男「俺だって普通に恋したい」 幼「知ってる」 (104)

男「だが俺は周りに恋に興味が無いと思われているらしい」

幼「そりゃお前、私と女以外の女子とは碌に話せないし、男子から好きな奴聞かれてもいないって答えるし、女子との浮いた話も一回もないし」

男「だって」

幼「だってじゃねぇよ! 簡単に言えばお前が恋愛できないのはどう考えてもお前が悪い」

男「く、俺の苦悩も知らないで」

幼「私だって彼氏なんてできたことねぇよ」







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幼「でも、必要と感じるかどうかだろ?」

男「しかしだな、俺達もう高3だぞ? 彼氏彼女出来たことないのなんて俺達だけじゃねぇのか?

幼「いや、なかには学生の分際で彼氏彼女を作るなぞ惰弱! とか思ってる奴もいるかもしれないじゃん」

男「そいつ、一生独身だろ」

幼「じゃあなにさ、お前は彼女を作って何がしたいんだ」

男「でーと」

幼「ありきたりだなおいwww」

男「他になんかあんのかよ」

幼「……」

男「無いなら笑うなよ」

幼「それは置いといてだ。今から彼女を作るとなるとかなり厳しいぞ」

男「何で?」

幼「はぁ!? そんなこともわからんのか。今は夏休みの真っ只中。それに私達高3は大学受験を控えてるから勉強漬けだ。九月からアプローチを掛け始めるとしても卒業まで間に合うかどうか」

男「どこぞのギャルゲーみたいに一ヶ月くらいでコロっと行かねえかな」

幼「行かねえよ。現実の女はそこまで軽くない。そんな軽いやつは誰でもいいから自分に構ってくれるやつが欲しいだけだろうよ」

男「手厳しい」

幼「でも実際考えりゃお前に彼女がいないってのも変な話のはずなんだ」

男「?」

幼「背は学校で一番高い。頭もそこそこいい。顔もまぁまぁ。モテる条件のほとんどを満たしてるはずなのに」

男「あんまり喋らないからじゃない?」

幼「男子となら喋るだろ」

やった、幼馴染スレだ!

コテとsage忘れてた、すいません

男「まあ、それなりには」

幼「それなりじゃねえだろ。昼休みは外でサッカーして、次の授業に汗だくで参加する。これのどこがそれなりだよ」

男「元気にサッカーしてりゃモテるかなーって」

幼「遠まわしだな。サッカーしてる奴は他にもいるんだから他の奴に目が行く場合もあるとか考えないのか」

男「あー、そういう考え方もある」

幼「てか、あえて聞かなかったけど、お前好きな奴は誰なんだ?」

男「女」

幼「……そ、そうか」

男「でもさ、俺とあいつは運命の選択によって引き離されているんだ! 彦星と織姫のように」

幼「そういや、お前ら小学校の頃から一回も同じクラスになったことないよな」

男「それに、俺は文系、女は理系」

幼「私は文系」

男「俺だってさ、高嶺の花だとは思ってるよ? でもさ、幼なじみっていう利点はあるじゃん」

幼「まぁ」

男「小学校の頃は遊園地にいって隣同士でジェットコースターに乗ったりしたのに。今となっては隣にいるのは野郎ばかり」

幼「確かに女のやつ、中学校入ってから部活始めたから部活の連中とつるんで私達とは疎遠になったよな」

男「当たって玉砕するのと避けて後悔するはどっちがいいと思う?」

幼「そりゃ当たって包まれるのが一番だろ」

男「そりゃそうだ。でもさ、俺とあいつじゃ釣り合わないよ」

幼「じゃあ努力しろよ」

男「してるしぃ、多分料理に関してはこのクラスの誰よりも上手いね」

幼「何で、料理を身につけたんだよ」

男「料理ができる男はモテるからに決まってんだろうが!」

幼「ソースは?」

男「M○C○'Sキッチン」

幼「おい伏字。てか、それだけで判断したのか?」

男「大体そうだな。全部録画してる。今度見る?」

幼「見る」

男「あとは○子ごはんも参考にしたよ」

幼「お前の名前を見ると全く伏字になってないな」

男「料理がダメなら何の努力をすればいいんだよ?」

幼「そりゃお前、乙女心を学ぶとかさ」

男「無理。そういうの無理」

幼「そう言うなよ。なんかあるじゃん。あの、頭を撫でたら嬉しいとかさ」

男「知ってる? たいして親しくもないやつに触られるのって女子は最高に不快らしいよ」

幼「つまり?」

男「頭撫でたら嬉しいってことはさ、もうそいつ完全にその男のこと好きだよね。俺には意味ないよね」

幼「じゃ、じゃあ窮地から救って一発で惚れさせるとかぁ!?」

男「窮地に陥ることがまず無いよね。それに例え本当に窮地に陥ったとしても俺がその場に居合わせる確率なんてほぼゼロに近いし、もしそれを狙ってるんならそれは単なるストーカーでしかない」

幼「くぅ、じゃあ雨の日に相合傘で一緒に二人で帰るとか」

男「俺とあいつの家は方向が違うし、部活の友達と帰るだろう。それに相合傘なんていうのは既に付き合っているカップルがするもんだ」

幼「くっそー! それなら休みの日にデートに誘うとか」

男「それは一番無理だ。あいつは俺と違ってモテるからな。誰か彼か、声がかかってるだろう。でもあいつは部活の友達と遊びに行く。数ある男を皆振ってな。だが、たとえ男と遊ぶとなっても俺よりいい奴なんて五萬といる。俺はその泡沫候補の一人に過ぎないんだよ。選んでもらえる可能性なんて何十分の一、そしてその可能性は均等じゃない。スペックのより高い奴にチャンスは増える」

幼「……」

幼「おい」

男「あ、何だよ?」

幼「いいのか、それで」

男「俺が告白したところで誰の得になる。女を狙う他の男か。俺を狙ってくださっている他の女か」

男「いいんだよ、これで。いつまでも幼なじみ。嫌われることもなく好かれることもないこの関係がいいんだ」

幼「そうかよ。私だったら意地でも振り向かせる。周りの奴を排除してでも私は私の好きな奴を自分のものにしてみせるよ。たとえそいつが他の奴のことが好きでもね」

男「……そうか、頑張れよ」

幼「もう、練習が終わる。覗いてないで帰るよ」

男「ああ、そうだな」

幼「……お前さ、何で女が好きなんだ? 胸か?」

男「違う。俺はあいつにいつも励まされてきた。コミュ障でもなんとかなるってさ」

幼「あいつらしい、オブラートのない言い方だな」

男「まあな。でもさ、そのおかげで俺は頑張って何があってもくじけずにここまで来れたんだ」

幼「……」

男「別にそれだけが理由ってわけでもないけどさ」

幼「……」

男「幼?」

幼「なぁ、もし、それが……いや、何でもない」

男「どうした、らしくない」

幼「ああ!? 今まで聞いたこと女にぶちまけるぞ」

男「すみません」

幼「でもよぉ、さっきお前が言ったように女は男子人気相当高いんだろ?」

男「そうだな、同じクラスじゃないからよくわからんが友は彼女いない奴は大体女を狙うらしい」

幼「なんだか遠くに行っちまった気がするな」

男「全くだ」

幼「もしさ、あいつにもう彼氏がいたらどうする?」

男「拗ねる」

幼「……幼稚園児かよ」

×らしい

○と言っていた

幼「お前、ほんとにメンタル弱いよな」

男「そうだよ、俺のメンタルは豆腐を通り越してヨーグルトだよ」

幼「全く、頑張れよ。ほんとに」

男「うん、ありがとう。じゃあな、俺こっちだから」

幼「おう、じゃあなバイバイ」

男の部屋

男「むぅ、女に片想いし続けて早八年。幼にはああ言ったが俺ももうこの関係に終止符を打つべきなのかもしれない」

男「不幸なことに俺は一人っ子。恋について相談できる相手が家にいない」

男「どうすればいいんだ」

 男の妄想

男『なぁ、女。俺と付き合ってくれないか?』

女『え? 何言ってるのよ。私もう彼氏いるから』

彼氏『うぃ~すwww』

女『じゃあね、男。これからも幼馴染としてよろしくね』



男「うがああああああ! いかん。妄想ぐらいハッピーエンドでいいはずだ」

男「もう一回だ」



男『女、俺と付き合って――――』

女『ごめんなさい』


男「うをおおおおおおおおおおおお!!」

男「もういい。これはもういい。俺の思考回路がどれだけねじ曲がってるかよくわかった」

男「彼女……か」

男「幼もあんな喋り方だけど女の子なんだよな。あいつを彼女にする奴は大変だろうな。絡みやすい奴ではあるが」

男「そういや、俺があいつにしてやれることなんて一つもないな。こっちはあれだけ提案してもらったのに」

男「……」ゴソゴソ

男「あった。中学校の卒アル」

男「幼は三年間同じクラス。女は三年間違うクラス。俺と幼のツーショットも入ってんじゃねぇか。これは恥ずかしい」

男「でも俺と女が一緒に写ってる写真は一つもないな。悲しいことに」

男「やっぱり、運がないんだろうな。十二年間一度も同じクラスにならないなんて」

男「……」

幼の部屋

幼「うおおおおお! ふぉおおおおお!」

幼妹「お姉ちゃん、うるさいよ」

幼「こ、これが黙っていられるかぁ!」

幼妹「顔が不審者だよ」

幼「い、いいから出て行け!」

幼妹「う、うん」

幼「(くそ、男が好きなのは女かよ。確かにあいつは私と違って可愛いし愛嬌もあるし、胸もでかい)」

幼「だが、男を諦めるわけにはいかない。高校最後の年。今年こそ男とくっついて全校中に私たちのラブラブっぷりを見せつけてやるんだ!」

幼「だが、女は手強い。全てにおいて私より優れている。ので、私は男より劣っている点で勝負を掛ける。まぁそれもほとんど全部なわけだが」

幼「まぁ妥当なのは勉強か。よし、明日早速声をかけよう」

男「暑い、うん暑い。俺は宿題なんてすぐに済ませて長い夏休みを過ごすタイプなんだが」

幼「まぁまぁ、馬鹿な私に教えてくれよ」

男「お前、英語だけは俺よりできるだろ」

幼「それはお前が出来なさすぎるだけ」

男「そうですね」

幼「さあ、教えてくれたまえよ」

男「教科は?」

幼「日本史」

男「で、何?」

幼「え?えっとぉ、天文23年、1554年に結ばれた甲相駿三国同盟に今川家の元で尽力した者の名前を答えよ」

男「太原雪斎」

幼「え、ちょ、うわ、合ってるし」

幼「(これは簡単だったのか? もっと難しいやつで)」

幼「じゃ、じゃあ次な。うわー、これは難しいぞ。かの豊臣秀吉に『その忠義も武勇も九州随一である』『九州の逸物』と高く評価した立花宗茂の実父は誰か」

幼「(これは流石にわからねぇだろ。私には立花宗茂も誰かわからん)」

男「高橋紹運。あ、それか吉弘鎮理、高橋鎮種」

幼「(馬鹿な。答えは……)」ペラ

答「高橋紹運/吉弘鎮理/高橋鎮種」

男「間違ってた?」

幼「あ、ああってるよお」

幼「(くっそ、今更ベッドから降りて私の隣に座って教えて欲しいですとは言えない。国語は割と得意な方だし苦手な社会でどうにか奴をこっちまで引き寄せられないか。とりあえず難しそうな最後の問題を)」

幼「じゃあ次行くな。えっと、足利尊氏の子、基氏は関東地方に下向し鎌倉公方足利家を起こした。基氏は尊氏の何男か」

男「え、ああっとなぁ。えっと」

幼「(これは……ついにイケる流れ!)」

男「悪いが、問題見せてくれ」

幼「お前が降りてこいよ」

男「……しょーがないな」

幼「(よっしゃぁ!)」

幼「速く座れ」

男「(横? 一つの場所にふたりは狭いだろう)」

幼「速く!!」

男「お、おう」

男「んで、問題」

幼「ほい」ペラ

男「二か三だったと思うんだがな。義詮が次男って前の問題に書いてるから三男だな」

幼「あ、ありがとう」

男「お前、暑さで頭やられたのか。俺に対してありがとうとか」

幼「!? う、うるさい、さっさと次行くぞ」

数十分後

男「だから! 歴史は暗記もんだっつてんだろ!」

幼「暗記は苦手なんだよ! もっとわかるように教えろ!」

男「よし、さっきの小早川秀秋が裏切った理由がわからんって言ったな。簡単に言えば西軍が不利になったからなんだが。さらにわかりやすくするために俺を家康、お前を三成、秀秋を女と例える」

幼「何で女が出てくんだ!」

男「これが一番わかりやすいんだよ」

男「ちょっと、ノートとシャーペン借りるぞ」

幼「え、あ、うん」

小早川裏切りの理由とか誰が知りたいんだよということでカット

幼「へえ~、たしかにわかりやすかった」

男「だろ? 俺はいつもこうやってるよ」

幼「どうせ女ばっかでしょ」

男「な、まぁそうだけどさ、三人以上の時はお前だって出て来るよ」

幼「ふーん」

ピンポーン

男「誰だ? 来客の予定はないぞ?」

幼「(これだけ贅沢したんだからもういいよね)」

男「はあーい」バタバタ

幼「帰る準備しよ」

男「誰だろう。はい、どちらさま?」

女「久しぶりだね、男」

男「女? 何で!?」

女「え? 幼に呼ばれたんだけど男が勉強教えて欲しいって泣いてるって」

男「(幼が?)」

男「と、とりあえず上がってくれ」

女「うん、お邪魔しまーす」

幼「(もう上がってきた! くそっ今なら走ってトイレに隠れれるか!?)」

男「お茶持ってくるから部屋に行っててくれ」

女「うん」

幼「(誰もいなくなった。よし、今のうちに一気に家を出る!)」

男「ん? 今変な音が。女かな?」

男「まぁ、いいや。お茶お茶」

男「女ー、ドア開けてー」

女「はーい」ドーン

男「痛い」

女「ご、ごめん。男。大丈夫?」

男「だ、大丈夫だ」

女「ご、ごめんね」スリスリ

男「(やった、女と触れ合ってる)」

男「(あれ、幼がいない)」

女「どうしたの? 速く勉強会はじめよう?」

男「(トイレかな?)」

男「ああ、お願いします」

数十分後

男「(おかしい、幼が戻ってこない)」

女「ここがこうなってって、男、聴いてる?」

男「え、ああ聞いてるよ」

女「怪しいなあ」

男「続けてくれ」

女「うん、ここはこの公式を使って解いてちょっとむずかしいけど」

男「うんうん」

幼「……」コソ

幼「(窓の外から覗き込むなんて私は変態かよ。でもあいつら楽しそうだな。でもいいんだ、これで。私は男が幸せならそれで)」ポロ

幼「(泣いてんじゃねぇよ!!)」

男「なぁ、ここどうするんだ?」

女「えっと、ここはね」ムギュ

幼「(ああ!? 男に顔が一気に緩みやがった。そりゃ女の胸が体に当たればそうなるか)」チラ

幼「(それに比べて私は残念だ)」

男「ふーん、やっぱわかりやすいな」

女「そ、そうかな。真正面から言われると照れるね」

男「ああ、堅苦しい先生より女の方が全然いいよ」

女「ほんと!? それはとっても嬉しいよ。私、大学は教育学部に入って先生を目指そうと思うんだ」

幼「(女は私と違って頭もいいから先生にだってなれるだろうな。それに彼氏とかどうでもよさそうでさ。自分の生き方がはっきりしてる人はいいなぁ。私なんて夢どころかこのまま男を諦めるかどうかで迷ってるんだから)」

女「じゃあ、私はもう帰るね」

男「ああ、今日はありがとう。ま、またよかったら教えてくれ。俺、英語と数学は苦手だから」

女「うん、またね」

幼「部屋から出て行きやがった。玄関までお見送りか」

幼「私ももう帰ろう」

男「靴がなくなってる。やっぱりあの音は幼だったのか。」

男「あいつには礼をしなきゃな。多分、女を呼んで自分は帰って俺と女を二人きりにしてくれたんだろう」

男「でも、それなら俺に勉強を教えろと先に来る必要はない。女にメールするだけでいいはず」

男「……自意識過剰か」

男「俺は女が好きなんだ。この気持ちは揺るがない」

翌日

幼「くそ、やっぱりダメだ。諦められねぇ」

幼「とりあえず、漫画でも読むか」

幼「……執念、欲望か」ペラ

幼「私は私流のやり方でやる」ペラ

幼「よし、女には悪いが男は私がもらう! 私は諦めない!」

幼「ところでお礼とかは無いのかい?」


男「お礼?あぁ、金ならあるから本か?」


幼「いや、買うとかじゃなくて…その…」


男「じゃあ何だ?何がほしい?」


幼「………………………………察してよ」


男「無茶言うな、俺はESP持ちじゃないんだってば」


幼「…」


幼「………じゃ、じゃあ………………………き、きs、いや……その……や、やっぱり本でいい!///」

幼「今日は都合のいい事に花火大会がある。これに男を誘って、私が浴衣でも来ていけば多少はプラスになるはずだ」

幼「……浴衣持ってねえわ」

幼「早くも詰んだ。女はいっぱい浴衣とか持ってるんだろうし、男は女を誘うんだろうし、ぐああああ!」

幼妹「お姉ちゃん、うるさい」

幼「妹! いいところに来てくれた。このかわいそうなお姉ちゃんに浴衣を貸してくれ」

幼妹「へ? まあいいけど。サイズは……」

幼「?」ペターン

幼妹「……大丈夫そうだね」

幼「今のは分かるぞ。言っておくがステータスだからな」

幼妹「とにかく浴衣がいるんでしょ? 三つくらいあるから選んでよ」

幼「三つ!? 一つあれば十分だろう。譲ってくれ!」

幼妹「ダメだよ。その状況に応じて選ぶんだから」

幼「そ、そうか、よくわからんが」

幼「こ、これを私が着るのか……」

幼妹「そうだけど?」

幼「ちょ、ちょっと派手すぎないか? 私はピンク色の服を着たことがない」

幼妹「そんなこと言ったって私が持ってるのはこの三つだけだし」

幼「そうか、しょうがないよな。うん、しょうがない」

幼妹「で、どれにするの?」

幼「じゃ、じゃあこれ」

幼妹「結局一番派手なやつ選ぶんだね」

幼「しょうがないだろう」

幼妹「それで全部解決するわけじゃないからね」

男「ふむ、今日は都合のいいことに花火大会がある。これに女を誘って、すげぇお洒落して行けば女といい感じになれる」

男「……服がジャージしかない」

男「ダメだ。金もないから買いに行けない。誰かに借りる? 無理だ。俺とサイズが同じやつを知らん」

男「早くも詰んだ。諦めるしかないのか」

携帯「ブブブブブ」

男「おお!? 万年マナーモードの携帯が雄叫びを上げているぞ」

男「幼からメールか。花火大会一緒に行かないか。なるほど、確かに行きたいのだが、ジャージでは流石にいけないよな」

男「……どうすべきか」

男「親父の服でも適当にパクって行くか……デオ○ラ○ト丸々一本使いそうだな」

男「とりあえず、おk、と。送信」

本当にごめんなさいさっき誤爆しました

>>35 気にしないでください。続きに期待しています

幼「お、返信。お、おおおおおお!! おkだ。やったやった。これで私の計画がスタートした!」

幼「あとは、浴衣着て……あとえと」

幼妹「お化粧とかは?」

幼「ええ!? それはちょっと早いんじゃ?」

幼妹「早くないよ。私のクラスでもしてる人はいるよ?」

幼「お前中三だよな」

幼妹「うん」

幼「中三ごときに負けるわけにはいかん。やろう」

幼妹「最近、お姉ちゃんのテンションがおかしい」

幼「待ってろよ! 男。普段との違い。ギャップ萌えってやつを見せてやるぜ!!」

幼妹「……おかしい」

幼妹「お姉ちゃん最近変だけど何かあったの?」

幼「べ、別に何もねぇよ」

幼妹「ふ~ん」ニヤニヤ

幼「っち、私は準備してくるから」

幼妹「ちょ、お化粧は?」

幼「あ、お、お願いします」

幼妹「よろしい」

幼「じっとしてるのは性に合わない」

幼妹「はいはい、黙って前向いててくれればいいから」

幼「むぅ」

幼妹「はい、終わり」

幼妹「じゃあ、次は髪ね」

幼「髪もか!?」

幼妹「当たり前じゃん」

幼「だがしかしだな、私みたいな中途半端な長さじゃ」

幼妹「リボン一つでも変わるもんだよ」

幼「そ、そうか」

幼妹「はい、これでいいよ」

幼「こ、これで今日は完璧だな」

幼妹「マニキュアでも塗る?」

幼「まにきゅあ? ○リキュアのぱくりか?」

幼妹「そういうのいいから、するのしないの?」

幼「す、するよ」

幼妹「はい、じゃあ手ぇ出して」

幼妹「はい、多分これで完璧だよ」

幼「よし、今日は今世紀最大の勝負だ。私の人生がかかってる」

幼妹「いってらっしゃい、頑張ってねお姉ちゃん」ニヤニヤ

幼「ふん、この勝負、妹のためにも私が勝つ!」

幼「と、とりあえず、男にメールしとこう」

幼「びっくりさせるためには現地で会う方がいいよな。うん」

幼「現地の○○集合っと」

男「んあ、何だよ、誰だよ。こっちは消臭作業で忙しいんだよ」

男「幼か。○○集合? まぁいいや。おkと。俺の返信すげえ短いな、なんか足すか。今日の花火大会楽しみだなっと。送っ信」

男「さて、消臭、消臭。あ? もう空じゃん。○ァ○リーズでいいか。湿るぐらいやっとこ」

数分後

男「よし、これで完璧だ。女を誘いたいがこういうのは二人の方がいいと俺の直感が告げている。直感に俺は従う」

男「そろそろ時間だな。行こう」

男「(この辺……というかピンポイントでここだよな、いないぞ。あいつ時間にもルーズだったか?)」

幼「(男が私の目の前で恐らく私を探している。そんなにもわからないのか)」

男「分からない。誰かに聞いてみるか」

男「あの、すみません」

幼「……なんですかぁ」

男「え、その、えっと何でもないです。幼……さん」

幼「何で気づかないんだよ!」

男「だってさ、お前は絶対浴衣とか着ないタイプだと思ってたし」

幼「私だって可愛い格好をしてみたい時もあるんだ! それに今日は祭りだし」

男「でもいいんじゃないか? ええとあれだよ。ギャップ萌えみたいな」

幼「(おお! すごいぞ、妹。狙いがドンピシャだ)」

幼「どうだ? 驚いただろ?」

男「ああ、すげえよ。いつもとは比べ物にならん」

幼「(褒められてるのか、貶されてるのか)」

男「とにかく、お前もやればできる奴だったってことだよ」

幼「お、おうよ、当たり前だ」

幼「(これはいい感じじゃねえかぁ!?)」

幼「おい、こんなところで油売ってる暇じゃない。腹が減った、なんか奢って」

男「なんでだよ、自分で買えよ」

幼「はぁ、こういうところでケチくさいからダメなんだよ」

男「なんだと!?」

幼「だからぁ、ケチくさいと女に好かれねえぞって言ってんだ」

幼「正論だろ?」

男「ぐむむ、わかったおごろう」

幼「マジっすか」

幼「じゃあ、どうしようか」

幼「(落ち着け私。今日は男に甘えてアプローチしなきゃいけないんだ。だからここはズバッとカップルっぽいやつを!)」

幼「あれ、たこ焼きにしよう」

男「たこ焼きな。よし買ってくる」

幼「私も行くぞ」

男「ん、そうか」

幼「(今日は大胆に。大胆大胆大胆大胆大胆ダイナミッィィィク!!)」

幼「ん」ギュ

男「ん?」

幼「(いったぞ、私は頑張ったぞ)」

男「どうしたんだ」

幼「……いいから」

男「……わかった」

男「すいません、たこ焼き一つ」

おばちゃん「はいはい、三百円ね。あら可愛い娘ねぇ。彼女さん? 青春ねー。百円まけてあげるわ」

男「え、あ、どうも」

幼「!?」マッカッカ

おばちゃん「はい、たこ焼きね」

男「ありがとうございます」

幼「……」ペコ

男「ほらよ、たこ焼きだ」

幼「うん」

幼「(私が男の彼女。彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女)」

幼「……食べさせてくれ」

男「はぁ?」

幼「私の口にたこ焼きを運んでくれ」

男「いや、分かりやすく言って欲しいんじゃなくて」

幼「いいから食わせろ」

男「え、でも」

幼「女が今のセリフを言ったらなら喜んでやるだろ?」

男「え、うん。多分」

幼「っく」ウル

男「(俺は目の前で目を潤ませているこいつを可愛いと思ってしまったようだ。たしかに浴衣や化粧のせいもあるかもだけど)」

幼「いいから早くしやがれ!」

男「……わかったよ」プス

男「口開けろ」

幼「あ~んって言え」

男「……あ~ん」

幼「あ~ん」

幼「(やった、半ば脅しだけど男にあ~んってしてもらったぞ)」モグモグ

男「(くそ、恋愛経験がなさすぎてよくわからんが今、俺の中では一時的に女よりコイツの方が上に立ってしまっている。俺が好きなのは女。これはまだ揺るがないが)」

幼「……次は私がしてやる」

男「やらんでいい」

幼「私がしたいんだ。お前の意思は関係ない」

幼「ほら、あ~んっ」

男「ぅぅ、あ~ん」

男「(何だかとても恥ずかしい。いや、俺は揺るがないぞ)」

男「もういいだろ。パパッと食って花火見よう」

幼「(ここで食い下がっても逆効果か)」

幼「わかったよ」

とりあえず今日はここまで。見てる人いないかもだがまた明日

幼「よし、行こうか」ギュ

男「ん、ああ」

幼「な、何だ? 何か変なところでもあんのか?」

男「いや、別に」

幼「こっちだ。よく見えるところへいくぞ」グイ

幼「(ここで勝負を決めるんだ)」

男「おい、そっちは誰もいなくて危ないところだぞ」

幼「はぁはぁ」

男「おい、もう誰もいないぞ。危険だって」

幼「はぁはぁ」ビタ

男「おい、やっと分かったか。早くもどるぞ」

幼「ここまでやってもわかんねえのかよ」

幼「(花火まであと十秒だ。ドラマで見てこれならイケると思ったのに現実は厳しいなぁ)」

男「おい、聞いてんのか」

幼「うるさい、黙ってろ」

幼「あと三秒」

男「?」

……ドーン

男「!!」

幼「よく見えるだろ、花火」

男「おう」

幼「(やっぱりダメか)」

幼「おい、ここに女を呼んだ」

男「はぁ!? 何やってんだよ。俺に告れっ言うのかよ」

幼「そうだよ。振られるか、幸せになるか。決まるんだ」

男「……ありがとう、でも俺は絶対に告白しないぞ」

幼「何でだ! 私はお前のために頑張ったのに、これじゃとんだピエロってやつだ」

男「たしかにさ、俺は女が好きだよ。でもこれは絶対に叶うことがない。もうそれは最初からわかってるんだ」

幼「なら! 何で……男だろうが」ポロ

幼「もういいよ。私から言う」

幼「私はお前のことが昔から好きだった。男が女のことを好きでも、女と付き合いたいって相談してきても変わらずお前が好きだった。そんだけ」

男「……もしさ、俺がお前のこと好きだったらこれで解決してたのかな」

男「それでも、俺はお前の告白を受けることはできない」

幼「……そっか」

幼「じゃあな、言いたいことはもうない。私は帰るよ」

男「おい、待てよ」

幼「何? 告白を受けてくれるの?」

男「いや、違う」

幼「じゃあ、なんだって言うんだ!」

男「俺は今からお前に便乗して女に告白してくる」

幼「……」

男「そして振られてくる」

幼「で、どうすんのさ」

男「振られた者同士、やけ食いしに行こうや」

幼「もし、女と付き合うことになったら?」

男「お前に自慢しに行く」

幼「あはは、変わんねーな。そういうの。いいぜ、お前が振られたら飯奢ってやるよ」

男「ふ、俺は絶対に女と付き合ってみせるからな。財布は開けなくてもいいぞ」

男「じゃあな」

幼「うん、バイバイ」

幼「(どうやっても勝てはしなかったな。女は強すぎたよ。私じゃどうあがいても勝てなかった。男が付き合えば私の負け、振られても引き分け。時間はあったんだからもっと有効活用しとけば良かったよ)」ポロポロ

幼「ふぇえええええええええん」ボロボロ

幼「(だめだ、こんなところで泣いたら男の告白の邪魔になる。もっと遠くへ行かなきゃ)」

男「……妥協して幼と付き合うなんて外道邪道クソ野郎のすることだ。今まで散々付き合ってくれた幼のためにも俺はここで区切りをつける」

男「振られても付き合えても文句はなしだ」

女「……男」

男「きたか、女」

女「何でいっつも幼を通じて私を呼ぶの? 直接呼べばいいのに」

男「それはなぁ、俺の意思じゃなくて、幼が勝手に、いや、俺のためにしてくれてるからだよ」

女「え?」

男「女、俺はもう嫌なんだ。この関係が。だからここで全てをゼロにする」

男「俺は女が昔から好きでした。よかったら付き合ってください」

女「……」

男「……」

女「ごめん、今はそういうの考えられないかな。受験もあるし」

男「……そう」

女「ご、ごめんね。その、これからも幼馴染なのは変わらないからいつでも頼ってね」

男「ああ」

女「じゃ、じゃあね、ほんとにごめんね」タッタッタ

男「だめ、か」

男「ヤケ食いじゃあああああああ!!」

男「こんなところにいたのか! 早くおごりやがれ」

幼「な、なんだよ。結局振られてんのかよ。しょうーがねえなー。奢ってやるよ。ふふ」

男「おお、太っ腹」

幼「そのかわり何食うかは私が指定するから」

男「お?おおお!? お前かき氷ばっかり食わすなよ」

幼「食わさないよ。ずっとジュースで十分だろ」

男「おい、そりゃねーぞ」

幼「ははは、ちゃんとしたものが食いたかったら自分で払いな」

数週間後

幼「おらぁ!」

男「どっふ」

幼「学校初日から何寝坊かましてんだ。さっさと学校行くぞ」

男「まだ、朝の六時だぞ」

幼「うっ、そんなことはどうでもいい。早くリビングへいけ。朝食が出来ている」

男「はあ? お前が作ったわけじゃねえだろ」

幼「私が作った」

男「母さんは?」

幼「おじさんの分だけ作った」

男「父さんのと取り替えることは」

幼「させん!」

男「おはようごぜーます」

母「おはよう」

男「何で、こいつうちに入れたの?」

母「男の朝ごはん作りたいっていうから」

男「こいつが料理下手なの知らないの」

母「○ラ○ルキッチンと○分クッキングで勉強したっていうから」

男「あ、そう」

男「で、その料理は?」

幼「ははははは! 見て驚くな! これだ」

料理「うまそうに見えるでしょ」

男「正解。見た目正解」

幼「なっ、味も正解だっての」

母「あらあら、ふたりは昔から仲がいいわね。いい夫婦になるわよ」

男幼「だ、誰がこいつと!」

男「くっ、いただきます」

幼「っく、どうぞ」

男「わりと旨い」

幼「わりとは余計」

男「お前は食べたのか?」

幼「朝はもう食ったよ」

男「自分の作った料理をだよ」

幼「食べるわけ無いだろ!」

男「そうか、じゃあ、ほらあ~ん」

幼「え、ええ!? あ、あ~ん」

男「どうだ?」

幼「わ、わりと旨い」

男「わりとは余計な」

母「(微笑ましいわね)」

幼「変なことしてないで早く食えよ。時間ないだろ」

男「時間はまだめっちゃあるよ」

時計「まだ、六時十分だす」

幼「ぐぬ、じゃ、じゃあもういっかいしろよ」

男「あ~ん」

幼「あ~ん」

幼「うまい」

男「そうだな。これがちょっと前だったら大惨事だったのにな」

男「さて、時間も潰れたし行くか」

幼「おう」

男幼「いってきまーす」

男「学校も久しぶりだな」

幼「久しぶりに皆に会えるな」

男「俺は女とあれがあったから今はお前以外の女子とは喋れないんだ。あまり会いたくない」

幼「私もお前以外の男子とはあまり話題が浮かばん」

男「せやな」

幼「うん」

男「もう学校か」

幼「うん、今日からまた勉強漬けの日々が始まる」

男「社会なら頼っていいからな」

幼「お、おう」

幼「英語なら任せとけ」

男「お願いします」

昼休み

男「今日も元気にサッカーじゃぁあああああ!!」

モテたい男子「うおおおおおおおおおお!!」

男「第一班はグラウンドの場所取り。第二班は良質なボールの確保。第三班は女子ギャラリーの確保だ。進めえ!」

モテたい男子「うおおおおおおおおおおお!!」

幼「あいつ、すっげえな」

第三班男「幼さん、見に来ますか?」

幼「お、おう行ってやるぞ」

第三班男「あざっす!」ペコ

第一班隊長「一番広いサッカーゴールを確保」

第二班隊長「空気がいい感じに入った良質ボールを確保」

第三班隊長「女ギャラリー五十三人確保」

総隊長(男)「うむ、よくやった。それではこれよりアピったもん勝ちサッカーバトルを始める!」

総隊長「ボール」

第二班隊長「はい」

総隊長「開始ィィィいいいい!!」ロングキック

モブ女1「男子って割とサッカーうまいんだね」

モブ女2「そうだよね、これ男くんが三年になってからずっとやってるのは知ってたけどここまでとは知らなかったよ」

モブ女3「イケメンも結構多いしね」

幼「(これ、あいつ指揮でずっとやってるけど何であいつに彼女できないんだろう。一番目立つしサッカーうまいのに)」

モブ2「男くんとかいいよね。フリーなのかな?」

モブ1「そうなんじゃない? 女子と喋ってるの見たことないし」

幼「!?」

モブ3「幼ちゃんとはよく喋ってるよ。ていうか幼ちゃんとしか喋れなさそう」

モブ2「うーん、そっかあ、幼ちゃん可愛いし、勝てないかな」

幼「ほっ」

モブ1「そうだよ、あそこにいる男子だって悪くないじゃん」

幼「(私がいつもそばにいるから男に彼女ができないのかな。それはそれでうれしい……かも)」

男「うおおおお! どんな障壁があろうとゴールは一つ、そこを狙い撃つのみ」

モブ男1「そうはさせんぞ総隊長!」

男「ふ、俺はまだ、ノールを蹴っとらんわあ」

男「落ち着いてシュート」コロコロ

モブ男2「く、一ゴールで得られる好感度は大きい。取り返すぞ!」

モブ「おおおおおおお!!」

男「ふははははは! 今の俺に敵はない」

幼「あいつすげえな」

幼友「ねえねえ幼は誰が気になるの?」

幼「男」

幼友「ですよね」

幼友「一途だよね。全く」

幼友「告ったりしないの?」

幼「した」

幼友「え、したの!?」

幼「ダメだった。でも今はいい感じ」

幼友「ごめん、わけわかんない」

幼「男も振られた」

幼友「女に?」

幼「うん」

幼友「なるほどね」

幼「わかんの?」

幼友「だいたい」

幼友「じゃあ、今度こそ付き合えるように頑張りな」

幼「おう」

キーンコーンカーンコーン

総隊長「やめい!!」

総隊長「全員教室へ急げ! なおボールは俺が責任を持って返してくる」

モテたい男子「うおおおおおおおお!!」

男「暑」

幼「ほらよ」

男「なんだ? 優しいな、ありがとう」

幼「お前、統率力あるな」

男「同士だからな」

幼「同士?」

男「俺たちは彼女がいなくて寂しい奴らだ。リア充には負けない。そんな意思でこのサッカーゲームを始めたんだよ」

幼「で、成果なしか」

男「いや、実際成果は出てる。これをはじめてから彼女が出来たってやつは三十人くらいいる」

幼「三十人!? そりゃすげえな」

男「俺も早くつくりたいよ」

幼「……すぐにできるよ」

男「だといいな」

今日はここまで。また明日

授業中

幼「……」トントン

男「何?」

幼「わけわからん」

男「ほい」つノート

幼「どうも」

幼「(ふむ、非常によくまとめられている。しかし遊び心が足りんな)」

幼「ふひひ」キュキュ

幼「……」トントン

男「ん」

幼「ん」つノート

男「(短かったな。ん? おいおいおいいいいい!)」

落書き「」

男「(くそ、消しゴムで多少は薄まるか……油性……だと?!)」ケシケシ

男「」

幼「うひひ」

男「(あかん、偉人の顔をお昼の顔のグラサンの人にするのはアカン)」

幼「(楽しい)」

男「(他の奴に貸せなくなってしもうたで。ノートの貸し借りは恋の始まりだって本に書いてたのに)」

幼「(ノートの貸し借りは恋の始まり……って本に書いてたからこれで恋が始まったはず!)」

放課後

男「じゃあな。部活が無い奴はさっさと帰りな」

幼「ああ、また明日な」

後輩「あ、キャプテン。今日は練習休みだそうですよ」

男「ああ!? ん、そうか。ありがとう後輩」

後輩「いえ、それでは。彼女さんとゆっくり帰ってくださいね」

男幼「」

後輩「それでは」ピューン

男「おい、後輩待てよ!」

幼「おい、練習無いならさっさと帰るぞ」

男「んあ、分かったよ。あいつには明日ちゃんと言っかねえとな」

幼「まあまあ、どっか寄って落ち着こう」

男「おう」

その辺の公園

幼「ほら、たい焼き」

男「つぶあん? こしあん?」

幼「つぶあん」

男「よし」

幼「全く、こしあんの良さがわからんとは」

男「こしあんの部分をつぶあんに変えてお返しします」

男「なあ俺達ってそんなに仲良く見えるのかな」

幼「いきなりどうした」

男「俺は今、サッカーバトルやって校内のカップルを増やしてるから結構名前知れててさ、サッカーでカップルが出来た奴に前言われたんだ。お前には身近に良い奴がいるだろって。それは多分、ていうか確実にそれはお前だと思うんだ」

幼「そ、そうか。それで?」

男「俺たちは付き合ってもいないただの仲のいい幼馴染だ。それ以上でもそれ以下でもない。でもそれは俺の見解だから、俺はお前の意見が聞きたい」

幼「……!? 何だよ、それ。どういうことだよ」

男「直球で言えばお前は俺のことをどう認識してるかって聴いてるんだ」

幼「それはまだ早い」

男「え?」

幼「それを言うにはまだ早い」

男「そうか、じゃあ言えるようになったら言ってくれ」

幼「おう、近いうちに言うよ」

男「頼むぞ。じゃあ帰ろうか」

幼「待て、立ち食いは良くない」

男「俺はもう食べ終わってる」

幼「ちょ、ちょっと待って。置いてかないで。あと三十秒でいいから」

男「別に言われなくても待つよ。一人で帰るのはさみしいだろ」

幼「な、なんだよ。ビビらせんなよ」

幼「」ハムハム

幼「」モグモグ

幼「」ゴク

男「行くぞ」

幼「おうよ」

数週間後

男「(数週間前から始まった女の朝食作りは今でも続き日に日にクオリティをあげている。そして俺の起こし方ももはや新婚レベルに優しくなった。これは誘ってるのか? 否、誘っているとしか思えない)」

幼「ほら、起きろよ」ユサユサ

幼「お、起きないと」ペラ

幼「え、えっと、ええ!?」ペラ

幼「き、キス……するぞ」

男「」

幼「ほ、ほんとにするぞ。私に勇気がないと思ったら大間違いだからな」

男「」

幼「じゃあ、やっちまうぞ。ちゅ、ちゅ~」

男「」サッ

幼「……避けた?」

男「」

幼「もういっかい。ちゅ~」

男「」スッ

幼「今のは明らかに避けた」

幼「時間ねえんだぞ。さっさと起きろ!」バサァ

男「わっほい」

幼「あ、遊んでる時間はないんだ。さっさと起きろ」

男「(遊んでたのはどっちだよ。あ、俺か)」

幼「ほら朝飯だ」

男「わぁ、豪華だね」

幼「そういうのいいからさっさと座れ」

男「はい」

幼「全く、時間ないんだぞ?」

男「はい」

幼「はい、あ~ん」

男「はい」

幼「違う」ビシ

男「あ~ん」

幼「どう?」

男「旨い」

幼「どのくらい?」

男「M○C○'Sキッチンぐらい」

幼「違う」バシ

男「○ラ○ルキッチンくらい」

幼「ほんとに? 嬉しいぞ」ムギュ

男「……なんかおかしい気がする」

幼「さて、あっと言う間に放課後なわけだが」ムギュ

男「ねー、最近積極的だよね」

男「部活行っていい?」

幼「いいぞ、私をお姫様抱っこして移動してくれるならな」

男「無理じゃねえか!!」

男「てかさ、最近どうしたの? キャラ変もいいとこだよ。周りの皆は俺たちをカップルと誤解するしマジで何があったの?」

幼「いろいろ」

男「ちょっとトイレ」

幼「トイレをお花摘みと言っていれば行かせてた」

男「男子は言わねえよ。女子でも言わないだろ」

幼「とにかく、このままだ」

男「どこのバカップルだよ。まったく」

幼「!! その言葉を待っていた!」

男「は?」

幼「バカップル。なんて素晴らしい響きだ。私は皆に疎まれるほどのバカップルになりたい」

男「それでこんな奇行に?」

幼「奇行ではない。戦略的行動だ」

幼「それと、今日の六時に私の家に来るように」

男「ん? 何で?」

幼「時は満ちた。私の人生を賭けた大勝負をお前に挑む」

男「なるほど、わからん」

幼「とにかくこい。来ればいい」

男「分かった」

午後五時五十五分 幼の部屋

幼「何て、言おう。なんて言ったらイケるかな。本に書いてることは全部やった。告白の仕方も書いてるけどそれはダメだ。これだけは自分の言葉で伝えるんだ」

ピンポーン

幼「来た!」

男「よお、で、なんなんだ。勝負って」

幼「ああ、お前、この前自分のことどう思ってるかって言っただろ?」

男「ああ」

幼「それに答える」

男「そうか」

幼「私は……やっぱりお前のことが好きだ。幼馴染って関係をぶっ壊して彼女になりたい。バカップルになりたい。明日にでも腕を組んで街を歩いてデートしたい。雨の日には相合傘して帰りたい。男に頭を撫でられたい」

男「……そうか。俺はお前の思いに答えたほうがいいのか。それとも答えない方がいいのか。まだ、迷ってる、だってよ、俺は女が好きだったんだぞ。それを女がダメだったから幼に鞍替えするみたいな最低なことをするのか。お前が辛い思いをしても自分の意思を貫くのか」

男「なぁ、こんなの卑怯だけどさ、お前に答えて欲しい。幼」

幼「馬鹿かよ。お前。自分で決めろよ。私はお前を信じるから」

男「……分かったよ………………幼、俺なんかでよかったらよろしく頼む」

幼「え、いいのか?」

男「それはこっちのセリフだ。俺みたいな最低な奴でいいのか?」

幼「いい、いいよ。いつか私しか見えないようにメロメロにしてやるんだからぁ!」ボロボロ

男「お、おい泣くんじゃねえよ」




幼「だって嬉しくてぇ」ポロポロ

男「ど、どうすればいんだよ。これ」

幼「……撫でて、あとハグ」

男「よし、任せろ」ナデナデ

幼「嬉しい、嬉しいよ。男と付き合えて嬉しいよ。それに男の手。あったかい。何か安心する。体もおっきいしこのままで……」

男「おい、おい?」

幼「何?」

男「何ってお前。離せよ」

幼「や」

男「じゃあ、いつまでこうしてるんだよ」

幼「ずっと」

男「あい、帰れねえじゃねえか」

幼「帰らなくていい。妹がもう男の家に連絡している」

男「何を馬鹿な」

幼「さっき泣いたのは勝ちの合図。既にお前は私の掌の上だ」

男「そうか、じゃあ今日はずっとこのままな」

幼「うん、学校行くときも、学校でも、帰るときも」

男「おい、そりゃ無理があるぞ。サッカーだってあるし」

幼「サッカーは副隊長に総隊長の座を譲れ。彼女が出来た男にはもう必要ない」

男「そりゃそうだが」

幼「うるさい、黙って従え」ギュウ

男「わかったよ。これからよろしく頼むぞ」

幼「学校一のバカップルになってみせる」

男「……そうだな、バカップルになって皆に見せつけような」

幼「うん」

幼「……大好き」チュ

終わり

一ヶ月後

幼「ふははははは! 男敗れたり」サクッ

男「ば、馬鹿な。俺の食べかけの菓子を食い漁るだと!? ならばこちらにも秘策がある」

幼「な、何ぃ!? それは私の愛用リップクリーム。それを付けようというのか!」

男「その通りだ。絶望の底へ落ちるがいい!」

幼「く、こちらにはもう何も……!」

男「!? 貴様、それに手を出すつもりか。俺の体操服にぃ!」

幼「これをクンカクンカしてスーハースーハーするぞ? いいのかぁ?」

幼「」クンクン

男「やめろおおおお!! 俺が死んでしまう。嬉しくて死んでしまうぅう!」

幼「! それは困る。やめよう」

男「……ふふふ、そのキ○ラ○ルコ○ンのような甘さが命取りだ!」

男「今こそ、使おう。最終兵器。幼の水筒!」

幼「い、いつの間に!」

男「お前が俺の体操服のためにロッカーに向かった時だ」

幼「それをされては……」

男「よく味わって飲むとしよう」ゴクゴク

幼「ぐああああ!! それ以上はダメだ。心がキュンキュンする。やめろお!」

男「最初の言葉を返してやろう! 幼敗れたり」ゴクゴク

幼「ふぅ、楽しかったな」

男「うん」

幼「キスしようぜ」

男「いいよ」

幼「ちゅ~」チュ

男「……すごいなぁ。俺達」

幼「少し前とは大違いだね」

男「だってな、今さ、昼休みの飯時で教室中の皆がこっち向いてるんだぜ」

幼「いいじゃん。私達バカップルだし。ほらもう一回、ちゅ~」チュ

ほんとに終わり

これ以上は皆様の想像にお任せします

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