西住みほ「貴様はどこの出身だ!?」沙織「え?」華「え?」 (31)

沙織「えっと……茨城県出身の、武部沙織だけど……」

みほ「違う! 貴様はお花畑出身のバッタ以下だ!!」

沙織「」


華「あ、あの……西住さん?」

みほ「貴様はどこの出身だ!!」

華「わ、私は茨城県出身の、五十鈴華と申しますが……」

みほ「違う! 貴様は荒れ地出身のイナゴ以下だ!!」

華「」

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沙織「あ、あのね、西住さん。私達はバッタとかじゃな」

みほ「上官に口答えをするなっ!!」


バシンッ!!


沙織「ひぎいっ!!」ドサッ

華「!!」


みほ「次は貴様だ! 貴様はどこの出身だ!!」


華「」ビクッ

華「わ、私は、荒れ地出身のイナゴ以下です!」

みほ「声が小さいっ!!」


バシンッ!!


華「きゃうんっ!!」ドサッ

沙織「!!」

みほ「さあ、答えろ! 貴様らはどこの出身だ!!」

沙織「わ、私はお花畑出身のバッタ以下です!」

華「私は荒れ地出身のイナゴ以下です!」

みほ「姿勢が悪いっ!! 服が乱れてる!!」


バシンッ!! バシンッ!!


沙織「ふぎゅうっ!!」ドサッ

華「ひやぁっ!!」ドサッ


みほ「いいか、貴様らは戦車に乗る為だけに生まれてきた存在だ! 戦車に乗らない女は全員カス以下だという事をよく覚えておけっ!!」

沙織「は、はい!」

華「わかりました!」

みほ「返事が違うっ!!」


バシンッ!! バシンッ!!


沙織「あぎゅっ!!」ドサッ

華「はうんっ!!」ドサッ


みほ「返事は全て、『ヤヴォール、マインヘル』! 手は敬礼だ!!」

みほ「さあ、早く立って復唱しろ!!」


沙織「ヤヴォール、マインヘル!!」ビシッ

華「ヤヴォール、マインヘル!!」ビシッ


みほ「二人とも、私に忠誠を誓うか!」

沙織「ヤヴォール! 西住みほに忠誠を誓います!」ビシッ

華「ヤヴォール! 西住みほさんに忠誠を誓います!」ビシッ

みほ「よしっ! 二人とも、ついて来なさい! 食堂でご飯を奢ってあげる!」

沙織「ありがとうございます!!」鼻血ダラダラ

華「光栄ですわ!」鼻血ダラダラ

【食堂】


ワイワイ、ガヤガヤ


沙織「そういえば、西住さんってどうして大洗に転校してきたの?」

華「御両親の仕事の都合とかでしょうか?」

みほ「あ、ううん……。私、親から家を追い出されちゃって……それで」

沙織「追い出されたって……一体、何をしたの?」

華「何か余程の事をしでかしたのでしょうか……。言いたくなければ、私は聞きませんが……」

みほ「うん……。ちょっとね……。戦車道の事でさ」

沙織「……戦車道」

華「……ですか」

みほ「でも、いいんだ。またこの学校で戦車道を始めればいいんだし。私、戦車道が大好きだから、それさえあれば大丈夫なの。だから、気にしないで」ニコッ

沙織「……うーん、でも」

華「そうですわね……。戦車道は……」

みほ「……? 二人とも、どうしたの?」

沙織「あのね、西住さん。ちょっと言いにくいんだけど……」

華「戦車道は、大洗にはありませんの。あったのは確か、かなり昔の話で……」

みほ「何だと!?」

【生徒会室】


杏「だからさ、うちの廃校を避ける為には、やっぱ、西住ちゃんを勧誘するしかないでしょ」

桃「確かに」

柚子「でも、西住さんが承諾してくれるでしょうか?」

杏「そこはまあ、私が何とかするからさ。二人とも、とりあえず今から西住ちゃんのいるクラスに」


「ここが生徒会室か!!!」


ドガンッ!!


杏「!?」

桃「ドアがっ!!」


沙織「全員、両手を上げて後ろを向きなさい!」ジャキッ

柚子「機関銃!?」ビクッ


華「抵抗すれば即座に射殺しますわ! 大人しくなさっていて下さい!」ジャキッ

桃「ひいいいっ!!」ビクッ


みほ「貴様がここの生徒会長か!!」ジャキッ

杏「なっ、何!?」ビクッ

みほ「貴様に聞きたい事がある! この学校に戦車道がないとはどういう事だ!」ジャキッ

杏「だから、何で銃口を向けるのさ!?」ビクッ

沙織「黙りなさい! あんたは西住様の問いに正直に答えればいいのよ!!」ジャキッ

杏「ちょ、ちょっと!」

華「さあ、答えてもらいましょうか! 返答次第ではその小さな頭部が吹き飛びますわよ!」グリグリ

杏「あ、ある! あるから! 今年から戦車道を復活させるのが決まってるから!」


みほ「え」

沙織「あ、そうなんだ……」

華「あら……」


みほ「なあんだ、心配して損しちゃった。あるんだね」

沙織「そうみたいだね。でも、良かったね、みぽりん」

華「全くですわ。なければ無理矢理にでも作らせるところでしたけど、あるのなら……」ニコッ

みほ「うん! これで私、また戦車道が出来る!」ニコッ


沙織「じゃあ、戻ろっか。授業もうすぐ始まっちゃうし」スタスタ

華「そうですわね、行きましょうか」スタスタ

みほ「うん。……あ、皆さんどうもお騒がせしました。それではこれで失礼しますね」ペコッ


杏「え」

桃「お、おい……」

柚子「あの……」


スタスタ、スタスタ……




柚子「な、何だったんですかね、あれ……」

杏「さあ……。でもまあ、これで西住ちゃんを勧誘する必要だけはなくなったみたいだけど……」

桃「ですが、会長。あんな無茶苦茶な連中にこの学校の命運を託してしまって良いんですか」

杏「いやあ、わかんない。でも、今はこれしか方法ないしさあ」

桃「それはそうですが……」チラッ


壊れたドア「いや、マジ勘弁なんすけど」


杏「川嶋ー、そこのドア直しといてね」

桃「私がですか!?」

杏「あと、戦車道の勧誘の準備もよろしくー」

桃「私ばっかりじゃないですか!?」

【体育館】



アナウンス「戦車道。それは伝統的な文化であり、世界中で女子の嗜みとして受け継がれてきました」

アナウンス「礼節のある、淑やかで慎ましく、そして凛々しい婦女子を育成する事を目指した武芸でもあります」

アナウンス「戦車道を学ぶ事は、女子としての道を極める事でもあります」

アナウンス「鉄の様に、熱く、強く。無限機動の様に、カタカタと愛らしい。そして、大砲の様に情熱的で必殺命中」

アナウンス「戦車道を学べば、必ずや良き妻、良き母、良き職業婦人になれる事でしょう」

アナウンス「健康的で、優しく、たくましい貴女は、多くの男性に好意をもって受け入れられるはずです」

アナウンス「さあ、皆さんも是非、戦車道を学び、心身共に健やかで美しい女性になりましょう」


『来たれ、乙女達!』



みほ「ハイルッ、パンツァー!!」

沙織「ハイルッ、みほ!」ビシッ
華「ハイルッ、みほ!」ビシッ


優花里「ハイルッ、パンツァー!!」キラキラ



柚子「…………」

桃「…………」

杏「……あー、えっと、戦車道選択した人には色々と特典つけるから、宜しくねー」


ザワザワ、ザワザワ……

【翌日】


ワイワイ、ガヤガヤ


桃「思ったより、集まりませんでしたね。あれだけ特典も付けたというのに」

柚子「西住さん達が変な敬礼してましたし……その影響かも……。ええと、全部で18人ですね、私達も入れて21人です」

杏「まあ、これだけいれば何とかなるでしょ。結果オーラ…………」


みほ「貴様らはどこの出身だ!?」

一年生チーム「わ、私達は大洗女子学園出身の一年生です!」

みほ「違う! 貴様らは豚小屋出身の家畜以下だ!!」

一年生チーム「ち、違います! 私達は人間です!」


沙織「上官の命令は絶対よ! 黙りなさいっ!!」

バシンッ!! バシンッ!! バシンッ!!

「ひぎいっ!!!」ドサッ


華「全員、歯を食い縛りなさい! 修正して差し上げますわ!!」

バシンッ!! バシンッ!! バシンッ!!

「ぴぎゅうっ!!」ドサッ



桃「」
柚子「」

杏「ちょ、西住ちゃん、ちょっと……」

みほ「何だ!? そこの小学校出身、干し芋以下!!」

杏「」


桃「こ、こら、西住っ! 会長を干し芋以下呼ばわりとはどういうつもりだ!!」

沙織「黙ってなさい! このピーチ姫がっ!!」


バシンッ!!


桃「ひぎゅうっ!!」ドサッ


華「みほ閣下に楯突く愚か者は、全員修正して差し上げますっ!!」


バシンッ!!


柚子「ひぎいっ!!」ドサッ



全員「!!!!」

みほ「それで、何の用だ! そこの干し芋以下!!」

杏「あ、あの、西住ちゃん……。校内暴力は流石にまずいって言うか……」

みほ「校内暴力!? 私達はそんな事は一回もしていないぞっ!!」

杏「え、いや、でも……。今、河嶋達にビンタを……」

みほ「沙織二等兵!」

沙織「はいっ!」ビシッ

みほ「試みに尋ねるが、今、沙織二等兵と華二等兵がした事は暴力か!?」

沙織「いえ、これは教育的指導です!」

杏「」

華「私達は一回も暴力など振るってはいませんわ! そうですわね、あなた達!」キッ

一年生チーム「は、はいっ! 私達は指導を受けただけですっ!」鼻血ダラダラ

杏「」

みほ「聞いたか、干し芋以下! それでも私達のしてる事に文句を挟むか!!」

杏「だ、だけどさ、西住ちゃ」

沙織「みほ閣下にタメ口をきくんじゃないわよ!!」

バシンッ!!


杏「うぎゃうっ!!」ドサッ


桃「か、会長っ!!」
柚子「会長っ!!」


華「生徒会長より、戦車道の隊長の方が偉いという事を、その体でよく覚えておくといいですわ!!」


バシンッ!!


杏「みぎゅうぅ!!」ドサッ



桃「会長ぉぉぉぉぉっ!!」

柚子「そんなっ、そんなっ……!!」



全員「!!!!」



みほ「見たか、貴様ら! 戦車道において規律は絶対だっ!! 規律に違反した者はこのように容赦なく指導するから、そのつもりでいろっ!!」

沙織「わかったわね、あなた達!!」

華「返事はどうしましたっ!?」


全員「は、はいっ!!」ビシッ

【西住家】


ガラッ

まほ「お母様、一体どういう事ですか?」

しほ「どういう事、とは?」

まほ「先程、聞いたのです。みほを家から追い出して、しかも戦車道がない大洗に転校させたとか。それは本当ですか」

しほ「ええ、そうよ。それが何か?」

まほ「お母様!」

しほ「…………」

まほ「いくら何でも酷くはないですか。……確かにみほは許されざる事をしたかもしれません。ですが、ここまでする必要はなかったはずです」

しほ「……まほ」

まほ「何ですか、お母様」

しほ「みほの事なら心配はいりません。それよりもあなたは自分の心配をしなさい」

まほ「私の心配?」

しほ「ええ、そうよ。次の大会でみほに大恥をかかされないようにね」

まほ「大恥……?」

まほ「大恥とはどういう事ですか?」

しほ「まほ……あなたはみほの事を過小評価し過ぎのようね」

まほ「過小評価?」

しほ「ええ、そうよ。まさか、あなたはみほがこのまま戦車道をやめるとでも? あのみほが? 誰よりも戦車道が好きで、戦車道をする為だけに生まれてきたようなあの子が?」

まほ「それは……。ですが、大洗には戦車道がありません。だから」

しほ「なければ、自分で作る子よ。あの子はそういう子です」

まほ「…………」

しほ「だから、私はわざわざ戦車道のない大洗にみほを転校させたわ」

しほ「あの子は何があろうとも絶対に戦車道を一から始める。生徒会にかけあい、人員を集め、規律を正して、乗り方を教え込んで……」

しほ「そうやって何もかも最初から始める事によって、みほは更に飛躍的な成長を遂げるはずです」

しほ「何もかもが揃っていて、何もかもが一流の黒森峰では決して体験出来ない、苦労、工夫、努力、そういった貴重な経験を沢山積んで」

しほ「必ず、あなたの前に立ち塞がる事になるわ、まほ」

しほ「少ない戦車と、初心者の集まりを引き連れてね」

しほ「最強の黒森峰を倒しに、必ず来る」

まほ「…………」

まほ「では……お母様は、わざとみほにこのような仕打ちをしたと……?」

しほ「まほ。試練とは何の為に与えられるものかをあなたは知らないの? 乗り越えて更に強くなる為にでしょう」

まほ「…………」

しほ「あの子はこれで必ず強くなる。そして私は、みほが強くなる為なら、どのような犠牲であろうと払います。それが西住流の為、ひいては戦車道全体の為なのだから」

まほ「い、一体、お母様は……」

まほ「お母様は……みほの事をどれだけ高く評価しているのですか……?」

しほ「評価? もちろん決まっているわ」


しほ「あの子は西住家の最高傑作よ」


まほ「…………」

しほ「何よりも強き事、何よりも勝つ事を尊ぶ西住流を最も体現したのがあの子」

しほ「加えて、天性のカリスマ性、高い統率力、勝利への執念を持っている」

しほ「あの子は天才よ」

しほ「まほ、あなたのような出来損ないとは格が違うの」

まほ「お、お母様……」

しほ「私にそう言われたくなかったら、あなたはいい加減甘えた考えを捨てなさい」

しほ「戦車道において最も大切な事は、諦めない事でも逃げ出さない事でもない」

しほ「勝つ事よ」

まほ「…………」

しほ「みほを見習って、あなたも強く凛々しく、戦車道の乙女らしく生きなさい」

しほ「いいわね、まほ」


まほ「……お母様…………」

【同時刻 大洗学園】


沙織「全員、整列っ!!」

全員「ヤヴォール、マインヘル!!」ビシッ


華「貴女方の出身はどこですの!」

全員「私達は豚小屋出身、家畜以下ですっ!」ビシッ


みほ「そうだ! 貴様らは全員、家畜以下のゴミクズだ! 戦車に乗って初めて人間扱いされるという事をよく覚えておけ!!」

全員「ヤヴォール、マインヘル!!」ビシッ


みほ「全員! 戦車道に命を捧げよ!」

全員「戦車道に命を捧げます!!」ビシッ


みほ「私が責任をもって、貴様らを家畜以下から、立派な兵士へと育て上げてやる!」

みほ「私、西住みほに心臓を捧げよ!!」

全員「みほ閣下に心臓を捧げます!」



優花里「ハイルッ、西住殿っ!!」

全員「ハイルッ、みほっ!!!」ビシッ




みほ「宜しいっ! これより我々の戦車道を開始するっ!」

全員「はいっ!!」ビシッ


みほ「パンツァー、フォー!!」

全員「パンツァー、フォー!!」ビシッ






第一部 『西住流戦車道、始めます!』

完!

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