【デレマス】裕子「それってエスパーなのでは?」【白菊ほたる生誕祭】 (19)

裕子「プロデューサー、ちょっと相談あるんですけどいいですか」

P「どした裕子」

裕子「私ってもう一人で高められる能力は限界まで鍛えたと思うんですよ、エスパーに関しては!」

P「何をもってその自信なんだよお前」

裕子「これは自惚れとかそういうのではないんですよ?一人で到達できる高みにはやはり限界があるんですよ、何事にも」

P「いいこと言うじゃん」

裕子「だったらエスパー同士、互いに切磋琢磨して共鳴して能力を高めあうのが私の今後の圧倒的成長に繋がるはずなんですよ!」

P「神崎と二宮くさい話になってきたな」

裕子「それで気づいたんですけど、この事務所ってエスパーでもないと説明がつかないことがたくさんあるんですよね」

P「確かに…って思ったけどそうでもなくないか?そこまでおかしいの一部だけじゃないか?」

裕子「まず最初におかしいのは…この事務所ですよ」

P「え、なんかおかしいか?ここ?」

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裕子「いやいやいやいや」




裕子「100人以上素人同然の人をスカウトしてきて全員にちゃんと仕事があるってやばくないですか?」

P「うわやべえなエスパー企業かよ」

裕子「そりゃ仕事の内容は個々人で差がないとまでは言いませんけど、それでもファンが付かずに闇に消えた子はいないっておかしいですよ」

P「言われてみれば凄いな。俺が担当してるのはお前だけだけど、他の人の担当のとこも含めて全員生き残ってるもんな」

裕子「そうなんですよ。スカウトのマニュアル作った人かトレーナーか社長か知りませんけど、どっかに間違いなくエスパー居ると思うんですよね」

P「なんで今日のお前そんなに賢そうなんだよ」

裕子「何をおっしゃいますか!『アホっぽいやつが実は切れ者』なんて何年も前からのテンプレですよ。今のうちに練習しておかないと」

P「アホだなお前」

裕子「話を戻すとまぁこういう感じで誰かにウザ絡みしたいな、みたいな」

P「そういうことか」

裕子「あっ、でも私のほかにもエスパーっぽい人が居るかもなってのは本気ですよ?」

P「そこは俺も同意だな。超能力じみたのは何人かいるからな」

裕子「でしょう?そこでもし本当のエスパーだったら…ほら、トレンドのユニット大作戦ですよ」

P「お前本当に今日は切れ者だな」

裕子「そうでしょうとも!みんなと仲が深まる、CDも出せる、エスパーユッコとしてさらなる成長ができる…完璧ですよこれは」

P「でもマジモンの超能力者の類がポンポン出てきたら、お前のアイデンティティ的なの崩壊しないか?」

裕子「…………」

P「…………」

裕子「そうなってしまったらその時にまた考えましょう!」

P「やっぱアホだわお前」

裕子「というわけで仕事やレッスンの空き時間にこうして事務所内をうろつき始めたわけですが…」

裕子「エスパー同士は惹かれあうと古事記にも書かれてましたし、おそらく何もせずとも向こうからやってくるはず!」

ほたる「あ、裕子さん。おはようございます」

裕子「はい来た!ビンゴですね!」

ほたる「?」

裕子「ああすいません、こちらの話で…。ちょうどほたるちゃんを探していたんです」

ほたる「私を?」

裕子(だけどユッコ、ここは慎重に!ほたるちゃんは今でこそ不運な過去を乗り越えてると思いますが、過去が過去だけにデリケートな話題…言葉を間違えるわけにはいきません)

裕子「いえ、皆さんから聞いた話ではちょっぴり運が悪いことが続いてしまうとのことでしたので。超能力の類であれば私も少しばかりお力になれるかも、と」

ほたる「気にかけてくださってたんですか?心配をおかけして…あ、いえ」

裕子「?」

ほたる「ありがとうございます、ですよね。こういうときは」

裕子「……その通りです!開運といえば茄子さんと芳乃ちゃんの次にこのエスパーユッコ!どーんとお任せください!」

裕子「最近特に困っている超常現象とかあるんですか?」

ほたる「そうですね…超常現象とまで言えるかはわからないんですけど」

裕子「何でも構いませんよ!困っていることじゃなくても気になることとか!」

ほたる「私と話してるときに話し相手が転んでしまったりとか…自分以外に不幸が降りかかってしまうのはやっぱり申し訳ないです」

裕子「なるほど…確かにそれは気になってしまいますよね」

ほたる「はい…頻度も減っていますし大事には至ってはないのですが」

裕子「ですがお任せください!ユッコに考えがあります!」

ほたる「本当ですか!」

裕子「はい!他の人に降りかかってしまうならそんなことをしても意味はないってわからせればいいんです!」

ほたる「……?というと?」

裕子「まぁとりあえず任せてくださいよ。不幸が襲ってきたら全部サイキックで跳ね返せばいいだけの話です!」

裕子「というわけで今日一日…ってわけにはいきませんが、夕方くらいまで一緒に遊びましょう!」

ほたる「は、はい!大丈夫です!」

ほたる「飲み物の蓋が固くて…」

裕子「お任せを!」パキン


ほたる「裕子さん花瓶が!」

裕子「なんのなんの」ガシッ


ほたる「裕子さん!公園から快音と共に打たれた野球ボールが弾丸ライナーとして頭に!」

裕子「スプーン硬質化!」カキーン


ほたる「裕子さん!腕相撲で負けたら有り金全部置いてけ系イキリチンピラに目をつけられて!」

裕子「ふん!」ドゴォ


ほたる「裕子さん!小さな隕石がピンポイントで裕子さんの頭を狙って!」

裕子「サイキック斬!」バキィ



裕子「あはははは!本当にとんでもないことがおきますね!」

ほたる「はは…裕子さん途中で本当に超能力使ったり人間やめたりしてませんでしたか…?」

裕子「何を言ってるんですか、ユッコはいつでもサイキックで物事を解決してますよ!」

ほたる「でも今回はなんだかおかしい気がするんです…。いつもより不幸が物理的に過激というか…」

裕子「そうですか?割とよくあることがたまたま続いただけな気がしますが」

ほたる「少なくとも隕石はよくあることじゃないと思うんです」

裕子「それにほら!全部どうにかなってるじゃないですか!」

ほたる「それはまぁ…」

裕子「あ!あそこにいい感じの喫茶店が!寄っていきましょうよ!」

ほたる「は、はい」

裕子「実はコーヒー好きなんですよ」

ほたる「そうなんですか?」

裕子「特別詳しいわけじゃないですけど。ほたるちゃんも飲むんですね」

ほたる「私も好きですよ」

裕子「いやブラック飲んでるの超似合いますもんね。店のシックな雰囲気と合わさって映えるっていうか」

ほたる「いやそんな…裕子さんも、席についてから違った雰囲気に見えますよ」

裕子「あ、サイキッカーっぽくなりすぎちゃってます?ちょっとオトナの魅力出しすぎちゃったかな」

ほたる「サイキッカーっぽい…うーん…少しミステリアスに見えなくもない、ので間違ってないかもです」

裕子「でしょ?」

裕子「そういえばほたるちゃんに渡す小さな装飾された箱があるんですが、受け取ってくれますか?」

ほたる「私に?いいんですか?」

裕子「いいも何も今日、誕生日ですよね?」

ほたる「…もしかして知ってて声かけてくれました?」

裕子「そりゃそうですよ!ちなみにこの後にそちらのプロデューサーと裕美ちゃん達とお誕生日会があるところまで抑えています」

ほたる「そこまで知ってたんですか…これ、開けてみてもいいですか?」

裕子「どうぞどうぞ。食べ物じゃないのでガッツリ開けちゃってください」

ほたる「はい」

ほたる「わぁ、可愛いマグカップとスプーン…!」

裕子「でしょう?でしょう?いや自慢ではないのですがこのユッコ、センスには自信があるんですよ」

ほたる「…もしかしてコーヒー飲めない、とかだったら他の物を用意してあったりしましたか?」

裕子「鋭いですねほたるちゃん…ですが惜しいです。そのマグカップで飲んでもらって好きになってもらう予定でした」

ほたる「ふふ…ありがとうございます。裕子さん」

裕子「どういたしまして!」

ほたる「末永く使わせてもらいますね」

裕子「…………」

ほたる「ど、どうしたんですか?すごく驚いたような顔をしていますが」

裕子「…いえ、強くなりましたよね。ほたるちゃん」

ほたる「…?」

裕子(最初に会ったころなら、「不幸で割ってしまう」って物の一番に言ってもおかしくなかったくらいなのに)

裕子「いや~今日は楽しかったですよね!久々にこういう風に遊んだ気がします!」

ほたる「はい、私も今日は楽しかったです。誘っていただいてありがとうございます」

裕子「またまた~、これからもっと楽しいお誕生日会でしょう?楽しんできてくださいね」

ほたる「ふふ、そうですね。裕子さんはこれから予定があるんですか?」

裕子「お察しの通りです。なので事務所前でお別れですね」

ほたる「はい」

裕子「…ほたるちゃん、気づいてますか?」

ほたる「?」



裕子「どんどんあなたが『幸せ』に戸惑いがなくなっていることに、ですよ」

ほたる「戸惑い…」

裕子「ここに来たばかりのほたるちゃんは、幸せなことに慣れていなさ過ぎましたからね。会話に一言多く自虐が入る感じでした」

ほたる「…それがなくなったってことですか?」

裕子「ええそれはもう。そりゃ0にはなってませんけど少しずつ、少しずつ。今のあなたになっていったんだな~と」

ほたる「最初からずっと気にかけてくれてましたもんね」

裕子「おや、プロダクションに入ったのは同期だって覚えていてくれましたか」

ほたる「普通は忘れないですよ」

裕子「そういえば不運な出来事もいつの間にやら起きなくなりましたね」

ほたる「裕子さんに何しても意味ないって気づいたんですかね」

裕子「あっはは!間違いないですね!」

ほたる「ふふ…」

裕子「おっと、そうこう話してるうちに事務所前ですか」

ほたる「あっという間でしたね」

「お~い!ほたる~!上がってきてくれ~!」

裕子「おや、ほたるちゃんのプロデューサーさんじゃないですか。呼んでいますよ」

ほたる「そうですね…それじゃ行ってきます」

裕子「はい、いってらっしゃい」

裕子「………」

P「お~裕子、どうだ調子は?」

裕子「プロデューサーって、例えばユッコがエスパーユッコからリアリティユッコになったらどう思います?」

P「なんだ藪から棒に。いやめっちゃ面白すぎて笑うだろうな」

裕子「多分ですけど、頭ぶつけたんだろうなで終わりますよね。もう一回ぶつけたら戻る感じで」

P「それいいな、今度使おうぜそのネタ」

裕子「考えておきましょう」

P「で?何が言いたいんだお前は?」

裕子「いえ、人によって変化の意味合いって違ってくるなぁと思いまして」

P「ん~…なるほど?」

裕子「さっきの話にしたってユッコがやったらギャグですけど、蘭子ちゃんだったら話が重たくなる可能性あるじゃないですか」

P「あぁ~確かに」

裕子「それにプロデューサーは笑って受け入れるでしょうけど、人によってはそんな路線変更ありえません!ってなるでしょうし」

P「そういう考え方もできるか。いやお前なんで今日はそんな知的なんだ」

裕子「超能力使いすぎるとたまにこうなるんですよ」

裕子「まぁ総括としては、ユッコは人が前向きに明るくなってくのを見るのは嬉しいってころですね」

裕子「ミラクルテレパシーは割とユッコ100%なんですよ」

P「あっそう…で?今日はエスパー見つかったのか?」

裕子「ちょっと!今めっちゃいいこと言ってたんですよ!?」

P「だったら普段からいいこと言える土台を作っておけ!」

裕子「いや…はい、善処します…」

P「それで、どうなんだ?」

裕子「そうですね…私が思うに『不運だった少女が人を笑顔にしたり幸せにしたりできる』」

裕子「それってエスパーなのでは?」

以上です。
目を通していただいた方、ありがとうございました。

裕子とほたる担当Pからささやかお祝いのつもりでした。

余談ですがモバマスのほうでガチャでほたるのSRが実装されました。なまらめんこいのでよければ絵柄だけでも確認していただければ幸いです。

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