堀裕子「実は私には、妹が居るんです」 (12)

実は私にも、妹が居るんです。
知ってましたかプロデューサー?

知らないですよね。

私、隠してましたから。

あっ、いえ出来が悪いからとかでは無いんです!

凄く出来た子なんです、えぇホントに
私とは違って凄く出来た子なんです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1594572554

勉強が出来て、運動が出来て、愛想が良くて、可愛くて、人が出来ていて、ホントにホントに優秀な子なんです。

お父さんやお母さんは何も出来ない私にも、分け隔てなく平等に愛してくれました。感謝しかありません。

それで、妹にはなくて私にはある物ってなんだろうって
私には何があるんだろうって。

必死に必死に手探りで探したんです。

そしたら、やっと見つけられました。

ただの女の子だった私は魔法にかけられて
私はお姫様になる事が出来ました。
私はアイドルになる事が出来たんです!

プロデューサーには感謝しかありません。
本当にありがとうございます。

でも、

堀裕子「あ、プロデューサー来てくれたんですか?」

堀裕子「私が行っちゃう前にプロデューサーに会えて本当に良かったです」

堀裕子「…立……で……さい!」

堀裕子「あ、飛行機の音が少しうるさいですね…」

堀裕子「…はい」

堀裕子「では、気を取り直して」

堀裕子「プロデューサー!今までありがとうございました!」

堀裕子「凄くお世話になりました…」

堀裕子「それと…迷惑も沢山かけてしまいました」

堀裕子「あの子は私とは違ってサイキックも使いこなせますし、迷惑もかけません」

堀裕子「頭も良いですし、愛想も良くて、スタイルも凄く良いんです…」

堀裕子「あはは…これって嫉妬なんですかね」

堀裕子「私は最後まで何にもなれませんでしたが、あの子は絶対にシンデレラになれると思います」

堀裕子「私はもう行きますが、私の分まであの子をプロデュースしてあげてくださいね」

堀裕子「宜しくお願いしますねプロデューサー」

堀裕子「…プロデューサー?」

堀裕子「だ、駄目ですよ!俺も一緒に行くなんて!」

堀裕子「プロデューサーにはまだ他の子達も居るんですから…」

堀裕子「………」

堀裕子「分かりました。いえ、嫌なんかじゃ無いです!」

堀裕子「本当です!嬉しいです。嬉しいですけども!」

堀裕子「………そうなんですか。私もそうですよ」

堀裕子「ありがとうございますプロデューサー」

堀裕子「あの…良ければお願いがあるんですけど」

堀裕子「手を握ってくれませんか?」

堀裕子「いざ行くってなると少し緊張しちゃって…」

堀裕子「…ありがとうございます」

堀裕子「それじゃあ…改めて…行きましょうかプロデューサー!」

堀裕子「もう何も怖くありません!プロデューサーが居れば何処でだって百人力です!」

堀裕子「あ、最後に一ついいですか?」

堀裕子「私は本当に本当に駄目な人間です。最後まで役立たずでごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。来世では人間に生まれませんように。」

堀裕子「…はい!じゃあ、せーの!」








誰も居なくなった海岸では、ただただ
風の抜ける音がヒューヒュー鳴っていた。

おわり

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