れんげ「となりの大トロ」 (12)


 モフモフッ


れんげ「……」

トトロ「……」


 モフモフッ


れんげ「……お前だれなのん」

トトロ「……グォォォォォーーーーーーー!!!!」

れんげ「……」

トトロ「……」


 …………。


れんげ「大トロって言うなんな~」

トトロ「!!」


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 ────

 ──


夏海「あれ、そういや……れんちょんどこ行ったー?」

小鞠「どんぐり探しに行くって言ってたけど……れんげー?」


 タッタッタッタッタ──


れんげ「なっつんー! こまちゃーん!」

夏海「おっ、帰ってきた」

小鞠「れんげ、あんまり一人で森の奥まで行っちゃ──」

れんげ「大トロ! 大トロなのん!」

夏海・小鞠「えっ」

れんげ「すーーーっごく! おっきな動物に会ったん!!」


 …………。


小鞠「え、熊……?」

れんげ「もっと大きいん! そいつが『大トロ』って鳴いたん!」

小鞠「」



れんげ「だから大トロなのん! 今からみんなで会いに行くん!」

小鞠「……れんげ、帰ろっか」

れんげ「えっ、なんでなのん」


 ムンズッ


小鞠「いいから帰ろうねー?」ゴゴゴゴゴ…

れんげ「こまちゃんなんか怖いん」

夏海「ちょっとちょっと」

小鞠「なに!? アンタも早く!! 森のほうに興味の視線向けんな!!」

夏海「ねーちゃんだけ、ほら」

小鞠「そんな悠長なこと──」


 ガシッ グイィィ…


小鞠「いだっ、いだだだっ!」

夏海「いや、ちょっとは冷静になろうって」


夏海「そもそも、そんな動物がうろついてるワケないっしょ」

小鞠「っ! ……確かに」


 ヒソヒソ…


れんげ「?」

夏海「もし仮に熊だったら、れんちょんここにいないし」

小鞠「さらっと恐ろしいことを言うなっ」

夏海「どうせうたた寝でもしちゃったんでしょ。
   ここは人生の先輩として、
   付き合ってやろうじゃないかこまちゃんよ」

小鞠「そう、だね……ってこまちゃん言うな!」



れんげ「話は終わったのん?」

夏海「さあれんちょん! 大トロのところまで案内してもらおうかっ!」

れんげ「そうこなくちゃなのん!」

小鞠「…………」

小鞠(一応帰り道おぼえとこ……)


 ────

 ──


 タッタッタッタッタ─


れんげ「こっちなのん!」

小鞠「ちょ、れんげ早い……」

夏海「転ぶぞれんちょん~」


 タッタッ…


れんげ「……あれ」

夏海「とっとと……どしたん? てか、でっかい木だな」

れんげ「ここに穴があって、そこからぴゅーって降りたん」

れんげ「そしたら、大トロのお腹の上に乗っかったん!」

小鞠「穴?」キョロキョロ

小鞠「……うーん、見当たんないよ?」

夏海「れんちょん、夢でも見たんじゃないのー?」

小鞠「そうそう……って、いつの間に木登りしてるのよ……」

れんげ「そんなことないん! ぜったいにいたん!」



夏海「ふーむ……そんならさ、今度大トロ探ししようぜ。
   今日はもう暗くなるからさー」

れんげ「!!」

小鞠「えー……れんげの夢なら探すもなにも──」

夏海「とうっ!!」

小鞠「ってぎゃーーーーーーーーー!?!??」

 ゴベシャ

れんげ「ナイスアイディアなのん! ほたるんも連れて探検するん!」

夏海「よーしっ、じゃあ今度の休みにガッツリやるぞー!」

れんげ「うおー!!」

小鞠「う~……お~~~り~~~ろ~~~~……!!」

今日はここまで。

 ────
 
 ──


一穂「へぇー、そんなことがあったんだねぇ」

れんげ「今度の休みにみんなで探しに行くん!」

一穂「あんまり森の奥まで行っちゃだめだよ」

一穂「それにしても……不思議な話だねぇ。
   大トロだっけ?」

れんげ「そうなん、ウチが誰なんって聞いたらそう答えたん」

一穂「きっとれんちょんを見守ってくれてる、
   森の妖精さんなんだろうね」

れんげ「ふっふっふ、見つけたら芸を覚えさせるん」

一穂「……罰が当たるよ」



 ────

 ──


 ~数日後~


小鞠「お、蛍も来たね」

蛍「お待たせしました」

夏海「よっしゃあ! それじゃあ行きますか!」

れんげ「れっつらごーなのん!」


 テクテク…


蛍「それにしても、れんちゃんが見た……えっと」

れんげ「大トロなん」

蛍「そう、大トロ。その大トロがいた穴の中って、
  見つからなかったんだよね」


小鞠「そうなんだよ。だから何を手がかりにすればいいか……」

夏海「まあまあいいじゃん、今日の目的は大トロ探し!
   ……ではあるけど、まあ大まかに言って探検だよ姉ちゃん」

れんげ「手がかりならあるん」

夏海「え、マジで?」

れんげ「大トロを見つけた日は、ウチどんぐり集めしてたん」

夏海「なるほど……だとすれば、
   どんぐりが落ちてる場所を探せば見つかるかも……」

小鞠「じゃあひとまず、どんぐり集めしよっか。
   あっち側にどんぐりの木があったかな」

今日はここまで

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