士道「俺とキスして、ただの人間になってよ!」 (94)

荒廃した街

折紙「ひどい…」

??【仕方ないよ。彼一人では荷が重すぎた】

??【――――でも、彼も覚悟の上だろう】

折紙「そんな…こんなこと…」

??【諦めたらそれまでだ】

??【でも、君なら運命を変えられる】

??【避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい】

??【そのための力が、君には備わっているんだから】

折紙「本当なの?」

折紙「私でも、何かできるの? 士道を、救えるの?」

??【もちろんだよ。だから、そのための力が、欲しくはない?】

折紙「欲しい。私は、CR-ユニットがなくても、士道を守れる力が欲しい!」

目覚まし時計 ジリリリリリリリ

折紙「夢オチ…?」

数週間前 天央市

さやか「いや~とうとう来ちゃいましたね、天央市!」

まどか「さやかちゃん、張り切り過ぎ…」ティヒヒ

マミ「そうよ、美樹さん。今日は遊びじゃなくて結界を探しに来たのよ」

さやか「でもここまで来たら楽しまなくちゃ損ですよ!」ワクワク

マミ「美樹さん…」ウフフ

・・・・・・・・・・・・・・・

まどか「ねぇ、さやかちゃん。あの人何やってるんだろう?」

さやか「うっげ、ちょっとヤバそう…近寄らないほうがいいですよね、マミさん」

マミ「そうね、でももしかしたら魔女の口づけのせいかもしれないし…」

マミ「ちょっといってみましょう」

士道「俺とキスして、ただの人間になってよ!」

士道(はぁ…いくら最近精霊が現れないからって、こんな作戦はないだろ)

琴里『士道、何をサボってるの? 静粛現界した精霊が街中にいるかもしれないじゃない』インカム

士道「…はぁ」

マミ「あの、すみません」

士道「あ、えと、はい」ドキッ

マミ「今、何をされているのですか?」

士道「…奉仕活動デス。ハイ」

マミ「…そうですか、お邪魔をしてすみませんでした」スタスタ

士道(今の女の子、何か…)

マミ(今の男の方、何か…)

まどか(マミさん、何か分かったのかな…)

さやか「あれ、もういいんですか?」

マミ「ええ、あの人には魔女の口づけが無かったわ。正常にあんなことをやっているのよ」

まどか「それって…」

さやか「まどか、言っちゃダメ」

マミ「そ、そうね。今日はパトロールも終わったし少し遊んでから帰りましょうか」

まどさや「やったぁ!」

現在 見滝原市

QB「魔法少女との契約を取り結ぶ、僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なのさ」

杏子「テメェは…何てことを…。ふざけんじゃねぇ!!それじゃアタシたち、ゾンビにされたようなもんじゃないか!!」

QB「むしろ便利だろう?」

QB「心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、その身体は魔力で修理すれば、すぐまた動くようになる」

QB「ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ」

QB「弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」

まどか「ひどいよ…そんなのあんまりだよ…」

QB「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

QB「訳が分からないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」

杏子「あっ」

さやか「何?何なの?」

まどホーム

まどか(どうすればさやかちゃんを救えるの?)

まどか(何か、何か方法はないの?)

まどか(教えて、誰か――――)

まどか「そうだ、あの人なら…もしかしたら…」

天央市

まどか「うぅ、やっぱり見つからないよぉ」キョロキョロ

まどか「探す方法考えてなかった。わたしって、ほんとバカ」

十香「おお、何を困っているのだ?」

まどか「ええと、あなたは?」

十香「私は十香だ。よく分からんがそうショボンとするな」

まどか「ありがとうございます。実は今、人を探していて…」

十香「それなら頼りになる人を知ってるぞ!」

まどか「本当ですか!」

十香「ああ!」

DEM日本支社

ウェストコット「フフフ。”舞台装置の魔女”ワルプルギスの夜か、我々”機械仕掛けの神” Deus Ex Machina に相応しい」

エレン「アイク、何を考えているのです?」

ウェスト「少し君に頼みたいことがあるんだ」

エレン「?」

ウェスト「ワルプルギスの夜を、捕まえてくれ」

五河家


十香「おーい、シドー!」

士道「どうした、十香」

まどか「あっ」

士道「と、十香、この子は?」

十香「困っているようだから連れて来たのだ」

士道「そうか。こんにちは。俺は五河士道、君は?」

まどか「こ、こんにちはっ。鹿目まどかっていいます。あなたを探してました!」

士道「え?」

見滝原市

まどか「さやかちゃん、この人ならさやかちゃんを助けられるかもしれないの!」

さやか「まどか、もういいよ、そんな気休め。ありがとね…」

まどか「違うよぉ、さやかちゃん、私を信じて!」

さやか「いいんだよ、まどかは充分に頑張ったから、もう、いいんだよ…」

士道「…」

士道「いい訳っ、あるかっ!」ドンッ

さやか「!」

士道「俺なら! 君を救えるかもしれない! 嘘じゃない!」

十香「そうだ。シドーは私を救ってくれたのだ! きっと大丈夫だ!」

さやか「え?」

士道「魔法少女のことも、魔女のことも、全部まどかちゃんから聞いた!」

士道「こんなの間違ってる!」

士道「皆の幸せを祈った君達が幸せになれないなんて、こんなの違う!」

さやか「…」

士道「俺は、君を救いたい!」

さやか「…!」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「士道さん…、あたし、生きたい…人として、…生きたい!」

士道「よく言った、さやかちゃん!」

さやか「お願いします、士道さん」

士道「うん、いくよ…」

チュッ

さやか「? 成功、したの?」キョトン

士道「…いや、魔力の封印は、できなかった…」

さやか「…」

まどか「そんなぁ…」

士道「済まない、本当に、済まないッ!」

さやか「いいんだよ、これで、いいんだよ」

さやか「この力は私が願って手に入れたんだから…それに」ニコッ

さやか「私のことを救おうとしてくれる人がまどか以外にもいたんだって、知れたから!」

さやか「…もう、何の後悔もない」

数時間後

士道「…ということがあったんだ。魔法少女について、少し調べてみてくれないか?」

琴里「ふーん、魔法少女、ねぇ。俄には信じ難い話だけれども、士道がこんな嘘を吐くとも思えないし」チラッ

令音「?」

琴里「どう思う?」

令音「調べてみる価値はあるんじゃないかな?」

琴里「そうね、お願いできるかしら?」

令音「分かった」フム

琴里の部屋

琴里「おにーちゃん、早く帰ってこないかなぁ~」ボンヤリ

??「やあ、琴里」

琴里「うみゅ?」

??「ここだよ、琴里」

琴里「え、あなたは…?」

QB「僕の名前はキュゥべえ。君にお願いがあってきたんだ」

琴里「お願い?」

QB「そうだよ、僕と契約して魔法少女になって欲しいんだ」

士道「ただいまー、琴里―、いるかー?」

琴里「あ、おにーちゃん!」

QB「どうやら今は話す時間がなくなってしまったようだね、琴里、また来るよ」スタスタ

フラクシナス艦橋

令音「これは…」

令音「魔法少女…彼女達を魔法少女にした何者かがいるようだ」

令音「恐らく今の人類の科学では到底実現できないだろう」

令音「人類ではない何かが、働きかけている…?」

通学路

琴里「おにーちゃん、また女の子とキスしたなんて」

琴里「ずーるーいー!」

琴里「私ももう一度デートしたいなぁ…」

琴里「はぁ…」

おみんby・ぇtyrちゅ、いお

いおむぬいbふぇty

mcgんれいtyrうおうぃzf、mぐふぃおds

いおfgcういnyf8うえdwぉぎkるにyつえい

琴里「え? ここは…何?」

使い魔「もいぬぶrytyhんjklんtrbvcsdfgんhm、」

琴里「きゃっ、何これぇ~」

使い魔「うkytcxhgjこんgへtdfbtytんmんtbr・ぇcry」

琴里「助けて、おにーちゃぁーん!」

ズバッ、バシュッ

さやか「いやー。間一髪ってところだったね。でも、もう大丈夫!」

さやか「魔法少女さやかちゃんがパパッとやっつけちゃいますからね!」

数分後

さやか「はぁ、はぁ…こいつ、強い!」ゼェゼェ

魔女「pもいぬbyvtcrhjっkjhcぁsdfghじょ、myんtbr!!」

さやか「くっ!」

琴里「あ、あぁ」

さやか「負けない、負けない!」ウワァァァッ

魔女「jvchgjklじおいうyつfdxygsxkzmんfhgjぇうchgnybr!」

さやか「うっ」ドサッ

魔女「mkjんbhvcsdfyぐhl;klbjhくっちhy6tvtrちょpきおjkbvwcsdf」

琴里「きゃああああああああっっ」

魔女「んbvrdtyちゅいおあいうytswtyふゅ!」

ボゥッ

琴里「――――焦がせ、〈灼爛殲鬼〉」

フラクシナス艦橋

令音「琴里の霊力が逆流している?」

令音「これは…何だ、この空間は?」

士道「令音さん! 急に呼び出して、何かあったんですか!」バタンッ

令音「琴里がピンチだ。しかし、今琴里がいるのは謎の空間で…」

士道「行きます! 俺は、琴里を守りたい!」

令音「そうか。シン、これから君を送り込むのは正体不明の空間だ。」

令音「我々フラクシナスからサポートすることもできない。それでもいいね?」

士道「はい、それでも行きます」

令音「いいだろう、転送装置の準備は間もなく整う。行きたまえ!」

結界

さやか「熱い…」シュウウウ

琴里「戦えない者に用はないわ。たとえそれが私を守ろうとした者でもね」

琴里「〈灼爛殲鬼〉――【砲】」

ヤメロオオオオオオオオオオオオ
コトリイイイイイイ

琴里「!」

士道「止めるんだ、琴里っ!」

琴里「士道、どうしてここに?」

士道「令音さんが送ってくれたんだ! 琴里、その力を使うのはもう止めろ!」

琴里「…無駄よ」

士道「俺はっ! 大好きな琴里を失いたくないんだ!」ダキッ

琴里「え?」

チュッ

ポワアアアア

琴里「どうして来たのよ。それに、今霊力を封印したら…」

士道「大丈夫。俺には魔女が分かるから」ニコ

士道「〈鏖殺公〉、頼む!」ズバアアアア

魔女「ぐぎゅおいうhvじぇおwdx。、cgthyじゅt・ぉちょ」バタン

さやか「士道、さん…?」キョトン

士道「あれ、さやかちゃん? どうしてここに?」

さやか「だってあたしは魔法少女ですから!」

さやか「それより、今のは…」

琴里 リボンチェンジ

琴里「ふーん、あなたが魔法少女ねぇ」

琴里「分かったわ、詳しい話はフラクシナスでするから、着いて来て頂戴」

さやか「う、うん」

フラクシナス艦橋

さやか「精霊…かぁ」

琴里「ええ、魔法少女とは違った特別な力を持つ存在」

士道「だけど、精霊も魔法少女も、皆同じ少女なんだ。だから俺は、救いたい」

さやか「空間震に、そんな秘密があったなんて」

バタン

令音「ちょっといいかい?」

琴里「どうしたの?」

令音「霊力と魔力について、分かったことがあるんだ。さやか君も折角だから聞いていきたまえ」

さやか「はい」ゴクッ

令音「霊力も魔力も、感情から生まれるエネルギーだ。というよりかは、感情そのものと言っても差し支えない」

士道「じゃあ、霊力と魔力は…」

令音「本質としては同じものだ。ただ、由来とする感情の在処が違うんだ」

令音「霊力は信頼などの人と人との間に存在する感情エネルギーだ。だからこそ、好感度を上げることにより受け渡しが出来る」

士道「それなら魔力は?」

令音「希望などの個人の内面に存在する感情エネルギーだ。だから以前、シンとさやか君が信頼の上でキスをしても封印できなかった」

令音「けれど、逆に魔法少女が強くその力をいらないと願えば封印ができる筈だ」

士道「で、でも、前に…」

さやか「あの時、あたしは杏子に負けたくなかったし、恭介を守りたいって気持ちもあったから」

士道「そうか。今は、どうなんだ?」

さやか「今は…」

さやか「今は、この力があってもいいかなって、そう思う。まだあたしは誰かのために戦えるんだって、分かったから」

琴里「…」

さやか「だから、今までありがとうございました!」

・・・・・・・・・・・・・・・

まどか(ここ最近、さやかちゃんはよく笑います)

まどか(今日も放課後に私とさやかちゃんと仁美ちゃんとでおしゃべりして帰りました)

まどか(こんな毎日が、ずっと、ずぅっと、続きますように…)

数日後 バス停

まどか「あんなやり方で戦ってたら、勝てたとしても、さやかちゃんのためにならないよ」

さやか「あたしの為にって何よ」

まどか「えっ?」

さやか「こんな姿にされた後で、何が私の為になるって言うの?」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「今の私はね、魔女を殺す、ただそれしかだけ意味がない石ころなのよ。死んだ身体を動かして生きてるフリをしてるだけ」

さやか「そんな私の為に、誰が何をしてくれるって言うの? 考えるだけ無意味じゃん」

さやか「私の為に何かしようって言うんなら、まず私と同じ立場になってみなさいよ」

さやか「無理でしょ。当然だよね。ただの同情で人間やめられるわけないもんね?」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「ついて来ないで…!」

さやか「バカだよ私。何てコト言ってんのよ…。もう救いようがないよ…」

フラクシナス艦橋

令音「この巨大な魔力は…一体」

令音「今までに出会ったこともないような強大な何かが、迫ってきている…?」

琴里「どうしたの、令音」

令音「これを見てくれ」ズイッ

琴里「魔力反応?」

令音「あぁ、どうやら、凄まじい威力を誇る魔女がここ、天央市に迫っているようだ」

琴里「そう、なのね。ん? この小さな反応は?」

令音「む? これは気付かなかった。ふむ」

琴里「どうしたの?」

令音「今すぐシンを呼びたまえ」

琴里「へ、士道を?」



杏子「やっと見つけた…。アンタさ、いつまで強情張ってるわけ?」

さやか「悪いね、手間かけさせちゃって」

杏子「何だよ、らしくないじゃんかよ」

さやか「うん。別にもう、どうでも良くなっちゃったからね」

さやか「結局あたしは、一体何が大切で何を守ろうとしてたのか、もう何もかも、わけ分かんなくなっちゃった」

杏子「オイ」

杏子「あっ…」

さやか「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、いつだったかあんた言ってたよね。今ならそれ、よく分かるよ」

さやか「確かに私は何人か救いもしたけどさ、だけどその分、心には恨みや妬みが溜まって。一番大切な友達さえ傷付けて」

杏子「さやか、アンタまさか」

さやか「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね」

さやか「あたしって、ほんとバカ」

士道「さやかぁぁっ!!」ハァハァ

さやか「え、士道、さん?」

杏子「アンタ、誰だ?」

士道「俺は五河士道。さやかちゃんを、救いに来た!」

士道「さやかちゃん、君は、今でも魔法少女でいたいと思うのか?」

士道「俺には君の絶望が分かってしまう。もう、いいんだ、そんなに苦しまなくて、いいんだ!」

さやか「士道さん…」

杏子「アンタ…」

士道「そんな力、君には必要ない! 君は幸せに生きなくちゃいけないんだ!」

さやか「…うん」

士道「誰かの幸せを祈った君が、幸せになれなくてどうする! 生きたいと、幸せになりたいと、願え!」

さやか「うん、あたし、もうこんな力いらない。生きたい」

杏子「さやか…」

士道「…うん、よく、言ったね」

チュッ

杏子「あ、おまっ、さやかに何しやがるっ!」

ポワアアアアア

杏子「え?」

さやか「…ん」

士道「終わったよ」

さやか「ありがとう…」

人気の無い場所

エレン「お前は一体…」

QB「僕の名前はキュゥべえ。君にお願いがあってきたんだ」

エレン「?」

QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

エレン「断る。私は既に魔術師。アイクから貰った力がある」

QB「そんなおもちゃのような力で、本当に何かできると思っているのかい?」

エレン「黙れ。私は魔術師。魔法少女になる必要なんてない!」

QB「そうか。それは残念だ。でもね、いつか必ず僕を頼るべき時が来るから、覚えておいてね」キュピッ

エレン「…」

天央市

ワルプルギスの夜 襲来

まどか「さやかちゃん、どこに行くの?」

さやか「杏子のところ」

まどか「そんな、危ないよ」

さやか「分かってる。けど、杏子はたぶん、一人で戦ってる。ワルプルギスの夜相手に、たった一人で!」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「だから、あたしは行く。杏子を一人になんて、しておけないよ!」

まどか「だったら、私も連れて行って。私も、さやかちゃんと一緒に…」

さやか「うん、ありがと、まどか。行こっか」ニコ

・・・・・・・・・・・・・・・

エレン「お前は、私が捕まえる!」

エレン(〈ペンドラゴン〉の性能では、キツい…)

悪夜「キャハハハハハハハハ」ドゴォォ

エレン「〈ロンゴミアント〉!」

影魔法少女「キャハッ」ズビュゥゥゥン

エレン「あ、〈ペンドラゴン〉が…」

エレン「うっ…」バタン

QB「お困りのようだね、エレン」

エレン「…」チラ

QB「やれやれ、君にも困ったものだよ。あの時、僕と契約していればこんなことにはならなかったのに」

エレン「私は、お前の力など、アイク以外の力など、いらない」ガクッ

QB「君は…命よりも忠誠心を大切にするんだね。まったく…」

QB「訳が分からないよ」トボトボ

・・・・・・・・・・・・・・・

杏子「ワルプルギスの夜、やっぱ強え」

杏子「どうすりゃあいいんだよ…」ギリッ

まどか「杏子ちゃん!」

さやか「杏子!」

杏子「お前ら、どうしてここに!」

さやか「あんたのことが心配だからに決まってんでしょーが!」

杏子「え…?」

さやか「大丈夫、あんたはあたしが守るから!」バッ

まどか「さやかちゃん!」

杏子「おい、さやか! そこを退けッ!」

悪夜「キャハハハッ」

杏子「さやかぁぁぁぁっ!」

ダァン

さやか「え?」

士道「大丈夫か?」

杏子「アンタは!」

士道「遅くなって済まない。助けに来た!」

士道「〈氷結傀儡〉!」パキパキ

まどか「すごい…」

さやか「影が、凍っていく」

杏子「強い!」

士道「〈鏖殺公〉!」

士道「〈颶風騎士〉!」

士道(さやかちゃんの力のお陰かな、〈鏖殺公〉が楽に扱える)

悪夜「キャハハハハハ」

士道「うおりゃあああああああああっ!」

ドゴォォォォォン

琴里「――――士道?」

フラクシナス艦橋

令音「…シンが、死んだ」

琴里「…それって、どうゆうコトよ、ねぇ、ちょっと、令音!」

令音 フルフル

琴里「う、うぇ、おにーちゃん…」

琴里「おにぃぢゃああああああああんっ!」

QB「その魂を懸けてまで、叶えたい望みがあるというのなら力になるよ」ヒョコッ

琴里「キュゥ…べえ…?」

令音「ん? どうした琴里? 誰と話しているんだ?」

琴里「おにぃちゃんを…、助けられるの?」

令音「琴里? 一体何を?」

QB「君が望むなら、何だってできるよ。君にはその資格がある」

令音「誰かいるのか? 琴里!」

琴里「おにーちゃんを、助けたい! 契約する!」

令音「まさか…、そこにいるのか、契約依頼者」

QB「琴里。それじゃあ、けいや…」

パァン

ほむら「待ちなさい」ファサッ

琴里「!」

令音「君は…?」

ほむら「五河士道は生きている。あなたが契約する必要はない」

琴里「本当なの?」

ほむら「その目で確かめるといいわ。行きましょう」

荒廃した街

さやか「傷が、治っていく…」

士道「俺には今まで封印した精霊の力が使えるんだ。もちろん、君の力もね」

さやか「あたしの、治癒能力…」

士道「そうだ。それに、元々〈イフリート〉の回復能力もあったからな」

まどか「いふりーと…?」

士道「あぁ、精霊の名前だよ」

まどか「そうなんですか…」

杏子「おい、暢気に話してる場合じゃないぞ!」

悪夜「キャハハハハハ」

杏子「ヤバい…伏せろ!」

カチリ

ほむら「まったく、無茶をするわね、あなた達は」ファサッ

琴里「士道!」

まどか「ほむらちゃん!」

士道「琴里!」

琴里「士道、あんたはもういいわ。少し休んでて」

士道「え、でも」

琴里「その代わり、その力、返してもらうわよ」ボゥ

ほむら「五河士道、あなたにはもう戦う体力がない。見ていて。杏子、あなたもね」

さやか「ほむら、あんたまさか、二人だけでアイツと戦う気?」

ほむら「ええ、そうよ」

琴里「私を舐めないで貰えるかしら」

琴里「――――焦がせ、〈灼爛殲鬼〉」

士道「そんな、無茶だ!」

??「ならば、もっと人数がいればいいのだな」

まどか「誰?」

士道「十香! どうしてここに!」

十香「シドーのピンチに駆け付けぬ訳がなかろう」

四糸乃「十香さんだけじゃないです」

耶倶矢「如何にも」

夕弦「増援。助けに来ました」

美九「わたしもいますよぉー?」

士道「皆…」

十香「シドー、済まぬが暫く、力を返して貰うぞ!」

士道「ちょまっ…」

さやか「士道さん、あたしも、戦いたい。皆に任せてばかりじゃダメなんだ」

士道「さやかちゃん…」

十香「私達は、絶対に負けない」キリッ

・・・・・・・・・・・・・・・

悪夜「キャハハハハハハハハハハハハ」

影魔「ケラケラケラ」

美九「影の女の子たちは、私と四糸乃さんでどうにかしますぅー」

さやか「杏子、あたし達も行くよ」

杏子「おう!」

琴里「じゃあ、あのデカブツはほむらとあたし、十香に耶倶矢と夕弦で相手するわ」

ほむら「そうね、行きましょう」

影魔法少女サイド

よしのん「行っくよー!」

四糸乃「〈神威霊装・四番〉!」

美九「〈神威霊装・九番〉!」

四糸乃「〈氷結傀儡〉、来てください!」

美九「謳え――――〈破軍歌姫〉、【輪舞曲】!」

影魔「キャアアアア」

さやか「はぁぁぁぁぁぁぁ、てやぁぁぁぁぁっ!」

杏子「ちゃらちゃら踊ってんじゃねえ、根暗共っ!」

影魔「キャアアアアアア」

ワルプルギスの夜サイド

十香「〈神威霊装・十番〉、顕現せよ、〈鏖殺公〉!」

耶倶矢「〈颶風騎士〉、【穿つ者】!」

夕弦「召喚。〈颶風騎士〉【縛める者】」

ほむら「きっと、これなら勝てる!」

悪夜「キャハハハハハハハハハハハ」

士道サイド

まどか「ほむらちゃん…さやかちゃん…杏子ちゃん…」

士道「大丈夫、あいつらなら、大丈夫だ」

まどか「士道さん…、っ、はい!」

QB「本当にそう思っているのかい?」

まどか「キュゥべえ!」

士道「まどかちゃん、そこに誰かいるのか?」

まどか「あ、はい、キュゥべえが、皆を魔法少女にしたものがいます」

士道「…」

QB「まどか、見ての通り、ワルプルギスの夜は強大な魔女だ。たかが少女数人でどうにかなるとは思えないんじゃないかな」

まどか「あなたは、黙ってて…!」

QB「分かったよ。でもね、僕はいつでも待っているからね、君が契約するのをね」

影魔法少女サイド

杏子「なんとか、全部片付いたな」ハァハァ

美九「流石に、疲れましたぁー」

四糸乃「十香さんたちのほうは…」

さやか「見て、あれ!」

ワルプルギスの夜サイド

ほむら「もう、砂がない…。これで、決める!」ガシャン

十香「【最後の剣】!」

琴里「【砲】!」

八舞姉妹「【天を駆ける者】!」

悪夜「キャハハハハ」

ドガァァァァァァン

十香「やった…」

キャハハハハハハハ

琴里「え?」

悪夜 ワルプルギスの火

ほむら「きゃああああっ!!」

キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ

??「〈刻々帝〉!」

悪夜「キャハ?」

狂三「まだあなた方に死なれる訳にはいきませんの」

狂三「おいでなさい、わたくし達」キヒヒ

十香「狂三!」

狂三「【七の弾】」バァン

狂三「さぁ、皆さん今の内に!」

悪夜「キャハハ」

狂三「そんな…」

悪夜「キャハハハハハハハ」

琴里「狂三の力でも、止められないなんて」

ズバァ

エレン「私がやる」

ドカァ

エレン「かふっ…」

十香「貴様はっ」

エレン「〈プリンセス〉、今はあなたに構っている暇はない」

ほむら「彼女は…」

琴里「エレン・ミラ・メイザース。最強の魔術師よ」

ほむら「魔術師…」

悪夜「キャハハハ」

エレン「私は、アイツを捕らえる!」

ほむら「待っ」

悪夜「キャハハハハハ」

エレン「うっ…」ドサッ

琴里「メイザース!」

ツカツカ

ウェスト「いいよ、エレンは私が預かろう」

エレン「アイク…、申し訳ありません…」

ウェスト「気にすることはない。君が勝てなかったんだ。今は諦めるとしよう」

エレン「…」

ウェスト「さて!」

ウェスト「精霊諸君に、…見知らぬ少女よ、苦戦しているようだね」

十香「貴様には関係ない!」

ウェスト「おやおや、君にはとっては重要なことを教えようとしたのだがね」

琴里「重要なこと?」

ウェスト「そうだ。〈プリンセス〉、君は以前、私の前で凄まじい力を見せなかったかね?」

十香「凄まじい力…?」

琴里「まさか…霊結晶の反転…」

ウェスト「そうだ…覚えていないかな?」

十香「私は…私は…覚えているぞ…!」

琴里「待ちなさい、十香!」

ウェスト「見たまえ、君の足下に広がる無残な街を。君は守れなかった、君を受け入れてくれたこの街を」

十香「う、ぅあぁ」

ウェスト「このまま君が戦っても、ワルプルギスの夜には勝てない。けれど、君が絶望により灼たな力を望むのであれば…」

琴里「黙りなさい! 十香も、こんなヤツの言うこと聞かないで!」

ウェスト「さて、私はもう行くとしよう」

ウェスト「君達の勝利を、――――祈っているよ」スタスタ

ウェスト(魔法少女、か…。面白い)フフフ

・・・・・・・・・・・・・・・

十香「このままでは、街も、シドーも守れない…」

ほむら「よく分からないけれど…、守れないなんてことは絶対にないわ!」

琴里「そうよ、十香、しっかりして! …ん、何、夕弦?」

夕弦「質問。フラクシナスからの援護はできないのですか?」

琴里「それが…、アイツを認識できるのは魔法少女の素質がある者か、それとも霊力を持つ者なら魔力を感じ取って居場所が分かるか、その程度なの」

琴里「だから、フラクシナスからの援護は不可能よ」

夕弦「納得。そうですか」

耶倶矢「よくは分からんが、我らだけであやつを倒せばよいのだな」

琴里「ええ」

ほむら「そうね」

十香「私が…私の…!」

ほむら「十香…?」

十香「私の、私の嘆きが世界の希望になるというのなら! 私は、希望などいらない!」

琴里「待ちなさい、十香!」

十香「私は、呪いも、嘆きも、全てを受け入れる!」

十香「うあああああああああああああああっ!!」

琴里「反転…」

十香「ここは…」

悪夜「キャハハハハハ」

十香「煩い。〈暴虐公〉。【終焉の剣】」

悪夜「キャハハハハ」

十香「効かない…だと」

悪夜「キャハハハ」

琴里「反転してしまったものは仕方がないものね…。援護するわ」

十香「貴様等は、精霊…と、貴様は違うな、何者だ」

ほむら「私は魔法少女。精霊とは似て非なるもの」

十香「そうか、いいだろう」

さやかサイド

美九「あの姿は…」

さやか「どうしたんですか?」

美九「このままではまずいです。行きましょう!」

杏子「お、おい、ちょっと待てって」

ワルプルギスの夜サイド

十香「ぐはぁっ!」

琴里「くっ」

耶倶矢「ぐっ」

夕弦「心配。大丈夫ですか、耶倶矢」

ほむら(どうして…こんなに仲間がいるのに、勝てない…)

さやか「みんなっ!」シュタッ

杏子「大丈夫かよ、おい!」

ほむら「…」

美九「皆さんは、私が…。〈破軍歌姫〉【行進曲】」

ほむら「力が、湧いてくる…」

琴里「ふん、中々やるじゃない」

美九「可愛い女の子のピンチですからねぇー」

・・・・・・・・・・・・・・・

ほむら(仲間が、次々と倒れていく…)

ほむら(もう、私と、十香と、狂三しかいない…)

十香「〈暴虐公〉が、折れた…だと」

狂三「武器がないのでしたら下がってくださいまし」

十香「退くなど有り得ん」

ほむら「そんなことを言っている場合では!」

狂三「きゃあっ」ドサッ

ほむら「狂三っ」

ほむら「…!」

ほむら(弾が、もうない…こんな時に…)ギリッ

・・・・・・・・・・・・・・・

士道「十香!」

まどか「ほむらちゃん!」

十香「貴様は確か…」ギロ

士道「十香…」

ほむら「まどか、どうしてここに…」

QB「僕が連れて来たんだよ。もしかしたら永遠の別れになってしまうかもしれないからね」

まどか「キュゥべえ、やめて!」

QB「やれやれ、何故君達人間は真実を嫌うんだい?」

ほむら「許さない…」

QB「ほむら、今の君に何が出来るんだい? もう弾切れで、どうやら十香も武器を失ったようだね」

まどか「ほむらちゃん…」

・・・・・・・・・・・・・・・

士道「十香! 俺を思い出せ!」

十香「何を言っている? 私は貴様を覚えているぞ。前に一度会ったな」

士道「そうじゃない! もっと、いつもの十香に言ってるんだ!」

十香「いつもの、十香、だと?」

士道「ああ、そうだ!」ダキッ

十香「な、何を」

士道「帰って来い、十香ぁぁぁぁぁぁ!」

チュッ

十香(な、何「シドー」をするのだ? こんな「シドー」敵前で? シドー? 誰だそれは? 何だ? 胸が「シドー」温かくなってくる…)

十香「シドー?」

士道「十香、十香なんだな!」

十香「シドー、私だぞ、十香だ!」ニコ

士道「良かった…」

十香「…良くない」プルプル

士道「え?」

十香「なんだ、これは? 四糸乃も、琴里も、狂三も、耶倶矢も、夕弦も、美九も…他の少女たちも…」

士道「う…」

十香「皆は、負けたのか…? あの化け物に」

士道「…あぁ」ボソッ

十香「許さん、絶対に、許さん!」ギロリ

士道「待て、十香!」

・・・・・・・・・・・・・・・

ほむら「大丈夫よ、まどか。まだ、武器は残ってるわ」

まどか「本当に?」

ほむら「ええ、私は勝つ。絶対に」

QB「それは本当かい? 君は…」

ほむら「見ていて、まどか」

まどか「うん」

ほむら「必ず、勝って、戻ってくる」ニコ

まどか「うん」ニコ

・・・・・・・・・・・・・・・

ほむら「十香、もう、チャンスはこの一度しかないでしょうね」チラ

十香「ああ。最後の対決だ。勝つぞ」コクリ

悪夜「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

・・・・・・・・・・・・・・・

士道「どうしてだよ、十香…どうして!」

十香「―――――――――――」グッタリ

士道「十香ぁぁぁぁぁぁあああぁあぁあぁぁぁああぁぁあっっ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・

まどか「ほむらちゃん、しっかりして」

ほむら「まど、か…。に、げ、て…」ゼェゼェ

まどか「ほむらちゃん、ううん、私、逃げない」キリッ

ほむら「だめ…やめて…」ダキッ

まどか「もう、いいんだよ、ほむらちゃん」

ほむら「やめてよ…」

まどか「今まで、ありがとう」ニッコリ

QB「どうやら、僕の出番のようだね。まどか」

まどか「うん」

QB「それで、願いは決まったのかい?」

まどか「決まったよ、私の願い」

QB「それじゃあ、聞かせてくれるかな。君の、魂と引き換えの願いを!」

まどか スゥ―ハァ―

まどか「私はこの戦いで倒れた皆を、助けたい。今からでも皆を助けることが出来るような、絶対的な力が欲しい!」

QB「それが、君の願いなんだね?」

まどか「うん、叶えてよ、インキュベーター!」

・・・・・・・・・・・・・・・

士道(何か、強い光を感じて目を上げると、世界はピンクの光で溢れていた)

士道(まどかちゃんが、魔法少女になったのだと悟った)

士道(温かい光に包まれながら、俺の手がもっと温かいものに包まれているのに気付いた)

十香「…シ、ドー」ウッスラ

士道「十香!」

十香「まどかが、助けてくれたのだ。私だけではないぞ、ほら」

士道「え?」クルリ

琴里「え、どうして、私」

杏子「まだ、生きてる…?」

狂三「どういうことですの?」

美九「もしかして私、生きてますぅー?」

士道「皆!」

四糸乃「士道、さん!」

さやか「私、生きてるよ」ポロポロ

耶倶矢「此れは…!」

夕弦「奇跡。耶倶矢とまた会えました」

士道「良かった…!」

ビィィィィィィィィィィィィィンッ

ドガァァァァァンッ

悪夜「キャハハ…ハハ…ハ…」ズガァン

ほむら「まどかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

・・・・・・・・・・・・・・・

士道(まどかちゃんが、ワルプルギスの夜を倒したらしい)

士道(俺は目を覚ました皆と共に見上げた)

士道(夜が過ぎた空は晴れ渡り、朝陽が世界を黄金に染め上げていた)

士道(黄金の夜明けが、やってきた――――)

士道(――――そして、俺達の物語は終わる)

・・・・・・・・・・・・・・・

ほむら「まどかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

まどか「うっ、ぅああああああああああああっ!」パリン

QB「やっぱり凄いね、まどかは。あのワルプルギスの夜を一撃で倒してしまうなんてね」

ほむら「あなたには、分かっていたことなんでしょ…」

QB「そうだね。彼女の魔力係数を考えれば、こうなることは目に見えていたね」

まどか「ああああああああああああああああっっ」バキン

ほむら「まどかっ!」

QB「さぁ、最強の魔女の誕生だ。これなら、僅か数日でこの世界を滅ぼしてしまうだろうね」

ほむら「くっ」

QB「戦わないのかい?」

ほむら「いいえ。私の戦場は、ここじゃない」

QB「暁美ほむら…君は…」

数日後

滅びゆく世界

士道「ごめん、十香。もう、ここまでだ…」

十香「いいんだ。シドーは頑張った。もういい」

士道「琴里も、四糸乃も、耶倶矢も、夕弦も、美九も、さやかちゃんも、杏子も、真那も、折紙も、…フラクシナスの皆も、学校の皆も…」

十香「…」ダキッ

士道「誰一人として、守れなかった」グッ

十香「…シドー、ん」ギュッ

士道「十香…」ダキッ

チュッ



(the End)

(…or the Beginning)

かつて世界が在った場所

??【漸く、終わったんだね】

救済の魔女 グガァァァァ

??【出逢う筈のない彼女達と出逢ってしまった、過ちの世界が】

??【まどか、君にはお礼を言うよ。ありがとう】

??【そして、君の世界を滅ぼせるだけの力を、使わせて貰うね】

救済の魔女 グガァァァァァ

??【彼女達と出逢うことのない世界…】

??【正しい世界を、創る為に――――】

??【本当の歴史を、始めよう――――】



(the True End)

今気付いたけど、天宮市を全て天央市と勘違いしてたな。
すまん。

あと、今更だけど魔女は心がないから魔力の封印はできないと思ってる。

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