天龍「提督!俺クワガタが飼いたい!」 (144)

加賀さんが大破して資材がぶっ飛んだのでむしゃくしゃして書きました。艦これSSです。
需要は多分皆無なので、書き溜めた物をちびちびと投下してきます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377931390


アパート鎮守府

天龍「提督! 俺クワガタが飼いたい!」

提督「このクソ暑い中なんだ藪から棒に……ていうか、ここ俺の部屋だぞ」

天龍「フフフ、怖いか? 天龍様はピッキング技術も世界水準軽く超えてるからな!」

提督「あ、もしもし大家さんですか、忙しいところすみません、実は……」

天龍「分かった俺が悪かった! ごめん! もうしないから!」


天龍「だって提督、ただ開けてくれって言っても開けてくれないじゃんかよー(ブーブー」

提督「お前らが来ると大抵めんどくさい事になるから居留守使ってんだよ、この前扶桑と山城が部屋に来た時なんかドア周り完全に破壊されたからな」

天龍「あー……あいつら横幅でかいからな……」

提督「まぁそんなことはどうでもいい、で、何の用だって?」

天龍「ああそうだ! 提督! 俺クワガタが飼いてえんだ!」

提督「なんでまた……まだ暑いっちゃ暑いが、もう夏も終わりだぞ?」

天龍「あれだ! この前提督が俺の部屋を掃除してくれただろ? そん時に昔やってたムシキングのカード見つけてさ! そしたら無性にクワガタが飼いたくなったんだ!」

提督「ああ、そういえばそんなのもあったな……」


提督「ていうかクワガタが飼いたいって、天龍、今までに一度でもクワガタを飼ったことあったのか?」

天龍「ねえ! だから提督に聞きに来たんだ!」

提督「なんでそんなに誇らしげなんだよ……じゃあ、クワガタについてはどれだけ知ってる?」

天龍「えーと……虫だ! あと強い!」

提督「要するに何も知らないんだな」

天龍「なっ! 俺を舐めるな! 俺は何でも知ってるぞ!」

提督「たとえば?」

天龍「えっ、えーと……そうだ! 今日の龍田のパンツは黒だ!」

提督「……あれ? それ知ったら死ぬタイプのやつじゃね?」


提督「まぁいいや、天龍はどんなクワガタが飼いたいんだ?」

天龍「世界水準超えてるやつだ!」

提督「意味分かんねえよ……ていうか、そこも決まってなかったのか」

天龍「だってクワガタなんてムシキングかテレビでしか見た事ねえからなぁ」

提督「まぁ普通はそんなもんか……そうだな、とりあえず今から近所のホームセンターに行ってみるか」

天龍「え? ホームセンターに何しに行くんだ? また脚立買いに行くのか?」

提督「ホームセンター行く度に脚立買うヤツなんているか、クワガタを見に行くんだよ、この時期ならまだ置いてあるだろうしな」

天龍「ホームセンターってクワガタ置いてあるのか!?」

提督「今時分デパートにだって置いてあるよ、本当は専門のショップで見た方がいいんだが近くにないしな。なんにせよ実物を見ながら説明した方が分かりやすいだろ、行くぞ天龍」

天龍「おう! 天龍! 出撃するぜえっ!」

提督(暑苦しい……)


ホームセンターキタカミ

提督「さて、着いたぞ」

天龍「やっと着いたか、あちーなー……提督ー、なっちゃん買ってくれよなっちゃんー」

提督「しょうがねえなあ……オレンジでいいか?」

天龍「おお、気が利くじゃねーか」

ピッ ガコン ピッ ガコン

提督「ほら天龍、店内は当然飲食禁止だから、ここで飲んでから行くぞ」

天龍「こーいうの欲しかったんだよなー、サンキュー提督ー」

提督「俺はダイドーのクリスタルレモンスカッシュだ、量も多いしな」

天龍「ははは、提督貧乏くせー」

提督「奢ってもらってる分際で偉そうだなお前……」


天龍「はー、生き返ったぜー」

提督「天龍も飲み終わったみたいだし、早速行くか」

天龍「おう! 行くぜ提督! 遅れんなよ!」

提督「走んな、子供か。……ていうか天龍、お前クワガタがどこにあるのか知ってんのか?」

天龍「え? クワガタって外に置いてあるもんじゃないのかよ? 島風のヤツは玄関で飼ってたぞ?」

提督「またお前は……よく勘違いされるけどな、クワガタっていうのは暑さに弱いんだ。特に直射日光は天敵だからな。外に置いておいたらすぐに全滅しちまうぞ」

天龍「へー、クワガタって夏に出てくる虫だって聞いてたから、てっきり暑いのには強いと思ってたぜ」

提督「島風には後で注意しておく事にして……クワガタはホームセンターなら大抵ペットコーナーにあるからな、ほら行くぞ」

天龍「おう!」


提督「ペットコーナーに着くまでに、まずクワガタを飼う上で準備しておく物について教えてやるか」

天龍「おう! 望むところだ!」

提督「珍しく真面目に話を聞いてるな。じゃあ最低限必要なものから説明していくぞ、第一に〝飼育ケース〟だ」

天竜「飼育ケース?」

提督「天龍にでも分かるように言えば虫かごだ。大きさはピンからキリまでだが、大きければ大きいに越したことはないぞ。しいて言うなら自分の部屋のスペースと相談だな」

天龍「俺の部屋はそんなに広くないからなぁ、あんまり大きいのは置けないぜ?」

提督「それも実際に見て確認すりゃいいさ、サイズだけじゃなく、種類もピンからキリまでだしな」

提督「ちなみに俺のオススメはSANKOのクリーンケースだ。通気口が小さいおかげでコバエの侵入を防いでくれるしクワガタの大顎が挟まる事もない。何より中の様子がよく見えるからな」

天龍「へえー」


提督「次に必要なのは、〝昆虫マット〟だ」

天龍「昆虫マット……? それも初めて聞く名前だな」

提督「これもまた天龍に分かりやすいように言えば土の代わりだよ、広葉樹を粉々にしておがくずにしたやつだ」

天龍「土ぃ? そんなの、そこらへんの庭とかから取って来ちゃダメなのか?」

提督「初心者はよくやるけど絶対にやるなよ? なんせクワガタは土の中に潜って寝るんだ。俺たちで言う布団だぞ?」

天龍「まぁ、そういうことになるのか」

提督「ところが、そこら辺から拾ってきた土だと小石が混じってたりして、土に潜る時クワガタたちが体を傷つけちまうんだ」

天龍「確かに石がゴロゴロ転がってるような布団じゃ寝れねえな……」

提督「それに、そこらへんの土には虫や雑菌がウヨウヨいるからな、部屋の中に置いておく飼育ケースの中でそんなものが湧き出したら、それこそ天龍が夜寝れなくなるぞ?」

天龍「うおお……それはキツイな……」


提督「あとは〝止まり木〟と〝エサ皿〟があれば、とりあえずはいいかな」

天龍「止まり木とエサ皿?」

提督「止まり木はその名の通りクワガタの止まる木だ。クワガタはひっくり返ると自分で起き上がれないからな、周りに何か掴まる物がないとダメなんだ」

天龍「ははは、なんか扶桑と山城みたいだな」

提督「ひっくり返った状態から何とか起き上がろうとする内に体力を消耗して衰弱死……なんていうのもよくある事だからな。止まり木も必須だぞ、木の皮をばら撒いておくのもいいがな」

天龍「扶桑と山城がずっとドックにいるのはそういうことなのか?」

提督「全然関係ない」


提督「で、次はエサ皿だが……」

天龍「へっ、天龍様を見くびるなよ。エサ皿ってのはあれだろ、クワガタのエサを乗っけておく皿の事だろ?」

提督「そこまで自信満々に適当な事言える天龍には素直に感服するぞ。……が、実際それで合ってるな、多分お前が想像してるのとは違うと思うが――時に天龍、お前クワガタは何を食べると思う?」

天龍「え? そりゃあ、スイカとか……」

提督「残念、それも初心者がよくやるミスだ」

提督「よくスイカだのキュウリだのをエサとしてクワガタに与えるヤツがいるが、スイカやキュウリはクワガタにとって水分が多すぎるんだ、最悪下痢を起こして衰弱してしまうこともある」

天龍「そうなのか……でも赤城はスイカを皮ごと食っても平気な顔してたぞ?」

提督「あいつは少しくらい衰弱してくれた方が丁度いいんだがな」


提督「野生のクワガタは木から出る樹液を舐めているんだが、何も果物全般がダメというわけじゃない、リンゴやバナナなら喜んで食べるぞ」

天龍「リンゴとバナナは俺も好きだぜ! もしかしたら気が合うかもな!」

提督「ただ、そういう果物は後処理が大変なんだ。果物は傷むのが早いからすぐに片付けないといけないし、果物の果汁でマットを汚すとコバエが発生する原因になる」

天龍「うげえ、コバエってうざったくて嫌なんだよなぁ……なんとかならねえのかよ?」

提督「そんな天龍のために昆虫ゼリーっていうのがある。クワガタに必要な栄養を全部詰め込んだゼリーだ。後始末も楽で、ついでにお手頃価格、種類も豊富だ」

天龍「ゼリー? 美味いのか?」

提督「それはクワガタに聞いてくれ、俺は美味いとは思わなかったがな」


天龍「……って、提督、話が脱線してるぜ? エサ皿の話だろ?」

提督「ああ、そうだそうだ――まぁ簡単に言ってエサ皿って言うのは天龍の言った通りだよ、クワガタのエサを乗せておくための皿だ」

提督「さっきも言ったように、マットが汚れるとコバエが発生する原因になるんだ。そこでそれを防いでくれるのがエサ皿だよ」

天龍「マットが汚れないようにするんだな?」

提督「そうそう、さっき言った昆虫ゼリーでもマットの上に直接置くとすぐにコバエが湧いてくるからな」

提督「ちなみにエサ皿は真ん中に穴が開いていて、そこに昆虫ゼリーをはめ込むタイプがほとんどだな。狭い飼育ケースの中なら止まり木代わりにもなってくれる優れものだぞ」

天龍「ふんふん、エサ皿かぁ……それも絶対買わなきゃなぁ」

提督「まぁ、クワガタを飼うんだったら一度くらいご飯の中に特攻してくるコバエを経験した方がいいかもな……」


提督「とりあえず前もって揃えておく物はこんなところか……ほら、お待ちかねのペットコーナーだぞ」

天龍「おお! 待ちくたびれたぜ!」

店員「いらっしゃいませ~」

天龍「提督! 見ろよ! 犬とか猫とかいっぱいいるぜ! 触っていいのかなあ!?(キラキラ」

提督「おいおい、クワガタ探しに来たんじゃないのかよ……」

天龍「そりゃあそうだけどよぉ、せっかく暑い中ここまで来たんだから色んな物を……(ピタッ」

提督「……どうした天龍? 急に止まって」

天龍「なあ提督、あれ、あそこにいるのって……」

提督「ん?」

足柄「この子ホントに可愛いわね~、よしよしよし~」


足柄「やっぱりペットショップにいると人に慣れるのかしら~、かわいい~! 人懐っこい~!」

足柄「できればこのままお持ち帰りしてあげたいんだけど、今月結構厳しいし、ウチのボロアパートってペット禁止なのよねぇ……」

足柄「仕事はきついし、彼氏もいないし、上司うるさいし、おまけに最近は両親もうるさくなってきたし……週一でここに来て癒されないとやってられないわよねぇ」

足柄「あなたみたいに可愛い子が家で出迎えてくれれば、そんなストレスも一発で消えちゃうんだろうけどね~」

足柄「え? 慰めてくれるの? 嬉しい~! 食べちゃいたいくらい可愛い!」

店員「あの……お客様、すみません、そろそろ猫ちゃんをケージの中に戻させていただいてもよろしいでしょうか……」

足柄「あ! はい、そうですよね! すいません! ごめんなさい!」

足柄「……」

足柄「バイバイ(ボソッ」


天龍「なあ提督……あれって足が……」

提督「何も見てない、俺は何も見てないぞ……」


提督「さ、さて、気を取り直してクワガタを探すか……」

天龍「そうだな……って、もしかしてあれか提督?」

提督「ん? 夏のカブトムシ・クワガタ大集合……ああ、あれだな」

天龍「ぅっしゃあ! 天龍! 出撃するz」

提督「待てコラ(グイッ」

天龍「ぐええっ!? ……な、何すんだよ!? 息止まるかと思ったじゃねえか!?」

提督「ペットコーナーではあんまり騒がしくすんな、デリケートな生き物だっているんだからよ」

天龍「うぐっ……だったら口頭で注意してくれよ……」

提督「聞かないだろお前が」


天龍「うおお~! すげえ! 本物のクワガタがこんなにいっぱいいるぜ!」

提督「そりゃあペットコーナーだからなぁ」

天龍「あ、おい提督! あれ知ってるぜ!? 〝ギラファノコギリクワガタ〟だろ!?」

提督「おー、今のホームセンターはこんなのまで置いてあるんだな」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

提督「ギラファノコギリクワガタ、世界一の体長を持つクワガタで有名だな。確かにこの大顎のインパクトはすげえよ」

天龍「超必殺技はブルロックなんだよな!」

提督「懐かしいなオイ」


天龍「くぅー実物はやっぱかっけえなあ! 提督! 俺これが飼いたい!」

提督「はえーよ。それにお前値段ちゃんと見たか?」

天龍「へ? 値段って……6000円!?」

提督「まあこのサイズじゃあそんなもんだろうな。これでも手頃な方だぞ?」

天龍「6000円で手頃なのかよ!?」

提督「ここら辺は理解できない奴には一生理解できない世界だからな」


提督「ちなみにギラファノコギリクワガタは別段飼育が難しいというわけじゃないが、いかんせん他のノコギリクワガタ属と同じく寿命は短めだ。1年生きればいいってとこかな」

天龍「え? クワガタって夏だけじゃなかったのか?」

提督「ちゃんと育てりゃ冬も越えるよ、中には5年以上生きるやつだっているんだぞ?」

天龍「知らなかったぜ……」

提督「まぁ、確かに野生のクワガタは夏くらいしか見ないからな」

天龍「どっちにせよ、俺の財布の中身じゃコイツを買うのは無理だな……はあ、他のクワガタもこれくらい高かったら俺クワガタ飼えねえぞ……」

提督「そういえば天龍、なんでカブトムシじゃなくてクワガタが欲しいんだ?」

天龍「だってクワガタのあのでっけえハサミかっこいいだろ!?」

提督「ハサミじゃなくて大顎な」

提督(そういえば天龍の頭についてるアレもクワガタの大顎に見えなくもないな……)

プロレスファンの多さに驚きを禁じ得ない提督


提督「まぁ、値段を気にしてるんなら、お前はまず国産のクワガタを先に見た方がいいな、ほらこっちだ」

天龍「お、おう!」

提督「まずは一番メジャーな〝ノコギリクワガタ〟。日本なら大体どこでも見られるし、見た目のインパクトもあって子供人気の高いクワガタだ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「あ、これは俺も見たことあるぞ!」

提督「だろうな、日本人にクワガタって言ったら大抵がこのクワガタを思い浮かべるだろ。飼育も簡単で初心者向けのクワガタだ」

天龍「このハサミ……じゃなくて大顎か! めちゃくちゃかっこいいな!」

提督「ノコギリクワガタは、顎の内側に鋸みたいな歯が並んでるところからつけられた名前だからな」

提督「それと、ノコギリクワガタの大顎は大型の物になればなるほど内側にカーブがかかっていくんだ。大型のノコギリクワガタの大顎は水牛の角に似てる事から水牛型とも呼ばれるな、これは立派な水牛型だ」

提督「ちなみにノコギリクワガタは地方によって体色が真っ黒だったり、赤みがかってたりするぞ」

天龍「へえー」


天龍「値段は……700円か! これだったら俺でも買えるぜ!」

提督「だから待てって、他のを見てからでも遅くないだろ?」

天龍「それもそうだな! じゃあちゃっちゃといこうぜ提督!」

提督「そうだな、じゃあ次は〝ミヤマクワガタ〟だ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「これは俺も知らねえぞ?」

提督「昔はノコギリクワガタと同じくらい採れたんだが、最近じゃめっきり見なくなったもんなぁ」

提督「ちなみにミヤマクワガタのミヤマっていうのは漢字で書けば深山だ。他のクワガタと比べて山奥に住んでる生息してる事が多いからこの名前がつけられてる」

龍驤「なんか変な形のクワガタだなあ……龍驤みたいだ」

提督「龍驤は関係ないだろ……」

×住んでる生息してる→○生息してる


天龍「提督、なんかこのクワガタ、うぶ毛みたいなのが生えてるぞ?」

提督「それもミヤマクワガタの特徴の一つだな、なんでも暑さに弱いからそれで対策してるらしいぞ。擬態の効果もあるって話だ」

天龍「俺もうぶ毛が生えたら涼しくなるのかな?」

提督「女の子の台詞じゃないぞそれ」

天龍「うーん……やっぱりこれは俺の好みに合わねえかなぁ」

提督「まあ、特徴的なだけあって好みの分かれるクワガタだからなぁ、とりあえず次行くか」

天龍「おう!」


提督「さて次に見るのはかの有名な〝オオクワガタ〟様だ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「おお! なんだこれ! なんかすげえ重厚感のあるクワガタだな! 鉄みてえだ!」

提督「そうだろうそうだろう、なんて言ったって本州じゃ最大のクワガタだからな。国産クワガタの中じゃ最もブリーダー人気の高いクワガタだ」

天龍「ブリーダー人気? 要するに玄人向けって事か?」

提督「いいや、そういうわけじゃない。オオクワガタは他のクワガタに比べれば少し暑さに弱いが、長生きだし大人しいから飼育は楽。むしろ超素人向けだ。玄人ブリーダーの間ではむしろ幼虫の飼育が主流だな」

天龍「幼虫? そんなの育てて何が楽しいんだ?」

提督「クワガタっていうのは幼虫の間どれだけ良い環境で育ったかで成虫になってからのサイズが決まるからな、より大きい個体を狙って最高の環境で育てるんだよ」

提督「この世界はもっと理解できねえぞ、なんせ数ミリの差で値段が跳ね上がったりするからな。ギネス級の個体は数百万で取引されるし、昔、どっかの社長が一千万でオオクワガタを買い取った事もあるらしいぞ」

天龍「一千万!?」

提督「オオクワガタは一時期〝黒いダイヤ〟とまで呼ばれてたからな、その所以だよ」

天龍「俺には一生理解できない世界だな……」


提督「ただ、なにぶん臆病なクワガタでな、一年中ほとんど木の洞の中でじっとしてる。それに絶滅危惧種にまで指定されてるから野生の個体は滅多にお目にかかれないな、これも黒いダイヤと呼ばれる所以だ」

天龍「え? でもここに……」

提督「野生の個体は少ないが、人工的に繁殖させた個体は安価だし数も多いぞ。ホームセンターに並ぶようなのは大体それだな」

天龍「へえー、じゃあ幾らくらい……って、3000円!? 全然安くないじゃねえか! 嘘吐いたな提督!」

提督「お前はまずその感覚を改めた方がいいかもな……専門店とかで売ってる天然ものはその2倍はするぞ」

天龍「うげえ……やっぱり俺には理解できねえ世界だ……」

提督「はは、天然ものは産地によって値段が変わったりするんだぜ、四国産、静岡産、和歌山産……ってな具合でな。俺くらいになるとパッと見ただけでどこ産か分かるぞ」

天龍「提督きもちわりい……」

提督「そう言われるようになればクワガタブリーダーとして一人前だ」

ちょっと休憩……


天龍「でもこのオオクワガタってやつ、かっけえなあ……ちょっと触ってみるだけでも駄目かなあ?」

提督「勝手に触るのはまずいが……店員さんに聞けば触らせてくれるんじゃないか?」

天龍「お! マジかよ! すんませーん店員さーん!」

提督「ホントお前は行動が早いな……ほら、店員さん来たぞ」

店員「はい、何か御用でしょうか?」

天龍「えっとさあ、このオオクワガタってやつをちょっと……ん?」

提督「どうした天龍?」

天龍「いや……この店員、何か見覚えがあるような気がしたんだけど……」

店員?「き……気のせいやで……」

提督「……龍驤?」


天龍「あ、ホントだ。こんなとこで何やってんだ龍驤?」

龍驤「ぐ……見て分からんかい、バイトやバイト……!」

提督「あれ? お前この前までマックでバイトしてなかったっけ?」

龍驤「それは前の前のバイト先や、マックは先々月にウチから辞めたで……」

提督「え? お前、給料もいいし従業員割引もしてくれるし至れり尽くせりやー! とか言ってマック絶賛してなかったか?」

龍驤「確かに給料は良かったし従業員割引も魅力やったけど、他のバイトが高校生ばっかりで職場の空気についてけなくなったんや……」

提督「あー……」


龍驤「いや……それでも何とか耐えて仕事をしてたんやけどな、ある日バイト仲間の高校生グループにカラオケ誘われてなあ、思わず首を縦に振ってしまったんよ……」

龍驤「ウチ、カラオケとか小っちゃい頃とーちゃんかーちゃんと行ったくらいで、マトモに歌ったことないねん……レパートリーもZARDくらいしかないねん……」

龍驤「いざ行ってみたら皆今風の歌ばっか歌いよるし……ウチ、愛想笑いしながら手拍子するくらいしかできひんかったんや……」

龍驤「これはさすがにマズイ思てトイレで軽く練習しようとしたら、個室に誰か入ってて赤っ恥かいたし……」

龍驤「その後もわざとドリンクぎょうさん飲んで、たっぷり時間かけてドリンクバーと個室を往復したり、トイレ行くフリしたり……」

龍驤「そんでもウチの番が回ってきて、涙目になりながらZARDの「負けないで」歌ったんや……あの時の皆の微妙な顔と手拍子が忘れられへん……」

龍驤「なんやねん!? ワンオクとかラッドとか知らへんよ!! 皆して裏で示し合わせてるんやろ!? そうやってウチを嵌めようとしてたんやろ!!?」

天龍「お……落ち着けよ龍驤……」

龍驤「ウチかてそーいうお洒落なの歌いたいねん!! でもCD買うような金もあらへんし貸してくれるような友達もおらへんねん!! 皆して……うわあああああん!!」

提督「わ、分かった龍驤、俺が悪かった。今度ホルモンのCD貸してやるから……」


龍驤「ぐす……提督は優しいなぁ……提督みたいな人がいる職場で笑いながら働きたいなぁ……」

天龍「提督……なんか俺胸が痛くなってきたぞ……」

提督「俺もだよ……」

提督「そ、そういえば龍驤! 前の前の職場って言ってたけど、前はどこで働いてたんだ?」

龍驤「あ……ああ、前はすき家で働いてたで、あそこも給料良くて従業員割引があったなぁ。……すぐやめたんやけど」

天龍「なんでだ?」

龍驤「それは、二週間前にな……」


―――――
―――



すき家

瑞鳳「おろしポン酢牛丼の大盛り一つ! わさび山かけ牛丼の並が一つですって!」

龍驤「ひゃー! この時間帯は仕事帰りのサラリーマンが多くててんてこ舞いやなぁ! ほい! おろしポン酢牛丼の大盛りできたでぇ!」

瑞鳳「龍驤さん新入りなのに手際良いわね!」

龍驤「へへへー、ちょっち恥ずかしいなぁ。前はマックで働いてたからこういうのは割と慣れてるんや!」

瑞鳳「頼もしいわ! 龍驤さんのおかげで店全体の回転が速くなってるし……」

祥鳳「――瑞鳳さん! 例のお客様が来ました!」

瑞鳳「ええっ!? もうそんな時間なの!?」

龍驤(例の客?)

瑞鳳「弱ったわ……! 今が一番忙しい時間帯なのに……!」


瑞鳳「龍驤さんお願いがあるの! 厨房は私と祥鳳さんで回すから例のお客さんに注文を取りに行ってくれないかしら!?」

龍驤「そのー……例のお客さんって?」

瑞鳳「ああ、龍驤さんは知らないんだっけ!? とにかく嫌な客よ! いつもこの時間帯に来ては面倒な注文をして憂さ晴らししてるの!」

龍驤「なるほどなぁ、そういう客は飲食業だとつきものやねぇ……分かったわ! 後は頼んだで!」

祥鳳「龍驤さんお願いしますね!」

瑞鳳「頼んだわよ!」


龍驤「はい、ご注文は何になさいますか?(ニッコリ」

龍驤(この客か……)

那珂「え~とねぇ、何にしよっかな~」

龍驤(何頼むか決めてからベル鳴らしーや……)

那珂「えーと、じゃあ決めた! 那珂ちゃんは牛丼の並を頼んじゃいますっ!」

龍驤「牛丼の並一つ……以上でよろしいでしょうか?」

那珂「はーい!」

龍驤(なんや? 割と普通やん……)

那珂「あ、玉ネギ抜きでお願いしますねっ☆」

龍驤「!?」


10分後

龍驤「……お待たせしました。牛丼並玉ネギ抜きです」

那珂「うわーおっいしそー! でもちょっと遅かったかなー、那珂ちゃんはスケジュールギチギチなんだよ!」

龍驤「はい、申し訳ございません」

龍驤(肉の中から玉ネギ一つ一つ箸で取り除いてるんやで!? 時間かかって当たり前やんか!)

那珂「あ、そうだ! 那珂ちゃん追加の注文しちゃおっかな~」

龍驤(牛丼に手も付けてないのに追加注文!?)

那珂「え~っとね~」

龍驤(決めてから言わんかい!)

那珂「ああ、そうだ! 那珂ちゃんにキング牛丼お願いします☆」

龍驤「!!?」


10分後

龍驤「……お、お待たせいたしました。キング牛丼です(プルプル」

那珂「うわぁすっごーい! 裏メニューだけあってすごい大きさ~! でも那珂ちゃん的にはやっぱりもっと早く持ってきてほしかったかな~」

龍驤「も、申し訳ございません……」

龍驤(キング牛丼頼まれると厨房の流れが止まるんやで!? それをこの客よりにもよってこんなに混雑してる時間に……というかなんで牛丼並の後にキング牛丼やねん!)

那珂「あ、そうだ! もう一個追加の注文があったんだった~、那珂ちゃんスマイル~☆」

龍驤「えっ」

那珂「じゃあ牛皿の並を頼んじゃうよ~、あっ、牛抜きでお願いします☆」

龍驤「……」

龍驤「……」

龍驤「玉ネギの残り汁でも啜ってろ……(ボソ」


―――――
―――



龍驤「――てな事があってなあ、すき家はすぐに辞めてしもたんよ……」

提督(不憫だ……)

天龍(不憫だ……)

龍驤「今の職場は働いてるの皆年配の人やから気が楽やわぁ……お仕事頑張ってるとお菓子くれるしなぁ……」

提督(確実にヤバい方に進んでる……)

龍驤「ところで、ウチに何か用事があったとちゃうん?」

天龍「あっ、そ、そうだそうだ! ちょっと頼みたい事があるんだけどさ……」


龍驤「クワガタを触りたい? 別にええよ、この子でええんやな?(ヒョイ」

天龍「お、おお! 早く触らせてくれよ!」

龍驤「慌てんなっちゅーに、ほれ、手の上に乗っけるで」

天龍「おお、うおおお……」

天龍「す、すげえ! 思ったよりずっしりしてる! 体がすべすべだ! 大顎超かっこいい!!」

提督「丸っきり子供だな……」

龍驤「気に入ってもらえたみたいやね」

龍驤「んじゃ、そろそろケースの中に戻させてもらうでー」

天龍「えっ……あ、おう……」

提督「なんだ天龍、気に入ったのか」

天龍「ちっくしょー! 俺にもっと金がありゃあ迷わずこいつを買ってたのになー!」

提督「クワガタは思いの外金がかかるからな、そういう事もあるさ。じゃあ、次で国産のクワガタは最後だ」

天龍「よっしゃこい!」

提督「それじゃあ最後を飾る国産クワガタは、ヒラタクワガタだ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF


天龍「あれ? これさっきのオオクワガタと同じじゃないか?」

提督「同じオオクワガタ科で、言ってみれば親戚みたいなものだからな、確かに似てるかもしれないがこっちの方がオオクワガタより平べったいだろ?」

天龍「ああ、それに大顎の形も違うな、こっちの方がギザギザしてて挟まれたら痛そうだ……」

提督「そりゃもう、めちゃくちゃ痛い。多分挟む力だけなら日本一のクワガタだ。親戚とはいえ、オオクワガタとは真逆で気性も荒くて喧嘩っ早いしな」

提督「余談だが某番組の鼻クワガタじゃほとんどがヒラタクワガタを使ってるんだぞ」

天龍「鼻クワガタ……? なんだそれ?」

提督「やってみるか?」

天龍「いや、なんか嫌な予感がするから遠慮しておくぜ……」

訂正 ×オオクワガタ科→○オオクワガタ属


提督「あと、ヒラタクワガタは他のクワガタに比べて暑さと湿気に強くてな、沖縄とかの離島では何種類もの亜種がいて、特に対馬で採れるツシマヒラタクワガタは日本最大のクワガタだ」

提督「ただ、その割には知名度が低くてな……東日本じゃあまりお目にかかれないせいもあるかもしれないが」

天龍「こんなにかっこいいのになぁ」

提督「ちなみにヒラタクワガタの飼育もそれほど難しくないぞ。しいて言うなら気性が荒いから♂♀ペアで飼う時は注意しないといけないってくらいか。基本、国産のクワガタで飼育が難しいのはいないな」

天龍「値段は……お、1200円か! これなら俺でも買えるぞ!」

提督「まぁ、繁殖自体は容易だからな。でも」

天龍「分かってるよ、どれを飼うかはよく考えて決めるからな!」


提督「国産クワガタには、他にも〝コクワガタ〟〝アカアシクワガタ〟〝ネブトクワガタ〟とかがいるが、さすがにマイナーすぎてホームセンターのペットコーナーじゃ取り扱ってないな」

提督「とりあえず国産のクワガタは全部見終わったし、せっかくここまで来たんだから、外国産のクワガタも見ていくか」

天龍「お、いいねえ! 実を言うと俺ずっと楽しみにしてたんだよー!」

提督「外国のクワガタは日本のと比べて大型だし派手だからなぁ、国産もいいが外国産のは見てて楽しいぞ」

天龍「そんな事より百聞は一見にしかずって言うだろ! 提督も早く来いよ……って、あれ?」

提督「なんだ、今度はどうした……って」

夕張「アルキデスの産卵も間近に控えてるから高タンパクの昆虫ゼリーが必要ね、100mm超えも狙いたいし菌糸ビンも何本かまとめ買いしておこうかしら……(ブツブツ」


夕張「そういえばグランディスの菌糸ビンもそろそろ替え時だったわよね……大型を狙うなら菌糸ビンは外せないし……(ブツブツ」

天龍「何ブツブツ言ってんだ夕張?」

夕張「ひ、ひやぁっ!? な、何何何!? 誰誰誰!?」

提督「そんな爪爪爪みたいな……」

夕張「てっ、提督!? いたの!? じゃなくて何!? 夕張に何か御用ですか!?」

提督「知った顔があったから声かけただけだよ……ていうかテンパりすぎだろ……」


提督「しかし夕張もクワガタブリーダーだったとは意外だったなあ、……しかも結構ガチな方だし」

夕張「ちっ、違うわよ!? 私は別にクワガタ用品みてたわけじゃないわよ!? そっ、そもそも私女子力の塊だから虫とか触れないし!?」

提督「別に恥ずかしがることじゃないと思うが……」

夕張「なな、何の事言ってるか分かりませんね! 私は、ほら、そう! インコとか見に来ただけだから!!」

提督「そうか……では問題です。極端に暑さに弱く飼育が困難とされる長い手足と大顎が特徴的なチリクワガタ属6種、全て答えなさい。制限時間は10秒」

夕張「えっ!?」

提督「チッチッチッチッ……」

夕張「ええ、えーと、ええ、ううー……!」

夕張「ラトレイユ、ジュセリン、ベネッシュ、ムニスゼッチ、ショーエネマン、チリクワガタ!!」

提督「……」

夕張「……」じわっ


天龍「……おい提督、夕張、泣きながらすごい勢いでどっか行っちまったぞ……」

提督「ちょっとからかうつもりだったんだが……まさかあそこまで取り乱すとは」

提督「にしても夕張とは良い酒が飲めそうだな、今度会った時は二人で今まで育ててきたクワガタたちの写真を眺めながら夜通し語りたいもんだ」

天龍「何か怖いぞそれ……」

提督「世間じゃアニオタだのアイドルオタだのばかりがキモいキモいと取り沙汰されてるが、上には上、否、深淵には深淵があるというわけだ」

天龍「それ何の自慢にもならねえからな……」

提督「……まぁいいや、気を取り直して外国産のクワガタを見て回るぞ」

さっき軽く寝落ちしかけてました。見てる人がどれくらいいるかは分からないけど、続きは起きたら上げまする……
おやすみなさい

おはようございます


提督「まずは手初めにこいつからだな、〝パリーフタマタクワガタ〟だ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「大顎がかっけえな! 背中のオレンジ色もセンスいいじゃねえか!」

提督「そうそう、別名はセアカフタマタクワガタって言ってな、それが由来してるんだ」

提督「こんな目立つナリしてる上、それなりに大きな個体でも比較的リーズナブルだからペットショップ人気が高い種だな、大抵のペットショップには置いてあるぞ。気性が荒いのが難点だな」

天龍「さっきから思ってたんだけど、その気性が荒いって何だ?」

提督「腹が減ってる時の赤城みたいなもんだと思えばいい」

天龍「こわっ!?」


提督「次は、〝ニジイロクワガタ〟だ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B8%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「うお!? なんだこりゃあ!? めっちゃ派手な色してるぞ!?」

提督「それがニジイロクワガと呼ばれる所以だからな、世界一美しいクワガタって呼ばれてて、日本に初めて輸入された外国産のクワガタらしいぞ。これもまたペットショップ人気の高い種だ」

提督「飼育も繁殖も簡単だから、他の外国産クワガタと比べてもかなり安価だな。余談だが、こういう体色が派手な昆虫っていうのは得てして寿命が短いもんだが、こいつはちゃんと育てりゃ2年くらい生きるぞ」

天龍「……」

提督「どうした天龍?」

天龍「……正直、色がどぎつすぎて気持ち悪い……カナブンみたいだ」

提督「夕張の前でそれ言ってたら鼻クワガタは免れなかっただろうな」


提督「さて、次はさっき夕張がぶつぶつ言ってた〝アルキデスオオヒラタクワガタ〟だ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%92%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「ごっついクワガタだなぁ、なかなか強そうじゃねえか!」

提督「まあな。ヒラタクワガタ種は総じて気性が荒くて力も強いんだが、こいつもその例に漏れず凶暴だぞ。外国産クワガタの中でも大型な部類で、100mm超えの個体もいるそうだ」

天龍「へえー……にしては、体の割に大顎が短いな」

提督「そりゃあ短歯型だからだな」

天龍「短歯型?」

提督「アルキデスオオヒラタには大きく分けて短歯型、中歯型、長歯型の三種類があるんだよ。一番人気はやっぱり短歯型だな」

天龍「よく分かんねーが、クワガタってのは大顎がでかいに越した事はないんじゃねえの?」

提督「そうでもないぞ、アルキデスオオヒラタは短歯型が一番挟む力が強いからな、ペンチって比喩されるくらいだ。クワガタの中じゃ最も挟む力が強いって言われてるだけあって、ふざけて挟まれたら皮くらい持ってかれるぞ」

天龍「こわっ!?」


提督「さて次は……」

天龍「うお!? 提督! なんかあそこにすげーのがいるぞ!? なんだあれ!?」

提督「ん? ああ、あれは〝タランドゥスオオツヤクワガタ〟だな」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A5%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%84%E3%83%A4%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「どうなってんだこれ! めっちゃツヤツヤしてるぞ!」

提督「覗き込めば顔が反射するくらいの艶に特殊な形の大顎、怒ると鳴き声をあげる等々、個性の塊みたいなクワガタだからな。そのくせ色物かと思いきや、体はごついし、挟む力なら大型のヒラタクワガタにも負けてないぞ」

天龍「俺はあんまり派手すぎるのは好きじゃねえが、こいつはかっこいいな!」

提督「それは俺も同感だ。一時期ブリードしようと思ってた事もあったくらいだが……値札見てみな」

天龍「値札……はぁっ!? 2万円!!?」

提督「そういうこった、詳しい生態は不明、飼育が難しい上に金がかかるし、最近まで幼虫の飼育法やメスの産卵習性が解明されてなかったんだ。その値段も当然だな」

天龍「クワガタで2万……3DSとソフト1本買えるじゃねえか……」

提督「まあ、生き物を金で買うと思えば安く感じてくるさ」


天龍「こっちのは何だ提督!?」

提督「そりゃ〝オウゴンオニクワガタ〟だ」

参照→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

天龍「なんだか強そうな名前だな!」

提督「それほどでもないけどな、寿命もクワガタにしちゃ短い方だし、主に標高の高い場所に生息してるから高温に弱いんだ」

天龍「値段は8000円か、さっきのやつほどじゃないにせよとんでもない値段だな……」

提督「タランドゥスと同様、最近まで幼虫の飼育方法や産卵習性が分からなかったからな。まだまだ容易に手を出せるような値段じゃないな」

天龍「……ところで提督、こいつは黄金色をしてるからオウゴンオニクワガタなんだよな?」

提督「まぁ、そういうことになってるが」

天龍「……黄金っていうより、ところどころ黒い模様があってくすんだ黄色……熟れたバナナの皮みてえだ」

提督「言うな」


提督「とりあえず目を引く外国産クワガタは大方紹介できたな」

天龍「派手ででかくて強そうなやつばっかりだったな!」

提督「外国産は日本のクワガタに比べてインパクトが強いからな。それに最近じゃ大分手頃な値段で簡単に手に入れられるようになってきて、国産よりも子供受けが良かったりするぞ」

提督「ただ、最近じゃデパートとかで売られてる安価な外国産クワガタを軽い気持ちで買って、育てきれなくなった挙句に放虫する輩がいるが、それは外国産クワガタを飼う上で最もやっちゃいけないことだ」

天龍「そりゃどうしてだ?」

提督「散々言ってきたが、外国産のクワガタは国産のに比べてでかいし、強いんだ。それを不用意に野生へ放ったりしたら、既存のクワガタの住処を奪ったり、最悪生態系を破壊することもある」

天龍「せっかく飼ってるのを逃がすなんて俺には考えられねえけどなあ」



提督「で、天龍、何かめぼしい物は見つかったか?」

天龍「んー、どいつもこいつもかっこよくて迷っちまうんだよなー」

提督「まあ、こういうのは迷うのも楽しみの一つだよな」

天龍「考えてたら腹が減ってきたぜ……」

提督「そういえばもう昼時か……じゃあとりあえずどっかで飯食ってきてから決めるか?」

天龍「お、いいねえ! 提督ガスト行こうぜガスト!」

提督「ガストかぁ……知り合いいそうであまり気が進まないが、行くか」

天龍「ぅっしゃあ! 天龍! 出撃s」

提督「コラ(グイッ」

天龍「ぐええっ!?」



ガスト

ワイワイガヤガヤ

天龍「やっぱり昼飯時なだけあって混んでるなぁ、待たずに入れたのは奇跡だぜ」

提督「そうだな。それはそうと、俺はミックスグリルにライスと日替わりスープのセットを頼むが、天龍は決まったか?」

天龍「うーん……ちょっと待ってくれよ……食いたい物が多くて……うーん……」

天龍「……よし! じゃあ俺はカニのクリームスパゲティと寄せ豆腐のヘルシーサラダを……って、なんだよ提督その目は?」

提督「いや、お前の事だからがっつりステーキとか言うんじゃないかと思ってたんだが、思いの外女子っぽい注文でちょっと驚いただけ」

天龍「な、なんだよ女子っぽいって!? 俺は天龍様だぞ!?」

提督「いや考えてみれば当然の事だったな、天龍、よくツタヤで女性向けファッション雑誌立ち読みしてるし」

天龍「はあっ!? なっ、なんで知ってんだよ!?」

提督「3分クッキング録画して、こっそり料理の練習もしてるしなぁ」

天龍「んあっ!!? だっ、だから何で知ってんだよ!?」

提督「天龍の女子力は世界水準軽く超えてるからな」

天龍「うるせえバーカバーカ!!」


店員「お待たせいたしましたー、寄せ豆腐のヘルシーサラダです」

天龍「……」

提督「……」

天龍「……なんだよ提督、何か言いたいことがあるならはっきり言えよ……」

提督「はて、俺は何も言ってないが」

天龍「ぐっ……先に食うからな!」

提督「どうぞどうぞ」

天龍「……(シャクシャク」

提督「全然関係ないけど女子ってヘルシーって単語好きだよな」

天龍「うぎぎ……(シャクシャク」

提督(楽しい)


店員「お待たせしました。ミックスグリル、ライスと日替わりスープのセットとカニのクリームスパゲティです」

天龍「……」

提督「そんなに睨まなくてももう何も言わねえよ……俺だってこれから食うんだから」

天龍「……信用できねえ」

提督「分かった分かった、肉どれか一個やるから」

天龍「へっへーやりい! じゃあ俺は鶏肉もらうぜ!」

提督「全く躊躇しなかったな……」

天龍「いただきまーす!(カチャカチャ」

提督(ちゃんとナイフとフォークで食うんだな……)


天龍「カニとクリームの香りが最高だなぁオイ!」

提督「ホントに美味そうに食うなお前は……」

天龍「あ……料理来る前に水持ってくるの忘れちまった……持ってくるけど提督もいるか?」

提督「氷少なめで頼む」

天龍「じゃあ行ってくっかー、提督、俺のカニのクリームスパゲティ見張っててくれよ」

提督「別に誰かに盗られるわけじゃないだろ……」

天龍「万が一だよ万が一、そういう不届き者もいるかもしれねえだろ? じゃ、ちゃんと見てるよなー」

提督「はいはい分かった分かったよ……」

提督「……さて、待ってる間天龍のスパゲッティにタバスコ振りかけて遊んでるか」


天龍「天龍様が帰投したぜ! 提督、俺のスパゲッティは無事か?」

提督「無事に決まってるだろ」

天龍「そっか、ありがとよ提督! 報酬はこの水だ!」

提督「サンキュ」

天龍「……ところで提督、さっき水を汲みに行った時に席を立って気付いたんだけどさ」

提督「なんだ?」

天龍「後ろ」

提督「……?(クルッ」

足柄「やっぱり休日は一人ファミレスよね~」

提督「oh...」


提督「(いや、確かにそろそろ来る頃だろうなとは思ってたよ! 薄々勘付いてたんだよ! どういうわけか今日は知り合いによく会う日だから!)」

提督「(でも別の場所でもう一回同じヤツと遭遇するなんて予想できるか! しかも背中向けてて気付かなかったが通路挟んで真後ろの席じゃねーか!)」

天龍「(俺に言われても困る……)」

足柄「このお肉おいし~、やっぱり高い所で無理して食べるより、こういうとこの料理の方が心臓にも財布にも優しいわね」

提督(箸でがっつりステーキ食ってる……)

足柄「ピザも美味しいわ~こんなに贅沢しちゃっていいのかしら!」

天龍(一人でマヨコーンピザ食ってる……)


店員「お待たせしました、プリンパフェです」

足柄「はいはーい、やっぱり疲れた時はパフェよね~(パクッ」

足柄「おいし~、400円でこの幸せが買えるなんて本当に贅沢よね~、火照った体にアイスがしみるわ~」

足柄「崩さないように、均等に食べていって……と」

足柄「あ、危ない危ない、ホイップクリームを取りすぎちゃうところだったわ~、せっかく一週間ぶりのパフェなんだからもっとゆっくり楽しまないとね~」


提督「……俺ちょっとトイレ行ってくるわ」

天龍「逃げんな提督、最後まで見届けろ」

提督「離せ天龍、俺はあんなシーズン2以降のドラマ版孤独のグルメみたいなのこれ以上見てられない」


提督「くそ……もしかしてあいつわざとやってるんじゃねえのか……」

天龍「……こう言っちゃなんだが、足柄の事見てると明日からのやる気が吸い取られてくような気がするな……」

提督「しかもめっちゃゆっくりパフェ食ってるし……こんな事なら最初から気付かなきゃ良かった……」

天龍「まあ、向こうはパフェに夢中でこっちには全く気付いてないみてえだし、あいつもその内何事も無く帰……」

チリンチリーン イラッシャイマセー 3メイサマデショウカ? アチラノセキヘドウゾー

妙高「ふう……ここはエアコンが効いてて涼しいですわね」

那智「あれしきの暑さでだらしないぞ」

羽黒「あそこの席ですよね……って、あれ? 足柄お姉ちゃん?」

足柄「えっ」


提督「」

天龍「」


那智「おお足柄、こんなところで会うとは奇遇だな」

妙高「私たちもちょうど食事だったのですわ、しかも丁度隣の席だなんて」

足柄「えっ えっ」

妙高「ふう……さすがに今日のような猛暑日に歩いて買い物というのは疲れますね……」

那智「すぐそこのデパートに行っただけではないか、彼氏がいて幸せなのは分かるが、少したるんでるんじゃないか?」

羽黒「あ、あの……せっかく皆でお出かけなんですし……そういう話はやめましょうよ……」

那智「む……羽黒の言う通りだな、そういえば足柄、貴様は何をしてるんだ?」

足柄「え、お昼ご飯、ですけど……」


那智「ああ、まぁ、それもそうか、当たり前の事だったな」

足柄「あっはい……」

那智「こちらは、こいつがデートだとかで服選びを手伝わされた次第だ。全く迷惑な話だよ」

妙高「ちょっと那智……!」

那智「なんだ、別にいいだろう」

足柄「へ、へえ、そうなの……そういえばさっき彼氏さんとか聞こえたけど……」

那智「そうそう、妙高の奴だ。来月には式を挙げるらしいぞ」

妙高「だから那智、そういうのはやめてくださいと……」

足柄(嘘でしょ……?)


足柄(え、嘘嘘嘘、妙高姉さんが? 彼氏?)

足柄(いや確かに妙高姉さんは私たちの姉妹じゃ長女だけど、私とそんなに歳は変わらないのに、嘘、式? 結婚式? ハッピーウエディング? ゴールイン?)

足柄(いやいや、え? 私一人ファミレスなのに、妙高姉さんには彼氏? え? どういうこと? 私何してるの? ていうか何で3人でデパートとか行ってるの?)

羽黒「那智お姉ちゃん……そういうのはやめようって……」

那智「別にいいではないか、減るものではあるまいし」

足柄(い……いや! まだ那智姉さんと羽黒ちゃんがいる! 那智姉さんは恋愛なんて無縁って顔してるし、羽黒ちゃんは男慣れしてない! まだ焦らなくても大丈夫よ! 頑張りなさい足柄!)

足柄「へ、へえ、おめでとう妙高姉さん、それならとびっきりお洒落な服を買ってきたんでしょうね(ニッコリ」

妙高「え? 買ってきたのは羽黒の服ですわよ?」

足柄「は?」


足柄「え……あ、羽黒ちゃん、彼氏……?」

羽黒「あうう……」

那智「こんな大人しそうな顔してるが、羽黒の彼氏は相当なイケメンだぞ、全く油断できない奴だ」

羽黒「そ、そんなこと……」

妙高「那智、だからそういうのはやめなさいと言っているでしょう。那智だって何人にもアタックされているではありませんか」

足柄「!!?」

那智「私か? あんなの酒の席で酔っぱらった男共が勢いで言っているだけだ。それに、あれしきで酔い潰れるような軟弱な男に興味はない」

妙高「もう、本当にあなたは……」

那智「まぁまぁ、そう言うな。……そういえば、足柄は何かそういう浮いた話はないのか?」

足柄「ひゅっ、わ、私ですかっ……?(裏声)」


羽黒「あ、足柄お姉ちゃんは私なんかと違って大人の女性だから……」

妙高「確かに、足柄はスタイルもいいし、そういう話も多そうですわね」

足柄「え……あ……私は……」

那智「別に恥ずかしがるような性格でもあるまい」

羽黒「私、足柄お姉ちゃんの彼氏さん、見たいな……」

足柄「え……う……か……彼氏っ……? 勿論……い、いる、いるわよ……?」


提督「!?」

天龍「!?」


羽黒「あ、やっぱり……!」

那智「ほら、やはりいたではないか」

妙高「まあ私も足柄ならいると思っておりましたよ。そうだ、ついでにどのような殿方か教えていただいてよろしいでしょうか?」

足柄「えふっ!? え、あ、あの……どんなって……?」

那智「色々あるだろう? 容姿とか性格とか……やはり職場の人間か? それともそれ以外か?」

羽黒「私たちの知ってる人……?」

足柄「え……あの……て、て……」

妙高「て?」

足柄「て……」


足柄「提督です……」


提督「!!!!!???(ガタッ」

天龍「!!?」


那智「ほう……! 提督とは、これはまた意外だな……」

妙高「確かに意外ですわね……てっきり提督は金剛さんあたりとくっつくと思っていましたから」

羽黒「い、いいと思いますっ! 提督さん、優しいですし!」

足柄「そ……そう……?」

那智「私も祝福するぞ、提督とも見知った仲だ。式を挙げる時は必ず呼んでくれ」

足柄「し、式……!?」


天龍「オイ! どういうことだ提督オイ!」

提督「ち、違う! 俺は何も知らない! 事実無根!!」


妙高「……っと、もうこんな時間ですわ、羽黒、そろそろ時間じゃありません?」

羽黒「あ、はい……! 待ち合わせの時間まではまだありますけど、もう来てるかも……」

那智「そういえば、妙高もこれから旦那のところへ行くのだろう?」

妙高「もう……まだ旦那じゃありませんと何度言えば……」

那智「結局、話しているだけで終わってしまったな。まだ何も食べていないが、出るか」

妙高「そうですわね、足柄さん、提督によろしくお願いします」

羽黒「よろしくお願いしますっ!」

足柄「え……ああ、はい……」

チリンチリーン アリガトウゴザイマシター

足柄「……」

足柄「……提督、多分私よりお酒弱いわよね」

足柄「既成事実……か」


提督「!?(ゾクッ」

提督「お……おい天龍! 店出るぞ! 何か今悪寒が走った!」

天龍「お、おい待てよ! 俺まだスパゲッティ食ってな……辛っ!!」

また軽く寝落ちしかけてました……続きは起きたら上げます
今日の投下分はクワガタ要素ほぼ皆無でした、申し訳ございませぬ
ではおやすみなさい

乙、足柄さん可愛い
>>3の扶桑姉妹が家に来た時のエピソード書いてください(懇願)

おはようございます


ホームセンターキタカミ

提督「まさかこんなにも早くここに戻ってくる事になるとはな」

天龍「俺はもっとゆっくり食いたかったぜ」

提督「しょうがねえだろ……足柄に気付かれてたらもっと面倒な事になってたんだ……」

天龍「そりゃあそうだろうけど、俺まだ何も決めてないぞ?」

提督「しょうがない、じゃあ決まるまでクワガタ用品の方を説明するか」

天龍「おう! 頼んだぜ提督!」


提督「まずは飼育ケースからだな」

天龍「なんだこの数……」

提督「前も言ったように大きさはピンからキリまでだからな、小さすぎるとクワガタにストレスが溜まるし、エサ皿とか止まり木とか置きたい物が入りきらないこともある」

提督「♂と♀でペアリングをする時は小さめのケースがいいとも聞くが、まぁ天龍は好きなのを買った方がいいと思うぞ」

天龍「確か、SANKOのクリーンケースってのがオススメなんだよな? あれか?」

提督「そうだ。よく覚えてたな」

天龍「へー、確かにこれなら中の様子がよく見えるぜ。……でも、同じ大きさでこれより安いケースもいっぱいあるぞ? 形は違うけど……」

提督「それほど品がいいって事さ、それにあんまり安物のケースを飼うとコバエが沸いて大変だし、クワガタが天ブタを壊して脱走することもあるんだよ」

天龍「脱走!? そういうこともあるのか!?」

提督「クワガタの大顎を舐めちゃいけねえな、俺だって最初の頃は二回ほどやられたぞ。夜中に部屋の中を飛び回られて、そんで跳ね起きた」

天龍「お、俺このケース買うぜ……」

提督「ま、多少高くてもケースは使い回しできるんだ、2,300円ケチるくらいなら髙めのケースを買う事をお勧めするぞ。大きめのケースなら観賞用のレイアウトにこだわるって言う楽しみも増えるしな」


天龍「これは……昆虫マットだっけか? これもまた種類が多いな……でも、俺には全部同じ土にしか見えないぞ?」

提督「色々あるんだよ色々、産卵用の発酵マットだったり、ダニ除去・予防用のマットだったり、珍しいのはペパーレットってのもあるな。大体パッケージ見りゃあ書いてある」

天龍「そんな事言ったってよ、俺には何が何だか……」

提督「それもそうだな。……じゃあはっきり言ってやろう、昆虫マットなんてどれも同じだ」

天龍「は!? さっき色々あるって言ってたろ!?」

提督「言ったな、実際色々あるし。でもペアリングさせるわけでも幼虫を育てるわけでもなし、単純にクワガタの成虫を飼うだけならどれを選んでも変わらねえよ。百円均一で売ってるようなものでもいいぞ」

天龍「いきなり極端すぎるだろ……」

提督「俺が実際に色々使ってみてそう思ったんだよ。そこら辺はもう好みで良いさ」

提督「ああ、あとたまに市販の昆虫マットの中にクワガタにくっつくダニがいることがあるが、そういう時は使用前に一回軽くレンジでチンすると予防できるぞ」

天龍「土をレンジでチン……?」


提督「次は、昆虫ゼリーだ」

天龍「うお!? 多すぎるだろ! これが一番種類あんじゃねえのか!?」

提督「そうかもな、昆虫ゼリーはクワガタ用品の中じゃ一番種類が多いかもしれん」

提督「昆虫ゼリーに求められるのは栄養価が高い事と、あとはまあマットが汚れないように崩れにくい事かな。安物だと臭いがきつかったり、すぐに崩れたり、ベタベタしてたり……あまりオススメはしないな」

天龍「じゃあ高い方がいいってことか?」

提督「クワガタにも好みがあるから一概に高い物が良いと言うわけじゃないがな。安物が好きなヤツだっているし」

天龍「え? クワガタにも味の好みとかあんのか?」

提督「勿論あるぞ、好みによって昆虫ゼリーへの食い付き方が全く変わってくる」

天龍「あー、そういやこの前提督の貰いもののサザエ皆で食ってた時に赤城も言ってたなあ、このサザエは養殖だから味があまり良くないとかなんとか。そんな感じか?」

提督「あいつその後文句言いながら殻ごと食ってただろうが、それにあの時は黙ってたけどな、あれは養殖ものじゃなくてちゃんとした天然ものだし、第一サザエじゃなくてシジミだ」

天龍「はあ!? あれサザエじゃなかったのかよ! 通りでどっかで見た事あると思ったぜ!!」

提督「そりゃ普通に味噌汁に入ってるしな……そもそもサザエなんて高級なもん俺が貰えるわけないだろ」

天龍「なんてこった……皆にサザエ食ったって自慢した時に龍田がやたら笑ってたのはそういう訳だったのか……」

提督「まあ、これも経験の内だ」


提督「じゃあ昆虫ゼリーの話に戻るが」

天龍「おう……」

提督「急にテンション下がんなよ……さて、昆虫ゼリーの話だ」

提督「当然のことを言うが昆虫ゼリーは、もとい食事は重要だ。特に産卵前のメスのクワガタには高タンパクのゼリーを与えないと満足に産卵もせず、衰弱死ということもある」

提督「まぁペアリングは玄人向けだし、天龍には必要ない話だろうけどな。ちなみに俺のオススメはKBファームのプロゼリーとすこやかゼリーだ。栄養価が高いのは当たり前として食いつきが違うぞ」

天龍「……」

提督「……それと、昆虫ゼリーは大顎の大きなクワガタだと、大顎が邪魔になって食えない事があるからな、そういう時はカッターナイフでゼリーを容器ごと半分にして……」

天龍「……」

提督「……昆虫ゼリーではないが、他にも樹液タイプのエサがあるな。割と安価だし、後処理さえできるなら使ってみても……」

天龍「……」

提督「めんどくさいなお前!」


提督「ほら! いい加減テンション戻せ! 次はクワガタの飼育であると便利な物について教えるぞ!」

天龍「お、おう……! って、あれ? 止まり木とエサ皿ってのは?」

提督「あれは完全に好みの問題だ。自分の好みに合わせて好きな物を買えばいい」

天龍「そうなのか」

提督「と、いうわけで、クワガタ飼育であらかじめ用意してあると便利な物についてだ。とりあえず霧吹きは欲しいな」

天龍「霧吹き? そんなもん何に使うんだ?」

提督「朝夕の二度、霧吹きでマットの上に軽く水を吹きかけるんだよ。クワガタは暑さの次に乾燥に弱いからな」

天龍「へーなるほどなー、でも俺霧吹きなんて持ってないぞ?」

提督「霧吹きは百均で買ったもので十分だが……ここはホームセンターだし、それくらい売ってるだろ」


提督「あとは……ブラシも欲しいな」

天龍「ブラシ?」

提督「そうブラシだ。専用のブラシを買ってもいいし、痛んで使わなくなった歯ブラシでもいい」

天龍「何に使うんだ?」

提督「稀にだが、クワガタにダニが湧くことがあるんだよ。そのダニは人間には無害だがクワガタには有害で、こいつが湧き始めるとクワガタはどんどん衰弱していく。それを除去するのがブラシだ」

天龍「あー、それは確かにあると便利だな。痛んだ歯ブラシなら家にもあるが、それで完全にダニが除去できるのか?」

提督「完全にっていうのは無理だな。一回完全に除去しても、しばらくすればまた湧き始める」

天龍「え? じゃあどうしようもねえじゃねえか」

提督「そういう時こそ、さっき紹介したダニの除去・予防用昆虫マットを使えばいい。俺は使ったことはないが、効果は確からしいぞ」

天龍「ふーん……ダニか、覚えとくぜ」


提督「あとはクワガタ用の消臭剤だの、クワガタ用のパネルヒーターだの、温度計だの……飼育用品は数え切れないくらいあるが、最初からそんなに買っておく必要は全くないな、初めてはこれで十分だろ」

天龍「クワガタを飼うのって、飼育用品だけでも結構金がかかるんだな……」

提督「生き物は皆そうさ、ところで、どんなクワガタを飼うか決まったか?」

天龍「うーん……」

提督「別に無理して今日飼わなくたっていいからな、そういう時無理に選ぶと後で後悔するし」

天龍「いや、二択までは絞れたんだよ。予算からも考えてヒラタクワガタかノコギリクワガタ、どっちかを飼いてえんだけど……悩むなぁ」

提督「まあ最初から高いのを買うよりずっと良い選択だな、初めはクワガタそのものに慣れないと」

天龍「……よし、決めたぜ提督! 俺はヒラタクワガタの方を買う!」

提督「へえ、決め手は?」

天龍「気性が荒いってとこだ! やっぱクワガタってのは強くて凶暴なのが良いんだろ!」

提督「ここにきてムシキング脳が出てきたな……別にいいが」


提督「よし、買う物も決まったし、早速会計に行くか」

天龍「おう! って、提督! 肝心のクワガタを忘れてるぞ!」

提督「こういうとこじゃ普通クワガタは直接レジに持っていかないで、店員さんに頼んで別の容器に移してもらうんだよ」

天龍「へえー、じゃあ早く会計してもらおうぜ!」

提督「だから慌てんなって、ちょうど今レジで誰か会計してもらってるみたいだし」

天龍「あ、本当だ。……あの客、すげえ量の白いビン買ってるなぁ、あれ何だ?」

提督「あれは菌糸ビンって言って、クワガタの幼虫にとって栄養豊富なキノコの菌が詰まったビンだ。大型のヒラタやオオクワガタを狙う玄人クワガタブリーダーは必ずと言っていいほど使ってるぞ」

天龍「キノコの菌ねえ……というか提督、あの後ろ姿さあ」

提督「十中八九、夕張だな」


龍驤「1400ml菌糸ビンが20本、合計で17000円や……になります」

夕張「はい、じゃあこれで」

龍驤「1、2、3……丁度お預かりします。では少しだけまち……お待ちください(ガサゴソ」

夕張「……」

夕張「……17000円かぁ。趣味にかけるお金って、どれだけ多くても多いと感じないから不思議よね」

夕張「でも、これは必要資金だから! 念願の100mmアルキデスを拝むための必要資金なのよ! 私は目的のためなら何日だってご飯ですよだけで……」

提督「おい夕張、ビークワ(※4か月周期で発売される日本最大のクワガタ雑誌)買い忘れてるぞ」

夕張「ふふ、私を甘く見ないでちょうだい。ビークワは2001年の創刊号から全部揃えてるし、先月発売の48号も発売日当日に買ったわ」

提督「ほう」

夕張「48号はシンプル・イズ・ザ・ベスト世界のオオクワガタ特集! あの飾り気ない洗練されたフォルムは何度見たって飽きないわよね! もう何回だって読み直し……(ピタッ」

夕張「……?」

夕張「……」

夕張「ふあ゜っ!!?」


天龍「夕張のやつ、本当にあのビン全部入った段ボール箱持って泣きながら逃げてったぞ……」

提督「さすがに1400ml菌糸ビン20本はきついのか歩くより遅かったけどな、一回転んでたし」

龍驤「あのなぁ……あんまりウチのお得意様からかわんといてくれへん?」

提督「悪い悪い、でもあんなの弄るしかないだろ」

龍驤「知らんわ」

提督「しかしまさかビークワを全号持ってるとはな、今度14号貸してもらうか……」

龍驤「だから知らんて」

天龍「なんでもいいからさっさと会計させてくれよ……」


天龍セレクション

クリーンケースM(SANKO) …… 約500円

すこやかゼリー16g 1袋50個入り(KBファーム) …… 約500円

昆虫マット …… 105円

エサ皿(木製) …… 約400円

止まり木 …… 約300円

国産ヒラタクワガタ …… 1200円


龍驤「えーと……しめて3000円ってとこやね」

天龍「3000円か、財布が一気に軽くなっちまった……」

提督「3000円で軽くなる財布って……中学生か」

天龍「しょうがねえだろ、今週あんまりミスドのバイト入ってないんだからよ……」

提督「バイト? 天龍お前ミスドでバイトしてたのか?」

天龍「……」

天龍「……あ! いや! 嘘嘘! ウソだ今の! 聞かなかったことに……!」

提督「そういやこの前、暁姉妹がミスド食いたいって言ってたなぁ……」

天龍「オイ!! 絶対にやめろよ!? 絶対連れてくんなよ!!?」

龍驤(もう営業妨害で訴えてもええかな……)


龍驤「ありがとうございましたーまたお越しくださいませー(棒読み)」

天龍「とうとう念願のクワガタを手に入れたぜー! くぅーっかっこいいなあ! これなら本当に一日中眺めてられそうだ!」

提督「あー、俺も最初の頃はそんな感じだったなぁ。今となっては懐かしいぞ」

天龍「こんな小さな容器の中じゃ可哀相だし、家に帰ったら真っ先にこいつの家を作ってやらなきゃなぁ」

提督「そうだな。どうせ乗りかかった船だ、それくらいは手伝ってやるよ」

天龍「おう! 頼むぜ提督!」

提督「なあに、今度暁姉妹に一個ずつミスド奢ってやるだけでいいさ」

天龍「今度買ってきてやるからマジで来るなよ!? 本当だぞ!?」

提督「フハハ怖かろう」

天龍「うっせえバーカバーカ!!」


アパート鎮守府 天龍の部屋

提督「――じゃ、やる事も終わったし俺は帰るが、何か分からない事があったら……携帯にかけてこいよ」

天龍「分かってるって! 今日は色々助かったぜ提督! またな!」

バタン

天龍「ふう……今日はつっかれたなぁ、結構汗かいたし、とりあえずシャワー浴びるか」

天龍「……でもその前にちょっとクワガタの様子を見とくかな」

タッタッタ

天龍「……おお! 動いてる動いてる! 昼間はあんなに大人しかったのに……そういや提督は夜行性だって言ってたなぁ」

天龍「……(ウズウズ」

天龍「……ちょっと手の上に乗っけてみるか」


天龍「うおお! やっぱりこの感触はいいなぁ!」

天龍「あのオオクワガタ? ってやつほどずっしりはしてねえけど、これはこれで最高だなぁオイ!」

天龍「こっち威嚇してるぜー! かっけえ!」

天龍「よし! お前の名前は今日から天龍二号だ! たっぷり可愛がってやるからな~!」

天龍「……って、ダメだダメだ、あんまり触りすぎるとストレスになるって提督が言ってたしな、今日はこのくらいにしてケースの中に戻さねえと……」

カサカサ ピタッ

天龍「ん? なんだ急に止まって……」

ガサッ ブウウウウン

天龍「えーー?」


――その夜、アパート鎮守府にて一つの悲鳴が響き渡り、しばらくの間、天龍のあだ名は両目眼帯の天龍になったそうな


投げっぱなし感があるけどこれでおわり
お付き合いありがとうございました。


オマケ何本か


足柄「提督~、いい感じのお酒を手に入れたんだけど一人で呑むのは寂しいから、今日は一緒に呑まないかしら~(コンコン」

足柄「おつまみだって、近くのコンビニでいっぱい買ってきたから~、チータラあるわよチータラ~(コンコン」

足柄「そろそろお姉さん寂しくて死んじゃうわよ~(コンコン」

足柄「……(コンコン」

足柄「……また居留守使ってるわね、こうなったら強行突破よ」


提督「あの、もしもし大家さんですか……すみません、二階の提督ですが、はい、私の部屋の前に、はい、誰かいましてて……はい、私は今それを下から見てるんですけど……」


カラオケ

龍驤「青あっざっつめー! つめー! とぅーめにおなきーす!! ほーりくーるわーしてぬらすがいいー!! 爪! 爪! 爪ー!! 爪爪爪……!」

龍驤「ふう……ウチも大分上手くなってきたんやないかな!」

龍驤「最初聞いた時はなんやこれ思たけど、慣れてみるとええもんやなぁホルモンって。提督が言ってた通り若い子たちに人気があるっちゅーのも分かるわ、うんうん」

龍驤「これで来週の同窓会もカラオケはバッチリやな!」

龍驤「よし、じゃあとりあえず次はぶっ生き返すいってみよー!」

龍驤「のーみっそー! 常に震わせてー! あらあらとじんせにそむーくー!! もーいっそー! 俺にうまーれたならー! 君をーぶっ生きかえーす……!!」


一週間後、昔の顔なじみが集まる同窓会で、「ぶっ生き返す」「爪爪爪」「ロッキンポ殺し」その他7曲を見事歌い切り、あまりのクオリティの高さから軽く引かれる龍驤の姿がそこにはあった


>>103

アパート鎮守府 提督の部屋

コンコン

扶桑「提督、扶桑です。少し相談があるのですが……」

提督「んあ、扶桑か? 鍵は開いてるぞ」

扶桑「そうですか……では失礼します」

提督「……!? あ、いや待て! やっぱお前は入ってくるんじゃ……!!」

扶桑「え?」ベギベギィメギィ

提督「」

扶桑「あ、すいません……いくら気心が知れた仲とはいえ、やはり男性の部屋にこんなに気軽に足を踏み入れていいものではありませんよね。……外へ出ます」

提督「!? 待て待て待て!! 出なくていい!! 出るな!! まず用件だろ!?」

扶桑「まあ、そこまでおっしゃるのなら……実は私と妹の山城は先日、慣れ親しんだケータイからすまほと言うものに買い換えたのですが、なかなか使い勝手が分からず……」

提督「いや、俺だって未だにガラケーだけど……」

扶桑「そうですか……すみません、余計な時間を取らせてしまいました。帰りますね……」

提督「待て待て待て!! 分かった!! そういうのは夕張が詳しいって誰かが言ってたから!! 今から電話で確認するから絶対にそこ動くなよ!?」

扶桑「まあ、提督は優しいのですね……ではお言葉に甘えて……」

山城「扶桑姉さま! 私、やっとすまほをマスターしましたわ!」バギバギメギボゴッ

扶桑「まあ」

提督「」


アパート鎮守府 夕張の部屋

夕張「これで、よしっと……あとはこれを保冷温庫に入れて完成ね」

夕張「さすがに20匹の幼虫をビンに移し替えるのは肩がこるわ……」

夕張「でも、そんな疲れもアルキデスちゃんの背中を撫でてるだけで癒されるわね。当分は毎日三食ご飯ですよになりそうだけど……」

夕張「まぁ、私の愛の前じゃそんなのは些細な事ね、さて、シャワー浴びて久しぶりにKUWATA(※クワガタ雑誌、休刊中)でも読みましょ……って、メールが来てるわね」

夕張「誰からかしら……って、提督!? なんで!? ……まさか私がクワガタブリーダーなのがバレて軽蔑された!?」

夕張「と、とにかく内容を……!(カチカチカチ」


無題

添え付けファイル http://kie.nu/.1iNv

本文 今度ビークワ14号貸して


夕張「……」

夕張「提督……(キュン」


――夕張フラグが立った瞬間であった

間違えました。urlはこっちです。→http://kie.nu/1iNv

というわけで本当に終わり、長々とすみませんでした。
またお会いしましょう

urlは元のままで大丈夫でした。すみませんもう寝ます……

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