凛「いや、えっ?」
P「ノースリーブのタートルネックってエロくないですか、って」
凛「それ。私を見て言ってる?」
P「他にどこにノースリーブのタートルネックがいるって言うの」
凛「なんでちょっと偉そうなの」
P「で、ノースリー」
凛「もうわかったから、三回も言わないで」
P「はい」
凛「それで? なんだっけ。私の今の恰好がその、卑猥に見えるわけ?」
P「卑猥って言い方はなんか違う」
凛「うん。それはそうだよね。普通の服着てるわけだし」
P「わかんないかなぁ」
凛「ごめん。本気でわからない」
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○
P「んー。なんて言ったらいいだろう」
凛「っていうか、逆に質問するけどさ」
P「うん」
凛「ノースリーブのタートルネックが仮にプロデューサーが言うとおり、そうだとして」
P「仮にと言うか、実際にだけどな」
凛「その話はまた拗れるから一旦聞いて」
P「はい」
凛「普通、ノースリーブのタートルネック着てる相手に言う?」
P「………………つまり、だ」
凛「うん」
P「凛は俺にこう言いたいわけだ」
凛「?」
P「お前はデリカシーがない、と」
凛「デリカシーと言うよりは、モラルかな」
P「はい」
○
凛「重ねて聞くけどさ」
P「はい」
凛「事の経緯を早苗さんやちひろさんに私が話したとして」
P「ごめんなさい」
凛「察しが早くて助かるよ」
P「でも、でもだ」
凛「? うん」
P「ノースリーブのタートルネックは、その、なんだ。ずるい」
○
凛「…………………………」
P「どうしたの。急に黙って」
凛「いや、うん。なんとなく、その、見えてきたっていうか」
P「?」
凛「えっちかどうかはさておき」
P「えっち」
凛「復唱しない」
P「はい」
凛「ずるい、と言い換えられるわけなんだよね」
P「まぁ、うん」
凛「ということは、等号で結ばれるわけでしょ」
P「そうなるな」
凛「つまり、私の今の恰好はずるい」
P「ずるい」
凛「例えば、ちひろさんがノースリーブのタートルネックを着たとするよ?」
P「着たとする」
凛「想像できた?」
P「なんとなく」
○
凛「次に……そうだなぁ、プロデューサーが連想しやすい身近な人……プロデューサーのお母さんとか」
P「……もしかして」
凛「そう。ノースリーブのタートルネックを着たとする」
P「……はい」
凛「想像できた?」
P「ありありと」
凛「全部同じくらい、そう思えた?」
P「そんなわけないだろ」
凛「そういうこと、なんじゃないかな」
P「……………………」
凛「ね。私が黙った理由、理解できた?」
P「はい」
○
凛「だからさ、私の恰好が卑猥なわけではなくて」
P「大丈夫。わかってる。理解した」
凛「ましてやノースリーブのタートルネック自体に、そんな魅力があるわけでもなくて」
P「……ちょっと待った。そこは異を唱えたい」
凛「?」
P「ノースリーブのタートルネック自体にも魅力はある」
凛「いや、それはわかるよ。シンプルだけど、かわいいデザインだし」
P「そうじゃない。そうじゃないんだよ」
凛「????」
P「じゃあ、今度は俺のターンということで」
凛「なら、はい。聞かせてもらおうかな」
○
P「今は寒いだろ?」
凛「冬だからね」
P「そう、冬なんだよ。冬は寒い」
凛「当たり前でしょ?」
P「だから厚着をする」
凛「そりゃ、まぁ。寒いからね」
P「コートとか、マフラーとか、やたらともこもこする」
凛「うん。する」
P「室内でその恰好で過ごすのは、流石に暑い」
凛「普通脱ぐよね」
P「そこで、満を持してノースリーブのタートルネックが登場するわけだ」
凛「……あー。ギャップが良いってこと?」
P「そう。そう。そう。それ」
凛「ぐいぐい来るね」
○
P「ノースリーブのタートルネックを着ている人の前でこんなことを言うのもアレだけど」
凛「今更過ぎるよね」
P「こう、ぴっちりしてるだろ?」
凛「うん。ニットだし」
P「嫌でも体のラインが出る」
凛「まぁ、うん」
P「顔赤いけど大丈夫?」
凛「ノースリーブのタートルネック着てるからね」
○
P「つまり」
凛「室内と屋外のギャップというか、メリハリというか、その差が良いって言いたいわけでしょ」
P「だから、ノースリーブのタートルネック自体にも魅力は十分にある」
凛「でも、誰が着てもいいわけじゃないんだよね?」
P「それはそう」
凛「もうこの際だから、言っちゃうけど」
P「うん」
凛「プロデューサーは、好きな子が好きな服着てるのがかわいくてずるいと思ってるだけなんじゃないかな」
P「………………」
凛「顔赤いけど大丈夫?」
P「ノースリーブのタートルネック着てる好きな子が目の前にいるからな」
○
凛「さて、と」
P「あれ、どっか行くの」
凛「うん。夜ご飯、お母さんたち今日は外食するらしいから、とある人のご馳走になりに行こうかと思って」
P「とある人?」
凛「私の恰好をえっちだの、ずるいだの、好き放題言ってくれた人」
P「謹んでご馳走いたします」
凛「お寿司の気分かな」
P「回るのでもいいですか」
凛「500円のお皿が回ってるとこならいいよ」
P「……はい」
○
凛「それはそうとさ」
P「まだなにか……」
凛「いや、要求とかじゃなくて、確認」
P「確認?」
凛「そう、確認。これからは着てくるのやめた方がいいのかな、って」
P「それはダメ」
凛「急に食い気味」
P「それは困る」
凛「この格好の私が見たいわけなんだ」
P「見たいわけ」
凛「じゃあ、たまになら着てあげてもいいかな。なんて」
P「ってことは、ノースリーブのタートルネックを着てくる日は俺のためを想ってということに」
凛「……調子に?」
P「乗らない」
凛「よし。ほら、お寿司行くよ」
P「はい」
おわり
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