がこうやってワイワイしてるなんて夢のようじゃないですか……」

魔王「………」

側近「魔王様が世界を統一するだなんて言った時は……どうかと思いましたけど……」

魔王「……?」

側近「こうやって……

魔王「なんの事……?」

側近「……え?だって魔王様は世界を統一するんだって言ってたんですよね?」

魔王「僕……そんな事一言も言った事は無いよ?」

側近「……魔物と人間が共存出来る世界を造ろうとしてましたよね?」

魔王「それは傭兵が咄嗟に思い付いて言った事じゃないの……?」

側近「それは魔王様が……」

魔王「……あのね、世界を