モバP「サイキック催眠療法!!」 (51)


P「椅子に座らせた相手が上目遣いに見える位置でペンライトを振る」

P「そうしながら暗示をかけると、相手の意識は深く沈み込んでいく」

P「意識がなくなる訳ではなく、深層心理に近付いて本音を引き出せる」

P「その際、応用として暗示をかけて、記憶に何かを刻み付けることもできる…」

P「へえ~ 催眠術っていったら五円玉に糸つけて振る奴ってイメージがあったんだが、いろいろあるもんだな」



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P「………」

P「………試したいな」


P「持っていた覚えもないのに俺の机にいつの間にかペンライトが」

ちひろ「何のために私が居ると思っているんですか?」

P「少なくともペンライトを俺に持ってくる為ではないですよね」

ちひろ「細かい事気にしてるとハゲますよ?」

P「重要な事だと思いますが… まぁ、どうでもいいですが」

ちひろ「いいじゃないですか。ファンビデオの撮影だと思ってやりましょうよ~」



P「俺がペンライト振ってたらだれが撮影するんですか…」

ちひろ「私がすればいいじゃないですか」

P「こういうのは一対一で誰も見ていないリラックスした環境下でやるんですよ」

ちひろ「隠れてこっそり撮りますから!」

P「そこまで必死にならなくても…」

P(金になると踏んだ瞬間これだよ。さしずめ金の亡者だな)ボソッ

ちひろ「あ゙?」

P「すみませんごめんなさいなんでもないです何も言っていません」

ちひろ「次はスタエナ十ダースづつ買ってもらいますからね」

P「以後気を付けます…」




P「それで、やるのは分かりましたけど、誰にやるんですか?」

ちひろ「超能力と言えば、あの子しかいないじゃないですか」

P「………? あ、あ~ 裕子ですか…」

ちひろ「ノリがいいですからね、やってくれると思いますよ」

P「催眠術って超能力なんですかね… 催眠療法やってる方は皆さん超能力者ってことになりますよ?」

ちひろ「ああもう! いちいち細かいですね! やるのか金払うのかはっきりしてください!」

P「や、やりますよ! すぐに金を出させようとするんですから…」


ちひろ「わかってくれたら良いんですよ」

ちひろ「では、御武運をd」グッ




___


堀裕子「それで、私が呼ばれたというわけですか」

P「そうなんだ。俺の能力開発を手伝って欲しくてな」


P(自然な姿を取りたいからって事で撮影に関しては言ってないけど)


裕子「わ、私はエスパーですが催眠術師ではないんですよ!?」

P「催眠術って普通じゃ信じられない事だろ?」

裕子「まぁそうですが…」

P「だから、一般人とは違ってエスパーの裕子になら相談できると思って…」

P「裕子! お前にしか頼めないんだよ!」




裕子「わ、私にしか、ですか…」

裕子「わかりました! エスパーユッコにお任せください!」

P「本当か!? ありがとう、さすがユッコだ!」ダキシメ

裕子「ぷ、プロデューサー、もう…」///

P「あ、ごめんな。つい嬉しくて… 離れるよ」


裕子「は、離れなくていいです! こうして私に触れることで直接サイキックパワーを注入しますから!」ギュー

P「そうか… じゃあもう少しだけこのままだな。しっかり裕子のパワーを貰わないと」


裕子「…ですから、もっと強く抱きしめてください」





ギューっ


P「裕子。苦しくないか?」

裕子「もっと強いくらいでも大丈夫ですよ! ユッコはエスパーですからね!」

裕子「だから、私がもっときつくしちゃいますっ!」ギュ


P「裕子って、なんかいい匂いするな」

裕子「へっ!?」

P「それにあったかくて、抱き心地がいい」

裕子「な、なんなんですか急に」///

P「…やっぱり、裕子も女の子なんだな」




裕子「なんだか今日のプロデューサーは変な事ばっかり言います」

P「裕子のサイキックパワーに中てられちゃったのかな」

裕子「だとしたら、ユッコは本物のエスパーってことですね!」

P「今更だな。お前はそういう信念でやってきたんだろ?」

裕子「プロデューサーは都合のいい時だけサイキック扱いしますからね!」

P「はは、悪かったって」


裕子「そんな悪い人はこうします!」ギュー

裕子「もっともっとユッコのパワーを注いで、私なしではだめにします!」





P「痛たた… ごめんごめん」

裕子「ちゃんと反省の態度が見えるまではーなーしーまーせーんーっ!」

P「………まったくもう」


ちゅ


裕子「な、な…」

P「…これで、いいかな?」

裕子「し、しょうがないから許してあげます…」///


P「ありがとうな。じゃあそろそろ…」

裕子「…そういえばすっかり忘れてました」



P(というかこれ、ちひろさんが見てんだよな)

P(まあいいや)



P「そこの椅子に座ってくれ」ユビサシ

裕子「はい。 …それで、どうしたらいいんですか?」


P「このペンライトを使うんだ」

P「椅子に深く腰掛けて、リラックスしてくれ」

裕子「よいしょっと…」

P「目線の上にあるペンライトを、上目遣いに見上げるんだ」


P「首を上に向けるなよ?」

裕子「上目遣いに、ですか… なんだかきついですね」

裕子「こ、これでリラックスですか」

P「あくまで体は、って事だろうな。意識をライトにだけ集中するんだ」

裕子「集中… むんっ!」


P「力んじゃだめだろ…」 

P「裕子がスプーン曲げる訳じゃないんだから、そんなに固くなってたらかかるものもかからないよ」

裕子「す、すいません」


P「気持ちを楽にして光だけを見るんだ…」

P「ずっと見てるとぼやけたり見えなくなったりするらしいが、気にして固くならないように」

P「俺が振る通りに光を目で追うんだ。しばらくしてくると目が疲れて、まぶたが重くなってくる」

P「抗う事をしないで、為すがままにするんだ。目を閉じて構わない」


P「あなたはだんだん眠くなーる」フリフリ

P「眠くなーる」


裕子「………」

P「………」フリフリ



裕子(………)

裕子(どうしよう全然きいてこない…)


P「眠れ~」フリフリ


裕子(プロデューサーは成りきってるし…)

裕子(し、しかたないです。ズルは好きではないですが、プロデューサーの為に)

P「眠くなる… おっ!?」

裕子「ぐぅ…」


P「うわ! 本当にかかった!?」

裕子「すぅ… すぅ…」

裕子(寝たふりしましょう…)




P「すげえ… 俺って催眠術の才能あるんじゃないか?」

P「って、感心してる場合じゃなかった。本題に入ろう」

P「俺が二十数えるうちに、だんだんと深い眠りに落ちてくんだ」

P「二十数え終わって完全な催眠状態にかかったら、俺の言う事は何でも聞く事」

裕子(な、なんでもですかっ!?)


P「いくぞ。一、二、三………」


裕子(なんでもってなんだろう…?)

裕子(も、も、もももしかして、えっちな事だったり…!)


P「十、十一………」


裕子(ユッコまさかのピンチ!?)

裕子(どうしよう… でも、ここで起きちゃったらプロデューサー傷つくだろうし)


P「十四、十五…」


裕子(で、でも、もしプロデューサーが本当に、そ、そのえっちなことを要求してきたら…)

裕子(………………)


P「十七、十八………」


裕子(………ぷ、プロデューサーなら、いいかな…?///)

P「十九、二十!」


裕子(ええい、儘よ!)


P「裕子は今、完全な催眠にかかった」

P「俺が目を覚ましていいと言いながら指を鳴らすまで、絶対に覚醒しない」


裕子(しっかり覚えておかないとボロが出そう…)


P「今から裕子は、俺が三つ質問するから、全てに正直に答えるんだ」


裕子(あ、命令ってそういう…)

裕子(なんか恥ずかしい事考えちゃった///)カァー


P「? 顔が赤く… 暖房効き過ぎてるのかな」


P「温度少しさげるか…」

P「リモコンは、っと」ッピ


エアコン<ブオー


裕子(危ない危ない… ばれるところでした)


P「俺んちのエアコン壊れてるからな~ 毎日毎日極寒の大地だぜ」

P「電気屋に電話するのかな? アパートの管理会社かな…?」


裕子(なんの話ですか! やるなら早くしてください!)


P「っと、裕子を放置していた」

P「もう一度確認だが、俺の質問に正直に答えるんだぞ?」

裕子(どんと来て下さい)


P「じゃあ、まず一つ目の質問」

P「裕子は事務所の中で誰と一番仲がいいんだ?」


裕子(仲良し… お友達ですかね)

裕子(正直にって言ってたから…)


裕子「…プロデューサー、です」

裕子(これしかない)


P「………」

裕子(なんで黙ってるんだろう)

裕子(嬉しくて感極まっちゃった?)


P「お前… 友達いないのか…」

裕子(いらぬ誤解されてるっ!?)



P「そうだよなぁ… サイキックとかいいながらスプーンを力技で曲げてドヤ顔してる様な奴だからな」

P「大丈夫。俺はお前のいいところいっぱい知ってるから…」


裕子(ち が い ま す !)

裕子(友達いますって! 一番仲良しってプロデューサーが聞いたからじゃないですか!)

裕子(でもここで言い直したら起きてることばれちゃうし…)


P「俺はずっとお前と一緒だからな… 心配しなくていいんだぞ」グスッ


裕子(なんか泣いてる… 重く受け止めないでくださいよ…)

裕子(………でも、ずっと一緒だって)

裕子(今回はいいでしょう!)



P「裕子の悲しい事実を知ってしまって大変心苦しいが、次にいくか」

裕子(まだ言ってる…)


P「じゃあ、二つ目の質問だ」

P「裕子って実際、自分の事本当にエスパーだと思ってる?」


裕子(なんて失礼なことを言うんですか!)

裕子(当り前じゃないですか! こんなにパッションにあふれた女の子に向かって何を聞いてるんですか!)


裕子(…あれ? パッションって超能力は関係ない?)

裕子(………)

裕子(いや、まだ未完ですけどこの情熱がサイキックパワーを開花させるんですって!)



裕子(見ていてくださいよプロデューサー!)

裕子(未完とはいっても、ユッコは未完の大器ですからね)


裕子「…エスパーです」

裕子(ずっとそばに居るって言いましたもんね!)


P「マジかよ… 言い切りやがった」

P「スプーン曲げすらできないのに、いったいどこからその自信が湧いてくるのか…」

裕子(できますって! サイキック力技は未だ開発途中ですって!)


P「まぁスプーン曲げは梃子の原理だしな…」

P「きっと他の分野では何か自信があるものを持ってるんだろう」




裕子(え? あれって超能力じゃないんですか!?)


P「最後の質問いくかぁ」


裕子(待ってください! 質問よりスプーン曲げについて話してくださいよ!)

裕子(てこのげんり? 視点、力点、作用点ってやつですよね?)


裕子(いったいどういう事なんですか!?)

裕子(起きて聞くわけにもいかないし… っく、はやく最後の質問を終わらせて問い詰めないと!)


P「最後の質問なんだが…」

裕子(ハリーハリー!)



P「やっぱりやめようかな…」

裕子(もうどんな失礼な事でもいいから聞いてくださいよっ)


P「う~ん…」

裕子(焦らすなあ)


P「………」

裕子(………?)

裕子(迷ってる… ですかね?)

裕子(あんなに困ったような顔して、プロデューサーらしくないです)ウスメ



P「じゃあ、三つ目の、最後の質問な」

P「裕子って… 誰か気になってる人とか、いるかな?」


裕子(………)

裕子(………!?)


裕子(え… それって、どういう?)

裕子(アイドルで意識してる相手って事…?)


裕子(………)チラッ

裕子(プロデューサー、俯いてるけど顔真っ赤だ…)

裕子(私の勘違い、じゃあないですよね)


裕子(何て答えるのが正解なんだろう…)

裕子(いや、ここは正直に!)

裕子(どんな質問にも答えるって催眠術ですからね!)


裕子「プr」

P「まってくれ! 今の質問は取り消しだ!」


裕子(え、え~ 今答えようとしたのに…)


P「もう一回チャンスをくれ。って、催眠中だしいいか」

P「…質問を変えるぞ。さっきのはノーカウントだ」


裕子(せっかく決心したのに… いくじなし)


P「…本当に最後の質問だ」



裕子(さっきの質問より衝撃的なのは来ないでしょう…)


P「………」

P「…俺は裕子が好きだ。裕子は俺の事どう思ってる?」


裕子(へえ~)

裕子(…へ、え………?)


裕子(!?)


裕子(ままま、まじですか!?)


P「正直に答えてくれ。どんな答えでも受け止める」


裕子(強気な言葉ですけど、プロデューサー、とっても不安そうな顔してます…)ウスメ



裕子(さっきプロデューサーが迷ってたのって、こういう事だったんですね…)

裕子(………それでも、ユッコは正直に答えるってきめてますから!)

裕子(サイキックパワーの為せる技です!)


裕子「…プロデューサーのこと、好きです」


裕子(正直に言えました!)


P「な…な、なんですと」

P「本当か… いや、催眠術中だし、本当なのか…」

P「裕子と両想いだったか!」


裕子(見えないけど、声が凄く嬉しそうです)

裕子(…それに、私だってすごく嬉しい!)



裕子(そもそも嫌いな相手だったら、気を遣って寝たふりなんかしません!)

裕子(本当はこんな形じゃなくて普通に言って欲しかったけど、超能力開発に免じて許してあげます!)


P「うおおおおおおおおお! やったあああああああああああああ!」


裕子(あんなにはしゃいで、プロデューサー子供みたい)

裕子(…本当は、今すぐにでもプロデューサーに抱きつきたいけど)


P「だああああああああああああ!!」


裕子(プロデューサー、扉を突き破ってどっかいっちゃった…)チラッ


裕子(………)

裕子(起きていいのかな)



___
__
_

P「おはようございます」

ちひろ「おはようございます」


ちひろ「じゃあないですよ!」ドンッ

P「おおぅ… なんで怒ってるんですか」

ちひろ「昨日扉を破壊したまま勝手に帰ったでしょ! だいたい撮影してるって言ったのになんですかあれ!?」


P「いやぁ。照れるなあ」///

ちひろ「気持ち悪いわ! 扉壊す、勝手に帰る、挙句の果てにあの映像… ファンに見せたら発狂しますよ?!」



P「いやぁ、あまりに嬉しすぎてテンションあがっちゃって…」

P「日本海を横断して発散してました」

ちひろ「この寒い時期になにしてるんですか…」


ちひろ「だいたい、あんなこと言っちゃって裕子ちゃんと顔合わせられるんですか?」

P「大丈夫です。だって催眠術中でしたし、裕子は覚えて無い筈ですからね」

ちひろ「そういうもんなんですかねえ…」


<オハヨウゴザイマース!


P「噂をすればってところですね」

ちひろ「裕子ちゃん来ましたか…」



裕子「プロデューサー、おはようございます! 今日もはりきってサイキックしていきましょう!」


裕子「あ、ちひろさんも、おはようございます」

ちひろ「私はついでですか…」


P「おはよう、裕子。というか、サイキックしていくってなんだよ?」

裕子「? それはですね…」



裕子が背伸びをして俺の首に手を回した。

刹那、唇に温かくて柔らかい感触が。


「こういう事ですっ!」


驚きのあまり、言葉を失い固まる俺とは対照的に、裕子は上機嫌かつ饒舌に続けた。



「エスパーユッコは、プロデューサーが大好きです!!」



おわりでっす。ありがとうございました。

知り合いの肇Pの方に「偶には普通のss書いてみろ」って言われたんで書きました。
たぶん肇ちゃんでって意味だったんだろうと思います。

裕子ちゃん可愛いね。


過去作っす。よろしければどうぞ。

モバP「ダブルクリック!!」モバP「ダブルクリック!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387270659/)
モバP「愛してるって形」モバP「愛してるって形」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388147484/)
モバP「いつまでもこのままで」モバP「いつまでもこのままで」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388546425/)
モバP「スマフォって便利だよな」モバP「スマフォって便利だよな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389538399/)

三番目のやつが気に入ってます。
散々な言われ様だったけど。

昨日か一昨日くらいに趣旨は違えど同じような悲恋ものを見かけたんですよ。
それが、大絶賛されていたんですよね。
俺の方はと言えば、キモイ臭いで一蹴でしたからね。

なんでですかね。前科ですかね。

どのSSの事を言ってんのか知らないけど
単純にお前の腐った性根が見え隠れしてたのが叩かれた原因だろ

あとできたらトリップつけて
そうしたらNGに入れてもうお前のSS見なくて済むから



どうしてこれまで普通に書かなかったんですかね…

普通の話しかけるんだな…

>趣旨は違えど

答え出てんじゃん

>>36 ごめんね。でも読んでくれてありがとう
>>37 vipで書いてた頃は普通なのばっかりでした
>>38 ほんとにね
>>39 完 全 論 破

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