オーク「くっ、殺せ」女騎士「ちがう」(9)

オーク「えーっ、これで五回目だぜ? 辺りも暗くなってきたし、明日にするわ」

女騎士「んまっ! なんて惰弱なの! もう一回、初めから!」

オーク「トホホ、なんでこんなことに・・・」

(回想)

母オーク「もうそろそろ働いてちょうだい! 戦士にやられた傷も癒えたでしょ!」

オーク「いやー、久々に前にクリアしたゲームやったら面白くてさー。あと一週間休ませてよ」

父オーク「気持ちはわからんでもない」

母オーク「ちょっとパパ! 甘やかしちゃダメよ!」

オーク「じゃあこのゲームクリアしたらでいいからさー」

郵便配達オーク「郵便でーす」

母オーク「あら、このチラシ、お父さん」

父オーク「えっ、『性棒叩き直しコース』・・・? ママ、不満だったのか」

母オーク「違います! しょ・う・ね! 『女騎士・性根叩き直しコース』ですって」

父オーク「なるほど。女騎士さんに頼んで喝を入れてもらうわけか。私も」

母オーク「パパはいいんです!」ブチッ

オーク「え、コンセント抜くとかありえない」

(回想終わり)

オーク「負けたら『殺せ』と言って膝をつかないといけないとか、すごく恥ずかしいんだけど」

女騎士「恥ずかしくないから! 堂々と負けを認めるところから始まるのよ」

オーク(何が始まるんだよ!)

女騎士「私のユニークスキル《オーク・スレイ》があるから、貴方に私は倒せないわ」

オーク「それチートじゃん!」

女騎士「ごねてないでかかってきなさい。スキルなんて関係ない!って気概が必要でしょ!」

(五分後)

オーク「くっころ」

女騎士「ふー、いい汗かいたわ。大分潔くなったわね! 今日はここまで!」

オーク「ありがとうございまし、た」

オーク「父上、母上、私が間違ってました。がんばって労働にいそしみます」

母オーク「良かったわね! パパ! オークが改心したわ!」

父オーク「なんだかさみしい気もするが、成長したようで喜ばしくもあるな!」

母オーク「女騎士さんには謝礼をはずまなくちゃね!」

オーク「どうか、女騎士と遭遇しないところで働かせてください・・・」

(終わり)

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