P「なぁ、なんで肇にイヌ耳が生えてるんだ?」 (30)

P「またずいぶんと可愛らしい垂れ耳だな?尻尾までフサフサだ」

志希「これはレトリバーだね~。うちの事務所だと、わんこくんとか」

P「なるほど、レトリバーか。でもな志希。俺は『何の』イヌ耳かを聞いたんじゃない。『何で』イヌ耳が生えてるかを聞いてるんだ」

肇「…………レッスン中、差し入れにお茶をいただいて……飲んだら、何だか眠くなって……起きたら、またこんな……」

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P「……ちなみに、その差し入れを持ってきたのは?」

肇「……志希さんです」

P「……さて、志希。当然説明してくれるんだろうな?」

志希「σのワの」

P「次はないぞ一ノ瀬」

志希「わー!待って待って、プロデューサー。これには深~い事情があるんだよ。それこそ、芸能界の闇のような深~い深~い……」

P「そりゃアイドルが同僚で人体実験してんだから闇も闇だわ。いいからさっさと事情を話せ」

志希「ぶー、つれないなぁ」

P「で?その深い事情とやらは?」

志希「先週だったかな?聖來さんが相談してきたんだよ。『最近わんこが冷たいんだー』って」

P「また意外な名前が出てきたな」

志希「なんかー、帰ってもすぐ寝ちゃうんだって」

P「……まぁ、聖來さんが事務所に連れて来るようになってから、色んな子たちと遊んでるからなぁ。わんこも疲れてるんだろ」

肇「わんこ、人気ですからね。私も時々、撫でさせてもらってます。こんな風に……」

P「わかった、わかったから。撫でてやるから頭を擦り付けるな」

肇「♪」

志希「まぁプロデューサーの言う通りだと思うんだよねー」

P「飼い主だしな、その辺は汲んでくれるってわんこも思ってるんじゃないか?それも信頼の形だろうし」

志希「聖來さんもある程度はわかってるみたいでさ。でも『わんこ成分が足りなーい!』って駄々こね始めて」

P「何やってんだあの人も……」

志希「だから、あたし言ったの。『わんこ成分が補給できればいいんだね』って」

P「…………雲行きがあやしくなってきたな」

志希「聖來さんもこの間のネコ肇ちゃんの話は知っててさー」

P「……まぁ、あの後事務所で噂になったからなぁ」

志希「じゃあ今度は誰かにわんこ化してもらおうという話になりまして」

P「…………あ?」

志希「そういえばプロデューサーと話してる肇ちゃんって犬っぽくない?ってなったの。尻尾ぶんぶん振ってそうって」

P「………………」

志希「肇ちゃんなら前例もあるし、改良薬だから大丈夫かなってことで、白羽の矢がたったのでした!おめでとー!」

P「おめでとー!じゃねぇ!結局ろくでもねぇ理由じゃねぇか!」

志希「なんで!?今度は人助けだよ!?ちゃんとした理由だよ!?」

P「だからって同僚にイヌ耳生やすやつがどこにいる!!」

志希「ここにいます!!」

P「いばるな!!」

志希「だって頼られたのに解決できなかったらギフテッドの名が廃るもん!!」

P「そんなもん凛か優に頼んでハナコでもアッキーでも可愛がらせてもらえば済んだだろうが!!」

志希「…………ッ!!!」

P「『その手があったか!』みたいな顔してんじゃねぇ!!ギフテッドが聞いて呆れるわ!!」

志希「でもでも!!それじゃあたしの探究心がおさまらない!!」

P「そんな探究心なんぞ失踪させとけ!!2度と帰ってくるな!!」

肇「PさんPさん、私はもう大丈夫ですから。そこまで怒らないであげてください」

P「うぐ」

肇「あとPさんの手、あったかくて気持ちいいです(フニャ」

P「…………左様でございますか」

志希「……許してくれる?」

P「……ったく、肇に感謝するんだぞ」

志希「わーい!じゃあさっそく今回の検証だけどー」

P「あっ、てめぇ!!全然反省してねぇな!?」

志希「プロデューサー、よくチョロいって言われない?」

P「そりゃよくちひろさんに……じゃなくて!!…………はぁ、もういい……なんか疲れた……」

志希「わかってくれたようで何より何より♪」

P「……で?その話だと、レッスン途中で抜け出してきてるだろ?トレーナーさん心配してるんじゃないのか?」

志希「あーそれは大丈夫だよ。聖來さんが上手いこと誤魔化してくれてるはずだから」

P「……ホント何してんだあの人も……まぁいい。ちょっと行って、俺からも事情を話してくる」

志希「はいはーい、いってらっしゃーい」

肇「あの、私は……」

P「そんなナリで戻るわけにもいかんだろ。二人で大人しく待ってろ」

肇「!……わかりました!」

P「……あとな、志希」

志希「なーにー?」

P「……マストレさんのスペシャルレッスン、楽しみにしておけよ」

志希「えーー!!?」

~数分後~





P「戻ったぞー」

肇「おかえりなさい!」

志希「あー、やっと帰ってきたー」

P「……トレーナーさんには、また体調不良ってことで話しておいた。さすがに2回目だからな、体調管理はしっかりするよう怒られた」

肇「ごめんなさい……」

P「お前は悪くない。そこのマッドサイエンティスト一派のせいだ」

志希「ぶー、ひどい言われようだなぁ……あれ、聖來さんは?レッスンもう終わってる頃じゃない?」

P「あぁ、ちょうどベテトレさんも来ててな。『念入りに』見てもらうように任せてきた」

志希「うわぁ……」

P「共犯者だからな、けじめだけじめ」

志希「R.I.P聖來さん……」

P「……で?お前はなんで肇に捕まってるんだ?」

志希「いやー、プロデューサーが戻ってくる前に逃げちゃおうと思ったんだけど……」

肇「Pさんが、『二人で待ってろ』って言ってました!」

志希「……って感じで。参ったよ~、ずっとプロデューサーが出てった扉見て動かないんだもん」

P「……そんな律儀に守ってたのか」

肇「はい!……偉いですか?」

P「……まぁ、志希を逃さなかったのは、よくやった(ナデナデ」

肇「♪」

志希「じゃあ、プロデューサーも戻ってきたし、今回の検証でもしようかなぁ」

P「……そういや、今回は随分と犬化が早かったみたいだが」

志希「言ったでしょー、改良薬だって。前回は初めてだってこともあったから少し弱めだったけど、今回は濃度を上げて効果も強くしたんだよ」

P「強くって、ちゃんともとに戻るんだろうな……」

志希「前回の課題をクリアして初めて改良って言うんだよー助手クン。ちゃんと効果時間も日付変わる頃に設定してるからへーきへーき」

P「それならいいけど……」

志希「ちなみに今回の素体はもちろんわんこくんです」

P「それはいいのか……?」

志希「それよりプロデューサー。肇ちゃん、ずっと指示待ってるよ?」

肇「(ワクワク」

P「あー……じゃあ、とってこーい(ボ-ルポイ-」

肇「はい!(ダッ」

P「おぉ……」

志希「うん♪今回もバッチリだねー。さっすが志希ちゃん♪」

肇「取ってきました!」

P「おーし偉いぞー(ナデナデ」

肇「♪♪」

志希「うわー、尻尾すっごい振ってる。取れちゃいそう」

P「早いとこ取れてくれた方が助かるんだけどな……」

志希「ねぇプロデューサー!あたしもやってみていい?」

P「あー、いいんじゃないか?肇、志希言うことも聞いてやれ」

肇「はい!」

志希「いくよ~……ハスハス!」

肇「はい!(クンクン」

P「待て待て待て!何やらせてんだ!肇も!俺の匂い嗅ぐな!嗅がないでくれ!頼む!」

肇「いい匂いでした!」

志希「おっ、プロデューサーのフレグランスがわかるとは……肇ちゃんやっぱり見込みあるね~」

P「勘弁してくれ……普通ので頼む……」

志希「はーい。じゃあ……お手!」

肇「はい!(サッ」

志希「おかわり!」

肇「はい!(サッ」

志希「伏せ!」

肇「はい!(サッ」

志希「ちんち……」

P「だから待てっての!!」

志希「なーにさー!別にやらしいことさせるわけじゃないのにー!」

P「一応アイドルだろ!もうちょっと節度を持ってくれ頼むから!」

志希「ぶー……あっ、そういうこと?女の子だから?じゃあまんま……」

P「シバき倒すぞてめぇ!ちっとは羞恥心ないのか!」

志希「そんなのはステイツに置いてきた!」

肇「?(キョトン」

ちひろ「なんだか楽しそうですねぇ」

P「げっ、ちひろさん!?」

志希「(ノ∀`)アチャー」

ちひろ「騒がしいので様子を見に来てみれば……プロデューサーさん、『また』なんですか?(ニッコリ」

P「いや、これは、その」

志希「プロデューサーが担当アイドルにご主人さまって呼ばせてました!」

P「あっこら志希てめぇ!そんなことしてないだろ!」

肇「プロデューサーがご主人さまなんですか!?(キラキラ」

P「肇も!ややこしくなるからちょっと黙ってろ!ステイ!」

肇「はい!」

ちひろ「……ずいぶんとしっかり躾もされているようで(ピキピキ」

P「あっ、やっべ」

ちひろ「今年の賞与査定、楽しみですねぇ」

P「違うんですちひろさん!これにはですね!?芸能界の闇のような深~い深~い事情が……」

ちひろ「確かに、担当アイドルにご主人さま呼びさせているというのは、なかなか深い闇だと思いますよ」

P「頼むから弁明させてください!!!」

~翌日~





肇「……(カオマッカ」

P「……(死んだ目」

志希「あー……どんまい?」

P「どんまいじゃない……まったく、昨日は散々な目にあった……」

肇「……もうおヨメにいけないです……」

P「……お前は何も悪くないぞ……」

肇「……こうなったらPさんに責任をとってもらわないと(ボソッ」

P「……なんか言ったか?」

肇「いえ、なにも……」

志希「……肇ちゃんってなんだかんだでたくましいよねー」

肇「山育ちですから」

志希「それ関係ある?」

P「???」

志希「それで?今回はどうやって許してもらったの?」

P「あー、まず俺が管理不行き届きってことで賞与減額だ。……まぁクビにならなかっただけマシだ」

志希「あーらら……」

P「それから志希と聖來さん。2週間のマストレさんプレミアムレッスンコースだ」

肇「プレミアム…!」

志希「うそ!?木場さんですら1週間で音を上げたっていう!?」

P「がんばってこい」

志希「失踪しても探さないでね」

P「それで……最後に肇なんだが……これに出てもらうことになった」

肇「えっと………………!?」

志希「なになに……『わんわんランドメイドカフェ ようこそご主人さま』……これはきっついなぁ」

P「すまん、止められなかった。1週間、我慢してきてくれ」

肇「」

P「一応、特別講師も呼んでおいたから。今のうちに慣れておいてくれ」

志希「特別講師?」

ウサミン「はーい☆メイドアイドルといえば私!ウサミンこと安部菜々です!キャハッ☆」

志希「あぁ……」

肇「」

ウサミン「さぁ肇ちゃん!まずは発声ですよ!大丈夫!恥ずかしいのは最初だけですから!」

肇「」




ウサミン「『ご主人さま!おかえりだワン♪』さん、はい!」

肇「やりません!!!!!!」




おしまい

以上になります。

アイドル紹介で志希が肇を紹介していたのが嬉しかったです。
もっと絡めばいいのに。

HTML化依頼出してきます。
ありがとうございました。

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