卯月「Pさんのホームランダービー」 (157)

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「お願いします、常務…!」

「やれやれ、君も本当に諦めの悪い男だな」

「しかしその姿勢は嫌いじゃない。熱意に免じて…CPの解散、再考するとしようか」
 
「本当ですか!」

「但し――条件がある」

「条件…」

「口では何とでも言えるからな。君と君のアイドル達の覚悟を見せてみろ」

「…分かりました。私は彼女達を信頼しています」

「例えどの様な高い壁であっても、星が輝くのはその更に上…!」
 
「ふん…なら文字通りに壁を越えてもらおうじゃないか」カチャカチャッ タンッ
 
「………?」

「これを見たまえ」クルッ

 
 
       「こ、これは…!」

 
   

莉嘉「Pくん大丈夫かなぁ…」

みく「今は信じて待つしかないにゃ」
 
   ガチャッ…
 
未央「プロデューサー!」

凛「…どうだった?」
 
P「……………」
 
みりあ「だ、駄目だったの…?」

P「条件を…出されました」

李衣菜「条件?ってことはそれをクリアすれば私達解散せずに済むってこと?」

未央「やったー!流石P交渉上手っ!」

凛「…喜ぶ前に、どういう条件なのか聞いた方が良いと思うよ」

P「…………」

卯月「そ、そんなに難しい条件なんですか?」

P「期限は…今から72時間。あるゲームを【完全クリア】することです」

智絵里「ゲ、ゲームですか?」
  
かな子「意外だね…あの常務がそんな遊び心を」
 
きらり「でもそんな条件なら簡単だにぃ。だってきらり達には杏ちゃんが居るもんっ☆」

杏「ふっふっふ働くこと以外に関しては任せなさい。って言いたいけど、ゲームによっては72時間じゃ物理的に不可能とかザラにあるよ?」

P「…その心配はありません。最短であれば…そうですね、30分もあれば最終ステージをクリアすることは可能でしょう」

未央「ねぇねぇ勿体ぶらないで早く教えてよプロデューサー。何ていうゲーム?」

 
 
 
「…………」テクテク…

   
「あら友紀はん。珍しく神妙な顔してどうしはったんどす?」

「お腹でも痛いですか?ダメですよまた飲んだくれた流れで食べ過ぎたんでしょう」

「いや…さっき常務室の横を通って、話し声が聞こえたから盗み聞きしたんだけどさ」

「何をやってるんですか良い大人が…」

「シンデレラプロジェクト――無くなっちゃうみたいだよ」

未央「まさかPS4でもswitchでもスマホアプリでもなく、Yahoo!きっずのブラウザゲーだとは」

凛「小学校の時の情報の時間以来かな。Yahoo!きっず」

みりあ「凛ちゃんもやってたんだ!みりあも授業の余った時間とかに友達とやってるよ!」

P「そこです。そして、スポーツの欄にある…」

美波「これね…本当に子供向けのゲームなんですね」

みく「何か勘違いしてる訳じゃ無いんだよね?もしくは冗談とか…」

P「いえ、常務はたしかにこの『くまのPさんのホームランダービー』を完全クリアすれば、との条件を仰っていました」

凛「…伏せ字にする意味あるのかな」

美波「本当に私がやるので良いの?杏ちゃん」

杏「うん杏は前にちょっとやったことあるからね、時間もあるしまずは皆で楽しんでみなよ」

未央「私がやったら30分で終わらせちゃうからって?く~流石歴戦のゲーマーは言うことが違いますなぁ」

杏「あはは…」
   
凛「イーヨー…そうえば子供の頃に見たことあるかも」

アーニャ「ミナミ、ファイトですっ」

蘭子「獰猛なる森の王者の誇りを此処に示さん!」

美波「うん!美波、行きますっ」

 

――有識者、姫川友紀は語る
 
「最初は、ただの子供騙しのゲームだと思ってたんだよ」

「私もそんなにゲームに明るい訳じゃないけど、パワプロだけはずっとやり込んでるからね」

「ただのホームラン競争。1時間もやればクリア出来るって思ってた」

美波「これでも早い…ここ!」カキーン!!

莉嘉「おぉっあんな先っぽで当てて入った!」

みく「さすがはくまのPチャン、凄いパワーだにゃ」
 
未央「たまに弟と一緒に対戦してるけど、パワプロとはタイミングが結構違うんだね」

P「そうですね。何せ熊ですからスイングスピードが違うので、パワプロに比べればかなり引き付けて打つ感覚になるでしょう」

 
 
 
「むしろそれが慣れるまでの足枷になりはしたけど、2回目にはノルマクリア出来たし」


「その後の変則フォームの象なんて、一発でクリア出来た位」

美波「あと一本あと一本あと……」カァン!!

  ノルマ失敗、残念!(7本)
 
美波「……………」

アーニャ「ミ、ミナミ惜しかったです。もう少しデシタっ」

みりあ「美波ちゃんみりあにもやらせてやらせて!」グイグイッ

美波「…ごめんみりあちゃん。あと一回だ…
 
未央「いやいやみなみん、そこは代わってあげなってw」
 
李衣菜「4連続でノルマ8本のとこ7本だしね。一回休憩した方が良いんじゃないかな」アハハ…
 
美波「で、でも今コツを掴んだ所で、次は絶対…!」

アーニャ「ミナミ、お茶淹れました。一休みしましょう?」
 
蘭子「戦乙女に甘美なる魂の祝福をっ」

美波「………じゃあ、少しだけ」スッ

訂正
>>38
美波「あと一本あと一本あと……」カァン!!

  ファール 

ノルマ失敗、残念!(7本)

 
美波「……………」 

きらり「二人共ファインプレーだにぃ」ボソッ

杏「完全に目が据わってたからね。ムキになるタイプだと思ってたけどここまでとは」アハハ…

P「イーヨー、ランピーに続いて三番手のピグレット。緩急を使い分けるピッチャー、最初の壁と言える存在ですね」

卯月「遅いボールの次に速いボールが来ると、凄く速く見えちゃいますね」

未央「どっちかというとそれよりコースにブレがあるのが難しそうかな~インコースにみなみん全部詰まっちゃってたし」

みく「みくあんまりこういうのやらないから分かんないけど、子供向けにしては難しくないかにゃ?」

杏「…………」

李衣菜「いやむしろ子供の方が得意なんじゃない?ほら」

  カーン!! 144.5M

莉嘉「すごーいみりあちゃん13本目!」

みりあ「えへへっ。美波ちゃん、基本は速いのが来ると思ってて、遅いのが来た時はぐってすればカンタンだよ!」

「三匹目の豚…この辺りまでは普段からゲームやってる人なら、一発でクリアしてもおかしくないだろうね」グビッ

「四匹目のカンガルーも初見は揺れる軌道に驚くけど、このゲームは高低の概念が無いから所詮は実質直球。慣れれば打てる、ノルマも所詮五割だしね」
 
「五匹目の兎も子供騙し。急加速のタイミングさえ覚えたらむしろ一番温いまであるバッティングセンター」

「ここまでで1時間も掛かんなかったかな?なんだチョロイじゃん、正月からクソスレ建ててんじゃねーよと思ったもんだったよね」アハハッ

       
   

               「…六匹目の梟の一球目を見るまでは」


     

未央「さぁラビット投手と相対する美波選手。次がラスト30球目、そしてノルマクリアまで後1本です」

アーニャ「ミナミ、ファイトですっ!落ち着いてボールを良く見まショウ!」

蘭子「世界線を越えよ…!!」

美波「フゥ………はぁ!!」カーン!!

未央「美波選手流して捉えました!!飛距離は十分!!フェアーかファールか…」
  
   ホームラン 130.5M
  
アーニャ「хорошо!!ミナミッ!!」ダキッ!!

「ア、アーニャちゃん…///」 「やったやったー!!」「17回目にして遂にっ!!」

かな子「これで皆で次のステージに行けるねっ」 
 
 
P「……良い、笑顔です」ボソッ

P「午前9時から開始して、丁度3時間。良い区切りです、ここでお昼休憩を取ることにしましょう」

みりあ「はーい!」

李衣菜「やー結構集中したから頭ヘトヘトだよ~」

みく「李衣菜チャンのは寝不足でしょ?夜更かしばっかりしてるからそんなことになるにゃ」
  
卯月「プロデューサーさんも一緒に行きませんか?」

P「すみません、私は少しやっておかなければいけない仕事が…」

卯月「そうですか…あまり無理はしないで下さいね」
 
未央「この調子なら8時間もあればらくしょーでしょ。余った時間で皆で温泉旅行でも行っちゃう?」

凛「流石に泊まりは無理じゃない?それじゃプロデューサー、また後で」
  
P「はい。しっかりと休んで、午後も頑張りましょう」
 
  パタンッ
  
P「…………」
 
杏「プロデューサー」

P「!」

P「双葉さん。双葉さんは食堂へは…「嘘なんでしょ?」
 
杏「途中で言い出した二つ目の条件。CP全員がステージ5をクリアしないと『オウル』とやっちゃいけないなんて」
 
P「…申し訳、ありません」
 
杏「いいよ。杏だって、皆でワイワイ楽しい思い出を作るには、ここまでしか無いと思うしね」ポンッ

杏(そう、オウルを見れば勘付かざるを得ない)

杏(『このゲームの製作者はもしかして頭がおかしいのでは』という可能性に…)
 
杏「それじゃ杏も甘~いものでお腹いっぱいにしてくるね」

杏「流石に今回ばかりは杏も働かざるを得ないだろうから、エネルギー補充しとかないといけないし~」

杏「……ちなみにプロデューサー。常務ってホットケーキが八枚あったらどうやって食べるんだろうね?」

P「!」

P「それは――」

――346プロダクション食堂

友紀「だからやっぱりあたしは無死一・三塁の時こそ送りバントを使うべきだとね!」

幸子「だから分かりませんて…あれ、向こうに居るのはCPの皆さんじゃないですか?」
 
友紀「えっ!」
 
紗枝「あら、ほんまやなぁ。友紀はんの話では、なんや常務に無理難題を言い渡されて途方に暮れとる筈っちゅーことやったのに」
 
紗枝「普通に楽しそうにご飯食べてはる様に見えますけど」
 
友紀「朝から挑戦してるとすれば、流石にあのクソ梟とは対戦してそうなものだけど…」
 
幸子「アイドルがなんて言葉使いしてんですか」

   
   
未央「よーし!じゃあ戻ってサクっと全クリしちゃうとしますか!」

 
  
紗枝「あ、部屋に戻らはるみたいどすな」


友紀「…ごめん二人共、先食べてて!私ちょっと観に行って来るっ」タタタッ

幸子「えぇ!…行っちゃいました。ホント野球なら何でも良いんでしょうかね?折角のカワイイボクとの昼食の機会を全く」プンプン

紗枝「ふふ、心配せんでも幸子はんの苦手な食べ物はうちが…

幸子「いやそんなことして貰わなくてもカワイイボクに苦手な食べ物なんて」

紗枝「無理矢理口に突っ込んであげはりますから♪」

幸子「何てことするんですか!?」

未央「という訳で後半戦!ここからは解説に野球アイドルの姫川友紀さんをお招きしております」
  
友紀「どーもどーも自称未来のキャッツ専属アイドルのユッキーです!」
 
P「何故姫川さんが…?」
 
杏「なんか野球の匂いを嗅ぎつけたとか何とか言ってたけど…」
 
友紀「それでえぇと、どこまでクリアしたんだっけ?」
  
未央「おぉ流石野球アイドル、こんな子供向けのゲームのことまで知ってるんですね」
   
友紀「…昔、ちょっとね。今でも年1でやってるけど」ボソッ

かな子「年1?」

友紀「いやいやこっちの話。それで、もしかしてこれって皆で順番に1個のPCでやってるの?」

P「いえ、チャレンジ用のPCはこちらの1台ですが、練習用として人数分を用意しています」

みりあ「五面の兎さんまでは皆がクリアしなきゃいけないっていうルールだったもんね!」
  
P「…えぇ」

友紀「なるほど、公式戦に出るにはオープン戦で頑張らなきゃだもんね。それは私聞こえてなかったな」
 
凛「聞こえて…?」
 
友紀「なっなんでもない!ということは全員が今オウルの手前で止まってるってことなんだね」
 
未央「そゆこと!今から後半戦スタートってことだね」
 
友紀「後半戦…ね」
 
未央「それじゃあ景気付けにみなみん隊長っ!メインPCへお座り下さいませ!」
 
美波「うんっ美波、頑張ります!」カチッ

 
 
 Stage6 オウル 球数35球 ノルマ19本 

 
友紀「………~」ボソッ
 
卯月「!」

卯月(今友紀さん小さな声でなんて……『プレイボール』?)

李衣菜「さてさてお手並み拝見だね」
  
かな子「あんまり速いボールじゃないと良いけど…」

莉嘉「そろそろ変化球が来るんじゃない?ストーンと落ちるフォークボールとか!」

凛「このゲーム高さは関係無いからそれあんまり意味無いんじゃないかな。怖いのはむしろ――」

未央「ピッチャーはフクロウのオウル投手。振りかぶって――!?」

     
 
 
      「!?」




            

杏「…………」
 
美波「え……?」ボーゼン

莉嘉「な、なに今の…?バグっちゃったの?目の錯覚?」

みく「わ、分かんない…ま、また投げるよっ!」


 
  ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

 

美波「いやあああああああ!?」ブンッ


    ストライク

 
    

莉嘉「マ、マグレじゃなかったんだ…」
 
蘭子「闇夜を切り裂く白き稲妻の如き…!?」

みく「な、ナナちゃんにオススメされた漫画にこんなのあったにゃ…」
 
未央「か、解説の姫川さん。これは……?」
    
友紀「今のが通称『オウルボール』」
  

   
友紀「このゲームで…いや世界に数多ある野球ゲームを含めても間違い無く最凶最悪の――魔球だよ」



卯月「――っ」
 
今まで見たことの無い真剣な表情で放たれたその言葉を聞いて、私はやっとさっきの呟きの意味が分かりました
これまでの相手はゲームの仕組みを理解する為のチュートリアルに過ぎず
 
シンデレラプロジェクト解散を掛けた私達の戦いは…漸く、今ここに幕を開けたのだと

美波「」

アーニャ「ミナミ、しっかりして下さいっ」ユサユサッ

李衣菜「…結局美波さんの初挑戦のスコアは0本」
 
みく「35球の内、バットに当たったのも5球だけ…。いくら美波チャンとはいえ、こんなの本当に…」

     
 
        「みりあがやる」

 
  
皆「!」


みりあ「良いよね?みんな」グッグッ

かな子「も、勿論!」
 
智絵里「みりあちゃんなら出来るよっがんばって!」
 
きらり「にょわー☆フクロウちゃんなんてやっつけちゃえー!」
 
みりあ「うんっ頑張る!」
 
みりあ「よーしっ」スウゥゥゥ

  
 
杏(…センスはCPの中でも随一)


杏(イーヨー~ラビットまで、コンテニュー無しでクリアしてるのはみりあちゃんと智絵里ちゃんだけだしね)

杏(持ち前の観察力と集中力で、ここまで苦も無くノルマをクリアして来た)

杏(だけど……)

 
 
みりあ(ひゅんひゅんひゅん――ここっ!)

    
    
   ブンッ!

    
    
みりあ「!?」

  
  
李衣菜「みりあちゃんが空振り!?」


みく「は、初めてじゃないかにゃ!?」

    
    
杏(才能だけで打てる程、オウルは甘く無い)


杏(やっぱりここが壁になるか…)

――オウル挑戦開始から2時間経過(残り66時間)

 
智絵里「えいっ!」ガゴッ! 
  
  ヒュルルル… ボテッ

  
未央「内野と外野の間…ポテンヒットになりそうだけど、この森ではそれに何の価値も無い」
  
李衣菜「ホームラン以外は無価値かぁ。ロックだよねぇPさん」
 
凛「ここまでは殆ど当たればホームランかファールって感じだったけど、オウルになってから一気に届かない当たりが増えたからね…」
 
莉嘉「捉えたつもりなのにギリギリ届かないっていうのが一番悔しいよねー」

智絵里「うぅっ…!」ガキィッ!
    
  ノルマ失敗、残念!(14本)
  
智絵里「ごめんなさい、また駄目でした…」シュン
 
かな子「十分凄いよ智絵里ちゃん!あとちょっとでクリア出来てたしっ」

智絵里「うぅん、今回は運良く甘いボールが多かっただけだから…」
  
かな子「甘い…」
  
智絵里「どうしても体に近い所に投げられるとビックリしちゃって…あれを打てないと19本はとても無理ですね」
  
李衣菜「バットじゃなくてバチなら智絵里ちゃんなら打てそうだけどね」アハハ

みく「なにバカなこと言ってるにゃ」

智絵里「っ!!」

みく「いやバチだと外が届かないからね!?」
  
李衣菜「そういう問題なの?w」

蘭子「猛禽特有の強靭な爪により放たれし雷撃…」
   
蘭子「人知を越えし其れを、人の身で打ち砕かんとするは神に背きし冒涜だと言うのか…」
   
みりあ「うんうんだよねだよね。Pさんは人じゃなくて熊だけど」

未央「ホントホント、どんなメジャーリーガーだろうとオウルに比べたらよっぽど楽だよね」
   
未央「こんなの人間が投げれたら全試合パーフェクトでしょ」
   
杏「…………」

きらり(…なんだろう、この挑戦が始まってから杏ちゃんが時折見せるこの沈痛な表情)

きらり(記憶の奥底に封印した、思い出したくないことを思い出しちゃってる様な…)

きらり(一体このゲームに何があったの?杏ちゃん……)

凛「………はっ!」カーン!!
 
未央「16本!自己記録更新だね、しぶりんっ」
 
凛「最初7本連続で入れれてた時は今回はいけると思ったんだけどね」

  
凛「…それが枷になっちゃったのかも」フゥ 
   
卯月「いけるかもってなった時が一番焦っちゃいますもんね。そうだ、気持ちが落ち着くお茶を淹れて来ますね」

  
凛「ありがと、卯月」
 
杏(もうオウルを初めて4時間になる。何人かは惜しいとこまではいってるから完全に気持ちが切れてる訳じゃないけど)
 
杏(………いっそ)
   
   ガチャッ
 
友紀「たっだいまー!」

みく「友紀チャン、もうレッスンは終わったの?」

友紀「うん!早くみんなのとこに戻りたくて超ダッシュで終わらせて来たよっ」ゼェゼェ
 
李衣菜「逃げて来たみたいなテンションに見えるけど…」

友紀「き、気のせい気のせい!さーてそろそろあのクソガキへの殺意が高まってるこ…あれ?まだオウルとやってたの?」

美波「まだって…手厳しいですね」

友紀「あーいやっごめんごめん!でも私でもゴリ押ししたらたしか2時間位で倒せたし、皆ならてっきり…あっ」
  
杏「!」

杏「ゆ…   
   
   
     「もしかしてまだハチミツやってないの?」



      

杏「…………」
 
かな子「蜂蜜?」ずいっ

友紀「うん。このゲームはPニ…Pさんのステータス強化が出来るんだよ」

友紀「パワー、ミート、スピードの三項目が、Pさんハチミツを与えることで強化されるって訳」

友紀「ホームランを打った時に入るポイントでハチミツは買えるから、皆ならもう相当強化出来るんじゃない?」
 
アーニャ「…あ、ホントウです。ステータスの画面がありますね」
 
未央「こんな普通に書いてるのに全然気付いてなかったね…ていうか教えてよ杏先生!」
  
杏「いや~ごめん。杏もそんなのがあるのすっかり忘れてたよー」
 
みりあ「よーし早速やってみるね!」
  
みりあ「うわっ凄い!Pさんがスルスル動くっ!」
 
智絵里「うっ…え!?これが入るんだ。芯の部分が凄く広がってる…」

莉嘉「180メートル飛んだよ!!これドーピングってやつじゃないの!?良いの!?」

未央「あれ?しぶりんはやらないの?ハチミツ」

凛「うーん…もうちょっとでクリアできそうだったし」

凛「ここでそういうパワーアップに頼っちゃうのは何か悔しいなって…」

友紀「あ~分かる!いや~分かるよ!そして若いねぇそういう気持ち!」

友紀「ハチミツなんかに頼らず己の力だけで打ち倒したい。うんうん私も最初はそうだった」

友紀「でもね……凄いよ?ハチミツ」ボソッ

凛「なんで囁くの…」

未央「一度使ったらヤミツキだよ?大丈夫大丈夫みんなやってるんだからさ…」ボソッ

凛「止めてって」ペシッ

凛「はぁ、分かってるよ。CPが掛かってるんだしね、変なプライドは持たずに使うって」カチカチ

未央&友紀「「堕ちたな…」」

凛「うるっさい!!!」

 
きらり「…ねぇ杏ちゃん」ボソッ

杏「きらりはさ、野球詳しかったよね」

きらり「えっ!う、うんそれなりには…」

杏「高校野球なのに金属バットを使わない理由って、なんだと思う?」

きらり「えぇと…木のバットは芯に当たらないと飛ばないから、ボールをちゃんと捉える力を付ける為…?」

杏「そうだね。金属なら多少ズレてようがパワーで無理矢理ヒットに出来ちゃうもんね」

杏「正確なバットコントロールの技術を身に付けるなら、木のバットを使った方が良い…あんまり飛ばなくて練習が楽しくなくなるって弊害はあるけどね」

きらり(やっぱり…杏ちゃんはその為にハチミツのことを皆に隠してたんだ)
 
きらり(多分、これからもっと強い相手…杏ちゃんでも勝てなかった投手が出てくる。その相手に立ち向かう力を付けて貰う為に…)

杏「…でもさ、別に芯に当たらなかろうが飛んだら一緒だし、杏はめんどくさいから金属を使っちゃいたいけどね~」
  
きらり「もうっ杏ちゃんったら!」

きらり「プロになったら金属バットは使えないんだか――!!」ハッ!!

きらり(――『使えない』?)

きらり(もしかして、杏ちゃんがハチミツを隠してた本当の理由って…)
 
杏「おっみりあちゃん凄い!もう後一本じゃん」

みりあ「うん!ハチミツフルパワーでやっつけちゃうよ~!」

みりあ「ていやっ!!」カーン!!
      
   ホームラン 160.2M
  
莉嘉「やったー!!19本目っ!!」

未央「我々を4時間も苦しめたオウルを遂に撃破しました!!舐めるな梟!!これがハチミツの力だ!!」

李衣菜「ハチミツなのに舐めちゃ駄目なんだw」
 
卯月「お茶淹れて来ま…えっ!?倒したんですか!?」
 
凛「ありがと、卯月。うん、光が見えた…後は突き進むだけだよ」

――346プロダクションレッスン室

友紀「ふぃぃ…やっと終わった……」ボロッ…

紗枝「お疲れさんどす~」

幸子「まったく、レッスンをこっそり抜け出したりするからそんな目に遭うんですよ」

友紀「だってぇ…」

紗枝「それで、どうやったんどす?CPの皆はん」
 
友紀「オウルを倒した所で、また一時間休憩ってことになったからそろそろティガーとやってる頃かな?」
 
幸子「へぇ、ティガーならボクも知ってますよ。あのオレンジの虎ですよね」

幸子「って、それってもうラスボスとかじゃないんですか?」

友紀「…そうだね。ティガー倒したらゲームクリアだから間違って無いよ」

幸子「なんですかその含む言い方…」

紗枝「なんや友紀はんが脅かすから心配してたけど、今が18時やからまだ時間も60時間以上残ってるんやろ?」

幸子「普通に考えれば楽勝…ですよね」

紗枝「それともその虎はんが桁違いに強いん?」

友紀「…いや、ティガーは人によってはオウルの方が強いって思う位かな」

友紀「苦手な人は苦手だけど、CPは人数多いから逆に相性良い子も居るだろうし」

友紀「Pさんがハチミツの味を知った以上割とあっさりなんじゃないかな」

幸子「それなら…」

友紀「ま、良いじゃんそんな話は。ほらさっさとシャワー浴びてご飯食べに行こっ」

紗枝「……」

幸子「え?でも…」

紗枝「えぇどすなぁ。幸子はん、うちが頭洗ってあげはりましょか?なんやったら身体の方も…」スス…

幸子「じ、自分でできますから!」

 
 
友紀(ありがと、紗枝ちゃん)


友紀(CPの皆を応援してあげたいけど…ここから先は見れたものじゃないよ。友達が…)

  『スターズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャーモリタに代わりまして~』

友紀(――絶望する姿なんて、さ)

【挑戦一日目20:00(残り63時間)】
 
未央「さぁ来い虎野郎!今度こそどっちが真の森の王者か教えてやる!」

蘭子(彼の者は、先の梟の様に物理法則を嘲笑う魔術の如き変化球を操る訳でも、眼にも止まらぬ速球を放つ訳でも無い)  

蘭子(まるで童のお手玉様に白球を手元に放った後、両の掌で受け止めた勢いのままに横薙ぎに投じられる其れは――)
     
       フッ
  
蘭子(眼に――『映らない』!!)

未央「くおおおおおおっ!!」スカッ

 
 
Stage7 ティガー 球数40球 ノルマ28本 

    

凛「『消える魔球』か。ベタはベタだけど、ホントいよいよファンタジーの世界になってきたよね」
   
かな子「まぁそこはそもそもディ●ニーの世界だもんね」アハハ…
  
みく「オウルを倒した時は、パワーアップしたPチャンならどんな相手でも楽勝だと思ったけどそう甘くは無かったにゃあ」
  
李衣菜「どんな凄いパワーも当たらないことにはどうしようもないもんね」

美波「球種はストレートだけなのが救いだけど、緩急はしっかり付けてくるから今まで以上に集中力が要求されるね」

莉嘉「何より一番大変なのはノルマだよね。7割もだけど、単純に28本打たなきゃダメっていうのがキツ過ぎだよ~」
 
凛「…今も未央が沼にハマってるけど、調子良くても1回空振りすると謎のスランプに陥ってタイミング分かんなくなっちゃうしね」
 
アーニャ「Тигрの名はダテでは無いということですね」


未央「ぐああーー!!また負けたぁー!!!」

卯月「お疲れ様です、未央ちゃん。惜しかったですね」
    
未央「いや~中盤は今回はいける!って思ったけど全然だったね」

未央「いやはや流石ラスボス」

 
 
    「CP存続への最後の関門に相応しい相手だよ」  
 
 
P「……………」

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