王「勇者よ、頼んだぞ」勇者「いや僕半身不随なんで」 (21)

~王城~


大臣「王、本気ですか?いまさら占いなど...」

王「...」

大臣「お言葉ですが、我が国の現状をかえりみt」

王「10年だ」

大臣「て考え...は?」

王「10年探し続けてきたのだ、議論は不要!すぐに馬を用意しろ私が出る!」ギロリ

大臣「は、はっ!承知いたしました、失礼します」

バタバタ...バタン

王「...待っておるがいい、すぐに見つけ出してみせる」




~王都からほど近い村~


青年「あ、あの母さん、お手洗いに...」

母「...あぁ、そうかい」

青年「あ、あの、ごめん...」

母「...」

青年「ぁ...」

ドタドタドタ

バタンッ

父「おい!こ、国王陛下がいらっしゃった!お出迎えのために全員集まれとのことだ、急げ!」

母「...この子は?」

父「あー...今はほっとくしかない、行くぞ」

母「そ、じゃぁ行きましょ」

青年「あぁ、俺は大丈夫だy」

バタン

青年「よ...」

青年「...」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511269955

王「ここか、かの者がいる村は」

大臣「国民票を確認したところ条件と完全に合致した者はこの村におる者だけです」

王「ふっ、よし連れて来い」

大臣「はっ、村長はどこだ!」

村長「こ、こちらに!本日はわざわざ国王様自らご足労をいただき我々村民一同心よりの...」

王「御託はいい、この者を探している、すぐに連れてきてもらいたい」

村長「しょ、承知いたしまし...ぁ...」

大臣「どうしたのだ」

村長「あぁ~、その、ですね、この者は自力で動くことが困難でございまして...す、すぐ連れてきますので少々お待ち下さい!」

王「よい」

村長「へ!?」

王「案内せい」

村長「か、かしこまりました」






ガヤガヤガヤ

青年「ん?」

バタンッ

ザッザッザッザッ

青年「え...な、なに...」

王「ここか」

青年「!?」

大臣「ふぅ、随分狭い家ですな、おい護衛隊長、家の中に兵士はいらん外を警戒させなさい」

隊長「はっ!全員出ろ、4班に分かれて周囲を警戒する!」

兵士,s「「「はっ!」」」

ザッザッザッ

青年「ぇ...あ、あの...」

王「...ついに見つけたぞ」

青年「...?」

王「勇者よ!」

青年「えっ...え?」

―― 王説明中 ――

王「こうして10年の苦節の末ついにお前を見つけたというわけだ」

青年「いや、そんな...」

王「勇者よ、頼んだぞ」

青年「いや僕半身不随なんで...」

王「そうか...残念だ」

青年「」ホッ

王「こやつを連れていけ!」

兵士,s「「「はっ!」」」

ガシッ ズルズルズル

青年「そ、そんなっ!ちょっ、と、父さん!母さんっ!!」ジタバタ

兵士「おとなしくしろ、怪我をするぞ」

大臣「...さて、息子さんのことだが金貨100枚でいかがだろうかお父上殿?」

父「そ、そんな...金で息子を売るようなマネ...」

母「あなた...」

父「?」

母「私、もう疲れたわ...」

父「!」

青年「ぁ...」ピタッ

隊長「よし、馬車に積み込め!」

ザッザッザッザッ

父「ぁ...あぁ...」

母「...」

大臣「ふぅ...村の皆さんのご協力に感謝いたします!近いうちに王から褒美が賜れることでしょう!それではごきげんよう!」

村長「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」

ザッザッザッザッ

ザッザッザッザッ

青年「...」

ザッザッザッザッ

ザッザッザッザッ


~王城・謁見の間~

王「さて、勇者よ、さきほども説明したが君にはなんとしても魔王を倒してもらわなければならん」

青年「...」

王「君にしか魔王を倒すための武器が扱えんからだ」

青年「...」

王「どうかね?私としても手荒なことはしたくない、できればすすんで手を貸して欲しいのだが...」

青年「...」

大臣「王が尋ねていらっしゃるのだぞ!」

青年「!」ビクッ

王「まぁ待て、大臣」

青年「あ、あの...」

王「なんだ」

青年「武器を扱う、とおっしゃられましたが僕はさきほども言った通り自分で歩けません、とても武器を使って魔王を攻撃することなんて...」

王「それは君が気にすることではない」

青年「え...でも」

王「君は武器を握ってさえいればいいのだ、あとのことは私が既に考えてある、心配はない」

青年「そんな...と、というか魔王はもう滅ぼされたと聞きましたが」

王「ほぉ、あんな村に住んでおったくせに随分博識じゃないか」

青年「ほ、本を読んでいましたので」

王「魔王は死なんよ」

青年「え...?」

王「封印することができるだけだ、けして死にはしない、そして蘇るのだ」


青年「で、でも歴史書には魔王が蘇ったなんていう記述はどこにも...」

王「誰にでも読むことのできるような歴史書に真実が記されていると考えるのは危険なことだ」

青年「いや...で、でも」

王「この500年間、我ら王家が秘密裏に封印し続けてきたのだ、魔王が蘇った瞬間を狙いもう一度封印しなおすことでな」

青年「そr」

王「君がこの役目を断れば、数えきれないほどの人が死ぬことになるぞ」

青年「そんな...」

王「君は選ばれたのだ、君にしかできないことだ」

青年「ぼ、僕に、しか...」

王「そうだ、考えてみるんだ、今ここで『魔王封印に協力する』と言うだけで君の人生は途端に燦然と輝き始める」

青年「あ...」

王「その体では随分と疎まれ続けてきただろう?自分の人生に意味などないと、そう思い続けてきただろう?」

青年「!」

王「しかし君は選ばれし者だった!君がこれから行うことは多くの人々の命を救い、君は英雄となる!」

青年「え、英雄」

王「これは君が自分の存在価値を見出す最後のチャンスだ、最後の、な」

青年「...」

王「さぁどうする、力を貸してくれるか?」

青年「...」

王「...」

青年「分かり、ました」

王「...!」

青年「魔王封印に、協力します」

王「...歓迎するぞ、勇者よ、よろしく頼む」スッ

勇者「はい、よ、よろしくお願いします」ギュッ


王「さて勇者よ、君には早速出発してもらわなくてはいけない」

勇者「え、す、すぐですか?」

王「そうだ、魔王が蘇るまでそう猶予がないのでな」

勇者「わ、分かりました」

王「とはいえ軍団を引き連れていくわけにもいかない、あまり目立ってしまっては魔王の残党どもに気取られ防御を固められてしまう」

勇者「なるほど...」

王「というわけで既に君を魔王の元へ連れていくための部隊が用意されている」

コンコン

王「はいれ」

戦士「失礼します」

王「勇者よ、彼女が君の世話係兼護衛の戦士だ、道中は彼女の指示に従ってもらいたい」

戦士「勇者様、ご一緒できて光栄です、よろしくお願いします」

勇者「こちらこそ、よろしくお願いします」

戦士「では背に背負って運ばせていただきます」ヒョイッ

勇者「はい」

王「さらばだ勇者よ、君の進む道に光あれ」

勇者「行って参ります」

ギギィ バタン

王「光あれ...光あれ」


ザッザッザッザッ

ザッザッザッザッ

ザッ

ブスリ

青年「いっ!?」

戦士「...起きましたか」

青年「え、い、今のなに...」

戦士「すみません、お声をおかけしてもまったく起きて頂けなかったので私の剣で少々」シャキン

青年「ひっ...」

戦士「冗談です」

青年「あ、な、なんだびっくりしt」

戦士「で、起きましたか?」

青年「...え?」

戦士「術は解けたかと聞いているのです」

青年「!」

戦士「...大丈夫そうですね」

青年「そ、そうだ、なんで僕」

戦士「時間がありませんので手短に説明させていただきます、あなたはもう既に契約を交わし寸分の狂いもなく強固に敷かれたレールの上を走りだしました、止まることはできません」

青年「え、な、なに?」

戦士「これから先なにがあろうとも私の指示に従うと約束してください、従わなければあなたは死にます」

青年「わ、分かった...」

戦士「ではこれからいいというまであなたは私語禁止です、ひたすら黙って背負われ続けていてください」

青年「...」コクコク

戦士「すばらしい、では改めてこれからよろしくお願いしますね、勇者様」スッ

勇者「...」

戦士「...?」

勇者「...」ギュッ



~魔王城前~

部隊長「到着だ、各自野営の準備を行え、明日城内へ突入し封印の儀を終わらせる」

部隊員,s「「「はっ!」」」

ガヤガヤガヤ



青年「...」

戦士「よし、ここならいいでしょう、喋ってもいいですよ」

青年「っ...ぁ...げほっげほっ、やっと、喋れるのか」

戦士「えぇ、大丈夫です」

青年「て、てか着いちゃいましたけど...」

戦士「着いちゃいましたね」

青年「ど、どうすればいいんです...?」

戦士「ご心配なく、魔王との戦闘は起きませんから」

青年「いや、でも魔王が復活した瞬間を狙ってもう一度封印するとかなんとか...」

戦士「そうですね、予定ではそうなるはずですね」

青年「?」

戦士「しかし魔王はもう復活しません、すでに殺されてしまっていますから」

青年「...え?」

戦士「そしてあなたは明日死にます、魔王と相討ちになった、という報告とともに」

青年「!?」




このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom