【ガルパン】エリカ「私達そんなに仲良かったっけ…?」みほ「…違うと思う」 (28)




~黒森峰~


まほ「なぁエリカ」

エリカ「なんですか?」

まほ「私はもうすぐ留学する」

エリカ「ええ。なのに私の指導に貴重な時間を割いてくれて本当に感謝しています」

まほ「それはいいさ。むしろ半年も早くお前に隊長を押し付けてしまうのだからこのぐらいは当然だ」

エリカ「押し付けるだなんて……」

まほ「正直、今さらお前に教えられることは殆どない。あとはお前がお前の戦車道をやればいいのだから」

エリカ「……」

まほ「だが、一つだけ。心残りがある」

エリカ「……なんですか。私に、出来る事なら」

まほ「お前に……いや、お前たちにしかできない事だ」

エリカ「私たち……?っていったい……」

まほ「ついてきてくれ。ヘリの準備はしてある」テトテト

エリカ「え、あ、ちょっ、待ってください隊長」



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~大洗~


まほ「ついたか」

エリカ「急に大洗に行くって本当に一体なんなんですか……」

まほ「さ、早く行こう。もう待ってるはずだ」

エリカ「待ってるって……」

沙織「あ!来た来たこっちこっちー!!」

エリカ「あの人って……」

まほ「すまない、ちょっと遅くなってしまった」

沙織「良いですよ!それよりも久しぶりですね!!みぽりんのお姉さん!逸見さん!」

まほ「ああ。大学選抜以来か」

エリカ「お久しぶりね。元気そうで何よりよ」

沙織「ありがとう。それじゃあ早速……」チラッ

まほ「ああ、頼む」

沙織「了解!みんなー!!」




華「あ、来たみたいですよ」

麻子「とっとと行こう」

優花里「ほら、こっちですよ」グイグイ

みほ「あ、あの……一体何を…………あ」

エリカ「……」

みほ「そ、その……久しぶりだねお姉ちゃん。……エリカさん」

エリカ「ええ。相変わらず仲が良いようで何よりよ」

みほ「う、うん……」

エリカ「……」



沙織「うーん、やっぱりこんな感じかぁ……」

麻子「あまり回りくどいと余計に拗らせそうだ。ここは単刀直入に行くべきだと思う」

優花里「同感です」

まほ「そうだな。……みほ、エリカ」

みほ「何?」

エリカ「なんでしょうか」




まほ「今日お前たちに来てもらったのには訳がある」

エリカ「隊長の心残りって言ってましたよね……?」

まほ「ああ。その心残りとは……お前たちの関係だ」

みほ「………………え?」

エリカ「はぁ?」

まほ「私は前々から思ってたんだ。決勝での一件のせいで引き裂かれてしまった二人の仲をもう一度取り戻して欲しいと」

みほ「え、えっと……」

まほ「もちろんすぐには難しいと思っていた。みほはもちろんエリカの気持ちもわかるからな。だが全国大会、そして大学選抜戦を経てお前たちの距離はだいぶ近づいてきたと思える」

エリカ「隊長、ちょっと……」

まほ「だから、留学前に二人には元の仲の良い友達に戻ってもらいたい。それが……私が隊長として最後に出来る事だと思ったんだ」

みほ「……」

エリカ「……」

沙織「二人とも色々あったのはわかるけどさ、いつまでもケンカしてないで仲直りしよう?」

優花里「そうですよ!西住殿も戦車道の楽しさを思い出せたんですし、エリカ殿とまた友達になれますって!!」

華「友情の花は再び花開きます」

麻子「めんどくさいからとっとと仲直りしろ」



エリカ「あの……ちょ、ちょっといいですかっ!?」

まほ「どうした。まだ気まずいのか。なら、一旦時間をおいて……」

エリカ「そうじゃなくてっ!!そういう事じゃなくてですね!?そもそも……私、別にみほさんとはそんな親しくは……」

まほ「皆まで言うな。わかってるさ、お前にとってみほは一言じゃ言い表せないくらい複雑な関係なのだという事は」

エリカ「わかってない……」

まほ「だがしかし、みほは大切な妹だが、お前も私にとって大切な後輩なんだ。その二人がわだかまりを抱えたままなのは私にとっても辛い」

沙織「そうだよ。仲が良かったのに一生喧嘩したままだなんて悲しいよ!」

みほ「あの、沙織さんちょっと静かにしてもらえます?」

まほ「さぁ、お前たちを隔てる物はもう何もない。恥ずかしいのなら私たちは席を外すよ」

エリカ「あの……本当に私たち友達とかじゃなくて……」

まほ「何度も言わせるなお前たちの間に……」

みほ「そうじゃなくて!!友達で、色々あったから今疎遠だっていう事じゃなくて!!私たちは元々友達とかじゃないのっ!!」

まほ「……え?」

沙織「え?」

エリカ「喧嘩なんてこの子としたことありませんよ……そもそも碌に話したことないんですから」

まほ「い、いやー……それは嘘だろ」

エリカ「なんでこんな嘘つかないといけないんですか……」

まほ「……ちょっと待て」




prrr


小梅『はいもしもし小梅です。なんですか隊長?私今五円玉で五重塔作るのに忙しいんですけど』

まほ「お前その趣味は休日の女子高生がやるには渋すぎるだろ……って、そんな事はどうでもいい」

小梅『いきなり電話してきて失礼な人ですね……』

まほ「なぁ、エリカとみほって友達じゃないのか?」

小梅『え?違うと思いますよ』

まほ「い、いやだって……」

小梅『みほさんが黒森峰にいた時も戦車道関係以外でエリカさんと話してる姿一回も見た事ありませんし、むしろなんでそんな事思ったんですか?』

まほ「……わかった。ありがとう」

小梅『え?あ、ちょ』


pi!


まほ「……」

沙織「えっと……本当にみぽりんとは仲良くなかったの?今はともかくとして」

エリカ「別に……それこそ入学当初はなんでこんなのが副隊長なのよって思ってはいたけど」

まほ「ほら!いがみ合い!複雑な感情は確かにそこに!」

エリカ「でも、みほさんの実力が分かっていくうちに、この子が副隊長であることに不満はなくなりました」

まほ「ほら!認め合う事で生まれる絆!友情は確かにあった!」

エリカ「だからといって仲良くなったとかそういうのは……近づきにくいってわけでもないけど、積極的に仲良くなりに行くほど……みほさん、あんまり人と関わりたくなさそうだったし」

みほ「あー……まぁ、うん。そうだね……正直あの頃はそんな感じだったと思う」

沙織「で、でもみぽりん逸見さんの事名前で呼んでるでしょ?名前呼びは友達みたいだって言ってたじゃん」

みほ「それは……エリカさんが」

エリカ「昔ね、隊長とみほさんがいた時は『西住さん』って言い方だと二人とも反応しちゃって。だからみほさんって」

みほ「私だけ名字で呼んでるとそれはそれでなんかあらぬ誤解というか、避けてるって思われちゃいそうで……」

まほ「赤星は?」

みほ「……えっと、その……赤星さんとは決勝でのあれこれで色々あったけど逆に言うとそれ以外はあんまりというか。避けてるとかそういうんじゃないんだよ?でも、あれこれ話す前にこっち来ちゃったのもあってその」

まほ「あ、うん。わかった。もういい」

みほ「本当に避けてるとかそういうんじゃないんだよ?」

まほ「わかった。わかったから。逆にエリカはどうなんだ?名前で呼ぶなら私でも良かったんじゃ」

エリカ「え……そんなの、恐れ多くて……」

まほ「……私、避けられてたんだな」

エリカ「そういうわけじゃないですけど、だからといって馴れ馴れしくするのも違いますし……」



沙織「でも中等部からの付き合いなんでしょ?4年も一緒にいれば仲良くなったんじゃないの?」

エリカ「一緒にって言ったって別に同じ部屋でもなければクラスも違ったし……」

みほ「黒森峰の時は碌に人と話さなかったから……エリカさんと会話した回数は確かに他の人よりは多かったけど……」

エリカ「それでも戦車道の時にちょっと話すぐらいでプライベートの事は何も知らないわ」

麻子「だが私が前に西住さんの事が好きなのかと言った時わかりやすく狼狽してたじゃないか」

エリカ「あれは……よく知らない人に好かれてるとか気持ち悪いでしょ?ちゃんと否定しないと」

優花里「気の使い方おかしいですよ……」

みほ「正直、麻子さん何言ってるんだろ……って」

麻子「……ドライすぎる」




まほ「いやまて、中等部の時はみほは隊長、エリカは副隊長だったろ。関係が浅いとかあるか?」

優花里「そうですよ。中等部とは言え戦車道チームの隊長副隊長なら練習メニューの組み立て、試合の打ち合わせなどが結構あったはずです。結果的に一緒に過ごす時間は長かったんじゃ……」

エリカ「……えっと、言っても良いのかしらこれ」

みほ「言うしかないんじゃない……?」

まほ「なんだ?」

エリカ「えっと……たぶんその時の私たちって普段試合と練習の時ぐらいしか顔合わせてなくて……」

まほ「は?ちょ、ちょっとまて。じゃあお前たち何してたんだ?」

エリカ「練習メニューは私が、試合の作戦等はみほさんが主に考えて、それを相手にメールで送って、修正や気になった点があればまたメールで聞くって感じで、

    顔を合わせて打ち合わせってのはほとんど……」

まほ「いやいやいや嘘だろそれで何の支障も無かったのか?」

エリカ「あの頃のみほさんが立てる作戦って西住流に忠実な堅実かつ強力なものばかりで、私から口を出せるようなものじゃなかったですし」

みほ「エリカさんの練習メニューは私が見落としがちな基礎部分をしっかりと抑えた実用的なものばかりで、私から変更をお願いしたことは一回も無かったな……」

優花里「えっとつまり」




みほ『夜分遅くに失礼します。次の練習試合で使う予定の作戦です。確認お願いします』

エリカ『確認しました。これで大丈夫だと思います。来月からの練習メニューを作成したんで確認お願いします。』

みほ『確認しました、これで大丈夫なので練習メニューの印刷と配布をよろしくお願いします』

エリカ『わかりました』






優花里「こんな感じだったって事ですか?」

エリカ「だいたいあってるわね」

みほ「うん。何なら私のメール最後に返信不要って付けてるから最後のエリカさんの返信はいらないぐらい」

まほ「あっさりしすぎだ!!小学生だってもっと社交辞令なりなんなり付け加えるぞ!!?」

エリカ「そういわれましても……」

みほ「お互いやりたいことがあるだろうしあんまり時間取らせるのも……って」

エリカ「あ、でも隊長副隊長両方の記入が必要な書類なんかはいちいち回すのめんどくさいから一緒に書いてたわね」

まほ「ほら!やっぱりあった二人っきりの時間!!無言の時間が心地よくって、でもなんとなくおしゃべりもしたいからそれが終わったら二人で甘い物食べて

  『頭使った時には甘い物よねー』『そうだねエリカさん。はい、あーん♪』みたいな他愛もない女子らしい事してたんだろ?」

みほ「してないよ……もちろん書類仕事はあったけど、エリカさん書類とかの処理が凄く早くて……さっさと終わらせてさっさと帰っちゃってたよ」

まほ「そこはお前待ってって!!なんで一人で帰ってるんだ!!」




エリカ「いや……だって私が出来る部分は終わってるし、そうじゃない部分に口だすのはあれだし……何よりも……気まずくて……」

みほ「私もそうだったから終わったら帰っていいよって言ってたし、一人の方が集中できるから結果作業が凄く捗った」

優花里「コミュ障同士の反発作用が作業の高速化を引き起こしたんですね……」

麻子「リニアモーターカーか」

まほ「なんなんだお前らは。阿吽の呼吸か。もはや仲良しじゃないか」

エリカ「いや、本当にそういうのじゃなくて……ただただ、関りが薄かったってだけで……なんていうか、立場上どうしても顔合わせる事があるのは仕方ないんだけど、半端に知ってるから余計に気を使うのよね……」

みほ「あ、それわかる。年始に親戚集まった時碌に話したことない親戚の人と隣になるとそんな感じになる」

沙織「で、でも戦車道喫茶で会った時わかりやすく嫌味いってたじゃん!?決勝の時の挨拶でも邪道が云々言ったんでしょ!?何でもない人にそんな事する?」

エリカ「……逆に聞くけど、いきなり戦車道やめるって言って碌に引継ぎもせずに転校した元副隊長が、

    何も言わずに他所の学校で楽しそうに戦車道してて、その上名誉挽回に必死な私たちの前に対戦相手として現れて何も思わないとかある?

    色々ぶん投げられた現副隊長が」

沙織「うっ、それは……」

エリカ「あの一件でしばらくの間私の平均睡眠時間2時間減ったわよ。ケア忘れると肌ガッサガサだったわ」

沙織「うっわぁ……」




みほ「それについては本当にごめんなさい……あの時は私もいっぱいいっぱいで……でも、そんなのエリカさんには関係ないよね……」

エリカ「いや、まぁ……そんな謝られるとそれはそれで……別にちょっとイラっとしただけでそんなに怒ってたわけじゃないっていうか、

    あなたの気持ちが分からないわけじゃないし……」

みほ「それでも迷惑かけたのは事実だから……」

エリカ「ああ、うん。それは……まぁ気にしなくていいわよ。大変だったけどその分隊長が全力でフォローしてくれたし」

まほ「めっちゃ頑張った」

エリカ「それに嫌味言ったのは事実だし、スポーツマンシップに悖る行為だったのはまぁ、その通りではあるし……何よりもあなただって大変だったんでしょう?

    いきなり学校の進退任せられたら私だったら胃に穴が開くわよ。キューティクル痛みまくりの髪パッサパサよ」

みほ「うん、まぁ……2、3回ぐらい藁人形もって学校裏の山に登ろうかと思ったりもしたけど……」

沙織「そんな事考えてたんだ……」

エリカ「ね?だからどっちが悪いとかじゃなくて、どっちも悪かったぐらいで納めておきましょう?」

みほ「うん……」

エリカ「……ならここらで一回謝っておきましょうか。せっかくこういう場を作ってもらったんだし」

みほ「う、うん。そうだね」

エリカ「えっと、それじゃあ……ごめんなさい」

みほ「……ごめんなさい」

エリカ「……許すわ」

みほ「……許します」

エリカ「……これでお互いスッキリしたわね」

みほ「うん」





優花里「因縁が……目の前で解決、いや霧散した……」

沙織「いや良い事でしょ……」




華「では大学選抜戦の時は……」

エリカ「え?私あの時なんか言ったかしら?」

沙織「ほら、急造チームでチームワークぅ?って」

エリカ「あああれは……『お互いほぼ初対面の状態でチームワークを発揮するのは難しいけど、よく考えたらあなたも転校したばっかりの高校で仲間をちゃんと導いていたわね。何かコツでもあるの?』って質問だったんだけど……」

まほ「言葉足らず過ぎる。お母様だってもっとわかりやすく言うぞ」

麻子「素であれなのか。そりゃ友達いないな」

エリカ「いるわよ……まぁ、確かに質問の仕方が悪かったわね」

沙織「えーっと、じゃぁ……」

まほ「私たちの勘違いだったのか……?二人の間には愛憎渦巻く関係はないのか……?」

エリカ「無いですよ……ていうか10代の女子がそんな関係そうそう持ちませんよ……」

まほ「えぇ……」

沙織「何それぇ……」

エリカ「勝手に勘違いしといて不満顔されるのってめっちゃ腹立つわね……」

みほ「あはは……」



まほ「いやまだだ!!このまま引き下がれるか!!」

みほ「えーまだ粘るの……?」

エリカ「正直本当にもう勘弁してください……」

まほ「西住流に退くという言葉はない!!」

エリカ「あるんじゃないですか?」

まほ「お前たちっ!!友達じゃないのなら今友達になれ!!」

みほ「え?」

まほ「元より我々の目的はエリカとみほの友情を再び結ぶことだ!!どんな形であれ友情で結ばれれば問題ない!」

エリカ「んな強引な……」

みほ「……」

沙織「そうだよ!いい機会なんだからお友達になろ?ね?」

優花里「このまま何の戦果もなしに帰れませんよ!!」

麻子「会うたびに気まずい空気作られても困るしな」

華「そうですね。せっかくですから」

エリカ「だからそういうのは迷惑だって……」

みほ「……そう、だね」

エリカ「え?」

みほ「お友達、なろっか?」

エリカ「いや……良いの?」

みほ「別に、あなたの事嫌いとかじゃないから……」

エリカ「……そ、そう」




まほ「お、いい雰囲気になったぞ。みんな、下がれ」

優花里「アイアイサー」コソコソ

沙織「みぽりん頑張ってっ!」コソコソ

華「殴りあいで結ばれる友情も良いと思いますよー」コソコソ

麻子「余計な事を言うな……」コソコソ



エリカ「……あなたの友達とお姉さんホント好き勝手してくれるわね」

みほ「あはは……」

エリカ「……」

みほ「えっと……今さらだけど、その……」

エリカ「お互い顔見知りなのに時間だけ積み重ねてきたからね。なんていうか、凄く気恥ずかしいわ」

みほ「あはは……同感。とりあえず、私と友達になってください。……こんな感じでいいかな?」

エリカ「適当ね……まぁ、形式なんて良いんじゃない?どうせやることは変わらないんだし。でも……ホントに良いの?謝ったとはいえ私あなたに結構辛辣だったのに……」

みほ「それこそ私もだよ。あなたに色々押し付けたのに……」

エリカ「だからそれは仕方がなかったんでしょ?」

みほ「なら、私も同じこと言うよ」

エリカ「……はぁ、これ以上は堂々巡りね。私、あなたたちと違ってそんなに時間に余裕ないからここまでにしましょうか」

みほ「……あははっ、嫌味っぽいのって素だったんだね?」

エリカ「私は自分を偽って生きるのは嫌なのよ」

みほ「うっわ……私にそれ言う?同じ学校通ってたのに」

エリカ「え?どういう事?」




みほ「私黒森峰の時は全然自分らしく生きてなかったよ」

エリカ「……そう。私黒森峰の時のあなたを良くは知らないけど……でも、今のあなたを見ているとそうなのかもって思うわ」

みほ「でも……あなたとこうやってちゃんと話してたらもしかして……」

エリカ「え?」

みほ「……ううん。なんでもない」

エリカ「なんなのよ……」

みほ「まぁ、これから先色々話していけばいっか。とりあえずさ、今日は皆でご飯食べに行かない?友好を深めるために」

エリカ「良いわね。あなたが黒森峰で何を思ってて、大洗でどうなったのか。教えてもらいましょうか」

みほ「うん、じゃあエリカさんもね?」

エリカ「わかってるわよ」

みほ「それじゃあ気を取り直して。エリカさん―――――私と、友達になってください」

エリカ「……ええ、こちらこそ。仲良くしましょう?」





まほ「うっし!!任務完了<ミッションコンプリート>!!」グッ

沙織「良かったぁ……」

優花里「何はともあれ、これで悩みの種が一つ消えましたね」

麻子「まぁあの二人の事だ、また何かしら面倒ごと起きそうな気もするが」

華「なら、またこうやってあれこれしつつ見守ればいいんですよ」




エリカ「まったく……これでいいですか隊長?」

まほ「ああ、これでもう心残りは無い……安心して旅立てるよ」

エリカ「こういうサプライズはこれっきりにしてくださいね」

まほ「あなたがちゃんとみほと仲良く出来ていればね」

エリカ「余計なお世話甚だしいですよ……」

みほ「沙織さん、この後みんなでご飯食べに行きたいんだけどどこか良いところ知ってる?」

沙織「まっかせて!大洗のおいしいお店私いっぱい知ってるから!!」

優花里「何が良いですかねー」

麻子「あんまり騒がしくない所が良いな」

華「美味しくて量が多ければ何でもいいですよ」

優花里「それ結構縛りありますよ?」

まほ「私はカレーが食べたい」

沙織「もー!!いっぺんに言わないでよ!!」




ワイワイガヤガヤ


エリカ「騒がしい人たちね」

みほ「でも、良い人達だよ」

エリカ「……ええ、そのぐらいはわかるわ。さ、みほさん。私たちも行きましょう?」

みほ「みほでいいよ」

エリカ「え?」

みほ「なんとなく、エリカさんには呼び捨てで呼んで欲しいなって」

エリカ「えぇ……いきなりそれはちょっと……そういうのはもっと仲を深めてからするものじゃない?」

みほ「じゃあみぽりんでも良いよ?みほちゃんも可」

エリカ「みほで良い?」

みほ「そんなに嫌?」

エリカ「恥ずかしいもの。あなたこそ、そんなかしこまった呼び方しなくていいわよ?」

みほ「……そのうちね」

エリカ「自分だけずるいじゃない……」

みほ「私は良いの」

エリカ「……ま、呼び方なんて何でもいいか」



みほ「そうそう。あ、エリカさんって何か好きな食べ物ある?折角だから希望を聞いておきたいんだけど」

エリカ「……ハンバーグ」

みほ「…………へ―」

エリカ「言いたい事があるならはっきり言ったらどう?」

みほ「……案外子供っぽいの好きなんだね」

エリカ「人の好きなものにケチつけるんじゃないわよ」

みほ「自分で聞いたくせに……」

エリカ「じゃあ、あなたの好きなものはなによ」

みほ「マカロン」

エリカ「食事にするものじゃないでしょ……おやつじゃなくてご・は・ん」

みほ「……ハンバーグ」

エリカ「あら、子供っぽい」

みほ「人の好きなものにケチつけないでよ」

エリカ「ふふっ、粗探しって案外楽しいのよ?」

みほ「めっちゃ性格悪い人の趣味だよそれ……」

エリカ「私と友達やりたいのならそのぐらいは受け入れなさい」

みほ「直す気はないんだね……」

エリカ「……ねぇみほさ……みほ」

みほ「何?」

エリカ「……あー、あれよ。よろしくね?」

みほ「……うんっ!!」



まほ「二人とも何してるんだ。早く」

みほ「うん、今行くよ」

エリカ「何食べるか決まったんですか?」

まほ「とりあえず二人の好きなものを尊重してハンバーグカレーはどうかと」

みほ「勝手にお姉ちゃんの好みを混ぜないでよ……」

まほ「いいじゃないか別に。私だって頑張ったんだから」

エリカ「はいはい。まぁ、とりあえずお礼言っておきますよ」

まほ「……いいさ。大切な妹と、大切な友達のためなんだから」

みほ「……」

エリカ「……隊長、留学前にどこか遊びに行きましょうか」

まほ「ああ。それは……とっても楽しみね」

みほ「私は?」

沙織「私は?」

華「私は?」

優花里「私は?」

麻子「甘い物奢ってくれるなら付き合うぞ」

エリカ「はぁ……皆一緒にね」

みほ「だねっ!」




ー終ー

エリカさんとみぽりんが仲良かったという一部の風潮に一石を投じるためにこのSSを書きました。

話は変わりますが2話とっても良かったですね。全力でネタバレしたいところですがとりあえずエリカさんが麗しかったとだけ言って終わりにします。

読んでくれた方ありがとうございました。

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