女「男」男「なんだ」 (9)

がらっ

女「……おはよう」

男「あぁ」

女「寒いな」

男「そうだな」

女「…………」

男「…………」

女「何してるんだ?」

男「勉強してるようには見てもらえなかったか」

女「似合わねぇだろ」

男「これならどうだ」眼鏡をかける

女「………………まぁ、勉強か」

男「似合ってたんだな」

女「黙れ。もういいから勉強してろお前」

男「恐ろしく理不尽だがまぁいいか」

女「…………」

男「…………」

女「なんでお前毎日こんな早いんだよ」

男「……や、別に」

女「家にいたくねぇとか?」

男「や、だから別に理由無いって。まぁなくはないのか、二度寝しそうだからとっとと行っておこうって思ってるだけで」

女「不器用かよ」

男「それなりに」

女「…………不器用かよ」

男「うん」

女「……なんなあたしが変な女みてぇじゃねぇかよ」

男「自分で分かってるだけマシだと思うが」

女「んだと?」ガシッ

男「や……無理して話しかけなくてもよくね?」

女「ん……まぁ、そりゃな」

男「じゃあ俺から質問な」

女「なんだよ」

男「なんで女はこんなに朝早いんだ?」

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がらっ

男「…………」

女「…………」

男「…………」椅子に座る

女「挨拶しろよ」

男「おはよう」

女「おう」

男「…………」

女「終わりかよ」

男「いや、特に話すこともないし」

女「寒いな」

男「あぁ」

女「……昨日もしただろ、これ」

男「そうだな」

女「お前さてはあたしとの会話に脳使ってねぇな?」

男「そうでもない」

女「なんであたしがお前より早かったのか、とか聞けよ」

男「なんであたしがお前より早かったんだ?」

女「知らねぇよ。頭使えよ」

男「早起きしたから」

女「ちげぇよそういうことじゃねぇよ。いや確かに正解だ、だけどそこに頭を働かせるんじゃねぇ」

男「…………」勉強を始める

女「恐ろしくマイペースか」

男「そうでもない」

女「そこは否定すんのかよ。なに、あんた東大でも行く気?」

男「いや……これ暇潰しだから」

女「暇潰しで勉強するとか頭おかしいだろ」

男「まぁ、そうかもな」

女「……いや待て、あたしとの会話じゃ暇は潰せねぇってことだよなそれ?」

男「話すこと特に無いしな」

女「絞り出せ」

男「……………………今日は暑いな」

女「絞り出した結果がそれかよ。寒いつってんだろうが」

男「人との会話に楽しさを見出だせない」

女「そんな真顔で言うな。楽しめ、あたしを」

男「楽しむか…………女って男みたいな喋り方するよな」

女「今更かよ」

がらっ

男「…………」

女「…………」

男「…………」勉強を始める

女「学習しろよテメェ」

男「学習してるが」

女「そうじゃねぇよ。そうだけど、そうじゃねぇ」

男「あぁ……おはよう」

女「おはよ」

男「今日は寒いな」

女「分かった。応用しろ」

男「…………今日は寒いかもしれないな」

女「肌で感じろよ」

男「寒い」

女「うるせぇ」

男「…………」

女「……分かった、あたしが悪かった。多くを求めすぎたな。とりあえず……お前、家族は?」

男「両親がいる」

女「まぁ……そりゃいるだろうな」

男「そうとは限らないんじゃないか?」

女「いない人間の話は今は良いんだよ。一緒に住んでるんだよな?」

男「いや」

女「一人暮しか?」

男「両親は二年前に事故で死んだ」

女「…………」

男「…………」勉強を始める

女「少しはあたしに気を使えよ!」

また来ます

がらっ

女「…………おはよう」

男「おはよう」

女「…………」

男「…………」勉強を始める

女「なぁ、飽きないのか?」

男「他にやることもないしな」

女「あたしと話せよ」

男「……またか」

女「嫌そうな顔すんじゃねぇよ」

男「なんで俺に絡むんだ」

女「……あー……一人でいるやつに話しかけたくなる性分でな」

男「難儀だな」

女「お前、なんでダチつくんねぇの?」

男「必要無いからだ」

女「寂しくねぇのかよ」

男「特に」

女「…………」

男「女だって一人じゃないか?」

女「ここではな。外にはダチけっこういる」

男「……なぁ、友達ってそんなにいいものか?」

女「あ? ……まぁ、寂しくはねぇよな」

男「そうか」

女「ダチ欲しくなったか?」

男「どうだろうな……寂しいってのがよくわからんな」

女「……一日中家に一人で、静かだな……とか思わんのかよ」

男「俺が音を立てなければ静かなのは当たり前のことだろ」

女「二年前までは親とかいたんだろ?」

男「…………賑やかだった記憶がないな」

女「……うし、今日からあたしらはダチだ。うぜーくらい賑やかにしてやんよ」

男「それはそれで嫌だな……」

女「うるせぇ口答えすんな。今日あたしのダチ連れてお前ん家行くからな」

男「マジかよ」

女「…………」

女友「…………」

不良女「…………」

女友「女さん、ここで本当に間違いないの?」

不良女「こんな金持ちみたいな家に入りたくないんすけど……」

女「う、うるせぇ! 口答えすんな!」

ぴんぽーん……

がちゃ

男「来たのか」

不良女「おっ……」

女友「へぇ……顔は悪くないわね」

男「随分と個性的な友達だな」

不良女「んだ? なに見てんだテメェ!」

男「吠えなくても聞こえている。俺が男だ。………………中に入れ?」

女「なんで疑問系なんだよ。おら、入るぞテメェら」

女友「ええ……」

不良女「うっす……」

すたすた

男「ここから向こうまで全部客室だから、好きな部屋使ってくれ」

不良女「ここから向こうまで……10部屋くらいあるじゃねぇか……」

女「…………分かった、お前はまた壮大な勘違いをしてるな? お前の部屋に連れてけ」

男「俺の部屋? 何故だ? わざわざ同じ部屋にいる理由もないだろう」

女友「……女さん」

女「こういう奴だ……」

不良女「変わったやつとは言ってたっすけど、変わりすぎですよこいつ……」

男「……まぁそうしたいなら構わないが。行くぞ」

がちゃ

男「ここが俺の部屋だ」

不良女「…………なんつーの? なんかドラマとかの金持ちが住んでる部屋っつーか……」

男「使ってない椅子が壁際にあるから、適当に持ってきて座ってくれ」

女友「分かったわ。自己紹介がまだだったわね。私は女友、よろしくね」

男「……あぁまぁ、よろしく?」

女「んで疑問系なんだよ」

男「いや、今日限りで会うことも無いだろうに何をよろしくするもんかと」

不良女「こ、こいつ……」

女「こういう奴やんだって。一々取り合ってたら話ができねぇ」

女友「ここに……一人で住んでるのよね?」

男「二年前までは両親、俺、メイドが数人いた。今は俺だけだ」

不良女「メイド……」

女「なんでメイドもいなくなったんだ?」

男「必要性を感じなかったから解雇した。掃除は活動する範囲で構わないし、料理もネットを見ればなんでも作れる。家事全般はネットで調べれば事足りる」

女「なるほどな……」

男「一人だけ、週に一度来てくれるメイドもいるが、それだけだ。今日女が来ると聞いていたから客室を掃除してもらったが、無駄だったな」

女友「…………なんとなく、彼のことが分かったわね……」

男「で、今日は何をしに来たんだ?」

女「…………」

不良女「…………」ごくっ

女友「……地獄のゲームよ」

男「地獄の?」

女「人生ゲームだ」だんっ!

男「人生……ゲーム?」

また来ます

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