彼女は躁鬱病 (20)
女「おはよー男君!!元気かね!!」
男「おはよう女。今日も元気だな」
女「イエス!!!今の私なら何だってできちゃうぜ!!」
男「それは言い過ぎだろ...」
女「お?お?男君、そんなこと言っちゃっていいのかな?いいのかなー?」
男「?」
女「何でも言ってくれたまえ!!君が言う通りにやってやるよ!!」
男「じゃあ黙ってくれ。あと背中叩くな」
女「おっけー!!黙る!!私黙っちゃうよ!!はい黙った!」
男「....」
女「な?私に不可能などないだろ?今の私に言いたいことがあるなら遠慮なく言いたまえ!!なんでも叶えてやろう!!」
男「黙れ」
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女「男君!君は相変わらずしけた顔をしているねー。いけないぞー?そういうのダメだと思いまーす。ダメ!絶対!」
男「教室では静かにしてくれ。後今は授業中だ」
女「授業?チッチッチッ、男くーん。君は授業如きで萎縮しちゃうのかい?日本人だなー。もっと元気出して生きていこうよ!!元気ですかー!!」
男「....」
男「すみません、今出て行きますんで。気にしないで授業してください先生」
女「...また私が悪者扱いかい男君。君は私をのけものにすれば済むと思っているだろ。そうなんだろ!お姉さん泣いちゃうぞ!」
男「分かった。分かったから外で話そう。な?」
女「酷い!男君私のこと愛してないのね。私はこんなにも愛してるのに。グスン」
男「愛してるから。取り敢えず歩くぞ」
女「....」
男「....」
女「....」
女「...ごめん」
女「ごめんね...本当にごめん。頭の中では分かっていたんだ。あーダメだなまたハイになってるなって」
女「どうしよこのままだとまた男を困らせちゃうなって分かってた。分かってたけど止まらないんだ。ごめんなさい。本当にごめんなさい」
女「どうか嫌わないでくださいお願いします」
男「いいよ。俺は元気な女が好きだからさ」
女「....」
男「それにさ。久し振りだったじゃん。女が元気だったの。だから嬉しかったよ」
女「....」
女「ごめんね...もうダメみたい...」
男「そうか...今回は早かったな」
女「....」
男「保健室でゆっくりしよ。少し楽になったら家まで送るよ」
女「....」
男「歩ける?」
女「....」
男「まあもうすぐ保健室だし大丈夫か。頑張ろう」
女「....」
男「先生、女連れてきました」
先生「あら女ちゃん!久しぶり!今日は躁?鬱?どっちなの!」
女「....」
先生「鬱ね!鬱の女ちゃんは影があって好きよ。でも構っちゃうと嫌われちゃうからそこでゆっくり寝てなさい」
男「ここ一週間ぐらいはずっと躁だったんですが、ついさっき切れたらしいです」
先生「そう...あ、今の洒落じゃないわよ。偶々出ただけ。気にしないでね!」
男(この人はいつも躁だな)
先生「えー、ゴホン。病院には?」
男「行ってないです」
先生「やっぱり。あのね...男君に言うのは可哀想だけど躁鬱病は立派な病気よ」
男「...分かってます」
先生「本人が行きたくないと主張してるのは知ってるわ。鬱の時は殆ど会話すらできないし」
男「....」
先生「でもね、このままだと女ちゃん留年しちゃうわよ」
男「....」
先生「三ヶ月の内二週間来れればいい方なんだもの。進級させろって方が無理でしょ?」
男「....」
先生「だからせめて一回でいいから病院に連れて行ってあげて。それからがスタートラインよ」
男「...頑張ってみます」
先生「よし、じゃあ後は先生に任せて君は授業に戻りなさい。放課後また来るといいわ」
男「分かりました。よろしくお願いします」
男「....」
男「家族に言えよ...」
放課後
男「女、来たぞー。元気かー」
女「....」
男「まあ元気な訳ないわな。帰れるか?」
女「....」
男「そんなに慌てる必要もないしここで少しゆっくりしていくか」
女「....」
男「そんな暗い顔すんなよ!朝までの威勢はどうした」
女「....」
男「何か不安なことでもあるのか?俺に対する不安なら遠慮なく言ってくれ。俺が巧みに言い返してやる」
女「....」
男「嘘だよ。ちゃんと聞くよ。それとも何か相談がしたいのか?俺でよければ聞くぞ」
女「....」
男「....」
女「....」
男「2 2は?」
女「....4」ボソッ
男「そこはちゃんと聞いてるのね...」
男「まあいいや。きっと今日は疲れて話すことすら億劫なんだろう。俺が送ってやるから帰ろうぜ」
女「....」
男「ほら、手掴まっていいから立ってくれ」
女「....」
男「よし、じゃあ帰るか」
女「....」
男「帰る時にお嬢様が退屈しないように俺が話でもしてやりますかね」
女「....」
男「って言っても今できる話なんてなぁ...」
男「あ、そうそう。あの後教室に戻ったら皆お前のこと心配そうにしてたぜ。あの教師に女は大丈夫かって聞かれるとは思いもしなかったよ」
女「....」
男「だからって訳じゃないけど早く元気になってくれよな」
女「....」
男「...俺のためにもな」
女「....」
男「ハハッ、どさくさ紛れに何言ってんだ俺は」
女「....」
男「よし、そろそろ女の家に着くな。俺はここまでだ。じゃあまた明日」
女「....」
男「....はぁ」
数ヶ月後
女「ふっかーーーつ!!!!!!」
男「久々に迎えが来たと思ったらこれか」
女「やあやあやあ男君。元気だったかね。私が引きこもっていたこの数ヶ月の間に浮気なんてしていないだろうね」
男「してないしてない」
女「そういう奴に限ってしてるんだなこれが。白状しろ!そして私が買ってきたこの首輪を着けるんだ!!」
男「こんなものをいつ買ってきたんだ...」
女「これは昨夜某ペンギン雑貨店で買ってきた代物だ。他にも蝋燭やら鞭もあるぞ!」
男「深夜にあんな危ない所に行っちゃいけません!そして誤解を招くようなガラクタを買うな!」
女「ガラクタなもんか!!こいつはなぁとにかくそれはそれは凄い代物なんだよ!!愛の鞭を喰らえ!!」
男「痛い!!」
女「オホホホホホ!良いではないか良いではないかー」
男「やめろ!!!!」
男「ほら、茶番はそこまでにして学校行くぞ」
女「チッ、連れないなー君は。まあいい。ほら早くこの首輪をつけたまえ。リードを持ってやろう」
男「誰がするか!!」
男(って女のペースに巻き込まれちゃいけない。今日こそ病院に連れて行かないと)
男「...なぁ女...」
女「なんだい男君。突然改まって。あ!プロポーズかい?プロポーズなのかい?」
男「その...真剣に聞いて欲しいんだ」
女「おぉ!!それっぽい雰囲気出すね!君分かってるよ!!それでこそ我が男だ!早く言いたまえ」
男「病院...行かないか...」
女「病院?式は病院がいいってことかい?妙竹林だがそれもよいだろう」
男「違う、その治療してもらいにだ」
女「誰がだい?」
男「女だよ...」
女「私!?」
男「そう、私」
女「何故?ホワイ?この健康な小麦肌が君には理解できないというのかね?」
男「真っ白だろうが...っていうか本当に分かってないのか?」
女「....」
男「....」
女「嫌だね。君はどうしていつもいつもそんなこと言うんだい。このドMめ」
男「お前の為を思って言ってるんだろ!」
女「嘘だね!君は私に罵られたいが為に煽ってくるんだろ!やはりドMだね!変態!マゾ!どうだ嬉しいか!」
男「黙って聞けよ!!!!!!」
女「....」
男「...そんなこと言わんでくれ。頼むから病院に行こうよ」
女「い、嫌だ!!!それ以上言うなら怒るぞ!!」
男「....」
男「分かった。勝手にしろ」
女「え、ちょっと待ってよ...」
男「俺は女が病院に行くって言うまで口を聞かない。じゃあな」
女「....」
男「....」
男「言い過ぎたかな...」
男「でもあれぐらい言わないと人の話聞かないし...」
男「治療しないと留年するし、今更遅い気もするが...」
男「はぁ...にしても女何処行ったんだろ...」
男「自分から突き放しといてこんだけ気にしてるようじゃ世話ないわな...」
男「...あ、先生だ。ってこっちに走ってくる?」
先生「男君!!!女ちゃんが屋上から飛び降りたの!!!」
男「....は?」
男「先生、今なんて言いました?」
先生「女ちゃんが屋上から飛び降りたの。それで今病院に...」
男「何処の病院ですか!!!」
先生「東病院よ。行く前に
男「ありがとうございます!!」
先生「あ!ちょっと早退届け...はぁ。私が書くしかないか...」
東病院
男「女!!!」
女「....」
男「女の状態はどうなんですか!」
看護師「奇跡的に目立つ外傷はありません。ただ意識が...」
男「ないんですか!?」
看護師「はい、担架で運ばれてからここに来るまでずっと」
男「....」
看護師「....」
男「分かりました...あの、無理な願いかもしれませんが二人にさせてもらいませんか?起きたら話したいことがあるので」
看護師「分かりました。何かあればそこのナースコールでお呼びください」
男「ありがとうございます」
男「....」
男「どうしてこんなことしたんだ....」
男「俺が悪いのか?俺があんな冷たいこと言ったから間に受けたのか?」
男「それにそこまで病院に行きたくなかったのか?治療するぐらいなら死んだ方がマシだと思えるほど...」
男「なあ女。俺、疲れたよ。毎日毎日心配して偶に会ったら迷惑ばっかり掛けられてさ」
男「それでも俺が女のサポートしてたのは本当にお前のことが
女「その先は言わないでくれ」
男「!!!」
男「起きてたのか...」
女「すまない。君の声が聞こえたから」
男「....」
女「それが君の本音なんだね...」
男「あぁ...」
女「私は知っていたよ。君が本音を隠していることを。君の言葉の一つ一つにめんどくさいという思いが込もっていたことを」
男「....」
女「知っていたが言えなかった。とにかく私は君に嫌われたくなかったから」
男「....」
女「そしていつの日かそんな自分に歯止めが効かなくなっていた」
男「....」
女「無理して必死に明るく振舞ったり、強がりを言って見せたりなるべく憂鬱な自分を見せないように取り繕った」
男「....」
女「そしたらある日電池が切れたかのように何も考える気力が起こらなくなって。無理した分が一変に返ってくる。いつものパターンだ」
男「....」
女「やがて私はそれでも愛想を尽かさず側に居てくれる君に疑念を抱くようになった。その時私は自己嫌悪で堪らなくなった」
男「....」
女「こんな奴は消えてしまえばいいと何度も心の中で自分のことを罵った。そしてそれを実行に移した」
男「....」
女「男君、君が私を好きでいる義務なんてない。そして私に君を好きでいる資格もない。別れてくれないか」
男「....」
男「別れて済むと思ってんのかよ...」
女「....」
男「俺の今までの努力を全部否定しやがって...その上別れろってそれで解決すると思ってんのかよ...」
女「...分かった。責任は取ろう。君が望むことを言ってく
男「違うだろ!!!!!」
女「....」
男「そんなことを望んでいるんじゃない」
女「じゃあ私に何をしろって言うんだ!!」
男「....」
男「分からない...」
女「....」
男「でも女の本音を聞いて分かったことがあるよ」
女「分かったこと?」
男「そう、俺達はお互いに本音を隠していたってこと。そして、俺は女と一緒に病気と向き合おうとせず介護をしていただけだということ」
女「....」
男「なぁ女。俺たちやり直せないかな。今度はお互いを信頼して支え合えるパートナーとして...」
女「本当に...本当に私でいいのか...」
男「当たり前だろ」
女「ありがとう。本当にありがとう。こんな私でよければこれからもよろし...バタン!
男「おい!女!大丈夫か!」
女「....」
男「おい!!嘘だろ!!女!!女!!ナースコール押すぞ!!」
女「....」
男「....息してない。嘘だろ....」
女「....」
男「女!!俺たちこれからだって言ったじゃねぇか!!おい!!!女!!!」
女「....」
男「嘘だぁ!!!!!うわぁ!!!!!」
女「なんて話はどうだい?」
男「なんでこんなBAD ENDなんだ...」
女「近年はHAPPY ENDの映画以外見受けられない傾向があるからね。それをバッサリ切るのさ」
男「なんじゃそりゃ...それにお前が鬱病なんて設定にも無理があるぞ。万年やかましいじゃねぇか」
女「そこはほらあれだよ。ギャップ萌えって奴だよ。君も萌えなかったかい?偶に見せる私の影に」
男「不憫だとこそ思ったがこれに萌えるとかレベル高過ぎて無理だ」
女「文句が多いねぇ君は。つまり何が言いたいのさ」
男「没だってことが言いたいんだよ!こんな話文化祭で放映できるかってんだ」
女「チッ、じゃあ他の話を考えるとするか。立場を逆にして君が躁鬱病ってのはどうだい」
男「そんな演技できるか!!!!」
おわり
以上になります。ありがとうございました
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