【艦これ】提督「パニック鎮守府にて」 (153)

―執務室―

フォーン… フォーン… フォーン…

提督「……!? この音は警告サイレン!?」

提督「なぜ……? 何かが起きたというのか……」

霞「……あんた!? どうしたのっ!?」タッタッタッ

提督「今はまだわからない。あとで何かしらの報告があるはずだが……」

大淀「提督!! 大本営から緊急電信で命令が!!」バンッ

提督「こんな時に大本営から? いや、このサイレンと何か関係しているのかもしれない」

大淀「今すぐ鎮守府を封鎖せよ、とのことです」

提督「鎮守府を封鎖しろだと……!? なぜなんだ?」

大淀「すいません提督。私にはそれ以上のことはわかりません」

霞「とにかく封鎖をしましょ」

提督「そうだな。理由はともかく、大本営からの緊急の命令だ」

提督「それとサイレンが作動した原因も確認しなければ」

大淀「了解しました。私は人手を集めてきます」

提督「いや、大淀は食堂に全員を集めておいてくれ。サイレンで不安になってる娘もいるはずだ」

大淀「提督が言うならば……。私の代わりに何人か協力をお願いしておきます」

提督「助かる。霞、俺たちは先に正門に行こう」

霞「ええ、わかったわ」

提督(大本営からの緊急電信。謎の警告サイレン)

提督(偶然で二つのことが同時に起こるものなのか……?)

提督(もし二つのことが関連してるのならば、この鎮守府に恐ろしいことが迫っているというのか……)

提督(サイレンだけでも原因がわかればいいのだが。少なくとも深海棲艦ではないだろうけど)

提督(今はまだ原因がわかりきっていない。無闇に行動するのは愚策か)

提督(誰一人欠けなければいいのだが……)

―正門前―

提督「とりあえず正門を閉めるか。ここを閉めれば、鎮守府の残りの出入口は山側の二つしかない」

霞「でも二人じゃ、こんな重い門を閉められないわよ」

提督「ふむ、協力が来るのを待つしかないか……」

白露「いっちばーん!! 提督、さっきのサイレンどうしたのー?」タッタッタッ

時雨「はぁはぁ……。し、白露姉さん、走るの早いよ……」タッタッタッ

夕立「時雨、体力ないっぽーい。夕立はまだまだ大丈夫っぽい!!」タッタッタッ

提督「お前ら、どうしてこんなところに……」

時雨「放送を聞いて、食堂に行く途中で白露姉さんが提督たちを見つけて……」

夕立「提督さんたちは何してるっぽい?」

霞「正門を閉めようとしてるのよ」

白露「どうして?」

提督「理由はあとで説明する。お前ら、閉めるの手伝ってくれないか?」

白露「もちろんー!!」

時雨「うん、大丈夫だよ」

夕立「終わったら遊んで欲しいっぽい!!」

霞「時間ないんだから、さっさとやるわよ」

提督「じゃあ、いくぞー」

提督「よいしょ……っと」ガラガラガラ

霞「これでいいわね」

提督「ああ、あとの残りは北西門と西門だけだな」

夕立「鎮守府の全ての門を閉めるっぽい?」

霞「そうよ」

時雨「そろそろ理由を教えてくれてもいいんじゃないかな」

提督「俺たちも詳しくはわかってないんだが、この鎮守府に何か危機的なものが迫ってるらしい」

白露「え!? それって大丈夫なの!?」

提督「今は何とも言えない。お前たちは先に食堂に行っててくれ」

白露「はーい。時雨、夕立、行きましょー」

時雨「気をつけて、提督」

夕立「提督さん、夕立と遊ぶの忘れないでね」

―北西門&西門周辺―

榛名「あ、提督!!」

提督「なぜ榛名がここに……?」

榛名「大淀さんに事情を聞いて協力しに来ました」

霞「そっちはどうだったの?」

榛名「ほとんどの娘が食堂に集まっていましたよ」

霞「それなら安心ね。ちゃっちゃと残りの門も閉めちゃいましょ」

提督「そうだな」

榛名「榛名!! 全力で参ります!!」フンスッ

榛名「うぅ……」ショボン…

提督「そんな落ちこむなって、榛名」

榛名「気合い、入れたのに……」ショボン…

霞「門を閉めるだけだから、気合いを入れる必要はないわね」

榛名「ちょっと前の自分が恥ずかしいですぅ……!!」ショボン…

提督「榛名、何事にも気合いは大事だぞ。霞はあまり言ってやるなっての」

榛名「今は優しさが榛名にとっては痛いです……」ショボン…

霞「あんた、何気にひどいわね」

提督「俺はそういうつもりではなかったのだが……」

大淀「提督ー!! 大変です!!」タッタッタッ

提督「どうした? 鎮守府の封鎖はちょうど完了したところだが……」

大淀「今、テレビで……」

霞「テレビ? テレビで何かあったの?」

大淀「はい。詳細は直接見てもらったほうが早いので、今すぐ食堂に来てください!!」

提督「わかった。榛名もいつまでも落ちこんでないで行くぞ」

榛名「はい……」ショボン…

―食堂―

大淀「これです!! これを見てください!!」

テレビ『緊急ニュースです。現在、関東地方を中心に全国にゾンビが発生している模様です。特に○○周辺や××周辺が危険エリアとなっております』
テレビ『政府からの発表は未だなく、詳細な情報はわかっていない状況です』
テレビ『なるべく家から出ずに、厳重に錠をかけて外に出ないようにしてください。外にいる方は安全な建物内へ避難してください。繰り返します……』ジジッ…

提督「……ッ!? ゾンビッ!?」

霞「どういうことよっ!?」

大淀「私にもどういうことだか……」

榛名「提督、この鎮守府は安全なのでしょうか……?」

提督「さっき全ての門を封鎖したから大丈夫なはずだ。もしかして大本営はこれを予見して……」

提督(だとすると、サイレンの原因もこれかもしれないな。そして俺がするべきことは……)

提督「みんな!! 静かに聞いてくれ!!」シーン…

提督「今、全員が知ったように日本全国にゾンビが発生しているようだ。ここ周辺も例外ではないはずだ」

提督「この鎮守府は今は大丈夫なはずだが、周辺はどういう状況かまだわからない」

提督「現状を把握し次第、追ってみんなには詳細を伝える。総員、不安であろうが食堂から離れないでいてくれ」

提督「以上だ。無事を祈る」

霞「今はそれでいいわ。それで、やっぱり大本営に連絡を取るべきかしら」

大淀「できませんでした。私もそう考えたのですが……」

霞「同じことを考えてる鎮守府がいくつもあったのね」

提督「それに大本営も対応で忙しいだろう。だからこその緊急電信だったわけだ」

大淀「提督、先ほど明石から受け取りました。警告サイレンの報告書です」

提督「……。ふむ、鎮守府周辺で危険性の高い生物の発見による警告……か」ペラッ…

霞「危なかったわね。門を閉めるのが遅かったらと思うと、嫌な考えになるわ」

提督(霞の言う通りだ。大本営からの緊急電信、警告サイレンがなければ、今頃、この鎮守府はゾンビだらけかもしれなかった)

提督「ひとまずは安心していいか」

大淀「ですが、泣いてる娘こそいませんが、不安そうな娘がいますね……」

提督「不安がない奴などいまい。こんな恐ろしいことが現実で起きてるんだ」

提督(巡洋艦以上の娘たちは気丈に振る舞って、なんとか小さい娘たちを慰めている)

提督(全員を安心させてやりたいが現状ではどうすることもできない)

霞「これからどうするの? ここで待ってたってしょうがないわ」

提督「まずは鎮守府周辺を調査するしかない」

霞「どうやって? 外にはゾンビがいるかもしれないのよ」

提督「なら、偵察機を出すとかはどうだ」

霞「ゾンビがどんなものかわからないのよ。もし危険が及んだら……」

大淀「それなら見張り台を使うのはどうでしょうか?」

提督「うちにそんなものあったか?」

大淀「ええ。使っていない倉庫小屋にあります」

提督「あそこか……。あそこには廃物しか置いてないと思ってたんだけど」

霞「鎮守府の司令官として、それはどうなの?」

提督「全部把握してるわけじゃないし……」

大淀「私もつい最近知ったので……。駆逐艦の娘たちが遊んでる時に発見したみたいです」

霞「で、その倉庫のどこに見張り台があるの?」

大淀「倉庫内部に仕舞ってありますね。仕掛けで動くようになっているんですよ」

提督「ハイカラなんだか、じゃないんだか」

霞「いいじゃない。現状の突破口が見つかったんだから」

提督「そうだな。なるべく早く周辺の状況を確認しなければ」

霞「早速向かいましょ」

提督「大淀、見張り台動かせるか?」

大淀「できますが……、見張り台を動かすのに力のある方が必要なんです」

提督「それだったら、おーい、武蔵!!」

武蔵「提督よ、どうしたのだ?」

提督「こういうわけで協力して欲しいんだ」カクカクシカジカ

武蔵「そうか。この武蔵、提督に協力させてもらう」コレコレウマウマ

―倉庫小屋―

提督「ここで合ってるよな?」

霞「司令官ならしっかり確信を持ちなさい」

大淀「うふふ、大丈夫ですよ。ちゃんと合っています」

武蔵「それにしてもボロい倉庫だな。見張り台とやらは動くのか?」

提督「動くと思うが……。まぁ、さっさと中に入りますかね」ギイィ…

霞「ごほっ、埃だらけね……」

提督「長年使ってなかったからな。見張り台はあれかな?」キョロキョロ

大淀「あれで間違いないですね」

霞「とても動きそうにないくらいボロいわね」

武蔵「これをどう動かせばいいのだ……」

大淀「簡単ですよ。あの側面を力いっぱい押すだけですから」

提督「本当にそれだけでいいのか?」

霞「不安だわ……」

大淀「ひとまず確認してみましょう」

提督「ふむ。見た感じだけなら、そこまで酷い損傷は見られないけど」

武蔵「それなら動かしてしまうぞ。……ふんっ!!」バキッ

霞「見張り台が……」ズガガ…

提督「おお、すげぇ……」ズガガ…

大淀「壊れた音が聞こえた気がしたんですが……」ズガガ…

武蔵「これでいいだろう」フッ…

提督「まぁ、とりあえず登ってみるかな」

霞「気をつけなさいよ」

提督「さっきの衝撃で壊れてなければいいんだけど、っと」ヨイショ

大淀「提督、大丈夫ですか?」

提督「なんとかな。おー、ここからならよく見える」

霞「周辺はどうかしら?」

武蔵「危険がなければいいのだが……」

提督「ちょっと待ってくれ。えーと、あれか……な?」キョロキョロ

霞「……大丈夫?」

提督「遠くて見づらいが、ゾンビらしき姿を一体だけ確認した」

霞「確認したなら早く降りてきなさい」

提督「ほいっと。この周辺はまだ大丈夫なほうらしいな」スタッ

武蔵「今は安心できるということか」

大淀「そうですね。しかし、これから対策を考えなければなりません」

武蔵「対策か……。難しいな……」フム…

提督「対策を考えるのは食堂に戻ってからにしよう」

霞「ええ、そうしましょ」

武蔵「……ああ」

(そこまで考えてなかったなんて言えない……)

―食堂―

榛名「提督お帰りなさい。その……大丈夫でしたか……?」

提督「まだわからない。ゾンビ一体だけしか確認できなかった」

榛名「そうですか。榛名は金剛お姉さまのお手伝いしてきます」タッタッタッ

提督(見れば金剛たちは駆逐艦の相手をしていた。早くなんとかしなければ……)

提督「まずはこれからの対策を考えるか……」

霞「そうね。でも、まだゾンビがどういうものかわからないわよ?」

大淀「そこをなんとかしなければいけませんね」

霞「他の鎮守府と情報交換でも出来れば楽なんだけど」

大淀「今は難しいでしょう。他の鎮守府も同じように危険に晒されていますしね」

大淀「もう少し余裕が出てきたら連絡してみましょう」

提督「そうするしかないな。だが、もっと情報が欲しいところだな」

霞「何か良い案はないかしら……」

武蔵「あんな奴、可能ならこの主砲で吹き飛ばしてやりたい」

大淀「危険ですから止めてくださいね。周辺住民に多大な危害が及びますし……」

霞「それに深海棲艦と似た性質を持ってたら厄介だものね」

提督「今はゾンビに関してあらゆる可能性の考慮をしていかねばならない」

武蔵「すまない。それでは、このてれび?というやつを使うのはどうだ?」

大淀「いえ、情報の更新がない限り、先ほどと何も変わらないと……」

武蔵「そうなのか、これを使えば何でもわかると思っていたんだが……」

提督「待て待て。テレビ? 使えるじゃないか」

霞「何言ってんのよ。それってどういうことなの?」

提督「確かニュースでゾンビの映像が映っていたよな? その映像を使えばあるいは……」

大淀「確かにそうですね!! 試してみましょう!!」ピッ

テレビ『……この突発的なゾンビ発生に関し、緊官房長官は緊急会見において即座に対応するという意思を表明しました』
テレビ『次は現在の○○周辺の映像です。この周辺はゾンビ多発地域となっており、この地域と××周辺地域がゾンビ発生源ではないかと、専門家の中では議論されているようです。……』ジジッ…

大淀「提督の思い通りですね。これならゾンビの詳細を把握できます」

提督「いや、これは武蔵のおかげだ。ありがとう」

武蔵「提督に言われると照れるな。しかし今はゾンビだろう?」

霞「そうよね。……今、陸軍がヘリから集団のゾンビに向かって機銃を撃ってるわね」

提督「なかなか倒れないな。まさか機銃は効かないのか……」

大淀「……そうなると、艦砲も効かない可能性のほうが高いかもしれません」

武蔵「一体も倒せない内にヘリの真下にゾンビが集まってきたぞ」

提督「少し遠い映像だからか、巨大ハエがたかってるように見えるな」

霞「やめなさいな。余計なこと考えないで集中してちょうだい」

大淀「あ、ヘリが退散しましたね。機銃は効かなかったみたいです」

提督「もしかしたら本当に深海棲艦と似た性質を持ってるかもしれないな」

霞「地上型深海棲艦ってこと? 洒落になんないわよ」

武蔵「深海なのに……地上なのか……」

提督「あくまで可能性での話だ。確証はないに等しい」

大淀「何が効くのかわかれば、もっと対策のしようがあるんですが……」

提督「危険を覚悟して色々と試してみるか?」

霞「いちいち文句も言ってられないわよね……」

提督「となると、主砲、副砲、魚雷、色々とあるが……」

大淀「どれも地上で使うとなると、非常に危険なものばかりですね」

提督「だよな。やっぱり安全かつゾンビに有効そうになるものか……」

武蔵「では、ドラム缶でも投げつけてみてはどうだ?」

大淀「なかなかアグレッシブな方法ですね……」

提督「まぁ、ゾンビの動きは封じられそうだけど。それは有効といえるのか?」

霞「却下に決まってるじゃない。却下よ、却下」

武蔵「そうか。いけると思ったのだがダメか」

督「いや、ゾンビ一体だけなら安心確保を急いだほうがいいだろうし、それでいけるんじゃないかな」

霞「他を見つけていないだけかもしれないわ。しかも却下って言ったじゃない」

大淀「そうですよ。提督、危険を覚悟してと言っていましたが、もっと安全な方法があるはずです」

提督「俺が悪かった。早計に失してしまったようだ」

武蔵「これは私も悪い。思いついた案を考えもせずに言ってしまったせいだ」

提督「今度は冷静に考えてからにしよう。誰かいい意見ないか?」

霞「……誰かが囮で一体だけ誘い出して、そこでゾンビに対して有効そうな方法を試してみるのはどう?」

提督「確実性は高いが……。危険性も……」

武蔵「提督よ、そんなに文句も言ってられないのだろう? この武蔵、その囮役を引き受ける」

提督「それでは武蔵に危険が……!!」

武蔵「見くびってもらっては困る。この程度で怯む私ではない」

霞「武蔵の言う通りよ。何年私たちのことを見てきたの?」

大淀「それにドラム缶よりは何倍も安全ですしね」

提督「そこまで言うならわかったよ。代わりに護衛は絶対に付けさせてもらうからな」

武蔵「ああ、構わない。あとは提督の好きにしてくれ」

提督「……やるしかないのか」

大淀「それでは作戦はどうしますか? 提督」

提督「作戦か……」

提督「まずは軽空母を中心とした偵察隊を出したほうがいいな。ヘリも大丈夫なら偵察機も大丈夫だろう」

提督「その後、武蔵をゾンビの近くに向かわせ、どこかへ誘き寄せたのち、考えうる有効そうな方法を試す」

大淀「偵察隊の軽空母は誰にするんでしょうか?」

提督「龍驤に頼もうと思う。あいつは軽空母の中で鳳翔の次に先輩だ」

霞「なら、どうして鳳翔じゃないのよ」

提督「鳳翔には他の娘たちの面倒を任せるつもりだ。他のメンバーは祥鳳と瑞鳳にしよう」

武蔵「提督よ、この武蔵は誰と囮をすればいいのだ?」

提督「妙高と那智だ。この二人がいれば、不測の事態でも対応できるだろう」

武蔵「了解した。今から二人に伝えてくるとしよう」

提督「それは任せた。大淀は龍驤たちに伝えてきてくれ」

大淀「龍驤さんと祥鳳さんと瑞鳳さんですね。行って参ります」タッタッタッ

提督「……俺たちは作戦の要、ゾンビに有効そうな方法を考えよう」

霞「大淀が望みは薄いと言ったけど、艦砲はどうかしら?」

提督「ふむ……。一撃粉砕はできそうだが、その後の処理がどうなるかだな……」

霞「まあ、私が色々と準備してくるから、あなたは他の娘たちに意見を貰っておきなさい」

提督「頼んだ。できるだけ聞いておくよ」

提督(見回すと食堂は依然として変わっていなかった。他の娘たちが不安がっている光景が)

提督「……榛名、様子はどうだ?」

榛名「なんとか宥めているんですが、不安は拭いきれないようで……」

提督「なんとかしなきゃな……」

金剛「HEY、提督ぅー!! やっと私に会いに来てくれたんデスネー!!」ヘーイ

提督「うわぁお!! いきなり後ろから大声出すなって」

金剛「照れなくてもいいのヨー!!」ヘーイ

榛名「金剛お姉さま。提督にはお仕事が……」

金剛「わかったネー!! 提督、頑張るデース!!」ヘーイ

~~~

―正門前・夜―

提督「よし、みんな集まったな」

提督「龍驤たちは鎮守府近海から偵察機を発艦、その後、正門から武蔵たちが外へ」

提督「演習場付近へ誘き寄せ、目標に対して攻撃を仕掛ける」

提督「作戦は今ほど説明した通りだ。この作戦は今までにない危険を伴う」

提督「いつも以上の緊張を持って作戦にかかれ!!」

みんな「はい!!」

霞「それで私たちはどこで待機するの?」

提督「大淀、霞、俺は倉庫小屋で待機。囮が成功し次第、演習場付近に移動だな」

大淀「わかりました」

提督「それでは作戦を開始する」ジジッ…

提督「龍驤、祥鳳、瑞鳳、聞こえるか?」

龍驤『聞こえてるで~。ちゃちゃっと終わらそうや』

祥鳳『大丈夫です。よーし、頑張ります』

瑞鳳『さあ、やるわよ。提督』

―倉庫小屋―

提督「準備はバッチリだな……」

提督「偵察機準備!! ……発艦始めっ!!」ブロロッ…

霞「一、二……。偵察機六機確認したわ」

提督「次は武蔵たちだな」

提督「武蔵、妙高、那智、準備は大丈夫か?」ジジッ…

武蔵『いいぞ。いつでも大丈夫だ』

妙高『大丈夫です』

那智『問題ない。ゾンビとやらが楽しみだな』

提督「よし、偵察の報告を受けるまで待機しておけ」

大淀「……提督、龍驤さんたちから通信が来ました」

提督「ずいぶん早いな」ジジッ…

龍驤『鎮守府周辺には一体しかいなかったで? これ偵察機出す意味あるん?』

提督「確認は大事だぞ、龍驤」

龍驤『ん……、いや、街のほうにはたくさんいるみたいや』

提督「一体だけはぐれて来たということか……?」

祥鳳『もう大丈夫ですか?』

提督「ああ、すぐ帰ってこい。何があるかわからないからな」

提督「武蔵、今の聞こえたか?」ジジッ…

武蔵『すぐに向かうぞ。妙高、那智』

妙高『妙高、参ります』

那智『わかった』

提督「武蔵たちも向かった。俺たちは演習場付近に向かおう」

霞「ええ、早く終わらせましょ」

大淀「はい。何も起こらなければいいのですが……」

霞「ねえ、演習場に連れてきたとして、そこからどうするの?」

提督「演習場には秘密兵器があるんだ……」ニヤッ

大淀「あー、あの鹵獲装置ですよね?」

提督「……大淀さん、まさか知っていらっしゃる?」ダラダラ…

霞「何かまずいものなのね……」

大淀「明石さんに作らせた対深海棲艦用鹵獲装置。提督が欲望のために作ったと聞きました」ゴゴゴ…

提督「違うんです!! 鹵獲して色々と調べてみたいなぁ……って思っただけなんです!! それに明石も乗り気だったはず!!」ペコペコ

大淀「ちょっと脅したらゲロしましたよ。それに提督、私は怒ってませんよ?」ゴゴゴ…

霞「はぁ……、あんたがバカなことするからじゃない」

提督「すみませんすみません!! ちょっとした出来心だったんです!!」ペコペコ

大淀「うふふ、私は本当に怒ってません。でも、大本営に見つかったら何されるか……、危険ですので今後はやめてくださいね」

提督「あ、ありがとうございます!!」ヤッタネ

霞「これじゃ、どっちが上の立場かわからないわね」

提督「それは言わないでくれ。それより演習場付近に着いたぞ」

大淀「そういえば鹵獲装置って陸でも使えるんですか?」

提督「一応、陸で捕まえることも想定してたから大丈夫なはず……」

霞「どんな想定したらそうなるのよ、まったく……」

提督「一言で言うならば、ロマン、だな」

霞「はいはい。その鹵獲装置どこにあるの?」

提督「ここの演習場倉庫に……。よっと……」ドサッ

大淀「……意外とそこまで大きくありませんね」

提督「対深海棲艦用って言っても、駆逐艦とかの小型が対象だからな。でかいのは普通に無理だし……」

大淀「まぁ、いいでしょう。ゾンビには十分ですからね」

霞「早速、設置しちゃいましょ」

提督「とりあえず正門方面に続く道のほうに置けばいいかな」

霞「そうね。……そういえば、あんた、この鹵獲装置のことは武蔵たちには伝えてるの?」

提督「あっ……」

霞「はぁ……。早く伝えなさいな」

提督「すまん。武蔵、そっちはどうだ?」ジジッ…

武蔵『む……、提督か。こっちは順調だぞ。無事ゾンビを誘き寄せることに成功した』

提督「そうか。では、そっちに伝えたいことがある」

提督「演習場付近まで来たら、すぐに鹵獲装置が設置してある。そこにゾンビを誘導してくれ」

武蔵『了解した。それだけか?』

提督「ああ、くれぐれも慎重に頼むぞ」

龍驤「……おーい、ちょっち様子見に来たでぇ~」

霞「龍驤じゃない。あとの二人はどうしたのよ」

龍驤「ん? 二人は食堂に戻る言うてたわ」

督「龍驤、危険だから食堂に戻ってくれ」

龍驤「へぇ~。そんな危険な作戦をうちにやらせてたん? キミィ……」

提督「お前しかないと思ったんだよ。それに、これからやることは本当に危険だ」

龍驤「だから心配で見に来たんやよ」

提督「苦労かけてすまないな。失敗するつもりはないから安心しろ」

龍驤「そう? ほな、うちはお暇するわ」

大淀「……提督、設置完了しました」

提督「わかった。そっちに行く」

>>68ミスってる

提督「龍驤、危険だから食堂に戻ってくれ」

龍驤「へぇ~。そんな危険な作戦をうちにやらせてたん? キミィ……」

提督「お前しかないと思ったんだよ。それに、これからやることは本当に危険だ」

龍驤「だから心配で見に来たんやよ」

提督「苦労かけてすまないな。失敗するつもりはないから安心しろ」

龍驤「そう? ほな、うちはお暇するわ」

大淀「……提督、設置完了しました」

提督「わかった。そっちに行く」

提督「よし、これでもう大丈夫だ。あとは武蔵たちを待つだけ……」

霞「ここに色々持ってきたけど、どれを試すの?」ドカッ

提督「周囲に影響が少ないものからになるな……。何が効くかもわからないし……」

大淀「そうですね。一般人もろともゾンビを倒しても意味がないですから」

提督「時間かけ過ぎたみたいだな……。武蔵たちが来た」

霞「ゾンビを鹵獲してからでも遅くはないんじゃない?」

大淀「今はゾンビに集中しないとですね」

武蔵「鹵獲装置というのはあれだな。あと少しで終わりだ!!」ダッ

妙高「はい!!」ダッ

那智「やっと酒が飲めるな!!」ダッ

ゾンビ「グガアァァァアアアアァァア!!」

提督「近くで見たら結構気持ち悪いな……」フム…

霞「そんなアホなこと言ってる場合じゃないでしょ!! そこは危ないわよ!!」グイッ

ゾンビ「ガアアアァァァアアッ!! グゥウウウゥゥウア……」ガチャッ

武蔵「ふぅ……。これで終わりか……」

那智「意外に早い速度で走ってくるから驚いたぞ」

妙高「もう今日は仕事できなさそうです……」

提督「お前たち、よくやってくれた。あとは俺たちに任せてくれて構わない」

妙高「すみません。あとはよろしくお願いします、提督」

那智「こんな夜には酒が飲みたくなるな……」

提督「武蔵……。お前は戻らないのか?」

武蔵「む、この武蔵が作戦を途中で投げ出すだと……? ありえんな」

提督「武蔵がいいならいいか」

霞「いいかじゃないでしょ!! さっきのどういうつもりよ?」

提督「すまん、俺が軽率だった。ゾンビをよく見ておこうと思って……」

霞「もうあんな危険なことしないでよ……」

大淀「それでどうしますか?」

提督「……あらゆる可能性を考えねばならない。感染の可能性も……」

大淀「感染……? 感染ってどういうことですか?」

提督「映画やゲームでよくあるやつだ。ウイルス感染によるゾンビ発生拡大だな」

霞「つまりここでゾンビを倒したとしても……」

提督「ああ、接触や空気による感染で俺たちもどうなるかわからない」

武蔵「それではどうするのだ?」

大淀「厳重な装備または感染しない距離で対処するしかないですね」

提督「大淀の言う通りだ。遠距離から対応することにする」

霞「それが妥当ね。でも、その後はどうするの?」

提督「……防護服を来て処理というところになるな。ないかもしれないウイルスに効くかわからないがな」

大淀「了解しました。何も起こらなければいいのですが……」

武蔵「……」

霞「さっさと離れちゃいましょ」

提督「ああ、ゾンビも待ちくたびれるかもしれないしな」

大淀「無事に成功させましょう」

武蔵「感染……か」

提督「まずは主砲を試そう」

提督「装置が壊れることを考慮して、これは霞に任せる」

霞「わかったわ。……いくわよ!!」ダーン

ゾンビ「グガアァアアァァアアアァァ!!」ブシャ

大淀「当たりましたがやはり効果はほとんどないようですね」

武蔵「これだと副砲も効かなさそうだ」

提督「機銃も効かなかったから当然と言えば当然か」

霞「ふぅ……」

提督「次は爆撃を行うことにする。一つ一つ可能性を潰していこう」

霞「爆撃なんて誰がやるのよ。それに装置だって無事に……」

提督「装置は対爆化してあるから大丈夫だ。それと誰がやるか一つ方法がある」

武蔵「方法……?」

大淀「爆撃機を飛ばせる娘でも呼ぶんでしょうか?」

提督「いいや、ドラム缶だ」

霞「はぁっ!? 何バカなこと言ってんのよ?」

武蔵「これには流石に……」

提督「真面目にだ。ドラム缶に爆薬を詰め、ゾンビのところまで転がす」

提督「ドラム缶を撃てば無事爆発する。これが安全な方法だと思うが?」

大淀「考えられる時間はあまりないでしょうし……」

霞「……わかったわよ。それで行きましょ」

武蔵「ううむ。大丈夫なのか?」

提督「早速やるぞ」セッセ…

霞「うぅ……。やっぱり心配だわ……」

提督「できたな。いいところまでいったら霞が撃ってくれ。……いくぞ」ゴロゴロ

霞「ああ!! もうっ!! ……これでいいわね!!」バン

ゾンビ「グュガアアァァガガァアアァァ!!」ドカーン

大淀「……あれ? 思ったより効いてる?」

武蔵「うむ。次第に動かなくなっていくな……」

ゾンビ「グ……ガァ……アアア……」

霞「まさかの成功だったわね……」

提督「ゾンビには爆発が有効ということか?」

提督「とりあえず防護服を着て近づいてみよう」カチャカチャ

霞「それ一着しかないの? 私たちはどうすればいいのよ」

提督「お前らはここにいろ。俺一人で行ってくる」タッタッタッ

大淀「あ……!? 提督……」

武蔵「行ってしまったな。これ以上は私たちはどうすることもできない」

霞「本当に大丈夫かしら……」

大淀「心配です……」

ゾンビ「……」

提督「もう死んでる……っていうか、もう動かないよな?」ジー

提督「まぁ、流石にこんなバラバラになって燃えてたら動かないな……」

提督(そーっとそーっとだぞ、俺)ソー

ゾンビ「……」

提督「……ん? これ爆発で倒れたのか……?」

提督「それにしてはバラバラになってないような……」フム…

提督(どういうことだ?)

提督「まさか燃えて動かなくなったとか?」

提督(ということはゾンビは火に弱いということになるな……)

提督「よし、ゾンビの破片を集めてっと。これで袋に入れれば大丈夫だな」セッセ…

大淀「提督ー!! すぐに戻ってきてください!!」

提督(……何かあったのかな?)タッタッタッ

提督「何があったんだ?」

龍驤「司令官、大変や!! 食堂が!!」

提督「食堂? 食堂がどうしたんだ」

龍驤「食堂で鳳翔が倒れたんや!!」

提督「何だって? それは心配だ。鳳翔はなぜ倒れたんだ?」

龍驤「明石が診たんやけど……。原因がわからないって言ってるんや」

提督「わからないってことはないだろう」

龍驤「……うちに言われても。でも、鳳翔の足首に噛まれた跡があったで」

提督「跡か……。それはまずいかもしれないな。早く行こう」タッタッタッ

―食堂―

提督「鳳翔はどこにいる!?」

明石「提督、一応寝かせているんですが……」

鳳翔「……」シーン

明石「足首の跡は応急処置だけしておきました」

提督「そうか。鳳翔を医務室に運ぶか……。いや、ドックに運んだほうがいいかな……」

霞「何に噛まれたかわからないのなら医務室のほうがいいわね」

龍驤「運ぶの手伝うで」

武蔵「私も手伝う」

明石「はぁ……。これからどうなっちゃうのかな……」

医務室

鳳翔「……」

大淀「明石、この噛み跡の原因を調べることはできるの?」

明石「そうですね。噛み跡の形と、傷に付着した成分とか調べればなんとかなるはずです」

提督「よろしく頼んだ」

明石「はい。なんとかしてみせます」

霞「……そういえば。あんた、それどうするのよ」

提督「ん? あっ、このゾンビの破片……。明石、これ調べることできるか?」

>>89ミス

―医務室―

鳳翔「……」

大淀「明石、この噛み跡の原因を調べることはできるの?」

明石「そうですね。噛み跡の形と、傷に付着した成分とか調べればなんとかなるはずです」

提督「よろしく頼んだ」

明石「はい。なんとかしてみせます」

霞「……そういえば。あんた、それどうするのよ」

提督「ん? あっ、このゾンビの破片……。明石、これ調べることできるか?」

明石「できますけど。そういうのは夕張のほうが得意ですね」

提督「そうなのか。それじゃ、これは夕張に任せるか……」

霞「それなら早く夕張に会いに行きましょ」

大淀「私は明石の傍に付いています。何かできることがあるかもしれませんので」

龍驤「ほな。うちは食堂に戻るで」

武蔵「私もそうさせてもらう」

提督「みんな、今日はありがとう。……霞、行くぞ」

霞「ええ、なんとかしなきゃね」

―工廠―

提督「夕張ー。いるかー?」

霞「暗いわね。やっぱり食堂にいるんじゃないの?」

提督「うーん、さっきいなかったからここだと思ったんだがな」

夕張「……提督? 提督なの?」キョロキョロ

霞「何、いるじゃないの。いたなら返事くらい直ぐにしなさいな」

夕張「良かったぁ……。怖くて一歩も動けなかったですよ……」

提督「鎮守府内にほとんど危険はないぞ」

夕張「あれ? そうなの? ゾンビって聞いたから、てっきり大襲撃でもあったのかと……」

霞「そんなわけないでしょ。ここは一応、軍施設なんだからセキュリティはしっかりしてるわ」

夕張「あはは……。確かにちゃんと考えてみれば、それもそうね」フム…

提督「アニメの見過ぎだよ。それよりこれなんだけど……」

夕張「うん? 何これ?」ウーン…

霞「ゾンビよ。ゾンビ」

夕張「きゃあ!! なんてもの持ってくるのよぉ!!」ズサッ

提督「これは大丈夫だ。もう動かないからな」

夕張「それでもよぉ!! うわぁ~ん!!」グスン

提督「落ち着け落ち着け。どうどう」

霞「私たちがこんなのに怯えてどうするのよ?」

夕張「ぐすっ。すいません……。それでこれを何するのかしら……?」

提督「これを調べて欲しいんだよ。ウイルスとか色々ね」スッ

夕張「ひっ!! ち、近づけないで、そこのテーブルに置いといてください」ズサッ

霞「そんなんで調べられるの……?」

夕張「ふふん。意地でも調べてやろうじゃない」フフンッ

霞「なんだか不安なのは気のせいかしら」

提督「まぁ、任せよう」

―医務室―

提督「戻ってきた。鳳翔の容体はどうだ?」

明石「あ、提督。鳳翔さんに変わりはないです」

霞「噛み跡の結果はどうだったのよ」

明石「犬の噛み跡だと判明しました、が……」

提督「もしかして良くない結果が出たのか?」

明石「はい。付着した成分を調べたところ、解析不能のウイルスがいくつか含まれてました」

提督「……!? つまり犬が何かしらに感染してたということか……」

明石「ええ、しかも未知のものです」

霞「鳳翔に変化はないんでしょ? 安全なものなんじゃないの?」

明石「もちろん、その可能性はありますけど、限りなく低い可能性です」

提督「ゾンビか……」

明石「……はい」

霞「これでゾンビのウイルス説が一層濃くなったわね」

提督「大淀、他の鎮守府に連絡を取れるか?」

大淀「相手方が受けてくれれば、可能です」

提督「そうか。では、○○鎮守府に連絡を取ってくれ。そこの司令官と知り合いなんだ」

大淀「わかりました」スタスタ

霞「今さら連絡取ってもね……」

明石「この状況になっては意味がない気がしますよ?」

提督「別に情報が欲しいわけじゃない。あいつの所はゾンビ大量発生地域でもあるから、むしろ情報が欲しいのはあっちだ」

霞「なら、尚更なんのために連絡するのよ」

提督「あいつの鎮守府は大本営を守ってる鎮守府の一つでな」

提督「今から大本営に直談判に行こうと思う」

明石「それに何の意味があるんですか?」

霞「寝言は寝てから言いなさいな」

提督「確かに突拍子もないが、別に考えなしに言ってるわけじゃない」

提督「今、ゾンビの倒し方がわかっている以上、それを大本営に実行してもらう」

提督「大本営なら大規模な地域でゾンビを焼却することができる」

明石「できるとは思いますが……」

霞「実行してくれるとは限らないわ」

提督「ああ、それでも可能性があるならな」

大淀「提督ー。繋がりましたー」

提督「……そっちに行く」スタスタ

霞「はぁ……。あいつもバカなこと考えるわね」

明石「でも、望みがあるんですから」

霞「そうね。それだけが唯一の助けだわ」

鳳翔「ぐっ……!? あぁがぁああ!!」

明石「……鳳翔さんっ!? 大丈夫ですかっ!?」

霞「……!? 何が起きたのよ!!」

明石「わかりません。……恐らくですが、ウイルスが侵食を始めたのかもしれません」

霞「ということは……、ちょっと足首を見させてもらうわよ」バッ

明石「見たところ、噛み跡周辺が腐食してますね。これが原因みたいです」

霞「ゾンビ化してるみたいね。あいつはいつ戻ってくるのよ……」

大淀「提督、戻ってきましたよ?」スタスタ

提督「何かあったのか?」スタスタ

霞「何があったじゃないわよ!! 大事な時なんだから早くしなさいな!!」

提督「すまん。話を付けるのに時間がかかってな……」

明石「提督、これ見てください……」スッ

提督「……これはまずいよな?」ジッ

明石「そうですね。少なくとも良いことではないです」

提督「これは先を急いだほうがいいみたいだな。さっさと大本営に向かおう」

霞「あんた、鳳翔はどうするのよ?」

提督「お前らが看ててくれ。大本営には一人で行く」

大淀「どうやって行く気なんでしょうか? 陸路は難しいですよ?」

提督「もちろん海路だ。船に乗って○○鎮守府に向かう」

霞「危ないのはわかってると思うけど、そんなに深海棲艦に襲われたいのね」

大淀「せめて護衛に駆逐艦を……」

提督「陸に近い安全確保した海路を進むから大丈夫だろう。それに、もし鎮守府で最悪の事態が起きた場合、対処する人数が必要だ」

霞「はぁ……、呆れた。もう勝手にしてちょうだい。そのまま死んでも知らないわよ」

大淀「何かあったら直ぐに報せてください。何が起きるかわかりませんので」

明石「提督、死なないですよね?」

提督「大丈夫だ。この事態を早く終わらせたいんだ」

提督「渇して井を穿つ前に、大本営には他にも問い詰めたいこともある」

提督「三人とも、鳳翔を頼んだ。最悪の場合は鳳翔の解体を厳命しておく」

鳳翔「……」シーン

―どこかの海上―

提督(大本営……)

提督(俺もあいつも同じ意見だった。それを大本営に問い詰めなければならない)

提督(いつまでも膠着状態を続けているわけにもいかないしな)

提督(鳳翔よ。俺が戻ってくるまでは耐えててくれよ)

提督(誰一人欠けないと誓ったんだ……)

―○○鎮守府―

提督「久しぶりだな」

友人「えぇ~と、半年前の演習以来だったかね?」

提督「誰と間違えたんだ。最後に会ったのは、一年前の合同作戦の会議時以来だ」

友人「そうだっけ? まぁ、いいよ。それよりも大本営に向かおうぜ」

提督「相変わらず適当だな。向かうのには同意見だけどね」

友人「ほほー、僕のことわかってるじゃないか。流石、同期なだけあるね!!」

提督「うるさい。……大本営までどう向かうんだ? 陸路は危ないだろ?」

友人「ノノノン。大本営が対処しないと思う? だって防衛ラインだよ?」

提督「でも、ここら辺ってゾンビ大量発生してるんじゃないのか?」

友人「大本営とは遠いエリアだから大丈夫大丈夫。一応、念押しで車に護衛は付けるけどね」

提督「あぁ、わかった。もう行けるのか?」

友人「僕を舐めてるのかな? かなかな? 準備なんてとっくにバッチリよ」

提督「ウザいからやめろ。さっさと行くぞ」スタスタ

友人「久しぶりに会ったのに……。ノリ悪いなぁ……」スタスタ

―車中―

提督「後ろにいる車が護衛か?」ブゥーン

友人「うん。長門と川内と神風が乗ってるよ」ブゥーン

提督「そうか。……お前はどう思う? ゾンビについて」

友人「あまり考えないようにしてるけど、強いて言うなら、やっぱり恐ろしい存在なのは間違いないね」

友人「早くこの非日常から解放されたいんだけども……」

提督「無理言うな。食い止めることはできても、完全消滅は望めないだろう」

友人「長い時間が必要なのはわかってるよ。バカが提督やってたらまずいでしょ?」

提督「そんな奴いたらぶっとばしてやる。ついでにゾンビも……」

提督「はぁ……。ゾンビの異常発生の原因さえわかれば、対処のしようがあるんだよな……」

―大本営―

友人「着いたよ。けど、門番さんがいなけどどうする?」ガチャ

提督「そのまま入るに決まってるだろう」ガチャ

友人「あ、ちなみに門番さんがいた場合、太ってるほうに話しかけるほうが僕的にはいい……って」

提督「……」スタスタ

友人「ちょっと、話の途中で先に行くなってのー」スタスタ

提督「……様子がおかしいな。人がいない」

友人「無視ですか。それに、あのいつも誰かしらいる大本営だよ? そんな訳……、あれ、本当だよ……」

提督「もしかして、ここも……?」

友人「そんな訳ないだろうよ。実際、ここに来るまで、ゾンビ見なかったんだぜ」

友人「ここだけ、ピンポイントに襲われるわけないね」

提督「そうだな。どこかの部屋に集まっているかもしれない」

友人「んー。そうなると大会議室かな?」

提督「人が多く入れそうな場所はそこしかないな」

提督「さっさと用事を済ませて戻ろう」

友人「……あれ? 大会議室、こっちで合ってるけ?」ウーン

提督「そっちは元帥室だ。こっちが大会議室」

友人「早速、入っちゃおうぜー!!」タノモー

提督「おい!! バカ……!!」

友人「ぎゃあっ!?」バン

元帥「誰だ!! 貴様ら!! 今すぐ手を上げろ」バン

提督「考えればわかるだろっ……。バカ……」スッ…

友人「すまんね」スッ…

元帥「……ん? 貴様、○○鎮守府の司令官だな? そっちは……」

提督「第…鎮守府の提督です」

元帥「お前たち、まさかゾンビに襲われてはないだろうな?」

友人「襲われてないですけど……」

元帥「そうか。もう手を下げていい。それから扉を閉めて、こちらに来てくれ」

元帥「まだ危険があるかもしれんからな」

提督「わかりました」スタスタ

提督「……」

元帥「まぁ、待て。言いたいことはわかる」

元帥「貴様ら、ゾンビについて聞きに来たんだろう?」

友人「そうですね」

提督「いえ、その前に聞きたいことがあります。この状況について」

提督「なぜこの大会議室には元帥しかおられないのでしょうか?」

元帥「……違う部屋で指示を送る艦娘が数人いる。他の艦娘は現地に。それ以外の人間はゾンビのいない所に逃げた後じゃ」

提督「元帥はお逃げになられなかったのですか?」

元帥「海軍の長として働く義務がある。ただそれだけのことだ」

提督「……そうですか。つまらないことをお聞きして申し訳ありませんでした」

元帥「よい。それも当然の疑問じゃ」

元帥「さて本題に移ろう。ゾンビ……、大本営の調査でいくつかわかったことがある」

提督(場合によっては鳳翔を助けられるかもしれない……!!)

元帥「一つはほとんどの攻撃は効かず、だが唯一、燃焼にだけは弱い」

元帥「それと人間と同じような五感を持っている。元の人間の能力をそのまま受け継いでいるみたいだ」

元帥「他の弱点として、歩行速度がやや劣っている。弱点についてはこのくらいだ」

友人「ゾンビについて他にわかったことがあるんです?」

元帥「ゾンビは一体を元凶として増えていると考えられる」

元帥「感染していくほど、そのゾンビの感染能力は下がっていくが、同時に元凶から活動能力を齎されている」

提督「その元凶を倒さなければ、ゾンビがいなくならないんですね?」

元帥「ああ、その元凶さえ倒せれば全てのゾンビは活動することができない」

友人「その元凶はどこにいるんです? 当てずっぽうじゃ見つけられませんよ?」

元帥「いる場所は検討ついておる」

元帥「最もゾンビが発生してる○○と××じゃ」

提督「情報ありがとうございます、元帥」

元帥「……他に聞きたいことがあるのだろう?」

提督「ええ、まぁ……」

友人「あまりこういう考えは良くないとは思ってるですけど……」

元帥「……」

提督「元帥、単刀直入に聞きますが、この件に関して大本営は関わっていませんよね?」

提督「あまりにもゾンビ発生してることを知るのが早過ぎるんですよ」

提督「大本営から連絡が来たのは、テレビで報道される前だった」

提督「つまり、大本営は自らゾンビの存在を確認したということになる」

提督「……おかしいとは思いませんか?」

元帥「貴様が言いたいことはわかる」

元帥「疑問に思うのも当然だろう。しかし、それはただの戯言じゃないかね」

元帥「確かに大本営はすぐに情報を得た……」

元帥「が、大本営は国の機関であるぞ? 情報網が報道機関より広く緻密であるのは当然のことだ」

提督「そうですか。疑ってしまい申し訳ありませんでした」

友人「お、おい……いいのか?」

提督「よし、もう帰るぞ。行くぞ」スタスタ

元帥「最後に!! 最後に言っておく。ゾンビの感染者は十二時間の内であるならば助かる……」

提督「ご忠告ありがとうございます……」ガチャ

友人「待ってくれよっ」タッタッタッ

元帥「……行ったか。すまんな、今は助けられない」

元帥「普通の人間は持つが、艦娘がどうかわからないことは肝に銘じておいてくれ」

―廊下―

友人「本当に良かったのかよ……」

提督「問題ないな。あ、お前の艦娘たちを大本営に止まらせておけ」

友人「わかったが……。大本営を敵に回すか?」

提督「敵じゃない、中立にさせるだけさ」

―鎮守府・医務室―

提督「戻ってきた。鳳翔の様子はどうだ?」

霞「もう!! 遅いわよ!!」プンスカ

明石「見ての通り、まずい状況ですよ……」

鳳翔「ぐっ……ああぁぁああぁ……」

提督(鳳翔の身体の半分ほどゾンビのようになっていた)

提督(苦しむ声はまだ意識が残ってる証拠だろう)

提督「……夕張のところに行ってくる」

霞「夕張ならもう来たわ」

提督「なんか言ってたか?」

霞「えーっと、確か……。このウイルスに対しての治療法がないって言ってたわね」

明石「詳しく言えば、元来の療法が使えないんです」

提督「俺たちが直接治すことはできないか……」

提督「だが、大本営で情報を得てきた。ゾンビはどこかにいる元凶を潰せば動けなくなるらしい」

霞「それじゃ話は早いじゃない。早く潰して解決しましょ? それはどこにいるの?」

提督「霞、焦るな。そいつは○○か××にいると思われる」

霞「なら、そこに行きましょ?」

提督「無理言うな。どこにいるかわからないものを……」

大淀「あれ? それならわかるんじゃないですか?」

提督「……どういうことだ?」

明石「……あっ。確かにあれで合ってると思いますよ」

霞「あー、あれね」

提督「お前たち、勿体ぶらないで早く教えてくれよ」

大淀「私たちもさっき知りましたが。それは……」

大淀「これです」サッ

提督「これは、写真か?」ジッ

大淀「そうです。これのここを見てください」ピッ

提督「……確かに、ここに他とは少し違うゾンビがいるな。元凶はこいつか……」

提督「だが、この写真はどこで手に入れたんだ?」

霞「なんか送られてきたのよ」

明石「でも、送り主がわからないんですよね」

提督「誰かはわからないが、情報に感謝だな。この場所は××か……」

霞「さっさと行きましょ。今度は私も行くわ」

大淀「私たちはここにいますから、早く行ってください」

明石「これ以上、鳳翔さんを苦しめちゃダメですよ?」

提督「ああ、戦力が足りるかわからないが、なんとかしてみせる」

霞「私で一人で十分よ」

提督「頼もしいよ。早く向かおう」

霞「ええ」

霞「でも、どうやって向かうのよ」

提督「今回は陸路のほうが近い。山を伝っていく」

霞「つまり山登りするの?」

提督「そうなる。つらいかもしれないが我慢してくれ」

霞「そんなことで音を上げるわけないじゃない。バカなの?」

提督「言いたいことは終わったあとに言ってくれよ」

霞「はいはい」

―××付近―

霞「この辺よね」

提督「そうだが、やけに静かだな」

霞「ゾンビ一体すら見かけないわね。本当にいるのかしら?」

提督「あの写真が罠だったとか……」

霞「罠を仕掛ける必要なんてないでしょうよ」

提督「それもそうだ。あっ、あそこの工場に行ってみないか?」

霞「なんであんな所に工場があるのかしら?」

提督「もう使われてないみたいだし……。看板を見ると、どうやら製紙工場らしいな」

霞「まぁ、入ってみましょ」スタスタ

―製紙工場―

提督「うわ……、暗いな……」スタスタ

霞「そこら中に埃が積もっているわね……」スタスタ

霞「ん? これは血かしら……」ベチョ

提督「床中に広がってるみたいだな」キョロキョロ

霞「ねぇ、もしかして……」

提督「そうだと思うよ」

霞「急ぎましょ」タッタッタッ

提督「ああ」タッタッタッ

霞「いたわ!! あれね!!」

ゾンビ「グゥウウゥゥウウ……」

提督「霞、気をつけろよ……」

霞「大丈夫よ。遠くから夕張特製の焼夷爆弾を投げるだけだもの」

提督「そんなもん作ってたのか。夕張よ……」

提督「でも、危ないから最大の注意を払ってくれよ」

霞「わかってるわよ。……行くわよっ!!」シュッ

提督「焼夷爆弾が製紙機械に引っかかって……」

ドカーン……ヴゥオオ……

霞「けほっ、けほっ。やったの!?」

ゾンビ「……」

提督「……動いてないみたいだ。これで終わりなのか……?」

霞「一応、確認してみましょ」ソロー

提督「そうだな」ソロー

ゾンビ「……」

提督「霞は離れててくれ。俺が確認する」ソー

霞「気をつけなさいよ」

提督「……動かないよな」

ゾンビ「……ガアァッ!!」バッ

霞「きゃあっ!?」ガシッ

提督「か、霞、大丈夫か!?」バシッ

霞「はぁ……、はぁ……。大丈夫よ。腕を掴まれただけよ」

ゾンビ「……」シーン…

提督「こいつ……。最後の力を振り絞って……」

提督「でも、これでもう終わりだよな?」

霞「多分ね……」

―鎮守府・食堂―

提督「帰って……きた……ぞ」ピタッ

霞「どうしたの……よ」ピタッ

大淀「……提督!! 大丈夫でしたか!?」タッタッタッ

提督「どうしたんだ!? この有り様は!?」

提督(食堂が血で赤く染まり、そこら中に艦娘たちが倒れていた)

提督(まさか……)

霞「もしかして鳳翔なの?」

大淀「……そうです。急にゾンビ化するのが早まって……」

提督「間に合わなかったのか……」

大淀「今は戦艦の人たちが取り押さえています。こっちです」タッタッタッ

提督「鳳翔……」タッタッタッ

霞「……」タッタッタッ

鳳翔「があぁああっ!? あぁあああっ!!」バタバタ

金剛「あっ、提督ぅー!! ちょっとヤバいかもしれないデース!!」

提督「鳳翔っ!! なぜゾンビ化が進行したんだ……。あいつは倒したのに……」

霞「遅かったのね……。鳳翔をどうするの?」

金剛「提督ぅ……」

提督「仕方がない。鳳翔は解体処分する。大淀、あとは任せたぞ」

大淀「……はい。わかりました」スタスタ

鳳翔「……」シーン

金剛「提督、イイんですカ?」

提督「……」

霞「これが最善なのよ、金剛……」

金剛「そうデスカ……。わかったネ……」

提督「金剛、他のみんなは大丈夫なのか?」

金剛「傷が少ない娘は医務室に行ってるネ。重傷の娘は入渠してるデス……」

提督「そうか……。今いる娘たちの看病をしよう」

霞「それがいいわね」

金剛「わかったヨ……」

提督「金剛もそう落ちこむな。こんな非常事態だ。むしろ被害は少ないほうさ」

金剛「でも、イイ気分じゃないネ……」

提督「そういうもんだよ」

~~~

提督「これでもう終わりかな」

霞「本当に終わったのね……」

金剛「疲れたネ……」

提督「やっと休めるだろう。今までお疲れさま」

大淀「……任務達成してきました」スタスタ

金剛「……」

提督「そうか。お前は悪くないからな、大淀」

大淀「弁えてますので、ご安心を」

提督「霞、ちょっといいか?」

霞「急に何よ」

提督「着いてきてくれ」スタスタ

霞「……わかったわ」スタスタ

大淀「提督、どうしたんでしょうか?」

金剛「んー……。Secret Talkですかネー?」

大淀「そうかもしれませんね……」

―鎮守府海辺―

霞「で、何よ?」

提督「霞、お前何か隠してないか?」

霞「はぁ? 私が何を隠すって言うのよ。大体……」

提督「霞っ!! 本当のことを……、腕を見せてくれ……」

霞「な、何で見せなくちゃならないのよ……」

提督「いいから見せてくれ」

霞「わかったわよ。……はぁ、隠せるわけなかったわね」ヌギッ

提督「……やっぱりか」

提督(掴まれた跡から腕全体がゾンビ化していた)

霞「ねぇ、私……」

提督「何も言うな。恨むなら俺を恨んでくれよ」

霞「あんたなんかを恨む理由なんてないわ。……このクズ司令官」

提督「……ごめんな。俺が悪いんだ」

霞「それ以上、言わないでちょうだい。口潰すわよ? あんた、早くしなさいな」

提督「わかったよ。……じゃあな、霞」ドンッ

霞「ええ、ありがとう。司令官」ボチャン

提督(俺は霞を殺した。彼女にとってこれで良かったのだろうか?)

終わり

まさか100レス越えるとは思わなかった……
最初は50レスくらいの予定だったのに

すまんな
途中から面倒くさくなったんだ

ひどいとは思っていたが、流石にひど過ぎたか……
色々と反省はしてるつもり

マジで?
こんな作品を酷評とは言え、評価する奴がいたのか……

>>148
「エレファント速報」で本作がまとめられて紹介されてるから、そこのコメント欄見てきな
作者降臨とかすんなよ

つまんなかったwwwwwwwwwwwwww

>>150
流石にしないわ
>>151
これを面白いと思う奴はいない

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年09月13日 (水) 22:43:40   ID: XE5z7uXn

最後がひどすぎる。あっさりし過ぎ。

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