泰葉「演劇部の応援?」みちる(フゴッ) (24)

大原みちるさんと岡崎泰葉さんの出るSSです。

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みちる「あ、泰葉さん!」

泰葉「みちるちゃん、お疲れさま」

みちる「泰葉さん、少しお時間ありますか?」

泰葉「レッスンも今終わったところで、今日はお仕事の予定も入ってないから」

みちる「よかったー」

泰葉「何か用事かな」

みちる「実は泰葉さんに折り入ってお願いがありまして……」

泰葉「みちるちゃんから改まって珍しいね」

みちる「実は、今度の休み、あたしと一緒にお出かけしてほしいんですよ」

泰葉「お出かけ?またパン屋さんかな」

みちる「もちろん、パン屋にも行きたいと思うんですけど。新しいメロンパンのお店を探しておきましたから」

泰葉「あはは、さすがだね」

みちる「でも、その前に一緒に演劇を観に行きたいんです」

泰葉「演劇?」

みちる「そうなんです」

泰葉「事務所の誰かの?そんなお仕事の予定あったっけ……」

みちる「違うんです、実は学校の友達で、演劇部の子からお願いされまして……」

泰葉「あーなるほど。でもなんで私?学校の子なら私じゃなくても……」

みちる「いえ実は、劇を観て今後のアドバイス欲しい、と言われてしまって……」

泰葉「アドバイス?」

みちる「そうなんですよ、あたし演劇のお仕事なんてやったことないし、ちょっと自信なくて……」

泰葉「そういうことか。でも、みちるちゃんも演技のレッスンも受けてるし、この前だってほら、24時間番組のCMにも起用されてたじゃん。
 トレーナーさんたちもすごく褒めてたし、CMも評判いいってプロデューサーさんから聞いたよ」

みちる「あはは、そうなんですけど、あれはパンのことを思ってたからできたことなので」

泰葉「そうなんだ。みちるちゃんらしいね」

みちる「今度の演劇にはパンは出ないんですよ。だから自信がないんです」

泰葉「そこは聞いたんだ」

みちる「友達にも自信がないって、そう言ったんですけど、そうしたら前に泰葉ちゃんとメロンパン食べに行った話をしたのを覚えていて、なんとかお願いできないかって言われてしまって」

泰葉「メロンパン」

みちる「その子、泰葉ちゃんの出ていた舞台を観た事があるらしくて、ずっとファンだったんですって」

泰葉「えっ」

みちる「憧れていた泰葉ちゃんにも観てもらえるならきっといい演劇ができるし、今後の演劇部の活動の励みにもなるって」

泰葉「憧れ……」

みちる「その子も言ってみただけだから気にしないで、とは言ってたんですけど……
 でも、演劇部も大変らしくて」

泰葉「大変?」

みちる「なかなか部員が集まらなくて。今度の公演での作品を学校で新入生向けにもやるそうなのでいい作品にしたいって」

泰葉「そうなんだ」

みちる「本当は助っ人で出演してくれないか、とも言われていたのですが、それはプロデューサーに止められてしまったので……」

泰葉「そうだろうね」

みちる「でも、みんなのために何か力になってあげたいんです。
 無理にとはいいません。特に仕事とも関係ない話ですし、泰葉さんこういうのあまり……」

泰葉「大丈夫だよみちるちゃん。みちるちゃんにはいつもおいしいメロンパン紹介してもらってるし、
 なんていうか、頼ってくれてるのをほっとおけないよ。仕事でなくても事務所の仲間やその大切な友達の頼みなら……
 みちるちゃんもそうなんでしょ」

みちる「そうですね、その子たちにはカツサンドの恩もありますし……」

泰葉「カツサンドって。でも、いいよ、それなら」

みちる「本当ですか、それじゃあ……」

泰葉「一緒に行くよ。いいアドバイスができるか分からないけど、協力するね」

みちる「ありがとうございます!」

泰葉「それにお芝居観るのは今後の仕事の参考になるかもしれないしね」

みちる「ええ。それじゃあ今週の日曜日に、○○駅で……

~~~



泰葉「会場に着いたね」

みちる「私、演劇部の子たちの演劇をこうやってホールで観るの初めてです」(フゴフゴ)

泰葉「そうなんだ」

みちる「もちろん、何度か観たことはあるんですけど、文化祭で体育館でやってましたから、こういう会場に来るのは新鮮です」(フゴフゴ)

泰葉「そうだね、お仕事やその関係で行くお芝居とも違う雰囲気だもんね」

みちる(フゴフゴ)

泰葉「みちるちゃん、もうすぐ始まるよ」

みちる(フゴフゴフゴ)

泰葉「客席では飲食禁止だよ」

みちる(ゴクン)「はい、そうだと思ってたくさん食べておきました。朝も早いですから」

泰葉「え、朝ごはん食べてこなかったの?」

みちる「食べてきましたが、あまり食べられなかったので。トースト3枚しか」

泰葉「あまり……?」

みちる「しかしまだ午前10時前なのにもう始まるんですね」

泰葉「そうだね、部活の一環だから1日に何校も上演するんだって」

みちる「なるほど。普通のお芝居なら昼とか夕方くらいからですもんね」

泰葉「みちるちゃんの学校は3校目、午前の部、最後の上演だね」

みちる「本当は始まる前に応援したかったんですが、準備が忙しいそうなので時間が空いちゃったのもあるんですけどね」

泰葉「そうだね、演劇もライブみたいにアップもするし、舞台装置の準備が合ったりもするしね」

みちる「え、自分たちでセットまで組むんですか?」

泰葉「うん。学校によっては15分で大がかかりなセットを組むところもあるらしいよ」

みちる「そうなんですか。そんな演劇もあるのに無料なんて得した気分です」

泰葉「確かに」

みちる「お客さんも結構来てますね」

泰葉「1校目は部員が多いので有名な学校みたい」

みちる「じゃあ、家族や友達が多いんですかね」

泰葉「それもあるけど、顧問の先生が有名らしくて、脚本もその先生が担当してるんだって。
 それを目当てに来る演劇ファンもいるんだって」

みちる「すごいですね!有名店はパン屋も幅広い客層に愛されていますからね」

泰葉「……そうだね」

……
…………
パチパチパチパチ……



みちる「すごかったですね」

泰葉「レベルが高いとは聞いていたけど、生で見るとよく分かるね」

みちる「幕が上がったらセットも何もなくて、役者さんたちがずらーっと並んでいるだけでびっくりしました」

泰葉「ほとんどの人が衣装らしいものも着ていなかったもんね」

みちる「黒いTシャツとジャージだけで、これにもびっくりしました」

泰葉「それでも表現力がものすごく高くて」

みちる「大勢の役者さんたちが、綺麗にそろった動きをしていているシーンはすごかったですね」

泰葉「相当の練習量だろうね」

みちる「パンも演技も日々の鍛錬がモノを言うんですね」

泰葉「そうだね。並みの練習じゃあそこまでできないよ」

みちる「お話もとってもSF?チックで。でもロボットが壊れていく中で、主人公がひとりぼっちになっていく場面はとても引き込まれました」

泰葉「脚本担当の先生は、自分の劇団も持っているらしくて、有名な脚本賞にもノミネートされたこともあるんだって」

みちる「なるほど。部員が多いのもきっとそんな先生と演劇をやりたいからでしょうかね」

泰葉「そうかもね。有名な脚本家や演出家は自分も分からないような魅力を引き出してくれるし、とても刺激的だろうね」

みちる「観てよかったです。
 あれ、お客さん帰っちゃいますね」

泰葉「家族や友達はその子の学校しか観ないだろうし、演劇ファンの人も目当ての学校が終わったら帰っちゃうのかも」

みちる「もったいないですね。次はどんな学校なんでしょうか?」

泰葉「2校目は、インターネットの投稿サイトの台本だって」

みちる「そんなサイトもあるんですね。あたしもパンについての投稿サイトならいくらでも書き込めるんですけどね」

泰葉「それ、ただの料理サイトだよね」

みちる「もうすぐ始まりますね」

……
…………
…パチ…パチ……



みちる「うーん。泰葉ちゃん、今の学校のはどうなんでしょうか」

泰葉「……そうだね。雰囲気は出そうとしていたけど、ちょっと……」

みちる「会話がかみ合っていないというか」

泰葉「そうだね。演劇ってやっぱりナマモノだからちょっとでも嘘っぽい部分があると目立っちゃうよね」

みちる「お話も、なんというか、お芝居ですよ、みたいなセリフがたくさんありましたね」

泰葉「確かにメタネタが多かったね。はまれば面白いと思うんだけど、セリフも流されていたし、観ていても気づかない人もいそう」

みちる「とにかく1校目とは全然違う演劇でした。演劇にも種類がいろいろあるんですね」

泰葉「演劇部は秋ごろに大会があって、いろいろな上演から一本選んでいくんだって」

みちる「特にテーマとかルールとかないんですか?」

泰葉「ないらしいよ。比べるのは難しいけど、賞に選ばれた学校は1校目みたいにレベルが高いんだって」

みちる「まさにいろいろな種類のパン比べのような異種格闘技ですね」

泰葉「それ異種格闘技なんだ」

みちる「そういえば大会の話は友達も言ってました。『私たちも全国大会を目指すんだ』って
 どんな大会なんだろうと思ってたんですけど、とても厳しいものなんですね」

泰葉「演劇部の大会って言うと他の事務所だけど、ももク○さんが主演していた「幕が上がる」っていう映画があってね。
 大会に向けていい演劇を作るために奮闘する部員たちの描写がとても丁寧に描かれてるんだよ」

みちる「大会と聞くと青春っぽいですね」

泰葉「実際そうなんだろうね、演劇は一人では作れないから。
 「幕が上がる」でも部員同士や顧問の先生とヒートアップするシーンが何度も出て来るね」

みちる「あたしたち、アイドルにも通じるものがありますね。
 みんなが頑張ろうとするのも分かりますし、すごく憧れますね」

泰葉「表現して人に伝えるという意味ではアイドルも演劇部も同じなんだと思う」

みちる「いよいよみんなの番です。楽しみなんですですけど、大丈夫かな」

泰葉「みちるちゃん、観てる方が不安になることないよ。
 きっと、この劇を作るためにみんな全力でやってきたはずだよ。まずはその気持ちを楽しく感じようよ」

みちる「!……そうですね、みんな、いつも頑張っているんで、今日はきっといい演劇をみせてくれるはずです」

~~~



みちる(…フゴッ…フゴッ)

泰葉「みちるちゃんの学校の演劇部の舞台、すごくよかったね!」

みちる(…フゴッ…フゴッ)

泰葉「みちるちゃんと同じクラスの子が脚本書いたんだってね」

みちる(…フゴッフゴッ)

泰葉「演劇部を舞台にした脚本で……」

みちる(フゴフゴ)

泰葉「部員がなかなか集まらなくて困っているんだけど……」

みちる(フゴ)

泰葉「クラスメイトのパン好きなアイドルがみんなをライブで応援してくれて……」

みちる(……)

泰葉「勇気をもらった演劇部員たちが新入生をたくさん集めて、夏の大会に向けて動き出すっていうお話」

みちる「も、もう泰葉さん、それくらいにしてくださいよ」

泰葉「ごめんごめん。でも劇が終ってからずっと照れっぱなしで、パン食べてても顔真っ赤なままだったからついからかいたくなっちゃった」

みちる「ひどいですよもう」

泰葉「でも、みちるちゃんも満更じゃないんじゃないの?」

みちる「……確かに自分の事を劇にしてもらって恥ずかしかったですけど、ああいう風に観られてるんだなって」

泰葉「そうだね、友達のみんな、みちるちゃんが好きなことやアイドルとして頑張っている姿に憧れたり、勇気をもらったりしたりしているのがすごくよく伝わったもんね」

みちる「いつもそんなこと言わないのに」

泰葉「だから劇にして伝えたかったんだと思うよ」

みちる「でもあの子たち、終わった後会いに行ったら泰葉ちゃんとばかり話してましたよ」

泰葉「アドバイスするってのが最初の話だったからね」

みちる「そうでした。どんなアドバイスをしたんですか?」

泰葉「終わってすぐだったから細かくは家に帰ってからきちんとまとめて送ってあげるつもりだけど……」

みちる「そんなにあるんですか?今すごく褒めていたのに」

泰葉「私個人としてはすごくよかったと思うけど、演劇としてならもっとよくできたところはたくさんあるからね」

みちる「そうなんですか、あたし、全然気づきませんでした」

泰葉「観方は人それぞれだから私も正解ってわけじゃないから」

みちる「泰葉ちゃんは勉強熱心で羨ましいです。演劇の事も詳しいですし」

泰葉「私も詳しいわけじゃなくて、このためにだいぶ調べたからね」

みちる「へえ」

泰葉「アドバイスと言われるからには頑張らなくちゃと思って、いろいろね」

みちる「てっきり子役の頃の経験かと……」

泰葉「それもなくはないけど、舞台に出たのは本当に小さい頃で、そのあとはモデルの仕事が多かったからね。
 稽古の多い舞台のお仕事はなかなか来なかったんだよ」

みちる「そうなんですか」

泰葉「それにね……」

みちる「……なんですか?」

泰葉「子役の頃は周りの大人の期待通りに演じてばかりだったから」

みちる「あっ」

泰葉「だから演技のお仕事に抵抗のある時期もあったんだ」

みちる「泰葉さん……」

泰葉「でも、アイドルになって、事務所のみんなといろいろなお仕事をしているうちに
 ファンや仲間たちに自分で伝えたいことがたくさん出てきたんだ」

みちる「伝えたいこと?」

泰葉「みちるちゃんだってそういうもの、あるんじゃないかな」

みちる「……そうですね。あたしはパンを食べている時みたいにみんなを幸せにしたいです」

泰葉「うん。そういう気持ちをファンや仲間のみんなにどうやったら届けられるかって分かる?」

みちる「うーん、全力でレッスンもお仕事も取り組む、とかですかね」

泰葉「それってきっと誰かに言われたものじゃなくて、自分からそうしたい、と思った気持だよね」

みちる「そうですね。プロデューサーさんやトレーナーさんの持ってくる仕事やレッスンですけど、『やりたい』と思うのは自分です」

泰葉「私はね、今そういう気持ちでアイドルができるのが楽しいんだ」

みちる「楽しい?」

泰葉「自分で考えるの、ファンの人が、観ている人にどうしたら伝わるかって。それは昔の自分ではできなかったこと」

みちる「今は、できるんですね」

泰葉「アイドルになってね。でももっとできるようになりたい。
 そのためにアイドルのレッスンもお仕事も全力で取り組みたいんだ」

みちる「……泰葉さんが頑張れる理由が少しわかった気がします」

泰葉「ちょっと格好つけすぎちゃったからな」

みちる「ほんとうですよー」

泰葉「いいお芝居って、心をすごく動かされるんだよね、こういう風に」

みちる「なるほど」

泰葉「……演劇部、部員がいっぱい集まるといいね」

みちる「そうですね。
 ……あたしもアイドル、もっと頑張ろうって改めて思いました」

泰葉「劇に出てきたアイドルみたいに、みんなに勇気を与え続けられるように頑張らないとね」

みちる「はい!できればお芝居のお仕事もしてみたいですね。
 こうやって誰かの気持ちを動かして幸せにするような」

泰葉「それもいいね」

みちる「泰葉さん、今度は一緒に演技のレッスンしましょう」

泰葉「うん。私にもみちるちゃんの『パン演技』をマスターさせて」

みちる「おまかせください!まずは、この目の前のパンを食べるところから始めましょう」

泰葉「まだ食べるんだ」

みちる「泰葉さん、今日はありがとうございます。
 そして、一緒にレッスン、よろしくお願いします」

泰葉「こちらこそ!」

4月12日は大原みちるさんの誕生日でした。おめでとうございます。
アイドルマスターシンデレラガールズで現在開催中のシンデレラ総選挙でも担当のみちるさん、泰葉さんにも頑張ってもらいたいと思います。
素直で、ふわふわしたところもあるけどアイドルに一生懸命な大原みちるさんと、与えられた仕事にストイックだけど、だんだん自分の本当にやりたいことに気づいてより輝こうとしている岡崎泰葉さんを皆さまよろしくお願いいたします。

テレるみちるかわいい

おつ
珍しい組み合わせだけどかわいい



岡崎で演劇でパンって言われたらものすごいクラナドが思い浮かんだ

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