老人「……そこのお嬢さん」(46)

幼「えっ?……私ですか?」

老人「そうそう…お嬢さんだよ」

幼「何ですか…?」

老人「お嬢さん、恋をしたことはあるかね?」

幼「はっ?」

老人「恋愛じゃよ、恋愛」

幼「それは…わかってますけど…」

老人「一度も恋をしたことがないじゃろ?」

幼「そんなこと…」

老人「では、誰かと付き合ったことは?」

幼「……ないですけど」

老人「告白されたことは?」

幼「それはありますけど……」

老人「全部、振ったんじゃな?」

幼「……………」コクッ

老人「なぜ、振ったんじゃ?」

幼「……好きじゃないからです」

老人「ほっほっほ……なるほどなるほど」

幼「こ、こんなこと聞いて……何なんですかアナタ?」

老人「ワシは只の老人じゃよ」

老人「お嬢さんは気づいてないだけじゃ」

幼「?」

老人「お嬢さんは既に恋をしている」

幼「わ、私が恋……?」

老人「そうじゃ…誰に恋をしているか知りたくはないかの?」

幼「…………」

老人「このままじゃと…自分の本当の気持ちに気づかないままじゃぞ?」

幼「どうやって知るって言うんですか?」

老人「これを飲めばよい」スッ

幼「何ですか、その赤い液体…?」

老人「自分の気持ちを知ることができる薬じゃよ」

幼「……怪し過ぎます」

老人「飲めば一途な心を持ち一生相手を愛し続ける」

幼「……………」

老人「本当じゃよ…?」

老人「信じられないというなら仕方ない…」

幼「?」

老人「ワシの指をかけよう…………」

幼「…………えっ???」

老人「小指でいいかのう?」スッ

ザシュッ!ブシャャ

幼「ひっ…?!」ガタガタ

老人「これで信じてもらえるかのう?」ブシャャャ

幼「ち…血が…ぁ…う…………」ガタガタ

老人「…………まだ信じてもらえんか?」スッ

幼「?!し、信じますからもう止めてください!」

老人「では、今飲んでもらえるかのう?」ポタポタ

幼「わ…わかりました…………」

ゴクゴク

老人「ほっほっほ、これでお嬢さんも気づくはずじゃ」

老人「誰を心の底から愛しているのか」

老人「ほっほっほ……」

老人「新たなヤンデレラの誕生じゃ」



幼「っ?!」バッ

幼「ここって…私の部屋」キョロキョロ

幼「確か昨日…っあ!」ズキン

幼「…………思い出せない」

幼「何で?昨日の記憶が全然ない」

ドクン

幼「っ?!」

ドクンドクン

幼「急に…体が…?!」ハァハァ

ドクンドクンドクン

幼「あつ…い…………くる…しい」ハァハァ

ドクンドクンドクンドクン

幼「………………………」ボッー




幼「…………イカナキャ」

ピンポーン

男「……………」スースー

ピンポーンピンポーン

男「んっ………………?」ゴシゴシ

男「ふぁぁ…こんな時間に…誰だよ…」

ピンポーンピンポーンピンポーン

男「うるさいなぁ………」

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

ガチャ

男「うっせーよ!!」

幼「あっ、やっと出てくれたぁ」ニコ

男「って…幼?お前、今何時だと…」

ギュッ

男「えっ?ちょっ…えっ?」

幼「会いたかったよぉ…男」スリスリ

男「おまっ…いきなり何だよ?!」

幼「男の匂いぃ…はぁ…はぁ…」クンクン

男「っ?!と、とにかく中入れ!」グイッ

ガチャ

幼「男ぉ………はぁ…はぁ…」ギュッスリスリ

男「そろそろ離れろよ」

幼「嫌だ」

男「離れろって!」

幼「嫌だ」

男「いい加減に……………」

幼「イヤダッテイッテルデショ?」ジッ

男「ひっ?!」ゾワッ

男「………………」ガタガタ

幼「なんで震えてるのー?」ナデナデ

幼「男、可愛い」クスクス

男「お前、からかったな!」

幼「あはは」

男「くそー」

学校

女「男くん、おはよ」ニコ

男「おはよー、女さん」

女「今日も寒いねー」ブルブル

男「一番の冷え込みらしいよ」

女「そうなんだー、手がすっごい積めたいんだよー」キュッ

男「わっ、冷たっ!」

男「俺が暖めてやるよ」キュッ

女「あ、ありがとう…//」ドキドキ

幼「二人とも、何してるの?」ニコ

女「ひゃっ、幼さん?!」

男「い、いきなり現れるなよ」

幼「………で、何してるの?」

男「女さんの手が冷たいから暖めてんだよ」スリスリ

女「えへへ…///」

幼「………………………」

ドクンドクン

幼「切り落としちゃおうかな…………」ボソッ

女「えっ?」

幼「何でもないよ」ニコ

男「だいぶ暖まってきたんじゃない」

女「うん、ほっかほっかだよ//」

男「あはは、そっか」

幼「………………………」ジッ

女「……………?!」ゾワッ

授業

幼「………………」カキカキ

幼「………………………」カキカキカキカキ

幼「…………………………」カキカキカキカキカキカキ

ガリッ

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

昼休み

男「やっと昼休みかー」

幼「男、ご飯食べよ」ニコ

男「はっ?いや、いつも一緒じゃ…………」

幼「今日から一緒に食べるの」

男「なんでだよ!」

幼「なんで?アハハ…そんなの決まってるでしょ」

幼「男は私のモノなんだから…………」

男「はっ?」

幼「ほら行くよ」グイッ

男「あっ、おい!」タタッ

女「男くん…つれてかれちゃったか」

女「ん?なにこの紙?」ペラッ

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

女「きゃっ…?!」バッ

ザワザワザワザワ

女「誰がこんなこと……………」

屋上

幼「はい、あーん」クイッ

男「いや、あーんじゃねぇよ!」

幼「?」

男「さっきの台詞どういう意味だよ」

幼「私、何か言ったっけ?」

男「とぼけんな!」

幼「…い、いきなり怒鳴らないで」ビクッ

男「っ…わ、悪い…」

幼「あーん…して?」

男「いや…自分で食える…」

幼「あーん」クイッ

男「……………あーん」モグモグ

幼「美味しい?」

男「上手い」モグモグ

幼「良かったー !」ニコ

男「なんか全体的に赤いな…ご飯まで赤いぞ」

幼「隠し味いれたからね」

男「なに入れたんだ?」モグモグ

幼「ヒミツ」

男「教えろよー」

幼「ヒミツ…だよ?」ニコ

男「……………」ゾワッ

放課後

男「さて、帰るか…」ガタッ

女「あ、あの…男くん!」

男「女さん?」

女「良かったら一緒に帰らない…?」

男「いいよ、帰ろう」

女「あ、ありがとう!//」

幼「はぁ、委員会の仕事かぁ…」トコトコ

幼「男と一緒に帰りたかったのに…」

幼「待っててくれないかな、男」

幼「……ん?あれって……男?」チラッ

幼「何で……アイツと一緒にいるの……?」

先輩「やっほー、幼ちゃん!」

先輩「窓の外なんて眺めちゃって、どしたの?」キョロキョロ

先輩「おっ、あれは男くんと…彼女さんかな?」

先輩「ラブラブだねー」

幼「………………」

先輩「もしかして幼ちゃん、嫉妬してるのー?」ツンツン

幼「……はい」

先輩「おっ?」

幼「嫉妬してますよ………」

幼「殺したいほどに」ニコ

先輩「………………」

幼「…………」スタスタ

先輩「ふむ……これはこれは」

先輩「なんだか事件の匂い」

先輩「…………男くん死ぬなよー」

帰り道

女「あはは、男くんって面白いね」

男「そうかな?」

女「うん、男くんと話すの楽しいよ」ニコ

男「そ、そっか……//」ドキッ

男(女さん可愛いなぁ)

女「男くんって…好きな人いる?」

男「へっ?い、いないけど……」

女「そ、そうなんだ………//」モジモジ

男「…………//」ドキドキ

女「幼さんは……」

男「えっ?」

女「幼さんのこと好きじゃないの?」

男「幼は…ただの幼馴染みだから」

女「そっか…」

男「………」

女「………」

女「………」ギュッ

男「お、女さん……?//」

女「……今から男くんの家行ってもいい?//」

男「えっ?!」

女「ダメ、かな……?//」

男「ダメじゃない…!いいよ…//」

女「ありがとう」ニコッ

男「じゃあ、行こっか」

女「うんっ♪」

男部屋

女「ここが男君の部屋かー」キョロキョロ

男「特に面白い物とかないよ」

女「えっちな本は?」

男「うぇっ?!」

女「ふふっ、持ってないの?」クスッ

男「も、もも持ってないよ!//」

女「本当かな~」クスクス

女「男君…//」キュッ

男「な、なに…?//」

女「私ね…男君が好き//」

男「…お、俺も」

女「えっ?」

男「女さんが好きだ」

女「あぅ…//」

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