【艦これ】雷「おかしいわ」 電「えっ」 (115)

電「何がなのです?」

雷「私たちの司令官よ。なんで甘えてこないのかしら」

電「?」

雷「弱音を吐かないっていうか、愚痴の一つもこぼさないじゃない」

雷「おかげで私の『甘やかしたい欲』が限界突破してて、手がうずうずしてるの」ワキワキ

電「か、かなり特殊な欲なのです。でも確かにそうなのです、司令官さんはとてもしっかりしてるのです」

雷「そうなのよ、だからこう……やりきれない気持ちが……」ワキワキ

夕張「呼んだ?」ヒョコッ

雷・電「!?」ビクッ

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電「はわわわ! びっくりしたのです!」

雷「呼んでないですよ!」

夕張「えー、おかしいなぁ? 私に何か発明してほしいセンサーが反応したんだけどな」

電「何なのですそれ」

雷「発明……? はっ、そうだわ!」ピコーン

雷「夕張さん、ちょっと相談があるんですけど」

夕張「おっ、やっぱりセンサーは正しかった!」


雷「――って感じの道具、作れるかしら?」

夕張「んー、まあできないこともないけど……完成は明日になっちゃうけどいい?」

雷「もちろんよ! 作れるならぜひ作って欲しいわ」

夕張「了解! じゃあ首を長くして待っててね!」

スタスタ

電「……雷ちゃん」

雷「分かってる、何も言わないで」

電「そ、そんなものを司令官さんに使う気なのです?」

雷「欲望を抑えきれなかったの。1回だけだから!」

電「……」

雷「はぁ、待ちきれないわ」ウズウズ


――翌日――


夕張「お待たせー! 予定より早く完成したわ!」

雷「ありがとう夕張さん! これが例の?」

夕張「ブツよ。このスプレーを提督の顔に吹きかければ、たちまち…」

雷「皆まで言わなくていいわ。あとは直接確かめてみるから!」

夕張「オッケー、健闘を祈ってる。ちなみに効き目は30分で切れるから、時間をちゃんと把握しておいてね」

スタスタ

雷「こ……これで」ドキドキ

雷「これで司令官は、私に……」ドキドキ

電「ホントに使う気なのです?」

雷「電っ! いたの!?」

電「電としてはそういう司令官さんは見たくないのです」

雷「大丈夫よ、30分だけ!」

電「30分は結構長いのです……」



――執務室――


提督「ふぅ、これで今日の分は終わりか」

提督「ついでにこの書類も片付けてしまおう」

コンコン

雷「失礼するわ司令官」

提督「雷か、入ってくれ」

ガチャ

雷「どう? お仕事は捗ってる?」

提督「まあな。今日の分は終わったよ」

雷「えっ、もう?」

提督「そんなに量はなかったしな。ところで何の用でここに?」

雷「うん……ちょっとお話があって。時間あるかしら」

提督「ちょうど区切りがついたし構わないよ」

雷「よかった!」

スタスタ

雷「あのね、秘密の話なの。できれば誰にも聞かれたくないの」モジモジ

雷「耳を貸してもらえる?」

提督「もちろんだ」

スッ

雷「ありがとう。実はね」

提督「ああ」



雷「司令官に甘えん坊になってもらいたいの」

提督「……は?」


シュッ!

提督「うっ! 雷……な、何だこの……香り、は……」

バタッ

雷「ごめんなさい司令官」

雷「でもこれっきりだから! 1回だけ私に甘えてくれれば……!」ハァ ハァ

提督「」

雷「……?」

雷「あれ、司令官? ちょっと、ねえ」ユサユサ

提督「」

雷「大変っ! 反応がないわ! どうしよう……もしかしてこれ失敗作じゃないの!?」

提督「うっ」ピクッ

雷「あ、よかった起きた」

提督「なんだ……? 急に意識が遠くなって……」

雷(さあここからが重要よ)ゴクリ

雷「司令官大丈夫?」

提督「雷……」

雷「きっとお仕事のせいよ、見えない疲れが溜まってるの」

雷「だから気を失ってしまったんだと思うわ」ニコッ

提督「……いや、確かお前に何かを吹きかけられたような気がするんだが」

雷「!」ギクッ

雷(記憶操作に失敗! っていうか効果なし?)


提督「しかし、そんなことはどうでもいい」

雷「!」


提督「何でだろうな雷。お前を見てると……こう」ドキドキ

提督「言いようのない気持ちが、胸の奥底から湧き上がって……」ドキドキ

雷(こ、これは……!)

提督「すまない雷……こんなこと言ったら間違いなく引かれると思うんだが」

雷「なに?」

提督「俺は……俺は今……!」


提督「お前の胸に飛び込んで、頭を撫でられたいという気持ちが抑えきれないんだ!」

雷「……」


雷(計画通り)ニヤッ


提督「くそ、なんだこれは! 俺はどうしてしまったんだ!」

雷「いいわ」

提督「え」

雷「司令官のその欲求、思う存分満たしてあげる」キラキラ

雷「さあ! 遠慮せず飛び込んで!」スッ

提督「しかしこんなこと!」

雷「いい子いい子してあげるから……ね? おいで?」ニコニコ

提督「ぐはぁっ!」ドクンッ

提督「……い」

提督「雷ぃぃぃぃぃ!!」ダキッ

雷「よしよし」ナデナデ

提督「不思議だ……俺は今、すごく幸せだ……」

雷「私もよ司令官」ナデナデナデ


電「はわわ」ブルブル

電「あの司令官さんが……あんな……あんな……」ガタガタ

電「おそろしい発明なのです! 夕張さんは罪深いのです!」


提督「すごく安心する」

雷「いい子いい子」ナデナデ


電「……で、でも……ちょっとだけ羨ましいのです……」

電「…………」


――――――

――――

――

提督「……ん?」

提督「はっ! お、俺は何をしてるんだ!?」バッ

雷「あっ」

提督「悪かった雷! なんで俺はお前に抱きついて……許してくれ!」

雷「ううん、気にしないで。それよりもっと…」

提督「頭を冷やしてくる! 本当にすまなかった!!」

スタタッ

雷「あ……行っちゃった……」

雷「もう30分経ってしまったの? すごく早いわね」

雷「司令官、可愛かったわ。もっと甘えて欲しかったのに」

雷「……」

雷「……あと1回だけ使ってもいいかしら」ゴクリ


電「雷ちゃん」

雷「!!」ビクッ

雷「電! 今の聞いて……!」

雷「冗談よ冗談! もう充分満足したし、この道具は使わないわ!」アセアセ

電「電にも……」

雷「え?」

電「電にも使わせてほしいのです!」


――――


提督「何だったんだあれは。まるで幼少期の感覚に戻ったようだった」

提督「みっともない姿を晒してしまったな……疲れているんだろうか」


雷「司令官!」スタスタ

電「お話があるのです」スタスタ

提督「!? 雷と電か」


提督「さっきは本当にすまなかった雷」ペコリ

雷「いいのよ。というか」

雷「むしろもう1回甘えて欲しいわ」シュッ!

提督「うっ」

バタンッ

電「躊躇ないのです!? 雷ちゃん2回目にして手馴れてるのです!」

雷「さっきみたいな手順を踏んだら阻止される恐れがあるから」

電「冷静沈着で怖いのです!!」

提督「んん……ま、また意識が……」

雷「起きたわ。さあ電」ヒソヒソ

電「なのです」


電「えっと……司令官さん?」

提督「電か。それに雷」

提督「……また雷に何かをかけられた気がする」

雷「き、気のせいよ気のせい!」

提督「そうか……けど、どうでもいいんだそんなこと」

雷(きた)

提督「電」

電「はいっ」

提督「すまない……俺自身、何でこんな気持ちになるのか分からないんだが」

提督「どうしても抑えきれないんだよ! お前に抱きしめてもらいたいという欲求が!」

提督「そしてあわよくば頭を撫でてもらいたい!!」

電「はわわ」

提督「はは……引かせてしまったな。今のは忘れてくれ」

提督「こんな邪悪な気持ち、消え去るまで心の奥にしまっておいた方がいい」

電「司令官さん……」


電「どうぞ」ニコッ

提督「え?」

電「電も、司令官さんを抱きしめてあげたいのです」

電「おいでなのです」スッ

提督「や、やめてくれ……そんなことを言われたら……!」

提督「自制が壊れてお前に飛びついてしまう! 頼むからやめ…」

電「司令官さん」


電「ぎゅーってして、いい子いい子してあげるのです♪」ニコッ

提督「うわぁぁぁぁぁ!!」ドクンッ


提督「電ぁぁぁぁぁ!!」ダキッ

電「よしよし」ナデナデ

雷「や、やるわね電」

雷「……ねえ、そろそろ私にも……」

電「雷ちゃんはさっき30分じっくり堪能したのです!」

雷「うう……」

雷「じ、じゃあ今の30分が終わったら……!」

電「そんなに使って司令官さんは大丈夫なのです?」

雷「……そうね。ちょっと時間を置いた方がいいかしら」

電「時間じゃなく量のことなのです。脳に影響はないのです?」

雷「夕張さんは何も言わなかったし、たぶん問題ないと思う」

電「たぶんじゃダメなのです!」

雷「そ、そうね。あとで聞いてきましょう」


コソコソ

???「……あの道具があれば……」

???「提督も私に……」


雷「?」

電「どうしたのです?」

雷「今、誰か見てたような気が……ううん、きっと気のせいね」



――――


夕張「うん、副作用とかはないから大丈夫よ」

雷「よかった……」

電「安心なのです」

夕張「で、どう? 使ってみた感想は」

電「グッジョブなのです」

雷「世紀の大発明ね」

夕張「これ以上ないくらいの賛辞! よかったわ、我ながらよくできたなぁと思ってたから」

雷「夕張さんは天才ね! このこのー!」グイグイ

夕張「よせやい照れるじゃん!」エヘヘ

電「でも本当にすごいのです、このスプレー」スッ

電「誰にかけても甘えたくなってしまうのです?」

夕張「そうね。老若男女問わず、とてつもなく甘えくなる衝動に駆られてしまうわ」

夕張「……ん? ていうかそれ、何か違う?」

電「えっ」

電「あっ! ホントなのです! これただの虫除けスプレーなのです!」

雷「何で!?」

電「ここに来るまでに間違えて持ってきてしまったのです?」

雷「間違えたって、お手洗いにしか寄ってないわよね。そんなとこに虫除けスプレーが置いてあるかしら」

電「とにかく戻ってみるのです!」スタタッ

雷「そうね! ありがとう夕張さん!」スタタッ

夕張「楽しい甘やかしライフをっ!」グッ


――――


コソコソ

???「こっそりすり替えて手に入れた、このスプレー」

???「雷ちゃんと電ちゃんには悪いことをしてしまいました」

???「でも……!」


榛名「榛名だって、ちょっとくらい提督に甘えて欲しいんですっ!」

榛名「提督はどこにいるんでしょう。すり替えたことに気づかれる前に一度だけでも!」キョロキョロ

榛名「あっ」


スタスタ

提督「はぁ……俺は本当に疲れてるんだな」

提督「雷だけじゃなく電にまで、あんな恥ずかしい姿を……」

提督「それに何回も意識を失うし。誰かに何かを吹きかけられた気がするんだが」

提督「その時のことがどんどん思い出せなくなってくる。何なんだこれ……とても怖い……」


榛名「提督!」

提督「榛名? そうか、もう演習が終わる時間か」

榛名「はい。あの……だいぶお疲れのようですが」

提督「ああ、やっぱり顔に出てるんだな。今日はもう寝たほうがいいかな」

榛名「何かあったんですか? よければ榛名が相談に乗りますよ」

提督「ありがとう。その気持ちだけもらっておくよ」

榛名「……そうですか」

榛名(やっぱり提督は榛名に甘えてくれません! これを使うしかないです)スッ

榛名「ごめんなさい提督」

提督「ん?」

シュッ!

提督「うっ」バタンッ

榛名「えっと……このまま起き上がるまで待てばいいんでしょうか」オロオロ

榛名「……」ソワソワ

提督「ん」ピクッ

榛名(起きた!)

提督「ま、マズい……また気を失ったぞ」

榛名「大丈夫ですか提督?」

提督「榛名……今度はお前に何かをかけられたような……」

榛名「え?? 何のことでしょう??」

提督「……まあどうでもいいことだ。それより、またこの気持ちだ」

提督「榛名、俺は疲れすぎて頭が変になったんだろうか」

提督「急にお前に抱きしめてもらいたい気分になってきた」

榛名「!」

提督「実はさっきも雷と電に同じようなことを……だ、だが安心してくれ……っ」

提督「こ、今回は絶対に堪えてみせる……!」

榛名「提督」


榛名「我慢は体に毒ですよ」ニコッ

提督「!?」


榛名「来てください、榛名が優しく抱きしめてあげますから」スッ

提督「あ……おいやめろ……手を差し伸べるなっ……!」

提督「くっ、このままでは……! このままではッ……!!」

榛名「提督?」



榛名「私の胸の中で、たくさん甘えてください♡」


提督「ぐわぁぁぁぁ!!」ドクンッ

提督「榛名ぁぁぁぁ!!」ギュッ

榛名「きゃ! ふふっ、よしよーし♪」ナデナデ

榛名(ああ、幸せです……提督がこんなにも甘えてくれる)

榛名(このスプレー素晴らしいです! 夕張さんに同じものを作ってもらいたいくらい!)

提督「温かい……とても心が安らぐ……」ギュー

榛名「そう言っていただけると嬉しいです」ニコニコ

榛名「他になにかして欲しいことがあれば、言ってくださいね?」

提督「して欲しいこと?」

榛名「はい!」

提督「……ありがとう。このままで充分満たされるよ」

榛名「もう、提督ったら」ウフフ



スタスタ

鹿島「もー、榛名さんどこ行っちゃったんだろう」

鹿島「そろそろ出撃任務なのに……ん?」


榛名「提督可愛い」ナデナデ

提督「眠くなってきた……」


鹿島「!? な、なな、何してるんですか!?」

榛名「!! あ、鹿島さん……えっと、これは……!」

――――

鹿島「顔に吹きかけると甘えてくる!?」

榛名「はい、効果は30分らしいです」

鹿島「とても信じられないですけど……」

提督「zzz」

鹿島「でも本当みたいですね。あの真面目な提督さんが、こんなに幸せそうに眠ってます」

榛名「榛名も幸せです。榛名の胸の中でこんなに安心してくれるなんて」

鹿島「……」

ここまでで
また書き溜めたら更新します

前のスレで、誤字ミスを指摘してくださってありがとうございます

鹿島「あの……私にも使わせてもらえないでしょうか」

榛名「え?」

鹿島「じ、実は」モジモジ


鹿島「私も以前から、提督さんに甘えて欲しいなって思ってたんです!」

榛名「!!」


榛名「鹿島さんも?」

鹿島「はい。膝枕とか耳かきとかしてあげたいです!」

鹿島「アイスを食べさせてあげたり、口についたクリームをハンカチで拭き取ってあげたいですっ!」

榛名「……」

鹿島「ダメですか?」

榛名「い、いえ」

榛名(意外でした。提督に好意があることは察してましたけど)

榛名(彼女も私と同じ気持ちを胸に抱いていたなんて)

鹿島「それでどうですか? ぜひ私にそのスプレーを」

榛名(同士だからこそ、優しく接したい。気持ちを分かち合いたい)

榛名(けど……けど……!)

提督「zzz」

榛名(こんな提督を見てしまったら、誰にも渡したくなくなってしまいますっ!)キュンッ

榛名(もっと甘えて欲しい! 鹿島さんが言ったようなことも全部してあげたい!)

榛名「……」

榛名「……。分かりました」

鹿島「! じ、じゃあ早速…」


榛名「あと4時間待ってもらえますか」

鹿島「4時間!?」ガーン

鹿島「そんなに待てませんよっ! っていうか」

鹿島「雷ちゃんと電ちゃんから盗んできたんですよね!? 探しに来たらそれまでじゃないですか!」

榛名「あ、あはは。そうでしたね、うっかりしてました」

鹿島「……もしかして榛名さん」


鹿島「提督さんを渡さないつもりでは?」

榛名「!!」ギクッ


鹿島「その反応は図星ですね!? ひどいです! 提督さんに甘えて欲しい気持ちが分かるはずなのに!」

榛名「だからこそ! もし鹿島さんが私の立場なら、今の提督をやすやすと手放せると思いますか!?」

提督「zzz」

鹿島「うっ……た、確かに……! でも!」

鹿島(でも私だって幸せな気分を味わいたい。こんな滅多にないチャンスを逃すわけにはいかない!)

鹿島(……あ)

鹿島「そういえば榛名さん」

榛名「何ですか!」

鹿島「そろそろ出撃ですよね?」

榛名「へ?」

鹿島「金剛型のみなさんが探してましたよ。それで私も榛名さんを探しに来たんです!」

榛名「あ……そういえば」

鹿島「さあ! 提督は私に任せて頑張ってきてくださいっ!」

榛名「うっ」

鹿島「さあさあ!」

榛名「くぅっ……わ、分かりました……! 出撃は大切ですし……」

榛名「では提督を」スッ

鹿島「はい、ゆっくり起こさないように」ヨイショ

榛名「うう……す、すぐに! すぐに帰って来ますから!!」

スタタタッ

鹿島「待ってください」

榛名「」ピタッ

鹿島「スプレー、渡してください。持ってたら邪魔ですよね?」ニコッ

榛名「……」スッ

鹿島「確かに! では、いってらっしゃい!」

榛名(~~~~!! 速攻で終わらせます!!)

スタタタッ

鹿島「さて」

鹿島「まずは提督さんの寝顔をじっくりと」

提督「んっ」ピクッ

鹿島「!」

提督「あれ……鹿島? 俺は一体何をして…」

鹿島「」シュッ!

提督「うぐっ」バタンッ

鹿島「び……びっくりして反射的にかけちゃった」

鹿島「けど、これでいいのよね?」

提督「……ううっ」ピクッ

提督「な、なんか目が覚めた途端に、また何かを吹きかけられて……」スッ

鹿島「おはようございます提督さん」

提督「鹿島……? 榛名はどこに行った」

鹿島「出撃任務です。だから私が代わりです」

提督「代わり?」

鹿島「はい、榛名さんの代わりです! 私に甘えたくないですか?」

提督「……そ、そういえば」

提督「またこの気持ちが……くっ!」

鹿島「苦しまないでいいんですよ。自分を解き放ってください!」

提督「そういうわけには……!」

提督「か、鹿島……俺から離れてくれ」

鹿島「えっ!? 何で……」ガーン

提督「雷や電、そして榛名。俺はすでに3人に醜態を晒してしまったんだよ」

提督「これ以上はダメだっ! 本当にダメなんだっ!」

鹿島「醜態だなんて。私は甘えてくる提督さんも良いと思いますけど」

提督「とにかく早く離れてくれ、今すぐっ!」

鹿島「そ、そんな……」


鹿島「たくさん甘えてくれるように、色んな予定を組んでいたのに」

提督「!」ピクッ


提督(色んな予定!? い、一体どんな……)ドキドキ

鹿島「膝枕とか」

提督「!」ドキッ

提督(何だ……何で今俺は、膝枕という言葉に魅力を感じた……!?)

鹿島「耳かきもしてあげたいし」

提督「!!」ドキドキッ

提督(耳かき……とても甘美な響きだ……!!)

鹿島「あの……提督さん、お願いします。一度だけでいいんです」


鹿島「膝枕しながら耳かき、させてもらえませんか……?」

提督「!!!」ドクンッ


提督(ひ……膝枕&耳かきのっ……!!)

提督(欲張りセットだとぉぉぉぉぉ!?)グハァッ


鹿島「ダメでしょうか?」

提督「……」

鹿島「提督さん?」

提督「……鹿島っ!!」ギュッ

鹿島「はい!?」ビクッ

提督「むしろこっちからお願いしたい。頼む」

鹿島「えっ」

提督「執務室に行こう! 耳かきがある!」グイグイ

鹿島「お、押さないでください。分かりましたから!」

提督「ああ楽しみだ、待ちきれない!」

鹿島(よかった、甘えてくれる)

スタスタ


――――

雷「どこにいったのかしら」

電「通ってきた道も隅々まで探したのに見つからないのです」

雷「……やっぱりあれね……」

電「?」

雷「ほら、夕張さんに話を聞きに行こうってなった時」

雷「誰かが影から覗いてた気がしたのよ」

電「誰かって、誰なのです?」

雷「そこまでは……私も気のせいだと思って気にしなかったから」

雷「ただ、もし本当に誰かが覗いていて、一部始終を見られたのなら」

雷「甘えん坊スプレーの存在を知って……」

電「電たちの隙を見て、すり替えた?」

雷「うん。目的は分からないけど、スプレーの用途から察するに、誰かを甘えさせたいんじゃないかしら」

電「……もしかして」

電「電たちと同じで司令官さんを……」

雷「可能性は高いわね。だから司令官を探せば犯人が分かるかも」

電「なるほどなのです! じゃあ司令官さんを探すのです!」

雷「そうね! まずは執務室よ!」

スタタタッ

――――

鹿島「どうですか提督さん」コリコリ

提督「気持ちいいし最高だ」

鹿島「よかった♡」

鹿島「はい、じゃあ次は反対側の耳です!」

提督「よし」クルッ

鹿島「動かないでくださいねー」コリコリ

提督「……」モゾモゾ

鹿島「あっ、こら! 動かないでって言ったのに」

提督「悪い、くすぐったくてつい」

鹿島「もー」クスクス


スタタタッ

バンッ!

雷「司令官! 誰かここに……鹿島さん!?」

鹿島「!!」

鹿島(雷ちゃんと電ちゃん。探しに来たのね……もう見つかるなんて!)

提督「ん? その声は雷に電か」

電「あっ! 司令官さんが膝枕されてるのです!」

雷「スプレーを使ったのよ! ひどいわ鹿島さん、私たちから盗んで司令官に…」

鹿島「え? ち、違うわ! 盗んだのは榛名さんよ!」

電「榛名さん? どこにいるのです?」

鹿島「出撃任務よ。すぐに終わらせて戻ってくるって言ってたけど」

雷「ということは」

電「鹿島さんはスプレーを使ってないのです?」

鹿島「それは……ごめんなさい、使いました」

雷「えっ、使ったの?」

鹿島「榛名さんに甘えてる提督さんを発見して、スプレーの説明を受けて……つい」

鹿島「本当にごめんなさい!」ペコリ

雷「……」


雷「ま、仕方ないわね」

鹿島「!」


雷「かけた人を甘えん坊にするスプレーなんて、使ってみたいと思うのが普通よ!」

電(それは違うと思うのです)

鹿島「雷ちゃん……!」

雷「安心して。今は鹿島さんと司令官、二人の時間だから」

雷「司令官を思う存分甘えさせてあげてね」ニコッ

鹿島「ありがとう!」

雷「あ、でもスプレーは返して欲しいかな」

鹿島「そうね……はい」スッ

提督「鹿島?」

鹿島「あ、ごめんなさい。続きしますね」コリコリ

雷「……」

電「雷ちゃん寛容なのです」

雷「褒められることじゃないわ」

雷「こうして司令官が、誰かに甘えてるのを見るのも幸せだし」フフッ

電「そ、そうなのです?」


提督「鹿島ー」ゴロン

鹿島「きゃっ! もー、耳かきができないじゃないですかー!」アハハ


雷「……」

電「太ももに顔を埋めるなんて、普段の司令官さんなら絶対にしないのです」

雷「……そうね」

雷(やっぱりちょっと悔しい)

電「ところで、スプレーの残りはどのくらいなのです?」

雷「私と電で2回、榛名さんと鹿島さんが何回使ったか分からないけど」

雷「1回ずつ使ったとして4回。まだ大丈夫だと思うけど」

電「振って確かめてみるのです」

雷「うん」

スカスカ

雷「……」

電「音がしないのです」

雷「そんなはずは……」スカスカ

雷「ち、ちょっとだけ出して確かめてみるわ」ポチッ

スー…

電「……」

雷「……」

電「もう中身がないのです」

雷「……」

鹿島「えーい! こちょこちょー!」

提督「や、やめろ鹿島っ! くすぐった……はははっ!」

鹿島「悪い子にはおしおきですよー!」コチョコチョ


雷「鹿島さん!」

鹿島「?」


鹿島「雷ちゃん、どうしたの?」

雷「事情が変わったの! 私に司令官を膝枕させて!」

鹿島「ええっ! そんな急に……」

電「スプレーの中身がもう無いのです!」

鹿島「!!」

雷「い、電! それを言ったら余計…」

鹿島「スプレーの中身がない? つまり」

鹿島「もうこんな提督さんを見ることはできないってこと……!」

また書いて更新します
できれば中2日ペースで

雷「わ、分からないわよ? 夕張さんに言えばきっと同じものを作ってくれるはずよ!」

鹿島「夕張さんが同じものを作れるかどうか保証はないでしょ」

雷「うう……!」

鹿島「雷ちゃんより鎮守府に住んでいる日数が少ない私でも知ってるわ」

鹿島「夕張さんは発明品が成功しても、全く同じものを作れた試しがないって!!」

雷「……」

鹿島「だからこんなに甘えてくれる提督さんは、もう二度と見れないかもしれない」

鹿島「ごめんね雷ちゃん。そういう事情なら私も……」

鹿島「提督さんを渡すわけにはいかないっ!」ゴゴゴゴゴ

雷「くっ!」ゴゴゴゴゴ

電(バトルでも始まりそうな勢いなのです!?)


スタタタッ

榛名「ちょっと待ってください!!」ハァ ハァ

電「榛名さん! もう出撃から帰ってきたのです!?」

榛名「ええ……MVPも取りました……」キラキラ

電「頑張りが伝わってくるのです……」

榛名「それより! もうスプレーがないって本当ですか!?」

雷「本当よ、確かめてみて」ヒョイッ

榛名「ガスコンロに使うくらい大きいのに?」キャッチ

スカスカ

榛名「無いですね……あっ」

榛名「スプレーといえば雷ちゃん電ちゃん! 盗んだりして本当にすみませんでしたっ!」ペコリ

電「このタイミングなのです?」

雷「気にしないで! それより今は時間が惜しいの!」

榛名「……鹿島さん」

鹿島「絶対に提督さんは渡しません!」ギュッ

榛名「……ひ」

榛名「ひとりじめは……よくないですよ」

鹿島「榛名さんが言いますか!?」

榛名「自分でもそう思いました。その節はごめんなさい」

榛名「でもスプレーの中身が無いのなら! 尚更ひとりじめはよくないです!」

鹿島「……」

鹿島「そうですね。では」


鹿島「力づくで奪ってみてください」

榛名「え?」


雷「司令官を引っ張るなんて、そんな乱暴なこと……!」

鹿島「もちろん物理的にじゃないですよ! 今提督さんはとてつもなく甘えたい衝動に駆られているんです」

鹿島「だから、提督さんがすっごく甘えたくなるような言動をすれば、おのずとそっちへ向かうんじゃないですか?」

電「な、なるほどなのです」

榛名「言われてみればそうですね」

榛名「で、でも……膝枕と耳かきの強力コンボに勝てるものなんて……!」

雷「……」

雷「望むところよ」スタスタ

電「雷ちゃん!」

榛名「まさか勝算が?」

雷「ううん。けど時間がないんだから挑戦しないと」

雷「いくわよ! 私が持っている力、見せてあげる!」

鹿島「……!」ゴクリ


雷「……ふふっ」ニコッ


雷「ほーら司令官っ、おいでー?」ニコニコ

雷「ママでちゅよー? お膝まできたら、いーっぱい甘えさせてあげまちゅよー?」パンパン


電・榛名・鹿島「……」


電「雷ちゃん何してるのです」

雷「話しかけないで、気が散るわ」

電「司令官さんをバカにしてるのです!?」

榛名「待って電ちゃん」

電「?」

榛名「案外いい作戦かもしれません」

榛名「一見小馬鹿にしてるように見えるけど、あれはきっと提督の深層心理に働きかけているんです」

電「深層心理?」

榛名「人は皆、誰かに甘えたいという願望を持っています」

榛名「男性に限れば、母親、お姉さん、彼女、奥さん、女の先生など」

電「……」

榛名「そして今の提督は『誰にでもとにかく甘えたい』という究極の甘えん坊モードです」

榛名「『甘えたい』と感じる要素が目前にあるなら、何にでも飛びついてしまうと思います」

電「つ、つまり」

電「普段の司令官さんがマザコンさんでなくても……」

榛名「雷ちゃん扮する『母親』に反応するでしょう」

電「な、なるほど……なのです……?」

鹿島「仮にその話が本当だとして!」

鹿島「果たして膝枕と耳かきに勝てますか!?」

榛名「それは……」


雷「司令官ー、いい子でちゅねー」

提督「」ピクッ

雷「ママのお膝でちゅよー。ここまできたら、いい子いい子してあげまちゅよー」

提督「……」ジー


電「反応してるのです!」

鹿島「まさか……!」

提督「……」プイッ

榛名「ああ、失敗! 膝枕と耳かきには適わなかった!」

雷(想定内よ。ここから追撃に移るわ)


雷「司令官ー? ママのお膝までこれば」

雷「お膝でねんねしながら、お耳をかきかきしてあげまちゅよー」

鹿島「!?」

提督「」ピクッ

提督「お……おひざ……ネンネ……」

提督「オミミ……カキカキ……」

提督「あ……ああ、あ……ああ……!」プルプル




提督「ばーぶ」


電・榛名・鹿島「!?!?!?」


提督「あーうー」ヨチヨチ


電・榛名・鹿島「」


雷(よし、成功よ!)

雷「はーいその調子その調子! ここまでおいでー」

提督「まーまー」ギュッ

雷「よーしいい子いい子ー、ママでちゅよー」ナデナデ

提督「ねんねー、かきかきー」

雷「今やってあげまちゅねー」


鹿島「て、提督さんが……」

榛名「赤ちゃんに戻った!?」

電「こ……これも甘えん坊スプレーの効力なのです……?」

電「見たくないのです……電はあんな司令官さん見たくないのです……!」プルプル

榛名「……可愛い」ボソッ

電「ええっ!?」ガーン

鹿島「けどどうして雷ちゃんの方へ? 同じ膝枕と耳かきなのに」

榛名「いえ、同じではないと思います」

鹿島「え?」

榛名「これはあくまで榛名の個人的な見解ですが」

榛名「雷ちゃんには今、ある属性がプラスされています」

鹿島「属性?」

榛名「言うなればママ属性です。だからノーマル無属性だった鹿島さんよりも、膝枕&耳かきの破壊力は上なのだと思います」

鹿島「な、なるほど」

電(何を言ってるのです)

鹿島「じゃあ私もママ属性で反撃します!」

雷「無駄よ。司令官は今、私をママだと認識しているの」

雷「普通に考えてママは2人もいない! いらないのよ!」

鹿島「!!」

榛名「た、確かにその通り……もうママで攻めても無意味ですね」

電「……」

提督「ねんねー、かきかきー」

雷「ごめんごめん今やりまちゅねー」コリコリ

提督「あーい」

雷「ふふっ、可愛い」コリコリ

榛名「ぐぬぬ……このままでは残り全ての時間が雷ちゃんに」

鹿島「……榛名さん」

鹿島「さっき言いましたよね。私は無属性だったから、ママ属性の雷ちゃんに負けたんだって」

榛名「? は、はい」

鹿島「それじゃあこれならどうですか」スッ


鹿島「……てーちゃん♪」ニコッ

鹿島「ねーねー、こっち来て一緒にお昼寝しよっ?」ニコニコ


榛名「あ、あれは……!」

電「鹿島さん何してるのです?」

榛名「雷ちゃんに対抗するべく属性を身に付けようとしているんです!」

榛名「察するにたぶん……彼女属性!!」

電「彼女属性」

鹿島「添い寝してあげるよー? ほら、早くこっちに来て?」

提督「」ピクッ

雷(司令官が反応してる!? やるわね!)

提督「……」ジー

鹿島「てーちゃん! 早く来なさい! 10秒以内に来ないと、もう一緒にお風呂も入ってあげないよ!」

提督「!」

鹿島「いいのかなぁー? 10、9、8…」


電「というか『てーちゃん』って何なのです」

榛名「『提督』だから『てーちゃん』ですね。恋人間での特別な呼び名を意識しているんだと思います」

電「……」


鹿島「5、4、ホントにいいのかなー? いいのかなー? 3、2」

提督「うっ……ぐぐ……」

雷(し、司令官が!)

鹿島「1……ぜーーー…」

提督「うがあぁぁぁぁぁ!!」ガバッ

提督「鹿島ちゃぁぁぁぁぁん!!」ズザザーッ

鹿島「ギリギリせーふ! よくできましたー♡」ナデナデ

提督「膝枕して?」

鹿島「いいよ、ご褒美ね」ナデナデ

雷「ま……負けた……」ガクッ

電「赤ちゃんから急成長したのです! あと膝枕&耳かきで釣ってないのに勝ったのです!」

榛名「提督の中では、ママより彼女がいいみたいですね」


提督「鹿島ちゃん、その……」

鹿島「ん?」

提督「添い寝を……」

鹿島「クスッ、いいよ♡ じゃあソファーに寝転がって?」

提督「うん!」


電「あの司令官さんもちょっと嫌なのです」

榛名「マズいです! 寝てしまったらもう打つ手がありません!」

電「ところで雷ちゃん、大丈夫なのです?」

雷「燃え尽きたわ。真っ白にね」フフ…

ここまでで
なぜ中2日と言ったのか…2日おきでよかったのに

鹿島「はいごろーん」

提督「ごろーん」

鹿島「鹿島も一緒にごろーん」ゴローン

提督「……そういえば」

鹿島「ん?」

提督「あまり眠くなかった」

鹿島「えへへ……実は私も」

鹿島「眠たくなるまでイチャイチャする?」

提督「する!!」


榛名(み、見せつけますね!)

榛名(榛名もなにか属性を付けないと。彼女に対抗するには……!)

榛名(そうだ!)ピーン


榛名「……こら! あなた!」プンプン

電(あ、今度は榛名さんの攻撃が始まったのです)

提督「!?」ビクッ

榛名「洗濯物はちゃんとカゴに入れてっていつも言ってるじゃないですか!」

榛名「それにこのキスマーク、一体誰につけられたんです?」

雷「……恐らくあれは奥さん属性ね」

電(雷ちゃん!? 急に説明を……)

電「奥さん属性?」

雷「呼称や雰囲気から察するに、まだ結婚して間もない新妻、といったところかしら」

電「そ、そこまで分かるのです……?」

榛名「どうせまた上司の人との付き合いとか言うんでしょう! そんなの聞き飽きましたから!」

電(設定が生々しいのです)

電「というか、あんなに怒って大丈夫なのです? 提督を甘えさせたいのに」

雷「そうね。何を考えてるのかしら」

提督「……」ジーー

鹿島(提督さんが興味を惹かれてる。でも)

鹿島(ふふ、そんな態度じゃ絶対に甘えてくれませんよ。これは私が独占決定ですね)

鹿島「てーちゃん♪ こっち見て?」

提督「……」

鹿島「てーちゃん?」

鹿島(おかしい、榛名さんからずっと目を離さない)

榛名「で、相手の女性にどんなことされたんです? キスだけ?」

提督「……」

榛名「そうですか。正直に言わないなら……」


榛名「もう甘えさせてあげません」プイッ

提督「……!」ピクッ


鹿島(!? な、何を言ってるの榛名さん)

鹿島(そんなセリフ、逆効果じゃ……!)

榛名「耳かきも膝枕も」

榛名「頭なでなでも、こちょこちょも全部、ぜーんぶしてあげません」

提督「っ……」

榛名「あーあ、本当に残念です。隠さずに言ったら、すっごく甘えさせてあげようと思ってたのに」

提督「!!」

提督「……す、すっごく……甘えさせて……」ドキドキ

榛名「そう。朝から晩までずっと。これでもかというくらい。死ぬほど」

榛名「もう嫌だと泣いてもやめてあげません」

提督「……!!」ドキドキ


電「わけが分からないのです」

雷「ま、まあ司令官が反応してるから」

雷「けど恐れ入ったわ榛名さん。かなりの技術よ」

電(技術って)

電「あれは計算なのです?」

雷「ええ、鹿島さんの誘い方のパワーアップ版ね。順を追って説明すると」

雷「まず自分が怒っているという態度を見せて本気度を高め」

雷「『もう甘えさせてあげない』と発言することにより」

雷「『このままでは本当に甘えさせてもらえないかも』と根強く意識させる」

電「……」

雷「そしてここでチラつかせるのよ。『もし本当のことを言ったら、すっごく甘えさせてあげるのに』って」

雷「重要なのは『すっごく甘えさせる』の部分ね。具体的に内容を述べないことで司令官は妄想してしまうわ」

雷「『一体どんなこと? もしかして耳かきや膝枕よりすごいこと?』」

電「……」

電(榛名さんといい雷ちゃんといい、何で急に饒舌になるのです)

雷「さらにそこに『朝から晩まで。死ぬほど』なんてワードが入ったら……」


提督「……ほ……本当に、」

鹿島「!」

提督「本当に……すっごく甘えさせて……?」

榛名「正直に言ったらの話です。でももう遅いですね、残念…」

提督「待ってくれっ!」

榛名「……」

鹿島(て、提督さんが……!)

提督「わ……わ……」


提督「分かった言う!! キスだけだ!!」ガバッ


提督「シャツにキスされただけなんだ! それ以上は何も…」

榛名「本当ですか?」

提督「本当だ信じてくれ!! 頼む!!」

榛名「……」

榛名「分かりました」

提督「!」

榛名「あなたの言葉、信じます」ニコッ

提督「は、榛名……!」

榛名「でも、甘えさせてあげる話は無しですね」

提督「え!? 何でっ!?」ガーン

榛名「言ったでしょう、もう遅いって」

提督「そんな……」ガクッ

榛名「……、なーんてね」

提督「?」


榛名「ふふっ、ウソですよっ」ギュッ

提督「は、榛名」

榛名「今日はとことん私に甘えてくださいね?♡」ボソッ

提督「榛名ぁぁぁぁぁ!!」ギュッ

鹿島「ば、バカな」ガクッ

鹿島「ううっ……負けたんですか、私……!」ガクッ

雷「仕方ないわ」ポンッ

鹿島「雷ちゃん」

雷「提督は彼女より奥さん派だった。そして榛名さんの技量も私たちより上」

鹿島「……そう、ね。悔しいけど認めるしかないのかも」

電「……」

電(こう言ってはなんですけど、とんだ茶番なのです)


榛名「さあ、まずは何からしてあげましょうか?」

提督「膝枕ー! 耳かきー!」

榛名「好きですねぇー。いいですよ、じゃあソファーへ」

榛名(ふふふ、もう私を上回ることなんてできないでしょう!)

榛名(このまま残りの時間を独占です!)

鹿島「ぐぅ……でもこのまま指を加えて見てるなんて……!」

雷「できないわね……! 何か他の属性を試そうかしら?」


コンコン

雷「あっ、誰か来たわ!」

電「マズいのです! こんなとこ見られたらどうなるか……」

???「失礼します提督」ガチャッ


鳳翔「おにぎりを握ったので、お仕事の合間に召し上がってください」ニコッ

提督「!!」ビクンッ


榛名「!?」

榛名(提督が今までにない反応を!)

提督「お、おおお、おお……」


提督「お母さぁぁぁぁぁんっ!!」ダキッ

鳳翔「きゃっ!? て、提督?」


雷・鹿島・榛名「」

電「し……瞬殺なのです……」


――――

鳳翔「なるほど。それでこんなことに」ナデナデ

提督「♪」スリスリ

電(膝枕されて太ももにスリスリしてるのです。まるで子供なのです)

鹿島「スプレーの残りが無くて、私たち必死にアピールしたんですけど」

榛名「何もしてない鳳翔さんに負けるなんて……」

雷「ううん、鳳翔さんはちゃんと甘えたくなる言動をしていたわ」

電「?」

雷「ほら、おにぎりを持って部屋に入ってきたでしょ」

雷「それがきっと響いたのね、言い表すなら『お母さん』属性かしら」

電「お母さん属性? ママと何が違うのです?」

雷「大違いよ。ただ、それを差し引いても」

雷「鳳翔さんが普段から纏っている強力なお母さんオーラで、司令官はやられてたでしょうね」

鳳翔「……私、そんなに老けて見えるでしょうか」

雷「あっ、違うのよ! 鳳翔さんの雰囲気のことを言ってるだけだから!」

榛名「鳳翔さんは、私たち艦娘のお母さん的立場というか!」

鹿島「決して年齢が顔に出てるって意味では……!」

ここまでで
明後日に最後まで更新できると思います

提督「……ん?」ピクッ

提督「はっ! お、俺は……一体何をしてたんだ?」

電「司令官さんが元に戻ったのです!」

雷「効果が切れたのね」

提督「皆して、どうしたんだ? 何で執務室に集まってるんだ」

榛名「……ひょっとして」

鹿島「甘えてた記憶がない?」

提督「甘えてた……記憶……うっ!!」ズキッ

提督「な、何だ……何かとても恥ずかしい事をしてしまったような気が……!」ワナワナ

電「覚えてないならそれでいいのですっ! 無理しないでなのですっ!」ナデナデ

提督「!!」

提督「こ、この頭を撫でられる感覚……俺は……俺は……!!」


提督「あ」


提督「うわあああああああ!!」カァァ

全員「!?」ビクッ

提督「全部思い出したぁぁぁ!! 俺は何て恥ずかしいことをぉぉぉ!!」

鳳翔「提督、落ち着いてください!」

提督「鳳翔!? 本当にすまない鳳翔!! 俺はお前にお母さんなどとぉぉぉぉぉ!!」ガンッ ガンッ

榛名「土下座で床に頭を打ちつけるのやめてください!!」

提督「というか誰だ!! 俺に何かを吹きかけたのは!?」

雷・電・榛名・鹿島「!」ギクッ

提督「思い出したぞ! 何かを吹きかけられたせいで俺はおかしくなったんだ!!」

電「……雷ちゃん」

雷「そうね、隠さずに言うべきよ」

雷「あのね司令官。実は……」


――――


提督「甘えん坊になるスプレー?」

雷「ごめんなさいっ!」ペコリ

雷「司令官、何でも一人で背負い込んで、全部自分で解決しちゃうから」

雷「一回だけでも甘えて欲しいなって思って、夕張さんに頼んで作ってもらったの……」

提督「……」

電「電も使ったのです、ごめんなさいなのです」ペコリ

榛名「榛名も調子に乗って提督を……本当にすみませんでした」ペコリ

鹿島「ごめんなさい、提督さん」ペコリ

提督「……はぁ。まあ明石か夕張のどちらかだろうとは思ってたが」

提督「それで? 気は済んだのか?」

雷「充分すぎるくらいよ」

提督「じゃあもうスプレーは使わないんだな」

電「もちろんなのです!」

提督「……」


提督「よし、じゃあ許そう」

雷「えっ」


雷「こんなにあっさり、いいの?」

提督「ああ。でも鳳翔には迷惑をかけてしまったから、謝るように」

雷「ごめんなさい鳳翔さん」ペコリ

電「反省なのです」ペコリ

榛名「ご迷惑をおかけしました」ペコリ

鹿島「ごめんなさい……」ペコリ

鳳翔「あ、頭まで下げなくても……気にしていませんから」

提督「俺ももう一度謝る。あれは忘れてくれ」ペコリ

提督「それと、俺がとった言動は心の奥底にしまっておいてくれ」

提督「鎮守府全体に知れ渡ったりしたら……!」ゾクッ

榛名「もちろんです!」

鹿島「言い触らしたりなんかしません!」

提督「本当だろうな?」

雷「絶対よ! 誓うわ!」

提督「よし」スッ

スタスタ

電「どこに行くのです?」

提督「夕張のところだ。もう変な物は作るなと説教してくる」

バタンッ

電「夕張さんにも、悪いことをしたのです?」

雷「思えば悪魔の囁きだったわね。でも、あとで謝りに行きましょう」



――翌日――


コンコン

雷「失礼するわ司令官」

提督「雷か、入ってくれ」カキカキ

ガチャッ

雷「遠征が終わったから、その報告に来たの」

提督「ご苦労様。ゆっくり体を休めてくれ」

提督「ふぅ、俺も少し休憩するか。肩がやたら重いな」パキポキ

雷「! あの……司令官」

提督「何だ?」

雷「えっと……よかったら……肩を……」

雷「……ううん、何でもない! 部屋に戻るわね!」ニコッ

スタスタ

提督「……」

提督「あー、やっぱり肩が凝って仕方ないな」

提督「誰かに揉んで欲しい気分だが……そんな苦労をかけるわけにもいかないか」

雷「!」

雷「ね、ねえ司令官! よかったらその役目、私に任せてもらえない?」

提督「え? いいのか? 遠征から帰ってきたばかりなのに」

雷「ドンとこい、よ!」ニコニコ

提督「……そうか、それじゃあせっかくだし」

提督「お言葉に甘えようかな」



おわり

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