田中摩美々「ふふー、すきだらけですねー」 (16)

P「………」カチッ カチッ

P「……はあ。一息入れるか」

P「小腹がすいたし、冷蔵庫になんか残ってたかな」


ぴとっ


P「ひゃうっ!? つめたっ!」

摩美々「ふふー、かわいい声で鳴くんですねー。プロデューサー」

P「ま、摩美々~! 首筋に冷たいアイスを当てるなって前にも言っただろう!」

摩美々「だってプロデューサー、すきだらけですしー。ついやっちゃんですよー」

P「俺が悪いみたいな言い方はやめるんだ」

摩美々「はーい、わかりましたぁ。びっくりさせたお詫びに、このアイスバーはプレゼントしちゃいますねー」

P「え、いいのか?」

摩美々「126円」

P「プレゼントじゃないじゃないか!」

摩美々「ふふー、冗談ですよー。本当に、プレゼントですってばー」

P「そうか……なら、ありがたくいただくけど。でも、いきなりどういう風の吹き回しだ?」

摩美々「それはもちろん……日頃の感謝……とか?」

P「そこは自信をもって言い切ってほしかった」

摩美々「ほらー、はやく食べないと溶けちゃいますよー?」

P「っと、そうだな。せっかくの摩美々の気持ちを無駄にしちゃいけない」

摩美々「気持ちって……大げさ……」

P「大げさじゃないさ。このアイスは確かに126円で売っていたものかもしれないけど、摩美々が俺のために買ってきてくれたという事実で価値はずっと上がるんだ」

摩美々「プロデューサー……」

P「な?」

摩美々「……えへ」



摩美々「じゃー、やっぱりお代は3000円でー」

P「プレゼントだろ!?」

摩美々「ふふー」


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摩美々「プロデューサー、意外と甘いもの好きなんですよねー」

P「意外か?」

摩美々「いつもコーヒー飲んでるイメージだから、苦いほうが好きなのかなーって」

P「あれは目覚まし目的で飲んでるところもあるからなぁ。俺は普通に甘いのも好きなんだぞ?」

摩美々「じゃあ、これからコーヒーを淹れるときは砂糖をたーっくさん入れてあげますねー」

P「俺を糖尿病にする気か」

摩美々「健康診断、受けてるんですよねー。どうなんですかぁ?」

P「今のところは正常じゃない部分はないらしいけど……生活習慣があまり褒められたものじゃないって自覚はあるからなぁ」

摩美々「夜遅くまで残ってること、多いですもんねー……」

P「今年の診断、血圧上がったりとかしてたらどうしよう」

摩美々「それはいつも私を叱ってるのが原因だから、安心していいですよー」

P「そうか、なら安心……安心なのか? それ」

摩美々「まみみを叱らなければ解決なので、安心ですよー」

P「摩美々がイタズラをやめてくれればそうできるんだけどな」

摩美々「ふふー」

P「誇らしげな顔をするところじゃないぞ、まったく。そういう態度が直らない限り、優しくなんてできないんだからな」

摩美々「……もう十分優しいと思いますケド」

P「え?」

摩美々「あ……なんでも、ないです」

P「……へぇ~? 摩美々は俺のこと、優しいって思ってくれてるんだな。そうか~」

摩美々「むぅ……」

P「そうかそうか。ようやくいつも叱ってる俺の気持ちに理解を」

摩美々「……そうですよ」

P「?」

摩美々「プロデューサーは、いつも私のことを想って叱ってくれているのが伝わってきて……だから、私にとっては特別な人なんです。世界で、ひとりだけの、特別な……」

P「ま、摩美々……」





摩美々「って言えば、男の人は喜ぶんですかねー?」

P「摩美々~~!!」

摩美々「ふふー」

P「そうやっていつもいつもイタズラを……!」

摩美々「イタズラはイタズラでも、嘘は言ってなかったりして」ボソッ

P「え?」

摩美々「なんでもないですよー。今度はちゃあんと、聞こえないように言ったのでー」

P「それ、絶対なんでもあるやつだろう……くそ、気になるのが悔しい」

摩美々「ご想像にお任せしまぁす」ニヤニヤ

翌日



P「………」

摩美々「………」

P「一応聞くが……砂糖がいっぱいとか、ないよな」

摩美々「プロデューサー、私のことを信用できないんですか……?」

P「できない」

摩美々「うわぁ、さいてー。プロデューサーの風上にも置けませんねー」

P「普段の自分の行いを振り返って、まだそう言えるか?」

摩美々「ちっ」

P「一応言っておくけど、摩美々の風貌で舌打ちされると結構怖いんだぞ」

摩美々「へぇ、いいこと聞きましたぁ。今後は有効活用しまぁす」

P「まったく……じゃあ、信じて飲むぞ」

摩美々(結局信じるんだ……)

P「………」ゴク

P「……あ、普通においしい」

摩美々「ふふー。それはそれはぁ」

P「摩美々、コーヒー淹れるの上手なんだな」

摩美々「将来の夢はバーテンダーでしたからー」

P「初めて聞いた上にあんまりコーヒー関係ないぞ」

摩美々「あ、バレちゃいましたぁ?」

P「油断も隙もないな、摩美々は」

摩美々「そういうプロデューサーはすきだらけですねー」

P「心がピュアなんだよ、俺は。それより、摩美々も冷める前に飲んでくれ」

摩美々「はーい……」ゴク

摩美々「……おー。プロデューサー、紅茶を淹れる腕が上がりましたねー」

P「だろう? 毎回摩美々にダメ出しされるから練習したんだ」

摩美々「あえてかけてた厳しい言葉が実りましたねー」

P「いや、絶対素で言ってただろう。『え……マジ?』とか真顔で言ってただろう」

摩美々「過ぎたるは及ばざるがごとしって言いますしー」

P「誰の言葉だったかな、それ」

摩美々「まみみの言葉ですよー」

P「嘘つけ」

十数分後


摩美々「………」(雑誌を読んでいる)

P「………」(スマホをいじっている)

摩美々「………」


摩美々「なにしてるんですかぁ?」

P「うお、びっくりした」

摩美々「これは……ゲーム?」

P「ああ、最近ハマってるアプリゲームなんだ」

摩美々「へー」ヒョイ

P「取り上げるのはいいけど、変なところは触るんじゃないぞ」

摩美々「あ、ガチャのページに飛んだー」

P「回すんじゃないぞ。今石貯めてるところなんだから」

摩美々「やりませんよー。実害出るじゃないですかー」

摩美々「でもこのゲーム……結構女の子のキャラがキワドイ服装じゃないですかぁ?」

P「そ、そうか? そこまでじゃないと思うけどなー」

摩美々「ふーん……まあ、いいですケド」

P「どうしたんだ、急に紙とペンを取り出して」

摩美々「サインの練習をしようかと」

P「いい心がけじゃないか」

摩美々「ふふー」

摩美々「ま、み、み。ま、み、み」

P「うんうん」

摩美々「す、け、べ」

P「……ん?」

摩美々「おっとぉ、つい心の声がー」

P「心の声……って、このサイン! よく見たらひらがな三つで『まみみ』じゃなくて『すけべ』になってるじゃないか!?」

摩美々「おっとぉ、つい心の声が文字にー」

摩美々「育ててるキャラの傾向的にー、プロデューサーはおしとやかな女の子が好きなんですかぁ?」

P「さっきの短時間でそこまで観察していたのか」

摩美々「私もおしとやかになっちゃおうかなー」

P「それは普通に見てみたいな」

摩美々「ごきげんよー」

P「まずその語尾を伸ばすところを直そうか」

摩美々「いいんですかぁ? 私が本気で演じても」

P「どういう意味だ」

摩美々「プロデューサー、恋しちゃうかもですよー」

P「俺が、摩美々に? はははっ」

摩美々「………ふーん」

P「……あれ?」

摩美々「ばっどこみゅにけーしょーん」プイ

摩美々「このゲーム、男キャラのファッションが結構オシャレですねー」

P「いつの間にか自分のスマホでインストールしたのか」

摩美々「まぁ、暇つぶしにはちょうどいいですしー」

P「まずキャラのファッションに目をつけるとは、なんだか摩美々らしいな」

摩美々「ファッションといえば……プロデューサー、スーツ以外の私服はちゃんと持ってるんですかぁ?」

P「え? 普通に持ってるけど……」

摩美々「本当ですかねー。たまたまオフに出くわした時もスーツだったような……」

P「あれはたまたま、気を引き締めたい時だったからスーツを着てただけでだな」

摩美々「その理由もどーかと思いますケド……」

P「……まあ、私服のレパートリーが少ないのは事実だ」

摩美々「じゃあ、私が選んであげますよー」

P「え? いいのか」

摩美々「まみみのプロデューサーがオシャレに疎いのは、ちょっとシャクなので」

P「疎いわけじゃないぞ。ただ、自分のファッションに関してはあんまり考える余裕がないだけで」

摩美々「それを疎いって言うんですー」

P「くっ、珍しく正論を……」

摩美々「失礼ですねー。それで、どうなんですかぁ?」

P「………」

P「お願いして、いいですか」

摩美々「ふふー、素直でよろしいー」

後日


P「というわけで、オフに摩美々と買い物ということになったが……」

P(ダメ出しされるのが怖くて今日もスーツを着てきてしまった……)

P「待ち合わせ時間5分前……摩美々、悪い子だからって遅刻常習犯とかじゃないよな……?」


摩美々「待ちましたか?」


P「お、来たか。まだ待ち合わせ時間過ぎてないからだいじょう……ぶ……」


P(背後から聞こえた声に振り返ると、そこに立っていたのは見慣れた少女の見慣れぬ姿だった)

P(白のワンピースに帽子を被り、真っすぐおろした髪を風になびかせながら、彼女は可愛らしく頭を下げる)


摩美々「ごきげんよう、プロデューサー」

P「あ……ああ、うん。ごきっ、ごきげんよう」

摩美々「ふふっ」

P「………」

摩美々「………」ニコニコ

P「………」プイ

摩美々「……プロデューサー」


摩美々「今、噛んだ上に照れて目を逸らしましたねー?」

P「えっ」

摩美々「ふふー。照れさせたので私の勝ちー」

P「なっ……摩美々、まさか俺を恥ずかしがらせるために」

摩美々「いいえー、これはただの変装ですのでー」

P「……してやられた」

摩美々「さあ、早速目的地へ向かいましょー」ニコニコ

摩美々「ここのお店、よく来るんですケド、男物の服もたくさん揃ってるので安心してくださいー」

P「今更だけど、ありがとう。貴重なオフを俺のために使ってくれて」

摩美々「いえいえー。代わりに面白い顔を見せてもらいましたしー」

P「はは……」

摩美々「でも、こうしてると彼氏の服を選んでる彼女みたいですねー」

P「あんまりからかうんじゃないぞー」

摩美々「はーい……でも、今度は私の服の番っていうのはありですかねー」

P「そうだな。俺のファッションセンスを披露するいい機会だ」

摩美々「あ、プロデューサーはお金出してくれるだけで大丈夫ですー」

P「ただの財布じゃないか!」

摩美々「私の持ち味を活かしたコーデができるなら、任せていいですけどねー」

P「むぅ……よし、ばっちり摩美々のことを研究してやるからな」

摩美々「では手始めに、まみみのいいところをたくさんあげてくださいー」ニヤニヤ

P「え? そうだな……まず、なんでも器用にこなしてくれるところ。あと、こだわるところにはとことんこだわり抜くところ。それと、なんだかんだでみんなのことをちゃんと見てくれているところとか」

摩美々「………」

P「? どうしたんだ?」

摩美々「いや、その……そこまで真面目に言ってもらうつもりじゃなかったんですケド……」イジイジ

P「そうなのか? ならこの辺でやめておこう」

摩美々「……そうしてください」

P「じゃあ、次は摩美々が俺の持ち味を言ってみてくれ」

摩美々「騙されやすくていつもスーツ着てる人」

P「悪口か!?」

摩美々「ふふー」

摩美々「……でも本当、スキだらけですねー」

P「隙だらけって……それも悪いところだろう」

摩美々「あとー、女の子がおめかししてきたのに感想を言ってくれない人でもありますねー」

P「あっ……すまない、驚いてたせいでつい」

摩美々「じーー」

P「……可愛いぞ、摩美々」

摩美々「もっと具体的にー」

P「ええっ!? えっと、そうだなぁ」

摩美々「ほらー。そんなんじゃ摩美々のコーデは任せられませんよー」

P「くそう、なんとしてでもうまい言葉をひねり出してやる……!」

摩美々「ふふー♪」




おしまい

おまけ


買い物前日


摩美々「こっち……ううん、こっちのほうがおしとやかっぽいかなぁ」

摩美々「これと、あとはこれを合わせて……よし」

摩美々「……あの人、どんな顔をするかな」

摩美々「……ふふー」



おまけおわり

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます

まみみかわいい

過去作

大崎甘奈「えっちなのはいけません!」
【シャニマスSS】黛冬優子、バスト78

などもよろしくお願いします

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