姫川友紀「あたしはマウンドに立ちたいだけ」橘ありす「アイドルに興味はありません」 (42)



捏造多数

アイドル養成所設定
(練習生→デビュー候補生)→プロダクション所属アイドル


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アイドルになりたい

そう願った人間は今までに星の数ほど存在し、彼らはそれぞれの経験から、アイドルを目指す動機を見つけ出しているはずだ

時に、その動機はアイドルとしてデビューしたその先にある、ということもあるかもしれない。私もその例に含まれる

ただ、何となく。純粋にアイドルになりたいと願う者こそが、アイドルに相応しいのではないかと感じていた

アイドルとなる宿星を持つ者こそがアイドルとなる。それは至極当然で、残酷で、とても美しいことのように思えた

私の動機はそれに比べてまったく不純であり、目を輝かせた周囲の候補生達との競争の中で生き残れるか不安だった



しかし彼女は言った

全身に気を張って、目をぎらつかせながら

アイドルになることは『過程』だと言い切ったのだった



彼女は、ハンドグリップを掌に収めて、レッスンルームに面した休憩室の隅に座っていた

ここに居るのに相応しくない人だと思った。おそらく何か屋外で行うスポーツの経験者だろうか、その肌は周囲のいかにも女の子、といった人達と比べてやや浅黒い

茶色がかった長い髪はお世辞にも整えられているとは言えそうにない、ボサボサの髪だ

アイドルの卵として集まった数十人の女の子たちの中で、その雰囲気は浮いていた

「大切な、候補生としての最初のレッスンの前に握力を鍛えるって……何を考えているんだろう、あの人」

「ジムにでも行った方がいいんじゃない?」

潜められた声で彼女に対する評が発された。私も同じような感想を持ったが、彼女はその声に対しては特に反応せずに黙々とグリップを軋ませていた

しばらくして、扉が開く音が聞こえ、休憩所に居た皆が一斉に緊張を高める

レッスンルームからトレーナーの女性が現れ、入室するように指示された

グリップを乱雑に鞄に放り込み、ピンと背を張って、行進のようにきびきび歩くその姿

彼女は来る場所を間違えているのではないかという疑問を捨てきれることができなかった



「そうだな……まずは、おめでとう」

「君たちは、この養成所グループに所属する数百という練習生の中から選ばれ、晴れてデビュー候補生となった」

「もちろん、ここにきて緊張を緩める者は居ないだろう」

「ここにいる数十人、全員がアイドルデビューする者として選ばれるかもしれないし、もしかしたら全員がアイドルにはなれないかもしれない。ここが厳しい世界であることは、皆は既に十分、分かっていると思う」

不可解なセンスの服を着た女性トレーナーの説明を聞きながら、私はゆっくりと深呼吸をした

「ボーカルレッスン、ダンスレッスン、各種のレッスンで、各々が切磋琢磨し……」

このレッスンルームに集められた候補生の中で、アイドル業界に出ることができる人間が一人でもいれば割合としては上等なのかもしれない

その中で、私は戦っていくのだ

「……そんな心構えで、ぜひ、諸君の夢を追い続けてもらいたい。ここでは、その夢のために必要なことを、全力でサポートしていくつもりだ」

説明に区切りがついたところで、トレーナーはこう言った

「では、早速レッスンに……おっと、その前に軽く、自己紹介をしてもらおうか。志望動機も含めて頼む」

「一番後ろの列の、こちらから見て右側から……」



「私は、高垣楓さんに憧れてーーー」

「小さい頃からダンスのレッスンを行っていてーーー」

「昔、握手会に参加した際に元気をもらい、私も誰かに幸せを届けられるようにーーー」

順次、候補生たちが志望動機を話していった

みんな目を輝かせて、キラキラしていた

……私は

私は大人になったら、歌や音楽を仕事にしたかった。その過程でアイドルになることが出来たら、その後の仕事が色々とやりやすくなるのではないかと思い、アイドルを志したのだ

母も、当初はその理由に心配な様子だったようで、アイドル目前であるこの候補生となったことを伝えたときにようやく安心した顔を見せてくれた

私は、アイドル自体に興味は無かった

かと言って、ここで

「アイドルに興味はありません」

なんて。言えるはずもない

とりあえず、志望動機の指南書の例文にあるような無難な内容を述べた

名前を省き、橘という苗字のみを名乗ったが、特に何か言われたりはしなかった

「ーーーです。よろしくお願いします!」

「ありがとう。では、次の人」

そうこうしているうちに、あの彼女の番が来た。正直、気になっていた

彼女はどんな自己紹介をするのだろうか、と



「姫川友紀。宮崎出身です」

「あたしはアイドルになることを目標として、アイドルを志したわけではありません」

「あたしの目標は、東京ドームのマウンドに立つことです」

「よろしくお願いします」



……彼女は、そう言い切ったのだった



翌日の朝はスッキリしないものだった

あまり眠れた気がしない

レッスンが始まる前に一通り昨日のおさらいをするつもりで、予定時刻よりもかなり早めに家を出た

そのために、大分早めに養成所に到着した

先客は、彼女……姫川友紀さんだった

彼女は黙々とステップを踏んでいた

昨日見た彼女のダンスは、アイドルとして育ってきた者のダンスとは全く異なっていた

彼女の動きの中では、体軸のブレが殆ど無い

マイク以上の重さの物を持つ事がないアイドルと違って、そのガッチリとした腕はきっちりと美しい円弧を描いて飛んでいく

そして脚部を上げる際には、やはりピッチャーの投球フォームの如く、筋肉のついた足が太腿から高々と上げられた

彼女は、おそらく野球のプレイヤーとして優秀だったのだと思う

野球とダンスという全く異なる運動に跨る剥離感覚を乗り越え、身体を自分の思い通りに動かすレベルに達し始めているのだろう

彼女は、トン、と前方に大きく飛び、そこで足を止めた

……驚くべきことに、彼女は息切れ一つしていなかった。私が彼女を観察していた時間は、決して短くはなかったのに

扉に嵌められたガラスの向こうに映る彼女を見て、私はレッスンルームの入り口で呆然と立ち尽くすことしかできなかった

「……ん、誰?」

バサリ、と長い髪が翻り、彼女がこちらを向いた。私は扉を開け、適当に挨拶をした

「……おはようございます」

「あー、おはよう……えっと、橘ちゃん、だっけ」

「……はい」

「橘ちゃんは鏡の前、使うかな?」

「いえ、今日はいいです」

「そう……」

彼女が私の苗字を覚えていたのは驚きだった。私が彼女を忘れるはずはないが、彼女にとっては私は数十人の候補生の中の一人だと思っていたから

「……姫川さん、あの……」

「ん?」

「いえ……少しお聞きしたいことがあります。ほぼ初対面の人には失礼かもしれませんが……」

「?……何かな」

私は、昨日から聞いてみたかった。彼女の本心を

「自己紹介の時に、言っていましたよね。マウンドに立つのが目標って。あれは……」

「うん。始球式でね」

「……姫川さんは、本当に始球式に出たいんですか?そのためだけに、本当にその目的のためにアイドルになりたいんですか?」

「……そうだね、あたしは……マウンドに立ちたいだけ。大観衆の中で、あたしの最速の球を投げる。それがあたしの夢」

「それが、アイドルになりたい理由の全てですか」

「……今は、ね」

こんな人が……

本当に、こんな考えを持つ人が……そんなことのために、アイドルを志した人が……


「馬鹿な考えだと思うよね?」

「……は、はい」

思わず正直に言ってしまった

「でも、そこに可能性が残されているって、凄いことだって。橘ちゃんは、そう思わない?」

「……?」

「だってさ」

「あたしがプロ野球選手になること……ううん、違うな」

彼女は、過去を懐かしむかのような、優しい表情を浮かべていた。そこには、何か大きな『挫折』が含まれている。そんな気がした

「あたしがキャッツに入団することよりも、アイドルになることの方がよっぽど簡単でしょ?」

ポツリと独り言のようにその言葉が発された

衝撃だった

こんな価値観の人間が、存在するのかと

彼女にはある種の狂気的な背景が感じられる

もしかしたら、アイドルではなく、野球選手になりたいという思いを今でも持っているのかもしれない

彼女に比べて私の悩みなど、なんと子供じみたことだろうか

小さなことだろうか、ささやかなことだろうか

……克服できないことだろうか

目指してやろうか、手段のための目的を!

「……姫川さん。私に、体力をつけるコツを教えてくれませんか?」

「え……?」

「私。体力が無くて、ダンスレッスンで、すぐにへばってしまうんです。ダンスを克服して……アイドルに……なりたいんです」

「……ふぅん」

彼女は、ニヤリと笑って、こんな条件を出してきた

「ライバルにタダで情報を教えるわけにはいかないけど……交換条件なら良いよ」

「私に出来ることなら、なんでも」

「自主レッスンの時に、あたしに歌のコツを教えてよ。トレーナーさんが付く時間も限りがあるしさ」

「昨日のボーカルレッスンで聞いたけど、声、凄く綺麗だったよね。あたしもあんな感じで歌いたいんだ」

「……いいでしょう」

「へへ、同盟成立だね……えっと……」

彼女の言葉が淀んだ

「名前、教えてよ。昨日、苗字だけしか言わなかったから、気になってたんだけど」

そうだ、私も……ある意味印象に残っていたんだった

「……橘ありすです」

「ありすちゃんね、よろしく……」

「いえ、橘と呼んでください」

「え?」

「ライバルでしょう、私たちは」

「!……そっか。じゃあ、アイドル仲間になった時は、思う存分呼ばせてもらうよ」

「ええ、お互いの健闘を祈りましょう」


「よろしく、橘ちゃん」

「よろしくお願いします、姫川さん」

彼女は私の手を柔らかく握った

マメの跡がはっきりとわかる

この硬い手は、野球選手になるための手だった

おしまい。

女子野球選手がキャッツの始球式に出る機会があるならアイドルになるよりも楽かもしれない

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」 
↓ 
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか? 
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ 
いちいちターキー肉って言うのか? 
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」 
↓ 
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。 
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋 
↓ 
信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw 
んな明確な区別はねえよご苦労様。 
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」 
↓ 
>>1「 ターキー話についてはただ一言 
どーーでもいいよ」 
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです 
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ! 
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469662754/)


余談
7 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:06:48.44 ID:10oBco2yO
ターキー肉チーッスwwwwww
まーたs速に迷惑かけに来たかwwwwwwwww

9 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:12:33.84 ID:LxY8QrPAO
>>7
はいNG設定


この速さである
相変わらずターキー肉くん=>>1という事を隠す気も無い模様

31 ◆xmciGR96ca4q sage saga 2016/07/28(木) 12:50:19.79 ID:g6WSU+sH0
昨夜寝ぼけてスレ立てミスったんで憂さ晴らしも兼ねて久々のロイミュ飯でした。書き溜め半分残り即興なんで色々アレかもしれませんがアレがアレなんでアレしてください何でもシマリス(熱中症

建てたら荒れると判ってるスレを憂さ晴らしに建てる
つまり>>1は自分の憂さ晴らしにs速を荒らして楽しんでる

うーん、いつも通りのクズ>>1で安心するわー

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