ぐだ子「ナイチンゲール殺人事件」 (47)

~カルデア入口~


婦長「出発の準備は整っていますか」

ぐだ子「うん、バッチリだよ」

婦長「見た所、防寒着が薄いように感じます」

婦長「カルデアの外は吹雪です、過剰な寒さは人の健康に害を齎します」

婦長「何か体が温まるような飲み物、アルコールを持って行くのも手段の一つです」

ぐだ子「ええー、けど私は未成年だし」

婦長「私が用意しておいた救急セットには、一通りの物が含まれていますので活用してください、いいですね?」

ぐだ子「はーい」

ジャンヌリリィ「……」

ぐだ子「あれ、どうしたの?」

リリィ「はい、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィです、長いので何時ものようにリリィとお呼びください……」

リリィ「ずるいです」

ぐだ子「え?」

リリィ「私も行きたいです、トナカイさんについていきたいです……」

ぐだ子「ううーん、今回ばかりは難しいかも」

リリィ「行きたいです行きたいです行きたいんです―!」

ぐだ子「魔術協会から、随伴サーヴァントは1人だけって指定されちゃってるからなあ」

リリィ「うう、うぅぅぅ……」

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フェイカス

ぐだ子「ありがと、リリィは私の事を心配してくれてるんだよね」ナデナデ

ぐだ子「けど、大丈夫だよ、今回はちょっと交渉に行って来るだけだし、危険は無いから」

リリィ「けど……」

ぐだ子「それに、魔術協会に縁のある彼女も一緒に行ってくれるしね」

リリィ「……彼女なら確かに、トナカイさんを任せられます、けど」

ぐだ子「もー、そんな顔しないで、一か月もしないうちに戻ってこれるからさ」

リリィ「……はい」

婦長「ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ、顔色が悪いですね、診察が必要ですか」

リリィ「い、いらないです!私は常に元気ですから!」

ぐだ子「あははは」

エレナ「はーい、ぐだ子ちゃん、こっちの準備は終わったわよ」トテトテ

マシュ「私の方も、必要なデータの印刷が終了しました」テクテク

ぐだ子「ありがとね、マシュ、これでこっちも準備オッケー」ガサガサ

エレナ「じゃあ、そろそろ出発しましょうか」

ぐだ子「あ、ちょっと待って」

マシュ「先輩?」

ぐだ子「マシュ、暫く留守になるけど……」

マシュ「……はい、マシュ・キリエライト、この門は決して誰も通しません」

マシュ「カルデア内で何か問題が発生した場合は、ジャンヌさん達と共に解決に努めます」

マシュ「ですから、先輩はどうか心配なさらずに」

ぐだ子「……うん、一応トラブルシューティングは置いておいたから、何かあったら参考にしてね」

マシュ「はい!」

よっしゃ新作やんけ

エレナ「じゃあ、ぐだ子ちゃん、もう一度任務の確認を」

ぐだ子「了解」

ぐだ子「カルデアは現在、所長と医療部門の責任者を欠いてる状態」

ぐだ子「だから、近いうちに魔術協会か、若しくはアニムスフィア家から必要な人材が派遣されてくる事になると思う」

ぐだ子「けど……医療部門に関しては既に代理の責任者がいるんだよね」

ぐだ子「人理修復後、責任者が居なくなって管理の乱れた医療部門を瞬く間に統括した人」

ぐだ子「それが……」

エレナ「フローレンス・ナイチンゲールね」

エレナ「そう、現在、カルデアの医療部門は彼女を中心に結束してるわ」

エレナ「正直、今更外部の責任者を必要としてないくらいには」

エレナ「けれども、そんな状況を説明しても魔術協会は首を縦に振らないでしょうね」

エレナ「管理責任者は全て自分達の手駒で揃えたい……そう考えるはずよ」

エレナ「けどね、彼らだってカルデアが管理しているサーヴァントを軽視する訳にはいかないの」

エレナ「私達は、言ってみれば神秘の塊なのだから」

エレナ「可能な限り機嫌を取ろう、そう考える派閥もいるはずよ」

エレナ「そこのバランスを考えて交渉して、ナイチンゲールを正式な医療部門責任者に就任させるのが、今回の目的ね」

ぐだ子「ううう、けど、上手く行くかなそれ、魔術協会って何か怖いイメージしかないんだけど」

エレナ「怖いし、酷いわよ、あそこは」

エレナ「彼らは自己保身の塊だし、新しい技術なんて認めないし、記憶を消して放逐とか普通にするし」

エレナ「人間を研究材料にするし、出てくるコーヒーは不味いし、論文提出しても紛失するし」

エレナ「その癖、論文の内容について笑い物にしたりするのよ、読んでるんじゃないどのタイミングで紛失したのよ」

エレナ「ぐぎぎぎ……」

ぐだ子「……エレナさん、あそこの話題する時は、なんか、何時も機嫌悪いよね」

エレナ「ふぅ……まあ、生前は色々とぶつかったから」

エレナ「昔の事だから気にしないようにしてるけど、どうしてもね」

エレナ「……けどね、保身的だからこそ、利己的な交渉を持ちかければ通用する可能性が高いの」

エレナ「今回、魔術協会はカルデアの功績を認めてはいるわ」

エレナ「けれど、事件が大きすぎて全容を把握は出来ていない」

エレナ「そこに付け入る隙がある」

そんな話をしながら、ぐだ子とエレナはカルデアを旅立って行った。

残されたサーヴァント達は、当面は大人しくしていた。


10日間は、何も起こらなかった。


15日後に、些細な喧嘩が起ったが、ジャンヌ・ダルクが鎮静化させた。


20日後、事件が起こった。

~休憩室~


エリザ「日本に行きたいわ」

ニト「何ですか、唐突に」

エリザ「だって、折角2000年代初頭に居るのよ、だったらその時代を観光してみたいじゃない」

茨木「くはは、良い選択だな、日本は良いぞ、特に山が美しい」

茨木「吾も、久しぶりに京が見たくなってきたわ」

エリザ「山は良く知らないけど、日本はアレの発祥地なのよ」

ニト「アレとは何ですか、具体的に言いなさい、ファラオの前で隠し事をする物ではありません」

エリザ「アレはアレよ、アイドルの概念よ」

ニト「ああ、貴女が何時も言っているアレですか」

エリザ「私が知ってるのは、データ上でのモノだけよ」

エリザ「それらは、私の血肉になったと言ってもいいわ」

エリザ「けど、実際に見た事は無いのよ」

エリザ「街中で行われるライブを」

エリザ「大きな屋外ステージを貸し切って行われるコンサートを」

エリザ「歌と踊りによる饗宴を、拍手を、声援を、紙テープを」

茨木「良く分からんが、望みがあるなら行けばよかろう、カルデアの門を開けて走ればすぐだ」

エリザ「けど、怒られないかしら、子シカには大人しくしててねって言われたし」

茨木「あの娘とて、今は異国の地へ出向いているではないか」

茨木「きっと美味い物を食べて、楽しんでおるのだろう」

茨木「なれば、吾や汝が日本へ出向いても、不義にはならんだろう」

エリザ「ううーん……」

ニト「待ちなさい、私もぐだ子から貴女達が無茶しないよう見張っておくよう言われているのです」

ニト「そもそも、日本の位置は判っているのですか」

ニト「迷子になってしまえば、カルデアに戻ってくることすらできなくなるのですよ」

ニト「カルデアから魔力供給を受けている私達にとって、それは致命的です」

エリザ「ニトクリスは地図を読める?」

ニト「当然です、私はファラオですからあらゆる学問に精通しているのです」

エリザ「なら安心ね、頼りにしているわ」

ニト「ふふふ、任せなさい、しかしそう正面から言われると照れてしまいますね」

ニト「所で、何時の間にか私も同行する事になっている気がするのですが」

茨木「では、行くか」

エリザ「ええ、そうね」

~カルデア入口~


マシュ「残念ながら、ここは通せません」

エリザ「少しだけよ、1日程度で戻ってくるから」

マシュ「いけません、先輩からココは誰も通すなと言われています」

茨木「これは、厄介な門番が居たものだな」

マシュ「通せ、ません」

エリザ「ぐぬぬぬぬ」

茨木「どうする、赤角、突破するなら手伝うが」

ニト「マシュの宝具を突破するのには、時間が足りないでしょう、騒ぎを聞きつければジャンヌ達がやってきます」


「ええ、その通りです」


エリザ「貴女は……」

ニト「ジャンヌ・ダルク、もう来たのですか」

ジャンヌ「ええ、私はぐだ子からマスター代行の任務を与えられていますから」

ジャンヌ「私が居る限り、サーヴァント達の無法を許しはしません」

茨木「……気に食わんな、吾はお前をマスターと認めた覚えは無い」

茨木「あまり調子に乗ると……喉仏を切り裂いてしまうぞ?」

ジャンヌ「……はい、そんな不満が出ることも考慮しています」

ジャンヌ「だからこそ、私は貴女達の願いを、条件付きで受け入れようと思っています」

ニト「条件付き?」

エリザ「へえ、貴女にしては随分と話が判るじゃない」

ジャンヌ「はい、これが精いっぱいの譲歩です」

茨木「で、その条件とは何だ」

ジャンヌ「簡単です、宝探しゲームをクリアする事です」

エリザ「宝?」

ニト「探し?」

茨木「げぇむ?」

ルール1:ゲームの会場はカルデア内部全域

ルール2:宝は1つのみ、マスターキーの形状で会場内に隠されている

ルール3:それを見つけて門番であるマシュに届けた者が優勝

ルール4:破壊行為を行った場合は失格

ルール5:殺人行為を行った場合も失格

ルール6:優勝者はマスターキーの所有権が与えられる

ルール7:マスターキーを使えば、カルデア内の扉は全て開ける事が出来る

ルール8:マスターキー所有者が扉を開ける行為を妨害してはならない


ジャンヌ「ルールは、このような感じで掲示しておきますね」

エリザ「……」

ニト「……」

茨木「……」

エリザ「つまり、マスターキーを使えば外に出られるって事よね、これは美味しいわ」

ニト「鍵を無くしてしまった机の錠も開けられるでしょうか、中に暗黒の鏡を入れっぱなしなのでそろそろ機嫌を悪くしてないか心配です」

茨木「宝を探す競い合いか、くはは、盗賊団を率いていた吾に勝てる者なぞ居る訳がなかろう」ワクワク

頼光「最近、あの子の部屋の扉に、頑丈な鍵が付いてしまったのですよね」

清姫「ますたぁきぃ、万能鍵、それならばますたぁの部屋に入り放題と言う事ですか」

静謐「誰にも妨害されずに、扉を開ける事が、出来るのですね、なら、気が弱い私でも、堂々と、ふふふ、恋人みたいに」


マシュ「ジャンヌさん!参加希望者がいつの間にか増えています!」

ジャンヌ「はい、それも想定のうちです」

ジャンヌ「ぐだ子から貰ったトラブルシューティングには、こう記されています」


「サーヴァント達が何か無茶な要求をしてきた場合、それを完全に否定していけません」

「条件付きで、受け入れること」

「そうすれば、取りあえず流血沙汰は避けられます」

「また、その条件は何か楽しい事が望ましいです」

「皆で参加できるイベントの賞品にしておくのが理想的」

「ちゃんと楽しい事を与えてあげれば、要求を否定された子が暴れちゃう事もありません」

「これは秘密ですが、イベント運営と参加者の一部が結託すれば、無難な人物を優勝者にすることが可能です」

「最後の手段として、考慮しておいてね」


マシュ「な、なるほど」

ジャンヌ「イベント運営は私が行います、そして、参加者を内部から誘導するのが……」

あの、ぐだ子よ。安全なのか参加してないんですが

リリィ「わあ!楽しそうなイベントです!私も参加したいです―!」

オルタ「ふふふ、そうね、楽しそうじゃない、横合いからかっさらってマスターキーを破壊すれば、貴女達はどんな顔するかしらね」

リリィ「成長した私!折角のイベントに水を差すのは止めてください!」

オルタ「あら、だったら貴女が勝てばいいだけの話じゃない?」

リリィ「皆さん!成長した私にだけはマスターキーを渡さないようにしましょう!」

オルタ「はっ、ここにいる全員が敵って訳ね、いいわよ、相手になってあげる」


ジャンヌ「あの2人です」

マシュ「大丈夫でしょうか、何だか険悪な感じですけど」

ジャンヌ「ええ、あれで良いのです、オルタが仮想敵になり周りを煽る事でゲームの流れを読みやすくできます」

ジャンヌ「最終的にはリリィか、または他の無難な参加者が優勝するように仕向けましょう」

マシュ「了解です、所でジャンヌさん」

ジャンヌ「何でしょう」

マシュ「マスターキーは、何処に隠してあるんです?」

ジャンヌ「それは……秘密です」ニコリ

最終的に、イベントはカルデアに残った大半のサーヴァントが参加する程の規模になった。

ぐだ子が居なくて、皆、暇を持て余していたのだ。

このイベントが、良い息抜きになるはずだった。





はずだったのだ。


~幕間情報~


・ぐだ子
ナイチンゲールを医療部門責任者にする為、ロンドンへ出張中


・エレナ
ぐだ子に同行してロンドンへ出張中
魔術協会と縁がある


・マシュ
ぐだ子の命を受けカルデア門を守護中
誰も通しません


 

~ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ視点~



「ううう、結局、昨日は発見できませんでした」

「本来の私は、何処にマスターキーを隠したのでしょうか」


そう、私は本気でこのゲームに勝つつもりです。

確かに本来の私、聖女ジャンヌ・ダルクとは約束しました。


危険な相手にマスターキーが渡らないよう協力する、と。

仮に私が優勝したとしても、マスターキーは返上する、と。


けど、1回くらい使用するチャンスはあるはずです。

その機会を使って、私はカルデアから出るつもりです。

トナカイさんを、追いかけるつもりです。


だって、もう3週間近くも会ってないのです。

不安で不安で、仕方ないんです。


もしかしたら、トナカイさんは私を忘れているかも。

もしかしたら、トナカイさんは魔術協会の影響を受けて変わってしまっているかも。

もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら。


そんな考えが、止みません。

私は、本来は存在するはずのないサーヴァントです。

トナカイさんが居なければ、存在する意味のなくなるサーヴァントです。

だから、だからきっと。

他のサーヴァント達よりは、トナカイさんへの依存度が高いのでしょう。

どうしても、どうしてもこの気持ちを抑える事が、出来ません。

出来ないんです。

廊下を見渡すと、早朝だと言うのに何人かのサーヴァントが見受けられました。

皆、宝を探しているのでしょう。

私も負ける訳にはいきません。

ジャックやナーサリーと合流して、宝探しを続けましょう。

その前に……。


「ロビン・フットさん!廊下を走ってはいけません!」


私は、廊下を走っていたロビンさんに声をかけました。

大人なのに、常識を守れないようではいけません。

論破です。


「すまねえ!ちょっと非常事態なんだ!」

「非常事態って、何ですか?」

「いや、まさかあいつら、あんな事をやるとは思ってなくてな」

「……意味が判りません」

「ああ、もう、説明する時間が惜しい、多分もうじき状況が放送されると思うから、それ聞いといてくれ!」

「あ、だから廊下は走ってはいけないと……!」


私の言葉を半ば無視して、ロビンさんは走って行ってしまいました。

何ですかあれは。

私が子供だから、ちゃんと話してくれなかったのでしょうか。

この手の状況は、良く発生します。

トナカイさんなら、ちゃんと私の話を聞いてくれるのに。

私は気を取り直して、ナーサリーの部屋を訪れました。

ノックを3回。


「もう朝ですよナーサリー、夢の時間はおしまいです」

「今日もくるくる張り切って、門の鍵を探しましょう」


返事はありません。

本であるナーサリーは基本的に眠りませんが、眠ったフリをするのは大好きです。

だから今回は「寝坊したフリ」をしてるのかもしれません。


そう考えて暫く待ってみましたが、やはり応答がありません。

ジャックの部屋にでも行っているのでしょうか。

若しくは、最近仲が良くなった茨木童子の所とか?


私は正直、ハロウィン勢である茨木童子は好きではないのですが。

それでも「友達」の交友関係に口を出すほど、野暮ではありません。


本当は、少しだけ胸に刺さる物があるのですけど、きっと気のせいです。

ジャックの部屋にやってきました。

今度は、ノックをするまでもなく扉を開けます。


「ジャック、起きてください、朝ですよ」


彼女は基本的に、扉に鍵をしません。

何度言っても、それは改善されません。

だって、ジャックにとって扉の鍵は「簡単にメスで切れてしまう物」にしか過ぎないのですから。

施錠という行為に意味を見出せないのです。

そんな訳で、今回も扉を開けて中に入ったのですが。


ジャック・ザ・リッパーは、部屋の中に居ませんでした。

朝の弱い彼女にしては、珍しい状況です。

これは、ナーサリーに同行して何処かに行ってしまったと考えるのが妥当でしょう。


何だか、仲間外れにされてしまった気分ではありますが。

そんなのは、きっと気にしすぎなのです。

1人で行動する事が少ない私は、フラフラフラと2人を探して歩きまわります。

休憩室には、居ませんでした。

お風呂にも、居ませんでした。

何処に行ったのでしょう。


そう言えば、昨日。

三人で宝探ししている時に。


ナーサリー「見つからないわ、見つからないの、つまらないのだわー」

リリィ「はい、何処に隠したんでしょうね、本来の私は」

ジャック「ねえねえ、宝って、これじゃない?」

リリィ「これは……錠前ですね、鍵ではないです」

ナーサリー「残念ね、ジャック」

ジャック「あーあ、折角切ってきたのに」

リリィ「……待って下さい、ジャック、これ何処に置いてあったものなんです?」

ジャック「えーとね、大きな広場の鍵だよ」

ナーサリー「ああ、ジャックったら、扉を封鎖してた錠前を切ってきちゃったのね」

リリィ「これって、破壊行為したら失格ってルールに該当しちゃいますかね……」

ジャック「だめだった?」

ナーサリー「大丈夫よ、ジャック」

ナーサリー「だって、カルデアの全てが宝探しの対象なんだもの」

リリィ「……そうですね、本来は、錠前で封鎖してあるエリアがある事のほうがおかしいんです」

リリィ「これはきっと、本来の私が鍵を開け忘れてただけです」

リリィ「そのミスを私達がフォローしただけです」

リリィ「きっと怒られません」

リリィ「論破できます」

ジャック「やったあ!」

ナーサリー「やったのだわ!」

そうです、もしかしたら2人は。

昨日、ジャックが開放した場所を調査に行ったのかもしれません。

確か、ジャックは大きな広場と言ってました。

カルデア内には、幾つか広場と呼ばれる場所が存在しますが。

「大きな広場」と言われると、一つしかありません。


改装中の「大回廊」


本来は、大勢の来賓を招いて式典等を行う場所。

あそこなら、確かに普段は錠前で封鎖されていたはずです。

少し、覗きに行ってみましょう。

大回廊前の扉まで、到着しました。

案の定、錠前は無くなっています。

恐らく、昨日の夜、ジャックが持ち帰ってきたのがココの錠前だったのでしょう。

2人は中に居るのかもしれません。


私は扉を開けて、中を覗いてみました。


まず目に入ったのが、床に開けられた巨大な穴です。

これは諸事情により、とあるサーヴァントが無理やり穴を開けた跡なのですが、まだ復旧が済んでいません。

この大回廊が閉鎖されてるのは、コレが理由ですね。


それは、知っていました。

けど。

もう1つ。

もう1つ、私の目を引くものが、大回廊の中にありました。

その事について、私は一切知らなかったのです。

まさか、まさかそんな物が、大回廊にあるなんて。

それは、床に倒れていました。

それは、血に塗れていました。

それは、知っている人物でした。

それは、多分、きっと。



死んでいました。



大回廊に開けられた穴の手前で。

フローレンス・ナイチンゲールが。



死んでいたのです。



私は頭が真っ白になりました。

思考を続けられません。

そんな私の耳に、警報音が聞こえました。


「非常事態発生、非常事態発生」

「カルデア内部にて反乱が発生しました」

「エリザベート・バートリーの一行を捕縛してください」

「繰り返します、非常事態発生、非常事態発生」

「カルデア内部にて反乱が発生しました、首謀者はエリザベート・バートリー」

「彼女を、いえ彼女達を逃がしてはいけません、絶対にです」


スピーカーから流れる非常放送を。

私は、ただぼんやりと聞いていました。


~幕間情報~


・ジャンヌ・ダルク
ぐだ子から「マスター代行」の任務を与えられており、それを遵守したいと考える
「監督者」の立ち位置から、サーヴァント達が致命的な行動をとらないよう調整している


・ジャンヌ・ダルク・オルタ
「反英雄」の立ち位置から、サーヴァント達が致命的な行動をとらないよう調整している
本音は不明


・ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ
「正しき英雄」の立ち位置から、サーヴァント達が致命的な行動をとらないよう調整している
ナーサリーやジャックと共に、ぐだ子を追い、ロンドンへ行きたいと考えている。


 

~ジャンヌ・ダルク・オルタ視点~


こうして、宝探しが始まった。


私の役目は、言ってみれば狼だ。

私が出向けば、誰も彼もが警戒する。

場合によっては、一致団結して妨害してくる。

コイツのように。


「ねえ、何時まで付いてきているのかしら、静謐のハサン」

「……私は、頼まれています、貴女を監視するように、と」

「へー、じゃあ例えば、私が寝る時にも部屋についてくるワケ?」

「はい、三人交代で、部屋の外から、監視する計画、です」

「ふーん」


つまり、静謐のハサンには仲間があと二人いるって事ね。

他のハサン達の力を借りてるのか、若しくは「ぐだ子過剰愛好家」の仲間である頼光や清姫と組んだのか。

どちらにしても、個別で動かれるより派閥で動いてもらった方が、こちらとしても読みやすい。

目的の一つは、取りあえず達成したと考えていいだろう。



問題は、この期に及んで単独で行動する奴だ。

この手の連中は、何をするかわからない。

きっちりと目的を把握しておかないと、ある日突然、横合いから殴りかかられる事になる。

目の前に居る女も、その一人な訳だけど。


「……アンタは参加しないの、宝探し」

「……」

「アンタよ、アンタに言ってるのよ、ナイチンゲール」

「私が参加する必要が何処にあるというのです」

「へぇ、本当に参加しないんだ」

「寧ろ、私は負傷者が出た時の為に控えておくべきです」

「普段のアンタなら、こんな所に座ってないで怪我人探して徘徊しそうだけど?」

「……」


どうにも、本音が見えない。

というか、コイツは、あの事をどう考えているのか。

もう少し、突いてみるか。

「そう言えば、ぐだ子が旅立ってもう3週間近く経つわね」

「……」

「前から聞いてみたかったんだけど」

「何か?」

「アンタ、どう考えてるの、ぐだ子の行動を」

「どう、とは?」

「アンタの為に、ぐだ子はロンドンまで出向いて、やりたくもない交渉事してんのよ」

「その事について、何も思わないのかしら」


暫しの沈黙。


「……何を言っているのかしら、貴女は」

「医療部門の責任者に関しては私の一存で決めた事ではないわ」

「カルデア内に居る各責任者と、ぐだ子と、ダ・ヴィンチが決めた事」

「ですから、彼女の行動はカルデアの為の行動であって、私の為では」

「ありません」


ナイチンゲールは、普段通り鉄面皮のまま、手短に応えた。

けれど、それはおかしいのだ。

確かに日常会話であれば、彼女は感情を表に出す事をしない。

最低限の言葉しか発しない。


けれど、話が医療関係に及べば別だ。

彼女の激情が顔を現す。

それと同時に、口が滑らかに動きだす。

聞いてもいない医療知識を披露し始める。

それがフローレンス・ナイチンゲールという英霊なのだ。


つまり、この場合は「ナイチンゲールが医療部門の責任者になった場合のメリットとデメリット」を声高らかに唱えるはずなのだ。

それをしないという事は。

「つまり、罪の意識を感じているから呑気に遊んでられない、と言った所かしら」

「……私が罪の意識を感じるとしたら、それは私が死んでしまった時だけです」

「それ以上命を救えなくなってしまった時、だけなのです」

「そのはずなのです」


その言葉を聞いて、私は確信した。

彼女は今、葛藤している。

バーサーカーであるにも関わらず、ぐだ子の身を案じて悩んでしまっている。

だから、ナイチンゲールは、動かない。

少なくとも、ぐだ子が帰還するまでは騒ぎを起こす事はない。

懸念材料が1つ減って、私は少しほっとする。


これで、目的の二つ目は達成できた。

完結まで2~3日かかりそうなので、ねゆ

乙?

「……あの」


その時、横から口を挟んできた者がいた。

私を監視している、静謐のハサンだ。


「何よ?」

「何ですか」


やや強めな口調で応えた私達に対して、彼女はこう続けた。


「あまり気にしなくても、いいと、思います」

「マスターも、私も、婦長の事は、尊敬しています」

「尊敬している、人に、命を任せたいと思うのは、不思議な事じゃ、ないです、よね」

「だから、罪の意識とかは、いらないと、思うんです」


……驚いた。

コイツは、独り言をいう事はあるが、基本的に自分から誰かに話しかけることが少ない。

こちらから話しかければ返事はするが、積極的に自己主張するタイプではないのだ。

例外はハサンの頭目達や、ぐだ子だけだ。

そんな静謐のハサンが。


ナイチンゲールの事を擁護しているのだ。

「意外ね、アンタがそんな事を言い出すなんて」

「……以前、怪我をした時に、婦長にはお世話に、なりましたので」


静謐のハサンは、ナイチンゲールの顔色を伺う。

けれど、ナイチンゲールは黙したまま何も語らない。

頷きはしなかったが、遮ることもない。

それに背を押される形で、静謐のハサンは少しずつ語り始めた。


「私は、毒です、私の血も、皮膚も、全て、全て毒です」

「当然、私を治療しようとして触れると、毒に犯されます」

「例外は、マスターだけでした」

「あの人だけは、あの人だけは、私の毒に、犯されない」

「運命の人、私の運命の人、です」

「ふふふふ……」

「話が逸れてるようだけど?」

「あ、す、すみません……」

「例え、善意で私に触れようとしていた、人でも、私の毒に、犯されるんです」

「下手をすると、腕が腐れ落ちる可能性だって、あります」

「今まで、ずっとそうでした」

「最初は私を救ってくれようとしていたお医者さんも、そのうち私を恐れて去っていきました」

「仕方ないんです、私が、私が悪いんですから」

「婦長も、そうなると、思ってました」

「私は、私はそれが怖くて」

「また見捨てられるのが、嫌で」

「止めてくださいって、言ったんです」

「私は平気ですから、と」

「治療しようとすれば、貴女が死んでしまうと」

「けど」

「婦長は、止まり、ませんでした」

「皮膚が、焼けて、湯気が上がっても」

「自分の指が、腐って、落ちようとしていても」

「最後まで、私を治療して、くれたんです」

「そして、婦長は自分の腐った手さえ、治療してしまったんです」

「そんな人が居ることを、私は今まで知りません、でした」

「私の毒をそのまま、受け入れて、それでも死なないでいてくれる人を」

「私は、初めて知りました」

「本当に尊敬できる、お医者さんがいる事の、心強さを」

きてた

申し訳なさそうにしてるサンソンが見える

マリキチレッテル貼られてからというもの結構経つけど本編でもイベントでも出ないからかイマイチ影薄いよね

たまに出たらなんか自分の過去についてネガティブ発言するかアマデウスと喧嘩するかだもんな
性能的にも割と優秀なの揃ってるアサシン勢の中どころか全体で見てもあんまり・・・

書き込みがないのが怖い。新生活の準備で忙しいのかな?

迷宮入り?

http://i.imgur.com/zqI2Qlo.jpg
先原直樹・ゴンベッサ

都道府県SSの痛いコピペ「で、無視...と。」の作者。

2013年、人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者を詐称し、
売名を目論むも炎上。そのあまりに身勝手なナルシズムに
パー速、2chにヲチを立てられるにいたる。

以来、ヲチに逆恨みを起こし、2017年現在に至るまでヲチスレを毎日監視。
バレバレの自演に明け暮れ、それが原因で騒動の鎮火を遅らせる。

しかし、自分はヲチスレで自演などしていない、別人の仕業だ、
などと、3年以上にわたって稚拙な芝居でスレに降臨し続けてきたが、
とうとう先日ヲチに顔写真を押さえられ、言い訳ができなくなった。

2011年に女子大生を手錠で監禁する事件を起こし、
警察に逮捕されていたことが判明している。

先原直樹・ゴンベッサ まとめwiki
http://www64.atwiki.jp/ranzers/

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