無職「死ぬ前に正義の味方になりたい」 (14)
無職「今日も親の年金で両親に親不孝者として過ごすのか・・・」
無職「毎日やる事といったらネット掲示板で趣味について書き込んだり、日本の政治について考えるが、年金も払ってねーわ」
J( 'ー`)し「ゆうちゃん・・・ 今度の日曜日空いてる?」
無職「う、うん」
J( 'ー`)し「お父さんとね。他県の温泉巡りに行くんだけどゆうちゃんも来るよね?」
無職「当たり前よ!高翌齢者の父さんの運転じゃ怖くて見送れないわ!」
J( 'ー`)し「ふふ 頼りになるわね ありがとう」
---ベッド---
無職【俺は今年で38歳だ】
無職【警察を辞めたのは5年前…】
無職【それからアルバイトもするも続かず、年金生活の両親に食わしてもらってる】
無職【温泉に行ったら、自殺しよう】
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---夜中---
無職《夜は眠れねえや・・・。こうやって地元を散歩するのは気持ちがいいな》
無職【朝に働く人、昼に働く人、夜に働く人、この町が静かになる事がなく、人は働いている。】
???「泣くんじゃねーよ!」
女「嫌だ!もう嫌だ!」
???「いいから車に乗れ!」
無職《外見は10代後半から20代前半・・・水商売をしている女の子が泣いている》
無職《車に引っ張ろうとしてるのは、暴力団員か、チンピラか見分けがつかない》
男「おいっ!こらぁ・・・戻ってこい」
無職《女が車から逃げるように走り去ってるな》
無職《追いかけてみようかな》
無職《見つけた。公園のベンチに座ってるわ。ヒールが道端に転がって女の足は裸足だ・・・。痛そう・・・》
無職「だ、大丈夫ですか・・・?」
女「ううぅ・・・。何よ!?」
無職「怖そうな男の人に追われていたので・・・」
無職「それに裸足だ。怪我をしてしまうよ。これ・・・サイズ合わないかも知れないけど」
女「馬鹿じゃないの?あんたの靴なんてはくわけないでしょ。汚いわ
無職「ははっ そうだった 両親以外の家族と話す事は慣れてないから意味わからない事をしてしまった・・・してしまいました
女「・・・あんたってニートなの?目の前で立たれていると気になっちゃうからベンチの隣に座れば?あと日本語が変だよ
無職「あ…はい」
女「今何歳?」
無職「40歳に近い30代後半ですよ。あなたは?」
女「17歳よ」
無職「婚姻はしてるの?」
少女「してるわけないでしょ」
無職「さっきの怖い男の人は何者?」
少女「デリヘルの社員よ」
無職「おかしいな。未成年者を風俗で働かせる事は違法な事なんだけど」
少女「年齢は逆サバ読んでるし、私はさっきの男の彼女よ。彼が多額の借金を背負ってるらしいから、私が代わりに働いてるってわけよ。全額返済したら結婚する予定なの」
無職「あいつが乗っていた車はクラウンで少なくとも、あの男の身なりは貧しそうに見えなかったし、君は彼に騙されているのかも知れないよ」
少女「正直もうどうでもいいのよ。私の人生なんて終わっているのだから」
無職「な、なんで?」
少女「両親も冷たいし 友達もいないし・・ 毎日が寂しくて・・・ 夜遊びをしてると男の大人の人が声をかけてくれて優しくしてくれるだもん」
無職「まだまだあなたは若い。いくらでも人生なんてやり直せるんじゃないかな?」
少女「無職に説教されても説得力ないわ」
無職「ごめん・・・ 年上だからって説教をみたいな事をしてしまったよ」
少女「30代後半が17歳に頭を下げて謝るとか笑っちゃうよ」
無職「人は仕事をしないで過ごしていると精神が弱くなってしまうものだから」
少女「おじさんはさ。今までずっと無職だったの?」
無職「ううん、5年前までは警察だったんだ」
少女「えぇ・・・ 意外だわ 刑事とか」
無職「ううん、機動隊に配属されていて、どちらかというと頭脳よりも体力面を評価されていたかな」
少女「なんで辞めたの?」
無職「色々と複雑な事情があってね。仕事をするのが疲れてしまったんだ
少女「今は実家住まいなの?」
無職「う、うん。高翌齢の両親に面倒を見てもらってるよ」
少女「どうして働かないの?」
無職「働きたい気持ちはあるけど怖いんだ。すべての人間がね
少女「おじさんの事はよくわからないけど頑張った方がいいよ」
無職「ありが・・」
男「おい!ここにいたのかよ!」
女「もう逃げないから殴らないで」
無職《外が暗くてよくわからなかったけど少女の体には痣がある。こいつが日頃から少女を殴ってんのか》
無職「お前さ?17歳の女の子をデリヘル店で働かせてるみたいじゃんか。」
男「なんだ?このこいつ?お前喋ったのか?」
少女「ごめんなさい」
無職《俺は警察時代に人は恐怖する相手に前にしたら何も言い返す事も出来ずに怯えている者を何度も目にした事がある。
この子は男に対して怯えているのはわかる。》
無職「その・・・僕はこの子の事を可愛いと思いまして・・・お金を支払いますので今度指名してもいいですか?」
男「あー、おじさんはこいつを買いたいわけね。OK.OK!名刺渡しとくわ」
無職「あ、ありがとうございます・・・。」
男「そんじゃ帰んぞ」
少女「はい・・・」
---後日---
探偵A「おー!ゆうちゃんか!久しぶりだなぁ」
無職「あぁ・・・元気にしてた?」
探偵A「景気は悪いけど心は元気だ。そっちは?」
無職「無職ながら元気だよ」
探偵A「ゆうちゃんには警察学校時代に色々世話になったからな。当時の事を思い出すと懐かしいなー 我々は若かったなっ!」
探偵A「ゆうちゃん?警察は辞めたんだよね。なんでそんな事を調べるの?」
無職「わからない」
探偵A「動機はわからないけど、そんなのお安い御用だ」
無職「費用はいくらかかる?」
探偵A「無職から金は取らないさ。特別大サービスで煙草1カートンでいいだろう」
無職「決まりだな」
---喫茶店---
機動隊後輩「無職先輩、お久しぶりです」
無職「もう警察じゃないんだ。先輩はいいよ」
後輩「何言ってるんすか。先輩には稽古をたくさんつけてもらいましたし、永遠の師匠っすよ」
無職「嬉しいな。最初の頃のお前はナヨナヨしていて体も細くても声も小さかったもんな・・・ 厳しい訓練を諦めずについてきていつの間にか強くなってたな」
後輩「ええ、ここだけの話SATにも選ばれそうっすから!」
無職「それは守秘義務で言ったらダメだろ。俺はもう警察とは関係ないんだ
後輩「先輩も元はSATの隊員だったじゃないですか」
無職「俺の過去の話はいいよ・・・それよりも俺はこれから指定暴力団の椿組を潰したいんだ」
後輩「先輩・・・何言ってるんですか?」
無職「椿組は未成年の少女を売春させてるんだ。麻薬で少女の心を操ってな」
後輩「マルボウに頼んだ方がいいのではないですか?」
後輩「我々の担当ではないですよ」
無職「マルボウは信用出来ない。警察で信用出来るのはお前等の機動隊だけだ」
後輩「先輩はもう警察ではないんです。機動隊でもSATでもないんすよ? 最悪の場合は椿組に殺されますよ。先輩本人か関係者が被害に遭ってるわけではないんですね?」
無職「無茶かも知れんが、椿組を解体させてやりたいんだ」
後輩「それをするのが我々警察の仕事であって、マルボウが担当するんですよ。この事はしっかりと管轄内のマルボウに伝えますが、先輩は絶対に大人しくしてくださいよ?」
無職「俺はなんのために警察に入ったのか教えたっけ」
後輩「えぇ、仮面ライダーが大好きで正義の味方になりたいと何度も聞きました」
無職「実際に俺達が警察になってから正義だと確信を持てた事はあったか?」
後輩「そりゃ最初の頃は法定時速を守っていないスピード違反者や、職質で違法薬物所持者を逮捕したり・・・」
無職「俺は悪の根を断ち切りたいんだ 薬物所有者を逮捕しても意味がないだろう 売人を逮捕しても意味がない 組織を潰さなきゃならないんだ」
後輩「先輩の正義感は伝わりますよ・・・? 椿組がなくなっても椿組だった残党がまた新しい組織を作りますよ 先輩がする事は自己満足に過ぎません 」
後輩「いつの世も暴力団は存在しますし、 未成年を風俗で働かせる事は違法ではありますが、 全体的に見ればそんなのは些細な事です。いずれ、その店は検挙されて店は潰れるか、逃げられるかどっちかです。 椿組までは届きませんよ」
元同僚「ゆうすけ、久しぶりだな」
後輩「隊長!」
無職「後輩悪いな。元同僚もここに呼んだんだ」
後輩「隊長、先輩が馬鹿な事言ってるんですよ」
---30分経過---
元同僚「あのさぁ・・・お前は今無職で他にやる事があるだろう?」
無職「だからって悪を見逃せとっていうのか?」
元同僚「我々がお前の話を信じて、椿組を洗い出す。お前は何も権限がないんだ。わかるな?お前は警察で元SATの隊員だったが、今は違う。」
無職「俺は悪を根絶させる為に警察に入ったんだ」
無職「俺がこれからする行動に口を出さずに、昔の仲間なら助けてくれ・・・」
後輩「わかりました。力を貸します。その代わりたった一つだけ条件があります。先輩は何もしないでください!!」
同僚「上の者に話して、その名刺の店を徹底して洗う。元同僚として頼みだが、お前が加害者になるような行為はしてはいけない。」
無職《探偵Aに店の真の経営者を教えてもらったし、情報を信頼出来る元の仲間である後輩と同僚に資料を渡せた》
無職《最後は・・・あの子を救う為に店に入るだけか》
風俗店員「いらっしゃいませ!」
無職「指名であの子はいるかな?」
風俗店員「名刺・・・あぁ・・・〇〇さんの連れの子っすか?」
無職「お、話がわかりやすいね。」
風俗店員「あの子の場合はVIPのお客さんしか指名出来ないんすけど、〇〇さんの名刺を頂いた方なら例外として指名OKっすよ。でも、1時間5万円はかかりますが
ご予算は大丈夫すか?」
無職「ああ、問題ない。」
店員「うちは個室ヘルスなんで、お客さんがラブホかどこか部屋を確保したらまた電話いただけますか?すぐにでも送りますので」
無職「わかった。ありがとう」
---ラブホテルの一室---
少女「どもっ」
無職「あぁ、久しぶり」
少女「おじさんじゃん!?久しぶり」
無職「また殴られた痣が増えているな」
少女「よくわかるね。普通の人じゃ痣なんて気づかないのに」
無職「俺は君の彼氏が所属している暴力団をつぶすつもりだ」
少女「受ける 出来るわけないじゃん」
無職「現役の警察に協力をしてもらう事は約束してもらえたが・・・君は彼氏から逃げたいのか、それとも薬物で廃人にされるまで売春を続けるか」
少女「ちょっと、なんで薬物の事を知ってるの?」
無職「君の将来は君が決めるだけだ。君の返答次第で俺は行動を変える」
少女「なんでおっさんは私の事なんて気にかけるの?ロリコンなの?」
無職「ロリコンではない。俺が警察を辞めた理由は女房が娘と心中したんだ」
少女「は?」
無職「俺の女房は俺に隠れて覚せい剤に手を出していた。結果的に10歳の娘は女房によって殺され、女房は自殺した。」
無職「当時は特殊部隊になれた事で浮かれていた俺だったが、どうしても心の傷が癒えず、警察を自主的に辞めたんだ」
無職「警察は一度精神疾患にかかってしまったら、復帰するのは困難に近いんだ。警察関係者は俺の事を守ってくれたが、確かに精神的に問題がある者が銃を持
つ事は国民に恐怖を与えてしまう。」
少女「私は・・・彼と別れたいけど・・・彼は私の恥ずかしい画像や動画を持っていて、脅迫してきて怖いの」
無職「そんなの些細な問題に過ぎない。問題なのは彼氏と別れたらお前は似たような事をしないで生きていられるか?今この場で決めてほしい
少女「うん。生きられる」
無職「それじゃあ、今から実家に戻って今まで彼氏にされた事を母親か父親に話して、すぐに被害届けを出しに行けるか?」
少女「わかった」
無職「今すぐにでも行け。5万円はタクシー代としてすぐに実家に帰って被害届けを出せ」
J( ‘-`)し「ねぇ・・・ゆうちゃん?今度は一緒に山に行かない?」
無職「山か・・・。う、うん。いいよ!年寄二人が山に行くなんて怖いからね」
J( 'ー`)し「本当はみんなで一緒に行きたかったねぇ・・・」
無職「そうだね 娘は虫が嫌いだから喜ばなかったろうけど…」
父「ゆうすけ、お前はもう人の2.3倍の苦労をしたんだ。俺はお前を立派な息子だと思ってる。誇らしいさ」
無職「俺は父さんや母さんの子供で良かったよ」
後輩「先輩ですか?」
無職「あぁ、どうした?」
後輩「先輩の資料通りでした。あの店は未成年者を多数働かせて、椿組が経営に絡んでいた事に間違いありません。すぐにでもマルボウは動くみたいっす」
無職「そうか。ありがとう」
後輩「だから、先輩はもう何もする必要はないですよ。奴らの組は確実に終わりです。」
無職「わかったよ」
無職《店も椿組本部も終わるが、俺だけが出来る小さな正義を執行したいんだ》
少女「もしもし、おっさん?今ね。お母さんは被害届けを出したよ」
無職「いいか、被害届けは一度出して取り下げたらもう出せないから何を言われても取り下げるな。」
少女「おっさんはこれから何をするの?」
無職「お前の恐怖心を与える相手と話す」
少女「それって・・」
男「誰…お前?」
無職「忘れたのかな?公園の時に名刺をくれたじゃないか」
男「あー、あの時の男か。で、なんで俺の車のボンネットに座ってるの?」
無職「椿組の構成員のお前に反省させる為だな」
男「椿組?うーん・・・わからないなぁ。もしかして俺のことをなめてんの?」
無職「逆に聞きたいがお前こそ、俺のことをなめてるのか?」
男「あんたは何者なんだ」
無職「無職だよ。ただ元機動隊の特殊部隊だという過去がある」
男「名刺を渡すんじゃなかった」
無職「あの場でお前が怒鳴り声をあげなければ、俺はお前の事を知らない お前も俺のことを知らずに人生を歩んでいただろうな」
男「何がしたい?」
無職「まず、お前の組は警察に捕まる。構成員のお前も捕まるし、店もなくなる。たくさんの余罪つきで実刑は間違いない」
男「それで・・・お前は何をする為にここに来た?」
無職「ん?お前を二度と悪さ出来ないようにするためさ」
男「[ピーーー]のか?」
無職「そんな物騒な言葉は使わないでほしいな」
男「今から子分たちが来るからすぐに帰れ」
無職「構わないよ。俺はお前に説教をするために来たのだから」
男「今からお前を監禁して生きてる事を後悔してやるよ」
-1時間後-
無職「ハァハァ」
無職《男の子分が持ってる刃物で刺されちゃったな》
無職《男や子分たちは俺が拳で締め上げる事が出来たが・・・》
無職《俺はもうすぐ死ぬなぁ 生命保険は親におりるだろうし、男は傷害致死もプラスされて二度と少女や次の被害者となるであろう女の子の前に来ないだろ
う》
無職《刃物で皮膚を刺されると冷たく感じるとは知らなかった。俺は世の中、正義の味方が存在すると思っていたが・・・そんな者は幻想にすぎないし、綺麗な社会なんて何処にも存在しない》
無職《娘や女房の事を考えると悲しくなるな》
無職《日頃からニュースを見て感じてきた事がある。どうして通り魔は女や子供などを対象に狙うのだろう。強い組織に立ち向かう事はなぜ考えない?》
【お父さん】
無職「久しぶりだね お母さんに首を絞められた時は怖くなかったか?」
【怖かった。お父さんが早く帰ってきて助けてほしかったよ】
無職「ごめんね・・・。お父さんは悪い人達と戦う訓練をしていたんだけど」
無職「身近な悪い人達の存在を把握出来ずにいたんだ」
【一緒に幸せで苦痛を感じない世界に行こう。そこでお母さんと一緒に三人で幸せに暮らそう】
無職「うん。お母さんは相変わらず料理を作るのは下手かな?」
【ううん、上手くなったよ】
【あなた・・・どうして少女を救おうと思ったの?】
無職「どうしてだろう。お前と結婚する前にも言っていたが俺は戦隊ヒーローが昔から好きだったんだ。」
医師「蘇生に成功しました!」
医師「よし!被害者の心拍数が戻った」
---3日後---
後輩「先輩・・・あともう少しで死ぬところだったんですよ」
無職「奇跡だな」
少女「おじさん、ありがとう・・・」
無職「黒髪になってすっかり別人だね」
少女「うん 通信制の高校にも通う予定なの」
少女「私の生き方を変えてくれてありがとう 親不孝者だったから親孝行をして生きていくよ」
無職「絶対に元に戻ったらダメだよ」
元同僚「お前がしたことは警察にとって迷惑な事をしてくれたんだぞ?」
元同僚「あと、店の関係者、椿組も解散して、男やお前を刺した奴らも全員捕まったぞ。馬鹿な事しやがって・・・」
無職「なぁ・・・元同僚・・・? 俺がやったことは正義だといえるのかな?」
元同僚「さぁ・・・。正義か悪なんて自分の判断で決めるしかない。世の中に正義も悪もないんだ お前が正義だと思ったらそれでいいじゃないか」
END
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