幼馴染「10年後の8月に・・・」 (693)



2013年  ー12月

prrrrrr...ピッ

男「おう、どした?」

友『よぉ!ちょっくら今暇か?』

男「内容による」

友『相変わらず正直だな。まぁいいや、明日合コンあんだけどさ、お前も来てくんね?』

男「行かない」

友『即答か。そう言わずにさー、会社の女達からお前を連れてくるように言われたんだよ!俺を助けると思って!頼む!』

男「無理。明日はあれがあれだから無理」

友『んだよつれねーなー...まぁ分かってたけどな、女性諸君には何とか言っとくか』

男「そうしてくれ.....すまんな」

友『気にすんな、俺が勝手に誘ったに過ぎん。....ところで一ついいか?』

男「お?やっと本題か?」

友『分かってたのかよ』

男「当たり前だ。何年の付き合いだと思ってる」

友『そりゃそっか。じゃあその付き合いの長い親友としてなんだが...怒んなよ?』

男「んだよ、そう簡単に怒んねーよ。何だ?」

友『いやー...あのさ..お前が彼女作んなかったり合コンに来なかったりすんのってさ...やっぱまだ幼馴染ちゃんのこと....』

男「......」

友『いや!何でもねー!変なこと聞いちまって悪かったな!また何かあったら誘うわ!じゃあな!』プッ..プーップーップー

男「...あぁ」

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ピッ...

男「.....ベランダに出てタバコでも吸うか」

ガラガラッ..トントンスッ..シュボッ

男「ふーーーー....」

12月の夜はかなり冷える。それは都会であろうと田舎であろうと変わらない。
時計は既に12時を刺していた。
このマンションから見下ろせる町は未だに静まる気配を見せず、騒がしいネオンや鳴り止まぬ喧騒が耳を霞める。俺は都会のこの忙しない感覚が嫌いだ。仕事の都合でここに住んでいるが未だに慣れないものである。社会人とは疲れるもので、下げたくもない頭を下げ、したくもない仕事をし、無意味にただただ時間を消化する。家に帰れば一人でコンビニ弁当を貪り、マンネリ化したテレビ番組を適当に流す。そんな毎日を過ごしていた。

 《男君!コンビニのお弁当ではいけません!》


一人は慣れているはずなのにどこか寂しい。たまに檻の中にいるような気持ちになる。

男「......だぁーー!!ダメだダメだ!気が滅入ってしょうがねー!パソコンでもやるか!」

タバコの火を消し、部屋に戻る。比較的綺麗に整頓された部屋の一角にあるパソコンの前に座る。 

男「さて、暇だし掲示板でも見るか!」

男「んーーどれどれ?...お?“冬だからこそ夏を感じるスレ”?見てみるか」カチッ

そこには様々な夏をテーマにした写真や画像が張られていた。

 


男「....」

このような田舎の写真を眺めていると思い出す、俺が学生だった頃の情景。田舎のばあちゃん家で2人で暮らしていたあの家、学校帰りにいつも寄っていた駄菓子屋、暑い日に水を掛け合っていた公園の水飲み場、オオサンショウオがいる清流、腹が立つほどうるさいセミの鳴き声。今では失ってしまった物が記憶の中から掘りおこされる。
毎年楽しみにしていた夏祭り。いつも4人で遊んでいたあの頃、どんな時も俺の隣で抜けた顔でニコニコ微笑んでいたあいつ...、毎日がお祭り騒ぎで楽しかったあの夏...
そして...今はもう見ることの出来ない...あいつの笑顔...

男「っつ!くそッ!何だよこれ!余計に気持ちが下がったわ!夏の青空みたくブルーだわ!どーしてくれんだコノヤロー!!」

男がインターネットを閉じようとした時、奇妙な広告が目に入った。

男「ん?何だこりゃ?“現代社会に疲れたそこのあなた!楽しかったあの夏を取り戻しませんか?今なら抽選で一名様にあの夏をプレゼント!!”だぁ?」
 


男は広告を無視してパソコンを閉じようとする。
....あれからもう十年か

男「...ちょっと見るだけならいいよな?」

男がその広告をクリックる。
すると画面が変わり、文字が出てきた。

男「お?“おめでとうございます!あなたは見事抽選に当選しました!それではあの夏を取り戻しに行きましょう!キーワードは油揚げ”」

男「...何だこりゃ?ただのイタズラか...」

男が呟くと勝手に画面が変わり、一枚の写真が映し出された。一見するとただにベンチが写った写真である。ベンチの背もたれには有名なお菓子メーカーの名前が書かれていて、所々塗装が剥げている。
だが男は動揺していた。

男「...なんだ?...何だよこれ!?何でこの場所が!?」

そこはいつも学校帰りに男とあいつが一緒に座っていたベンチ。

男「なっ!うわっ!」

パソコンが光を放つ。

パサッ...

光が収まったとき、部屋に男はいなかった。
残されていたのは男のポケットに入っていたタバコとライター。
そしてパソコンの画面には“いってらっしゃい”の文字... 


こんな感じで行きます。
よろしゅう。


男は深い微睡み中にいた。
体が段々軽くなる。誰かが俺を呼んでいる。

   .....こ

あぁ、よく聞こえないが懐かしい声だ。
俺が一番落ち着く声、大好きだったあいつの声が聞こえる。

   .......とこ

おかしいな、あいつは10年前に死んだはずなのに。夢かな?夢でもいいか、あいつの声が聞こえるなら...

   男君!!」

おいおい。夢に中なのにやたらとはっきりした声だな。目も何だか眩しくなってきた。

??「男ぉ!」ビシャッ!

男「おうっぷ!!」ガバッ!

目が覚めると目の前にはどこまでも透き通る青空があった。どうやら水を掛けられたみたいだ。

??「おぉ?起きたか、男」

声のする方向に振り向くとそこには...

男「!?...友!?なんでここに!?」

友「はぁ?何でって、いつも通りに4人で帰ってる途中だろ」

いや、確かに目の前にいるのは友だが少し違う。明らかに若返っていて、しかも高校の制服を着ている。まるで10年前のように.... 

男「あっ!!俺確か...」

友「おぉ、思い出したか?お前、下校途中にいきなり倒れたんだよ。熱中症か?」

いや、違う。俺はついさっきまで家でパソコンを開いていたはずだ。そしてあの広告...まさか..

男「....なぁ友、今西暦何年だ?」

友「はぁ?いきなりどした?今年は2003年だろーが」

男「...やっぱり10年前に戻ってる...」

見ると自分自身も高校の制服に身を包んでいる。
俺は10年前の2003年の夏にタイムスリップしたようだ。
 


友「10年前?お前本当に大丈夫か?」

男「ん?あ、ああ。心配するな、大丈夫だ」

状況は把握した。とりあえず今は高校生の俺を演じなければならない。

??「おろ?男ぉ!起きたん?大丈夫ぅー?」

男「お前...幼友か!うわ、若ーー!!」

次に現れたのは幼友だった。

幼友「はい?どうしたの?頭沸騰しちゃったの?」

友「何かさっきからおかしいんだよ。大丈夫かな?」

おっとあぶねー。あんまり変なことは言えないな。つか..こいつら将来結婚すんだよな...そう考えると...

男「お前らお似合いだな」

友幼友「「!?」」

しまった!クレイモア踏んだ!

幼友「な、な、な、何言ってんのよ!!」ドゴォ!!

男「ゴフッ!」

友「ちょ!俺は関係nぐふぉ!!」ドスッ!

照れると人を攻撃するって...お前は大阪府民かよ

ドサッ!

男「っ、痛てぇーー」

幼友「あああ!ごめん!でも男がいきなり変なこと言うからいけないんじゃん!」

男「うっ、すみません」
 
男が殴られたお腹を擦っていると、後ろから声が聞こえた。

??「あ!男君!起きましたか!」





どんな音より落ち着く声。
俺の一番好きな、そして2度と聞くことが出来ないはずの声。
ゆっくりと後ろを振り返る。
そこには俺が世界で一番好きな人が立っていた。

男「.....幼...」

幼「どうしました?」

目の前には失ったはずの宝物。
俺は自分を押さえきれず、彼女に抱きついた。

男「幼ぁぁぁぁ!!!」ギュウゥゥゥ!!

幼「ひゃあ!どうしたんですか男君!いや、違うんですよ?嫌とかそういうんじゃなくて...二人の時にゆっくりしてほしいなーなんて...」

男「幼ぁ!幼ぁ!」グスッ

幼(男君...泣いてる)

幼「どうしました?幼はここに居ますよ?どこにも行きませんよー♪」ギュッ

はっ!しまった!あまりの嬉しさに我を忘れてしまっていた!誰か虫笛吹けよ。それか青き衣を身に纏えよ。

 


幼「落ち着きましたか?」

男「おう、すまんないきなり」

俺は3分ほど泣いてから落ち着いた。

幼友「それで...いつまで抱き合ってるつもり?」

男「おっとそうだったな」パッ!

幼「...あっ」

幼友「幼も名残惜しそうにしないの!ったく明日から夏休みだからって浮かれちゃって、見せられるこっちの身にもなってよね!」

男「すまん、つい」

幼「ところで幼友ちゃん?そろそろ友君も起こしてあげないと」

すると幼友は急いで友に駆けつけた。友は先程喰らった掌低が効いたらしい。
どうでもいいが体がベトベトする。友の奴、ぽかり


間違えました

友の奴、ポカリ掛けやがったな

友のやつは結婚してるのに合コン行こうとしたのか?


>>15友は男に新しい出逢いを与えようと思って合コンをセッティングした感じです。奥さん公認って事でおなしゃす!


友「いつつっ....何が起きたんだ?」

幼友「何でもないわよ。ところで男、もう大丈夫なの?」

幼「そうですよぉ!心配したんですからね!」

男「心配かけて悪かったな。もう大丈夫だ」ナデナデ

幼「ふぇ!?えへへ♪」

幼友「あのツンデレの男が普通にデレとるー!」

友「野郎のツンデレとか誰得だよって思っていたが...くっ!こっちの方がキツイぜ!」

幼「えへへ♪でも本当にどうしたんですか?」

男「いや、何でもないんだ...嫌か?」ナデナデ

幼「そんなわけないじゃないですか。幼は今とっても幸せですよー♪」ギュウ 

友幼友「「・・・」」


友「はぁ...もうどうでもいいから帰ろうぜ」

幼友「同感。暑いし」

男「それもそうだな。幼、帰るぞ」

幼「はーい♪」

俺達4人は家路に進んだ。途中で友と幼友と別れて幼と二人のでの帰宅である。

幼「今日はどうします?神社によりますか?」

男「今日はいいんじゃないか?明日から夏休みなんだろ?」

幼「なんだろ?って、男君もそうじゃないですか。明日から毎日遊べますね♪」

そう言って、幼はニコニコと微笑む。
この感覚、懐かしいな。俺は小中高と、いつも幼と一緒に登下校を共にしていた。

幼「学校だとクラスが違うのでなかなか一緒になれませんからねー」

男「でも授業中以外の時はいつも一緒じゃないか」

確かそうだった気がする。10年前の事だが幼と過ごした日常はわりと覚えているものだ。

幼「むー、幼はもっと男君と一緒に居たいんですー」

ぷくっと膨れる幼。こいつやっぱ可愛いな。


幼「じゃあまた明日ね」

男「おう、じゃあな」

俺と幼の家は隣同士だ。
俺の両親は子供の時事故で他界しており、
俺この母方のばあちゃんの家で二人暮らしを送っていた。ちなみに元の世界でもばあちゃんは元気である。
にしても田舎の家って何でこんなに広いのかね。玄関前にはばあちゃんの軽トラが止まっていた。

男「ただいまー」ガラガラ

家の鍵は空いていたがどうやら留守のようだ。昔は何も思わなかったが、随分と無用心だな玄関の鍵くらいかけろよ。まぁこの辺りの家はほとんどそんな感じだし、ぶっちゃけ玄関に鍵かけたとしても裏口の扉にはそもそも鍵がねーし。

居間に入ると置き手紙があった。

男「んーなになに?“今日から三日間、猪狩に山にこもってくる。飯は幼ちゃんのお母さんに頼んでおいたからお世話になりなさい。PS.何かあったら無線入れなさい。周波数は31.4です”」

...相変わらず、っつーか今も未来もかわんねーなばあちゃんは。

俺のばあちゃんはなかなか珍しい女性のマタギだ。この頃はよくばあちゃんが狩ってきた猪とか鹿を幼と食ってたなー。


男「さてと...状況を整理するか」

俺は自分の部屋に入り、鞄を置いた。
寝っ転がると畳のいぐさの匂いが鼻をくすぐる。

男「はぁ.. やっぱ落ち着くな」

俺は久しぶりに田舎特有のゆっくりと流れる時間を体で感じていた。この家にはクーラが無いので窓を全開にし、蚊取り線香を徳用のデカイ缶から一巻き取り出す。

男「豚はなかったっけな...この金具で我慢するか」

蚊取り豚が無かったので蚊取り線香に付属しているT時の金具に蛇の目の部分を突き刺し、下に皿をしく。ライターが見当たらなかったので近くにあったガスバーナーで火を着けた。 

男「これで良し....さてと」

天井の染みをぼんやり眺めながら思考を巡らす。


まず第一に、俺は元々2013年の冬を過ごしていたはずだ。んで友から電話きてタバコ吸ってパソコン見てたんだよな..
そこで見つけたあの広告....“あの夏を取り戻しに行きましょう”....そしてあのベンチの写真

気づいた時には10年前の夏にほっぽり出されたっつー訳だ。 
俺と友はこの時17歳、幼と幼友はまだ16歳で全員高校2年か。

つまり今は俺と幼の最後の夏の年っつー事か...
俺は壁に掛かっているカレンダーを見る。

男「今日が7月23日...終業式の日で明日から夏休み..8月26日が幼の誕生日で27日が...」

男はギリッと歯を食いしばった。
2003年8月27日.....幼の命日である。

男「...あの時はこうなるなんて思っていなかったな」

くそッ!
当時何も出来なかった自分に腹が立つ。
理不尽な死を迎えた幼。
幼が段々と冷たくなっていくのを、血が流れ声が小さくなっていくのを黙って見ることしか出来なかった10年前の自分...
だけど...だけど今は違う!

男「あの広告...夏を取り戻すか..」

フッと笑う。

男「上等だ、何だか分からんが感謝するぜ。お望み通り取り戻してやるよ。10年後の8月も幼と一緒に夏を過ごす為にな!」  



男「とは言ったものの、どーすっかなー」

幼が死ぬのは8月27日だ。要するにその日だけ気を付ければいいのだろうか?それとも別に運命を変える方法があるのだろうか。
何かが頭に引っ掛かる。
何かを忘れている気がする。

男「....駄目だぁ!頭がぐちゃぐちゃじゃい!」

男は息を吐き、考える事をやめた。



窓から風が入る。
風鈴の音が脳に響き、蚊取り線香の煙が揺れる。

男「....やっぱいいもんだな」

社会人になってから感じたことのない解放感が体をくすぐる。ここには無くした物が、無くしてから大切だと気付いた日常がある。

男「...当面はこの夏を楽しもうかな」

そんな気持ちになってくる。
学校は半日で終わったようで、時刻はまだ午後の1時である。窓から見える青空はどこまでも澄んでいて、なおかつ力強くその蒼さを主張している。

クーラはないがとても気持ちがいい。
都会のコンクリートジャングルでは決して味わう事が出来ない夏の姿。
男は段々と瞼が重くなっていくのを感じた。

フッと視界が途切れる瞬間に何かが見えた。
それは窓の向こうからこちらを覗いていた。

男「........キツネ」



ーーーーーーー

どれ程寝ていたのだろうか、男が目を覚ます。
時計の針はもう5時を指していた。

男「..ふぁーーあ....結構寝ちまったな」

男が大きくあくびをし、起き上がろうとすると何かが右腕を掴んでいた。

男「あれ?何で幼がここにいんの?つーか何で一緒に寝てんの?」

男の右腕には幼が抱きつき、気持ち良さそうに寝ていた。
おーおー、こいつも大胆だなぁおい、襲ってやろうかな。 
でも幼馴染って何故かそういう対象には見れないんだよねー。なんつーか...汚したくない、守ってあげたいっつー感じだな。
とにかく起こすか。

男は寝ている幼のほっぺをつつく。

男「おーい、幼。おきろー」ツンツン

しばらくつつくと幼がうっすらと目を開けた。

幼「ふぁー.....あれ男君?何でここに?」ゴシゴシ

男「ここは俺んちだ。お前が何故か寝てたんだよ」

幼「あれー?......」

こいつまだ寝ぼけてんな。

男「.....何か用事があんじゃねーのか?」

幼「ん?んーーーー......あぁ!そうだった!」

どうやらやっとお目覚めらしい。おはようございます。

幼「あわわ!もう5時じゃないですか!」

男「いつから居たんだよ」

幼「ふぇ?えーっと、2時位かな?」

男「わりと序盤だな。で、何か用?」

幼「そうでした。今日から三日間は男君のおばあちゃんが留守だと聞いたもので」

男「まぁな。何かお前のかーちゃんに話つけといたらしいぞ?」

幼「その通りなのですが今日は幼のお母さんも町の集会でいないのです」

男「あぁ、祭りの話し合いか。毎年ご苦労だな」

幼「はい。なので今日の男君の晩御飯は幼が作るのです!」デデン!

幼はない胸を張った。
んー...Bだな。

男「そいつぁありがてーな。久しぶりにお前の手料理が食えるのか」

ざっと10年ぶりかな?

幼「任せて下さい!そういうことなので男君!一緒に買い物に行きましょう!」

   


男「それで俺を呼びに来たのか」

幼「はい♪本当は無線で知らせたかったのですが、男君がスイッチを入れてなかったもので」

そうだった。俺と幼はお互いの連絡手段として、無線機を利用していたのだ。小さいが10キロまでならカバーできる。高校の入学祝いにばあちゃんが買ってくれた。

男「あぁごめんごめん。わざわざありがとな」ナデナデ

幼「えへへ♪むふー」ギュッ

男「相変わらず幼は甘えん坊だな」ギュッ、ナデナデ 

幼「男君にしか甘えないもーん♪ほれほれ」ぐりぐり

男「顔を擦り付けんなっつーの。寝汗かいてっから臭いぞ?」

幼「そうかな?幼はこの男君の匂い好きだよ?安心できる」スーッ

おい、そんな可愛い顔でこっち見んな。
どうにかなっちゃうでしょーが、俺が!
つーかめちゃくちゃいい匂いするんだけど。ほのかに汗の匂いもするし。あれ?俺ってもしかして変態なの?ショック!
つか、そろそろ離れてくんないとマジでヤバい。

男「そっ、そろそろいいだろ」パッ!

幼「えー!もっとー!」

男「うっさいわ、もう終わり!買い物いくぞ!」 

幼「むー、ケチ」

しゃーないやろ。男は辛いんです。俺の寅さんがオランジーナしちゃうんです。何言ってんの?


男「さてと...鍵はいいか、携帯は..まだないし、ウォークマンはもちろんなし」

男の装備。ぬののふく.サンダル
おい、せめて木の棒くらい持たせろや。
つーかこんだけ何も持たないで外出るなんてありえねー。あっちじゃ必ずケータイやら鍵やら何かしらポケットに入れてたからな。なんか新鮮。

男「おし、じゃあ行くか」

幼「はい♪」

・・・・

男「...つーかどこ向かってんの、これ?」

幼「いつも通りコ○リですよー」

うわっ!出ました田舎の救世主!
ちなみにデイリーヤマ○キもこれに含む。
何で田舎ってこんなんばっかなの?
フ○ミマないの?プレチキ食いたいんだけど。
てかまだ発売されてないか、ファミチキすらまだ無い可能性が大。 




なんかあの花?って言うアニメに似てるって言われたんですが
もしかしてかぶってます?


男「つか、何で夕飯の買い物にコメ○なんだよ。なに?畑作りから始めんの?」

なにそのどうでしょう展開。帰ったらパイ生地菊練りしなきゃ。

幼「地産特売会があるんだって?。お野菜も安いし行かなきゃでしょ?」 

男「なるほどな」

確かに形が歪なキュウリとか安く買えるし、たまにおまけしてくれるからいいよな。

幼「あとね、お母さんが蚊取り線香買ってきてって...」

男「あぁ、今の時期無いのはキツいな」

徳用50巻きでも買っとくか。
そんな話をしていると、慣れ親しんだ鶏のマークが見えてきた


男「なるほどな。駐車場一面が市場みたいになってんだな」

幼「夏の間は結構な頻度で開かれますよねー」

男「じゃあなに買う?スイカ?」

幼「え?男君スイカ食べたいんですか?」

男「いや、そういう訳じゃ...てかなに作る予定なの?」

幼「もちろんカレーです♪」

・・・そういやこいつカレーしか作れないんだっけか。何でお前のかーちゃんあんなに料理上手いのにお前は出来ないんだよ。

男「...じゃあ野菜はここで買うか。スーパーも寄るんだろ?」

幼「うん。家にルーなかったし」

男「オッケー、じゃあジャガイモと玉ねぎと人参...」

幼「.....」

男「...おい、黙って人参を戻すんじゃない」

お前は物を壊しても言わない新人社員かよ。

幼「えー...人参は要らないよぅ」

お前人参嫌いなのか、初めて知ったぞ。

男「ダメです。細かく切ってあげるからちゃんと食べなさい」

幼「むー...あれ?男がカレー作るの?」

男「折角だし一緒に作ろうぜ」

幼「えー、足引っ張んないでよねー」

ムフフと無邪気に笑う幼。どうやら俺と一緒に夕飯を作る事がうれしいらしい。

男「はっ!誰に物言ってやがる。一人暮らしなめんなよ?」

幼「一人暮らし?」

やべ、ついつい未来の事言っちまった。

男「や..:そのあれだ、ばあちゃんよく山に行っちゃうから実質一人暮らし的な?」

幼「でも男って私以上に料理下手くそじゃん」

...お前が死んでから猛特訓したんだよ。
お前のかーちゃんに夕飯頼む訳にもいかねーからな。

男「男子3日会わざれば刮目して見よっつー事だ」

幼「かつもく?週2で見るの?」

男「火木じゃねーよ。目を擦って良く見ろってこと」

幼「わかった!」ゴシゴシ

男「本当に擦るんじゃねーよ。目が腫れるでしょーが」

目を擦る姿にキュンと来たのは黙っておこう。


男「おし、これで野菜はOKだ」

幼「じゃあ蚊取り線香買おっか」

男「そだな。ついでに蚊取り豚も買おう」

幼「あーアレねー。可愛いよね♪」

その後、無事に地球の蚊取り線香と豚を買いそのまま近くの
スーパーによった。

男「おぁ!なにこのソース!なんリットルあんんだよ!」

幼「お祭りも近いからねー」

男「あそっか、お祭り明後日だっけ?」

幼「そうだよ。明後日から3日間!楽しみだな♪」

そうだな、と呟く俺。
お肉を手に取りお総菜などを見つつレジに向かう。すると突然...

男「!?」

幼「?..どうしたの?」

男「い、いやぁ、何でもない...」

突然言葉に表せない違和感を感じた。
今、歩き様に何かが目に入った。その場所をもう一度見てみるが特に変な所はない。

何だ?今の感じは....

幼「男?」

男「あぁ、大丈夫だ。レジ行こうな」

男が見ていたコーナーの端。
そこには“大特価!手作り油揚げ50円”と書かれたプライスが張ってあった。




ーーー家ーーー

男「んじゃ、作り始めるか」

幼「ほーい♪」

幼と二人で台所に立つ。エプロンはなし。
つか、今時エプロン着ける人っていんのか?

幼「野菜を切っていこー!」

男「おう」

幼が基盤となってカレー作りを始める。

男「幼、それとって」

幼「はい」

幼と二人でカレー作り。
なんかいいな、こういう何でもない事が幸せだと思う。何気ない幼との会話が頭のなか一杯に広がる、失ってしまったはずの....

幼「男!?どうしたの!?何で泣いてるの!?」

男「へ?.....あ」

気付けば俺は泣いていた。
自分の意思とは関係なく涙が溢れてきた。

幼「どっか痛いの?大丈夫?」

男「いや、大丈夫だ。さ、カレー食べよっか」

・・・

男「お前今日どうすんの?泊んの?」

幼「うん。お母さんにも言ってあるし」

男「そっか。」

カレーを食べながら会話をする。
夏休みは毎回ほとんど幼と一緒に寝泊まりしている。お互いの家にお互いの服が置いてある状態だ。

幼「明後日のお祭り楽しみだね♪」

男「そうだな。またいつもの四人でまわるか」

幼「うん...それとね」

幼がもじもじしだす。俺は幼が何を言い出すのか既に知っている。

幼「あのね...最終日だけ、二人で廻りたいなーなんて....」

当時の俺は皆で行った方が絶対に楽しいから、という理由で何も考えずに断ってしまった。

男「ああ、いいぞ。じゃあ二人で行こっか」

幼「ほんとに!?ありがとう!!」

幼が抱きついてくる。
幼はこれ以上ない位に嬉しそうだ。幼が嬉しそうだと俺も嬉しい。
はぁ...やっぱり

男「ホントにこいつの事が好きなんだな」ボソッ

幼「え?何だって?」

お前はボッチヤンキーかよ。

男「何でもねーよ。ほれ、離れろ、飯が食えんだろ」ワシャワシャ

幼「うわー、やめろー、髪が乱れるー!!」


幼「じゃあ私はお風呂入ってくるねー」

男「ほーい」

夕飯を食べた後、俺達は別々に風呂に入る。いや流石にね?一緒には入れませんよえぇ。チキンですが何か?

開けっ放しの縁側から夏の空が見える。時刻は七時だがふゆと違い空には夕まだ焼けが広がっていた。真っ白に燃え尽きた蚊取り線香を取り替える。
...おやっさんもこんな気持ちだったのかな。

幼「お風呂あがったよ?♪」


男「あいよー。じゃあ俺も入ってくるか」

風呂場に向かおうと振り返るとそこには湯気だった幼が立っていた。ほんのり蒸気していて頬は少し赤みを帯びていた。

幼「ん?どうしたの?」

俺の視線に気づいた幼が可愛らしく首をかしげる。

男「っ!?何でもねー!風呂入ってくるー!」

ヤバイな、破壊力がヤバすぎる、アパッチかよ。なに?ロングボウレーダーでも搭載してんの?当時の俺はよく耐えたもんだ。これはもうちっちゃい泉の元首相に感動されるレベル。




遅くなりました!

幼「じゃあ私はお風呂入ってくるねー」

男「ほーい」

夕飯を食べた後、俺達は別々に風呂に入る。いや流石にね?一緒には入れませんよえぇ。チキンですが何か?

開けっ放しの縁側から夏の空が見える。時刻は七時だがふゆと違い空には夕まだ焼けが広がっていた。真っ白に燃え尽きた蚊取り線香を取り替える。
...おやっさんもこんな気持ちだったのかな。

幼「お風呂あがったよ?♪」


男「あいよー。じゃあ俺も入ってくるか」

風呂場に向かおうと振り返るとそこには湯気だった幼が立っていた。ほんのり蒸気していて頬は少し赤みを帯びていた。

幼「ん?どうしたの?」

俺の視線に気づいた幼が可愛らしく首をかしげる。

男「っ!?何でもねー!風呂入ってくるー!」

ヤバイな、破壊力がヤバすぎる、アパッチかよ。なに?ロングボウレーダーでも搭載してんの?当時の俺はよく耐えたもんだ。これはもうちっちゃい泉の元首相に感動されるレベル。




遅くなりました!


すみませんテストです


書き込みテストです

男「ふぅ...ええ湯だった」

久しぶりにばあちゃん家の檜お風呂を堪能した。今でも薪で沸かす事が出来るらしい。

ガラガラ

男「おろ?幼?」

男が居間に戻ると、幼は机に突っ伏して寝息をたてていた。

...眠かったんなら先に寝て良かったのに。待っててくれたんだな。

男「おいしょっと」

男は幼を抱っこし、自分の部屋に連れていった。幼が泊まるときはいつも同じ部屋で寝てる。流石に布団は別だが...。

幼の布団をタンスから出そうとしたが、カビ臭い臭いがしたのでやめた。
...梅雨でやられたか、明日一回干さないとな。

仕方がないので幼を自分の布団で寝かせて自分は畳の上に寝転がる。流石に一緒の布団はマズイだろ。

男「...畳も案外気持ちがいいな」

そのまま男は眠りについた。

ーーー深夜

幼「...むぅー....寝ちゃった」ゴシゴシ

幼「あれ?何で布団にいるんだろ?男君が運んでくれたのかな」

幼「それにしても今日の男君、やけに積極的だったなー...えへへ、思い出したら顔が緩んじゃうよ♪」

幼「そんなところで寝たら風をひいてしまいますよー。しょうがないなー男君は」ツンツン

幼「よいしょ...よいしょ...重いーー!」ズルズル

幼「はぁ、これでよし。一緒に寝ましょうね♪おやすみなさい」ボフッ

幼「...大好きですよ、男君♪」チュッ

ーーーーーー

チュンチュン...

男「んあ?....朝か......!?」ガバッ!

男「どこだここぉ!?」

目が覚めるとそこには見知らぬ天井が...いや、めっちゃ知ってたわ。

男「そうだ..俺10年前にもどってんだわな」

時計を見るとまだ6時前だった。
二度寝でもしようかと思ったとき、布団に違和感を感じた。

つーか俺布団被ってたっけ?
畳の上で寝てた気がするんだが...。
恐る恐る布団をめくると中には男の腰に抱きつくように幼が寝ていた。

男「うおっ!何でこいつ一緒に寝てんの!?」

男の驚く声で幼が起きた。

幼「んーー、あ、男君おはよー」

...なんでこいつはこんなに落ち着いてんの?俺がおかしいの?
とりあえずもう起きる流れになったので布団を片付け、朝食を摂ることにした。

男「朝飯どうする?」

幼「何があるの?」

冷蔵庫を開けてみるが昨日残りのカレーし無かった。
どーすっかなー、いつもならカロリーメイトとかで済ますんだけどなー。

男「...とりあえず味噌汁とご飯でいいか?」

幼「うん。じゃあお米研ぐねー♪」

そう言って幼は米の..なんつーかほら、レバー押すと1合分だけ出てくるやつあんじゃん?なんジャーってなるやつ。あれから3合分取り出して研ぎ始めた。
流石にばーちゃん家でも炊飯ジャーはあるので幼でも米は出来る。
ちなみに飯盒で米を炊くコツは弱火からだんだん中火、強火に変えていくこと。弱火の時間を若干長めにしとけば芯が残る事はない。あと出来た後に火を止めて10分ぐらい蒸らすと旨い。これ豆な。

男「さてと...味噌汁は何入れようかな?」

何か無いか探っていると、味噌汁の具に最適な物を見つた、が、その瞬間、昨日スーパーで感じた感覚が再び男を襲った。

男「!?...まただ!」

なんだ?この違和感の原因はなんだ?恐る恐る目の前に出てきた物を手に取る。

男「.......






           油揚げ?」


幼「男ー?どうしたの?」

男「んにゃ、なんでもねー」

とりあえず手に取った油揚げを短冊切りにする。

...油揚げか。なんか引っ掛かるな。油揚げ、油揚げ、油揚げ...」

幼「そんなに油揚げ好きなの?男くん。」

男「うえ?もしかして声に出てたか?」

幼「うん。まるでキツネさんみたいですね♪」

男「!?」

そういえば昨日...

男「おい幼、昨日俺の家に来た時キツネ見なかったか?」

幼「ふぇ?キツネさんですか?見てませんよ?」

昨日、確か俺は昼寝をする前にキツネを見た気がする。意識がもうろうとしていたのでハッキリとは覚えていないが。

幼「そもそもキツネって北海道にしかいないんじゃないんですか?」

男「いや、キツネ自体は本州でも生息してるぞ。ホンドギツネっつって、東京でも目撃情報がある。これ豆な」

幼「そうなんですか。もしこの近くにキツネさんがいたらいいですね♪」

男「そうだな。可愛いもんな」

...そうか思い出したぞ。あの広告、“キーワードは油揚げ”。
ってことは昨日のキツネはなんか知ってるな?...なるほどな。

幼「...男くん?どうしたんですか?怖い顔して?」

男「ん?おぉ何でもない。ほれ味噌汁出来たぞ、とっとと食うべ」

幼「はーい♪」

お待たせしてホント申し訳ないです。つか文章へったくそだな。誰か俺に文章力分けてくれorz


男「俺ちょっとこの後出るから」

幼「どこいくんですか?幼も行きたいです」

男「いや...ちょっと出るだけだから!着いてくる必要ないぜ!?」

幼「むー、怪しいです。何か隠してます。」

男「いやいや違うんやて幼さん。」

幼「幼も連れてけー!!でなきゃお母さんにいじめられたっていってやるーー!

男「マジでやめて下さい。」

幼のお母さんは薙刀の達人だ。
なんか昔は全国レベルの腕があったらしい。めっさ怖い。

どうやってこいつを巻くか考えていると幼がシュンとしてしまった。

幼「...でも男が本当に嫌だったらがまんする...迷惑かな?」

男「....」

はぁ...こいつを助けるためにこいつを傷つけたら意味ねーか。

男「...迷惑なわけねーだろ。ほら、家に戻って準備してこい」ギュッ

幼をそっと抱き寄せる。

幼「..えへへ、男君はやさしいな♪」

幼「じゃあ準備してくるね!何しに行くの?」

男「おう...キツネ狩りだ。」

幼「キツネ狩り?」

男「おう、狩りっつっても別に捕って喰ぉーって訳じゃねぇ。単にキツネを探すだけだ」

幼「面白そうだね♪でもなんで急に?」

男「そりゃお前....あれだよ、キツネ可愛いじゃん?」

幼「うんうん」

男「こりゃ探すしかねーべ」

幼「なるほど!」

なんでだよ、なんで納得してんだよ。何も情報増えてねーだろ。
いや、納得してくれてありがたいんだけどさ。

男「つー訳で、森に入るから動きやすい格好に着替えてこい」

幼「ほーい!」

そう答えて幼は隣の自分の家に戻った。

男「さてと今のうちに...」

無線を手に取る。
....お、繋がった

??『なしたー?』

男「おう、ばーちゃん?ちょっといい?」

ばば『あ?キツネだぁ?』

男「そう、この辺りで見たことある?」

ばば『そりゃ見たことねーってこたぁねーけど...20年近く前だぞ?』

男「じゃあ最近は見てねーの?」

ばば『ん。今は変わりにハクビシンが増えた』

男「そっか...世知辛いね」

ばば『まぁな、でもいきなりキツネなんてどしたん?』

男「ちょっと気になってね、今から山に入ろうと思うんだけど何か必要?」

ばば『玄関に置いてある袋に大体は入ってるからそれ持っていきな。一応鉈とスリングショットもな』

男「鉈はともかくスリングショットは必要か?」

ばば『小型の獣なら退かせる事ぐらいできるだろ』

男「でかいのは?」

ばば『目の辺りに打ち込みながゆっくり後退しんさい。お前なら出来るだろ?』

男「まぁ...なんとかするわ」

ばば『それt『ドォン!! イタゾ! オ〇コトヌシダ-!』...ごめんもう切るからな、気ぃつけてー。』

男「...おう」

あのばーちゃん何狩ってんだよ。なに?シシガミ様でも探してんの?

鳥獣保護法ならびに狩猟法は無視して下さい!
お願いします!orz


幼「男?!準備出来たよ?!」

玄関から幼の声が聞こえる。

男「随分早いな。ちょっと待ってろ、俺もすぐ着替えるか...」

幼「ん?どーしたの?」

男「お前...学校のジャージかよ」

幼「うん。これが一番動きやすい」

男「ま、そーかもな。んじゃ俺も着替えるわ、ちょっと待ってろ」

幼「はい♪」

迷彩柄の長ズボンと黒いTシャツに着替えて玄関へ向かう。
靴は半長靴を履き、ばーちゃんが言っていた袋をウエストポーチに突っ込む。

男「鉈を腰に着けて...っと、おし、準備完了!行くか!」


幼とフォックスハウントにしゃれこんだのは良かったのだが、結果としては狐を見つける事は出来なかった。状況終了は17時になり、日は傾き始めていた。

幼「結局キツネさんは見つからなかったね」

男「まぁそんな簡単には見つからんだろ」

幼としゃべりながら帰宅する。どこかの家の風鈴の音色が聞こえ、風に運ばれてくる夕飯の匂いが鼻をくすぐる。

男「ん?...明日も探しに行こうかな」

幼「男君?明日はお祭りですよ?」

男「あぁそっかそっか、忘れてた」

幼「そんなにキツネさんが見たいんですか?」

男「おう、ちょっとな...」

幼「...そうですか」

幼との間に微妙な間が生まれた。

男「...」

幼「...男君、何か隠し事してませんか?」

男「なっ...ぜっ全然隠し事なんてしてないろ?」

幼から放たれた一言に焦った俺は噛んでしまった。

沈黙が二人を包む。

幼「...幼には言えませんか?」

別に言ってはいけないと言われた分けではない。しかし手掛かりがなにもない状態で余計なことを言うべきではないと、自分の中で警鐘が鳴り響く。幼には悪いがまだ俺が10年後からタイムスリップしたことは黙っていよう。

男が困った顔をしていると、幼が口を開いた。

幼「...別に男君に問いただそうとしているわけではなのです。なので言いたくなかったら無理に言おうとしなくてもいいですよ」

そう言って幼は微笑む。だがその微笑みはどこか寂しげな雰囲気を放っていた。

男「...悪いな」

幼「いいですよ♪...ただ一つだけ約束して下さい」

幼がずいっと顔を近づける。夕日に照らされて少し朱みを帯びているその顔は何時にもなく真剣なものだった。

幼「もう二度と“あの時”みたいに幼に黙って危ないことをしないこと」

“あの時”か...随分と懐かしいな。

男「...あぁ、約束する」

俺はただただそれに頷く。

幼「ならよろしい」

幼「じゃあ帰りましょう♪お腹が空いちゃいました」

男「随分と山にいたからな。とっとと帰ってカレー食うか」

幼「はい」

...ごめんな幼、約束、守れるか分かんない。けど俺はお前を必ず護ってみせるよ。

朱く染まった畦道を二人で歩く。
この道が何処までも続くようにと願いながら。


少し投稿。
なんか終わりっぽいけど全然終わんないから。
俺の文章力が無いだけだからww

8枚切りの食パンの上にスライスチーズを乗せ、トースターで3分焼く。しばらくすると香ばし香りが鼻をくすぐる。
マグカップにMAX○Mのインスタントコーヒーをぶち込みお湯を入れる。馥郁たるコーヒーの香りが部屋に漂う。

男「ん...うまい」

朝食を食べながらテレビをつける。...お前ら、この夏一番の暑さって言うけどそれ毎日言ってねぇか?
くだらない事を考えつつマグカップに口を寄せる。
...ホットにしたのは失敗だな。
もとの世界は冬だったので流れるようにホットコーヒーを淹れてしまった。後で1リットル紙パックの冷たいコーヒーを買ってこよう。

ガラガラガラ

幼「お邪魔しまーす」

朝食を食い終わり居間でだらだらとしていると幼が家にやって来た。

男「よう。おはよ」

幼「およ?もう起きてるなんて珍しいね?」

男「まぁな、セミに叩き起こされた」

幼「フフッ、男君らしいね」

男「...どーゆーことだよ」

居間でしゃべっている幼を尻目に冷蔵庫から麦茶を出す。
...ばあちゃんこれめんつゆじゃねーだろーな。
コーラのペットボトルにポン酢が入ってた時はかなり残念な気持ちになった。

復旧したし書くか




この地域は昔から夏にデカイお祭りが二回行われる。その一回目の祭りが今日から3日間行われる文月祭である。近くの商店街の道路に屋台が並びそれが神社まで続いている。この日ばかりは近くの地域の人達も集まるのでとても賑やかになる。

幼「今日からお祭りだね♪」

男「そーだな」

幼「なんかテキトーだね。男君は楽しみじゃないんですか?」

男「そんなことはないぞ?普通に楽しみだ」

幼「昨日だって忘れてたし」

男「昨日はいっぱいいっぱいだったんだよ」

内心ホントにちょっと楽しみだ。
大人になるとこういった祭には参加しなくなってしまう。特に俺が一人暮らしをていた近所では祭がなかった。なので久しぶりに祭に行けるのはとても楽しいだ。

男「男友達はいつくんの?」

幼「男友と幼友の二人はお昼御飯食べてから来るそうですよ」

男「うい。じゃあそれまで暇だな。何すんの?wii?」

幼「何ですかwiiって?」

男「何でもねー、こっちの話だ。んで、マジで何すんの?」

幼「取り敢えず宿題を済ませちゃいましょう」

そういって幼が机の上に取り出したものは....夏休みの強敵(とも)

マジか。まさかこの年になって宿題をやるはめになるとは...。
わりとマジでめんどくせー

男「まぁ答え写せばいいか」

幼「ダメですよ!一緒に頑張りましょう!」

男「えー...」

ーーーー

幼「今日はここまでですね」

男「はぁー、やっと終わったか」

幼「フフッ♪頑張りましたね」

男「まぁな。そろそろ飯にすっか」

幼「はい♪」

台所に行き、戸棚を開ける。
しかし買い物に行ってないので何もなかった。

男「まいったな、なんもねーぞ」

買い物に行こうか迷っていると、玄関から声が聞こえた。

「ごめんくださーい!宅急便でーす!」

男「はーい!幼、ちょっと出てくれ」

幼「はーい」

ココニハンコヲオナシャス!
アリガトウゴザイマシター!

男「なんだった?」

幼「んー?お中元かな?」ビリビリ!

男「なるほど....素麺か...」

こっからずっと素麺地獄が始まるのか。ばあちゃんは知り合いが多いからお中元とかいっぱい来るけどいかんせん年寄りばっかだからヤバい。ほとんどが素麺か蕎麦になる。

幼「素麺ですね。お昼はこれにしますか?」

男「そーだな。他はなんにもねーし。ちゃっちゃと茹でちまうぞ」


居間で幼と二人で素麺をすすっていると、友と幼友がやって来た。

幼友「お邪魔しまーす」

友「何だ、まだ飯食ってんのか?」

男「こちとら今まで宿題してたんだよ」ズズッ

友「お前宿題なんてしてんのかよ。あんなもん踏み倒してなんぼだろ」

男「...お前はよく分かってる」

幼友「でも幼が許してくれなかったんでしょー?」

幼「宿題はちゃんとやらないとダメですよ!」

友「おう、善処するわ」

男「お前絶対やらねーだろ」

友「ふっ、俺ぐらいになると宿題自体を学校に置いてきてるからやりようがねーんだよ」

幼友「あんたバカでしょ?」

男「そ、そんな手があったのか!」

友「お前もまだまだだな」

男「ほら見てみろ幼、宿題なんてな....」

幼「.......」じー

男「.......」

幼「.......」じー

男「...コホン、宿題しねー奴はクズだな、死ねばいい」

友「おい!裏切り者!」

幼友「てゆーか、宿題って言っても数学プリントと読書感想文だけでしょ?」

男「お前の数学担当誰だっけ?」

友「.....ゴリ先」

幼友「....あんたそれでよくサボろうと思ったね」

男「悪いことは言わねぇ、やっとけ」

友「...やっぱマズイかな?」

幼友「サボったりしたら殺されるかもね」

友「しゃーねー、今年はやるか」

幼「そうですよ。折角なので皆でやりましょう♪」

幼友「でも、取り敢えず今日はお祭りでしょ」

友「そーそー!祭行こうぜ!」

男「そーだな。何時からやってんだっけ?」

幼「屋台とかはお昼からやってるはずですけど」

幼友「そういや幼のお母さんもお店出してるんだっけ?」

幼「はい。町内会が主催してる屋台のエリアにいるはずです」

男「じゃあそこも行かなきゃな」

友「おう。久しぶりの祭だから腕が鳴るぜ!」

幼「そうですね♪」

幼友「てゆーか、三日間あるんだから初日で金使い過ぎないでね」

友「いざとなったら男に借りる!」

男「おめー絶対返さないだろ。ご利用は計画的にしろバカ」

幼友「バカは放っておいて行こっか」

幼「はい♪行きましょう♪」

友「おいてかないでぇ!」

....なんか書いてて辛くなってくるのは何でだろう。
早く夏来ねぇかなぁ…

-----商店街入り口

男「流石に賑わってるな」

幼「お祭りって感じですね♪」

友「おぉ...浴衣の美女発見!!」

幼友「....」ドカッ

友「痛い!なんで殴るの!?」

幼友「べっつにぃ~~?」

幼「フフッ」

そんな感じで祭り会場に来た四人組。
この頃は毎年四人でここに来てたなぁ。
こうやって幼と並んで友と幼友のケンカを眺めて。
...懐かしいなぁ。

幼「どうしたんですか?男君?」

男「いや...夏が始まるなぁって思ってな」

幼「そうですね。毎年このお祭りが夏休みの始まりの合図って
感じがしますね」

幼「そしてきっと男君は来年も、再来年も、これからずぅ~~と
同じことを思うんでしょうね」

そう言って幼はニッコリと微笑んだ。
来年も再来年も...そしてその先もずっと...
そんな未来を手に入れよう。

男「...きっとそうだな、来年も絶対四人で来ような」ギュッ‥

幼「わわっ!男君?」

幼はいきなり抱きしめられてびっくりしていた。

男「よしっ!!充電完了!」パッ

幼「あっ...」

男「今年の夏は死ぬほど遊ぶぞぉぉ!!」

幼「...はいっ♪」クスッ

友「よっしゃーー!!まずは食い物じゃァァ!!」

幼友「ちょ、二人共ハズいから大声ださないでよ」

これからは名前入りで書き込みます
よろしくお願いします。

すみません
鳥ってなんすか?

こんな感じっすか?

おぉ、ちゃんとできてた
次からこれでいくんでよろしくお願いします


男「けど昼飯食ったばっかで腹あんまし減ってねーんだよなぁ」

幼「確かにそうですね」

友「じゃあテキトーに周るか?」

幼友「あたしもそれでいいわよ」

男「よし。幼、何かしたい事はあるか?」

幼「私ですか?ん~...急に言われてもすぐには出てこないですね」

幼友「じゃあ無難に金魚すくいとか?」

友「お前去年の祭りで獲った金魚は?」

幼友「まだ生きてるよ~。てゆーか成長が止まらなくてヤバイ」

幼「この間見ましたけどかなり大きくなってますよね」

男「金魚すくいの金魚ってすぐ死ぬとか言われてるけど、なかなか頑丈な奴もいるよな」

友「お前も去年とってなかった?」

男「そうだっけか?」

幼「そうですよ♪私が獲って欲しいって言ったら、すぐに獲ってくれたじゃないですか」

あぁ...なんか覚えてんな。あの時の幼、めっちゃ嬉しそうな顔してたな。
で、確かその金魚って庭の池に放して...次の日猫が...
...やめよう。男は過去を振り返るもんじゃねぇ。
なんで目が前についてるか知ってるか?それはな前に進んで行くためさっ!!(キリッ!
...何言ってんの俺。

幼友「そうそう。男って金魚すくいとか射的とか屋台の遊びとか無駄にうまいよね」

友「輪投げとか、缶落としとか、クジ運も強いよなぁ」

そうだったんだ。やるなぁ10年前の俺。
屋台なんてホントに久しぶりだなぁ...

男「おっしゃ。とりあえずブラブラするか」

男「つーか人多いいな」

幼「お祭りですからね~」

幼友「あ、りんご飴だ」

友「相変わらず屋台はたけーなうぉい」

男「でも買っちまうんだよなー」

幼「おいしそうです」

男「食べるか?」

幼「でも他にもいろいろ食べたいんですよ」

男「...?食えばよくね?金がねーのか?奢ってやろーか?」

幼「いえ、お金はあるんですけど...」

幼友「女の子にはいろいろあんのよ。察しなさいよ」

友「あぁ、ダイエット?」

幼友「あんたってホントデリカシーないよね。死ねばいいのに」

友「すごい言われよう!?」

男「幼、だったら俺と半分ずつ食べるか?」

幼「え?」

男「要するに食い過ぎなきゃいいんだろ?じゃあ半分ずつ食えば二種類食える。お金も半分で済むし効率的だ」

幼「でも...なんか悪い気が..あっ」

スイマセーン!!リンゴアメイッコクダサーイ!
アイヨ-!マイドアリ-!

男「ほら食おうぜ」

幼「...ありがとう///」

友「なるほど。ああすればモテるのか」

幼友「あんたじゃ無理よ。もとが駄目だもん」

友「うそん」

男「...なんかいいな、この感じ」

道にはズラ~っと屋台が並ぶ。
途中にはお囃子を演奏している小さい舞台が設置されていた。
締太鼓や横笛から奏でられる日本独特の音。

友「わかるわー。何かお祭りって感じするべ」

幼友「お祭り以外じゃなかなか聞く機会もないしね」

男「そういや幼友、太鼓はいいのか?」

幼友「今日は大丈夫だよー。あたしが出るのは最終日だけ」

幼友と友の二人は近所で太鼓を習っている。
俺も子供の時は通っていたが何故か太鼓から尺八にジョブチェンジ。中学に入ってからはそれもやめてしまった。

幼「楽しみです。絶対男君と見に行きます!」

幼友「あはは...ちょっとはずかしいんだよね~」

幼「そんなこと無いですよ!いつもカッコいいなぁーって思ってみてます!」

男「確かにカッコいいな。お祭り女って感じで」

幼友「え~?それって褒めてんのかな~?」

男「褒めてる褒めてる、ちょーカッコいい」

幼友「クスッ...二人共ありがと」

友「俺も俺も!!俺も太鼓出るよ!!」

「「.........」」

友「あるぇーーー?」

幼友「あ!射的はっけーん!」

友「おっしゃ、スナイパー友と呼ばれた俺の実力を見せてやるぜ!」

幼「男君!やってみましょう!」

男「そーだなー、久しぶりにやってみっか」

友「おっちゃん!500円で10発!」

おっちゃん1「はいよ」コトッ

幼友「あたしは300円5発でいいかなー」

幼「じゃあ私もそれでお願いします」

友「男はー?」

男「俺も3発でいい」

友「いくぜ!!」カチャ..パン

友が撃ったコルク弾はライターに命中したが、倒れただけで獲得とはならなかった。

幼友「あはははっ!ダッサー!」

友「うっせ!だが感覚は今ので大体掴んだぜ!」

ーーー3分後

友「....」

男「で、結局ライターに執着してなんも取れなかったと」

友「...」

幼友「私達は結構お菓子とかとったわよ?」

幼「なんだか変な蛙のおもちゃがとれました」

男「何ていうかお前...残念だな」

友「うるせーよ!!じゃあお前やってみ!?あんなん取れねーよ絶対!!」

幼「そういえば男君まだやってないんですね」

幼友「まぁあんたの弾込めしてあげてたからね...」

幼「男君!!がんばってください」

男「はいよ」

男「さてと...」カチャ

射的で大切な事は2つ、それは銃の射線角度と距離である。
まず射線角度だが基本的に獲物の斜め下から対角線を狙うこと、そして距離は近づけ過ぎないこと。
よく腕を限界まで伸ばして獲物に銃口を近づける人を多く見かけるが、実は近づけ過ぎると威力が落ちてしまう事がある。
かといって遠すぎると豆鉄砲状態になってしまうので注意が必要だ。
この辺りのさじ加減はやっていくうちに分かるはずである。
ソースは的屋のにーちゃん。その昔、ライターが欲しくて頑張ってたら教えてくれた。
今でもそのライターは愛用してる。

男(...ここだな)

男「One shot One kill」

男のコルク銃から放たれた直径約1cm程のコルク弾は、ライターの右上の隅に吸い込まれる様に着弾した。
下から抉るような衝撃を受けたライターは...
要するに簡単にとれました(笑)


結局5発でライター2個とオリオンのミニコーララムネをゲットした。

男「まぁこんなもんか」

幼「さすが男君です!すごいです!」

幼友「ホントにすごいわね。それに比べて...」

友「....」

男「....ひとつやろうか?」ヒョイ

友「うるせー!同情すんな!」パシッ!

幼友「でも貰うんだ..」

ーーーーーーーーーー

友「っと、もうこんな時間か」

幼友「結構いろいろ遊んでたからね~」

もう日は傾き、空は夕焼けに包まれていた。
それにもかかわらずまるで空に反発するかのように祭りの熱気にあてられ、人々は喧々囂々と騒ぎたっている。
しかし窮屈な都会の喧騒と違いどこか心地いい、温かい気持ちになってくる。

友「今日はこの辺りでお開きにするか」

幼友「そうね。どうせ初日は七時で終わりだし」

男「明日はどうすんだ?」

幼「あっ、明日はお母さんのお手伝いをしないといけないので遊べません」

友「そっか。じゃあ幼友と一緒に見に行くよ」

幼「わは~、待ってますね~」

男「おい待て俺は?」

友「え?多分お前明日忙しいよ?」

男「は?一日暇だけど?幼も居ないみたいだし」

友「まぁ暇そうだったら誘うわ、じゃーな!」

男「おいちょっ..」

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
マジで忙しかったんス
許してくださいorz

完結してくれればゆっくりでもいいさ

>>118
完結は絶対しますごめんなさい
書きたいこと一杯あるのにそこに行くまでが大変なんスごめんなさい

ーーーーーーーーーー

男「こういう事かよ...」

お祭り2日目。
俺は頭にタオル、腰に前掛けをした出で立ちで焼きそばを焼いていた。

???「おらぁ男!ちゃっちゃと焼きそば10パック詰めろや!お客さんが待ってんだろーがぁ!」

男「やってるよやってる!ちょーやってるからね!?もういっぱいいっぱいなんだよ!てかあんたも手伝えや!」

幼「はぅ...やっぱり私も男君のお手伝いしたいです...」

幼母「幼ちゃんはお会計だけやってくれればいいからね~。あっちはあそこの下僕に任せておけばいいから♪...おい奴隷、とっととしろ」

男「なんかランク下がってねぇ!?」

あぁ...どうしてこうなった...

事の発端は今日の朝。
俺は昨日買った冷コーを飲みながらいつも通りに朝食を摂っていた。
ほのぼのしているな~っと思っていた矢先に玄関のチャイムが鳴り響く。
最初は郵便かと思ったのだが、玄関からただならぬ殺気を感じ取った俺はスルーを決め込んだ。...なんかイヤな予感がする。主に俺の生命に関して...
しばらくやり過ごすと殺気はなくなり、ひと安心した俺は冷コーをおかわりしようと席を立つ。
と、その瞬間に開けっ放しにしていた庭へと続く窓から棒状の何かが居間に突っ込んできて、先程まで俺が座っていた場所に突き刺さった。
....な..薙刀が飛んできただと..?

飛んできた元に目を向けると、そこにはニタッと笑う般若が....

そんでもって今に至る。

男「てか殺気消して薙刀投げるの本気でやめて!?ガチで死ぬから!」

幼母「幼ちゃんに纏わり付く害獣を駆逐しないといけねぇだろ?」

え?何言ってんだこの人?駆逐ってなんだよ、夕立かよ。なに?4連装発射管の九三式魚雷でも搭載してんの?
こえぇよ、あと怖い。

幼「男君!焼きそばもう3個追加でお願いします!」

男「ちょまっ!誰か!誰かたすけてぇ!!」

幼母「あー、ビールうまうま」グビグビ

男「あんたは働けぇ!!!」

友「おぉ、やっぱり思った通りだったな」

幼友「なんか大変そうね」

幼「あ!友君に幼友ちゃん!いらっしゃいませ♪」

幼友「はろはろ~。遊びにきたわよ~」

幼「男君の作った焼きそば美味しいですよ!」

幼友「ホントに美味しそうね。...てか男死にそうだけど」

友「おーい男ー?大丈夫かよ」

男「」ギロリ

友「ひぃ...!?..え?ちょまっ..何でこっち来んの!?おい!何で腕つかむの!?何で関節極めるの!?」

男「....手伝うか?」

友「いや、俺はt男「手伝うか?」

友「だからなんで関せt男「手伝うか?」友「Sir,yes,sir」

男「おい友ぉ!野菜と肉は炒め終わったかぁ!?」

友「こっちは準備OKだぜ!もう麺の野郎をぶち込んでやろうかぁ!!」

男「All right!水入れ忘れんじゃねーぞ!?」

友「分かってるゼ兄弟!」

幼友「男!焼きそば2つ!」

男「ぴょーーーーxyくいfwpcqぁ;1・。、¥」

幼「男君が壊れてます..」

幼母「ふぃ~飲んだ飲んだ。おう下僕共、しっかり働いてっか?」

男「ご覧の通りだぜチキショー!ちょっ友ぉ!ソース薄いぞ!何やってんの!てかどこ行ってたんだこのクソ忙しい時にぃ!」

幼母「んぁ?ちょっと顔出しにな。てかそのキャラうざいキモいクサイ」

男「クサくはないですぅーー!ソースの香ばしいかおりでs..あぁストップごめんなさい包丁置いてください」

ーーーーーーーー

幼母「おっし、今日はもう店終いだ!全員お疲れ!」

友「...やっと..終わった...」ゼ-ヒューゼーヒュー

男「...」バタッ

幼「わわわっ男君!?」

幼友「男は一日働きっぱなしだったみたいだからねー」

幼母「ったくだらしねーなぁー。そんなことより幼友ちゃんとモブ、こっち来い」

幼友「はーい?」

モブ「ねぇ俺今日頑張ったよね?ね?」

幼友「はいはい分かったから寄らないで、暑苦しいのよ」

モブ「うそやん」

幼母「ほれ二人共、小遣いくれてやる。これでなんか遊んでこい」

幼友「え!?いいんですか!?」

幼母「今日は二人共しっかり働いてくれたんだ。助かったぞ、二人共」ニコッ

幼友「なんかかっこいい」キュン

友「な、なんという破壊力!普段は厳しい土方系ねぇちゃんのデレたニコッ...くぅーーー!ごちそうさまです!!」

幼友「幼のお母さんってめっちゃ若いですよね。20代って言っても通るんじゃないですか?」

幼母「やだねぇ、流石に無理があるよ。でも嬉しい事言ってくれるね幼友ちゃん。よしっ、みんな付いてこい!かき氷おごってやる!」

友「うっす!ゴチになりますっ!」

幼「あの...男君が...」

幼母「んー?じゃああそこで寝かせてあげようか」

幼「あそこってゴミ捨て場じゃ...」

友「おら男、起きなきゃ捨てられるぞ」ゲシゲシ

男「グーー..グーー...」

幼友「爆睡してるわね」

幼母「ったくコイツは。あそこの神社のベンチにコイツ寝かせて来るからちょっと待ってろ」ヒョイ

友「Wow、めっちゃ力持ち」



男「ん...んぁ?俺寝ちまったのか」

目が覚めると神社の境内のベンチで一人で横になっていた。
この神社には見覚えがある。いつも幼と一緒に寄っていた神社だ。
そして今横になっているベンチは...

男「...間違いねぇ、あの写真のベンチだ。今でもハッキリ覚えてる」

あの日、10年前の世界にタイムスリップする直前、自室のパソコンに映し出された一枚の写真。
その写真に写っていたベンチと全く同じ。俺達に馴染みの深いベンチだ。

男「そういえばやけに静かだな」

境内は驚くほど静まり返っていた。セミの声も聞こえなければ、すぐ近くで演奏されているはずの祭囃子の音も聞こえない。

男「....みんなはどこにいるんだ?.....!?」

男が見つめる視線の先。そこには小さな祠が立っている。

男「....何か..何かいる..!」

何かの気配を感じ、ゆっくりと近づく。
その祠には文字が書いてあった。

男「.............稲荷大明神か」

まだ狐の性別考えてなかった
どっちがいいとか要望ありますか?
多数決にしようと思ってるんですが...いいですか?

男「....」

その祠にじっと目を向け、かすかな気配を感じ取る。
...何かの気配がする。

そっと手を伸ばし、祠に触れる。しかし表面がボロボロに箚さくれていたせいで指を切ってしまった。

男「痛っ...くねーか」

指を少し切った程度ではなんともない。少し血が出てしまったが放っておいて大丈夫だろう。

しかし男が祠から手を引く時、血が一滴だけ祠に垂れてしまった。
その時だった。

バァン!!

扉が勢いよく開き、中から何かが飛び出てきた。

男「うぉっ!?」

驚いたのもつかの間、飛び出してきた物体はそのまま男の頭に思いっきりぶつかった。

男「んがっ!!」ゴンッ!!

鈍い音が響き、意識が遠くなる。
薄れゆく視界の中、ハッキリと見えたその姿は...

男「....尻尾が9本の...狐..?」..バタッ

ーーーーーーーーーー

男「....ん..はっ!!」

目が覚めるとそこは先ほどと変わりない神社の境内だった。
しかしセミはまるで高2男子が女子の居る教室で大きめの声で友達と雑談するかのような激しい自己主張を行い、祭囃子は軽やかなリズムを奏でていた。
そして一番違うのは俺の寝具。
確かにベンチの上に横になっているのだが、頭の後ろにはしっとりと柔らかい感触、眼前に広がるのは控えめながらもその存在を主張する山2つ。
ほのかに汗の匂いを感じるこの距離...間違いない、膝枕だ。

幼「あ!おはようございます」

男「...おう。悪いな、何か知らんうちに爆睡してたみたいで」

幼「大丈夫ですよ~。男君、とても気持ちよさそうに寝ていましたね♪」クスッ

男「完璧に過労だ。超ブラック屋台だったぞあそこ。むしろブラック過ぎて眠気冷めるレベル」

幼「でも焼きそば焼いてる男君、かっこよかったですよ?」

男「...まぁ幼がそう言うならいいか」

フッと一息をつき、あることに気がついた。

男「そういやみんなは?」

幼「かき氷を買いに行ってます。お母さんがみんなに奢るって言ってました」

男「...俺の分ちゃんとあるかな?」

幼「友君が居るので大丈夫ですよ」クスッ

そして俺はこの時、幼と話をしているせいで気が付かなかった。
思いっきり個人が特定できるほどの殺気を漂わせている鬼神(幼母)に...


おっさんが一歩リードしています。
>>1に狐娘を書かせたい人はがんばって下さいwww

あとコメントって結構励みになります(感謝)

幼母「てめぇ...くたばったかと思ったら何してやがんだオラ」

背後から凍りつくような声色が聞こえ、先程までのほのぼのとした空気を一気に消し飛んだ。

幼「あ、お母さん。おかえりなさい」

幼母「ただいま幼ちゃん♪」ニコッ

男(ヤバイヤバイヤヴァイ!!)ガバッ!

幼「男君?どうかしたんですか?まだ横になっていてもいいですよ?」

なんでこの子気づかないの?バカなの?天然なの?

幼母「....まぁ今日は許してやる。とっととかき氷食え」

男「あざっす!いただきますっ!」

幼友「ただいまーっと。お、男起きたんだ」

友「うぃー、かき氷買ってきたぞー」

幼「わー!!美味しそうです!」

友「おうお前ら、何味がいい?」

男「ブルーハワイ」

幼「イチゴがいいです」

幼「んーー♪おぃひぃでふ♪」シャリシャリ

男「ん...うまい。すげー久しぶりに食った」

友「おぅ!?あ..頭痛ぇ...」キンキン

幼友「がっついて食べるからでしょバカ...んっ!」キンキン

友「がっついてたべr幼友「なんか言った?」ガシッ 

友「言ってないのでアイアンクローはやめて下さい!!」

男「何してんだお前ら」

幼「男君、一口どうぞ」アーン

男「んむ...じゃあ俺のもやるよ」アーン

幼「むふー、おいしいです」

友「...」

幼友「...あげないわよバカ」

友「えーー」

幼友(...だって恥ずかしいじゃない...)


狐候補バラバラ過ぎだろwww
とりあえずこの候補の中から独断と偏見で選びますかな

友「っと、そろそろ明日の打ち合わせの時間だな」

幼友「もうそんな時間?じゃあうちとコイツはもう行くね」

幼「太鼓のお話ですか?」

幼友「うん。搬入とか開始時間とか色々ね」

友「んじゃ、そゆことで」

男「おう、がんばれよ」

幼友「あっ、忘れるとこだった。男って明日の朝へーき?」

男「あ?どゆこと?」

友「そういや男に明日の朝うちの太鼓搬入手伝ってほしいって師匠が言ってたな」

男「朝か...何時くらい?」

友「多分8時くらいだと思うけど。今日の打ち合わせで詳しくわかる」

男「そっか、師匠には世話んなってたしな~。幼、行ってもいいか?」

幼「勿論ですよ♪お祭りはお昼からですし」

男「サンキュ、じゃあとりあえずOKって師匠に言っといて」

友「分かった、マジ助かるわ」

幼母「じゃああたしらも帰るか」

幼「はい♪男君、行きましょう?」

本来ならここで華麗にgo to homeを決めているところだがそうもいかない事態が発生していた。
友と幼友が帰った途端、境内のどこからか違和感を感じる。

男「あ~悪い、ちょっと寄るトコあるから先帰っててくれ」

幼「用事ですか?じゃあここで待ってますけど...」

男「いや、幼も今日は疲れたろ。早く帰ってゆっくり休め」

そう言うと幼はキョトンとしていたが幼母は何かを感じ取ったようだ。

幼母「...じゃあ先に帰るぞ。行こっか幼ちゃん」

幼「え...でも」

幼母「大丈夫大丈夫。おい男、用事が終わったら家に来い。晩飯くれてやる」

男「あいよ。ありがたく頂きますかな」

幼「じゃあまたあとで♪」

男「おう」

二人に別れを告げると、幼母が去り際に耳打ちをしてきた。

幼母「...気配が一匹、お前に関係あんのか?」

武道を習得していると五感が強化され、なんとなく気配や殺気を感じ取る事ができるようになる。
さすが幼母、すでに俺が感じている違和感を気配として感じ取っていたようだ。
だがこの違和感の正体が何なのか分からない。ただ先程の夢に出てきたモノになにか関係があるような気がする。

男「...分かんねーけど心当たりがある」

そう言うとそれ以上は追求してこなかった。

幼母「まぁ悪い気配じゃねーから大丈夫だろ。ただ気をつけろよ」

男「....了解」

男「...さてと」

二人がいなくなり、境内を静寂がつつむ。
目線は例の祠に向けたまま、ゆっくりと近づいていく。

男「...そこにいんだろ?出てこいよ」

??「...」

祠の裏からでてきたソレはとてもキレイな色をしていた。

男「...やっと見つけたぞ」

??「やっと見つけてくれたわね」

黄金に輝くその体。耳は大きく目は鋭く、何より目につく九本の尾。

狐娘「はろはろ~。あたしの名前は狐娘。よろしくね♪」


男「...」

狐娘「ありゃ?驚かないんだ?」

男「そりゃここ最近奇想天外アンビリーバボーな出来事に見舞われ続けてるからな」

狐娘「そりゃそっか。なんせ十年後から飛ばされてきたんだものねー」

そう言って狐娘と名乗る目の前の野生動物はケラケラと楽しそうに笑う。

....おいおいおいなんだよコレ!なんでキツネが喋ってんだよ!てかこいつキツネだよな?ホンドギツネだよな?
Vulpes vulpes japonicaだよな?なんで喋ってんの?動物って口を横に開く(い)の発音が出来ないんじゃないの?
驚かないわけねーだろアホが!ご自慢のポーカーフェイスだバカヤロー!ポーカのルール知らねぇけど!

狐娘「なんだ、しっかりと驚いてるじゃない。安心したわー。流石に無反応って傷つくのよねー」

...なん...だと...
コイツ心を読みやがった。俺のプライバシーが爆散したぞうぉい。

男「...てめぇ一体何者だ。今までの一連の出来事は全部てめぇの仕業か?」

狐娘「まぁまぁそんなに睨まないの。あたしはただの案内役よ」

男「じゃあ案内役さんよ、とりあえず色々聞きてぇ事はあるがまずこの状態はなんだ?」

狐娘「見たまんまよ。あなたは十年前に飛ばされてきた、それ以上に何か必要かしら?」

男「当たり前だろ。なんでこんな事になってる?」

狐娘「まぁそれは順を追って説明するわ」

狐娘「まず天界には二人の神様っぽい奴がいるのよ。片方は生を司る神、もう片方は死を司る神」

男「おい、神っぽいってどーいう事だよ」

狐娘「うっさいわね、いちいちつっこまないでくれる?」

おうおう、なんだコイツ。イラッとしちゃったぞ♪

狐娘「んでもってある日、生を司る神は言いました...」

男「...」ゴクリ

狐娘「田舎を舞台にイチャイチャする幼馴染同士のラブコメが見たい!!」

男「...はい?」

あれ?なんかシリアスな感じになるはずなのにおかしいぞ?え?神様ってそういう感じなの?謎すぎだろ。

狐娘「まぁ最近奴の部屋にラブコメアニメのDVDが散乱してたしね~」

男「神様DVD見んの!?」

狐娘「しかもこの間なんて部屋から大声で「めんまーーー!!」って叫んでたし」

男「謎発言の原因分かっちゃったよ!!」

やばいよ神様、重症だよコレ。

狐娘「それでなんやかんやあって貴方を十年前に戻して幼馴染とあなたをくっつけようと言うわけですね」

男「なんか最後適当じゃねぇ!?」

狐娘「でもここで一つ問題があります」

狐娘「あなたがこの時代に介入することによって未来が少なからず変わってしまいます。例えば死ぬはずの人間が死なない運命を辿ったり」

狐娘「それをよく思わないのが死の神様です」

男「...」

狐娘「...やだなぁ、そんな厳しい顔しないでよ。それ自体はあんまり問題じゃないんだから」

男「そうなのか?」

狐娘「ここで大事なのは変化の度合いよん。死の神だってそんなにヒマじゃない、一人二人生き残ったって気付かないわ」

狐娘「ただあまりにもとの運命から遺脱した行為をすると流石にばれるわよ」

男「...バレるとどうなる?」

狐娘「全事象の運命が貴方を殺しにかかる。勿論幼馴染もね」

男「生の神はなんとかしてくんねーのか?」

狐娘「人の死は管轄外なのよ。手出しできないわ」

男「なるほどな。手出し出来ない代わりにお前を寄越した、そういうことだろ?」

狐娘「話が早くてたすかるわー」

狐娘「つまりあなたは死の神にばれない程度で更に幼馴染が生き残る為の小さな変化を起こして運命を変える必要があるの」

大きな変化を起こしてしまうと死の神にバレて死ぬ。
しかし変化が小さすぎても今度は幼馴染が死ぬということか。


男「...それって結構厳しくねぇか?」

狐娘「うん、厳しいね」

さらっと言ってくれるぜ。何するにしても程よくが一番難しいのに。

狐娘「んでもって、なるべく失敗しないように派遣されたのがあたしってわけ。お分かり?」

男「ってことはお前はどうすればいい具合に運命が変わるか知ってるわけだ?」

狐娘「んにゃ?全然?」

男「は?」

狐娘「人が死ぬ運命を見ることができるのは死の神だけ、あたしにはじぇんじぇん分かんないわ」

おいおいそれじゃあ意味ねーだろ。何のためにお前いんだよ。

狐娘「ムッ..あんた結構失礼な事言うのね」

男「頼むから心読むなよ...」

狐娘「うっさいわね、我慢しなさい童貞」

男「うるせぇ野生動物が。同定すんぞ」

狐娘「...寒っ」

目の前のキツネが何でコイツ生きてんの?死ねば?と言わんばかりの目線を送ってくる。
...結構うまいこと言ったと思うんだけどな。

男「..コホン。で、お前は何が出来んだよ」

狐娘「あたしが出来る事は色々あるけど、大きいのは2つ。人の心を読む事。それと、少し先の未来を見ることよ」

男「...未来を見る?」

狐娘「そっ。ただ未来と言ってもそんなに鮮明には見れないわ。Happy endかBad endか、常に変化する運命の先がどちらに転ぶかが大雑把に分かる程度よ」

男「それって役に立つの?」

狐娘「立つか立たないかは使い手によるわよ。あんたはすでにあたしと主従の契約結んでんだからうまくやりなさい」

男「.....は?」

お待たせしました。
もう誰も見てないかもしれませんが(泣)
キツネは結局♀って事になりました~
引き続き温かい目で見守って下さいな

男「いやいや待てよ、俺契約なんて結んでねーんだけど?」

狐娘「あんたさっきあたしの祠に血ぃ垂らしたでしょ?あれで契約が成立しちゃってんのよ」

男「え?契約ってそんな簡単でいいの?実印は?」

狐娘「いるわけ無いでしょバカ。古くから人と妖かしは血の契約によって結ばれるって決まってんよ」

狐娘「と、いうわけで。これからよろしく」

男「まぁ..そういう事なら...よろしく」

男「で?お前はこれからどーすんだ?」

狐娘「あたしには運命が正しく変わるまで見守る義務があるわ」

狐娘「ってことであんたのとこでお世話になりまーす」

男「いや、それはいいんだけどよ。キツネのまま家に来るのか?」

狐娘「なんか問題あんの?」

男「いやさ、俺のばあちゃんマタギだからさ。まぁ大丈夫だとは思うけど」

狐娘「ふーん...じゃあこれなら問題ないでしょ?」ボンッ

男「うおっ!?煙!?」

すると先程までの九尾のホンドギツネの姿は無く、目の前には巫女服を羽織った同い年くらいの少女が立っていた。

狐娘「...っと、これでよし」

男「いやいやいや、なんもよくねーよ。家に知らない女が居たら大問題になるだろーが。しかも狐耳、尻尾、巫女服なんつーお決まりの格好しやがって...
見つかったら俺が死ぬわ。社会的に」

狐娘「それに関しては大丈夫よ。あんた以外にあたしの姿は見えないし触れないから」

男「そなの?俺にはめっちゃハッキリ見えるけど?」

狐娘「あんたはあたしと契約したからよ。あとはよっぽど霊感的なものが強い人じゃなきゃ気配すら感じ取れないわ」

男「んじゃもうひとつ。その格好何?」

狐娘「巫女服はあたし達の正装よ。あんたが勝手に変な目で見てるだけよ童貞」

男「童貞関係ねぇだろ...。んで?耳と尻尾は?」

狐娘「普通化身の時に耳とか尻尾が生える事は無いんだけど...ここに来る前に奴にやられた。これが王道だー!っつって...」

そう言うと狐娘は悔しそうに拳を握る。
...神様ホントに重症だな。
まぁコイツは顔も小さく整ってるし髪も長い狐色で綺麗だし、正直似合ってるからいいと思うが。

狐娘「耳はまだいいんだけど尻尾が邪魔よ。9本もあるから鬱陶しくてしゃーないわ」

男「それは消せないもんなのか?」

狐娘「術をかけられたからね。呪いみたいなもんよ...あのクソヤロォ...」

男「ご愁傷様。そのうち慣れんだろ。俺以外に見えないなら問題ねぇ、とっとと帰るぞ」

狐娘「ほーい。あたしお腹すいたー」

男「帰ったらな」

ばあちゃんへ
変な同居人が一人増えます。


とりあえずキツネを連れて家に帰宅。
まだばあちゃんは帰ってきていないようで少し安心した。

男「とりあえず上がれ、後は適当に過ごしてろ」

狐娘「ほーい。おっじゃまっしまーす」

ズカズカと居間に入り込む狐娘を横目に着替えを準備する。

狐娘「あれ?あんた幼馴染の家に行くんじゃないの?」

男「お前話聞いてたのかよ。...盗み聴きはよくないぞ」

狐娘「あんたが今思ってることを読んだだけよ」

男「マジかよ...」

ホントになんでもありだなこのキツネ...

男「先に風呂はいんだよ。一日焼きそば焼いてたから汗とソースの匂いが染み付いてヤバイ」

狐娘「へーそー、行ってらっしゃーい」

...この野郎、聞いちゃいねぇな。
つか人の煎餅勝手に食ってんじゃねぇぞ。
あと紙敷け紙、ポロポロこぼれてんだろーが。
まぁ言ったところで無駄だろうけどな。

男「...麦茶は冷蔵庫にあるから、勝手に飲め」

狐娘「ほいほーい」

着替えを持って風呂場に向かう。
脱衣所で服を脱いでいると居間から叫び声が聞こえた。

...そういや昨日の麺つゆコップに入れっぱだったな。

風呂も上がり、一人で幼の家に向かうともう既にご飯の準備がされていた。
ちなみに狐娘は居間で爆睡してたからおいてきた。

幼「ん..男君いい匂いがしますね」

男「まぁ風呂入ってから来たからな。幼はまだ入ってないのか?」

幼「家に着いてからすぐ入りましたよ~」

そう言って頭をすり寄せてくる幼。

男「ホントだ、いい匂いがする」クンクン

幼「えへへー、くすぐったいですよぉ//」

あぁ~癒やされるなぁ。やっぱ幼が一番だな。どっかの我が儘娘とは大違い。

幼母「....お前らこのクソ暑い中なにしてんだ?」

男「ぬぉ!?びっくりしたー!なんだ、あんたか」

幼母「ねぇお前やっぱ死ぬ?それとも死ぬ?」

男「いやごめんなさい。ちょっと調子乗りました」

幼母「...まぁどうでもいいから飯食うぞ。とっとと座れ」

幼「はーい♪」

あれ?いつもならここでありもしない罵詈雑言を叩きつけてくるはずなのに。
なんか幼母がやさしいぞ?

男「ごちそーさま」

幼「ごちそうさまでした」

幼母「ん、お粗末さん」

幼母が作った肉野菜炒めを食べ終わり、お腹が程よく満たされた。
...てかコレ絶対今日の残りだよね?麺がない焼きそばだよね?何それ悲しい。
しかし作って頂いた身分でケチなど付けれるはずもなく、ただただ静かに現実を受け止めていた。

幼母「幼ちゃん悪いんだけどスイカ切ってきてくれない?」

幼「わかったー」

男「じゃあ俺も手伝おうか...」

幼母「まぁ座ってろ」

男「...はぁ」

いつにもなく真剣な表情をする幼母に少し気圧されてしまった。

幼母「....んで、どうだったんだ?」

男「どうだったと言われましても...まぁ..」

ぶっちゃけこの人にはすべてを話してしまおうかと考えていた。
なんせ当人の母親だ。自分の娘の身を誰よりも案じているはずである。
しかも普段はこんなふざけた人だがきちんと話を聞いてくれる人だ。
こんなふざけた事実もしっかりと聞き入れてくれるだろう。

でも...だからこそ言えなかった

幼母「...言えないか?」

男「いえ...」

幼母「いやいいんだ。無理に聞き出そうとは思ってねぇ。ただこれでもお前のことは気にかけてんだよ」

男「...」

幼母「お前は人の為、特に幼の事になると少し無茶をする癖があるからな。心配なんだよ」

男「....あの時は迷惑かけました。すんません」

幼母「まぁ幼を守るためだったし、何よりお前が無事だったからもういいさ」

幼母「...今何が起きてんのかは知らねぇが無茶だけはすんなよ。いつだって頼ってきていいんだからな」

男「...はい」

今ここで幼の未来、俺の現状を話せばこの人は色々と必死になって助けてくれるだろう。
でもだから、だからこそこの人には言えない。
誰よりも娘を強く想い、昔から俺を実の息子のように接してくれるほど優しい人。
今話せば未来を大きく変えてしまうかもしれない。それだけの力がこの人にはあるんだ。
少なくとも今は言う時期ではないのだ。

静かな部屋に幼の明るく抜けた声が響く。

幼「スイカ切ってきましたよ~」

幼母「おぉ、幼ちゃんありがとな。ほら男も食うぞ」

この話は終わりだと頭をガシガシと撫でてくる。
少し痛いこの感触が、心地いいと感じる。
大丈夫だと、今は言わないでいい、ただいつでも守ってやるからと伝わってくる。
...やっぱり母は強しなんだな。

半年前から見てます
頑張って下さい
ちなみにあの花は最近みました

男「ただいまっと」

自宅に戻り、居間の扉を開くと例のキツネがまだ爆睡していた。

男「...おい、そろそろ起きろ」ユサユサ

狐娘「ん...んあぁ..ふぁ~よく寝た~。今何時ぃ?」

男「9時過ぎだ。とっとと風呂入ってねろ」

狐娘「えぇー..お腹すいたぁ~」

コイツ寝起きだとこんな感じなのかよ。ちょっとかわいいじゃねーか。

男「...入ってる間に作ってやるからとっとと行って来い」

狐娘「む~...はぁーい」

ったく、結局夕飯作んなきゃならねぇじゃん。
もうめんどくさいし素麺でいいだろ。

ーーーー次の日の朝

男「ってことで俺は今からちょっと出るからな」

狐娘「はいはい、お手伝いね。行ってら」

男「くれぐれも俺がいない間に問題起こすなよな?」

狐娘「分かってるから早く行きなさいようるさいわね」

男「...お前寝起き以外ホント可愛げないな。びっくりするわ」

狐娘「はぁ?あんたに媚び売ってどうすんのよ。バカなの?」

男「バカじゃねーわコラ。...じゃあとりま行ってくるからな」

狐娘「ほーい」

>>171
ありがとうございます
これからも頑張って書いていきます

ガラガラ

友「おっす、迎えに来たぞーっと」

男「おう、ちょうど今出ようとしたところだ。じゃあ行くか」

ーーーーーー

男「とりあえず師範の家か?」

友「そ、俺とお前で師範の家にある太鼓を軽トラに積む」

男「あいよ、..っともう着いたな」

友「師範ー!男連れて来ましたよー」

友が玄関前で叫ぶと、家の中から恰幅のいいスキンヘッドの親父が出てきた。

師範「おう男かぁ!しばらくぶりだなぁ!!」

男「しばらくぶりです、お元気そうでなによりです」

師範「まぁな!まだまだ歳にゃー負けねーよ!」

この人が友や幼友、そしてかつて俺に太鼓を教えていた師範である。
見た目完璧にやーさんだが実際に軽くやーさんである。
一応植木屋なんだがこの辺りの催事を指揮したり、色々な揉め事を力で解決しようとするおっさん。
だが見た目はヤバイが普通にいい人である。俺もよく世話になってるし、10年後もこっちに戻ってくると大体一緒に飲む。

師範「悪いな男、夏休みなのに呼び出しちまって」

男「全然大丈夫ですよ。いつでも呼んで下さい」

師範「いやぁーまったく...いい男に育ったもんだ!それに比べて...」

友「ねぇ師範?なんで俺の事見てんの?その温かい目やめてくんない?」

男「そういえば幼友とか他の人は?」

師範「あぁ、あいつらは今日叩かせるから怪我させれねーんだわ。だから俺と男と友の三人だけ」

男「なるほど。確かにそうですね」

友「そこで納得しちゃうのは俺の価値観のなさを揶揄してるの?」

男「お前は怪我したっていいだろ。むしろしろよ」

友「よくねーよ!俺も叩くんだよ!ちょっとは労ってくんね!?」

師範「んじゃまず六寸からどんどんトラックに載っけよう」

友「でたよスルー!最近多いなぁ!」

男「うっす、友、何張り乗りそう?」

友「んだよチキショー...とりあえず六寸六張りだな。それから寸胴はデカイから一張りでそのあと残った三尺載っけて隙間に締めだな」

男「じゃあ台とチャンチキは最後だな」

友「そだな、じゃあ運ぶか」


男「これで全部載ったか?」

師範「とりあえずは平気そうだな!男、ロープで落ちないようくくっといてくれ!」

男「もやいで引っ掛けて南京で締め上げる感じですか?」

師範「それで頼む」

友「あれ?ラチェット無かったでしたっけ?」

師範「去年お前が壊してから買ってねぇ」

友「...てへっ」

男「...フンッ」スパァン!!

友「痛ぇよ!!ロープは駄目だろ!常人だったら死んでるぞ!?」


...夏って忙しいよな(訳;ホントに申し訳ない)
保守していただいた方々、ホントに助かりました。
夏休みも今日で終わりなのでこれからはなるべく空けないようにします...

あとちょくちょく分かる人には分かる単語が出てきますのでご了承ください

ーーーーーー

師範「到着っと」

ついた場所には既に舞台ができており、後は太鼓を並べるだけのようだ。

師範「じゃあどんどん下ろすぞ。配置はこの紙に書いてある」ペラ

男「了解です」

友「男ー!これどうやって解くの!?」

男「こんなの引っ張りゃいいんだよ」シュルッ

友「すげぇ」

男「おいしょ...っと。これで全部かな」

友「こんなもんでしょ、これでいいよな師範?」

師範「おうOKだ!二人共一回帰るだろ?」

男「まぁそうですね」

師範「じゃあ送ってやるから荷台乗っとけ」

友「うーっす」

ブロロロロ

友「おっふ...荷台だと振動が直にくるな」

男「ゴムパッドも敷いてないしな。流石田舎のベンツ」

友「いやベンツではねーだろ」

男「ただいまー」ガラガラ

幼「あっ!男君おこえりなさい!」トテトテトテ

男「なんだ幼、来てたのか」

幼「そんなことより男君!こっち来てください!」

男「おいちょっ...、ひっぱるなって、分かったから」

幼「ほら!これ見てください!」

男「はいはい。なんでそんな興奮して.....」スッ

居間をのぞくと、見慣れたキツネが一匹腹を出して寝ていた。

....おい、早速問題起こしてるじゃねーか。どうすんだこの状況。てかなんでキツネに戻ってんだよ、目視確認されちゃってんじゃん。

幼「男君の探していたキツネさんですよ!」

男「うん...そうだね...」

幼「気持ちよさそうに寝ていますね~♪かわいいです♪」

幼が幸せそうな顔で眺めていると、その視線に気が付いたのかキツネが目を開けた。

やばっ!!コイツの寝起きは結構アホだからヤバイ!!このままだと多分...!!

男「幼!ちょっとこっちk狐娘「んっ...ふぁ~...男ぉ..おかえり~」

男「」

幼「!?」

狐娘「んぁ....あっ」

あっ、じゃねーよ。

幼「き...キツネさんが喋ってる!!」

...最悪の事態が起きた。

幼「男君!今このキツネさんしゃべりましたよね!?」

男「あぇ?そうだったぁ?空耳じゃねーの?」

おいこの野郎どうすんだ!
とりあえずこれ以上喋らすわけにはいかねぇ...
がんばって狐に目配せをし、なんとか伝えようとする。
この想い!君に届けぇ!!
するとキツネがこちらを見て、頷いた。
よし!分かってくれたか!
とりあえずこれ以上は絶対しゃべんじゃねーぞ...
普通のキツネアピールだ、Vulpes vulpes japonicaになりきれ!!
...てかなんで学名って2回続くの多いんだろう、ゴリラの学名なんてGorilla gorillaだし、ニシローランドゴリラに至ってはGorilla gorilla gorillaだからね?ゴリラっていう情報しか入ってこないからね。ゲシュタルト崩壊するレベル。

まぁんなこと今はどうでもいい、なんとかこの状況を打破してくれ!!


狐娘「ゴホン...オッス、オラキツネダヨ!フクワジュツデシャベッテルンダ!」

男「そうじゃねーよ!!」

なんなんだお前は!どうしてそうなった!?バカなの!?

幼「男君腹話術なんてできるんですか!?」

男「おっ...おう!俺はなんでもできるからな!」

幼「あれ?でも声はキツネさんから聞こえた気が...」

男「そういう仕様だ!」

幼「おぉ!男君すごいです!!」

幼がアホの子でよかった、とりあえずは大丈夫だな。
とりあえず狐娘はどっか行け!はやく!

狐娘「...」コクッ タッタッタ...

幼「あー、いちゃいました...」

男「そりゃそうだろ野生動物なんだから...」

ふぅ....なんとか凌げてよかった。
ったくあいつは...何考えてんだ、ホントビビったわ...

狐娘「いきなりだったんだからしょうがないでしょ」

背後から聞こえた声に振り返ると、人型になった狐娘が戻っていた。

男「おまっ!なんでもd狐娘「静かにしなさい」キュッ

背後をとられた俺はそのまま首をキメられ口を塞がれた。
てゆーかマジで死にそう。コイツ本気で締めてるわ、むしろこのまま指が喉仏の右外方三横指分の位置から胸鎖乳突筋を突き破る勢い。何それ死んじゃう。

狐娘「あの子にあたしの姿は見えてないんだから騒がない。言いたいことあったら心のなかで言って」

そうだった。俺以外の人間にはコイツの人型の姿は視認できないんだ。

男(てか心読めんだったらなんでさっきの状況で読まなかったんだよ!)

狐娘「こっちだって常日頃から読めるわけじゃないのよ。意識してある程度集中しないと」

男(つまりさっきは寝ボケてたと)

狐娘「うっさい」ゴキッ

男「グエッ」バタッ

幼「どうしたんですか男君!顔が青いですよ!?」

男「あぁ...ちょっと暗殺されかけただけだから大丈夫」コヒュ- コヒュ-

男(頼むから今はおとなしくしといてくれ!)

狐娘「ハイハイ分かってるわよ、あたしはあんたの部屋でもう一眠りしてくるわ」

男(どんだけ寝んだよ。校長の授業聞いてる時の俺かよ)

狐娘「それはちゃんと聞きなさいよ...まぁなんでもいいわ。後は二人でお好きにどーぞ」

男(あぁ、それと午後から外出るからな...って、もう2階行きやがったあいつ)

幼「男君さっきからボーっとしてどうしたんですか?」

男「んあ?あぁ、何でもない。ちょっと暑くてな」

幼「太鼓運んできたんですもんね。いま麦茶淹れてきます」

男「サンキュー」

午後

男「宿題もある程度やったし、そろそろ祭り行くか?」

幼「そうですね♪じゃあ一回戻って準備してきますね~」

ーーーー10分後

幼「お待たせしました~」

男「おし、じゃあ行くか」

アブラゼミが奏でる爆音に囲まれながら二人で道を歩く。
幼と二人でのお祭り。こういった何気ない時間がどれだけ大切か、俺は既に知っている...
皮肉なものだな、本当に大切なものってやつは大体失ってから気付くもんだ。常に側にいるから、失うなんて思っちゃいないから、だから間違えた。
死ぬほど後悔した。けど、後悔も反省も意味がなかった。次が無かったから...もう二度と手に入らないものだと思っていたから...

男「....」キュッ

幼「あっ...えへへ♪」

すぐ隣りの小さな手を握る。夏に手を握ると暑いな...
けど....今度は離さない。

男「よし!幼、何が食いたい?なんでもいいぞ?」

幼「うーんっと、男君の作った焼きそばがいいです!」

男「ごめんなさいそれ以外で」

幼「クスクスッ、冗談ですよ♪」

この笑顔を...守ってみせる。

ーーーー祭り会場・大通り

男「やっぱ最終日ってだけあって活気づいてんな」

幼「日曜日なので人も多いですね~」

男「んじゃとりあえず飯食うか、腹減ったわ」

幼「私じゃがバタ食べたいです!」

男「おっし、じゃあ探すか」

ーーーー

幼「あっ!男君!ありましたよ!」

男「どれどれ...幼、こいつぁダメだ」

幼「えー?何でですか?」

男「ここのじゃがバタは蒸かしてるだけ、俺が求めてるじゃがバタは蒸かしプラス揚げだ」

幼「おぉー、確かに。そっちの方がお美味しそうです」

男「だろ?値段は高くなるがその分うまいんだよなー。ほれ、あっちのじゃがバタは揚げてあるしあっちの買おうぜ」

幼「ホントだ!しかも見てください男君!バターつけ放題ですよ!」

男「...神だな」

幼「神ですね♪」

幼「あ!金魚すくいですよ!」

男「金魚すくいは破れないようにゆっくりやるとドツボにはまるぞ。ある程度思い切ってすくい上げろ」シュパッ

幼「わ~!ヨーヨーです!」

男「輪っかが表面張力で水面にくっついてるやつが狙い目だ」ヒョイ

幼「缶落としです!」

男「っうぉらぁ!!」ガッシャン!!

幼「クジもありますよ!」

男「それは無理!!」

男「結局クジやったのはいいけど...何このちっちゃい蛍光色のムカデ、クソ懐かしいんだけど」

これはアレだな、確か押入れの缶の中にかなり溜まってたはずだ。
子供の時はエアガンが欲しくてかなりクジやったなー...当たったこと一度もねぇけど。

幼「でも他は凄いいろいろ取りましたね!男君昔から屋台遊びが得意ですよね~」

男「まぁばあちゃんの遺伝だわな、腕が鈍ってなくてよかった」

幼「桜祭りの時も遊んだじゃないですか、そんなすぐに鈍りませんよ」クスクス

男「.....そうだな」ワシャワシャ

幼「わわっ」

幼の頭をガシガシと乱暴に撫でる。
幼と一緒に楽しく遊んでいると、たまに自分が10年後から来た存在だということを忘れそうになる。
...まぁ家に帰ればあのアホ狐がいるから嫌でも思い出すんだけどな。

男「っと、そろそろ友と幼友の太鼓始まんじゃね?」

幼「そうですね、見に行きましょう」

ここの祭りは多くのお店が立ち並ぶ町の大通りを通行止めにして開催される。
左右にズラッと屋台が並ぶ大通りを真っ直ぐ行くと、その終点には神社があり、隣接する広いスペースがメインの会場になる。
ここでは各自治体ごとのイベントが行われたり、なんかしらの演奏や出し物が行われ、夏の終わりには納涼盆踊り大会なんかも行われたりする。
その会場から懐かしい太鼓の音が聞こえる。

男「あれ?もう始まってんじゃん」

幼「あっ!友くんと幼友ちゃんですよ!」

二人は黒い法被を身に纏い、又引きに足袋といった出で立ちで、背中には赤い線で家紋のようなマークが書かれている。
友は手拭いを喧嘩かぶり、幼友はねじり棒をを頭に巻き、それぞれが担当する太鼓を叩いている。

幼「幼友ちゃんかっこいいですね~」

男「まぁアイツはもともと上手かったからな。...ってか友のやつ頑張ってんな」

幼友はオーソドックスな一尺六寸の太鼓を叩いている。振り上げる腕の高さもリズムも周りのメンバーとピッタリ合っていて流石である。
そして問題は友である。
友は今年から任されたのであろうポジションにいた。

男「...桶胴に長胴、締め二つか...大変だな」

締太鼓は皮の締め付け具合をロープ、またはボルトで調節して音程を変えることができる太鼓で、友が使っている二つの締太鼓もそれぞれ出る音が微妙に違う。
音程の違う締太鼓二つと桶胴、長胴太鼓に囲まれている状態は、まるでドラムのように見える。

幼「友くんのソロですね!」

男「うおっ、めっちゃ早打ちじゃん!えげつねー」

ーーーー

幼「二人共お疲れ様です!!」

幼友「いやー疲れたー!二人共見てたの?」

幼「バッチリ見てましたよ!カッコ良かったです!」

幼友「アハハ...なんか恥ずいな、けどありがと」

男「そうそう。スゲー上手かったぞ?ほれポカリ」ポイッ

幼友「ありがと、まぁ目立ったミスもなくて良かったわ」ゴクゴク

友「ねぇ男、俺は?俺は?」

男「お前全体的に少し走りすぎ、あと誤魔化したみたいだけど一回バチ当たってたのバレバレだぞ。帰れ」

友「何その酷評!?」

男「罰としておまえだけアクエリだ」

友「...ん!?」


男「冗談だ、上手く出来てたぞ」

友「ったく、素直にそう言えよ。ホント男はツンデレだな」

男「はぁ?何言ってんだてめぇぶち殺すぞハゲ」

友「ツンがでけーよ!致命傷レベルだわ!」

幼友「ほらバカやってないでとっとと行くわよ。皆片付け始めてるんだから」

友「やばっ!師範に殺される!じゃーな二人共!」

男「あいつ元気だな」

幼「それが友くんの取り柄ですからね」

男(...この子結構酷いこと言うな)

ーーーー

幼「あ!あの猫の置物かわいいですね♪」

男「んぁ?どれどれ...射的か。ちょっとやってみるか」

幼「男君がんばって下さい!」

しかし置物は意外と重量があり、現代のシモ・ヘイヘと呼ばれた俺でも倒す事は至難の業だった。

男「クソッタレ、あと二発しかねぇぞ」

幼「倒れても落ちてくれませんね~」

おっちゃん「ガハハ!諦めな兄ちゃん!」

そう、射的のルールとして獲物を倒すだけでなく台から完全に落とさなければ獲得とはならない。

男「どーすっかなー...」

??「ありゃありゃ、この程度の獲物で苦戦するようじゃまだまだだな」カチャ

男「!?」

突然声をかけられたと思ったら、縦に繋がった二本の鉄の棒が目の前に現れた。
これは...

おっちゃん「じ...上下二連式散弾銃!?」

上下二連式散弾銃とは、日本の狩猟用の銃として多く利用されるポピュラーな銃である。
狩猟ライフルと比べれば射程も威力も低いが、扱いやすく汎用性が高い銃である。
そしてこんな銃を人前で振り回すような人間を俺は一人しか知らない。

男「そんなもんで撃ったら粉々になるでしょーが。おかえりばーちゃん」

ばば「スラッグ弾でこの距離だから大丈夫。たでーま」

御年58歳の現役マタギ...俺のばーちゃんである。
何が大丈夫なんだよ。駄目だわ、吹き飛ぶわ。

幼「おばーちゃんこんにちは!」

ばば「あらま幼ちゃん、元気にしてたかぃ?後で肉差し入れに行くからお母さんに言っとき」

幼「わぁ!ホントですか!?ありがとうございます!お母さんに言っておきますね♪」

男「ちなみに何肉?鹿?」

ばば「おっこt...唯の猪だ」

おい、今何言いかけた?狩っちゃったの?海を渡ってきた白い猪狩っちゃったの?

男「てかスゲー獣クサイんだけど、風呂入ってこいよ」

ばば「そぉか?まぁ一応顔出しに寄っただけだからすぐ帰るべ」ヒョイ

男「っと、何で銃奪うんだよ」

ばば「まぁ見てろって...」カチャ パン!パン! ゴトッ

男「すげぇ」

ばーちゃんと別れ、二人で大通りをぶらぶらする。
祭りも終わりに差し掛かり、この喧騒もラストスパートといったところだ。

幼「明日から本格的に夏休みが始まりますね♪」

男「まぁ毎年この祭りが終わって夏休みがスタートするって感覚だからな」

幼「今年もいっぱい遊びましょうね!!」

男「どっか行きたい場所でもあんのか?」

幼「はい♪海とか山とかいっぱいあります!」

男「...そっか」

今更だが俺は夏が好きだった。友や幼友、そして幼と一緒に過ごす夏休みは何よりも充実していた。
幼を失ってからは夏がくるたびに心にポッカリと穴が空いたような虚無感を感じるようになっていた。
いつだって幼の死が脳裏に浮かび、俺はそのたびに自分を責めていた。
俺の夏の時間はあの時からずっと止まったまま、時計は壊れたままだ。
けど...

男(...ばーちゃんがいつも言ってるな、壊れたものは直せ、無いものは作れって...)

材料はすべて揃った。モノ作りと修理は俺の十八番だ。
あとは組み立てるだけ...

幼「あ!友くんと幼友ちゃんですよ!」

男「おうお前ら、デートか?」

幼友「誰がこんな奴と...太鼓の片付けが終わったからブラブラしてただけよ。暇つぶし暇つぶし」

男「って言う割にはめっちゃ食い物持ってんのな」

幼友「動いたからお腹すいちゃってね~、友が奢ってくれるって言うし」

友「...こいつ結構食うのな」

男「まぁなんだ...お疲れ」

幼「クスクス♪」

止まっていた時間が、今、動き出す。


...やっと夏休み入れた

今日初めて読んだが面白い!応援してる。

ーーーー次の日

シャアーシャアシャアシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ

男「...くそっ...うるせぇ...」

昨日は結局あのまま皆で少し祭りを周ってから解散した。
時計を見るとまだ7時...あと3時間は寝れるな、よし!

バサッと布団に包まる。この堂々と2度寝ができるしあわせ...
だが待ってほしい、本来二度寝とは許されない状況下で行うのが最も快感であるとされる。
ソースは俺。ちなみに火曜日の二度寝は睡眠欲と背徳感がベストにマッチングして最高の快感を伴う。
おいおいこれはもう二度寝は18禁にすべきだろ、お子様にはとてもじゃないがオススメ出来ないな。
なんぜなら人間が腐る。ソースは俺....俺ソースありすぎ、広島かよ。

狐娘「...一人でなにブツブツ言ってんの」

男「んあ!?お前居たのかよ。いきなり声掛けんな」

狐娘「くだらない事考えてんならとっとと起きなさいよ。幼、来てるわよ」

男「おっふ...マジか、二度寝出来ねーじゃん」ファーァ

狐娘「その割にはうれしそうな顔してるわね」

男「このくらいの事でも俺にとってはうれしーんだよ。知ってんだろ」

狐娘「まぁね。だから精々がんばりなさい」

男「...あぁ」

一階に降りると幼とばーちゃんが朝ごはんを作っていた。

男「おはよー」

幼「ッ!?」ガシャン!

男「いや、何驚いてんの?普通驚くのこっちだからな?」

幼「お...男君が自分で起きてる!?」

男「えー...俺ってそんな廃人だったっけ...」

ばば「あれま?珍しい事もあるもんだね。まぁちょうどご飯もできたからこれ持ってって」

男「はいよ。幼も一緒に作ったのか?」

幼「はい♪夏休みなのでおばーちゃんのお手伝いです♪」

ばば「幼ちゃん助かるよ、ありがとね。こいつには勿体無いくらい出来た娘だよ」

男「うるへー。とっとと飯食おうぜ」

「「いただきまーす」」

ばば「そういえば幼ちゃん、お母さんは?」

幼「昨日お祭りの打ち上げで遅くまで飲んでたみたいで、まだ寝てます」

ばば「まったく...しょーがない子だねぇあの子も」

幼「あはは...でもすごく楽しかったそうです」

幼とばーちゃんが楽しく喋りながら朝食を啄いている。
そんな光景を見ながらふと疑問に思った。

男(あいつこれから飯どうすんだろ...)




狐娘「勿論食べるわよ?お腹すいたし」

男「!!??」ガンッ!

幼「男君!?膝大丈夫ですか!?」

ばば「なに急に暴れてんだおまえ」

男「あぁ...大丈夫だから..気にしないで...」

男(てめぇふざけんな!!いきなり声掛けんなってあれほど言ったろ!!)

狐娘「あんたが気付かないだけでしょ?それより少しずれなさい、あたしも食べるから」

男(は?おいおい待て待て。ここでお前が食ったら大変なことになんだろーが!)

狐娘「大丈夫よ、二人には見えてないから」

男(お前は見えなくても茶碗とか箸が見えんだろーが!またマジシャンやる気かぁ!!)

狐娘「そうじゃないわよ。貴方以外には私が見えないのは知ってるでしょ?それと同じように私が使用中の物も同じように霊体化して一時的に見えなくしてんのよ」

男(...なんかすげぇ都合よくね?)

狐娘「そうでも無いわよ?あんまり大きい物は霊体化できないし、だからこの家もそのまんまでしょ?あたしが霊体化できる物なんて精々コップとかお茶碗とかの小物よ」

男(なるほど。じゃあばーちゃん達には見えてないんだな?)

狐娘「そのはずよ」

男(ならいいんだが...)

幼「男君?どうかしたんですか?」

男「んぁ?あぁ、なんでもない。この味噌汁は幼が作ったのか?」

幼「分かりました?」

男「ばーちゃんのと少し味が違うからな....ん、うまい」ズズッ

幼「えへへ、お口に合ったみたいで良かったです♪」

ばば「あーもーお前ら結婚すればー?」

男「なにその投げやりな感じ...そのうちな」ズズッ

幼「////」

狐娘「...なんかこっちが恥ずいんですけど」

>>212
ありがとう。がんばる。

男「ところで今日の予定は?」

幼「特に何も決めてませんがどうしましょうか?」

ババ「だったらちょっと手伝ってくんねぇか?」

男「内容次第だな」

幼「もちろんです!何をすればいいでしょうか?」

ババ「ありがと幼ちゃん。ちょっと畑の茄子を収穫してほしいんだけど」

男「えぇー、めんどい」

幼「分かりました!」

ババ「ごめんね~幼ちゃん、助かるよ」

幼「いえいえ~♪」

男「ねぇ無視?無視なの?」

ババ「うるせぇ、とっとと準備しろ」カチャ

男「Sir, yes, sir」

狐娘「じゃああたしはもう一眠りしt男(待てコラ)ガシッ

男(タダ飯食わせる気はねぇーぞコラ)ゴゴゴ

狐娘「顔怖っ!?いやほら...幼ちゃんもいるんでしょ?だったらあたしがいたら駄目じゃない?」

男(箸持てんならハサミも持てるな、よしGO)

狐娘「ちょっまっ!行くから!行くから尻尾は引っ張らないで!!」

男「ってことで」

幼「畑に到着しました!」

ばーちぁんの畑は歩いて5分程の場所にある。大体200平米、およそ60坪ぐらいだろう。
まぁちゃんと測った事ないし完璧に目測だけどね。
一応連作障害を防ぐために夏野菜と冬野菜に区分けして輪作をおこなっている。

男「んで、茄子だっけ?だったらそこまで量はないな」

幼「トマトはまだですね~」

狐娘「なんであたしまで...」

男(うちに居る以上この位はやってもらうぞ)

狐娘「別に居たくて居るわけじゃ...」

男(あぁ?)ギロ

狐娘「ヒィ!?なんでもないです...ってかなんで今日のコイツはこんな強気なのよ」

幼「男君そんなに怖い顔してどうしたんですか?」

男「いやほら、今日も日差しが強いからな」

幼「私はちゃんと帽子被ってきましたよ~」

男「まぁそれ俺のなんだけどね、どっから持ってきた」

幼「男君の部屋です!」

男「だろーね!」

男「まぁなんでもいいや、はやく済ませて帰ろうぜ。幼はむこうの端から始めてくれ」

幼「はーい♪」

狐娘「はじからはじめるの?」プッ

男「...」スッ

狐娘「謝るからヒトシくんこっちにむけないで、トラウマあるから」

男(撃たれたことあるんだ...)

狐娘「んで、あたしはなにすればいいのよ」

男(このハサミで茄子をひたすら切る。こんな感じで)パチン

狐娘「ダックスフンドじゃなくて?」パチン

男(お前の神様やべーな)パチン

コイツの主である生の神様は重度のアニオタである。

男(あとダックスフントな。ドイツ語だと最後のdは濁らねーんだ)パチン

狐娘「へー、ドイツ語なのね」パチン

男(ドイツが原産の犬種だからな。ドイツ語でダックスはアナグマ、フントは犬でダックスフントだ)ゴソゴソ

狐娘「なんでアナグマ?もとはアナグマとか?」パチン

男(アナグマはイタチ科だアホ。ダックスフントはもともとアナグマを狩る猟犬なんだよ。んで同じ穴の狢って言葉があるようにアナグマは穴の中で生活すんだけどよ)パチン

狐娘「ちょまち、むじな(狢)ってアナグマの事だったの?ってかクマなのにイタチ科なの?」ゴソゴソ

男(知らなかったのかよ...まぁいいや。ダックスフントって足が短いだろ?ありゃアナグマの穴に入るために短くなってんだ)パチン

狐娘「へぇーなるほどねー。なんでそんなに詳しいの?」パチン

男(まぁ農林水産系の大学行ってたからな。猟犬の事だし多少分かる)パチン

幼「男ー!日焼けした茄子はどうするんですかー?」

男「別のケースにいれといてくれー」

狐娘「...このナスなんか色が薄い」

男(...ボケナス)

狐娘「は?喧嘩売ってんの?」

男(ちげーよ。色がうすくてボケて見える茄子の事をボケナスって言うんだよ。他意はねぇ)

狐娘「ほんとぉ?」ジー

男「...」フイッ

狐娘「おいコラ」

遅くなりました
コメントしていただきありがとうございます
頑張って書かせていただきます

ちなみにヒトシくんは対害獣用の道具です。ググれば多分でてきます。
あと俺は犬ハサ好きですよー、ああいうアホっぽいやつwww

質問なのだが、この2003年の夏に存在しているはずの男自身はどうなっているんだろうか?

二週間空くとすっかり忘れてるから読み直さねばな……

乙です

男「おいしょっと」ゴト

幼「これで全部ですね~」

男「あぁ、ケース5つ分か。まぁまぁ採れたな」

狐娘「やっと終わった...暑いよー...喉乾いたよー...」

男(帰ったら麦茶あるから我慢しなさい)

狐娘(やだ、ジンジャーエールがいい)

男(んなもんねぇ)

幼「これどうしましょうか?」

男「ばーちゃん呼んで軽トラで運ぶ」

幼「じゃあ呼んできましょうか?」

男「俺が行くからいいよ、お前は休んどけ」

幼「このくらいなら大丈夫ですよ?」

男「だーめーだ、いいから待ってろ。行ってくるから」

狐娘「あたしは?」

男(お前も待機、来られても邪魔)

狐娘「扱いが違うのは分かるけどムカつくわね」イラッ

男「ばーちゃーん?収穫終わったから軽トラ出して」

ババ「もう終わった?意外と早かったな」

男「まぁ茄子は少ないしね。って何してんの?」

ババ「あぁ、銃の手入れな。結構暴れたから土入っちゃてんだ、ほれ」カチャ

男「...何したら引き金と逆鉤の間に土が入るんだ」

ババ「カッカッカ!まぁ何回か吹っ飛ばされたしな」

男「よく死なねぇな...」

ババ「んなわけだ、鍵渡すからお前やっといてくれ」

男「おい、無免は犯罪だぞ」

ババ「何を今更。それに田舎だから大丈夫」

男「全国の田舎在住の方々に謝れ」

男「まぁホントは免許持ってるしな」

軽トラに乗り込みキーを回す。
この時代の田舎の軽トラはほとんどMTだ、ギアを一速に入れてハンドブレーキを下げたらアクセルを軽く踏みながらクラッチをゆっくりあげる。発進したらすぐ二速にいれ、畑に続く舗装されていないあぜ道を少し走る。
もともと歩いて5分程の位置にある畑なのですぐ到着した。

幼「あれ?男君が運転ですか?」

男「まーな。箱積み終えたら幼は助席乗れ」

狐娘「あたしは?」

男「荷台にでも乗ってろ。あと荷台では立つなよ」

狐娘「ホント!?あたし荷台乗るの初めて!」

幼「積み終わりましたー」ガチャ バタン

男「おっけ、じゃあ出るぞ」

発進すると荷台から騒がしい声が聞こえた。

狐娘「きゃー!風がきもちー!」

荷台に乗ってる狐娘が興奮して楽しそうに立ち上がっている
立つなっつったろ...あとなんかコイツが楽しそうだと腹立つな。

男「幼、軽く急ブレーキかけていいか?」

幼「?いいですよ?」

キィッ!

狐娘「んがっ!」ゴン!!

幼「!?」


>>227
この時代の男の身体に10年後の男の精神が乗り移ったと考えていただければいいかと
まぁこの手の話でそこはあまり気にしないでいただけるとありがたい

>>228
ありがとう
がんばって読みなおしてくれ

男「さてと...後は農協に持ってくだけか」

野菜の選別、洗浄が終わり、後は売るために農協に持っていくだけだ。
流石に自己販売できる程の余裕はない。

幼「そういえばお昼まだでしたね。何か作りましょうか?」

男「そだなー。じゃあちょっと農協行ってくるから適当に作っといて」

幼「分かりました♪」

ーーーー

男「じゃあよろしくお願いします」

農協職員「あいよ!いつもご苦労だね!今年は無事に収穫できそうかな?」

男「そですね。梅雨もちゃんと来ましたし。気候的には大丈夫そうですね」

農協職員「去年は空梅雨の上にマイマイガが大量発生したからな」

男「...あれはホントに堪えました」

狐娘「ねぇ、マイマイガって何?」

帰りの軽トラの中で暇つぶしとして連れてきた狐娘が尋ねてきた。
ちなみにトラックの中では普通に声を出して会話している。他に誰もいないしね。

男「まぁ名前の通り蛾の一種だ。成虫は小さいんだが幼虫はデカイしキモい」

狐娘「うっへぇ...そんなのがいっぱいいたの?」

男「いっぱいなんてもんじゃねぇ...10年以上たった今でも思い出すくらいだ」

想像してほしい...ありとあらゆる場所を不気味な毛虫が占拠している光景を...。
農作業中ちょっと休憩しようと鍬や鎌をその辺に置いとくと数分後には2~3匹くっついてるからね。
しかもそれに気付かないで毛虫ごと握っちゃうなんて事が多発する。

男「しかもマイマイガは広食生、つまりなんでもかんでも食っちまうから余計に質が悪い。
特定の作物に寄るなら対策のしようがあるけど、コイツらほとんどの作物を食い荒らすからな。」

狐娘「最悪ね...でもなんで大量発生したの?」

男「さぁな、大量発生には色んな原因が考えられる。まず大量発生には2つ種類があって、だいたい決められた周期で大量発生を繰り返すのと、もう一つは周期とか全く関係なくいきなり起こる非周期的な大量発生だ。
周期的な大量発生の方はサイクル変動って呼ばれてて大体10年周期で大量発生を繰り返す。もう一つの非周期の方は...そうだな、トノサマバッタの大量発生とかが有名かな」

男「んで大量発生の理由、まぁ要因なんだがまずサイクル変動の方で大きく3つの説がある。非生物的要因説と個体群外部の生物的要因説、それと個体群内部の生物的要因説だ。簡単に言うと非生物説が気候変動とか生息環境の変化によるもの。
個体群外部説が食い物とか天敵とかが原因って考え方で内部説が早い話内輪揉めだ」

狐娘「えらくざっくりしてるわね」

男「これ以上詳しく考えたらキリがねーんだよ。言っとくが野ネズミの個体群変化だけで22項目の要因があげられてんだぞ、しかもほとんど仮説。それにサイクル変動の要因は1つの項目で処理しきれるものじゃなくていくつかの要因が複雑に絡み合って発生するもんなんだよ」

狐娘「はいはい。んで、もう一個の方は?」

男「お前聞く気ねぇだろ...まぁいい、非周期的な大量発生ってのも色々原因が考えられる、まぁ昆虫の大量発生の多くは気象要因が深く関わってるらしいが。トノサマバッタの群生相って聞いたことねぇか?」

狐娘「あるわけないじゃないそんなの...ってゆーかさ、そんなに大量発生繰り返してたらそのうちその生き物で溢れかえるんじゃないの?どうして大丈夫なの?」

男「まぁそうだな。大量発生の要因の一つとして捕食者の減少、またはその捕食者以上に繁殖するってのがあるぐらいだからどんだけ捕食されてもなかなか減らないし増え続けるよな」

狐娘「でしょ?それってもうネズミ算式に増えていくわよね?」

男「それがそうでもないんだよなぁ...」

狐娘「?なんで?」

男「たとえばマイマイガ。去年は死ぬほど大量発生したけど今年は通常どおりの量だったはず。10年前だから詳しく覚えてねぇけどな」

狐娘「じゃあ去年生まれた蛾はどこ行ったの?」

男「死んだ」

狐娘「...は?」

男「大量発生を起こした生物は最終的に大量に死滅した後にもとの数に戻る。まぁこの大量死の原因も色々あんだけど、一番有力なのが病気だな」

狐娘「病気?」

男「そうだ。例えば病院とか学校ってたまに集団感染っての起こすだろ?インフルエンザなんかだとあっという間に蔓延して学級閉鎖になったりするな。なんでだと思う?」

狐娘「そりゃ子供がいっぱい集まってるし...あ」

男「そういうことだ。大量発生とはつまり過密化するという事。そんな状態で一匹でもウイルスに感染したら爆発的に広がるわけだ。だから一気に大量死滅を起こす。
マイマイガの場合だとバキュロウイルスだな。こいつに感染した幼虫は葉っぱの上に留まりながらドロドロになって死ぬ。そのドロドロがついた葉っぱを食べたマイマイガもウイルスに感染してっていうローテーションで爆発的に蔓延、大量死って感じだな」

狐娘「あのドロドロに触ると死ぬぞぉ!!」

男「水の中に逃げてもドロドロは遅くなんねぇぞ」

狐娘「首をお返しします!鎮まり給えー!!」

男「なに?お前右手でも呪われてんの?ってか飽きたからってネタに走んな」


今年のマイマイガ大量発生はホントに堪えました。
6月に実習で森に居たんですけどそこら中にうようよしてました。
慣れればデコピンで吹っ飛ばせるようになりますけど。

男「ただいまー」

幼「男君おかえりなさい♪」

男「あれ?ばーちゃんは?」

幼「電話受けた後どこか行ってしまいました。すぐ戻ってくるとは言ってたんですけど...」

男「そっか、じゃあ先に飯食っちまうか」

猟銃もないし恐らく害獣駆除関係で呼ばれたんだろ。
基本的に今は猟期じゃないから狩猟は行えないけど害獣駆除の依頼が役所や地方団体からバンバン入ってくる。
ばーちゃんは顔も広いし腕もいいからねー。

狐娘「そういえば今日はあの二人来ないのね」

男(さすがに昨日は疲れたんだろ)

太鼓を本気で叩くと手に大量の血豆が出来てホント辛い。
長い年やってると皮膚が硬くなるしテーピング巻くから少しはマシだけどそれでも人差し指の付け根辺りはズル剥ける。

男「...知ってる天井だ」

昼飯を食った後知らないうちに二人とも寝落ちしてしまったようだ。
目を覚ますと隣には未だ夢から戻ってこない幼の姿がある。

幼「スゥ...スゥ...」

男「すげー気持ちよさそうに寝てんな」

まぁ無理も無いだろ。午前中は農作業をしてたわけだ、いくら慣れているとはいえ夏の農作業は体にくる。

男「...ふぅ」

畳の上で大の字になりながら大きく息を吐く。別に賢者タイムと言う訳ではないぞ。
肌からじんわりと汗が染み出し少し服が湿っている。それは隣にいる幼にも当てはまることだ。
ただ寝苦しさは全く無いようでむしろとても気持ちよさそうだ。
全開に開けた欄間窓(縁側に続く大きい窓)から風が入り込み、吊るしてある風鈴にじゃれつく。
都会の夏はアスファルトの反射やビルの照りつけ、室外機の熱で纏わりつくような暑さだが、ここの夏はホントに清々しい。

男「でもさすがに喉が渇いたな...暑ぃよ...」

台所に行くといつの間にか帰ってきていたばーちゃんが夕飯の準備をしていた。

ババ「あらおはよう」

男「おう、てかお帰り」

ババ「ただいまー。いま夕飯作ってるからもう少し待ってな」

男「別にゆっくりでいいからな。麦茶もらうわ」

ババ「古いのから飲んじゃってね。さっき新しいの作ったから」

男「ほーい」

冷蔵庫を開けると茶色い液体が入った容器が3つあった。
新しい麦茶と減っている古い麦茶、もう一つは...またアレかな?


男「ほら起きろー」ツンツン

幼「...ん...ふぇ?」

男「ほら起きろ。もう夕方だぞ」

幼「...あれぇ~...なんで~?」

目元をゴシゴシ擦りながら起き上がる幼。
...なんでと来ましたか。これは時間の概念を教えればいいのか?しらねぇよんなもん。

男「ほれ、いいから麦茶飲め」

幼「ふぁ~い」ゴクゴク

狐娘「ふぁ~...おはよー」トテトテ

お前も寝てたのかよ。

幼母「よーっす、ばーさんいるかー?」

男「今飯作ってるよ。ってか玄関から入ってこいよ」

幼母「はぁ?何言ってんのおまえ?」

男「あるぇ?俺が間違ってんのぉ?」

幼「あ、お母さん。おかえりなさい」

幼母「ただいま幼ちゃん。今日はこのままこっちでご飯食べるよー」

男「え?そうなの?まぁいいけどなんで?」

幼母「さっき役所にばーさんが来てな、良い肉が入ったからごちそうするってよ」

男「あぁ、そういう事だったのね」

幼「何肉ですかね~、鹿肉だといいですね~」

この年頃の子が鹿肉とか平気で言っちゃうのはどうなんだろう...

ババ「幼母ー!来てるならちと手伝えー!」

幼母「へいへいっと、今いきますよー」

狐娘「男、あたしに麦茶は?」

男(勝手に取ってこいよ)

狐娘「ったく...分かりましたよーだケチ」トテトテ

狐娘が麦茶を取りに台所へむかう。

幼「ねぇ男君」

男「ん?どした?」

幼「明日は何して遊びますか?♪」

そう言って無垢な微笑みを見せる楽しげな幼。
夕日は傾きながらもこの町を赤く照らし、蝉達はまだまだ残業を続けるようだ...マジ社畜。
力強く鳴くアブラゼミとミンミンゼミがまだまだ夏は始まったばかりだと教えてくれる。
この調子だと夜まで鳴いてそうだな。

男「そうだな...」

明日も天気は良さそうだな...
なぁ知ってるか?夜に蝉が鳴くと次の日晴れるらしいぜ?
山にだって川にだって海にだってどこへでも行けるしなんでもできる。
明日も明後日も、その先もずっと...幼と、幼達と一緒に...もう一度...

そんな少し特別な夏の幕開け...

さて、明日はなにをしようかな?



狐娘「ブゥゥゥゥッッ!!!っぺ!なんじゃごりゃ!!」

男「お前...麺つゆ好きだな」


お久しぶりです。ちょっと実習で山に籠もってたので更新が遅れてしまいました。すんまそん。
お知らせとして次回からちょっと書き方をかえます。
今までのは一応プロローグや序章みたいな感じなのでストーリー進行をしていましたが、
次回からは短編形式とさせていただき、短編を重ねながら物語が進行する感じになります。
まぁ見てくれればどういう事か分かると思うのでこれからもよろしくお願いします。

待ってたおかえり
>>1が書きたいように書けばいいのよ?

山篭りの実習・・・なんかすごいな

【カブトムシ】

男「カブトムシ?」

友「あぁ、もう夏休みだろ?色々遊ぶためにまず金を調達しようと思ってな」

幼友「普通にバイトしたらいいんじゃないの?」

友「今からバイト始めても給料が入んのは来月だろ?それじゃ意味ねーだろ」

男「そりゃそうだが...なんでカブトムシなんだよ。売る宛てあんのか?」

友「くっくっく、その点の抜かりはねぇぜぇ。これを見な」

幼友「何このチラシ...○○町ふれあいフェス?」

友「そ、この町の地域交流の為の祭りを役場が企画しててな、地元の農協や高校生、あとは有志で参加する業者とかがいるんだってよ」

幼「あー、なんかお母さんがクソめんどくせぇイベント企画しやがってってぶつぶつ言ってました」

ちゃんと働けよ公務員...
にしてもふれあいフェスか...全く記憶に無いって事はすげぇ地味だったか行ってないんだろうな。

男「なるほど、俺達は地元高校生枠として参加しカブトムシを売ろうってことだな」

友「いや、俺達の高校からは生徒会が中心になって参加するみたいだぞ」

幼「そういえば生徒会長ちゃんからそんなような事言われて誘われたような気がします」

男「じゃあ幼はそっちで参加するのか?」

幼「いえ、お断りしましたよ?」

男「なんだ、折角なんだから参加すればよかったのに」

幼「んー...参加してしまうと準備とかで男君と一緒にいる時間が減ってしまいますし、友君や幼友ちゃんと遊んでいる方が楽しいので♪」

男「...可愛いこと言いよってからに!!」ダキッ!

幼「ふぇ!?男君...えへへ///」ギュー

>>246 
ありがとう。好きに書くわ

>>248
まぁ変な学校なもんで。

それにしても本来のこの時に...俺が元居た世界の時間軸でこんな出来事ってあったか?
さっき言ったようにふれあいフェスなんて記憶にないし、こんな話し合いもした覚えないぞ。

狐娘「少しずつ未来が変わっていってんのかもね」

部屋の隅で寝転がりながら新聞をペラペラとめくっている狐が言った。

男(...これはいい変化なのか?あんまし変えすぎると死の神にバレるんじゃねーの?)

狐娘「そうね...多分だけどこのお祭り自体は前からあったんじゃないの?あんた一人ごときの行動で役所のイベントが動くなんてありえないわよ」

男「あー、なるほどなー」

言い方はアレだが理屈は通っている気がする。
少なくとも狐娘の様子を見る限りだとまだ大きな変化は無いようだ。
ただ変化が無いと言うことは...

幼「おーい?男くーん?」ペシペシ

男「ぬぉ!?」

いつの間にか幼に頭をペシペシされていた。

友「男ももちろん手伝ってくれるよな!?」

は?手伝い?

男「悪ぃ、聞いてなかった」

幼「え?でも男君さっき“なるほどな”って言ってましたよね?」

男「そ、そうだったか?気のせいだろ」

そう言うと幼はあれ~?と言いながら自分のほっぺに指を当てる。
...声に出てたか、ホント気を抜くと危ないな。

男「すまん、もう一回言ってくれ」

友「ん?あぁ、いいぜ」

男「なるほど、そういう事だったのか」

友の話では、どうやら師範がその祭りに出るらしく、幼母と一緒に地域交流会としてカブトやクワガタを売るらしい。
俺達はその甲虫類の採取を依頼されたと言う訳だ。

男「まぁ師範の頼みだし勿論そのくらいはやるけどさ...カブトなんて売れんのかよ?」

これが都会の話であれば問題なく売れるだろう。しかしここは結構な田舎だ。
市役所周辺などは少し整っているがそれでも山に囲まれたこの街、少し進めばブナやナラが生い茂る照葉樹林の山、その麓にはクヌギやコナラといった二次林が広がるまさに昆虫の楽園。
こんな場所でカブト如きを売っても大した金にならねぇと思うが...

友「まぁそれはどーでもいーじゃねーか。俺達は捕るだけだし」

男「そりゃそーだが...そーだな」

幼友「幼ちゃんはどうするの?」

幼「もちろんお手伝いしますよ♪」

そんなわけでいい年こいた4人の高校生が揃いもそろって虫取りに出かける事になった。
...何だこれ。



友「カブト狩りじゃぁぁ!!」

昆虫採集をするため近くの山にやってきた。
この山は確か師範の所有地だったはず。大まかだが藪や蔓などがちゃんと手入れされてる所を見ると、さすがは造園土木系の職人と言った所だ。

幼「なんだか懐かしいですね~」

男「そだな、ガキの頃はよくこの辺の山で遊んでたな」

幼「男君覚えてますか?私がこの山で迷子になった時のこと」

男「あー、あったな。確かあん時もこのくらいの時期だったっけ?」

幼友「何その話?聞いたことないわ」

男「俺達がかなりちっこい時だったからな。知らねぇのも無理は無いだろ」

幼「懷かしいですねぇ...あの時はもう一生男君にもお母さんにも会えないんだと結構本気で落ち込んで一人でわんわん泣いちゃってたんですよ~?」

幼友「へー、この山とかも結構おっきいからね、子供が迷うのも頷けるわね」

幼「もう日も暮れてきてどうしようもなくなっちゃって...そしたら知らないうちに男君の名前をいっぱい叫んでたみたいで」

男「その声がたまたま俺に聞こえて無事に発見できたってわけだ」

見つけた時は安心して、顔をくしゃくしゃにさせて泣きじゃくる幼と一緒に俺も泣いちゃったんだっけ。

幼「あの時の男君はホントにカッコ良かったです!あっ、今もすごくカッコイイんですけど何と言うかその...」

男「分かったから落ち着けって。俺がイケメンなのは知ってるから」

友「こいつ自分で何言ってんだ?」

【じょうじ】

友「結構いい感じの森だな!」

男「開放度はやや閉鎖気味...湿度もちょうどいいし昆虫にとっては最高だろうな。」

友「これは金の匂いがするぜぇ!」

幼友「あたしあんまり虫って得意じゃないのよね...」

幼「んーと、私は結構触れますね。昔っから男君と一緒に虫取りしてましたし」

幼友「なるほどね...なんかうらやましいわね、そういうの」チラッ

友「ブェェ!!蚊柱に突っ込んだ!!」

幼友「はぁ...」

男「んじゃ、とりあえず樹液が出てる木を探すか...といってもあちこちに生えてるけどな」

幼「あっ!あそこの木、樹液に虫が集まってます!」

幼友「え?どこ?」

男「あー、あれか。...さすがにこの時間じゃカナブンしかいねーな」

幼友「だからどれよ」

友「まぁ待て。多分俺と幼友には見えねーよ。こいつら視力ヤバイから」

幼友「どこの原住民よ...」

男「今確認できるのは...アオカナブンとシロテンハナムグリと...ありゃキタテハか?」

友「結構高い所に集まってんな...これってカブト居たとしても取れなくね?」

男「それは大丈夫だ俺に考えがある」

幼友「ねぇ、この木の裏側になんか穴あいてるんだけど」

男「マジか、でかしたぞ幼友。誰かライト持ってね?」

幼友「なにすんの?」

男「カブトとかクワは夜行性だからな。昼間は木の根元とかこういう穴に潜ってたりすんだよ」

友「うほっ!俺ライト持ってるぜ!」カチッ

ライトを穴にむけ、スイッチを入れた友。
しかし俺はこの時、完璧に忘れていたのだ。奴等の存在に...。
人家へ侵入し、食料を奪い、存在するだけでその場を汚染する...。一般的には人家での発見が多い為誤解されやすいが、奴等の本来のフィールドはむしろここ。
俺達は不用心にも、眠っている奴等を起こしてしまったのだ。

スイッチを入れたライトが照らすその先には...



        じょうじ

友「ぬぁぁあああああああああ!!??」

幼友「キャッ!!」

男「うおっ!なんだよ急に!いきなり大声出すなよ」

幼「どうしたんですか友君?あっ...ゴキブリですね」

いや、大げさだと思うかもしんないけど気持ちは分かる。パッとライトつけて目の前に黒くてデカイゴキブリが3匹もいたらふつーは焦る。
しかもあっちもびっくりして急発進するからなおさら怖い。

幼友「もう!ホントにびっくりしたじゃない!ゴキブリぐらいでいちいち大声ださないでよ!」

友「いやだってよ!?あれだぜ!?ザッ!ってきたんだぜ!?びびるわ!!」

そうこうしていると一匹のゴキブリが俺達に向かって飛んできた。

友「飛んだ...だと!?」

ゴキブリの飛行コースの先には幼がいる。まずい!守らねば!!

男「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!」

急いでゴキブリと幼の間に入る。

男「待ってろ...ッ、今助ける...!!」

幼はポケーっとした顔でこちらを見たまま微動だにしない。
きっと恐怖で動けないのだろう。決して何やってんだろうこの人的な目で俺の事を見ているのではない。
俺はポケットの中にはいっていたガムを口にいれ...デンキウナギを身体に感じるッ!

男「道(そこ)を....退け(どけ)!!」ビシッィ!






.....すっごい静かになった。
そういやこの時代にゃまだテ◯フォーマ◯ズやってねーな。こいつらに通じないわけだ。
それにしても...どうすんだこの空気...ゴキブリもどっか違う方飛んでっちゃったし...
まずこの立てた人差し指をどうにかしよう。


今日はここまで。
ごめんなさい。
ただの悪ふざけです。
笑って流してください。

【ベイトトラップ】

男「じゃあこの辺にトラップを仕掛けるか」

幼友「トラップって言ってもエサは?」

男「友が持ってきてるはずだ」

友「おう。これが俺様特性のバナナトラップだぜ!」

幼友「なんか...変な色、しかも臭い」

男「お前...通報するぞ?」

友「なんでだよ!?」

まぁ大方黒糖と焼酎で漬けたんだろ。樹液に集まる昆虫にはこれが一番だからな。

友「これを半分に折って網の袋に入れて木にくっつけるぜ!」

男「ほう、お前そっくりだな」

友「は?」

男「短小包茎」

友「ちげーわ!!もっとちゃんとしてるわ!」

幼友「あんた達大声で頭の悪い会話しないでくれる?」

【閑話・未来からの知識】

友「っつーわけで夜になったからトラップ回収に来たわけだが」

男「結構いるじゃねーか。よかったな」

ちなみに夜の森は危ねーので女の子二人は置いてきた。
トラップには結構な量の昆虫が誘引されていて、カブトにコクワ、ノコギリなんかが集まってる。

友「あそこの高い樹液に集まってるのはどうすんべ?」

男「これを使う」

肩に担いで持ってきた一本ハシゴ。師範からの借り物だ。

男「これを樹の根元から垂直にくっつけて...っと」ガチャ

友「倒れねーか?」

男「片蝶結びで止めるから大丈夫」

友「...お前さ、なんでそんなに色々詳しいわけ?この前から人が変わったみたいに博識になったけど」

男「....」

友「なんとなく夏休み入った時から不思議に思ってたんだよな。うまく言えねーけど...なんかやけに大人っぽいというか...」

まぁ実際に10歳も歳食ってるからな。それにしても正直驚いた。幼母に気付かれるのは分かるがまさかコイツに勘繰られるとは。

男「...なんもねーよ、いつも通りだ」

友「...そっか、じゃあ気のせいか」

すまんな友、もうちっと待っててくれ。
いつか必ず打ち明けるから。

男「おし、じゃあとっとと捕まえて帰るか」

友「そだな、腹も減ったし!」

男「なんだハラ減ったのか、これ食うか?」

友「んぁ?何これ?白いかりんとう?」

男「いや?カミキリムシの幼虫。さっき朽木で見つけた」

友「食えねーよ!?」

いや食えるから。

待ってた
更新ペースもあってか全然完結見えないけど頑張って!!!

ピーナツバターのようなまろやかさ

【チューペット】

ミーンミンミンミンミンミー
ミーンミンミンミンミンミンミー...

男「ったく暑っちぃなーおい。なぁ幼、どっか寄ってアイス買おうぜ」

幼「そうですね♪買い物も終わりましたし、賛成です」

友「おっ!男に幼ちゃん!」

幼「友くん。こんにちは」

男「うっす、奇遇だな。ん?お前何持ってんの?」

友「ん?あぁ、さっき駄菓子屋でチューペット買ってな」

男「...半分よこせ」

友「なんだその高圧的な物乞いは...まぁいいけどよ」ポキッ

男「サンキュ」ヒョイ

友「ちょっ待て、そっちの丸いやつがついてる方は俺のもんだ」

男「はぁ?どっちも変わんねーだろ」

友「いーやー!変わるね!こっちの開け口っぽいやつより絶対量多いって!幼ちゃんもそう思うべ!?」

幼「いや~...どうでしょうか?」アハハ...

男「てめぇ幼巻き込んでんじゃねぇぞ」

ギャーギャー!!

幼友「あれ?幼ちゃんじゃない...と男と友?」

幼「あ!幼友ちゃん!」

幼友「何してんのこいつら?」

幼「譲れない男同士の戦いです」キリッ

幼友「あっそ...そうだ幼ちゃん、チューペット如きで騒いでる奴らは放っておいて一緒にアイス食べない?」

幼「いいんですか!?」ワクワク

幼友「いいわよー。はいパピコ、半分あげる」

男,友「「!?」」

>>262
ありがとう、頑張る
>>263
経験者か

【いなりコンコン】


男「ただいま」

幼「お邪魔します♪」

友「ちゃーっす!」

友「悪いな、急にお邪魔しちゃって」

男「いやまぁ、それはいいんだが」

あれ?さっき俺が家を出るまでばーちゃんと狐娘がいたはずだが...

幼「あ、男君。書き置きがありますよ?」

男「んぁ?」

あーなるほど。夕飯の買い出しに行ったわけだな。...なんだこの前衛的な絵は。何の獣だ?

男「お前らは先に居間へ行っててくれ。茶でも出すから」

友「サンキューな」

先に行けとは行ったものの台所のすぐ後ろの襖をあければ居間なので
後も先も無い気はするが。

友「うお!何こいつ!めっさ可愛いじゃん!」

幼「この子...この前も男君の家に来てた子ですね~」

....なんか居間から聞こえんだけど。これアウトなパターンじゃね?
むしろヤな予感しかしねぇんだけど...

男「お前ら、何のはなs...」

狐娘「グォー...スピー...グォー...スピー」

【悲報】うちの狐が毛布被って爆睡してた件

...なにしてくれちゃってんのこの子?ねぇ?

幼「男君、この子飼ってるんですか?」キラキラ

男「へ?...あぁ!そう!そうなんだよ!この前ばーちゃんが山で拾ったらしくてさ!」

もうこれしか無い。ぶっちゃけこの辺じゃ野生動物飼ってる家は珍しくない。
この前近所のじーさんが犬拾ったっつってタヌキに首輪付けてたし。
野生動物保護法も鳥獣保護法もここじゃ通用しねぇんだ。

友「へぇー、ちゃんと毛布まで被って...かわいいなぁ!」

男「あれ?毛布はお前らが掛けてくれたんじゃないの?」

幼「最初から掛けられていましたよ?」クビカシゲ

ってことは、だ....
ばーちゃんにもバレてる!?
いや、ばーちゃんならこのまま捌いて食いそうだけどな...
でもキツネだしなぁ...イヌ科だしなぁ...関係ねぇか。ってかあの絵の獣は狐だったのか。

友「なぁ、こいつの名前なんてーの?」

幼「私もすごく気になります」フンスッ

男「え"?そ、そーだなぁ...」

え?名前っすか?ってかコイツ名前なくね?変なのつけたら怒りそうだなぁ。
なんかキツネっぽい名前...えーっと...狐っつたらなんか和風な感じか...
和と言ったらなんだ?太鼓か?音...音楽...和風の唄...
...お、なんかいい感じ。

男「そうだな、コイツの名前は....


             “いろは”だ」

その時、ちょっとだけ狐娘、改め“いろは”の耳が少し動いた気がした。

【狐娘“いろは”side】


狐娘(あっちゃー...油断したわ。まさかここで爆睡しちゃうなんて)

狐娘(大体男が悪いのよ、最近結構あたしのこと放ったらかしにしすぎ。あたしなんて暇で寝るしかないじゃない)

狐娘(ちょっと!なに勝手に飼ってる事にしてんのよ!あんた何様よ!...いや一応私の主ではあるんだけどね)

狐娘(名前?...あたしに名前なんてないわよ。そもそも唯の神の遣いなんだから)

狐娘(...名前なんて...今更いらないわよ.....)

狐娘(....え?)

狐娘(........)

狐娘(“いろは”...かぁ...)

狐娘(...まったく...あたしに許可も得ないで勝手に名前つけないでよね)

いろは(...バカ主め)クスッ♪

どこまでも透き通るような声で呼ばれた名前は、狐娘の中にスッっと入り、どこまでも染みこんでいった。

お久しぶりです。
なんか最近書いてる内容もつまんないし
ネタもねーなという相乗効果でなかなか書けませんでした。でも一応エタる気は一切無いです。
もう読んでいる人もホントに少ないと思いますが、4人と一匹の夏物語はまだ続きます。
なんとか見れる内容にはしたいと思いますので、数少ない読者の方は応援よろしくお願いします。

いっそ強引にシナリオ進めてみるのもモチベあげる一つかと

知ってたか? 1つレスが着くとその背後には30人いるんだぜ?

自虐はいかん自分で自分を追い込んじゃうぜ
堂々と楽しく妄想を垂れ流そう

男「さて...とりあえず二人には帰って貰ったが...」

いろは「うぅ~...こればっかりは...ごめん」

男「はぁ、まぁ今更言ってもしょうがねぇしな。どうせずっと隠し通すのも無理なんだ、いいきっかけぐらいに思うしかないな」

いろは「それはいいんだけどさ...あたし尻尾9本あるんだけど...どうする?」

そうだ。コイツは唯の狐じゃない。もう普通に喋ってる時点で普通じゃないが、見た目も少し変わっている。
金色の毛はいいとしてもまず身体がデカイ。普通の狐の3陪近くある。そして尻尾も9本ある。
言ってみればコイツは妖怪みたいなもんだ。さっきは毛布を被っていたから多少誤魔化せたけが、普通に立って生活してたら不自然過ぎる。
だが大学で生態学と生物多様性概論を学んだ俺に死角はない。

男「それは大丈夫だ。俺が上手く説明する」

いろは「できるの?」

男「とりあえずホンドギツネの変異型ってことで説明しとく」

いろは「それって大丈夫なのかしら...まぁいいわ。あんたに任せるわ」

男「もともとホンドギツネもキタキツネもアカギツネの亜種だからな。今更尻尾が増えようと問題ない」

いろは「それとこれとじゃ別なんじゃ...」

男「ところでお前は平気なのか?」

いろは「...」

男「おい?狐娘?」

いろは「...お前でも狐娘でもないんじゃないかしら」ツーン

男「お前...案外乙女っつーか...めんどくさいな」

いろは「はぁ!?あんたが勝手に付けた名前でも快く受け入れてあげるって言ってんの!!いいからさっさと呼びなさい!」

男「はいはいわーったよ。...いろは」

いろは「ん、よろしい」

そう無愛想に返事をしたいろはの顔はあからさまに緩んでいた。
なんだよ、かわいいとこあんじゃん。

いろは「それで?なにが大丈夫って?」

男「今は成り行きで狐の姿だけど基本的にお前っt「いろは!!」...いろはって人の姿だったろ?その辺はどうなのかなって思ってな」

いろは「一応人の姿の方が生活しやすいから普段は人の姿でいるつもりよ?あの子達が来た時だけこっちの姿になればいいんじゃないかしら?」

男「だったらずっと人型でもいいんじゃねぇの?どうせ俺以外には見えないんだし」

いろは「あんたバカなの?さっきあたしをペット呼ばわりしたのはどこのどいつよ」

男「...そういやそうだな」

いろは「流石にずっとペットの姿を見せないってわけにはいかないんじゃないの?」

男「それもそうか、すまんな」

いろは「別にいいわよ、そんなに苦ってわけじゃないし」

そう言って尻尾をふりふりさせるいろは。
...なんだか今のコイツは機嫌がいいな。まぁ鈍感主人公ってわけでもないから理由はわかるが。

>>270 
アドバイスありがとう。ちょっとやってみる。
>>271
ホントにそうだったらありがたいんだがな。
>>272
それもそうだな。ありがとう。がんばるぜ。

みんな米ありがとう。とりあえずがんばるよー

他人のSS口出しするの良くないけどストーリーの方向を修整してるうちに書きたい話思いつくからがんばれ
待ってたはよ

他のスレのことを言うのもなんだけど、数年前から続いてるスレで1ヶ月に1レス程度、付くレスも2つ程度でゆーっくり進んでるSSもあるんだから気にすることはない
人それぞれ

【りんぎょう!】

今日も今日とて自堕落な夏休みを謳歌中な俺。
特に予定も無く幼も幼母と一緒に隣町に買い物に行ったらしいので不在だ。
暇な俺は自分の部屋で結末を知っている漫画を読んでいる。
...そう、結末知っちゃってんのよ俺。
どんな漫画呼んでもドラマ見ても結末知っちゃってるからあんまり楽しめない。
結末知っているからこそできる楽しみ方ってのもあるしな。バルスって叫ぶとか。

まぁそんなことはどうでもいいのだが....

いろは「~~♪」バッサバッサ

男「...おい、いろは。埃が飛ぶから尻尾揺らすな」

いろは「埃が飛ぶってことはあんたがちゃんと掃除してないからでしょー。しっかりしなさいよねー」バッサバッサ

男「くっ...」

ぶっ飛ばしてやろうかこの野生動物が。
ただまぁ言ってることが正しいので反論できないのが現実。
この尻尾と狐耳がついてるただの美少女の名はいろは。
好きなモノは堅焼き煎餅で嫌いなものは蝉。この前部屋で死んでいる蝉を外に捨てようと拾いあげたらいきなり激しく抵抗されたのでビビったらしい。
ぶっちゃけ蝉に怯える姿はかわいい。

ちなみにこの前名前を付けてやってから上機嫌らしく、俺と居るときは常に尻尾振ってる。
そんな従順な子犬みたいな可愛さは求めて無いから。

まぁいろはの言ってることは正しいのだがハイそーですかと言えるほど俺も大人ではない。

男「....」ガバッ!!

いろは「ひゃっ!!なっ!」

男「この居候娘が!掃除ぐらいお前がしろ!!」モフモフモフモフ

いろは「ちょっ!尻尾はっ..やめて..って!!」

男「てめーこの尻尾9本もあるんだから一本ぐらいモップにしろや!ダス◯ンに売り飛ばすぞ!」モフモフモフモフ

いろは「このっ!...やめてって..!言ってるでしょ!!」バキッ!キュッ!

男「いでででで!?ギブギブ!!骨がおかしくなる!!」ギリギリギリ

いろはは尻尾にじゃれつく俺にキレイな膝蹴りを決め、流れるような動作で腕ひしぎ腹固めを決めた。

いろは「はぁ...はぁ...はぁ....次やったら腱切るから」

男「ぜぇ...ぜぇ...ぜぇ...ぜぇ...お前なんでそんな強いの?世紀末覇者なの?」

あと腱切るってなんだよ。こえーよ。

いろは「その気になればあんたの全身の穴という穴から緑色の液体噴射させることもできるわよ」

男「それはお前がすごいんじゃねぇ、俺がすごいんだ。むしろキモいんだ」

このクソ暑い夏の昼間にプロレスごっこしたせいで穴という穴から汗が染み出てきた。
別にキモくない。汗だもん。

いろは「もー、あんたのせいで汗かいちゃったじゃない..。シャワーあびてくるわね」

男「勝手にどーぞ」

そういっていろはは一階に降りていった。
そうそう、じゃれてる間中いろはがずっとニコニコ笑っていたのは黙っておこう。
あいつは素直じゃないしな。

とりあえず部屋を掃除しようかと立ち上がると、外から声が聞こえた。

友「おーい男ぉ!いるかー?」

部屋の窓を開けて軒先を見下ろすと友と師範が立っていた。

男「師範、どうもこんにちは」

師範「よぉー男!いきなり来てすまねぇな!」

男「いえ、全然大丈夫ですけど...どうかされたんですか?」

師範「いやなに、ちょっとお前に手伝ってもらいたい事があってな?いま出れるか?」

男「大丈夫ですよ。何をすればいいんですか?」

友「ねぇ、さっきから二人共俺のこと華麗に無視してるよね?ひどくない?」

男「...!!...いたのか...友」

友「お前完璧俺の声で外見たよね!?」

師範「お前は虫けらだ!!」

友「それただの悪口ですからね!?何もうまくないですからね!?ちょ、ドヤ顔やめろ腹立つ!」

男「それで師範、何を手伝えばいいんですか?」

師範「あぁ、ちょっと俺の管理してる山の下刈りとか蔓刈りとか除伐とか...まぁ林業作業だな」

男「...はぁ、なるほど」

>>276>>277 ありがとう。がんばるぜ。

今日はここまでっす。

書きためてるのかな?
とにかく乙

今日初めて読みました!
がんばってください♪

とりあえず林業作業ということなので着替えることにした。
特別な服装というわけでもなくつなぎに農スパだ。
ちなみに農スパと言うのは農業用スパイクの略で、簡単に言うと長靴のことである。
俺の履いている農スパはつま先に鉄板が入っている、いわゆる安全靴仕様になっている。それと簡単な作業具だけだ。

んで、問題はアイツだが...

男「おーい、いろは。今からちょっと出るけどお前はどうする?」

どうせ来ないだろうが一応声ぐらいは掛けておいたほうがいいだろう。
洗面台の外から風呂場に居るであろういろはに尋ねる。

いろは「え?ちょっと待って、どこいくの?」

男「あー..師範の山に行くんだが...え?くんの?」

いろは「あたりまえでしょ、あたしはあんたの補佐役を任されてんだから」

男「なんかすげぇ久しぶりに聞いたなその感じ。いままで散々放置してたくせに」

いろは「つべこべ言わないの。ほら、髪乾かして」ガラガラ

男「おまっ!いくらタオル巻いてるからって出てくるなよ!」

いろは「いいじゃない別に。それともなに?あんたあたしの身体見て欲情しちゃうわけ?」

男「浴場だけにってか?」

いろは「....」

男「....」

いろは「....しね」

男「返す言葉もございません...」

いろは「...さっさと乾かして。ほら、ドライヤー」

男「ウィッス」

男「さてと...いろはの髪も乾かし終わったし、さっさと出るぞ。師範も待ってるし」

いろは「あ、ちょっと待って」ドロンッ!!

いろは(キツネモード)「これでよし」

男「なんで狐んなる必要があんの?」

いろは「いろいろ考えたんだけど、あんた以外の人間と関わるときは狐の方が都合がいい気がするのよ。どうせペット認定されてるわけだし」

男「それもそうだけど...会話はどうすんだ?」

いろは(これでいいでしょ?)

男(あぁ、すっかり忘れてたわ)

なんと便利なご都合機能だろうか。

師範「おう男、遅かったな」

友「お!いろはじゃん!」

いろは「コーン」

男「すいません師範、遅くなってしまって」

師範「それはいいんだが....何だこの狐?」

男「この前神社で拾ってから飼ってるんですよ」

嘘は言ってないぞ。

師範「へー!いい顔してるじゃねぇか!しかも九尾かよ!縁起がいい!」

友「そうなんスか?」

師範「この辺りじゃ狐は村を護る神様として信仰されてんだよ。山犬は山を、狐は村をって感じでな」

知らなかったそんなこと。だからあの神社にお稲荷さんの祠があったのか。

師範「男、狐は大事にしてやんな!ほれほれお前と狐は荷台だ。乗った乗った!」

そう言って軽トラの荷台に載せられるいろはと俺。
荷台には既にチェーンソーや刈払機等が載せられていた。

師範「分かってるだろうが走行中に立つんじゃねーぞ?頭打つからな」

いろは「」コクコクコクコク

いろはがすんごい勢いで頷いている。
...そういやコイツ軽トラの荷台で頭打ったことあったな。バカだから。

>>282
書き溜めてないよー。いきあたりばったりだよー。
>>284
ありがとう。
気に入ってもらえると嬉しいです。

今日はこのへんで。

師範「よっしゃ、到着」

着いた先は師範が管理する山の一つ。
普段は造園業を営んでいる師範だが、このように放置された杉林等の管理も行っている。

師範「とりあえずチェーンソーだけでいいや」

男「一本梯子はいいんですか?」

師範「今日はやるのは間伐だけの予定だ。枝打ちはこの前一通りやったからな」

男「刈払機は持っていったほうがよくないですか?見た感じクマザサとか生えてて邪魔そうですし」

師範「軽トラに載ってるのはチップソーなんだよ。まぁ使えない事もないが友がキックバックおこしそうだしな」

男「…ありそうで怖いですね」

友「さっきからよく分かんない事言ってるけど馬鹿にされてるのはわかるぞ?お?」

そういやこいつさっきから黙ってばっかだな。
まぁ今の会話が理解できたら普通の人じゃねーな。
チップソーは刈払機の刈刃の一種でキックバックは刈払機やチェーンソーの使用中に起こる事故の一種だ。
簡単に言うと刃が弾かれて自分に向かってくる現象のこと。

男「でもよ、別に初めての作業ってわけじゃねぇんだからさすがに少しは覚えろよ」

友「手伝うのなんてほんとにたまにじゃねぇかよ。ってかなんでお前はわかんの?」

男「いや…なんか覚えた」

言えない…10年後にチェーンソーと刈払機の取り扱い講習受けて修了免許もってるなんて…。

男「まぁそれはおいといて、ナイロンコードの刈払機ないんですか?」

師範「家に置きっぱwww」

男「おい…」

師範「まぁ手間だろうがナタで頼むわ。男も友もナタ持ってきたろ?」

友「まぁ師範が持ってこいっつーんで」

俺も林業作業ってんでナタは持ってきた…が…。
ナタで作業とかぶっちゃけマジめんどくせぇ。

男「まぁしょうがないですね。じゃあチェンソーだけ持って行きますか。友はこのカゴ持て」

友「うぃー」

杉林の中は日光が遮られ、夏真っ盛りだというのに少しひんやりしてた。
一緒に着いてきたいろはなんかは快適そうで尻尾を振っている。

男(なぁいろは、お前狐の姿で暑くないの?)

いろは(ぶっちゃけさっきまでは死にそうだったわ。でもここなら涼しくてへーきよ)

男(…ってか作業中お前はなにしてんの?)

いろは(特になにもしないわよ?この体じゃ出来ないしねー)

なんでついてきたんだコイツ…。
いっそ人型なら下刈りの手伝いさせたのに。

師範「じゃあまずは刈りだ。この辺のササとかをどんどん刈っちゃってくれ」

男、友「ほーい」

といっても雑草木が生えてるのはほとんど入り口付近で、奥はあまり生えていない。
これならすぐに終わりそうだ。

とりあえず投下。
わかる人にはわかるシリーズ。

追いついてしまった
完結してくれよー

久しぶりに見たけど、ゆっくり進んでんのな
支援(いろは可愛い

追いついた
続き楽しみにしてる

一時間ほど作業をしていると大体の雑草本は片づいた。
苅られたササは向きがそろった状態で山積みにされていく。

男「ふぅ…こんなもんだろ」

友「なぁ、なんか俺のナタ切れ味悪いんだけど」

男「お前土も一緒に切っちゃてるからだよ。そらなめるわ」

石をかなり細かくしたものが砂であり土である。
すなわち土を切ることと石を切ることは同じなのである。
細かい石一つ一つがナタの鋼部分に当たることで次第に切れ味が落ち、いわゆる刃こぼれ状態になっていくのである。

師範「お、だいぶ綺麗になったじゃねーか!じゃあいよいよ倒していくか!」

師範が軽トラからチェーンソーを持ってきた。
少し型が古いが整備が行き届いており、とても大切に使われているのが伝わってくる。

師範「とりあえず俺は一人で作業する。男と友は二人で一つの作業にあたってくれ。あれな、男が伐倒で友がバラしてくかんじで。絶対友に倒させるなよ」

友「まぁ…いまいち釈然としないけどそのほうが安全か。…ムカつくけど」

男「それはいいんですけどチャップスとか防振手袋はないんですか?」

師範「洒落たもん知ってんな男ぉ!まぁんなものねぇんだけどな!」

男「…さいですか」

あれ一応つけなきゃいけない決まりなんだけどなぁ…
ここでは労働安全規定みたいなものは存在しないようだ。

木の先端が二股に分かれている不良木を見つけたのでコレを倒すことにする。
大体樹高20~30m位の杉の木だ。

男「倒す向きは…こっちでいいか。おい友、反対側よれ」

友「うぃー。ってそっち?こっちのほうがスペースあるけど?」

男「上見てみ。若干そっちに曲がってるだろ。そっちに倒そうとすると追い口切る時に高確率でチェーンソーが挟まれる。だからこっちの方向のほうが安全だ」

友「でも結構木が乱立してね?いける?」

男「まぁまかせとけって」

本来チェーンソーは安全のため地面に置きながらエンジンをかけなければいけないのだが、そんな事はお構いなし。立ったまま右手でリコイルスターターのロープに指を引っかけ、左手で後ろハンドルを握る。
スイッチを入れ勢いよくスターターロープを引っ張るとエンジンがかかる。2ストロークガソリンエンジンが奏でる軽快なエンジン音は、どこまでも力強く鳴り響いている。いい音だ。
おい、これ音のソ○リティとかで紹介した方がいいだろ。どっちかって言うとその前にやってる島開拓の番組で聞こえそうだが…

男「まずは…受け口」ドッドッドッドッドッ

ハンドガードブレーキバーを手前に引きロックを解除。軽くふかすと地面の落ち葉にチェーンオイルが薄くかかった。よし、大丈夫そうだな。
まず木の倒す方向側から水平に刃を入れる。最初は受け口の下切り。大体三分の一くらいまで切り進める。それが終わったら次は上切り。斜め上から下刈りと同じ終点まで刃を入れる。すると切り終えたときに横から見ると三角形の形をした切り口が出来あがる。仕上げに木の芯を少しえぐってやる。
そして反対側に受け口下切りの位置の若干上から水平に刃を入れていく追い口切りを行う。
そうすると斜めに切った受け口に木の重さが掛かり、最後には自重によって勝手に倒れるという仕組みである。

男「…うまくいってくれよ」ギュィーーーーー

クラッチカバーでキャッチしきれなかった切削粉が体に掛かる。
次第に木はパキパキと音をたてながら、木と木の間を綺麗に抜け、狙った通りのコースに沿って倒れていった。
思った以上にうまく切れたようだ。

友「…お前すごいな」

男「…俺もちょっと興奮してるわ」

男「じゃああと解体頼むわ」

友「適当でいいのか?」

男「特に材として使うとは聞いてないしな。とりあえず枝払ってから2mずつ位に切っとけばいいんでね?」

友「りーょーかい」ブルンッ!! ドッドッドッドッ

解体作業は友に任せて少し休憩する。
久しぶりにチェーンソーを使ったので少し手が笑っていた。

いろは(随分と上手じゃない?)

男(まぁ久しぶりだったけど大学の実習で結構やったからな。ってかお前どこいってたんだよ。いねぇから撃たれたかと思ったぞ)

いろは(なんで撃たれなきゃいけないのよ)

男(農業被害的な感じで?)

いろは(なんだ?あんたはあたしのこと害獣認定してんの?でるとこ出るぞ?お?)

男(出すのは胸と尻だけにしといてください。で、どこいってたんだ?)

いろは(尻はでてないわよ…。ちょっとね、さっきから変な感じがして)

男(なんだよ変な感じって、変なのはお前の日本語だろ)

いろは(そういうのいいから。なんかね…んー)

コイツが俺の暴言をスルー…だと…!?
しかし本当に困ってそうだな、なんかあったのか?

男(とりあえず言ってみろよ。じゃなきゃなんにも判断できねぇぞ)

いろは(んー…確証がないからホントは言いたくないんだけどさ…)

男(だからいいって。今更なに言われても驚かねぇから)

いろは(じゃあ…まぁ言うね…)

男(おう、なんだ?)

いろは(        …友くんが死ぬかも)

>>294
完結は必ずするから安心してくれ....時間かかるかもだけど
>>297
ありがと。幼よりいろはの方が動かしやすくて困ってる
>>298
追いつかれた。続きもたのしんでってね

おつゆっくりでいいから待ってるよ

おつんつん
木の伐採ってそんな風にやるんか 知らなかった

男「...は?」

いろは(ちょっと、声に出てるわよ)

男(...その予測の精度はどのくらいだ?)

いろは(十分信用できるぐらい...それもわりと近い時間っぽいわね)

男(随分とあやふやだな、原因とかはわかんねぇのか?)

いろは(この森に入った途端いきなり友くんの色が無くなったのよ...こんなに急なの初めてだわ)

男(この場所が原因っぽいっつーことか?なら早いとこ避難させるぞ)

いろは(それは賛成だけど...どう理由つけるつもりなわけ?下手するとあんたが変な目で見られるわよ?)

男(安心しろ。もう十分変な目で見られてる。それに大事な友達が死にそうだってのにそんなん気にしてられねぇわ)

いろは(そっか...あたしも出来る限りフォローするから。森を出たから生き残れるとは限らないし)

男(頼む。じゃあ早速あいつを連れ出すか)

休憩をとっていた場所から作業中の友まで、大体50m位離れている。

男「おーい友ぉ!!作業中止だ!!」

友「...」ギュィーーーーー

男「ちっ...チェーンソーの音で聞こえてねぇな」

仕方なく近づこうと歩き出す。目線の先の友は生命の危機などみじんも感じていない様子で作業をしている。
そして少し高めの位置で絡まっている太めのツルをチェーンソーで切ろうとしている...

男「っ!やばい!!キックバックおこすぞ!!」

いろは(は?キックバック?)

いろはの声が脳内で聞こえたがそれどころではない。
急いで走り出すが間に合いそうにない。
チェーンソーの先端上部とツルが触れる。
その瞬間、弾かれたようにチェーンソーが友の首めがけて跳ね返っていく。

男「友ぉっ!!」




刹那。



感覚が研ぎ澄まされる。

全ての筋繊維が呼応する。

体が軽くなる。















いろは「ちょっと体借りるわよ」

>>303
ありがと、がんばる
>>304
そうだよー。結構楽しいよ。

刹那・・・

あああぁぁぁこういうの聞くと俺の黒歴史が目覚める・・・

なんとなく>>1が重度のアニオタなのはわかった

遅かったじゃないか、待っていたぞ
これからも楽しみにしてる

男「ぬぉ!?」

普段では考えられない瞬発力で踏み込んだせいで足が軽く悲鳴を上げる。
あり得ないスピードで視覚が置き去りにされそうになるが、なんとかふんばって耐えるしかない。

いろはのおかげ?かはまだ分からないしどうなってるのかも説明してもらわないと困るが、とりあえずは友の側まで辿り着き、間に合いそうだった。
が、友とチェーンソーの距離があと30cm程となり、腰につけていたナタを抜く。とりあえずコレでチェーンソーを止めるしかない。


男「あぁぁぁぁ!!!」ズバン!

友を庇うように振り下ろされたナタは、キックバックにより制御不能となったチェーンソーのソーチェーンに食い込みガイドバーを引き裂き、
.....チェーンソーを真っ二つにした。

師範「....事情は分かった。...実はちょっとよく分かってないけど分かった」

男「すみません」

師範「いや2人が無事ならそれでいいんだ。ソーチェーンもガイドバーも予備はあるしな。そもそも友がキックバック起こしたのが原因だし」

友「うぅ~...めんぼくない」

男「まぁお前が無事でよかったよ」

友「男...っ!!」ウルッ

男「家帰ったらすぐにパンツ替えるんだぞ」ニコッ

友「漏らしてねーよ!!」

師範「にしてもなぁ....これをナタで切り落とすなんて」

友「めっちゃびびりましたよ。正直怖さでは事故より上でした」

男「ハハハ...たまたま角度がよかったんですよ」チラッ

乾いた笑いが出てしまった。こうなった原因はハッキリしている。

いろは(キツネモード)「~~♪」

あの一瞬、人型に戻ったいろはが俺の体に入ってきた。
その瞬間から俺はムキムキと力が湧いてき....なんかエロいな。

師範「今日はこの辺で帰るぞ」

友「うぃーっす、男?」

男「あぁ、今行く」

後で話し聞かないとな。

>>309
知らんがな
>>310
Yes Iam
>>311
また遅くなってすまぬです

支援トンクス

男「ふぅ...日がある内の風呂は最高だな」

林業作業が終わり、家に着いてからはすぐに風呂に入った。
この夏の風呂上がりというものには形容しがたい開放感が存在する。
いかんせん寒くないから風呂上がりが不快じゃなくなるうえに、日がある時間帯だとカラッとしていて更にさっぱりするというものだ。
勿論今の装備は腰にタオルを巻いただけという極めて原始的な姿だ。

男「おーい、いろはー?風呂空いたぞー?」ガラガラ

いろは「スー...スー...」ポリポリ

男「...かりにも女の子が畳の上で大の字爆睡ってどうなの?っつーか腹掻くな、へそ見えてんぞ」

扇風機MAXにしたまま寝やがって...風邪引くぞ。
このまま放置して夏風邪ひかれても目ざめが悪いので扇風機を弱にしてタオルケットをかけてやる。

男「...こうして見てるとただのコスプレしてる頭が弱い子にしか見えないんだけどな」

頭を軽く撫でてやると、耳がピクピク動いて反応する。
反応がまんま犬だな。さすがイヌ科。

今日の事故はコイツのおかげで事なきを得たと言っても過言ではない。
あのままチェーンソーが友の首を引き裂いていたら出血多量で死亡エンドだった。

あの一瞬、いろはが俺の体に入ってきた時の身体能力は明らかに人の域を超えていた。
別に俺はスタンド使いでもないし石仮面被ったわけでも人間をやめる気もさらさら無い。

男(まぁしばらく寝かせといてやるか)

ーーーその夜

幼「それでお母さんと一緒に映画も見たんですよー♪」

男「へぇ、そりゃ楽しそうだな」

幼「そういえば男くんは今日はなにしてたんですか?」

男「師範の手伝いをちょっとな....そういえば給料ってでるのか?」

幼「でたらいいですね~。男くんはアルバイトしてませんもんね」

男「幼は幼友の店でがんばってんもんな。和菓子屋だっけ?」

幼「はい。かなり融通きかせてもらってるのでありがたいです」

男「そっか。休みとかってどうなってる?」

幼「基本的に来れるときにきてくれればいいと言われてるので特には決まっていませんが...」

男「じゃあ折角の夏休みだし、いろいろ計画たてるか」

そのときちょうど幼母が家に入ってきた。庭から。
この人頑なに玄関から入ろうとしないよな。
庭から侵入するって行動が蚊とか蝿と同じじゃねぇかよ。....ムシコナーズ掛けようかな。
ただ手にはスーパーの袋が掛かっているところからどうやら夕飯を作ってくれるようなので、今回は不問にしてやろう。
怖いからとかでは決してない。

幼母「ただいまーっと。おう男、ばーさんは飲み会で遅くなるってさ。あと師範からこれ預かったぞ、報酬だとよ」ピラッ

男「んぁ?なんだこのチケット...!!これは!」

幼「男くん!!みんなで行きましょう!!」

...どうやら海が俺を呼んでるらしい

いろは「ぐおーー...すぴー...ぐおーー...すぴー.....ブッ」

遅くなってすみません。
年度の変わり目で色々重なって忙しくなってました。
とりあえず一段落ついたので更新速度は上げるつもりです。
あとネタのリクを募集します。
夏の田舎でこんなことやってみたいとか。
こいつらの絡みがみたいとかあったら教えて下さい。


【街までバスでお買い物】

男「んぁ?買い物?」

幼「はい!折角海に行くのなら新しい水着が欲しいな~と」

男「なるほどね~...」

そう。つい先日の林業作業報酬として、師範が海近くのホテルのチケットをくれたのだ。
まだ具体的に行く予定などは決めていないが、とりあえず水着でも買っておきたいのだろう。

男「まぁ別にいいけどよ、正直俺の意見なんて参考にならねぇぞ?美的感覚あやしいし」

俺にそういったセンスがないのは自分が一番よく分かっている。
平気で全身黒ずくめといった中二か二刀流スキルを持つ主人公しかしないようなコーディネートをする人間だ。

いろは(行って来なさいよ。折角の休みなんだから。)

あぐらを掻いてる俺の太股にアゴをのせてくつろいでるいろはが眠そうな声で言った。
ってかお前そろそろどけ、しびれてきた。

いろは(幼ちゃんだってもともとあんたのセンスなんて期待してないわよ。ただ一緒に遊びたいだけ。だからこそ買い物ついでにあんたの趣味に染めちゃえばいいじゃない)

男(俺の趣味ねー...)

もともと存在自体がストレートど真ん中ポジションである幼にはあまり関係がない。
なにしてもかわいいし愛らしいしプリティだしキュアキュアしてる。
それに買い物に行くのは別にいいのだが...

男「行くのはいいがどっか場所はあんのか?」

そう。ここは田舎である。どがつくほどの田舎である。駄菓子屋だって古ぼけた神社だって廃校間近の小学校だって存在する。
晴れていれば蝉がうるせぇし風邪が吹けば桶屋が儲かるし雨が降ればちょっと田んぼを見に行くことだって出来る。
そんな環境下での買い物だ。確かに歩ける範囲にスーパーも商店街もコ○リもあるが、生活力が上がることはあっても女子力は上がりそうもない。
少しがんばってもジ○スコくらいしか思いつかないが...

幼「折角なので先月オープンしたアウトレットモールに行ってみませんか?」

...?

男「あー...いいぞ、行くか」

そんなもんこんな田舎にあったっけ?
だってしょうがないじゃん、先月はまだこっちの時代にきてないし...
...でもアウトレットモールなんて自分からは絶対に行かない場所だし、単に俺が知らないだけかもしれない。

幼「少し遠いのでバスで行くことになってしまいますが...いいですか?」

男「...いいに決まってるじゃないですかー」

上目使い...いただきました...!!

みなさんリクエストありがとうございます。
こんな感じで出来る限りリクには応えようと思っているので
どんどんアイデア下さいな。

ーーーー次の日・ショッピングモールにてーーー

幼「う~...ひとが多いです」

男「まぁ休日のショッピングモールともなればこんなもんだろ」

元の時代では都会の一人暮らしをしていたのでこの程度の人混みは全然慣れているのだが、純粋自然栽培された田舎っぺの幼馴染には厳しいらしい。

男「とりあえず一回どっかで休むか?」

幼「いえ、このくらいなら大丈夫です」ウプッ

男「アホ、別に急いでるわけじゃねぇだろ、無理しないで休憩すんの。分かった?」

幼「ごめんなさい、お願いします...」

男「落ち着いたか?」

幼「はい、大丈夫です。少し人に酔っただけなので...まさかホソミオツネントンボより人が多いなんて...」

男「なんでそのチョイス...マニアックすぎるだろ」

幼「もしかしたらフタスジモンカゲロウより多いかもしれないですね」

男「もっとわかりづらいわ!!」

幼「とにかくもう落ち着いたので大丈夫ですよ?」

男「おぉ...まぁいいや。じゃあブラブラ回って買い物でもするか」

幼「いいですね♪行きましょう!!」

ーーーー服屋ーーーー

幼「男君はどんな服装が好きですか?」

男「俺は楽だったらなんでもいいな。でも一応TPOをわきまえて...」

幼「いえ、男君の服装はどうでもいいのです。そうではなく私にどんな格好をして欲しいかを教えて下さい」

男「おっふ...そうだなぁ...」

ここで巫女服!!って言いそうになった心をぐっと押さえ込んでマジメに考える。
まず幼に似合いそうな服装を模索する。
背は低めだが幼児体型というわけではない。でるところはしっかり...とまでは言わないがほんのり出てるし引っ込むところもそこそこ引っ込んでる。
髪は長すぎず短すぎずの黒いセミロング。もちろん顔はしっかりとかわいいがモデルやアイドルなみの美女というわけでもない...まぁ全くかわいくないアイドルとかもいるけどね。
つまり俺の幼馴染は万人受けしそうな普通にかわいい女の子、背景に溶け込むスキル持ってたりギャルゲのメインヒロインになるための特訓をさせられるタイプ。
となってしまうと...

男(...なんでもそこそこ似合うからどうすればいいかわからねぇ...)


あ、酉に#いれわすれた
次からコレで行く

遅くなってソーリーネ

男「結局無難な服装になったな」

幼「でも海っぽくていい感じなのが買えました」

散々悩んだ挙句(5分)、ホットパンと肩が開いているタイプの...何ていうかフワッとポワっとしたタイプの薄手のシャツになった。
太ももが見えるのと肩口からキャミソールの紐が見えるのがポイント。何俺キモイ。

幼「でもワンピースとかじゃなくてよかったんですか?友君が男の子はみんなワンピースが好きって言ってましたが」

男「あいつの趣味は少しずれてるから気にしないでいい。しかもお前ワンピース持ってんじゃん」

幼「お母さんがよく買ってくるんですよ」

男「...あの人もそういうタイプか...」

幼「じゃあ次は男君の服を見ましょう♪」

男「えー...いいよ俺はー」

幼「ダメです!たまに男君が着ている全身黒とかぶっちゃけセンス無いです!」

男「お前...血盟騎士団の副団長に刺されるぞ...俺も同感だけど」

当時の俺はあれがかっこいいとか思ってたんだからしょうがないじゃん!!

幼「あ!これなんてどうですか?」

男「あーいいんじゃない?」

幼「む~...せめてこっち見てくださいよ~」グイッ

男「わかったから引っ張るなってぃぃてててて!!痛いって!腕極まってるって!!ちゃんと見るから!!」

ナチュラルに腕極めるとかやっぱこの子あいつの娘だわ。


とりあえず投下
これから毎日じゃないけどちょくちょくあげてくと思う
確信は無い!!キリッ

男「七分のチノパンに紅葉模様の赤い半袖ワイシャツねぇ...」

幼「とっても似合ってましたよ!かっこよかったです!」

男「まぁ幼がいいならいいんだけどさ...なんか頭悪いチンピラっぽくね?」

幼「男君は結構ぼさっとしてて粗野な感じがするのでいい感じに合ってます。ナイスやさぐれです!」

男「ねぇなんで俺けなされてんの?別にやさぐれてないし」

幼「けなしてないですよー?誉めてますよー?」

男「えー...まぁ選んでくれてありがとな。大事に着るわ」ナデナデ

幼「このくらい朝飯前なのです。あ、折角なので海の時着て下さいね♪」ムフー///

男「おう。じゃあそろそろ飯行くか」

幼「はい♪私牛丼食べたいです!」

男「なんでここまで来て牛丼なんだよ...」

幼「おいしかったですねー♪」

男「結局牛丼食ったし...うまかったけどさ」

幼「やっぱり牛丼は吉○家が一番ですね~」

男「それは分かる。その年で気付くとはいいセンスだな幼」

幼「ムフフ~♪私丼ものに関しては少しうるさいですよ?」

男「それでいい。マカロンとかパンケーキとかでキャイキャイ言ってる奴は見ててイラッとするからな」

幼「パン...ケーキ?」

男「あ?」

幼「...あぁ!!ホットケーキですね!私好きですよ?作れますよ?」

男「...お前のそういう所大好きだわ」

幼「えー何ですか急にー...私も大好きですよ♪」///

この日、パンケーキを少し認める事ができた。だがマカロンはまだ最中だった。
...何の話だこれ。

幼「ちなみにパンケーキとホットケーキの違いって何ですか?」

男「...知らん」

幼「いよいよ水着ですね~」

男「あんまじっくり見たこと無かったけど、女の子の水着って色々機能があんだな」

幼「女の子はどうしても胸を大きく見せたいものなんですよ。だからこうして策を講じるんです」

男「策を講じるって...なんか知能戦みたいだな」

幼「相手の視線や思考を騙す訳ですから似たようなものですね♪」

絶対違う、もっと皆気軽に選んでるだろ。
この子の言動がたまに怖いよ。

男「お前は今までどんなの着てたっけ?」

幼「基本的に学校指定のスクール水着しか持ってないですよ?川は体操着で入っちゃいますし」

男「なるほどねぇ」

幼「これなんてどうですか?」

男「ラッシュガードにサーフパンツか...俺は好きだけど女の子はビキニとかじゃなくていいのか?」

幼「そうですねぇ...あんなので磯行ったら血だらけになりませんか?」

男「...そうだね」

今日も田舎っ娘は絶好調です。
パレオ着てほしいなんて言えない...

男「折角海行くんだったらマスクとフィン、スノーケルなんかも買っていこうか」

幼「シュノーケルじゃないんですか?」

男「今言った器材を使って海で泳ぐことをシュノーケリングって言うんだよ。空気を吸う筒自体はスノーケルって名前。これプラスBCDとかレギュレーター、エアタンクなんかがつくとスクーバダイビングになる」

幼「テレビで見たことあります!いつかやってみたいですね~♪」

男「多分この時代でも段々安くなってるはずだけど」

幼「そうなんですか?男君詳しいですね」

男「まぁな...」

大学で暇だったからダイブマスターまでライセンスとったからなぁ...
この時代に戻ってきたせいでまたゼロスタートになったけど。

だからこそ今度は...

男「じゃあ一緒にライセンスとってみるか」

幼「楽しみです♪」

好きな人と一緒に同じ世界を見よう。

Wellcome to under water


次回 いよいよ海へ

男「じゃあ行ってくるわ」

ババ「ん。気を付けてな」

幼「男くーん、準備できましたー」

男「了解。ってさっそく買った服着てんのか」

幼「折角なので。どうですか?」クルッ

ババ「うんうんオフショルダーがよく似合ってるよ」

男「それオフショルダーって言うんだ、技名みたい....ってかなんでばーちゃんが名前知ってるんだよ」

ババ「ところで今日は皆で泊まってくるのかい?」

男「おう、2泊3日の予定だからな」

ババ「ってことは明日明後日と幼母が飲みに来るのか」

幼「そうなんですか?」

ババ「そうなんざんす。修学旅行とか幼ちゃんが外で泊まってくる日は酒瓶片手に押し掛けてくるのさ。一人は寂しいんだとよ」

男「なんだよそれ。ちょっとかわいいと思っちゃったじゃねぇか」

ババ「もともと寂しがり屋な子だからねぇ」

幼「そういえばいろはちゃんも一緒に行くんですよね?」

男「一応ペットOKなホテルみたいだしな。どうする?置いてく?」

いろは(なんか言った?)ガブッ

男「あ"ぁぁぁぁぁぁ!!?」

ババ「ガッツリ噛まれてるねぇ」

幼「あの...止めたほうが...」

友「おじゃましまっす。おーい男?そろそrいろは「...」ガブッ

友「アイエエエエ!? キツネ!? キツネナンデ!?」

いろは(ドーモ。友=サン。いろはデス)ガブガブ

男(いや、この時代にそのネタまだ無ぇから友は素で言ってるぞ。ってかなんでお前は知ってるんだよ)

いろは(あいつがよく言ってた)ガブガブ

男(...神様マジか)

幼友「お邪魔しまー...って友どうした」ガラガラ

幼「さっきまでいろはちゃんに襲われてたのです」

幼友「いったい何したらそんな噛まれんの...まぁいいや。そろそろバス来るわよ?」

男「もう準備は出来てるぞ」

幼友「出来てるって...いろははどうすんのさ。バスと電車乗り継ぐのよ?」

男「それは大丈夫。こいつは今からぬいぐるみだ」

幼友「いや、動物にそんなの言っても無理で...」

いろは「」グデーン

幼友「アイエエエエ!?」

男「いやもうそれはいいから...なに?流行ってんの?」

幼「では皆大丈夫そうなので行きましょうか」

男「この子ホントにマイペース」

個人的には幼母が好き

ー電車にてー

幼友「それでどのくらいかかんの?」

男「バスと電車乗り継いで3時間だな。半島の先っちょまで行くんだからしゃーない」

友「つーわけで長い旅路になるんだ!パーっと楽しんで行こうぜ!」

男「お...おう、そうだな」

~15分後~

友「んごぉぉぉ.....んごぉぉぉぉ」zzz

幼友「やっぱりこうなるのね」ハァ...

幼「寝付きがいいのはいい事ですよ♪静かになるので」

幼友「...もしかして幼ちゃんって友の事嫌いなの?」

幼「そんなことないですよ~?ただ...」

幼友「ただ?」

幼「あんまり男くんに迷惑かけ続けるようなら...」

幼友「なら...?」

幼「....」ニコニコ

幼友「いやそこ何も言わないのが一番怖いから...
にしても男も愛されてるねぇ。羨ましい」フゥ...

男「いろは、一回どいてマジで。お前自分の体の大きさ考えろ。膝が潰れそう」

いろは「zzz...zzz...」

幼友「そういえばさ」

男「んぁ?」←何とかしていろはをどけた

幼「ふぁい?」アンパンモグモグ

友「んがっ....zzz」

いろは「スー...スー...」

幼友「そんな注目される内容じゃ無いんだけど、クラゲってまだいないのかなーって?」

男「あー...確かに盆前だと出にくいとか言われるな」

幼「何でですか?」

男「知らん。そもそもいるところには年中いるからあんまり関係ないし」

幼「でもどうしてそんなことを?」カステラモグモグ

幼友「ほら、川とかってあんまり毒の生き物っていないじゃん?たまにマムシとかヤマカガシが出るくらいで。でも海ってクラゲみたいに毒のある生き物多そうだからさ」

男「言っとくがミズクラゲの刺胞毒はかなり弱いぞ」

幼「しほうどく?」モグモグ

男「そ。お前らクラゲって何だと思う?」

幼友「....なんか...水を固めた感じの生き物?」

男「まぁそんな感じの認識が一般的かもな。クラゲの生物学的立ち位置は刺胞動物門っていう...クシクラゲとかの有櫛動物門はひとまず置いといて、そういうグループなんだけど、その刺胞って意味は毒針の袋を持つって意味なんだよ」

幼友「毒針の袋?」

男「クラゲの触手にはちっこい袋が沢山ついてんだけど、触手が魚とか俺達の皮膚に当たるとその袋がパーンと割れて中の毒針が猛威を奮うってシステムなんよ。ちなみに刺胞動物の仲間としてイソギンチャクがいるな」

幼友「あー...言われてみればイソギンチャクを逆さまにすればクラゲに見えるかも。どっちも刺すしね」

男「まぁ刺胞のメカニズムは大体皆おんなじだが毒はそれぞれの種類によって違ぇ。ミズクラゲみたいに刺されても少し痒みを感じるかどうか程度の毒もあれば、オーストラリアに生息するキロネックスなんかは刺されたら5分で死ぬ」

幼友「え"?」

男「今から行く海域で注意すんのはアンドンクラゲとカツオノエボシ位だ。カツオノエボシなんかは上から一発で見えるしアンドンも最悪刺されても痛いだけだから大丈夫大丈夫。死なない死なない」

幼友「大体2回言う奴は信用できないってどっかで聞いたけど?」ジトッ

幼「男君は軽いですからにゃー」モグモグ

男「おま、さっきから食ってばっかじゃん少し俺にも寄越せ」

幼「いいですよ~?はい、あーん」

男「ん...うまいけどなにこれ」

幼「シベリアですよ~」

幼友「さっきからチョイスが渋すぎる...ってかナチュラルにイチャつくとかすげぇなおい」

まず実習だった
そして身内の結婚式もあった
んで海行ってた
からの風邪ひいた
だから俺は悪くない(訳,ごめんなさい)

まず実習だった
そして身内の結婚式もあった
んで海行ってた
からの風邪ひいた
だから俺は悪くない(訳,ごめんなさい)

幼「でも何でわざわざ遠くの海に出向くんですか?」

男「どゆこと?」

幼「別に電車で一時間位で着くビーチもあるじゃないですか?海無し県って訳じゃないんですし」

幼友「ほら、師範が宿のチケットくれたじゃない?あれの住所が今向かってる所なのよ」

男「俺達お前に任せちゃったから全然わかんねぇ。どんな宿?民宿?」

幼友「いや、何て言うかな。コテージみたいなのを貸しきれる感じらしい」

男「写真とかパンフある?」

幼友「私も師範から聞いただけだから持ってないのよ」

こういうときはスマホが無い時代がどれだけ面倒か痛感する。迷ったときにナビを使うこともできないし、ちょっとした調べものもできない。
でも行き先が分かんなかったり対処困難のハプニングがおきるからこそ旅は楽しいのだと思う。
先が見えてしまっている事がどれだけつまらなくて絶望的かを痛感する今日この頃です。

男「行ってからのお楽しみってわけだ」

幼友「そゆこと」

幼「多分次で乗り換えですけど大丈夫ですか?」

幼友「え?もう?次どうすんだっけ...ちょい待ち」

幼「サイコロでもふりますかにゃー?」

幼友「それすると十中八九四国行きになるでしょ!?」

幼「1の目、オレンジライナー」

幼友「さっそく駄目じゃん!?」

男「おい寝ボケんないろは!!腕噛んでるって!!」

いろは「zzz...」ガジガジ

男「やっと着いた...」

電車に揺られる事およそ3時間、更にバスで約30分、
途中いろはのせいで好奇の目に晒されたものの無事に目的地の海に到着した。

友「すっげぇ!海だ!」

幼友「海なんてホントに久しぶりに来たわ...キレイね」

幼「ここの水質は沖縄と同じって看板に書いてありますよ~」

男「AAランクの水質ねぇ...日本には14ヶ所しかないとかマジか」

いろは(う...潮の臭いキツい...)

男(さすがイヌ科)

幼友「ね、ね、早速泳ぎましょうよ!!」

友「でも先に宿に荷物置こうぜ?流石に宿泊セット持ち歩くのは建設的じゃ無いだろ」

幼「そうですね、ではまず宿に向かいましょう」

10分そこら歩くともう1つ小さいビーチが見えてきた。こちらは湾のようになっているので流れや波がなく安全そうだ。

友「こっちのビーチもキレイじゃん」

男「まぁ崖1つ挟んでるだけだからな...でも流れが無い分少し水質は悪そうだな」

幼「こちらも充分キレイですけどね」

友「んでこの目の前にコテージが...あったあった、これだ」

目の前に現れたのは立派なコテージ....ではなくただの一軒家....

はぁ?

友「さぁお邪魔しy男「ちょっと待てコラ説明しろ」

幼友「ただの民家にしか見えない....」

幼「なるほどですねぇ...何となく把握できました」

話の中では立派なコテージが俺達を出迎えてくれるはずだったのだが、実際に現れたのはホントに平凡で一般的な民家だ。

友「ここは師範の知り合いが仕事の関係で借りてる借家なんだとよ。でも普段は全くと言っていいほど使ってないから俺達に貸してくれるんだって」

幼友「じゃ、じゃあこのチケットは?」

幼「おおかた最寄り駅や目印でしょうねぇ。ここに来る途中このホテルを見つけました」

男「だから真っ先にこの状況を把握出来たのか...まぁホテルの案内なのにコテージって言ったりしてたから変だとは思ったけど」

友「そゆこと。まぁ俺も実際ここに来るまでどんな所か知らなかったから許してぇな」

男「別に不満はねぇよ。泊まれるだけでありがたいもんだ。いろはもいるしな」

いろは「コーン♪」シッポフリフリ

幼友「そうよね、タダで泊まれるんだからむしろラッキーよね」

「「お邪魔しまーす!」」

幼友「使ってないわりには随分キレイね」

友「ここの持ち主が俺達の為に掃除してくれたんだって。中の物は自由に使っていいってよ」

男「冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機完備か...すげぇな」

いろは(なかなかいいところね♪気に入ったわ)

9本の尻尾をフリフリしながらいろはが室内を見回している。
うっとおしいなおい。

男(どうでもいいけどお前ずっと狐でいるつもり?)

いろは(基本的にはそのつもりだけど、どうしたの?)

男(いや、その状態で海入られたら乾かすの大変だなーって)

いろは(置いていくって選択肢が無い辺り優しいわね...やっぱりツンデレ?)

男(分かった、首輪に繋いで玄関に放置するわ)

いろは(あら~?こんな美少女に首輪を付けるだなんて、あんたよっぽど独占欲が強いのね)

男(美少女って...狩猟対象が何言ってやがる...んで、結局どうなんだ?)

いろは(さすがに海では人型に戻るわよ。皆には裏の山で遊ばせてるとでも言っておいてね)

男(それはいいんだが、お前巫女服で海入るつもりか?)

いろは(それも大丈夫。天界に居る時に奴から水着の式紙貰ったから)

男「ならいいんだが...」

幼「何がですか?」

男「ひょぅっ!?」

幼「びっくりしすぎですよ」クスクス

幼「もう早速海に行くみたいですよ?」

男「そ、そうか。じゃあ行こう」

マジビビった...
気を抜くと声出して喋っちゃうんだよなぁ。ホントに気を付けよう。

あと、いつの間にか人型に変わって腹抱えて爆笑してるキツネはマジで許さねぇ...

夏だ海だ行ってきます

男「とりあえず浜には着いたけど...」

見渡す限りの人、人、人
なんでこう皆水辺に集まんだよ。
お前ら全員ハリガネムシに寄生されてんじゃねぇの?

友「とりあえずおじさんがいる海の家行くぞー。そこなら無料で使っていいってよ」

男「あぁ、師範の知り合いって人か。タダってのはありがてぇな」

幼友「そうね。お世話になってるんだから挨拶もしないとね」

幼「それはいいのですが...いろはちゃん知りませんか?」

男「...あいつなら宿の裏山に走っていったよ。山が恋しいんじゃねぇの?」

友「おい、それって大丈夫なのか?」

男「へーきへーき。腹減ったら帰ってくるよ」

幼「それならいいのですが...」

ちなみに本当のことを言うと、

いろは(うわっ、人多っ!!)

男(海水浴シーズンだしな...ってかお前はもう着替えてんのな)

俺の隣で水着姿になってます。

いろは(んー、このヒラヒラ邪魔なんだよねー。取っていい?)

男(いや知らんけど...取れるのそれ?)

いろは(普段着ならとれるんだけど...あのアホがなんか呪縛かけてるっぽいのよね。脱げないわ)

男(あぁ...神様の趣味か...)

しかしいろはに水着はよく似合っていた。
首に掛けるタイプの白いビキニに、下も白地にうっすらと波模様が書かれたパレオ。
こいつは体型がスラッとしているのでパレオがとても似合っている。
正直どストライクでした。はい。
どストライクなんだけどね...

いろは(マジヒラヒラじゃまー。ってか尻尾もホントはなくしたいんだけど...暑い。あのアホ本気で帰ったら覚えておきなさいよ)

男(...)

いろは(...何よその残念そうな目は)

男(お前もう喋んなきゃいいのに...)

いろは(はぁ!?どーいう意味よそれっ!!)

友「おい男?」

男「ん?あぁ悪い悪い、ボーッとしてた。あれ?あいつらは?」

友「先にこの海の家に着替えに入ったよ。俺達はとりあえず挨拶しとこうぜ」

男「そうだな。色々世話になってるしな」

この時俺は完璧に忘れていた。


タダより高いものは無いと。

~一時間後~

友「いらっしゃいませ!!何にします!?」

客A「えーっと、じゃあ焼きそばで!」

客B「私もそれ下さい!」

友「焼きそば2つですね!!800円になります!」

友「男ぉ!!焼きそば2つ!急いで!!」

男「今死ぬ気で焼いてんだろぉがぁ!!こちとら一人でやってんだぞ!?」ジャージャー

幼「男君、追加で焼きそば3つお願いします」

男「うそ...誰か...誰か事情許さば拿捕曳航されたし...」ジュージュー

幼友「ごめん。結構無理ゲー...かき氷2つお待たせしました!」ガリガリガリガリ

??「お?盛り上がってるねぇ!」

男「盛り上がるわけねぇだろアホが!やっぱりこういう事だったのかちきしょう!」

友「ってか男はこのおっさん知ってるの?」

男「いや...初めてあったけど初めてじゃ無いっていうか...」

幼「友君、遊んでないでお客さん捌いて下さい」

友「い...いつの間に並んで...」

そう、俺はこのおっさんを知っている。

??「ガハハ!そりゃイケメンと美女が働いてりゃいい客引きになるわ!」

本来なら俺が20歳の時、師範の紹介で初めて知り合う予定だった。

男「このくそインストラクターが...」

俺を将来プロダイバーまで育てあげるおっさんダイビングインストラクター。
今も未来も変わらぬ暑苦しさ。

イン「おぉ?男、ソースがなくなりそうだぞ?」

男「気付いたならてめーで持ってこいハゲ」

とりあえずこれだけ

遡ること10分前~

友「なんで海の家の更衣室って中途半端に狭いんだろう」

男「独特な臭いもするしな」

しかもここにウェイウェイノリのリア充(笑)大学生共が集まるとかなりイライラする。
ほんと大学生ってウェイウェイとかウィンウィンとか2回続く言葉好きすぎだろ。

男「とりあえず着替えたぞ...なにその格好?」

海パンに着替えると、そこには見慣れないTシャツを着た幼と幼友、大爆笑しているいろはがいた。
...嫌な予感がする。

幼「とりあえず二人ともこれを着てください」

男「いやちょっと意味分かんないです」

....そして今に至る


イン「いやぁー悪いな!今ちょうどバイトが誰も入ってなかったから助かるぜ!」

幼友「いえいえー、こちらこそ宿を提供してもらってますし」

イン「この時間帯は混むんだよ!流石に一人じゃ対処できなくてなぁ!」

友「まぁ少しなら全然働くけどね」ガリガリガリ

男「....ぜってぇ許さねぇ」ジュージュー

ひたすら焼きそばを焼く...
焼きそばを焼くってなんとなく違和感があるな
頭が頭痛で痛いみたいな感じで。
日本語的にゃー間違ってないんだが...
まぁどうでもいい。

俺の後ろではいろはが退屈そうにかき氷を頬張ってる。
お前それちゃんと買ったんだろうな?あと座りながら足パタパタさせるんじゃありません。

男(おい、いろは?暇だったら海で遊んでてもいいぞ?)

いろは(あれま珍しい。いつもだったら手伝えーって殴りかかってくるのに)

男(殴りかかってはねぇだろ...流石にこの状況じゃ下手なことはできないしな。待ってんのも結構疲れるだろ?)

いろは(んー?別にへーきよ?無駄にこの炎天下のなか一人で出たくないだけよ、他意は無いわ)

男(?まぁお前がいいならいいんだけどよ...)

男「やっと終わったぜぇ....」

友「なんか俺達こんなんばっかやってる気がする」

ただ宿の代償としての強制労働がやっと終わった。
さすがにお昼時を過ぎれば少し落ち着くみたいだ。

イン「おまえらおつかれさん!もう自由にしてていいぞ~」ポイッ

そう言っておっさんは缶コーラを投げる。

男「サンキュー、正直喉カラカラ」

イン「あと帰るとき声かけろ。宿まで送ってやるし途中で夕飯も買った方がいいだろ?」

友「あー、それはかなりありがてぇっす。頑張ったかいがあったな」

幼「やりました」

幼友「上々ね♪」

いろは(...なんか今のセリフ聞いたことあるっぽい?)

男(神様提督かよ...あとお前も侵食されてるっぽい)

この神様絶対プロデューサーとライバーもやってるだろ...

友「海だぁぁーー!!!」

幼友「海だーー!!!」

幼「海だー!」

男「...4時間前から見てるけどな」

友「こういうのは気持ちなんだよ!」

幼「そうですよ男君、しっかり声だしてください」フンスッ

え?俺が悪いの?

海の家のTシャツを脱ぎ、水着姿が露になる。
幼友はフリフリが付いた黄色いビキニタイプ。高校生らしいっちゃ高校生らしい水着だ。
そして幼はサーフパンツの下に海用の黒いレギンス、上にはフード付のラッシュガードを着ている。
小柄な幼は無理してビキニを着るよりこういったスポーツタイプの格好の方が似合う。
マジかわいい。

幼友「めっちゃ海綺麗!青い海!白い砂浜!」

幼「さすがに気分が高y男「それ以上いうな」ガシッ

幼「ふぁいふふんへぇふはー」モゴモゴ

友「水着のちゃんねーがいっぱい...ここが楽園だったか」

男「同じくらい男もいるけどな」

友「んでも、結構声かけ待ちの子っているんだろ?」

男「知らねぇよ、だったらナンパでもしてこいよ」

友「俺にそんな勇気はない。ちなみに愛もない」

男「アンパンマンよりボッチじゃねぇか」

友「友達はいるよ!?目の前に!?」

男「はいはい今度お薬増やしましょうねー」

幼「男君、そんなもの放っておいて海入りましょう」スタスタ

男「おー、じゃあ行くかー」スタスタ

幼友「待って!いま浮き輪膨らましてるから!」

友「納得いかねぇ...」

いろは(...)

男(どうしたいろは?海入らねぇの?)

いろは(はぁ!?そんなこと一言も言ってないでしょ!?)キッ!

男(お、おう...そんな怒んなくてもいいだろ...)

いろは(あ、ご、ごめん...なんでもない)

幼友「きゃっ!冷たっ!」

友「夏の海ってもっと暖かいと思ってた」

男「近所の渓流よりましだろ。ちょっとあがればイワナがいるってかなり冷たいぞ」

幼「そうですよ。こんなんで音をあげないでください」

男「...さっきから思ってたんだけど、お前そんなに海好きだったっけ?」

幼「ぶっちゃけ現地につくまではワクワクを隠してました。でも今はこの溢れんばかりの熱いパトスを塩水にぶちまけたいです」

男「ごめんよくわかんなかったわ。ってか何がお前をそこまで動かすんだ?」

幼「恥ずかしい話ですが食欲です」

男「?!」

幼友「ちょっと友!早く捕まえなさいよ!」

友「無理に決まってんだろ!」

幼「男君、あれなんだか分かりますか?」

男「んぁ?どれどれ...」

ってボラじゃねーかよ。なんかすげぇがっかりしたわ。
魚を全く知らない人からすればボラは大きいしThe魚!って感じだから受けがいいんだけど
逆に釣りしてる人とかだとボラを見ただけで舌打ちする。
その辺にいっぱいいるし臭いし不細工だしどうしようもねぇ。
でも逆にボラは見つけやすいから女の子と海行ったときとかにあれボラっていうんだよーとか言うとちょっとだけ盛り上がる。ホントにちょっとだけど。

男「ボラだから別に珍しくないぞ?」

幼「食べられますか?」

男「食えないこともないけど...あんまり美味しいとは聞かないな」

幼「...チッ」ブンッ

友「うおっ!なんかめっちゃでかい海藻が飛んできたんだけど!?」ビクッ

なにこの子お腹すいてんの?
ちょー怖いんだけど。

男「にしても...ホントに気持ちいいな」

幼「男君、幼友ちゃんと一緒に泳いできていいですか?」

男「あーいいぞー、俺も後で行くからー。あの岩の向こう側には行くなよー」

幼「はーい♪」
男(さてと...そういやいろははどこ行ったんだ?)

少し探すと海を前にオドオドしているいろはを見つけた。

男(何してんのお前?)

いろは「ひゃうっ!?って男じゃない!脅かさないでよ!」

男(脅かしたつもりはないんだが...お前もしかしtいろは「泳げるに決まってるじゃない!」

男(まだなんも言ってねぇ...ってか別に意地張る事じゃねーだろ)

いろは「別に意地なんて張ってないし!」

男(はぁ...いいかいろは?確かに海は楽しいが同時にすげぇ怖い場所でもあるんだぞ?俺達は水中で生きる術を持っていない、ちょっと溺れるだけで簡単に死ねるんだ。だからお前みたいに海に対してきちんと恐怖心を持ってる事は大切なんだぞ)

男(かといって怖がりすぎもよくないけどな。でもちゃんと知識をつけてスキルを習得する、そうしていけば怖いどころか何倍も海を楽しむ事ができんの)

男(だからお前の感情は恥じるものじゃねぇ。ちゃんと教えてやるからさ、ちょっとずつ楽しみを見つけていこうぜ?な?)

いろは「...なんか胡散臭いんだけど」

男(...これでバイトしてたからな、ってかそういうこと言うな)

いろは「って言われてもね...あたし別に水は平気なのよ、川で泳いだりしてるし」

男(まぁ猫ってわけじゃないからな、イヌ科だし)

いろは「そういう問題じゃないでしょーが」

男(でも知ってるか?イヌ科ってネコ目イヌ科なんだぜ?)ドヤァァ

いろは「...で?」

男(はい、スンマセン...)

男(じゃあまず海に馴れるか。せっかくだからスノーケルやってみ、おっさんが貸してくれたし)

いろは「んーでもこれが邪魔で泳げないかも」ピラ

男(あーパレオか...そうだな)

そういや神様って一応こっちの世界見てるんだよな。
過干渉できないからいろはを寄越してきたけど。
じゃあ多分...

男(おーい!こいつのパレオとってやってー!!)

いろは「ちょ、なにいきなり大声出してんのよ。大体誰にむかって...」ハラッ...パサッ

いろは「...」

男「...」

いろは「こ...このド変態がぁぁ!!!」

男(なんでだよ!?泳ぐために取ってやったんだろうが!!)

いろは「それでも取り方ってもんがあるでしょーが!!」

男(それは上のバカに言えぇぇ!!)

生まれて始めて神様を馬鹿呼ばわりした
反省はしていない。
つーかまさかとは思ったけどホントに通じたよ。

いろは「んで?どうすればいいわけ?」

男「まずマスクに曇り止めを塗ってから水で一回だけすすいで...」

~その頃~

幼「フォフォイファファファフィフ」ガフガフ

幼友「うん、分かったから一回シュノーケルとって。なに言ってるか全然わかんないから」

幼「すごい魚いっぱいいます!」

幼友「名前が分かんないのが悔しいわね...」

幼「あ!?なんかすごいのいます!」

幼友「え?どこ?」

幼「ふぉっふぃへふ」スノーケルクワエ

幼友「ちょ、幼!そっち行っちゃダメな場所じゃ!」



幼(せびれがヒモみたいに長いさかな!今まで見たことないです!)パシャパシャ

幼(もうちょっとで追い付きそうですが...)

魚 ギューン

幼(あぁ...行っちゃいました...)

幼(気付けば結構来てしまいましたね。男君に怒られる前に戻らなければ)パシャパシャ

幼(....)パシャパシャ

幼(...あれ?全然進んでない気が...むしろ流されてる?)

幼(...ちょっとよくないです)








男(まぁこんな感じで遊んでれば大丈夫だろ)

いろは「へー、やり方さえ分かれば楽しいわね。他に気を付けることはないの?」

男(そうだなぁ...こういう海水浴場で気を付をつけるのは流れとかかな)

いろは「流れ?」

男(そ、“リップカレント”って知ってるか?日本語で言うと        離岸流だ )


行き当たりばったりだからのんびりやるよー
エタりはしないから安心して
今日はここまで
また明日かもしれないしそうでないかもしれない

男(おー見てみろいろは。オヤビッチャがくさるほどいるぞ)

いろは「なによオヤビッチャって...」

幼友「男っ!!」ゼェハァゼハァ

男「あ?どうしたそんなに慌てて」

幼友「幼が...幼...が」ハァハァ

男「いいから落ち着け。呼吸を整えろ。はい吸ってー...5秒止めてー...5秒以上かけてゆっくり吐いてー」

幼友「...ふぅ...はぁ」

男「おっけー、それで全力疾走までしてどうした?」

幼友「幼が!幼が戻ってこれない!」

男「戻ってこれない...?」

戻ってこれないってどういうことだよ。
戻ってこないってことではないんだろ?
ってことはどこにいるかは分かってるけど何らかの理由で戻れない...
友も一緒にいるからチンピラってわけじゃないだろうし...となると...


男『あの岩の向こう側には行くなよー』

幼『はーい』


男「あのバカっ!流されやがったな!!」ダッ

いろは「ちょ!どういうことよ?」ダッシュ

男「あのアホ離岸流にのまれやがった!岩のむこうは地形的に流れてたはずだ!」

幼友「え?いきなりどうしたの?」ダッシュ

男「こっちの話!!」ガー!!

幼友「へぅ!」ビクッ

いろは「お、落ち着きなさいよ」

男「落ち着いてるよ!焦らず急いでんの!」

幼友「あそこで友が待ってる!」

男「了解!...っと、あれか。まだそんな離れてないな...」

浜からキチンと確認できる距離に幼がいる。
幼は流れに負けんと手足をばたつかせて必死に泳いでいる。
あれはまずい...

友「すまねぇ男!俺が行ったら一緒に流されちまうと思って...」

男「ナイス判断だ友!偉いぞ!!」

よくある話だ。助けに行った人が一緒に流されたり溺れたりで死んでしまう事がよくある。水上、または水中での救助は正しく行わなければ巻きぞいをくらう。
見捨てろとは言わないが素人が手を出していいものではない。

男「ライフセーバーはどした!?」

友「それが...」

友が指差す方を見ると、水上バイクにエンジンをかけようとしている。が、なかなかかからず苦戦しているようだ。

男(あー、そういうパターンか...それじゃあ...)

浜の端よりに一本のボードが立て掛けてある。
そのボトム(底側)には赤くLIFE GUARDの文字。

男「お借りします!!」ダッ

友「おい男!?」

ボードのストラップをしっかりと握り、海へ駆け出す。
目の前に遊泳客はいない、clear
速度を落とさないよう海面を滑らせるようにボードを着水させ、ニーパドル(膝立ち)の姿勢で飛び乗る。




???「」ニヤッ

幼(ハァ...ハァ...)バシャバシャ

幼(スノーケルだと...苦しいです...もう...体力が...)バシャバシャガバッ

幼(むり...です...ごめんなさい...男...君)バシャバシャ

幼「...おと...こ..」ガボガボ

男「支援艦隊が到着しました」

幼「!?」ガバッ!!

男「ったくお前は...だから岩の向こう側にゃー行くなって言ったろ?」

幼「...お..とこ?」

男「しかもスノーケルも外しやがって、お前は溺れるやつの典型かっつーの」

幼「男ーー!!」ガバッ!

男「あーはいはい、ちゃんと連れて帰ってあげるからボード揺らさないで、マジで」

幼「怖かったよー」ウェンウェン

男「ん、もう大丈夫。帰るぞ」

幼「うん...でもどうやって」グスン

男「ボードにタンデムする。俺の前にうつ伏せで乗って。あ、頭は前ねー。んで俺がケツにあご乗っけてパドリング(手で漕ぐ)するから」

幼「これは...少し恥ずかしいですね///」

言っとくけどホントだからね?
俺がわざとこうしてるわけじゃないからね?
こういう救助法なんだよ?

???「さすが拙者が見込んだ男でござるwww
こうも容易く死神のシナリオを書き換えてしまうとはwww」

???「でも今回の件で完璧にばれたでござろうなぁ...」

???「そうねぇ、やっぱりあなたの仕業だったのねぇ生神」

生神「...仕業とはこれまた言い掛かり甚だしいでござるよ死神殿wwwなんの事かさっぱりでござるwww」

死神「そ、なんでもいいけど私の仕事の邪魔はしないでね。すべての死は等しく万人に降り注ぐんだから」

生神「...本当に等しいのならば...ね」ボソッ

死神「...なに?なんか言いたいことでもあんの?」

生神「いえいえ~。とにかくこの件に関して拙者は無関係でござるwww」

死神「ふんっ...白々しい。そっちがその気ならこっちも考えがあるから。それじゃあ」ファサッ

生神「...八つ当たりヤキモチ女が...本来なら裁きを受けるはずだか巧妙に隠してやがる...
男君も大変だねぇ~神に惚れられちゃうなんて」

生神「おっと!いけないいけない!そろそろイベント開始の時間でござるwww今回のためにバケツも資材もたっぷりと貯めておいたですぞwww」コポォ

王道は正義、異論は認めない
それでは抜錨してきます

~~~~~




男(少年)『ねー?どうして君は泣いてるの?』

???『...あなただれ?』グスン

男『僕?僕は男だよ!君は?』

???『...---』

男『へぇー!---ちゃんっていうんだ!よろしくね!』




男「ーーー!」ガバッ!

男「夢か...なんか...懐かしい夢だったな」

はっきりとは覚えていない、まだ父さんも母さんも生きてた時の話だ。
山の中で迷子になって歩き回ってたら、同じくらいの年の女の子を見つけた事がある。
あの子は無事に帰れたんだっけ...?

男「...今気付いた、死ぬほど喉が乾いてる」

辺りを見ると幼、幼友、友がフローリングの上にくたばっている。みんな海ではしゃいだおかげで疲れてるみたいだ。

幼をピックアップした後は簡単だった。
流れに逆らわず横に逃げ、カレントから抜け出したら浜に戻るだけ。
その後ライフセーバーと少し話をし無事が確認できたので大事にはならなかったのが救いだ。

宿舎に戻ってからは倒れこむように寝たらしい。

男「~♪」ガラガラ

冷蔵庫からコーラを一本取り出し、ベランダへむかう。
閉めた窓に寄りかかりながら片手で缶のプルタブを開けた。
...そういえばこの動作を練習したのもこの頃だったっけか
男子であれば誰もが通る道だろう。

男「この時期だと18時を過ぎても全然明るいな」

目の前の海から心地よい風が流れてくる。
こうしてベランダでボーッとしてるとここに飛ばされる前の自分を思い出す。
あの時片手に持っていたのはタバコだったが...

いろは「ただいまーっと」シュタ

男「おまっ、どこから来たんだよ...ここ2階だぞ?」

いろは「ちょーっと上司に呼ばれてね」

男「なんかあったのか?」

いろは「少しまずい事になったわ。あんたの存在が死神にバレたっぽいのよね」

男「...それってうんこまずくねぇか?」

いろは「うんこかどうかは知らないけどまずいわね。でもむこうもそんなに大きくはでられないはずだわ」

男「大きくでれないっつっても...殺しにかかってきてんだろ?」

いろは「うん...あいつが言うには今日の一件も死神の仕業みたいなの。水上バイクのエンジンがかからなかったのはそのせいだって」

男「なるほど...でも俺が助けに行くこと位分かるはずだろ?それは考慮しなかったのか?」

いろは「それはあんたが本来ここにいる人間じゃないからよ。あんたの中心で起こる出来事は神の導きじゃなくて今のあんたが作り出してるの。それはこの時間軸にとってのイレギュラー的存在であるあんたにしかできない」


いろは「だからこそ死神は手を出せないの。あんたのシナリオに沿った出来事で幼ちゃんの命を絶つ事はできるけど、あんた自身の動きは誰にも予測できないし制御できない」

男「水上バイクのエンジンは止めれたけど、俺自身は止められなかったっつーのは...そういうことか?」

いろは「理解が早くて助かるわ」

だからこそ俺がこの世界に呼ばれたわけか...




夕焼けの空をクマゼミの声が包み込む。



運命の日まで後1ヶ月をきった。


少しは進んできたかな
今日はここまで

~次の日~

男(なんか目が覚めちまったな)

男(時間は...うへぇ、まだ5時前かよ)

男(普段だったら二度寝直行コースなんだが...まぁ折角海にいるんだ、釣りでもしてくるかな)

玄関にはインストラクターが使っていた竿があった。
それとバケツを掴み、早朝の漁港を歩く。

日はまだ出ておらず、水平線のむこうで空がうっすらと青白くなっているのが見える。

男(この辺かな...よっと)ポチャン

餌は堤防の壁に生えていたイガイ科の貝を石で砕き、針に付けた。

いろは「おはよー...朝から釣り?」

男「おう、朝マズメは貴重だぞ。...起きたのはお前だけか?」

いろは「あたしはあんたが起きると目が覚めちゃうのよ。心が繋がってるようなもんなんだから」

男「そうなの?そりゃ少し悪いことしたな」

いろは「別にいいわよそのくらい。んで?これからどうするの?」

男「そうだなぁ...一応考えはあるんだけど確証がねぇ」

いろは「...そういうことね。でも現状それに賭けるしかないんじゃない?」

男「勝手に人の心読むのやめて。なんにせよあと一ヶ月は守りぬかないと。バックアップ頼むぞ」

いろは「当然」

垂らした糸がピンと張る。
ぐぐっと海底へ引きずり込まれるテンションをうまく合わせ、そのまま一気に引き上げた。

男「いっちょあがり...オオスジイシモチか」

いろは「ねぇ、あそこにイセエビいるんだけど」

男「...」チラッ

イセエビ・サザエ・アワビ等の採集を禁止する

男「...」

幼友「んー...おはよー」

幼「台所からすごくいい匂いがしますね。お味噌汁ですか?」

友「そー言えば早朝に誰かが外に出ていった気が」ガラガラ

男「おう、お前ら起きたのか。味噌汁できてんぞ」

幼「わー!ありがとうございます男君んっ!?」

幼友「ん?どうしたの幼んっ!?」

友「お前...これどうしたの?」

男「これか?漁港で拾った」

友「いや、拾ったっつーk男「なるほど、友君は味噌汁いらねーってことだな?」まぁ拾うよな。ばりばり拾うわな」

幼「すごい立派なイセエビですね!」

男「ヘー、コレッテイセエビッテイウノカー。シラナカッター。幼ハモノシリダナー(棒」ナデナデ

幼「えへへ///そんなことないですよぉ///」デレデレ

幼友「いやそこで喜ぶのはおかしい」

いろは(...なにしてんだか)ワクワク

大変長らくお待たせいたいしました。
年末年始はなかなか忙しくて...
許してください何にもしませんから。

まぁこんな感じで再開です。
今年中に終わらせられるように頑張ります。

幼友「それで?今日はどうするの?」

友「こっちのビーチで遊んでみようぜ!」

男「昨日の場所と違って湾になってるからな。俺も安心ではある」

幼「男君!このお味噌汁めっちゃ美味しいです!」ズズッ

男「...よかったね」ナデナデ

友「じゃあこれ食い終わったら早速行こうぜ!」

幼「はぅ~、エビがプリプリです~」プリプリ

幼友「昨日の水着乾いてるかな?」

男「若干湿ってるかもしれんが、まぁ気にすんな」

友「しゅのーけるしたい!しゅのーける!」

男「わかったからちょっと黙れ。バカっぽいぞ」

友「ひどい!?」

幼「男君!」

男「...なに?」

幼「タコはいますか!?」

男「...全力で探します」

幼「やりました」

いろは(...カオスね)

~海~

友「すげぇ!ウニがいっぱいあるぞ!」

幼「鎧袖一触です」

男「やめなさい。捕まるぞ」

幼友「男ー?これなに?」ブニッ

男「ナマコを素手でいきなり鷲掴みできる女子はそういないぞ」

幼友「あれ?さわっちゃだめだった?」

男「いや、全然オッケー。むしろ俺はそういう女子好きだぞ」

幼友「なっ!なに言ってんのよいきなり!///」ブンッ

友「ヒットォ!?」ベチン!

男「見事な流れ弾だなっいてぇ!?なにやつ!?」ゴツッ

幼「...れるもん」

男「へ?」

幼「私だってナマコくらいさわれるもん!!」ブンッブンッ

男「わかった!そのヤキモチは非常にかわいいけど投げてるモノがかわいくない!サザエ投げたらヤバイから!固いから!刺さるから!」ヒュンヒュン

幼「男君なんてシジミに噛まれて死んじゃえー!」ウエーン!

男「どういうことだ...」

幼友「あーあーいじけちゃったー」

友「何でもいいけど投げつけられたナマコから紐っぽいものがいっぱい出てきたんだけど。めっちゃキモいんだけど」

幼友「あらホント。キモいわね」

男「確かにキモいな」

幼「さすがにドン引きです」

友「うん。ナマコのことだよね?何でみんな俺の目を見て言ってるの?」

男「ほら幼、タコ探してやるから元気出せ」

幼「...たこ焼きがいいです」

男「なら後でいくらでも買ってやるから。な?」

幼「いやです。男君が捕まえて下さい」

男「たこ焼きを!?」

男「じゃあ俺たちは飯適当に買ってくるから。席とって待っててくれ」

友「なんかご所望のモノはあるー?」

幼友「海といったらカレーかラーメンよね。どっちにしようかしら...」ムムム

幼「どっちも頼んで二人で食べましょう♪その方が色々楽しめます」

友「りょーかいー。じゃあ行ってくる」

男「カレー、ラーメン、アメリカンドック、たこ焼き、焼きそば...このくらいはすぐ食っちまうか」

DQN1「なーおばさん!早くしてくんねぇかなー?」

DQN2「っつーかマジ遅くね?客待たせるとかダル」

友「あちゃー...やっぱり海だといるんだな」

男「いかにもって感じだな。むしろまだこんなにあからさまやつが存在してたとは」

DQN1「やっとかよ。おいマジかよ、なんだこの安っぽい飯!これであの値段とか詐欺だろ!」

DQN2「まぁまぁDQN1クン。こういう不味そうな飯を食うのも醍醐味っしょ?」

DQN1「あーそれな!わかるわー!」

男「あいつら...これ以上問題おこさなきゃいいけど」チラッ

友「...」

男「さて、飯は無事に買えたけど。幼達はどこに座ったんだ...あ」

席を見渡すと男4人組に絡まれてる女の子2人が目にはいった。
というよりあれって...

DQN1「ね~君たち~。二人で来たの~?」

DQN2「折角だから一緒にご飯食べようよ♪奢るよ?」

幼友「連れがいるので間に合ってます」

DQN3「そんなつれないこと言わないでさ~」

DQN1「そーそー!一緒に楽しいことしようぜ!な!」スッ

DQNの一人が幼の肩に手を添えようとした瞬間、その手が弾かれた。

幼「...さわるな汚い。お前らと話すことなんてない。失せろ」

...やべぇ。ちょー怖ぇ...
やっぱり幼母の娘なんだよな、あんな啖呵男でもなかなか切れないぞ。

あとDQN君達。そろそろ引かないとこっちの我慢も限界っぽいよ?

友「...」

DQN1「おぉ!気の強い系女子!?いいよいいよ!大好きだよ!」

DQN4「じゃあこっちの子は気が弱い系女子か!怖くないよ~。だから震えないで~」

幼友「幼...」

幼友は普通の女の子か。少し怯えているようだ。
にしても、あいつら引き際をわかってないな。


もうしーらない♪

友「...」ブチッ

友「お待たせー二人ともー!」

幼友「友!」

DQN4「は?なんだてめぇ?」

DQN2「もしかして君達の言ってた連れってこいつら?センスねー!」

DQN3「悪いことは言わないから俺達と一緒においで!こんなやつらと一緒じゃつまんないでしょ?」グイッ

幼友「きゃっ!」

男「...」








友「」ガシッ

DQN3「あ?なに腕つかんでんだてめぇ?」

友「...ねーお兄さん達。頼むからその手を離してくれないかな?」ミシッ

友「頼むよ」ニコニコ バキバキバキ

DQN3「がぁ!?腕が!!」

DQN1「てめぇ!離せコラ!」ブンッ

友「」ヒョイ スッ 

DQN1「んごっ!?」ズドンッ!!

男「おー、綺麗に掌底がはいったな」

DQN1「ん...く..」

掌底をくらったDQNはその場でうずくまりえずく。死戦期呼吸のように口をパクパクさせている。

DQN2「てめぇ!」ブンッ

飛んできた蹴りを掴みとり、そのまま仕返しと言わんばかりの蹴りを脇腹に叩き込む。

友「」ドスッ!

DQN2「くっ...う...」

友「よっと」ズパンッ!

とどめの右上段回し蹴りがDQNの側頭部にヒットした。

DQN3「くそが!!」

デカイ図体をしたDQNが友に掴みかかろうとするが、友はそれを上手くいなし、相手の腕と首を掴んだ。

友「ん」スッ

DQN3「?!」ズドォン!!

男「...払い腰か。しかも頭を地面に叩きつけたぞ」

死んでねぇかなと少しDQNに同情する。

幼「男君!」

男「ん?おっと」ヒョイ

DQN4「くそっ!」ブンッ

男「友には勝てないとふんだか。ナイス判断」ドスッ

男「でも真っ直ぐ突っ込むとこうやって膝で合わせられるぞ?」

DQN4「くふぅ...ぐっ..」

友「ほら君達立てるでしょ?あぁそこの気絶してるのは担いであげてね。友達なんでしょ?これ以上お店に迷惑かけないのー」

~~~

「「いただきまーす!!」」

あの後DQN達は自主的にお帰りしていただいた。
正直あれ以上もめるのも面倒なので。

幼友「幼が喋ったときはホントにちょっとゾッとしたわよ」

男「さすがあれの娘だなーって思ったわ」

幼「えへへ~///」

幼友「いや誉めてないでしょ」

男「怖くはなかったのか?」

幼「すぐに男君達が飛んでくると思ってたので大丈夫でしたよ?」

男「飛んでったのは友だったけどな」

幼友「さすが師範の一番弟子ね」

男「あいつにもいいとこあるだろ?」

幼友「そんなの知ってるし」

男「ほ~?」ニヤニヤ

幼「これはこれは」ニヤニヤ

幼友「あっ...違う!これはそんなつもりじゃ!」

友「おい皆!おばちゃんがかき氷御馳走してくれるってよ!かき氷だぜかき氷!!」

幼友「ふんっ!」バキッ!

友「ありがとうございますっ?!」

~夜~

友「肝試ししよーぜ!!」

男「...は?」

いきなり何を言い出すんだこいつはと思ったが、回りは案外乗り気のようで。

幼「いいですね!楽しそうです!」

幼友「でもどこでやるの?近くにあった神社?」

友「今更この面子で神社に行っても面白くねーべ?もっといいとこがあるんだってよ!」

男「この近所にそんなのあったか?」

友「昼飯食ってるときに聞いたんだけど、漁港の裏に小さい道があって、そこを真っ直ぐ進むとデカイ廃墟があるらしいぜ」

幼友「デカイ廃墟って...もしかして病院とか?」

友「いやー?なんか学校の宿泊施設だとよ。新しいのができてからずっと放置されてんだってさ」

男「へー、まだ取り壊されてないのか」

幼「肝試しにもってこいですね」

友「っつーことで、飯食い終わったらレッツゴー!!」

幼友「いいから早く米を炊け」

男(ってことなんだけど、今のところはどう?)

いろは(特に問題は無さそうね。全員ちゃんと色がついてるし)キツネモード

男(前、友の事故の時もそれ言ってたけどよ。色ってなに?)

いろは(そのまんまの意味よ。もうすぐ死ぬなーとか、デカイ災厄が訪れるなーっていう人間を見ると、色が薄くなったりモノクロになってたりするの)

男(へー。それで未来を予測すんのか)

いろは(そんなに大したものじゃ無いわよ?このままだと危ないから少し気を付けよーぐらいのことだし)

男(それで十分)

友「男ー!そろそろ行こうぜ!!」

男「おーう」

いろは(じゃあいきましょうか)ドロンッ ヒトガタ

男(なんか感じたらすぐ教えてくれ。なんか嫌な予感がする)

いろは「あら?野性児の第六感かじら?」

男(...そんなところだ)

友「ホントにこの道真っ暗だなー。狭いし」

幼友「ほとんど山道ね。ライト無かったら危なかったわ」

幼「結構歩きましたけどまだですかねー?」

男「あー、あれじゃねぇか?」

目の前に現れたのはかなり大きなコンクリートの建物。学校のような構造をしていて、所々窓ガラスが割れている。
何て言うか...全体的に暗い。吸い込まれそうになる暗さだ。

幼友「...想像してた3倍増で怖いんだけど」

友「すげぇな。逆に一個だけ街灯があるのもこえぇ...」

幼「こんな山のなかなのに結構大きい施設ですね」

男「学校の宿泊施設だもんな」

男(どうだいろは、なんかいるか?)ギュッ

男(...ギュッ?)

いろは「...」ガクブルガクブル

横を向くと俺の腕にしっかりとしがみついているいろはがいた。お前怖いの苦手なのかよ...

男(お前...普段神社で暮らしてたんだからこういうの平気なはずだろ?)

いろは「神社にはちゃんと神様が納められてるから全く怖くないわよ...。こういう多くの人が寝泊まりしてた場所ってのは建物自体に記憶が写りやすいのよ」

男(あー、いわゆる感情とかが染み付きやすいってこと?)

いろは(しかも集まってたのは子供と先生...もう最悪よ)

男(子供はナチュラルに残酷だし、先生は結構黒いからな)

友「おーい、空いてるとこあったぞー」

男「え?入んの?」

幼「当たり前じゃないですか男君!折角来たんですよ?」

幼友「なんであんたはそんなにテンション高いのよ...」

男「...」チラッ

いろは「」ガクブルガクブル

男(はぁ...とちあえず俺から離れるなよ)

いろは「」コクコク

友「結局なんにも無かったなー」

幼友「出てきたら出てきたで困るでしょうが...」

中は以外と綺麗にされていて、特に何か起こるようなことも無かった。

幼「楽しかったです」フンスッ

男「まぁ何事もなくて良かったじゃねーか。これ普通に住居不法侵入罪だからな?問題おきたら大変だぞ?」

友「まじ?人住んでなくてもダメなの?」

幼友「え?あんた知らなかったの?」

友「だってみんなあんまりコソコソしてなかったからさー。男だって後ろの方でずっと笑ってたじゃんかー」

男「...は?俺は一回も笑ってねぇぞ?」

友「ん?」

幼友「...」クビフリ

幼「...」クビフリ

友「あれー?おっかしーなー?」

男(お前聞こえてた?)

いろは「だからずっと耳塞いでたじゃないの..」ゲッソリ

友「じゃあそろそろ帰ろーぜ」

幼友「そ、そうね、もう、もう用はないんだし」

幼「早く行きましょう」

男「ほら夜道なんだから走らないの」ガサガサ

友「ん?今その林から音が...」

幼「鹿とかじゃないんですか?」

男「どうだろう...」

少し近付こうとしたとき、いろはがすごい勢いで肩を叩いてきた。
なんだよと思い振り替えるといろはが俺のことを指差している。

いろは「あんたの色が薄くなってる!!」

今日はここまで

コイツは今なんと言ったのだろうか?
俺の色が薄くなってる?
ははは...なにそれワロエない。

友「ん?なんかいるぞ?」

幼友「ほらやっぱり動物じゃない...もうびっくりさせ...て...?」

幼「ぼーっとしてるところ失礼しますが男君。えまーじぇんしーです」

男「あ?............あ」

元学校施設の道を挟んで反対側。生い茂るアズマネザサを掻き分けてあらわれたのは、ある意味クマよりやっかいな野生動物。

いろは「...イノシシねぇ」

...もぅマヂ無理。

ニホンイノシシ、S. scrofa leucomystaxとは、鯨偶蹄目、イノシシ亜目、イノシシ科、イノシシ属の哺乳類で、日本で見られる大型野生動物の一つである。
積雪2mを越す豪雪地帯から暖かい九州、更にはそこから泳いで離島に上陸するなど、奴らのタフネスさには目を見張る。
性格は荒く、自動車と衝突すれば車が大破。たとえ足の1,2本飛ばされようとも走るのをやめず、追い立てる猟犬は牙で引き裂き、何発スラッグ弾を食らわれようとも突撃をやめない。

まさに猪突猛進。

その姿は知波単学園のような脆さは感じられず、ポルシェ・ティーガーがクルセイダー並の早さで突っ込んでくるようなものだ。
なにそれ怖い。

男「一番最悪な出会い方しちまったな...90kgぐらいかな、かなりでかい」

もしかして俺イノシシに殺されるの?やだー...

イノシシも驚いたようで、立ち止まったままずっとこちらを見ている。
対するこちらもしゃべってる間は目をそらさない。そらしたら...やられる。

幼「こちらが先に気付けたのならそっと立ち去れますし、向こうが先に見つければ勝手ににげていきますもんね」

本来野生動物はすべて臆病なのである。クマにしろイノシシにしろ、人間との接触を嫌うものである。
大体動物絡みで事故が起こるときは、偶発的に突発的なエンカウントをしてしまった場合だ。

友「おっと...これは予想以上に動けないな...おい幼友、大丈夫か?」

幼友「あ...は...」

幼「幼友ちゃんがパニック起こしてます...まずいですね」

マジかー...
あれ?でも待てよ?

いろは「なにこれちょーピンチじゃない...あんたに死なれたら私なにされるか...」

男(ヘイいろはー。色薄くなってんのって俺だけ?)

いろは「...そういえばそうね。あんただけよ」

男(ってなると襲われるのは俺だけ...なら)チラッ

男「幼、イノシシから目を逸らさずゆっくりと来た道を戻れ。友は幼友を抱きかかえてくれ。んで、俺が合図したら全力ダッシュな」

幼「...分かったです」

友「おう。ほら幼友、悪いけど抱きかかえるぞ」

幼友「...」ガクガク

幼と友(装備つ幼友)がゆっくりと離れ、いい感じの距離まで下がった。
イノシシはというと、予想通り俺から目を離さない。

友「おいおい、なんで男のやつこっちにこねぇんだ」

幼「...」

男(もうそろそろいいな...いろは、俺が合図したら俺の体に憑いてくれ)

いろは「いいけど...流石に逃げ切れないと思うわよ?」

男(だいじょーぶ。逃げないから)

いろは「...は?」

男「いくぞ」

いろは「ちょちょちょちょ待って!ちょー待って!!どゆこと!?」

男「今だ!逃げろ!!」

友「はぁ!?おい男おわぁ!?」ドンッ

幼「全力で逃げますよ友くん」ダッダッダッ

友「でも男が!!」ダッダッダッ

幼「男君なら絶対大丈夫です。なので今は逃げることに専念しましょう」

友「っ...!くっそ、幼友ダイエットしろ!」ダッダッダッ

幼「それ正気の状態で聞かれたらはり倒されますよ」ダッダッダッ

男「今だ!逃げろ!!」

いろは「え?コレ合図なのね!?もうどうなっても知らないから!!死んだら呪ってやるぅ!!」ヒュッ

俺の合図といろはの憑依、そしてイノシシの突進がほぼ同時に起こった。

男「なろっ!!」ダンッ

全力で後ろに飛ぶ。いろはパワーのおこげでイノシシとの距離が少しとれた。
でもイノシシは猛スピードでこちらに突っ込んでくる。

いろは(ほらもう来るじゃない!!ばか!アホ!!)

憑依中にあんましゃべんな、頭がずきずきするわ。
何も考えずに後ろに飛んだわけじゃない。
ここはもと学校施設。イノシシを撃退できる道具が捨てられてあるのを俺は覚えていた。

この技はイノシシが真っ直ぐ、尚かつ超近距離で突っ込んで来たときのみ使える。
条件はそろった。物も手に入れた。
細工は流々、仕掛けは上々、後は...

男「仕上げを御覧じろってなぁ!!」バサァ!!

イノシシ「!!??」ズサァァ! ダッダッダッ...

イノシシは半分コケながら急反転し、林の中に猛ダッシュで逃げていった。

男「...逃げてくれたか」

いろは「...あれ?...助かった...の?」

男「まぁな...ってかお前、いつの間に俺から抜けたの?」

いろは「いや、さすがに死ぬ体に入ったままだとあたしもただじゃすまないから」

男「要するに逃げたって事ですかそうですか...」

いろは「あはは...ごめんって、それにしても...なにそれ?」

男「ん?あぁ、ただの傘だよ。ポイ捨てされてあったやつ」

いろは「そんなんでイノシシが逃げるんだ」

男「かなり条件縛りがあるけどな。そろっちまえばかなり有効だ。突っ込んできたら至近距離で思いっきり開いてやる、そうすると驚いて逃げていくわけだ」

いろは「へぇ...ほんとすごいな...まだ生きた心地がしないわよ」

男「お前は真っ先に逃げたけどな」

いろは「だからゴメンって...さぁ、幼ちゃん達が待ってるでしょ。早く戻るわよー」

男「あ、おい...まぁいいか」

とりあえずまた冷蔵庫にめんつゆコップを仕掛けておこうと心に固く誓った。



話が全然進まないZE!!

えー...たいへん長らくお待たせいたしました。
忙しかったわけではなく、何となく書く気が起きなかった1でありますが
ぼちぼち再開していきます。ごめんちゃい

あーあれね、傘のやつ真似しないでね。一応ホントにあれで撃退できるけど。
失敗して足無くなっても責任とんないからね!

あとみんなのコメントうれしかったよ!ありがとう!
コメントあるとがんばって書かなきゃなって思うから。よろしくね!

これからも行き当たりバッタリでその場その場のお話作りが続きますが、
みなさん暖かい目で見守ってくだちい。

友「ハァ...ハァ...もう...ほとんど戻ってきたな」

幼「幼友ちゃん大丈夫ですか?」

幼友「うん...ごめんね、迷惑掛けちゃって」

幼「ううん。大丈夫ですよ。みんな無事でよかったです」

友「迷惑掛けられたのは俺だk」ブスッ!「イッタイメガー!?」

幼「呼吸も落ち着いてきたのでそろそろ宿に戻りますか」

友「イテテ...いや待て、男がまだ戻ってきてないだろ」

幼友「そういえば...男は大丈夫なの?」

幼「大丈夫ですよ~。あそこには傘が捨ててあったのできっと無事ですよ~」

友「...ん?傘でイノシシと戦うのか?」

幼「そんな無謀なことするのは脳筋の友くんだけですよ~」

友「俺海来てから色々がんばってると思うけど...」シクシク

幼友「はいはい、分かってるからいじけないの」

幼「ほぉぉぉぉ??」

幼友「...」ビシッ

幼「ふにゃ!?」ペシッ

男「お前らまだこんなとこにいたのか」

幼「おかえりなさい男君♪」

友「うわっ、ホントに生きてた」

幼友「いろはも一緒だったのね」ナデナデ

いろはキツネモード「コーン♪」スリスリ

男「んじゃまぁ帰りますか」

幼友「最後の最後で大変な目に合ったわね...」

友「もうヘトヘト...帰ったら寝る」

幼「でも楽しかったですね♪」

男「そうだな。また来るか」

ーーーー翌朝・駅

友「送ってもらっちゃってすみません」

イン「がはは!こんくらい気にすんな!」

幼友「ホントにお世話になりました」

男「むしろお世話してたのは俺達だけどな...」ボソッ

イン「いやー、わるかったわるかった。でもほんと助かったぜ!サンキューな!!海しかないような所だけどまたいつでも遊びにおいで」

幼「絶対また来ます」フンス

幼友「そしたらまたあそこに泊めて下さいね♪」

イン「おう!まかせとけ!」

友「それじゃあお世話になりました!!」

男「じゃあなおっさん」

幼「ほらいろはちゃん、ちょっとの間ぬいぐるみになってね」

いろは「コーン...」グデーン

ーーーー

男「ただいまー」

いろは「コーン♪」

ババ「おかえり。ちょっと焼けた...か?」

男「いや何その疑問形」

ババ「もともと焼けてるからあんまわからんて...幼ちゃんは?」

男「そらもちろん家戻ったけど?」

ババ「じゃあ今頃幼母にクンカクンカスーハースーハーされてるんか」

男「なにそれエロい」

ババ「いろはちゃん潮で毛がベタベタじゃないかぃ。風呂湧いてるから二人で入っておいで」

男「あー、そういえば昨日疲れて風呂入ってねぇや」

ババ「うっわ。きたな」

男「何日も山に籠もってる奴に言われたくねぇ。ほらいろは、行くぞ」

いろは「コーン」(はーい。正直ベタベタで気持ち悪かったから助かるわ...あ、男。風呂上がりのビールを冷やしておいてちょうだい?)

男(ぬかせ小娘。お酒は20歳になってからだ)

いろは(ハッ、全くお笑いね。私が神の眷獣になってから何百年経ってると思ってんの?)

男(ほぉ、つまりロリババァだと?)

いろは(...ロリっていう見た目じゃないと思うけど)

男(お、おう...まさかそこで冷静に返されるとは思わなかった。ジンジャーエールで我慢しろ)

いろは(やたっ♪)

やっと海が終わった...
やっと帰ってこれた...

初見紫煙
幼馴染+狐巫女とか超俺のドストライク
続き期待

2年と4ヶ月か…

ババ「今日は餃子だぞい」

男「ほーい。あれ?ラー油は?」

ババ「あれま、もしかして切らしてた?悪いけど買ってきてくれ」

男「りょーかい。他は?」

ババ「特に」

男「うい。サイフとってこなきゃな」

男「おーい、いろは。買い物行くぞ」ガラガラ

いろは「へ?この時間に?もうご飯できたんじゃないの?」

男「ラー油が無い」

いろは「....まさかそれだけ?」

男「それだけとはなんだ。ラー油のない餃子なんて赤シャツのない稲葉と同じだぞ」

いろは「あー...いや、なんで納得しかけてんだあたし」

男「もしくはミスターのいないどうでしょう班」

いろは「それは死活問題」

いろは「んで、行くのはいいけどどうやって行くのよ。スーパーまで歩けなくもないけど少しめんどくさいわよ?」

男「カブがある」

いろは「玄関横に停まってるやつ?あれ動くの?」

男「たまにばーさんが使ってるから平気だろ」

カチャ ババババババババ

男「おし行くか。早くケツ乗れ」

いろは「ちょ、ちょい待って。あたし巫女服でカブにタンデムすんの?」

男「いけるでだろ?」

いろは「いや厳しいから...着替えてくるから5分待って」

男「40秒で支度しなぁ!」

いろは「だから5分待ってっつーの」

男「...3分間待ってやる」

いろは「ぶっ飛ばすぞ」

いろは「お待たせ」

男「なんやかんや3分以内じゃんってお前、それ俺のジャージじゃん」

いろは「仕方ないでしょ。あたしの着替えはバカから貰った水着の式紙しかないんだから」

男「今さらだけどずっと巫女服で暑くないのか?」

いろは「あの巫女服は神具と同じだから、着ている部分は暑くも寒くもないわ。汚れもしないし」

男「ほー、便利なもんだ」

いろは「でもこっちの方が何となく楽ね」

男「そりゃジャージにTシャツだからな」

いろは「んじゃとっとと行きましょ。お腹空いたし」

男「一応肩か横っ腹掴んどけな。無駄に多い尻尾巻き込むなよ。行くぞー」ガチャ ブロロロロ...

男「ただいまー。ほいラー油」

ババ「おかえり。ありがと、もう準備できてるよ」

男「じゃあ早速食べるか」

「「いただきまーす」」

いろは「あ、あたしの方が一個餃子多い。やったね♪」

男「よっぽど食い意地張ってるようにみえたんだろ。ばーちゃんラー油取って」

ババ「はいよ。ついでにあたしのにも入れといて」

いろは「あーあたしのにもー」

男「へいへい。...あれ、出ない」

いろは「はぁ?ちょっと貸してみなさい。これはここのボタン押さないと出ないのよ」プニッ

男「だから押してんだけど出ないんだって」

いろは「あれ?くそっ、なんでっ、出ないのよっ」プニップニップニッ

男「新品だから詰まってんのか?振ってみれば?」

ババ「二人とも麦茶持ってきたよ...何しとる?」

男「いやいくら押してもラー油がでねーのよ」

ババ「中蓋取った?」

「「あ......」」

夕焼けに染まる山々を、ハシボソガラスの鳴き声が包み込む。


あまりにもありふれた光景すぎて
あまりにも普通に馴染みすぎて

俺達は重大な事を見落としていた。


いろは「白米おかわり!」

ババ「はいはい。いっぱいあるからね」ニコニコ

男「太るぞ」

いろは「るっさい」

>>504
イシガメ進行だけどゆっくりしていってね
>>505
もうそんな経つのか...
今年の夏には終わらせたい

男「~」カチャカチャ

いろは「男ー…あれ?何してんの?」

男「この前カブのフロントフォークがオイル漏れしてんの見付けたから直してんの」

いろは「へー、自分で直せるもんなのね」

男「店に頼むと結構高いからな。まぁ構造も単純だしガキの頃から弄ってたし...よし、シールも付け替えたしオイルも入れた。後は取り付けだけだ」

いろは「もう終わりそう?おばーちゃんがそろそろ昼飯だから呼んでこいってさー」

男「あー分かった。片付けたらすぐ行くって言っておいて」

いろは「はーい」スタスタ

男「~」カチャカチャ

男「...ん?呼んでこいって言われた...?」

男「...」ガラガラ

ババ「お?ちょうど終わったか。とっとと座りな」

いろは「今日はラーメンだって!ちょー美味しそう!」

ババ「いろはちゃん、悪いんだけどお水持ってきてもらっていいかい?」

いろは「はいはーい」パタパタ

男「...おかしくね?」

明日絶対続き書くから許して

男(いやいやおかしいでしょ。何で見えてんの?え?てか見えてんの?)

いや、おかしいと思う場面はいくつかあった。キツネが居間で寝てんのに食わずに放置したり、
最近にいたっては食器類が3つ揃ってたり....いや気付けよ俺、気付かれてんの。

男(こういうとき肝心のいろはは...)チラッ

いろは「...」ジーーー

男(夏休みになると何故かやってる学校の階段シリーズに夢中っと...)

こういうときどうすりゃいいんだ?
っつーかこれ大丈夫なん?バレたりするとまずいんじゃ...

ーーーーー

狐娘「ただあまりにもとの運命から遺脱した行為をすると流石にばれるわよ」

男「...バレるとどうなる?」

狐娘「全事象の運命が貴方を殺しにかかる。勿論幼馴染もね」

ーーーーー

男(死んじゃう!?俺もしかしてピンチ!?)




???「せいかーい」

男「!?」ゾクッ!!

...なんだ今のは
ここにいたらまずい気がする。
逃げないと。

男「」ガタッ

いろは「へ?」

ババ「...」

幸い縁側が開いてる、そこから外へ逃げ出せば...

ガラッ

男「あ?」

時間が止まったようにハッキリと見えた。
視界に入ったのは落ちてくる降り鬼瓦と...カラス?

っていうか瓦直撃コースだな。
あーマジか、体が動かねぇ。...死んだな。




ババ「はい」カチャ

バァンッ! パリンッ!

いろは「きゃ!?」

男「うおっと!?」

頭上にあった瓦が粉々になる。
12番スラッグ弾を発射した上下二連式散弾銃の照星が、次の獲物を狙う。

バァンッ!

ババ「チッ...あのカラス避けたんか」

いろは「なに!?何事!?」

いろはの存在がバレた事がバレ、死にかけた俺だが。

ババ「流石にもう届かない...ライフル準備しとけばよかったねぇ」

なんて事はない。そんな運命すら簡単にぶち壊す人が仲間になっただけだった。

ババ「男、大丈夫だったかい?」カッチャン カランカラン... 

いろは「え...あたしのこと見えてるの?」

男「見えてるし普通に会話してたじゃねぇか...気付よ」

いろは「う、うっさいわね。でもそういえば最近私のお椀も準備されてたし...」

男「んで、ばーちゃんはいつからいろはに気付いてたわけ?」

ババ「来た初日から分かってたよ。じゃなきゃ家にキツネなんていたらすぐ食っちまうよ」

男「確かに...」

いろは「知らないうちに生命の危機が救われてたのね...」

男「んでもなんで気付かないふりなんてしてたわけさ」

ババ「そうだねぇ。なんか二人とも必死になって隠してたし、わるいかなぁって」

いろは「気を使われていた!?」

ババ「んでそろそろ気付かないふりすんのも面倒くさくなってきたってことよ」

男「要するに飽きたのね...」

男「でもいいのかよ?こんな正体不明の巫女服着たイタイ奴家においといて」

いろは「よろしい、ならばクリークだ。その間抜けな顔にAcht-Achtぶち込んでやるから表に出なさい」

男「お前...ぶち込むとかドスケベすぎるだろ...このエロギツネめ!!」

いろは「ぶっ飛ばすわよあんた!?なんであたしが罵られてんのよ!!」

ババ「まぁこんな感じで害もなさそうだし、二人の会話は見てておもしろいからねぇ。それにこのあたりで九尾のキツネって言うと村の神様だから、追い出すなんて滅相もないんだよ」

ババ「深くは聞かないけどあんた、その子に守られてるんでしょ?」

男「...」

ババ「あいさつが遅くなってごめんねいろはちゃん。この子の事、どうか見守ってやってください」

いろは「...はい、頼まれました!」

ババ「何もない田舎の民家だけど、おいしいごはんくらいは出してあげれるから。自分の家だと思ってのんびりしてね」

いろは「ありがとうおばあちゃん!」ダキッ

男「そんなん言わなくてもコイツは無遠慮にだらけまくってるぞ」

いろは「しゃらっぷ。そういえばあたしは神様の使獣なのよ?もっと崇め奉りなさい!」

男「なにどこぞの駄女神みたいなこと言ってんだよ...ってかそういえばってお前も忘れてたのかよ」

ババ「あ、そうだ男。さっき撃った弾代請求しとくからね。スラッグ弾」

男「くそぉ...よりによって高い方を...」

ババ「銅弾だからよろしくね」

男「マナーいいなぁおい、もっと高くなったじゃねぇか...いや、民家でぶっ放してる時点でマナーどころじゃなく捕まるんだけどさ」

ババ「それで助かったんだからよかったでしょ?」

男「まぁ感謝してるけどさ」

いろは「すらっぐ?」

男「スラッグ弾っちゅーのは散弾の口径で撃てる一粒弾のこと。鹿とかイノシシの大物猟で使われる。外見は普通の散弾だけど、中に親指くらいのでかい弾が入ってる」

いろは「へぇ、じゃあ銅ってのはその弾が銅で出来てるってこと?」

ババ「一般的には鉛なんだけどね、最近鉛弾のせいで鉛中毒おこす鳥が増えてるからなるべく銅性のつっかてるんさ」

男「ただ国内で流通してないからやたらと高いんだよ...」

いろは「あぁそういうことね。命に比べたら安いじゃない」

男「」プチッ

いろは「な、なに」ガシッ

男「大体ああいうのはおめぇが予測しなきゃいけねぇんだろがぁ!飯に夢中になりやがって!俺が死んだらどないするつもりじゃったんだぁ!!」グリグリグリグリ

いろは「あぁぁぁぁいたいいたいいたいぃ頭ぐりぐりやめて!!えぐれる!!しぬ!!」

ババ「まぁまぁその辺にしときんさい。そもそも自分の身は自分で守れと教えたはずだよ」ジロリ

男「うっ...ウィッス」

いろは「いてて...死ぬかと思った。でもおかしいなぁ、さっきまで男の色は全く変わってなかったけど...」

ババ「...カラスがいた」

いろは「え?」

男「あ、俺も瓦が落ちてくるときカラス見たわ」

カラスという単語を口にした瞬間、いろはの目つきが変わった。
顎に手をやり、何かを考え始める。

いろは「カラス...ね。なるほどなるほど」

男「なんか関係あんのか?」

いろは「今のところなんとも言えないわ...ただまぁ少し心当たりがあるから調べておくわね」

男「お、おう...」

こいつのこんな真剣な顔はじめて見たかも。

幼母「おい銃声聞こえたけどどうした?」ヒョイ

幼「男君大丈夫ですかー?生きてますかー?」ヒョコ

男「君たち塀を乗り越えてくんのやめようか。玄関から入ってきなさい」

ババ「二人ともいらっしゃい。心配いらないよ、ただの暴発」

幼母「いやただの暴発も心配なんだが」

幼「あぁ!らーめんだ!おいしそう!!」

男「忘れてた。とっとと食わないとのびちまう」

ババ「二人とももう飯食べたかい?」

幼母・幼「「食べたけどラーメンは別腹です」」

ババ「じゃあすぐゆでてくるからちょっと待ってな」

幼「はーい♪」

幼母「悪いなばーさん」

午後一の蝉の鳴き声は力強く、先ほどの銃声などもうかき消してしまったようだ。
あっさりと迎えた最大の危機も、我が家のLethal Weaponによって事なきを得ることができた。
今俺がこうしてラーメンの湯気を眺めることが出来るのも、運命のいたずらに文字通り撃ち勝ったおかげである。

これから先、目の前でウキウキとラーメンを待っている女の子に先程のような危機が必ずきてしまう。
そのとき俺はどうすればいいのだろう、どうするのが正解なのだろう。

何ができて何ができないかまだ分からないけど。
今は二人のラーメンが出来上がるまで待つことにしよう。


いろは「ハフハフ...ずるるるるるる」

男(そこはみんなが揃うまで待ってろよ!?)

いろは「え?だってのびちゃうし」フーフー

男(いやそうだけど...お前...はぁ)

とりあえず今日は色々あって疲れた。
ラーメン食ったら風呂入って寝る。

今日はここまで。
またいつの日か。

続きまだかー?
待ってるけど、もう夏来ちまうぞ

忙しいのか、それとも諦めてしまったのか、めんどくさいのか
どれにしても自分を含めて待ってる人がいるから早く続きが読みたい

蒸し暑い真っ昼間の縁側で寝そべりながら本を読む。
これが10年経つとクーラーガン効きの部屋でスマホばっか弄るようになるわけだ。

よくよく考えたらめっちゃ不健康な生活してたな俺。
社会人になるとどうしても単調な生活リズムになってしまう。
結婚して子供でもいればまた別だったんだろうが...

男「結婚ねぇ...」

一区切りついた読書を止め、屋根の先に見える大空を仰ぐ。
この前落ちてきた瓦はすぐに師範を呼んで直して貰った。ちなみにいろははその事で上に報告することがあると言って今日は不在だ。
んで瓦の修理だったんだが...修理自体はすぐ終わった、だがそのまま幼親子と師範とばーちゃんとで一杯やることになり...

ねぇなんで君達は一杯って言ってんのにいっぱいやっちゃうの?
幼は一回ビール置け、未成nうわ何をするやめr

男「あー...未成年だと何かと面倒だなぁ」

ビールも飲めなきゃ辛口日本酒も芋焼酎も飲めない。
...ホントに呑んでないよ?ホントホントウソツカナイ。

そういえばタバコも吸ってねぇ...まぁどのみち村のタバコ屋にアークロイヤル売ってるとは思えねぇしな。

男「今は麦茶で我慢するか...」


読書中ずっと側にいてくれた麦茶のコップを持ち上げると、結露した水で床に水溜まりができていた。

もう氷もほとんど溶けてしまったが、暑さでやられた喉を潤すには十分すぎる。

幼「男くーん!」

男「おう。とりあえず塀乗り越えて来んならスカートはやめなさい」

幼「...?」

男「いや、何言ってんだコイツみたいな顔されても」

幼「見たいならいつでも見せてあげますよ?」

男「悪いな、パンツは故意に見せられた瞬間パンツではなくなるんだおいおいスカートあげんなやめろしまいなさい」

幼「えー?パンツじゃなくなるんじゃないですか?」

男「んな分けあるか。まごうことなきパンツだったわ」

幼「...かぶる?」

男「かぶんねーよ!!」

幼「あれ?おばあちゃんがいませんね?あといろはちゃんも」

男「ばーちゃんは鳥獣被害対策の許可捕獲で山行ってるからいないぞ。いろはは山ん中だ」

幼「そうだったんですか~。そういえばお昼はもう食べましたか?」

男「いや、食べて無いけど...なに?作ってくれんの?」

幼「お腹すいちゃったなー」

男「...」

幼「...お腹すいちゃったなー」

男「分かったよ!作ればいいんでしょ!?」

幼ヽ(*´∀`)ノ

男「ほい、お待たせ」

幼「おー!美味しそう!なんですかこの茶色い丼ものは?」

男「ごはんの上に目玉焼き乗っけて豚肉と玉ねぎを炒めたやつ乗せてお好み焼きソースとマヨネーズをガッツリかけた肉ソース丼だ」

幼「おぉ...なんという高カロリーでしょうか」イタダキマース

男「前何かのテレビで見て一度作って見たかったんだ」イタダキマース

今日はここまで
リハビリがてらだから地の文多め

>>539
>>540
まさかまだ見てる人がいるとは思わんかって
遅くなってすまん。

俺「10年後の8月に完結か・・・」

男「そういえば今日は何用?どっか行く?」

幼「そうでした!お母さんからホタルがいっぱい見れる場所を教えて貰ったので、そこへ行こうかと」

男「ホタルかぁ...この時期だとヘイケボタルが若干残ってる程度だと思うけど、そんなすごいの?」

幼「行ったことが無いので分かりませんが...これが場所です」ペラッ

男「どれどれ...」

差し出された紙には手描きで地図がかかれていた。
おいおい、何で等高線までしっかり書かれてんだよ、
国土地理院かっつーの。

男「っていうかここあそこじゃん。前に幼と遊び行ってゲンゴロウ捕った池」

幼「えーっと?あの人工池ですか?」

男「あーそっちじゃない。そっちにゃ成虫がいたけどこっちでは幼虫しか見てない」

幼「じゃあ投網投げたらぶりーぎるがいっぱい入ってた池ですか?」

男「ブルーギルな。そっちでも無くて...ほら、キンブナとギンブナいたじゃん?」

幼「分かりました!あのチョウトンボが飛んでたとこですね!畑に囲まれてる」

男「もっと山ん中だ。鹿防止金網開けて入るとこ」

幼「去年男君が落ちたとこですか?」

男「え?俺落ちてたの?」

幼「オニヤンマ追っかけて一緒にドボーンしたじゃないですか~」

男「あー、そんなこともあったようななかったような...」

幼「出発は夜ですか?」

男「いや、夕方のうちに出発して日の入り前に到着位がベストだろ。あんま遅くなってもホタル光んねーし」

幼「そうなんですか?」

男「日暮れ直後位が一番光ってるぞ。だから飯は帰ってからだな」

幼「はーい」

男「あと多分ばーさん帰って来ないから、お前ん家で夕飯食うわ」

幼「じゃあお母さんに言っておきますね~」


今日は以上ー

>>550
それだ!

カチャ ブロロロロ...

男「とりあえず金網まではカブで行くぞー」

幼「はーい♪じゃあヘルメット持ってきますね~」トテトテトテ

男「しかし..夕方になっても暑ぃな...」

少し先に目をやると、道路の上の陽炎が視界を歪める。
頭上にはトンボが飛び周り、田んぼの隅にはホウネンエビが群れ、セミは爆音を鳴らしていた。

幼「お待たせしました!」

男「おし、じゃあ後ろ乗れ。出発すんぞー」

幼「はーい♪」ギュッ

気を抜いたら倒れてしまいそうな暑さの中、背中から伝わる温もりだけは心地よかった。

男「とうちゃーく」キュッ

幼「ここから歩きですね。行きましょう!」ワクワク

男「おーい、歩くのはいいがメットは取ろうな」

幼「はわわっ、忘れてました」カポッ

男「あとは少し歩くだけだから。10分も掛かんないぞ」

幼「わわっ!?なんかオウムみたいな虫がいます!」

男「んー?オオヒラタシデムシの幼虫だよ。側溝とかにいっぱいいるぞ?」

幼「へー。ダンゴムシのお父さんみたいですね~」

男「ほら、もうすぐそこに池があるから。行くぞ」

幼「はーい♪」


夏って忙しいよねぇ...
来年の夏には完結させますorz

男「ここも懐かしいな」

幼「そうですか?確かに去年振りではありますが」

俺にとっちゃ10年振りなんだよ。
幼がいなくなってからめっきり外遊びもしなくなったからなぁ...

男「もうすぐで日の入りだが、さすがにまだ蛍はいないか」

幼「まだほたるんいないのん?」

それはほたるじゃなくてれんげだ。
ってかなんで知ってるの?知らないよね?

男「おぉーギンヤンマだ、綺麗だな」

幼「めっちゃ早いですね」

超低空飛行からの急上昇、急降下を繰り返すギンヤンマ。
こう見てると緑色の体色と相まって零戦みたいだ...っつーか烈風?
秋月型呼んでこないと捕まえられなさそう。

そういえばクレー射撃してたときに、構えた瞬間トンボが照星に留まってどうすればいいか分かんなくなった時あったな...ちょーかわいかった。

辺りが段々と薄暗くなっていき、林の中はほぼ暗くなってしまった薄明時。
セミも鳴き止み、風が優しく池面を撫でていく。

幼「あ!あの光ってるのホタルじゃないですか!?」

目を凝らすとうっすらと見える緑色の優しい光。
よく見ていないと見失ってしまいそうな弱い光だった。

幼「...なんだか弱々しいですね。一匹しかいませんし」

確かに今は一匹しか光っていない...でも...

男「まぁ見てろって、すぐに待ち望んだ景色が見られるから」

幼「ホントですか....ぁ」

生物界において、ある一匹の個体が動き出すとそれにつられて他の個体も同じように動き出す現象が度々みられる。
経験したことはないだろうか?スマホに夢中になり、気が付いたら空がうっすらと青くなりかけた頃。
一匹の朝を告げる囀り、それに続けと一斉に鳴き出す小鳥達を。
感じた事はないだろうか?いつの間にか一斉に鳴き出し、いつの間にかひっそり息を潜めるセミの爆音を。

それらを生物学では“同期現象”と呼ぶ。

最初は見落としてしまいそうな一匹の雫が、気が付けばすべてを飲み込む海流になって押し寄せてくるのだ。

男「ほらな、こんな風に」

幼「....!!」

目を開けば視界いっぱいに翠色が広がる。
何百ものホタルがお互いを照らし、自分の命を燃やしているのである。

幼「すごい...綺麗...」

男「こんだけすごいのは初めて見たな」

池面いっぱいに広がったホタルが、二人を包み込む。

幼「男君!ホタルが指先に留まりました!」

男「おー綺麗だな。どれ、俺も...」

手を差し出すと一匹のホタルが指に寄ってきた。
そしてそのまま....

幼「おー、私と同じ場所に留まってますねー」

男「おいおい...左手の薬指とか...」

なにこれめっちゃ恥ずかしい...
二人して左手の薬指で光ってるとかまるで...

幼「ホタルってよく見るとかわいくないですね。光ってなかったら害虫ですよー」

男「....」ワシャワシャ

幼「わーわー!なにするんですか!髪が乱れちゃいますよー」

男「いや....なんか幼が幼で安心した。」

このやろう...俺のなけなしの思い出を返せ...

男「じゃあ遅くなってもあれだからそろそろ帰るか」

幼「そうですね。あ、男君!」

男「んぁ?」

振り替えると翠色に囲まれた幼が微笑んでいた。

幼「また来年も...二人で来ましょうね♪」ニコッ

男「...覚えてたらな」

幼「もー、そういうこと言っちゃダメなんですよ?」

男「いやいや、お前には言われたくないわ」

真っ暗な林道を二人で歩く。

なぜか懐中電灯つける気にはならなかった。

~幼家にて~

男「ただいまー」

幼母「おう、お帰り。飯できてんぞ」

幼「わー、カレーのいい匂いです!」

幼母「今日は夏野菜カレーだよ」

幼「美味しそうです!」

男「おー、このナスめっちゃうまそうじゃん」

幼母「それお前のとこの畑から採れたナスだぞ」

男「秋ナスは嫁に食わすな、なんて言いますもんねぇ」

幼母「夏野菜だっつってんだろ!!」

あと7年がんばるかぁ...

ーーーー

男「....ふぁ」ガラガラ

ババ「おはよう」

男「おはよー。あれ?今日は山じゃないの?」

ババ「猟友会のじーさま方も疲れてるんだぃ。そんなしょっちゅう行けないよ」

男「あー...体力的な問題ね。そういえば師範は最近撃ってんの?」

ババ「なんか仕事が忙しいらしくて最近は来てないねぁ」

男「そっか」ピンポーン

ババ「こんな朝早くに誰だい?悪いけど見てきてくれ」

男「ほいほーい」

男「どちらさまっ...なんだ噂をすればってやつか」

師範「ガハハ!よぅ男!相変わらずしんく臭い顔しやがって!」

朝っぱらから暑そうな人がやってきた。
なんで朝からそんな元気なんだよ。

男「辛気臭いな。なんだよシンク臭いって、水垢凄そう...ん?獣の匂い?」

一瞬いろはかと思ったが、当の彼女は俺の部屋の押し入れの中で爆睡している。昨日帰ってきたのを確認してないので、夜中にひっそり帰ってきたのだろう。

師範「いやぁよ、最近俺の杉林にイノシシの痕跡があってな。放っておいてもよかったんだがそのうち村に降りてくると思って、箱ワナ仕掛けておいたんだ。んで朝見てみたらこうなってたって訳よ」

師範が乗り込んできたユニック付き2tトラックの荷台を見ると、恐らく体重70kg前後の立派な雄イノシシが箱ワナにかかっていた。

男「おー立派だな。んで?なんでうちに生きたまま持ってきたんですか?師範は銃持ってるでしょ?」

師範「それがよぉ、最近許可捕獲行ってなかったから弾買ってねぇんだよなぁ」

男「なるへそ...譲り受け帳の弾数越えたんですか?」

師範「いや、300発で申請してるからそれは大丈夫だ。射撃用の弾は余ってるんだけどなぁ」

男「いや、スラッグじゃないとダメでしょう。そもそも射撃用で申請した弾で獣撃ったら、目的外使用でアウトですよ?」

日本では弾を買うのにも警察からの許可がいる。
この目的のために一年で実包をどれだけ買うという申請書を、使用予定表と一緒に提出しなければならない。しかも有料で。さらにこの申請は各目的毎に必要になるので、射撃と狩猟と許可捕獲をする場合には、三種類の申請書を警察に提出する必要がある。なので当然、狩猟のために買った弾を、許可捕獲で使用するといった事は禁止されているのである。

師範「ってなわけで、ばーさんに頼もうと思ってな」

男「おk。じゃあばーさんに呼んでくるわ」

居間に戻ろうとすると二階からちょうどいろはが降りてきた。

いろは「おはふぁ~はぅむにゅ」

男「なんて言ってんのか全然分からんがおはよう」

いろは「...あさからなんかさわがしぃよぉ...ふぁ」

男「あー色々あってな。とりあえずコーヒー飲むか?」

いろは「...のみゅ」

ほんと寝起きだけはかわいいのなこいつ。

男「ばーちゃん、師範が止め刺ししてほしいってさ」カチャカチャ

ババ「あれ?なんであいつ自分でやらないんだぃ?」

男「弾がねーだとさ」コポポ...

ババ「なるほどねぇ。ついでに電殺器の作り方教えてやるか。じゃあちっと見てくるよ」ヨッコイセ 

男「いってら」カチャカチャ

いろは「...すぴー」

男「ほら起きろいろは。濃いめのアイスコーヒー入れたぞ」

いろは「んぅ...飲ませて...」

男「おうこら金取るぞ」

男「んで?昨日はどこ行ってたんだ?」

いろは「この前の事をちょっと色々確認したくてね。クソ神への報告のついでに市役所行ってたのよ」

濃いめのコーヒーを飲んで目を覚ましたいろはは、服の裾で目元をごしごしと擦りながら言った。
っていうかなんで俺の服勝手に着てんだよ。お前神様の承諾がないと服脱げないんじゃ...あ、勝手に承諾してたのね。おい、いい加減目を擦るな。おへそ見えちゃってるでしょーが。

男「へー?あれ?でもお前他の人から見えないのに市役所行ってどうすんの?」

いろは「あたしが行ったのは人外用の市役所。
あんた達人間が作った市役所をカモフラージュにしてね。同じ場所でもそこだけは天界になってるのよ」

なるほど。2礼2拍手すれば入れんのかな。なにそれ素敵な喫茶店が出てきそう。んでキツネがワンって鳴きそう。

いろは「それで色々調べてもらったんだけど....この前あんたが襲われたのってカラスだったでしょ?」

男「いや、多分そうなだけで確信はねぇ。でも十中八九そうだと思う」

いろは「普通のカラスはあんなスピードで逃げれないし、スピード狂の鳥が集まる公園に行ってみたんだけど...そんな早いカラスは見た事ないし、いたら撃墜するって言ってた」

男「なにその公園、すげぇ怖い」

いろは「鳥界の大黒PAって呼ばれてるわ」

男「湾岸にはちと遠いがな」

いろは「んで、調べた結論から言うと...少し厄介な奴が紛れ込んでるみたいね」

男「...それはもしかしなくても死の神関連か?」

いろは「ご名答。彼女の使獣...八咫烏よ」

いろは「まぁぶっちゃけ誰だっていいのよ。つまりは彼女が本気を出して来たってこと」

男「なんで...なんで幼馴染にそこまで執着するんだ...」

いろは「...分からないわ。でもね、神様ってのはいつだって気紛れなのよ。それこそあなたを10年後から引っ張り出してくるうちのアホ上司のように」

男「...」

いろは「何を考えてるか知らないけど、あなたの願う事、するべき事は何も変わっていないのよ?ただ周りが少し小うるさくなっただけ」

いろは「過去は悔やんだ、未来も願った。じゃあ現在はどうするのかしら?」

そう言い放った彼女は、とても美しく、まさしく神獣であった。

男「...いろは」

いろは「カラスだがガラムだか知らないけど、あたしがフィルターまで吸って灰皿にポイしてやるわ。だからあんたは幼ちゃんだけを守ってればいいの。

あんたの事は、あたしが守ってあげる」

ははっ、そりゃガラムならそうしてやらんとな。

本当にこいつは...普段は食っちゃ寝ばっかしてるくせに...

男「いろは」

いろは「ん?」

男「...さんきゅ」

いろは「...いいえ~、お仕事なので♪」

そう言った口元には優しい微笑みが浮かんでいる。
頬が少し赤いのは気のせいではないだろう。

ホント、寝起き以外は可愛くない奴め!!

久し振りに本気出した

支援

支援

ーーーー男の家

友「焼肉食いてぇな」

男「...」

幼友「...」

幼「ッ!?」

友「...焼肉食いてぇなぁ!?」

男「いや聞こえてるから。なんなのいきなり」

友「あれ?以外と反応が薄い感じ?」

幼友「どっちかっていうと餃子の気分だったし」

男「そういう問題かよ」

幼「...ふっ、しょうがないですね」スクッ

男「お前は一回座れ。なにやれやれみたいな雰囲気だしてんだよ。めっちゃ笑顔じゃん」

友「なんかさ最近食ってねぇなーって思ってさ。折角だしバーベキューみたいな感じでやらね!?」

男「いや...やんのはいいんだけど、いつやんの?」

友「今から」

男「...道具は?」

友「ない」

男「...食材は?」

友「ない」

男「...どうすんの?」

友「どうにかしろ」

男「」イラッ

友「いででででで!!?うそうそッ!ごめんって!!」メキメキメキィ

男「幼、ちょっとそこの剣鉈取ってくれ。こいつ解体して肉にしようぜ」

幼「...」スッ

幼友「ちょっと待ちなさい。なにホントに渡そうとしてんのよ」ガシッ

幼「いえ、この際友君の肉でも良いかなと思いまして」

幼友「何もよくないでしょ...」

いろは(うるさくて起きちゃったけど...この状況なに)

友「はぁ...死ぬかと思った」

男「おう、殺す気だったからな」

友「おっと顔がマジだぞこいつ。近々俺が死んでたら男が犯人だからよろしく」

幼友「それで?どうするつもりなの?」

友「多分道具は師範に言えゃ貸してくれるだろ。問題は食材だが」

男「まぁ野菜は出してやる。肉も獣肉でよければやるよ」

友「問題が解消した瞬間である」

幼「どうせならいろはちゃんも連れて河原でやって、釣った魚とかも食べたいですね」

幼友「あーそれいいかも!あそこの川だったらヤマメとかいたもんね!」

男「だってよ友。釣れよ」

友「いいけど...お前のほうが適任じゃね?」

男「俺は釣りが苦手なんだよ」

友「そういえばお前が釣りしてるところあんまり見たことねぇな」

幼「男君は待てができない子なので釣りにむかないのです」

幼友「たしかに、言えてるわね」

男「動く釣り方も沢山あるんだが...どうもな」

幼友「その点友は結構釣りしてるもんね?」

友「師範がよく連れていってくれたからな。まぁ魚は俺ががんばるか」

>>592->>598
支援感謝
遅くなってすまん

----

男「....」ボー

あれからなんやかんやで準備を進め、必要最低限の荷物だけを持って河原にやってきた。
河原といっても渓流なので、山間の少し開けた場所でやることに。

男「...なんかあれだな、こう揺れる水面を見てるだけで心が洗われるな」

いろは「そうねぇ...なんだか洗濯機みたいだものね」

男「確かにそうだけど...その例えはどうなのよ」

いろは「だってそこそこ流れ早いじゃないここ」

男「そりゃ渓流だからなぁ...幸い治水工事が全然入ってないから上流に砂防ダムも無いし、護岸されてないから植生も豊富だ」

いろは「たまにチラッと魚が見えるわね...イワナ?」

男「どうだろう...ここまで下がってきたらいるかもしれんが。多分ヤマメかアマゴじゃねぇの?」

いろは「へぇ...とりあえずそれだけ魚はいるのね」

チラッといろはが釣りを担当している友と幼友に視線を送る。
ここから見ている限りでは、釣果はあまり芳しくないようだ。

男「...まぁ許してやれ、養殖と違って天然は釣りにくいらしいから」

いろは「そういうものなの?」

男「俺自身釣りはあんまりしないから分からんけど、そういう話はよく聞く」

いろは「でも同じ魚なんでしょ?そこまで違うのもの?」

男「やっぱ飼育下の魚と天然じゃ警戒心が違うんじゃねぇの?」

ひょいと小石を水面に落としてみると、ふらふらと泳いでいた魚が一瞬で岩陰に隠れた。

幼「薪割り終わりましたよ~っと、何かしゃべってました?」テトテト

男「あー、ついいろはに喋り掛けちまってな」ナデナデ

いろは「コーン」モフモフ

幼「わはー、なんだか渓流とキツネって合いますねぇ♪」

男「ところで釣班の方はどうだ?」

幼「あまりよくないみたいですねぇ。一応2匹は釣れたみたいですけど」

男「この時間から始めて二匹釣れれば上々だろ。俺は火の準備をしてくるから釣班を呼んできてくれ」

幼「りょーかいです」ビシッ テトテト

男「さて...火口はカラマツの落ち葉でいいとして...細枝が少ねぇな。いろは、ちょっとその辺から拾ってきてくれ」

いろは「いいけど...あの三人はどうするの?」

男「あの3人はまだ川でもみくちゃしてるから平気だろ。戻ってきたら適当に言っとくし」

いろは「じゃあ拾ってくるから。少し待ってなさい」

友「結局粘って3匹しか釣れなかったな...」

幼友「私なんて一匹も釣れてないわよ...」

幼「お二人ともお疲れさまです♪」

男「おー、おかえりさん。どうだった?」

友「全然だよ...ほれ」

男「そうか...もっと手っ取り早く捕まえる方法があったんだけどな」

幼友「なにそれ?そんな方法あるなら早く教えなさいよ」

男「まずバイク用のバッテリーを用意します」

友「おいこらその先は言わせんぞ」

男「なんでだよ。一発で大漁だろ」

友「一発で逮捕なんだよなぁ!?」

幼「そういえばいろはちゃんはどうしたんですか?」

男「んー?そろそろ戻ってくるとガサッ お、戻ってきた...か?」

友「おっと...これは野生の血が目覚めちゃったかな?」

幼友「なんかこう...すごいわね」

おいおい、俺は小枝を拾ってこっつったよな。
それがどうなったらこう...

幼「カラスって食べられるんですかね?」ジュルリ

いろは「...」フガフガ

カラス「」ピャー

男(...えー男よりいろはへ、現状を報告せよ)

いろは(フゴ...フゴフゴグェ)

男(なんで頭で会話してんのに口が詰まった感じになってんだよ...いいからはよ)

いろは(ング...拾った)

男(拾ったって...カラス拾うってお前...よく考えたらたまにあるな)

いろは(あるんだ...)

男(んで?どうすんのそれ?一応カラスも食えるけど...)

いろは(いやいや、こいつ足三本ある)

男(足三本って珍しい奇形だ...)

----

いろは『あんたが襲われたのってカラスでしょ?』

男『それはもしかしなくても死の神関係か?』

いろは『彼女の使獣...八咫烏よ』

----


男「あぁぁぁぁあぁぁぁぁ!?」

幼「ふぇ!?」

友「うぉいびっくりした、何でお前が一番驚いてんの?」

男「す...すまん、ちょっと気が動転して」

幼友「それで?あのカラスまだ生きてるけどどうするの?飼い主さん?」

男「あ、あーそうだなー。まったく一体どこで拾ってきたんだー。森に返してあげないとなー(棒)」

男「というわけで!俺はいろはと一緒にカラスを返してくるから!先にお肉食べて待ってて!」ダッ

友「お、おい...行っちゃったよ」

幼友「なんかすごい怪しかったけど...どうする?」

幼「どうでもいいのでお肉焼きましょう。お腹が空きました」

友「お、おう...それでいいのか幼馴染...」

男「ゼェ...ゼェ...この辺でいいか。それで、詳しく話してくれ」

いろは「詳しくも何も、枝拾ってたらこのカラスが呑気に寝てるのを見つけたから、拉致ってきたのよ」

男「なるほど...いや何も分かってないけどさ。とりあえず絵面がアニマルプラネットだから人型に戻ってくれ」

いろは「はいはーい...と、これでいい?」ボンッ

男「...コスプレした女の子がカラスの首を鷲掴みにしているシュールな光景になったでござる」

いろは「あんたも同じようにしてあげましょうか?」イラッ


男「それで?そいつは本当にあの八咫烏なのか?ってか生きてるのかコイツ?」

いろは「気絶してるだけよ。そもそも押さえつけて羽交い締めにしただけだし。というより最初から弱ってたわ」

男「弱ってたねぇ...こいつは人型にはなれないのか?」

いろは「使獣だし勿論なれるわよ。する?」

男「え?できんの?」

いろは「ちょっと待ってなさい」

いろはが気絶しているカラスに手を当てる。
優しい光がカラスを包み込んだ瞬間、大きくなった体がドサッと地面に落ちた。

男「うわマジだ...」

現れたのは黒い作務衣のような服に、地下足袋を履いた黒いショートカットの女の子であった。
一つ普通の人と違う点は、その背中に伸びているカラスの羽だ。

彼女は気絶している上に、人化の衝撃で少し服が乱れている。
っつーかこれ完全に...

いろは「おぉーっと!野生のポリスメンがっ!!」

男「てめぇ通報はやめろやぁ!!つか、おまえがやったんだろ!」

いろは「ヤッたとか...ごめんなさい、私ノーマルなんです」

男「知らねぇし、いらねぇよその情報...誰得だよ」

いろは「そっか、男はあれだもんね。うんうん良いと思うよ。あたしは気にしないからさ。友君と仲良くね」

男「ホモじゃねぇし。てめぇこの野郎犯すぞ」

いろは「野郎犯すだなんて...やっぱり!!」

男「だーっ!もういいんだよこの話は!!とりあえずこの子の服装の乱れを何とかしてくれ」

八咫烏「...目が覚めたらなんかやべぇやつに囲まれてるッス。貞操の危機ッス」


男「お、目ぇ覚ましたか」

いろは「とりあえずあんたには色々聞きたいことがあるんだけど」

八咫烏「え?え?なんで人型になってるッスか?どうなってるんスか?っていうかあんたは...あ」

男「ドーモ。カラス=サン。男です」

八咫烏「...」ダッ!!

いろは「あ!逃げっ...」

男「...」ヒュン!

ドスッ...パラパラ...

八咫烏「ぴゃー...」ヘタリ...

いろは「鉈って投げても木に刺さるものなのね...もう数センチでグロ画像不可避だったけど」

男「おいおい...そうはしゃぐなよ...」ユラァ...

男「また会えてうれしいぜぇ?」ニッゴリ

八咫烏(あー、ここでウチ死ぬんスね)

----

八咫烏「あのー、ほどいてもらえないッスかね?」

いろは「あんたが逃げようとするからいけないんでしょ?...にしても縛るの上手ね」

男「おう、ロープワークは得意分野だ」

いろは「それにしたって、もう少しまともな結び方は無かったの?女の子相手にガチで縛るって...色気も何もないわね」

男「相手は使獣だし念には念をな。ってか色気のある縛りってなんだよ。亀甲縛りでもやれってか?」

八咫烏「地味に関節が痛いんスけど...はっ!?さてはこのまま性的に乱暴するんスね!?エロ同人みたいに!!」

男「おっと、何騒ぎだしてんだこのアホは」

八咫烏「でも無駄っすよ!何をされたところでウチは負けないッス!!」

いろは「ぐへへ、口ではそう言ってもこっちのお口はどうかなぁ?」

八咫烏「こんな屈辱を味わうなんて...くっ...殺せ!」

いろは「ほぅら?ここか?ここがええのんか?」

八咫烏「悔しい!でも感じちゃう」

男「...おまえら実は仲良いだろ」

八咫烏「とまぁ冗談はここまでにするッス」

男「お前が仕切るのかよ」

いろは「男、やっぱ亀甲縛りにしましょう。味気ないわ」

男「お前はちゃんと仕切れよ」

八咫烏「ぶっちゃけもう体力的にも限界なんで、逃げるのは諦めてるッス。こんなトコで脳漿炸裂ガールにはなりたくないッスし」

男「...こんなことお前に聞くのもあれだが、なんでそんな疲弊してるんだ?」

八咫烏「あー、ウチもよく分かってないんスけど、普通に飛んでたらいきなり猛禽類達に襲われたッス」

男(絶対大黒PAの皆さんだ...)

八咫烏「あいつら本気で撃墜しようとしてたッス...木の葉落としとか初めて見たッス...」

男「零戦かよ...」


八咫烏「それで、ウチは何を話せばいいッスか?」

男「なんだよ、やけに素直じゃねぇか」

八咫烏「今のウチじゃ二人から逃げれそうにないッスからね。別に隠すことも無いッスし」

男「じゃあ...とりあえずお前は誰だ?なんで俺を殺そうとする?どうすれば俺達は助かる?」

八咫烏「とりあえずって言ったくせにガッツリ聞くんスね。まぁいいッスけど」

八咫烏「ウチは八咫烏。死神の使獣、黄泉への案内係ッス。男様を殺す理由ッスけど...仕事?ッスから?」

男「なんでクエスチョンなんだよ。つーか、なぜに様付け?」

八咫烏「ウチは使獣で男様は姉御のお気に入りッスから。当然ッスよ」

男「おい、コイツの方がしっかりしてんだけどどゆこと?」

いろは「八咫烏は情報通でもあるくらい勤勉よ。あんたなんか足下にも及ばないわ」

男「てめぇがしっかりしろって揶揄してんだよアホ」

八咫烏「...お腹が空いたんでとっとと終わらせたいんスけど...」

八咫烏「なんでか知らないッスけど、姉御は男様にえらく執着してるんスよね。だから幼馴染様を殺して男様も殺したいんスよ」

男「ちょっと待て、なんで俺が執着されると幼が殺されるんだ?無関係じゃねぇか」

八咫烏「そうっすねぇ...男様、人間は死ぬとどうなると思うッスか?」

男「あ?...どうだろうな、考えたことねぇけど」

いろは「幸福感や達成感、満足感を持って死んだ人間は天界へ...絶望や恐怖みたいな負の感情を多く持って死んだ人間は死神に召集される」

八咫烏「さすが神の使獣ッスね、その通りッス。ウチはその召集係みたいなもんなんスけど...満足した人間はそのままキレイにリセットされて次の生に転生するんスよ。輪廻転生って言うんスかね?
でも負の感情が多い魂が次の生に移ろうとすると、拒絶反応とか色々問題がでるんスよね。まぁ悔いとか未練タラタラッスから、当然っちゃ当然なんスけど。
んで、そういう奴は一回死神...ウチの姉御ッスね、のところに集めて、浄化してあげたり悔いを無くしたりっていうクッションが必要になるんスよ。所謂成仏ってやつッスかね。
だから逆に幸福のまま死ぬと姉御んとこにはいけないんス」

男「だから、それがどう幼の死と俺が殺されるのに関係するんだよ」

八咫烏「あー...もともとの原因は...ウチよりそこのキツネさんに聞いた方が早いんじゃないッスかね?」

いろは「...」

男「...なんか知ってるのか...いろは」

いろは「...10年後のあの日、あんたは死ぬ予定だったのよ」

男「...は?」

いろは「...ねぇ男?今のあんたにとって、一番避けたい事ってなに?」

男「そりゃ俺が死ぬことと...幼が死ぬことだ」

いろは「そう、あんたにとっての一番の絶望は幼ちゃんが死ぬこと。10年後のあの日、偶然にも幼ちゃんの事を深く思い出してしまったあなたは...あの後自殺する予定だったの」

男「...」

いろは「たまたま見ていた夏の風景画...写真...そういったものがあなたを絶望に追い立てた」

八咫烏「んで、無事に自殺した男様は晴れて姉御とご対面。男様の魂は永久に姉御の側にっていうハッピーエンドのはずだったんスけどねぇ」

男「...生の神が俺を10年前に飛ばした事でそれが叶わなくなった上に、幼が生き続ける事で俺は死神に会わなくなる可能性がでてきた...と」

八咫烏「理解が早い人は好感持てるッスよ」

いろは「...」ギロッ

八咫烏「じょ、じょーだんッス」

男「でもなんでわざわざお前に殺させる?死神ならもっと簡単に殺せるだろ?」

いろは「前に海でも言ったけど、あんたはこの世界にとってのイレギュラーなの。あんたの行動、思想、生死はあんた自身でしか干渉できないわ」

八咫烏「姉御は今の男様には手も足も出せないッスからね。だからウチが呼び出されてるんスよ」

八咫烏「ほっとけば幼馴染様は死ぬ運命、そう知りつつも先に自分が死んでしまえば男様はきっと悔やむッス。だからこの際どっちが先に死んでもいいんスよ。
こうなると邪魔をしてくる男様を先に殺す方がてっとり早いんス」

そう言ってケラケラと笑う八咫烏。
見た目はただの女の子だが...かなり危険だ。

...なんでこんな話になってんだ?
これちゃんと収集つくのか俺ぇぇ...

男「それにしても...なんでそこまで俺が狙われにゃいけないんだ」

八咫烏「それはホントに知らないッス。姉御もそれだけは頑なに教えてくれないッスからね」

男「なんか心当たりはねぇのかよ?」

八咫烏「強いて言うなら...愛ッスかね」ドヤァ

男「重いよ...これが愛なら愛なんていらねぇわ」

八咫烏「まぁこうは言ったッスけどね?ウチはあんまり男様をどうこうしようとは思ってないんスよ?」

男「はぁ?」

八咫烏「ウチらは本来死んだ魂を受動的に受け入れるだけ。能動的に殺すなんて事はしないんスよ」

男「じゃあお前としては俺を殺すのには抵抗があると?」

八咫烏「あー、抵抗はないんスけど...正直規定の業務外なんでめんどくさいッス。殺すのも別に得意じゃないッスし」

男「なにこの役所仕事臭」

いろは「神の仕事なんてそんなもんよ。基本的に管轄外はノータッチだから」

八咫烏「大体これって出張手当付くんスかね?完全に職員を私用で使ってるんスけど」

いろは「あたしの場合は時間外業務に含まれるっぽいのよね。貰えるのは本来より全然少ないけど、大事な時以外自由にしていいみたいだし」

八咫烏「あー、やっぱそうなんスか。でもウチ来月厳しそうなんスよね」

男「おーい?なんで上司の愚痴話しになってんの?なんならもう居酒屋行くか?」

いろは「それで、こいつはどうするの?」

男「とりあえず野放しにはできないな...いつ殺されるか分からないし。お前の不思議パワーで何とかできないのかよ」

いろは「無理よ、そんな都合のいい術なんてあるわけないじゃない」

男「えー...殺すわけにもいかないし困ったな」

いろは「そう?カラスに戻してあげるから首落としちゃえば?」

男「女の子になってるトコ見ちゃってるからなぁ」

八咫烏「会話の内容がドン引きッスけど...」

八咫烏「とりあえずこのままだとヤバそうなんで、抵抗させてもらうッス」プチッ パラパラッ

男「ロープが...そうか、鉈を放置したのは失敗だったな」

八咫烏「申し訳ないッスけど男様、仕事なんで死んで貰うッス」ダッ

いろは「!?...男っ!!」

八咫烏「えいっ!!」ヘナヘナ

男「...?」パシッ チョップ!

八咫烏「ヘブッ!?」バタン

男「...」

いろは「...」

八咫烏「...」シーン

こいつ...めっちゃ弱ぇ...

八咫烏「うーん...ん...あれ?」

いろは「あ?やっと目を覚ましたのね?」

八咫烏「あ、おはようございまッス。ところで、なんでウチは膝枕されてるんスか?」

いろは「河原にそのまま寝かせるわけにもいかないから、お前の夢と脂肪がつまった太ももを枕にしてあげろって男がね」

八咫烏「男様がッスか...当の本人はどこにいるんスか?」

いろは「ほら、あそこでバーベキューしてる最中よ。幼ちゃんと友君と幼友ちゃんの4人で」

八咫烏「通りでいい匂いがするッスね...空きっ腹には拷問ッス」

いろは「あとでお肉貰ってきてあげるから我慢しなさい」

八咫烏「...ウチはどうなるんスか?まさかあそこにお肉として並ぶッスか?」

いろは「んなエグい事しないわよ...一つ聞きたいんだけど、男に襲いかかったときって全力?」

八咫烏「あれが精一杯ッスよ。確かに疲労困憊してたッスけど、全力とあんまり変わらないッス」

いろは「それでよく襲いかかろうと思ったわね...」

八咫烏「ワンチャンあると思ったんスけどね。でも殺しなんてやったことないッスし、体術もかなり苦手なんスよ。そもそも直接殺せる技術があったら、最初っから瓦なんて落とさないで
直接殺りに行ってるッス」

いろは「そう...なんというか、同情するわ」

八咫烏「だからウチに出来ることはせいぜい事故死を作り上げることっす。これもかなり条件縛りがあってキツイんスけどね」

いろは「そう...じゃあ心配事は杞憂だったのね」

八咫烏「ん?なんスか?」

いろは「まぁあれね...先に謝っておくわ、ごめんね」

八咫烏「え、ちょっと待って下さいッス。なんで謝るんs男(お、起きたのか八咫烏)...へ?」

男(そろそろ肉持ってっていいぞ。ここに皿置いとくからな。あと箸も)

八咫烏「...なんで契約してないのに男様の心の声が聞こえるッスか?」ダラダラダラ

いろは「あははー...あのね?流石に強襲みたいなのが何回も続くと大変だし面倒だから...じゃあ契約しちゃえば意志疎通できるから強襲はできなくなるんじゃない?って言ってしまいまして...」

八咫烏「も...もしかして」

いろは「寝てる間に血を飲ませて...」

男(あーそうそう、俺の身の安全の為に契約させてもらったから。よろしく)

八咫烏「....なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

男(あれ?まずかった?)

八咫烏「まずかったもなにも!そんなの強姦と同じッス!レイプッス!睡姦ッス!!」

男(おいこら、人聞きの悪いこと言うな。身体にはほぼ触れてねぇぞ)

八咫烏「わー!ウチはじめてだったのに!寝てる間に無理矢理なんてひどいッス!!」ワンワン

男(...なんだろう、部分的に合ってるだけに反論しにくい)

八咫烏「ひどいッス...鬼畜ッス...」グスグス

いろは「あーあ、女の子泣かしたー」チラッ

男(おめぇが提案したんだろうが!!なに?そんな重大な事だったの?なんかごめんね?マジで)

八咫烏「まぁ別に契約自体は大したことないんスけど...男様と契約したなんて...姉御にばれたらなにされるか分かんないッスよ...」ビクビク

いろは「あー、そっちの心配ね」

男(契約したのってやっぱバレるもんなの?)

いろは「今年は平気だけど...来年の更新の時には書かないといけないからバレるわね。保険もちょっと変わるし」

男(なんだよ更新って...免許かよ)

友「んー?どうした男?渋い顔して」

幼友「もしかしてまだ生だった?ごめんね」

男「あぁ、ぜんぜん大丈夫。言い焼き加減だぞ」

幼「ヤマメ...おいしいです」ハフハフ

男「もっとゆっくり食えよ...こぼれてる、すげぇこぼれてるって」

男(まぁこの話はまたゆっくりしよう。とりあえず今は腹ごしらえだ)

いろは「じゃああたしは肉とってくるから、もう普通に座れるわね?」

八咫烏「あー、申し訳ないっす。ふとももお借りしましたッス」スクッ

幼「男君、このお肉は何肉ですか?」

男「あー?多分シカの背ロースだな」

幼友「魚以外と美味しかったわね。友、もっと釣ってきなさいよ」

友「もう勘弁してもらっていいですかね...」

男「そういえばさっきフレッシュなクマ糞あったから気をつけてね」

幼友「...どうやって?」

幼「男君、クマっておいしいですか?」

男「俺は食ったことないけど、美味しいって話はよく聞くな」

友「あれぇ?ここに置いといた肉、誰か知らね?」

幼友「自分で食べたんじゃないの?」

友「そうだっけぇ?」アレー?

八咫烏「ウチはシカよりイノシシの方が好きッス」

いろは「それって大抵の人がそうじゃない?」

俺を殺しにきたカラスがいたり。
そいつがとんでもねぇ運動音痴だったり。
色々あってそいつとも主従の契約を結んだりしたけど。

日常は何も変わらずに進んでいく。

渓流の魚だけが、流れに逆らって力強く泳いでいた。

----

ガラガラ

鉄砲屋「いらっしゃい。おや?」

ババ「世話になってるねぇ鉄砲や」

鉄砲屋「いえいえ、いつもご贔屓にしていただいて感謝の極みです」

ババ「銃のことはあんたに任せておけば間違いないからねぇ...またよろしく頼むよ」

鉄砲屋「イッヒッヒ、そりゃありがたい。それで本日は何用ですかな?」

ババ「...一つ注文がしたい」

鉄砲屋「弾頭ですか?火薬ですか?それともパーツ?」

ババ「いや...ライフルを一丁」

鉄砲屋「...詳しく聞きましょう」

今日はここまで。
明日は飲み会だから多分更新できない。

どんどん話し膨らんでいくなww

----

男「ただいまー」ガラガラ

いろは「あれ?おばあちゃんは?」

八咫烏「おじゃましますッス」

男「そういえば鉄砲屋行くって行ってた気が。もう幼もいないから人型になっていいぞ。八咫烏はまず風呂入ってこい」

八咫烏「あ、すんませんッス。お先にいただきますッス」テクテク

男「あいつの部屋着も俺の着なくなったジャージでいいか」ナタカタズケ

いろは「パンツは?幼ちゃんの着替え用はあたしが使っちゃってるけど」テアライ

男「それはばーさんに言ってあるから買ってきてくれてるはず」

いろは「そう」

男「...」モクモク

いろは「...」テキパキ

八咫烏「いやおかしいッス」ガラッ ホクホク

いろは「随分早いわね。ちゃんと洗った?」

男「おめーが無駄に長風呂なんだよ」

八咫烏「いえ、しっかりいただいたッス。ありがとうございましたッス。...いやそうじゃなくて」

男「...?」

八咫烏「なんで男様を殺しに来たウチが、男様の世話になってるんスか?おかしくないッスか?」

男「あー、俺としては知らないトコでうろうろされたり画策される位だったら、目の届くとこにいて欲しい」

いろは「そうよ。それにほら...」ポン

八咫烏「?」

いろは「世の中には抹殺対象にたいやき一つで懐柔されちゃう宇宙一の殺し屋だって存在するんだから」ニコッ

男「お前神様のマンガこっそり読んでるだろ。悪いががトラブルだけはおこすなよ」

あけましておめでとうございます。
がんばって今年中には絶対終わらせます。ほんとです。たぶん。
みなさんのコメや応援、とっても励みになります。
今年もよろしくお願いします。

>>639
もう自分が一番困惑してる

ばば「ただいまー...あ?」

八咫烏「あ、お帰りなさいッス」ウィーーー

ばば「...あ...ありのまま 今起こった事を話すぜ!家に帰ったと思ったら黒い羽の生えた女の子が掃除機をかけていた...な...何を言っているのかわからねーと思うが、あたしも何が起こっているのかわからなかった...頭がどうにかなりそうだった...ダイソンだとかルンバだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

男「残念ながら時間止める系の能力は持ってないぞ」

八咫烏「風を操る程度の能力はありそうッス」

――――

男「っつーわけで、一匹増えるけどいいか?」

ババ「...事情はわかった。けど大丈夫なんか?」

男「あーあれだ。こいつに直接殺される心配は皆無だぞ。デコピンでも勝てる」

八咫烏「さすがにそれは弱すぎないッスか?」

いろは「実際そんなもんでしょ」

八咫烏「普段はデスクワークしかやってないッスからねー」

ババ「まぁ二人が受け入れてんならいいかぇ。これからよろしくね」

八咫烏「なんかホントに申し訳ないッス。お世話になります。ウチに出来ることがあれば何でも言って下さいッス」

いろは・男「「ん?今何でもって言ったよね?」」

ババ「うるせぇ」

ばば「しかし、殺しに来たことを除けば一番真面目そうだぇ」

八咫烏「いえいえそんなことないッスよ。でもありがとうございますッス」

ばば「その様子じゃずっと掃除してくれてたんだろ?お茶でもいれようか」

八咫烏「あ、ウチがやるッスよ。おばあちゃんは座ってて下さいッス」

ばば「そうかい?ありがとねぇ」

男「俺コーヒー」

いろは「あたしはクワトロベンティクラシックキャラメルバニラアーモンドヘーゼルナッツアドジェリーエキストラチョコレートチップエキストラチョコソースエキストラキャラメルソースエキストラホイップエキストラシロップノンティーダークモカチップフラペチーノ」

八咫烏「ねぇッス」

男「あるよ」

八咫烏「あるんスか!?」

ばば「いやねぇよ」

ここ最近家にすら帰れてない
少ないけど更新

ばば「~~」カチャカチャ

八咫烏「...」

ばば「~ん?どうしたんだい?」

八咫烏「え?いや~...そういえばそれで撃たれそうになったなって思ったッス」

ばば「あぁ、そんなこともあったね」キュッキュッ

八咫烏「...」ジー

ばば「...」カチャカチャ

八咫烏「...」ジー

ばば「...銃に興味があるんかい?」

八咫烏「はぇ?あ...いやー、どうッスかねー。自分体力ないんで銃あったら便利かなってちょっと」

ばば「...そうかい。じゃあ少し教えてあげようか」

八咫烏「え?いいんスか?」

ばば「折角興味を持ってくれたんだ。年寄りってのはそういうもんだよ」

八咫烏「はぁ...そういうもんスか」

男「なぁばーちゃ...」ガラガラ

八咫烏「これがライフル銃ってやつッスか」

ばば「ほんとは自分以外の人が触っちゃいけないんだけどね。はっちゃんは獣だし法律関係ないだろ」

八咫烏「はっちゃんッスか...なんか思ったより銃口ちっちゃいッスね」

ばば「あたしが使ってるのは小口径高速弾だからね」

八咫烏「もっと大きいのもあるんスか?」

ばば「大きいって言うと308とかかねぇ。弾頭のバリエーションが多いのは270とかになるね」

八咫烏「ばーちゃんのはどれになるんスか?」

ばば「あたしのは243だね。この年になると少しでも軽くしたくなるのさ。小口径だから当たりどころが悪いと走られるけど、きちんと当てれば問題ない。ほれ、これが弾だ」

八咫烏「へぇー。あれ?なんかサラサラいってるッス」

ばば「中に火薬が入ってるからね」

八咫烏「もっとぎっしり入ってるかと思ってたッス」

ばば「同じ弾でも火薬の量を変えれるからね。この銃でこの弾頭を使うんだったら、このくらいの量が一番着弾が安定するんさ」

八咫烏「へぇー、色々あるんスね」カチャ

ばば「銃を扱うときは銃口を絶対人に向けちゃいけないよ。引き金に指もかけちゃだめ」

八咫烏「こ、こうッスか?」

ばば「そ。んでそこのボルト動かしてみ」

八咫烏「はい」カチャカチャ

ばば「それをあと5回」

男「なんでライフルの講習会始まってんの?」

ーーーー

男「それで銃を教わってたのか」モグモグ

八咫烏「そうなんッス。ウチも欲しなっちゃいましたッス」モグモグ

いろは「そんな簡単に買えるもんなの?」モグモグ

ばば「人だったら警察行って初心者講習会受けてって色々必要だけど、いかんせんはっちゃんは獣だからねぇ」モグモグ

他にも弾装ロッカー、ガンロッカーを揃えたり、いちいち警察署に行って書類提出しなきゃならん。
金も手間もかなりかかる。

それにしても...

男「はっちゃんか...随分と仲良くなったのな」

ばば「よく手伝ってくれるし話も聞いてくれるからね。あたしにとっては只のかわいい女の子だよ。もちろんそれはいろはちゃんにも言える」

男「俺を殺しに来たのに?」

ばば「んなもん知らねぇ」

男「そういえばさ」

八咫烏「?どうしたッスか?」

男「いろはには少し先の未来を見たり俺に憑依したりする能力があるけど、お前ってなんか能力あんの?」

八咫烏「まぁ一応あるッスよ。男様とは契約したので憑依もできますし。そうッスね...」

そう言うと、ちょうどご飯のおかわりに立ったいろはを指差す。

八咫烏「"不慮の事故"」

ガッ!!

いろは「っ!?くぅぅぅううううう!!」

男「おぉ、タンスの指に小指ぶつけた」

八咫烏「これがウチの能力ッス。事故を予言したり、タイミングが合えば起こしたりすることができるッス」

ばば「...なるほど、だから瓦を落とせたのかい」

八咫烏「うっ、申し訳ないッス」

困ったように頭を掻く八咫烏。
こうしていると普通の女の子...いや羽生えてるから普通じゃねぇけど。
一応俺の事を殺すために派遣された使獣。
そんなやつと今は同じ円卓で飯をつついている。

男「俺も順応してきたなぁ」

いろは「こ...小指がもげた」プルプル

出張長ぇ
家に帰りたい...

おつおつ

ホテルのモーニングはたまに食うと旨い
ずっとは飽きるけどな

ーーーー

いろは「ふみゅ...おはよぉ」ファァァ

男「おう。顔洗ってこい」

八咫烏「ちょうど朝ごはんできたッスよ」ジュゥゥ

ばば「ありがとねぇ。ホント助かるよ」

男「家事やってくれんのはありがたいけど...無理して潰れんなよ?」

八咫烏「嫌いじゃないんで全然へーきッスよ。どうぞ」コトッ

男「目玉焼きとウィンナーと味噌汁か...無難だな」

いろは「ソーセージじゃないの?」

男「...どうなの?」

八咫烏「ソーセージは腸詰めの総称で、ウィンナーは羊の腸、フランクフルトが豚の腸だった気がするッス」

ばば「日本農林規格だと太さで呼び方が変わるね」

いろは「ですってよポークピッツ」

男「なめんな。戦闘時にはアメリカンドックになるんだよ」

いろは「...それって包まれてんじゃん」

八咫烏「?何の話ッスか?」

男「やめて。そんな綺麗な目で俺を見ないで」

ばば「さて、今日は畑仕事だ。男は暇かい?」

男「わりぃ、幼と買い物行く約束してんだわ」

ばば「そっか、じゃあしょうがないね」

いろは「一応ついて行った方がいいのかしら?」

男「んー...そこんとこどうなの?」

八咫烏「ウチが手を出さない限りはあの日まで安全に過ごせるはずッスよ」

ということは今更どうこうできるものでも無いということか。
とりあえず一安心ではあるが、運命の日一発勝負である可能性もでかくなったわけだ。
どちらにせよ八咫烏を手元においといたのは正解だったな。

いろは「んー...そゆことね。じゃあ今日1日暇ね。どうしようかしら」

ばば「いろはちゃん暇なのかい?だったら畑手伝ってくれると助かるんだけども」

いろは「任せて!前に男とやったことあるわ」

八咫烏「ウチもお手伝いするッス!」

男「いろはは俺のジャージでいいけど、八咫烏のはどうしようか。服装チェンジとかできないの?」

八咫烏「基本的にこの服だけッスね。神具なんで汚れる事も無いッスし」

ばば「じゃあ下着とかも買ってきたけどいらなかったのかい?」

八咫烏「そんなことないッス!めっちゃありがたく使わせてもらってるッス!」

男「そういやいろはの巫女服もそんな感じだったな...ん?」

こいつ、出会った当初は紅白の綺麗な巫女服を着ていたはず...
しかし、今現在のいろははどうだろうか。俺のスウェットを履いてTシャツ一枚でゴロゴロしてる姿を見て、誰が神の使獣だと思うだろうか。

男「お前最近巫女服着てないけど、どうしたの?」

いろは「あーあれ?なんかこっちの方が楽なのよね」

男「おい、仮にも神の使いがそんなんでいいのか」

いろは「こっちに来てから本当の自分に出会えた気がするわ」

男「なにドロップアウトしてんだよ...」

今日はここまで

>>659
おつあり
>>660
それが会社で平屋借りてるから自炊なんすよ...
なんもいいとこねぇなこの島。本土に帰りてぇ

>>1は農林関係の仕事してるのかな?結構そっちの方の知識に精通してるし
どっちにしても体調崩さないように気をつけてね

ばば「じゃあ行ってくるからね」カチャ ブロロロロ

男「いってらっさい」

いろは「あたし荷台ね!」

八咫烏「ウチが軽トラ運転しましょーか?」

ばば「できるのかい?」

八咫烏「勿論ッスよ。ウチの車もミッションなんで大丈夫ッス」

男「そっちの世界にも車あんのか...なに乗ってんの?」

八咫烏「JA11ッス」

男「JA11...ジムニーか!」

八咫烏「古くてボロボロッスけどちゃんと走ってくれるッスよ」

男「にしても随分と特異なの乗ってんだな。なんでそれにした?」

八咫烏「ウチの趣味ッス!!やっぱ車は箱形が一番カッコいいッス!」

男「そりゃわかるけど...あぁ、そういう感性だから銃にも興味あんのか」

ばば「いろはちゃんも何か乗ってたりするのかい?」

いろは「あたしは原付しか持ってないわね」

男「ちなみに何?」

いろは「TODAY」

男「...フッ」

いろは「おいこらTODAYバカにしてんのか?お?」

>>668
一応農林関係だね。硝煙の臭いがしまくる仕事をしてる。
全身の節々が痛いけど頑張るよ。

>>672

特定した

硝煙の臭い
山林関係
自衛隊のレンジャー部隊だな

もう始まってから4年もたったのか

----

男「わざわざバスで町までやってきたが...何買うんじゃ?」

幼「新しい靴が欲しいのですが、ついでに色々見て回ろうと思いまして」

男「靴ねぇ...足袋?安全靴?農スパ?」

どうでもいいけど安全靴履いてますって言うと踏んでくる奴はなんなの?
あとヘルメット被ってると頭叩いてくる奴。

幼「ワークマンから離れてください...秋から履くので少し落ち着いているおしゃれなものがいいですね」

男「そういや幼ってヒール履かねぇよな」

幼「んー、なんというか私の体型に合ってないんですよねぇ。どうしてもがんばってお洒落してる子供感が抜けないと言いますか」

男「でもヒールってあれでそ?もともとうんこ踏まないために接地面積減らしてああなっただけでしょ?」

幼「それが今ではファッションになってるからすごいことですよね」

男「うんこに感謝だな」

客1(...なんかヒール履いてるのが恥ずかしくなってきた)

幼「男君、これなんてどうでしょうか」

男「んー...普通というか無難というか」

幼「んもー、そこは普通に『かわいいよ、幼』とか囁いとけばいいんですよぅ」

男「って言ってもなぁ...かわいいのはデフォルトだし」

幼「知ってます?かわいいは作れるんですよ?」

男「なんで今それ言ったの?ねぇ?」

男「そもそも俺には美的感覚は皆無だからな」

幼「でも男君、最近は普通の格好が増えましたよね?全身真っ黒はやめたんですか?」

男「なにその前は普通じゃなかった的言い方...まぁお前にださいって言われたし」

幼「こうやって少しずつ量産型高校生に近づいていくんですね」

男「量産型とかいうな、無難といえ」

幼「個性といって理解できない感性を持たれるよりましじゃないですか?」

男「ちょっと幼ちゃん?口がわりーでございますよ?」

--その頃畑では--

八咫烏「あ、アカネズミがいるッスよ!」

いろは「この辺じゃ別に珍しくもないんじゃないの?」

八咫烏「狩りごっこしなくていいんスか?」

いろは「なに?野生開放しろと?」

ばば「二人ともー、麦茶煎れたから飲みないねー」

>>673
なにそれこわい
>>674
やってることは似てるかもな
>>675
いいかげん早く終わらせます

いや安全靴はとりあえず踏むだろ
しかもつま先じゃなく足の甲んとこ

カラスとキツネのフレンズなんだね!乙

今更存在を知り 読まさせていただきました
これから応援させていただきます
頑張ってください

男「お、コーヒーメーカーじゃん」

幼「男君ってそんなにコーヒー好きでしたっけ?」

男「まぁな」

コーヒーを飲むようになったのはいつからだろうか?
はじめは少し背伸びして、格好つけようと思って飲み始めたコーヒーだが、
気付けば朝晩と必ずコーヒーを飲むように習慣付いてしまった。

男「コーヒーはいいぞ。寝る前の一杯なんて最高だ」

幼「えー?寝れなくなったりしないんですか?」

男「人間ホントに眠いときは何飲もうが爆睡するぞ」

眠々飲んで気が付いたら朝とかザラである。

幼「コーヒー煎れるのにも色々道具があるんですね」

男「俺ね、あれやってみたい、ラテアート」

幼「らてあーと?」

男「コーヒーの上に泡立てた牛乳敷いて絵を描くんだ。クマとか猫とか」

幼「へぇ!それは素敵ですね!よくそんな小洒落たもの知ってましたね?」

男「いろいろあんだよ...」

前の世界で幼がいなくなってからというもの、俺は彼女を一切作らなかった。
仲のいい女友達はいたが、どうしても幼の姿がチラついてしまい、深い関係に踏み込めなかったのである。
そしてかわりに一人で出来る趣味に没頭した。どれも長続きはしなかったが。
コーヒーもその中の一つで、一時期は豆を煎るところまで手を出していた。

幼「お茶請けとかも置いてありますね」

男「あー、なんか買ってくか。アルフォートとか」

幼「まぁホワイトロリータ一択ですね♪」

男「いやいやルマンドだろ」

幼「ありえねーです。いいとこバームロールですよ」

男「は!だったら俺はチョコリエールを推すね」

幼「...」

男「...」

>>681お前はゆるさない
>>682-683 乙あり
>>684 あざっす

書き貯めたデータが消えたぞくそったれ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月28日 (月) 16:14:19   ID: yrQ-BQRB

面白い‼
ゆっくりでいいですから書くのやめないでくださいね!

2 :  SS好きの774さん   2014年05月22日 (木) 21:18:31   ID: UNV8TH_e

つづきはよ

3 :  SS好きの774さん   2014年05月26日 (月) 01:15:17   ID: NlDFhMFV

凄い楽しみにしてます!
頑張ってください(^O^)

4 :  SS好きの774さん   2014年06月30日 (月) 00:58:33   ID: 86RZgSEz

見てます、みてますよーーーーー!

5 :  SS好きの774さん   2014年08月07日 (木) 11:29:17   ID: xI4iXHgE

面白いです‼︎続きが気になります!

6 :  SS好きの774さん   2014年08月31日 (日) 12:50:38   ID: 1D0R_qz6

続編、いつ頃に出来るのでしょうか?
出来ましたら同じ題名の後に「2」とか「next」とかでお願いします。

7 :  SS好きの774さん   2014年09月15日 (月) 11:43:12   ID: oL4_-PGK

期待してます。

8 :  SS好きの774さん   2014年09月29日 (月) 01:45:25   ID: GqVTrPtU

とても面白いです!!
続きを楽しみに待ってます

9 :  SS好きの774さん   2014年09月29日 (月) 23:09:07   ID: m1oh750V

面白かったです!
続きを期待します!

10 :  SS好きの774さん   2014年11月02日 (日) 22:06:35   ID: HEBLwNa_

めっちゃつづききになるw
たのしみにまってます♪

11 :  SS好きの774さん   2014年11月23日 (日) 12:41:07   ID: s6FGD74_

つづき
気になります
はよーしてや

12 :  SS好きの774さん   2014年12月01日 (月) 00:25:48   ID: vWXwy6at

期待してます!
頑張ってください‼

13 :  SS好きの774さん   2014年12月18日 (木) 04:11:37   ID: UMjGXEF-

期待してます、続き早く見たい!

14 :  SS好きの774さん   2014年12月30日 (火) 19:33:36   ID: iarHx5OA

続けて欲しいです。

15 :  SS好きの774さん   2015年01月01日 (木) 18:59:42   ID: I6tVGopR

いつも楽しみにさせていただいて
おります!
これからも頑張ってください!

16 :  SS好きの774さん   2015年01月02日 (金) 20:22:34   ID: rbSMkR1k

いつも楽しみに待ってるよ

17 :  SS好きのじょうじ   2015年01月03日 (土) 04:31:17   ID: 73FXTZpW

最後どんな風にストーリーが進むのか。どんなENDになるのか楽しみです。はやく続きが更新されることを祈ります

18 :  SS好きの774さん   2015年01月04日 (日) 22:29:09   ID: 32G_PJiE

見てるぞー

19 :  SS好きの774さん   2015年01月12日 (月) 22:17:12   ID: T-QmLeWg

とても面白かったです!
これからも頑張ってください!

20 :  SS好きの774さん   2015年01月15日 (木) 20:54:56   ID: cIad4csF

期待するしか無いでしょ

21 :  SS好きの774さん   2015年01月16日 (金) 12:23:34   ID: hC6M5dv1

続き_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!

22 :  SS好きの774さん   2015年01月17日 (土) 00:31:49   ID: KCf2sFZ_

無理しない程度に頑張ってください!
更新待ってまーす

23 :  SS好きの774さん   2015年01月20日 (火) 23:03:27   ID: VAk-ebKr

更新待ってる!

24 :  SS好きの774さん   2015年01月25日 (日) 02:41:47   ID: 6wSVd48_

頑張って下さい!更新待ってます、

25 :  SS好きの774さん   2015年01月25日 (日) 16:00:16   ID: 305I4Znv

ほっこりできて、非常に楽しめます。
いつまでも続いて欲しいと思えました。
作者様のペースでじっくりとお書きになってください。
更新楽しみにしております。

26 :  SS好きの774さん   2015年01月29日 (木) 07:59:38   ID: nTqlo6OJ

面白そうなSS発見

27 :  SS好きの774さん   2015年01月29日 (木) 09:23:59   ID: zeykubQg

おもろい
頑張れー

28 :  SS好きの774さん   2015年01月31日 (土) 12:02:06   ID: nOnBYQeB

(੭ु ´ω` )੭ु⁾⁾

29 :  SS好きの774さん   2015年02月12日 (木) 18:09:44   ID: YfsyA1-h

続きが気になります!
無理しない程度に頑張ってくださいw

30 :  SS好きの774さん   2015年03月11日 (水) 14:25:35   ID: m85pX0Su

続きはよ

31 :  SS好きの774さん   2015年03月12日 (木) 14:10:24   ID: 5qZ3SvY2

更新頑張ってくれ

32 :  SS好きの774さん   2015年03月13日 (金) 00:27:31   ID: QGVKQo5v

なかなかおもしろい!

33 :  SS好きの774さん   2015年04月03日 (金) 22:09:03   ID: Z4AlDd8l

この話、
すっごい好きだ!!

34 :  SS好きの774さん   2015年04月05日 (日) 11:36:20   ID: sKOwx-jF

続き気になります!

35 :  SS好きの774さん   2015年04月16日 (木) 22:09:38   ID: zyejHsAx

続きはよ

36 :  SS好きの774さん   2015年04月19日 (日) 22:56:24   ID: xbLomeUq

頑張ってー

37 :  SS好きの774さん   2015年04月26日 (日) 03:46:53   ID: 7i_c4a5n

作者頑張れー。
楽しみにしてるぞ。

38 :  SS好きの774さん   2015年04月26日 (日) 22:25:53   ID: gQtZa1kO

これは凄くいい

39 :  SS好きの774さん   2015年04月26日 (日) 22:49:32   ID: w7kLgEEw

久々の良スレ発見、作者頑張ってくれ〜
超楽しみなんだよ!早くとは言わないから完結させてくれ!!

40 :  SS好きの774さん   2015年05月20日 (水) 00:30:39   ID: wzcFEefA

1ヶ月更新ないね…

続きみたいから頑張れ!!

41 :  SS好きの774さん   2015年06月01日 (月) 02:09:36   ID: Gh7Wn3W2

ついに

42 :  SS好きの774さん   2015年06月23日 (火) 20:17:14   ID: Nnrqkmye

待ってるから!頑張って!!

43 :  SS好きの774さん   2015年06月23日 (火) 20:23:47   ID: k6ELlx6P

早よォォォォォォォォ!!!

44 :  SS好きの774さん   2015年07月10日 (金) 19:03:31   ID: khuAaJ7n

ゆっくりでいいから頑張って〜

45 :  SS好きの774さん   2015年08月21日 (金) 22:21:10   ID: Afgaj3lW

がんばれ!

46 :  SS好きの774さん   2015年08月31日 (月) 00:07:00   ID: i7wit_4-

待ってます。応援します。

47 :  SS好きの774さん   2015年10月01日 (木) 00:32:00   ID: p68aX7Q6

とっても面白いです!
続き楽しみにしてます!!

48 :  SS好きの774さん   2015年10月04日 (日) 20:16:27   ID: ZbSW7vo_

これは最高に面白いです!
私気になります!

49 :  SS好きの774さん   2015年10月13日 (火) 00:43:24   ID: x6lgExs1

面白かったけど未完でびっくりした。
早く続き読みたい

50 :  SS好きの774さん   2015年11月23日 (月) 22:57:36   ID: fCDsIQRe

いろはクソ可愛いです

51 :  SS好きの774さん   2016年01月10日 (日) 11:26:00   ID: _B0-UL5W

続きがめっちゃ気になる。
頑張って。

52 :  SS好きの774さん   2016年01月19日 (火) 23:45:08   ID: olAJ-eNk

更新頑張って

53 :  SS好きの774さん   2016年04月11日 (月) 00:00:07   ID: 8rM_I-eV

頑張ってください楽しみにしてます((o(^∇^)o))

54 :  SS好きの774さん   2016年04月17日 (日) 19:27:29   ID: -w4fGguB

はよはよはよおおおおおおおお

55 :  SS好きの774さん   2016年05月25日 (水) 07:56:47   ID: BsgyZt2v

キターーーーー(歓喜

56 :  SS好きの774さん   2016年08月28日 (日) 04:05:24   ID: ek3iV7b8

ゆっくりでいい。
ほんとゆっくりでいいから完結まで見たい。

57 :  SS好きの774さん   2016年10月04日 (火) 23:51:51   ID: cSqftspZ

正直途中から地の文が俺ガイルっぽくなったあたりから「え?」とは思ったけど いろは でまた「え?」ってなった。 嫌なら見なきゃいいとか思うだろうけど、正直 他の作品の影響受けすぎだろと思った

58 :  SS好きの774さん   2016年12月02日 (金) 23:34:52   ID: 8EH2GjbO

続きはやくみたいよぉー

59 :  SS好きの774さん   2017年01月07日 (土) 14:07:27   ID: XpWYHi_J

死神はヤンデレ、幼なじみは清純天然ヒロイン、いろはは狐っ娘で主人公に毒舌+憑依できる有能ヒロイン。最高かよ。
個人的にいろは好き。

60 :  SS好きの774さん   2017年01月20日 (金) 04:36:18   ID: pUpkdG8z

2時間かけて読んできたいいなこれ支援します

61 :  SS好きの774さん   2017年02月17日 (金) 04:29:52   ID: CmO2sQ6Q

お疲れ様です!
楽しく読ませていただいてます(^-^)

62 :  SS好きの774さん   2017年03月30日 (木) 12:14:00   ID: 7txsz4Ln

お疲れ様です!気長に待ってます

タイトル回収で10年かけたら神だなと思ってしまった

63 :  SS好きの774さん   2017年04月03日 (月) 00:20:02   ID: NriOxMw7

頑張ってください。応援してます!

64 :  SS好きの774さん   2017年04月06日 (木) 23:39:58   ID: p5y7CWv4

所々艦これのネタが入ってるな……いいセンスだ!

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