魔王「今日も魔王の間でゴロゴロぉゴロゴロぉ」★2(1000)

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魔王「今日も魔王の間でゴロゴロぉゴロゴロぉ」 - SSまとめ速報
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侍「何を仰いますか大殿!これは岩では御座いませぬ!」

魔王「岩じゃ無いの……?」

侍「確かにこう見渡せば拙者の国にある七里岩の如くでありましょうが違いまする!」

魔王「なら……これは……?」

侍「魚で御座いますぞ!」

魔王「………」

エリゴス「ふふっ……確かに魚ではあるな」

魔王 (何だろう……今まで以上に聞いちゃいけないような気がする……)

侍「今朝方ですな!西の空に何やら巨大な浮遊物が御座いましてな!」

魔王「………」

侍「よく見ればそれは空を泳ぐ魚では御座らんか!と言うわけで捕まえてきたので御座いまする!」

魔王「いや……何か色々話がすっ飛んでるみたいだけど、エリゴスさんどう言う事……?」

エリゴス「ふむ、侍がな朝方それを見付けたようでな」

魔王「………」

エリゴス「どうしても捕まえ食糧にしたいと言い出したのだ」

魔王「それで?」

エリゴス「流石の侍でも空高く飛ぶ物には手が届かなかったのであろう。だから我を呼びそれの確保に付き合わされたと言うわけだ」

魔王「………」

エリゴス「我れ鎧ならば空を舞う事も可能だからな」

魔王「……へぇ、で?この岩は一体なんなの……?」

エリゴス「バハムートだ。少々小さくはあるがな」

魔王「バハム……」

侍「いやはや世界は広う御座いますな!この様な巨大な魚がいるとは拙者驚きましたぞ!」

魔王「………」

エリゴス「よもやバハムートを狩る事になろうとはな……我も驚きだ」

魔王「………」

侍「いやぁ!この魚、本当は尾頭付きで大殿に献上したかったのですが巨大過ぎてどうにもならず置いてきてしまいましたぞ!」

魔王「………」

エリゴス「侍の話では頬の部分が美味らしいが仕方あるまい。流石に我の鎧の許容範囲を越えているのでな」

魔王「どうやってバハムート狩ったの……?頭はどうしたの……?これはどうやって持って来たの……?」

エリゴス「我が超広範囲フレアーで足止めをし、侍が斬り落とした」

魔王「………」

エリゴス「どうやってここまで運んだかは、体の方にはまだ浮力があったのでな魔導簡易バーニアと我の鎧の推進力でここまで運んだのだ」

魔王「………」

侍「エリゴスちゃんのお力添えがありませんでしたら!この様な大物捕らえる事は出来ませんでしたぞ!」

エリゴス「侍……もうちゃんは付けずともよい。女子力に囚われる事も無くなるのだから普段通りに接しよ」

侍「は!」

魔王「………」

エリゴス「侍よ、良い経験が出来た。感謝するぞフハハハハ!」

侍「左様で御座いますか!ははははは!」

魔王「は……はは……」

侍「さて!拙者は朝げの準備をば!」

魔王「………」



勇者、人狼「………」

風「お茶が入りました……」

炎「うむ」

勇者「あのね……」

炎「なんだ?」

勇者「ヤンスさんに何をやったの……?」

炎「私の子を宿らせただけだが?」

勇者「………」

炎「……この様な事は本来あってはならぬ事などだが、貴様には感謝している」

勇者「なんで……?」

炎「風をこの姿にしてくれたのだからな」ニタァ……

勇者「………」

人狼「風ちゃんって!」

風「………」

人狼「レイパーにナニされた後何されたって!」

風「………」ニコ

人狼「………」

風「………」

人狼 (本当に……何されたって……)

炎「勇者に対し……感謝の意を示すなど貴様が死ぬ以外でする事は無いと思っていたが……ふふ」

勇者「………」

炎「魔物と人間……魔王の描いた双方共存する世界……」

勇者「………」

炎「案外手の届く所にあるのかもしれないな」

勇者「そうですか……ヤンスさんを元に

炎「戻そうなどと考えているならばやめた方がいい。肉も血も骨も残さずこの世から消えたく無いのならばな」

勇者「………」

炎「……風がここままでも貴様には不都合は無いだろ?」

勇者「無いけど……むしろ証拠隠滅出来て好都合だけども……」

炎「なら良いではないか。お互い不利益は無いのだからな」

勇者「………」

炎「人狼も余計な事はするな。わかったか?」

人狼「はい……レイパー様って……」

炎「その呼び方はやめろ……」

人狼「………」

炎「合意の上で……行った事だ……」

勇者、人狼「………」

炎「本当だぞ?」

人狼「……絶対嘘ですよねって?」

炎「う、嘘では無い……」

風「………」

炎「なあ!風よ!」

風「………」ニコ

人狼「………」

炎「ほらな……」

人狼「アチシには風ちゃんぶっ壊れたようにしか見えませんって……」

風「壊れてなどおりませんよ……」

人狼「………」

風「私は壊れてなどおりません……壊されるかと思った事はありますが……ふふ」

炎「ば、馬鹿者……やめないか……」

風「お顔が赤くなっておられますよ」

炎「貴様が余計な事を言うからだ……」

人狼、勇者 (何だろう……普通に死ねって感じるのは……)



兵士「………」

傭兵「………」

士卒「そんなの夜な夜な一人で聴いて楽しんでんの?はぁ……オッサンさ……それちょっと引くよ?」

傭兵「………」パッパ!

士卒「普通に女作れよ……童貞じゃ無いん

傭兵「【アッ……やめてください……】」

士卒「………」

傭兵「【凄い……熱くて硬くて……】」

士卒「待て……オッサン……」

傭兵「……なんだ?」

士卒「それがいつもオッサンが一人で楽しんでるアレか……?」

傭兵「さあ……どうだろうな。興味ねえんだろ?」

士卒「………」

傭兵「【ふ、太すぎて……中がゴリゴリ擦れ……アァァ……】」

士卒「………」

傭兵「………」

士卒「……え?続き聴かせてくれよ……」

傭兵「必要な分は聴かせたと言う事だ……これ以上は聴かせぬ!」

士卒「………」

傭兵「………」

士卒「悪かったよ……そんな黒い衣着た闇の格闘家みたいな事言わないでさぁ……」

傭兵「………」

士卒「なあ……悲しいとか童貞っぽいとか言った事謝るからさ……」

傭兵「………」

士卒「オッサンさ……」

傭兵「ふん……仕方ねえな!じゃあどれがいい?」

士卒「は?どれって?」

傭兵「ああ?そりゃノーマルからアブノーマルまで何でもござれな側近ちゃんの声があるぞ?」

士卒「………」

傭兵「オススメはそうだなぁ……昼下りの団地妻側近ちゃんかエッチな0930側近ちゃんだな!」

士卒「………」

傭兵「若妻凌辱の宴側近ちゃんも捨てがたいぜ……」

士卒 (人妻物ばかりかよ……)

兵士「……なあ」

士卒「オッサン……もっとこうさ……若者でも楽しめそうなの無いのかよ」

傭兵「楽しめるだろうが!何言ってやがる!」

兵士「なあってッ!」

士卒「なんだよ!」

兵士「水のお腹の子……俺の子じゃ無いみたいだ……」

傭兵、士卒「はあ?」

兵士「水が……腹撫でながら魔王を見つめて微笑んでたんだ……」

士卒「世間話とかしてたんじゃ無いの?」

兵士「魔王もそれに応えて意味ありげに笑ってたんだ……」

士卒「それは……祝福してくれてるんじゃ無いのか?」

兵士「魔王の隣にいた側近はそれ見て……何か取り乱し始めたんだ……」

士卒「………」

傭兵「じゃあ何か?水兵は魔王の子だって言うのか?」

兵士「水兵ってなんだよ……」

傭兵「お前の子供の名前だよ」

兵士「………」

士卒「それさ……何かの間違いなんじゃないのか?」

兵士「それならいいんだが……ぁぁぁもしも……もしもぉぉ……」

傭兵、士卒「………」

兵士「俺の子じゃ無くて魔王の子だったら……俺はどうしたらいいんだぁぁ!」

傭兵「まぁ……頑張れよ」

士卒「うん……そうだな」

兵士「………」

傭兵、士卒「………」

兵士「てめえら冷たすぎんだろッ!人が託卵されてるかもしれねえって時になんだそりゃあッ!」

傭兵「オジサン達関係ねえもんな……」

士卒「そうそう……」

兵士「関係無くねえだろッ!」

傭兵、士卒「………」

兵士「おおおお……」

傭兵「本人に聴けよ……」

兵士「そんなの怖くて聴けねえだろッ!」

傭兵「魔王の城でウロウロしてんのに怖えもクソもねえだろうよ……」

兵士「………」

士卒「そう言うのはさ……気にしない方が

兵士「お前……聴いてきてくれよ……」

士卒「俺?」

兵士「お前なんだかんだで一番馴染んでるじゃん……」

士卒「………」

兵士「頼むよ……」

士卒「………」



水「動いた!動いたわよ!」

側近「バハムートって食べられるんですか……?」

魔王「僕が知る筈無いじゃないか……バハムートを食べようなんて思うのなんていないんだから……」

側近「ですよね……」

水「ちょっと!聴いてる!?」

魔王「何?」

水「お腹の子が動いたって言ったの!」

魔王、側近「………」

水「おーよしよし……元気でちゅねぇ」

側近「早くないですか……?魔物の妊娠期間て私達の体型なら人間と然程変わりませんよね?」

水「そうね……でもハーフだからじゃない?」

側近「そうなんですか……?」

魔王「何でまた僕に聞くの……僕は一応魔王だけれども魔物博士じゃ無いよ……」

側近「………」

水「きっと私に似て可愛い子よね!」

魔王、側近「………」

水「ねえ、破壊の魔神ちゃんー」

魔王「……破壊の魔神ってなんだい?」

水「この子の名前」

魔王「………」

水「素敵でしょ!」

側近「絶対いじめられますよ……」

水「なんで!名前に負けない立派な子になるんだからいいでしょ!」

魔王「やめなよ……そんな名前……」

水「な!魔王まで!」

側近「将来、そんな名前付けて魔王様みたくなったらどうするんですか……」

水、魔王「………」

側近「立派な名前付けて……小さい頃から子供に破壊の魔神になれだなんてプレッシャーかけながら育てるつもりですか?」

水「………」

側近「もしその子が破壊の魔神とは正反対の子供になったら……水様恨まれますよ?」

水「………」

側近「ですから……その辺もちゃんと考えて名前付けてあげませんと……」

水「そうね……産んだ子供に恨まれるなんて嫌だし……」

側近「………」

水「しっかり考えてみるわ……」

側近「そうしてください……」

水「でも魔王みたくならないようにってしっかり教育はするけどね!」

魔王「………」

側近「是非そうしてください!」

魔王「………」

カチャ……

士卒「あ、あの……」

側近「なんでしょう?」

士卒「いや、こっちに用があるんだ……」

水「私?何?」

士卒「………」

側近、水「……?」

士卒 (やっぱ聞けないって……その子は魔王の子だろ!なんて……)

水「……用件かあるなら早く言いなさいよ」

士卒 (あああ!もうどうにでもなれ!俺関係無いし!)

水「………」

士卒「そ、そのさ!その子は兵士の子ですか!」

水「はあ?」

士卒「実は……父親が違うなんて事は……」

水「………」

士卒「……無いですよね?」

水 (あれ聞かれてたのかしら……こっちもめんどくさい事になる前にちゃんと言っとかないと……)

士卒「………」

水「それ聴けって言われたんでしょ?」

士卒「え?そ、それは……」

水「聴けって言った本人はどこ?」

士卒「扉の向こう……」

水「そう。後はこっちでやっとくから」

士卒「………」



傭兵、士卒「………」

兵士「………」

水「………」

傭兵「こ、これはな御両人で話し合わねえといけねえ事だし!後は若い者に任せてオジサン達は向こうへ行こうぜ!」

士卒「そ、そうだな!おほほほ!お話が弾みましてござそうろうですわね!」

兵士「お見合いじゃねえんだ……お前らもここにいてくれ……」

傭兵、士卒 (ぇぇぇ……)

水「……何?」

兵士「その腹の子は本当に俺の子か?」

水「そうよ。貴方以外に私を孕ませた者なんていないもの」

兵士「………」

水「信じられないの?」

兵士「信じられない……」

水「あのね……あの話は嘘だから……」

兵士「……話ってなんだ?」

水「は?魔王と私の話を聞いてたんじゃ無いの?」

兵士「聞いてない……お前と魔王の態度を見て信じられなくなったんだ……」

水「別にそんな変な態度なんかしてないじゃないの……」

兵士「じゃあなんで魔王のやつに色目なんか使うんだ!」

水「使って無いわよ!」

兵士「腹の子が魔王だからそう言う目でいたんだろ!」

水「………」

兵士「………」

傭兵、士卒 (超この場から離れてえ……)

水「あんた……本気でそんな事言ってるの?」

兵士「………」

水「………」

傭兵「ふ、二人ともさ!ちょっと落ち着けよ!な!」

士卒「そうそう!冷静になって!」

兵士「チッ……」

水「………」

兵士「腹の子が俺の子だって言い切れるのか?なあ?」

水「言い切れるわよ!……馬鹿みたい。何で私があんなドMの子を孕まなきゃいけないの!」

傭兵「……ドM?」

水「そうよ!」

傭兵「………」

士卒「なんだ……オッサン?」

兵士「だから腹の子は魔王の子じゃ無いって事か?」

水「そうでしょうに!踏まれて喜ぶような雄なんて私嫌だし!」

兵士「………」

水「あんたもあんだけ私の中にドパドパ出して!もしかしたらなんて思うわけ!」

兵士「いや……」

水「………」

兵士「あのよ……本当にそれは俺の子……なんだよな……?」

水「そうって言ってるでしょ!」

兵士「そっか……」

水「………」

兵士「………」

水「……それだけ?」

兵士「あ?ああ……疑って悪かったよ……」

水「……それだけ?」

兵士「本当に悪かった……」

水「……それだけ?」

兵士「これ以上どうすればいいんだ……?」

水「………」

兵士「………」

水「愛してるって言って。貴方一度も言ってくれた事無いでしょ?」

兵士「………」

水「………」

傭兵、士卒 (死なねえかな……こいつら……)

兵士「好きだ……」

水「それじゃ駄目。ちゃんと愛してるって言って」

兵士「あああ愛して……る……」

水「よし」

兵士「………」

水「この子は本当に貴方の子よ。それ以外は無いの、わかった?」

兵士「わかった……」

水「次にそんな馬鹿みたいな事言ったら許さないからね。さて、私はご飯食べに行くわ」

兵士「………」

傭兵、士卒「………」

兵士「は……はは……何だか俺の思い違いだったみてえだわ……」

傭兵、士卒「ぺっ!」

兵士「………」



土「もうアホかとゲス!バカかとゲス!なんであんな馬鹿デカイ物を保存出来るような建物造んなきゃいけないでゲス!」トンテンカンッ!

衛兵「………」

土「そう思うでゲス!?」

衛兵「……向こう行っていいか?」

土「駄目ゲス」

衛兵「何故……?」

土「どうも俺は側に誰かがいて、それに愚痴らないと作業が捗らないんでゲス」

衛兵「なら私で無くてもいいよな?」

土「駄目ゲス……」

衛兵「……何故?」

土「それはお前が新しい相棒になるからでゲス」

衛兵「誰がなるか……」

土「なってくれでゲス!」

衛兵「嫌に決まってるだろ……」

土「………」

衛兵「………」

土「今……魔物と人間が共存していくと魔王とかが言ってるのは知ってるでゲスな?」

衛兵「知ってるがそれがどうした?」

土「なら魔物と人間のコンビが出来てもいいと思わないでゲスか!」

衛兵「いいとは思うが……その白羽の矢が何故私に突き刺さるんだ!」

土「ヤンスとか言いそうだからでゲス」

衛兵「………」

土「ほら!小物っぽい顔付きでゲスから!」

衛兵「ふざけるな……」

土「ふざけて無いでゲス!」

衛兵「………」

土「そうだ……お前、人狼とお近づきになりたいみたいでゲスな」

衛兵「で……?」

土「で、俺は人狼の上司と言う立場でゲス……」

衛兵「………」

土「後は言わずもかなでゲス……」

衛兵「………」

土「………」

衛兵「お前に従えば人狼さんとシッポプレーやら牙プレーに興じれると……?」

土「そこまでは言ってないでゲス……」

衛兵「なら!何なら出来るんだ!」

土「普通に話を出来る場を作ってやるって言ってるんでゲス!」

衛兵「……それだけ?」

土「それだけに決まってるでゲスろ!どこの世界に部下に対して牙プレーしてこいなんて言う上司がいるんでゲス!」

衛兵「………」

土「アホか!ゲス!」

衛兵「つまらん……」

土「つまらなくて結構でゲス……」

衛兵「毛皮プレーやら耳の付け根プレーやら肉球プレーやら複乳プレーぐらいさせろ……」ブツブツ……

土 (とんだ変態でゲスな……)



侍「………」

歩兵「上官殿!お味見を!」

侍「うむ……」クイッ……

歩兵「………」

侍「……馬鹿者ッ!こんな物が大殿にお出し出来るかぁッ!」ガチャーンッ!

歩兵「も、申し訳ございませんッ!」

侍「もう一度だ!……次は火から鍋を外す時を見極めてみろ」

歩兵「はッ!」

侍「………」

歩兵 (上官殿……厳しくもあり……確りと答えへ導く事も忘れない優しさもある……流石です……)

勇者「ご飯まだって言ってるよー」

侍「暫く待たれよ。大殿にお出し出来る味になっていないのでな……」

勇者「へぇ?珍しいね」

侍「………」

歩兵「………」

勇者「………」

歩兵「何か?」

勇者「今日は君が作ってるの?」

歩兵「そうです!上官殿に見初められてです!」

勇者「………」

侍「間違った言葉を使うな……見初められは一目惚れの意味だぞ……」

歩兵「え?は!す、すいません上官殿!ですが……いえ何でも!」

侍、勇者「………」

歩兵「………」ザッザッ!

勇者「彼で大丈夫なの……?」

侍「腕っぷしの方はまだまだだが、何かと使える奴でな。それに大殿のお考えに感銘を受けたそうだ」

勇者「ふーん……」

侍「拙者が大殿のお考えを話して目をキラキラとさせておったぞ」

勇者「………」

歩兵「………」チラッ

侍「そこで手を休めるな!一気に切らねば切り口が汚くなってしまうだろ!」

歩兵「す、すいません!上官殿!」

侍「………」

歩兵「………」ザクッ!

侍「それでいい。そうすれば出来上がりの見栄えも良く、味が染み込みやすくなる」

歩兵「はい!」

侍「いいか?……料理とはただ美味いだけでは駄目なのだぞ」

歩兵「………」

侍「それだけでは食した者に何も残らない」

歩兵「何も残らないとは……?」

侍「そうだな……お前は楽しい食事をした時の事を覚えているか?」

歩兵「はい……それは多少はですが……」

侍「ならばその食事の時に得る物があったんだな。……それが何かだ」

歩兵「………」

侍「美味いだけではそこまで心にその食事の時が刻まれはしまい」

歩兵「………」

侍「お前の五感がその時を覚えていて……お前の心が覚えている。料理とは食す者に対し何かを残せる物でなければならん」

歩兵「はい!」

侍「うむ。続けよ」

歩兵「はい!上官殿!」ザッ

侍「………」

勇者 (オーガ凄いなぁ……将来、僕が作る勇者クラブ(仮)のシェフになってくれないかな……)

歩兵「……いつっ!」

侍「大丈夫かッ!」

歩兵「申し訳ありません!少し指を切っただけ……」

侍「馬鹿者!集中していないからこうなるのだ!……見せてみろ」

歩兵「………」スッ……

侍「………」チュバ……

歩兵「ッ!……ぁぁ……」

侍「……はんた?」

歩兵「い、いえ……」

侍「………」

歩兵 (上官殿が……僕の指を……ぁぁ……)

侍「………」

歩兵 (うあ……上官殿の口の中……あったかいなり……)

侍「むふ……そう深く切ったわけでは無いな。……これを巻いておけ」

歩兵「………」ブルブル……

侍「……?」

歩兵「………」

侍「……ここは拙者がやっておく。休んでよいぞ」

歩兵「はい……あっ……そう……させていただきます……」ピクッ

侍「………」

歩兵 (上官殿……自分は……自分はあぁぁッ!)

侍「本当に大丈夫で御座ろうか……」

勇者「………」



傭兵「ふむ……」

士卒「ふむ……」

【そんな……私には魔王様と言う心に決めた方が……】

傭兵「もう少し悲愴感を出した方がいいか……」

士卒「そうだな……ちょっとそれだと燃えないな……」

傭兵「ならこれだとどうだ」

【あぁぁ……魔王様申し訳ありません……私……私……体が……】

士卒「おお……やるなオッサン!」

傭兵「ふん!こんなもんよ!」

士卒「……でもよ?」

傭兵「なんだ?」

士卒「なんか味気無いよな……」

傭兵「そうか?オジサンはこれで満足だが」

士卒「………」

傭兵「……?」

士卒「この声にさ……絵って言うかそう言うもん付かないの?」

傭兵「ッ!?」

士卒「紙芝居的なさ」

傭兵「お前……」

士卒「なに?」

傭兵「天才か……オジサン全く考えもしなかったぜ……」

士卒「………」

傭兵「凄えよ……なるほどな……」

士卒「ふふ!それほどでもあるけどな!」

傭兵「しかしな……問題もあるぞ?」

士卒「何よ問題って?」

傭兵「声はいいとしても……どうやって側近ちゃんの快楽で歪む表情を手に入れるかだ」

士卒「………」

傭兵「普段の生活でそんな表情手に入れられねえぞ?」

士卒「そうだな……」

傭兵、士卒「うーん……」

コンコンッ!

傭兵「ん?開いてるぜ」

カチャ

エリゴス「邪魔するぞ」

傭兵「飯か?」

エリゴス「それはまだのようだ」

傭兵「じゃあなんだ?オジサン達な、今非常に忙しいんだが」

エリゴス「何が忙しいだ。貴様が忙しい事などあるか」

傭兵「失礼な奴だな!」

エリゴス「なら何が忙しいと言うのだ?」

傭兵「………」

エリゴス「ふん……何をやっているのかは知らんが男が二人でなどろくな事をしていなかったのだろ」

傭兵「そ、そんな事ねえよ……なあ」

士卒「あ、ああ……」

エリゴス「まあ良い。傭兵よ、貴様に頼みがある」

傭兵「何だよ頼みって?」

エリゴス「貴様の力を借りたい」

傭兵「………」

エリゴス「……我の為に使うのでは無い。外のバハムートを保存をするのに使いたいのだ」

傭兵「あんなもん放っておけばいいんじゃねえのか?」

エリゴス「放っておけば腐敗する。それでは困るのだ」

傭兵「困るかぁ?って……確かに困るな。この城にいる奴増えたもんな……」

エリゴス「そうだ。我らと起きた人間達を養わなければいけないからな」

傭兵「で?オジサンは何をすればいいんだ?」

エリゴス「何か保存に適した魔法を使って貰いたい。例えば長期間冷蔵する物とかな」

傭兵「んー……」

エリゴス「理想は一定空間だけ時間の流れを止めてしまえばいいのだが……それでは出し入れが困難になってしまうのでな」

傭兵「時間関係は頼まれてもやらねえよ。長い間凍らせるか……」

エリゴス「出来るか?」

傭兵「お前は出来ねえのか?あんな凄え鎧造れるんだから出来るだろ」

エリゴス「やろうと思えば出来るがエネルギーの関係でそれを行うとすると我の鎧を保存する場所に固定せねばならんのだ」

傭兵「固定しちまえよ鎧……」

エリゴス「嫌だ。我の身を守る物が無くなってしまう」

傭兵「………」

エリゴス「………」

傭兵「しょうがねえな……やってやるよ」

エリゴス「おお!そうか!頼むぞ傭兵」

士卒「オッサン聞いていい?」

傭兵「なんだよ」

士卒「時間の流れを止めてとかって何よ?」

傭兵「ああ……オジサンの力は時間さえも操れるって事だ」

士卒「………」

傭兵「未来に行ったり過去へ行ったり……時間の流れを止めたりな」

士卒「それ無茶苦茶凄いじゃないか……」

傭兵「確かに凄えが……こんなもんよ使っても何も楽しい事なんてひとつもねえのよ。後悔しか残んねえし……」

士卒「………」

傭兵「それにさっきも言ったが頼まれてもぜってぇ使わねえしな」

士卒「………」

傭兵「こんな事出来るなんて他の奴には黙っとけよ……」

士卒「……言わないよ。オッサン……ただのエロ親父じゃ無かったんだな」

傭兵「お前も失礼な奴だな!」

士卒「そう思うだろ……そんなエロ声集めに力を使ってんだから……」

傭兵「うっせえわ!人がどう使おうが勝手だろ!」

士卒「………」

エリゴス「貴様は……そんなくだらん事に力を使っているのか……」

傭兵「くだらなくはねえし!」

エリゴス「………」

傭兵「オジサンの宝物だし!」

士卒「宝物とか言うなよ……」

傭兵「うっせえ!うっせえ!オジサンの活力源に文句言うな!」

エリゴス「………」

傭兵「……ッ!……なぁ?エリゴスぅ……」

エリゴス「……なんだ気色悪い」

傭兵「お前……まだ側近ちゃんと寝てるのか?」

エリゴス「寝ているな。それがどうかしたのか?」

傭兵「いや……何でもねえよ……」

エリゴス「………」

傭兵「………」

エリゴス「……くだらん事は考えない事だな。我は行く。傭兵、冷蔵の件頼んだぞ」

傭兵「ああ……」パッパァ……ブツブツ……

エリゴス「………」

士卒「………」

傭兵「ふふ……ふははは……」

士卒「なんだオッサン……」

傭兵「側近ちゃんの寝顔ゲットだ……」

士卒「……はあ?」



側近「他の地方にいる方達はお変わり無くですか?」

人狼「皆、変わんないって。そうそう!ピクトさんとこのお母ちゃんが三十人目の子供を産んだって!」

側近「へえ!そうなんですか!」

人狼「凄いなぁって!」

側近「頑張りましたねぇピクトさん」

人狼「むふふ……側近ちゃんの方はまだかなって?」

側近「やッ!……ままままだです……ね……」

人狼「……本当に?」

側近「本当です……はぁ……」

人狼「あの鈍チンだから当然かって……」

側近「………」

人狼「……でぇ?あの鈍チンと何処まで進んでんのって?」

側近「………」

人狼「………」

側近「………」

人狼「まさかまだ……キースーもしてないなんて言わないって……?」

側近「してません……」

人狼「………」

側近「手すら握って無いです……」

人狼「……マジでって?」

側近「本当です!うわああん!魔王様何もしようとしてこないんですぅ!」

人狼「………」

側近「せめて何かしてくれたら堰を崩すが如くズルズルと先に進めますのにぃ!」

人狼「……これは頑張ってとしか言えないって」

側近「頑張ろうにも魔王様は切り口を見せないんですもんんん!」

人狼「………」

エリゴス「………」

側近「エリゴスさんんん突破口が見えないんですよぉぉ!」

エリゴス「……いきなり何の事だ?」

側近「魔王様の劣情を促す発明をしてくださいよぉぉ!」

エリゴス「貴様らもそんな話をしているのか……」

人狼「……貴様らもって?」

エリゴス「侍を除く人間達だな。特に傭兵は目に余る」

側近「………」

人狼「あの側近ちゃん側近ちゃん言ってるオジチャンって?」

側近「そうですね……」

エリゴス「………」

側近「エリゴスさん……傭兵さんは何で私に固執するんでしょうね……」

エリゴス「知らん……が、我も傭兵が側近に固執し過ぎだとは思うな」

側近「ですよね……」

人狼「一度振ったらって?」

側近「振りましたよ。……私と魔王様との仲も知ってますし」

人狼「………」

エリゴス「側近、傭兵に何かした事があるのか?」

側近「特にこれと言ってした事は無い筈です……」

エリゴス「ふむ……」

人狼「ストーカーってやつじゃ?」

側近「やややや止めてくださいよ……傭兵さんはそんな変な人じゃ無い……と思います……多分……」

エリゴス「………」ジィ……

側近「……本当にしてませんよ?」

エリゴス「………」

側近「………」

エリゴス「これは直に聴いた方がいいかもしれんな。側近に心当りが無いのならば他の理由なのかもしれん」

側近「他の理由……ですか……?」

人狼「側近ちゃんの体液に対して異常に執着があるとかって!」

側近「………」

エリゴス「側近の血肉が……傭兵の力を増強する事が出来る為に貴様に近付いたとかな……」

側近「………」

人狼「なるほどって……やはり美味しく頂くに首を切り落とし……」

エリゴス「……生き血を啜るのが好ましいな」

側近「本当……そう言うのやめてください……」



土、士卒、衛兵「………」

傭兵「ふははは!ふははは!ふはははのはぁ!」

土「なんでゲスあれ……」

士卒「何か企みが成功しそうだからじゃないか……」

衛兵「企み……?」

士卒「オッサンに詳しく聴いてないからわかんないけど……なんか魔王の寝顔どうのとか言ってたけどな……」

土「そんな物何に使うんでゲスか……」

士卒「ああ……俺言ってるの側近魔王の方ね」

土「はあ?」

士卒「それは気にしないでもいいから」

傭兵「ゲスよぉ!この建物のどこら辺にやるんだ?」

土「上の方に何ヵ所か設置出来たら使えるでゲス」

傭兵「そうかい。んじゃま……」カリカリ……

土「………」

傭兵「よし。……業火と絶氷の狭間ぁ!可変の永続の彼方へ誘えぇぇぇぇッ!」ババババッ!

土「筆頭殿……凄いヤル気でゲスな……」

士卒「オッサンあんなにアグレッシブに動けるのか……」

傭兵「フリーレンヴァイヒィッ!!」

土、士卒「………」

傭兵「………」

土「いつもならが見てるこっちが恥ずかしくなるでゲスな……」

士卒「わかる……自分の黒い歴史を再現してるみたいだもんな……」

傭兵「………」

衛兵 (格好いい……確かこうしてバババ!と……)ババ!

士卒「お前は何してるの……?」

衛兵「い、いや……なんでも無い……」

士卒「………」

土「筆頭殿、これでどうなるでゲス?」

傭兵「……オジサンは恥ずかしいか?なあ?」

土「………」

傭兵「前にも馬鹿にしてくれたな?なあ?」

土「そんなつもりは……」

傭兵「また……粉々になるか?なあ!?」

土「ひぃぃ!それだけはご勘弁でゲス!」

衛兵 (フリーレンヴァイヒ……フリーレンヴァイヒ……)

士卒「オッサン許してやれよ……オッサンだって年甲斐もなく業火とか言ってるのが悪いんだぞ?」

傭兵「オジサン何も悪くねえよ!こうしねえと力使えねえっつーの!」

士卒「本当かよ……」

傭兵「本当だっつーの!」

士卒「まあいいや……で?これどうなるの?」

傭兵「よくねえっつーの!……ったく。これはな、オジサン使った力で天井辺りから凍りそうで凍らねえ冷気がゆっくり降りてくるんだ」

士卒「へぇ……」

土「そんな微妙な物でいいんでゲスか?」

傭兵「ここにアレ入れて食う時取り出すんだろ?取り出す時、取りに来た奴がガチガチに凍っちまったら困るだろうが」

土「ああ、確かにゲスな」

傭兵「ま、こんなもんでいいだろ。さて……ッ!」

士卒「寝顔ってやつか?まだ全然時間足って無いじゃん……」

傭兵「確認だよ確認!ちゃんと撮れてるか確めるんだよ!」

士卒「………」

土「一体そんな物を何に使うんでゲス……?」

傭兵、士卒「………」

土「ああ……」

傭兵「本人に言うなよ……」

土「言えるわけ無いでゲス……」

傭兵「エリゴスとかにも言うなよ……魔王にもな……」

土「もっと言えるわけ無いでゲス……」

傭兵「………」



歩兵「………」

勇者 (何で僕が付き添いを……うぁぁ凄い二人っきりになりたくないなぁ……)

歩兵「あ、あの!」

勇者「……なに?」

歩兵「上官殿は……他の方に対してもあの様な接し方をするのでしょうか……?」

勇者「あの様なって……?」

歩兵「厳しくて優しくて……全てに愛情を注ぐような……そんな接し方をです」

勇者「………」

歩兵「……どうなんでしょう?」

勇者「してる……んじゃないかな……あはは……」

歩兵「そうですか……」

勇者「………」

歩兵「………」

勇者 (激しくいたたまれない……)

歩兵「あの!」

勇者「今度はなに!」

歩兵「貴方も上官殿に……優しくして頂いた事があるのですか……」

勇者「………」

歩兵「………」

勇者「……僕は無いよ」

歩兵「なら……どの様に接して頂いてるのですか?」

勇者「厳しいだけ……だよぉ……」

歩兵「………」

勇者 (うわもう絡みづらいな……)

歩兵「……へぇ、そうなのですか」

勇者「………」

歩兵「………」ジィ……

勇者 (そんな恋敵を見るような視線飛ばさないでぇぇ!)

歩兵 (この方は……何か嘘を付いている……)

勇者「………」

歩兵 (何故、問に答える時……おかしな間を開けるのか……)

勇者「………」

歩兵 (炊事場にいた時もそうです……上官殿に送る視線が普通では無かった……)

勇者「………」

歩兵 (この方も……)

勇者 (エリゴスたんとお話しないといけないから……魔王にこの子押し付けようかな……)



魔王「………」

水「はい!もう一度!」

兵士「愛してる……」

水「はい!もう一度!」

兵士「愛してる……」

水「はいぃぃ!もう一度!」

兵士「もう勘弁してくれえッ!さっきから恥ずかしくて死にそうなんだよ!」

水「……そんな事言える立場なの?」

兵士「いいえ……」

水「じゃあ!はい!もう

魔王「君達ね……そう言う事は自分達の部屋でやってくれないかな……」

水「嫌よ。どうせここでご飯食べるんでしょ?また来るのめんどくさいじゃない」

魔王「………」

水「それに誰がいた方がこっち!のダメージも大きそうだし!」

魔王、兵士「………」

水「ね!アナタ!」

兵士「はい……」

魔王 (もう力関係は決まっちゃってるんだね……可哀想に……)

水「それにしても遅いわね……オーガは何してるのかしら」

魔王「そうだね……いつもなら出来てる頃だと思うんだけど」

水「お腹の子が腹減ったぁ!って騒いでるんだけど」

兵士「……もう動いてるのか?」

水「ええそうよ。触る?」

兵士「お、おう……」

水「………」

兵士「………」ソゥ……

水「……ね?」

兵士「うわッ!?グニィってなった!グニィってなったぞ!?」

水「なるわよ。中から動かしてるんだもん」

兵士「お前……大丈夫か?これ痛く無いのか……?」

水「大丈夫!」

兵士「………」

水「あ、これ見て気持ち悪いとか言ったらお城の踊り場から愛してるって叫ばせるからね」

兵士「死んでも言わん……」

魔王「それにしても元気な子だね」

水「ええ!本当に。流石ハーフって感じね!」

兵士「……ちょっと疑問に思った事があるんだがいいか?」

水「なぁに?」

兵士「お前達って……ずっとその姿だよな?真の姿とかって無いよな……?」

水「……見たいの?真の姿……」

兵士「は……?」

水「………」

兵士「………」

魔王「それ以上虐めるのやめてあげなよ……」

水「ふふ!冗談よ。そんなの私には無いわよ!」

兵士「マジかどうかわからん冗談言うのはやめろ……」

魔王「そんな事が出来る魔物はごく一部だから」

兵士「へぇ……あんたは魔王だし変身するんだよな?」

魔王「しないね……」

兵士「そんな弱そうな身なりのままなのか……」

魔王「悪かったね弱そうで……」

兵士「魔王なのにそんなんでいいのかよ……」

魔王「いいの、周りが強いから。……今はだけど」

兵士「他力本願過ぎだろ……後、今はって?」

魔王「………」

水「………」

兵士「……?」

水「あのねアナタ……このお城にいる側近とエリゴス以外の魔物って出戻りなのよ……」

兵士「出戻り……つまりお前は魔王を裏切ってまた戻ってきたってのか?」

水「そう……」

兵士「………」

魔王「僕がこんなんだからねぇ……皆嫌になって出てっちゃったんだよ……ははは……」

兵士「………」

水「………」

魔王「……幸い、僕と側近だけの時に勇者は現れなかったし……今がこの状態だからね。皆戻って来そうで……君達人間もここにいる」

兵士「………」

魔王「なんて言うかな……前より賑やかになったよね。色々な意味でも……」

兵士「………」

魔王「………」

兵士「あんたも苦労してる?んだな……で?お前は何で戻って来たんだ?」

水「アナタ達が侵攻して来た時に使った力を見せ付けられてまた魔王に下ったのよ」

兵士「へぇ……あの眠るやつか」

水「そうね。あんなの……どう足掻いたって太刀打ち出来ないじゃない。それにエリゴスもいるし!」

兵士「エリゴスって……あのお嬢ちゃんか?」

水「そうよ。あれがこのお城で一番ヤバいんだから。アナタ手を出しちゃ駄目よ?」

兵士「誰がガキに手を出すか……」

魔王 (一番ヤバいって言ってるのに……よく玩具みたく扱えてたよね……)

兵士「……では本題に入るぜ」

水「何よ本題って……?」

兵士「………」

魔王、水「……?」

兵士「その腹の子はさ……ちゃんと俺達みたいな姿をしてるんだよな?」

魔王、水「………」

兵士「三目とか……腕が凄え生えてるとか……無いよな?」

魔王、水「………」

兵士「………」

魔王「……どうなんだろうね」

水「どうなのかしら……」

兵士「………」

水「だ、大丈夫よ!きっと私に似て可愛い子だから!」

魔王「そうだよ!きっと人型の子供だよ!」

兵士「………」

カチャ

側近「………」

人狼「側近ちゃんファイトって……」

側近「………」

魔王「どうしたの?暗い顔して」

側近「……魔王様、実は傭兵さん……スプラッタ趣味みたいなんです……」

魔王「はあ?」

人狼「側近ちゃん……ビビり過ぎって……」

側近「だってエリゴスさんと人狼ちゃん言ってじゃないですか!」

人狼「………」

側近「切り裂き首切り突っ込み掻き毟り握り潰し……ああああ……」

人狼「側近ちゃん脅かしてただけって……」

魔王「何あったの……」

人狼「オジチャンが側近ちゃんに固執し過ぎなんじゃないかって……」

魔王「うん」

人狼「その理由を面白恐ろしく言ってったら側近ちゃん怖がっちゃって……」

魔王「面白恐ろしく言う必要は無かったんじゃないのかな……」

側近「魔王様!私の事を傭兵さんから守ってください!」

魔王「………」

側近「………」

魔王「……傭兵はそんな事する人間じゃ無いと思うけど」

側近「もし本当に私がバラバラのカラカラになっちゃったらどうするんです!」

魔王「………」

側近「………」

魔王「わかったよ……何とかしてみるから……」



傭兵「んー……」

士卒「………」

傭兵「確かに写ってはいたが……笑顔にあのセリフは合わんな……」

士卒「そうだな……エロく無いもんな……」

傭兵「後は寝てからか……そろそろ飯も出来てるだろうから行くか」

魔王「傭兵……」

傭兵「おう?飯か?お前が呼びに来るなんて珍しいな」

魔王「それはまだだよ。……ちょっと話があるんだけど……」

傭兵「なんだ話って?」

士卒「あ、俺席外そうか?」

魔王「いや、いていいよ。……傭兵、君は側近の事をどうしようと思ってるんだい?」

傭兵「……どうしようとってなんだ?」

魔王「………」

傭兵「別にどうこうしようなんざしてねえが?」

魔王「本当かい?」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵 (ま、まさか……オジサンがやってる事がバレたのか……?)

魔王「………」

傭兵 (いや……それはねえだろうが……)

魔王「……側近を傷付けたりするつもりなの?」

傭兵「は?」

魔王「どうなの?……もしそうなら……」

傭兵「誰がそんな勿体無い事するか……」

魔王「………」

傭兵「なんだそりゃ……何でオジサンが側近ちゃんを傷付けたりしなきゃなんねえんだよ」

魔王「………」

傭兵「……堪能はしてえがお前がいるから出来ねえだろうが!」

魔王「そっか……こんな事言ってごめん……」

士卒 (オッサン……堪能とか言うなよ……)

エリゴス「傭兵、話がある……」

傭兵「今度はなんだ……」

エリゴス「貴様……側近に何をしようとしている?」

傭兵「お前もかよ……」

エリゴス「お前も?」

魔王、傭兵「………」



エリゴス「なるほど。魔王も同じ事を聞いたのか」

魔王「うん……」

傭兵「………」

エリゴス「なら我も問うぞ」

傭兵「同じ事聞かれても答えは同じだ。何なんだよ……ったく」

エリゴス「貴様が……側近に固執する理由を教えろ」

傭兵「……ラブだからだぜ?」

エリゴス「己の物にならなくてもか?」

傭兵「………」

魔王「………」

エリゴス「………」

士卒 (もうこんなのばっかりだな……重い空気もすっかり慣れちゃったよ……)

傭兵「オジサンの物とか……そう言うは関係ねえよ……」

エリゴス「ならなんだ?」

傭兵「………」

エリゴス「色恋が絡まぬのなら側近を何かに利用しようとしているようにしか思えぬが」

傭兵「利用とかもねえよ……」

魔王「じゃあ何?そんな言えない理由で側近の側にいるの?」

傭兵「………」

魔王、エリゴス「………」

傭兵「はぁ……側近ちゃんはオジサンの見てきた世界には居なかった存在なんだよ」

エリゴス「………」

傭兵「お前に話した世界と同じ時間を辿ってる筈なのに側近ちゃんはいるんだ」

エリゴス「ならこの世界は違う時間軸の世界では無いのか?」

傭兵「それはねえよ。そう言う事はやった本人が一番よくわかるんだ」

エリゴス「………」

傭兵「なんでいるかなんて知らねえがな……」

エリゴス「存在しえなかった者が存在する……か」

傭兵「………」

エリゴス「………」

魔王「毎度毎度ごめんね。どう言う事かな……?」

エリゴス「魔王……貴様には言うまいと思っていたがな、どうやらそう言うわけにはいかないようだ」

傭兵「なんだ魔王に言ってねえのか?」

エリゴス「言えるか……」

魔王「何を……?」

傭兵、エリゴス「………」



エリゴス「……と、言う話だ」

魔王「………」

傭兵「……取り合えず謝っとく。すまん」

魔王「そんな知らない世界の出来事を謝られても困るよ……」

エリゴス「で、傭兵が好き勝手した世界には側近がいなかった……と言うわけだな」

傭兵「そうだ……」

魔王「………」

エリゴス「ん……やはり貴様が辿った世界とは別の世界としか思えん……」

傭兵「オジサンが同じだと思って勘違いしてるだけなのかなぁ……」

エリゴス「他に変わった事は……など言ってもわからぬよな……」

傭兵「そうだな。魔王が生きてんだ、そっから先はオジサン見てねえし」

士卒「ちょっといいか?」

傭兵「なんだよ?」

士卒「それってさ……オッサンがゴチャゴチャ時間弄ったから……この世界がおかしくなったんじゃ無いのか?」

傭兵「………」

エリゴス「案外そうかもしれんな……」

傭兵「やめろよ……」

エリゴス「無いとも言い切れんだろ?……貴様が時間を弄ったせいで他の世界がこの世界を生かそうと犠牲になり……」

傭兵「………」

エリゴス「……消滅した」

傭兵「………」

エリゴス「と言う推測も出来る」

傭兵「………」

士卒「おいオッサン……洒落になって無いぞ……」

傭兵「推測だろ!本当にそうなったわけじゃねえって!」

エリゴス「……だが無いとも言い切れんだろ?」

傭兵「………」

エリゴス「はたまた

傭兵「それ以上言うな……オジサンメンタル弱えんだから……」

エリゴス「………」

魔王 (うん……サッパリわからないね。それにしても……この人間良く理解出来るよね……)

エリゴス「……話を戻すが、側近に固執するのはただ居ない筈の存在だったからと言うわけではあるまい?」

傭兵「言わなきゃ駄目か……?」

魔王「僕も聴きたいね。何の理由があるのか……」

傭兵「………」

魔王、エリゴス「………」

傭兵「最初は……まぁ……年甲斐も無く一目惚れだな……」

エリゴス「それだけだろ」

傭兵「違うわ!……その内よ、なんでいねえ筈の側近ちゃんがいるのか考えてさ……」

エリゴス「………」

傭兵「オジサンが側近ちゃんを守んなきゃならねえんじゃねえかって思うよになってよ……」

エリゴス「何から守るのだ?」

傭兵「さぁ……それはオジサンにもわかんねえけど……」

エリゴス「………」

傭兵「ただ守ってやりてえって思っただけだからな……」

エリゴス「それで側近の周りをウロウロしているのか」

傭兵「そうだな……」

エリゴス「ふむ……」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「お前はオジサンに謝れ」

魔王「なんで……何も悪い事してないだろ……」

傭兵「オジサンの大事な側近ちゃんを取っただろ!」

魔王「別に取ったとか……」

傭兵「後!……側近ちゃんを傷付け泣かせるような事があれば!オジサン魂魄百万回生まれ変わっても恨み晴らすからなああぁぁッ !」

魔王「……わかってるよ」

傭兵「後!

魔王「もういいから!」

士卒 (守ってやりてえ……とか言ってエロ目的に利用してるしゃないかよオッサン……)



勇者「………」

歩兵「率直にお聞きします……貴方は上官殿と……」

勇者「無いです……」

歩兵「なら何故!上官殿に対しあのような熱い眼差しを送られるのです!」

勇者「送ってません……」

歩兵「嘘です!自分にはわかります!……上官殿に憧れる自分には……」

勇者「………」

歩兵「………」

勇者「本当……もう勘弁してください……」

歩兵「自分は……貴方が勇者であっても譲る事はありませんよ……」

勇者「だからね……そうだっ!?」

歩兵「なんです……?」

勇者「僕ね……実は勇者じゃ無いんだよ……」

歩兵「………」

勇者「ほらこれ!この盾は壊れてるみたいで誰にでも反応しちゃうんだよ!」

歩兵「………」

勇者「ね?そんな偽物の勇者がオーガに近寄っちゃ君も嫌だろ?」

歩兵「………」

勇者「だから僕は近寄らない……勇者じゃ無いものね!」

歩兵「……本当でしょうか?自分を出し抜くつもりでその様な事を……」

勇者「まさか!嘘なんて付くわけ無いだろ!君もこの盾触れば本当だってわかるよ!」

歩兵「………」

勇者「ほら!触って!ピカーンってなるから!」

歩兵「………」スゥ……

勇者「それ!ピカーンッ!」

バチッ!

歩兵「いつッ!………」

勇者「え……」

歩兵「なるほど……よくわかりました……」

勇者「ぇぇぇぇ……」

歩兵「貴方がどんな人間なのか……」

勇者「………」

歩兵「なんて人だ貴方は……こんな事をしてまで自分を騙すなんて……」

勇者「いや……本当なんだって……」

歩兵「本当でしょうね……上官殿に自分みたいな格下を近寄らせないように罠を……」

勇者「………」

歩兵「卑劣な……勇者とあろう者がこんな存在だったなんて……」

勇者「………」

歩兵「………」

勇者「わ、わざとじゃ無いんだよ?あはは……」

歩兵「自分は貴方には絶対負けません!例えどんな手を使ってでも上官殿をお守りしてみせますッ!」

勇者「………」

歩兵「………」ギロッ!

タタタ……

勇者「うわぁぁぁ……なんでこんな事なんるだよ……」

傭兵「後な!」

魔王「しつこいね君も!」

傭兵「その側近ちゃんは自分のもんだって余裕ぶっこいてる態度が気に食わん!」

魔王「そんな態度を取って無いだろ!」

傭兵「どうだかな!」

勇者「うおおお!オッチャーンッ!」

傭兵「な、なんだ?」

勇者「僕はどうした……」

エリゴス「………」

傭兵「……どうした?」

勇者「うわぁぁん!エリゴスたぁぁん!僕はどうしたらいいんのぉぉ!」ガバッ!

エリゴス「………」ヒョイ

勇者「………」ズサァ……

傭兵「目標を途中で切り替えるな……で?何かあったのか?」

勇者「うう……僕本当の勇者で男色家に恨まれて盾がピカーンってならなかったんだよぉぉ……」

傭兵「意味がわからん……」

魔王「盾がどうかしたのかい?」

勇者「何か治ったみたいで他人が触れても反応しないんだ……」

魔王「へぇ?良かったね。なら君はまた本物の勇

勇者「お断りだね!」

魔王「………」

勇者「勇者でいるのといないのとではゴロゴロするのに差が出るんだよ!」

魔王「……そうなの?」

勇者「なんて言うかな……ゴロプロの君ならわかると思うけどゴロゴロとごろごろの差ぐらい違うもんなんだよ」

魔王「ほう……そんなに大きな差が……」

勇者「わかって貰えたかい?」

魔王「うん。君、これは大発見だよ!そんなに差が出るなら!」

傭兵「お前らは一体何の話をしてるんだ……盾の話じゃねえのかよ……」

魔王「……そうだった。盾は本当に治ってるの?」

勇者「そうみたい……触ればわかるよ。はい」

魔王「僕がその治った盾を触ったら溶けたりしない……?」

勇者「さあ?どうだろ」

魔王「………」

傭兵「早く触れよ……話が進まねえだろ!」

魔王「わかったよ……」

傭兵「………」

魔王「………」ソゥ……

勇者、傭兵「………」

魔王「………」ピカーンッ!

勇者、傭兵「………」

魔王「……治って無いみたいだけど」

勇者「あれぇ……?おっかしいなぁ……」

傭兵「オジサンにも触らせてくれよ」

魔王「はい」

傭兵「おう」

バチィッ!

傭兵「いってぇッ!オジサン触れねえじゃねえか!」

魔王、勇者「………」

傭兵「……これ、勇者にしか持てねえよな?」

勇者「うん……」

傭兵「お前も勇者だったのか……」

魔王「それは彼にも言われたけどあるわけ無いじゃないか……それにこの盾は側近も触れたんだよ」

エリゴス「………」

傭兵「なら側近ちゃんも勇者だ。良かったな!」

魔王「何がいいんだい……何も良く無いよ……」

勇者「そうか……」

魔王「なに?何か盾が反応する理由わかったの?」

勇者「いや……そうじゃ無い……」

魔王「じゃあ何……」

勇者「今この盾が反応する者が三人いるよね……」

魔王「……うん」

勇者「ならその三人でローテーション組んで代わり番こに勇者やろうよ!」

魔王「………」

勇者「まずは魔王から勇者やんなよ!」

魔王「魔王が勇者やるわけ無いだろ……」

勇者「ええ!魔王な勇者なんて前代未聞じゃないか!」

魔王「………」

エリゴス「……我にも触らせて貰えるか?」

勇者「駄目……」

エリゴス「何故だ?」

勇者「もしさ……エリゴスたんが触って溶けちゃったら僕困るし……」

魔王「僕ならどうなっても良かったって言うのかい……」

勇者「そうだよ」

魔王「はっきり言うね君は……」

エリゴス「………」ソゥ……

バチッ!

エリゴス「つッ!……我では反応せんな……」

勇者「勇者なんてろくなもんじゃないからならない方がいいよ!」

魔王「確かにろくなもんじゃないね!」

エリゴス「この盾は本来、勇者である者しか反応しない……間違いないか?」

勇者「うん」

エリゴス「それに貴様と魔王、側近が触ったら反応した……間違いないな?」

魔王「そうだけど……」

エリゴス「………」

傭兵「どうした?それに何かあんのか?」

エリゴス「この盾が……何故、側近がこの世界にいるのかを紐解く答えになるかもしれん」

傭兵「………」

魔王「本当に……?」

エリゴス「確りと調べてみねばわからぬがな……」

魔王「………」

エリゴス「……この盾借りるぞ」

勇者「どうぞ!どうぞ!エリゴスたんの部屋まで持って行ってあげるよ!」

エリゴス「そうか。頼む」

勇者 (ひやあっっほぉぉぉぉいッ!)

魔王「僕も行くよ……」

勇者「……余計な事はしてないで貰えるかな」

魔王「僕からしたら余計な事じゃ無いんでね……あ、でもなぁ……」

勇者「……でもなぁ?」

魔王「側近に傭兵の事を説明しないといけないんだよ……」

勇者「こっちはいいから!そっちを優先させなよ!」

傭兵「……オジサンの事ってなんだ?」

魔王「側近ね……さっきの傭兵の話あったろ?それをエリゴスさん達に面白恐ろしく言われちゃったみたいでね……」

傭兵「………」

魔王「君の事を凄い怖がっているんだよ……だから……」

傭兵「エリゴスてめえ……」

エリゴス「貴様がその様な態度でいたから悪いのだ」

傭兵「………」

魔王「それを側近に説明しなきゃならないだろ?エリゴスさんはこれから何かするみたいだし後は僕しかいないじゃん?」

傭兵「……そんなんじゃオジサンだけじゃいけないよな」

魔王「だろ?」

傭兵「側近ちゃんに嫌われたらオジサン生きてけねえぜ……」

魔王「で……」チラッ……

勇者「………」

傭兵「ん……不味いよな……」チラッ

勇者「こっち見ないでくれるかな!」

傭兵「そうだ!お前勇者に付いてけよ」

士卒「………」

勇者「嫌だったら来なくていいよ?むしろ嫌だよね!」

士卒「わかった……」

傭兵「おし。頼んだぜ」

魔王「本当頼んだからね……」

士卒「わかったって……」

勇者「………」

エリゴス「??」

勇者 (もうぅぅぅぅ余計な事をぉッ!)

エリゴス「行くぞ」

士卒「うい」

勇者「あ、待って!」

タタタ……

魔王「あの人間なら大丈夫かな……」

傭兵「あいつは何だかんだで結構頼りになる奴だからな。任せておけばいいさ」

魔王「……そう言えばさ、勇者……男色家とか言ってなかったかい……?」

傭兵「なんだ……また問題発生か……」



侍「………」ザンッザンッ……

水「御手伝い致しましょうか?」

侍「いや、結構。お手を煩わせる程では御座らんので」

水「そうで御座いますか……」

炎「水……貴様は見ているだけでいい」

水「はい、炎様……」

侍「………」

炎「……どうした?」

侍「少しは手伝おうとは思わんのか……」

炎「貴様の仕事だろ?それに私が手を出しては貴様もやりずらかろうに」

侍「確かに……」

水じゃなくて風だよね

>>141 指摘ありがとうございます。
普通に間違えてました……

侍「………」ザンッザンッ……

風「御手伝い致しましょうか?」

侍「いや、結構。お手を煩わせる程では御座らんので」

風「そうで御座いますか……」

炎「風……貴様は見ているだけでいい」

風「はい、炎様……」

侍「………」

炎「……どうした?」

侍「少しは手伝おうとは思わんのか……」

炎「貴様の仕事だろ?それに私が手を出しては貴様もやりずらかろうに」

侍「確かに……」

炎「それに私は食事など取らん。だから手伝う必要も無い」

侍「左様か。……エリゴス殿の御世話をするのだからお前も相当出来るのであろう?」

炎「……だからなんだ?」

侍「その腕前、拙者に見せぬか?」

炎「………」

侍「無理にとは言わん。……拙者より下!であるなら見せられぬだろうからな」

炎「………」

侍「下!の者に手伝って貰ってもまた大殿にお出しする食事が遅れてしまうからな!」

炎「………」

侍「おっと……切れ端を下!に落としてしまった。下!から拾わなければな」

炎「貴様……」

侍「そうだった!風殿、今身に付けている下!着はどの様な色か?」

風「炎様のお言いつけどうり白で御座いますが……」

炎「余計な事は言わんでいいッ!」

侍「ふふっ……」

炎「ふざけた真似を……見せてやろう……我が力をッ!私を本気にさせた事ッ!後悔するがいいッ!」

侍「お手並み拝見と行こうか……そら包丁」ポイッ

炎「オオオオオオッ!」ザンッザンッザンッ!

侍「ほう!」

炎「風よ!皿を並べよ!」

風「しかし!そのままでは魚?の半身が生のままです!」

炎「私の力を侮るなッ!魚?の身に刃を入れた瞬間!既に火は通している!」

風「え?……本当に火が通っています!」

炎「フハハハッ!見たか!貴様の様にチンタラと魚?を捌いては鮮度が落ちる一方!」

侍「………」

炎「旨味を逃す事無く!捌く事が出来る私が貴様より下な筈が無い!風よ、次は鍋だ!」

風「かしこまりました!」

炎「ソラソラソラソラァァァッ!」バババッ!

風「ああ炎様……素敵で御座います」

炎「アハハハハハハッ!」

侍 (暫くこの手を使うか。……拙者だけでは大変だからな!)



土「釘……」

衛兵「ん……」

側近「………」

土「ここ押さえてくれでゲス……」

衛兵「ん……」

土「………」

衛兵「………」

土「うがあああッ!お前!俺の相棒になったでゲスろ!なんゲス!その態度は!」

衛兵「なった覚えが無い……それと普通に接していているだろ……」

土「それが相棒に対する態度でゲスか!」

衛兵「相棒では無い……どうしたらいいんだ……」

土「こうすればいいんでゲス!」

衛兵「………」

土「おう!相棒!釘を取ってくれゲス!」

衛兵「………」

土「ガッテンでさ!相棒よ!」

衛兵「………」

土「やいやい!相棒!肉食いねえゲス!」

衛兵「………」

土「お?粋だねぇ!相棒!」

衛兵「………」

土「ナアハハハハ!」

衛兵「………」

土「って具合にでゲス」

衛兵「誰がやるか……」

土「こいつは……わかってないにも程があるでゲスよ!」

側近「あの……」

土「まったくぅぅ!」

側近「土様……?」

土「なんゲス!」

側近「何をやっているんですか……」

土「こいつに相棒のイロハをゲスな!」

衛兵「違うだろ……何か色々言われる前にやっとくんだろうが……」

土「ああ、そうそれでゲス」

側近「はぁ……」

土「側近も何かあったら早めに言っとくでゲス。治す物とか作って欲しい物とかあるならでゲスな」

側近「はい……」

土「……?」

カチャ

傭兵「後な!」

魔王「君は本当にしつこいね!」

側近「ッ!」ビクッ!

傭兵「あー……側近ちゃんさ、さっきエリゴ

側近「近寄らないで……」

傭兵「聞いて

側近「近寄らないでください!」

傭兵「だ

側近「それ以上……近寄ったら舌を噛みます!」

傭兵「なんとかしてくれ……」

魔王「側近ね……」

側近「………」

魔王「エリゴスさんとかが言ってた事は無いみたいよ?」

傭兵「無いってハッキリ言え!」

魔王「うん……無いんだって」

側近「………」

傭兵「オジサンさぁ……側近ちゃんをどうこうしようなんて考えてねえぜ?な?」

側近「………」

傭兵「エリゴスがどんな事言ったのか知らねえがよ……」

側近「……私をグチャグチャにして食べようとか生き血を啜ろうとか聞きましたけど……」

傭兵「……あのアホが。そんな事しねえって!」

側近「………」

傭兵「確かに側近ちゃんは色々な意味で美味しそうだけどなッ!食べようなんて思って無いって」

側近「………」

土 (何か筆頭殿がお困りの様でゲスな……ここはひとつ!お助けをしますゲス!)

傭兵「側近ちゃんを傷付けたりなんてオジサンには出来ねえしさ……」

側近「………」

土「そうでゲスよ側近。筆頭殿はそれはそれは側近の事をでゲスな!」

側近「………」

土「毎晩毎晩!自分のお力を使って側近のイヤらしい声を聴き

傭兵「ゲス!余計な事を言う

側近「……私のイヤらしい声って何です?」

傭兵「………」

魔王「そこは僕も詳しく聞きたいね……」

傭兵「そ、その……」



エリゴス「ふむ……」

勇者「エリゴスたん!肩揉もうか?足揉もうか?太股がいい?腋?」

人狼「何でアチシがここに連れてこられなきゃって……?」

士卒「丁度いい所にいたから!それに俺だけじゃ心細かったんだよ……」

人狼「………」

士卒「人外共の中にポンッて放り出されてさ……」

人狼「アチシも人外なんだけどって……」

士卒「ワン子は犬だからいいんだよ」

人狼「犬じゃ無いって!」

士卒「はいはい」

人狼「ぐぬぬ……」

勇者「あ……ああ……あああの!アキレス腱から足の裏を重点的に舐めるように揉もうか……?」

エリゴス「……もう一度、盾を触って貰えるか?」

勇者「盾だね!わかった……盾?」

エリゴス「うむ」

勇者「………」

人狼「……ねぇって」

士卒「なんだよ?」

人狼「こいつ……ロリコン……?」

勇者「そうだよ」

人狼「堂々と……よくそんな事を恥ずかしげも無く言えるって……」

勇者「ふっ……」

人狼「………」

士卒「最低だろ?これで人間の希望の光なんだぜ……」

人狼「………」

エリゴス「早く触れ」

勇者「はい!」ピカーン!

エリゴス「………」

勇者「次はエリゴ

エリゴス「次は貴様が触れ」

人狼「アチシ?いいけどって」

士卒「………」

人狼「……?」ソゥ

バチンッ!

人狼「ギャッ!な、なにこれって!」

エリゴス「ふむ……」

人狼「な、なななな」

士卒「勇者にしか反応しない盾なんだって……」

人狼「なんでアチシにそんな物を触らせたってぇ!」

エリゴス「やはり魔王とかと同じようにいかんか……」

人狼「……超ヒリヒリするって」

士卒「大丈夫かよ……」

エリゴス「………」

勇者「そんなに気になる?」

エリゴス「なるだろ。三人以外には触る事を拒否する盾なのだぞ?」

勇者「………」

エリゴス「魔王、側近に貴様。何か共通点があるから盾は反応している……それが何なのか気にならない筈が無い」

勇者「ふぅん……」

エリゴス「………」

士卒「……ん?」

人狼「どうしたって?」

士卒「何か……焦げ臭くないか?」

人狼「フンフン……確かにって」

士卒「……わ、ワン子……」

人狼「なに?」

士卒「背中から煙出てるぞ……」

人狼「………」

士卒「………」

人狼「ギャアァァァァァッ!」ダダダッ!

士卒「ワン子ぉぉぉぉッ!」

エリゴス「静かにしろ」

士卒「だ、だってよ!」

エリゴス「………」

勇者「そうだ!今日はエリゴスたんの事を色々知りたいな!」

エリゴス「……あ?」

勇者「エリゴスたんに兄弟はいるのかな!特に妹なんか!」

エリゴス「いないが……」

勇者「そうなんだ……じゃあ!エリゴスたんが向こうの世界で仲が良かった子っている?」

エリゴス「……バティムとピュルサンだな」

勇者「容姿は……?」

エリゴス「何故そんな事を聴く?」

勇者「じ、重要じゃん!ほら!また偶然喚んじゃった時にさ、パッとわかるだろ?」

エリゴス「……バティムは筋肉でピュルサンはトランペットライオンだ」

勇者「そう……」

エリゴス「……?……貴様なんと言った?」

勇者「ん?なにが?」

エリゴス「また偶然喚ばれ……とはなんだ?」

勇者「あれぇ?魔王から聞いてないの?」

エリゴス「知らん……何の事だ?」

勇者「エリゴスたんをこの世界に召喚したのは偶然なんだって」

エリゴス「………」

勇者「魔王が羨ましいよ……」

エリゴス「………」

勇者「……?」

エリゴス「なら……我は必要だからと喚ばれたわけでは無いのだな……」

勇者「そんな事無いよ?」

エリゴス「………」

勇者「きっと僕と結ば

エリゴス「偶然か……なるほど……」

勇者「丘にあるチャペ

士卒「何がなるほどなんだ?」

エリゴス「偶然だ。重なりあった偶然は必然を生む……そう言う事か……」

士卒「????」

勇者「皆に祝福されてブー

エリゴス「後は……盾が何に反応しているかわかれば側近がこの世界にいる理由がわかるな」

士卒「へぇ……?」

エリゴス「………」

勇者「初夜は朝まで頑張ろうね!回復魔法ガンガンかけて寝かさないぞ!」



魔王、側近、土、衛兵「………」

【お願いです……止めないで……】

傭兵「………」

側近「最低です……」

傭兵「………」ドゲザッ!

側近「……私の声をこんな風に使ってるなんて」

傭兵「拙者……返す御言葉も御座いませぬ……」

側近「侍さんみたく言っても駄目です!」

傭兵「………」

側近「なんで私なんですか……」

傭兵「言ったら許して貰える……?」

側近「許しません!取り合えずこう言う声を出す魔法を解いてください!」

傭兵「あい……」シュンン……

側近「それで傭兵さんが持ってる私の声は消えたんですか」

傭兵「消した……おおおお……オジサンの宝物がぁ……」

側近「………」

魔王「君が悪いんだから仕方無いね!」

傭兵「……!」ピコーン!

魔王「……なに?」

傭兵「後で面貸せ……話がある……」

魔王「話って何さ……」

傭兵「いいから!」

魔王「………」

側近「それで……なんで私なんですか……。水様とか人狼ちゃんとかいるじゃないですか……」

傭兵「その二人から選べって言うのも酷だぜ……」

側近「いいですから!答えてください!」

傭兵「………」

側近「………」

傭兵「オジサンはな……側近ちゃんを守んなきゃならねえのよ……」

側近「………」

傭兵「側近ちゃんがこっちへ振り向くとか関係無くな。……何か、自分のやった事への償いもあんのかな……」

側近「償いってなんです……?」

傭兵「オジサンさ……一回世界をぶち壊してんのよ……」

側近「………」

傭兵「その事だな。償いって……」

側近「魔王様……傭兵さんがおかしな事を……」

魔王「それは本当みたいだよ。傭兵はやり直してるんだって……」

傭兵「………」

魔王「傭兵の壊した世界からこの世界に来て最初っからね。……信じがたいけど」

側近「………」

傭兵「オジサンがその世界からこっちへ来たら……見た事もねえ女の子がここにいたんだよ……」

側近「……それは」

傭兵「側近ちゃんだな。……それ見て……オジサン思ったのよ……」

側近「………」

傭兵「ああ、これはオジサンがお痛して反省したから神様が許してくれたんだなってな」

側近「………」

傭兵「この娘を好きにしていいですから!もう世界を壊しちゃ駄目よ!……って」

側近、魔王「………」

傭兵「でもな……それは違ったんだ。……その娘には……はぁ……」

側近「………」

傭兵「既に!好きな誰さんがいたんだ!おうコラッ!ボケッ!」

魔王「そんな喧嘩腰になられても困るね……」

傭兵「神様って奴は本当はな……こう言いたかったんじゃねえかってさ……」

側近「………」

傭兵「……お前は世界を壊したんだから叶う事の無い愛を背負って罪を償え。……って」

側近「………」

傭兵「それからだ……側近ちゃんを守んなきゃいけねえと思う様になったのはな」

側近「………」

傭兵「これが……側近ちゃんの側にいる理由だ……」

側近「………」

傭兵「………」

側近「……聞いていいですか?」

傭兵「ああ、ここまで言ったんだ。……もう何でも答えてやるよ」

側近「その話が本当で……私を守るんですよね?傭兵さんは」

傭兵「そうだ……」

側近「じゃあ……なんで守る者のエッチな声を収集したりするんですか?」

傭兵「………」

側近「………」

傭兵「か、かかか神様もそれぐらいは許してくれたからだな!うん!そう!」

側近「………」

傭兵「いやあ!寛容だよな!」

側近「………」

魔王「そこは正直に言った方が今後の為だと思うね……」

傭兵「………」



エリゴス、勇者、士卒「………」

炎「さあ、私が作りました料理!お召し上がりを!」

侍「エリゴス殿!こちらを御賞味あれ!」

エリゴス「量が多過ぎる。どちらか片方しか我は食せぬが……」

侍、炎「………」

エリゴス「………」

炎「皿を下げろ」

侍「お前の皿を下げればいいのか?」

炎「違うッ!貴様の皿を下げろと言っているんだッ!」

侍「ああ?」

炎「エリゴス様に不味い物を御出しして恥ずかしく無いのか貴様は」

侍「……冗談にしては笑えんな」

炎「冗談など言うか」

侍「………」

炎「………」

エリゴス「ええい!やめぬか!」

炎「ですが……」

侍「しかし……」

エリゴス「……我が双方の作りし料理を少量ずつ食す。これで良かろう?」

炎「駄目です!」

侍「いけませぬ!」

エリゴス「何故だ……」

炎、侍「こやつめに!自分がどれだけ身の程知らずかわからせる為で御座います!」

エリゴス「………」

炎「身の程知らずは貴様だろ……」

侍「ふん……分をわきまえぬ輩がどう吠えようが、お前が下だと言う事実は変わらぬ故……」

炎「なんだと……?」

侍「やるか……?」

エリゴス「やめろ……」

士卒「この二人……こんなに仲悪いの……?」

勇者「同族嫌悪ってやつじゃないかな……」

士卒「へぇ……」

エリゴス「困った……ん……そうだ!」バッ!

勇者「……え?」

エリゴス「貴様は食に詳しいな?」

勇者「まぁ……美味倶楽部の会員だからね……」

エリゴス「貴様がこれの優劣を着けよ」

勇者「………」

エリゴス「頼む……」

勇者「……わかった。エリゴスたんの頼みなら断れないし」

エリゴス「………」

勇者「だから!終わったら僕と一緒にお医者さんゴッコしてよ!」

エリゴス「………」

士卒 (マジで最低だな……)

エリゴス「……良かろう」

士卒「はあああ!?いやいやいや!」

エリゴス「なんだ?」

士卒「駄目だ駄目だ駄目だ!そんなの許可出来ない!」

エリゴス「何故だ?医療に従事する者を真似て遊ぶだけだろ?」

勇者「そうそうぉ」ニヤニヤ

士卒 (このにやけ面ぶん殴りてぇ……)

勇者「エリゴスたん!約束だからね!絶対だよ!」

エリゴス「わかった。……そっちは頼むぞ」



風「あらあら……お待ちくださいね……」

人狼「ヒィッグッ……風ぢゃんはやぐ治しでってぇ……」

風「はい……しかし、これはどうされたのです?」

人狼「バチッてしたらモクモクして毛が焦げたって……」

風「はぁ……?」

水「ああああああ!」

人狼「………」ビクゥッ!

水「あーあ……何してるのよ……こんなに焦げちゃって」

人狼「………」

水「こんな綺麗な毛なのにねぇ……」

風「そうで御座いますね」

人狼「………」

水「ツヤツヤで……毛並みも確りしてて……」

風「固過ぎず柔か過ぎずですね」

水「この指を通した時の滑らかさは人狼の毛皮じゃなきゃ味わえないわよねぇ……ふふ」サワッ……

人狼「………」ガチガチ……

水「……また宜しくね」コソッ

人狼「アチシ……ケガワ……」ガタガタ……

歩兵「失礼します!ご夫人方、御配膳の準備が整いました!」

水、風「……?」

歩兵「……何か?」

水「いえ、見ない顔ねぇと思って」

歩兵「自分はまだ皆様方に目通しをしていませんので……」

水「そう」

歩兵「自分は歩兵と申します。お見知りおきを!」

水「うん」

風「風と申します。宜しくお願いしますね」

歩兵「宜しくお願いします……あの……」

風「はい?」

歩兵「失礼ですが……上官殿とのご関係は?」

風「関係……で御座いますか?」

歩兵「………」

風「そうで御座いますね……炎様と御一緒している時に少々お手伝いをしている関係でしょうか」

歩兵「炎様とは?」

風「………」ポッ

歩兵「な、なるほど!失礼しました!」

水「………」

歩兵「ははは!……本当に失礼な事を……」

風「いえ、構いませんよ」

歩兵「それでは!自分は他の方に御伝えしなければいけませんのでこれで!」

風「はい」

タタタ……

風「あの方は何故あの様な事を

水「キタ……」

風「……はい?」

水「遂にキタのよ……」

風「何がキタのでしょう……?」

水「あの美青年の人間……間違いなくオーガに想いを寄せているわね……間違いなくぅッ!」

風、人狼「………」

……………

歩兵『駄目です……』

侍『何が駄目なんだ?』

歩兵『そ、その……』

侍『例えば……こうお前の首筋を……』

歩兵『あっ……』

侍『嬉しそうな顔をしてるぞ?』

歩兵『………』

侍『……さあ、お願いしてみろ』

歩兵『え?』

侍『自分を快楽の海原へ誘えってさ』

歩兵『そんな事……出来ません……』

侍『へぇ……出来ないのか……』

歩兵『………』

侍『ならこれで終わりだ。……言えないならな』

歩兵『………』

侍『じゃあな』

歩兵『ま、待ってください!』

侍『ん?……なんだい?』

歩兵『……優しくして貰えますか?』

侍『それは約束出来ないな。お前みたいな可愛い奴を見ると無茶苦茶にしたくなるんだよ』

歩兵『………』

侍『どうする?』

歩兵『……じ、自分を……快楽の……』

侍『………』

歩兵『海原へ誘ってください……』

侍『それで?……続きを言えよ』

歩兵『うっ……自分を無茶苦茶にして……ください……』

侍『ふふ……よく言えました』

歩兵『………』

侍『歩兵……』

歩兵『上官殿……』

……………

水「ってな風にねッ!」

風、人狼、兵士「………」

水「素敵!うん凄い素敵!」

兵士「何を言ってるんだ一体……」

人狼「病気って……多分母体には影響しないと思うけどって……」

兵士「母体には影響しまくりだろこれ……」

人狼「じゃあ赤ちゃんにって」

兵士「されてたまるか……」

水「でね!でね!」

風「はい……はい……」

兵士「来てみたらいきなりこんなのになってたが……何があったんだ?」

人狼「あんまり見ない人間がご飯出来たって言ってきて……」

兵士「うん……」

人狼「どうやらその人間はオーガが好きみたいで!それを見た水様がこうなったとって……」

兵士「人間?……士卒か衛兵の野郎じゃ無いよな?」

人狼「違うって。ヒョロっとした人間で水様が言うには美青年って」

兵士「……そんな奴いたかな」

人狼「………」

兵士「青年って事は男だよな……んん……」

水「でね!石鹸と薔薇の香りを撒き散らして抱き合った二人は!」

風「お、落ち着いてください!」

兵士「んん……」

人狼「歩兵って名前だったって……」

兵士「ああ……そいつか」

人狼「………」

兵士「へぇ、歩兵の奴は上官殿をねぇ……知らなかったわ」

人狼 (何で雄同士での恋話なのに普通の反応って……」

兵士「飯出来てんなら行くぞ」

人狼 (人間ってそう言うの普通なのかなって……恐ろしい……)



勇者「………」カチャ……

侍、炎「………」

勇者「二人の料理、とても素晴らしかったよ」

炎「……で、どちらの料理が優れていた?」

勇者「………」

侍「さあ答えよ」

勇者「どちらも美味しかった……では駄目かな?」

炎「駄目に決まっているだろう!」

侍「………」

炎「ふざけた事を言っていないで早く優劣を付けよ!」

勇者「そう、わかった。……なら両方エリゴスたんに出すには至らない料理だった」

炎「……はあ?」

勇者「これが僕が出した答えだ」

炎「貴様……先程我らが料理を素晴らしかったと言ったではないか!」

勇者「言ったね。……ただそれはエリゴスたん以外に出すならの話だよ」

侍「………」

炎「ふん!こんな奴に味の良し悪しがわかるか……やはりエリゴス様に

侍「待て」

炎「なんだ!」

侍「それは理由を聞いてからでも遅くは無かろう……」

炎「理由など聞かずとも良い!どうせくだらん事を言うに決まっている!」

勇者「………」

侍「聞かせて貰えるか?何処が駄目だったのか?……何処に改善の余地があるのか……」

炎「おい!」

勇者「………」

炎「そんな事を聞かずとも!」

侍「少し黙れ……こいつはな馬鹿者だが食に対しては天心を持っている。それが不満を申したんだ……きっと我らに否があるのだろ」

炎「………」

侍「さあ教えてくれ。エリゴス殿に出すには至らない理由を」

勇者「うん。まずね……これ。この皿の料理……」

炎「………」

勇者「焼いて旨味を閉じ込めていて旨いんだけど……それに気を取られ過ぎたのかな。火を通し過ぎて少しパサついてるよ」

炎「……ッ!」

勇者「後、このソースはこの食材には合わないよ。サッパリし過ぎて食材と調和して無いよ」

炎「………」

勇者「魚だからサッパリしたソースにって言うのはわかるけどね、それに合わない魚もいる事を理解して見極めて欲しいね」

炎「ぐっ……ぐぬぬ……」

勇者「こっちの料理はそんなとこかな」

侍「なら……次は拙者の料理だな」

勇者「………」

侍「………」

勇者「こっちは……さっきのと対極って言うのかな。この辺りでは見掛けない料理だよね」

侍「拙者の国の料理だからな」

勇者「そう。……ちょっと塩分が多いかな」

侍「……ッ!」

勇者「オーガの料理はいつもお世話になっているけどね……これはその料理の中でも最低な方だと思うよ」

侍「最低か……」

勇者「……オーガの国とこことじゃ気候が違うのはわかるよね?」

侍「うむ……そ、そうか……」

勇者「わかる?」

侍「気候の変化によって味の加減が出来ていなかった……だな?」

勇者「そうだね。魔王とかに出すなら違いなんてわからないだろうけどさ、エリゴスたんや僕の舌ではわかってしまうんだよ……濃いなって」

侍「………」

勇者「初めて扱う食材だから勘が狂ってしまったのかな?」

侍「………」

勇者「それとも……手抜きかな……」

侍「………」

勇者「………」

侍「見抜かれてしまったな……お見逸れした……」

勇者「オーガらしくないね。どうしたの?」

侍「少々忙しくてな……」

勇者「忙しいから手を抜くの」

侍「………」

勇者「遊びじゃ無いんだよ……生きる糧なんだからね」

侍「そうだな。すまなかった……拙者、人が増えたからとそれに甘えていた……」

勇者「うん、わかってくれればそれでいいよ」

炎、侍「………」

勇者「じゃあ両者引き分けでいいね?」

侍「うむ……」

炎「ぐぬぬ……」

勇者「じゃ!これから闇系の遊びがあるので僕はこれで!」バサッ!

侍「精進せねばな……」

炎「そうだな……」

勇者 (聴診器をエリゴスたんの乳首にツンツン……聴診器をエリゴスたんの乳首にツンツン……聴!診!器!をエリゴスたんの乳首にツーンツンッ!グハハハハッ!)



傭兵「ぐああ……」ボロボロ……

魔王「………」ゴロゴロ

傭兵「側近ちゃんに殴られた傷が滲みて全然飯食えなかったぜ……」

魔王「自業自得だろ……」ゴロゴロ

傭兵「そうだけどよ……」

魔王「それはそうと、僕に用があるんだろ?一体何なのさ?」

傭兵「………」

魔王「……?」

傭兵「……半生透過使ってくれねえか?」

魔王「はあ?」

傭兵「側近ちゃんに!」

魔王「………」

傭兵「な!頼む!」

魔王「君はさっき散々殴られたのに懲りて無いのかい……」

傭兵「そう言う問題じゃねえんだよ!」

魔王「そう言う問題だと思うけど……」

傭兵「側近ちゃんが!何故この世界にいるかわかるかも知れねえだろ!」

魔王「………」

傭兵「だからよ!」

魔王「だけどさ……見たい所なんて見れないって言ったよね?」

傭兵「そこでオジサンの出番なのよ!」

魔王「出番って……何するの……」

傭兵「オジサンの力を使ってだな!その半生透過の精度を制御するんだ」

魔王「………」

傭兵「どうだ!」

魔王「それなら君一人でいいんじゃないの?」

傭兵「ん……それがなやろうとはしたんだ……」

魔王「したのかい……それで?」

傭兵「お前と同じ力ってよ、どうやら幾つも力を重ねねえと出来ないみたいなんだわ」

魔王「………」

傭兵「あんまり力を重ねて使うとなオジサン……大変な事になるんだ……」

魔王「どうなるの……?」

傭兵「しばらくの間な勃たなくなる……」

魔王「………」

傭兵「これが非常に悲しいんだ……」

魔王「世の中の為に一生不能になった方がいいんじゃないのかい……」

傭兵「アホか!勃たねえんだぞ!プルプルスベスベピッチャピチャッな物が目の前にあっても何にも反応しねえんだぞ!」

魔王「………」

傭兵「同じ男として!この悲しさわかるだろうが!」

魔王「別に……

傭兵「ああん!?」

魔王「あ……はいはいわかるわかる……」

傭兵「だろ!」

魔王「……それで僕と君とで力を合わせてやれば君の体に影響無く正確に側近の半生が見れるんだね?」

傭兵「そうだ!だからよ……使ってくれよぉ……」

魔王「………」

傭兵「お願いだからよ……」

魔王「でもね……」

傭兵「でもね何だよ……」

魔王「側近の秘密を知るのは気が進まないね……」

傭兵「そこは全力で突き進もうぜ!」

魔王「………」

傭兵「お前だって何で側近ちゃんがこの世界にいるか気になるだろ?」

魔王「………」

傭兵「エリゴスがわかんなかった時はもう知る術はねえんだ。だからさ……」

魔王「わかったよ……もう……」

傭兵「そうか!」

魔王「ただし!側近には秘密にね!後、関係無い物は飛ばすから!」

傭兵「お、おう!頑張ろうな!」

魔王「………」



勇者「………」

エリゴス「これより魔力の源摘出手術を行う……メス」

士卒「はい先生!」

勇者「まままま待って!」

エリゴス「なんだ?患者は今、全身麻酔で動けない筈だろ」

勇者「なんで僕が患者なのかな!僕、お医者さんやりたいんだけど!」

エリゴス「それではつまらん。なあ助手よ」

士卒「はい先生!」

勇者「………」

エリゴス「やりたいのなら我の後でやれ」

勇者「それ絶対だからね!」

エリゴス「わかったわかった……早く寝ろ」

エリゴス「メス」

士卒「はい先生!」

勇者「……なんかそれ本物っぽく見えるんだけど」

エリゴス「本物だが?」

勇者「………」

エリゴス「なあ助手よ」

士卒「はい先生!」

勇者「いや……ゴッコだから本物は……」

エリゴス「遊びだからと言って本物を使ってはいけない道理は無いであろう?ふふ……」

勇者「………」

士卒「患者さん!先生の腕は確かですから安心してください!ププッ」

勇者「笑うとこじゃ無いだろ君!」

エリゴス「うるさい……」

勇者「うるさくもなるよ!危ないから!ね!?」

エリゴス、士卒「………」

勇者「そう言うのは偽物を使おう?ね!」

エリゴス「……助手よ」

士卒「はい先生?」

エリゴス「やはり麻酔は必要なようだ……」

士卒「そうですね先生!」

勇者「………」

エリゴス「麻酔……」

士卒「はい先生!」バッ!

勇者「いやいやいもがががぁぁ!」

エリゴス「大人しくこれを吸うがいい!あはははは!」

勇者「……ぁぁぁ……ぅぁ……」

エリゴス「………」

勇者「」グデェ……

エリゴス「よし」

士卒 (クククッいい気味だな!お前の思惑通りに事が運ばなくてホッとしたよ……)

エリゴス「メス」

士卒「……え?」

エリゴス「早くしろ。メスだ」

士卒「いや……ここまででいいんじゃないか……?」

エリゴス「何故だ?」

士卒「遊びだろ?……これ以上する必要が……」

エリゴス「先程も言ったが……遊びでも本当にやってはいけない道理は無いであろう?」

士卒「………」

エリゴス「そうそう、切開はするが縫合は貴様がやれ」

士卒「はぁ?」

エリゴス「わかったか?」

士卒「そんなの出来るわけ無いだろ……」

エリゴス「助手であろう?」

士卒「助手とか関係無くさ……本当にやるなら最後までやれよ……」

エリゴス「めんどうだ……」

士卒「それは面倒臭がらないでくれ……」

エリゴス「………」

士卒 (凄いヤブ医者っぷりだな……ん?)

エリゴス「……む?」

士卒「何か……変な匂いするんだけど……」

エリゴス「………」フンフン

士卒「何この匂い……嗅いだ事の無い様な……懐かしい様な……」フンフン

エリゴス「………」

士卒「もしかして麻酔!……じゃ無いよな……漏れてないし」

エリゴス「………」

士卒「んん?この匂い何だかわかる?」

エリゴス「……貴様、魔術やらの心得はあるのか?」

士卒「……?無いけど?」

エリゴス「なら……そっちへと己の生き方を変えてみてはどうだ?」

士卒「いきなり何……この匂いとそれがどう関係あるんだ……」

エリゴス「………」

士卒「………」

エリゴス「この匂いはな……魂の発する息吹だ」

士卒「魂の息吹?なにそれ?」

エリゴス「簡単に言ってしまえばオーラだな。魂持つ者は大なり小なり必ず持っている物だ」

士卒「へぇ……?」

エリゴス「大半の者はその存在を表に出す事など無いのだが……一部の者はそれを具現化したりしているな」

士卒「ふぅん……そんな凄い奴がいるのか……」

エリゴス「貴様の側にもいるだろ……」

士卒「え?誰?」

エリゴス「侍と火だ」

士卒「上官殿ってそんな事出来るの……?」

エリゴス「侍はオーラを刃に変え使う事が出来るな。火もまた然りだ」

士卒「へぇ……で、火って言うのは誰?」

エリゴス「この城では炎と呼ばれているな」

士卒「ああ……あの感じの悪い仮面野郎か……」

エリゴス「………」

士卒「それで俺の生き方変えろってのは?」

エリゴス「本来なら……余程強くオーラを発していないとこれは感じられぬのだぞ?」

士卒「………」

エリゴス「だが……我でも見逃してしまいそうなそれを貴様は感じられた。この意味はわかるか?」

士卒「特別な飴を貰える様な存在って事……?」

エリゴス「飴は知らんが特殊な存在である事は間違いないな」

士卒「………」

エリゴス「オーラを五感で感じるなど普通は出来ん」

士卒「へぇ……」

エリゴス「………」

士卒 (だからってなぁ……今更魔術?とか習えって言われてもな……)

エリゴス「しかし……」

士卒「……?」

エリゴス「このオーラはこいつから発せられた物だが……」

士卒「あのさ……何でいつも出して無いオーラを急に勇者が出したんだ?」

エリゴス「それは防衛本能か何かだろ」

士卒「ああ……なるほど……」

エリゴス「何故こいつが……」

士卒「おかしな所でもあるの?いや……おかしな所は山程あるけど……」

エリゴス「有り得ぬ事だが……我はこのオーラと同じ物を知っている……」

士卒「へぇ……有り得ぬ事?」

エリゴス「人や魔物も千差万別だろ?魂もまた千差万別、同じ物など有り得ぬ事なのだ」

士卒「………」

エリゴス「それをこいつは持っている……」

士卒「………」

エリゴス「何故……」

士卒「………」

エリゴス「……そうか!」

士卒「………」

エリゴス「なるほど……ならば側近もそれになるのか……」

士卒「………」

エリゴス「それでこの盾の事が説明がつく……」

士卒「一人で盛り上がってるとこ悪いんだけどさ……どう言う事?」

エリゴス「こいつ……勇者の魂は魔王と同じだと言う事だ」

士卒「はあ?」

エリゴス「それに伴い側近の魂も魔王と同じ……と言う事になるな」

士卒「………」



傭兵「ささっ!魔王様ここに座ってくだせえ!」

魔王「………」

傭兵「よし!側近ちゃんの幼少期なんて可愛いんだろうなぁ!グハハハハッ!」

魔王「………」

傭兵「パパ頑張って抱っこしちゃうぞみたいなな!」

魔王「やっぱやめない……?」

傭兵「ふざけんなよ!今更引けるか!」

魔王「………」

傭兵「早くやれ!」

魔王「わかったよ……半生ぅ透過ぁ……」パッパ!

傭兵「未知と既知の狭間!不完全なる完全の彼方へ誘え!」ババババババババッ!

魔王「そんなオーバーな動きしないと出来ないの……?」

傭兵「黙ってろ!……ミステルハンドテラーッ!」

……………

「………」

魔王「……あれ?」

傭兵「側近ちゃんって生まれた時からあんなバインバインなのか……?」

魔王「そんな事は無いよ……おかしいなぁ……」

傭兵「オジサン見る時間間違えたか……」

魔王「みたいだね……これだと今の側近だものね……」

傭兵「ん……それにしてもよ側近ちゃん、何でこんな怖い顔してんだ?」

魔王「君が何か言った後なんじゃ無いの……」

傭兵「違うな。オジサンを怒る時はもっと可愛く怒ってくれるからな!……ありゃ多分魔王が何かやった後だな」

魔王「やめてよ……」

「………」

魔王「それにしてもなぁ……僕がいないからって魔王座に座るなんて関心しないね」

傭兵「お前が座るよりよっぽど様になってるぜ!あれ!」

魔王「………」

「来たか……」

魔王、傭兵「………」

「長い間この時を待ちわびたぞ……」

傭兵「……何かおかしいぞ?」

魔王「そうだね……」

「私の自由を奪いし者よ……これで終わりだ」

傭兵「………」

魔王「誰かと遊んでいるのかな……それにしてもあれだね……」

傭兵「ああ……こんな低い声で喋れるんだな側近ちゃん……」

魔王「うん……それにあの側近、何か怖いね……」

傭兵「………」

「………」グバッ……ズオッ……

傭兵「斧か……」

魔王「あれ……」

傭兵「侍がいつも薪割りに使ってるやつだな」

魔王「は?侍が使っているの?」

傭兵「ああ、あんなの片手でヒョイヒョイってな」

魔王「………」

傭兵「……?」

魔王「あれ……魔王の斧なんだよ……」

傭兵「へぇ……はぁ?」

魔王「………」

傭兵「おいおい……名前からして危険そうなんだが……」

魔王「本当は危険だね……と言うか本来なら魔王しか持てない物なんだよ……」

傭兵「………」

魔王「魔王以外が持とうとすると重過ぎて持てないんだよ……」

傭兵「それをなんで侍の野郎が……あいつの場合は馬鹿力だかんな……」

魔王「多分、侍が斧を持てる理由はそれなんだと思うけど……」

傭兵「側近ちゃんも片手で持ってるよな……」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「側近に魔王を交代して貰おうかな……」

傭兵「オジサンは反対しねえぞ……」

「来い……真なる自由とやらを私に見せてみよッ!」

魔王、傭兵「………」

「ハアァァァァアッ!」バッ!

魔王「あれれ……」

傭兵「これマジなんじゃねえの……」

ズガァッギンギギギッ!

「貴様が言っていた自由を奪い自由を与える……この矛盾した物の先に何をッ!」

魔王「あわわわわ」

傭兵「………」

魔王「な、何がどうなってるの!」

傭兵「……オジサン思うに、これ……多分この世界の出来事じゃねえぞ……」

魔王「ならこれ何!」

傭兵「わかんねえよ!わかんねえけど……側近ちゃんと関係ある事なんじゃねえの……」

魔王「………」

傭兵「こっちも本当に側近ちゃんだったら……」

魔王「………」

傭兵「アリだよな……」

魔王「………」

傭兵「あの優しくて可愛らしい感じはねえけどよ!冷たい目でってのもいいなぁおい!」

魔王「君ね……」

傭兵「お前だってああ言う側近ちゃんの方がいいんじゃねえのか?」

魔王「別にどっちがいいなんて無いよ……側近は側近だもの……」

傭兵「へぇ?ドMなのにか?」

魔王「誰がドMだい……僕はそんなんじゃ無いよ!」

傭兵「隠さなくてもいいって」

魔王「隠してないよ!」

「……ッ!」

ドスッ……

「ゴフッ……グァァ……」

魔王「そ、側近!」

傭兵「待て!」

「ハァ……なるほど……」ガクッ……

魔王「そそそそそ側近が側近が!」

傭兵「今の側近ちゃんじゃねえんだ!見てろ!」

「終わりか……終わりが自由への始まりだったと言う事か……」

魔王、傭兵「………」

「孤独が……死が……カハッ……」

魔王、傭兵「………」

「自由か……」

魔王「………」



魔王「………」

傭兵「………」

魔王「あの側近は……何なのかな……」

傭兵「知らねえよ……こんな嫌な気持ちになるんだったら見なきゃ良かったぜ……」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「魔王って言ってたね……」

傭兵「ああ……」

魔王「あの側近がなんであるにしろ……魔王って存在はあんなのなのかな……」

傭兵「………」

魔王「自由を求めて……孤独に死んで……それが自由の望んだ本当の自由だったなんてね……」

傭兵「………」

魔王「傷付けられて血を吐いて……泣いていたね……」

傭兵「………」

魔王「僕があれだったら……耐えられないよ……」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「……魔王がそんな事言ってんじゃねえよ」

魔王「………」

傭兵「………」

バタン……

側近「魔王様!勇者さんが通路の真ん中でゴロゴロして邪魔なんですよ!何とか言って……?」

魔王、傭兵「………」

側近「な、なんでしょう?……私の顔に何か付いてます?」

魔王、傭兵「………」

側近「……?」

傭兵「うおおおおおッ!側近ちゃんんんん!」

側近「な、ななな何ですか!」ビクッ!

傭兵「オジサン絶対側近ちゃんを幸せにしてやるからなぁぁぁぁあ!」

魔王「うわああああん!側近側近側近側近んんん!」

側近「ま、魔王様まで……」

魔王「僕これからはちゃんと魔王するからね!うんうん!」

側近「………」

傭兵「オジサンもエッチな事は少し控えるからよぉぉ!」

魔王「ゴロゴロも少し控えるからぁぁ!」

側近「………」

魔王、傭兵「うあああん!」

側近「何なんですか……一体……」



魔王、傭兵「えっぐえっぐ……」

側近「………」

魔王「どんなに辛い事があっても太陽さんはいつもニコニコ見守ってくれてるからね!側近!」

傭兵「そうだぜ!いつまでも泣いてちゃ太陽さんに笑われちまうぜぇ!側近ちゃん!」

側近「意味がわかりません……」

魔王「ここならどんなに自由な事していいからね!側近!」

傭兵「そうだぜ!いつまでも自由だぜぇ!側近ちゃん!」

側近「二人共どうしちゃったんですか……私って結構自由なんだと思うんですけど……」

魔王、傭兵「………」

側近「ん……それに今は凄く幸せですよ?」

魔王、傭兵「………」

側近「あ、魔王様との事だけじゃ無くてですね!……周りに皆さんいますし」

魔王、傭兵「………」

側近「孤独を感じ無いって言うか……そう言うの凄くいいなって……だから……」

魔王、傭兵「………」ジワッ

側近「……え?」

魔王、傭兵「うあわわわわん!」

側近「………」

魔王「側近んんん!涙君と孤独さんとはサヨナラしようねぇぇぇぇ!サヨナラ涙君だよぉぉ!」ぶわっ

傭兵「また会う日までだぜえええ!」ぶわっ

側近「な、泣かないでくださいよ!」

カチャ……

エリゴス「魔王は居る……」

魔王、傭兵「おーいおいおい!」ぶわっ

エリゴス「何事だ……これは……」

側近「……よくわからないんですけど……」

エリゴス「鬱陶しいな……」

側近「はい……」

魔王、傭兵「うおおおん!」

エリゴス「チッ、魔王ッ!」

魔王「ばみぃ?ブビィィ……グスッ……何かな?」

エリゴス「話がある。こいつと貴様と側近についてだ」

魔王「こいつ……?」

エリゴス「………」スッ!

勇者「」グテェ……

魔王「………」

エリゴス「これだな」

魔王「……勇者に何やったの?」

エリゴス「超高濃度の魔導トリクロロメタンを吸引させただけだ」

魔王「何故……それはいいか。話って何かな?」

側近 (ゴロゴロしてたんじゃなくて麻酔でグッタリしてたんですね……)

エリゴス「こいつの盾についてだな」

傭兵「ぼれがどぼがじだが?」

エリゴス「鼻をかめ!何言ってるかわからん!」

魔王「はい、使いなよ」

傭兵「わ"りい……スビィィ!……はぁ、で?盾がどうかしたのか?」

魔王「………」

エリゴス「この盾が何故三人にだけ反応したかだな」

側近「あれ?それは壊れてたんじゃないんですか?」

魔王「どうもね……違うみたいなんだよ」

側近「そうなんですか……」

エリゴス「この盾は……魔王の魂に反応するみたいだ」

魔王、傭兵「………」

側近「はい?」

エリゴス「………」

側近「私……魔王じゃありませんけど……」

エリゴス「今は違うだけだ。こいつも側近も……おそらく違う時間軸では魔王だったのだろう」

側近「でも……それって逆に勇者の魂に反応するって事になりませんか?」

エリゴス「ふむ……」

傭兵「それはねえよ……」

エリゴス「何故そう言い切れる?」

傭兵「見たんだよ……側近ちゃんがナイスな魔王してる所をな……」

エリゴス「貴様の力を使ってか?」

傭兵「オジサンだけじゃ無くて魔王にも手伝って貰ってな……」

エリゴス「………」

傭兵「それで見たんだよ……側近ちゃんが魔王だった所を……」

エリゴス「………」

側近「……どう言う事です?魔王様……」

魔王「ん……側近が何故この世界にいるのか確かめる為に半生透過を使ったんだよ……」

側近「な、なな何やってるんですか!」

魔王「君の思ってる通りにはならなかったから安心して……」

側近「………」

魔王「それで……側近を透過してみたら……君が立派な魔王をしててね……」

側近「………」

魔王「………」

側近「……なんであり得ない私が見れたんですか?」

魔王「さあ……」

エリゴス「それは偶然だ」

傭兵「偶然か……そうだよな。あんなの狙って見れねえもんな」

エリゴス「その偶然が狙って起こる事だったたらどうする?」

傭兵「はぁ?それだと偶然にならねえだろ……」

エリゴス「………」

側近「魔王様?……違う世界の私ってどうでした?」

魔王「………」

側近「やっぱり今とそう変わらないんですかね?」

魔王「……いや、魔王……だったよ……」

側近「魔王様みたいにゴロゴロしてる私だったんですか……?」

魔王「違うよ!僕達が君を見て号泣したんだから……」

側近「………」

魔王「僕や今の側近とは真逆の……側近だったよ……」



炎「………」

兵士「ちょっと付き合ってくれよ……」

炎「なんだ?」

兵士「いやぁ……ほら、俺とあんたってさもうすぐ親になるだろ?その辺のさ心構えって言うの?そう言うのをさ……」

炎「………」

兵士「どうしてるのかなってよ」

炎「ふむ……」

兵士「人間と魔物のだし……その辺がどう違うのか知りたいって言うか……」

炎「違いなど無いだろ。親になると言うのは皆、平等に等しい筈だ」

兵士「………」

炎「……貴様は水をどう思っている?」

兵士「どうってなぁ……こんな事言うのは恥ずかしいが好きだぜ」

炎「ほう……」

兵士「最初はな……やっちまった!とかババアとなんてぇ!とか思ってたけどよ……」

炎「………」

兵士「こう……一緒にいて何か悪く無い気分になってな?うん……段々引かれちまったんだなぁ……」

炎「………」

兵士「こんなの本人に絶対言うなよ……」

炎「安心しろ。私は口が固い方だからな」

兵士「頼むからな?……こんなの聴かれたらますます水に頭が上がんなくなっちまう……」

炎「ふふ……」

兵士「……で?あんたはどうなのよ?」

炎「愛しているが?」

兵士「まあ……その辺は愚問だよな」

炎「そうだな」

兵士「あのさ、あんたのコレって最初はヤンスとか言ってなかったか?」

炎「………」

兵士「雰囲気もあんな感じじゃ無かったしよ……」

炎「それは夫の教育と言うものだ」

兵士「……教育?」

炎「私が教育をし今の風がある。夫婦となるのだ、どちらかが不作法では問題が起ころうに」

兵士「………」

炎「それを矯正する。わかるか?」

兵士「いや……」

炎「貴様にもわかる時が来るだろう。妻の教育がなっていないばかりに己が恥をかく時がな」

兵士 (俺には絶対無理だわ……)

炎「人間はこんな事もしないのか?」

兵士「それは知らねえけど……あ、ああ!産まれてくる子供楽しみだな!」

炎「そうだな。ふふ……」

兵士「俺なんか人間と魔物の間の子だからさちょっとビビってんだよね」

炎「何故だ?」

兵士「わかんねえ?ちゃんと人型の赤ん坊が生まれるかってさ」

炎「………」

兵士「あんたはその辺、安心なんじゃねえの?」

炎「………」

兵士「……?」

炎「………」

兵士「……なんだ?いきなり黙りこんで……」

炎「………」

兵士「………」

炎「……大丈夫だ……きっと……」

兵士「何が……?」

炎「きっと……きっと……必ず私か今の風に似ている子を……」

兵士「………」

炎「大丈夫……大丈夫……大丈夫……」ブツブツ……

兵士「ブツブツと……怖えよ……」

炎「………」ブツブツ……

兵士 (何か不安要素があるのか……)

炎「………」ブツブツ……

兵士「お、俺行くな!話聞いてくれてありがとな……」

風「…産まれましたわ!」

熱風「…ヤンス!…ヤンス!」オギャー!

火「…」



うん…悪夢だな



風「………」

水「はい!そのまま動かないで!」

歩兵「一体何を……」

水「お肌の手入れ」

歩兵「自分には必要ありませんが……」

水「必要よ!」

歩兵「………」

水「ねぇ貴方……オーガの事……」

歩兵「………」ピクッ……

水「……好きなんでしょ?」

歩兵「すすすすす好きとか!上官殿と自分はその様な関係を築いてはいけない間柄ですから!」

水「………」

歩兵「好きなどと言う感情は……」

水「……無いんだ?」

歩兵「………」

水「大丈夫よ!正直に言ってごらんなさい。これでも私、口固いんだから!」

風「………」

歩兵「もしそうだとしても……無いと言ってしまいます……」

水「なんで?」

歩兵「上官殿と自分では釣り合いません。それに……乗り越えなければならない壁が多過ぎます……」

水「ふぅん……」

歩兵「自分は人間で上官殿は魔物です……この隔たりは大き過ぎます……」

水「は?オーガは人間よ?」

歩兵「え?」

水「……知らなかったの?」

歩兵「はい……人間では有り得ない動きとかしていましたので……」

水「そう……でも!これで壁がひとつ崩れ去ったわよね!」

歩兵「……ですが、それでも……」

水「………」

歩兵「………」

水「それ以上言わないの。……私が貴方の事を応援してあげるから!」

歩兵「応援ですか……」

水「ほら!男は度胸、何でもやってみるもんさって言うでしょ?」

歩兵「はぁ……?」

水「顔はこれでいいとして……後、これあげるから!」

歩兵「このハンカチは何でしょう……」

水「そのハンカチにしてある刺繍あるでしょ?」

歩兵「はい……」

水「『ネメアのライオン』って魔物なんだけど……その魔物の刺繍した物とか持ってるとね!」

歩兵「………」

水「恋愛運爆上で速攻結婚まで託つけるって代物なのよぉ……」

歩兵「本当でしょうか……」

水「その証拠はこれ。……その『ネメアのライオン』の刺繍を施したハンカチを持ったらコレだもの!」

歩兵「……ッ!?」

水「ふふ……効果は絶大だと思うわよ……」

歩兵「そそそそそそんな大層な物を頂いても!?」

水「ええ、貴方の為になるんだもの……あ、げ、る!」

歩兵「……おお……おお……」

水「さあ……それ持って行ってきなさい……」

歩兵「………」

水「………」

水「あ……オーガの元へお行きなさい!」ビシッ!

風 (何故……言い直したのでしょう……)

歩兵「こんな弱い自分の為に……ありがとうございます……」

水「………」

歩兵「うぅ……」

水 (早く行けって……腕上げっぱなしで馬鹿みたいじゃない……)

歩兵「水様……このご恩は必ずやお返し致します!ではッ!」ダッ!

風「………」

水「はぁ……」

風「……良かったのですか?」

水「いい!いい!凄く宜しくってよ!」

風「………」

水「あは……あははは!これで決まらなくてもまだ手はあるしぃ!私も楽しみたいしぃ」ニタァ

風「………」

水「中々いい肌だったからねえ、化粧乗りは悪く無いわよアレ。雄のくせに……ふふ」

風「………」

水「仕込みがいがありそうよね……」

風「……此方の水様は変わってらっしゃいますね」

水「……此方?」

風「あ……いえ……」

水「貴女……」

風「………」

水「本当に風なの?」

風「………」

水「何か隠していてるなら相談に乗ってあげるから……炎に何されたの?」

風「………」

水「首輪やギャク付けられて奴隷の証のピアスを色々と!」

風「その様な事はされておりませんので……」

水「じゃなに?あっ、貞操帯付けられてるんでしょ!」

風「違います……」

水「……拡張器?」

風「そう言う方向性から離れてくださいませ……」

水「じゃあ何よ?いきなり中身が変わったみたくなったんだから何されたか気になるでしょうに!」

風「それは……」

水「………」

風「……今からお話する事は御内密にお願いします」

水「いいけど……そんな変な事されたの?」

風「いいえ……後、炎様にも御内密に……」

水「はあ?」

風「………」

水「貴女……本当に風じゃ無いの……?」

風「いいえ……私は風で御座います……」

水「………」

風「正真正銘……魔王四天王の一人、風で御座います……」

水「………」

風「………」

水「ならなんでそんな風になっちゃったのよ……入れ替わるかしない限り馬鹿ヤンスな性格がふわゆる系女子みたくならないでしょ?」

風「……それで御座いますね」

水「それ……?どれよ?」

風「入れ替わる事です……」

水「……あん????」

風「………」

水「ヤンスと貴女は入れ替わったって事?」

風「はい……」

水「じゃあ……貴女は誰……?」

風「風で御座います……」

水「????」

風「そこは今からお話しますので……」

水「………」

風「私は……ここと似たような世界にいた風で御座います……」

水「………」

風「………」

水「ごめん……私には理解出来そうも無いからエリゴス呼んでくるわ……」

風「そうで御座いますか……」



土「なるほどでゲス……」

魔王、側近、傭兵、エリゴス「………」

土「つまりお三人の魂はそれぞれ別の世界の魔王の魂でゲスか……」

傭兵「お前さ……」

土「なんでゲス?」

傭兵「話に入ってくんなよ……」

土「な……」

傭兵「そもそも何で来たんだよ……」

土「……こいつに頼まれた物をゲスな持って来ただけでゲス」

傭兵「じゃあもう用は終わったろ?行けよ……」

土「………」

傭兵「今オジサン達は大事な話してんだからよ……」

土「………」

傭兵「………」

土「うわあああん!筆頭殿が仲間外れにするでゲスぅ!」ガシッ

側近「………」

土「側近んん!筆頭殿がぁぁ!俺に酷い仕打ちをするでゲス!」

側近「傭兵さん……土様がいてもいいじゃないですか……」

土「そうでゲス!そうでゲス!」

傭兵「だが……。……ゲスよ、どうしても話を聞きたいか?」

土「はいでゲス!」

傭兵「じゃあ……ゲスって言うな。それならここにいて良いぜ」

土「………」

傭兵「どうする?」

土「筆頭殿は……俺のアイデンティティを否定するでゲスか……」

傭兵「ゲスにアイデンティティもくそもねえだろ……」

土「………」

傭兵「………」

土「筆頭殿……昔の筆頭殿はあんなにお優しかったのに一体どうしたでゲスか……」

傭兵「昔も何もてめえと会ってから数ヶ月だけじゃねえか……」

土「俺はその数ヶ月で筆頭殿を理解したつもりでいたでゲスがなぁ……」

傭兵「………」

土「筆頭殿、ちょっと宜しいでゲスか?」

傭兵「んだよ……」

土「この城は……随分と魔物人間が増えたでゲスな」

傭兵「それが?」

土「それに伴い……近々大浴場を作る計画になっているんでゲスがね……」

傭兵「………」

土「その大浴場を作るのは俺なんでゲスよ……多分一人で」

傭兵「………」

土「まあ……俺の手にかかればお茶の子さいさいなんでゲスが……」

傭兵「……何が言いたいんだ?」

土「ご婦人用の浴場も俺が作ると言いたいんでゲス……」

傭兵「………」

土「勿論……誰かの!希望に沿えるような仕掛けを施して作る事も可能でゲス……」

傭兵「なん……だと……?」

土「後は言わずもかな……でゲス」

傭兵「………」

土「………」

傭兵「例えばだ……そ、それは……覗き穴的な物を秘密裏に設置出来たりするのか……?」

土「……ご希望ならばでゲスな。ふふ……」

傭兵「例えばだ!……お湯がいきなりヌルヌルローション的な物に刷り代わり『あーんこれヌルヌルするぅ』とか隣から声が聞こえたりするのか……?」

土「………」

傭兵「例えばだッ!『わー側近ちゃん大きいね!』『そんな事無いですよぉ』とか隣から声が聞こえたりするのか!」

土「それは俺が何もしないでも聞こえると思うでゲス……」

傭兵「おお……おお……」

土「………」

傭兵「ゲスよ……やるじゃねえか……」

土「……筆頭殿の力を使えばもっと凄い事出来るんじゃないんでゲスか?」

傭兵「それは……出来る。うん、出来るがな……」

土「な?ゲス?」

傭兵「オジサンは紳士だからそんな事は絶対にしないッ!」

土「………」

傭兵「だが!いくら紳士でも事故的に覗き穴的な物から側近ちゃんのオッパイ的な物が見えてしまったらそれは仕方無いとオジサンは思う!」

土「………」

傭兵「な!」

土「……そう作っておけばいいんでゲスか」

傭兵「おう!頼むぜ!」

土「………」

魔王「傭兵……話進めるけど……」

傭兵「ああ!ゲスも一緒に聞くってよ!な!」

土「はいでゲス……」

魔王 (懲りずに良からぬ事考えてたんだな……)

傭兵「ぐははは!」



エリゴス「盾と三人の魂については、ゲスが説明した通りだな」

魔王、側近「………」

エリゴス「だからどうした……だが」

側近「え……それだけですか?」

エリゴス「それだけだ。他の世界で起こった出来事など言われても困るであろう?」

側近「そうですね……そんな世界の事なんて知りませんし……」

エリゴス「だからその辺りは気にせんでよい」

傭兵「エリゴスよ……あのオジサン達が見た側近ちゃんがいた世界ってよ……」

エリゴス「そう言う世界だったのだろ。気にする事では無いと思うが」

魔王、傭兵「………」

傭兵「たがな……」

エリゴス「だがなんだ?可哀想だからとその世界に介入でもするつもりか?」

傭兵「………」

エリゴス「やめておけ。もし介入し、魔王である側近を救ったとしても時空間の復元力が働き別の形でまた同じ事が起きる」

傭兵「………」

エリゴス「それに……この側近とは魂が同じだとしても殆ど別物であろう?貴様が守りたい側近では無いのだ」

傭兵「………」

エリゴス「だからやめておけ」

傭兵「わかったよ……」

エリゴス「それでだ……何故同じ世界に三人の魔王の魂が存在するのかだが……」

魔王「………」

エリゴス「おそらく全てコイツのせいだ」

傭兵「………」

魔王、側近、土「………」

傭兵「……?」キョロキョロ

エリゴス「貴様だ!貴様!」

傭兵「……オジサン?」

エリゴス「そうだ!」

傭兵「………」

魔王「君ね……」

土「筆頭殿……」

傭兵「そんな事言われてもオジサン知らねえし!……エリゴスよ、やっぱアレが原因か……?」

エリゴス「そうだな。それだけでは無いが」

魔王「傭兵の他に原因があるの?」

エリゴス「無い。その他の原因も傭兵のせいだ」

傭兵「………」

魔王、側近、土「………」

傭兵「そんな目で見るな……第一!そうだとしても別にどうって事ねえだろ!?」

魔王「確かに無いけどさ……」

傭兵「問題ねえならいいじゃねえか!」

エリゴス「問題はあるぞ?」

傭兵「あんのかよ……」

エリゴス「貴様が好き勝手した世界からこの世界に戻った時にだ、この世界で起こりうる事象の確率が狂ったのだよ」

傭兵「確率とかなんだよそれ……つまり?」

エリゴス「偶然が頻発すると言う事だ」

傭兵「………」

エリゴス「いい事も悪い事も含めてな」

傭兵「………」

エリゴス「偶然三人の魔王の魂がこの世界に存在した……だな」

魔王「そんな事有り得るの?」

エリゴス「貴様も心当たりがあるだろ。偶然……我を召喚した事とかな!」

魔王「………」

エリゴス「この事については後で詳しく聞くぞ」

魔王「出来たらその偶然で納得して欲しいね……」

エリゴス「で、……今はその偶然が色々と重なりあってこの世界が存在している状態だ」

側近「その状態が続くとこれから先どうなるんですか……?」

エリゴス「さあ?そこまでは我は知らん」

側近「………」

エリゴス「これもわかったからと言って対処出来る物では無いからな。あまり気にするで無い」

側近「………」

土「問題があるって言ってたでゲスがそれは?」

エリゴス「偶然……この城に向かって魔物やら人間やらが攻め始めた」

土「……そうなんでゲスか?」

側近「人間の人達はありましたけど……魔物が攻めて来た事ありましたっけ?」

魔王「ん……」

エリゴス「貴様らが朝、食したろ。それなどだな」

魔王「……バハムート?」

エリゴス「そうだ。それでなければバハムートがこの様な場所に現れるわけがない」

魔王「………」

エリゴス「我が知る限りでは今のところバハムートしか確認はしていないが……もしかしたら他にもいるのかもしれんな」

魔王「………」

側近「……魔王様」

魔王「………」

側近「もしかしてそう言う物は侍さん

魔王「それ以上言わないでいいよ……」

側近「………」

魔王「………」

土「何か問題を解決する方法は無いんでゲスか?」

エリゴス「無いな。偶然が起こる頻度を抑える事は出来るかもしれんがそれ以上は我の手に余る」

傭兵「抑えるってのはどうやるんだ?」

エリゴス「貴様がこの世界からいなくなればいい」

傭兵「………」

土「筆頭殿……ここはひとつでゲス……」

傭兵「何がひとつだよ!ふざけんな!」

エリゴス「ゲスよ、今の状態のままの方がいいかもしれんぞ」

土「どうしてでゲス?」

エリゴス「偶然起こる事を逆手に取ればこちら側にとって有益になる」

土「………」

エリゴス「だから放っておくのが得策だな」

土「はぁ……筆頭殿、良かったでゲスな。この世界から消える事にならなくてでゲス」

傭兵「………」

魔王 (うあああ……侍に何を食材にしてるか聞きたいけど!凄く怖いなぁぁぁ……)

側近「魔王様……この前ですね……侍さんが……」

魔王「言わないでいいから!」

側近「………」



炎「………」フラフラ……

衛兵「どうしたのだ友よ……」

炎「……緊急事態が発生した」

衛兵「緊急事態……?」

炎「私はどうすれば良いのだぁぁ……」

衛兵「しっかりしろ!一体何があったのだ!」

炎「……風の腹に私の子がいるのは知っているな?」

衛兵「知っているが……ああ、いずれ祝いの品を送る。友として遅れて祝い

炎「そうではない!」

衛兵「……なら?」

炎「その生まれてくる子がな……私や風に似つかぬ子だったらと……」

衛兵「………」

炎「風の前の姿に似た子だったらと!……ぐあああ」

衛兵「ふうむ……」

炎「ああああ……」

衛兵「それを含め……全てを愛すべきだと私は思うが」

炎「………」

衛兵「それが出来て夫婦や親子と名乗る資格が生まれる。だから生まれて来る子供も風殿と同じように愛せば……?」

炎「……ふ……ふふ……」

衛兵「友よ……なんだ……」

炎「簡単な事だったのだな……」

衛兵「……何が?」

炎「腹に子などいなかった……どうだ?」

衛兵「………」

炎「無かった事にすればいい……」

衛兵「………」

炎「ふふ……」

衛兵「友よ……それは本気で言っているのか?」

炎「本気だッ!あの様なみっともない姿の子など愛せるものか!」

衛兵「………」

炎「……風には諦めて貰おう」

衛兵「友よ……待て……」

炎「なんだ……」

衛兵「そんな事を今からするのなら私が全力で止めてやる……」

炎「………」

衛兵「貴様……自分の子だぞッ!それを……それを愛せぬから無かった事になどッ!」

炎「………」

衛兵「来い……目を覚まさせてやる……」

炎「………」

衛兵「今から行う事が間違いだと気付かせてやるぞッ!……友としてなッ!」チャキッ!

炎「………」

衛兵「ハアァァァァァッ!」バッ!

炎「………」ガッ……

衛兵「……あ」

炎「………」

衛兵「………」

炎「……退け」

衛兵「は、はい!」

タタタ……

衛兵「ま、不味いぞ!あんなの私では止められん!……そうだ!上官友よなら!」



人狼「………」

侍「ほう、芸達者な犬だな。よく仕込んだものだ」

士卒「そうでしょうそうでしょう!最初のうちはキャンキャン五月蝿かったけど最近だとちゃんと言う事聞いてくれるんですよ」

侍「ふむ。……しかし人の言葉などどうやって教えた?」

士卒「それは最初っから喋ってたけど?」

侍「………」

士卒「……あれ?お前さ、犬なのになんで喋れるの?」

人狼「……犬じゃ無いからって」

士卒「はあ?そう言う犬種じゃ無いの?」

人狼「違うって!アチシは狼だって!」

士卒「へぇ、狼って人と喋れるのか」

人狼「アホか!狼の魔物だから喋れるのって!」

士卒「ワン子は魔物……なのか?」

人狼「今更なにをって……」

士卒「………」

人狼「わかったら!恐怖し恐れおののけ人間よって!」

士卒「ん……」

人狼「……?」

士卒「別に恐く無いからな……お前」

人狼「な……」

士卒「こうすると……」バッ!

人狼「あ……いやって……」

士卒「大人しいもんだしな!ワシャワシャワシャ!」

人狼「や、やめてってぇ!」

士卒「ワシャワシャワシャ!」

人狼「んああぁ……あう……」

士卒「だから変な声出すなって……」

人狼「ワシャワシャしなきゃ……出さ……ん……無いってぇ……」

侍 (仲良き事は素晴らしきかな……なんてな!……ん?)

炎「………」ユラッ……

侍「おお、どうした?あの馬鹿者に散々言われ打ちひしがれていたか?」

炎「退け……」

侍「どうしたと言うのだ?その様な真剣な顔をして……」

炎「退けと言った……」

侍「………」

士卒「上官殿……こいつ何か様子が変だぞ……」

侍「うむ……」

衛兵「上官殿ぁぁそいつを止めてくれッ!」

侍「……何かあったのか?」

衛兵「そいつ自分の子を亡き者にしようとしているんだッ!」

侍「なにッ!?」

炎「………」

侍「馬鹿か!」

炎「なんとでも言え……もう決めた事だ……」

衛兵「上官殿!あんたしか止められないんだよ!頼む!」

侍「………」

炎「………」ザッ……

侍「……邪魔ならば斬るか。来い……己がどれだけ馬鹿げた事をしようとしているのかわからせてやる!」

炎「………」

侍「………」チャッ……

士卒「おおおおい……ワン子止めてこいよ!」

人狼「アホって!あんなの止められるわけ無いって!」

士卒「お前使えないなぁ……」

人狼「じゃあお前が止めてこいって!」

士卒「やだよ……刻まれるもん……」

炎「退けぇぇぇッ!」チャッギッ!

侍「退かんッ!おおおおおッ!」シュバッ!

ガギギギッン!ガズッ!

衛兵、士卒「凄え……」

人狼「関心してるなって!」

炎「………」

侍「………」

炎「……貴様には関係の無い事だろ」

侍「確かに関係は無い。だが……お前が望まないからと子を亡き者にしようとしているのなら止めるのが人間だッ!」

炎「………」

侍「……魔物でも同じであろう?そんな馬鹿げた事を止めろッ!」

炎「私の問題だ……邪魔するなッ!」バッ!

侍「考え直せッ!」ガッ!

ズガガガガッ!ガッ!

炎「………」

侍「……力付くでも止めるぞ?」

炎「やれるものならやってみろ……」

侍「………」グッ!

炎「………」

侍「ハアァァァ

歩兵「上官殿ッ!危ないッ!」ガバッ!

ズガンッ!

侍「な、何をするか!離せ!」

歩兵「離しません!上官殿が……わかったと言われるまで!」

侍「状況を見ろ!今はそれどころでは

ズガッンッ……

炎「………」

侍「あが……」バタッ……

歩兵「………」

炎「黙らせただけだ……命まで取っていない……」

歩兵「………」

炎「………」

歩兵「よ……よくも上官殿をぉぉぉぉッ!」

衛兵、士卒、人狼「………」

炎「……ふん」

タタタ……

歩兵「上官殿!上官……殿……ぐうう……」

士卒「完全にのびてるな……」

衛兵「貴様が余計な事しなければこうなって無かっただろうに……」

歩兵「何を仰いますか!自分が間に入らなければ……きっと上官殿は……」

人狼「気を失う事は無かったって……」

歩兵「………」

士卒「……上官殿起きたら謝っとけよ」

歩兵「自分のやった事は意味が無かったのでしょうか……」

士卒「完全に無いな……」

歩兵「そんな……」

衛兵「……アイツを追わねば!あ、後は……お子なら止められるか!」

士卒「オッサンもいるぞ?」

衛兵「あんなもの頼りになるか!」ダッ!

士卒「確かに頼りにはならないよな……」

歩兵「うぐぅぅ……上官殿……」

侍「」

士卒「なぁワン子……仮面野郎はマジで自分の子供をどうにかする気かな……」

人狼「やると言ったらやる方だからって……」

士卒「………」

人狼「………」



土「もうぅぅッ!相棒はどこ行ったでゲス!仕方無い奴でゲスね!」

傭兵「………」

土「筆頭殿もそう思うゲスろ?」

傭兵「向こう行っていいか……」

土「だあああ!筆頭殿もそんな事言うでゲスか!」

傭兵「………」

土「みんなおかしいでゲス!俺に色々やらせておいて一行に手伝だわないなんてゲス!」

傭兵「それはだな……」

土「ゲス?」

傭兵「お前が凄過ぎるんだよ……すぐに何でも作っちまう」

土「………」

傭兵「そんな奴を手伝おうと思ってもな……足手まといになるだろ?だからみんなお前に全て任せてるのよ」

土「………」

傭兵「ゲス、わかるか?みんなは心の中では凄え応援してるんだぜ?凄え感謝してるんだぜ?」

土「………」

傭兵「だから腐るなよ。な?」

土「……はいゲス。みんな……そうだったんでゲスね……うぅ……」

傭兵「泣くなよ……そんな顔見られたらみんなに笑われちまうぞ?」

土「いいゲスいいゲス……嬉し涙は見られてもぉぉうわああんゲスぅぅ!」

傭兵「………」

土「いつも……いつも……感謝のかの字も無いと思ってだでゲスがぁぁ……うぅ……」

傭兵 (よし……)

土「おおぉ……」

傭兵「……ゲスよ、頑張ってな」

土「はいゲスッ!さあああ!やるでゲスよ!」

傭兵「………」

土「うおおお!ゲスぅぅ!」

傭兵「あ、そうそう。オジサンの希望の細工……忘れずにな」

土「もちろんでゲスッ!この土!生涯最高傑作になるような覗き穴を作ってみせるでゲスぞ!」

傭兵「おう……頼むぜ……」

土「ガッテンでゲスッ!」

傭兵 (ぐははは!これは……良い物が出来そうだぜ……クククッ……)

炎「………」ユラッ……

傭兵「ん?」

炎「退け……」

傭兵「あ、ああ……悪りな道塞いじまって」

炎「………」

傭兵「なんだぁ?……誰か野郎を怒らせたのか?……ん、いいかほっときゃ」

衛兵「はあ!はあ!おい!オッサン!」

傭兵「どうした?」

衛兵「友……いや、炎の奴を見なかったか!?」

傭兵「それなら今ここ通ってたぞ」

衛兵「はああ?何故あいつを止めないんだ!使えん!」

傭兵「使……」

衛兵「頼りにならないにも程があるだろうがッ!ふざけるな!」

傭兵「………」

衛兵「やはりオッサンでは駄目だったな!予想通りだ!ったく!」ダッ!

傭兵「………」

土「……筆頭殿」

傭兵「オジサン……そんなに使えないか……」

土「そんな事は……無いと思うでゲス……」

傭兵「………」



兵士「………」

勇者「ああ……駄目だよエリゴスたん……むにゃむにゃ……」

兵士「……なんでこいつは通路のど真ん中で捨てられたように眠ってんだ?」

勇者「ああ!いけない!これ以上……これ以上されたら……」

兵士「………」

勇者「僕飛んでっちゃうよぉぉ……むにゃむにゃ」

兵士「なんだよ飛ぶって……」

勇者「……zzz」

兵士「………」

勇者「やっと来ましたね……おめでとう。このゲームを勝ち抜いたのは君達が初めてです……むにゃむにゃ」

兵士「……ゲーム?」

勇者「僕が作った壮大なゲームです……むにゃむにゃ」

兵士「どう言う事だよ……」

勇者「僕は平和な世界に飽々していました……むにゃむにゃ」

兵士「……?」

炎「………」ユラァ……

兵士「うお!……よ、よう。いきなりおっかない顔で後ろ立つなよ……」

炎「………」

兵士 (な、なんだよ……阿修羅みたいな……)

勇者「そこで阿修羅を呼び寄せたのです……むにゃむにゃ」

兵士「……ッ!?何考えてんだ!」

勇者「阿修羅は世界を乱し面白くしてくれました……だがそれもつかの間の事……彼にも退屈してきました……むにゃむにゃ」

兵士 (こ、こいつ!炎の野郎を使って……ッ!?)

勇者「……zzz」

兵士「そこでゲーム……か?」

勇者「そう!その通り!僕は悪魔を打ち倒すヒーローが欲しかったのです……むにゃむにゃ」

兵士「何もかも……あんたが描いた筋書きだったわけだ……」

勇者「中々理解が早い……多くの者がヒーローになれず消えていきました……むにゃむにゃ」

兵士 (なん……だと?もう既に誰か犠牲者が……?)

勇者「死すべき運命を背負ったちっぽけな存在が必死に生きていく姿は僕でさえも感動させるものがありました……むにゃむにゃ」

兵士「………」

勇者「僕はこの感動を与えてくれた君達にお礼がしたい!どんな望みでも叶えてあげましょう……むにゃむにゃ」

兵士 (誰がやられた……?衛兵か?多分衛兵だな……チクショウ……)

勇者「……zzz」

兵士「お前の為に……ここに来たんじゃねえッ!」

勇者「……zzz」

兵士「よくも俺達を……みんなをオモチャにしてくれたなぁッ!」

勇者「それがどうかしましたか?全ては僕が作った物なのです……むにゃむにゃ」

兵士「俺達は物じゃねえッ!!」

勇者「……勇者に喧嘩を売るとは……何処までも楽しい人達だ……むにゃむにゃ」

兵士「………」

勇者「これも……生き物の性か……むにゃむにゃ」

兵士「………」

勇者「宜しい。死ぬ前に勇者の力!特と目に焼き付けておけッ!……むにゃむにゃ」

兵士「いくぞおぉぉぉ……?」

炎「……退け」チキンッ!シュバッシュバッ!

兵士「………」

炎「………」

兵士「勇者が……バラバラになった……」

炎「………」

勇者「ふえっ!?なななななになに?」

兵士「……へ?」

勇者「なんで僕の腕と足があんな所にあるの!」

兵士「………」

勇者「また君がやったの!?今回は何も悪い事してないだろッ!?」

炎「化け物め……退け」

勇者「誰が化け物だよ!」プンプン!

兵士 (手足斬られて……なんで普通に喋ってられるんだ……って化け物はてめえだよ!)

勇者「理由も無くこんな事して!流石の僕もちょっと怒ったよ!」

炎「………」

勇者「ふあ!」ぐにょん!

兵士「………」

勇者「よし」

兵士「ぇぇぇぇ……」

勇者「なに?」

兵士「お、お前なんだよそれ!凄え気持ち悪いぞ!」

勇者「回復魔法!君だって回復魔法くらいかけて貰った事あるだろ?」

兵士「あるけど……回復魔法って手足生える程の物なのか……?」

勇者「楽勝で生えるよ?」

兵士「………」

勇者「……?」

兵士 (ねえだろ……俺も回復魔法して貰った事あるが……赤い液体傷口に塗られてはいおしまいだったぞ……)

炎「そこを退け……」

勇者「意地悪するから退かない!」

炎「………」スゥ……

スパッ!スパッ!

勇者「えいや!」ぐにょん!

炎「チッ……」

勇者「……無駄だよ。僕の弱点を突かない限り君は勝てない」

兵士 (カッコつけてるが凄え気持ち悪いぞ……)

炎「………」サッ!

シュパパパパッ!

勇者「ほいよいえいさ!」ぐにょぐにょん!

兵士「ウゲェェェ……」

勇者「吐かないでよ!汚いな!」

兵士「こんな光景見せられて……はぁ……普通の精神保ってられるか……」

炎「………」

勇者「………」

兵士 (まだあの腕……うぷっ……動いてるぞ……)

衛兵「はぁぁぁ!やっと追い付いた!……え?」

兵士「………」

衛兵「………」

兵士「……衝撃的だろ」

衛兵「………」エロエロエロッ

兵士「無言で吐くな……汚ねえな……」

衛兵「ななななんだこれは!この……ぐぅ……手足やらの残骸は……」

兵士「勇者のだ……」

衛兵「はああ?」

兵士「見てりゃわかる……」

衛兵「馬鹿な事を言ってないで誰がアイツの被害にあったか言え!」

兵士「………」

炎「………」ズザッ!

ズバンッ!

勇者「ほっほ!」ぐにょん!

衛兵「………」

兵士「……な?」

衛兵「………」エロエロエロッ

兵士「一々吐くなよ……」

衛兵「ウゲェ……き、貴様あれを見て平気なのか!」

兵士「……俺もう吐き尽くしたから」

衛兵「そうか……大声出してすまなかった……」

兵士「いや……いいよ……」

炎「ハァァァッ!!」ザッ!

勇者「無駄ぁ!」

兵士、衛兵「………」



勇者「ふふふ……」

炎 (埒があかん!おのれ……斬っても斬っても生え変わりおって……)

勇者「これが勇者ってもんさ!アハハハハ!」

兵士「……まったくの屑ってわけじゃ無かったんだな。キモいが」

衛兵「そのようだな……キモいが」

勇者「………」

炎「………」

兵士「勇者って実は凄えんだな……キモいが」

衛兵「ああ……私は勇者を嘗めていた……キモいが」

勇者「君達ね!僕をキモいキモい言わないでくれるかな!」

兵士、衛兵「………」

勇者「そう言う事をエリゴスたんの側で言わないでよ!」

炎「……ッ!?」

兵士「それやんなきゃな……」

衛兵「そんなの見せられたら誰だってそう思うぞ……」

勇者「いや……逆に見せた方が……」

兵士「は?」

勇者「『勇者様はなんて勇ましいお方でしょう……』なんて事になるかも……」

兵士「ならねえよ……」

衛兵「アホも極まるとこうなるのだな……」

炎「………」ザッ……

勇者「な、なに!まだやるの?諦めなよ!こんなこ

炎「私はかつて……エリゴス様の配下だった事は知っているな?」

勇者「まあ……それはね」

炎「……そうか」

勇者「……?」

炎「ある戦が終わり……拠点へと帰還した時の事だ」

勇者「いきなりなに……」

炎「その時のエリゴス様は随分と動き回られてな、帰還した時には汗!をかなりかかれていた……」

勇者「………」

炎「で……鎧の下には今とは違う薄手の衣を纏っていたわけだが……」

勇者「……薄手の衣の色は?」

炎「白……汚れなき純白の衣だったな」

勇者「………」

炎「私以外の配下を払い……エリゴス様は鎧をお脱ぎになられ……」

勇者「………」ゴクッ……

炎「……おっと。私は忙しいのだった」

勇者「はあああ?最後まで話してよ!」

炎「聞きたいのか?」

勇者「もちろんだよ!」

炎「しかしな……私は忙しい身だ。もう行かなくてはならぬのだがな……」

勇者「………」

炎「そうだ!ならこうすればいい」

勇者「どうするの……」

炎「貴様がそこを通し、私は速攻で用件を片付けてくる。その後に……どうだ?」

勇者「……どれくらいかかるの?」

炎「すぐだ。……そこを通して貰えるな?」

勇者「オッケー!どうぞどうぞ!」

炎「うむ……」ダッ!

勇者「絶対後で聞かせてねぇ!絶対だよぉ!」

兵士「………」

衛兵「……はッ!?しまった!」

兵士「なんだよ?」

衛兵「馬鹿勇者がッ!何故アイツを止めておかない!」

勇者「な、なに?」

衛兵「あああ!もう!」

兵士「とうしたんだよ……何かあるのか?」

衛兵「アイツは自分の子を殺しに向かってるんだ!」

兵士「………」

衛兵「それを止めなければならないのに……くそっ!」ダッ!

勇者、兵士「………」

兵士「衛兵の野郎……なんでそれを最初に言わねえんだよ……」

勇者「………」

兵士「それにしても……炎はどうするつもりなんだ……」

勇者「あのイジメッコちゃんと約束守ってくれるよね!?」

兵士「知るか……」



魔王、側近「………」

水「でね!あの雄は化粧したら化けるわよぉ!」

側近「あの……どっかへ行って貰えますか……」

水「なに!私を邪魔者扱いするの!」

側近「実際邪魔なんです!」

水「………」

側近「もうぅ……魔王様と二人っきりになるチャンスを皆さんが尽く潰してくれてぇぇ……」

水「ああ……それは悪かったわね……」

魔王「それはいいじゃない側近……」

側近「よくありません!傭兵さんがいなくなったかと思ったら次はこれですよ!」

水「これとか言わないでちょうだい……」

魔王「水、君は雄?の話をするのにここへ来たの?」

水「……え?え……えっと……」

魔王「………」

水「多分そうね!」

魔王「あのね……そう言う話は僕がいない時にしてくれないかな……」

水「興味無い?」

魔王「あるわけないだろ!」

側近「あったら私が困りますよ!」

水「つまんない……オーガと人間の雄の恋なんて凄くグッとくると思うんだけど……」

魔王「……これっぽっちもこないよ」

水「勇者とエリゴスの話よりましでしょう……エリゴス?」

魔王、側近「……?」

水「……そうそう!エリゴスに用があったんだわ!」

側近「じゃあエリゴスさんの所へ行かれては……」

水「そうね……エリゴスを探して風と別れて探してたけどここにはいないし……」

魔王「風もエリゴスさんに用があったの?」

水「そうなの!あの子ね中身が入れ替わったんだって!」

魔王、側近「……は?」

水「何か別の世界の風と風が風して風と風が風になったんだって」

魔王「全然なに言ってるかわからないよ?」

水「炎に体から徐々に支配されて心まで持ってかれてああなったのかと思ったけど違ったのねぇ……」

側近「染々言う事じゃ無いですよ……」

魔王「別の世界って言ってたけど……それは誰が言ってたの……」

水「風だけど?自分でそうだって」

魔王「………」

水「そんな事言われても私だとへぇで終わっちゃうからエリゴスにかい摘まんで教えて貰おうと思ったのよ」

魔王「風が別の世界の風と入れ替わったか……」

側近「信じらませんけど……今はそう言う事って信じちゃいますよね……」

魔王「そうだね……ちょっと前の僕なら馬鹿な事言ってないでで終わってると思うよ……」

側近「私もです……」

水「なになに?何かあったの?」

魔王「ん……まあね……」

水「教えなさいよぉ!面白い事?」

魔王「面白くは無いよ……僕と側近と勇者は……同じ魂を

水「ああ……パス」

魔王「へ?」

水「私、魂とかそう言う関連の事興味無いから」

魔王「………」

水「聞いても意味わかんないしぃつまんないしぃ」

魔王「君ね……腐っても元魔王四天王だろ……」

水「だからなに?」

魔王「そう言うのに関わるなら魔術とか少しは詳しくないといけないんじゃないの……」

水「風と炎が詳しいから私やんなくてもよかったし!」

魔王「………」

バターンッ!

側近「侍さん、静かに入ってきてくださいと……あれ?」

衛兵「はぁ!はぁ……アイツはッ!?」

側近「アイツとはどなたです?」

衛兵「炎だ!」

側近「ここには来ていませんけど……」

衛兵「なにぃッ!?」

側近「………」

衛兵「私とした事が……」

魔王「何かあったの?」

衛兵「炎が自分の子を抹殺して無かった事にしようとしているんだ!」

魔王、側近、水「………」

衛兵「アイツは……自分の子が自分か風殿と似ているかわからないと言う理由だけでそんな事しようとしているんだ!」

魔王、側近「まさか……」

水「炎ならやりそうよね……」

衛兵「………」

魔王「流石に何かの間違えなんじゃないかな……」

水「いいえ、だって風の前の姿に似た子が生まれたらって理由よそれ」

魔王「ああ……」

水「もし私がそんな立場だったら同じ事するかも……」

魔王「僕もするかもしれないね……」

側近「私も……」

衛兵 (前の風殿は……酷い嫌われっぷりだな……)

水「まあ……風はエリゴスと居ると思うし何かあったらエリゴスが止めてくれるわよ」

衛兵「しかし……」

水「大丈夫!魔神よ魔神!」

衛兵「既に魔王四天王の三人がやられていてもか……?」

水「……は?」

衛兵「………」

魔王、側近、水「………」



エリゴス「用とは?」

風「あの……そのですね……」

エリゴス「………」

風 (何故、水様は来られないんでしょうか……水様に説明しなければいけませんのに……)

エリゴス「早く言え」

風「えっと……」

エリゴス「……貴様は最近、ヤンスとは言わなくなったな。恥ずかしい語尾に気付き使わなくなったか?」

風「………」

エリゴス「……?」

風「私は……その風と違う風なので御座います……」

エリゴス「違う?何が違うと言うのだ?」

風「本来いた世界が違う風なんです……」

エリゴス「………」

風「………」

エリゴス「それは中身がその違う世界の風とこの世界の風が入れ替わったと言う事か?」

風「はい……」

エリゴス「……信じがたいが今の状況では信じるしかないな」

風「……」

エリゴス「おそらくそれも偶然なのだろう……」

風「偶然……確かに偶然で御座いますね……」

エリゴス「で、どの様にして入れ替わった?」

風「炎様が使われた秘術で……」

エリゴス「火の奴が関係しているのか」

風「はい……炎様は前風様の性格を矯正する秘術を施そうとしていたようです……」

エリゴス「何の為にその様な事を……」

風「前風様の性格はお気に召さなかったようでして……」

エリゴス「ふむ……」

風「炎様はその秘術をお使いになられたのですが……それが偶然にも魂の繋がりがある者の入れ替りをする秘術だったのです……」

エリゴス「………」

風「こちらの風様と私ですね……」

エリゴス「なるほど。火の施した秘術は間違っていたのか」

風「はい……」

エリゴス「なんとも……間抜けな話であるな」

風「………」

エリゴス「それで貴様は我に元に戻せとここに来たのか?」

風「それが……違いまして……」

エリゴス「違うのか?なら何故貴様はここに来た?」

風「このお話を水様に説明しようとした所……理解出来ないと仰りまして……」

エリゴス「………」

風「エリゴス様から簡単に説明をして貰えないかと……」

エリゴス「そんなもの放っておけ……どうせ己の女子力を磨く事しか興味が無いのだ」

風「はぁ……それで宜しいのでしょうか……」

エリゴス「構わん。話したところで一文の得にはならんだろうしな」

風「………」

エリゴス「まだ犬に話した方がましと言うものだ」

風「あの……」

エリゴス「まだ何かあるか?」

風「今、話しました事は……どうか炎様には御内密にお願い致します……」

エリゴス「何故だ?……もしや今述べた事を火に言っていないのか?」

風「………」

エリゴス「何か事情があるようだな」

風「……炎様はご自分が使われた秘術が成功したと思っております」

エリゴス「………」

風「それを否定しては……炎様が傷付いてしまいます……」

エリゴス「………」

風「そんな事になれば私は不用と……申されるかもしれません。炎様に嫌われたら私は……」

エリゴス「ふむ……」

風「………」

エリゴス「わかった。この事は我の内に留めておこう」

風「ありがとうございます……」

エリゴス「例はいい。しかし……貴様は随分と下から物を言うのだな」

風「生まれてからこのかた、こう生きて参りましたので……何か不都合でもおありでしょうか?」

エリゴス「いや、以前の風と正反対と思ってな」

風「はぁ……」

コンコン……

エリゴス「誰だ?」

……「エリゴス様……炎でございます……」

エリゴス「入れ」

カチャ……

炎「………」

エリゴス「何かあったか?」

炎「風に用がありまして……」

風「私にで御座いますか?」

炎「そうだ。私に付いて来い」

風「………」

炎「来い!」グイッ

風「あっ……」

エリゴス「……我が口出しするべきでは無いがな火よ、理由ぐらいは延べその様な態度を取るべきではないか?」

炎「………」

エリゴス「………」

炎「これは二人の問題で御座いますので……」

エリゴス「………」

風「エリゴス様いいんですよ……きっと私が炎様のお気に障る様な事をしたのでしょうから……」

エリゴス「しかしな……」

風「………」

エリゴス「………」

炎「エリゴス様、失礼致しますよ……」

風「……それでは」

バタンッ……

エリゴス「ふむ……」

エリゴス「……やはり止めた方が良かったか。火の奴……なにやら尋常では無い様子だったが……」

エリゴス「………」

エリゴス「まあよい。何とかなるであろう」

バターンッ!

衛兵「お子ぉッ!無事かッ!?」

エリゴス「なんだ!騒々しい!」

衛兵「……あら?」

エリゴス「……?」

側近「えええエリゴスさん!……あれ?」

魔王「エリゴスさーん……」ソゥ……

エリゴス「………」

衛兵「お子!炎の奴は来なかったか!?」

エリゴス「貴様達と入れ違いに風と出て行ったが?」

衛兵「な……遅かったか……」ガクッ……

魔王、側近「………」

エリゴス「何事だ?火の奴が何かやらかしたのか?」

衛兵「……風の腹にいる子を抹殺する気なんだ」

エリゴス「なんだと……」

衛兵「………」

エリゴス「追え!まだそう遠くに行っていない筈だ!」

衛兵「あ、ああ……」ダッ……

側近「私も追います……」ダッ……

魔王「僕もお

エリゴス「貴様は残れ」

魔王「……何でかな」

エリゴス「言わねばわからぬか?」

魔王「で、でもね!」

エリゴス「でもも無い!火の事は側近達に任せておけば良かろう」

魔王「………」

エリゴス「……では話せ」

魔王「あ……何を?」

エリゴス「我をこの世界に召喚したのは偶然だった事についてだ」

魔王「………」

エリゴス「………」



炎「………」

風「……ご用とは何で御座いましょう?」

炎「私も本当ならばこんな事はしたく無いのだが……」

風「………」

炎「風よ、今腹にいる子を諦めて貰えるか……」

風「はッ!?な、何故で御座いましょう!?」

炎「………」

風「私に何か至らない物がありましたでしょうか?私に何か……何か……」

炎「………」

風「それとも……私の事をもう愛せ無いからとその様な事を仰るのですか……」

炎「違う……」

風「なら訳をお話くださいませッ!」

炎「………」

風「………」

炎「貴様がその様に食い下がるとは思わなかったぞ……」

風「当たり前で御座います……炎様との結晶を諦めろと言われるのですから……」

炎「………」

風「こればかりは炎様に従うわけには参りません……」

炎「そうか……」

風「………」

炎「もし……貴様の以前の姿に似た子がどうする?」

風「………」

炎「私はそんな子なら愛せん……」

風「………」

炎「貴様との子だとしてもな……」

風「………」

炎「だから私が体得した秘術で!腹にいる子を無かった事にしようと思う……」

風「………は?」

炎「……なんだ?」

風「いえ……」

炎「………」

風 (炎様……まだご自分のお力が偶然だったと気付いていないみたいですね……)

炎「これが一番いい方法なんだ……貴様を傷付つけず事を済ませられる……」

風「………」

水「あれぇ?魔王達来てないの?」

炎「邪魔だ。向こうへ行っていろ」

水「はいそうですかで行くわけ無いでしょ。あんた馬鹿な事するつもりみたいだし!」

炎「……水に話したのか?」

風「炎様が私を見付けになられるまでの間……騒ぎを起こされましたのでそれで知られたかと……」

炎「………」

水「そんな事止めなさいよ……何にもいい事なんて無いわよ?」

炎「うるさい……もう決めた事だ」

風「水様……」コソコソ

水「あんたも嫌なら嫌!って言ってやりなさいよ!」

風「ご心配なさらずとも大丈夫で御座いますので……」コソコソ

水「なんで」

風「ここは私にお任せして頂けますか?……直ぐに終わります」

水「あんたがそう言うんなら私はこれ以上口出ししないけど……」

風「申し訳ありません……」

水「………」

炎「やるぞ風……」

風「はい……」

水「………」



エリゴス「………」

魔王「偶然……としか言いようが無いんだよね……ははは……」

エリゴス「………」

魔王「………」

エリゴス「偶然喚んだならば何故そう始めに言わんのだ?」

魔王「……言えない空気だったからねぇ」

エリゴス「………」

魔王「ほら……ふざけた命令なら代償払えって言ってたよね?だから……」

エリゴス「………」

魔王「偶然喚んどいて帰れなんて言えなかったんだよ……」

エリゴス「それはそうか。もしそんな事を言ったのなら今、貴様はこの場にいなかっただろうからな」

魔王「………」

エリゴス「良かったな。我に帰れなど言わなくて……フフ……」

魔王「………」

エリゴス「で……貴様はまだ我に帰れと思っているのか?」

魔王「もうそんな事は言えないかな。魔王四天王だし……仲間だもんね」

エリゴス「………」

魔王「僕も含めて皆エリゴスさんにいて貰いたいって思ってるよ」

エリゴス「……そうか」

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「僕も話す事あるんだけど……いいかな?」

エリゴス「なんだ?」

魔王「……なんで世界統一するなんて事になってるの?」

エリゴス「………」

魔王「この事はエリゴスさんから話しが出たんだよね?」

エリゴス「………」

魔王「この辺も詳し

エリゴス「それは貴様が成し遂げればいい事だッ!」

魔王「でも

エリゴス「ええい!口答えをするな!黙ってやれ!」

魔王「無

エリゴス「なんだったら我の兵器を駆使すれば簡単な事だ!な!」

魔王「………」

エリゴス「………」

魔王「やら

エリゴス「おお!そうかそうか!やってくれるか!」

魔王「いや

エリゴス「何々ッ!?先ずは逆らう人間の駆逐か!わかった!」

魔王「……それはやめてね」

エリゴス「やらんのか……」

魔王 (くっ……強引に話を遮るのズルいよ!)



水「あんた本当に大丈夫なの……?」

風「はい、大丈夫で御座いますよ」

炎「すまんな風……」

風「いいえ、炎様がお望みなら……」

炎「………」

風 (お腹の子はこっそりと産んでしまえば……ふふ……)

衛兵「炎ぉぉッ!」

炎「……なんだ友よ。騒々しいぞ」

衛兵「貴様!まだ風殿には手を出して無いだろうな!?」

炎「今しがた終わったところだ……」

衛兵「くっ……間に合わなかったか……」

側近「はあはあ……」

衛兵「クソッ!」

側近「え?間に合わなかったんですか?」

衛兵「そうだ……」

側近「そんな……」

炎「さて風よ……私は行くぞ。こちらの用は終わったのでな」

風「はい……」

衛兵「待てッ!貴様……」

炎「………」

衛兵「風殿にした事に対して何とも思わな

タタタ……

衛兵「待てと言っているッ!」

風「大丈夫で御座いますので……炎様を行かせてあげてください……」

衛兵「だがしかし!」

風「本当に大丈夫ですので……」

衛兵「………」

水「何が大丈夫なの……炎に何かされたんでしょ?」

風「いいえ……あれは炎様が何かをしたと勘違いされてるだけでして……」

水「……は?」

衛兵「……自分では何かしたと思っていたが実際には何も起きていなかったのか?」

風「はい……」

側近「お腹のお子さんは無事なんですか……?」

風「そうですね……」

水、衛兵、側近「………」

風「………」

衛兵「そうか……なら良かった……」

水「……これからどうすんの?」

風「何がでしょうか?」

水「産まれるまで炎に黙ってるつもり?」

風「はい、そのつもりですよ。産みさえしてしまえば炎様でも手を出してこないと思いますので」

水「………」

風「この世に生まれてから……ずっと想いを寄せていた方の子ですから……」

水「………」

風「私の命に代えてもこの子は産むつもりです……」

衛兵「……クソがッ!こんなに想ってくれるのにその子供をどうにかしようなんて!」

側近「最低です……炎様……」

水「……ちょっといいかしら?」

風「はい?何で御座いましょう?」

水「炎が好きなのよね?」

風「はい、愛していますが?」

水「……生まれた時から?」

風「はい、生まれた時からで御座います」

水「………」

風「……?」

水「貴女……前の世界の時もその姿だったの……?」

風「いいえ……」

水「………」

風「筋肉ムキムキの……ごつい姿で御座いました……」

水「……中身はそれで?」

風「はい……」

側近「どう言う事です……?」

水「この子……中身が違う世界の風みたいなのよ」

衛兵、側近「……はあ?」

水「ねえ、そうでしょ?」

風「御内密にと申されたではありませんか……」

水「あ、そうだっけ?ごめんごめん」

風「………」

側近「……じ、じゃあ!ヤンス様はどうしたんです?」

風「私と入れ替わって……私の世界にいますね……」

側近「………」

水「……いいんじゃない?別に」

側近「何故です……?」

水「私はこの子の方がいいし!ヤンスも元の姿に戻れたみたいだし!この風の姿で中身がこれなら問題無いし!」

側近「………」

水「それに……ふふ……」

側近「……それに?」

水「良い事聴いちゃったしぃ!うふふ!」

側近「………」

水「私の趣味的にも!炎を懲らしめる事も出来るしね!」

側近「水様の趣味はいいとして……炎様を懲らしめるって何です?」

水「耳元で呟いてやるのよ。風は生まれた時から炎が好きだったって……ふふふふふ……」

側近「なるほど……」

衛兵「……趣味ってなんだ?」

風「お知りにならない方が良いみたいです……」

衛兵「そうか……」

水「あの馬鹿、また頭抱えて唸るわよ!」

側近「………」

水「いい気見よ!ねえ!風!」

風「………」

水「アハハハ!」

衛兵、側近、風 (凄い悪党面……)



勇者「………」イライラ……ウロウロ……

傭兵「おい……これなんだよ……」

士卒「………」ゲロゲロ……

人狼「汚いって!」

傭兵「勇者!この人の……腕とか脚とかなんなんだよ!何があったッ!?」

勇者「仮面のイジメッコにバッサバッサ斬られただけだよ。後、それは僕の手足」イライラ……

傭兵「……そんなわけあるかよ!」

勇者「あるよ!」

傭兵「どうやってだよ!」

勇者「回復魔法でチチンプイプイって!……試してみる?」

傭兵「誰が試すか……本当にお前の手足なのか……?」

勇者「そうだって!」

傭兵「………」

勇者「あああ!イジメッコ遅いな!」イライラ……

士卒「……この手足はこのままにしておくのか?」

勇者「持っていってもいいよ」

士卒「いらんわ……ワン子、食べていいみたいだぞ?」

人狼「いるかって……」

士卒「なんだよ……折角なんだからカジっとけよ」

人狼「………」

勇者「ぐぬぬ!」イライラ……

傭兵「……何イライラしてんだ?」

勇者「イジメッコがね!エリゴスたんに纏わるエッチな話をしてくれるって言うから待ってるんだけど来ないの!」

傭兵「あのよ……イジメッコって炎の野郎だよな……?」

勇者「そうだね!」

傭兵「エリゴスのエロ話と……このドログチャな状況がどう結びつくんだ……?」

勇者「なんかイジメッコがここを通りたかったみたいだけど、それを僕が行かせなかったんだよね」

傭兵「………」

勇者「で、イジメッコがエリゴスたんの濃厚なエロ体験談を話してくれるって言うから通してあけたの」

傭兵「………」

士卒「オッサン……」

傭兵「こいつ……意外と強いのか……?」

士卒「こっちがそれ聞きたいんだけど……」

傭兵、士卒「………」

勇者「あああ!まだかなー!まだかなー!」

傭兵「なあ……」

勇者「なに!まだ何かあるの!」

傭兵「お前……炎の野郎と戦ってどうだったんだ……?」

勇者「ん……僕の勝ち?結局、僕がいいよって言わなかったら通れなかったから」

傭兵「マジかよ……」

人狼「……ペドフィリ勇者恐るべしって」

士卒「だな……腐りきっても勇者か……」

勇者「酷い事言うね……」

炎「………」

勇者「来たぁ!ねえ!さっきの話の続きしてよ!」

炎「あ?……ああ……鎧を脱ぎ着替えた。おしまい」

勇者「………」

炎「……行くぞ」

勇者「待ってよ!」

炎「なんだ……今は一人にして欲しいのだが……」

勇者「そんな簡単にエリゴスたんの濃厚なエロ体験談が終わるわけ無いだろ!もっとこうさ!あるだろ!」

炎「無い」

勇者「………」

炎「………」

タタタ……

傭兵、士卒、人狼「………」

勇者「酷いよ……あんまりだよ……」

傭兵「元気出せよ……」

士卒「励ますなよオッサン……」

勇者「おおおお……オッチャンンンンン僕悔しいよぉぉぉぉ!」

傭兵「………」

勇者「うおおおおん!」

傭兵「ふむ……仕方ねえな……」

勇者「うおおおおん?」

傭兵「オジサンにちょっと任せとけ。いいもん作ってやるからよ」

勇者「……何するの?」

士卒「オッサンまさか……」

傭兵「なあに、エリゴスだってこれぐらいなら許してくれるぜ。な!」

士卒「………」

傭兵「よし!趣味じゃねえし上手く出来るかわかんねえけど……」

士卒「最低だぞ……オッサン……」

勇者、人狼「……?」

傭兵「………」ブツブツ……



歩兵「うう……上官殿……」

侍「」

歩兵「自分は……自分は良かれと思って……」

侍「」

歩兵「………」

侍「」

歩兵「上官殿……上官……」

侍「」

歩兵 (い、いけない!上官殿は今気を失われて……でも……今なら……)

侍「」

歩兵「………」ゴクッ……

侍「」

歩兵「……少しだけなら」

侍「うぅ……」

歩兵「ッ!?」

侍「」

歩兵「……何を考えているんだ!そんな事をしたら……もし上官殿がお起きになられたら……」

侍「」

歩兵「………」

侍「」

歩兵「上官殿……」

侍 (ぐあぁ……拙者……)

歩兵「………」

侍 (そうだ……炎に打たれ……)

歩兵「失礼します!」ガバッ

侍 (……?)

歩兵「………」ブチュゥッ!

侍「ッ!?」

歩兵「………」

侍「………」

歩兵「……はぁ……やってしまった……」

侍「………」

炎「………」

歩兵「……はッ!?」

炎「………」

歩兵「こ、これは違いまして上官殿が息をしているのかと確認の為に確認を行って確認が必要だったと!」

炎「………」

歩兵「………」

炎「今のは見なかった事にしてやる……」

歩兵「……本当に

炎「自分が放った打撃の加減がわからぬ程、私は未熟では無い」

歩兵「………」

炎「……ではな」

タタタ……

歩兵「………」

歩兵「うぅ感謝します!こんな事が知れてしまったら上官殿のお側に居られなくなってしまいます……」

歩兵「自分は……なんて事を……」

侍 (……う……うあああ……)

侍 (拙者……拙者……)

侍 (男と接吻をおおおおぉぉぉぉぉ!)

侍 (ウワアアアアアッ!?ウワアアアアアッ!?)



魔王「エリゴスさん酷いと思うだろ!人の話を遮るんだよ!」

土「……あのでゲスな」

魔王「なに!」

土「邪魔でゲス……」

魔王「………」

土「何で浴場作ってる現場まで来て愚痴るのかわからないでゲスが……本当邪魔でゲス……」

魔王「しょうがないじゃない……」

土「何ででゲスか……」

魔王「この城で愚痴聴いてくれそうなの君ぐらいしかいないんだから……」

土「側近がいるじゃないでゲスか……あと、筆頭殿とかキューティクルオーガとか勇者なんかもゲス」

魔王「傭兵は側近の事へと話を反らすし、侍は意味を履き違えるし、勇者は論外だし!」

土「………」

魔王「側近は……愚痴聴いてくれるけどエリゴスさんの味方しそうなんだよね……」

土「ゴロゴロとして……日頃の行いが悪からそうなるんでゲス……」

魔王「………」

土「それは俺らの事も含めてゲスよ。まあ今となっては文句も無いでゲスがね」

魔王「……ごめんね」

土「………」

魔王「本当はもっとしっかりしないといけなかったんだけどね……」

土「いいでゲス。……今を見たら魔王の考えが正しいと思えるでゲス」

魔王「………」

土「それでなければ筆頭殿達や俺らもここにはいないでゲスからな」

魔王「………」

土「………」

魔王 (どうしよう……それは僕が考えた事じゃ無いよ!なんて言えない雰囲気だね……)

土「それにしても驚いたでゲスよ。人間魔物の共存なんて本気でやろうとしてるなんてでゲス……」

魔王「う、うん……」

土「凄いでゲスな……炎や俺なんかではそれに辿り着けないでゲス……」

魔王「………」

土「流石魔王……でゲスか」

魔王「………」

土「……で、エリゴス様に何を話して遮られたでゲス?」

魔王「それは……もういいや……」

土「いいんでゲスか?」

魔王「うん……」

土「そうゲスか」

魔王「………」

炎「……土よ、今いいか?」

土「ん?別に構わないゲスが炎、どうしたでゲス?」

炎「少しな……」

土「……?魔王、もういいでか?」

魔王「う、うん……炎……」

炎「………」

魔王「……僕は怒るべきかい?」

炎「………」

土「何かあったんでゲスか?」

魔王「炎の口から聴きなよ。……炎、君が無言で返すなら僕は何も言わないからね」

炎「………」

魔王「………」

土「……?」



炎「ここならいいな……」

土「一体何があったんでゲスか……」

炎「………」

土「………」

炎「……私は……己の子に手をかけてしまった……」

土「………」

炎「今、風の腹にいる子にだ……」

土「なんでそんな事をでゲス……」

炎「以前の風に似た我が子を愛す自信が無いから……か」

土「まだ産まれても無いのに何をやってるんでゲス……」

炎「我ながら馬鹿だったと思っている……」

土「………」

炎「本当に……以前の風と似ているのかわからないのに……」

土「………」

炎「……愚かしい事を……ぐうぅっ……」

土「泣く程後悔するなら最初からやらなければ良かったのにでゲス……」

炎「これ程!……これ程後悔するなど思わなかったのだ!」

土「………」

炎「許してくれ……我が子よぉぉうぅ……」

土「炎……亡き子だけでなく風にも許しを乞わなければでゲスな」

炎「勿論……私の我が儘で傷付けてしまっただろう……」

土「………」

炎「……風は私を許してくれるだろうか」

土「さぁゲス……」

炎「いや……こんな私を許せる筈が無いな……」

土「ならどうするんでゲス?」

炎「………」

土「俺は親になった事が無いからわからないでゲスが、恐らく一生かかっても償いきれないと思うでゲスよ……」

炎「………」

土「………」

炎「私は……私は……どうすればいいと思う……?」

土「それは自分で考えろでゲス。……償う事も……これからの事も含めてでゲスな」

炎「………」

土「………」

炎「土ぃぃぐぅぅ……」

土「………」



傭兵「……いいか?」

勇者「オッケー……」

傭兵「………」

【我は……あぁ……その様な汚い所……んん!……舐め……】

傭兵「……こんな感じだが?」

勇者「オッチャンさ……」

傭兵「なんだよ……」

勇者「わかって無いなぁ……違うだろ!」

傭兵「………」

勇者「エリゴスたんってね!もっとこう……高貴な感じなんだよ!」

傭兵「………」

勇者「そんな簡単に舐めさせてくれるわけ無いだろ!」

傭兵「そ、そっか……」

勇者「そんなんじゃエリゴスたんのイメージが崩れるだろ!やり直して!」

傭兵「おう……」

勇者「まったく……」

傭兵 (てめえの趣味なんかわかるかよ……それにしてもエリゴスのイメージなんてなぁ……)パパパ……

勇者「………」

傭兵「……いくぞ」

勇者「よし!来い!」

【ふん!卑しい分際で我の靴を舐めたいと?】

勇者「………」

【……良かろう。ただし……陋劣な姿を我の前で晒し我が許せば舐めて良いぞ】

勇者「………」

傭兵「……どうだ?オジサン頑張ったろ?」

勇者「イマイチだなぁ……」

傭兵「ぇぇぇ……マジかよぉ……」

勇者「まだ優しさがあるよね……なに許してとか。エリゴスたんがそんな事言うわけ無いだろ!」

傭兵「お前はエリゴスを何だと思っていやがるんだ……」

勇者「無慈悲な魔神少女で残酷冷酷非情で!」

傭兵「……!……ょ、ょぅ」

エリゴス「………」

勇者「人を理由もなく殴っても軽く微笑んで終わっちゃうような子なんだよ!」

傭兵「……もういいだろ」

勇者「まだ言いたいね!オッチャンはもっとそこら辺勉強した方がいいよ!」

傭兵「や、やめろって!」

勇者「ああん!オッチャンが僕の為にエリゴスたんのエッチな声合成してくれ……」

エリゴス「………」

勇者、傭兵「………」



エリゴス「ああんああんイクイクいっちゃう」

勇者、傭兵「………」

エリゴス「もうメチャクチャにして」

勇者、傭兵「………」

エリゴス「太くて裂けちゃうあああ」

勇者、傭兵「ごめんなさい……」

エリゴス「……満足か?」

勇者「いいえ……」

エリゴス「ふむ、なら水の教本89ページ辺りを次は読んでみるか」

勇者「もうやめてください……」

エリゴス「貴様が望んだ事だろ。何故やめねばならぬ?」

勇者「うわああ……僕そんなつもりじゃ無かったんだよぉぉぉ!」

エリゴス「ならばどんなつもりだったと言うのだ?我のこの様な言葉を聴きたかったのだろ?」

勇者「違うんだよ……違うんだよ……」

傭兵「……エリゴス」

エリゴス「なんだ?」

傭兵「何故……オジサン達が宴を行ってるのを知った……?」

エリゴス「士卒から情報提供があったのでな」

傭兵「あの野郎……タレコミやがって……」

エリゴス「まあ、我としては丁度良かった。うむ」

傭兵「……丁度いいってなんだよ?」

エリゴス「こいつが我と医療遊びをしたいと言ってな」

傭兵「お前……最低だな……」

勇者「一番言われたく無い人に言われたくないね!」

傭兵「んで?」

エリゴス「本来なら我の次にこいつが医師をやるのだが……それもやらなくて良いとな」

勇者「がぁッ!?良くない!全然良くないよ!僕まだエリゴスたんを診察して無いし!」

エリゴス「我がエッチな言葉を発してやったのだ。それでいいだろう?」

勇者「えええええ!」

傭兵「………」

勇者「今の無し

エリゴス「には出来んな」

勇者「じゃあ!もう一回

エリゴス「我は医療遊びなどせぬ」

勇者「………」

エリゴス「まだ何かあるか?」

勇者「……ぁぁぁぁ」ガクッ……

エリゴス「そうそう、貴様はこれを水に返しておけ」

傭兵「めんどく

エリゴス「……貴様は拒否出来る立場だと思うのか?」

傭兵「いや……」

エリゴス「ならば返しておけ。それとな、水がその本を読んでみろと言っていたぞ?」

傭兵「……なんでだ?」

エリゴス「知らぬ。もう用は無いな?」

傭兵「………」

エリゴス「我は行くぞ」

傭兵「……こ、殺されるかと思ったぜ。な、勇者……?」

勇者「シクシク……」

傭兵「泣いてんじゃねえよ……」

勇者「うがあああ……エリゴスたんの身体に聴診器ツンツンするの楽しみだったのにぃぃ……」

傭兵「………」

勇者「ツンツンツンツンしたかったよぉぉぉぉ……」

傭兵「………」ペラッ

勇者「ツンツンツンツンツンツンツーンツン……」

傭兵「ツンツンうるせえよ……ほあっ!」

勇者「ツンツン?」

傭兵「………」ガタガタ……

勇者「……どうしたの?」

傭兵「この本……」

勇者「へ?」ペラッ

傭兵「………」

勇者「……気持ち悪よね。男同士の事情って」

傭兵「そうじゃねえ……それの登場人物を見ろ……」

勇者「………」

傭兵「………」

勇者「なんで……僕とオッチャンなの……」

傭兵「………」

勇者「なら……エリゴスたんが朗読してたのって……」

傭兵「それ以上言うな……」

勇者「………」

傭兵「………」

勇者「寄らないでッ!」

傭兵「誰がてめえなんかに寄るかッ!ふざけんなッ!」

勇者「オッチャンが……オッチャンが僕の事を……」

傭兵「マジでふざけんなよ……これ書いたの水だ!」

勇者「………」

傭兵「この城で一番の悪はアイツだな……」

勇者「………」



水「ひー!ギャハハハハ!」

エリゴス、側近、士卒「………」

水「今頃今頃ぉどんな顔してるかしらねぇえ!?あーお腹痛い……くくっ……」

士卒「俺のやった事は正しかったよな……」

エリゴス「当然だ。貴様には今日から正義を名乗る事を許す」

士卒「いや……そんなのいらない……」

水「くうー!本の中身見た時の表情見たかったわあ!ぶふふ!」

側近「笑いすぎですよ……」

水「だってぇ!だってね!」

側近「………」

ガチャ……

侍「……ぁぁ」フラフラ……

側近「さ、侍さん!どうしたんですか!?」

侍「拙者……ぁぁ……」

側近「………」

水「……歩兵って子と何かあったのかしら?」ボソッ

侍「………」

水「ねえ……上官殿?」

侍「………」

側近「水様が思ってる事なんか起こってませんよ……そうですよね侍さん」

侍「………」

側近「……え?……起こったんですか?」

侍「………」

士卒「歩兵の奴、上官殿に何かしたのか……勇気あるな……」

侍「………」

側近「一体何があったんですか……」

侍「うおおお……」

側近「………」

侍「歩兵に接吻され……うがあああ……」

水「まあ!やるじゃない!」

側近「うわ……それは……」

水「貴女先越されたわよ」

側近「……言わないでください。私だって色々頑張っているんですから……」

水「歩兵って子と同じ手を使ったら?」

側近「………」

水「……まあ、無理にとは言わないけど」

側近「侍さん、どんな感じでキスされたんですか!」

侍、士卒「………」

士卒「……ふーん」

侍「なんだ……?」

士卒「歩兵の奴やるじゃんと思って。クソ真面目なのにそんな事したのかぁ……」

侍「………」

士卒「何となくお似合いだな」

侍「お似合いとか……絶対に言うな!」

士卒「なんでよ?」

側近「侍さん!早く!」

侍「……言わねばならぬのでしょか?」

側近「駄目です!魔王様攻略の糸口としてですね教えて欲しいんです!」

侍「………」

士卒「側近魔王もそう言ってんだから教えてやったら?別に減るもんでも無しに」

侍「お前は……こんな話を聞いて何とも思わんのか……」

士卒「羨ましいとしか思わないけど」

侍、側近「………」

水「あら……貴方真性?」

士卒「真性って?」

水「ガチで雄に押すオスって事」

士卒「そんな趣味は無い……」

側近「でも……羨ましいって……」

士卒「そりゃ女の方からブチュウってされたら羨ましいだろ」

侍、側近、水「……は?」

士卒「へ?」

侍「歩兵は……女子なのか……?」

士卒「そうだよ?……え、まさか男だと思ってたの?」

侍「………」

水「ふ……ふ……」

側近「……?」

水「ふざけんじゃないわよッ!」

士卒「なななななんだ!」

水「だあああ!何よそれ!つまんない!」

士卒「俺に言われても……」

水「雄のくせに肌が異様に綺麗だと思ったら……雌だったなんて!」

士卒「………」

水「チッ……なんなのよ……本当つまんない……」

側近「さ、侍さん!良かったじゃないですか!」

侍「良くは無いで御座ります……」

側近「そうですけど……」

侍「………」

士卒 (アイツ……マジで男だと思われてたのか……)

侍「……おい」

士卒「なに?」

侍「歩兵は……何故、女子の身でありながらこんな所にいるのだ……」

士卒「上官殿……ちょっと落ち着けよ……俺らだっているんだからおかしくないだろ……」

侍「……落ち着いていられるか!拙者……拙者……ああああ……」

士卒「上官殿さ……演習の時に

侍「言うなッ!知らなかったのだから……拙者男だとばかり……」

士卒「………」

側近「侍さん……その方に何かしてたんですか……?」

士卒「気合いが足りん!って言ってバシバシ尻叩いたりとか……」

侍「………」

士卒「スモウだ!とか言ってがっぷりよつに組んで思いっきり投げ飛ばしたり……」

侍「………」

士卒「その他色々もろもろ……」

側近「そんな……女の子にもろもろだなんて……」

士卒「上官殿わかっててセクハラ紛いの事してるのかと思ってたよ……」

侍「………」

側近「侍さん……知らなかったとはいえ最低ですよ……」

侍「……拙者責任を取らねばなりませぬ」

側近「責任?」

侍「一人の女子を傷物にしてしまったのですから……」

側近、士卒「………」

侍「側近殿……これを」スチャ

側近「この刃物をどうするんです……?」

侍「拙者、腹を斬る故……介錯願いまする……」

側近「だ、だだ駄目ですよ!そんなの!」

侍「ですが……」

士卒「もっと他にさ責任の取り方あるだろ……」

側近「そ、そうですよ!それに私に介錯なんて無理です!」

侍「………」

側近「水様も何か言ってくださいよ……」

水「いい……つまんないし……」

側近「………」

エリゴス「ふむ、責任か」

士卒「何かある?」

エリゴス「その女を生涯賭けて養うしかないであろうな」

士卒「やっぱり?」

侍「………」

士卒「じゃあ上官殿それで。これでアイツも喜ぶし上官殿も責任を取れるよな!」

侍「か、勝手に話を進めるな……」



兵士「………」ワシワシ

人狼「はふぅ……」

兵士「………」ワシ

人狼「ほら!手を休めるなって!」

兵士「何でこんな事しなきゃなんねえんだよ……」ワシワシ

人狼「お前、アチシの毛触りたいんだろって?」

兵士「別に触りたくはねえよ……」

人狼「じゃあいつも撫でるなって!」

兵士「それは犬がいるから条件反射って言うかさ……」

人狼「………」

兵士「仕方ねえな……」ワシワシ

衛兵「………」

兵士「お?衛兵、代わってくれよ」

衛兵「……何をだ?」

兵士「こいつがさワシワシしろって」

衛兵「い、いいのか……?」ゴクッ

兵士「いいよな?」

人狼「別に誰でもいいって。早く撫でろって!」

兵士「だと」

衛兵「………」

兵士、人狼「……?」

衛兵「ででででは!失礼します……」

兵士「何でそんな緊張してんだよ……」

衛兵「………」ワシワシ

人狼「………」

衛兵「………」ワシワシ

人狼「………」

衛兵 (はああ!愛しの人狼さんのおけ毛をぉぉ!ヤバイヤバイヤバイ!)

人狼「………」

衛兵 (何か妙に興奮してきたぞ……んふんふ……)

人狼「……あのって」

衛兵「ど、どうでしょう!?気持ちいい……ですか?」

人狼「全然って」

衛兵「………」

人狼「お前またやれって」

兵士「えええ……めんどくせえ。衛兵でいいじゃねえかよ」

人狼「こいつがワシワシやっても気持ち良く無いからって」

兵士「俺がやっても同じだろ……何がどう違うんだよ……」

人狼「さあ?それはいいからさっさと撫でろって!」

兵士「はいはい……」

衛兵「私では……気持ち良く無い……」

兵士「………」ワシワシ

人狼「はふぅ……」

士卒「おっ?何やってんだ?」

兵士「見ればわかるだろ……ワン子が撫でろって言うから撫でてやってんだよ」ワシワシ

士卒「へえ」

兵士「………」ワシワシ

士卒「……お前ワシワシするの下手くそだな」

兵士「こんなん誰がやっても同じだろうが……」

士卒「しょうがねえな。見ててみ俺のワシワシ」

人狼「い、いや!お前はやんなくていいって!」

士卒「そう言うなって。そーれ!ワシャワシャワシャ!」

人狼「あっ……くぅぅん……」

士卒「こうやるんだぜ」ワシャワシャ

人狼「だ、駄目っ……それ以上……やら……な……」

士卒「なんだ?やめていいのか?」ワシャワシャ

人狼「……そ……それはんんっ!」

兵士、衛兵「………」

士卒「それは?ちゃんと言わないと止めちゃうぞぉ?」ワシャワシャ

人狼「んふっ……つ、続けて……ってぁぁぁぁ!」

士卒「ワン子の奴変な声出すけどこうやってやるんだぜ」

兵士「お、おう……」

士卒「なぁ!」

人狼「はぁはぁ……ん……ぁぅ……」

兵士「………」

衛兵「ぁぁぁ……」

兵士「士卒の野郎……完全にワン子飼い慣らしてるな……」

衛兵「そんなに……そんなに……そいつのワシワシがいいんですか人狼さん……」

兵士「………」

衛兵「私のワシワシでは感じる事など出来ないと……」

兵士「お前何言ってんの……?」

衛兵「うぅ……そんな事……」

兵士「お前まさか……」

衛兵「………」

兵士「無いだろ……ワン子だぞ?」

衛兵「魔王元四天王を孕ませた貴様に口出しする資格は無い!」

兵士「そ、そうだけどよ……あれ獣だぞ?」

衛兵「それが何だ。私は人狼さんをぉぉ!」

兵士「………」

士卒「ほれほれほれ!」ワシャワシャ

人狼「駄目駄目駄目っ……もう来ちゃ……ぁぁぁぁ!」

衛兵「ぐああ……私は止めねばならんのにぃ止められん……」

兵士「………」

士卒「まだまだまだぁ!」ワシャワシャ

兵士「士卒よ……もうやめてやれよ……」

士卒「えぇだってな

兵士「ワン子……失神してるぞ……」

士卒「はあ?」

人狼「」ビクッ……ビクッ!

士卒「しょうがない奴だな……」

兵士「………」

士卒「あ、やべ……ワン子ワシャワシャしてて忘れてた……」

兵士「何をだ?」

士卒「これ……」

兵士「んん?」

侍「………」チンマリ

兵士「……何で上官殿はこんなに萎縮してんだ?萎縮し過ぎて全然気付かなかったぞ……」

士卒「色々とな……それで歩兵探してるんだけどお前知らない?」

兵士「見てねえけど。……って色々を教えろよ」

士卒「上官殿な、歩兵にキースーされたんだと!」

兵士「へえ!アイツそんな事したのか!デカルチャだな!」

士卒「……で、上官殿は歩兵を男だと思っててだな」

兵士「マジで……?」

士卒「うん……」

兵士「女でも容赦無く扱うのかと思ってたが違ったのか……」

士卒「違ったんだ……歩兵の奴に色々やってたもんな」

侍「………」

兵士「本当……マジで色々してたからな……」

侍「………」

士卒、兵士「………」

侍「うあああ……」

兵士「……歩兵は上官殿に気があるんだろ?だからあんな事してても大丈夫だって」

侍「………」

士卒「そうそう……度胸だめしにドラゴンの口の中に入れられたとしても大丈夫だって!」

侍「………」

兵士「裸でぶつかって来いって言って上官殿が全裸で稽古つけた事だって大丈夫だって!」

侍「………」

士卒「この城より高くぶん投げてキャッチした事だって大丈夫だって!」

侍「………」

兵士「スライムのヌルヌルで

侍「もう言うなッ!」

士卒「でもな?」

兵士「だってな?」

侍「うがああッ!男だと扱ってた事がこんな事になるとは……」

士卒「じゃあ上官殿、歩兵探して責任とりましょう」

侍「………」

兵士「これで歩兵の奴が女だったからなんて言い訳したら……傷付くんだろうなぁ……」

侍「………」

士卒「絶対そうだな!そうに違いない!」

侍「………」

兵士「……上官殿、ここは男らしくビシッと行きましょうや」

侍「やはりそうしないと不味いので御座ろうか……」

士卒「不味いな!これでもかってくらい辱しめを受けて責任取らないなんて事は無いでしょう!」

兵士「不味いに決まってる!……まあ、歩兵は上官殿に気があるから責任さえ取れば全て水に流すだろうけど」

侍「………」

士卒「………」

兵士「………」

士卒 (やべえ!上官殿からかうとこんなに楽しいのか!)

兵士 (上官殿って弄られるとおもろいな!くくくっ)

士卒「ささ!上官殿!」

侍「………」

兵士「俺も探すの手伝うわ。衛兵、ワン子頼んだぞ」

衛兵「あ、ああ……」



魔王「………」

炎、歩兵「はぁ……」

炎「私はなんて愚かな事を……」

歩兵「自分はなんて愚かな事を……」

炎、歩兵「はぁ……」

魔王「あのね……ここは懺悔をする所じゃ無いんだよ……」

炎、歩兵「………」

魔王「君達……もっと他の場所に行ってみたら?土の所なんかいいんじゃないかな!」

炎「傷心した私達を追い出そうと言うのか……」

歩兵「上官殿が敬愛する御方がこの様な態度をお取りになんなんて……」

魔王「炎は自業自得だろ!あと!……えーと……君は歩兵だったよね?君は何でここにいるの……」

歩兵「………」

魔王「……?」

歩兵「自分は……上官殿に対し顔向け出来ない事をしてしまいました……」

魔王「侍に?」

歩兵「そうです……それでこの方に誘われ改悟しようと……」

魔王 (侍に何したんだろ……そんな酷い事したのかな……)

炎「何をしたか話してみてはどうだ?」

歩兵「出来ません!……それが統べる王であっても……」

炎「統べる魔王だからこそ!何か良い知恵を授けてくれるかもしれないぞ」

歩兵「………」

魔王「そんないい知恵なんか僕じゃ出ないと思うけど……何したの……」

歩兵「………」

炎「やはり言えぬか?私が

歩兵「大丈夫です……自分が言います……」

魔王「………」

歩兵「自分は……上官殿が気を失ってる時に……」

魔王「うん……」

歩兵「……口付けをしてしまいました」

魔王「………」

歩兵「………」

魔王「それは……水に相談した方がいいんじゃないかな……」

歩兵「あの方はお優しいのですが……何か悪意を隠しておられる様な感じですので相談するのはちょっと……」

魔王「……なるほど」

歩兵「かと言って人間の方達は当てには出来ません……」

魔王「……じゃあ土がいいよ。うん、ぴったりだね!」

炎、歩兵「………」

魔王「お、押し付けようとしてるわけじゃ無いよ?土なら……」

歩兵「なるほど……この城は何かおかしいと思っていましたがこれでわかりました……」

炎「………」

魔王「え……何かおかしい?」

炎「上に立つ者がな……」

歩兵「はい……」

魔王「………」

歩兵「下の者の小さな悩みさえ……貴方は聞き入れる事もしない……」

魔王「………」

歩兵「自分さえ良ければ後はどうなっても構わないと思っているのでしょうか?」

魔王「そんな事無いよ……」

歩兵「……なら自分が抱えている小さな悩みを解決していただけますか?」

魔王「僕には……無理かな……」

歩兵「ああああ!やはり魔王は自分さえ良ければとお思いになられているのですかぁぁ!」

魔王「いや……」

歩兵「……上官殿と二人きりになれる時間を増やしていただけますか?」

魔王「………」

歩兵「ああああ!やはり魔王はぁぁ!」

魔王「君ね……」

歩兵「……上官殿と夜の秘密訓練を出来る様にしていただけますか?」

魔王「なんで段々要求が大きくなるの……」

歩兵「今、自分の小さな悩みを解決していただけ無いなら……もっと大きな要求をする事になりますが」

魔王「なりますがじゃなくてさ……」

歩兵「………」

魔王 (この子凄い苦手だなぁ……そうだ!勇者に押し付けよう!そうしよう!)

歩兵「……どうです?」

魔王「わかったよ……」

歩兵「………」

魔王「じゃあこれから……強力な協力者の所へ行こうか……」

歩兵「強力な協力者とは?

魔王「付いて来たらわかるよ……」

歩兵「………」

炎 (誰だ?強力な協力者とは……。側近か……筆頭殿か……)

歩兵「………」

炎 (面倒だからと全て魔王に託せば良いと思ったが……何やら不穏な気配が……)

魔王 (仕方無い……仕方無い事なんだ……)

炎 (まあいい。任せておけば……)

魔王 (これで本当に侍とどにかなっちゃったら……どうしよう……)

魔王 (侍……ごめんね……)



傭兵「……ん」

水「……ん」パシッ……

傭兵「返したからな……その本」

水「………」

傭兵 (なんだぁ?人の顔見るなり大爆笑すると思ったが……何でこんなへこんでんだ?)

水「………」

傭兵「……何かあったのか?兵士の野郎と喧嘩でもしたか?」

水「あんたに言ってもわかんないわよ……」

傭兵「そっか……」

水「………」

傭兵「………」

水 (つまらない……つまらない……何で男と男じゃ無いのよ!)

傭兵「……い、行くな」

水「………」パシッ!

傭兵「……放せよ。まだ何かあるのか?」

水「………」ニヤァ……

傭兵「………」

水「ねぇ中ぅ年んん?」

傭兵「なんだよ……」

水「女を男に出来る?」

傭兵「はぁぁ?」

水「……出来る?」

傭兵「やってやれねえ事はねえだろうが……」

水「そう……ふふふ……」

傭兵「………」

水「私ぃお願いがあるんだどぉ!」

傭兵「……お断りだ」

水「まだ用件言って無いでしょ!」

傭兵「ろくでもねえ事って顔に書いてあるぜ……」

水「………」ゴシゴシッ

傭兵「いや本当に書いてあるわけじゃなくてな……」

水「ある女を男にして欲しいだけなんだけど!」

傭兵「ある女?……お前?」

水「違うわよ!ほら人間の……何て言ったかな……」

傭兵「………」

水「ほ……ほ……」

傭兵「歩兵か?」

水「そうそう!それ!」

傭兵「あいつ野郎じゃねえか……何言ってやがる……」

水「それがね……あの子女なのよ……」

傭兵「はあ?」

水「士卒が女だって言ってたんだもん!」

傭兵「もんとか言うな……歳を考え

水「………」ググッ

傭兵「じ、冗談だぜ!ってか歩兵が女ってな……それもあいつらの冗談なんじゃないのか?」

水「……え?」

傭兵「お前……野郎同士のとか好きだろ?だから……」

水「………」

傭兵「本当は野郎だが女だって事にしておいといたとかよそんなんじゃねえのか」

水「なるほど……あり得るわね……」

傭兵「………」

水「あのボケ……よくも私を騙してくれたわね……」

傭兵「お前さ……そもそも歩兵が野郎か女かなんて気にしてんだよ……」

水「なるでしょ。歩兵はオーガにほの字なんだから」

傭兵「……お前そう言う脳内設定良くないよ?」

水「脳内設定じゃ無いわよ!本当の事だし!」

傭兵「ねえだろ……」

水「それにキスされたんだって」

傭兵「侍がか……?」

水「そうよ」

傭兵「………」

兵士「上官殿!早く」

侍「………」ズゥリ……ズリ……

士卒「そんな足取り重そうに歩かないでくれよ!」

傭兵「お前ら……もしかして歩兵探してんのか?」

兵士、士卒「そうそう!」

侍「………」

士卒「いやぁ上官殿がさ!拙者責任を取らねばなりませぬ!とか言うから手伝ってやってんの」

傭兵「……責任って事はマジで歩兵の奴女なのか?」

士卒「オッサンも男だと思ってたのかよ……」

傭兵「………」

水「……やっぱり女なのね」

兵士「それで何か不都合でもあるのか?」

水「つまんないの!」

兵士「そっか?……ちょっと耳貸せ」

水「なによ……」

兵士「男か女か何て所は越えて面白そうな事になってるのわからねえ?」

水「……?」

兵士「いいか?上官殿がどう責任取るかとか!歩兵の奴はどう動くのかとか!凄え気になるだろ?」

水「……確かになるけど」

兵士「クソ真面目同士どう決着着けるか楽しみなんだよ……俺らはな」

水「それで普通にくっついちゃったらつまらないじゃない……」

兵士「そう上手くいかないって!見てみろよ上官殿を!」

水「………」

侍「………」ズリ……ズリ……

兵士「な?……責任取らなきゃなって言ったらこれだぜ?」

水「……なるほど。確かに楽しそうね……」

兵士「だろ?……くくっ、上官殿は歩兵の奴にメチャクチャしてたからな。歩兵が何言っても飲まなきゃ筋ってもんが通らないだろ」

水「………」

兵士「それを上官殿はどういなすか」

水「ふふ……オーガ助けてあげなさいよ……」

兵士「お、おい……?」

水「面白いじゃない……面白い……ふはははは!」

兵士 (うわ……凄え悪い事考えてそうだぜ……)



勇者「………」

魔王「これが強力な協力者だよ!」

歩兵「………」

魔王「彼に任せておけば万事解決間違いなし!ね!」

勇者「……どう言う事?」

魔王「ねッ!」

勇者「どう言う事なのかな……」

魔王「……助けてよ。僕、この子の扱いに困ってるんだよ……」

勇者「………」

魔王「侍との仲を取り持ってくれだなんて言われてね……男同士なのにだよ……」

勇者「………」

魔王「だからさ……君、あの彼と近い物持ってるから

勇者「全然近くない……近くないだろ!」

魔王「……近くないの?」

勇者「ホモとロリコンなんて対極に位置してるじゃん!」

魔王「そうなの……でもねぇ君の方が年近いし相談相手に

勇者「ならないよ!」

魔王「………」

勇者「魔王さ……もしかして僕にこの子押し付けようと

魔王「してない……」

勇者「………」

魔王「………」

歩兵「魔王様……宜しいでしょうか……」

魔王「なに……」

歩兵「……この方に御相談なさるなら自分は結構ですので」

魔王「えええ!どうして!」

歩兵「………」

勇者「ほら!この子もそう言ってるんだしね!」

歩兵「自分の敵に塩を送って貰うような事はされたくありませんから」

魔王「え……」

勇者「ち、違うし!」

魔王「………」

勇者「違うよ?本当に違うからね魔王……」

魔王「………」ズサ……

勇者「何で後退りするのかな……」

魔王「う、うん……そっか。そうだよね……」

勇者「僕はエリゴスたんしか眼中にないし!」

歩兵「ふん……どうでしょうね。どうせカモフラージュの為に幼児に取り巻いてるだけじゃないですか」

魔王「それ本当なの……?」

歩兵「ええ、本当ですよ」

勇者「無いよ!そんなのウソっぱちだし!」

歩兵「上官殿は言っていました。エリゴス様の御世話をする時によく貴方に会うと」

勇者「それはエリゴスたん

歩兵「エリゴス様に近付く目的が上官殿なら納得です」

魔王「なるほど……」

勇者「信じないでよ!」

魔王、歩兵「………」

勇者「あるわけないだろそんな事!」

歩兵「その必死さが余計に怪しいのです!」

魔王「確かに……」

勇者「………」

歩兵「……行きましょう魔王様」

魔王「うん……」



侍「………」

歩兵「………」

兵士、士卒、水「………」ワクワク!

魔王「………」

侍「……すまなかった」

歩兵「何がでしょう?……自分の方こそ謝るべき事なのですが」

水「ほら!あんた達!向こう行くわよ!」

士卒「えー……近くで見たい

水「お馬鹿さんね……私達がいたら話せる話も話せないでしょうに」

士卒「そ、そうだな!うん上官殿頑張ってな!」

侍「………」

兵士「そう言う事じゃここにはいられねえな!ヘッポコ兄ちゃん行くぜ!」

魔王「う、うん……」

侍「………」ガシィッ!

魔王「袖を掴んで……何かな……?」

侍「大殿……傍らにいて貰えませぬか……」

魔王「……ごめん無理」

侍「拙者一人ではこの重圧……耐える事が出来ませぬ……」

魔王「………」

侍「どうか後生善処致す故……何卒……」

魔王「わかったよ……」

侍「おお!か、感謝致しまするぅぅ……」

魔王「………」

兵士「……どうすんだ?」コソコソ

水「魔王ならいてもいなくても大して変わらないからそのままで!」コソコソ

士卒「酷い事言うな……」

魔王「………」

侍「何と申せばよいか……」

歩兵「何を申すつもりなのでしょうか……」

侍「拙者は……お前の事を知らず様々な事をしてしまった……」

歩兵「自分も……上官殿に顔向け出来ない事を……うぅ……」

侍「それは……許す。言わずともよい……」

魔王 (えええ……許すの……?男と男だよ侍……)

歩兵「ですが……」

侍「魔が指したのだろ?」

歩兵「……いいえ、自分は隙あらば上官殿に……」

魔王 (えええ……狙ってたの?男と男だよ……)

侍「………」

歩兵「これは多分……憧れから始まり自分の中でその想いが……」

侍「それ以上は言わなくていい……」

歩兵「何故です!自分は本気で!」

魔王 (えええ……本気なの……男と男だよ……)

侍「お前の気持ちはわかった。だが……その想いに拙者は応える事は出来ん」

歩兵「………」

侍「すまん……」

歩兵「理由を教えてください……それでなければ自分は納得出来ません……」

魔王 (男と男だもん……理由はそれだろ……)

侍「……大殿の大義の事はお前も承知しているな」

歩兵「はい……」

侍「それを成すまで……大殿の威風堂々とした姿を見るまでは拙者、一意専心の如く努めたいのだ」

歩兵「………」

侍「わかるな?」

歩兵「はい……」

侍「………」

歩兵「……では、事を成した後では?」

侍「もしその先で拙者が生きていれば……お前の想い受け止めよう」

歩兵「………」

魔王 (ええええええ……)

歩兵「………」

侍「それでいいな?」

歩兵「………」

侍「……?」

歩兵「……うぅぐぅえっぐぅっ」

侍「な、泣くな!」

歩兵「申し訳ありません!うぅ……」

侍「………」

歩兵「上官殿……自分は……自分は……」

侍「………」

歩兵「上官殿が輝く先を見届けるまで……決して泣きません……」

侍「そうか……」

歩兵「……いつか来るその日までお待ちしております」

侍「うむ……」

歩兵「………」

魔王「あ、あのね……」

侍「何で御座いましょう?」

魔王「うん……その……君は……」

侍「……?」

魔王「………」

侍「ああ……大殿、こやつ女子で御座いますぞ」

魔王「……は」

歩兵「え……?」

侍「………」

歩兵「どう言う事でしょう……?」

魔王「な……何でもないよ!ね!侍!」

侍「……そうで御座いますな!」

歩兵「………」

魔王「侍……ありがとう……」コソコソ

侍「いえ……拙者も男子とばかり思っておりましたので……」コソコソ

魔王「なるほど……」コソコソ

歩兵「何をコソコソとなされているのです」

魔王「いや……良かったねと思って!」

歩兵「良くはありません!」

魔王「え……なんで?」

歩兵「魔王様……貴方は天下を統一する事に対しやる気があるのですか?」

魔王「………」

侍「馬鹿者!大殿はお優しき故、傷付ける者を最小限に納めようとなされているのだぞ!」

魔王「………」

歩兵「上官殿、御言葉ですが自分には……上官殿が仰られていた魔王様の覇気と言う物がどうしても感じられないのです……」

魔王「………」

侍「それはお前が未熟だからだ。見ろ!大殿のこのお姿!」

魔王「………」

侍「立派で御座いますぞ……大殿!」

魔王「う、うん……」

歩兵「………」ジー……

魔王「あまりジーっと見ないでくれるかな……」

歩兵「……魔王様、自分の様な下の者に御慈悲を授けていただけませんか?」

魔王「御慈悲……?」

歩兵「どの様な方略で天下を統一なさるおつもりでしょうか?」

侍「失礼だぞ!それは全て大殿の頭の中で描かれている!」

歩兵「ですから……少しお教え願えれば良いのです。全てを教えろとは申しませんので……」

魔王「………」

侍「し、失礼だぞぉ……大殿?拙者も少しお教え願いたいですぞ?」

魔王「………」

歩兵「如何でしょう?……上官殿もお知りになりたいと申されていますし!」

侍「………」ワクワクッ!

魔王 (ま、不味いなぁ……侍まで聴きたい風な感じだし……)

歩兵「………」

魔王 (何て言おう……)

歩兵「こう懇願しても言えませんか……自分達はただの捨てゴマに過ぎず知る必要は無いと」

侍「捨て駒……」

魔王「そんな事言ってないだろ!……わかった、教えてあげるよ」

侍「おおお!ついに大殿の前に輝きし大道の道筋の断片が明かされますか!」

魔王「……付いてきて」

侍、歩兵「……?」



魔王「さあ着いたよ……」

侍、歩兵「………」

傭兵「……なんだ?」

魔王「改めて紹介しようね。魔王四天王兼世界統一作戦参謀の傭兵君だ」

傭兵「………」

魔王「流石に僕の口からは言えない。だから彼に聞いてね……」

歩兵「なるほど……あくまでも己を高みに置いておく為ですか……」

侍「傭兵殿!水臭いですぞ!一言声をかけて頂けたら拙者も力になり申したのに!」

魔王「………」

傭兵「てめえ……またかこの野郎!」コソコソ

魔王「ご、こめんよ!」コソコソ

傭兵「世界統一とかお前が考えてる事だろ!自分で何とかしろよ!」

魔王「しょうがないじゃないか!あれ……エリゴスさんが勝手に言った事なんだから!」

傭兵「………」

魔王「何……?」

傭兵「マジでエリゴスが勝手に言ってるだけか?」

魔王「そうだけど……」

傭兵「………」

魔王「………」

傭兵「お前はそんな事をこれっぽっちも考えてねえのか?」

魔王「そうなればいいなぁとは思うけど……」

傭兵「ならそのいいなぁで何とかしろよ」

魔王「………」

傭兵「お前が人間も魔物も関係無い……そんな世界を造るって言ってるから皆付いて来てんだぜ?」

魔王「………」

傭兵「どんな絵空事だっていい……それを言え!そうすりゃ叶わねえ事は無いんだ」

魔王「………」

傭兵「お前が一言……言えば皆全力で動くんだからな」

魔王「動かないんじゃないかな……」

傭兵「そう思うか?試しに言ってみろよ。……何だっていいさ」

魔王「………」

傭兵「………」

魔王「なら……」

傭兵「………」

魔王「僕の代わりにどう言うプランで事を進めるのか侍達に説明して」

傭兵「ふざけんなよ……」

魔王「な!君言ってる事と違うじゃないか!」

傭兵「アホ!そう言う事じゃねえだろ!」

歩兵「……お二方、何をコソコソなさっているのでしょうか」

魔王「な、何でもないよ!作戦参謀殿がねぇちょっとごねてて!」

歩兵「………」

傭兵「………」

歩兵「……ほう」

傭兵「言えねえってわけじゃねえぜ?ただな……えーとな……」

歩兵「……貴方がグダグダしているから今の現状なのではないのですか?」

傭兵「それは違う!オジサン頑張ってるもんな!」

魔王「そうそう!」

歩兵「………」

傭兵 (なんだこいつ……今まで会った事のねえ怖さがあるぜ……)

歩兵「なら、自分の提案を受け入れられる余地はありますか?」

傭兵「……提案?なんだ言ってみろ」

歩兵「参謀殿は底の無いお力を使えるようですね」

傭兵「それが……?」

歩兵「そのお力を使い……この城にいる人間や魔物を倒すべき相手の所へ送り込み……」

傭兵「………」

歩兵「……爆破させる」

魔王、傭兵、侍「………」

歩兵「如何でしょう?」

傭兵「如何でしょうじゃねえだろ!なんだよそれ!」

歩兵「手っ取り早くていいと思うのですが」

傭兵「どアホ!絶対にやるか!」

歩兵「……チッ」

魔王「君ね……共存しようって言うのに自爆で相手を倒そうなんて駄目だろ……」

歩兵「………」

傭兵「それに急ぐ事ねえじゃねえか。こう言うもんは時間がかかるんだからよ……」

歩兵「時間がかかる事が困るんです!」

傭兵「なんでだ……」

侍、魔王「………」

歩兵「………」

傭兵「まあいいや……。それに今なんか倒すべき相手なんざいねえぜ?」

歩兵「……いないのですか?」

傭兵「ああ。それでどうやって事を進めろってんだよ」

歩兵「………」

魔王 (この子……どう出るのかな……)

歩兵「なら進軍されては……」

傭兵「どこに?」

歩兵「………」

傭兵「オジサンな思うんだ。このままこの辺りだけで人間と魔物が仲良く暮らせばいいんじゃねえかって」

歩兵「何故ですか……」

傭兵「別に理由なんかねえけど、この人間と魔物の輪って言うかな……それを自然に任せて広げていくのも悪くねえんじゃねえの」

歩兵「………」

傭兵「強引に世界を統一する事は可能……だとは思うがよ、そんな事してみろ」

歩兵「………」

傭兵「必ず何処かが歪むんだよ。そんなんで世界統一しようがな、歪な平和なんか絶対上手くいかないし長く続くわけねえんだ」

歩兵「………」

傭兵「わかるか?力だけで事を成せばそうなるんだよ」

歩兵「……もしかしたらそうならないかもしれないじゃないですか」

傭兵「なる。絶対になる。……オジサンは経験してるからわかるんだ」

歩兵「経験……ですか?」

傭兵「………」

魔王「……その辺はいいじゃない」

侍「大殿……傭兵殿は己の力で成し遂げたのですか?天下を統一する事を……」

魔王「………」

傭兵「した……違う世界をだけどな」

侍、歩兵「………」

傭兵「だからな……言ってんだよ。今の感じで良いってな」

歩兵「……うぅ」

傭兵「や、やめろ!オジサン虐めてるわけじゃねえし泣くなよ……」

歩兵「参謀殿がそう言われるなら……自分は……ぐぅぅ……」

魔王「彼女ね……世界を統一したら侍とね……」

傭兵「そっかって……やっぱこいつ女なのか?」

魔王「みたいだけど……」

傭兵「………」

魔王、侍「………」

傭兵「……仕方ねえ。女泣かしたからには責任取らなきゃな」

魔王「また変な事

傭兵「しねえよ!年がら年中そんな事ばかり考えてるわけじゃねえし!」

魔王「……どう思う?」

侍「大殿……此方にお振りくだされるな……拙者応えられませぬ……」

傭兵「お前らな……。はぁ、歩兵」

歩兵「はい……」

傭兵「作戦参謀として言う。今、世界は統一されたぜ」

歩兵「………」

傭兵「これでいいだろ。まあ、めんどくせえが火の粉は祓わなきゃならんがな」

歩兵「………」

傭兵「今のお前の世界でも今のオジサンの世界でも……人間と魔物が仲良く暮らせてるだろ?」

歩兵「確かにそうですが……」

傭兵「なら目的は達成。作戦は終了だ」

歩兵「………」

魔王「ふふ、良かったじゃない」

歩兵「………」チラッ……

侍「だそうだ。大殿と傭兵殿に礼を言え」

歩兵「は、はい……」



水「つまんないんだけど……」

兵士「うーん……波乱に満ち足りてると思ってたんだが……」

士卒「なんか上手い事まとまっちゃったな……」

水「………」ブスゥ

兵士「そう膨れるなよ……」

士卒「そうそう……若くな

水「………」ググッ!

士卒「冗談です!」

兵士「人の女房に若く無いとか言うな!」

水「あら!私若い!?ねえ!?」

兵士「……お、おう」

水「なにその反応……」

兵士「歳とか俺にとっちゃ関係ねえから……」

水「………」

兵士「……それじゃ無きゃな、魔物のお前と一緒になんてならねえよ」

水「………」

兵士「俺はお前だから……うん……」

水「………」

兵士「………」

水「何よいきなり……」

兵士「………」

水「………」

兵士、水「……ぷっ」

兵士「ははは!あんなの見て……お前が不安になったのかと思ってよ」

水「ふふふ、なるわけ無いでしょ。これ!もあるし逃がさないって」ポンポン

兵士「お前が嫌になって逃げなきゃ今のままだ」

水「そっか!」

士卒「………」

兵士「ふっ……あ、悪い……」

士卒「死ねよ……」

兵士「………」

士卒「死んで俺に詫びろよ……なぁ!」

兵士「お前も早くいい相手みつけろよぉ!」ニヤニヤ

士卒「むかつく野郎だ……」

兵士「……そう言えばお前には相手いたな」

士卒「はあ?どこをどう見たらいるんだ!いないじゃん!」

兵士「ワン子がいるだろ」

士卒「あれは犬だろ!」

水「え……貴方あんなんと出来てるの?」

士卒「出来て無いわ!」



風「………」

側近「あのですね……聞いてもいいですか?」

風「何をで御座いましょう?」

側近「風様は違う世界から来たんですよね?……そっちの世界はどうなのかなぁっと」

風「こことあまり変わらない世界で御座いますが……」

側近「ならエリゴスさんや侍さんや傭兵さんもいるんですか?」

風「いえ、その方達はいませんでしたね。姿が似た方達ならいましたが」

側近「姿が似た?……例えば?」

風「今、申しましたお三人様は彼方の勇者と旅をしている方達に似ていましたね」

側近「………」

風「エリゴス様は魔法使い、侍様は剣士、傭兵様は僧侶をしておられましたよ」

側近「エリゴスさんが魔法使い……うわぁ見てみたいなぁ!」

風「体に不釣り合いな杖を持ち歩いていて可愛らしかったですね」

側近「ふふっ、何となく想像出来ちゃいますねぇ」

風「そう言えば、こちらの魔王様は彼方の勇者様と似ていますね……」

側近「……え?」

風「それに……」

側近「こちらの勇者と風様の世界の魔王様は似てると……?」

風「はい」

側近「………」

風「私がいた世界は丁度、お二人が逆転している世界なのかもしれませんね」

側近「………」

風「……側近様?」

側近「わわわわわ私はいました!?か、風様!」

風「はい、おりましたよ」

側近「……私は側近やってました?」

風「向こうのお城では人間のお姫様が囚われていていまして、そのお方に似ておりました」

側近「良かったぁ……勇者さんの側近じゃなくて……」

風「………」

側近「………」

風「……?」

側近「えへ……えへへ……」

風「………」

側近「えへへ!困っちゃいますねぇ!私がお姫様だなんて!」

風「そうですか……?」

側近「魔王様が……いや、向こうの勇者様が私を助ける為に奮戦してるんですよね!」

風「表向きは……でしょうか……」

側近「……表向きはってなんです?」

風「………」

側近「そこはハッキリ言って欲しいんですけど……」

風「実は……向こうの魔王様は人質に取った人間が気に食わない様でして……」

側近「………」

風「それでお姫様に向かってボロクソに言い放ちまして……」

側近「………」

風「お姫様はそれを聞いて……ぶちギレ致しまして向こうの魔王様をボコボコに……」

側近「……それで?」

風「一度、恐怖を植え付けるとそれを与えた側に従ってしまうんですよね……」

側近「………」

風「裏では適度に魔王様の配下を勇者様に襲わせ……この後は私見ておりませんので何とも言えませんが……」

側近「………」

風「側近様は彼方の世界では影の……」

側近「それ以上はいいです……」

風「左様で御座いますか……」

側近「………」

炎「……風よ、話がある」

風「何で御座いましょう?」

炎「ここでは少しな……」

風「………」

炎「………」

風「わかりました。側近様失礼致しますね……?」

側近「私……そんなに黒い女なのかな……」

風「あまりお気になされない方が……」

側近「………」

炎「行くぞ……」

風「……はい」

側近「………」



炎「………」

風「お話とは……何で御座いましょう?」

炎「……私を軽蔑しているか?」

風「………」

炎「当然だ……私と貴様との結晶に手をかけたのだから……」

風「………」

炎「怒り蔑み拒絶してくれていい……謝って済まされる事では無いのだから……」

風「………」

炎「ただこれだけは……私の今の本心だけは知っておいて欲しい……」

風「本心とは……?」

炎「………」

風「………」

炎「……この身を灰塵に帰してもまだ足りぬ程に後悔している」

風「………」

炎「我が子をこの手で亡き者にした事にも……貴様に手を出した事にも……」

風「………」

炎「あの秘術を使った後……私は……私はぁ……うぐぐぅ……」

風「……!」

炎「この様な事になるのなら全てを受け入れておけば良かったのだ……こんなに後悔するのならば……」

風 (炎様が……泣いて……)

炎「許せるわけが無いが言わせてくれ……すまないいぃ……うう……」

風「………」

炎「この罪を少しでも滅ぼせるならばどの様な罰でも受けよう……」

風 (ふふふ……)

炎「言ってくれ!愚かな私の事を……」

風「……お顔をお上げになられてください」

炎「………」

風「炎様が好きな……光と闇が共存する時間ですよ」

炎「………」

風「綺麗ですね……」

炎「………」

風「……炎様の本心お受け取り致しました」

炎「………」

風「私は炎様が致した事……許そうとは思いません」

炎「そうだろうな……」

風「ですから炎様が申された罰……お受けになって頂きます」

炎「………」グッ……

風「………」

炎「………」

風「……次にこの時間……光と闇が共存する時間を三人で眺めたいと思います」

炎「………」

風「燃える山々……藍色の中に輝く星達を……三人で……」

炎「……三人とはなんだ?」

風「炎様と私と……私達二人の子供で御座います」

炎「………」

風「………」

炎「そんな……どう言う事だ……ん……」

風「それは……」

炎「ッ!?」ザッ!

ヒュッワッ!

炎「伏せろ風ッ!」

ズガアァァァッ!

……「………」

炎「貴様……何のつもりだ……」

……「エリゴスここにいるだろ?」

炎「応える必要は無い!」

……「………」

炎「………」

……「お前さ……エリゴスがのやり方が嫌でエリゴスの元を去ったんだろ?」

炎「………」

……「なのに何で一緒にいるんだ」

炎「それは私の勝手だ!……後、貴様にお前呼ばわりされる筋合いは無い!」

……「なんだよ……お前と俺は兄弟みたいなもんじゃねえか」

炎「焔……貴様と私は違う!」

焔「ふん、何とでも言え。どうせ俺と同じだ」

炎「………」

焔「エリゴスの元を去った理由も……ここにいる理由もな」

炎「………」



士卒「諸君!集まって貰ったのは他でもない!」

勇者、傭兵、土「………」

士卒「この城ではイチャイチャイチャイチャイチャイチャとッ!」

勇者、傭兵、土「………」

士卒「アホの様に恋愛に勤しみ!ふ抜けている輩が多いと思う!」

勇者、傭兵、土「………」

士卒「我々は!今こそ正義の鉄槌を下す

傭兵「おい……」

士卒「何か!?オッサン!」

傭兵「何でオジサン達集められたんだ……?」

士卒「………」

土「俺は忙しいんでゲスが……」

勇者「僕もエリゴスたん系で色々忙しいんだけど……」

傭兵「オジサンはちょっと暇だが……」

士卒「忙しいからなんだ!暇だからなんだ!諸君らは今ある危機に対して認識が甘いのではないか!」

勇者「危機って……恋愛とか言ってたけどそれの事?」

士卒「そうだ!」

勇者「別に危機なんて思わないけど……」

士卒「………」

土「筆頭殿もそうお考えなんでゲスか?」

傭兵「アホ……オジサンは側近ちゃんいるからそんなの感じもしねえよ」

士卒「………」

土「俺も別に危機なんて事は思わないでゲ

士卒「かぁーッ!なんだなんだ諸君らの態度は!」

勇者、傭兵、土「………」

士卒「悔しくないのか!諸君!」

勇者「………」

士卒「魔王と側近魔王!炎とオッパイさん!馬鹿兵士とババア!上官殿と歩兵!こやつらがイチャイチャイチャイチャもうぅぅぅぅ!」

傭兵「水のは訂正しとけよ……」

士卒「オッサンは夜な夜な魔王が側近魔王に足絡み腕絡みくんずほぐれつされてて悔しくないのか!」

傭兵「………」

士卒「俺は悔しい!オッパイ揉みしだきたい!」

傭兵「………」

勇者「なんで僕とエリゴスたんが入って無いの!」

士卒「それは……何て言うか無理だし……」

勇者「はあああ!?二人はもう行ける所まで行ってるんだよ!」

傭兵「……嘘つくなよ」

士卒「無い無い……」

土「そんな面白くもなんともない事よく言えるでゲスな……」

勇者「酷いな君達……」

士卒「それはどうでもいい!あんたはどう思う!」

土「どうと言われてもでゲス……」

士卒「女の欠片も微塵も切れ端もフラグメントも無いあんたはどう思うッ!」

土「………」

勇者「言い過ぎだよ……」

傭兵「酷い奴だ……」

土「いや……俺は所帯持ちでゲスから……」

士卒、傭兵、勇者「はあッ!?」

土「なんゲス……」

傭兵「そんなの初耳だぞ!」

土「言って無いでゲスから……」

士卒「ずっと城にいるんだろ!」

土「夜になったらちゃんと帰ってるでゲス……」

勇者「エリゴスたんと歳近い!?」

土「姉さん女房でゲスから……」

士卒、傭兵、勇者「………」

土「あ、子供はまだ出来てないでゲス」

傭兵「そんな事誰も聞いてねえよ!」

勇者「そんなオバサンとよく一緒出来るね!」

士卒「………」

土「……いいじゃないでゲスか」

傭兵「クソッ!てめえはいっつもオジサンを見下してやがったんだな!」

勇者「ゲスさんより歳上じゃ親族も期待出来ないよね!」

土「そんな事は無いでゲス……」

士卒「オッサン……勇者……」

傭兵「……なんだ?」

勇者「……?」

士卒「聞く事はひとつだろ……」

傭兵、勇者「………」

土「聞く事ってなんゲス……?」

士卒「あんたは今……幸せか?」

土「………」

士卒、傭兵、勇者「………」

土「い、いやぁゲヘヘ……なんだかんだで幸せと言えば幸せでゲスなぁ」

士卒、傭兵、勇者「………」

土「毎夜毎夜、子供をせがまれて辛いでゲスが……それを差し引いても

士卒、傭兵、勇者「死ねッ!」

土「………」

傭兵「よし!今夜ゲスんち行くぞ!」

土「なッ! やややややめてくれでゲス!」

士卒「オッサン!土産は何持ってく!」

傭兵「それは任せとけ」ニヤニヤ

土「マジで来ないでくれでゲス!筆頭殿は悪どく笑わないでくれでゲス!」

勇者「オッチャン!どんな嫌がらせする!」

傭兵「それも任せとけ」ニヤニヤ

土「………」

傭兵「いやぁ……オジサン、やっと魔王四天王らしい事をやれそうだぜ……」

土「一体何を……するつもりでゲス……」

傭兵「ゲスよ……覚悟しろよ……」

土「覚悟なんて……」

傭兵「フハハハハッ!」

士卒、勇者「フハハハハッ!」

土「アアアアアア……」



侍、歩兵、エリゴス「………」

兵士「どうするぅ?」イチャイチャ

水「やだぁ」イチャイチャ

エリゴス「……やめんか。見苦しい……」

水「見苦しいなんて失礼ね!」

エリゴス「歳を考えんか……」

水「………」

兵士 (歳の事は言うなよ……」

水「ふん!エリゴスより年下ですからぁ!」

エリゴス「ほう……ではいくつだ?」

水「………」

兵士「………」

水「ご……」

兵士「……は?」

水「ご、ごほんごほん!」

兵士「………」

水「……フニャフニャ歳よ」

エリゴス「よく聴こえんな。ハッキリと言え」

水「な、何歳でもいいでしょ!」

兵士「………」

エリゴス「……まあいい。その事は帰ってから聴くとしよう」

水「何よ……どっか行くの?」

エリゴス「そうだ。ここにいる面子で事足りるだろう。な、侍よ」

侍「左様で御座いますな!」

兵士「……その面子に俺入ってる?」

侍「言ったであろう。ここにいる面子だと」

兵士「何するんだ……?」

侍「今夜は丁度満月、よい機会だ」

兵士「………」

侍「南の方角より来たりし化け物を討とうと思ってな」

兵士「……化け物?」

侍「八叉の大蛇……と言う化け物だ」

兵士「………」

エリゴス「南方に構えてあるセンサーに反応があってな、何かと調べたらそれだったのだ」

侍「いやぁ!拙者の国に伝わる神話の化け物を拝めるとは嬉しゅう御座いますぞ!」

エリゴス「そうか。ならば先陣は侍が切るよい」

侍「はは!畏まり候!」

兵士「質問……」

侍「なんだ?」

兵士「上官殿とお嬢ちゃんだけじゃ駄目なのか……?」

侍「んん……全力で戦えばいけるだろうが、それだと肉が勿体無い事になってしまう」

兵士「………」

侍「だから、拙者とエリゴス殿で四尾。お前、水殿、歩兵で三尾を相手にしろ」

水「はああ!?私も頭数に入ってんの!?」

侍「勿論で御座いますぞ!」

水「私……身重なんだけど……」

侍「そうで御座ったな……兵士、お前二尾相手にしろ」

兵士「無理無理無理無理!どんな化け物かわかんねえのに!」

侍「言ったであろう。八叉だと」

兵士「八叉ってなんだよ!」

侍「やれやれ……」

兵士「………」イラッ……

侍「八叉の大蛇と言うのはだな、簡単に言うと頭が八つ尾も八つある竜だ」

兵士「………」

侍「わかったか?」

兵士「……それはわかったけど、何で全員合わせて七尾なんだ?一つ余るけど……」

侍「それは殺すのが目的ではないからな」

兵士「………」

侍「七尾討ち残りを生かせておけば、また首が生えるかもしれん。生えたらまた討ち……」

兵士「もういいです……」

侍「では、行くか」

兵士「上官殿……」

侍「今度はなんだ……」

兵士「あいたたた!お腹痛い!」

侍「………」

兵士「だから!俺行けねえわ!うん!足手まといになるから待ってる!」

侍「……ほう」

兵士「いてて……」チラ……

侍「なら今以上の痛みを与えよう。さすれば腹の痛みは無くなるぞ」

兵士「………」

侍「どこを殴られたい?」

兵士「………」

水「諦めて行ってきなさいよ……」

兵士「行ったら生きる事さえ諦めなきゃなんなくなるだろ!」

水「アナタのかっこいいとこ見たいな!」キャハ!

兵士「ふざけんな……」

侍「水殿、どうか兵士の生きざま見届けてあげてくだされ!」

兵士、水「………」

侍「男と言う物がどう言う生涯を歩み……男と言う物が轍をどう踏み残すのか……」

水「そうね……」

兵士「やめろよ!そんなの死にに行くの決定みたいじゃんか!」

侍、水「……え?」

兵士「へ……?」

侍、水「………」

兵士「マジでふざけんなよ……絶対死なねえ!何が何でも死んでたまるか!」

侍、水「………」

兵士「やってやらぁッ!竜の首ごときどんと来いだぁぁぁ!」

侍「………」

兵士「うおおおおおッ!」

侍「では行くか……ふっ」



衛兵「じ、人狼さん!お茶持ってきました!」

人狼「………」

衛兵「人狼さん!お肩揉みましょうか!」

人狼「お前……」

衛兵「はい!」

人狼「つまんない人間って……」

衛兵「………」

人狼「魔物にヘエコラしてよく平気でいられるって。情けない……」

衛兵「………」

人狼「………」

衛兵「……もっと言ってください」

人狼「がああああ!さっきから何回も同じ事言ってるって!」

衛兵「もっと!もっと!」

人狼「勇者よりおかしい人間って!」

衛兵「あれよりかはマトモです!」

人狼「どこがって!向こう行けって!」

衛兵「嫌です!アホ共に人狼さんを宜しくと言われていますから!」

人狼「………」

衛兵「何だったら手をあげてもらっても!」

人狼「……ん?」スンスン

ズガァァァァンッ!

人狼「な、ななな!」

炎「グハァァな、何がどうなっている……」

焔「俺に勝てると思ったか?」

炎「馬鹿な……この私が手も足も出ないなどとグフッ……」

焔「ふんっ……こんな所でヌクヌク暮らしてれば弱くもなるか」

炎「はぁはぁ……オオオオッ!」バッ!

焔「………」

炎「焼き爆ぜろぉぉッ!」グバッ!

焔「昔のお前ならいざ知らず……今のお前じゃな……」

ズギャァンッ!

炎「………」

焔「な?」

炎「クソォッ……」ガクッ……

焔「はぁ……何かガッカリだな。何にも楽しくねえ……」

ダダダ……

風「炎様!炎様!」

焔「………」

風「確りとしてください!ああ……」

焔「……お前、こいつのスケか?」

風「その様な下品な言葉で呼ばないでください!」

焔「おぉ怖。……エリゴスに会う前にチット遊ぶか」

風「………」

焔「どうせこいつの物は俺の物だし。俺がどうこうしようが文句ねえだろうよ」

風「………」

焔「来いよ」スゥ

風「その穢らわしい手で触らないでください!」パシッ!

焔「………」

風「………」

焔「ふぅん……俺のこの手が穢らわしいか……」

風「………」

焔「なら、こいつの手も穢らわしい事になるな」

風「……どう言う事ですか」

焔「どう言う事も何もな……」

風「炎様と貴方とでは違ます!」

焔「同じだよ。何もかもな」

風「似てもいないのに!」

焔「そいつの顔見た事あるか?……こいつの仮面の下はこんな顔だ」

風「は……?」

焔「俺と同じ顔なんだぜ。ははは!いい男だろ!」

風「………」

焔「なんだよ……乗れよ……」

風「貴方は何者何です……炎様にこれ程のダメージを……」

焔「話して欲しいなら俺と遊べよ。あははは!」

風「………」

焔「どうする?俺としてはこのままエリゴスんとこ行って終わらせてもつまんねえから?遊んで欲しいが」

風「……良いでしょう」

人狼「かかかか風ちゃんって!」

風「大丈夫です……」

人狼「何が大丈夫って!レイパー様をコテンパにする奴だよ!胸がスゥーってするね!」

風「………」

人狼「ざまあ見ろって!いっつもアチシこき使って!日頃の行いが悪いからこうなるって!」

風「あ、あの……話が逸れてます……」

人狼「え?……あ、そうそう!風ちゃんじゃ手も足も出ないでやられちゃうよって!」

風「………」

人狼「だから!」

風「それでも炎様に手を上げた方を許す事は出来ません……」

焔「もういいかよ?犬っころ、邪魔だ向こう行け」

人狼「犬じゃ無いって!」

焔「……ふぅむ」

人狼「や、やるのかって……」

焔「………」グッ……

人狼「………」ガクガク……

衛兵「き、貴様!この人に手を出すな!」

焔「……は?」

衛兵「人狼さん!下がっていてください!この衛兵!人狼さんを必ずやお守り致します!」

焔「………」

人狼「アホ!お前なんかじゃ!」

衛兵「わかっています!わかっていますとも……それでも男ならやらねばならぬ時があるんです!」

人狼「………」

衛兵「……それが愛する者のピンチなら尚更」

人狼「お前って……」

焔「……何で人間がいるのかな?なぁ、何で?」

風「答える必要はありません!」

焔「まあ、どうでもいいけど。……人間、今から塵にしてやるから感想言えよ」

衛兵「………」

人狼 (塵になったら……って言うのは無粋かなって……)

焔「ほんじゃ……喰らえよ!」バッ!

衛兵 (……死ぬと言うのも何か悪く無いな。人狼さんを守ってだからか……)

グアァァァァッ!

衛兵 (今までお付き合い頂きありがとうございました……どうかお幸せに……)

焔「ふふん」

衛兵「………」

人狼「ぎゃあああ!」

衛兵「……え?」

焔「……あれ?」

人狼「」バタッ……

衛兵、焔「………」

衛兵「貴様ぁ!確りと私を狙わないかぁぁッ!」

焔「おかしいな……悪りぃ!」テヘッ

風「………」

焔「順番は狂ったけど結果は変わんねえから。人間……」

衛兵「人狼さん!確りしてください!ああああ……」

焔「……って聴いて無いか。それもいいか」

風「………」スゥ……

焔「今度は仲良く燃え尽きろよ!」バッ!

風「………」バッ!

焔「あはははは!」

バシュッババババッ!

焔「ッ!?」

風「翔びなさい……彼方へ!」

焔「な、なんだぁ!?」

風「………」



兵士「死なねえからなぁぁぁぁ!」

侍「わかったわかった……」

水「やっぱり私も行かないと駄目なのね……」

歩兵「………」

エリゴス「怖いか?」

歩兵「それは……上官殿程お強ければ恐怖を感じずいられるのですが……」

エリゴス「ふふふ……」

歩兵「……何か?」

エリゴス「侍、こいつが貴様は恐怖を感じていないと言っておるぞ」

侍「………」

歩兵「……上官殿でも恐怖を感じる事があるのですか?」

侍「ある……」

歩兵「なんと……それは如何様な時にでしょうか?」

侍「時では無いが……拙者はある者が怖い……」

歩兵「ある者?それは魔王様ですか?」

侍「違う……」

歩兵「なら城にいる誰かと?」

侍「………」

歩兵「……?」

侍「拙者はお前が怖い……」

歩兵「自分が怖い……ですか?」

侍「………」

歩兵「よくわかりませんが……自分が上官殿に悪さをするような事は……」

侍「そうでは無いんだ……拙者は今まで己の君主の為にこの命捧げるつもりでいた」

歩兵「………」

侍「だが……そこへお前と言う存在が現れ、その意義が揺らいでしまうのではないかと怖いんだ……」

歩兵「………」

侍「積み重ねてきた信頼が……大殿に対する情が崩れ去った時……」

歩兵「………」

侍「拙者はどう歩みを進めどこへと行き着くのか……と」

歩兵「………」

侍「………」

歩兵「上官殿が歩みなされる先へ自分も一緒に歩く事は出来ないんでしょうか……?」

侍「………」

歩兵「……例えその道が険しく厳しい道筋でも自分はお側を離れる事はありません」

侍「お前が危機に瀕していても……拙者は手を差し伸べ無いのかもしれないのだぞ?」

歩兵「自分が知っている上官殿ならそんな事は絶対致しません。必ず手を差し伸べられる方ですから……」

侍「………」

歩兵「………」

侍「そうだな……そう……」

歩兵「はい……」



土「………」

傭兵「ハイホォォォッ!」

士卒、勇者「ハイホォォォッ!」

傭兵「フフーンフンフンフンッ!」

士卒「オッサン!ちゃんと歌えよぉ!」

傭兵「いやぁ!この先の歌詞知らねえのよ!」

勇者「駄目だなぁ!オッチャンはぁ!」

傭兵、士卒、勇者「あはははは!」

土「………」

傭兵「ゲス、元気無いぞぉ!どうした!」

土「マジで俺の家に来るんでゲスか……」

傭兵「あったり前だろう!なあ?」

士卒、勇者「オッスッ!」

土 (何とか隙を見付けて巻かないとでゲス……)

傭兵「そうそう!」

土「なんゲス……」

傭兵「逃げても無駄だからな。お前に追尾の魔法かけてあるから」

土「い、いつの間にゲス……」

傭兵「これから楽しもうって時に手抜かりがあったら困るだろ?なあ?」

士卒、勇者「オッスッ!」

傭兵「んふふふふ!」

土「アアアア……」

勇者「オッチャンさ、魔王四天王らしい事って言ってたけど何やるの?」

傭兵「そりゃお前、魔王四天王って言えばあれしか無いだろ?」

勇者「あ……ああ!あれね!」

士卒「……わかってるのか?」

勇者「……何やるの?」

士卒「検討も付かない……」

傭兵「なんだなんだ……わかんねえか?魔王四天王って言えば朝までドンチャン騒ぎしかねえだろ!」

勇者、士卒、土「………」

傭兵「な!」

士卒「それは魔王四天王じゃ無くても出来るだろ……」

傭兵「魔王四天王らしいドンチャン騒ぎだぜ?」

士卒、勇者「………」

傭兵「くくくっ!」

勇者「おかしいな……僕、ちょっと不安になってきた……」

士卒「俺も……ここまで来てなんだが……」

土「俺は不安しか無いでゲス……」

傭兵「アハハハハ!」

勇者、士卒、土「………」



炎「グァァ……」

衛兵「グァァ……人狼さぁん……」

炎「……はっ!」

衛兵「今ならばその副乳触っても……」ゴクッ……

炎「か、風は!奴はッ!」

衛兵「ごごごごごごめんなさいッ!」ビクゥッ!

炎「友よ!風はッ!?」

衛兵「……友か。ビックリさせるな!」

炎「風は何処だと言っている!」ガバッ!

衛兵「わ、わからん……気付いたら風殿ともう一人は消えていた……」

炎「……なんだと」

衛兵「………」

炎「………」

衛兵「……風殿が無事ならいいが」

炎「………」

衛兵「すまん……余計な事を言った……」

炎「………」フルフル……

衛兵「………」

炎「……起きろ人狼……」

人狼「」グデェ……

炎「起きろぉぉぉ人狼ぉぉぉッ!」ガクンガクンッ!

衛兵「お、おい!人狼さんはもう一人にやられて……」

炎「起きなければ貴様の毛皮が今後生えぬよう焼き付くすぞッ!」

人狼「あぐぐ……」

衛兵「人狼さん!」

人狼「いつつ……何が起こったって……?」

炎「人狼人狼人狼ぉッ!」

人狼「は、はいってッ!」

炎「風を探し出してくれ!」

人狼「……風ちゃんをって?」

衛兵「風殿と……人狼さんに危害を加えた輩が消えてしまったんですよ……」

人狼「………」

炎「頼む!……風までも失ったら私は……私はどう悔いて生きていけば……」

人狼「………」

炎「今は貴様しか頼れる者がいないんだ……頼む……」

人狼 (いつもはタカピーなのに……こんな悲愴感出しちゃってるレイパー様初めてって……)

炎「お願いだ……この通り!」ガバッ!

人狼「ッ!?……そそそそそんな地面に頭擦り付けて頼まないでって!」

炎「………」

人狼「……わかりましたって。そんな事までされちゃやらないわけにはいかないって……」

炎「そうか!ありがとう人狼……」

人狼「………」

炎「風はどちらにいる!」

人狼「………」スンスン

炎「………」

人狼「……あれ?何でレイパー様と一緒にいるって……?」

炎「……それは焔と言う奴だろう。どっちだ!」

人狼「あっちって!」

炎「おおおおおッ!焔め!風に傷ひとつでも付いていてみろ……死の底までも追って魂の欠片さえ残さず燃やし尽くしてやるからなぁぁぁぁ!」

衛兵「その焔と言う輩にやられていたようだったが……」

炎「戦いと言う物は!再戦した時に覚醒とかするものだ!私はそれに賭ける!」

衛兵、人狼「………」

炎「行くぞぉぉぉぉッ!」



魔王「傭兵もエリゴスさんもいない……」

魔王「侍や勇者までいないし……どうなってんだろ……」

カチャ……

側近「魔王様ぁ……?」

魔王「あら?側近はいるんだ……」

側近「……私はいちゃ駄目なんですか」

魔王「違う違う!今ね……傭兵や侍とかこの城にいないみたいなんだよ……」

側近「え?あの四人もいないんですか?」

魔王「四人もってなんだい?」

側近「元四天王の方達と兵士さんや士卒さん達とかもいないんですよ……」

魔王「………」

側近「もう暗くなってるのに皆、何処へ行ったんでしょうね……」

魔王「そうだね……」

魔王「うーん……」

側近 (……んあれ?皆いない?……魔王様と私……だけ?)

魔王「………」

側近「………」

魔王「なんだかこんな感じだと……傭兵達が来る前の事思い出しちゃうねぇ」

側近 (え?え?やだ!二人っきり!)

魔王「ふふ、今みたく静かな魔王の間で僕はゴロゴロして……側近はそれを怒って……」

側近「………」

魔王「ってそれだと今とあんまり変わらないか……」

側近「………」

魔王「……ねえ側近、あのまま二人っきりだったら今頃、僕達はどうなっていたんだろうね」

側近「………」

魔王「やっぱり人間に討伐されていたかな……それとも魔物達にやられていたか……」

側近「………」

魔王「それか……しぶとく生き残ってたか……」

側近「………」

魔王「………」

側近「………」

魔王「皆に感謝しなきゃね……変わらず今を過ごせる事に……」

側近「………」

魔王「もちろん側近にも感謝してる……側近?」

側近「………」

魔王「……?」

側近「わたわたわた私まままま魔王様お茶飲ませました!」

魔王「……は?」

側近「いや!お茶でも如何ですか!」

魔王「……別に今はいらないよ」

側近「お肩でもお揉みましょうか!お食事?お風呂?お風呂!お風呂で背中を!」

魔王「側近……何をそんなに緊張してるの……」

側近「だだだだってですね……」

魔王「……?」

側近「今……このお城に魔王様と私しかいないんですよ?」

魔王「うん?」

側近「ですから……その……」

魔王「………」

側近「二人っきりですから……」

魔王「……!」

側近「………」

魔王「そそそそそそっか!僕達以外いないんだったね……」

側近「はい……」

魔王「僕達以外いない……」

側近「………」

魔王「………」

側近「魔王様……?」

魔王「……何かな?」

側近「お側に……行っても良いですか……?」

魔王「………」

側近「………」

魔王「う、うん……」

側近「で、でわぁ!失礼します……」

魔王「………」

側近「………」

魔王「あのあのあの……ね……」

側近「………」

魔王 (どどどどどうすればいいんだろ!これどうすればいいんだろ!)

側近「………」

魔王 (どうこれいいすれば!)

側近「魔王様……風様が別の世界から来たって知ってます?」

魔王「……う、うん」

側近「その世界では……魔王様が勇者をやっていて……」

魔王「は?……ち、違うからね!僕は絶対あんなんじゃ無いから!」

側近「わかってます……何もこちらの勇者さんと同じだなんて言ってません……」

魔王「そう……それで?」

側近「それで、私はお姫様だと……


魔王「………」

側近「勇者はお姫様を救いに戦っているようですよ……」

魔王「………」

側近「……もし私に何かあった時、魔王様は私を救ってくれますか?」

魔王「もちろん!」

側近「ふふ……よかった……」

魔王「あ……うぅ……」

側近「………」

魔王「………」

側近 (魔王様……凄い緊張してる……)

魔王「………」ガチガチ……

側近 (昔の人は言いました……緊張が飽和点に達した時、魔物の注意力は脆くも飛散する……そこを撃てと!)

魔王「………」

側近 (なら今がその時!行くとこまで行く!この命燃え尽きるまで!ポワ……)

魔王「………」

側近「……魔王様」

魔王「な、なに!」

側近「………」ジィィ

魔王 (うぁぁぁぁ……)

側近「魔王様あ

バタァーンッ!!!



タタタタッ

人狼「向こうって!」

炎「………」

衛兵「友よ……」

炎「………」

衛兵「風殿と消えた輩は一体何者だ?友をこうも打ちのめす輩などそうは……」

炎「あれは……私の分身と言うべき存在だ」

衛兵「分身……?」

炎「かつての私は……あれと同体だった……」

衛兵「………」

炎「………」

衛兵「……何か理由があっての事だろうが、何故今そいつが姿を現した?」

炎「………」

炎「わからん……が、いつかは姿を現すと思っていた。私とエリゴス様に恨みを抱いているからな……」

衛兵「………」

炎「友よ、私は己の世界……私の理想とする世界を造ろうとしていた……」

衛兵「それが今回の事と関係があるのか?」

炎「ある……エリゴス様の下にいては何も変わらないと思い私の不要な部分を切り捨てここへ来たのだ」

衛兵「………」

炎「……その時の不要な部分が焔だ」

衛兵「なるほど……では、恨みと言うのは?」

炎「勝手に自分を産み出して同体は好き勝手している……何もわからず自分を支配しようとするエリゴス様を……と、言ったところか」

衛兵「………」

炎「………」

衛兵「しかしな……同体なのだろ?何故、友より力があった?不要な部分と言うぐらいだ、友より下でもおかしくないはずだろ?」

炎「何かあいつにとって力を手に出来る事があったのだろ」

衛兵「ふむ……」

炎「それが何なのかは知らんが……」

衛兵「そうか……」

炎「………」

衛兵「……次、対峙する時……勝てよ」

炎「ああ……」

衛兵「………」

炎「もうそろそろ覚醒しそうだろうから大丈夫だ」

衛兵「それは冗談で言っていたんだろ……?」

炎「冗談など言うか!私は真面目に言っている!」

衛兵「………」

炎「ふふ……覚醒した私を見られるとは友はついているな」

衛兵「本当に覚醒すればいいな……」

炎「フハハハハ!」

衛兵 (駄目だこれは……何か手を考えておかねば……)



風「………」

焔「グアァ……」

風「……去りなさい」

焔「こ、この力が何故通用しない!」

風「………」

焔「こんな馬鹿な事があってたまるか!おおおおッ!」バッ!

フォシュンッ!

風「………」サッ!

焔「何故当たらん!」

風「もう一度言います。去りなさい」

焔「二度とこんな思いをするまいと授かった力なのにぃぃぃッ!」

風「………」

焔「クソォォォォッ!」

風「………」ガッ!

焔「グフゥ!」

風「……私の声が聴こえませんか?」

焔「は、離せ!」

風「これで最後ですよ。去りなさい……出来ないのなら散りなさい」

焔「………」

風「今、私は……炎様を傷つけられ腸が煮えくり返っています」

焔「グウウゥ……」

風「本当なら貴方のその身を八つ裂きにしても足りないくらいなのですが……」

焔「………」

風「そのお顔に免じて命だけは救ってあげようと言っているのです。……さあ、どうします?」

焔「ふざけるな……アイツと俺は同じ

風「同じではありません!」

焔「………」

風「貴方の事などどうでも良いのです!炎様は炎様なのですから……」

焔「………」

風「後、三つ数えるうちに言いなさい……」

焔「………」

風「ひとつ……ふたつ……」

焔「………」グッ……

風「みっ

焔「わかっ

炎「風ぇぇぇぇ無事かああッ!」

風 (え?え?炎様?ここここここんな所を見られては!)

炎「焔あああ!風から離れろぉぉッ!」

焔「………」

風 (どどどどどうすれば!……ッ!)ピコーン!

炎「風!怪我は無いか!ソイツに何かされて無いか!」

風「あっ……い、痛い!」

焔「……は?」

風「炎様!私、この方に……」

炎「………」

焔「な、何言ってんだ!お前は俺より

風「………」ギロッ……

焔「………」

炎「……貴様、やってはならん事をしてしまったな」

焔 (何がどうなってるんだ……)

炎「覚悟しろよ……」

風「ほ、炎様頑張ってください!」



二叉の大蛇「グギャアアアッ!」

兵士「死んでたまるかあぁぁぁッ!」

水「貴方!素敵!頑張ってぇ!」

侍「ははは!後はお前だけだぞ!」

歩兵「………」

侍「……どうした?」

歩兵「いえ……」

侍「?」

歩兵「皆と共同とは言え……自分がこうも意図も容易く竜を討てるとはと思いまして……」

侍「ふむ」

歩兵「………」

侍「鍛練の成果が出たのだな。お前は苦情も現さず拙者に付いてきた」

歩兵「………」

侍「……頑張ったな」

歩兵「上官殿……」

侍「………」

歩兵「………」

エリゴス「………」

歩兵「上官殿……お願いがあります……」

侍「願い?何だ言ってみろ」

歩兵「……頑張った自分に褒美をください」

侍「………」ピクッ

歩兵「駄目でしょうか……?」

侍「………」

歩兵「………」

侍「……何が欲しい?」

歩兵「あ……その……いいのでしょか……」

侍「褒美が欲しいのだろ?拙者に出来る事だけならやろう」

歩兵「………」

歩兵「なら……自分の頬に張り手を……」

侍「……は?」

歩兵「い、いえ!無理なら良いのです!これは自分の我が儘ですから!」

侍「………」

歩兵「………」

侍「やってもよいが……女子の顔を叩くのは抵抗がある……」

歩兵「これは自分が望んだ事などです!もし何かあっても上官殿に責任は発生しませんから!」

侍「むう……」

歩兵「………」

侍「わかった。……本当にこんな物でよいのか?」

歩兵「はい!構いません!」

侍「なら……行くぞ?」

歩兵「はぁい!」ドキドキ!

侍「……ツアアアッ!」バッ!

バチコーンッ!!!

歩兵「キャアアアッ!」

ギュルギュルギュルズドーンッ!

侍「……は!しまった!先程の戦闘が終ったばかりで力の加減が……」

侍「歩兵……きりもみしながら吹っ飛んでいったが……ぶ、無事か歩兵!」

歩兵「あ……ああ……」

侍「すまぬ!些か力を入れすぎた!」

歩兵「上官……殿……」

侍「おい!確りしろ!」

歩兵「素敵な衝撃でした……ああ……」

侍「………」

歩兵「本当に素敵なぁ……」うっとり……

侍 (……ん、んん?んんん?こやつ何かおかしいぞ……何故に殴られ喜ぶ……?)

兵士「ぜぇぜぇ……やってやったぞ……」

水「………」

兵士「やってやったぞこんちくしょうぅぅぅッ!!!」

水 (あれれぇ……?マジで倒しちゃうなんて……人間って今そんなに強いの……?)

エリゴス「………」

侍「………」

歩兵「もう一度……んっあ……」

水「………」

兵士「うおおおおおおッ!今の俺なら神ににも勝てるぞぉぉぉッ!」

エリゴス (なんだ……この疎外感は……)



魔王、側近「………」

隻眼「………」

魔王 (な、何なの!睨んできて凄い恐いんだけど……)

側近「ま、魔王様……この方達は……」

魔王「う、うん……?」

側近「確か侍さんと一緒に訓練してる人間の方達ですよ……」

魔王「へ、へえ!はははは初めましてかな!」

隻眼「………」

魔王「………」

側近「……今、私達二人しか魔物いませんよね?」

魔王「その先は言わないでいいよ……」

側近「はい……」

魔王「………」

隻眼「………」ジィィィィィッ!

魔王「………」ガタガタ……

側近「あ、あの!ご用件は!何でしょうか……」

隻眼「………」

魔王、側近「………」

隻眼「上官殿は何処かッ!?」グワッ!

魔王「ひっ!ししし知らないけど!」

側近「わわ私も知りません!」

隻眼「………」

魔王、側近「………」ガタガタ……

隻眼「今宵は上官殿が立ち会っての目通しと仰っていたのにぃぃッ!」グワッ!

魔王、側近「あわわわ……ごごごごごめんなさい……」

隻眼「ならば仕方ありませんなッ!」グワッ!

魔王「あああ……」

側近「ま、魔王様!にげにげ逃げましょう……」

魔王「う

隻眼「我等ッ!魔王様の元に下りて幾星霜ッ!」グワッ!

魔王「ひぃぃぃ……」

隻眼「今宵、我等が長となられる御方に忠誠を誓わんとぉぉッ!」グワッ!

魔王「……?」ガタガタ……

隻眼「我等ッ!魔王様の元、参上つかまつりましたッ!」グワッ!

魔王「え……」

隻眼「………」ジィィィィィッ!

魔王「………」

隻眼「何と御立派な……上官殿程の熱き漢が認めるだけの御方ですなッ!」ブワワワッ!

魔王「ああ……なるほど……」

側近「ま、魔王様?」

魔王「顔は恐すぎだけど、多分彼は侍の強化版みたいなもんなんだよ……」

側近「ああ……」

隻眼「御立派ですッ!御立派ですぞぉッ!」ブワワワッ!

魔王「……で、用は済んだのかな?」

隻眼「そ、そうでしたッ!」グワッ!

魔王「………」

隻眼「魔王様に我等が忠誠の証と致しましてッ!血の忠魂をッ!」グワッ!

魔王「そのグワッ!って言うのどうにかならないのかな……後、血の忠魂って……?」

隻眼「これは小生の在り方にてッ!血の忠魂とはッ!」グワッ!

魔王「………」

隻眼「我等の身を刻

魔王「それは止めてね……」

隻眼「なぁがッ!……血の忠魂では満たされぬと……足りぬと……?」グワッ!

魔王「そうじゃ無くてね……君達はそう言う事をしなくてもここにいていいよって事」

隻眼「………」

魔王「誰が上でとか忠誠をとか関係無くね。……後、問題をあれこれ起こさない事もかな!」

側近 (この人の顔は100%問題を起こす顔してますよ魔王様……)

魔王「わかったかい?」

隻眼「素晴らしい……」グワッ!

魔王「何がかな……?」

隻眼「やはり小生が仕えるに価する御方ですな……」グワッ!

魔王「………」

隻眼「しかし……忠誠の証を立てられる事を拒否なさるならば小生はどうすれば……」グワッ!

魔王「何もしないでいいよ……」

隻眼「それでは駄目ですッ!なんとしてでも契りのッ!」グワッ!

魔王「………」

側近「魔王様はしなくていいって言っているんですから何もしなくても……」

隻眼「何を仰られるか妃様ッ!これは小生がここにいる証をとッ!」グワッ!

側近「……今なんて?」

隻眼「ここにいる

側近「その前です……」

隻眼「妃様……?」グワッ!

側近「………」

魔王、隻眼「……?」

側近「魔王様ッ!この方が仰る事はもっともですよッ!」グワッ!

魔王「えええ……」

隻眼「やはり妃様はわかっていらっしゃるッ!」グワッ!

魔王「………」

側近「さあ魔王様ッ!この方に何か忠誠の証とかをッ!」グワッ!

魔王「………」

隻眼「いや証が駄目であれば……魔王様の護衛の任を承りたいッ!」グワッ!

側近「おおお!それはいい考えですねッ!そうしましょう!」グワッ!

魔王「そ、側近!ちゃんと考えて発言するように!」

側近「もう決まりです!宜しくお願いしますね!」グワッ!

隻眼「ハハッ!妃様ッ!小生の命に代えましてもこの任必ずやッ!」グワッ!

ーーー

魔王「………」ゴロゴロ……

隻眼「………」グワッ!

側近「おはようございます……」

魔王「………」ゴロゴロ……

隻眼「妃様ッ!おはようございますッ!」グワッ!

側近「はい……」

魔王「……君のせいだからね」ゴロゴロ……

側近「申し訳ありません……妃様と言う言葉に我を忘れて……」

魔王「それにしても……誰も帰って来ないね……」

側近「そうですね……」

カチャ……

土「………」

側近「つ、土様!何処へ行ってたんですか!」

土「家に……でゲス……」

側近「土様はそうですよね……あの、他の方達知りませんか?」

土「筆頭殿と士卒と勇者なら知ってるでゲス……」

側近「……聞いていいですか?」

土「あまり聞かない方がいいでゲス……」

バタン!

傭兵、勇者、士卒「………」

土「ッ!お、おはようでゲス筆頭殿と他の方……」

傭兵「おや?ゲス君おはよう!今日は気持ちのいい朝だね!」

土「………」

士卒「あ!ゲスさんおはようございます!清々しい朝ですね!」

土「………」

勇者「ゲスさん!おはようございますー!今日も張りきって行きましょうね!」

魔王、側近、土「………」

傭兵「見てくれ!先程、庭で見付けたんだ」

士卒「わぁ!綺麗なお花ですね!」

勇者「でも……土から離れて可哀想です……」

傭兵「勇者、安心してくれ。この花は日陰に咲いていてな植え替えようと思って持ってきているんだ」

勇者「そうなんですか!優しいなぁ傭兵さん」

側近「……一体何が起きたんですか?」

魔王「三人とも目がキラキラして怖いんだけど……」

土「ちょっと……」

魔王、側近「………」

土「うちのカミサンの毒気にやられてでゲス……」

傭兵「んんん!こんな気持ちのいい朝はみんなして歌おう!」

士卒、勇者「はい!」

魔王「発言は爽やかなのに見た目が爽やかじゃ無いのが何とも言えないね……」

側近「はい……土様、その奥様の毒気と言うのは……?」

土「自分が襲われないようにと……人間の清い部分を増幅させてしまうんでゲス」

魔王「ある意味最強の力だよね……」

土「そうでゲスな……」

傭兵、士卒、勇者「ららららぁー♪」

側近「それにしても……何で土様のお家に行く事になったんですか?こうなるって土様はわかってて……」

土「その辺は察して欲しいでゲス……」

側近「強引に付いていったんですね……」

カチャ

兵士「……うーす……」ゲソッ……

水「おはよう!」

側近「おはようございます。……こちらも昨日は何処へ行ってたんですか?」

兵士「………」

水「私達とエリゴスとでオーガの食料調達へ付き合わされていたのよ」

魔王、側近「………」

水「何調達してきたか言った方がいい……?」

魔王「言わないでいいよ……」

水「そう?」

側近「こちらの……兵士さんは何かあったんですか?凄いやつれてるんですけど……」

水「疲れてるだけよ」

兵士「………」

水「食料調達の時に妙なテンションで『俺は神も殺せるぞぉ!』だなんて言ってね!」

側近「………」

水「そのテンションのまま夜の営みまで突入……ふふ、凄かったわ……」

兵士「………」

側近「へ、へぇ……」

水「……聞く?」

側近「別にいいです……」

兵士「……ん?」

隻眼「………」グワッ!

兵士「お前……何でいるの?」

隻眼「魔王様の護衛を仰せつかってですッ!」グワッ!

魔王「………」

兵士「……何で?」

魔王「仕方無かったんだよ……」

兵士「ヘッポコ兄ちゃんよ……」

魔王「でもさ……彼、相当上の人間なんだろ?何か風貌が只者じゃ無いから……」

兵士「………」

魔王「彼は君達よりどれくらい上なの?」

兵士「……下だぜ」

魔王「……は?」

兵士「それにあいつ兵隊ですらねえよ……」

魔王「………」

兵士「なんたって雑用なんだからな……」

魔王「何でそんなのがあの場にいたの……?」

兵士「どさくさに紛れて付いてきたんじゃねえの……」

魔王「ぼ、僕の護衛をやるって言うくらいだから腕の方は立つんだよね!?」

兵士「………」

魔王「………」

隻眼「……?」グワッ!

カチャ……

エリゴス「………」

魔王「おはようエリゴスさん……?」

エリゴス「……五発殴らせろ」

魔王「嫌だけど……何かあったの……?」

エリゴス「何故……我がこの様な疎外感を感じなければならぬ……」

魔王「………」

側近「……魔王様?」

魔王「何だろうねエリゴスさん……」

側近「多分ですよ?……ツガイになっている中にエリゴスさん一人入ったんで相手にしてもらえなかったんですよ……」

魔王「それで寂しい思いをしてるとでも言うのかい……?」

側近「多分ですよ多分……エリゴスさん、一緒に行った方達の間に入れなかったんですよ……」

魔王「まっさかぁ……」

側近「侍さん歩兵さんコンビは入りにくい距離を保ってますし……兵士さんと水様の間には入りたく無いでしょうし……」

魔王「………」

エリゴス「………」シュン……

隻眼「……異界の魔神殿とお見受けするが如何か?」グワッ!

エリゴス「誰だ貴様……」

隻眼「失礼、小生隻眼と申し上げますッ!」

エリゴス「……ソロモン72柱序列15番エリゴスだ」



魔王、側近「………」

隻眼「素晴らしい……魔神で騎士とは……」グワッ!

エリゴス「そうだろうそうだろう」フフン

隻眼「それでいて、騎士で魔神である。なんと言う素晴らしさ……」グワッ!

エリゴス「そうだろうそうだろう」フフン

魔王「………」

側近「……何か意外と相性がいいんですかね」

魔王「みたいだね……」

バタン!

炎「諸君ら、おはよう」

風「おはようございます」

衛兵「………」

魔王「おはよう……君達は昨日はどうしてたんだい……」

炎「少々トラブルに巻き込まれていただけだ」

魔王「………」

側近「トラブルとは……?」

魔王 (あああ……側近、聞いちゃうのか……)

炎「風に悪さをする輩が現れたので排除したまでだ」

魔王「……ならそのトラブルは解決はしてるんだね?」

炎「無論」

魔王「そう……」

側近「風様……その輩って言うのは……?」

風「………」

側近 (風様の嫌そうな顔初めて見た……)

衛兵「なあ……」

兵士「うわ……あのオッサンの爽やかっぷりはなんだ……」

水「気持ち悪いわね……」

衛兵「話を聞け!」

兵士「でもよ……オッサンが

衛兵「オッサンなどどうでもいい!」

兵士「なんだよ……」

衛兵「お前……体におかしな所は無いか……?」

兵士「はあ?ねえけど?」

水「あるわけ無いじゃない。あれだけ妊婦を蹂躙するのよ?」

衛兵「………」

水「前は激しく出来ないから後ろ

兵士「お、おい!衛兵!ななななんでそんな事聞くんだよ?」

衛兵「大概にしておいた方がいいと思うが……本当に無いんだな?」

兵士「……ねえよ。まさか……上官殿が出した食事の中にヤバイのがあったのか……?」

衛兵「それは今後起きないと祈ってろ……そうじゃ無く……」

兵士「起こられてたまるか……そうじゃ無く?」

衛兵「体に異変や変調が起きてないか……?」

兵士「だからねえって!何なんだよ!何が言いてえ!」

衛兵「……私の体が変なんだ」

兵士「そりゃ元からだろ」

衛兵「そうじゃ無い!……魔物と人間ってものは魔物の方が足が早いと思わないか?」

兵士「別に……足が早い人間だっているだろ」

衛兵「その魔物が友や人狼さんだったとしてもか?」

兵士「………」

衛兵「私があの二人と平行して走ったんだ。……それで特に問題も無く付いていけた……」

兵士「へぇ……」

衛兵「この逃げ足の遅い私がだ」

兵士「………」

衛兵「何故こうも早く走れるようになったんだ……」

兵士「……そりゃ上官殿の元で鍛えられたんだろ」

衛兵「………」

兵士「俺もな……竜を相手にして倒せたんだよ」

衛兵「な……お前はそんな事を昨日していたのか」

兵士「上官殿に連れられてだよ……そんで竜を倒してきた……」

衛兵「………」

兵士「思うにさ……俺達ってクソ強くなってんじゃねえの……」

衛兵「自分の知らぬ間に……これ程レベルアップしていたのか……」

水「………」

兵士「………」

衛兵「………」

水「……どうするの?」

兵士「あ?何が?」

水「あんた達ってオーガ並みに強くなったって事でしょ?」

兵士「流石にあんなんにはなれねえよ……」

水「その力を……どう使う?」

兵士「どうってな……」

水「今なら魔王やら魔物を殺せるわよ……」

兵士「馬鹿か!誰がそんな事するか!」

水「………」

衛兵「……夫人、貴女の思っている事は多分杞憂に終る」

水「………」

衛兵「この力はこの輪には向けられない」

水「だといいけど……」

兵士「なんだ……今更不安なのかよ……」

水「………」

兵士「アホだろ……」

水「アホとか言わないで……私は魔物で貴方は人間って事実は変わらないんだから……」

兵士「………」

衛兵「……それでも共存していくと言っているのが魔王なんだろ」

水「………」

衛兵「正直、最初は馬鹿げた話だとは思った。だが……現状はどうだ」

水「………」

衛兵「人間だろうが魔物だろうが……中身の本質と言う物は同じなんだろう……きっと……」

兵士「本質って?」

衛兵「んー……例えば、誰かを愛し愛され愛を育み愛の結晶を授かるとかか」

兵士「……お前それ言って背中痒くならない?」

衛兵「ならん!素晴らしい事ではないか!」

兵士「………」

衛兵「だから……」

水「そっか……同じなんだ……」

衛兵「………」

水「………」

兵士「今のでちっとは安心したか?」

水「まあね……」

兵士「じゃあそんな顔するなよ。し……ううん!綺麗な顔が勿体無いぞ!」

水「………」

衛兵「しかし……魔王は凄いよな……」

兵士「はあ?ヘッポコだろ?」

衛兵「お前さっきの話をちゃんと聞いていたのか……恐らく、魔王は本質を見抜いて共存すると言っているんだぞ」

兵士「………」

衛兵「こんな事は……誰も考えんしやろうともしないだろ?それをな規模はまだ小さいが成そうとしている……」

兵士「……考えてみたらそうだな。ヘッポコ兄ちゃんって実は凄いのか……」

衛兵「凄いな。見た目とは裏腹に確りと考えているんだろ……それでなければこの化け物揃いの面子を揃えられん……」

兵士、水「………」

衛兵「異国の上官殿や地獄の魔神に勇者……我々や水殿の元魔王四天王だぞ……」

兵士「……オッサンは?」

衛兵「それはどうでもいい」

水 (やだ……魔王の事なめてたけど……)



魔王、側近「………」

傭兵「花の香りに包まれてぇぇー♪」

士卒、勇者「らららー♪」

魔王「……これはいつまで続くの?」

土「今日一日はこんな感じでゲス……」

魔王「………」

側近「……魔王様?そろそろですかね?」

魔王「なにが?」

側近「ほら……ここに顔を出してない方がいるじゃないですか……」

魔王「ああ……そろそろだろうね……」

側近「やっぱり……」

魔王「言わないでいいよ……侍は不明な物は出すけど不味い物は出さないから……」

側近「そうですね……」

兵士、衛兵、水「………」

魔王「……何かな?そんな真剣な眼差しを僕に向けて……」

兵士、衛兵、水「別に……」

魔王「………」

エリゴス「紹介しよう。我が友の……隻眼だ」

炎「……友?」

隻眼「御初に御目にかかりますなッ!小生、隻眼と申し上げますッ!」グワッ!

炎「……エリゴス様、本当に変わられましたな」

エリゴス「………」

炎「これも魔王に召喚された時から決まっていたのでしょう……」

エリゴス「かもしれんな……」

隻眼「……?」グワッ!

傭兵「さあみんなぁ!お兄さんと一緒に踊ろうよ!」キラッ!

士卒、勇者「らららー♪」キラッ!

水「……嫌よ。気色悪い」

傭兵「………」

兵士「オッサン……マジで歳を考えろよ……」

傭兵「………」

魔王「申し訳無いけど……それは勇者達と隅っこの方でやってね……」

傭兵「………」

側近「傭兵さん?今は傭兵さん達はおかしくなっているんですよ……だから大人しくしてましょうね」

傭兵「………」

土「筆頭殿……ハウスでゲス。側近も大人しくしてろと言ってるんでゲスからな……」

傭兵「………」

衛兵「くだらん……」

傭兵「……みんな……踊らないの……?」

兵士「踊らねえって言ってるだろ!」

水「そうよ!向こう行ってなさいよ気持ち悪い!」

魔王「邪魔だから隅っこに行ってて!」

側近「大人しくしててください!」

土「ハウスでゲス!」

衛兵「ふざけてないで仕事をしろ!」

傭兵「……そっか……」カリカリ……

兵士、水、魔王、側近、土、衛兵「………」

傭兵「………」カリカリ……

兵士「お、オッサン……落ち着けって……」

土「変な事は止めてでゲス……」

傭兵「みんなで楽しく踊りたかったのに……」カリカリ……

魔王「は、はやまらないで……」

側近「そうですよ傭兵さん……」

水「な、何が始まるのよ……」

衛兵「わからん……」

傭兵「………」

兵士、水、魔王、側近、土、衛兵「………」

傭兵「はぁ……」

兵士、水、魔王、側近、土、衛兵「………」

傭兵「踊れえぇぇぇぇッ!!!」グバッ!



バターンッ!

侍「ささあ!皆の衆、朝げの準備が整い……」

傭兵「ワン!ツー!お兄さんに続いてぇ!」

士卒、勇者「ワン!ツー!」

兵士、水、魔王、側近、土、衛兵、エリゴス、炎、隻眼「………」ガクガク……カクカク……

侍「傭兵殿……これは何事か……?」

傭兵「あ!侍君!君も一緒にどうだい!」

侍「………」

傭兵「みんなと踊ろうよ!」キラッ!

侍「……いえ、朝げの準備が整いましたので」

傭兵「そっか!じゃあ魔王四天王体操終わり!」

士卒、勇者「はい!」

魔王「………」ドサッ……

侍「おおお大殿!」

魔王「大丈夫……世の中には善人になってはいけない人間ってものがいるなんて思わなかったよ……」

側近「本当ですね……」

土「そうでゲスな……」

侍「……?」

エリゴス「……己で体感すると傭兵の力が如何に恐ろしいか良くわかるな」

炎「本当に……」

侍「大殿……食事の用意が整っていますが……」

魔王「うん……」

侍「では!」

ーー

魔王「ケフ……」

魔王「……どう考えても、あの肉の量は食べれないよ」

魔王「………」

魔王「今更だけど……突っ込みどころが多すぎて何のお肉か聞けなかったのはな……」

魔王「最近はバハム……いや、お魚!ばかりだったからいいんだけど……」

魔王「野生の……動物のお肉だよね……きっと……多分……」

魔王「………」

側近「魔王ケフッ……失礼、魔王様?」

魔王「何かな……」

側近「踊り場?で佇んでどうされたんですか?」

魔王「胃腸の調子を整えているんだよ……」

側近「魔王様もですか……」

魔王「本当はゴロゴロしてたいんだけどね……今、横になったら戻しそうだし……」

側近「………」

魔王「それにしても……お肉美味しかったね……」

側近「はい……」

魔王「……何のお肉だったんだろうね」

側近「………」

魔王「万が一があるから迂闊に聞けないし、またお願いなんて出来ないよね……」

側近「既に万が一だった場合はどうするんです……?」

魔王「僕はもう諦めてるよ……」

側近「………」

魔王「………」

ズガァーンッ!

魔王、側近「ホアッ!?」ビクゥッ!

魔王「なななななに!?」

……いやぁ!大殿ぉすいませぬ!

魔王「侍か……」

側近「侍さん!下から物を投げないでください!危ないじゃないですか!」

……失敬失敬!少し手元が狂いましてな!お怪我はありませぬか!

側近「私達は大丈夫ですけど!一体なにを投げたんですか!」

……歩兵の奴をですな!

魔王、側近「……え?」バッ

歩兵「あぐうぅ……」

魔王「き、君!大丈夫かい!」

歩兵「……はぁ……ぁぁ……」

魔王「そ、側近!この子目が虚ろでちょっとヤバイかも!」

側近「どどどどどうしましょう!」

歩兵「す……すて……ぁぁ……」

魔王「すて……なんだい!」

歩兵「素敵な……投撃です……上官……殿……」ビクゥ……

魔王、側近「………」

……大殿!歩兵の奴を投げ返して下さいませぬかぁ!

魔王「出来るわけ無いだろ!」

……確りと受け取ります故、御安心めされ!

魔王「そう言う問題じゃ無くて!」

側近「………」



勇者「なにこれ……」

水、兵士、土「………」

傭兵「星を讃えん我が命の果てにぃー♪」デュワワ

士卒「果ーてーにー!ららら!」

土「……我に帰ったでゲスか。良かったでゲス……」

勇者「………」

土「………」

勇者「……もしかして僕もみんなの前でアレやってたの?」

水、兵士、土「………」コクッ……

勇者「うわああああッ!恥ずかしい!」

兵士「良かったな……元に戻って……」

勇者「良かったけど!……エリゴスたんも見てたんだよね……?」

水「もち……」

勇者「ぐああ……こんな恥ずかしい事をエリゴスたんに晒すなんてぇ……」

水「別にいいじゃない。いっつも恥ずかしい姿晒してんだから」

勇者「………」

兵士「お、おい……そんなズバッと言うなよ……」

土「そうゲス……傷心してる所に追い撃ちは無いでゲス……」

水「本当の事言っただけよ?」

兵士「それでもだな……」

勇者「……男色オバサンの方が恥ずかしいんじゃないの」ボソッ

水「ああ?今なんて言った?」

勇者「別にぃ……」

水「………」

兵士「止めとけって……こんな奴の言う事なんか気にするなよ……」

勇者「そうそう、エリゴスたんが白のワンピースに麦わら帽子の格好してた時があったけど……あれオバサンのなんだって?」

水「オバサンって言うな……」

勇者「どうなのさ?本当なの?」

水「そうだけど……何か問題ある?芋助ロリコン」

勇者「芋助って付けないでくれる……」

水「あら?ゴメンね、芋助ロリコン」

勇者「………」

水「で?芋助ロリコン、私のワンピースがどうかしたの?」

兵士 (芋助って何だよ……)

勇者「……オバサンあれを何処で着るつもりなの?」

水「オバサンって言うな……そんなの決まってるでしょ、海辺よ」

勇者「はんっ……」

水「何よ……」

勇者「あれは田舎の風景の中で映える衣装なのにわざわざ海辺って!ぷぷぷ!」

水「なにいってるの?あれは海辺でしか合わないでしょ!」

勇者「浅いなぁ……オバサンの思考だよそれ!」

水「オバサンって言うな……芋助ロリコンの方こそアホみたいな思考してなに言うのよ!」

勇者「じゃあさ、あの衣装を海辺で着てどうするのさオバサン」

水「オバサンって言うな……そりゃトレンディに余計な物など無いよねって感じよ。芋助ロリコン」

兵士 (絶対こいつと海辺を歩かない……)

水「ラブストーリーが突然101回目でSAY YESとかになるでしょうに!」

勇者「………」

水「芋助ロリコンだからそんな事もわからないの?」

勇者「そんなのわかるのいるわけ無いだろ……」

兵士 (やべ……俺わかっちまった……)

土「どうしたでゲス?」

兵士「な、何でもねえよ!」

土「……?」

兵士 (俺……知らねえ間に水の感性に取り込まれてるのか……?)

勇者「……それをオバサンが着るの?」

水「オバサンって言うな……そりゃそうでしょ。ちょっと涙目で振り向いた様なんか最高よ!」

勇者「………」

水「……?」

勇者「キモいよ……それ……」

水「何ですってぇッ!」

勇者「だってね……」

水「大人な恋愛が出来ないから幼児趣味に走っちゃう様な芋助ロリコンに言われたくないわよ!」

勇者「僕は立派にエリゴスたんと大人な恋愛してるだろ!」

水「どこがよ!どうせ御手洗いに駆け込んで妄……あ……れ?」

勇者「失礼だな!そこら辺は堂々としてますぅ!」

兵士「お、おい!二人とも止めろよ!」

水「………」

勇者「オバサンが失礼な事とキモい事言うから悪いんだろ!」

兵士「人の女房にキモいとか言うんじゃねえよ!」

水「ん……ちょっと……」

兵士「あ!?こいつに言ってやれよ!クソロリコン野郎って!」

水「……それどころじゃ……あ……」

兵士「……おい?」

水「いだだだ……ぐうぁ……」

兵士、勇者、土「………」

水「痛……ぁぁぁ……」

兵士「テメエッ!水に何した!」

勇者「なななな何にもしてないよ!」

兵士「嘘つけ!おい!大丈夫か!」

水「大丈夫じゃ無いし……ち……違うの……」

兵士「何がだ……」

水「う……」

兵士「……う?」

水「う……産まれる……ぐぅぅ……」

兵士、勇者、土「………」

水「あな……た……」

兵士「おおおおおおおい!しっかりしろ!」

勇者、土「………」

兵士「おめえらなななななな!」

勇者「わわわわわわか!」

土「ゲゲゲゲゲゲゲス!」

水「誰か何とか……して……ぁぁぁ……」

兵士「まままままま!」

勇者「お湯お湯お湯お湯お湯ゆゆゆゆ!」

土「ゲスゲスゲス!」



エリゴス「ほう……」

兵士「たたたたたた!」

水「いだぁ……何とかしてぇ……」

エリゴス「待て。……確かあった筈だが」

兵士「なななななな!」

エリゴス「貴様は少し落ち着け……」

兵士「すぅ……はぁ……。な、何があった筈なんだ!」

エリゴス「ふむ、魔物の魔体医学書だな」

兵士、水「………」

エリゴス「……何処にあったか」

水「痛いから……急いで……くれる……?」

兵士「お嬢ちゃんに任せるつもりかよ……」

水「こんな出産とか……他の誰に頼めるのよぉぉおおおおお!」グワッ!

兵士「だだだだ大丈夫か!」

水「ひぃ……もう駄目……あああああ!」

兵士「何か別な事考えろ、な?痛みを誤魔化す様な感じで」

水「ふぅ!ふぅ!」

兵士「………」

水「……死ねぃッ!早漏野郎ッ!」

兵士「え……」

水「ご、ごめん……これ言うと痛みが和らぐの……本当はそんな事思って無いからね……」

兵士「そ、そっか……」

水「短小包茎で女が感じるとでも思っておるのかッ!」

兵士「………」



魔王「散歩がてら城外に出てみたのはいいんだけどね……」

側近「………」

魔王「あらためて僕のお城見ると……結構ボロボロだね……」

側近「エリゴスさんの事とか……色々ありましたからね……」

魔王「うん……本当色々あったね……」

側近「………」

魔王「ああああ……」

側近「そんな嫌な思い出ばかり思い出さないでください……良い事もあったじゃないですか……」

魔王「……例えば?」

側近「え……えーと……」

魔王「………」

側近「……ほ、ほら!このお城に住んでる人が増えて賑やかになったじゃないですか!」

魔王「それでお城がこの惨状なんだけど……」

側近「………」

魔王「………」

側近「後は……私と魔王様の事……とか?」

魔王「………」

側近「良い事じゃありません……?」

魔王「それは……ね?」

側近「………」

魔王「何て言うか良い悪いとは関係無い所にある事だから……」

側近「………」

魔王「………」

側近「魔王さ

……グワッ!……

魔王、側近「ッ!?」キョロキョロ!

魔王「な、何今の……」

側近「わかりませんけど……あの方はいませんよね……」

魔王「その筈だけど……」

……グワッ!……

魔王、側近「ッ!」ビクゥッ!

側近「ももももも戻りましょ魔王様!」

魔王「う、うん……」

側近「………」

魔王「………」



焔「………」

人狼「何でいるって……」

焔「俺にも何がなんだかサッパリ……」

人狼「………」

焔「……悪かったな。殴ったりして……」

人狼「別にもういいって……」

焔「………」

人狼「………」

焔「………」

人狼「お前……レイパー様とどう言う関係って……?」

焔「レイパー様?」

人狼「元炎様の事って」

焔「教えてやるけどよ……火の奴を何でレイパーなんて呼んでるんだ?」

人狼「レイプしたからって」

焔「……は?アイツが?」

人狼「そうって。ボインの風ちゃんをもうそれはってッ!」

焔「マジかよ……」

人狼「しかも『ぐへへ!手込めにされ憎むべき相手の子を孕んだ気分は最高だろ!』とかって……」

焔「………」

人狼「それで風ちゃん……精神崩壊してって……」

焔「………」

人狼「………」

焔「最低じゃねえか……」

人狼「うんって……」

焔「お、俺は……そんな奴の分身なのかよ……」

人狼「………」

焔「おおお……俺は……俺は……」

人狼「後ね!」

焔「……まだあるのか?」

人狼「まだまだぁあるってぇ!」

焔「………」

人狼「アチシをこきつかうしぃ!上司としては最低だしぃ!」

焔「………」

人狼「極めつけはってッ!」

焔「………」

人狼「……雄がいいみたいよぉって」

焔「それは無いだろ……」

人狼「あるんだって!風ちゃん元雄だし」

焔「嘘……だろ……」

人狼「見た目が良ければ雄でも構わないってヤバイよねって!」

焔「………」

人狼「そんで!」

焔「もうやめろ……やめてくれ!」

人狼「………」

焔「やめてくれ……ぐああぁ俺は何の為に……」

人狼 (あらら?何か凄いダメージ受けてるって)

焔「………」

人狼「……れ、レイパー様!」

炎「貴様……懲りずにまだこんな所でウロウロしているのか!」

焔「………」ジィ……

炎「……何だ?」

焔「もう……やめだ……」

炎「は?何の事だ?」

焔「悟ったんだよ……俺がしようとしてた復讐がどれだけ意味が無く馬鹿馬鹿しい事かをな……」

炎「………」

焔「……俺はお前の分身だがよ、俺は俺でお前はお前だ」

炎「………」

焔「俺がしようとしてた事は結局無い物ねだりの何物でも無かったんだ……」

炎「………」

焔「俺はお前と同じ生き方じゃなきゃ意味が無いと思ってたが……違う生き方でよかったんだな……」

炎「……だが貴様は私と同体

焔「違うッ!断じてお前と一緒なんかじゃねえッ!」

炎「そ、そうか?」

焔「いいか!例え分身だろうが今後同体とか言うな!わかったな!」

炎「それは構わんが……何故それほどまでに否定する……?」

焔「………」

炎「………」

人狼「あの……って」

焔「……今の会話聞いてなんとなくわかったろ」

人狼「同体とかって……つまりレイパー様はお前でお前はレイパー様って……?」

焔「そうだが違うッ!ぐああぁ……違うけどそうだぁぁ……」

人狼「どっちって……」

焔「違う……方だぁ……」

炎「先程から何なのだ……」

焔「………」

炎「私の不要な部分が貴様だろ」

焔、人狼「………」

炎「いくら同体とは言え、違いが出ても何ら不思議ではない」

焔「そ、そうなのか?」

人狼 (不要な部分をこいつにやってこれって……)

焔「なら!……いや、やめとこう」

炎「………」

焔「ふっ……頑張れよ」キラキラ……

炎「何故……その様な優しい眼差しで私を見る……?」

焔「俺はお前と違うからな……マジで良かったよ……」

炎「……?」

人狼 (じゃあ……こいつ良い奴じゃんって……)

焔「何だろうな!世界が輝いて見えるぜ!」

炎「………」

焔「ふふふ……」



水「はぁはぁはぁ……」

エリゴス「頑張ったな。立派な赤子だ」

水「……見せて……」

エリゴス「ほら」

……「……zzz」

水「可愛い……私がママよ……」

エリゴス「………」

水「あなた……見て……」

兵士「………」ズーン……

水、エリゴス「………」

兵士「俺は駄目な奴だぁぁうおお……」

エリゴス「こいつは何を落ち込んでおるか……」

水「知らないけど……あなた!」

兵士「もう罵らないでくれぇ……」

水「ほら!これ見なさい!」

兵士「………」

水「わかる?……私達の子よ」

兵士「………」

水「これがあなたのパパですよぉ」

兵士「………」

水「……何か言いなさいよ」

兵士「いやぁ……普通に可愛いな……」

水「そうでしょ……」

兵士「………」

水「目元は貴方に似てるかな……ね?」

兵士「口元はお前そっくりだ……」

水「ふふ……」

エリゴス「ふぅむ……」

兵士「ぉぉ……」

水「抱いてみる?」

兵士「い、良いのか?」

水「良いに決まってるでしょ」

兵士「何か……触ったら壊れそうで怖いんだよ……」

水「なら優しく……」

兵士「おう……」

水「………」

兵士「……温かいな」

水「もっと言う事があるでしょ……」

兵士「わかってる……だが色々言う事が有りすぎて言葉が出て来ないんだよ……」

水「そっか……ふふふ」

エリゴス「……いいか?」

水「何?エリゴスも抱きたい?」

エリゴス「違う。……赤子の状態が良くないようだ」

水「は?」

エリゴス「この赤子、産まれてから産声と言うものを上げていない。魔体医学書によるとこれはマズイ状態のようだ……」

水、兵士「………」

エリゴス「………」

水「なななな何とかならないの!」

兵士「そうだぜ!」

エリゴス「産声を上げるまで叩くとかか……」

水「起きてぇぇぇ!泣いてぇぇぇ!」パシパシ

……「……zzz」

兵士「声を出すんだぁぁ!」パシパシ

……「……zzz」

エリゴス「………」

水「何か他の方法は無いの!」

エリゴス「このままが続くなら……諦めろとしか言えん……」

水「………」

兵士「何とかしろよ!お前地獄の魔神だろうがッ!」

エリゴス「……地獄の魔神だろうが出来んものは出来ん」

水「そんな……」

兵士「………」

エリゴス「すまんな……」

水「やめてよ……私の赤ちゃんなのよ……」

兵士「こんなに可愛いのに……」

……「………」パチッ

水「お願い……目を開けたまま声を出して……ねえ……」

兵士「………」

水「お願いだから……」

……「……レーヴェ……」

水「え……」

……「……ヴィントシュティーレ……」

水「……喋った」

兵士「ああ……」

水「喋った!あなた喋ってるの!」

兵士「ああ!喋ったな!」

ズガァーンンンッ!

水、兵士「………」

……「……zzz」

水「何今の凄い音……」

兵士「さ、さあ……」

エリゴス「………」

水「エリゴス……今の何?」

エリゴス「知らん……が、この赤子……」

水「………」

エリゴス「魔術の詠唱らしきものをしたように聴こえたが……」

水「………」

……「だぁ」

水「……でもこれ大丈夫って事でしょう?」

エリゴス「まあな……だが……」

勇者君が楽しそうに瓦礫の下敷きになったよ!

うわああ!大丈夫かでゲスか!

水、兵士、エリゴス「………」

エリゴス「大丈夫と言うわけでは無さそうだな……」

水、兵士「………」

……「だぁだぁ!」



士卒「………」

傭兵「勇者君大丈夫かな!どうなっちゃったかな!」

土「筆頭殿!そんなに楽しそうにしてる場合じゃ無いでゲス!」

傭兵「内臓グチャグチャかな!」ワクワク!

士卒「オッサン……気持ち悪い事言ってるんじゃないよ……」

土「おお!お前正気に戻ったでゲスか!」

士卒「正気?何の事だ?」

土「まぁ……それは後程でゲス……それよりも!」

士卒「……?」

土「この瓦礫の下に勇者が埋まってしまったでゲス!」

士卒「………」

土「何とかしないとでゲス……」

士卒「そのままでいいんじゃないか?」

土「は?」

士卒「別に誰も困らないし……」

土「でも仲間でゲス!どんなにアホでも!どんなに屑でも!どんなにロリコンでもゲス!」

士卒「………」

土「エリゴス様の周りをクンクン嗅ぎ回ってる変態でも!」

士卒「………」

土「……あれ?何でゲスか……何か助けなくても良いような気がしてきたでゲス……」

士卒「だろ?」

土「………」

士卒「それよりも何でこんなんになってるの?」

土「わからないでゲス……突然壁が崩れて……」

士卒「………」

土「もしかしたら何かしらの敵が攻撃を仕掛けてきたのかもしれないでゲス!」

士卒「ん……それは無いかも」

土「何でゲス?」

士卒「なんて言うか……この辺、悪意が無いんだよな」

土「悪意?」

士卒「ほら、もし敵が攻めてきたらさ殺してやる!とか思うだろ?そう言うのが感じられないんだ」

土「………」

士卒「それがこの瓦礫の辺りには無い」

土「お前……そんな事がわかるでゲス?」

士卒「……あれ?何で俺そんな事わかるんだろ……」

土「………」

士卒「………」

土「覚醒……ってやつかもしれないでゲスな」

士卒「俺が?まさか……」

土「そんな感覚……普通に持てるわけ無いでゲス」

士卒「………」

土「わたすもっと強くなれるって言ってくれでゲス」

士卒「言わんわ……」

土「覚醒した者なら言わなければいけないセリフでゲスよ!」

士卒「………」

土「それは今度と言う事にして……この瓦礫どうするでゲス……」

士卒「絶対言わん……こうしとけば誰か片付けるだろ……」

土「どうするでゲス?」

士卒「『勇者封印の地』とでも書いとけばいいよ」

土「それでこの城にいる者が行動に移せばいいでゲスが……」



魔王「!!!!」キョロキョロ!

側近「……何でそんな焦った顔してるんですか?」

魔王「だ、だって君ね!ウロウロしてたら道に迷ったんだよ?!」

側近「………」

魔王「大変だよ!暗くなる前にお城に着ければいいけど……」

側近「はぁ魔王様……お城は向こうですよ……」

魔王「え……」

側近「向こうです」

魔王「……何でわかるの?」

側近「わかりますよ……別に迷う程お城から離れてませんし」

魔王「………」

側近「………」

魔王「へ、へぇ……そっか。流石側近だね……」

側近「魔王様……少しはお城の外へ出るようにしたらどうですか?」

魔王「うん……」

側近「お城に籠りっきりですからそうなるんですよ……」

魔王「………」

側近「こんな迷子みたいな……迷子?」

魔王「……?」

側近 (あ……ああ……そうかぁ!このまま魔王様と遭難しちゃえば!)

魔王「………」

側近 (私とした事が……そうすれば最後には二人裸で抱き合い体を暖めあう事になるのに!)

魔王 (側近のこの表情はあまりいい事考えてない顔だよね……)

側近 (しまったぁぁぁぁ……迂闊に迷って無いなんていわなければ……)

魔王「………」

側近「……魔王様大変です」

魔王「何が……?」

側近「後少しで濃霧が発生して嵐が来ます」

魔王「………」

側近「もう身動きが出来ない程に!」

魔王「そう……なら城に早く戻

側近「駄目です。間に合いません。もう遅いです。諦めましょう」

魔王「………」

側近「………」

魔王「……僕は察するべきかね?」

側近「はい」

魔王「………」

側近「嫌……ですか……?」

魔王「………」

側近「……また邪魔されちゃいますよ?」

魔王「………」

側近「………」

魔王「……側近」

側近「………」

魔王「そんな寂しそうな顔しないで……うん」

側近「……?」

魔王「手を出して」

側近「はい……?」

魔王「………」ニギ……

側近「あ……」

魔王「側近の手は温かいね……」

側近「魔王様……」

魔王「何か改めて見詰め合うと……照れちゃうね……」

側近「………」

魔王「側近……好きだよ」

側近「………」

魔王「やっと側近にこの言葉を聞いてもらえたね」

側近「………」

魔王「うん……」

側近「うぅ……うえぇぇん……」

魔王「な、泣かないでよ……」

側近「違うんです違うんですよぉぉ……」

魔王「………」

側近「嬉しすぎて涙が止まらないんですぅ……うぅっ……」

魔王「………」

側近「まおぶざまぁ」

魔王「はいはい……僕は君の側にいるからもう泣かないでいいよ……」ダキッ

側近「うぅ……」

魔王「………」

側近「ぁぁぁぐ……」

勇者「………」ニヤニヤ

魔王「側近の手も温かかったけど……体も温かいね……」

側近「魔王様も温かいです……」

魔王「………」

側近「………」

魔王「側近……」

側近「魔王様……」

勇者、風「………」ニヤニヤ

魔王「………」ゴクッ……

側近「………」

魔王「側近……いくよ……」

側近「はい……魔王様……」

勇者、風、隻眼「………」ニヤニヤ

チュッ

魔王「………」

側近「………」

魔王「……どうかな?」

側近「ふふ……」

魔王「……?」

側近「どうかななんて聴くのおかしいですよ……嬉しいに決まってます……」



傭兵「嘘……だろ……?」

土、士卒「………」

傭兵「これは何だ……?」

土、士卒「………」

傭兵「本当にオジサンがやったって言うのか……?」

土「間違いないでゲス……」

傭兵「………」

士卒「オッサン……」

傭兵「有り得ねえ……有り得ねえ……」

士卒「業火とか……なんとかバイヒとか言ってるからこうなるんだよ……」

傭兵「うおおお……」ガタガタ……

土、士卒「………」

傭兵「ぽ、ポエムって何だよ……」

土「愛のポエム第一章……悠久の恋路へ……ゲス」

傭兵「………」

士卒「恥ずかしいなオッサン……」

傭兵「言うな……」

土「君、思う故にファンタスティック。スタコラさっさでレボリューション」

傭兵「読むなッ!」

土、士卒「………」

傭兵「………」

士卒「まあ……いつもとあんまり変わんないじゃん。だからさ気にするなよ」

傭兵「オジサンいつもそんなんじゃないわ!」

士卒「そんなんだって……え?」

傭兵「……あ?……ああ?!」

土「おお!」

水「ふふふ……」

……「だぁ」

土「産まれたでゲスか!おめでとうでゲス!」

水「あんがと!ふふっ」

傭兵、士卒「………」

土「それはそうと……お前動いても大丈夫でゲスか?」

水「歩くだけならね。エリゴスに聞いたら普通出来ない事みたいなんだけど」

土「へぇ……でも、可愛らしい赤子でゲスなぁ……」

水「でしょ!でしょ!」

土「こんな可愛らしい赤子が将来こうなるかもしれないってのは……何とも

水「あ"?将来なに?」

土「何でも無いゲス……」

傭兵「……普通だな」

士卒「普通だな……」

傭兵「人間の赤ん坊と同じだな……」

士卒「そうだな……」

水「ほらほら!頭が高い控えおろう!このちっちゃいチンチンが目に入らぬかぁ!」

土「ははぁ!ゲスぅ。いやあ雄でゲスか」

傭兵、士卒「………」

土「羨ましいでゲスなぁ」

水「あんたんちも頑張んなさいよ。そうすればね?」

土「そうなんでゲスが中々どうしてでゲス」

水「そっか。ほれ中年!ほれほれ」

傭兵「………」

水「頭が高い……?」

傭兵「………」

水「何?」

傭兵「……いや、触っていいか?」

水「駄目」

傭兵「何でだよ……ちょいとぐらいいいじゃねえか……」

水「中年が移るでしょ!」

傭兵「………」

水「やだぁ冗談よ。抱いてみる?」

傭兵「いいのか……?」

水「落としたりしたら殺すけどね」

傭兵「誰が落とすか……」

水「ならはい。……本当に落とさないでよ」

傭兵「落とさねえって……」

……「………」

傭兵「………」

……「………」

傭兵「………」

水「何で中年まで固まってるのよ……」

傭兵「あ……何していいかわからなくてよ……」

水「赤ちゃん抱くと雄ってそうなるのねぇ……新発見だわ」

傭兵「………」

……「だぁ」ぐぐ

傭兵「お、おい!腕上げたぞ!」

水「そりゃ腕ぐらい上げるわよ……」

傭兵「そ、そうか……赤ん坊でも腕上げるか……」

水「何言ってるのよ……」

傭兵「いやな……逆にビビっちまうんだよ……」

……「……シュッツェ……」

傭兵「え……」

水「やだこの子ったら……またわけわかんない事言って。メッですよ!」

……「……グランツ……」

傭兵「ッ!?」

水「しょうがないわねぇヨチヨチ」

傭兵「ふ、伏せろぉぉッ!」ガバッ!

水、土、士卒「……?」

傭兵「死ぬぞッ!」

士卒「オッサン……何だよ……」

水「そうよ。どうしたのよ……」

傭兵「馬鹿ッ!首が吹き飛ぶぞ!」

土「まだうちの家内の毒気が抜けてないでゲスか……」

水、士卒「………」

傭兵「……?」

水、士卒、土「………」

傭兵「あら……?何も起きねえ?」

水、士卒、土「………」

傭兵「………」

士卒「一体何なんだよオッサン……」

傭兵「いやぁな……その赤ん坊が今喋った言葉がな……」

士卒「その前に何で赤ん坊が喋るんだ……?」

水「知らなぁい。この子私に似て賢いからかしら!ねぇ」

傭兵、士卒「………」

傭兵「……でだ、その言葉なんだが」

士卒「うん?」

傭兵「爆破の呪文だった……」

士卒「赤ん坊が魔法使えるわけないだろ……」

傭兵「……そ、そうだよな!何でオジサン危険だと思ったんだ……」

土「筆頭殿……まだ休まれていたらでゲス……」

士卒「まだ頭がおかしくなってるのか……」

水「またあの気持ち悪い事をこの子の前でしないでよ……」

傭兵「………」

……ズウゥゥゥン……

水、士卒、土、傭兵「………」

……「だぁ」

士卒「……今の音なんだ?」

土「何処かで何かが爆発した音みたいでゲスが……」



侍「どっせえいッ!」ズガンッ!

歩兵「グアッ!……ハァハァ」

侍「まだまだだ!立て!」

歩兵「は、はい!」

侍「……おや?」

人狼、衛兵「………」

侍「衛兵、散歩か?」

人狼「アチシを犬扱いするなって!」

侍「ほぉれ取ってこーい!」バビュンッ!

人狼「行かないって……」

衛兵「あんな軽い木の枝が見えなくなるまで飛ぶものなのか……」

焔「知らね」

侍「むう?今日は仮面を取ってどうした?気分転換か?」

焔「………」

侍「……?」

衛兵「上官殿……こいつは友では無い……」

侍「炎の奴では無い?」

焔「おい……何だよこいつ……」

衛兵「馴れ馴れしく聞いてくるな……」

焔「いいじゃんかよ……もう蟠りは消えたろ?」

衛兵「消えるか!貴様は私の愛しき人狼さんに手をかけたのだぞ!」

焔「ワンちゃんだって許してくれてんだからさ……」

人狼「ワンちゃんって言うなって!」

衛兵「……私はお前を許すつもりはない」

焔「ちぇ何だよ……悪かったって言ってんじゃん……」

侍「ふむ……」

焔「何だよ……俺の顔が珍しいか?」

侍「炎の奴と瓜二つ

焔「じゃねえ!あんな奴と一緒にするなッ!」

侍「……何故だ?」

焔「いいからッ!火と瓜二つなんて俺の前で言うな!」

侍「………」

人狼「同じじゃ無いから大丈夫って……」

焔「ほれみろ!流石ワンちゃんはわかってるなぁ!」

衛兵「人狼さん……何故こいつの肩を持つんです……」

人狼「こう言っとけば機嫌が良くなってアチシの言う事聞いてくれるからってぇ!むふふ」

衛兵 (悪女な面も併せ持つ人狼さん……素敵です……)

侍「………」

焔「また何だよ……こっち睨むな……」

侍「新参者ならば挨拶のひとつもせぬのか?」

焔「ん……そうだな。俺、焔ヨロピク」

侍「拙者は侍だ」

焔「ワンちゃんさ……こいつ強いだろ?」

人狼「強すぎって。レイパー様と互角みたいよって」

焔「へぇ……そんな奴がいるのか……」

侍「……挨拶代わりに手合わせするか?」

焔「やってもいいがな……お前負けるぜ?」

侍「ほう……やりもせずわかるか?」

焔「火の野郎と強さが同じなら俺には勝てねえよ」

侍「ふむ……余程自信があるのだな」

焔「まあね。今の俺に勝てる奴はそうはいねえし、あんたじゃ相手になんねえかな!」

人狼、衛兵「………」

侍「ならば胸を借りるつもりで向かわなければな!ははは!」

歩兵「上官殿……」

侍「何だ?」

歩兵「……あの様な事を言われ腹が立たないのですか!」

侍「………」

歩兵「自分は……上官殿を侮辱されたみたいで悔しいです……」

侍「歩兵……まだまだ修行が足りんな。そんな事で一々腹を立てていては勝てるものも勝てんぞ?」

歩兵「………」

侍「それにな……」

歩兵「……?」

侍「拙者より強いならば……嬉しいのだ……」

歩兵「……何が嬉しいのです?」

侍「戦い……お互いに命を削りあう事が出来る事がな……」

歩兵「………」

侍「拙者はその様な戦いに憧れている……」

歩兵「………」

焔「おっしゃ!ワンちゃん、どうやって勝負決めるか聴いてよ」

人狼「直接聴けばいいって……」

焔「ええ……まだ会ったばかりだぜ?俺、そんな奴とタイマンで話すの苦手なのよ」

人狼「………」

焔「俺って人見知りするしさ……」

人狼「どの口がそんな事言うって……」

侍「勝敗は参ったと言った者が負けでいいだろ?」

焔「それでいいならそれでいいぜ!」

人狼「………」

侍「うむ!では参られい!」バッ!

焔「手加減はしてやるが死ぬなよぉぉ!」バッ!

人狼 (あれ……?もしかしてここにいるとヤバいって……?)

歩兵「上官殿!裂いて裂いて裂きまくってください!」

衛兵「お前……何かグロいぞ……」

人狼「………」

侍「オオオオッ!」シュオオオッ!

焔「へぇ……オーラブレイドか。面白い武器を使うんだな」

侍「………」

焔「んじゃま……ハアアアアッ!」シュオオオッ!

侍「……お前も同じ武器では御座らんか」

焔「この辺は俺達気が合うかもしんねえな」



侍「いざッ!」ダッ!

焔「………」

侍「チェリアアアッ!」

ズバッ!ガギッ!

焔「ほう!やるな!」

侍「主もな!」

歩兵「上官殿ぉぉッ!腹引き裂いて臓物ぶちまけちゃってください!」

衛兵「……本当やめろよ」

人狼「気持ち悪いって……」

焔「よっと!」

侍「隙ありッ!」

焔「……ッ!」バッ!

………シュフォンッ!

侍「ぐぬ!?」

焔「ふう、危ねえ危ねえ……」

侍「………」

焔「空中に逃げなかったら斬られてたな!」

侍「………」

焔「どうした?続きやろうぜ!」

侍「……拙者、飛べぬ故降りてきては貰えぬか?」

焔「は?お前……飛べ無いの?」

侍「そう言ったであろう……」

焔「………」

侍「………」

焔「でも関係ねえだろ?」

侍「そう言われればそうだが……」

焔「じゃ、続行な!」

侍 (……どうしたものかな)

焔「そら!」ビュバッ!

侍「………」スススッ!

ズカッ!

焔「真空波も避けちゃうか!」

侍「………」

焔「……?」

侍 (あやつと同じ事や波動の刃を伸ばし叩き落とすと言うのもな……)チラッ

歩兵「卑怯者め! 降りて頸動脈かっさばかれろぉぉ!」

衛兵、人狼「………」

侍 (そんな戦いではこやつらの糧にならんだろうし……はてさて……)

焔「何であいつ固まってんだ?」

侍「………」

歩兵「上官!上官!お二方も一緒に!」

衛兵「やらん……」

人狼「アチシもって……」

焔「おいおい……終わらしちゃうぞ?」

侍「………」

歩兵「……上官殿は自分の応援が気に入っていないのでしょうか?」

衛兵「気に入ると思ってやってたのか……?」

侍「……よし」

焔「お?やっと来るか!」

侍「歩兵に衛兵……」

歩兵「はい!」

衛兵「……?」

侍「今から空を舞う者に対して……どう対処するか見せてやる」

歩兵、衛兵「………」

侍「しかと見ておけよ……」

歩兵「はい!上官殿!勉強させていただきます!」

衛兵 (見ておけと言われて真似出来るわけ無いだろうに……)

サムライ「射殺せ…気刃(オーブレード)!」ズァッ!

ワンコ「刀が…!」

衛兵「…伸びる!」

ほむら「なん…だと…!?」

歩兵「…伸びるぅーッ!」

サムライ「…13㎞や」ニタァ…


みたいな某オサレ漫画のあの人を彷彿させる展開になるんですね

侍「………」ググク……ッ!

焔 (なぁにやるんだかな……ふふ、面白そうじゃあーりませんか。高みの見物させて貰うぜ。ヤバそうだったら避けりゃいいし)

侍「………」

歩兵、衛兵「………」ゴクッ……

侍「カァァァアアアッ!!!」

焔「………」

歩兵、衛兵「………」

侍「………」……カチンッ

焔、歩兵、衛兵「???」

衛兵「カチンッって……い、いつの間に上官殿は剣を抜いたんだ……?」

歩兵「わかりません……」

焔「そんな曲芸見せられても怖くねえぞぉおい!」

侍「奥義……見景斬滑……」

焔「はぁぁ?何カッコつけてるのよ?」

侍「………」

衛兵「上官殿……これから何が

バアァーンッ!

歩兵、衛兵「ッ!?」

焔「あれ?音が遅れて聴こえてこるよってか。今時そんなの流行んねえんだよ!」

侍「………」

人狼「……ほあ?そ、空がって……」

衛兵「え……?」

焔「あん?」

ズズズズ………ズァァァアッ!!!

歩兵「空が……ズレていく……」

衛兵「………」

侍「ふふ……これが拙者の真骨頂!見せし風景を斬り滑らす……見景斬滑だ!」

焔、歩兵、衛兵、人狼「………」

侍「どうだ!」

歩兵「は……はは……お見事です上官殿……」

侍「お前も精進し使えるようになれよ」

歩兵「………」

衛兵 (んなもの真似出来るかぁ!化け物めが!)

焔「凄っげぇ……」

侍「……次は当てる故」

焔「………」

侍「………」ググクッ!

焔「あ、アホ!あんなの喰らえるか!」バッ!

侍「待て!」

焔「誰が待つか!……ここは一体どうなってやがるんだ……」

侍「……む?」

焔「火の野郎のスケと言いコイツと言い……俺の魔銀杭の力を凌駕しやがる……」

侍「なんだ?空気の密度が増した……?」

スドォォォォォォォン……

侍「………」

衛兵、人狼「………」

歩兵「流石です上官殿……情け無用と言うわけですね……」

衛兵「上官殿……あの追い撃ちはやり過ぎではないのか……」

侍「あのあやつが巻き込まれた爆破は拙者ではない……」

歩兵、衛兵「………」

侍「ほ、本当だ!」

歩兵「間違いは誰でもありますから……」

衛兵「間違いであんな事をされたら堪らないがな……」

侍「本当に拙者では無い!」

歩兵、衛兵「………」

侍「信じてくれ……」



魔王、側近「………」

勇者、風、隻眼「………」ニヤニヤ

魔王「何で……いるの……?」

勇者「よくわからないけど気が付いたらここにいたよ」ニヤニヤ

風「滋養強壮に効く薬草を取りに参りましたら偶然に」ニヤニヤ

隻眼「護衛の為に」ニヤグワッ!

魔王「……どこから見てたの?」

勇者「『側近の手は温かいね……』」ニヤニヤ

風「『魔王様……』」ニヤニヤ

隻眼「側近……好きだよとぉぉぉぉッ!」グワッ!

魔王、側近「………」

勇者「まあいいじゃないさ。ね?」ニヤニヤ

風「そうで御座いますね。誰もが周知していた仲で御座いますから恥ずかしがる事も無いかと」ニヤニヤ

隻眼「この様な場所で密なる事情を行わなくても宜しいかと!」ニヤグワッ!

魔王「ニヤニヤするのはやめて……」

勇者「だってねぇ?」ニヤニヤ

風「そうで御座いますねぇ」ニヤニヤ

隻眼「初々しいですな!」ニヤグワッ!

魔王「………」

側近「……魔王様」

魔王「なに……」

側近「私……これ程恥ずかしいのは初めてです……」

魔王「僕もだよ……」

スドォォォォォ………

魔王、側近「………」

隻眼「おお!なんと言うタイミング!お二方を祝福する祝砲がッ!」グワッ!

勇者「誰だか知らないけど気が利くね!」

魔王「……あの爆発何だろうね」

側近「心当りはエリゴスさんくらいしか思い浮かびませんけど……」

魔王「………」

勇者「魔王さんよぉCまでいっちゃう!」

風「下品な表現はよろしくありませんよ」

勇者「ええ?何て表現すればいいのさ?」

風「床入りとか交接とかあるじゃないですか」

勇者「なるほど……色々あるんだね」

魔王、側近「………」

隻眼「おやおや?お二方顔が赤いでぞ!」グワッ!

風「あらまあ!誰もが行う行為ですのに!何を恥ずかしがっているのです!」

勇者「そうだよ!僕もエリゴスたんと済ましてる事だよ!」

魔王、側近、風、隻眼「………」

勇者「……え?何で流れが止まるの?」

魔王「そんな嘘言わないでいいから……」

勇者「なッ!?」

風「あり得ませんし……」

隻眼「うむ……」グワッ!

側近「それにエリゴスさんは勇者さんの事凄い嫌ってますし……」

勇者「はッ!?なにそれッ!」

側近「………」

勇者「オバサン!そこはハッキリ言ってよ!」

側近「オバサンじゃありません!」

勇者「そんな事はどうだっていいの!エリゴスたんが僕の事嫌ってるわけないだろ!」

側近「……本当にそう思います?」

勇者「………」

側近「………」

勇者「き、嫌って無いよ……」

側近「そうですか……知らないのは本人だけみたいですね……」

勇者「………」

魔王「……やめてあげなよ側近」

側近「いいんです。本人の為なんですから!」

勇者「………」

魔王 (側近も嫌な嘘を言うな……)

勇者「……エリゴスたんの所へ行ってくる」ダッ!

魔王「………」

風「……今の話は本当なんですか?」



エリゴス「ふむ……」

……「だぁ」

水「どこかおかしい……?」

エリゴス「健康そのものだが……」

水「だが?」

エリゴス「………」

水「何か言ってよ……気になるじゃない……」

傭兵「エリゴスよ……やっぱヤバイのか?」

水「え……ヤバイ?」

エリゴス「かも知れんな……」

水「な、何がヤバイのかハッキリ言ってよ!この子……そんなに悪いの……?」

エリゴス「健康だと言ったであろう……ヤバイのは我らの方だ」

水「………」

エリゴス、傭兵「………」

水「何がヤバイの?」

エリゴス「この赤子、おそらく無意識の内に魔術を使っているのだ」

水「………」

傭兵「オジサンが抱っこしてた時よ何か変な言葉喋ったろ?」

水「……あのわけわかんないの?」

傭兵「そうだ。それがな魔術の詠唱だったってわけさ」

水「へぇ……」

エリゴス「しかも強力な魔術を無作為にな」

水「へぇ……」

傭兵「あんなもん向けられた日にゃ死人が出るぞ……」

エリゴス「それだけで済めばいいがな」

水「………」

傭兵「そうだな……どこまで強力な魔術を使えるのか知らねえけどよ……」

水「……つまりどう言う事よ?」

傭兵「今、説明しただろうが!」

水「魔術とかよくわかんないしぃ……」

傭兵「よくわかんねえって……お前魔王四天王だったろうに……」

水「それは魔王にも言われたからもういいって!で?」

エリゴス「で?じゃ無い……つまりだ、最悪世界が崩壊する」

水「………」

エリゴス「わかったか?」

水「……なんで?」

傭兵「だあああ!そこで聞くとまた話が戻るだろ!」

エリゴス「もう放っておけ……しかしな……」

傭兵「だよな……」

エリゴス「………」

傭兵「………」

……「……だぁ」

エリゴス「水よ……」

水「なに?」

エリゴス「先程なこの赤子は健康だと言ったが……」

水「………」

エリゴス「……何が欠如しているかもしれんぞ」

水「……?」

エリゴス「強力な魔術を使うにはそれ相応の魔力が必要となるのがな……」

水「………」

エリゴス「それに伴いその魔力の糧が必要の筈だ……だがこの赤子にはそれが見られない」

水「障害があるかもって事……?」

エリゴス「そうだな……」

水「………」

傭兵「それが何かはもっと大きくなんねえとわからんが……」

エリゴス「いや、それは予想が付く」

傭兵「は?なんでだ?」

エリゴス「我が思うに……この赤子、泣く事が出来ない」

水、傭兵「………」

エリゴス「産まれた時の状況を見たらな……産声を上げぬ赤子など有り得るか?」

傭兵「それは……たまにはいるんじゃねえの?オジサン男だからその辺わからんけど……」

エリゴス「我は無いと思う……産まれながらにして死を背負った赤子以外はな」

傭兵「………」

エリゴス「……我の推測だから本当にそうかはわからぬがな」

傭兵「泣けねえか……」

水「………」

傭兵「……まあ何だよな」

水「………」

傭兵「泣けねえ人生ってのは辛いだろうな……」

水「………」

傭兵「すまん……気が利かなくて……」

水「良いわよ……」

傭兵「………」

水「私が……いえ、私達がこの子が笑ってられる世界にしちゃえば良いのよ。それなら泣かなくてもいいんじゃない?」

エリゴス、傭兵「………」

水「魔王はそんな世の中にするんでしょ?」

エリゴス、傭兵「………」

水「……違うの?」

傭兵「違わねえ……その通りだ」

エリゴス「ふふふ、たまにはまともな事も言うのだな」

水「いつもまともだもん!」

傭兵 (もんとか言うな……って言ったらまたおっかねえ顔されるよな……)

ズリ……

傭兵「……お、お前どうしたんだ?」

焔「はぁ……グゥゥ……」ズリ……

傭兵「そんなボロボロでよ……侍とやりあったか?」

水「オーガと喧嘩したの!馬鹿でしょあんた!」

焔「………」

水 (あら?炎の仮面の下って結構いい雄ね……)

エリゴス「………」

焔「ッ!?チィ……」

エリゴス「貴様……焔か」

焔「………」

傭兵「ああ?焔?」

水「焔って何よ?」

エリゴス「我の配下だった奴だ」

焔「………」

傭兵「はぁ?……こいつ炎だろ?」

エリゴス「………」

傭兵「なあ?」

焔「あんな奴と一緒にするな……」

エリゴス「……我に用だろ?」

焔「そうだったがやめた……」

エリゴス「何故だ?我が憎いのでは無いのか?」

焔「もう馬鹿馬鹿しくてやってらんねえんだよ……それに俺は火とは別物だし!」

エリゴス「………」

水「あの……」モジモジ

焔「あぁ?」

水「お怪我は大丈夫ですか?!」



兵士「いやぁデヘヘ」

士卒、土「………」

兵士「可愛いんだこれがな!」

士卒「わかったから……」

土「そう何十回も同じ話をしないでいいでゲス……」

兵士「もっと聞いてくれよぉ!兵士二世の誕生だぜ!」

士卒、土「………」

勇者「エリゴスたん……エリゴスたん……」ブツブツ……

士卒、土「ッ!?」

兵士「……あ?どうした?」

士卒「な、何でいる……」

土「お前どうやって……」

勇者「エリゴスたん……エリゴスたん……」ブツブツ……

士卒「封印された筈だろ……」

土「………」

兵士「封印……?」

士卒「……勇者はその瓦礫の下敷きになってる筈なんだ」

兵士「冗談か?」

士卒「冗談なんか言うか!」

兵士「………」

土「お、おい……無事で良かったでゲスな……」

勇者「エリゴスたん……エリゴスたん……」

土「………」

兵士「こいつ……いつもより変だぞ?」

士卒「勇者!お前どうやってここから出たんだ!」

勇者「エリゴスたん……エリゴスたん……」

士卒「………」

兵士「何かもう駄目みたいだな……」

勇者「エリゴスたん……ッ!?エリゴスたんッ!」ダッ!

兵士「チッ!タイミング悪くお嬢ちゃん現れたのか!」

士卒、土「………」

兵士「おい!お嬢ちゃんを守れ!大変な事になるぞ……?おい?」

士卒「……土の旦那さ、あれ見て勇者が追ったのかな」

土「………」

士卒「何とか言ってくれよ……あれちゃんと見えてるよな?」

土「見えてるでゲスが……」

兵士「……?」

士卒「あれ……エリゴスか……?」

土「かもしれないでゲス……」

士卒「………」

土「遂に……囚われてしまったでゲスか……」



勇者「エリゴスたんッ!」

エリゴス??「……我?」

勇者「そうだよ!……エリゴスたん……僕は……」

エリゴス??「………」

勇者「エリゴスたんに嫌われるような事……したかな……」

エリゴス??「………」

勇者「もしそうなら……」

エリゴス??「お兄さん……我、見えちゃってる系なんだぁ?」

勇者「お兄さん……え?え、エリゴスたん?」

エリゴス??「困ったなぁ……そう言うの本当困るんだよねぇ」

勇者「………」

エリゴス??「……ほら、我の太ももちょっと見せてあげるから見なかった事にしてくれない?」

勇者「うん、する。僕はエリゴスたんを見ていない」

エリゴス??「欲望に正直なお兄さん好きだよニシシ!」

勇者「……好……き……?」

エリゴス??「うん」

勇者「………」

エリゴス??「……?」

勇者「エーリーゴースーたーんーがー僕ーのー事ー好ーきーだーっーてーえぇぇぇぇッ!」

エリゴス??「………」

勇者「ぬぐああああああッ!!!」

エリゴス??「………」

勇者「僕がエリゴスたんに嫌われる筈が無いんだ!どぐされカッブルめ……人が祝福してるのにこの仕打ち!」

エリゴス??「………」

勇者「どうしてくれようかぁぁ……」

エリゴス?? (しまったな……何かイタイのに絡んじゃった……)

勇者「まあ、その前に太もも見せて♪エリゴスたぁん!」ルン!

エリゴス??「………」

兵士「お嬢ちゃん無事か!」ダッ!

エリゴス??「……え?」

勇者「邪魔だから向こう行ってくれないかな!」

兵士「お嬢ちゃんに変な事しないなら向こうへ行ってやるよ……」

勇者「……別にしないです」

兵士「こっちを向いて言え……」

士卒、土「………」

エリゴス??「……あんた達も我見えちゃってる系?」

士卒「何を言ってるんだよ……」

土「エリゴス様……おいたわしやでゲス……」

エリゴス??「………」

士卒「そんな格好止めてくれよ!……俺……ちょっとはあんたの事尊敬してたんだぞ……」

土「そうでゲス……魔王四天王とあろう者が尻軽女の様な格好を……」

エリゴス??「………」

勇者「何を言ってるの!いいじゃないか!エリゴスたんがデーハーな格好しても!」

エリゴス??「………」

勇者「このパンパン娘なエリゴスたんも僕ぅわ好きだね!ああ好きだね!」

士卒「パンパン娘って何だよ……」

兵士「……お嬢ちゃんの格好そんなに派手か?普通……だよな?」

土「何を言ってるんでゲスか……水じゃ無いんでゲスから……」

兵士「………」

土「………」

兵士 (ヤバイぞ……俺……感覚がこいつらとズレてきてる……)

土「お前……」

兵士「ッ!……な、なんだよ!」

土「水みたいにはならない方がいいでゲスよ……」

兵士「なんねえよ!何言ってるんだよぉははは……」

土「………」

エリゴス??「何で……見えてるの……」

兵士、士卒、土「……?」

エリゴス??「もうすぐ消えるから……?でも……」

士卒「何言ってるの?」

エリゴス??「………」

水「ささ!肩に掴まって!」

焔「いいって……」

兵士「………」

水「駄目ですよ!そんな怪我してるんですから!」

焔「本当にいいからさ……俺に構うなよ……」

兵士「………」

水「あらあなた、ちょっとそこどいて」

兵士「……何してんだよ」

水「別に……ちょっと介抱してるだけよ」

兵士「………」

水「………」

傭兵「……なんだぁ?」

エリゴス??「………」

傭兵「お前……あれ?なんでいる?」

水「あら!ふるゆわコットンカールミディにしてどうしたの!」

エリゴス??「春夏コーデを一足先にチョイスしてね!」

水「なるほど!涼やかガールを演出して周りに差をつけちゃおうって事か!」

エリゴス??「当たり!本当は恋活目的だったんだけど女子力(物理)的にもう少し延ばそうかなって!」

水「ほう!」

傭兵「おい……エリゴス、お前いつの間に……」

エリゴス??「で!スピリチュアルな出逢いを求めガールな!」

傭兵「無視するな!」

エリゴス??「……何?」

水「そうよ!ガールズトーク邪魔しないでくれる!」

傭兵「お前らがガールって歳かよ……」

水「………」ググッ!

傭兵「冗談だ……水よ、エリゴスがここにいるっておかしいと思わねえのか?」

水「……おかしい?」

エリゴス??「………」

傭兵「さっきまで一緒にいただろ……」

水「確かに……」

エリゴス??「……ッ!?もう産まれてるの……」

傭兵、水「………」

エリゴス??「……結構ズレてるんだ」

傭兵「お前なんだ……エリゴスじゃねえな……」

エリゴス??「内緒」

傭兵「………」

勇者「オッチャン何言ってるの!どう見てもエリゴスたんだろ!」

傭兵「違うな……」

勇者「違うの……?」

傭兵「………」

勇者「エリゴスたん……」

エリゴス??「………」

勇者「君が本物のエリゴスたんか確かめるから……」

エリゴス??「………」

勇者「味見させて!」

傭兵「……何者だ、お前」

エリゴス??「だから内緒って」

勇者「味見……」

傭兵「………」

エリゴス??「そんなに警戒しなくても何もしないよ?」

傭兵「はいそうですかってなると思うのか?」

エリゴス??「ならないけど……真面目スイッチ入ってる傭兵はやりにくいなぁ……」

傭兵「オジサンの名前まで……チッ、エリゴス呼んでこい!」

士卒「わ、わかった!」

エリゴス??「ここのエリゴスが我と顔合わせたりしたらめんどくさい事になると思よ?」

傭兵「………」

エリゴス??「やめた方がいいと思うなぁ」

傭兵「めんどくさい事ってなんだ……」

エリゴス??「ふふふ……」

勇者「オッチャン……味見……」

兵士「てめえ……人の女に何してくれてんだ……」

焔「何にもしてねえよ……」

水「………」

兵士「本当だろうな……」

焔「こっちが付きまとわれてるの……」

兵士「んなわけあるか……」

焔「………」

水 (やだ……二人の雄が私を巡って対立しあっちゃう構図……超ステキ!)

兵士「殺すぞ……」

焔「やれるもんならやってみろ……」

水「やめて!」

兵士、焔「………」

水「私の為に争わないで!」キラキラッ!

兵士、焔「………」

水 (一度でいいから言ってみたい!私の為に争わないでってね!)

兵士「ま、まあ……手出すなよ……」

焔「コブツキに手なんか出さねえよ……」

兵士「そうだよな……勘違いして悪かった……」

焔「わかって貰えればいいよ……」

水「お願いだからぁ!」キラキラッ!

兵士「お、おい……もう終わったから……」

焔「………」

水「私を巡って争う事なんて無いんだからぁぁ!」バッ!

兵士、焔「……へ?」

……ズガンッ!

兵士「グァァッ!」

焔「馬鹿……な……」

水「……はれ?え?」

兵士 (なななななんだ?……水にやられた……んだよな?)

焔「また越えられんのかよ……なんなんだこの強さは……ぐふっ」

水「????」

傭兵「あいつ……あんなに強かったのか……」

士卒「ほら母は強しって言うだろ?それじゃないの……」

傭兵「ありゃそんなんじゃねえだろ……」

エリゴス??「あれはそんなんだよ」

傭兵「あ?」

エリゴス??「………」

隻眼「さあさあ!妃様が宿しの儀式に向かわれますぞッ!」グワッ!

風「道をお開けくださいぃぃ!」

側近「ややややややめてください!」

魔王「………」

側近「魔王様も止めてくださいよ!」

魔王「僕はなんかもう疲れたよ……」

側近「魔王様……」

魔王「もうなるようになるよ……えっ!?」

側近「はい?」

魔王「……エリゴスさんが」

側近「んん?エリゴスさんがなんです……ふあ!?」

エリゴス??「はろー」

魔王、側近「………」

傭兵「気を付けろ!そいつは……エリゴスじゃねえぞ!」

魔王、側近「え?」

エリゴス??「ふふん。魔王ちゃんならもしかしたらわかるかもぉ」

魔王「………」

傭兵「……知ってんのか?」

魔王「いや……」

側近「魔王ちゃんって呼ばれてますね」ジトッ

魔王「側近の考える様な事は無いよ……」

側近「………」

勇者「あの……味見の件……」

エリゴス??「………」チョイチョイ

側近「……私ですか?」

エリゴス??「………」バッ!

側近「……?」

エリゴス??「………」クイクイッ!

側近 (指三本立てて?お腹を膨らますポーズ……?)

エリゴス??「ふふふ」

側近「………」

魔王、傭兵「……?」

側近「……なッ!?なななな!」

傭兵「ど、どうしたんだ?」

側近「………」

魔王「側近……?」

側近「あがあが……があが……」

エリゴス??「楽しみだねぇ!」

側近「………」カァ……

傭兵「お前!側近ちゃんに何したんだ!」

エリゴス??「別にぃ」

傭兵「側近ちゃん!顔真っ赤にして……どうしたんだよ……」

側近「……べ、別に」

傭兵「………」

側近「………」

魔王「何かされたの……?」

側近「なななな何でも無いです!ええ!本当に何でも無いですから!」

魔王「………んへッ!?」

側近「どうしました?」

魔王「ふ、増えてるよ!」

側近「……何がです?」

魔王「みみみみ水の!」

側近「はい?……ッ!?」

水「んん?んん?んんんん?」

……「だぁ」

魔王、側近「………」

風「あらあら!」

水「……ん?なに?」

風「お産まれになられたのですね!おめでとうございます!」

水「まぁうん」

風「……え、いや……それだけでしょうか?」

水「ちょっと今それどころじゃ無いのよ。黙ってて……って言うかこの子預かっといて」

風「………」

魔王「めでたいけど……あの子の将来が心配だね……」

側近「はい……」



衛兵、人狼「………」

侍「さあ行け!ほらやれ!」

歩兵「ハアアアッ!」

炎「ふん……」

侍「折角、胸を貸して貰っておるのだ!遠慮など無用だ!」

炎「……それは私が言うセリフだろ。まあ……遠慮などいらぬ。来い!」

歩兵「はい!」ザッ!

衛兵「……友よ、手加減してな」

炎「言われなくともわかっている……」

歩兵「トリャアアアッ!」

シュフォッガギッ!

炎 (何故こうなった……つまらん)

歩兵「まだまだです!」バッ!

人狼「歩兵!ぶっ飛ばせえって!本気出してボコボコにしちゃえってッ!」

衛兵「……人狼さん、友を応援しないといけないのでは?」

人狼「絶対嫌って!」

衛兵「何故です……」

人狼「だって……上司と言う立場を使ってアチシにセクハラしてくるんだもんって……」

衛兵「なにッ!?」

炎「くだらん嘘を付くな……」

歩兵「余所見はいけません!」

炎「………」

侍 (十中八九歩兵では相手にならぬだろうが……良い勉強にはなるであろう)

歩兵 (上官殿の前で!醜態を晒すわけにはいきません!)

歩兵「………」

炎「………」

侍「どうしたどうした!存分に力を発揮せよ!」

歩兵「……なら存分に力を発揮するのでまた御褒美を頂けますか?」

侍「ああ、良いだろう!それで炎に勝てたならな!」

歩兵「………」

衛兵「じ、上官殿……そんな約束をしていいのか?」

侍「構わん。歩兵の奴は炎には敵うまい」

衛兵「だといいが……」

歩兵「……炎様、得物を抜いて頂けますか」

炎「何故だ?このまま模造の剣でいいだろう?」

歩兵「今から自分の全力をぶつけます……ですから、その剣では防いだとしてももたないでしょう」

炎「………」

歩兵「それにより勝敗が付いたとしても負けを認めて頂けるならそのままでも構いませんが……」

炎 (なるほど……別に構いはせんが力の差を見せるのも良いか……)

歩兵「………」

炎「……いいだろう」

歩兵「では……」ザッ!

炎「来い!オオオオオッ!……オオ?」

侍「……?」

歩兵「デリャアアアア!」ダダダッ!

炎「オオッ!オオ……何故剣身が出ん!?」

歩兵「喰らえぇぇぇッ!」

炎「ま、待てッ!何かおかし

ズバンッ!………

歩兵「………」

炎「」ドサッ……

侍、衛兵、人狼「………」

歩兵「や……やった……」

炎「」

衛兵「上官殿……」

侍「………」

歩兵「やりましたよ上官殿ッ!」

侍「………」

歩兵「見てましたよね!?」

侍「あ、ああ……」

歩兵「……なら」

侍「………」

歩兵「………」モジモジ……

侍 (ば、馬鹿者めがぁぁぁ!何故防がん!何故避けん!アアアアアア……)

衛兵「やってしまったな……上官殿……」



水「んん……」

兵士「……いくらなんでもちったぁ手加減してくれ。元でも魔王四天王なんだからよ」

水「………」

兵士「何だよ……?」

水「私……魔王四天王でも戦闘向きじゃないの」

兵士「あ?……それが?」

水「私って強さ的には人間よりちょっと強いぐらいだし……今の貴方には手も足も出ない筈なのよ……」

兵士「なわけあるか……さっきので壁までぶっ飛んだんだぞ……」

水「本当なの!それにさっきのはちょっと押しただけだし……」

兵士「………」

魔王「何かあったの?」

兵士「……ヘッポコ兄ちゃんよ、水って戦闘向きじゃ無いって本当か?」

魔王「水の戦い方は……まあ戦闘向きでは無いね……」

兵士「何でそんな顔するんだよ……」

魔王「土……説明してくれる?」

土「嫌でゲス……」

兵士「水はそんな変な事してたのか……?」

魔王、土「………」

兵士「黙るなよ……おい、お前一体どんな戦い方してたんだよ……」

水「私はトラップを仕掛けたりとかそんな戦い方よ?」

兵士「……これ以上聞かない方がいいか?」

土「聞かない方がいいでゲス……」

水「何よそれ!教えてあげようとしてたのに!」

兵士「もうそれはいいから……で?何であんな凄え力が使えるんだ?」

水「それが自分でもさっぱりわからないの……貴方とあの……あ」

焔「」

水、兵士「………」

土「ほほほほ炎!」ダッ!

魔王「……あれ炎じゃないね」

兵士「わかんのか……?」

魔王「まあね……」

兵士 (あれを炎じゃねえって……やっぱヘッポコ兄ちゃん凄えのか……?)

魔王「………」

水 (嘘でしょ……何で炎じゃないってわかるのよ……)

魔王 (炎あんな簡単に倒れたりしないよ……侍とドッコイだからね!)

兵士、水「………」

傭兵「……お前の目的はなんだ?」

エリゴス??「もう目的は終わっちゃってるんだよねぇ。だからプラプラしてるだけだよ?」

傭兵「嘘付くんじゃねえ!」

エリゴス??「嘘じゃないもんー」

傭兵「………」

エリゴス??「本当に何もしないよ?」

傭兵「ならここから出てけ……」

エリゴス??「それは出来ない相談です!」

傭兵「……理由は?」

エリゴス??「それもナ、イ、ショ!」

傭兵「………」

士卒「エリゴス連れて来たよ!」

エリゴス「何事だ傭兵」

エリゴス??「やばぁ……」

傭兵「エリゴス!こいつ知り合いか!」

エリゴス「あ?……」

エリゴス??「ヤッピー!」

エリゴス「………」

エリゴス??「……?」

エリゴス「………」

エリゴス??「ヤッピー?」

エリゴス「………」

傭兵「……エリゴス?」

エリゴス「……傭兵、こいつを捕まえておけ」

傭兵「あ、ああ……?」

エリゴス「………」

ダダダ……

傭兵「何だアイツ……どうしたんだ……」

エリゴス??「ねえ傭兵」

傭兵「気安く呼ぶな……なんだ?」

エリゴス??「お願い聞いてくれる?」

傭兵「誰が聞くか……」

エリゴス??「ほらほら!我がせくしぃなポーズしてあげるから!」

傭兵「ガキのセクシーポーズなんか嬉かねえわ……」

勇者「僕がお願い聞いてあげるよ!ねえ!」

エリゴス??「残念だなぁ!」

士卒「オッサン……このエリゴス悪い奴か?」

傭兵「わからん……」

ズダッ………

士卒「……?」

ズダダダッ………

傭兵、士卒「………」

エリゴス??「我から離れてた方が良いかも!」

傭兵「何でだよ……?」

士卒「お、オッサン……」

傭兵「………」

ズダダダッ!

エリゴス「消いいええ去ああああれえぇぇぇッ!!!」ウィ!ガコンッ!

傭兵、士卒「………」

エリゴス??「おお!魔導ガトリングだ!」

エリゴス「傭兵ぃぃ確りと捕まえておけよぉぉぉ!悪霊退散んんんッ!!!」

ズガガガガガガッ!

傭兵「あ、アホ!オジサン死んじまうだろうがッ!」

エリゴス「我はいっこうに構わんッ!」

傭兵「構えよッ!」



魔王「……あわわ」

側近「魔王様!もっと端に寄らないとエリゴスさんの攻撃に当たっちゃいますよ!」

魔王「う、うん」

勇者「エリゴスたんが……増えた……」

魔王「勇者!そこいると危ないよ!」

勇者「魔王!エリゴスたんが増えた!」

魔王「それ以上は言わなくていいからね、こっちおいでよ……」

勇者「エリゴスたんって増えるの!?」

魔王「……海草じゃ無いんだから。あれはエリゴスさんの偽者か何かじゃないのかい」

勇者「それでもいい。わんぱくでもいい逞しく育って欲しい!いや……育っちゃ駄目だけども!」

魔王「………」

勇者「こうね!」

魔王「僕に同意を求めるのは止めてくれないかな……」

勇者「そっかぁ増えるかぁ……」

魔王「………」

勇者「……ッ!!」

魔王「………」

勇者「もしかして……あのパンパンエリゴスたんは僕の分のエリゴスたんなんじゃ……」

魔王「………」

勇者「なるほど……謎は全て解けた!」

魔王「………」

側近「……魔王様?勇者さんが言ってるのって」

魔王「僕が偶然エリゴスさんを喚んだみたいに勇者もあのエリゴスさんを喚んでしまったとかな……」

側近「はい……本当にそうだったらどうします?」

魔王「困るよね……」

勇者「魔王!どうするぅ?」

魔王「……何が?」

勇者「エリゴスたんをどうやって自分専用にカスタマイズする!」

魔王「………」

勇者「エリゴスたんを自分好みにカスタムし最強を目指せみたいな!」

魔王「………」

勇者「交換……クククッなんかもありだよねぇ……ね!」

魔王「……君ね、いい加減にしないと本当無視するよ?」

勇者「………」

魔王「………」

勇者「それだけは止めてください……マジで……」

魔王「ならハシャイで無いで静かにしてて」

勇者「……はい」

魔王「………」



エリゴス??「わっはぁ!」ヒョイヒョイ!

エリゴス「くたばれえええええッ!」ズドドドドドドッ!

傭兵、士卒「ヒイィィィィィ!」

エリゴス「おのれぇぇぇ!すばしっこい奴めッ!」

エリゴス??「んふふ!」

傭兵「お前こっち来るんじゃねえ!」

エリゴス??「ええ?とうしてぇ?」

傭兵「てめえの巻き添え食らっちまうだろうがッ!」

士卒「そうそう!」

エリゴス「んぬぬ……」ウィ!ガコッ……ガコンッ!

エリゴス??「……お?」

傭兵「え、エリゴス!やめろ!」

士卒「そ、そうそう!」

エリゴス「……ならそいつを消し去れ」

傭兵「………」

エリゴス??「やだぁ……我消し去っちゃう?」ウルウル

傭兵「………」

エリゴス「………」

エリゴス??「………」

傭兵「オジサン達は別に何されたってわけじゃねえし……そんな事しないでもよ……」

エリゴス「……出来ぬか?」

傭兵「手荒な事はしたくねえ……」

エリゴス「そうか……」

傭兵「………」

士卒、エリゴス??「………」

エリゴス「なら……まとめて死ねッ!」ガチャコンッ!

傭兵「何でそうなるんだよ!」

エリゴス「今こそ魔導縮退砲の真価を見せようぞォォォッ!」

ギュイン……ギュインギュイン……

士卒「おおおオッサン!あれヤバいんじゃないのか!」

傭兵「チッ……」

士卒「オッサンって!」

傭兵「ちっと静かにしてろ……」

士卒「………」

傭兵「キレちまったガキは始末が悪りぃな……ったく」

士卒「……オッサン?」

傭兵「………」バババッ!

エリゴス??「傭兵の後ろに来た方がいいよ」

士卒「え……?」

エリゴス??「ね?」

士卒「………」

エリゴス「ふざけた我……万有の藻屑となれ……」ギュイン……

傭兵 (我……?やっぱりこいつはエリゴスなのか……?)バババッ!

エリゴス「オオオオオッ!」ゴゴゴゴッ!

傭兵「生と死の狭間!練獄の彼方へ眠りと共に誘えぇぇえッ!」スバッ!

エリゴス「魔導縮退砲!発射あああ!」

傭兵「フェーゲフォイアーシュラーフェンッ!」

エリゴス「………」

傭兵「………」

エリゴス??「………」

士卒「……ど、どうなったんだ?」

エリゴス??「……紙一重で傭兵の勝ち」

士卒「……へ?」

エリゴス「……zzz」……ウゥゥ

傭兵「……馬鹿が」

エリゴス??「やったね傭兵!」

傭兵「………」

エリゴス??「……我の事気になる?」

傭兵「お前……エリゴスだな」

エリゴス??「………」

士卒「オッサン!さっきエリゴスじゃないって言ってたろ」

傭兵「確かに言ってたが……こいつはエリゴスだ」

エリゴス??「……どうでしょうね」

傭兵「………」

エリゴス??「ねえ傭兵」

傭兵「何だ……?」

エリゴス??「……エリゴス眠っちゃったんでしょ?」

傭兵「ああ。今のもやっぱ知ってやがったか……」

エリゴス??「まあね。……傭兵は優しいから」

傭兵「………」

エリゴス??「ね!」

傭兵「………」

士卒「オッサン……顔赤いぞ……」

傭兵「あ、アホ……赤くなんてねえよ……」

士卒「……あれみたくはなるなよ」

傭兵「ならねえよ!オジサンはナイスバデェにしか興味ねえし!」

士卒「………」

エリゴス??「よっと!……魔神の鎧なんて久し振りだなぁ……確かこの辺に外部からの脱着スイッチが……あった!」

傭兵「………」

プシュウゥゥ……

エリゴス「……zzz」

エリゴス??「ごめんね我……本当は我姿を現さない筈だったのに……」

傭兵 (……間違いねえ。エリゴスしか操れねえ魔神の鎧を動かしてやがる)

エリゴス??「エリゴス運んでくれる?」

傭兵「わかった……」

勇者「僕にお任せあれ!」

エリゴス??「傭兵……」

傭兵「なんだよ……」

エリゴス??「エリゴスが起きたら……我の事話してあげる」

傭兵「そうかい……」

エリゴス??「だから……エリゴスがまた暴れだしたら止めてね?」

傭兵「そんなの言われんでも止めるわ」

エリゴス??「優しくだよ?」

傭兵「………」

エリゴス??「まあ傭兵なら言わないでもわかってるか。ふふ」

傭兵「……お前と話してると何か調子が狂うぜ」



水「まったくエリゴスにも困ったものよね!この子に当たったらどうするのよ!」

兵士、風、土「………」

……「だぁ」

水「おおよちよち!怖かったでちゅねぇ!」

兵士「……水、お前平気かよ」

水「何が?」

兵士「何がじゃなくてよ……」

水「……?」

兵士「お嬢ちゃんの攻撃ほとんど受けてたろ……?」

土「水がいた所以外、床やら壁が削り取られてるでゲスよ……?」

風「特に防御したと言うわけでは御座いませんでしたね……」

水「別に何とも無いけど」

兵士「………」

水「あんなの貴方全部受けられるでしょ?」

兵士「無茶言うな……あんなの受けたら即死ぬわ……」

水「またまた!」

兵士「………」

水「パパ面白くない冗談言ってますよぉ」

……「だぁだぁ」

兵士、土、風「………」

水「あら?エリゴス達いないし」

兵士「お嬢ちゃんの暴走終わったのか……」

風「……水様?」

水「ん?」

風「その……お胸が……」

水「……なっ!何これ!」

兵士「元からねえんだから気にす

水「あ"?」

兵士「何でも無いです……」

土「そんなにへこんでるのに平気でゲスか……?」

水「……別になんとも」

土、風「………」

兵士「あの鉄の塊を水が避けてたんじゃなくて……ちゃんと喰らってただな……」

水「あーあ……よく見たら服に穴空いてるわ……お気になのに」

風「お縫いしましょうか?」

水「うん、お願い……私着替えてくるわ」

兵士「ああ……」

水「まったく……後でエリゴスに文句言ってやる!」

風「……あまり波風立てない方が宜しいのでは」

兵士、土「………」



魔王「………」

勇者「うおわわわん!みんな僕の事シカトするよぉぉぉぉぉ!」

魔王「………」

勇者「魔王だけだよぉ!僕の話聞いてくれるのぉぉぉ!」

魔王「………」

勇者「みんな酷いよぉぉぉ!」

魔王「……あっそ」

勇者「………」

魔王「………」

勇者「魔王……君もそんな反応するんだ……」

魔王「自業自得だと思うけどね……」

勇者「……僕にエリゴスたんから嫌われてると嘘をいい、それにその態度か」

魔王「………」

勇者「そんなに僕を怒らせたいの?」

魔王「君が怒ったところで何かなるの……」

勇者「……君の宝物を汚してやる」

魔王「………」

勇者「クハハハッ!決めたぞ魔王!」

魔王「………」

勇者「もう謝っても駄目だからなぁぁぁぁ!」

魔王 (やれやれ……側近に何かしようって魂胆なんだろうけど返り討ち合うのが目に見えてるよね……)

勇者「魔王!覚悟しろ!」

魔王「はぁ……君ね

勇者「魔王の間の絨毯に薬草をこれでもかってくらいに擦り込んでやる!」

魔王「なッ!?な、何を馬鹿な事を!」

勇者「今更止めようったってそうはいかない!」

魔王「そんな事したら君もゴロゴロ出来なくなるよ!」

勇者「……覚悟の上さ」

魔王「なん……だって……」

勇者「魔王がゴロゴロ出来なくなれば僕はそれでいい!」

魔王「ややややややめて!」

側近「………」

勇者「僕はやると言ったらやるからね!あまり僕をなめない事だな魔王!」

魔王「マジで止めて……」

勇者「ならば許しを乞え魔王!」

魔王「……あああ」

勇者「クハハハッ!」

側近「……魔王様」

魔王「側近!ゆゆゆ勇者を止めてよ!」

側近「………」

側近「………」

魔王「側近!勇者が勇者を勇者しないように……?」

側近「………」

魔王「……側近?」

側近「魔王様の宝物って何です……?」

魔王「え……絨……」

側近「………」

魔王「い、いや……側近だよ!」

側近「………」

勇者「本当にそうなのぉ?げひょひょひょ!」

魔王「下品な笑い方しないで……本当に決まってるだろ!」

勇者「……柔らかい絨毯に寝そべりフワッとした感触が全身に行き渡り」

魔王「………」

勇者「安堵と快楽に包まれながらゴロゴロと……」

魔王「………」ゴクッ……

勇者「うつ伏せになった時……絨毯の毛先を頬に感じながら瞼が重たく……」

魔王「……ぁぁぁ」

勇者「ククッ……想像しただけでそんなだらしない顔になってるのかい魔王」

魔王「………」

勇者「クハハハッ!根っからの好き者だな君は!」

側近「二人とも馬鹿ですかッ!?」

魔王、勇者「ば、馬鹿じゃ無いよ?」

側近「いいえ馬鹿です!勇者さんはくだらない話で私の邪魔をしないでください!」

勇者「……あい」

側近「……で、魔王様」

魔王「はい……」

側近「私は絨毯に負けますか」

魔王「そんな事は無いよ!」

勇者「本当

側近「黙れ!ゴミがぁッ!」

勇者「ご、ゴミ……?」

側近「魔王様、ハッキリさせておきましょう。私と絨毯……どちらを選びますか?」

魔王「側近!冷静になろう!その質問はおかしいよ?」

側近「………」

魔王「………」

側近「私と絨毯が危機に瀕した時……どちらを優先的に助けますか?」

魔王「だから質問が……」

側近「………」ジイィィィィッ!

魔王「え、えっとね……」

側近「……そこは即答するところじゃ無いんですか」

魔王「側近!そう側近だって!」

側近「………」

魔王「………」

側近「……魔王様の馬鹿ぁ!うわああん!」

ダダダッ!

魔王「側近!あああ待ってぇ!」

ダダダッ!

勇者「……ゴミ」

勇者「僕が……?」

勇者「………」

勇者「だからみんなシカトするの……?」

勇者「………」

勇者「ゴミだから……視界に入っても気にしない……」

勇者「ゴミだから……声を発しても耳に入らない……」

勇者「………」

勇者「……なるほど」

勇者「そう言う事か……」

勇者「………」



侍「………」

歩兵「………」ルンルンッ!

衛兵「上官殿……」

侍「……なんだ?」

衛兵「い、いや……友を寝かせてきたので……」

侍「息の根を止めたか?」

衛兵「……そんな事はしない」

侍「チッ……」

衛兵 (上官殿、恐ろしく機嫌が悪いな……それに引き換え……)

歩兵「毛繕いを致しましょうか!」

人狼「……別にいいって」

歩兵「こう見えても自分は犬のあやめ方を心得ていますので!」

人狼「………」

衛兵「あやめてどうする……」

歩兵「ああ!あやし方でした!はははは!」

衛兵、人狼「………」

侍「………」

土「炎!しっかりするでゲス!」

焔「」

侍「……あ」

土「あああ!」

侍「………」

土「キューティクルオーガ退くでゲス!」

侍「……何故にゲス殿がそいつを?」

土「お前と炎が喧嘩して!ボロボロになったところで……」

侍「……?拙者、ただ手合わせしただけですぞ?それに……」

衛兵「上官殿が逃げ出すそいつに止めをだな……」

侍「それは拙者では御座らん!」

土「……んん?炎が……逃げ出したでゲスか?」

侍「そいつは炎の奴では御座らんぞ?」

土「……ゲス?」

衛兵「何やら友の分身で焔と言うみたいだ」

土「………」

衛兵「友は部屋に寝かせているから焔も一緒に寝かせておけばいいだろう」

土「………」

侍「ゲス殿、確認がてらそいつを運んでやってくだされ」

土「わ、わかったでゲス……」

タタタ……

侍「………」

歩兵「上官殿!」

侍「……な、なんだ?」ビクッ

歩兵「見てください!」

人狼「………」

衛兵「じ、人狼さん……それは……?」

人狼「編み編みされたって……」

衛兵「よくお似合いですよ……はは……」

人狼「………」

侍「………」

歩兵「背中の辺りを細かく三つ編みを施し分け目を作るのがコツなんですよ!」

侍「……そうか」

歩兵 (ここで上官殿に女性らしさをアピールしておけば……ふふ……)

侍「………」

歩兵「……そろそろ宜しいでしょうか?」

侍「褒美の件か……?」

歩兵「はい……」

侍「何がいいんだ……?」

歩兵「………」

侍「……また頬を打てばいいのか?」

歩兵「いえ……」

侍「じゃあなんだ……」

歩兵「その……」

侍「………」

歩兵「……自分をキツく縛り上げてください」

侍、衛兵、人狼「………」

歩兵「駄目……でしょうか……?」

侍「……出来ん」

歩兵「………」

侍「………」

歩兵「……うぅ」

侍「な、泣くな!」

歩兵「自分は炎様に勝ちました……」ジトッ!

侍「う……」

歩兵「上官殿は勝てば御褒美をくれるとも言いましたね……」ジトッ!

侍「………」

歩兵「………」

侍「他の事にしては貰えぬか……?」

歩兵「………」

侍「拙者……流石に女人を縛り上げるのは……」

歩兵「上官殿なら出来ます!成せばなるです!頑張りましょう!」

侍「………」

衛兵「……上官殿、諦めた方がいいのではないか?」

侍「………」

歩兵「さあ!さあ!さあ!」

侍「………」

歩兵「………」ワクワク!

衛兵、人狼「………」

エリゴス??「侍ー!」

侍「ええええエリゴス殿……エリゴス殿……?」

エリゴス??「ねえ、後で我の部屋に飲み物と軽く食べる物持ってきてね」

侍「………」

エリゴス??「……ん?なに?」

侍「……誰だ御前は!」

エリゴス??「侍は……やっぱ違いがわかるんだねぇ」

歩兵「褒美を!」

侍「それは後だ!」

衛兵「……上官殿、これはエリゴスじゃ無いのか?随分とハイカラな格好をしているが……」

侍「違う……見た目だけでは無く中身も……」

エリゴス??「いいから!お願いだよ!」

侍「か、畏まって候う……」

エリゴス??「じゃ!」

タタタ……

侍「……はて?何故拙者は普通に返事を……」

衛兵「あんなキャピキャピなエリゴスなんて見たくなかった……」

侍「………」

歩兵「上官殿!」

侍「すまん……用が出来た。褒美は後程だ」

歩兵「ぇぇぇぇ……そんな……」

侍「楽しみは取っておけ。では」

タタタッ……

歩兵「………」

衛兵 (上官殿……余計な事は言わず反故にしてしまえばいいものを……)

歩兵「……上官殿」

人狼「ふふ……オーガがああ言うなら楽しみ増やせばって?」

歩兵「え……例えば……?」

人狼「荒縄や鞭とかギャグとか!……ヌルヌルな液体とか用意したらいいってぇ!」

歩兵「ッ!?」

人狼「オーガなら……使いこなせると思わないって?」

衛兵「じじじじ人狼さん!何を!」

人狼「アドバイスって……ふふ」

衛兵「それを何故!私に使わないのですッ!」

人狼「………」

衛兵「ね!今からそれを使いましょう!」

歩兵「駄目です!自分が使用しなければいけない物なのですから!」

衛兵「………」

歩兵「………」

人狼 (余計な事したって……)



土「ふむむ……でゲス……」

炎、焔「………」

土「本当だったとはでゲス……」

炎「……土」

土「なんゲス?」

炎「……私はもう駄目なのかもしれない」

土「何が駄目なんでゲスか?」

炎「私自身の……力が無くなってしまったのだ……」

土「どう言う事でゲスか……」

炎「………」

土「………」

炎「武器が使えなくなった……」

土「………」

焔「はあ?お前、オーラブレイド使えなくなったの?ダッセェな!」

炎「うるさい!」

土「……それは何故でゲス?」

炎「わからん……突然にだ……」

土「………」

焔「どうせあの女とやりまくって力の源まで使っちまったんだろ」

炎「黙れ!そんな事があるか!私は節度をわきまえ日に五度と決めているんだ!」

焔、土「………」

炎「しかしどうして……」

土「……疲れているんでゲスよ」

焔「俺もそう思う……」

炎「………」

土「暫く休めばまた元通りになると思うでゲスから……」

炎「そうだろうか……」

焔 (頑張り過ぎだろ……)

炎「………」

土「……炎、俺は何があってもお前の味方でゲス」

炎「………」

土「お前は……俺達の仲間なんでゲスからな」

炎「……そうか。ありがとう……」

土「………」

焔「しかしまあ……ここは凄えカオスな所だな」

炎「……魔物に人間、渾然一体となって生活しているからな」

焔「それも不思議なんだけどよ、俺より強え奴がいやがるしな……」

炎「……エリゴス様か?」

焔「違う、お前の……いや、黒髪のオーガとかだな。あれ……洒落にならんぜ」

炎「ふん、あれに負けるようでは貴様も大した事が無いのだな」

焔「……お前はその大した事の無いのに手も足も出なかったじゃねえか」

炎「………」

焔「……そうそう、後な化粧の濃い平面的な女も強すぎだぞ」

炎「誰だそれは……」

土「……水の事じゃないでゲスか?」

炎「水?……確かに平面的だが……」

焔「あの女何なんだ?凄え打撃で俺吹っ飛ばされたんだけどよ」

炎「………」

土「……お前倒れてたのって水にやられてたからでゲスか」

焔「そうだぜ……ったく」

炎、土「………」

焔「……?」

炎「水が貴様を……?冗談を言え、そんな事……」

焔「本当だって。そんな嘘言っても俺に得はねえだろうよ」

炎「………」

焔「なんだよ……俺、変な事言ったか?」

土「……水は元魔王四天王でゲスな」

焔「なら強いのは当然なのか……」

炎「話は最後まで聞け。本来なら私や土に敵わない強さなんだぞ……」

焔「はあ?」

土「ここにいる人間よりも力は劣る筈なんでゲスよ……」

焔「………」

炎「アイツに隠された力など無いと思うのだが……土、聞いた事があるか?」

土「いや……無いでゲス」

炎「……ぬむ」

焔「なぁ……それが何で魔銀杭を纏った俺より強いのよ……?」

炎「魔銀杭!?貴様そんな物を持っていたのかッ!」

焔 (しまったぜ……口が滑った……)

炎「通りで……貴様より遥か高みにいる私を軽々と越たのも納得だ……」

焔「………」

炎「チッ……」

焔 (うわぁ……今更だが凄えムカつく……)

土「……炎、魔銀杭って何でゲス?」

炎「……知らんか?」

土「聞いた事も無いでゲス……」

炎「そうか。……魔銀杭とは簡単に言ってしまうと異空間……次元の狭間などだな、に漂っている力の塊みたいな物だ」

土「………」

炎「それが何かの拍子に現世へ姿を現す時があるのだが、その現した形が銀の杭に似ている事から魔銀杭と言われている」

土「……へぇ」

炎「……貴様、そんな物を何処で手に入れた」

焔「教えるわけねえだろ……それにこれは俺だけの物だしな」

炎「………」

焔「………」

炎「……寄越せ」

焔「誰がやるか……」

土「……ちょっといいでゲスか?」

炎「なんだ?」

土「その魔銀杭とやらの力って……ただ強くするだけでゲスか?」

炎「魔銀杭を己の内に取り込めばコイツの様になるな」

土「取り込まなかった場合は……?」

炎「歴史の力をねじ曲げてしまう程の力を発揮したり、後は……異空間へ迷い混んだとしても魔銀杭を頼りに元の世界へ戻れるとかな。……まぁ様々な力を備えている物なんだ」

土「………」

炎「……?」

土「水はそれを凌駕したでゲスか……」

炎、焔「………」



エリゴス「……zzz」

傭兵「………」

エリゴス??「……イタズラしないの?エリゴス無防備だよ?」

傭兵「ブッ飛ばすぞ……」

エリゴス??「傭兵怖ぁい!」

傭兵「だああああ!静かにしてろよ!」

エリゴス??「暇なんだもーん」

傭兵「だったらその辺にあるよくわかんねえ本でも読んでろよ……」

エリゴス??「我、ここの本は全部読破済みだしぃここにnemea無いしぃ」

傭兵「ネメアってなんだ……?」

エリゴス??「雑誌だよ?確か今月号はナチュ☆かわコーデで好感UP特集!とか載ってるの」

傭兵「………」

エリゴス??「で!愛が深まるエッチの御作法なん

傭兵「……水の部屋に行け」

エリゴス??「………」

傭兵「………」

エリゴス??「傭兵冷たぁい!」

傭兵 (こいつといると疲れるぜ……)

コンコンッ……

傭兵「あ?開いてるぞ」

カチャ

侍「偽エリゴス殿……頼まれた物お持ちしましたぞ……」

エリゴス??「おお!待ってました!」

傭兵「……侍、お前こいつ知ってんのか?」

侍「いえ……」

傭兵「じゃあ何でこいつの言う事聞いてんだよ……」

侍「いやぁ……何と申そうか、エリゴス殿では御座らんのにエリゴス殿に頼まれたみたいな……」

傭兵「………」

侍「拙者、エリゴス殿の頼みなら断れない故……」

傭兵「ふぅん……侍よ、こいつエリゴスじゃねえって言ってたがそれは?」

侍「そこに居られるエリゴス殿とは纏っている気が違うと申そうか……偽エリゴス殿は空と申そうか……」

傭兵「空?」

エリゴス??「………」

傭兵「どう言うこった?」

侍「生気が感じられないので御座ります……」

傭兵「死んでる奴みたいだって事か……?」

侍「如何にも……」

傭兵「………」

エリゴス??「……まぁ謎解きは後にしてさ!」

傭兵、侍「………」

エリゴス??「はい!傭兵、あーん」

傭兵「………」

エリゴス??「ほら!口開けて!」

傭兵「やらねえよ……」

エリゴス??「………」

傭兵「………」

エリゴス??「侍、さっきね傭兵って寝てるエリゴスにイタズラしてたんだよ」

侍「は……?」

傭兵「アホかッ!いきなりとんでもねえ嘘付くんじゃねえよ!」

侍「………」

傭兵「テメエは『コイツならやりかねない』って顔をするな……」

エリゴス??「最低だよね!」

侍「見損ないましたぞ傭兵殿……」

傭兵「信じるなよッ!」



兵士「………」

士卒「……俺がわかるわけ無いじゃん」

兵士「そうだけどよ……水が……」

士卒「放っとけばいいだろ……奥さんが強くなって困るか?」

兵士「………」

士卒「………」

兵士「……困るんだ!夫としての沽券に関わるだろうが!」

士卒「………」

兵士「俺の方が弱いから守ってくれぇだなんて恥ずかしいんだよッ!」

士卒「今時の夫婦ってそう言うのもアリなんじゃないの?それに元とは言え魔王四天王だろ?」

兵士「ぐぬぬ……」

士卒「ぐぬぬじゃなくてさ……」

兵士「これ以上立場が下になったら色々とヤバいんだよ……」

士卒「なんで?」

兵士「ただでさえ口で負けるのに……」

士卒「………」

兵士「その上力まで負けてるとなると………」

士卒「………」

兵士「奴好みの……」

士卒「………」

兵士「ちょいワルイクメン家族の笑顔増えルーンバで!どうしたらいいんだよッ!?」

士卒「……何言ってるかわかんないよ?」

兵士「……え」

士卒「………」

兵士「イケおしゃイクメンとか……わかる……だろ?」

士卒「いいや……」

兵士「………」

士卒「………」

兵士「違うんだ……」

士卒「もういいよ……」

兵士「違うって言ってるだろッ!?」

士卒「もういいって言ってるんだよッ!」

兵士「………」

士卒「俺は……お前がお前の奥さんみたいになっても……仲間だからさ……」

兵士「やめろ……」

士卒「………」

兵士「やめてくれぇぇぇ……」

士卒「………」

兵士「うあああ!俺は……俺は変わって無いんだぁぁ……」

士卒「………」

兵士「うぅ……」

士卒「取り敢えずさ……エリゴスのとこ行くか?」

兵士「えっぐえっぐ……うん……」

士卒「………」

兵士「どうすれば昔の自分を取り戻せるか……相談しなきゃな……ぐすっ」

士卒「違うだろ……お前の奥さんが何で急に強くなったかだろ……」

兵士「………」

士卒「何かわかれば良いけどな……」

兵士「……ついでに俺の」

士卒「人間……一度その色に染まってしまうと中々元には戻れないんだぜ……」

兵士「………」

士卒「……受け入れろよ。今の自分をさ……」

兵士「………」

士卒「……受け入れろよ。今の自分をさ……」

兵士「えっぐえっぐ……うん……」


水(やだ……慰める雄を受け入れる構図……超ステキ!)ハァハァ



風「………」

水「やだぁ!何これ!」

風「………」

水「もう!」

風「み、見事な七つの傷ですね……」

水「どっかの四男坊みたいになってるじゃない!」

風「………」

水「まったく痕残ったらどうするよ……本当……」

風「………」

水「はぁ……」

風「……平気なので御座いますか?」

水「これ?ちょっとカユいかな」

風「………」

水「これなら暫く放っておけば治るんじゃないかしら。あ、そこから服出してくれる?」

風「畏まりました……」

水「エリゴスめ……乙女の肌に傷を付けた事後悔させてやらなきゃ……」

風「……程々にしておいてくださいませ」

水「ところでさ、あんたはまだ産まれる気配無いの?」

風「そうで御座いますね……こればっかりは自然の摂理に従うしかないかと」

水「ふぅん……産む時痛いわよぉ!凄いんだから!」

風「……どの様にで御座いましょう?」

水「こう内臓をグネグネと動き回ってね!」

風「………」

水「……ここをグバァッ!って開いて出てくるのよ」

風「………」

水「こうね!こう!」ガバッ!

風「……もう宜しいので」

水「あんたも同じ目に遭うんだから聞きなさいよ!」

風「本当に……やめてくださいませ……」

水「ええ?つまんなぁい……」ガバッ!

風「そう言うはしたない事も同様にやめてくださいませ……」

水「はいはい……でもね、それに見合うって言うのかしら……」

風「はい……?」

水「こんな可愛い子が出てくるんだもんねぇ……」

風「………」

水「不思議よね……」

風「そうで御座いますね……」

水「あんたはどっちが欲しいの?雄?雌?」

風「炎様との子ですから……どちらでも構いません」

水「そう言うけど、敢えて言うならどっちよ?」

風「ん……女の子でしょうか」

水「そっか!」

風「はい」

水「そっちもいいなぁ可愛いよねぇ……巻き髪ツケマフリフリスカートにラケットとか!」

風 (……ラケット?)

水「将来夫人とか呼ばれちゃってショートヘアーの子とライバルなんかに!」

風「………」

水「貴方が高みに登るなら……私は更に高みに登るまでッ!ってね!」

風「……はぁ?」



エリゴス「……zzz」

エリゴス??「侍!それ当たり!」

侍「あいた!やられましたな!」

エリゴス??「これで我の10連勝だね!」

侍「いやぁ偽エリゴス殿お強いですな!」

エリゴス??「ふふふ!」

傭兵「………」

エリゴス??「傭兵もやる?」

傭兵「やらねえ……」

エリゴス??「ああ!傭兵30連敗したんだっけ!ゴメンゴメン!」

傭兵「ぐぬぬ……」

バターンッ!

側近「エリゴスさぁぁぁぁぁん……」

傭兵「……どうかしたのか側近ちゃん」

側近「うぅぅ……」

傭兵「そんな泣かないでよ……オジサンに話してみなよ……魔王と喧嘩でもしたか?」

側近「魔王様がぁ……魔王様が絨毯に欲情してぇ……うう」

傭兵「………」

側近「私なんかより絨毯の方がいいって言うんですよぉぉぉ……」

傭兵「うん……側近ちゃん、ちょっと落ち着こうぜ……」

側近「これが落ち着いていられますか!」

傭兵「絨毯は物だろ……」

側近「………」

傭兵「な?……比べるまでも無いだろ?」

側近「………」

エリゴス??「魔王ちゃんなら絨毯を選びそうだよねぇ」

側近「あああやっぱりぃぃぃ」

傭兵「お前余計な事言うなよ……」

エリゴス??「だってぇムッツリど変態さんの魔王ちゃんだし有り得るかなって」

傭兵、側近「………」

侍「大殿は物に欲情する様な御趣味が……?」

エリゴス??「うん!」

侍「なんと……」

側近「………」フラッ……

傭兵「……側近ちゃん」

側近「私……そんな魔王様に付いて行ける自信がありません……」

傭兵「………」

エリゴス??「でも側近?これだよ?」パッ!

側近「ですけど……」

傭兵 (なんだ……?さっきもやってたが指三本に何かあるのか……?)

側近「………」

コンコンッ

……「僕だけど……側近はいるかな……」

側近「………」

傭兵「……いるぜ。入れよ……」

カチャ……

魔王「側近……」ソゥ……

側近「………」

魔王「違うんだよ……ね?僕は側近の事大事に思ってるし……」

側近「………」

魔王「側近の言った質問に驚いたって言うか……それで直ぐに側近って言えなかったって言うか……」

側近「………」

魔王「君と絨毯を比べるなんておかしいよ?……ね?」

側近「………」

エリゴス??「じゃあもうゴロゴロしないんだ?」

魔王「………」

側近「うわああん!やっぱり絨毯の方がいいんですか!」

魔王「そんな事無いよ!エリゴスさん余計な事言わないように!」

エリゴス??「ふふん」

エリゴス「やかましい……」

魔王、側近、傭兵「………」

侍「エリゴス殿!お起きになられましたか!」

エリゴス「我の部屋で騒ぐな……」

魔王、側近「はい……」

エリゴス??「ハロー。ちょっとは落ち着いた?」

エリゴス「今すぐ我の前から姿を消せ……」

エリゴス??「そうしたいのは山々なんだけど、出来ないんだよね」

エリゴス「………」

傭兵「……エリゴス、こいつは何者だ?お前と関係あるな?」

エリゴス「言いたくない……」

傭兵「いや……言えよ……」

エリゴス??「さて、エリゴス起きたし我の事教えてあげるよ!何から知りたい?」

エリゴス「………」

傭兵「お前は……何なんだ?」

エリゴス??「エリゴスだよ。未来のね」

傭兵「………」

エリゴス「チッ……やはりか……」

傭兵「やはりかって……エリゴス、お前わかってて攻撃してたんじゃねえのか……?」

エリゴス「わからずともふざけた自身の姿があれば消し去るのが道理だ」

傭兵「………」

エリゴス「……それに貴様は思念体だな?」

エリゴス??「うん」

エリゴス「………」

魔王「え……あれ?どこかで……」

エリゴス「魔王は知っているだろう」

魔王「………」

侍「大殿……何か御存じなので御座りますか?」

魔王「んん、なんだっけかな……」

エリゴス「あの手紙の主だ……」

魔王「ああ!……は?」

エリゴス「………」

魔王「このエリゴスさんがあれ書いたの……?」

エリゴス「……そうだ」

エリゴス??「ふふふ!」

傭兵「どう言う事だよ……」

エリゴス「……説明するとだな、前に我の鎧が不調をきたした時があったろ?それを……」



エリゴス「と、言うわけだ」

傭兵、侍、側近「………」

魔王「まぁ……色々と言いたそうな顔してるけど解決はしてるから安心していいんじゃないかな……」

傭兵「……人の知らねえ間に世界の危機が起こってたらこんな顔にもなるぜ」

エリゴス??「それを我が止めたんだよ!ね?我偉いでしょ!」

傭兵「そうだな……」

エリゴス「でだ……その思念体の貴様が何故姿を現している……」

エリゴス??「………」

エリゴス「事が済めば消滅するなりするのでは無いのか……」

エリゴス??「まあ、これがちょっと複雑なんだよ……本当なら姿を現さないまま消えちゃう予定だったんだけど」

エリゴス「………」

エリゴス??「どうにもこうにも影響が出始めちゃったんだよね……」

エリゴス「影響?何のだ?……まさか事象の狂いの影響か?」

エリゴス??「それは発端に過ぎないんだけど……」

エリゴス「………」

エリゴス??「……この先の話は未来に関係出てくるんだけど聞く?」

エリゴス「どうせ辿り着けぬ未来だ。聞いたところで……」

エリゴス??「辿り着け無くても凄い近い未来だったら?」

エリゴス「………」

側近「……凄い近い未来だとどうなるんです?」

魔王「このエリゴスさんがあのエリゴスさんにな

エリゴス「ならんッ!絶対にだッ!」

エリゴス??「案外このエリゴスも楽しいよ?」

エリゴス「黙れッ!」

エリゴス??「むぅ……」

エリゴス「はぁ……皆、どうする?未来の事情……聴くか?」

魔王「………」

側近「私はどちらでもいいです……」

傭兵「本当は聴きたくねえが……何か起こり初めてるんだろ?それは悪い事か?」

エリゴス??「聞く人による……かな」

傭兵「なんだそりゃ……まあ……皆が聴きてえならオジサンは止めねえよ」

エリゴス「ふむ……侍はどう致す?」

侍「拙者、大殿の御意志に従います故……」

魔王「………」

エリゴス「……魔王、どうする?」

魔王「うん……」

傭兵、側近、侍「………」

魔王「………」

エリゴス??「聞いた未来が必ずしもそれになるって事は無いからぁそんなに深く考える事は無いよ?」

魔王「なら聞いておこうかな……」

エリゴス「決まりだな。……では話せ」

エリゴス??「………」

エリゴス「貴様が何故姿を現しているか……発端とはなんだ」

エリゴス??「何故我が姿を現してるかは……あの子の誕生のせいなんだよ」

エリゴス「……あの子?」

エリゴス??「大魔王の子……」

エリゴス「………」

傭兵「……おい、何か凄えおかしな言葉が聴こえたぞ」

エリゴス??「ん?我なんかおかしな事言った?」

傭兵「大魔王って……なんだよ……」

エリゴス??「ああ、まだそう呼ばれて無いんだっけ」

側近「魔王様……お知り合いですか?」

魔王「ししし知らない……そんな知り合いいないし……」

エリゴス??「ええ?知り合いだし?」

エリゴス「子の誕生……と言ったな。なら……水か風になるのか?」

エリゴス??「水だよ」

魔王、側近、傭兵、エリゴス「ッ!?」

エリゴス??「……?」

傭兵「ちょ、ちょっと待て!何でそうなるんだよ!」

エリゴス??「大魔王が子供産んだから」

エリゴス「なら普通は子が大魔王を名乗る物なのではないのか……」

エリゴス??「それがね……色々あるのよ……」

エリゴス「詳しく説明しろ!……何がどうなって水が大魔王になどになる!?」

エリゴス??「ええっとね……」

魔王「……ちょっと聞いていい?」

エリゴス「後にしろ!今は

魔王「未来の世界は……水が一番偉いの……?」

エリゴス??「そうそう!大魔王が世界を支配してるんだよ!」

エリゴス「な……」

魔王、側近「………」

エリゴス「なんだと……」

傭兵「冗談でも笑えねえぜ……」

エリゴス「想像せずとも恐ろしい世界だとわかる……」



エリゴス「恐ろしい……恐ろし過ぎる……」

傭兵「ああ……」

魔王「……そんなにかな」

側近「エリゴスさんからしたらそうなんじゃないんですか……」

エリゴス??「もういい?」

エリゴス「………」

エリゴス??「いい加減にして……ショックなのはわかるけど話が進まないでしょ……」

エリゴス「おおお……可哀想に未来の我よ……」

エリゴス??「はあ?」

エリゴス「恐怖のあまりにそう……女子力に取り込まれてしまったのだな……」

エリゴス??「これは元からだから。元々素質があったのかなぁふふ!」

エリゴス「そんな物あるかッ!?あってたまるかッ!」

エリゴス??「……あるんだって。ここに来てから我……変わったでしょ?」

エリゴス「………」

エリゴス??「我は……鎧も肩書きも……名前も捨てられるくらい自由になったんだよ」

エリゴス「………」

エリゴス??「………」

魔王「うん……それは後にして話を聞こうよ」

エリゴス「元は貴様が話の腰を折ったのだろ……まあいい、で?何故水が大魔王になどなっている」

エリゴス??「大魔王の子は……知ってるよね?」

エリゴス「ああ……」

エリゴス??「で、その子の力は?」

エリゴス「それも知ってる……」

魔王「何の事……?」

エリゴス「………」

傭兵「水の子供は……産まれながらにしてとんでもねえ事出来るんだよ……」

側近「……それって何です?」

傭兵「凄え魔法が使えるんだ……」

側近「あの赤ちゃんがですか……?」

傭兵「そう、側近ちゃんも見てねえか?この城の周りで爆発起きたりよ……」

側近「……あれですかね」

魔王「あれかね……てっきり侍かと思ってたけど……」

侍「拙者、大殿に断りも無く爆破などしませぬ!」

魔王「………」

侍「……しませぬぞ?」

魔王「………」

エリゴス「それが何に関係ある……」

エリゴス??「その魔法を使う魔力……どこから来てると思う?」

エリゴス「子自身ではないのか?」

エリゴス??「違うんだなぁ……」

傭兵「水から……なんて事はねえよな?」

エリゴス??「当たり。あの子は大魔王を介して自分の魔力にしてるんだよね」

傭兵「……ありえねえだろ。水がそんなとんでもねえ魔力持ってるとは思えんぜ?」

エリゴス??「んん……大魔王は子を産んでからその子の魔力のストレージになってるとしたら?」

傭兵「………」

エリゴス??「さらに、その子の力で周りの力を吸収……大魔王に……ね?」

傭兵、エリゴス「………」

エリゴス??「既に影響が出ちゃってるのがいるかもしれないよ?確認した方がいいかも」

傭兵「……オジサンはまだ吸われてねえな」

エリゴス「我の鎧も無事だ……」

魔王「僕も大丈夫みたい……」

侍「………」

側近「……侍さん?……まさか」

侍「いえ、拙者ではなく……心当りがあると申そうか……」

魔王「心当りって……誰か何かあったの?」

侍「炎の奴で御座いますな。……道理であの時……」

エリゴス??「……ねえ我」

エリゴス「なんだ……?」

エリゴス??「今ので未来がどうなってるかわかると思うんだけど……」

エリゴス「………」

傭兵「とんでもねえ世界になってるってのはわかるが……」

魔王「……どうとんでもない世界になってるんだい?」

傭兵「水見てればわかるだろ……それが大魔王に何てなってるんだぞ……」

魔王「いまいちピンッとこなくてね……」

傭兵「はあ……いいか?野郎同士の事情が好きで派手でで年増で自分が面白くねえと思った事には興味を示さなくてそれで勇者とは違う馬鹿な奴だぞ?」

魔王「言い過ぎじゃないのかな……」

傭兵「それが大魔王になって世界を支配してるんだぞ……とんでもねえ世界になってるに違えねえ……」

魔王「……ん」

傭兵「なんだ……理解出来ねえのか……」

魔王「傭兵が言った最初のやつ以外は……別に変な事にはなってない様に思うんだけど……」

傭兵「その最初のやつが肝心なんだろうが!」

魔王「………」

バターン!

兵士「お嬢ちゃんよぉぉぉぉ俺の未来をどうにかしてくれよおお……」

士卒「………」

エリゴス「………」

兵士「俺の……俺の未来が……ナチュラル春色ピンクなんだよ……」

エリゴス「意味がわからん……丁度良いところへ来たな」

兵士「ふへぁ?」

エリゴス「貴様にも聞く権利がある……聞いておけ」

兵士「……なにをだ?」

エリゴス「水の事だ」



勇者「………」

隻眼「おぉ……おぉ……」グワッ!

勇者「………」

隻眼「神々しいお姿で御座いますなッ!」グワッ!

勇者「……あのね」

隻眼「はは!何か御用か!」グワッ!

勇者「うん……僕今忙しいからどっか行ってくれるかな……」

隻眼「………」

勇者「………」

隻眼「……出来ませぬッ!」グワッ!

勇者「なんで……?」

隻眼「我が主を放り離れるなど!」グワッ!

勇者「主なんてなった覚えは無いけど……」

隻眼「何を仰られるか!」グワッ!

勇者「………」

隻眼「王国に居られる時……誓ったでは御座いませぬか!」グワッ!

勇者「……は?」

隻眼「小生……あれ程心を打たれた事はありませんでしたぞ!」グワッ!

勇者「………」

隻眼「その目でッ!小生を見澄まし……ああ、小生を欲しているのだと……」グワッ!

勇者「……そんなの知らない」

隻眼「ながぁッ!?し、知らぬと……」グワッ!

勇者「………」

隻眼「勇者様……小生はこれ程お慕い申しているのに……」グワッ!

勇者「………」

隻眼「うぅ……」

勇者「……君さ今暇?」

隻眼「時間は開いていますが……?」グワッ!

勇者「そう……」

隻眼「……?」グワッ?

勇者「………」

隻眼「……何か御用かあるのですか?」グワッ!

勇者「まあね……ちょっと手伝ってくれるかな……」

隻眼「勇者様の御頼みなら小生!有らん限りの力を使いてお手伝い致しますぞッ!」グワッ!

勇者「………」

隻眼「して、何をお手伝いすれば?」グワッ!

やはり3スレ目かね

勇者「ふふ……」

隻眼「………」

勇者「命……夢……希望……どこから来て何処へ行くんだろうね……」

隻眼「………」

勇者「そんな物を僕が壊してやる……」

隻眼「……勇者様」グワッ……

勇者「僕にはもう何も残されていない……帰る場所も愛する人も信じる者さえも……」

隻眼「………」

勇者「ならば僕が悪になり……自分勝手な城の者達にその愚かしさを教えてやる……」

隻眼「………」

勇者「……僕は今から勇者などではない」

隻眼「………」

勇者「我が名は……えっと……魔王デジール!」



……「お兄ちゃん……今あの人魔王って言ったよ!」

……「う、うん……」

……「二人しかいないし!今がチャンスだよ!」

……「………」

……「……何?」

……「………」

……「まさか今更怖くなったなんて言わないでよね……」

……「………」

……「もう!お兄ちゃんの為に苦労してここまで来たんでしょ!」

……「で、でもさ……」

……「……いいの?そのままで」

……「………」

……「………」

……「よくない……」

……「でしょ!私だって……お兄ちゃんがそんなんじゃ恥ずかしいもん……」

……「え……」

……「あ……」

……「今まで……僕の事恥ずかしいなんて思ってたの……」

……「ち、違うよ?ね?うん?ほら?」

……「………」

……「………」

……「うわぁぁぁぁぁ……」

…… (やっちまった……)

……「やっぱり盾騎士はずっとそう思ってたんだぁぁぁ……」

盾騎士「………」

……「ふぇぇぇん……」

盾騎士 (鬱陶しいなぁ……)

……「うう……」

盾騎士「あ……ああ!ママも無茶苦茶言うよね!」

……「………」

盾騎士「『私は若い頃に魔王倒してきたんだからあなた達も倒してきなさい』なんて!」

……「……そうだね」

盾騎士「はぁ……パパも止めれば良いのに……」

……「あのパパじゃママを止められないよ……」

盾騎士「それはわかってるけど!」

……「でもパパが交換条件出してくれたから……」

盾騎士「………」

……「魔王倒したら改名していいって……」

盾騎士「……じゃあ頑張ろ?」

……「うん……」

盾騎士「おし!不意討ちでぶっ叩こうね!」

>>983
グダグダ続けてしまってすいません……

ーここまでの登場人物まとめー

魔王 (主人公。頼りの無い引き籠り体質な魔王様)

側近 (88、55、84のナイスバディの持ち主。やっと魔王と良い仲になったが……)

傭兵 (魔王四天王筆頭なオジサン。チート級に凄い力を持っているが……)

エリゴス (地獄の魔神で騎士で魔王四天王の一人でロリババア)

侍 (魔王四天王の一人。オールマイティーな人)

勇者 (勇者なのに魔王四天王の一人。屑)

炎、風、水、土 (元魔王四天王の面々。色々と難有り)

兵士、士卒、衛兵 (魔王城へ攻め返り討ちに合い取り残された面子。色々と難有り)

人狼 (炎の部下。魔性の雌)

ーここまでの登場人物まとめ2ー

歩兵 (ボーイッシュな女兵士。兵士同様取り残された人)

焔 (炎がこの世界に来るために捨てた不要な部分。いい奴だが色々と可哀想な人)

隻眼 (グワッ!)

エリゴス?? (未来のエリゴスが過去のエリゴスの鎧の暴走を止める為に送り込んだ思念体)

…… (兵士と水の子供。名前はまだ無い)

盾騎士、……… (ポッと出のまだよくわからない兄妹。兄の名前は……)

ー例の物ー

強さ (水、水の子供、エリゴス??は除く)

エリゴス>傭兵>真・風>>>侍>焔>>>炎>>>>三馬鹿>>歩兵>>>側近>>土>>人狼>>>>勇者>魔王>>>>>隻眼 (笑)

女子力

水、エリゴス??>侍=真・風>>側近>人狼>>エリゴス>>>歩兵

オッバイ

真・風>>>>側近>(越えられない壁)>人狼>>>歩兵>エリゴス、エリゴス??>水 (笑)

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