鬼舞辻無惨「カネゴンとはなんだ?」(98)

無惨「近頃、カネゴンという言葉を耳にした」

無惨「黒死牟に聞いてみたが奴は知らないそうだ」

無惨「だから、お前達に問う、カネゴンとはなんだ?」

釜鵺「なんでも、人の落とした金を黙って拾うとなるモノだそうです」

零余子「頭はビグザムみたいで、体は胴長短足、目は金の方へ向いて飛び出し」

零余子「口は財布のジッパー、尻尾にはゴジラのようなギザがつき、全身が銅貨のごとく垢光りしているとか」

無惨「ほう…それが本当なら、世間はカネゴンだらけだな」

無惨「せっかく手に入れた金をわざわざ馬鹿正直に警察に届ける人間など何処にいよう」

無惨「金を落とす愚か者が悪いのだ」

病葉「どうやら、カネゴンの繭を手に入れた者が対象となるようです」

轆轤「他にも、カネゴンと関わった者も対象になると聞いています」←このSSだけのオリジナル設定

無惨「………」

無惨「そのカネゴンというのは太陽は平気なのか?」

魘夢「おそらく、問題ないかと」

無惨「そうか」

無惨「もう、お前達に用はない、下がれ」

無惨(カネゴンになれば、私は太陽を克服出来る…)

無惨(数時間前に拾った、あの繭がもしかすると…)

釜鵺(また、下弦の鬼のみ集められている…)

零余子(二日連続で呼び出しだなんて…)

病葉(今度は一体なんなんだよ…)

轆轤(まさか、下弦の鬼を解体するとか…)

魘夢(なんだか、面白い事が起こりそう…)

カネゴン(無惨)「………」

釜鵺「な、なんだ?あの化け物は?」

零余子「私達も化け物だから、鬼の事言えないけどね」

病葉「おい、あれ、カネゴンじゃないか?」

轆轤「そう言えば、カネゴンの特徴に当てはまる」

魘夢(うわあ、本当に変な外見…)

カネゴン(無惨)「誰が化け物だ?」

釜鵺「こ、この声は無惨様!?」

轆轤「何故、そのようなお姿に!?」

カネゴン(無惨)「静まれ」

カネゴン(無惨)「私が問いたいのは一つのみ」

カネゴン(無惨)「元に戻るにはどうすればよい?」

釜鵺&零余子&病葉&轆轤「さあ?」

魘夢(本当に、面白い事が起きた…)

カネゴン(無惨)(確かにカネゴンになった事により、私は太陽を克服出来た)

カネゴン(無惨)(だが、それにより、私の力は下弦にすら劣る程、弱体化してしまった)

カネゴン(無惨)(思考すら読めなくなるとは…)

カネゴン(無惨)(これでは全くもって意味がないではないか)

カネゴン(無惨)(太陽の克服は望んだが弱者になるのは望んでいない)

カネゴン(無惨)「くううううっ…」

病葉「ど、どうされました!?」

カネゴン(無惨)「お、お前達、有り金を全て私に差し出せ…」

カネゴン(無惨)「私に金を喰わせろ」

零余子(カネゴンは金を喰べると聞いていたけど本当だったのね)

カネゴン(無惨)「がぶぶっ、ごくっ、むじゃっ…」

カネゴン(無惨)「ごふっ、げふっ…」

カネゴン(無惨)「なんという美味…」

カネゴン(無惨)「私に喰い物が旨いという感覚を取り戻させるとは…」

カネゴン(無惨)「おい、もうないのか?」

轆轤「これで全部でございます」

カネゴン(無惨)「ないのであれば、人間共から奪ってくるのだ」

魘夢「ですが、私達はカネゴンとなった貴方様と関わってしまい
   私達もカネゴンになる対象となってしまいました」

魘夢「人の落としたお金を黙って拾うとカネゴンになるというのであれば
   さらに悪質な『奪う』という行為はどうなるのでしょうか?」

魘夢「もし、私達もカネゴンになってしまったら、これからの活動に支障をきたしますが?」

カネゴン(無惨)(それは困る、これ以上カネゴンを増やしてしまったら、私が喰う金が減る)

カネゴン(無惨)(このような姿では家にも帰れん…どうすれば…)

魘夢「私から提案がございます」

カネゴン(無惨)「なんだ?言ってみろ」

魘夢「貴方様が芸をやって、お金を稼ぐというのはどうでしょう?」

釜鵺「下弦の参…」

病葉「下弦の陸…」

轆轤「それはゲイな」

零余子「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…男同士で…そんな…」

零余子「いいぞ!もっとやれ!!」

カネゴン(無惨)「私にどんな芸をやれというのだ?」

零余子「こんにちわ~零余子で~す」

零余子「今日は~みんなに私のお友達を紹介しま~す」

カネゴン(無惨)「こんにちは、僕、カネゴンです、よろしく~」

カネゴン(無惨)「ねえねえ、お姉さん、聞いて聞いて~」

カネゴン(無惨)「僕、トイレでちゃんとウ○○出来るようになったんだ~」

零余子「凄~い、カネゴン君はトイレでウ○○出来るんだ~」

零余子「私の家の猫なんて、そこらじゅうにウ○○するのに~」

零余子「よしよし、いい子いい子」

カネゴン(無惨)「へへへっ~どんなもんだい~」

零余子「それじゃあさ、ここにいる、みんなにもカネゴン君がトイレでウ○○出来るところを見てもらおうよ」

零余子「ちゃんと、トイレでウ○○出来たら、きっとみんなが拍手してくれるわよ」

零余子「ちょうど、あそこにトイレがあるじゃない」

カネゴン(無惨)「うん、わかった~」

カネゴン(無惨)「ようし、出すぞ~」

カネゴン(無惨)「んんんんっ、んんんっ、んんんんんんっ」

カネゴン(無惨)「ぶりぶりぶりぶりぶり」

カネゴン(無惨)「最後にお尻を拭き吹き~お手手を洗い~」

カネゴン(無惨)「ざっと、こんなもんさ、えっへん」

零余子「す、凄い、トイレでウ○○しただけでなく、ちゃんとお尻を拭いて、手も洗うなんて…」

零余子「私の家の猫はそんな事できないよ…」

零余子「凄い、凄すぎる、カネゴン君…」

カネゴン(無惨)「おだてても、出るのはウ○○だけだよ」

零余子「さあ、みんな、カネゴン君に拍手~」

零余子「拍手の後はみんなの有り金を全部カネゴン君にプレゼントしよう~」

カネゴン(無惨)「お前の金は私の金、私の金も私の金」

カネゴン(無惨)「全て、よこすのだ」

轆轤「というのはいかがでしょうか?」

カネゴン(無惨)「それの何処が芸だ」

カネゴン(無惨)「お前達、私を愚弄しているのではあるまいな?」

零余子「鬼聞きの悪い事言わないで下さい」

釜鵺「最近は大道芸の質も上がってきております」

病葉「並大抵の芸で金を得るのは不可能です」

轆轤「芸とは人々を感動させるモノでございます」

轆轤「今までトイレでウ○○出来なかった生物がついにトイレでウ○○出来るようになった」

轆轤「これに感動しなくて何に感動するというのです」

零余子「感動するのはフランダースの犬ですか?残念、私は猫派です」

魘夢「この芸なら、必ず人々を感動させる事でしょう」

カネゴン(無惨)カネゴン(無惨)(解体したい解体したい、今すぐこいつ等を解体したい)

カネゴン(無惨)「金の件はひとまず置いておく」

轆轤「では、今後の鬼狩りへの対応はどうなされます?」

釜鵺「今の貴方様では柱と出会うのは危険かと」

カネゴン(無惨)「何故、私の弱体化を見抜いた?」

釜鵺「下弦とは言え、十二鬼月の一人ですから」

釜鵺(本当はいつものパワハラがないから気付いたんだけどな)

釜鵺(思考も読めなくなってるみたいだし)

カネゴン(無惨)(見抜かれた以上、こいつ等がいつ私に反旗を翻すか分からんな)

カネゴン(無惨)「とにかく、カネゴンになったのは間違いだった」

カネゴン(無惨)「初めて認めよう、私の間違いを」

カネゴン(無惨)「このままでは鬼滅の刃のラスボスの座を降ろされてしまう」

カネゴン(無惨)「早急に元に戻る方法を見つけねばならない」

魘夢「ああ、今思い出しました」

魘夢「確か、カネゴンになった者の宿敵が逆立ちすれば元に戻るそうです」

釜鵺「無惨様の宿敵、鬼狩りか」

轆轤「では、鬼狩りの当主が逆立ちすれば、元に戻られるという事か」

病葉「鬼狩りの当主か、俺達全ての鬼の宿敵と言ってもいいかもな」

カネゴン(無惨)「逆立ちだと…」

カネゴン(無惨)「当主はもう死にかけのはず、逆立ちなど出来るがワケない…」

零余子「無惨様、どちらに?」

カネゴン(無惨)「………」

魘夢「これは上弦に話した方がいいかも」

カネゴン(無惨)「これから、私はどうすればいいのだ…」

カネゴン(無惨)「やっと太陽を克服出来たと思ったら、このザマとは…」

カネゴン(無惨)「血肉すら体が受け付けなくなってしまった…」

カネゴン(無惨)「金のみを喰らう存在、カネゴン…」

カネゴン(無惨)「今の私の力は下弦にすら劣る…」

カネゴン(無惨)「はあっ、また金が喰いたくなってきた…」

カネゴン(無惨)「くんくん、近くに金の匂いが…」

カネゴン(無惨)「おお、小銭が落ちているではないか」

カネゴン(無惨)「ぱくっ、うむ、美味だ…」

カネゴン(無惨)「………」

カネゴン(無惨)「金がこんなに旨いモノだとは知らなかった」

カネゴン(無惨)「味、満足感、全てにおいて至高のモノ」

カネゴン(無惨)「もし私が元に戻ったら、この金の味が分からなくなってしまうのか…」

カネゴン(無惨)「………」

カネゴン(無惨)「よく考えてみれば、このままの姿でもいいかもしれん」

カネゴン(無惨)「となると、上弦は解体せねばならない」

カネゴン(無惨)「今の私に上弦は決して従いはしない、反旗を翻すはず」

カネゴン(無惨)「弱者に従う強者など、この世に存在しない」

カネゴン(無惨)「上弦だけではない、下弦を含め全ての鬼はもはや不要とみなす」

カネゴン(無惨)「どの鬼がいつ反旗を翻すが予測出来ないのであれば、この決定は致し方あるまい」

カネゴン(無惨)「ん?くんくんくん、凄く旨そうな金の匂いがする、こっちの方か」

カナヲ「………」

コイントス

カネゴン(無惨)「とうっ!」

空に浮いているコインに飛びつくカネゴン(無惨)

カネゴン(無惨)「ぱくっ、素晴らしい、実に美味だ」

カナヲ「………」

カネゴン(無惨)「あ…」

カナヲ「………」

カネゴン(無惨)「………」

カネゴン(無惨)「こんにちは、僕、カネゴンです、よろしく~」

カナヲ「………」

カネゴン(無惨)「おい、待て!なぜ刀を抜いて襲ってくる!?」

カネゴン(無惨)「私は金を喰うだけの人畜無害生物だというのに!!」

カナヲ「十分、有害だから…」

カナヲ「殺る…」

耀哉「そうか、カネゴンの件は本当だったか」

しのぶ「私の継子に追いかけまわされていたカネゴンを保護して、話を聞きました」

実弥「鬼の仕業じゃなかったのか、まあ鬼の仕業にしては間抜け過ぎると思ったが」

小芭内「カネゴンの件は真実か?否か?これが分かったのは大きい」

杏寿郎「そのカネゴンには礼を言わねばならないな」

行冥「だが、まだ誰の仕業か分かっていない」

天元「最悪の場合は第二の勢力との戦いも視野に入れねえとな」

蜜璃「えええっ、これ以上敵が増えたら、身体が一つじゃ足りなくなるんですけど」

無一郎「誰がなんの目的でこんな事をするのか、さっぱり分からない」

義勇「………」

しのぶ「実はこの話には続きがあります」

しのぶ「彼は鬼の情報を持っているそうです」

しのぶ「しかも、血鬼術、体質、性格、居場所全て」

しのぶ「さすがに鬼舞辻は分からないそうですが」

天元「おいおい、それはとんでもなく派手な話じゃないか!」

蜜璃「す、すごい、最初から手の内が分かっていたら、上弦にだって勝てるかも」

杏寿郎「勝てるかもではなく、絶対勝てる!」

実弥「おい、前向き過ぎるぞ、少しだけ有利に戦えるくらいだと思っておけ」

小芭内「それが本当ならの話だけどな」

行冥「確かにこの話、鵜呑みにするのは危険過ぎる」

無一郎「いきなり、そんな事言われても信じられないよ」

義勇「なぜ、カネゴンは鬼の情報を持っている?」

しのぶ「カネゴンになった時、頭の中に情報が流れ込んできたそうです」

耀哉「それで彼はどうすれば、私達に鬼の情報を提供してくれるのかな?」

しのぶ「条件は二つ」

しのぶ「一つ目は自分の保護」

しのぶ「二つ目は必ず全ての鬼を倒す事」

杏寿郎「欲のない奴だ!気に入った!」

小芭内「大金を要求してくると思ったけど意外だったな」

実弥「言われなくても全ての鬼は倒すさ」

無一郎「その人、鬼に恨みがあるの?」

しのぶ「鬼に家族を殺されたそうです…」

無一郎「そう…」

杏寿郎「鬼に恨みを持つ人間が出任せを言うとは思えない」

しのぶ「頭の中に鬼の情報が流れ込んできたのは鬼に対する憎悪が関係しているかもしれません」

行冥「条件に関しては問題ない、むしろそれだけでいいのか?と言いたい程だ」

天元「あとは俺達がこの話に乗るか乗らないかだな」

蜜璃「ハッキリ言うけど、乗ってみたい!」

義勇「お館様、どうされますか?」

耀哉「………」

カネゴン(無惨)(さあ、鬼狩り、どう出る?)

カネゴン(無惨)(私の提案を受け入れ、手駒となるのを選ぶか)

カネゴン(無惨)(それとも受け入れずに上弦と戦い、死体となるか)

カネゴン(無惨)(私の情報があれば上弦を打ち倒すのも不可能ではない)

カネゴン(無惨)(もっとも、多少の犠牲は出るだろうが)

炭次郎「あの、すみません、お食事の用意が出来ました」

カネゴン(無惨)(この鬼狩りは!あの時の!)

カネゴン(無惨)「そうか、ありがとう」

カネゴン(無惨)(今は生かしておいてやる、今はな)

しのぶ「竈門君どうでしたか?」

炭次郎「人間でも鬼でもない、今まで嗅いだ事のない匂いがしました」

炭次郎「それどころか、感情も分からない、こんなの初めてです」

しのぶ「我妻君と同じ感想ですね、彼も感情が読み取れないと言っていました」

炭次郎「やはり、鬼の仕業ではないのは間違いないと思います」

しのぶ「あとはカネゴンさんの情報が正しいかどうか確かめるだけですね」

零余子「そんな…どうして柱が来るのよ…」

零余子「今まで、柱に出会わないように注意しながら動いていたのに…」

零余子「柱になんて勝てるわけないじゃない」

零余子「逃げるしかないじゃない」

零余子「ハァ…ハァ…ここまで来れば、もう大丈夫ね…」

しのぶ「み~つけた」

零余子「ヒィィィッ!」

しのぶ「鬼ごっこ、楽しかったですか?」

しのぶ「もう逃げないんですか?」

しのぶ「絶対逃がしませんけど」

零余子「あ…ああ…」

零余子「お、お願い、許して!」

零余子「悪気があって、人を喰べたんじゃないの!」

零余子「鬼は人を喰べないと生きていけないの!」

零余子「喰べないと死んじゃうの!」

しのぶ「お嬢さん、それは違います」

しのぶ「人を喰べないと死ぬんじゃなくて、喰べたら死ぬんです」

零余子「もう人を喰べたりしない!だから!だから!」

しのぶ「あれ、お嬢さんは人を喰べないと死ぬんじゃないんですか?」

しのぶ「分かりました、今まで喰べた人達への罪滅ぼしに餓死されるんですね」

しのぶ「素晴らしいです、お嬢さんとは仲良くなれそうです」

零余子「そ、そうよ!仲良くしましょ!私達、お友達になりましょ!」

零余子「お友達は殺さないよね?」

しのぶ「お嬢さんが、死んでくれたら、殺さなくて済みます」

しのぶ「お嬢さんが死んだ時、初めて私達は仲のいいお友達になれるんです」

零余子(な、なんなのよ、こいつ…)

しのぶ「お嬢さんが何人殺したかは聞きません」

しのぶ「十二鬼月になる為に何人殺したかは大体分かりますから」

しのぶ「お嬢さんは人を喰べ過ぎました」

しのぶ「だから、お嬢さんの罰は死です」

しのぶ「死にましょう、お嬢さん」

しのぶ「死んで、私と仲良くしましょう」

零余子「誰がお前なんかと仲良くするか!」

零余子「血鬼術 時飛散」

零余子「これで、数十秒の時間は消し飛ぶわ」

零余子「飛ばした時間の中を干渉せずに私だけが自由に動ける」

零余子「くうっ、飛ばした時間の中で攻撃出来たら、上弦になれたのに」

零余子「でも、気配を消すくらいは出来る」

零余子「背後を取ったわ、これで時間が動き出したら、このまま攻撃して終わりよ」

しのぶ「油断しちゃいました」

零余子(これで…)

しのぶ「………」

零余子(かわされた!どうして!?)

ここで零余子が動揺せずに血鬼術をもう一度使っていれば、少しだけ寿命が延びたかもしれない

しのぶ「蟲の呼吸 蝶の舞 戯れ」

零余子「ぐ…」

零余子(確か、こいつは毒を…)

零余子「ど、どうして、かわせたの?気配は消していたのに…」

しのぶ「匂いで後ろにいるのが分かっちゃいました」

しのぶ「お嬢さんの匂いは濃過ぎます」

しのぶ「たくさん人を喰べないと、こんな匂いはしません」

しのぶ「だから、言ったじゃないですか、お嬢さんは喰べ過ぎだって」

零余子「………」

しのぶ「ああ、失礼しました」

しのぶ「死んでるからもう聞こえませんね」

しのぶ「うっかりです」

しのぶ「これで下弦は全て倒しました」

しのぶ「カネゴンさんには感謝しないといけませんね」

杏寿郎「うまい、うまい、うまい、うまい、うまい」

カネゴン(無惨)「美味、美味、美味、美味、美味」

しのぶ「すごい、光景ですね…」

杏寿郎「うまかった!」

カネゴン(無惨)「美味だった!」

杏寿郎「うむ、実にいい食いっぷりだった!」

カネゴン(無惨)「君もな」

杏寿郎「ひとつ聞くが金はそんなにうまいのか?」

カネゴン(無惨)「好きな喰い物を聞かれたら、即答出来る程だ」

杏寿郎「そうか!俺も今度食ってみよう!」

しのぶ「それは、やめておいた方がいいです…」

杏寿郎「冗談だ!」

杏寿郎「しかし、今日の食事は格別だった」

しのぶ「短期間で下弦を全て倒せて、みんな喜んでますから」

しのぶ「こんな気分で食事をとれば、より一層美味しく感じるでしょう」

杏寿郎「これで上弦を全て倒せたら、今よりさらに格別になるな」

カネゴン(無惨)(それは私もだ)

しのぶ「でも、上弦の強さは少なくとも柱三人分の力に匹敵します」

しのぶ「下弦のように簡単にはいかないでしょう」

杏寿郎「そうだな」

カネゴン(無惨)「柱三人ではなく柱四人で戦えばいいのでは?」

しのぶ&杏寿郎「………」

杏寿郎「天才か!?」

カネゴン(無惨)「天才だ!!」

頸斬り

妓夫太郎「………」

堕姫「………」

天元「よし!派手な勝利を百年ぶりに手に入れたぞ!」

小芭内「カネゴンの情報がなかったら、お前、毒にやられてたんじゃないのか?」

天元「この俺がそんな間抜けみたいな真似するワケないだろ」

小芭内「ふん、どうだかな」

蜜璃「もしカネゴンさんの情報がなかったら、私、毒にやられてたわ」

小芭内「甘露寺、お前は強い、毒になんて決してやられたりはしない、俺が保障する」

天元「おいこらっ!俺と扱いが違うじゃねえか!!」

小芭内「実力から判断しただけだ、他意は全くない」←大ウソ

杏寿郎「だが本当にカネゴンには感謝しきれない」

杏寿郎「あらかじめ、上弦の居場所や身の隠し方が分かっていたから、柱四人で挑めた」

杏寿郎「体質や血鬼術の詳細まで教えてくれたのも大きかった」

頸斬り

玉壺「………」

無一郎「なあんだ、あっけないの」

しのぶ「カネゴンさんの情報のおかげであっけなく終わったんですよ」

無一郎「そんな事、分かってるよ」

義勇「こいつはやっかいな血鬼術を使う」

義勇「もし血鬼術の詳細を知らずに、一人で挑んでいたらやられていたかもしれない」

蜜璃「今度、カネゴンさんに天丼十杯奢ってあげないといけないわね」

しのぶ「カネゴンさんはお金の方が喜ぶと思いますよ」

頸斬り

半天狗「………」

実弥「よし、本体を仕留めたぞ」

天元「分身は派手なのに本体はとんでもなく地味だったな」

杏寿郎「うむ、地味で小さい奴だった!」

小芭内「あんな小さい奴が本体とはな」

小芭内「もし最初から分かっていなかったら、かなり手こずったはずだ」

実弥「俺は少しだけ有利に戦えるとだけ思っておけばいいと言ったが、間違いだった」

実弥「俺達は圧倒的有利で戦える!」

杏寿郎「だが、ここからが本当に大変だ」

カネゴン(無惨)「………」

実弥「………」

小芭内「………」

無一郎「………」

蜜璃(不死川さんと伊黒さんと時透くん、カネゴンさんをじっと見てどうしたのかしら?)

蜜璃(ハッ!)

蜜璃(駄目よ、駄目駄目、カネゴンさんは鬼殺隊の恩人なんだから虐めちゃ駄目)

蜜璃(止めなくちゃ!)

実弥「おはぎ食うか?」

カネゴン(無惨)「いい」

蜜璃「へ?」

無一郎「ふろふき大根食べる?」

カネゴン(無惨)「いい」

小芭内「じゃあ、蛇食うか?」

カネゴン(無惨)「いい」

鏑丸「シャー!」

小芭内「鏑丸、冗談だから、噛むな」

杏寿郎「三人共、気持ちは分かるがカネゴンは金しか食えない」

天元「お前等が誰かに感謝するなんて、明日はきっと大雪が降るだろうな」

行冥「台風やもしれぬ」

蜜璃「上弦に三連勝!鬼殺隊始まって以来の大快挙よ!」

蜜璃「こんなの誰だって感謝するわ!」

しのぶ「そうですね、みんなカネゴンさんの情報のおかげですよね」

義勇「礼を言う」

カネゴン(無惨)「礼はいい、全ての鬼さえ倒してくれたらそれでいい」

カネゴン(無惨)「あとは喰う分だけの金を頼む」

杏寿郎「全くもって、欲のない奴だ」

杏寿郎「今度、屋敷から年代物の金を持ってきてやろう」

カネゴン(無惨)「ほう、それは楽しみだ」

行冥「いよいよ、上弦の上位三人が相手か」

行冥「カネゴンの情報では下位三人とは比較にならない強さだと聞く」

天元「派手とは言えねえが夜明け前に奇襲をかけた方がいいな」

義勇「頸を斬るのではなく、日に当てて倒すか」

しのぶ「もっとも、それもうまくいくかは分かりませんが…」

カネゴン(無惨)「私の情報から見ると、上弦の参は夜明け間近になると必ず焦る、技の精度も落ちるはずだ」

杏寿郎「なら、そこで勝負をかける」

猗窩座「四人がかりで奇襲か、いかにも弱者らしい戦い方だな」

猗窩座「しかし、個々の闘気はなかなかのモノだ」

猗窩座「並みの鬼狩りなら、二十人いようがすぐに終わる」

猗窩座「お前達、鬼になれ、そうすれば四人がかりなどという弱者の戦い方を捨てる事が出来る」

義勇「何?鬼になれば、捨てる事が出来るのか?」

実弥「おい、もっと詳しく聞かせろ」

猗窩座「ああ、いいぜ、詳しく…」

猗窩座(しまった!!夜明けが近い!!)

猗窩座「残念だが、今の話はなしだ」

無一郎(夜明けが来た)

義勇(こいつが鬼への誘いを始めたら、会話を伸ばして夜明けまで時間を稼ぐつもりだったが)

実弥(予想以上に早かったな)

杏寿郎(奴は焦るハズ、いける!)

猗窩座「これで終わらせてやる…」

杏寿郎(術式が来る!)

杏寿郎「術式は使わせん!!」

杏寿郎「伍ノ型 炎虎」

猗窩座「なにっ!」

猗窩座(何故、俺の術式を知っている!?)

猗窩座「まずい、もう時間がない!ちいっ!」

杏寿郎(思ったとおりだ、焦りが技の精度を落としている)

杏寿郎「よし!不死川!時透!冨岡!終わらせるぞ!!」

義勇「拾ノ型 生生流転」

実弥「玖ノ型 韋駄天台風」

杏寿郎「玖ノ型 煉獄」

猗窩座「三人だろうと、鬼であればこのとおり瞬きする間に治る」

猗窩座「三人?もう一人は…」

無一郎「………」

頸斬り

猗窩座(馬鹿…な…最初の三人は囮だったのか…)

猗窩座「お、俺に勝ったんだ…せいぜい勝ち誇れ…」

猗窩座「………」

杏寿郎「俺達は勝ち誇ったりはしない」

杏寿郎「俺達が誇りに思う時はただひとつ」

杏寿郎「鬼に襲われている人間を守った時だけだ」

しのぶ「絶対に上弦の弐は私が!」

行冥「胡蝶、落ち着けというのは無理だと思うが無理でも落ち着け」

蜜璃「仕方ないですよ…上弦の弐はしのぶちゃんのお姉さんの仇なんですから…」

蜜璃「私だって、しのぶちゃんと同じ立場だったら、落ち着くのなんて無理です」

杏寿郎「案ずるな胡蝶、上弦の弐は我等が必ず倒す」

実弥「カネゴンから話は聞いたが、上弦の弐ってのはとんでもない屑野郎だな」

小芭内「自分の不治の病を治そうとしてくれた医者を惨殺」

小芭内「使えないと判断した配下を惨殺」

小芭内「自分の言う事が全て正しいと思っている」

小芭内「間違いを絶対に認めない」

小芭内「俺でも鏑丸に蛇の餌じゃなく亀の餌を食べさせた時は間違いを認めたのに」

鏑丸「シャー!」

小芭内「噛むな、あの時は悪かったって」

天元「そんな屑野郎は生まれてきた事自体が間違いだったって教えてやらねえとな」

カネゴン(無惨)「その通りだ、そんな奴は鬼どころか知的生命体を名乗る資格すらない」

カネゴン(無惨)「特に医者や配下を惨殺したのが許せん」

カネゴン(無惨)「命を何だと思ってるのだ!!」

蜜璃「そうだ!そうだ!」

義勇「ああ、許せないな」

無一郎「異議なし」

杏寿郎「うむ、よくぞ言った!」

杏寿郎「カネゴン、俺はお前の事が本当に気に入ったぞ!」

杏寿郎「今度、屋敷に遊びに来るがいい」

カネゴン(無惨)「なら、近い内に行かせてもらおう」

杏寿郎「ああ、楽しみにしているぞ」

行冥「それで今回の上弦の弐との戦いは…」

しのぶ「私は必ず行きます!」

行冥「分かっている」

行冥(連れて行かなかったら、毒を盛られそうだしな…)

カネゴン(無惨)「君の毒はおそらく奴には通用しない」

しのぶ「………」

カネゴン(無惨)「まあ、倒せなくても多少は苦しんだりするだろう」

カネゴン(無惨)「そこでだ…かくかくしかじか…」

しのぶ「確かにそれなら…」

童磨「わああ、俺の為に柱が五人も来てくれるなんて」

童磨「それも女の子が二人もいる、どっちも若くて美味しそうだなあ」

蜜璃(ひいいいっ、こっち見てる!見ないで!見ないで!)

蜜璃(性欲の対象は嫌だけど、食欲の対象はもっと嫌!)

小芭内(殺してやりたいがここは耐える、こいつはこっちが激高すれば喜ばせるだけらしいからな)

しのぶ(こいつには言ってやりたい事が山ほどある、でも言ったら駄目、誰が喜ばせてやるものか)

天元(派手な野郎だがそんな事はどうでもいい、俺はこいつが反吐が出るほど気に入らねえ)

行冥(本当は夜明け前まで待ってから奇襲をかけるつもりだったが
   この鬼の被害が増えている以上、一時間だろうと待っては入られない)

童磨「柱が五人だなんて、俺って君達にそんな評価を受けてたんだ」

童磨「とっても悲しいよ、本当に」

童磨「まさか、この俺を柱が五人集まれば殺せるだなんて
   そんなとんでもない過小評価を受けていただなんて」

童磨「どんな頭をしていたら、そんな考えになるのかな」

童磨「知りたいなあ、ねえ、誰にも言わないからさ、俺に教えてくれないかな?」

しのぶ&蜜璃&小芭内&天元&行冥「………」

童磨「わあ、無視されちゃった」

童磨「そっか、教えてくれないなら、しょうがないなあ」

童磨「君達五人の頭を割って、中身に異常がないか見てみるよ」

童磨「俺って、すっごく頭いいでしょ、ねえ、そう思うでしょ」

童磨「それじゃあ、五人全員で…」

しのぶ「いいえ、貴方と戦うのは私一人です」

しのぶ「他の四人は一切手を出しません」

しのぶ「こんばんは、今日はいい夜ですねえ」

童磨「君の頭は特におかしいね、じっくり頭の中身を見てあげるよ」

童磨「でも見るだけじゃない、君も救済してあげるよ」

しのぶ「えっ、救済していただけるんですか、ありがとうございます」

しのぶ「でしたら…」

しのぶ「今すぐ死んでいただけませんか」

しのぶ「貴方が死んでくれたら、私はそれだけで救われます」

童磨「駄目駄目、そんなんじゃあ、君は永遠に救われないよ」

童磨「君が救われるには俺に喰べてもらうしかないんだよ」

童磨「………」

しのぶ(血鬼術 枯園垂り)

童磨「血鬼術 枯園垂り」

しのぶ「くっ!」

童磨「おかしいな、君とは初対面のはずなんだけど」

童磨「まるで、今の枯園垂りを知っていたような、かわし方だったよ」

童磨(それに冷気も吸おうとしない、どうなってるのかな?)

童磨(なら、これだ)

しのぶ(血鬼術 冬ざれ氷柱)

童磨「血鬼術 冬ざれ氷柱」

童磨(どういうワケ?この娘、冬ざれ氷柱を出す前に回避行動をとっている…)

童磨(誰が教えた?一体誰が?)

しのぶ(今だ!)

しのぶ「蟲の呼吸 蜂牙の舞 真靡き」

童磨「う~ん、速いねえ速いねえ」

童磨「だけど、不憫だなあ」

童磨「突き技じゃあ鬼は殺せない」

童磨「頸だよ、やっぱり頸を斬らなきゃ」

しのぶ「はい、鬼は突きでは殺せませんね」

童磨「ぐっ」

童磨「ガハッ」

童磨(これが毒か、でも、これくらいの毒なら、分解…)

行冥「………」

頸斬り

しのぶ「貴方の言うとおりです、鬼を殺すのは頸を斬らないといけませんね」

童磨(えっ?なんで?俺、頸斬られたの?)

童磨(もう一人柱がいる、俺の頸を斬ったのはこいつか…)

童磨「ね、ねえ…戦うのは…君一人って言ったじゃない…嘘を言うなんて…酷いよ…」

しのぶ「鬼は嘘ばかり言いますよね、自分の保身の為に…」

しのぶ「でも…」

しのぶ「人間だって嘘を言うんですよ、知らなかったんですか?」

童磨「そんな事…嫌という程、知ってるさ…」

しのぶ「では、最後に言わせて下さい」

しのぶ「とっととくたばれ糞野郎」

童磨「………」

蜜璃「やったね!しのぶちゃん!」

天元「あの糞野郎、派手にくたばりやがったな!」

小芭内「俺は鬼が死んで、こんなに喜んだのは初めてだぞ」

行冥「今のが失敗していたら、五人で戦う手はずだったが、どうやらその必要はなかったようだな」

しのぶ「………」

蜜璃「泣いてるの?しのぶちゃん…」

しのぶ「どうやら、泣き足らなかったみたいです…いっぱい泣いたはずなのに…」

行冥「胡蝶…気持ちは分かるが我等に泣いてる時間は…」

蜜璃&小芭内&天元「………」←非難する眼差し

行冥「あるようだ…」

耀哉「残る上弦はあと一人」

耀哉「全ての上弦を倒せば、鬼舞辻に何らかの動きがあるはず」

耀哉「ありがとう、カネゴンさん」

耀哉「我々がここまで戦えたのは、全て君の情報のおかげだ」

耀哉「鬼殺隊の当主として、心からお礼申し上げる」

カネゴン(無惨)「礼を言うのはこちらの方だ、私の望みを叶えてくれているのだから」

カネゴン(無惨)(本当に礼が言いたいよ、素晴らしい手駒だ)

蜜璃(全く恩に着せないカネゴンさん、なんて素晴らしいの!)

杏寿郎(いい奴だ!)

カネゴン(無惨)「だが、最後の一人、上弦の壱はかなりやっかいだ」

耀哉「その正体は元鬼殺隊の継国厳勝、月の呼吸の使い手」

行冥「現在、我等は月の呼吸対策の鍛錬中ですが、どこまで通用するか分かりません」

実弥「月の呼吸、こんな馬鹿げた呼吸があったとは」

杏寿郎「鬼が呼吸を使うだけでも反則と言えるのに、よりにもよってこんな呼吸を」

無一郎「今の俺では経験が足りない、足手まといにしかならない」

天元「いや、この戦い、柱の半数が足を引っ張る側なのは間違いねえ」

小芭内「この俺が足手まといを自覚するなんて…」

蜜璃(はい、私も自覚してます…)

しのぶ「しかも、これだけじゃないんですよね?」

カネゴン(無惨)「そうだ、上弦の壱に本気を出させてはならない」

カネゴン(無惨)「奴が本気を出す前に倒すのだ」

行冥「上弦の壱が本気を出したら、我等は一分と持たないだろう」

義勇「夜明け前に奇襲するという戦い方は使えないな」

義勇「そんな状況になったら、奴は必ず本気を出す」

実弥「くそったれ、何かいい手はねえのか?」

カネゴン(無惨)「ひとつだけ手がある」

カネゴン(無惨)「上弦の壱を倒すのはこれしかない」

耀哉「その話、くわしく聞かせてもらえないかな」

カネゴン(無惨)「それは…かくかくしかじか…」

杏寿郎「天才か!?」

カネゴン(無惨)「天才だ!!」

黒死牟「四人か…柱全員で来ると…予想していた…」

義勇(こいつが元鬼殺隊の継国巌勝、月の呼吸の使い手…)

杏寿郎(月の呼吸対策の鍛錬は行ったが…)

実弥(たとえ初動が分かっていたとしても、長い経験で培われた感覚が無けりゃ無理だ)

行冥(月の呼吸に対抗出来るのは我等四人だけだ)

黒死牟「そうか…私を…相手に出来るのは…四人しか…いなかったのか…」

実弥(いきなり、伍ノ型か!)

黒死牟「伍ノ型 月魄災禍」

義勇(これは、想像以上の技と速さ…)

杏寿郎(もしこいつの技の詳細を知っていなかったら、今ので片腕くらいは持っていかれたかもしれん)

行冥(感謝するぞ、カネゴン)

黒死牟「初動で…見抜いたのか…」

黒死牟「誰に…私が…月の呼吸の…使い手だと…聞いた?」

義勇&実弥&杏寿郎&行冥「………」

黒死牟「答えたくなければよい…」

行冥「いくぞ!」

義勇「拾ノ型 生生流転」

実弥「玖ノ型 韋駄天台風」

杏寿郎「玖ノ型 煉獄」

黒死牟「初手の技に…全てを…賭けたか…」

行冥「………」

黒死牟「賭けは…お前達の…負けだ…」

行冥(真後ろから飛んできた鉄球を避けた)

行冥(ならば、この後は手筈通りにやるだけだ)

黒死牟「………」

行冥(弐ノ型 珠華ノ弄月か)

行冥(いや!これは!)

黒死牟「参ノ型 厭忌月・銷り」

行冥「ぬうっ!」

実弥「悲鳴嶼さん!」

義勇「確かに初動は弐ノ型だった」

杏寿郎「それを参ノ型に切り替えるとは」

黒死牟「盲目ゆえに…視覚ではなく…聴覚で…いち早く…技の切り替えを…察知したのか…」

行冥(あぶなかった…今は何としても時間を稼がねば…)

数分後

義勇「連携で動いていたがそれも通用しなくなってきた」

杏寿郎「しかも、奴はまだ本気を出していないはずなのに、これ程とは」

実弥「畜生、まだなのかよ、もう後がねえぞ」

行冥「そろそろのはずだ、それまではなんとしても持ち堪えろ」

黒死牟「何を…企んでいる?いや…何を…待っている?」

黒死牟「生憎だが…私は…」

黒死牟「………」

黒死牟「………」

カネゴン(黒死牟)「これは?」

杏寿郎「よし!カネゴンになったぞ!」

義勇「ギリギリ間に合った、もう少し遅かったら、俺達はやられていた」

実弥「あいつはもう鬼じゃねえ、ただのカネゴンだ」

行冥「今の奴の頸を斬るのはいともたやすい」

行冥「これで我等の勝ちだ!」

カネゴン(黒死牟)(なぜ、私は無惨様と同じお姿になっている?)

カネゴン(黒死牟)(それになぜ、鬼狩りがここにやって来た?)

カネゴン(黒死牟)(ここに来られるのは無惨様のはず)

カネゴン(黒死牟)(そうか…)

カネゴン(黒死牟)(私が月の呼吸の使い手だと鬼狩りに伝えたのも)

カネゴン(黒死牟)(私をこのような姿にしたのも)

カネゴン(黒死牟)(無惨様だったのか…)

黒死牟『無惨様…』

黒死牟『太陽を…克服されたと…下弦から…聞いている…』

カネゴン(無惨)『だが、その代償に大半の力を失ってしまった』

カネゴン(無惨)『なんとか鬼の位置を把握する事は出来るが
         意志を送る事も思考を読む事も出来なくなってしまった』

カネゴン(無惨)『そう、今の私は下弦にすら劣る』

カネゴン(無惨)『黒死牟、強者は弱者に従うと思うか?』

黒死牟『その弱者が…無惨様であるなら…』

カネゴン(無惨)『では、私にその言葉を信じさせろ』

カネゴン(無惨)『今の私は金を喰らって生きている』

カネゴン(無惨)『ある廃寺で金が落ちているのを見かけた』

カネゴン(無惨)『そこへ行き、その金を拾って、今日の○時に○○○に来い』

これが無惨様の考えた、黒死牟討伐作戦だ!!


黒死牟だけは自分が弱体化しようが裏切らないと確信していた

ただし、今の所は…

将来、いつ自分を見限るかもという可能性を捨てきる事が出来なかった

柱が何人束になっても黒死牟には勝てないと判断し、黒死牟をカネゴンにして倒す作戦を思いついた


一 黒死牟に接触し、金を拾いに行くように命令する

※鬼殺隊には黒死牟がカネゴンに興味を持っているらしいと伝えておく

二 カネゴンと関わった者である黒死牟は金を拾う事によってカネゴンになる

三 黒死牟がカネゴン化すると位置を把握出来なくなるので
  カネゴン化までの時間を計算し、カネゴン化ギリギリのタイミングで戦いを挑む

四 黒死牟がカネゴンになったら頸を斬る

行冥「………」

カネゴン(黒死牟)(私は…)

義勇「………」

カネゴン(黒死牟)(私はただ…)

実弥「………」

カネゴン(黒死牟)(無惨様のお考えを…)

杏寿郎「………」

頸斬り

カネゴン(黒死牟)(受け入れるのみ…)

童磨『みんな、よく集まってくれたね、まさか全員が俺のお誘いに乗ってくれるなんて』

童磨『俺って、みんなから嫌われてなかったんだ、感激しちゃうよ』

黒死牟『………』

猗窩座『無惨様に関する話と言うのなら、乗らないわけにはいかないだろ』

半天狗『童磨殿のお誘いを拒むなど、なんと恐ろしい』

玉壺『貴方様のお誘いはいつも楽しませていただける内容ばかりですので』

妓夫太郎『俺達は退屈だったから来ただけだ』

堕姫『それはお兄ちゃんだけでしょ、私は別に退屈でもなんでもないんだから』

※無惨の力の大半が失われており、組織的行動不可や名前不可などが無効になっています

カネゴン(黒死牟)(これは一体…)

カネゴン(黒死牟)(何故だ…)

カネゴン(黒死牟)(何故、最後に脳裏に浮かぶのが縁壱ではなく、奴等なのだ…)

カネゴン(黒死牟)(そうか…)

カネゴン(黒死牟)(まだ、答えていなかったからか…)

童磨『それじゃあ…』

黒死牟『無惨様が…ついに…太陽を…克服された…』

黒死牟『にも関わらず…我等上弦の前に…お姿を…お見せになられない…』

黒死牟『これは…太陽を…克服する代償として…無惨様が…大半のお力を…
    失われたの事が…原因なのは…言うまでもない…』

黒死牟『無惨様は…我等が…謀反を起こすと…誤解されておられる…』

黒死牟『そこで我等は…これからどう動くか…話し合うべきだ…』

黒死牟『とでも…提案する気か?』

童磨『黒死牟殿、俺より先に言わないでよ、せっかく楽しみにしてたのに』

黒死牟『お前の話は…要点以外に…余計なモノを…混ぜる…』

童磨『見抜かれてる…』

半天狗『なんと悲しい、力の大半を失われた程度で我等をお疑いになられるとは』

玉壺『謀反などと、そんな愚かな行為をする鬼など上弦にはおりませぬ』

猗窩座『無惨様がどう変わられようと、俺の主はあの方だけだ』

妓夫太郎『無惨様は俺達を救って下さった、何があろうと付いていくぜ』

堕姫『ちょっと、お兄ちゃん、それ私が言おうとしたのに』

童磨『うんうん、上弦のみんなは揃いも揃って、素晴らしいね』

童磨『もちろん、俺も同じ意見だ』

童磨『黒死牟殿は?』

黒死牟『童磨…我等は最初から…集まる必要など…なかった…』

黒死牟『この場で…理解しろ…』

童磨『無惨様の誤解を解かないと俺達危ないかもしれないよ』

黒死牟『全ての決定権は…無惨様に有り…そのお考えは…絶対だ…』

黒死牟『無惨様が…正しいと…お考えになられた事が…正しい…』

黒死牟『そのお考えを…否定する事は…服従を…放棄するのと同じ…』

黒死牟『我等はただ…無惨様の…お考えを…受け入れるのみ…』

玉壺『黒死牟様のおっしゃる通りございます、我等はただ受け入れるのみ』

玉壺『たとえ、それが死であろうと無惨様のお考えであるならば』

半天狗『恐ろしくありません、恐ろしくありません、喜んで死にましょうぞ』

猗窩座『俺は無惨様が死ねとおっしゃるなら死ぬだけだ』

猗窩座『理由なんて必要ない』

妓夫太郎『涙も流さず、断末魔も口にしねえ、みっともないと言われない最後を迎えてやるぜ』

堕姫『私は死に様が麗しいと言われるような最後を迎えてやるわ』

童磨『あの、さっきのは試しに言ってみただけだからね』

童磨『俺も笑顔で死ねるから』

童磨『いやあ、本当に上弦のみんなは素晴らしいよ』

童磨『出来る事ならここにいるみんなには死んで欲しくないなあ』

童磨『上弦の顔ぶれはこれからもずっとこのままだったらいいなあ』

童磨『黒死牟殿、そう思わないか?』

カネゴン(黒死牟)(あの時は何も言わずに去ったが…)

カネゴン(黒死牟)(童磨…私もそう思う…)

カネゴン(黒死牟)(お前を除いてな…)

天元「よっしゃあああ!これで鬼舞辻以外の鬼は全て片付いたぞ!!」

実弥「鬼舞辻がまた鬼を作りやがるだろうが、上弦みたいな鬼はそう簡単には作れないはずだ」

小芭内「あとは鬼舞辻がどう動くかだな」

カネゴン(無惨)(よかったな、鬼狩り、新たな鬼はもう誕生しない)

カネゴン(無惨)(さて、鬼狩りをどうするか)

杏寿郎「カネゴン」

カネゴン(無惨)「ん?」

杏寿郎「ありがとう」

カネゴン(無惨)「どういたしましてと言っておこう」

蜜璃「今日はご飯がとっても美味しく食べれそうだわ」

蜜璃「食べる、食べるわよ、食べて食べて、食べまくるわよ」

無一郎「でも、上弦の壱との戦いに参加出来なかったのは残念だよね…」

蜜璃「時透くん!言わないで!私、すっごく気にしてるんだから!」

蜜璃「うう~食欲がなくなってきた、天丼八杯くらいしか食べられなさそう」

義勇「それだけ食べれるなら、食欲あるぞ」

蜜璃「こんなの食欲があるなんて言えないわ」

義勇「そうなのか」

しのぶ「冨岡さん、少しはみんなと話せるようになりましたね」

義勇「カネゴンのおかげでみんなと一緒の時間が必然的に増えたからな」

行冥「冨岡、過去に何があったか話せ、そうすれば、もっとみんなと話せるようになる」

義勇「………」

しのぶ「冨岡さん、ここで話さなかったら、柱どころか鬼殺隊一の嫌われ者になっちゃいますよ」

義勇「俺は嫌われて…」

しのぶ&行冥&杏寿郎&無一郎&実弥&小芭内&天元&蜜璃「嫌われてます、るぞ、るよ、るぜ、るわ」

義勇「………」

実弥「おいこら、とっとと話せ」

小芭内「話さなかったら、鬼殺隊どころか日本一の嫌われ者になるぞ」

行冥「いや、世界一だ」

無一郎「地球一」

天元「派手に銀河系一」

蜜璃「えっと、漫画界&アニメ界一」

しのぶ「ほらほら、冨岡さん、話しちゃって下さい」

杏寿郎「冨岡、俺達は同じ鬼殺隊の仲間だ、何でも話せる間柄になってこそ本当の仲間だ」

杏寿郎「はやく話さんとお前の所持金を全部カネゴンに食わせてしまうぞ」

義勇「それは困る…」

義勇「別にたいした話ではないが…」

カネゴン(無惨)(これで鬼は私を除き、全て滅んだ)

カネゴン(無惨)(これで心おきなく、金が喰える)

杏寿郎「ここにいたのか、カネゴン」

杏寿郎「急にいなくなるから、みんな心配していたぞ」

カネゴン(無惨)「ああ、外の空気に当たりたくてね」

杏寿郎「まさか、冨岡にあんな過去があったとは…」

杏寿郎「お前達とは違うか…そんな意味だったとは知らなかった」

杏寿郎「もっと早く、あいつとは話をするべきだったな」

カネゴン(無惨)(まあ、私にはどうでもいい話だが)

杏寿郎「カネゴン、ほら」

カネゴン(無惨)「これは?」

杏寿郎「前に約束していた、年代物の金だ」

杏寿郎「すまん、見付けるのに手間取ってしまった」

カネゴン(無惨)「喰っていいのか?」

杏寿郎「もちろんだ、その為に持ってきた」

カネゴン(無惨)「では、ぱくっ…」

カネゴン(無惨)「び、び、美味だああああああ!!」

杏寿郎「ははははっ、そうかそうか、それはよかった」

カネゴン(無惨)(この金の旨さはなんだ…今までの私の全てを忘れさせる程の旨さだ…)

カネゴン(無惨)(この旨い金の前では鬼も人間もどうでもよくなってくる…)

カネゴン(無惨)(よし、決めた)

カネゴン(無惨)(もう鬼狩りなど、どうでもいい)

カネゴン(無惨)(主人公の事も、どうでもいい)

カネゴン(無惨)(鬼舞辻無惨は今日をもって死んだ!)

カネゴン(無惨)(これから、私はカネゴンとして生きてゆく!)

耀哉「は!」

あまね「どうされました?」

耀哉「何故だか分からないが私を苦しめていた、全ての苦痛が消えた」

耀哉「いや、これは呪いが消えたんだ」

耀哉「分かりやすく例えるなら、ジョジョの第三部のホリィさんのような気分なんだ」

あまね「すみません、私にはさっぱり分かりません」

あまね「でも、呪いが消えたという事は…」

耀哉「鬼舞辻無惨が死んだ」

耀哉「長かった鬼殺隊の戦いがついに終わったんだ」

それから、時代は流れ

現代

ウルトラマンZの現場

監督「カット」

監督「おつかれ、カネゴンさん」

カネゴン(無惨)「ああ、監督もな」

カネゴン(無惨)「さあ、帰るか、煉獄家に」


これで終わりです
おそらくこれが最後のSS投稿になると思います
最後なので長編とさせていただきました
今までどうもありがとうございました

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