【ミリマス】765学園物語HED √LR (707)

P「明日から3年か…」

始業式前日、俺はそんなことを呟いた

去年は色んな事があった

後輩に知り合いも出来たし、プロダクションの手伝いや海美の大会を見に行ったりもした

中々に充実した1年だった

今年も充実した年にしたいものだ

そんなことを考えていると携帯が鳴った

ディスプレイを確認すると…

P「…母さん?」

母親からの電話だった

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471144425

P「もしもし」

久しぶりに聞く母親の声だ

P「母さん、元気そうだな」

P「俺?俺は元気だし桃子もこのみ姉さんも元気だよ、仲良くやってる」

P「それで、話って?」

P「…は?」

母親の話はとんでもないものだった

P「いやいや、いやいやいや!」

P「これ以上増えたらただでさえ俺の周りは男女比おかしいのにさらに肩身が!」

P「ていうかこのみ姉さんも母さんも何でいつも事後承諾なんだ!?…面白いから?」

P「ちょ待てよ母さん!おい!」

P「…切りやがった」

P「…マジかよ」

いても立ってもいられなくなりリビングに向かった

P「このみ姉さん!」

このみ「なによ騒がしいわね、明日から3年生なんだからもうちょっと落ち着いたら?」

P「あ、うん、ごめん…ってそんなことはどうでもいい!」

P「母さんから電話があった」

このみ「女の子を1人、1年ほどうちで預かるって話でしょ?知ってるわよ」

P「なんで教えてくれなかったんだよ」

このみ「…面白いから?」

P「う、うちの家の女共は…!」

このみ「あ、そうそう、その子もうすぐうちに来るから」

P「あ、もうなんでもいいや」

俺は大人しく受け入れることにした

少しすると

ピンポーン

呼び鈴がなった

このみ「来たみたいね、P、出迎えてくれる?」

P「へいへい」

俺は諦めて玄関へ向かった

玄関を開ける

そこに立っていたのは予想外の人物だった

P「北沢…志保!?」

「…よろしくお願いします、にいさ…P先輩」

武力で学園を制圧しようとしている、クイーンの二つ名を持つ少女がそこにいた

P「北沢志保がなんでうちに…」

志保「…」

P「えーっと、うちに用事…で間違いない?」

志保「はい」

P「そ、そうか…」

預かる女の子って北沢志保のことだったのか…後で問い詰めてやる

P「それじゃあ、えーっ、北沢さん、上がってくれ」

志保「…はい」

一瞬不機嫌になった気がするが、何か気に障ったのだろうか

あまり怒らせないようにしないと…

北沢さんとこのみ姉さんの話によると

行方不明だった北沢さんの父親らしき人が見つかり、うちの母親と北沢さんの母親が捜しに行くらしい

ただ北沢さんにはまだ幼い弟がいて、連れて行かなければならない

しかし北沢さんは学園があるので連れてはいけない、が、女の子の一人暮らしは治安のいいこの町でもあまり推奨されていない

そこでうちの母親がそれならうちで預かる、と言ったらしく、北沢さんはうちに来た…ということだ

P「なるほど…」

このみ「というわけで志保ちゃんは最低でも志保ちゃんのお母さんが帰ってくるまではうちで預かる事になってるから」

P「そういう事情なら俺は歓迎だ、よろしく、北沢さん」

志保「…」

P「北沢さん?」

志保「志保で良いです」

P「いや、でも」

志保「にいさ…P先輩は年上ですから、敬語もやめてください」

P「うーん…」

志保「…」

このみ「ちょっといい?」

P「なに?」

このみ「あなた、志保ちゃんのこと覚えてないの?」

P「え?」

このみ「そう、覚えてないのね」

P「意味が分からない」

このみ「志保ちゃん、私達の従妹よ?」

P「…は?」

志保「やっぱり憶えてなかったんですね…やっぱり」

P「え?え?いや、でも…え?」

このみ「混乱するのもわかるけど、落ち着きなさい」

P「俺、まったく覚えがないんだが…」

このみ「覚えがなくても事実だから受け入れなさい」

P「…」

このみ姉さんが嘘をついているようには見えなかった

ということは本当に北沢さんは俺の従妹なのか…

志保「…兄さん」

P「っ」

懐かしい感覚がする

P「…志保」

志保「…はい」

P「正直俺は志保が従妹だったことは思い出せない」

P「それでも、良いのか?」

志保「無理に思い出さなくても良いです、ただ私は、もう一度兄さんに会えて嬉しい…それだけです」

P「そうか…俺もできる限り思い出せるように頑張るよ」

志保「はい」

P「それじゃあ志保、ようこそ我が家へ」

志保「…はい!」

志保が微笑む

とても可愛らしい笑顔だった

その後、志保は帰ってきた桃子とも顔合わせを済ませた

志保が兄さんと呼んだとき、桃子が焦っていたが何故だろう

四人で夕飯を食べ、俺は部屋に戻った

部屋に入ると、俺のベッドで寝転がりながら漫画を読んでいる海美と遭遇した

海美「あ、お邪魔してるよ~」

P「お前な…」

そろそろ窓に鍵をかけた方が良いか

P「で、何してるんだ?」

海美「部屋にいても暇だから漫画読んでる」

P「言ったら貸してやるのに」

海美「Pの部屋で読むから面白いの!」

P「まったく理解できん」

P「とにかく戻れ!」

海美「もうちょっとだけ!もうちょっとだけ!」

P「駄目だ!」

海美「こうなったら!」

ベッドに倒れ込んだ海美が俺の手を引っ張る

バランスを崩し海美の方に倒れ込むが、海美はその隙に体制を整え俺の背中に馬乗りになった

P「うおっ!」

海美「ふふーん、これで動けないでしょ!」

P「こ、こいつめ!」

海美「Pの背中大っきいね」

海美が背中を指でなぞった

P「っひぃ!」

思わず変な声が漏れる

志保「…兄さん?騒がしいですけど、どうしたんですか」

そこへ志保が顔を覗かせた

P「あっ」

志保「…」

志保が凄く冷たい瞳で俺を見ていた

志保「…お邪魔だったみたいですね」

志保が顔を引っ込めた

P「待ってくれ志保!誤解だ!」

海美「今のってしほりん?」

P「ん、ああ」

海美「そっか、Pの従妹だもんね」

P「…」

一旦ここまで

海美も志保の事を憶えていた

なら何故俺だけ憶えていない?

一体何が…

海美「よっと」

海美が馬乗りをやめて俺の背中に寝転がる

P「…満足したら帰れよ?」

海美「うん!」

言っても無駄なのでされるがままにした

志保「…」

扉の隙間から志保が覗いていたが意識しないようにした

翌朝

リビングに降りると志保とこのみ姉さんが朝食の準備をしていた

P「おはよう」

志保「おはようございます、兄さん」

このみ「おはよう、もうすぐ出来上がるから座って待ってなさい」

P「あいよ」

テーブルに座り朝食を待つ

先に座っていた桃子は船を漕いでいた

そして朝食が運ばれてくる

このみ「それじゃあ食べましょう」

P「いただきます」

俺は味噌汁を啜った

P「あれ、味付け変えた?」

このみ「ちょっとね」

P「ふーん、こっちの味も美味いな」

志保「…」

P「ん?」

正面に座っている志保が一瞬微笑んだ気がした

このみ「ふふ」

このみ姉さんは楽しそうにしている

桃子「うっ…こ、このままじゃ桃子の立場が…!」

桃子は何やら戦慄していた

四人で学園へ向かう

道中ヒソヒソ話が至る所で行われていた

P「…?」

ヒソヒソ話は特に気にしないタチだが、今日に限っては絡みつくような不快感があった

P「なんだ…?」

志保「…」

校門をくぐり、三人と別れるまで不愉快な感覚は続いた

クラス表を確認する

…どうやら俺はB組のようだ

ざっと眺めた感じだと仲の良い連中とは離れてしまったみたいだ

P「教室行くか」

俺は教室へ向かった

教室に入ると、去年と同じく適当な席に座る

すると見覚えのある顔がやって来た

エレナ「P、同じクラスだネ!」

島原エレナだった

P「おう、知った顔があると安全だ」

ジュリア「なんだ、あんたも同じクラスだったのか」

別方向からも声がかかる

視線を向けるとギターを背負った赤髪の女の子がいた

P「ようジュリア」

ジュリア「よ」

エレナ「えへへ、知ってる人がいるって良いネ!」

P「だな」

Happy
Enjoy
Dreaming

用事入ったから今日はここまで

P「顔見知りは三人だけか」

エレナ「コトハもメグミもウミもタカネもショウタも、あとついでにアマトウも違うクラスになっちゃったヨ」

P「一気に寂しくなったな」

ジュリア「賑やかし担当がいないからな」

P「ま、クラスが違っても休み時間に会えるし良いけどな」

…別に寂しくなんて無いんだからね!

そんな話をしているとチャイムが鳴り、先生が入ってきた

先生は教壇に立つと、自己紹介をした

「うぉっほん!Bクラスのみんな、元気かね-?」

「私がこのクラスを受け持つことになった高木順二朗だ、みんな、よろしく頼むよ!」

陽気な先生だった

その後は全校集会のため、体育館…ではなく、今年完成したシアターへ移動する

このシアターは年々体育館の使用権を巡って対立し、溝が深まっている部活動同士の衝突を防ぐために設立されたものだ、と琴葉が教えてくれた

そこで高木順一朗学園長が何時ものように話をし、俺はそれをあくびを噛み殺しながら聞いていた

学園長の話が終わり教室へ戻る途中、志保を見かけた

志保は一人で歩いていたが、今朝の通学の時と同じように生徒がひそひそ話をしながら志保を遠巻きにしている

P「…」

やはり志保の渾名、クイーン沢志保と何か関係があるのだろうか?

帰ったら聞いてみよう

HRが終わり、高木先生が教室を出た後一人の女生徒が教壇に立った

「わっほーい!Bクラスの皆さんにプレゼントがあります!」

黒い髪をポニーテールにした女の子…確か、佐竹美奈子といったか

美奈子「お近づきの印に胡麻団子を作ってきました!良かったらどうぞ!」

佐竹さんがどこからともなく出前に使うアレ(名前は知らない)を取り出し、教壇に皿を置いた

そこにはまるで出来たてのような胡麻団子が人数分並んでいる

P「胡麻団子か…」

美味そうだ

エレナ「はいP、取ってきたヨー」

P「お、サンキューエレナ」

ジュリア「去年は大学いもだったな」

ジュリアが胡麻団子を囓りながら言う

P「へー」

胡麻団子を口に運ぶと、火傷しそうなくらい熱かったがもちっとした感触に香ばしい胡麻の味、さらに舌の上でさらりと溶ける餡…

P「美味え」

ジュリア「ああ」

P「これはおかわりが欲しくなるな」

刹那

美奈子「今おかわりって聞こえましたけど!」

教壇にいた佐竹さんが俺の後ろに立っていた

一旦ここまで
ちなみにクイーン沢志保には色んな意味が含まれています

カロリーは味方だよ

P「おわッ!」

突然後ろに現れた佐竹さんに驚き思わず距離を取る

美奈子「今おかわりって聞こえましたけど」

P「あ、ああ…腹が減ってたらおかわりが欲しくなるくらい美味しかったよ」

美奈子「ならおかわり、どうですか?」

P「ごめん、昼飯もあるしまた今度で」

美奈子「なら私の家、佐竹飯店に食べに来ませんか?」

P「ふむ…」

P「…いや、今回は遠慮しとくよ」

美奈子「そうですか、ならいつでも店に来て下さいね!クラスメイトスペシャルサービスで全品大盛ですよ!」

P「ああ、今度食べに行くよ」

美奈子「わっほーい!お待ちしてまーす!」

そういうと佐竹さんは出前に使うアレ(名前は知らない)を回収し、帰って行った

P「じゃあ俺も帰るわ」

ジュリア「おう、じゃあな」

エレナ「またネ~」

靴を履き替え、校門に向かうと志保が所在なさげに立っていた

P「志保」

志保「…兄さん」

P「どうしたんだ、こんなところで?」

志保「いえ、別に…たまたま校門で立っていただけです」

P「そっか、今から帰るけど一緒に帰らないか?」

志保「!し、仕方ないですね、兄さんからのお願いを無碍にするのも忍びないので一緒に帰ってあげます」

P「はは、そうだな、じゃあお願いするよ」

志保「兄さん、お昼は?」

P「ん?家で食べようと思うけど」

志保「では帰りにスーパーに寄りたいです」

P「材料を買うんだな?簡単なので良いよ」

志保「はい」





志保「兄さん、簡単なものとは言うもののどういう物が良いですか?」

P「何でも良いよ」

志保「…作る側としては何でも良いって言われるのが一番困るんですが」

P「うーん、それなら…うどんとか?」

志保「うどん…」

志保「…」

志保「別の物にしましょう」

P「?良いけど」

P「思ったより買ったな」

志保「…そうですね」

志保はスーパーの袋を持っているが、重そうにしている

P「志保」

志保「はい」

俺は志保の手から荷物をさっと奪う

P「重そうだからさ、俺に任せてくれよ」

志保「…」

志保は荷物を持っていた手をもう片方の手で触れていた

P「志保?」

志保「あ、いえ、なんでもありません」

志保「兄さん、荷物を任せても良いですか?」

P「ああ、勿論」

志保「ありがとうございます」

荷物を持って歩き出す

志保「…ちゃんの…あの時と…かった…」

後ろで志保が何かを呟いていたが聴き取れなかった

桃子「お兄ちゃん、志保さん、お帰り」

家に着くと桃子が既に帰っていた

P「ただいま、桃子」

志保「ただいま」

桃子「冷蔵庫に入れる物貸して」

P「ああ」

三人で買ってきた物を片付けた

志保「桃子、お昼に食べたいものはある?」

桃子「うーん…桃子なんでも良いよ」

志保「…」

結局簡単にパスタとなった

桃子「…桃子パセリ嫌い」

志保「好き嫌いは駄目よ」

P「パセリ要らないなら貰うぞ?」

桃子「じゃあお願い、お兄ちゃん、はい」

P「あーん」

志保「…」

志保「兄さん、私も実はパセリが」

桃子「志保さん好き嫌いは駄目だよ」

志保「…」

桃子「…」

P「?」

食後の洗い物を志保と一緒に片付ける

P「志保、美味しかったぞ」

志保「…レトルトですけど」

P「それでも誰かが作ってくれるだけで美味いもんだ」

志保「そ、それなら良かったです」

志保「ところで兄さん、この後用事は?」

P「んー、特になかったと思うけど…どうした?」

志保「いえ、聞いてみただけです」

P「そっか」

一旦ここまで

P「あ、そうだ志保」

志保「何ですか?」

P「学園での噂について聞きたいんだ」

志保「…」

P「答えにくかったら答えなくても構わない」

志保「…」

P「まずは1つ目」

P「志保が学園を暴力で支配しようとしている、これは本当か?」

志保「…はい」

P「2つ目、志保のあだ名のクイーン沢志保ってどういう意味なんだ?」

志保「ぶふっ」

突然志保が吹き出した

志保「けほっ、けほっ」

P「だ、大丈夫か?」

突然むせた志保の背中をさすってやる

志保「だ、大丈夫です」

志保は深呼吸して息を整える

志保「…そのあだ名は私にも良くわかりません」

P「そうか…なら3つ目」

P「志保の目的はなんだ?」

志保「…兄さんには」

志保「兄さんには…関係…ありません」

P「…そうか」

少し気まずい空気になってしまったが、夕食の時には元に戻っていた

ちなみに夕食は俺の好物だった

味付けはいつもと違ったけど、俺はこっちの方が好きだと言ったら志保が手元の生卵に溢れるくらい醤油をかけていた





シャワーを浴び、ベッドに寝転がる

家で見る志保と噂に聞く志保の姿がどうにも一致しない

確かに外と内で性格が変わる人もいるが志保はそのタイプではないと断言できる

P「…」

ヒソヒソ話をされているときの志保は顔にこそ出さなかったものの辛そうだった

一緒に暮らす家族としてはあんな思いをさせたくない

P「なにか出来ることがあれば良いんだけどな」

そのためには志保が誤魔化した質問を突き詰めていくしか無いか…

そんなことを考えながら瞼を閉じた

翌日

冬馬「よう」

海美「お昼食べようよ!」

Aクラスから冬馬、翔太、海美、恵美、琴葉、貴音が弁当を持ってやって来た

P「大所帯だな…」

机をくっつけ弁当を取りだそうとして…

P「…あれ?」

恵美「どしたの?」

P「いや、弁当が…あー、忘れてきたかも」

海美「あはは、Pはドジだね!」

P「うるさいよ」

今から購買に行けばまだ間に合うか…

そう考え立ち上がると

志保「失礼します」

志保が教室に入ってきた

P「志保?」

志保「…兄さん、忘れ物です」

志保は弁当の入った鞄を持っていた

恵美「…兄さん?」

P「お、ありがとうな」

志保「いえ」

冬馬「北沢じゃねえか、久しぶりだな」

志保「…あまとう先輩」

冬馬「あまとう言うな!」

冬馬「しかし兄さんって呼んでるのか、あの頃は確かお兄ちゃ」

志保「…」

冬馬「」

志保が視線を向けると冬馬は黙った

志保「それでは兄さん、失礼します」

P「ああ、ありがとうな」

志保は教室から出て行った

恵美「ねえP、志保とはどういう関係?兄さんって呼ばれてたけど」

P「え?なんだ急に」

恵美「良いから、答えて」

P「すまん、その前に」

気になったことを聞いておくか

P「冬馬は志保のこと知ってたのか?」

冬馬「?なんだその質問」

翔太「僕も志保ちゃんのこと、覚えてるけど」

P「そうか…」

冬馬も翔太も志保のことを知っていた

やはり俺だけが志保を知らなかったようだ

P「恵美、さっきの質問だけど」

恵美「うん」

P「志保は俺の従妹…らしい」

恵美「らしい?」

P「ああ、実は俺、志保のこと憶えてないんだ」

冬馬「なに?」

翔太「あんなに仲良かったのに」

海美「…」

恵美「そっか、従妹なんだ…」

P「ああ」

エレナ「なんで憶えてないノ?」

P「俺にもさっぱり」

むしろ俺が憶えてない理由を知りたいくらいだ




冬馬「高坂」

海美「何?あまとう」

冬馬「あまとう言うな、お前、何か知ってるのか?」

海美「んー、1個だけ思い当たるかな、それからしほりん見てないし」

冬馬「…やっぱりなんか理由があるんだな」

海美「うん」

一旦ここまで

>>1もやる気に満ち溢れているに違いない
本スレで言ってたけど2本同時にやってる所にも気概を感じるぞ

>>87

昨日は本スレには書き込んでないが…

確かに本スレに書き込むこともあるけど、SSの話はしないかな
ステマっぽくなったら嫌だし

冬馬と海美が何やらこそこそやっているが放っておくことにした

P「…ん?」

弁当を一口食べる

やはり普段とは味が違う

ここ数日味を変化させているようだ

P「うん、美味い」

恵美「そういやPの弁当初めて見たかも」

P「ん、たまに持ってくるんだ」

P「このみ姉さんが気が向いたら作ってくれる」

恵美「そうなんだ」

P「最近割と俺好みの味になりつつあるんだよな」

恵美「どれどれ?」

恵美が卵焼きをパクった

P「あ、コラ」

恵美「ふーん、これがPの好みの味か~」

P「俺のおかずが…」

恵美「変わりにこれあげるって」

恵美が俺の口に唐揚げを突っ込んだ

P「…ま、良いか」

恵美の唐揚げも美味かった

放課後

志保「…」

P「志保」

志保「兄さん」

今日も校門で志保が立っていた

P「待っててくれたのか?」

志保「べ、別に兄さんを待っていたわけではないです」

志保「ただたまたま校門のところで考え事をしていたら兄さんが来ただけです」

P「そっか、たまたまか」

志保「はい、たまたまです」

P「それは残念だ、もし志保が待っててくれてたなら嬉しかったんだが」

志保「…」

志保「…実は兄さんが来るのを…」

海美「P!帰ろ!」

P「っと」

海美が後ろから飛び付いてきた

志保「…」

海美「あれ?しほりんだ、しほりんも一緒に帰ろうよ!」

志保「私は…」

P「まあせっかく一緒にいるんだし帰ろうか」

志保「…はい」

帰り道を三人で歩く

海美が左手に抱き付いているので歩きにくい

志保「…海美さん、兄さんに引っ付きすぎでは?」

海美「え?そうかな?」

志保「はい、二人とも良い年なんですからあまりくっついたりせずに…」

海美「じゃあしほりんは右手に抱き付けば良いんだよ!」

志保「…はい?なんでそうなるんですか」

海美「だって右手が空いてるとバランス悪いし」

志保「…そうですね、バランスは大事ですね」

P「大事か…?」

志保「このままでは兄さんのバランスが崩れてしまうので仕方なくです、仕方なくです」

そういうと志保は俺の右手におずおずと抱き付いてきた

志保「…ふふ」

志保が一瞬、笑った気がした

海美「…」

海美は海美で微笑ましそうに志保を見ていた

志保「…はっ!」

志保「に、兄さん、これは仕方なくですから、あまり調子に乗らないでください」

P「はいはい」

バランスのためなら仕方ないか

そのまま三人で帰宅した

一旦ここまで

今日はちょっとアンケートを

完結した五つの√、又は進行中の二つの√の中から面白かった√を一つ教えてください

ありがとう
色んな感想がもらえてモチベーションアップに繋がります
後はこの先の方向性への道しるべになったので本当にありがとう

P「そういやさ」

このみ「ん?」

P「ゴールデンウィークに海美達とキャンプに行くんだけど」

志保「…達?兄さん、それはもしかして女の人と行くんですか」

P「いや、冬馬や翔太も一緒だけど」

志保「…そうですか」

P「?」

このみ「で、どうしたの?」

P「ん、ああ、それでこのみ姉さん達も一緒にどうかなと思ってさ」

このみ「うーん、私はやることがあるからパスね」

桃子「桃子はもう育と約束あるから」

P「そっか、じゃあ志保は?」

志保「私は…」

志保に話を振ると、何故だか曇った表情を浮かべた

志保「…私には、兄さんと一緒に遊びに行く資格はありませんから」

P「資格?資格ってなんだよ」

志保「それは…」

このみ「志保ちゃん、大丈夫よ」

志保「…」

P「このみ姉さん、何か知ってるのか」

このみ「私からは何も言わないわ、でもね」

このみ「いつかわかる日が来るわ」

志保「…兄さんが」

P「ん?」

志保「兄さんが許してくれるなら、私も一緒に行きたいと思います」

P「許すも何も俺が誘ってるんだ、最初からOKだよ」

志保「ありがとうございます、兄さん」

ゴールデンウィーク

海美、志保と一緒に家を出て駅へ向かった

P「お待たせ」

恵美「あ、来た来た」

冬馬「ん、北沢もいるのか」

翔太「なんか懐かしいね」

志保「そうですね、私も、久しぶりです」

エレナ「それじゃあ出発だヨ-!」

みんなで電車に揺られること二時間弱

お目当てのキャンプ場に到着した

恵美「んじゃ男子組はテントよろしくー」

P「おうよ」

女子組はレンタル品を借りに行った

冬馬「さっさと組み立てて釣りに行こうぜ」

翔太「そうだね!っと」

小さな頃はとても時間がかかると思っていたテントの組み立てだが、今となってはさほど時間もかからなかった

冬馬「こんなもんか」

P「だな」

テントを眺めていると女子組が戻ってきた

琴葉「全部レンタルだから、無くさないようにね?」

恵美「わかってるってー」

冬馬「P、翔太、一釣り行こうぜ」

P「おう」

翔太「ちょっと待っててー」

志保「…」

志保「兄さん」

P「ん?どうした志保?」

志保「私も釣りに行っても良いですか?」

P「良いぞ、じゃあ一緒に行こうか」

志保「!はい!」

P「恵美-!釣り竿もう一本くれー!」

恵美「あいよー!」

P「ところで志保、釣りをしたことは?」

志保「…見ていたことなら」

P「じゃあ未経験か、なら教えるから近くに来てくれ」

志保「はい」

P「餌はこれを使う」

志保「これは…イクラですか?」

P「ああ、これを潰さないように針につける、その後は指に引っかけないように針を持つんだ」

志保「…」

ぷち、ぷち

志保「…」

P「あー、はじめのうちは力加減がわからないから仕方ないよ」

その後、二三個ほどイクラを潰した後、ようやく針を通すことが出来た

P「じゃあ志保、針をこうやって持ったまま竿を斜め下から斜め上に振るうんだ」

P「この振るったときに針から手を放す」

志保「こ、こうですか」

志保の振った竿はあまり距離が伸びず、近くに着水した

P「ま、まあ慣れてくると遠くまで飛ぶようになるさ」

志保「…」

P「着水したら微妙に竿を動かしながら浮きを見ておく、浮きが沈んだら竿を引く、説明はこんなところかな」

志保「ありがとうございます」

五分ほどすると

志保「!に、兄さん!浮きが沈みました!」

P「お!じゃあ竿を引くんだ!」

志保「は、はい!」

!?

確かに志保は竿を引いた、まるで綱を引くように

P「し、志保!その引き方じゃない!」

志保「え?」

志保に正しい引き方を教える頃には、浮きの先は針だけになっていた

一旦ここまで

夜勤入ってしまった
明日は更新するからお許しを

P「まあ逃がしてしまったものは仕方ない、次また釣れば良いさ」

志保「…はい」

P「しかし…ふふ」

志保「な、なんで笑うんですか」

P「いや、ちゃんとした釣り竿の使い方を教えたときの志保、顔が真っ赤で可愛かったなーと」

志保「かわっ…か、からかわないでください!」

P「悪い悪い…ん?」

ふと志保の釣り竿を見ると浮きが動きを見せていた

P「志保、竿に反応が」

志保「!」

志保が竿を引くと竿が強くしなった

P「かかったか!」

志保「お、重い…!」

P「頑張れ志保!」

志保「っ!」

しかし釣りになれてない志保は足元が不安定で、いつ転んでも不思議ではなかった

P「志保、ちゃんと竿を持つんだ!」

志保の背中越しに釣り竿を掴み、姿勢を安定させる

志保「に、兄さん!?ち、ちかっ」

P「落ち着いて竿を引くんだ」

志保「こんな状況で落ち着くなんて…出来るわけないじゃないですか!」

P「一気に釣り上げるぞ!1、2の…」

P「さん!」

俺は思い切り竿を引いた

志保「ば、バランスが…!」

志保がバランスを崩し俺にぶつかる

その衝撃で俺は尻もちをつき、志保が俺の足の間に挟まった

P「なんとか釣れたな」

陸地でのたうち回っている魚を見ながら志保に声をかけるが

志保「兄さん今ので怪我をしたりどこか打ち付けたとかはないですか!?」

とても心配そうな顔をしていた

志保「兄さん…?」

P「ああ大丈夫、怪我はないよ」

志保「そうですか…」

志保は安心したように息を吐いた

P「?」

志保「それよりも兄さん、助けてくれてありがとうございます」

P「気にするなよ、それよりも見ろよ志保」

陸上で虫の息となっている魚を持ち上げる

P「立派な鯖だ」

志保「鯖!?」

一旦ここまで

志保「え…山の中ですよねここ?」

P「そうだけど?」

鯖をクーラーボックスにしまう

志保「鯖って淡水では生息出来ないんじゃ…」

冬馬「おーい、穴子釣ったぞ」

志保「穴子!?!?」

翔太「管理人さんに持っていく?確か焼き穴子にしてくれるんだよね?」

P「噂では炭になるらしいぞ」

冬馬「そういえばさっき鮪を見たぞ」

P「マジか、噂は本当だったんだな」

翔太「流石に僕たちじゃ鮪は無理だね」

志保「山の中に海水を持ち込んで養殖を…いや、それでも無理が…」

冬馬「後は岩魚に鱒も釣ってきたぞ」

P「やるなぁ」

志保「」

P「志保、どうしたんだ?」

志保「…頭が痛いです」

P「それはいかん、日射病か?木陰で休むんだ」

P「ちょっとじっとしててくれよ?」

俺はそういうと志保の首の後ろと膝後ろに腕を回し

志保「?なにを」

P「よっ」

一気に持ち上げた

志保「」

P「あそこで良いか」

川に近い場所に良い感じの木陰があった

志保「ににに兄さんいきなり何するんですか!」

P「じっとしてろ、悪化するかも知れないだろ」

志保「別に私は日射病じゃ…」

P「頭痛がするなら可能性はある、対策はするべきだ」

志保「ああもうそれで良いです…」

大人しくなった志保を木陰へ連れて行く

志保を降ろすと顔が赤くなっていた

P「顔が赤いな、やっぱり熱か何かがあるんじゃないか?」

志保「兄さんのせいなんですけど…」

P「冷やしたタオル置いておくから、温くなったら言ってくれ」

志保に濡れタオルを渡すと、俺は二人の所へ戻った

私にタオルを渡して二人の元へ戻る兄さんの後ろ姿を見ながら私は木にもたれ掛かった

志保「いきなり抱き上げられるなんて…」

唐突に抱き上げられて動揺してしまった

…いや、事前告知があっても一緒か

昔から兄さんは優しさのベクトルが違う方向を向いている気がする

タオルに顔を埋める…冷たい

その冷たさが私の顔の火照りを取り、冷静にさせた

志保「…」

わがままを言ってついてきてしまった

私にそんな資格はないのに

兄さんの優しさに甘えてしまった

これ以上は許されない

…私自身が赦さない

私がわがままを言えばあの時のように兄さんを傷付けてしまう

もしかしたら最悪の事態を引き起こすかもしれない

だけど露骨に距離を取れば兄さんはすぐに気付いてしまうだろう

だから私は、嘘を吐く

適度にわがままで、適度に冷たい自分を

それが兄さんと一緒にいられるたった一つの方法だから

一旦ここまで
ちなみに山のキャンプ場の管理人さんは白滝みたいな髪型をした美人さんだよ

沢山の魚を持ってみんなのところに戻る

P「志保、本当にもう大丈夫なのか?」

志保「大丈夫です、兄さんは心配症ですか?」

P「いや、でもさ…」

冬馬「あんま構うと嫌われっぞ」

P「うぐっ」

志保「兄さんがくれた濡れタオルもありましたし、そもそも最初から日射病じゃないから大丈夫ですよ」

P「わかった、でも調子が悪くなったら言うんだぞ?」

志保「わかってます」

恵美「おかえりー」

P「ただいま」

海美「釣れた?」

冬馬「おう、大漁だ」

エレナ「サバにアユにウナギにタイ、他にもいっぱいいるネ!」

P「エレナ、鰻じゃなくて穴子だ」

琴葉「ちょっと待って、ここは山で川と湖しかないはずよね?」

恵美「良いじゃん細かいことは!それより早く捌いて焼いちゃおうよ」

P「おうよ」

それぞれの調理が完了したので、昼食を取り始める

さっと塩を振って焼いただけだが、十分に美味い

P「美味い!」

翔太「うん!」

琴葉「…どうして私は山の中で釣りたての焼き鯖と鯛のお刺身を食べているのかしら」

エレナ「簡単だよコトハ!釣れたからだヨー!」

琴葉「あ、なんだか頭痛くなってきた」

恵美「志保は料理上手いね!」

志保「魚に塩を振って焼いただけです、誰でも出来ます」

恵美「いや~魚を炭にしたりする子もいるし適切な塩加減がわかってないと塩辛くなるじゃん?それがわかってるってことは料理が上手いってことだよ」

志保「…ありがとうございます」

恵美「そうそう、褒められたら素直に喜べば良いんだって!人間素直が一番だって!」

志保「…恵美さんが言ってもあまり説得力が」

恵美「…何のことかな~」

志保「はあ…」

海美「苦い~」

鮎を串に刺したまま食べていた海美が呻く

どうやら腸を食べたようだ

P「あれ、海美は腸食えなかったっけ」

海美「うん、サンマも鮎も腸苦手」

P「じゃあ腸取ってやるよ」

海美「ありがと~」

海美が腸のなくなった鮎に再び齧りつく

海美「うん!美味しい!」

P「そりゃ良かった」

志保「…」

恵美「どひたの?」

志保「いえ…」

恵美「ん~?あ、ははーん」

志保「な、なんですか」

恵美「P~ちょっと良い?」

P「なんだ?」

恵美「志保も腸苦手みたいだからさ、取ってあげてよ」

志保「ちょ、私は何も…」

P「良いぞ、ほら志保、貸してみ?」

志保「…」

志保が鮎の乗った皿を差し出す

P「ほら」

綺麗に腸を取り除き、志保に返した

志保「ありがとうございます…兄さん」

一旦ここまで

P「昼を食べた後はどうするんだ?」

恵美「そりゃもちろん!もちろん…何しよっか?」

琴葉「私、湖の方に行ってみたいかな」

海美「ボート貸しだしてるんだって!」

冬馬「それじゃあ湖に行くか」

エレナ「楽しみだヨ-!」

ボート乗り場

P「二人乗りみたいだな」

冬馬「どう分けるんだ?」

海美「私はPと乗りたい!」

恵美「おっと、ここにもPと一緒に乗りたい子が!」

志保「え?」

恵美の方を見ると恵美が志保の手を掴んで挙手させていた

志保「ちょ、恵美さん」

海美「えー、じゃあしほりん、じゃんけんで決めようよ!」

志保「私は一緒に乗りたいとは一言も…」

海美「最初はグー!じゃんけん!」

志保「あ、えーっと、ぽん!」

俺と志保は今、ボートに乗りながら湖を回遊していた

湖は透明度高く、底こそ見えないもののかなりの深さまで見ることが出来る

P「お、志保、あっちに珊瑚が群生してるぞ」

志保「そうですね」

ボートに乗ってすぐはやれサンマだのやれ鰺だのうるさかったが、今は落ち着いていた

太陽の光とそよ風が心地良く、ボートを止めて昼寝をしたいくらいの陽気だった

P「良い天気だ」

志保「はい、久しぶりにこういう所に来ましたが、とても気持ちが良いです」

P「来て良かったな」

志保「…はい」

P「俺も昔はこういう所でよく遊んだ気がする、あんまり覚えてないけど」

志保「…」

P「志保は?」

志保「私…は…」

志保「…よく…覚えてません」

P「そっか」

P「正直なんで俺だけが志保を憶えてなかったのかとか、昔何があったのか気にならないわけじゃないけどさ」

P「昔のことは結局昔のことなんだよな」

P「何をやったって変えられはしない」

志保「…そう、ですね…変えられない…」

P「でもさ、確かに過去は大事かも知れないけど、俺はそれよりも今を大切にしていきたい」

P「だから昔の志保のことを憶えていなくても、今、これからの志保のことを知っていけたらなって思う」

志保「兄さん…」

P「はは、なんて、ちょっと大げさだったかな」

志保「そうですね、大げさでした」

志保「でも」

志保「すごく兄さんらしいと思います」

P「それなら良かったよ」

P「それじゃあ戻るか」

志保「はい」

ボートを漕いで岸に戻る、その途中で

志保「それでもやっぱり…私には割り切れないです…兄さん」

志保が何かを呟いたが、オールを漕ぐ音に掻き消され俺の耳には届かなかった

一旦ここまで

ボートの組み合わせは
エレめぐ
ことうみ
翔×冬

ボートで遊んだ後は夕飯となった

メニューは定番のカレーライス

女子組が少量のカレーをそれぞれ作ってくれた

冬馬「ちくしょう…ちくしょう…」

冬馬は5人分の玉葱を刻まされ、目を押さえながら地面に倒れていた

志保のカレーは、我が家のカレーと同じ味がした

夕飯を食べた後は天体観測をすることになっている

…今年は水瓶座流星群がある

飴色に炒めた玉葱はルーにコクを与える

>>189
YKS!

ブルーシートをひいて寝転がる

やはり山の星空はすごい

文字通り数え切れないほどの星が見える

海美「綺麗だね~」

恵美「良いよね、星空」

琴葉「そうね、この星空を独り占めできたら良いのに…」

エレナ「でも、皆で分かち合うからこそ価値があるものだヨー」

志保「…」

志保は黙って空を見上げていた

P「どうしたんだ、志保?」

志保「いえ…星が綺麗だなと」

P「そうだな…」

立ち上がり志保の隣に立つ

空を見上げると流れ星が一つ、目の前を通り過ぎた

P「…流れ星ってあっという間に消えちゃうな」

志保「そうですね」

P「本当に流れ星に願い事をすると叶うのかな」

志保「非科学的ですね」

P「この山は?」

志保「…異次元です」

P「でもいざ何か叶えたいものってなると中々思い付かないもんだな…志保は?」

志保「私は…本当に願いが叶うのならば、たった一つだけ、叶えて欲しいことがあります」

志保「それが叶うのであれば、私は命を投げ出しても良い…それくらいの願いです」

P「…そんなに?」

志保「はい、でも、絶対に叶わない夢ですから」

P「ちょっと聞いてみたいな」

志保「駄目です、これは私が自分が死ぬまで抱えなくてはならないものですから」

P「そっか…」

もう一度空を見上げると流星群が来ていた

P「志保、流星群だ、願いが叶うかもしれないぞ」

志保「そうですね、どれか一つくらい…叶えてくれるかもしれませんね」

そう言うと志保は目を閉じて何かに祈るように瞑想した

一体何を願っているのだろう

命を投げ出してでも叶えたい願い、それが少し気になった

天体観測の途中で兄さんが眠ってしまった

風邪を引いてしまわないようにタオルケットをかける

そして私は兄さんの隣に座った

私の願い…それは過去を変えたいという子供染みたものだ

時間なんてどうやったって不変のものなのに、それでも過去を変えたいと願ってしまう

兄さんは過去を気にしないと言った、だけど私は…過去を気にすることしか出来ない

眠る兄さんの髪に触れる

旋毛の近くに縫い傷が見える

志保「…」

この傷が消せるのなら、私は…

兄さんが憶えていたのなら、誠心誠意詫びることも出来たのに

憶えていないことに甘えている

兄さんに糾弾され、見捨てられるのが怖いから、兄さんの記憶が無いことを利用して自己保身に走っている

志保「…」

私はポケットから首のズレた黒猫のキーホルダーを取り出す

…これを見せたら、兄さんは思い出すだろうか

けれども、今はやっぱり勇気が出せなかった

一旦ここまで

特に問題なくキャンプを終え、ゴールデンウィークの残りをだらだらと過ごした

ゴールデンウィークから数週間後、球技大会が始まった

今年は冬馬や翔太と違うクラスなのでやる気が出ない

ので適当に手を抜いて試合をしさっさと負けることで自由時間を作る

今は目的なくぶらついていた

P「ん?」

気がつくと中等部のテニスコートの辺りに来ていた

コートを見ると志保がダブルスをしているようだ

P「せっかくだし見ていくか」

スコアを見ると志保達は押されているようだ

志保の相方は…

「ちょっと志保!どうして私の邪魔ばっかり!」

志保「邪魔しているのは静香でしょ」

そうだ、翼に出会った時に知り合った最上静香だ

しかし何やら言い争いをしているようだ

静香「私は経験者だから未経験の志保をフォローしようと動いているのに台無しよ!」

志保「その上から目線、気に入らないわ…あなたが私のフォロー?必要ない、冗談はうどんだけにしたら?」

静香「何ですって!?」

周囲がにわかに騒がしくなる

聞こえてくるのは…

おいおいクイーン沢とウー・首領が喧嘩してるぞ

どっちが勝つかな

クイーン沢VSウー・首領、投票は1000円から受け付けてますよ~

どうやら何時ものことみたいだ

翼「あ、P先輩だ」

P「お、翼」

久しぶりに翼と出会う

「翼、知ってる人?」

翼「うん、去年お世話になったんだ~」

P「そっちの子は?」

「あ、私春日未来って言います!」

P「春日さんか」

未来「未来で良いですよ、先輩!」

とても元気な子だ

無性に頭を撫でたくなる

P「翼はあれからどうだ?」

翼「えへへ、おかげさまで美希先輩と友達になれました!」

P「お~、良かったじゃないか」

未来「P先輩はどうしてここに?」

P「ん?ああ、たまたま近くに来たら志保が試合をしてたから見に来たんだ」

未来「あ、じゃあ志保呼びますね!お~い!志保~!」

翼「ねえねえ先輩、先輩のおかげでもっともーっと魅力的になったわたしとデートしましょうよ~」

翼が抱き付いてくる

P「こらこら」

未来「お~い!志保~!」

未来に呼ばれたので声のする方を見てみると

こっちに向かって手を振る未来

その横で兄さんに抱き付いている翼

翼に抱き付かれて鼻の下を伸ばしている兄さん

が目に入った

志保「………………」

志保「静香」

静香「何?」

志保「あなたがフォローに回れば勝てるのね?」

気に入らないけど

静香「だからそう言ってるでしょ?」

志保「乗ってあげるから、失敗しないように」

静香「…どういう心境の変化か知らないけど…上等よ!」

今は形振り構っていられない

翼「…?」ゾクッ

P「?どうした?」

翼「ちょっと寒気が…気のせいかな?」

P「汗拭いてないんじゃないか?ほら、タオル貸してみ?」

タオルで翼の頭を拭いてやる

未来「私も私も!」

続いて未来の頭を拭いていると

スパァン!

コートに鋭い音が響き、志保と最上さんのチームが勝利していた

しかし

ひなた「あたしのサーブは山を削るよぉ」

決勝戦で木下さんに手も足も出ずに敗北した

穴だらけになったコートから志保が戻ってくる

P「お疲れさん」

志保「兄さん…」

P「凄いプレイだったぞ」

志保「気休めはやめてください、負けてしまった以上何も誇れません」

P「確かに決勝は負けただろうけど、他は勝ってた、それだけで十分誇れるさ」

志保「…」

P「うん、頑張ってる静香は格好良かったぞ?惚れ惚れするくらいに」

志保「!本当ですか?」

P「ああ、ご褒美に何か一つ言うことを聞いてやろう」

志保「一つ…それなら」

P「うん」

志保「その…汗を掻いてしまったので…頭を拭いてください」

P「そんなので良いのか?」

志保「はい、それが良いんです」

P「わかった、じゃあジッとしてろよ?」

志保の頭をゆっくり拭いてやる

志保は気持ち良さそうに目を瞑っていた

一旦ここまで
ウー・首領(うー・どん)はうどんとウーマンを掛け合わせた全く新しい人類で云々かんぬんって夢を昨日見た

>>216
誤字ってるのに全く気付かなかったわw

P「うん、頑張ってる静香は格好良かったぞ?惚れ惚れするくらいに」 ×

P「うん、頑張ってる志保は格好良かったぞ?惚れ惚れするくらいに」 ○

静香「志保、お疲れ様」

志保「静香」

P「最上さんもお疲れ様」

静香「P先輩、お久しぶりです」

P「元気そうで何よりだ」

静香「翼の件ではお世話になりました」

P「気にしなくて良いよ、俺も楽しかったし」

静香「そう言って貰えるなら」

志保「…兄さん、静香と知り合いだったんですね」

静香「兄さん?」

P「ああ、志保は従妹なんだよ」

静香「従妹、ですか?…ああ、なるほど、それで」

最上さんが志保のほうを向いてにやにやしている

志保「…何?にやにやして」

静香「ふふ、なんでもないわ」

志保「何でもないならにやつくのやめなさいよ」

静香「ふふ、志保も可愛いとこあるのね」

志保「…やっぱり気に入らないわ」

志保はそっぽを向いていた

P「けど最上さんも凄かったよ、テニスやってるのか?」

静香「はい、嗜む程度ですが」

P「中々面白い試合が見られたからな…でも惜しかったな」

静香「はい…まさかひなたが必殺技を使ってくるとは…」

P「『7本目の木下』だっけ?」

静香「はい、あれの直撃を受けると即死してしまう恐ろしい技です」

静香「去年はちょうど7人埋まりました」

P「死にたくなかったら避けるしかないけど避けたらポイントを取られる極悪な技だったな…」

静香「対策がないわけではないんですが…ひなた自身の強さもあって中々に難しいんです」

最上さんとテニヌの話で盛り上がる

そのまま話していると

志保「兄さん」

志保が俺と最上さんの間に割って入ってきた

P「ん、どうした?」

志保「あんまり高等部の生徒が中等部に混じっているのもどうかと思うのでそろそろ戻った方が良いです」

P「そうかな?」

志保「はい」

静香「ふふ、志保、心配しなくてもあなたからお兄さんを取ったりしないわよ?」

志保「うどんは黙ってて」

静香「何ですって!?」

また喧嘩が始まりそうだったので俺は大人しく退散した

いつものように夏休みの出来事一つ

提供感謝

765学園では毎年一回、近所の砂浜を貸し切って学園全体での海水浴を実施している

この時持ってくる水着は特に指定されておらず、学園指定のセーラー水着でも自前の水着でも構わない

もっとも、毎年何人かは過激な水着を持ってくる生徒がいて、問題になっているらしい

P「うーん、やっぱり海は良いなぁ」

海美「ほんと!?じゃあ結婚しよ!」

冬馬「とりあえず泳ぐか?」

P「そうだな…ん?」

視界の端に志保が見えた

志保「…」

何処か寂しそうに佇んでいた

その姿を放っておけず、声をかけることにした

P「志保」

志保「兄さん…どうしました?」

P「ん、志保が暇そうにしてたから一緒に遊ぼうと思ってさ」

志保「別に私は…」

P「何が良い?スイカ割りでも競争でも、なんならビーチボールもあるぞ」

志保「もう、兄さんは遊ぶとなると強引なのは昔と一緒ですね」

P「そうか?」

志保「はい」

志保「まあ…こうなった兄さんは頑固なので、付き合ってあげます」

P「よし、じゃあみんなと合流しよう」

皆のところに戻る

P「というわけで、志保も交えて一緒に遊ぼう」

冬馬「急だな…別に良いけどよ」

翔太「何やるの?」

海美「この人数ならビーチバレーとか?」

恵美「8人だしね」

P「チームはどうわける?」

琴葉「キャンプの時に乗ったボートと同じで良いんじゃないかな?」

海美「えー私Pと組みたい~」

冬馬「お前とPが組んだら戦力バランスがヤバいんだよ」

海美「ちぇー」

P「悪いな海美、また今度組んでやる」

海美「約束だからね!」

P「ああ」

志保「兄さん、よろしくお願いします」

P「ああ、よろしく」

一戦目は恵美とエレナが相手だ

恵美「手加減しないよ」

P「おう、掛かってこい」

エレナ「行くヨー」

エレナがサーブをする

P「志保!」

志保「はい!」

志保はエレナのボールをしっかりと捉え…

ポコッ

志保の頭がボールを跳ねさせた

いったんここまで

「…」

砂浜に落ちたボールを無言で見つめる俺達

志保「そちらのポイントです」

志保はなんともいえない空気の中、ボールを拾ってエレナに投げた

エレナ「そ、そうだネ!わ、わー嬉しいナー」

恵美「さ、流石エレナ!」

P「え、エレナはダンスやってるからな、志保が取れなくても仕方ない!うん!」

志保「?」

結局ストレート負けした

志保「…負けてしまいましたね」

P「エレナ強すぎぃ…」

こちらの行動を悉く見切られ完封されたのだ

志保「でも、楽しかったです」

P「そうか?」

志保「はい、私はあまり誰かと遊んだ経験が無いので」

P「そうなのか?最上さんとか、ダブルス組んでたし仲良いのかと思ったよ」

志保「…そうですね、親友になっても良いかな…」

そんなことを話していると

「志保ちゃん…」

後ろから声が聞こえた

志保「可奈…」

振り返るとオレンジに近い髪の女の子が志保を見ていた

P「知ってる子か?」

志保「はい、同じクラスの…その…」

志保は一度言葉を切ると

志保「…友達です」

可奈「志保ちゃん!」

可奈ちゃん?がそれを聞いて嬉しそうに顔を綻ばせた

可奈「志保ちゃん、さっきはごめんね?」

志保「気にしなくて良いわ、可奈には可奈の付き合いがあるってわかってるから」

可奈「志保ちゃん、一緒に遊ぼ?」

志保「良いわよ」

志保「兄さん」

P「うん、俺は構わないしみんなも歓迎してくれるさ」

志保「ありがとうございます、兄さん」

志保「それじゃあ可奈、組みましょう」

可奈「うん!」

…なんだ、ちゃんと一緒に笑える友達、いるじゃないか

志保の楽しそうな顔を見ながら、そう思った

一旦ここまで

P「…」

このみ「次はあっちに行きましょ」

俺は今、家族4人で町に買い物に出ていた

女性陣は服やアクセサリーを見ている

俺は荷物持ちだ

このみ「これなんか志保ちゃんに似合うんじゃないかしら」

志保「そうですか?少し派手な気が…」

桃子「この服、良いかも」

志保「そうね…結構可愛くて着やすそう」

しかし女の子の買い物は長い

恵美やエレナ、翼に付き合わされているのである程度は慣れているがそれでもやっぱり長い

どうしてこんなに長くなるのだろうか

ショッピングモールのベンチに腰掛けて待とうと思ったのだが

このみ「こういうのは男の目が必要なのよ」

と休ませてくれなかった

そんな三人は今試着室に入っている

1番最初にこのみ姉さんが出て来た

このみ「ふふっ…どう?アダルティでしょ?」

しなを作ってセクシーポーズ(笑)をとるこのみ姉さん

P「アダルティ(笑)」(うん、そうだな、よく似合ってると思うよ)

このみ「少しは建前のほうを出しなさいよ!?」

P「なんか中学生が間違った方向に背伸びしてるみたいだな」

このみ「ぐぬぬ…私にも莉緒ちゃんのような肉体があれば…」

P「このみ姉さんと莉緒さんの精神を入れ替えたらある意味完璧美女が出来ると思うよ、うん」

このみ「まあ無いものねだりしても仕方ないわ…今できることをやらないと」

P「万が一…いや、億万が一身長が伸びてもその胸じゃなぁ…」

このみ「あんたも女にしてあげようか?」

P「ごめんなさい」

息子の危険を感じ、俺は即座に謝った

このみ「まったく…」

そんな話をしていると桃子が試着室から出て来た

桃子「二人とも、騒がしいよ」

桃子はフリルのついた可愛らしい服を着ている

P「おお、流石桃子、何着てもよく似合うな」

桃子「そりゃあ桃子は自分が何を着たらよく似合うかわかってるもん」

このみ「けどほんとよく似合ってるわね~」

桃子「ま、まあ褒められて悪い気はしないから?もっと桃子のこと褒めて良いよ」

P「ああ、流石だ桃子」

桃子「…」むふー

桃子がどや顔をした

志保「…」

気が付くと志保が試着室から出て来ていた

P「お、志保も着替えたか」

振り返ると

P「」

志保「ど、どうでしょうか」

純白のノースリーブワンピースに身を包み、麦わら帽子を被った志保がいた

一旦ここまで

ぬぅ、アレは美少女のみに許されるという夏必勝の構え麦わらワンピ…

知っているのか>>266

綺麗だった

今の志保を知らない人にどこかの令嬢ですと目の前に出しても恐らく通用するだろう

志保「…兄さん?」

志保が固まった俺の反応を伺う

志保「…やっぱり私には似合わないですよね」

このみ「大丈夫よ志保ちゃん、これは志保ちゃんが可愛くて固まってるだけだから」

桃子「つ、強い…」

P「志保…」

志保「はい」

P「よく似合ってる…本当に、可愛くて綺麗だ」

志保「…」

志保は麦わら帽子を目深に被って顔を隠してしまったが、白い服を着ているためか肌が赤くなっているのが良くわかった

結局志保と桃子の服だけ買った

このみ姉さんは何やら文句を言っていたが、無視

荷物を持って歩いていると前から冬馬が歩いてきた

冬馬「よう、荷物持ち」

P「おう」

このみ「あら、冬馬くん」

志保「柳ヶ瀬先輩」

冬馬「天ヶ瀬だ!」

P「町で会うなんて珍しいな」

冬馬「まあな」

冬馬「それよりもお前、課題は?」

P「まだ夏休み三日目だし手はつけてない」

冬馬「なら丁度いい、一緒に消化しねえか?」

P「良いな、早めに終わらせるとするか」

冬馬「明日は?」

P「暇してる」

冬馬「よし、じゃあ明日行くわ」

P「おうよ」

冬馬「翔太には連絡しておくからよ」

P「じゃあこっちは琴葉とか恵美に声をかけとく」

冬馬「高坂は?」

P「間違いなく勝手に来る」

冬馬「了解」

P「そういえば志保、宿題とかは?」

志保「いえ、まだ手をつけていませんが…」

P「じゃあ志保も明日一緒に勉強するか?」

志保「え?」

P「勉強の出来る奴も来るからわからないところとかあれば教えて貰えるかも知れないし」

P「なんなら可奈ちゃん?も呼んで良いし」

志保「…兄さんがそう言うのなら」

P「よし、じゃあ明日はみんなで勉強だ」

P「さっさと終わらせて夏休みを満喫しよう」

翌日

静香「お招きいただきありがとうございます」

P「良いよ、そんな畏まらなくて」

翼「P先輩~!勉強終わったらデートしましょ~!」

志保「…」

未来「みんなで勉強するのってちょっと楽しみ!」

可奈「ね~」

海美「勉強やだな~」

恵美「課題は最終日まで溜めるから面白いのに」

エレナ「ワタシ日本語わからないヨ~」

琴葉「エレナ、それ英語よ」

冬馬「…多いな」

一旦ここまで
志保のワンピはリゾートバカンス美希をシンプルにしたようなやつでイメージを

◎~_(:3」∠)_

流石に小学生組はちょっと

スレ間違えたかな

とりあえず明日明後日と休みが取れたので明日は更新するかも

P「これだけいるなら俺達の分は後回しでも良いか」

冬馬「だな、俺達は二三日あれば出来るしな」

P「となると、だ」

俺は海美やエレナ、恵美の方を見る

…顔を背けられた

P「この放っといたら夏休み終了直前に泣き付いてきそうなのから片付けるとするか」

恵美「お、お手柔らかに~」

海美「そ、そんなことより体鍛えましょう!」

エレナ「ワタシ日本語わからないヨ~」

琴葉「エレナ、それ数学よ」

静香「先輩方、私も解らないところが聞いてもよろしいでしょうか?」

P「ああ、もちろんだ」

冬馬「それじゃ始めようぜ」





それから二時間ほど課題を進める

恵美「」

海美「我が脳の筋肉はこのようなトレーニングを求めては…がくっ」

エレナ「ワタシ言葉わからないヨ~」

琴葉「エレナ…」

冬馬「脱落早いなおい」

静香「P先輩、少しお聞きしたいところが」

P「ん?」

静香「ここの問題なんですけど…」

P「ああ、これか…これはこの公式をだな」

静香「なるほど…引っ掛け問題なんですね」

P「ああ、これ作ったの間違いなく黒井先生だな…去年の夏に似たような引っ掛け問題を出されたことがある」

静香「そうなんですね」

P「ああ…志保、どうしたんだ?」

志保が手を止めてこちらをジッと見ていた

志保「…いえ、何でもないです」

志保はそう言うと再びノートに向き直る

しかし手は動かなかった

P「そうか?」

俺は再び最上さんに向き直る

P「黒井先生が作った問題となると…ああ、やっぱりな」

意識から外れそうな部分を利用した問題の作り方をしている

あの人らしい

P「黒井先生は相変わらずだな」

静香「黒井先生、少し意地は悪いですが授業はわりと面白いです」

P「教えるの上手いよな」

黒井先生の性格を理解していればあの人はかなりわかりやすい人だ

静香「さっきの例を当て嵌めると…この問題はこうなるってことでしょうか?」

P「そうだな、その問題はそうなるよ」

P「最上さんはわりと柔軟に対応できるんだな」

静香「勉強なら出来るんですけど…人付き合いや他のことは勉強のように柔軟には中々…」

P「大丈夫だ、きっと最上さんなら上手くやれるさ」

静香「そうですね…頑張ってみます」

志保「…」

兄さんは静香に付きっきりになっていた

静香…普段は周りに対してつんつんしているくせに、兄さんや兄さんの友人にはそれを見せない

猫でも被っているのだろうか

兄さんも兄さんだ

海美さんや恵美さんがあまとう先輩や琴葉さんにスパルタでしごかれて捨てられた子犬のような目で助けを求めているのに静香にばっかり構っている

もっと満遍なく見るべきじゃないだろうか

志保「…」

課題に視線を落とす

…どうしてこの問題がこうなるのかわからない

だけど今は兄さんには聞けない

聞いたら間違いなく静香に馬鹿にされるに決まっている

だから私は、この時間がはやく終わることを願った

一旦ここまで
静香は大人に対してつんけんしてるから普通の先輩であるP達には柔らかい感じにしてあるけど違和感とかないですかね?

昼休憩を挟んだ後、課題を再開する

それを機に俺は気になっていたことを確認することにした

P「志保」

志保「はい」

P「ちょっと見せてみ?」

志保「え?」

P「課題」

志保「あ、はい」

P「うん、やっぱりな」

最上さんと同じところで躓いていた

P「良いか志保、これは引っ掛け問題だ」

志保「引っ掛け…?」

P「そう、志保みたいに理論的に考える子を引っ掛けるための問題だ」

P「これを解くには出題者の性格がわかっているか、出題者と同レベルに捻くれてるかだから解けなくても仕方ないよ」

志保「兄さんは…」

P「ん?」

志保「兄さんは…捻くれてるんですか?」

P「さあなー、自分じゃわかんないけど…捻くれてるかもな」

志保「…」

P「でもな、志保?捻くれてるおかげでこうやって志保に教えてあげられるんだ」

P「だから捻くれてるのも悪くはないだろ?」

志保「兄さん…」

志保「その…私を見ていて良いんですか?」

P「ん?」

志保「さっきまでうどんに付きっきりだったじゃないですか」

P「うどんて…最上さんは一段落ついたからな」

兄さんの視線の先では早々に脱落した未来と翼が、可奈と翔太先輩を巻き込んでゲームしているのを静香が後ろで見ていた

P「それにこっちを見てただろ?あれから手が動いてなかったからさ」

P「最上さんのはあと少しだったから先に終わらせたんだ」

志保「そうだったんですね」

兄さんが私を気にかけていてくれた

それがわかって私は内心嬉しくてたまらない

P「だから志保、わからなかったらどんどん聞いてくれて良いからな」

志保「はい、兄さん」

この時間が少しでも長く続きますように

私はそう願った

P「良い時間だな」

時刻は1730、夕食には少し早いくらいの時間だ

P「そろそろ終わろうか」

大体7時間近く勉強していたことになる

体力的にも集中力的にもここらが限界だろう

恵美「」

海美「脳が…震える…」

エレナ「ヨ~」

海美達はグロッキー状態だ

P「みんな、夕飯食べていくか?」

琴葉「良いの?」

P「ああ、といっても買い出しからだが」

静香「それなら」

最上さんが手を上げる

静香「人数のおうどんを持ってきたので、台所さえ貸していただければ」

そういってハンドバッグから寸胴鍋と15人分はあるように見えるうどんを引っ張り出す

P「おお、それは助かる、お願いできる?」

静香「はい、腕によりをかけて」

最上さんが立ち上がろうとしたその時

志保「私も作るわ」

志保が立ち上がった

P「志保?」

静香「…志保?おうどんを作るのは私一人で十分だけど」

志保「うどんだけじゃ栄養が偏るから」

静香「おうどんにトッピングをすれば良いだけよ」

志保「ならそのトッピングを作るだけよ」

静香「…」

志保「…」

冬馬「天ぷらとめんつゆでも作るか、台所借りるぞ」

P「おー、任せた」

結局志保と最上さんは半分ずつうどんを茹で、冬馬は人数分の天ぷらと揚げ、翼用に醤油で煮た肉を作り、夕飯となった

P「いやー、相変わらず家事能力高いな」

冬馬「毎日やってるからな」

P「お前が女か俺が女なら結婚相手に欲しいくらいだ」

冬馬「やめろよ気持ち悪いな」

何故か周囲から突き刺さるような視線が複数飛んできた

未来は何かをメモっていた

夕飯を終え、みんなを見送る

静香「P先輩、今日はありがとうございました」

P「こっちこそ、うどん美味しかったよ」

静香「ありがとうございます」

静香「…ところで、P先輩は志保の噂を知っていますか?」

P「…クイーン沢がどうのこうのってやつ?」

静香「はい」

P「文字通り噂程度なら」

静香「ならお願いです、先輩だけは志保を信じてあげてください」

P「というと?」

静香「私はあの噂が流れ始めたころ、真偽も確かめずに志保に詰め寄ったんです」

静香「話を聞いてくれない辛さは十分にわかっているはずなのに」

静香「それから少し折り合いが悪くなったのは間違いありません」

P「…」

静香「あんな噂が流れて辛いのは志保の筈なのに、私は志保を責めてしまいました」

静香「よく考えなくても志保が屋上から人を突き落としたりするはずがないのに」

静香「きっと志保は私を許してくれないと思います、可奈も学園では友達から志保と引き離されていて…だから、P先輩だけは」

静香「あなただけは、志保の味方でいてほしい」

一旦ここまで
もがみんは先輩に優しくされるところっと堕ちそう

P「最上さんの気持ちは良くわかった」

P「大丈夫だ、俺はずっと志保の味方でいることを誓うよ」

P「ただ、最上さんも1つ約束してくれ」

静香「はい」

P「志保も、最上さんを嫌っているわけじゃない」

P「俺が保証する、だから」

P「君も、志保の友達でいてほしい」

静香「…はい!」

P「ありがとう、最上さん」

静香「呼び捨てで構いません」

P「ありがとう静香、志保のこと、よろしく頼む」

静香「はい」

P「それじゃあまた」

静香「はい、今日はありがとうございました」

静香達を見送り志保と一緒に来た道を戻る

その道中、志保が話し掛けてきた

志保「兄さん、うどんと随分親しげでしたね」

P「そうか?」

志保「はい、少なくとも私はうどんが男子に杏奈態度を取っているのは見たことがありません」

P「俺が年上だからかもな」

志保「…それだけなら良いんですけどね」

P「?どういうことだ?」

志保「なんでもありません、帰りましょう」

そう言うと志保は少し強引に俺の手を取って前を歩き始めたのだった

まずい、非常にまずい

静香が兄さんに心を開いている

静香は気難しげに見えて案外単純だから兄さんに優しくされて勘違いしているに違いない

仮に勘違いじゃなかったにしても静香だけは駄目だ

海美さんや恵美さんならきっと兄さんを幸せにしてくれる、でも静香だけは駄目

私は兄さんが幸せになれるのならなんだってする

だから不幸になるとわかっていてみすみすとそれを進めさせるわけにはいかない

なんとかして静香を兄さんから引き離さないと…

志保「…」

手に力を込める

気のせいか、握り返されたような気がした

一旦ここまで

>>334
杏奈態度 ×
あんな態度 ○

この志保はPのために死ねと言われたら死ねるくらいにはPのこと好きだよ

夏祭り、俺達は友人連中と花火を見に来ていた

この前の勉強会と同じメンバーなのでかなりの大所帯だ

静香「P先輩、見てください焼きうどんです」

P「珍しいな」

翼「P先輩P先輩!ステーキの串がありますよ!半分こしましょ~!」

P「こら引っ張るな」

志保「……………………」

可奈「し、志保ちゃん…?」

未来「恵美さん!おっぱいマウスパッドが!」

恵美「お!取ったげよっか?」

未来「でへへ~お願いしまーす!」

エレナ「みんな元気だネ!」

琴葉「そうね」

冬馬「元気なのは良いけどよ…あいつはもげろ」

海美「う~私も参加したい~!」

翔太「流石に年下を押し退けるのはちょっと大人気ないよね」

志保「押し退けても良いですよ、むしろ押し退けてください」

冬馬「北沢はあれに参加しないのか?」

志保「…私にその資格はありませんから」

冬馬「資格、ね…」

冬馬「大体の事情はわかってるけどよ、俺にはあいつが怒るとは…」

志保「怒らないのは当たり前です…記憶が無いんですから」

志保「記憶があったなら、とっくに…」

翔太「でもさ志保ちゃん、Pくんのこと理解してるんだよね?」

志保「わかってます、けど、確証はないじゃないですか」

志保「私のせいで過去に空白を作ってしまったのに…」

冬馬「…あのな、北沢、お前がどんな気持ちでいるのか理解できるとは言わねえ」

冬馬「だけどあいつの気持ちならわかる、あいつはきっと」

志保「わかるわけないじゃないですか!」

私は思わず声を荒げた

志保「他人の気持ちなんて、わかるわけない!」

志保「血の繋がった家族ですらわからないのに、ずっと会えなかった人の気持ちなんてわかるはずがない!」

志保「もし気持ちがわかるのなら、私は…!」

私はそこで言葉を切った

この先は口にしてはいけない

冬馬「…」

翔太「志保ちゃん…」

P「どうした、何があった」

兄さんがすぐに駆け寄ってきた

冬馬「いや、ちょっとからかいすぎただけだ」

翔太「ごめんね志保ちゃん」

志保「いえ…こちらこそすいませんでした」

P「年下をいじめるなよ、みっともない」

冬馬「わかってるよ」

翔太「ちゃんと反省するよ」

海美「しほりん」

海美さんが声をかけてくる

海美「ちょっとだけ話そっか」

海美さんに手を引かれ、人混みから離れた

少し歩いてから

海美「うん、ここで良いかな」

私達は立ち止まった

海美「ねえしほりん、ここ憶えてる?」

志保「…周防家が所有してる土地ですよね」

海美「うん、毎年花火を見るための場所を確保するのが面倒だからっておばさんが買った場所」

みんなで花火を見るために2回ほど来たことがある

志保「ここが何か?」

海美「ここはね、私にとって世界で一番大切な思い出のある場所」

海美「私の気持ちの原点」

海美さんが懐かしむように辺りを見渡す

海美「しほりんにもあるよね?そういう大切な思い出」

大切な思い出…私は思わずポケットのキーホルダーに手を伸ばす

海美「大切な思い出があるなら、逃げちゃ駄目だよ」

志保「…別に逃げているわけでは」

海美「しほりんはさ」

海美「Pが記憶を取り戻したらしほりんのことを嫌いになるんじゃないかって思ってるみたいだけど」

海美「それで嫌われるなら私なんか間違いなく絶交されてるよ!」

志保「なんで楽しそうなんですか…」

海美「でもね、どんな思い出も大切なものだよね?」

志保「…」

海美「これは私の考えだからしほりんの考えじゃないけど」

海美「私はしほりんにも思い出を、ちゃんと大切にしてあげて欲しいな!」

志保「海美さん…」

海美「私が言いたいのはそれだけ!後はしほりんが自分の考えで動いてね!」

一旦ここまで

志保「私の、大切な思い出は…」

思い出は…

海美「思い出はね、告白する時も便利なんだよ」

志保「べべべ別にこここ告白なんて」

海美「え?しほりんはPの事好きなんだと思ってたけど」

志保「それは…その…はい」

やはり態度に出ていたのだろうか、海美さんは私の気持ちを見抜いていた

海美「やっぱり、それじゃあしほりん」

海美「私達は今からライバルだね!」

志保「ライバル?」

海美「そ!Pの事が好きな者同士、どっちが選ばれても恨みっこ無しだよ!」

海美「どっちも選ばれない可能性もあるけどね」

少し萎える

それでも

志保「海美さん」

海美「ん?」

志保「負けませんから」

海美「…うん!楽しみにしてるよ!」

背中を押してくれたから

志保「兄さんは…私の兄さんですから」

海美「そうだね!私のPだね!」

志保「ふふ…」

海美「にっ!」

私はこの人を裏切らない

恵美「むっ」

P「どうした?」

恵美「今アタシのアホ毛がアタシのアイデンティティを脅かす電波を察知した気がする」

P「なんだそりゃ」

恵美「うーん…あれ、志保と海美だ」

P「あ、いた」

俺は姿が見えなくなっていた二人に声をかける

P「海美、志保、どこに行ってたんだ?」

海美「ちょっとしほりんに付き合って貰ってた!」

そういう海美の手にはたこ焼きがあった

P「全く、移動するなら声はかけてくれよ、心配するだろ?」

海美「ごめんね?」

P「全員揃ったみたいだし、行こうか」

俺達はいつもの場所へ歩き出す

少し歩いた場所にあるそこは静かで涼しく、花火を見るのに最高の場所だ

屋台の食べ物を食べながら雑談していると、一発目の花火が上がった

俺達は会話をやめ、花火に魅入る

P「綺麗なもんだ」

毎年見ているが、やはり花火は良い物だ

志保「兄さん」

隣に立っていた志保が口を開く

志保「花火、綺麗ですね」

『はなびきれいだね!』

P「っ…?」

志保「兄さん?」

P「ん、ああ、綺麗だな」

今のは…

志保「兄さん」

P「ん」

志保「兄さんがゴールデンウィークで言ってくれたこと、憶えていますか?」

P「んー…」

志保「もう、兄さんは忘れっぽいですね」

志保「過去のことじゃなく、今の、これからの私を見ていきたいって言ってくれました」

志保「私も…少しだけ、前に進むことにします」

P「…そっか」

志保「だから、背中を押してくれますか?」

P「もちろんだ」

志保「ありがとうございます、兄さん」

そういうと志保は微笑む

その笑顔はどこかで見たことがある気がして

頭の芯が痛んだ

一旦ここまで
普段は志保のほうがしっかりしてるけど要所要所でうみみがお姉さんらしくなるうみしほが読みたいです

奇妙な感覚があった

映像を見せられているような…自分が一切その中に干渉出来ない、それがわかる

映されている映像は全ての風景が白黒で、かなりの部分が割れていて正直9割方見えない

だけど…

P「なんだ…これ」

僅かに見える景色には黒猫の頭のような何かと、泣きじゃくる女の子が見える

しかしそれも次第にノイズが掛かり、見えなくなった時

俺は頭痛で目を覚ました

体を起こす

P「頭痛ぇ…」

頭ががんがんする

しかし熱っぽさなどはなく、ただ単に寝過ぎたか寝不足だろうと判断した

P「新学期早々休むわけにはいかないしな」

夏休みは昨日で終わった

今日からまた学園が始まるんだ

P「おはよ」

階段を降りると志保が朝食の準備をしていた

志保「おはようございます、兄さん」

P「おはよう志保、このみ姉さんと桃子は?」

志保「このみさんは朝一番で会議があるそうです、桃子は私が降りてきた時には行く準備を終わらせてすぐに行ってしまったのでわかりません」

P「そっか」

二人とも今日は早いな

志保「…?兄さん、少し顔色が悪くないですか?」

P「え?そうか?」

志保「少しかがんでください」

P「ん」

志保の手が俺の額に添えられる

冷たくて気持ちが良い

志保「熱は…ないですね、体調は?」

P「ん、頭がちょっと痛むくらいかな、体調は大丈夫だ」

志保「頭…?本当に大丈夫ですか?吐き気は?」

P「ないない、多分寝不足か何かだよ」

志保「…」

それでも志保は心配そうにしている

P「大丈夫だって、調子悪くなったら風花先生にセクハラしに行くからさ」

志保「セクハラはどうかと思いますが…それなら」

志保は納得してくれたようだ

P「じゃあ朝飯を食べよう、腹が減って仕方ない」

志保「ではよそいますから座って待っててください」

P「ああ、楽しみだ」

志保と朝食を摂り、学園に向かった

一旦ここまで

放課後、冬馬達と遊んでいい汗をかいた

帰宅した俺は汗を流すためにシャワーを浴びることにした

脱衣所の扉を開けると

志保「…え?」

P「えっ」

下着に手をかけている志保がいた

志保「…」

P「…」

お互いに見つめ合う

まるで時間が止まったような、そんな錯覚をする

そんな中、先に動いたのは志保だった

志保「い…」

P「い?」

志保「いつまで見てるんですか!」

P「うおっ!」

志保に大声を出され思わずビクッとする

志保「は、早く出て行ってください!」

P「す、すまん!」

俺は脱衣所の扉を閉めると部屋に向かって逃げ出したのだった

自室のベッドに座っていると扉がノックされる

志保「兄さん、入りますよ」

P「あ、ああ…」

志保が部屋に入ってくる

顔は赤く、目は逸らされている

P「さっきは悪かった」

志保「本当に、反省してください」

P「はい」

志保「いくら家族しかいないとしても、ちゃんと確認はするべきです」

志保「たまたま兄さんが覗いたのが私だったからこれで済んでいますがこれがもし私ではなく遊びに来ている海美さんや恵美さん、このみさんの友人だったりしたら大変な事になってますよ」

P「あー、うん」

志保「とにかく、気を付けて下さい」

P「わかった」

志保「…それで」

P「ん?」

志保「兄さん、頭痛の方はどうですか?」

P「頭痛なら昼を過ぎる前には収まったよ」

志保「そうですか、それなら良かったです」

志保「…もし、頭が痛くなったら気を付けてくださいね?頭は、その…危険ですから」

P「ああ」

志保が部屋から去った後、俺は深いため息をついた

P「…」

志保の下着姿を見たとき、正直ドキドキした

本来なら家族に抱いてはいけない気持ちだ

しかし頭でわかってはいても簡単に収まるものではなかった

P「落ち着け…」

しかし思考とは裏腹にどうしても志保を意識してしまう

結局この日から俺は、志保を女の子として意識してしまうようになったのだった

一旦ここまで

特別編【着替えを覗かれた場合】

・海美の場合
海美「あれ?Pも一緒にお風呂入る?やった!ほらほら遠慮しない!小さい頃は一緒に入ってたし流しっこしよ!」

・恵美の場合
恵美「…え?あ、あははーなんかごめんね?アタシの着替えなんかより他の子の着替えを覗いたほうが嬉しいよね…」

・莉緒の場合
莉緒「あら?うふふ、どうPくん?私のこの身体!セクシーでしょう?通販で買った新しい化粧品を塗ってあるのよ?興奮するかしら?…あら?Pくん?何でそんな哀しい人を見る目をしてるの?」

特別編2

・翼の場合
翼「きゃっ!…P先輩?もう、いきなり入ってくるからびっくりしちゃった。あ、この下着どうですか?未来や静香ちゃんと一緒に買いに行ったんですよ~!もっと見たい?今日の夜いっぱい見せてあげますから今はだめぇ♪」

・琴葉の場合
琴葉「Pくん!?そ、その、ごめんなさい、こっちこそ鍵をかけてなかったから…え?お詫びに1つだけ言うことを聞く?えっと、それなら…Pくんも下着になってくれたら…お相子、かな?」

・ジュリアの場合
ジュリア「!?こ、この変態!」(マッハパンチ)

・未来の場合
未来「ほえ?…………………きゅ~」(気絶)

特別編3

・静香の場合
静香「P先輩!?なんで…鍵が開いてた?そ、それは確かに私の落ち度ですが…と、とにかく見ないで早く出て行ってください!…綺麗?も、もう!そんなことじゃ誤魔化されませんから!」

・エレナの場合
エレナ「あ、あー見られちゃったネ。…ワタシの家では最初に裸を見せた相手とケッコンしなさいって言われてるかラ…責任、取ってネ?」

・桃子の場合
桃子「変態」

今度こそ一旦ここまで

今日は夜行バスで遠出しなくちゃいけないので本編は無しで
代わりに1つだけ短編でも書こうかと思うので何かネタがあればどうぞ

小学生メイドは文化祭まで待って貰えるとありがたい

まさか文化祭のプロット見たとか無いよね?
志保のクラスはコスプレ喫茶の予定

幕間 保健室の場合

「ふう…今日も一日平和だったな~」

保健室で伸びをする女性

その仕草で二つの特大フルーツが揺れる

彼女は豊川風花、765学園で保険医をやっている

彼女の特徴はむっちりとした身体と凶悪なまでの山脈で、高等部の某生徒と某生徒から果てしない敵意を向けられていることを彼女は知らない

P「こんにちは」

風花「あら、Pくんどうしたの?」

保健室に一人の男子生徒が入ってきた

P「ちょっと引っ掛けまして」

そういって手の甲を見せる

確かにそこには何かに引っかかれたように赤い線が引かれていて、血が流れていた

風花「消毒は?」

P「まだです」

風花「それじゃあちょっと待っててね」

薬棚に手を伸ばす風花

しかし

風花「あ、そうだった…」

消毒液が切れていた

風花「ふっ…ん~!」

背伸びをして棚の上にある消毒液の予備を取ろうとする風花

しかしなかなか手が届かず、何度も背伸びを繰り返す

その度に山は揺れた

P「ほう」

カシャリ

揺れる度にシャッターを切る男子生徒

風花「な、何を撮ってるの?」

P「あ、お気になさらず~」

風花「そ、そんなこと言われても」

明らかにカメラを向けられて緊張してしまう

ようやく箱に手が届くが、箱と一緒に色々落ちてきてしまい風花は尻もちをついた

風花「いたたっ…」

売った部分を擦る風花

P「風花先生大丈夫ですか!?痣になっていたら大変だから俺が擦りながら確認してあげますよ!」

風花「もう!何言ってるの!」

風花は赤面しながら立ち上がる

P「ちっ」

風花「今舌打ちしなかった?」

P「気のせいですよ気のせい」

風花「それよりも、手を出して」

手慣れた感じで治療をしていく風花

男子生徒の目線は自分の手…ではなく風花の谷間を見ていた

簡単にテーピングをして治療が終わった

風花「はい、気を付けてね」

P「ありがとうございます、風花先生」

セクハラさえしなければ良い子なんだけどなぁと風花がぼんやり考えていると

P「あ、そうだ、実は風花先生にプレゼントがあるんです」

風花「え?」

P「何時もお世話になってるお礼にってみんなで考えたんです、受け取ってくれますか?」

風花「Pくん…」

風花は感動していた

やっぱりこの子は良い子だ、セクハラさえしなければ

そして男子生徒が取り出したのは…

P「皆のお礼の気持ち、ちょっと面積の小さいビキニです!」

風花「もう!ちょっと期待したのに!」

やっぱりこの子は駄目な子だ

風花はそう思った

結局せっかくもらったし捨てるのも失礼な気がして、海水浴に着ていくことになるのだがそれは別のお話

生徒から教師へのセクハラが思いのほか難しい
やっぱり清楚()な仕事を持っていかないと

一旦ここまで
明日は本編進めますん

俺は白黒の、割れた世界に立っていた

…またか

視界が9割塞がれ、音すらもほとんど聞こえない壊れた世界

夏休みが明けてから何度もこの夢を見ている

P「今日は何だ…?」

割れた世界から覗く映像を見る

…また、女の子が泣いている夢だった

泣きじゃくる女の子を前に、俺は何も出来ずに立ち尽くす

このままノイズが走ってフェードアウトするのがいつものパターンだが…

今日は少し違った

泣いている女の子の側に誰かが立った

女の子は顔を上げてその誰かを見る

初めて女の子の顔が見えた

…志保?

もしこの泣いている女の子が志保ならば、これは俺の記憶なのか?

ならばこれは俺のなくした記憶の断片なのだろうか?

それなら世界が割れていることも納得できる

この世界から何か手がかりが掴めるかも知れない

痛み始めた頭を意識しないようにしながら、俺は記憶に向けて歩き出す

しかし一歩進める毎に頭痛は激しさを増し、とうとうノイズが走り始めた

意識が途切れる直前に見えたのは

胴体と首が離れた猫のキーホルダーだった

P「…っあ」

激しい頭痛に目を覚ます

思い出せないモノを無理矢理思い出そうとして脳に負担をかけすぎたからだろうか

P「…っ」

頭を押さえ、情報を整理する

あれは志保との記憶

ということはあの時泣いていた志保の隣に立っていたのは俺だろう

何らかの理由があって、志保が泣いてしまった

しかしそれだけでは何があったのかはわからない

P「…もう少し頑張るしかないか」

痛む頭を振って、俺はまたあの夢を見たときにやるべきことを考えるのだった

ある日の放課後

下駄箱に到着すると志保が下駄箱の前で立ち竦んでいた

P「志保、どうしたんだ?」

後ろから声をかけられ、志保の肩が跳ねる

志保「に、兄さん…」

P「ん?」

志保の靴箱を覗く

しかし、志保が上履きを履いているにも関わらず、そこには何も入っていなかった

P「志保、靴は…」

志保「…」

一旦ここまで
この先胸糞注意

志保「靴は…その…」

志保が言いにくそうに口篭もる

志保の言葉を待っていると可奈ちゃんが駆け込んできた

可奈「志保ちゃん!靴あったよ!」

志保「可奈…」

可奈ちゃんは志保の靴を手にしていた

P「外に靴が?」

志保「…」

可奈「あ、先輩」

P「可奈ちゃん、その靴はどこにあったんだ?」

可奈「え?それは…」

志保「可奈!駄目!」

志保が止めようとするが可奈ちゃんはすでに口を開いていた

可奈「校舎裏の、焼却炉の中に…」

志保「ああ…」

志保の靴が、焼却炉の中に?

P「…志保」

志保「…はい」

P「誰にやられた」

志保「それは…わかりません」

P「思い出してくれ、殺しに行く」

志保「に、兄さん、落ち着いて下さい」

P「落ち着いてるさ、だから思い出してくれ」

P「人の大事な家族に手を出されたんだ、きっちり報復させてもらう」

志保「私は、気にしてませんから」

P「…」

志保「私は自分の事よりも、兄さんが誰かを傷付ける方が嫌です」

P「けど」

志保「兄さん、本当に、大丈夫ですから…」

志保に頼まれ、俺は一旦矛を収める

P「…わかった、志保がそう言うなら」

P「けどもし同じ事があれば言うんだぞ、すぐに駆け付けるから」

志保「はい」

P「帰ろう、志保…可奈ちゃん、靴を見つけてくれてありがとうな」

可奈「私も、志保ちゃんにお世話になってますからこのくらいは!」

志保「ありがとう、可奈」

可奈ちゃんと別れた後、俺達は帰路についた

翌日

P「静香、少し良いか?」

静香「P先輩、どうしました?」

P「志保の周りで志保の靴を隠すような屑はいるか?」

静香「…何かあったんですね」

P「ああ、昨日の放課後に…」

俺は静香に昨日の出来事を伝えた

静香「なるほど…」

P「心当たりは?」

静香「無いわけでは無いですが…証拠がなくて」

P「そうか…」

静香「私の方でも注意しておきます」

P「助かる、ありがとう静香」

志保が靴を捨てられてから数日後の休みの日

志保が部屋に訪ねてきた

志保「兄さん、明日は空いていますか?」

P「明日?明日は暇だけど、どうした?」

志保「少し、ピクニックに出掛けませんか?」

P「構わないよ」

志保「ありがとうございます、では明日、朝から行きましょう」

P「楽しみにしてるぞ」

志保「はい、私もです」

志保の方から遊びに誘ってくれるとは

少し嬉しくなった

翌日、用意が終わった俺は玄関で志保を待っていた

志保「お待たせしました」

P「その服…」

志保「はい、夏休みに…兄さんが買ってくれた服です」

志保は純白ワンピースに麦藁帽だった

P「…うん、やっぱりよく似合ってるよ」

志保「ありがとうございます、兄さん」

P「それじゃあ行こうか」

志保「はい」

二人で家を出る

少し歩くと

志保「兄さん、その…手を繋いでも良いですか?」

と志保が聞く

P「ああ、もちろん」

俺は志保の手を優しく握ると、志保は握り返してきた

一旦ここまで
必要とはいえこういう描写はやっぱり書いてて不快になる

少し歩き、町外れにある丘にやって来る

志保「良い天気ですね、兄さん」

P「ああ」

志保の言ったとおりとても良く晴れ渡っており、雲一つ無い

志保「気温も過ごしやすいですし、今日にして良かったです」

P「ああ、風も気持ち良いしな」

心地良い風も吹いており、まさにピクニック日和と呼ぶのに相応しい日だ

志保「兄さん、少し登ってみませんか?」

P「良いぞ」

手を繋いだまま丘を登る

志保は俺の前に立ち、手を引いていた

丘の頂上に立ち、町を見下ろす

志保「…良い景色ですね」

志保が髪を押さえながら口にする

P「ここからの景色は変わらないな」

昔と何一つ変わらない

志保「…」

P「そういえば志保」

志保「はい」

P「なんで今日は俺を誘ってくれたんだ?」

志保「それは…」

志保「…私がお世話になり始めてから…その…兄さんと二人だけで出掛けることって一度もなかったので」

志保「…少し、独り占めしたくなりました」

P「…そっか」

可愛いことを言ってくれる

麦藁帽の上から頭をぽんぽんしてやる

志保「…もう、前が見えないじゃないですか」

志保は少し顔を赤くしながらそう言った

ブルーシートを敷いて、昼食をとる

志保「この量、兄さんなら食べきれますよね?」

志保は三段重ねのお重を取り出した

…妙に荷物が大きいと思ったらそういうことか

P「このくらいなら余裕だな」

最近量が目に見えて増えた学食に比べれば余裕だ

P「いただきます」

俺は玉子焼きに箸を伸ばし、そのまま口に入れる

P「お、うまい」

志保「兄さん、口に入れながら喋るとお行儀が悪いですよ」

P「ん」

玉子焼きを飲み込み、口を開く

P「いや、本当に志保の料理は美味いなぁ…ずっと作って欲しいくらいだ」

志保「そ、それは…まだ、早いんじゃないかと」

P「早い?」

志保「な、何でもありません!」

P「お、このきんぴらも中々…」

志保と話しながら昼食を楽しんだ

P「ああ、美味かった、ごちそうさま」

志保「お粗末さまです」

P「ありがとうな、志保」

志保「いえ…あ、兄さん、少しジッとしていて下さい」

P「?」

志保が俺の口元に手を伸ばす

志保「…はい、とれました」

どうやら米粒がついていたようだ

P「ありがとう」

志保「いえ」

志保はとった米粒をジッと見つめた後

志保「…ん」

それを食べた

P「し、志保!?」

何故食べた!?

志保「そ、その、ここで捨てるのもアレですしハンカチで包んだら引っ付いて厄介になりますしこうするのが一番良いというかその」

志保「と、とにかく!今の行動が最善なんです!」

P「お、おう…」

ティッシュは?と思ったが口にしないことにした

志保「~!」

突然、志保は真っ赤になりながら俺の太ももに頭を降ろした

P「ど、どうしたんだ今日は」

志保「きょ、今日は兄さんを独り占めするって決めてるので、私のやりたいようにやります」

P「それで膝枕か…」

普通逆じゃね?と思ったが志保の頭をゆっくり撫でてやる

P「言い触り心地だ」

志保「毎日手入れしてますから」

P「なるほど」

さらさらとした手触りに思わず夢中になる

…良い匂いもしてくるし

P「うっ」

何故だか匂いに反応してしまう

落ち着け俺、志保を膝に乗せている状態で何を反応しているんだ

志保「…!」

P「ど、どうした?」

志保「い、いえ…」

一瞬気付かれたかと思ったが気のせいみたいだ

深呼吸をして精神を落ち着かせる

ようやく収まったか

安心して志保の頭を撫でていると、寝息が聞こえてきた

どうやら志保が眠ったようだ

P「…」

志保の頭を撫でながら先日あったことを思い出す

志保の靴が焼却炉に捨てられていた

誰かに嫌がらせを受けているのは静香の反応からして間違いなさそうだ

何故志保がそんな嫌がらせを受けなくてはならないのか

この子は心優しい、とても良い子なのに

志保を守るために何が出来るのか、考えなくてはならない

志保の頭を撫でながら、俺は頭を悩ませるのだった

週が明け、再び学園が始まる

兄さんとピクニックに行ったおかげで気が楽になった

やっぱり兄さんの隣にいると落ち着ける

…予想外のこともあったけど

…あれは兄さんが私のことをそういう対象として見てくれているって事だろうか

恥ずかしいと同時に、嬉しくも思う

志保「…」

猫のキーホルダーを取り出し、眺める

兄さんとの思い出の品

いつか気持ちを伝えられるかな

キーホルダーを見ながらそう思った

…私はこの時、私を見ている悪意ある視線に気付けなかった

体育の授業が終わり、教室に戻ってくる

手早く着替えを済ませ、昼休み後の移動教室の準備をしているとあることに気付いた

…猫のキーホルダーがない…!?

志保「っ!」

急いでポケットや鞄を探るが見当たらない

志保「…なんで…!」

無くすはずがない

静香「志保、どうしたの」

私の異変に気付いたのか静香が声をかけてくる

しかし今の私に静香に構う余裕はない

志保「後にして」

私は静香を突っぱねてもう一度鞄の中を捜す

手伝ってもらうという選択肢は思いつきもしなかった

志保「どうして…!どうして…!」

あれは大切なモノなのに

あれが無いと、私は…!

静香「志保、落ち着いて、一体何があったの!?」

志保「黙ってて!」

私は大切なモノが見付からない焦りと苛立ちをつい静香にぶつけてしまう

静香は何も悪くないのに

静香「…そう」

静香は一言だけ呟くとどこかへ言ってしまった

結局キーホルダーは見付からなかった

P「志保の様子がおかしい?」

静香「はい」

昼休み、教室に来た静香からそんなことを言われる

静香「何か焦っているような…とにかく何かあったのは間違いです」

P「それはいつから?」

静香「体育が終わってすぐです」

P「ついさっきか…一体何があったんだ」

静香「わかりません…」

P「わかった、こっちでも聞いてみるよ、教えてくれてありがとう静香」

静香「いえ…」

P「志保…」

何があったんだ…?

放課後、私は落とし物置き場にキーホルダーが届いていないかを確認しに行った

しかし落とし物置き場にもキーホルダーはなく、私は失意のままに教室に戻った

教室に入ると、二人の女子生徒がにやにやしながらこちらを見ている

その視線に苛立ちを感じながらも私は無視して帰ろうとする

すると二人から呼び止められた

志保「何?」

普段ならともかく苛立っている今、普通に対応しようとしてもどうしても棘が出てしまう

一人が口を開く

その内容は私が生意気だの人の彼氏に手を出しただの、そのくせ自分は上級生に色目を使ってむかつくといったくだらないものだった

…そうか、こいつらが

以前可奈と二人でいるときに男子生徒に絡まれたことがある

可奈が突き飛ばされたので落ちていた竹刀で追い払ったことがあった

…その日からあの噂が流れ始めた

あの男子生徒が目の前の女の彼氏かなにかだったのだろう

志保「それで、私にどうしろと?」

この手の輩は関わらないに限る

さっさと済ませてキーホルダーを探さないと

そう思っていた

目の前の女が懐から私のキーホルダーを取り出すまでは

一旦ここまで

志保「!」

目の前の女は私のキーホルダーのチェーンに指を通し、振り回す

そしてあろう事か、こんな汚いキーホルダーなどと侮辱する

志保「返しなさい!」

私は女に駆け寄るが女はキーホルダーをもう一人に投げる

私が方向転換し、もう一人に向かうとそいつもまた、女に投げた

こうして何度かキーホルダーを投げられた後、主犯の女がキーホルダーを突き出してきた

そんなに返して欲しいなら返してあげる

主犯の女はそういって猫の頭に親指を当て、力を込める

志保「!やめ…!」

パキッと音がして

猫の頭が

呆気なく

地面に落ちた

主犯の女は大笑いしながら頭の無くなったキーホルダーを私の前に投げた

共犯の女も笑いながらそれを見ていた

落ちた猫の頭を主犯の女が踏みつけたとき

私の中で何かが切れた

静香「P先輩!」

放課後、静香が教室に駆け込んできた

かなり焦っている

P「静香、どうしたんだ!?」

静香「志保が、志保が大変なんです!」

P「志保が…!?」

静香「と、とにかく教室に来て下さい!」

P「わかった!」

静香の後を追い志保の教室へ向かう

一体何が…

教室に辿り着き、扉を開ける

そこで見たものは

蹲って泣きながら何かを呟く女子生徒と

髪を引っ張りながらただただ無表情に女子生徒の顔を殴り続ける志保の姿だった

殴られている女子生徒は頭を庇っているが、その抵抗は弱々しかった

P「志保!」

呼び掛けてみるが反応はない

このままでは殺してしまうかも知れない

P「志保!やり過ぎだ!このままだと殺しかねない!」

志保を後ろから抱きしめて宥めるが抵抗される

しかし志保の力では俺の力には対抗しきれず、徐々に抵抗が弱くなっていった

P「大丈夫だ志保、俺が側にいるから」

志保を強く抱きしめると志保の体から力が抜けた

そして

志保「兄…さん…?」

今初めて俺に気付いたかのようにこちらを振り向く

P「志保…正気に戻ったか」

志保「あ…ああ…」

しかし志保は何かに怯えるような声を上げると

志保「~~~!」

声にならない叫びを上げた後、俺の腕をすり抜けて走り出してしまった

P「志保!」

静香「P先輩!志保を!」

P「わかってる!」

教室から出ようとして、一旦立ち止まり殴られていた二人を見る

俺の視線を受け、怯えて後退った

…恐らくこの二人がいじめの主犯なのだろう

出なければ志保がここまでするはずがない

P「…志保がここまでやったから俺からは何もしないが」

P「次に手を出したら今度は俺がお前達を殺しに来るからな、覚えておけ」

二人は再び泣き出すが、俺にとってはどうでも良い

それだけのことをこいつらはやったのだから

俺は踵を返すと、志保を探して走りだした

志保の靴箱を確認する

上履きが入っており、志保が既に学園から出たことを現していた

P「志保…!」

通学路を全力で走る

しばらく走ると少し先に志保の背中が見えた

P「志保!」

声をかけるが聞こえていないのか、速度は落ちない

P「くっ!」

速度を上げるが志保は先に家に入ってしまった

少し遅れて家に駆け込む

乱雑に靴を脱ぎ、階段を駆け上る

階段を登り切ったところで、ようやく志保の腕を掴んだ

俺は息を整え、ようやく捕まえた志保を見据える

P「志保…」

志保「兄…さん」

志保は今にも泣き出しそうな顔をしていた

P「志保、一体何があったんだ?」

志保「それは…」

P「志保があんなに怒るなんて普通じゃない」

志保「普通じゃ…ない」

P「話してくれないか、何があったのかを」

志保「でき…ません」

P「どうして」

志保「…兄さんには…関係ありませんから…」

P「そんなことはない!志保だって家族なんだ、だから」

志保「もうやめて!」

志保が俺の腕を振り払った

志保「兄さんが優しくするから!私は兄さんに甘えてしまう!」

志保「本当は私は兄さんに優しくして貰う資格なんてないのに!」

志保「思い出せないことを良いことに自分を誤魔化して…!」

志保「それなのに今また兄さんに庇って貰いたいと思ってしまう私がいて…!」

志保が蹲って泣き出してしまう

この光景を、俺は知っている

だから俺は志保に手を伸ばし…

志保「!」

志保が手を振るって俺の手を弾いた

そして俺は

階段から足を踏み外した

一旦中断
次は一時間後に

夢を見ていた

いつもの志保が泣いている夢

しかし今回はいつもと違い世界は割れておらず、色のついた鮮明なものだった

幼い頃の志保は、よく俺達の家に遊びに来ていた

そんなある日のこと

家の中で遊んでいた志保

その手には父親がくれた猫のキーホルダーがあった

忙しくてあまり会えない父親からのプレゼント、志保はそのキーホルダーが大好きだった

しかしある日、志保は家の中で転んでしまう

その時、持っていたキーホルダーは不運にも手を離れ、地面に落ちてしまいその衝撃で首が折れてしまった

志保はすぐに首を引っ付けようとするが、折れた首が繋がることはなかった

自分が転んでしまったから父から貰った大切なキーホルダーが壊れてしまった

その事に志保は涙を滲ませ、泣き出してしまう

もう首は繋がらない

その事が堪らなく悲しかった

泣き声を聞いて、幼い頃の俺は志保に近付く

P『志保ちゃん、なんで泣いてるの?』

志保『お兄ちゃん…』

志保は泣きながら俺を見上げる

志保『お父さんから貰ったキーホルダー…しほが壊しちゃった…』

そういってしゃくり上げる志保

その手の上にはキーホルダーがあった

首ちょんぱ状態のキーホルダーを見た俺は、あることを思いついた

P『志保ちゃん、ちょっと待ってて』

俺は義父の部屋に行き、あるものを借りる

P『お待たせ、志保ちゃん』

P『これ、少し貸してくれる?』

俺は志保からキーホルダーを受け取ると、義父から借りたプラスチック用瞬間接着剤を折れた部分に塗る

そして首を胴体と合わせ、しばらくそのままにすると…

P『はい、志保ちゃん、治ったよ』

志保『わあ…!』

塗りすぎた為か、接着剤がはみ出しており前よりは不細工になってしまったのだが志保は目を輝かせて泣き止んだ

志保『ありがとうお兄ちゃん!』

P『気にしないで!』

この一件で俺に懐いた志保は、よく俺の後ろに着いてくるようになった

もっとも、人見知りするタイプなのか俺が他の子と遊んでいると背中に隠れていたが

そんなある日

志保『お兄ちゃん!』

P『どうしたの?』

志保『しほね、お兄ちゃんのお嫁さんになる!』

P『え?』

志保『お母さんがね、お兄ちゃんはいとこだからけっこん出来るって言ってたの!』

P『うーん、僕はまだ結婚とかは…』

志保『だめ…?』

P『あ、じゃあね、志保ちゃん』

P『志保ちゃんがもし結婚出来るようになって、その時にまだそのキーホルダーと気持ちを持ってたら結婚しようよ!』

志保『ほんと!?じゃあしほ、頑張るから約束だよ!』

P『うん!約束!』

志保『忘れないでね、お兄ちゃん!』

場面が変わった

志保が階段に座り込んで泣いている

夏休みが終わる直前で、志保は家に帰らなくてはならないのだが…

志保『いや!しほはもっとお兄ちゃんと一緒にいたい!』

志保が駄々をこねてしまった

母親は無理矢理連れて帰ることも出来たのだが、志保を傷付けてしまいそうで手を拱いていた

そこで俺が志保を説得するために駆り出された

P『志保ちゃん、わがまま言っちゃ駄目だよ?』

志保『でも…しほはお兄ちゃんと一緒にいたい』

P『またいつでも会えるよ!ほら、お母さんがまってるから』

志保『やだぁ!』

志保が手を振り回し俺の差し出した手を弾いた

それが押し出すような形で弾かれたため、俺は階段を踏み外した

P「…」

階段から落ちたところで、俺は目を覚ます

見知らぬ天井と、見知った顔があった

このみ「目覚めの気分はどう?」

P「なんだろうな、頭の中がクリアというか…もやが晴れた気がする」

このみ「そう」

P「…階段から転げ落ちたんだな、俺」

このみ「昔と同じシチュエーションで転げ落ちるなんて、器用な真似するわね~」

P「好きで転げ落ちたわけじゃないけどな」

このみ「記憶はあるみたいね」

P「ついでに、昔のことも思い出したよ」

このみ「あら、頭を打って戻ったのかしら…もっと早くにやれば良かったわね」

P「やめてくれよ…」

このみ「で、あんたはどうするの?」

P「どう、とは」

このみ「志保ちゃんに弾かれて頭を打つのは二回目だけど」

P「違うぞこのみ姉さん」

P「ある馬鹿が勝手に足を踏み外した、その時たまたま志保が近くにいて手が当たっただけだ」

P「だから悪いのは足を踏み外した馬鹿であって志保は何も悪くない、違う?」

このみ「そうね、馬鹿、正直臭いわよ」

P「ひでぇな…志保は?」

このみ「正直かなり動揺してるわよ、一時はまた私が殺したってうわごとのように繰り返してたけど…今は部屋に閉じ籠もって出て来ないみたい」

P「そっか」

ならば俺のやるべき琴葉一つだ

起き上がった時に見つけた猫のキーホルダー…

これが鍵になる

一旦ここまで
胸糞描写は今回で終了
残すは微シリアスとイチャラブのみでございます

我が予測変換が琴葉に乗っ取られている可能性
>>483
ならば俺のやるべき琴葉一つだ ×
ならば俺のやるべき事は一つだ ○

首の折れたキーホルダーを手に取る

このみ「それ、静香ちゃんが持ってきてくれたのよ」

P「静香が?」

このみ「教室に落ちてたんですって」

P「…なるほど」

志保があんな行動に出た理由がわかった

P「目が覚めたから退院していいかな?」

このみ「検査が終わってからね」

その後検査をし、異常なしと診断されたため俺は退院した

家に帰ると桃子が出迎えてくれた

桃子「お帰り、お兄ちゃん」

P「ただいま、志保は?」

桃子「閉じ籠もって出て来ないよ」

P「そうか…」

桃子「早く引っ張り出してよね」

P「おう、任せとけ」

俺は部屋に戻ると、プラスチック用瞬間接着剤を取り出してキーホルダーの補修を始めた

電気の消えた部屋で私は、膝を抱えて座っていた

2度も兄さんを突き落としてしまった

2回とも、私の我が儘が原因だ

やっぱり私に兄さんの側にいる資格はなかったのだ

それどころか私が生きていたら兄さんを死なせてしまう

だったら私は、ここから離れるか、死ぬしかない

志保「兄さん…」

幼い頃の兄さんと、再会してからの兄さんとの思い出が浮かんでは消える

海美さんに言われたように、これは大切な思い出だ

けれど今はその思い出が、私を責め立てる

消えて無くなりたい、そう思った時、扉がノックされた

P「…」

扉をノックしても反応はない

P「志保、入るぞ」

一応声をかけて、俺は扉を開けた

部屋の中は真っ暗で、更に志保は膝に頭を埋めていたので一瞬どこにいるか判らなかったが志保の側で膝をついた

P「志保」

志保「…」

声をかけても反応がない

寝ているのだろうか

仕方なく立ち上がり電気をつける

明かりに照らされた志保は髪がボサボサだった

髪の手入れをしている余裕もなかったのだろう

しかし俺には関係ない

ボサボサ頭を優しく撫でる

P「志保、顔を上げてくれ」

志保「…兄さん」

未だ顔は上げてくれないが、ようやく反応があった

P「ただいま、志保」

志保「兄…さん」

P「髪がボサボサじゃないか、ちゃんと手入れしないと」

志保「私…は…」

P「心配かけたな」

志保「違うんです…私が…私のせいで…!」

ようやく顔をあげる志保、目には隈がありかなりの疲れを感じさせる顔だった

P「大したことじゃない」

志保「どうして…私を嫌ってくれないんですか…」

志保が呟く

志保「あんなことをされて、どうしてまだ私に優しくするんですか…」

志保「それならいっそ、激しく罵倒された方が…私は…」

P「なんで俺が志保を嫌わなくちゃいけないんだ?」

志保「…本気で言ってるんですか」

P「もちろん」

志保「…!」

P「俺は志保に何もされてない」

P「勝手に足を踏み外して記憶を無くして、勝手に足を踏み外して記憶を取り戻しただけだ」

P「志保を嫌う理由なんかどこにもない」

志保「…なんで庇うんですか!」

志保「私が!手を振るって!それが兄さんが足を踏み外した原因なのに!」

志保「それで2年分の記憶も失って、その分の兄さんは死んだも同然なのに…!」

志保「私は…!」

P「全く、志保は我が儘だな」

志保を正面から抱きしめる

志保「にいさ」

P「俺は今こうやって何事もなく生きてるし、落ちたから記憶も取り戻してる」

P「それだけじゃ不満なのか?」

志保「でも…私は何も償えてない…!」

志保「兄さんで大切な時間を奪って、迷惑をかけたのに」

P「あのな、志保」

P「俺は償って欲しいとか、そういう感情は一切無いんだよ」

P「むしろそれは志保の自己満足でしか無いだろ?それは迷惑なんだ」

志保「でも…」

P「俺はこうやって、志保と一緒にいられるだけで十分だよ」

P「だから償いなんか必要ない、俺の側にいてくれ」

志保「兄さん…!」

志保が抱きしめ返してくる

志保「ごめんなさい…!ごめんなさい…!」

志保は子供のように泣きながら俺に謝る

P「志保、辛かったな、もう大丈夫だ」

記憶のない俺に対してとてつもない罪悪感を抱いていたのだろう

俺が記憶を無くしてから、ずっと謝りたかったのかも知れない

泣き続ける志保の背中を優しく叩いてやる

志保が泣き止んだのはそれから30分後だった



志保「…だらしないところを見せてしまいました」

落ち着いたのか、話し始める

P「俺はもっと甘えて欲しいけど」

志保「駄目です、私を甘やかすときっと碌な事になりませんから」

志保「兄さん、記憶が戻ったと言っていましたが…どのくらい戻りましたか?」

P「多分全部だ」

志保「全部…」

P「だから志保、これを受け取ってくれ」

俺は約束のキーホルダーを志保に渡す

志保「…これ!」

P「あの約束の為に。今までずっと大事に持っててくれたんだな…」

志保「…はい」

P「ありがとう志保、嬉しいよ」

志保「…あの時と一緒で…兄さんが治してくれたんですね」

志保が大切そうにキーホルダーを手で包む

P「…あのさ、志保」

志保「はい」

P「志保は1月が誕生日だよな?」

志保「…はい、昔兄さんにプレゼントも貰ったことがあります」

記憶が戻って、胸に飛来した気持ちがある

P「それで、そのだな」

志保「はい」

P「…少し早いけど、約束を果たすよ」

志保「それって…」

P「志保」

志保「はい」

志保を正眼に捉える

ただただ一途に俺を想い続けてくれた志保のために

P「お前が好きだ、ずっと俺の側にいてほしい」

俺は気持ちを伝える

一旦ここまで

更新は日付変わってからになりそう
許してクレシェンド

志保「兄…さん…兄さん!」

志保が飛び付いてくる

志保「嬉しいです…でも…」

志保が胸に顔を埋めたまま呟く

志保「本当に、私で良いんですか?」

P「志保が良いんだ」

志保「兄さん…」

少し強く志保を抱き締める

志保「ん」

P「ごめん、苦しかったか?」

志保「大丈夫です、それよりも…」

志保「もっと強く抱きしめて欲しいです、私が壊れるくらいに」

要望通りさらに強く抱き締める

すると志保のほうも、俺を強く抱き締めてきた

志保「今が、私の人生で最も幸せな瞬間です」

P「違うぞ志保」

P「これが俺達の人生の始まりなんだ」

P「俺達はまだスタートラインに立っただけだ」

P「だから歩いて行こう、ゴールまで」

P「例えどっちかが転んでも、二人で手を繋いで歩いて行けば乗り越えられる」

P「俺はそう信じている」

志保「兄さん…」

志保「私の手は、兄さんに触れるためにあります」

志保「私の耳は、兄さんの音を聞くためにあります」

志保「私の目は、兄さんを見るためにあります」

志保「そして私の心と魂は、兄さんに寄り添うためにあります」

志保「私の全てを、兄さんに捧げます」

P「俺は志保の全てを受け止めるよ」

志保「ありがとう、兄さん…」

志保「兄さん…一つ、我が儘を言っても良いですか?」

P「ああ」

志保が身体を離す

志保「私を後ろから抱きしめて欲しいです」

志保「肩から腕を回すようにして欲しいです」

P「わかった」

俺は志保を後ろから抱きしめ、胸の前で腕を交差させる

すると志保は俺の腕に手を添えた

志保「兄さんの腕に抱かれるの、私は好きです」

志保「私は兄さんのものだって、はっきりとわかるから」

志保「兄さん、この手で、私を守ってくれますか?」

P「もちろんだ」

志保「ありがとう、兄さん」

志保は目を閉じ、俺に身体を預けるようにもたれ掛かる

その後しばらく志保を抱きしめていたが、志保が身支度を整えたいと言い、一旦解散となった

部屋に戻ろうとすると、桃子が近づいて来た

桃子「解決した?」

P「おかげさまで」

桃子「ふーん」

桃子は興味なさげに返事をして通り過ぎた

そして

桃子「あ、そうそう」

P「ん?」

桃子「いちゃつくのは止めないけど、場所は弁えてよね」

P「ああ、気を付けるよ」

桃子「それだけ」

そう言うと桃子は出掛けていった

部屋に戻りベッドに寝転がっていると、志保が部屋に入ってきた

風呂上がりなのか、髪がしっとりしている

志保はまっすぐにこちらに向かい、俺に抱き付く

そして深呼吸をした

志保「兄さんの匂い、好きです」

P「そっか」

少し湿った髪を撫でる

志保の髪は手触りが良く、いつまでも触っていたくなる

志保は髪を撫でられながら俺の腹部に頭を擦り付けてくる

まるで自分の匂いをつけているみたいだ

志保「兄さん…ふふ、兄さん」

志保「ずっとこうしたかった、兄さんの側にいたかった」

志保「私は、幸せです」

P「俺も、志保が側にいてくれて嬉しいよ」

今の志保は膝の上で眠る猫のようだ

…色々と大きいけど

志保「兄さんの…匂い…」

志保がわざとなのか無自覚なのか、身体を押し付けてくるので中々に辛い

身体の柔らかさや志保の匂いなど様々な誘惑が俺を惑わせる

志保「兄さん…」

志保が顔を上げる

頬は上気しており、唇は湿りを帯びていて柔らかそうだ

P「…」

思わず唾を飲む

志保が全身で俺を誘おうとしているように見える

そろそろ理性がヤバいかも知れない

そして俺の理性は呆気なく吹き飛ばされることになる

志保「ん…」

志保が首に手を回し、キスをする

そのままこちらに体重をかけ、二人でベッドに倒れこむ

志保が俺の胸に頭を預けて目を閉じる

俺は志保を抱き締めた

志保は薄く目を開け、微笑んだ

すると今度は頭だけではなく、全身を使って俺にマーキングをしてくる

身体のあちこちを触られ、俺の我慢は限界に達した

志保にキスをする

志保はお返しとばかりに舌をねじ込んでくる

そして

志保「兄さんと…一つになりたいです」

その言葉を受け、俺は…


俺と志保でオーバーレイした

一旦ここまで
この先キャラ崩壊注意

布団に包まりながら志保を膝の上に乗せる

志保は俺に身体を預け、脱力していた

志保「兄さん…」

志保が蕩けたような声を出す

P「よしよし」

頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細める

志保「私は、きっと今世界で一番幸せです」

P「俺も、志保といられて幸せだよ」

志保「兄さん、もっとぎゅっとしてください」

P「ああ」

あすなろ抱きをすると、志保が俺の腕に手を添えてくる

P「志保は甘えんぼうだな」

志保「昔からそうですよ」

P「家に来た時はそうでもなかったじゃないか」

志保「あれは兄さんを傷付けたくなかったからです」

志保「だから兄さんを傷付ける心配が無くなった今は、今まで甘えられなかった分も含めてたくさん甘えますから」

P「はは…お手柔らかにな」

志保「兄さん、キスがしたいです」

P「はいはい」

志保の肩越しにキスをする

志保「ん…」

P「その体勢、苦しくないか?」

志保「はい、むしろ兄さんの胸板が私に当たって心地良いです」

P「…」

俺の胸板か…そういえば志保の胸は柔らかかったな…

そんなことを考えたせいか、再びスタンドする

志保「…兄さん、まだ体力はありますか?」

P「ま、まあ一応は」

志保「それなら今日は、ずっと繋がっていたいです」

志保「兄さんのこと、私にもっともっと教えてください」


志保を食べちゃうにゃんした

二人でぐったりしながら手を繋ぐ

起き上がるのも億劫だが手から伝わる温もりのおかげで体力が回復していくような気がする

志保「そういえば、兄さん」

P「ん?」

志保「私のキーホルダー、どうやって見つけたんですか?」

P「ああ、このみ姉さんに聞いたんだが静香が持ってきてくれたそうだ」

志保「うどんが…」

P「だから今度お礼をしようと思ってる」

志保「…そうですね、私も…」

P「手作りのうどんでもあげようかな」

志保「あ、それはやめた方が良いです、うどんはうどんに対しては妥協を許しませんから」

志保「うどんと仲の良い星梨花にも厳しくして泣かせたくらいですし」

P「うわぁ…」

P「まあそれなら別のお礼を考えるか」

志保「賢明かと…それよりも兄さん」

P「ん?」

志保「もっとぎゅっとしてください」

P「まだ足りないのか?」

志保「私は兄さんに抱いて貰うのが好きです、もし叶うのであれば一生そうしていたいくらい」

志保「でも現実にはそんなことは不可能なのでせめて一緒にいるときは抱きしめて欲しいです」

P「仕方ないなぁ」

志保を抱き締めると志保が胸に顔を埋めて息を吐く

志保「兄さんの心臓の音が聞こえます」

P「こっちは志保の心臓の音が伝わってくるよ」

志保「落ち着く…」

志保が顔を埋めたまま目を閉じる

少しすると寝息が聞こえてきた

P「…おやすみ、志保」

眠る志保の額にキスをすると、俺も目を閉じて睡魔に身を委ねた

一旦ここまで

翌日、学園に向かう

通学路では志保がせがむので手を繋ぎながら歩いていく

視線が集中するが、何故か以前とは違い嫌な視線は混じっていない

やがて校門が見えてきた

P「志保、そろそろ…」

手を放そうとするが…

志保「もう少しだけ…駄目ですか?」

寂しそうに俺を見上げてくる

心なしか、手を握る力も少し強くなった気がする

P「…仕方ないな、下駄箱までだぞ?」

志保「…!ありがとうございます、兄さん」

結局手を繋ぎながら下駄箱へ向かった

下駄箱に着くと静香がこちらに歩いてきた

静香「P先輩、志保」

P「静香」

志保「うどん…」

静香「いい加減張り倒すわよ」

静香「P先輩、具合はどうですか?」

P「見ての通り、ぴんぴんしてるよ」

静香「それなら良かったです、志保も吹っ切れたみたいね」

志保「おかげさまで」

志保「…静香、その…ありがとう、色々と」

静香は驚いたような顔をした後

静香「どういたしまして」

嬉しそうに微笑んだ

静香「さあ志保、遅刻する前に教室に行くわよ」

静香が志保の手を引っ張る

志保「ちょ、静香私は兄さんと一緒に…!放して!放せうどん!」

志保は静香に連行されていった

P「うんうん、静香は良い子だな」

俺も教室に行こう

一旦ここまで
今日はちょっと短い
√LRも残すところあと僅か
次の√は未定だけど誰にしようかな…

未来ちゃは全て書き終えて気力が残っていれば書くかも

あらすじ

√PG
ある日Pは静香に相談を持ち掛けられる、それは静香の夢の話で…

√TP
三年生の初日のHRを寝ていたため、勝手に図書委員にされてしまったP、渋々図書室へ向かうと本棚に向かって背伸びをしている女の子がいた…

√SSL
三年生になって同じクラスになった美奈子、ふとしたことがきっかけで佐竹飯店へ足を運ぶことになる

√Dr
幼い頃からずっと一緒に暮らしてきたこのみ、血は繋がっていなくても大切な家族で本当の姉弟以上に仲良くしてきた、そんなある日このみが熱を出して倒れてしまい…

√MT
学園の聖母の異名を持つ朋花、彼女と学園の廊下でぶつかるが、何故かそれ以降彼女に気に入られてしまう

√LR
クイーンの異名を持ち恐れられている志保、そんな志保がPの家にしばらくお世話になることに。自分は従妹だという志保の言葉に動揺するが、彼女は真剣で…

√C
高等部に進級してから付き合いの続いているエレナ、三年連続同じクラスになり変わらず交流を続けるが彼女の天真爛漫な振る舞いにどんどん惹かれて行く

√RRR A
三年生に進級した海美とP、夏の最後の大会へ向けて練習をするがどうしてもいちゃついてしまい練習に身が入らなくなってしまう

√FW A
付き合ってから二回目の秋が来た、Pは恵美と町でデートをしていると福引き券を貰う、試しに回してみると特等のブライダルトラベルのチケットが当たってしまい…

√HW A
未だ海美とぎくしゃくしている琴葉、なんとか仲直りしようとするものの引け目を感じているのか一歩が踏み出せないでいた

√Pn A
告白したにも関わらずジュリアとの仲が中々進展しないことにやきもきするP、なにせ手を繋ぐだけで真っ赤になってしまうので次のステップに進むことすら出来なかった、そんなある日、冬馬があることを思い付く

√BMC A
未定

今日はちょっと用事があるのでなしで
届いたコトブキヤの杏奈が可愛すぎて√HD作りたくなってくる

√HD
事務所に手伝いに行くと百合子が杏奈の課題を見ていた。しかし百合子も勉強が得意な方ではなく、助けを求められたので仕方なく代わりに見ることになったP。何度か勉強を見ていると杏奈と話すようになり、ゲームの話で意気投合する。そして杏奈が自分のやっているオンラインゲームでお世話になっている人だと知り…

√HDを書くことがあればこんな感じになるかも

昼休み、何時もの面子に会いに行く

P「よっす」

冬馬「よう」

翔太「あ、もう大丈夫なの?」

P「ああ、ぴんぴんしてる」

翔太「そっか」

恵美「あれ?P来てるじゃん」

P「おう」

エレナ「早く食べようヨ~」

恵美「そだね、机くっつけちゃお」

恵美「そういや知ってる?」

食べ始めるとすぐに恵美が話し掛けてきた

P「何が?」

恵美「中等部で退学処分の生徒が出たんだって」

冬馬「退学処分?」

翔太「珍しいね、退学処分なんて」

P「…」

退学処分?しかも中等部で?…思い当たる件は一つしかない

まさか退学になったのは…

琴葉「私の方にも情報が来てたわ」

恵美「流石琴葉」

琴葉「今回の件は余罪が多すぎてびっくりしたもの」

P「余罪?」

琴葉「うん、万引きに痴漢冤罪、名誉毀損に器物破損その他諸々」

冬馬「えぐいな」

琴葉「でも決め手になったのは同じクラスの生徒を根も葉もない噂を流して虐めたことみたい、亜利沙ちゃんが全部調べてくれたの」

翔太「それって…」

…あの二人か

退学処分になったのが志保じゃないならどうでも良い

俺は話への興味を失い、弁当に集中することにした

エレナ「P、あれあれ」

しかしエレナが俺の肩を叩く

P「どうしたんだ?」

エレナ「扉扉」

P「ん?」

エレナが指差した方を見る

すると

志保「…」

志保が教室の扉から顔を覗かせていた

P「どうしたんだろ、ちょっと呼んでみるか…志保ー」

キョロキョロしている志保に声をかけるとほっとしたような顔になる

手招きすると胸に弁当の入った袋を持っていることに気付いた

志保「兄さん」

P「どうしたんだ、志保?」

志保「その…兄さんと一緒にお弁当をと思いまして」

P「なるほど、じゃあ場所を作るからちょっと待っててくれ、俺の隣で良いか?」

志保「はい、むしろ隣が良いです」

俺は机をもう一つくっつけ、志保の座るスペースを作った

志保が席について弁当を取り出す

すると

志保「あっ」

志保が小さく声を上げた

P「どうした?」

志保「いえ…どうやら箸を忘れたみたいです」

P「あー、どうするかな」

冬馬「いや、今箸箱が」

志保「…」

冬馬「」

志保が冬馬の方を見ると何故か冬馬が口を噤んだ

志保「兄さん、せっかくなので食べさせてくれませんか?」

P「ん、良いぞ」

志保「ありがとうございます」

P「ほら」

志保「あーん…美味しいです」

P「そっか」

志保「あーん」

翔太「…志保ちゃんってあんなに甘えん坊だったっけ?」

冬馬「知らねえ…」

エレナ「仲良いネ-」

恵美「…」

昼食を食べ終わると、志保を中等部の校舎まで送って行くことにした

志保「兄さん、食べさせてくれてありがとうございました」

P「箸を忘れたんだから仕方ないよ」

志保「それでも、です」

少し歩いていると人気の無い渡り廊下に来ていた

志保「…」

志保は辺りを素早く確認したあと

志保「兄さん、キスしましょう」

などとおっしゃった

P「ここ、学園だぞ?」

志保「周りに人はいませんから、大丈夫です」

自信満々な志保が可愛らしかったので、志保を抱き締める

志保「兄さん…」

P「志保」

志保「ん…」

唇が触れるだけの簡単なキス

志保「…兄さん、もっと…してください」

しかし志保は満足出来ないようで、再びおねだりをしてくる

正直何度でもしてあげたいが…

P「帰ってからな」

もうあまり昼休みの時間もないので、頭を撫でて諭す

志保「…」

志保は少し不満そうだったが

志保「…わかりました、それなら帰ってから、いっぱい愛してくださいね?」

そういうと不意打ち気味にもう一度キスをすると中等部に帰って行った

一旦ここまで
次回はいよいよ文化祭
後次はTPかPGの予定

放課後、校門で待っていた志保を拾って帰路につく

当然のように手は繋いでおり、志保は嬉しそうにしている

時期的に少し寒くなってきているので、手に感じる温かさは中々に心地良い

志保「兄さんの手は温かくて、安心出来ます」

両手で包み込むように俺の手を握る志保

可愛い奴だ

P「そう言えば」

俺は唐突に話を振る

P「志保のクラスは文化祭で何をやるんだ?」

ちなみに俺達のクラスはほとんどの生徒が有志出展で手が離せないため、休憩所として使用される予定だ

クラス出展の話を振ったとき、一瞬志保の動きが止まった気がした

志保「き、喫茶店です」

P「喫茶店か…もし時間があれば立ち寄ってみようかな」

志保「え!?…そ、その、大したものは出せないので、兄さんをがっかりさせるだけかと」

P「良いよ、俺は気にしないから」

志保「う…」

志保が何やら悩んでいるが、俺は志保の喫茶店に行くのを楽しみにしていた

まずい、非常にまずい

このままでは兄さんが私のクラスに来てしまう

さっきは咄嗟に喫茶店などと言ってしまったけど、本当はコスプレカフェだなんて言えるわけがない

…未来が余計なことを言わなければ…!

男子を味方に引き入れた未来のせいで普通のカフェがコスプレカフェに…

腹が立つので明日未来のレモンティーを青汁に入れ替えてやろう

私はそんなことを考える

志保「…」

…温かい兄さんの手を握っているとなんだかどうでも良くなってくる

結局、私は文化祭当日まで兄さんをクラスから遠ざける方法を思いつけなかった

そしていよいよ文化祭当日になった

気のせいか今年は去年以上に活気付いている気がする

プロデューサーが伊織になってやり方が琴葉と違うからそう思うだけかも知れないが

とりあえず色々と見て回ろう









ある程度散策し、そろそろ昼時と言ったところか

せっかくなので昼は志保のクラスにしよう、そう思った俺は志保のクラスへと足を運ぶ

そこで俺は凄い物を見た

志保のクラスには列が出来ていた

P「結構人気なんだな」

列に並ぶこと約30分、教室に入った俺は言葉を失った

メイド、ナース、猫耳、バニーetc…

生徒がコスプレをしていたのだ

P「…コスプレ喫茶?」

呆気にとられていると

「いらっしゃ…ぴ、P先輩!?」

店員に声をかけられる

その店員を見ると、ノースリーブの改造ナース服を着た静香だった

P「静香…」

静香「な、何でここに…」

P「い、いや、昼時だし志保がクラス出展は喫茶だって言うから…」

静香「そ、そうなんですね…」

知り合いに見られたのが恥ずかしいのか、顔を赤くする静香

静香「あー、その、席にご案内します」

席に着くと、静香が脇に抱えていたメニューを広げようとする

…静香の生腋…

そんなことを考えていた時だった

誰かが早足で席に向かって歩いてくると

静香からメニューを奪った

静香「ちょ」

メニューを奪ったのは改造メイド服を着た志保だった

…何故かランドセルを背負っている

志保は少し目を閉じ、深呼吸をすると

志保「お帰りなさいませ~ご主P様!」

と半ばやけくそ気味に言った

P「」

口を開けて硬直していると

志保「ご主P様は~志保が~お世話するね☆…静香、他の接客」

静香「ちょっと志保!私が案内したのに!」

志保「兄さんは私がお世話するの、これは誰にも譲れないし譲らない」

静香「私も先輩にはお世話になったからその分の恩返しをするチャンスなのよ!志保はいつでも出来るでしょ!」

志保「出来る出来ないの問題じゃない、私がさせない」

何故か喧嘩が始まった

静香「志保にそんな権利無いでしょ!?」

志保「あるわ、私は兄さんのもの、つまり私は兄さんのお世話をする義務がある」

静香「意味わからないんだけど…」

志保「わからなくて良いわ」

静香「じゃあ私は私のやりたいようにさせて貰うわ」

志保「は?なんでそうなるのよ」

静香「志保の言うことが意味不明だから、それに志保、貴女たった今わからなくて良いって言ったわよね?」

静香「つまり志保の戯れ言を聞く必要が無いって事になるわ」

志保「ならないから」

静香「なる」

志保「ならない!」

静香「なる!」

志保「ぐぬぬ…!」

静香「ぐぬぬ…!」

静香「…このまま話していても埒があかないわ」

志保「私は最初から兄さんのお世話をするって言ってるんだけど」

静香「私は恩知らずになりたくないの、だからP先輩に決めて貰いましょう」

志保「何を」

静香「私と志保、どっちに接客してほしいか…よ」

志保「私は接客じゃなくて」

静香「そういうの良いから」

志保「…兄さんの決定なら私も従わざるを得ないわ」

静香「それじゃあ決めて貰いましょう」

志保「兄さん!」

静香「P先輩!」

志保「私と」

静香「私!」

「どっちが良いですか!?」

私と静香が兄さんに判断を仰ぐために兄さんを見ると

翼「P先輩、あーんして?」

P「いや、普通に食べられるよ」

翼「じゃあじゃあ、わたしにあーんして欲しいなぁ…だめぇ?」

P「うーん…」

翼に兄さんを盗られていた

志保「……………」

静香「……………」

P「あ、二人とも終わったのか」

兄さんがパスタをフォークで巻きながら言う

それを見て私はなんだか脱力してしまった

一旦ここまで

帰ってきて寝落ちしたら変な時間に起きてしまったから昨夜更新予定だった分をちょこっと

翼のコスプレは猫耳ブルマ

未来ちゃは巫女装束

志保「はあ…ご主P様~何か飲みますか~?しほのオススメは~…ミルクティーだよ☆」

P「そのキャラ続けるのか…それじゃあミルクティーで」

志保「は~い☆…静香」

静香「はいはい」

静香が奥に引っ込む

翼「ねえねえP先輩、わたしのコスプレどうですか?可愛い?」

翼が衣装を見せるように色々とポーズをとる

P「ああ、可愛いよ」

翼「やったぁ!」

素直に褒めると翼がぴょんぴょん跳ねて喜ぶ

それにより年の割にかなり大きい胸が揺れて…

志保「…」

P「はっ!」

志保からの突き刺さるような視線を感じ、俺は目を逸らした

静香「P先輩、お待たせしました」

翼から視線を逸らした直後、静香が戻ってきた

静香「ミルクティーです」

P「…ん?」

ミルクティーと言う割にはシュガースティックしかついていない

P「静香、ミルクは…」

顔を上げると静香が手に注射器を持っていた

中は白い液体で満たされており、おそらくこれがミルクなのだろう

P「なるほど」

俺はシュガースティックを折り、中身を入れた後スプーンでかき混ぜる

かき混ぜ終えた俺は静香の行動を待つが…

何故か注射器を見つめたままぷるぷると震えていた

静香「…」

志保「静香、私が変わってあげても良いけど?むしろ変わって」

静香「結構よ、ちゃんと自分でやるわ」

静香は深呼吸すると、妙に据わった目で

静香「それではお客様、行きますよ~!」

静香「愛情、注、入!」

顔を真っ赤にしながら紅茶の中にミルクを入れた

注射器の中からミルクがなくなると、静香は無言でかき混ぜ、俺の前に差し出した

静香「ど、どうぞ…」

P「あ、ああ…」

何故だか居たたまれなくなり、静香をまっすぐ見れなかった

志保「だから私に任せておけば良かったのに」

静香「良いのよ…これで…」

P「うん、美味い」

項垂れる静香の肩に志保が手を置く

その口角は上がっていて、何かを堪えているような感じだった





P「さて、そろそろ行くか」

ミルクティーのついでに出て来たクッキーを食べ終え、席を立つ

あんまり長居しても邪魔になるだけだろう

志保「兄さ…ご主P様、もう帰っちゃうの?」

P「ああ、まだ並んでる人もいるし回転率あげないとな」

志保「しほはご主P様にずっとついてるから心配しなくていいよ?」

P「他に行きたいところもあるんだ、また後でな」

志保の頭を撫でてやる

志保「えへへ~」

志保が嬉しそうにはにかむ

P「もし休憩がとれるなら一緒に見て回ろうな」

志保「!はい、兄さん!」

P「それじゃあ頑張るんだぞ、志保」

志保「兄さんに応援して貰えたなら100万人力です」

志保がガッツポーズをする

P「それじゃあご馳走様」

俺はレジで支払いをすると、教室を後にする

翼「Pせんぱ~い!明日も来るならもっともーっとサービスしますねー!」

静香「ありがとうございました」

二人に見送られ、俺は他の出展を見に行った

コスプレカフェを出た後、風花先生が手と歯を使わずにチョコバナナを食べる風花チャレンジ(企画者:亜美真美、間島)を堪能した俺は、しばらく色々な出展を見て回った

途中で警察を見たが、噂によると小鳥さんとちひろ先輩の屋台が危険物を取り扱っていて、検挙されたそうだ

律子先輩の射的をやっていると、携帯が震え出す

確認すると、志保からの電話だった

P「もしもし?」

志保『兄さん、今どこにいますか?』

P「大学部の方の校庭だ」

志保『わかりました、今休憩に入ったのでどこかで駆け落ちしませんか?』

P「そうだな、それなら高等部の食堂で合流しようか?」

P「中等部と大学部の間にあるから丁度良いと思うし」

志保『わかりました、では食堂で待ってます』

P「俺も、すぐに行くよ」

通話を切り、俺は高等部の食堂へ足を向けた

食堂に到着すると、志保は既に待っていた

P「待たせたか?」

志保「いえ、今到着したところです」

志保はそう言うと俺の右腕に腕を絡め、肩に頭を預けた

志保「やっぱりこれが1番落ち着く…」

P「甘えん坊だな」

志保「はい」

P「それじゃあ行こうか」

志保「はい」

志保を腕にぶら下げ、俺達は歩き出した

P「志保、昼は?」

志保「まだです」

P「それなら何か屋台でも行くか」

志保「はい」

少し見渡すと、ラーメンの屋台が目に入った

P「志保、ラーメンは?」

志保「良いですね」

P「それじゃあ決まりだな」

俺達はラーメンの屋台に向けて歩き出した

屋台にいたのは…

P「貴音」

貴音「お久しぶりですね、あなた様」

貴音だった

志保「…綺麗な人ですね」

貴音「貴女は、北沢志保ですね」

P「知ってたのか?俺志保がいるときに貴音とあってなかった気がするんだが」

貴音「ふふ…とっぷしーくれっとですよ、あなた様」

P「相変わらず謎が多いな」

P「っと、それよりも醤油二つ」

貴音「畏まりました」

貴音が麺を鍋に入れ、茹でる

その間に貴音はタレとスープを用意し、いつでも麺をいれられるようにする

…中々に手際が良い

そして麺が茹で上がったのか、湯切りを持ち上げると

貴音「はっ!」

美しい動作で湯を切った

そして麺を入れ、少しほぐした後トッピングを乗せて…

貴音「…じゅるり」

そのまま食べ始めた

一旦ここまで

P「…」

志保「…」

俺達は、貴音がラーメンを啜る姿を黙ってみていた

2杯のラーメンを食べ終えた貴音は

貴音「真、美味でした」

そう言うと

貴音「…1400円になります、あなた様」

などと宣った

P「貴音、貴音、ちょっと目を瞑ってこっちに来てくれないか」

貴音「はて…?」

貴音が言われたとおりに目を瞑り、こっちに来ると…

P「ふん!」

思いっきりでこぴんをした

貴音「あうっ!」

貴音が額を押さえてぷるぷる震える

貴音「あ、あなた様はいけずです…!」

P「いけずです…!じゃないよ!俺達のラーメンを食べてお金を要求するとかあり得ないだろ!?」

貴音「…ふ、やはりあなた様は雨傘頓馬の友人ですね、あの者も全く同じ事を言っていました」

P「お前…まさか来る客全員にやってるんじゃないだろうな…」

貴音「はて…確かに言われてみれば皆怒って帰って行ったような…」

P「…はあ」

お預けを食らった俺達はさらに腹を減らすハメになった

結局佐竹飯店文化祭出張店で昼を食べることになった

志保は猫舌なのか、俺にスープを冷まして貰ってから飲んでいた

志保「美味しかったです、兄さん」

P「ああ、美味かったな」

流石は佐竹さんと言ったところか

店を出ると日が傾き始めていた

志保「…兄さん、私そろそろ戻ります」

P「送っていくよ」

志保「ありがとうございます」

志保を教室まで送る

そして別れる瞬間

志保「兄さん、今日は期待していてくださいね」

と言った

その日の夜

シャワーを浴びた俺は志保の頼み通り、部屋にいた

しばらく待っていると志保が部屋にやって来た

…小学生メイドの格好で

P「志保、それ」

志保「…兄さん、今日翼の胸を見てました」

P「いやぁ…あれは」

志保「兄さんも男の人ですから、仕方ないとは思います」

志保「でもやっぱり良い気はしないので…」

志保を俺の足の間に屈み込むと

志保「しほが~ご主P様にたーっぷり御奉仕して、上書きしちゃうね♪」

そう言うと俺の注射器を取り出した

一旦ここまで

翌日、俺と志保は屋上にいた

コスチュームをチアガールや体操着に変更したコスプレカフェは大盛況、昨日よりも人が多く、疲れた志保が静かでゆっくりできる場所を所望したため屋上に来たのだ

校庭では後夜祭のイグニッションダンスが行われており、もう間もなく文化祭が終わろうとしている

志保は俺に身体を預けると深く息を吐いた

P「お疲れさま、志保」

志保「ありがとうございます、兄さん」

頑張った志保の頭を撫でてやる

志保「確かに疲れましたけど…楽しかったです」

P「…そっか」

あの一件以来志保はクラスに馴染み始めたみたいだ

校庭からは賑やかな声が僅かに聞こえてくる

いつものように志保に腕を回すと、今回は腕に手を添えるのではなく、握ってきた

P「どうしたんだ?」

志保「…私は、あと一年早く生まれたかった」

志保「兄さんと同じ校舎で勉強して、同じ食堂で食事をして…」

志保「でも、私が兄さんと同じ校舎に行く頃には、そこは兄さんがいた校舎にしかならないんです」

志保「もっと兄さんと一緒にいたい…!」

俺が高等部でいられるのはあと僅かだ

大学部に行くと校舎が離れてしまう

大学部の生徒は高等部以下の校舎に立ち入ることは禁止されている、逆もまた然りだ

つまり俺と志保は学内ではほとんど会えなくなってしまうのだ

P「…志保」

志保のわがままは出来るだけ聞いてやりたい、しかしこればかりはどうしようもなかった

P「志保、こればかりはどうしようもないんだ」

志保「わかってます、わかってるんです、でも、願わずにはいられないんです…」

P「でもな、志保」

P「俺達はもう離れ離れじゃない、家に帰ればいつだって会える」

P「だからさ、そんなに悲しむんじゃない」

P「俺は志保が笑ってくれている方が嬉しいんだ」

志保「兄さん…」

志保「…そうですね、帰ったらいつでも兄さんに会える…」

P「俺は志保と一緒にいる時間が好きだよ」

P「確かに一緒にいられる時間は短くなるかも知れない、だったらその分一緒にいる密度を濃くすれば良いんだ」

P「だから志保、笑ってくれ、俺のために、笑ってほしい」

志保「兄さん…」

志保「私はかつて自己嫌悪と罪悪感で笑うことをやめました」

志保「でも兄さんのおかげで、笑うことを思い出せた…」

志保「私も、笑ってくれる兄さんが好きです、だから、兄さんの為にも…」

そういって志保は笑顔を見せる

ああ…やっぱり俺は志保の笑顔が、志保が好きなんだと改めて思う

それと同時に、俺はこの笑顔を守っていきたい、そう誓う

だから

P「志保」

志保「はい」

P「志保の笑顔も、この先の未来も、必ず俺が守るよ」

P「だからこれからも俺の隣に、いてくれるか」

志保に問い掛ける

それに対し志保は…

志保「…ん」

キスで答えた

志保「私は、兄さんのいない世界なんて考えられません」

志保「だから、私はいつだって兄さんの側にいます」

志保「私は、兄さんを愛していますから」

そういって俺に抱き付く

俺も、志保を抱き返した

志保「兄さんと一緒なら、どんな状況でも幸せなんです」

志保「だから、私をずっと幸せでいさせてくださいね?」

志保の言葉を聞いて

俺達は、再び、キスをした

尾張

本編はこれにて終了
おまけはまた明日にでも

おまけ

例年より少し寒いクリスマス

雪が降り、世間一般にはホワイトクリスマスと呼ばれる状況なのだが、家に引き籠もっている俺達には関係のないことだった

P「志保、あーん」

志保「あーん」

炬燵に入りながら志保に餌付けをする

今家には俺と志保の二人だけだった

このみ姉さんは

このみ「独り身がクリスマスでバカップルの気に当てられたら狂いそうだから逃げるわ」

と言って莉緒さんと飲みに行った

桃子は

桃子「桃子、馬に蹴られたくないから」

と言って育ちゃんの家に行った

恐らく気を利かせてくれたのだろう

チキンを食べた志保は、天板に頭を乗せて脱力

俺は俺で手を広げて寝転がり、だらけている

とてもクリスマスとは思えない光景だった

志保「炬燵…最高ですね」

P「ああ…」

炬燵は恐ろしい…

志保「…」

志保が立ち上がる

すると俺の隣に潜り込んできた

志保「…やっぱり炬燵は最高ですね」

そういって俺の腕を抱いて目を瞑る志保

P「ああ…最高だな…」

炬燵とはまた違う温かさを腕に感じながら、俺は目を閉じた

P「ん…」

どうやら電気をつけたまま眠ってしまったようだ

それに炬燵も点けっぱなしだったので汗をかいていた

隣に目をやると志保が眠っていた

俺と同じように額に汗をかいている

…このままだと風邪を引きそうだな

そう考えた俺は汗を流すことにした

P「…志保」

志保を揺する

志保「ん…」

しかし志保は俺の腕を強く抱き寄せて抵抗する

P「志保」

さらに強く揺すると志保が薄く目を開けた

志保「…?」

P「炬燵で寝ちまったから汗かいてる、シャワーを浴びるから腕を放してくれ」

志保「…」

しかし志保の反応がない

P「志保?」

志保「…シャワー…」

P「ん?」

志保「私も…一緒にお風呂入る…」

P「えっ」

結局志保と同じ湯船に浸かっていた

P「ふう…」

志保「小さい頃は、一緒にお風呂に入りましたよね」

P「そうだな…また一緒に入るとは思わなかったけど」

そういって天井を見上げる

志保は毛先を指でくるくると弄っていた

志保「…そろそろ身体を洗いましょう」

P「ああ」

志保の要望で髪を洗ってやることになった

P「痒いところとか、痛いところはないか?」

志保「大丈夫です」

P「そっか」

志保の髪に指を通す

小さい頃もこうやって洗ってあげたっけな

志保も憶えているんだろう、だから髪を洗って欲しいと言い出したのかな

P「流すぞ」

志保「はい」

志保の頭にお湯をかける

お湯が流れ、濡れた髪は志保の背中や腰に張り付き…

P「…」

お尻が見えているのも含めてとても淫靡であった

そして今、志保が俺の背中を擦っている

志保「やっぱり私と違って大きいですね」

P「そりゃあな」

志保の手の感触を背中に受けながら俺は瞑想する

…こうかが ないようだ…

志保「では、背中を流します」

P「ああ」

背中にお湯を浴び、泡が流されていくのを感じる

P「ありがとう志保、後は…」

自分で、そう口にしかけた時、志保が背中に抱き付いてきた

P「し、志保?」

志保「…もう我慢できません」

P「何が」

志保「背中とはいえ兄さんの裸を見続けて、なにもしないなんてあり得ないです」

志保「だから兄さんの身体は、私が全部洗います」

そういって俺の胸とツリーに手を伸ばす志保

P「ちょっ」

志保「代わりに私も、兄さんの手で全身を洗って欲しいです」

P「志保…」

泡の雪が降る中でクリスマスツリーを保護してホワイトクリスマスした

一旦ここまで

http://i.imgur.com/5IXqBVC.jpg
そりゃ、とうさt(ry

年が明けた

家族でおせちやそばを食べ、寒いし暗いので明日にしようということになり…

俺と志保は日が昇ってから近くの神社に初詣に来ていた

志保「凄い人混みですね」

俺の手を握りながら志保が言う

P「そうだな…志保、はぐれないようにちゃんと俺の手を握ってるんだぞ?」

志保「…大丈夫です、私はもうこの手を…兄さんと離れないって誓いましたから」

そういって手に力を込める志保

俺はそんな志保を抱き寄せた

志保「あっ」

P「手を繋ぐだけじゃ分断されてしまうかもしれない、だからこうやって固まっておこう」

志保「…はい、兄さん」

しばらく人波に揉まれる

一人だったなら不愉快な人波も、志保と一緒ならまったく気にならなかった

そしてようやく賽銭箱の前に到着した

賽銭箱に5円玉を9枚まとめたものを投げ込み、手を合わせる

…志保といつまでも一緒にいられますように

神様を信じていないわけじゃ無い

でも神頼みではなく、これは一種の誓いなんだ

この厳かな場だから出来る誓い…

祈りが済み、ちらりと志保を見ると

志保「…宝…願……子…祈…」

目を閉じて何かを呟きながら真剣に祈っていた

賽銭箱から離れた俺達は、人混みを避けて帰路につく

志保「今年は、どんな年になるんでしょうね」

P「さあな…ただ一つわかってることはある」

志保「それは?」

P「志保と一緒なら、どんな年になっても楽しいってことかな」

志保「ふふ、私もそう思います」

P「帰ろうか」

志保「はい、帰ってゆっくりしましょう」

P「今年も…これからもよろしくな、志保」

志保「はい、P兄さん」

尾張名古屋

これにて√LRは終了
冬は割と駆け足どころか年始で終わらせたけど…バレンタインは書いてたらスマホ壊しそうだったのでご了承くだせえ
ちなみにPと一緒にいるときの志保は大体>>689とほぼほぼ同じような表情で緩みきってます
Pがいない場合はN状態

最後に、この√の質問やHEDに対して質問とかあればどうぞ

志保の父親この後見つかって帰ってくるけど
志保は一頻り甘えた後大学部への入学と共に家を出るPに着いていくよ

他√の場合でも改善される
まあ確かに嫌がらせ自体が√LR特有なのでPと再会した志保を見た静香が影で働きかけて改善…といった感じに

√PGは志保の出番も多くなるし、√RRRの響、貴音の出番ぐらいには千早も

自分の彼氏を虚仮にしやがって、女王様気取りか→ムカつくから根も葉もない噂を流そう→でも女王様だけじゃ伝わらないから名前も入れてやろう→クイーン沢爆誕

【ミリマス】765学園物語HED √PG
【ミリマス】765学園物語HED √PG - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475847007/)

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