百合子「エイプリルフールの戦い」 (16)

百合子(さてさて世界で一番嘘が生まれる日、エイプリルフールがやってきました!)

百合子(エイプリルフール。それを楽しめるかどうかは如何に相手の嘘を見破り、気づかれずにカウンターを仕掛けられるかにかかってます)

百合子(よく小説とかだと、こういうことに気をつけようとするほど手痛い目に遭いますが……)

百合子(まさか、私に限ってはそんなことないよね!)



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百合子「というわけで事務所に遊びに来ました!」

小鳥「あら、百合子ちゃん。おはよう」

百合子「おはようございます、小鳥さん! オフだけど遊びに来ちゃいました!」

小鳥「全然構わないわよ。それに今日はあの日だからか、結構皆来てるの」

百合子(どうやら皆さん考えることは同じのようでした。これは一筋縄ではいかない1日になりそうです)

小鳥「それに、杏奈ちゃんも来てるわよ」

百合子「本当ですか? じゃあ会ってきますね!」

百合子(杏奈ちゃん、嘘とか得意そうじゃないし、こういうイベントには疎そう)

百合子(杏奈ちゃんには悪いけれど、所詮この世の中は弱肉強食。手を抜かずにかからせてもらうよ!)

百合子(未来のエイプリルフールの覇者、この七尾百合子の踏み台にさせてもらうよ!)ダッ

百合子「杏奈ちゃーん」

百合子(私は騙された杏奈ちゃんが浮かべる、むっとした、少し怒ったような表情を想像をして少しテンションが上がります)

百合子(しかしそのテンションはすぐに急転直下することになりました)

杏奈「百合子さん…………。おはよう」

百合子(杏奈ちゃんはいつものソファに座り込んでいました)

百合子(しかし、いつもと違ってゲームをしていません)

百合子(なんと、杏奈ちゃんの右手は白い包帯で動かせないように固定されていました)

百合子(骨折、それを察せられるには十分な様子で、アイドルにとってのそれは普通の何倍も重大です)

百合子「杏奈ちゃん! どうしたのその腕! 大丈夫!?」

杏奈「百合子さん……」

百合子(杏奈ちゃんは私に対して、柔らかく微笑んでくれます)

百合子(その表情はいつもと同じく小動物を連想させる穏やかさでしたが、次の一瞬で曇り始めました)

杏奈「痛、痛い……」

百合子(患部に痛みを感じたのでしょう。包帯の上から腕を抑えていました)

百合子「あ、杏奈ちゃん!? 痛むの?」

杏奈「だ、大丈夫……だよ?」

百合子「全然大丈夫じゃないよ!」

百合子(声は震えていて強がりだということを隠せていません)

百合子「い、家に連絡して、安静にしなきゃ! 病院にも連絡したほうがいいのかな? うう、どうしよう!」

杏奈「百合子さん……大丈夫だから…………」

百合子「ダメだよ! 悪化しちゃったらアイドル続けられないかも!」

百合子(自分で口にした想像はとても恐ろしく、二度と考えたくない代物でした)

百合子(今まで私がアイドルとしてやってこれたのは決して私一人の力じゃありません。プロデューサーや事務所の皆、中でも杏奈ちゃんがいなかったら、と思うと今の私はいないでしょう)

百合子(そういった思いは、私により不吉な想像を駆り立てていきました)

百合子(私はそんな想像を必死で振り切り、冷静になろうと努めます)

杏奈「百合子さん……今日はね……」

百合子「プロデューサーさんに伝えてくるから待ってて――」ダツ

百合子(はやく、はやく、私の頭はそれで一杯。プロデューサーさんを探しに行こうと駆け出しかけた私を、杏奈ちゃんは右手で引っ張って――――? 骨折している右手で? あれ?)

百合子(固定するための包帯による呪縛は全く意味をなさないほどにたるみ、ほどけ、ケガをしているとは思えないほどの力強さで杏奈ちゃんの右手は私を捕まえています)

百合子(そして杏奈ちゃんは告げました)


杏奈「今日は、エイプリルフール、だよ……?」


百合子「あっ! …………あー……」

百合子(――――やられた)

百合子「絶対に! 絶対だよ! もうこんな嘘つかないでね!」グス

杏奈「うん…………。私も、やりすぎた……」

百合子(ごめんなさい、そう杏奈ちゃんは続けました)

百合子(エイプリルフール一発目から黒星、しかもひどく心臓に悪い嘘でした)

百合子「本当に、本当に……杏奈ちゃんとアイドル続けられないかもって……」グス

杏奈「ごめんなさい……」

百合子「本当、もう!」グス

百合子(安心したあまり泣いてしまって、もう騙された恥ずかしさと相成って私の頭はオーバーヒートしそうです)

杏奈「百合子さん……、杏奈ね、約束する……」

百合子「……約束?」

杏奈「うん……」

百合子(杏奈ちゃんは、一つ深呼吸を挟むと言いました)


杏奈「杏奈はずっと、百合子さんと一緒にアイドルをするって……約束」


百合子「杏奈ちゃん……」

百合子「嘘じゃないよね……?」

杏奈「うん……、来年もまた百合子さんを騙すかも、だけど…………」

杏奈「絶対に、これだけは嘘にしない、よ……」

杏奈「一年後も、二年後も。いつまでも……杏奈と一緒にアイドル、しよ……?」

百合子(今年のエイプリルフール、どうやら私は覇者にはなれなさそうです)

百合子(それでも)

百合子(焦ったり、泣いたりしたけれども、杏奈ちゃんからこの言葉が聞けて良かった、そう思いました)

百合子(そんな考えを浮かべつつ、泣き顔を吹き飛ばすように笑って私は返事をしました)

百合子「…………うん! 絶対だからね! 杏奈ちゃん!」


おわり

短いけど終わり
この前あんゆり書こうと思ったけど書けなかったので今度こそはってことで

チョロい百合子かわいい
乙です

>>1
七尾百合子(15) Vi
http://i.imgur.com/27aF5y3.jpg
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg

>>2
音無小鳥(2X) Ex
http://i.imgur.com/hFRWAa5.jpg
http://i.imgur.com/ElSKgHB.jpg

>>3
望月杏奈(14) Vo
http://i.imgur.com/bEyC9bz.jpg
http://i.imgur.com/4eHfLZQ.jpg

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