少女「日記を書いていたら偶然異世界につながった件」 (6)

[帝国暦302年 神秘蘭の月 2日]
 年も越した事だし、今日から新しい日記帳に替えて日記を書いていこうとおもう。

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 今日は年越しということで、都の方で華やかな祭りがあったらしい。
 確かに都の方角から歓声や爆発音が響いていた。
 この森は都からは大分離れているというのに、ここまで聞こえてくるというのはとんでもない音なのだろう。
 実際、都の喧騒から逃げ出してきたのか、今日は普段見ない小鳥やネズミたちを多く見かけた。

 今日のお昼ごはんはベニヨヘイジとマダラキジを山菜で包んで焼いたもの。
 ベニヨヘイジはいつもどおり山の裏手に群生していたものをお借りした。
 マダラキジは家の近くで発見。どうやらヤマネコに襲われたらしく、片翼が潰れて動かなくなっていた。
 その場で心の臓を突いてから持ち帰り、家で小分けに捌く。部位をバラして、胸肉と枝肉を本日のお食事に使わせてもらう。
 残りの部位は明日食べるので、袋に包んで川で冷やした。
 手間はかかるけど、やっぱりお肉は美味しい。

 日が傾き始めた頃、街から商人さんと、商合ギルドの人がやってきた。
 商人さんはいつも通り。森のいくつかのお恵みを、塩や雑貨なんかと替えてもらう。
 商合ギルドの人からは最近街の方でオオイノシシが出没するので、どうにかならないだろうかと相談された。
 オオイノシシは森の北側に群れで大きな巣を持っていた筈だけど、そういえば最近北の方は土が崩れて地形が変わっていた筈だ。
 大方その影響で群れが移動して、街の方に現れるようになったんだろう。
 すぐには群れを移動させられないので、商人たちが通る公路に注意書きの看板を立て、イノシシ避けの匂袋を全ての商団に持たせるように言った。
 折を見て土地を整え、群れを移動させる必要があるだろう。

 日が暮れた後、使いに出していたアオスズメが戻ってくる。
 予想していた事だが、やはり海の方でも最近は異常な気候変動や、土地の急な陥没が発生するらしい。
 帝国が出来て300年、都は栄えたが、周辺の土地は少しずつ疲弊している。
 千年前の魔王復活の時も、同じようなことが起きていた。嫌な予感は募るが、杞憂である事を祈るのみだ。
 普段は煩わしい物だが、こういう時、つい相談相手を求めたくなる。
 こんな辺鄙な場所に、取引以上のものを求める相手が来るわけもないが。

 とりあえず明日は土地を整える準備を進めよう。
 今日の日記はここまで。
 おやすみなさい。

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