【艦これ】 暁「暁の水平線へ」 前編 (131)


前々作 鳳翔『天龍型と提督の居酒屋での記録』

前作 鳳翔『空母達のだらだらとした居間談義』 


今度は暁の話です。上記の話とすこしだけつながっていますので、読んでいただければ幸いです。


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ガガガガ……………


『―――レ、アオ――――――ワレ、――――――』


    ザッ………ザザ…………ザザザザ…………


ザザザザザザ………………


『―――聞こえます――――――ワレ、アオ―――――――』


    ザザザザ…………ザザザ………………


『――――人類のみなさ―――――――どうか、この中継を―――――』



ザザ……………………


『―――――――今は戦いを止めて、テレビをご覧くださ―――――――』


『―――――――全世界のみなさん、どうか彼女の行く末を見守って―――――』


『――――――戦いをやめ――――いまだけは、どうかこの中継を――――――』



『―――――ワレ、アオバ。人類のみなさん、聞こえていますか?』


『―――――どうか今だけは、戦いの手を止めて、テレビをご覧ください』


『―――――彼女は今、人類の為に戦っています。どうか彼女を見守ってください』




『―――――見えるでしょうか。暁の水平線に立つ、ひとりの艦娘が―――――』




…………………………………………
……………………………
………………………
…………………





~鎮守府 廊下~


暁「はぁっ………!はぁっ………!」タタタタッ

暁「なんで起こしてくれないのよっ!あの二人はっ!」タタタタッ

蒼龍「でさーまた加賀さんがねー?…………あれ、暁?」

飛龍「会議じゃなかったっけ、間に合うのー?」

暁「間に合わない!もう遅刻っ!」タタタタッ

蒼龍「ありゃ」

暁「急ぐから!じゃあね!」タタタタッ

蒼龍「ばいばーい、でね?加賀さんったら、またわけわかんない話をー」


暁(このまま会議室まで全力で走っていけば、五分で着くはず!まだ間に合う!いや間に合ってないけど!)タタタタッ

電「わっ!」ドシン

暁「え!?あぁ!!」ドシン

電「痛いのです…………あっ、寝坊の暁なのです」

響「おはよう。よく眠れたかい」

暁「ちょっとぉ!あんた達ねぇ!なんで起こしてくれなかったの!」


響「よだれまで垂らして安眠している子を、無理やり起こすなんて可哀想だったからさ」

暁「会議あるから起こしてって言ったでしょ!?」

響「いや、自分で起きなよ」

暁「朝は眠たいから起きれないのよぉっ!!」

響「そんなこと言われても」


電「時間通りに起床するのも、自己管理の一環なのです」

暁「う…………」

響「自分の事は自分でしないと、私達は新兵じゃないんだよ」

暁「ぐぎ…………」

電「朝寝坊なんて、本物のレディが聞いたら鼻で笑っちゃうのです」フッ

暁「あああああーーー!!!むかつくぅぅーーー!!!!」


暁「ずっと一緒に戦ってきた仲間でしょ!?ちょっとくらい世話焼いてくれたっていいじゃない!!」

響「じゃ、次からそうするよ」

電「電たちはこれから朝ごはんに行くのです。じゃ」

暁「この薄情者!人でなし!不良!毒舌!」

電「はいはい」

響「急がなくていいのかい?大遅刻だろう?」

暁「あんたに言われなくてもわかってるわよ!!」


暁「私も朝ごはんまだなのに…………」

響「電、今日の朝ごはんなんだろう」ニヤニヤ

電「たしか昨日のカレーの残りなのです」ニヤニヤ

響「それは楽しみだ」ニヤニヤ

電「楽しみなのです」ニヤニヤ

暁「腹立つ!!もう知らないっ!!腹でもこわせ!!」タタタタッ

響「じゃあね」

電「ファイトなのですー」


~鎮守府 会議室~


天龍「そこで、俺達が迂回して挟み撃ちってのはどうだ」

北上「時間かかりすぎ。その間にうちらの主力がおじゃんだよ」

長門「足の速い艦娘に任せてみてはどうだ。彼女らならば突破できるだろう」

加賀「しかし突破後が心配です。まともに攻撃を喰らってしまえば轟沈も考えられます」

龍驤「あー、あかんわ、煮詰まってきた。ちょっち休憩せんか?」

提督「そうしよう。龍田、お茶を…………」


バタン!


暁「だ、第六駆逐隊、暁!ただいまとうちゃく…………」

加賀「………」

長門「………」

天龍「おせえよ」

北上「あーあ」

暁「しました…………ごめんなさい…………」


提督「…………暁」

暁「……………はい……」

提督「龍驤の隣に座ってくれ。五分後に会議を再開する」

提督「君の意見を聞きたい。頼むぞ」

暁「は、はい!」

提督「龍田、暁にもお茶を」

龍田「わかりました~」


暁「ふぅ…………」ガタッ

龍驤「暁ぃ~遅刻はあかんで~」

暁「すみません………」

加賀「だらしがないですよ。気を引き締めていただかないと」

暁「はい…………」

北上「また寝坊ぉ~?あいかわらず朝弱いねぇ~私もだけどさ~」ケラケラ

天龍「ま、お前よかマシだろ。同室の大井の苦労がしれるぜ」

北上「いやぁ~照れるねぇ~」

長門「暁、ようかん食べるか」

暁「あっ、いいです」

長門「そうか………」


提督「暁、以後気をつけるように」

暁「はい………気をつけます………」

加賀「まったくです。いいですか、暁。早起きは三文の徳といってですね………」

龍田「みなさ~ん、お茶が入りましたよぉ~」

天龍「おっ、サンキュー!」

龍驤「ながもん、ようかんいらんならウチにちょーだいな」

長門「お前にはやらん」

龍驤「なんでやっ!?」

加賀「……………」

龍田「?なんですか~怖い目してますよ~」


天龍「そういや提督よ。あの話ってどういうことなんだ?」

暁「あの話?」

提督「D案件か」

天龍「そうそう、あの話はマジなのかよ」

提督「詳しい情報は開示されていない」

北上「提督って本部のお偉いさん方に嫌われてるもんね~」

龍驤「ちゃんと尻尾振っとかんとなぁ~、わんわん」

提督「本部が求めているのは愛玩犬であって、猟犬ではないらしい」

天龍「へっ、提督のジョークはつまんねえな」


暁「ちょっと待ってよ。D案件って何なの?私知らない………」

加賀「Dはドロップの頭文字。深海棲艦は轟沈すると、艦娘として生まれ変わり、そのまた逆も然り、というただの噂です」

暁「えっ、それほんとなの!?」

加賀「いくつか目撃例があるようですが、まだ噂の域を出ません」

長門「驚いたな。そんな話があったのか」

龍驤「ウチも初めて聞いたわ。そんなん見た事あらへんもん」


暁「も、もしそうだとしたら…………私達が倒してきた深海棲艦は……………」

龍驤「胸糞悪い話や、あっち!服にかかった!」

加賀「噂です。仮にそうだとしても、仕方のないこと」

加賀「敵に情けをかけると、こちらがやられてしまいます」

暁「そうだけど……………」

天龍「でもよ、ほら話つって一蹴するには、心当たりが多すぎねえか?」

加賀「どういうことですか」


天龍「あいつらの外見だよ。艦娘に似てる奴を見た事ねえか?」

天龍「俺はある。そんとき北上もいたよな」

北上「あ~ズイズイ姉妹に似てる奴らね。たしかにあの時はビビったねぇ」

天龍「そいつらだけじゃねえ。赤城やお前に似た奴も見た」

加賀「……私ですか」

天龍「ああ。他人の空似って言うには芸が細かかったぜ」

天龍「D案件ってのはあんがい本当の話かもな」

暁「……………」


長門「提督はどう思われるのだ」

提督「現状では判断しづらい。情報が少なすぎる」

提督「だが、仮に本当の話だとすれば、生まれ変わりの原理を突き止めることが出来さえすれば、沈んでも再び艦娘として蘇ることができるかもしれないな」

龍驤「ついに不老不死の時代やな」

提督「事はそう上手くは進んでくれないだろうが」

提督「……そろそろ会議を再開しよう。みんな、もう一度初めから考え直してくれ」

天龍「マジかよぉ、こりゃ長引くぜ」

加賀「暁、駆逐艦としての意見を聞かせてもらいたいわ」

暁「そうですね、このポイントで敵と交戦した場合は―――――」


……………

提督「今日はここまでにしよう。また明日、この時間に集まってくれ」

北上「うへぇ~もうお昼過ぎてんじゃん」

長門「明日は那智とゴーヤを呼んでみてはどうだろうか。重巡と潜水艦の意見も欲しい」

提督「そうしよう。伝えておく。以上だ、各自仕事に戻ってくれ」

龍驤「とりあえず飯や飯、加賀さんおごって~」ガタッ

加賀「お断りします」ガタッ

天龍「暁ぃ~明日は寝坊すんなよぉ~?」ガタッ

暁「し、しないったら!…………たぶん!」ガタッ


提督「暁、君は残ってくれ」

暁「えっ……………」

北上「こりゃ説教だね~」スタスタ

天龍「じゃ、頑張れよ~」スタスタ

暁「………………」


提督「暁」

暁「す」

提督「す?」

暁「すみませんでしたっ!!二度と遅刻しないので、お説教は程々にお願いしますっ!!」ガバッ

提督「はは、頭を下げる必要はないよ」

提督「説教の為に残した訳じゃない。君達、第六駆逐隊に頼みたいことがあるんだ」ゴソゴソ

龍田「提督~?タバコなら外で吸ってきてよ~?」

提督「一本だけだ、ダメか?」

龍田「………提督?」ニコッ

提督「ダメか。よそう」


暁「私達に頼みって?」

提督「ああ、近々、大和型戦艦一番艦、大和が着任することになってな。すこしばかり面倒を見てもらいたいんだ」

暁「ああ、大和ですか…………やまとっ!?大和って、あの大和ですか!?」

提督「波動砲を撃たない方の大和だ」

暁「さ、最高クラスの艦娘じゃないですか!む、無理です!無理無理!」

提督「ダメか?君達の練度なら、大和の実力にも劣らないと思うのだが」

暁「あの………戦艦だからとか、そういう理由じゃなくて…………性格の問題なんです」

提督「大和は温和な性格だと聞いている。特に問題はなさそうだが」

暁「こっち側に問題があるんです…………とくに第六駆逐隊の、あのふたりが………」


提督「電と響か?いい子たちじゃないか。よくやっている」

暁「あの二人の実力は認めますけど…………ひねまがりすぎなんです」

提督「まあ確かに、一般的な電、響の性格とはすこし変わっているな」

暁「大いに変わってますよ!電という艦娘が皮肉をぶっ放すことなんか無いでしょ!?普通なら、おどおどして健気で愛らしい艦娘なのに…………なんなんだウチの電は!!鬼か!!」

提督「まあ問題ないだろう」

暁「なんでそんなに楽観的なんですか!?ゆゆしき問題ですよ!どれだけ私が尋常じゃないストレスを奴らから受けているか………」


提督「大丈夫だ。君達になら任せられる。長年、共に戦ってきた戦友としての判断だ」

暁「うぐ」

提督「うまく戦場を切り抜ける術を君達はよく知っている。それを教えてやってほしい」

暁「………わかりました」

提督「うむ、頼んだぞ、三尉殿」

暁「……そういう仕事をすぐ私に回す。やっぱり階級なんて上げるものじゃないわ……」

提督「気にするな。階級は関係なく仕事は与える」

暁「………まったく。暁三尉、失礼します」


~鎮守府 食堂~


『やっぱりですねぇ、僕は問題あると思いますよ、艦娘。』

暁「………」モグモグ

『第一ねぇ、ちっさい女の子たちに武器を持たせても、ちゃんと戦えるかって話なんですよ』

電「響、何してるのです?」

『先日のねぇ、南アフリカ共和国に深海棲艦が攻撃してきた事件、あれ艦娘が出動してもどうにもならんかったでしょ?やっぱね、軍人は男じゃないとダメなんですよ』

響「スマホでネット」スッスッ


『でも松本さん。深海棲艦には艦娘じゃないと立ち向かえないって話ですよ』

『そこなんですよねぇ、うぅん』

暁「………」モグモグ

『あいつらに現代の兵器がまったく効かない訳じゃないんでしょ?だったらそっちをもっと使うべきやと思いますねぇ』

電「何見てるのです?」

『可哀想じゃないですか。艦娘の中には普通なら学校に通って遊んでる子だっているんでしょ?』

響「にちゃんねる」スッスッ


『おしゃれだってたくさんしたいだろうですし、それに――――』


――――――もっとたくさん色んな所に行ってみたいわ。

暁「………」




『やってるのは言い方はきついですけど殺し合いでしょ?それって――――』


――――――悲しいことよ。だって私達には感情があるもの。


『道徳的に間違ってると思いますけどねぇ、僕は。でもやっぱり―――――』


――――――戦わなくちゃいけないわ。私達より、もっと弱い人だっているもの。



――――――人類の為、だなんて大袈裟なこと言わないわ。私はみんなの為に戦うの。



――――――誰も憎まず、ただみんなのためを想って、たたかいつづける。



――――――でも、誰かを守るために、敵の命を奪わなきゃいけないって、それは、



『悲しいですよねぇ』



電「あかつきっ!」

暁「えっ?あっ、なに?」

電「なに?じゃないのです。はやくごはん食べてほしいのです」

暁「ご、ごめん。テレビに夢中になってて………」

電「もう、暁はいつまでもたってもお子ちゃまなのです」


電「そんなに面白いですか?ただのワイドショー番組なのです」

暁「いや、ほら、私達について話してたから、ちょっと興味あるじゃない?」

電「ふん、電は興味ないのです。どうせ知ったかぶりした中年共が、偉そうに批判しているだけなのです」

暁「そうかな、共感できる部分もありそうだけど」

電「無いのです!」バンッ

暁「ボルテージ上がりすぎでしょ……そんなに嫌いなの?」


電「嫌いなのです。ああいう風に自分は分かってる、みたいに振る舞う奴は虫が好かないのです。見ててむかつくのです」

暁「すんごい怒ってる」

電「ぷんすか!」

暁「ちょっと!真似しないでよ!」

響「多いけどね、そういう人間って」スッスッ


響「特にネットなんかじゃそういう人達が溢れてるよ。偉そうに語ったり、簡単に人を馬鹿にしたりね。ほら、見てみなよ」スッ

暁「うわっ………すごいこと書いてあるわね」

電「ゴミだめのそれに近いのです」

響「匿名だから何でも書けるのさ。心無いことだってね。これが人間」

暁「でも、それってネットの中だけでしょ?現実とネットを一緒に考えちゃダメなんじゃない?」

響「暁のネットリテラシーの質は鳳翔さんと一緒だね」

暁「それってもしかしてバカにしてる………?」


響「そりゃあ、ネットで書くようなことを現実で発言したりしないさ」

響「でもそれって、自分の立場が危うくなるから言わないだけであって、現実の自分が倫理観をしっかり持っている訳じゃない」

響「現実とネットは区別すべきだよ。でも、ネットも現実なんだ」

響「ここに書いてあることは、その人の本性なんだよ」


電「さすがネット弁慶の響なのです」

響「うるさいな」

暁「そんなことないと思うけどな。人ってもっと優しい生き物だと思うし」

響「ネットに浸かると、人間はゴミクズなんだなって洗脳されるよ」スッスッ

暁「私、調べものするときくらいしか使わないしなぁ」

電「しゃべってないではやく食べるのです!おそいのです!」


暁「食事くらいゆっくりさせてよ、もう」モグモグ

『私はいいと思いますけどね、艦娘』

『ロリコンやな!お前!』

『ちが、違いますよぉ~!』ワハハ

『まあ、海の事は彼女らにまかせるしかないですけどねぇ』


――――――私がいるじゃない!もーっと頼ってもいいのよ!


暁「……………」モグモグ


……………

~鎮守府 外~

暁「あーお腹いっぱいで眠くなってきちゃった」テクテク

電「電も眠いのです。どこかでお昼寝するのです」テクテク

響「いいね。私も眠い」テクテク

暁「装備のチェックが済んだらね」

「あ!ちょっとよろしいですか?わたくし、雑誌の記者なんですけども」


「艦娘の記事をのせようと思いまして、いくつか聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」

暁「あ、あの、急いでますので」

「少しだけですから!えー、艦娘のみなさんは海でご活躍なされているだけでなく、ネット上でも熱狂的なファンが多いとのことですが、それについて何か一言」

暁「すみません、仕事がありますので」

「まあまあ、いいじゃないですか少しくらい。私らに比べたらそれほど生活に苦労している訳じゃないでしょ?」

暁「でも………」


電「あー」

電「ブンブン、ブンブン、子蠅がうっとおしいのです。殺虫剤を持っておけばよかったのです」

「な、なんだと!?艦娘はそんな口の利き方をするんですか!?」

響「君、許可証を見せてくれ」

「きょ、許可証?」

響「鎮守府内をうろつくためには許可証の発行が必要なんだ。もちろん持っているよね」

響「さあ、見せてくれ。不法侵入者は厳罰に処さなければいけないからね」

「………お忙しいようですので、わたくしはこれで。今日の事はすべて記事に書かせてもらいますので…………チッ」スタスタ


暁「ふう………」

響「ダメだよ暁。ああいうのに構っちゃ」

暁「でも…………あの人だって、仕事のために来たわけだから、あんまり邪険に扱うのはどうかな、って」

電「他人を食い物にしてお金を稼ぐ仕事なんて滅びればいいのです。こっちの気も知らないで」

暁「そうしなければ食べ物を買うお金さえ稼げないのかもしれないわ。私達は支給品があるから生きていく分には困らないけど………」

暁「すこし嫌な気持ちになるくらいで済むなら、インタビュー受ければよかったかな……」


響「お人よしだね、暁は。そんなんじゃ人生苦労しっぱなしだよ」

電「他人の悩みは、他人の悩み。自分ひとりの悩みと闘うのに精一杯なのに、ふたりぶんも背負っちゃったら潰れちゃうのです」

暁「だから自分の事だけ考えて、他の人の事は見て見ぬふりをしろっていうの?」

暁「そんなの、悲しいじゃない」

響「……………そうか、誰かに似てると思っていたけど、わかった」


響「暁を見てると、雷を思い出すよ」

暁「!」

響「真似してるのかい?」

暁「ちがっ…………」

響「………誰かの真似をして生きるのは、やめておいたほうがいい」

響「沈んだじゃないか、雷は」

暁「……………」

響「私達はヒーローなんかじゃないんだ」


暁「……………ごめん」

響「……………いや、私も言い過ぎた。あやまるよ」

電「こんな時はぐっすり眠るに限るのです。嫌な事は眠って忘れればいいのです」

響「…………そうだね、はやく点検を終わらせようよ」

暁「……………うん」

電「今日は電が上のベッドで寝るのです」スタスタ

響「なんだって?電の番は明日だろう。今日は私の日さ」スタスタ

暁「……………」スタスタ


…………………………

暁『ぐすっ、ぐすっ』グスグス

雷『あーかつきっ!こんなところにいた!探したのよ?』

暁『いかずち……………』グスグス

雷『元気ないわねぇ、そんなんじゃダメよぉ。ほら、元気出して、ねっ?』ナデナデ

暁『うぅっ………ぐすっ』


雷『よしよーし、いい子、いい子』ナデナデ

暁『いかずちは………戦うの、こわくないの………?』

雷『うーん、そうねぇ。私は海を走るの好きだから、あんまり怖くないわ』

暁『わたし…………こわい………………』

雷『大丈夫よ、みんなついてるのもの。絶対に沈んだりなんかしないわ』

暁『ちがう……………そうじゃない…………』


暁『戦って………誰かを殺してしまうのが…………こわいの…………』

暁『深海棲艦にも………家族がいるかもしれない………私達と同じように暮らしてるかもしれない…………』

暁『戦って………殺して…………恨んで、恨まれて……………』

暁『そんなのイヤだよ…………私、戦いたくなんてない…………』

雷『………………』


雷『暁、おいで』

暁『うぅっ………』

雷『よしよし…………怖いわよね、誰かを傷つけるって』ギュウ

暁『うん…………』

雷『でも戦わないと、みんながやられちゃうわ。だからこっちも撃たなきゃいけないの』ナデナデ

暁『そんなの…………悲しいよ………………』

雷『悲しいわよね。戦場で散っていくのは、ひとりの命なんだから』ナデナデ


雷『殺し合うって、実は当たり前のことなのかもしれないわ。動物だって、生きていくためにほかの生き物の命を奪うもの』ナデナデ

雷『それが世界のことわりなのかもしれないわね』ナデナデ

雷『でも』

雷『私達には感情があるわ』ナデナデ

暁『感情…………?』


雷『そうよ。感情があるから、誰かを守りたい、戦いたくない、殺したくない』ナデナデ

雷『逆に、殺してやるーっ、てなっちゃうんだろうね』ナデナデ

暁『………………』

雷『戦いの後の、むなしさも、きっと感情があるからよ』ナデナデ


雷『だから私、決めたの!もう誰も恨まないって!』

暁『え……………?』

雷『仲間が沈んでも、敵を恨まない』

雷『それは仲間の死を無視するってことじゃないのよ?乗り越えるの!』

雷『そうやって戦い続けていれば、いつか終わりが訪れるはず!』

雷『怨念返しは、もう終わりにしたの!』


暁『いかずち……………』

雷『えへへ、ちょっとおかしかったかしら』

暁『…………ううん、おかしくない。全然おかしくない!』

暁『かっこいいよ!雷!』

暁『私、あなたみたいになりたい!あなたみたいに優しくなりたい!』

暁『私、変わるよ!雷!』


雷『うふふ、元気になったね!じゃあそろそろ帰ろ!みんな待ってるわ!』

暁『うん!』

雷『暁、もーっと私に頼ってもいいのよ!』スタスタ

暁『こ、これからは一人でがんばるもん!』スタスタ

雷『あはは!』スタスタ

暁『ふふふ』スタスタ


~鎮守府 駆逐寮~



暁「雷!!」ガバッ



電「すぅ…………すぅ……………」

暁「あっ……………」

暁「ゆめ、だったんだ……………」

暁「…………………雷」


響「………んん、どうしたんだい…………こんな夜中に大声あげて…………」モゾ

暁「………なんでもないわ。ごめんね、起こしちゃって」

響「構わない…………何かあったら起こしてくれ……………じゃ、おやすみ…………」モゾモゾ

暁「おやすみ…………」

暁「…………………」

響「すー…………すー……………」


ガチャ………



~鎮守府 船着き場~


ザァン………ザァン…………

暁(雷と話した場所も、ちょうどここだったなぁ)

暁(あの頃から十三年経ったんだ。私もずいぶん長生きしてるなぁ)

暁(雷、戦いはまだまだ終わりそうもないわ)

暁(恨んで、恨まれて。撃って、撃たれて。いつになったら終わるんだろうね)


ザァン………ザァン…………

暁(私なりに頑張ってきたつもりだけど、もう挫けちゃいそう)

暁(いろんな仲間達が沈むたびに、あなたの言葉を思い出して、湧き上がる殺意を必死に抑えてきたんだけど、世の中は何も変わらないよ)

暁(私ひとりが頑張っても、どうしようもなかった)

暁(人の感情に、私の感情に、飲み込まれて押しつぶされちゃいそうになる)


暁(ねえ、雷。私、どうしたらいいんだろう)

暁(世界は変わらない、って言葉で片づけちゃえば)

暁(楽になれるのかな)


ザァン…………ザァン……………


ザァ………………


暁(…………また雨)



暁(あなたが沈んでしまったときと、同じ雨)



ザァァァ…………………







ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ





……………………………




ザァァァァァァァァァァァ……………


~鎮守府 司令部~


提督「状況は!」タタタッ

大淀「大和輸送隊、レ級を含む大型深海棲艦に現在包囲されています!!」

提督「ここから出撃して何分で着く?」

大淀「二十分はかかります!」

提督「出せるチームはすべて出せ!なんとしても輸送隊を救い出す!」

大淀「了解!」


長門「提督、私も出よう」

提督「頼む」

長門「ああ。………長門だ、全員隊員を集めろ。ああ、完全武装だ、すぐに行く」タタタッ

大淀「天龍隊、および川内隊、出撃しました!」

提督「わかった」

提督「………しかしなぜだ。なぜ襲われる。内陸に沿って進んできたはずだぞ」

提督「大和輸送作戦は一部の者たちにしか知られていない極秘作戦のはずだぞ………なぜだ」

提督「……………………まさか、いや、しかし」


大淀「遠征任務中の第六駆逐隊と通信繋がりました!現場に五分で到着できるそうです!」

提督「荷物はすべて破棄させ、向かわせろ」

大淀「了解!………暁さん、荷物をすべて棄てて、はい、そうです、なるべく早く………」

提督「………………」



~海 襲撃地点~

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


モグモグ

青葉「わ、われあおば…………最期に………決死の記録をとっています………」カキカキ

モグモグ

青葉「ゆ、輸送作戦中に………深海棲艦に襲撃され…………わ、我々は………」カキカキ

「――――」ブランブラン

レ級「オイシイナァ」モグモグ

青葉「わ、われわれはっ……………し、しんでしまいますっ………………」ガタガタ


レ級「コイツ、オッキクテ食ベヤスイ」モグモグ

漣「や、やまとさんっ……………」ガタガタ

朧「……………」ボーッ

曙「潮っ!目を開けて!潮ぉっ!」

潮「………」

青葉「ヒィッ…………」ガタガタ


雷「……………」


青葉「きっ、きろく、を………………」ガタガタ

青葉「レ級が大和さんを捕食…………ほかの深海棲艦は、ま、まだ襲ってこない……理由は不明」カキカキ

青葉「て、敵の目的が、大和さんの撃破だった場合は…………わ、わたしたちは、助かる…………かも…………」カキカキ

レ級「アッ、ソウダ」


レ級「オ前ラ、暇ダロ」

ル級ら「……………」

青葉「な、なにやら…………会話をしている………………」カキカキ

レ級「残リノ奴ラ、喰ッテイイゾ」

ル級「!」ザァッ

青葉「あ、はは…………食べられるんだ……………」ガタガタ


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

漣「わああぁぁぁぁぁ!!!放して!!放してください!!!やめてください!!!」

朧「…………うっ」ボーッ

曙「やめてよぉ!!!あっちいってぇぇぇええーーー!!!!!!」

青葉「あぁぁぁ……………あははは…………」


ル級「…」アーン

雷「ねえ?深海棲艦さん」

ル級「?」

雷「ほら、あそこみて」

ル級「………?」キョロキョロ

雷「逃げた方がいいんじゃない?」


ドゴォォォォオオオン

ル級「ギャアアァァァァーー!!!!!」

青葉「へっ…………?」

レ級「ナンダヨ」



暁「上手いよ!響!」ザァァッ

響「当然さ」ザァァッ

青葉「くちく、艦?」

雷「………ふふ」


暁「電、右の二隻!出来るだけ味方から引き離して!」ザァァッ

雷「了解なのです」ザァァッ

暁「響はあのル級を!援軍が来るまでの時間稼ぎでいい!」ザァァッ

響「まかせてもらおう」ザァァッ

暁「私はレ級を………ッ!!」ザァァッ


レ級「アァッ?駆逐艦?タダノ雑魚ジャンカ」

青葉「えんぐん………?でも………駆逐艦三隻じゃ…………」

レ級「オイ、行ケ」

ル級「アアアァァァーーー!!!!」ザァァッ


リ級「ギィィィィィ!!!!」ザァァッ

電「ギャーギャーうるさいのです」ザァァッ

電「魚人は深海へ帰るのです」ドンッ ドンッ


ル級「オノレェェェエエーー!!!!」ザァァッ

響「すぅー……………はぁー……………」ガチャ

響「ここだ」ドンッ


暁「武器さえ潰せば………ッ!!」ザァァッ

レ級「アァッ?私ト戦ウツモリカヨ。オモシロイナァ」

レ級「チョウド、デザートガ欲シカッタ所ナンダ」

チ級「ギャイイイイィィィィー!!!」ザァァッ

レ級「ア、オイ。マ、イイヤ」


チ級「アアアァァァァー!!!」バシュンバシュンバシュン

暁「…………魚雷ぐらいっ!」ザァァッ

ドォンッ ドォンッ ドォンッ

チ級「アア!?ゼンブヨケ……」ゾッ

暁「そこだ!」ドンッ

チ級「ギャイ!?」ドォン

暁「もうあなたの武器はなくなった!!帰れよッ!!」


青葉「え…………?えっ、えっ?」キョロキョロ

青葉「全部避け………?えっ?あの、人、武器だけを狙ってる?」

雷「………」

レ級「使エナイ奴、マ、イイカ」ユラ

レ級「オ前、オモシロソウダナァ」ニタァ

暁「あいては超弩級…………どうするっ…………どうやって倒すっ………!」ザァァッ


レ級「モウコイツイイヤ」ペッ

「―――――」ベチャ

暁「!?…………お前ぇっ………!」ゾワァ

レ級「アア、モウ食ベチャッタ」ニタァ

暁「………お前だけは、許さないぞっ!!」


レ級「アハァ!」バギュンッ

暁「うっ!………とにかく、ここを離れないと!」ザァァッ

レ級「アハハァ、マテマテェ~」ザァァッ

青葉「うぅっ…………なんなのっ………?なんなのあの人たち…………」

青葉「まるで…………化け物じゃない…………」


レ級「スゴイナァ!オ前ェ!全然当タラナイヤァ!!」バギュンバギュン

暁「このままじゃ……っ!!あぶなっ!!………追いつかれる!!」ザァァッ

レ級「楽シイ、楽シイ!!モット遊ボウヨォ!!!」ザァァッ

暁「遊びじゃないッ!!」ドンッ


レ級「私ニトッテハ、遊ビ場ナンダヨ!!ココハサァ!!!」バシュン

暁「人が死ぬのよ!!」ザァァッ

レ級「ドウデモイイネ!!他ノ奴ナンテ知ッタコトカァ!!」ザァァッ ガシッ

暁「しまっ!!あぁっ!!」グイィ

レ級「ツカマエタァ………イヒィ」ニタァ


暁「このっ…………!」グググ

レ級「イイヨナァ………殺シ合イッテサァ…………生キテルッテ、コウイウコトナンダナァ」グググ

暁「もっと他の生き方があるっ………!こんなの、間違った生き方よ………!」グググ

レ級「生キ方ニ間違イナンテ、ネエダロウ?」グググ

レ級「オ前ノ勝手ナ偽善ヲ、押シ付ケナイデクレヨ………」グググ

暁「偽善ですって…………!?」グググ


レ級「ソウサァ偽善ダヨ、誰モ間違ッチャイネエンダ。ナノニ、オ前タチハ私達ヲマルデ害虫ミタイニ扱イヤガル」グググ

レ級「嫌ナ気分ニナルゼ。恨ンデ、恨マレテ、殺シテ、殺サレテ、ソレノ何ガ悪イ?ソウイウモンダロ、生キ物ッテノハサァ」グググ

暁「ちがうっ………!ちがうっ!!」グググ

レ級「ナノニ人間ッテノハ面倒クセエヨナァ。手前勝手ナ理由ヲ押シ付ケテ、道徳ダ、倫理ダト、ホザキヤガル。ソンナモン、人間ガ勝手ニ作ッタダケナノニ」グググ

暁「ちがうぅっ!!人は、人はより良くなるために道徳を持ったんだ!」グググ


レ級「アハハァ、オ前ヲ見テルト、昔ノ私ヲ思イ出ス。艦娘ダッタ頃ノ私ヲ」グググ

暁「なにをっ………!?でぃ、D案件…………!?」グググ

レ級「正義ノ為ニ戦ウッテノハ、気分ガイイモンナァ。ワカルヨ。デモサァ、正義ッテ一体何ダロウナァ」グググ

レ級「私ニハ分カラナカッタ。デモ、イマニナッテヨウヤク分カッタヨ」グググ

レ級「正義ッテノハ、自分ノ身を守ル為ノ、都合ノイイ言葉ダッテナァァ!」グググ バキッ

暁「あうぅっ!」ググ……


レ級「ニンゲンナンテ守ッテヤル価値ハネエンダヨォ!オ前モ本当ハソウ思ッテルンダロ!!」グググググ

暁「ちがうっ………いい所だってある………っ」ググ……

レ級「悪ガ勝ルノガ、ニンゲンダロウ!イイ加減、綺麗事バッカリイッテナイデサァ、モットヨクミテミナヨ!」グググググ

レ級「ソシテ、オ前モ私達ノ仲間ニナレ!!一緒ニ、ニンゲンヲ滅ボソウ!!ナッ!!」グググググ

レ級「レディニナンカ、ナレヤシネエンダ!!オ前モ、私モサァ!!!」グググググ

レ級「世界ハ変ワラネエンダヨォ!!!」グググググ

レ級「ダカラ、ココデ沈メ!!アカツキィィィイ!!!!!」ガチャッ


バゴォォォオオン

レ級「ウガァァ!!イッテエナア!!」ガバッ

響「外したか。もう一撃」ジャコン

レ級「邪魔スンナヨォォオオ!!!!」ガチャン

電「取り巻きは全員倒しました。後はあなただけなのです」ドンッドンッドンッ

レ級「ガァァッ!!!クソッ!!モウ一匹イタカ!!」ドォン


電「暁!手を!」バッ

暁「う、うん……」ギュッ

電「響、援護を」ザァァッ

響「ああ」ドンッ ドンッ

レ級「ウゥゥゥ………アト一歩、アト一歩ダッタノニ…………」チュイン チュイン

レ級「シクジッタ……………」ザァァッ


響「逃げていく、終わったね」カチャ…

電「右腕が折れているのです。連装砲を外します」ガチャガチャ

暁「ごめん………ドジっちゃった………」

電「すこし痛みますよ」ガチャン!

暁「あぐっ!…………ふぅ………ふぅ………」


電「もうすぐ天龍隊と川内隊が到着するのです。もうすこしの辛抱なのです」

暁「わたしはっ…………平気よっ…………あっ………ふぅ…………」

電「あえぎ声漏らしながら言われても説得力無いのです。誰か包帯を………」

雷「私のをつかって」

暁「………!……………いか……ずち………ふぅ…………ふぅ………」

雷「輸送隊メンバーの雷よ。助けてくれてありがとう、はい、どうぞ」

電「あ………え、えぇ…………ありがとう………なのです………」

響「………………」


バシッ…………ドゴッ…………オマエガァ!………

響「……………あれ、どうしようか」

電「………仕留めそこなったのです」

暁「………?」

電「暁、見ちゃダメなのです」スッ

暁「手を…………どけてよ………………」

電「…………」

暁「おねがい…………どけて……………」

電「………わかりました」スゥッ


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


曙「お前がぁッ!!お前が潮を殺したんだァ!!!」バキッ

リ級「イダイ!イダイデス!」ブルブル

朧「うぅっ!!ああっ!!」ドゴッ

リ級「アギャ!!ゴメンナサイ!!ゴメンナサイ!!」ブルブル

曙「お前らさえいなければァ!!ううああああ!!!!」ドガッ


漣「うわぁぁぁああん!!!!ああぁぁぁぁん!!!!!」ボロボロ

潮「――――」

青葉「あぁ…………あっ…………ゴホッ………」



暁「あれは…………………昔の……………」

電「………彼女たちがやっていることは、雷が沈んだ時の、私達と同じことなのです」

響「……………」


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


曙「返せ!!潮を返せよぉぉ!!!」バギッ

リ級「ヒギィ!!ゴメンナサイ!!ゴメンナサイ!!」ブルブル

朧「ああっ!!!あああっ!!!」ドゴッ

リ級「アギャ!ユルシテ、ユルシテクダサイ!!」

青葉「や、止めましょうよ…………ひ、ひどいじゃないですか…………」

曙「うるさいっ!!!」

青葉「ヒッ………」


曙「こいつは潮を殺したのよ!!!こうなって当然なのよ!!!」

リ級「ヒィィ…………タ、タスケテ…………」ブルブル

朧「あなたがっ…………あなたが言わないでよっ!!!潮ちゃんを殺したくせに!!」

リ級「ヒィ!!」ガタガタ

青葉「で、でも………これじゃ………リンチじゃないですか………」

曙「それの何がいけないのよ………!!」


漣「ああああぁぁぁぁん!!!うしおぉ、うしおぉ」ボロボロ

曙「私達はずっと一緒だったのに………家族だったのに…………それをこいつが、潮を奪ったんだ!!!」

曙「死んで当然なのよぉ!!!」

青葉「あぅ………………あぁ…………」


響「……………ねえ、君」

曙「なんですかっ!?あなたも止める気ですか!?」

響「……………いや……………ひとつ聞きたいことがあるんだ……………」

響「……………気は晴れるのかい?……………今後、一生さ…………」

曙「うぅっ、し、知りませんよそんなのっ!!!どうでもいいんです!!!」

曙「いまぁ!!ここでこうしないとダメなんです!!!」

曙「じゃないと私の、この感情は、どうすればいいんですかっ!!!」

響「……………ごめん」


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


暁(また雨)

リ級「ゴメンナサイ………ユルシテクダサイ……………モウシマセン…………」ブルブル

暁(またあの時と同じ)

リ級「タスケテクダサイ……………アッ!ニ、ニンゲン、スゴイ!ニンゲン!カッコイイ!エヘヘ」ブルブル

暁(私もまた、変わっていなかった)


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

リ級「バ、バンザイ!ニンゲン、バンザイ!ス、スバラシイ、ニンゲンサマ!」ブルブル

リ級「ニンゲンサマ、イイヒト!ワ、ワタシタチ、ダメ」ブルブル

リ級「ニンゲンサマ、ツヨイ!ワタシタチ、ヨワイネ、ネ?」ブルブル

リ級「…………キ、キ~ミ~ガァ~、ヨ~オ~ワ~…………」ブルブル

リ級「…………チ~ヨ~ニィ~………ヤ~チヨニ……………」ブルブル

リ級「……………………タスケテクダサイ…………タスケテクダサイ…………」ボロボロ


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


朧「殺す」ジャコン

リ級「!?ヤァァァァァ!!」バタバタ

曙「私が抑えておくから、しっかり頭を狙ってよね」ガシッ

朧「うん」ヂャキ

リ級「アアァァッアッアッ!!!オネガイシマス、タスケテクダサイ!!」バタバタ


暁(世界は変わらない、憎しみは消えない)

電「…………………頭が痛いのです」

響「………………………向こうに行こう」

雷「…………」

青葉「と、止めてください!!おねがいします!!こんなの間違ってますよ!!」

電「…………………ごめんなさい」

青葉「そんなぁ…………ひどいじゃないですか!!あんな残酷な殺しをさせるんですかぁ!!」

響「じゃあ君が止めてくればいいじゃないか!!!なんでも私達に頼るな!!!」

青葉「あっ…………………」


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


暁(変わらない。それで片づけてしまえば、こんなにも楽になれるんだ)


朧「………ぅぅぅぅう…………うぅぅ…………」プルプル


暁(悩まなくていいんだ。どうせ変わらないんだから、仕方ない)


曙「朧!撃って!!」


暁(そんなものだ。ニンゲンなんて)



朧「………………!?」

暁「ハァッ……………ハァッ……………」

電「………暁…………?」

暁「ハァッ……………ハァッ……………」ポチャ ポチャ


ガバッ



暁(それでも、)


リ級「ヘ……………?」

曙「どいてください!!こいつを庇うんですか!?」

朧「……………あぁぁ…………あぁ…………」ガタガタ

暁「………………聞きなさい」



暁(絶望するには、まだ早い気がする)




暁「撃つなら私を撃ちなさい」


暁「すべての憎しみを込めて撃ちなさい。もう二度と、誰かを恨むことの無いように」


電「………あっ…………」

曙「どいてくださいよぉ!!!」

朧「……………ああああ…………」ガタガタ



暁「憎しみではじめた戦いは、誰かを憎しみ終えるまで、終わらない」


暁「それはきっと、人も、深海棲艦も、いっしょ」


リ級「ア………………」

電「………あの時の…………」



暁「だったら」



暁「だったらぁ!!」



暁「そんな哀しさが広がる前に、ここで終わらせて!!!」





暁「怨念返しは、もうたくさんよぉ!!!」



曙「はぁっ………はぁっ……………撃って、撃て!!朧ぉ!!!」

朧「あぁぁ……………」ガタガタ

曙「この人ごと、撃てぇぇぇ!!!!」

朧「…………いやだ…………」

朧「いやだ………………撃てない……………もういやだ!!」

朧「こんなの何にもならないよぉ!!やだぁぁあ!!!!」ボロボロ

曙「朧っ…………あんたっ……………!!」


曙「こんなの」

曙「こんなのただの綺麗事じゃない!!何も変わらない!!何も変わらない!!」

曙「撃って!!撃ってよぉ!!はやく撃って終わらせてよぉぉ!!!」

曙「もう、もうやだぁ!!」

曙「もうやだぁぁぁああ!!!!こんな世界ぃぃぃいい!!!!!!」ボロボロ


曙「もういやだぁぁぁぁあああーーー!!!!!!」ボロボロ


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


暁「ハァッ……………ハァッ……………」チラ


雷「…………」


暁「ハァッ……………ハッ……………」


暁「―――――」


ドサッ



ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


―――暁っ!――――かつき―――――――





ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


――――どうした!?――――川内!はやく運ぶぞ!!――――




ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


――――いそげ!!―――――――やくぅ!!!――――――





――――つき!―――――き!―――――――――!――――――






ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…………………









【艦これ】 暁「暁の水平線へ」 後編につづく。

お手数をおかけして本当に申し訳ございません。

どうか私の我儘にお付き合いください。本当に申し訳ございません。

俺「ああ…すごく気持ちいいよ、富美男」

富美男が俺のものを、そのごわごわとした手で優しく包み込む。
程良い締め付けと心地良い温もりで、思わず口元が緩んでしまう。

梅沢富美男「バカ野郎が……こういうのはどうだ?チロチロ…」

俺「うぁ…くっ…!!」

富美男が悪戯に亀頭の先端をチロチロと弄ぶ。屈強そうな外見には似つかわしくない、丁寧で繊細な舌使い。
あまりの気持ち良さに、射精感がぐぐぐっと高まるのを感じる。

梅沢富美男「…可愛い顔しやがるじゃあねえかこの野郎…そろそろ仕上げだ。ジュルジュル…ゴプッ!グポポ…ジュルジュルルル!グッポ!ブブブ…!」

俺「ひぁああ…!富美男!富美男ぉお!ぐっ…!!」

富美男が俺の股下で激しく上下する。俺のものはてらてらと光沢を帯び、上下運動を繰り返す度に富美男の唾液と俺の精液が混じり合った、ひどく性的な粘液が滴り落ちる。
限界までいきり立った俺のものは、欲望の全てを富美男の口内に解き放つ。

俺「ああはあっ…!!はあっ!はあ…はあっはあ……!富美男…富美男良かったよ…」

梅沢富美男「…ゴクンッ!……はあっはあっ…てめぇこの野郎!こんなにも一杯出しやがってバカ野郎…腹ん中パンパンじゃねえか…!!…まだ出したりねえよな?」

俺「…富美男には全てお見通しか。敵わないよ、お前には…」

梅沢富美男「当然だバカ野郎…ここからが本当の夢芝居だ」

俺と富美男は、夜が明けるまで、何度もなんどもお互いを求め合った。

梅沢富美男「てめぇこの野郎…手だけでもうこんなにも大きくなってるじゃねえか、ええ?」シコシコ……

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