藤原肇「はるまつ三角、あまくて四角」 (60)


アイドルマスターシンデレラガールズ。藤原肇のssになります。


一応アイドル一人につきプロデューサーが一人ついてる設定です。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490953400


事務所

モバP「はぁ……」

千川ちひろ「どうしました? ため息なんてついて」

モバP「いやー相変わらず寒いなぁと」

ちひろ「暦の上ではもう春なんですけどねー」

モバP「ちひろさん、こたつ「ダメです」」

モバP「まだなにも言ってないじゃないですか」

ちひろ「こたつはだらしがないのでダメです」

モバP「ねだる」

ちひろ「ダメです」


モバP「はぁ……」

ちひろ「プロデューサーさんって寒いの苦手なんでしたっけ?」

モバP「人並みには……ですね。指とかかじかむとタイピングしづらくて」

ちひろ「なるほど……」

モバP「ぬくもりが恋しいですね」

ちひろ「室温あげますか?」

モバP「あー、いや。室温上げすぎないようにって凛に言われてて」

ちひろ「凛ちゃんにですか? それなら仕方ないですね」

モバP「ええまぁ……あ、でも冬が嫌いってわけじゃないんですよ」

ちひろ「というと?」

モバP「寒くなると肇がいっぱい着こんできてもこもこになるんですよ」

ちひろ「あー」

モバP「めっちゃかわいい」

ちひろ「はいはい」


ガチャ

藤原肇「おはようございます」

モバP「おはよう」

ちひろ「おはようございます」

モバP「ん? なにか良いものでもみつけたか?」

肇「え?」

モバP「いや、なんかそう見えたから」

ちひろ(どうしてわかるのかしら)

肇「良いものって程ではありませんが……」

モバP「ほほう」

肇「道端のスズメの羽毛が膨らんでまんまるもこもこになっているのがかわいいなって思いまして」

モバP「奇遇だな、さっきまでちひろさんと似たような話してたんだ」

肇「そうだったんですか! この季節ならではですよね」

モバP「ああ、かわいいよな」

肇「はい!」

ちひろ「……」

モバP「どうかしました?」

ちひろ「いえ、なんでも」

肇「……?」


モバP「にしても寒いな」

肇「日陰の方はまだ雪が融け残っていましたよ」

モバP「まじか、雪降ったの先週くらいなのに」

肇「ええ、日脚は伸びているはずなんですけどね」

モバP「あぁでも、風がまだ冷たいからかな」

肇「風邪には気を付けてくださいね」

モバP「そうだな、コタツ欲しくない?」

肇「コタツですか……?」

ちひろ「自分が欲しいからって肇ちゃんを巻き込まないでください」

モバP「畜生」


ちひろ「そういえば肇ちゃんはオフでしたよね」

肇「はい、今日は周子さんと待ち合わせをしていまして」

モバP「周子も先輩も、まだ見てないなぁ」

ちひろ「談話室ならこっちよりも暖かいですし、そちらで待っていただくのは」

肇「そうですね、そうします」


モバP「あ、そうだ」

肇「はい、なんでしょうか?」

モバP「後で話がある。大丈夫か?」

肇「ええ、それではまた後で伺います」

モバP「おう、よろしくよろしく」


バタン

モバP「……」

ちひろ「どうしました?」

モバP「いや、仕事もうひと頑張りしようかと」

ちひろ「やる気になってくれましたか」

モバP「まぁ、なんだかんだ」

モバP「誰かの為にって手を動かすのは嫌いじゃないですからね」

ちひろ「誰かって肇ちゃんのことですか?」

モバP「さぁ? どうでしょ」


ガチャ

肇(あ、本当だ……暖かい)

鷺沢文香「……」ペラッ

肇「あ、文香さん……って本読んで集中していますよね」

文香「……」ペラッ

肇(私も何か持ってくればよかったな……)

文香「……」パタン

肇(ろくろセットとか……)

文香「あ……肇さん。おはようございます……」

肇「ひゃあ!!」ビクッ

文香「え、あ……すみません」ビクッ

肇「いえ、私も油断していたので……すみません」


肇「文香さん、今日はどんな本を読んでいたのですか?」

文香「はい……ペロさんともっと仲良くなれるように猫の本を少々」

肇「そうでしたか、成果は得られそうですか?」

文香「ええきっと……ただ、少し気になることがありまして」

肇「気になること……ですか?」

文香「はい……魂とはかくあるべきか……と思いまして」

肇「魂……?」

文香「ちょうどそのことが作中に出てきたので、自分で考えていたのですが答えに至らず……」


肇「難しい話ですね。魂かぁ……」

 「魂なら……色んなところに浮いてる……よ?」

肇「ひゃあ!!」ビクッ

文香「あ、小梅さん」

白坂小梅「肇さんの驚いた顔……良かった……ふふっ」

肇(小梅ちゃんの声……一瞬、耳元から聞こえた……よね?)


文香「それでは……やはり、魂というものは肉体から離れると……ふわふわと浮いてくるものなのでしょうか?」

小梅「未練があったりするとそうなの……かも」

肇「小梅ちゃんのお友達の、あの子もそうなの?」

小梅「う、うん……あの子はね……」

  「お~みなさんお揃いで」

肇「あ、周子さん!」

塩見周子「遅れちゃってごめんね~」

肇「いえいえ、時間前に来たのは私ですし」

小梅「肇さん……今度は驚かなかった……ね」

文香(小梅さん……どなたとお話しているのでしょうか?)


周子「それじゃあ肇ちゃん借りてっちゃうね」

文香「はい、どうか肇さんをよろしくお願い致します」


小梅「肇さん……よろしくされちゃうね」

肇「よろしくってどういうこと?」
小梅「ふふふ♪」

肇(え? 教えてくれないの!?)


周子「それじゃあ行こっか」

肇「あ、はい!」


周子「なんだか難しい話してたね~」

肇「文香さんらしいと言えばらしいですけれど」


周子「まぁ、三角なものが魂なのか、四角なものが魂なのか、答えがでたら教えてもらお」

肇「……ですね!」

周子「あ、場所はCuのキッチン借りるけど大丈夫?」

肇「はい! 大丈夫です」

周子「それよりも、この時期に贈り物だなんて」

肇「なにかおかしかったでしょうか?」

周子「だって今日ホワイトデーでしょ? 肇Pさんからなにかもらえるんちゃう?」

肇「……!」ハッ

周子「まさか、忘れてた?」

肇「こういった催し物には少しだけ疎くて……」

周子「ダメだよ~お返し貰える日だよ?」

肇「周子さんも誰かにあげたんですか?」

周子「あたしはいつもみんなにお菓子を配り歩いてるから」

肇「そういえばそうでしたね」


周子「はい、とーちゃーく」

肇「周子さんはよくこの部署に来るんですか?」

周子「あたし? あたしはフレちゃんに紗枝はんに……まぁ色々よくお邪魔してるね」

肇「Cuの部署はあまり慣れ親しんでいないので、緊張しますね……」

周子「深呼吸する?」

肇「いえ、大丈夫です」

周子「それなら、たのもー!」


ガチャ

一ノ瀬志希「お、周子ちゃんおはー」

周子「お、志希ちゃんだ。一人?」

志希「んーん、たった今観察実験してたとこ」

周子「被験者は?」

志希「さっきまで居たんだけどどっか行っちゃった」

周子「そっかそっか、じゃあキッチン借りるよー?」

志希「はいは-い」


周子「じゃあはじめよっか」

肇「はい! よろしくお願いします」
周子「むむっ!」

肇「どうしましたか?」

周子「肇ちゃんってエプロン似合うね」

肇「……え?」

周子「いやーてっきりあたしと同じ前掛けだと思ってたからねーギャップってやつ?」

肇「そう真正面から言われると……照れてしまいますね」

周子「あれよ? エプロン姿が似合う子って将来良いお嫁さんになるんだよ」

肇「お嫁さんですか……?」


肇「……」


肇「……」ポワワ


周子「肇ちゃん?」

肇「……っは!」

周子「ナイス乙女の顔だったよ」

肇「え?」


肇「……」



周子「ごめんって」

肇「……」プクー

周子「ごめんって」

肇「それでは聞きますが前掛けが似合う女性は将来どうなるのでしょうか?」

周子「肇ちゃん、怒ってる?」

肇「……いえ」プクー

周子(ほっぺたリスみたいになっとるやん……)


肇「それより前掛け「分かった分かった」

周子「えー」

周子「うーん」

周子「……」



周子「……す、素敵なおかみさん……かな」

肇「……」

周子「……なーんて」

肇「……」

周子「なんか言ってよ」

肇「周子さん肌白いので、赤面するとすぐ分かっちゃいますね」

周子「ほんまこの子は」

肇「ふふっ」

周子「はいはーい。餡の水分飛ばしとくねー」

肇「あ、手伝います。手伝います」


周子「ちなみに肇ちゃんはどんなん作りたいの?」

肇「えっと、こんな感じのものを……可能でしょうか?」

周子「お、いいね。じゃあやってみよっか」

肇「よろしくお願いします!」


ーーーーー
ーーー


周子「……っと、ひとまず生地は完成かな」

肇「ありがとうございます。周子さんのおかげです」

周子「いやいや、まだ生地を練っただけだからね」

肇「そうでした。ここからが本番ですね……気を引き締めていかなければ……!」

周子「そんなに肩に力込めなくても」

肇「そうですね、緊張ではなく集中を」

周子「真面目やなぁ」


周子「さて、それじゃあ形成のほうやっていきましょーか」

肇「はい!」

周子「形はさっき言ってたので良いんだよね?」

肇「ええ、工程のイメージはもうできています」

周子「お、それは頼もしい」

肇「頼もしいだなんてそんな……」

周子「まぁまぁ、それじゃあもうひとこねいきますか」

肇「ですね、頭に手ぬぐいでも」

周子「それはやりすぎちゃう?」

肇「……冗談ですよ?」


周子「やっぱり土とは感触が違う?」コネコネ

肇「ええ、さすがにこちらは食べ物ですから」コネコネ

周子「あ、餡は裏から入れてね」

肇「は、はい」

周子「うん、うまいうまい」

肇「周子さんはご実家で製造の方も手伝ったりしてたんですか?」

周子「まぁね、っていっても夏休みとか学校がお休みの時だけだけどね」

肇「なるほど、そうでしたか」

周子「そん時はえーって思いながら手伝ってたけど、そのおかげでこうやって肇ちゃんにも教えられるんだからなにがあるか分からないもんだね」

肇「周子さん……」


周子「でもこうやってすんなりできてるし、流石は肇ちゃんって感じするよ」

肇「それは周子さんの教え方がうまいからですよ」

周子「お、照れるこというね」

肇「耳が真っ赤になってないですよ」

周子「その代わりに心が真っ赤だから」

肇「……」ジー

周子「そんなに見つめられたら穴が開いちゃうよ」

肇「そうしたら魂、見えますかね?」

周子「見えたらカタチ、教えてよ」

肇「周子さんのはどんなカタチなんでしょうか?」

周子「どんなんだろね~いっそカタチなんてないのかも」

肇「それはそれで良いじゃないですか」

周子「いいの?」

肇「不定形は創造の基本ですよ」

周子「ほほぅ、ならこねようか」

肇「周子さんならきっと素敵なものが作れますよ」

周子「ならその期待に応えていつか肇ちゃんにも魅せてあげるよ」



周子「ステージの上でね」


周子「そしたらじゃあこの三角棒で形を整えて……と」

肇「……よし」

周子「やっぱ上手だねー」

肇「少し前まで備前焼で小物を作っていたりした経験が活きているのでしょうか……?」

周子「うんうん、活きてる活きてる」

肇「ふふっ、ありがとうございます」

周子「そういえば、うちの部署にある花瓶も肇ちゃんが作ったやつだよね?」

肇「はい、確か秋ごろに実家の方で……」

周子「ふ~ん?」

肇「に、にやにやしてどうしたんですか?」

周子「いや~ご自宅デートかぁと思ってね」

肇「ど、どうしてそれを……!」

周子「お、デートってとこは否定しないんだ」

肇「それは言葉の綾で……別にプロデューサーさんとはそんな関係ではありません!」

周子(誰とって言ってないのに、この子ぼろっぼろやな……)


周子「肇Pさん、良い人だよね。よくお菓子くれるし」

肇「それでよくちひろさんに怒られてますけどね」

周子「それぐらいがちょうどいいんだよ」

肇「そうでしょうか?」

周子「甘やかされ。万歳」

肇「う~ん」


周子「あたしにとってはお菓子をくれる良い人。肇ちゃんにとっては?」

肇「え、と……私にとってプロデューサーさんは……」

周子「ふむふむ」

肇「一言、というと難しいですね」

周子「ほほぅ?」

肇「敢えて……というならば、良き人……ですかね」

周子「……良き人、か」

肇「積み上げた想いも感謝の言葉も有り余るぐらいたくさんあります」

肇「なのでその一言から溢れた分は歌や仕事に込められたら、って思います」

周子「……ちなみに良き人って意味知ってる?」

肇「もちろんです! 小さい頃おばあちゃんに教えて貰いました」

周子「ちなみになんて?」

肇「隣立つ人、信頼できる人です」

周子「それが肇Pさん?」

肇「はい、肩を並べて一緒のステージを目指すので、適切な言葉だと思います」

周子「肇ちゃん」

肇「な、なんでしょうか……?」

周子「がんば!」

肇「え、あ……はい!」


肇「……」コネコネ

周子「……」コネコネ

肇「……」コネコネ

周子「……」コネコネ

肇「……っは!」

周子「どうしたん?」

肇「いえ、昔から集中しすぎると無口になってしまうので、すみません」

周子「いやいや、なんで肇ちゃんが謝るの」

肇「せっかく一緒に作っているのに楽しくないって思われたら……って思いまして」

周子「大丈夫だよ、あたしも良くしゃべるほうじゃないし」

肇「でも……」

周子「それだけ真面目に作ってるってことでしょ? 肇Pさんもきっと喜ぶんじゃない?」

肇「……! ありがとうございます」

周子「いえいえ~」


肇「誰かの為になにかを作るってとても充実した気持ちになりますね」

周子「誰かの為、ね~?」

肇「はい、もちろん誰かとなにかをするというのも新鮮でとっても楽しいですよ!」

周子「お、それはそれは光栄だね」

肇「憧れだったのかもしれません。こうやって友達とお菓子を作ることが」

周子「友達?」

肇「違いましたか……?」

周子「んーん。ただ面と向かって言われると恥ずかしいね」

肇「そうですね、私もなんだか恥ずかしくなってきちゃいました」

周子「いまさらかい」


周子「ひとまず完成したね」

肇「はい! ありがとうございます」

周子「んー、予想以上に材料が余っちゃったね」

肇「……量自体はそんなに作ってありませんからね」

周子「失敗してもいいようにってたくさん用意したけど肇ちゃん作るのうまいから」

肇「……どうします? これ」

周子「京都名物。八つ橋でも作りますか」

肇「できるんですか!?」

周子「白玉粉と餡があるし大丈夫大丈夫」

肇「やっぱり周子さんは凄いです」

周子「ふふん、流石でしょ」


周子「チョコとかも冷蔵庫から見つけたからそれも使ってみよっか」

肇「変わり種ですね」

周子「最近の八つ橋はなんでもアリだからね~」

肇「味の幅が広がるのは良いのですが……伝統的にはどうなんでしょうか?」

周子「あー、おいしければ良いんじゃない?」

周子「うちの父親は頭固いからお店では取り扱ってないけど」


ガチャ

大原みちる「戻りました~!」

クラリス「なんだか素敵な匂いがしますわ」

志希「あ、二人ともおかえり~」

周子「珍しい組み合わせやね」

みちる「クラリスさんと今度、ミサのお手伝いをするんですよ」

周子「あ~それでクラリスさんか~」

志希「実は志希ちゃんのきょーみは現在みちるちゃんに移ってたりしてー」

肇「な、なんだか一気に賑やかになってきましたね」

周子「まぁ、折角だし八ツ橋みんなで食べよっか」


志希「んー! イッツ! オヤツ! ターイム!」

周子「ある意味、お八つやしね」

志希「なんか言った?」

周子「なんでもあらへんよ」


みちる「なるほど! それでここのキッチンを使ってたんですね!」

肇「はい、それにしてもなんでも揃ってますね……ここ」

みちる「それはスイーツファイブの活動の賜物です!」

肇「スイーツファイブ……?」

クラリス「私はまだお目にかかれていないのですわ……」

みちる「きっといつか助けてくれる日がありますよ」アハハー


槙原志保「へくちっ」

小松伊吹「風邪?」

桐野アヤ「ちひろさんから移ったんじゃないのか?」

伊吹「同じ髪型してたしね」

志保「関係ありますかぁ、それぇ!?」

伊吹「ま、それは置いといて」

志保「アヤちゃん、決心はつきました?」

アヤ「いや、だってこんなフリフリ……アタシに似合わねーよ」

伊吹「はいはい、フリフリなんて 衣装でいっぱい着てきたでしょ?」

アヤ「それとこれとは……」

志保「とりあえず試着だけでも、ね?」

アヤ「タンマタンマってちから強っ!?」

志保「元ウェイトレスですから♪」

アヤ「関係ねーだろそれ!?」

ーーーーー
ーーー


肇「パンと八つ橋の組み合わせなんて初めての経験です」

みちる「アンパンだってチョコパンだってあるんですからきっとこれも合いますよ」

志希「にゃははー! 全部胃に入っちゃえば同じってゆー」

肇「そういうものなのでしょうか……?」

周子「多分違うと思うよ?」


周子「あ、そうそう肇ちゃん」

肇「なんでしょうか?」

周子「今日作ったやつ、保存料とか入ってないから早めにね~」

肇「あ、はい。ありがとうございます」

クラリス「感謝の気持ちというのはとても素敵なものですね」

肇「そうですね、うまく渡せると良いんですけれど……」

クラリス「それだけ、想いを込めたものなのでしょう?」

肇「想い……そうです。込めました! しっかりと」

クラリス「でしたら心配しないでも、祝福の音はいつだって聞こえているはずです」

みちる「そうです! 気持ちをちゃんと込めた食べ物はとってもおいしいんです!」

肇「ありがとうございます。なんだか大丈夫な気がしてきました!」

クラリス「うふふ♪ 肇さんのもとにも、幸多からんことを……」


志希「どーしたの??」

周子「いやー肇ちゃんも青春やねーって少しおじさんクサいかな」

志希「んー? どれどれ?」ハスハス

周子「もー志希ちゃん冗談だって」

志希「えー?」

周子「えーじゃあらへんよ」

志希「なにもきこえませーん」ニャハハ


事務所

肇「ただいま戻りました」

藤居朋「あ、肇ちゃんじゃない。おかえり!」

肇「朋さん。ただいまです」

朋「さっきね、文香ちゃんと小梅ちゃんが気になる話しをしててね」

肇「二人がですか?」

朋「うん、スピリチュアルな話かと思ったら全然違うの! びっくり!」

肇「あ、でも小梅ちゃんなら……」

朋「怖いのは違うのよ」

肇「そ、そうだったんですか…」


肇「朋さんはどう思います?」

朋「魂が云々ってやつ?」

肇「はい」

朋「う~ん。身体の中心にあるもんなんじゃない?」

肇「やはり……」

朋「あ、でもやっぱり色んなところにあるのかも!」

朋「ほら、歌とか……それこそ誰かの作った作品なんかにも魂がこもってるなって思う時があるじゃない」

朋「だからきっとそこかしこにあるのかもしれないわね!」

肇「ふふっ……小梅ちゃんも魂は色んなところに浮いてるって、こういうことなのかもしれませんね」

朋「そう、だといいわね……」

肇「朋さん、笑顔ひきつってませんか?」

朋「怖いのは苦手なのよ」

肇「え!? そうだったんですか?」

朋「え? 逆にどうして好きだと思ったの!?」

肇「いえ、よく心霊スポットに居るってお話を聞くので……」

朋「うぐ、それはたまたま道に迷っちゃって……」

肇「そうだったんですか……」


朋「そういえばさっき肇Pさんがさがしてたわよ」

肇「あ!! そうでした。約束があるんです」

朋「そうだったの? 引き止めちゃってごめんね!」

肇「いえいえ、またゆっくりお話ししましょう」


ガラッ

肇「プロデューサーさん?」

モバP「おーおかえり」

肇「お疲れ様です」

モバP「おうおう。今、時間は大丈夫か?」

肇「ええ、プロデューサーさんもお仕事は大丈夫ですか?」

モバP「ちようど今さっき終わらしたところだよ」

肇「そうでしたか、お疲れ様です」

モバP「さっき聞いたって」

肇「それでも、です」

モバP「そっかそっか」


モバP「ここだとなんだしどこか行くか」

肇「はい、どこか公園にでも行きたいですね」

モバP「うし、準備すっから待ってろ」


公園

肇「やはりまだ空気が冷たいですね」

モバP「でもちょっと前まではこの時間はもう真っ暗だったから、一応春には近づいてるんだよなぁ」

肇「ふふっ。そうですね」

モバP「……」

肇「プロデューサーさん?」

モバP「あー、肇」

肇「……? どうかしましたか?」

モバP「ほら、ホワイトデーのお返し」

肇「あ! ありがとうございます!!」

モバP「こちらこそバレンタインデーありがとうな」

肇「いえいえ、こちら開けてみても?」

モバP「どうぞどうぞ」


肇「これは……?」

モバP「いや、なんてことないホワイトチョコなんだけど……」

肇「嬉しいです……とても!」

モバP「なら良かった」

肇「本当ですよ?」

モバP「疑ってないよ」

肇「良かった……チョコレートいただきますね?」

モバP「味は……多分大丈夫だと思う」

肇「多分ですか?」

モバP「いや、俺は食べてないからさ」

肇「それなら一緒に食べませんか?」

モバP「いいのか?」

肇「はい、ただその前に私からも……プロデューサーさんにこれを」

モバP「ん? なんだそれは」

肇「お返しのお返しみたいになっちゃいましたけれど」

肇「今日、周子さんと一緒に作って来たんです」

モバP「……桜の花びらか?」

肇「はい! 練りきりといいます」

モバP「凄いな……こんなのも作れるのか」

肇「まだまだ周子さんからしたら未熟者でしたけれど……」

肇「それでもあなたと春を待ちたくて」


モバP「あ、すまない。俺が寒いって言ってたの気にしてたのか?」

肇「いえ、たまたまですよ」

モバP「そうか、これで和洋揃っちゃったな」

肇「どちらから先に食べましょうか?」

モバP「わがままを言っちゃえば肇が作ってきたそれを食べてみたい」

肇「八つ橋もありますよ」

モバP「まじかよ」


モバP「それではいただきます」

肇「どうぞ召し上がってください」

モバP「……」モグモグ

肇「……」ジー


モバP「……」


肇「……」ジー


モバP「……肇」

肇「はい、なんでしょう?」

モバP「なんていうか……そんなに見られると食べづらい」

肇「あ、すみませんつい気になってしまって。お口に合いましたか?」

モバP「あぁ、おいしかったよ」

肇「魂……込めましたから」

モバP「それならもっと大切に食べなきゃだな」

肇「おおげさですよ」

モバP「それでも、作りが凝ってるから食べるのがもったいない気がして」

肇「食べ物ですから、食べてこそです」

モバP「そうだな、ありがとう。嬉しいよ」

肇「いえいえ、プロデューサーさんへの感謝を形にしただけですから」

モバP「俺、なにかしたっけ?」

肇「ええ、いつもお世話になっています」

モバP「なんだそんなk「そんなことではありません」


肇「私にとってはとてもとても大切なことなんです」

モバP「そうだったな。すまない」

肇「いえ、私も口下手なのでうまく伝えられるか不安で」

モバP「それで形に?」

肇「ええ」

モバP「大丈夫。いつもちゃんと伝わっているよ」

肇「……ありがとうございます」


肇「もうすぐ、春ですね」

モバP「せっかく暖かくなってもまたすぐ冷えるからなんとも言えないなぁ」

肇「そうやって三寒四温を繰り返しながら一歩ずつですよ」

モバP「詳しいな」

肇「春を待ち望むのは私も同じなので」

モバP「そのわりには冬を楽しんでいるようにも見えるけど」

肇「春が来ると分かっていますから。冬の寒さにも耐えられます」

モバP「……強いな」

肇「でも、それ以上にプロデューサーさんと一緒にもっと、めぐる季節を楽しみたいんです」

モバP「俺と?」

肇「はい! それと故郷とは違う景色もたくさん見ていきたいですね!」

モバP「そっか、うん、約束するよ」


肇「ふふっ」

モバP「ん?」

肇「私の気持ちの半分でも伝わればと思っていたのでが、それ以上にたくさんお話しできたのが嬉しくて」

モバP「そんなの言ってくれたらいつだって……」

肇「だってプロデューサーさん、いつも忙しそうですし」

肇「私だって話しかけるのにも勇気が必要なんですよ?」

モバP「そうなの?」

肇「もぅ、いえ。気づいてくださいとも言いませんけれども」

モバP「えっと、すまない」

肇「大丈夫です。プロデューサーさんはプロデューサーさんなので」

モバP(なんか釈然としない……)


モバP「ん、あれって」

肇「どうしました?」

モバP「梅の木じゃないか?」

肇「ほんとですね! つぼみがもう出てきていますね」

モバP「あ、なんか春って実感わいてきた」

肇「まだ早いですよ」



肇「でも、これからウグイスの初音を聞いて」

肇「春泥を踏んで」

肇「月がおぼろいできて、いつの間にか春になっていくんでしょうね」

モバP「そうだな、そうしたらひとまずは、華やかなイベントをパァーっとやりたいな」

肇「素敵です。春めく舞台でもっとたくさんの色を出せていけたら」

モバP「俺も腕が鳴るよ」


肇「それでは、ホワイトデーのチョコ、いただきますね?」

モバP「あ、すっかり忘れてた」

肇「自分で渡したのにですか?」

モバP「肇の練り切りのインパクトが大きかったんだよ」

肇「ふふっ、そうでしたか」

モバP「味は……どうだ?」

肇「はい! とってもおいしいですよ」

モバP「それは良かった」


肇「なんだかロマンを感じます」

モバP「ロマン……ねぇ」

肇「ええ」


肇「私の作った三角で春を待ち」

肇「あなたがくれた四角がこんなにも甘い」


肇「なんだかとってもロマンティックじゃありませんか」

モバP「まぁ、言われてみればそうなのかもな……?」


肇「そしたら次は、まるいものでしょうか」

モバP「丸いもの……なにがあったっけな」

肇「ではそのときまでのお楽しみ、ということで」

モバP「じゃあそうしとくよ」



肇「ええ、その時はきっと今よりずっと、暖かな春の空で」


藤原肇「はるまつ三角、あまくて四角」おわり。


おまけ

モバP「八つ橋か……俺が京都行ったときはソーダー味なんてものもあったぞ」

肇「私の故郷のきびだんごにもラムネ味なんかがありましたね」

モバP「時代なのかなぁ……」

肇「これもまた、新たな色ということで」


おわり!
モバだと逆にホワイトデーでプロデューサーが練り切りをあげるとはそれとこれは別!!
ありがとうございました!


最近のやつ!

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藤原肇「手を取って連れ出して」 - SSまとめ速報
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槙原志保「オーダーはアシスタントさん」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1481753075/)

>>50
×
肇「私の気持ちの半分でも伝わればと思っていたのでが、それ以上にたくさんお話しできたのが嬉しくて」


肇「私の気持ちの半分でも伝わればと思っていたのですが、それ以上にたくさんお話しできたのが嬉しくて」

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