提督「最終海域で敗退した提督?」 (26)

提督「馬鹿だなあ、そんな奴いるわけないだろ?」

提督「いつもより簡単な作戦だったじゃないか」

提督「北方水姫だって倒したし……」

提督「ほら! その証拠にガングートもいる!」

提督「ほうら、ガングート! ガングート!」

提督「ガングート!」キャッキャッ

Верный「……」

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Верный「……うん」

Верный「そうだね」

Верный「私がГангут級一番艦、Гангутさ」

提督「ほらぁーっ!」

提督「みんなおかしなことばっかり言うんだから……」

提督「なあ、ガングート?」

Верный「……うん」

長門「て、提督はいったいどうしたのだ?」

長門「改二改修を終えて戻ってきたら、まるで呆けたみたいになって……」

吹雪「そ、それは」

赤城「そのう」

長門「こら、提督! しっかりしないか!」

長門「そいつはヴェールヌイだ! 貴様が響から鍛え上げた艦娘だろう?」

提督「ちがうもんちがうもん!」ブンブン

提督「こいつはガングート!」

提督「ロシア生まれの戦艦だい!」

提督「戦艦なのに雷装値があって……」

提督「とっても強い戦艦なんだぞぉー!」キャッキャッ

長門「ダ、ダメだ」

長門「まるで現実が見えていない」

長門「一式戦 隼II型(64戦隊)が高性能だと聞き」

長門「それが欲しくて甲作戦に挑み」

長門「課金にも手を出して」

長門「それでも我々は破れたではないか?」

長門「北方水姫を仕留めることができなかった」

長門「辛いだろうが、それが現実」

長門「つい数日前に起きた出来事だ」

提督「んゆーっ! んゆーっ!」ユビチュパ クビブンブン

提督「ちがうもん! 一式戦、持ってるもん!」

提督「ほーら、一式戦だぞー!」

提督「ぶーーーーーーんwwwwww」キャッキャッ

長門「……」

吹雪「……」

赤城「……」

長門「いや、どう見ても九六式艦戦」

Верный「しっ!」

Верный「すまないが、そっとしておいてくれないかい?」

Верный「司令官はまだ心の傷が癒えていないんだ」

Верный「あの敗退から、まだ十日も経っていない」

Верный「司令官には時間が必要なんだ」

Верный「ゆっくりと休んで、立ち直るための時間が……」

長門「むう」

長門「それならば仕方ないか」

吹雪「そ、そうですよ、長門さん!」

赤城「そうです、しばらく時間を置いて、提督には休養を」

長門「分かった」

長門「ならば当面の間は、また私が指揮官代理を務め」

バァン!

占守「占守っす!」

長門「!?」

占守「しれぇ、まだへこんでるっすか!?」

占守「元気出すっしゅ!」

占守「最終海域が突破できなかったからって」

占守「そんなにへこむものじゃないっす!」

占守「会えたのもこの占守だけとはいえ」

占守「新顔が増えただけでも良しとするっしゅ!」

占守「たとえ貴重なロシア艦さんと会えなかったからって」

占守「超高性能な陸攻が手に入らなかったからって」

占守「そう落ち込むものじゃないっす!!!!」

長門「占守ぅぅぅぅぅぅっ!!!!!」

提督「う、う、う、う」

提督「うわあああああああああっ!?!?!?」パリーン!

吹雪「きゃーっ!? 提督が投身自殺をーっ!?」

赤城「こ、ここ三階ーっ!!」

長門「いかん! 救護班を」

提督「うわあああ……!」

Верный「いや、まだ生きてるみたいだ!」

長門「そ、そうか」ホッ

吹雪「って、今度は海に飛び込みましたよーっ!?」

長門「なにぃーっ!?」ガタッ

長門「待て、提督よ! どこへ行く!」

長門「どこへ行くというのだ、提督ーっ!」

提督「うわああああああ……!」ザバザバ

提督は泳いだ。

鎮守府近海から北を目指し、必死になって泳いだ。

止まらなかった。いや、止められなかった。

欲を出して甲作戦に挑み、金を出してまで突破できなかったなど――。

認められるわけがなかった。

だから提督は海をかき分け、北に向かい、

そして――。

~大ホッケ海北方~

北方水姫「フフフ……」

北方水姫「ナント他愛ナヒ」

北方水姫「提督ナド何スルモノゾ」

北方水姫「次ニマミエタ時モ、容易クアシラッテクレルワ」

北方水姫「フフフフフ……」



提督「フォォォォォォォッ!!!!」ザバァァァッ!!

北方水姫「ッ!?」ビクゥ!

北方水姫「キ、貴様、提督!?」

北方水姫「ナゼ我ラガ拠点ニ……!?」

提督「ガングート! ガングート!」

提督「一式戦! 一式戦!」

提督「神威ぃぃ……!」ニタァ

北方水姫「ヒッ!?」

提督「どこかな? どこかな?」キョロキョロ

提督「ドロップ艦、どこかな?」キョロキョロ

提督「ここかな?」ペラッ

北方水姫「キャッ!?」

北方水姫「ソ、ソコハワタシノ格納庫」

提督「どこかな? どこかな?」

提督「甲作戦の報酬、どこかな?」

提督「ここかな?」プニッ

北方水姫「ソコハワタシノ甲板ーッ!!」

提督「イーヒヒ! ガングート!」

提督「イーヒヒ! 一式戦!」

提督「イーヒヒ! ヒヒッ! ヒヒヒヒヘェーッ!」ゲラゲラ

北方水姫「ダ、ダメダ」

北方水姫「狂ッテル」

北方水姫「逃ゲナイト……」コソコソ

提督「だんーーーーーめっ!!!」

提督「逃げちゃだーーーーーーめんんんんん!!!!」

提督「勝負だ北方水姫!」

提督「今度こそ負けないぞぉ!」ニタァ

北方水姫「ヒッ、ヒエエ……!?」

北方水姫「マ、負ケダ」

北方水姫「ワタシノ負ケデイイカラ」

北方水姫「モウ帰ッテクレェーーーーッ!!!!」

提督「イーヒヒ!」

その後、提督がどうなったかは、ようとして知れませんが、

「ああなりたくなかったら、大規模作戦は計画的に臨むんだぞ」

という教訓は、新人提督に伝えられるようになったとか――。

~完~

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