魔王「何してんのう」 (44)



魔王「ふむ、ついに勇者がわが城目指して旅立ちおったか」


火の魔人「ええ、そのようですな魔王さま」

水の魔人「魔王さまに逆らおうなどとは、笑止千番」

風の魔人「我ら四天王が、必ずや」

土の魔人「勇者の息の根を止めてごらんにいれましょう」

テュの魔人「全て我々にお任せください、魔王さま」



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魔王「おお、何と頼もしい。期待しておるぞ」


火の魔人「ははっ、なぁにたかだか人間ごとき」

水の魔人「魔王さまの手を煩わすまでもありません」

風の魔人「必ずや、我ら四天王が」

土の魔人「勇者を仕留めてみせましょう」

テュの魔人「我々の活躍にご期待ください、魔王さま」



魔王(・・・)


火の魔人「さぁーて、どうやって勇者を仕留めてやるか」

水の魔人「フフフ、火の魔人の技を食らえば勇者も真っ黒焦げですね」

風の魔人「ボクの真空波で、勇者をズタズタに切り裂り裂いてやる」

土の魔人「おうおう、勇者を仕留めるのはこの俺だ」

テュの魔人「腕がなりますなぁ、クックック・・・」



魔王(・・・)

魔王(何か、四天王・・・)



魔王(五人いね?)


火の魔人「フフフ、骨も残さず灰にしてやろう」

水の魔人「私こそ超水圧で勇者をペシャンコにしてやりますよ」

風の魔人「人間がボクのスピードについてこれるもんか」

土の魔人「フン、勇者などひとひねりだわい」

テュの魔人「おやおや、これは私もうかうかしてられませんなぁ」



魔王(なんか、最後のヤツ、あれ何の魔人?)


火の魔人「まあたかが人間がどれほどの事があろうか」

水の魔人「きっと、われわれの力には太刀打ちできないでしょうね」

風の魔人「どれだけ楽しませてくれるかなぁ」

土の魔人「魔王さまに逆らった事を後悔させてくれるわ」

テュの魔人「はてさて、今から戦うのが楽しみですなぁ」



魔王(他のは火とか水とか見た目でもわかりやすいけど)

魔王(何ていうか、最後のアイツ独特すぎてコメントし辛いっていうか・・・)

魔王(・・・まぁ、みんなには馴染んでるみたいだからいいんだけどさ)



魔王(うーむ、アイツが何の魔人か気になる・・・)

魔王(だけど、ダイレクトに「ねぇキミ、何の魔人だったっけ?」って聞いて)

魔王(傷つかれても、困るしなぁ)


火の魔人「フフフ…。血がたぎるわ。セイヤァ!」ボォッ

水の魔人「おおっと、火の魔人どの。技を出すのはまだ早いですよ」

風の魔人「勇者と戦う時まで取っときなよ」

土の魔人「ガッハッハ。あの炎をぶつけられたら、勇者といえども耐えられまい」

テュの魔人「見事な炎。素晴らしい技の冴えですなぁ」



魔王(・・・そうか、技だ!)

魔王(今ここであいつに技を出させれば、何の魔人かわかる!)

魔王(ワシ、冴えてるぅ~。では、早速・・・)



魔王「聞け、皆の者よ」

魔王「ひとつ、余興の代わりに」

魔王「お主らの技を、ワシの前で披露してもらおうか」


水の魔人「え?我々の技をですか?」

風の魔人「ええ、いいですよ魔王様」

土の魔人「グフフ、魔王さま、我らの力とくとご覧あれい」



炎の魔人「では、拙者から参ります。はぁーーーっ!」

ゴォォーーーー・・・!

魔王「ほう。凄まじいまでの炎。あらゆる物を焼き尽くす勢い」


水の魔人「次は私が・・・。でぇーーーーーいっ!」

ビシャーーーーン・・・!

魔王「ふむ。ものすごい勢いの水流だ。岩をも貫く水の槍と言った所か」



風の魔人「行きますよ・・・。それぇーーーーーっ!」

ビュォォーーーー・・・!

魔王「おお、何という風力!まさに全てを切り刻む真空の刃」


土の魔人「グフフ・・・。どりゃあーーーーーーっ!」

ゴゴゴゴ・・・!

魔王「むう、巨大な岩石が猛烈な勢いで・・・。これは勇者といえどひとたまりもないだろう」


魔王「・・・そして」チラ



テュの魔人「うおおーーーーーっ!」

デロォォーーーーン・・・

魔王「ウエッ・・・。何あれキモッ!手から何出てんのあれ?」



テュの魔人「ふぅ、ざっとこんな物です」

火の魔人「さすがは、テュを司る魔人どのですな」

水の魔人「我々も負けていられませんね」

風の魔人「テュに手柄は渡さないからなー!」

土の魔人「すさまじい技よ。勇者は災難だな、ガッハッハ」


魔王「あれテュって言うの?テュってなに?」

魔王「みんなの中だとあれが一番強い事になってんの?」



魔王「ますますわからん・・・」

魔王「・・・」

魔王「・・・いいや、もうダイレクトに聞いちゃえ!」



魔王「ねぇキミ、キミって何の魔人だったっけ?」

魔王「今手から何出してたの?」

テュの魔人「え?ですからたった今ごらんに入れたように」

テュの魔人「テュですよ。私はテュの魔人ですからね」

魔王「そのテュが何かわかんないから聞いたんだけどなぁ」



魔王「それで、どうやって戦うの?」

テュの魔人「ええですから、私の出すテュでもって」



テュの魔人「勇者をテュまみれにしてやりますよ」

魔王「そこはテュまみれじゃなくて、できれば血まみれにして欲しいなぁ」

テュの魔人「勇者をテュまつりにあげてご覧にいれます」

魔王「そんな血祭りみたいなニュアンスで言われても」



テュの魔人「魔王さま、私の力をお疑いですか?」

魔王「いや、疑うとかそういうんじゃないんだけどさ」



テュの魔人「では、魔王さま自身に味わっていただきましょうか」

テュの魔人「私のテュを」デロォォーーーン…

魔王「いやいいから!しまってそれ!キモいから!」



火の魔人「おお、それはいい機会ですな」

水の魔人「食らってみれば、魔王さまもテュの恐ろしさがご理解頂けるでしょう」

風の魔人「魔王さま、テュを食らってみるの?後悔しても知らないよ?」

土の魔人「ガッハッハ、さすが魔王さま。いい度胸ですな」

テュの魔人「大丈夫ですよ、魔王さまなら耐えられます」デロデロォーーーン…

魔王「いや、いいっていいって!」



テュの魔人「では、参りますよ・・・」デロデロデロォ…

魔王「もー、いいってーーーー!」

―――――

―――

――





魔王「・・・はっ?」


火の魔人「どうされました魔王さま」

水の魔人「ずい分とうなされてたようですが」

風の魔人「悪い夢でも見たんですか?」

土の魔人「汗ビッショリですぞ」



魔王「夢?夢だったのか・・・」


火の魔人「勇者のことが気がかりですかな?」

水の魔人「それならば、ご安心ください魔王さま」

風の魔人「我ら四天王が、勇者なんてひとひねりですよすよ」

土の魔人「大船に乗った積りでご安心召されい」



魔王「ふぅ、夢で良かった・・・」


魔王「そうだよな、あんなわけのわからんヤツが」

側近「魔王さま!ニュースです!」

魔王「ん?何事だ」



側近「勇者が倒されました!」

魔王「なに?まことか?」


火の魔人「おお、それはめでたい!」

水の魔人「やはり、人間ごときが我ら魔族に勝てる道理はありませんでしたな」

風の魔人「あーあ、手柄が取られちゃった」

土の魔人「今夜は祝賀会ですな、ガッハッハ」



魔王「それで、誰が勇者を打ち取ったのだ?」

側近「ええ、テュです。テュの魔人ですよ」

魔王「は?」



火の魔人「やはりか。さすがテュの魔人どのですな」

水「彼のテュの前では、勇者など赤子も同然」

風「ちぇーっ、久しぶりに暴れられると思ったのに」

土「これで我らに逆らうヤツなど居ないだろう、グワッハッハッハ」


魔王「えっ、なにあれ夢じゃなかったの?」



火の魔人「しかし、本当に勇者を倒してしまうとは」

魔王「これも夢であって欲しいなぁ」

火の魔人「まさに、テュの魔人どのの」



火の魔人「おテュがらですな」

魔王「うわぁ・・・」


終わり

いいオチが思いつかないで長い間放置になっていました
こんなオチでスイマセン
依頼出して来ます

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