魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」 (32)

勇者「その魔王がまさか食に屈するとは、さぞ先代の魔王も浮かばれまい」

魔王「生憎だが、実は我が先代も密かに食に虜になっていたのだ」

勇者「お前らは血統からそうなのか」

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魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「さっき聞いたぞ」

魔王「食に屈するという評価を撤回させようと思ってな、まずは威厳を出す事にした」

勇者「威厳を出したところで、食に屈したという事実は変わるまい」

魔王「事実は変わらないが、外聞はねじ曲がるかもしれないだろう」

勇者「何と浅はかな魔王だ」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「私は、その一言を言う度にお前の威厳が失われている気がするのだが」

魔王「実は我が魔王軍の兵士達も食を大層気に入ってな」

勇者「なんだ、血統ではなく魔族自体が食狂いなのか」

魔王「特に竜族は現在、ハバネロ一気喰いに熱狂しておる」

勇者「ハバネロ一気喰いを勝手に人間の食の文化にするな」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「別のパターンはないのか」

魔王「ふと思ったのだが」

勇者「なんだ」

魔王「むしろ貴様が合いの手を入れるから、我の威厳は失われていくのではないか」

勇者「いや、最初から威厳なんぞ欠片もないが」

魔王「余計なお世話だ」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

魔王「やはり勇者が合いの手を入れぬと我により一層威厳があるように感じるな」

魔王「そうは思わんか、勇者よ」

魔王「…………」

魔王「…………」

魔王「………我が悪かった」

勇者「やめろ、謝るな気持ち悪い」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「知ってる」

魔王「ところで我はカツ丼ブームを経て、ある食べ物に虜になっておる」

勇者「ほう、今度は何だ」

魔王「我の角に似た西洋の菓子でな、『たけのこの里』というらしい」

勇者「やめろ、その話はするな」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「私こそは神に選ばれし者、勇者である」

魔王「真似をするな」

勇者「よくこんなこっぱずかしい言葉を堂々と言えるな」

魔王「愛していた者と別れ、のうのうと勇者稼業を続けている貴様には言われたくないな」

勇者「なぁお前、ところどころで私の失恋話をねじ込んでくるの本当にやめろ」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「ところで魔王」

魔王「なんだ勇者よ」

勇者「何故、お前はうどんを嫌うのだ」

魔王「うどんを食べていた時に見た光景が頭から離れんのだ……言って良いか?」

勇者「何を躊躇っている、とっとと話せ」

魔王「いやそのだな、うどんを食べている時に貴様の様子を水晶で見たら、たまたま貴様が愛する者とまぐわっている最中でな……」

勇者「貴様ァァァァァァ!!」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「…………」

魔王「……まぁそう拗ねるな、我もしっかり克服してうどんを食べるから、貴様も失恋を克服するのだ」

勇者「それで謝った気持ちに少しでもなっているのなら、今すぐ貴様を叩き斬るぞ」

魔王「まぁ、我はその後の失恋を見て大爆笑していた訳だがな」

勇者「魔王、今こそ決着をつける時だ」チャキ

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「この食狂い魔王が私より強いという事実に世界の理不尽を感じる」

魔王「最近豚小屋が汚れてきてな」

勇者「本当に魔王城に豚小屋を建設したのか」

魔王「いや、建設するのは時間の無駄だからな、中庭を囲んで豚小屋とした」

勇者「なんだ、つまり次に私が魔王の間に訪問する時には中庭から豚の鳴き声が聞こえるわけか」

魔王「たまに断末魔も聞こえるだろうな」

勇者「何の精神攻撃だ」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「一体何の箱だそれは」

魔王「竜族からの贈り物だ」

勇者「もう嫌な予感しかしないのだが」

魔王「いや、中を開けてみると沢山の肉まんが入っていてな」

勇者「ハバネロじゃないのか」

魔王「先ほど側近に毒味と称して食べさせたところ、予想通り火を吹いて倒れおったわ、はっはっは」

勇者「何を笑っているんだお前は」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

魔王「ところで勇者よ、物は相談なのだが」

勇者「何だ、藪から棒に」

魔王「嫌われてしまった部下に謝るにはどのような物を送ればよいのだ?」

勇者「そりゃもう、目の前でさっきの肉まんでも食べれば許してくれるだろう」

魔王「貴様……他人事だと思って……」

勇者「私にとっては他人事だからな」

魔王「……………」

勇者「おや、いつものアレはどうした」

魔王「……………」カキカキ

勇者「……ん、この紙を見ろということか」

魔王『我こそは魔を統べし王、魔王である』

勇者「ハバネロで喉が死んだとはいえ、これを筆談でするとは恐れ入る……」

魔王『我こそは魔を統べし王、魔王である』

勇者「筆談でいくのか』

魔王『今我は話せないからな』

勇者「自業自得だろう」

魔王『目の前で肉まんを5つ食べたら流石に側近も我を許してくれたぞ』

勇者「部下思いなのかそうでないのか分からんな」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「喉の調子が治ったのだな」

魔王「しばらくは地獄を見たがな」

勇者「魔王に地獄と言わしめるとは、ハバネロ恐るべしだな」

魔王「今すぐに火炎呪文で畑ごと焼き払ってやっても良いのだが」

勇者「ハバネロのせいで折角の和平条約を白紙にしようとするな」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「一体何度目だ」

魔王「数えてはおらぬ」

勇者「では聞くが、お前は何故この台詞を言い続けているのか覚えているか?」

魔王「当たり前だろう、貴様との早食い対決で負けたからだ」

勇者「私はそんなことをした覚えはない」

魔王「では、あの時のジャンケンに負けたからか」

勇者「これだけ毎回言っているのに、何故言い始めたのかは忘れたのか」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「何故言い始めたか思い出したか」

魔王「威厳を取り戻す為、であったな」

勇者「やっと思い出したか」

魔王「我は威厳が全く取り戻せた気がしないのだが、その辺はどうなのだ、勇者よ」

勇者「私に聞くな」

魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」

勇者「ところで魔王城にはお前以外に側近がいたな」

魔王「そうだな」

勇者「今は何をしているんだ」

魔王「私の代わりに魔王代理として頑張ってもらっている」

勇者「最低だな」

魔王「魔王だからな」

勇者「お前、魔王だからなといえばなんでも解決すると思っていないか?」

魔王「我こそは魔を統べる王、魔王である」

勇者「今日の夕食は何にする」

魔王「そうだな……久しぶりにピザはどうだ」

勇者「よし、ならば行きつけのピザ屋を教えてやろう」

魔王「貴様がいうのならば、それは大層美味いのであろうな」

勇者「当たり前だろう、食狂いのお前も満足させられるだろうよ」

魔王「だが、我は味にうるさいぞ」

魔王「何故なら我は世界の食べ物を食べ尽くす、魔王であるからな」

最後のレスというと21ですか?

そうなんですか、知りませんでした
自分としては短編スレをちょいちょい投稿して行きたいとおもってます

なんか良くわかんないんですけど、html化って申請しておいたほうがいいんですかね

ありがとうございます

かなりの初心者ですので、色々と教えて頂けると幸いです
今更ですが
魔王「食こそ人の生み出した最悪の発明。そうは思わんか、勇者よ」
魔王「食こそ人の生み出した最悪の発明。そうは思わんか、勇者よ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505564612/)
これの続編となっています

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