曜「梨子ちゃん、怒るわけないよ」 (165)

過去ss:甘くてとろける百合バス、魔王♀「食べちゃうぞー」


梨子「曜ちゃん、怒らないで聞いてね」の続き
ようりこがただただめんどくさいだけの続編です
思いつきのまま進みます


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「よ、う、ちゃ、ん、が――」

私は、海水で重くなった砂に描いた文字を読み上げる。
と、やや大きな波が近づいてきたことに気付かず、

「あ、梨子ちゃん!」

「え?」

足元から膝くらいまで、思いっきり潮水を浴びた。

「きゃあ?!」

「大丈夫!?」

「……」

靴の中が、びしょびしょだ。
しかも、先ほど砂に書いた告白用のカンペも綺麗に洗い流されてしまった。

「た、大変、ちょっと待ってタオル貸すから!」

ついてない。
曜ちゃんが自分のタオルを私に差し出した。
汗の匂い。曜ちゃんの匂いに自然と呼吸が浅くなった。

「えっと、それで梨子ちゃん何て?」

「いいの……日が悪かったみたい」

海のばかやろう。

タオルで軽く足を拭いて、曜ちゃんに返す。

「また、今度言うから」

「分かった」

曜ちゃんが申し訳なさそうに受け取った。
勢いがないと、やっぱり告白は難しい。

「梨子ちゃん、気遣ってくれようとしたんでしょ」

曜ちゃんが言った。
全く、そんなつもりはなかった。
むしろ、曜ちゃんの傷に塩を塗るくらいのことをしようとしていたんだけど。
私が返答できない内に、曜ちゃんは自己解決してしまう。

「ありがと」

「や、その」

プルルル――。
着信が鳴った。

「あ」

曜ちゃんのカバンの中からだった。

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