真姫「間接キス」(23)

絵里「そうよ。知り合いの小学校の先生に頼まれてね。μ'sのメンバーが子供達に楽器の使い方を教えて、みんなで一緒の曲を演奏するの。」

絵里「小さい子たちへの知名度アップにも繋がると思うし、どうかしら?」

穂乃果「うん!いいと思う!頼まれたからには精一杯やって喜んでもらおう!」

絵里「わかったわ。それじゃ、大丈夫だって伝えておくわね。」

海未「あ、あの、すみません。1つ聞いていいですか?」

絵里「ん、なに?」

海未「その…演奏する楽器は何にするんですか?」

絵里「えっと確か…リコーダーだったと思うわ。小学生が対象だからある程度使ったことのある楽器ってことで。」

穂乃果「!」

海未「…なるほどわかりました。」

絵里「一応みんな吹くことはできると思うけど、ちゃんと教えられるように事前に少しは練習しておいてね。」

凛「さすがに吹けない人なんていないよー。」

にこ「そんなこと言って、いざ本番で恥かいても知らないわよ?」

穂乃果「ま、まあ穂乃果も吹けるし、大体の人は大丈夫だと思うけど…」ちらり

海未「……」

真姫「どうしたの海未?急に相談があるって」

海未「あの、実は今度の音楽会のことについてなんですが…」

真姫「さっき絵里が言ってたやつね。それがどうしたの?」

海未「わ、私にリコーダーの吹き方を教えて欲しいのですっ!」

真姫「…え?」

海未「は、恥ずかしい話なのですが、私はリコーダーを吹くのがあまり得意ではなくて、小学生のときも演奏するのに苦戦することが多かったんです。」


海未「高校になってからはリコーダーを使うことが無くなったので安心していたのですが、まさかこんな機会が訪れるとは…」

真姫「なんというか、意外ね。海未は楽器とかは簡単に演奏しそうなイメージだったわ。」

海未「そ、そんなことないですよ。昔からどうしても苦手なもので。」

真姫「ふぅん…。まぁいいわ。けどなんで私?穂乃果とかことりでもいいんじゃないの?」

海未「それが、穂乃果が溜めに溜めていた生徒会の書類を処理しなければならないので、2人は大忙しなのです。」

真姫「なにやってんのよ穂乃果は…。」


海未「なので1番楽器の扱いが上手そうな真姫にお願いしたのですが…どうか手伝っていただけませんか…?」

真姫「まぁ別にいいけど。ちょうど暇してたしね。」

海未「本当ですか!?ありがとうございます!」ぱぁぁ

真姫「そ、そんなに喜ばなくてもいいわよ!ほら、そうと決まったらさっさと練習始めるわよ!」

海未「はい!始めましょう!」


真姫「じゃあ、1回どれくらい吹けるのか試しに吹いてみてくれる?それで大体の実力を図るから。」

海未「はいわかりました。では…」


海未「」ぽひょろーぴーぽぽぴー

海未「」ぴぽぽぽーひょろぽぽー

海未「」ぴーひょろひょろーピ↓ピー↑


真姫「うん。わかった。もういいわ。」

海未「ど、どうでしょうか?」

真姫「うん。すごい下手ね。」


海未「うぐっ!わかってはいましたがやはり心にきますね…。」

真姫「そもそも音がめちゃくちゃじゃない。ちゃんと吹くときに指で穴を塞げていないんじゃないの?」

海未「そうなのかもしれません…。曲を吹こうとすると次々と塞ぐ場所を変えなければいけないので混乱してしまって…。」

真姫「試しに私が1回吹いてあげるわ。1本リコーダー貸して。」

海未「え?あ、その…。」

真姫「何?早く貸しなさいよ。」


海未「いや、その、今日は私が吹いていたものしかないのですが…それでもいいですか?」

真姫「えっ?あ、そ、そうなの?じゃ、じゃあそれでいいわよ。」

海未「あっはい。そ、それでは、どうぞ。」

真姫「う、うん。」

真姫(ど、どうしよう。まさかこんなことになるなんて、これじゃ海未と間接キス…!)

真姫(い、いや小学生じゃないんだから。μ'sでもコップのまわし飲みをすることなんてあるじゃない。)

真姫(大丈夫。無心で拭けば大丈夫…!)


真姫「そ、それじゃあ吹くからちゃんと聴いていなさいよ。」

海未「は、はい。わかりました。」

真姫(無心…!無心…!)

真姫「」ピロロロロー♪ピピピー♪

真姫「」ピーピロロー♪ピーロロー♪

真姫「ど、どう?上手く吹けてた?」

海未「やっぱり真姫は上手ですね。とてもキレイな音色でした。」

真姫「そう?それなら良かったわ。」

真姫(ふぅ…なんとか動揺せずに上手く吹くことができたわ…。)


真姫「じゃあ、今の参考にしてもう1回海未も吹いてみて。はいリコーダー。」

海未「あっ、は、はい。わかりました。」

海未「…………///」

真姫(何恥ずかしがってんのよ!///こっちだって頑張ったんだから吹きなさいよ!)

海未「」ぽひょろぽひょろ…ぽぽぽぽ…

真姫「さっきより悪化してるじゃない!もう!もう1回吹くから見てて!」

海未「えっ?あの…」

真姫(こうなったら海未が慣れるまで何度でも吹いてやるわ!)


数時間後

真姫(結局海未が恥ずかしがって上手く吹けないから何回もリコーダーを交換することになっちゃった…。)

真姫(これって下手なキスよりも…///いや考えるのは止しましょう。)

真姫(最初は私も恥ずかしかったけど、もう海未と間接キスするのに慣れてきた気がするわ…。)

真姫(海未もかなり平気になったみたいだし…そろそろ上手く吹けるかしら。)

海未「では、もう一度吹きますね。」


海未「」ぴろろーぽろぴー♪

海未「」ぴろぴろーぴぴー♪

海未「どうでしょう?少しはマシになりましたか?」

真姫「うん、いいと思うわ。最初に比べればかなり上達したわよ。」

海未「そうですか…。良かったです…。」

真姫「今日はこのくらいにしておきましょう。後は何回か練習すれば大丈夫だと思うわ。」


海未「丁寧に教えて頂いてありがとうございました。真姫。」

真姫「べ、別にこれくらい構わないわよっ。また何かあったら言いなさいよ。そのときはまた教えるから。」

海未「はい!そのときはよろしくお願いします。」

真姫「それにしても…疲れちゃったわね。何か甘いものでも食べたい気分だわ。」

海未「あっそれなら真姫におすすめの店があるんですよ!良かったら今からいきませんか?」

真姫「別にいいけど…私におすすめってどんな店なの?」

海未「それはですね…。」


真姫「トマトソフトクリーム…!こんな味のソフトクリームもあるのね…!」

海未「真姫はトマトが好きだったので気に入ってくれるんじゃないかなと思いまして。」

真姫「た、確かに美味しそうね。」うきうき

海未「溶けちゃいますので、立ちながらですがでここで食べましょうか。」

真姫「そうね。それじゃ、いただきます………!おいしい!とってもおいしいわ!」

海未「ふふっ喜んでもらえて何よりです。」

真姫「おいしい…おいしいわ…」ぽぁぁ

海未「…ふふふ」

真姫「?何で笑ってるのよ?」


海未「いや、美味しそうに食べる姿が可愛らしいと思いまして。」くすくす

真姫「は、はぁっ!?///なにそれ意味わかんないっ!」

海未「だって見てるだけで美味しそうだったんですよ。」

真姫「知らないわよっ!うぅ…」

真姫(なによ急に…//可愛らしいだなんて言われたら照れるじゃないのよ!)

真姫(なんだか今日は海未に恥ずかしがらされてばかりじゃない!少し悔しい…!)

真姫(こうなったら、私だって反撃するんだから!)


真姫「そ、そんなに美味しそうなんだったら食べてみる?」

海未「え?食べてみるって…」

真姫「はい、あ、あーん」

海未「えっ!?いやでも真姫、流石にそれはちょっと恥ずかしいというか…」

真姫「散々間接キスしたんだからこのくらいいいじゃない。ほら、あーん」

海未「うぅぅ……あ、あーん//」

真姫「どう?美味しい?」

海未「は、はい。とても美味しいです。」


真姫「そう、良かったわ。」

真姫(思った通り恥ずかしがってるわね。私を手玉にとろうとするなんてまだまだ早いんだから。)ふふん

海未「あ、真姫もどうですか?一口。美味しいですよ。」

真姫「えっ?いや、私は別にいいわよ。」

海未「遠慮しなくてもいいですよ。ほら、あーん。」

真姫「っ…あ、あーん…///」

海未「どうですか?美味しいですか?」

真姫「うん……美味しい………//」

真姫(くぅぅぅ………っ!//)


海未「それでは、そろそろ帰りましょうか。今日はありがとうございました。」

真姫「一応帰ってからも吹く練習はしておいてね。これで当日にまた吹けなくなってたら許さないわよ。」

海未「ふふっ、真姫に許されないのは怖いですね。欠かさず練習し続きます。」

真姫「何よそれ…。あ、私こっちだから。また明日ね」

海未「はい。さようなら」


数日後

花陽「この前の音楽会楽しかったねー。」

凛「上手くいってよかったにゃー!」

花陽「ちゃんと教えられるか心配だったけど、なんとかなったね。」

凛「凛ちょっと忘れちゃってたけど、海未ちゃんに教えてもらったから助かったよ~」

真姫「だから予め練習しておきなさいって言ってたじゃないのよ。」

凛「上手くいったから良いんだよー。あっ!このジュース新しい味が出てるにゃー!買おう!」

花陽「あはははは…」


ごくごく

凛「うん!美味しい!真姫ちゃんも飲んでみる?」

真姫「ええ、もらうわ。んっ…」ごくごく

真姫「結構美味しいわね…ってどうしたの?」

凛「あ、いや、やけにすんなり飲んでくれるなーって思って」

花陽「いつもはもう少し抵抗してるから…ちょっとびっくりしちゃった。」

凛「真姫ちゃん間接キスでも顔赤くしてたのにねー。」


真姫「あぁ…きっと海未のせいね。何回もしたから慣れちゃった。」

りんぱな「………え、えええええ!?」

真姫「あっ…」

凛「真姫ちゃん、海未ちゃんと何回もしたって…」

花陽「スキャンダルですぅ…!スキャンダラスですぅ……!!」

凛「こ、これはにこちゃんに報告にゃ。由々しき事態にゃ。」

真姫「ま、まって。多分何か誤解をしているわ。」


凛「善は急げにゃ!今すぐにこちゃんの元へ!」だだだだだっ

真姫「ちょっ、ちょっと!本当に誤解だから!先に話を聞いて!」

花陽「部内のアイドル同士の恋愛…でも百合ならそこまでパッシングされないかな…?いやしかし…」ぶつぶつ

真姫「花陽もかなり曲解してるから!百合じゃないから!落ち着いて!」

真姫「もう!何でこうなるのよ───!!!」

終わりです。

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