【安価・コンマ】戦闘破壊学園ダンゲロス 肆【R-18】 (255)

人知を超えた異能を持つ者「魔人」が住まう世界!

そんな危険極まりない魔人が多く在籍する「私立希望崎学園」

――別名「戦闘破壊学園ダンゲロス」

学園では今日も今日とて(主に番長グループと生徒会の)抗争が起き、魔人が死ぬ! とにかく死ぬ!  とりあえず死ぬ!

戻って来たぞSS速報! 色々変わったねSS速報!

エタってごめんねSS速報! めちゃくちゃゆっくり細々頑張るから応援してくれSS速報!

>>1も頑張るSS速報! 仕切り直しだSS速報!

手出し無用。口出し不要。助太刀はむしろ歓迎
ここから先は我らが持ち場、邪魔をするならお前も殺す

気をつけろ!

この先、DANGEROUS! 命の保証なし――

【何のスレなの?】
「戦闘破壊ダンゲロス」の二次創作スレです
皆さんが考えた魔人が二陣営に分かれ、殺し合いを繰り広げます

【魔人ってなに?】
自身の「認識」を他者に「強制」させることで特殊能力を得た者たちをそう呼びます
簡単に言うと、妄想を具現化しちゃった方たちのことです
例えば、「金玉爆発しろ!」って強く思ってたら金玉爆発させる能力を使えるようになった、とか
いやふざけてません
小説、漫画のダンゲロスをご覧ください
もっとやべーのいるから

【読者は何をすればいいの?】
キャンペーンが始まる直前にキャラの募集を行います
テンプレに従ってキャラを投稿してください
投稿は募集時にのみ受け付けます

【どういう風に戦うの?】
主にコンマ判定をしてダメージ判定を行います
細かいところは>>1がやるから気にしなくていいです

【転校生】
異界から召喚された普通の魔人とは別次元の力を持つ魔人
能力のほか、圧倒的な攻撃力と防御力を持ち、物理攻撃で彼らを殺すことは事実不可能と言えます
所謂第3勢力です
コンマ判定に00が出た時に現れます(最大3人)

【キャラテンプレ】
以下のテンプレをコピーして投稿してください

【名前】
【性別】
【学年】
【性格】
【見た目・所持品(武器含む)】
【能力名】
【能力原理】
【備考】

〇留意事項
・自由な発想で作ってください
・背景を妄想しつつキャラクターを設定しましょう
・版権キャラそのまんまや、よっぽど不謹慎な物でない限り採用します
・自分のキャラ以外でも好きに設定追加してOK 投稿する際はその辺も踏まえてお願いします
・学生以外のキャラを登場させたい場合は【学年】を【年齢】に直して投稿してください
・エロ・グロ歓迎。どんな性癖にも対応したい(レズ・ホモ・百合・BLどんとこい)
・基本的に命をかけた戦いです。投稿したキャラがロクに活躍もできず惨殺、レイプされる可能性があります。ご容赦ください

※お久しぶりです。まずはごめんなさい。じゃあ始めましょう。キャンペーンです

※キャンペーン内容を決めたいのでキーワードを一つください

↓1

鬱展開クラッシャー

【プロローグ】

鬱、鬱、鬱
最近何かに付けて鬱展開ばっかりだ

メインキャラだと思ったら3話で死んだり
明日を救えなかったり
何でレーザーがあそこでゲームオーバーしちゃうんだよふざけんなよ泣いちゃうだろ

哀しいシーンを作れば本当に良い作品になるのか
シリアスなシーンが続いたところで読んでいる人はおいてけぼり なんてよくある話


まあそれはそれとして


そんなこと知るかとばかり、魔人の巣窟「希望崎学園」では番長グループと生徒会の対立は激化の一途を辿り、ついに抗争へと発展

この先、DANGEROUS!  鬱展開は無し! 今回鬱展開は禁止となっておりまーす!

【「とにかくあかるいダンゲロス」 開幕!】

【勝利条件】
・敵陣営全滅
・主人公の死亡時:主人公陣営の残り人数>敵陣営残り人数

【敗北条件】
・仲間の全滅
・あなたの死亡時:生徒会残り人数>番長G残り人数or転校生生存

【GAME OVER条件】
・あなた死亡

※今回の主人公はどちら側の陣営につきますか?

↓1

じゃあ、生徒会で

※主人公の所属は生徒会となりました。だからどうこうといった問題ではないのですが

※では、主人公と生徒会陣営のキャラを読者の皆さんに作ってもらいます

※ゆっくり待ちましょう

↓1【主人公:こいつが一番出番が多いはずです】

↓2【生徒会長:死ぬと士気が下がります】

↓3~8【生徒会陣営魔人ら】

こんな感じでいいのかな?なにか不備があったら言って

【名前】早蕨 風花(さわらび ふうか)
【性別】女
【学年】2
【性格】「楽しいこと」が大好きで、「楽しくないこと」が嫌いな根っからの快楽主義者。考えるより先に行動するタイプ
【見た目・所持品(武器含む)】緑髪ロング、妖精めいて耳が尖っている
ヘソ出しノースリーブにホットパンツ、足にはローラースケート
【能力名】嵐の女王(テンペスター)
【能力原理】「風に乗る」事で、ピーターパンのように空中を移動できる(空中での加減速、方向転換もお手の物)
風を起こして攻撃をそらしたり、カマイタチで敵を切り裂くことも可能
?【備考】Hな事にはまだ興味がないらしく、いかにも遊んでそうな見た目のくせに未だ処女。処女(大事なので2回言いました)

【名前】 黒染 莉央(くろそめ りお)
【性別】 ♀
【学年】 3
【性格】 敬語で煽り口調、強気に余裕ぶっているが実はドM
【見た目・所持品(武器含む)】 金髪ショート、黒いパーカーに黒いミニスカ、黒いニーソを身につけている
【能力名】 漆黒の闇
【能力原理】重量をねじ曲げありとあらゆる場所からダークホールを生成する
攻撃、防御共に使える
自らの身体にダークホールを生成する事で、攻撃を無力化する事もできる
又、自分はダークホールの影響を受けない
【備考】 黒色が大好き、程よい肉付きで顔もいい為密かに男子から人気
ダメージを受けると快感を感じる

>>10
※何も問題ありません

※連投は禁止していません

※今日はここまで

>>13
乙、前から読んでたから今回も応援してる

【名前】 桃山 百合華(ももや まゆりか)
【性別】 女
【学年】 1
【性格】 女好き、レズ
【見た目・所持品(武器含む)】 ピンクの髪色をしている。学校の制服を着ている
【能力名】 百合の楽園(レズハーレム)
【能力原理】 相手が男の場合女体化させる事が出来る
女を抱くとその女を奴隷にできる
【備考】 ただただ女性が好き、男には興味がない、幼さが残る童顔

【名前】石紙 鋏(いしがみ はさみ)
【性別】男
【学年】3
【性格】昭和の番長漫画の如き熱血漢。深い慈しみの心を持ついい奴だが、口調が凄く暑苦しい
【見た目・所持品(武器含む)】応援団風の白い学ラン
「ジャンケン命」と書かれた幟を常に背負っている
【能力名】じゃんけん勝負!(ロック・ペーパー・アンド・シザーズ)
【能力原理】名指しした相手にジャンケン一発勝負を強制させる
勝てば相手に致命傷を与えることができるが、負けると自身が致命傷を負う(あいこの場合は何も起こらない)
同じ相手に勝負を挑めるのは一日一度のみ
【備考】ジャンケンに全てを捧げてきたジャンケンマニア
ジャンケンを絶対視しており、ジャンケンの結果で己の取る行動すら決める

【名前】坂上 空(さかがみ そら)
【性別】女
【学年】 2
【性格】おっとりしてるが 常にHなことを考えておりどう相手にやられたいか考えている
【見た目・所持品(武器含む)】緑の着物とかんざしをしている爆乳。着物に仕込み刀、かんざしには毒が塗ってある。
【能力名】色欲毒染(しきよくどくせん)
【能力原理】
性的に興奮すると毒の空気を身体から巻くことができる。軽い段階だと痺れて動けなくなる。絶頂寸前になると猛毒で相手が絶命するほど。
【備考】人に触られるとすぐに感じてしまう。男女問わずHなことをされたい願望がある。

※協力ありがとうございます

※では次に番長グループの魔人を作ってください

※番長は>>1が決めます

↓1~8【番長グループ陣営魔人】

名前 左 蛇野 (ひだり じゃの)
性別 男性
性格 根に持つタイプで嫉妬深い 極度の左手フェチ
学年 3年生

見た目 所持品 ポリ袋を被っている以外は普通の男性
左ポケットにはカッターナイフがしまってある

『能力名』左手強奪

能力原理
相手の左手を奪う事ができる能力
どんな能力だろうが邪魔されず必ず奪う事ができる

また人間以外にも人形の物なら左手を奪う事も可能
ちなみに左手を奪われると激しい痛みが永続する


備考
左手を奪う事に罪悪感は無く、邪魔しようものなら全身ズタズタに引き裂こうとする

こんな感じでいいですかね?


【名前】鷲乃(わしの)マァク
【性別】?男
【学年】?3
【性格】スポーツマンシップに溢れる好青年。
【見た目・所持品(武器含む)】?
細マッチョなスポーツマン。背中のリュックには折りたたみ式自転車やフック付きのロープなど運動に必要な道具がなんでもある。

【能力名】リポビタンDay
【能力原理】?
『ファイットオオオ!』という掛け声に対して『イッパアアアツ!』という返しをした者の能力にプラス補正を、返さなかった者にはマイナス補正を与える能力。
補正は一回使用すると無くなる。掛け直し可能。
自分も補正は掛けられるが、身体能力が向上するのみ。マイナス補正は無い。
【備考】
殺しもセックスも『スポーツの一種』と認識しているため忌避や抵抗感は全くない。

【名前】 八神 神(やがみ じん)
【性別】男
【学年】 3
【性格】寡黙。
【見た目・所持品(武器含む)】
180㎝。漆黒の鎧を着ている。普段は1メートルの片手剣で戦うが本気になると背中に背負ってる黒い長剣で戦う。

【能力名】一閃の極み(いっせんのきわみ)
【能力原理】相手の持っている武器や防具が壊れ裸になる
【備考】元々強いが強さを求め闇に手を染めた。女性は絶対にあやめないかわりに性奴隷にすることにしている

【名前】主 公人(あるじ まさと)
【性別】男
【学年】1
【性格】自称『普通の学生』
【見た目・所持品(武器含む)】
地味で、普通で、これといって特徴が無いのが特徴
【能力名】D・K・N(どうして・こう・なった)
【能力原理】
攻撃されると認識した瞬間発動
1回避方法を思い付くが攻撃してきた者と性的接触事故を起こす
2近くにいる者に助けて貰うが性的接触事故を起こす。
3かわせない。現実は非情。
のいずれかの結果に行き着く

1、2が発動した場合、性的な接触事故を起こされた相手は同性異性関係なく主 公人に対して徐々に好意を抱く

【名前】 透坂 愛衣(とうさか めい)
【性別】 ♀
【学年】 2
【性格】 何に関しても無関心、無表情。但し、許容範囲以上の出来事が起こると取り乱す
【見た目・所持品(武器含む)】学校指定の制服を着ている。白い髪のショート
【能力名】 透明化
【能力原理】自らの姿を透明にできる
【備考】 服は透明にならない為能力を使う時は全裸

【名前】
【性別】男
【学年】2
【性格】悲観的
【見た目・所持品(武器含む)】間違った忍者
【能力名】影法師
【能力原理】自信の影を細分化して使い魔にする
影に戦闘能力はないが実体がないためあらゆる干渉を受けず弱点は光のみ
最大で100体まで分割した影が見聞きした情報をリアルタイムで把握する
影と自身の位置を入れ換えることも可能
【備考】本人は強い

>>29すいません名前射れ忘れました
【名前】火紅昭二(かべにしょうじ)

>>22
※集計するとき処理が大変なので他の投稿のようにテンプレの脇に文字を打ってくれると助かります

※では始めて行きます

二月。

私立希望崎学園。

昼時を過ぎ、普段であれば昼食を求め購買へ向かうなどする一般生徒達の話声が聞こえるはずだが、今日に限っては違う。

日曜日でもないのに人気の無い校舎は、不気味さを感じさせる。

何があったのか。何が始まろうというのだろうか。

これからハルマゲドンが始まるのだ。


ハルマゲドン――所謂学園内抗争。


これから魔人率いる二陣営が、どちらかが全滅するまで戦うルール無用の戦いが始まるのだ。

いずれの陣営にも属さない生徒は既に自宅待機を命ぜられ、その侵入を許されない。
戦いに一度巻き込まれたならば、例え魔人の力を持たぬ者でも無事に生きては帰れないだろう。

物々しい空気の中、物語は静かに始まろうとしていた。

生徒会室では机を囲み、数人の構成員が会議を行っていた。

「早蕨さん――早蕨風花さん、起きなさい」

鼻ちょうちんを膨らまし船を漕いでいた早蕨風花の肩を揺らしたのは、生徒会長 黒染 莉央 だった。

風花の意識はまだ半分ほど夢の世界に置き去りにされたままらしい。はぇい起きてまぁす、と間抜けな声を上げながら手を上げそれに答えた。

「早蕨さん、ハルマゲドンは始まっているの。貴方のお母さまは、こういう時は居眠りするものだと教えたのだろうけど今は起きて私の話を聞きなさい」

黒染の優しい声で、且つ高圧的に風花を見下ろす。

だって長い話ってつまんないんだもーん、と口をとがらせる風花を無視し、彼女は話を続けた。

「蟒蛇噛奈率いる番長グループは依然動きは無いようです。未だ拠点である通称『番長小屋』の中で打ち合わせを行っているか、こちらが来るのを待っているのか」

「石紙君、番長グループの情報は?」

黒染は隣に座る白い学生服の男子を見た。
その男子はまるで芝居のように大げさに立ち上がり、報告を始めた。

「現在、分かっている所で今この学園敷地内に居ると思われる生徒は、まず番長の蟒蛇噛奈、左蛇野、鷲野マァク、主公人の4名だけだ。後は分からない。
恐らくは他の奴らは、授業にロクに顔を出していない生徒或いは学園外部の者と考えられる。それについては現在調査中。分かり次第速やかにお伝えしよう」

「能力は?」

「蟒蛇については既に知ってはいるだろうが周囲の者を泥酔状態にする能力。左蛇野――彼についても説明はいらないだろう」

「ああ――」

黒染は深く刻まれた眉間の皺をさらに寄せ、目を瞑った。

左蛇野――とは最近学園を賑わす問題生徒だ。

左は左手マニアだった。性別問わず左手を愛し、左手に精通し、左手に関しては右に いや、左に出る者はいない重度の偏愛者であった。
それだけならまだ変わり者で済む。ここからが問題だった。

彼は魔人。しかも「相手の左腕を奪う」能力を持っていた。

この能力を乱用し、気に入った左手を持つ人の左腕を奪いまくっていたのだ。

厄介なことに彼の能力は、他の能力の影響を受けない性質があり、標的にされた者は逃げることはおろか例え能力を無効化する魔人であってもこの効果を打ち消すことはほぼ不可能。
更に、能力によって腕を奪われた者には、腕を奪われたことによる生理学的な痛みの他に、能力性の激しい疼痛を伴う為、能力にさらされた者にはこの上ない激しい苦痛を強いられる

死者も多数出ているため生徒会では早めに対処しておきたかったのだが、能力の性質上迂闊に近づくこともできないでいた。

そんな彼が番長グループに在籍していた事実は、生徒会にとって好都合なことに他ならない。

ハルマゲドンは校長の宣言によって発令される学校公認の殺し合い。

合法的に左を殺せる。

今回のハルマゲドンはそのような意味合いも持っていたのだった。

「鷲野マァクについては何らかの身体強化能力。主公人については現在調査中だ。以上、報告を終わる」

白学生服の男子は大げさに椅子に座った。

※休憩

※続けます

その後、暫く続く沈黙。

迂闊に手出しできない相手がいる上に、今回の番長グループは不明な点が多い。
室内に重苦しい空気が立ち込めた。

「はーい! はい、はい、はーい」

そんな空気を読めぬ者が一人。
風花が子供のように手を上げた。

「はいは一回で結構。どうしたのですか、早蕨さん」

ため息交じりに黒染が風花を見た。

「あのねあのね。私、思ったの。もうね、逆にバーッとこっちから攻めたらどうかなーって。だってね、話つまんないし。バーッと」

「ええ? あのね、早蕨さん――」

余りに突拍子もない意見に黒染は目まいを覚えた。しかし――

「早蕨先輩の考えに賛成だ」

そう言ったのは金髪頭に時代錯誤な学ラン姿の巨漢――電堂猛太だった。

「相手の出方を窺っていても時間は過ぎるだけ。合理的な判断だと思えんね。一度こちらで突いてみるのも策だと思うが。それに――」

「『番長グループの全滅』というのは何も『皆殺し』という意味だけではないだろ?」

電堂はパチンと指を鳴らし、火花を起こして見せた。

黒染はそれを聞いて、一間置いた後、大きく頷いた。

「えぇ……そういうことね。分かったわ。『先んずれば人を制す』。動くなら私達から――」

「行きましょう」

おお、と室内に小さな歓声が湧き起った。
学園の秩序を重んじる生徒会役員とは言え、彼らは血気盛んな若き魔人達。
己の能力を使いたく、その言葉を待っていた者もいた。

「と、なれば。桃山さん、天ヶ瀬さん」

「「はい」」

黒染の呼びかけに二人の女子生徒が立つ。
一人はピンク色の髪をした童顔の少女。
もう一人は黒髪をポニーテールにした女子生徒。彼女たちの能力にはとある共通点があった。

「貴方達の力、貸してくれますね」

「「はい!」」

決まってしまえば、事は全て円滑に回り始める。黒染は周囲の役員に次々と指示を出し始めた。

「番長グループが新校舎内に侵入された際のマニュアルは読んでいますね。警戒を怠らず――」

彼女が特に気にしていたのは校内の防衛内容についてだった。

何故か――。

それは黒染莉央彼女自身が番長グループ討伐隊として参加し、前線に立とうとしているからであった。

指揮官たる生徒会長が何故前線に立ち戦わねばならないのか。
それは、今回のハルマゲドンの切り札とも言える桃山と天ヶ瀬を護衛するのに自分の能力が必要だと判断したからだ。

「別動隊として校舎外見回りの笑形さんと、グラウンド周回警備の坂上さんを出動させました。私たちもそろそろ行きましょう」

黒染、早蕨、桃山、電堂、石紙、天ヶ瀬らは生徒会室を後にし、別動隊の後を追う。

未だ姿を見せない番長グループの巣に自ら足を踏み入れ、その隠された姿を暴こうというのだ。

この判断が吉と出るか、凶と出るか。今はまだ誰も知らない。


まだ見ぬ敵を屠るべく皆が前を向き、勇ましく歩く中、風花は退屈そうに欠伸をしながらふわふわとその後ろを漂っていた。
生徒会室から番長グループの根城まで、距離にしておよそ六キロメートルはある。
それを歩いていくことは彼女にとって「楽しくないこと」であった。

黒染は自分の背後でふわふわと浮かび遊ぶ風花を見、眉をひそめた。
彼女は正直なところ、風花の存在を良くは思っていない。
強気で余裕ぶろうと努力している彼女にとって、自分のペースを崩してくる風花の存在は頭痛の種そのもの。

品行方正に程遠く、思慮に欠け、やることなすこと支離滅裂。
まるで小さい子供を見ているようであった。

今回のハルマゲドンにおける役員招集を受け、風花が生徒会室に現れたのは今回含めて三回目。

彼女の活躍ぶりに期待はしていない。

この番長グループ討伐隊への起用も、風花の無能ぶりを生徒会長自身の目で確かめる為でもあった。

これでダメダメだったらクビにしちゃおうそうしよう、とか考えているのだ。


【コンマ下一桁判定:遭遇判定】
09:?
87:?
65:?
43:笑形ニコ
21:坂上空

一行がちょうどグラウンドへ到着した時、一人の緑色の着物に身を包んだ女子生徒が見えた。
生徒会役員が一人、坂上空であった。

空は一行の存在に気が付くと、何やら嬉しそうにしながらこちらへ向かって駆け寄って来た。

「あ、会長さんだぁ。どうも、お疲れ様です」

空は黒染に向かって深々と頭を下げた。
頭を下げた時、着物の胸元から帯やさらしを巻いても抑えることができなかった豊満な胸の谷間が無防備にも露わになる。
それを見た男性陣と桃山は密かに鼻の穴を膨らまし、各々偶然を装い三度四度それを眺めていた。

「坂上さん、無事のようですね」

「あ、はい。おかげさまで今日もおいしく朝ご飯を食べて元気に登校しました、はい」

「え、えぇ。そうだったの。まぁ、げ、元気が一番ですからね。それは良かったわ」

「うんうん。会長さんもお元気そうで何よりですーでもね、聞いてくださいよ会長さん。今日ったらうちのお母さんがね――」

黒染は閉口した。空はこの状況下で、生徒会長と世間話としゃれこむつもりなのだ。

まったく私の周りの奴らと来たら――黒染の余裕の笑みを浮かべたこめかみにはうっすらと青筋が立っていた。

※中断

※では再開

それから十分、取り留めの無い話は続いた。

初めの内、うんうんと相槌を打っていた会長だったが五分を過ぎたあたりから目尻が痙攣を始めた。
限界はとうに超えていたのだ。

異変に気が付いた電堂が「会長さん、そろそろ行こうぜ」と言って話を中断させたことで何とかことなきを得たが、もう少し放置していたらどうなったことやら。

当の空本人はと言うと、会話の相手を風花に変えてまた取り留めない世間話を続けていた。
二人は以前より親友であり、昼休みになると空き教室に集まり、一緒にお弁当を食べる間柄にあった。

「ふーかちゃんこれから番長小屋行くのー?」

空はコンビニにアイスとか買いに行くのか聞くような感覚で風花に尋ねた。
すると風花も

「そだよー、空ちんも行く?」

と軽く返す。
まるで危機感を感じていない。殺し合いの渦中にいる魔人とは思えない会話だ。

これがゆとり脳か――

黒染を落ち着かせていた電堂は、傍目にそれを見、戦慄した。

「ごめんね、ふーかちゃん。ウチはねー、いけないんだー」

空はすまなそうに手を合わせた。

「えーなんでなんでー。空ちんも行こうよー」

「ごめんねー。ウチ、能力使うとみんな殺しちゃうからー。いわゆる即死系ってやつー」

何――?

電堂と桃山―― 一年生の生徒会役員らは耳を疑った。
あのおっとりした彼女が即死能力を持つ魔人には見えなかった。
電堂の視線に気が付いた石紙はその疑問に答えた。

「ああ――坂上クンは毒を発生させ、最悪相手を即死させかねない能力を持っている」

「そうだ。彼女がたまにエロ話を振って来る時があるだろう? その時何か身体に異変はなかったか?」

そういえば――電堂は思い出す。
生徒会に入ってすぐ、生徒会で役員が集まり、前年度の書類を整理している時のこと。空が突然――

『電堂くん最近オナニーいつした? 何回した? 床ズリ? 皮ズリ? 王道を往く手コキ?』

と聞いてきたことがある。上気したような表情でだ。
何だこの人は急に、と笑ってごまかそうとしたその時、電堂の鼻から血が滝のように流れて来たのだ。
流血は鼻だけに留まらず、目から耳から血が溢れ止まらない。
記憶があるのはそこまで。
保健室で目覚めてからは体調に変化が特段なかった為、電堂自身今まで「女の子にエッチな質問されると男ってこうなるのかー」程度にしか受け止めていなかった。

ハッとした電堂を見て、石紙は大きく頷く。

「そうだ。性的な興奮……それが彼女の『色欲毒染』のスイッチだ。あの時だって俺達が坂上クンから君を離さなければ死ぬところだったのだぞ」

「ちなみに『色欲毒染』は範囲が広い。同じ生徒会室にいた僕らもそれなりのダメージを受けた。あれは……いつ発動するか分からない爆弾のようなものだ」

「今回、彼女に単独行動させているのはそういう訳だ」

「できればこの話は生徒会内に留めるように。他の生徒は坂上クンが魔人だということは知っているが無差別即死能力を持つことを知る者は少ない」

「これは生徒会が彼女をスカウトした時に決めたことだ。俺達生徒会は生徒を守る義務がある。殺し合いの状況で言えるセリフではないことは自覚しているが」

幾ら希望崎学園が一般的に世間の差別を受けやすい魔人に対して寛容な校風だからといって、即死能力を持つ魔人と知って好き好んで近づく者は少ない。
思春期学生にとって性欲は生物学上仕方のないこと。人並みにそれがあるということは、むしろ健全と言っても良い。
坂上空の能力は性欲が引き金となる。加えて彼女は性への関心が人並み以上に高い。

中学時代に魔人へと覚醒した彼女は、自分の能力によってその生活に暗い影を落としていたことは言うまでもない。

そんな彼女に手を差し伸べたのが生徒会だった。

能力にコンプレックスを持つ者、個性をうまく発揮できず苦しむ者、そんな生徒の自己肯定感を養う為、生徒会はよく「はぐれ魔人」をスカウトしていた。
その活動を始めた者こそが生徒会副会長 石紙鋏だった。

石紙の話を聞く電堂もその一人であった。
機械のようにクールな自分を演じるあまりクラス内で孤立し、不貞腐れていたところ彼に声をかけられたのだ。



一行は空と別れ、彼女とは別ルートで番長グループの拠点へと向かった。
電堂は石紙の後ろを歩く。
石紙の背中に、電堂は強い尊敬の念を抱いていた。

石紙先輩――
俺はアンタに感謝してる。アンタがいなけりゃ今頃俺は不良にすらなれねェ半端者で終わっていた。
この力、生徒会に貸すぜ。たまに暑苦しく行くのもいいかもな。

白い学ランに背負う「ジャンケン命」と書かれた幟が雄々しく風に揺れた。

※中断。少なくてごめんなさい

【番長Gのターン:コンマ下一桁判定】
098:?
765:?
4321:?

※続けましょう

番長グループ拠点。通称番長小屋。
生徒会陣営、黒染莉央率いる討伐隊はこの場所を目指し進軍している。
沈黙を続ける番長グループはここに集結し、待ち伏せているに違いないとみての行動だった。

実際、その予想は外れていた。

番長含めた主力陣は既にここを去っていたのだ。


【コンマ下一桁判定:遭遇判定】
0:黒染莉央(生徒会長)&早蕨風花&桃山百合華&電堂猛太&石紙鋏&天ヶ瀬神流
987:笑形ニコ
6:坂上空
543:?
21:?

その時、朗らかな笑い声が小屋へと近づいてきた。

「いやぁー、八神君が忘れ物をするなんて珍しいこともあるもんだなあ」

と、森の奥から奇妙な4人組が現れた。
この主は、細マッチョな好青年。背中には巨大なリュックが二つ背負われていた。
一つは折り畳み式の自転車やフック付きロープが見える。もう一つは何か生き物でも入っているのかもぞもぞと蠢いていた。

「ハンケチを忘れるとは一生の不覚」

小さく低い声で呟いたのは漆黒の鎧を着た騎士。
どうやら彼が忘れ物をした張本人のようだ。

その後ろにはポリ袋で顔を覆った男子生徒とこれといった特徴の無い男子生徒が着く。

彼らには緊張感と呼ばれるものはなく、余裕すら感じさせた。

言わずもがな彼らが番長グループの魔人だ。

 鎧騎士――八神神が小屋の中にハンカチを取りに行っている間、他の三人は入口付近で敵が来ないか見張りを行っていた。

 細マッチョの魔人――鷲野マァクは入口の前に立ち、辺りを見回していた。
 スンと彼は鼻を鳴らす。

 そして虚空へ向かって話し出した。

「生徒会は?」

 すると驚くべきことに女の声で答えが帰って来た。

「まだ見ていない。昭二先輩からも連絡なし」

「へぇ、そうかい。見張りご苦労様。持ち場に戻っていいよ」

「ええ」

 空気が揺れ、虚空の向こう側にある気配が消えた。
 会話はそれだけだった。他の仲間はマァクが誰かと話していたことさえ気づいていなかった。

「見つかった。すまん、時間を取らせた。行こう」

赤紫色の花が刺繍されたレースのハンカチを片手に八神が戻ってくると、四人は小屋を後にした。

辺りは再び静かになり、木々を抜ける風の音だけが響いた。

一見、小屋はもぬけの殻であり、外に関してもやはり誰もいないことが分かる。
しかし、目をよく凝らしてみると何かに気付くだろう。

ここには息を殺して潜む誰かがいると。

※中断。進行遅くてごめんなさい

【生徒会(仲間)のターン:直下コンマ下一桁判定】
098765:笑形ニコ
4321:坂上空

※続けます

 黒染一行が番長小屋のある森へと消えてから、遅れること数分。
坂上空も後を追い走る。

 彼女の能力は他の魔人と比べ強すぎた。その為、仲間と行動することは許されず、一人で行動することを義務付けられていた。

 先ほど、空は早蕨に

「一人で居るのってさびしくないの? 大丈夫?」

と聞かれた時

「平気平気。ウチはこういうの慣れてるから!」

と元気に答えた。しかし、これは強がりだった。
戦場で一人きり、何時、どこから、どのように、何人現れるか分からない敵に怯え続けなければいけないのだから「慣れている」というのは嘘になる。。
生徒会に入ってから魔人との戦闘を行う機会が幾度かあったが、この独特な空気に慣れることはない。

 だからと言って逃げ出すわけにもいけない。
こんな時にはどうすれば良いのか。彼女はそんな不安を一時でも忘れる方法を知っていた。

とにかく――エッチなことを考え続ければよいのだ。


【遭遇判定:直下コンマ下一桁判定】
0:黒染莉央&早蕨風花&桃山百合華&電堂猛太&石紙鋏&天ヶ瀬神流
987:笑形ニコ
6543:?
2:鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神神&主公人&左蛇野
1:透坂 愛衣

 そんな時、道の向こうに見覚えのある顔を見つけた。
生徒会役員1年生の笑形ニコだ。いつも、どんな時でも笑顔を絶やさない彼女の顔を忘れるはずはない。

 彼女はいつだって笑顔だった。聖女のような微笑みは何があっても崩れない。
今年の春のこと、空は、新入生である桃山百合華と笑形と共に生徒会室内に溜まった私物(主に石紙がどこからか持ち込んだじゃんけん関連の書籍)を整理していた時――

いくら魔人といえど、数百冊にもなる厚い専門書を女子が新校舎最上階にある生徒会室からゴミ捨て場へ往復するのはキツく、面倒なことであった。
新年度で他の業務に追われる中、空が面倒そうに本の山を眺めていたところ、笑形はその業務を全て自分に任せてくださいと進言してきたのだ。

「それは……助かるけど。ケッコー辛いよ? みんなでやった方が――」

空は心配げに笑形を見るが

「楽勝です!」

と、力こぶを見せて笑って見せたのだ。

――彼女がそういうのなら大丈夫なのだろう。空は笑形の進言通り、この本の山脈の処分を任せることにした。
笑形は両手に紙ひもで縛った専門書を抱え、下の階へと降りて行った。

それから数分後のことである。

大きな物音と女生徒の甲高い悲鳴に空達生徒会役員は何事かと、現場へ急行した。

一階、階段下。そこには多数の本の山に埋もれ、俯せに倒れる笑形の姿があった。顔の下には血溜まりが広がっていた。

悲鳴の主である女生徒によると、笑形は踊り場からきりもみ回転をしながら本と共に降って来たそうだ。
他の階の階段側にいた生徒達からも同様の証言があり、どうやら笑形は最上階踊り場で本に気を取られ、階段を踏み外しゴロゴロと一階まで転がり落ちてしまったらしい。

倒れ伏しうんともすんとも言わない彼女に対して生徒会の反応は様々であった。

ただただ右往左往するだけの空と桃山。泣きながら自分が生徒会室を私物化しなければと懺悔する石紙。
「こいつァ……ヘヴィだぜ」と惨状から視線を逸らす電堂。

そんな中で冷ややかな反応をしていたのが生徒会長黒染だった。彼女は現場を見た後、「馬鹿な子ですね」と鼻で笑い、さっさと生徒会室へ戻ってしまった。
黒染は魔人の耐久力を知っていた。魔人に覚醒した者は基本的に常人を超える身体能力と耐久力を持ち、転落程度で死ぬことはなかろうと考えていたのだ。

実際その通りであり、それから一分と無く笑形は意識を取り戻した。

心配し、駆け寄る空に彼女は顔を向けた。
前歯が欠け、割けた額と鼻から夥しく血を垂れ流していた。が、そんな状況にも関わらず彼女は笑顔だった。

その余りにも間抜けな笑顔に、場にいた全員はホッとしつられて笑い出してしまう。


――その笑顔に不気味さを感じたのは空だけだったらしい。

後日、空は、変わらない笑顔の理由が気になり笑形本人に聞くことにした。

 その答えは案外簡単なものだった。

「わたしには……みんなを笑顔にする力があるみたいなんです。それでね先輩、思ったんです――わたしがずっと笑ってさえいればみんなだって笑顔になるんじゃないかな?」

「――わたしもみんなも笑顔ならどんな酷い事が起こっても、それさえも幸せな思い出になるんじゃないかな?」

「実際、この間階段から盛大に落っこちた時の話……これだって今じゃ笑い話ですよ。あははっ」

これを聞いて、全てのことを肯定的に捉えることのできる笑形を空は素直に尊敬した。

究極の自己犠牲とも取れるその価値観を持つに至った経緯を空は知らない。だが、経緯はどうであれ年下ながら彼女のポジティブさは空自身にはない物であり、見習うべきだと思えたのだ。


作戦中の私語は厳禁だ。
遠くで哨戒行動をする笑形に空は小さく手を振った。

笑形はすぐにそれに気付き、笑顔で手を振り返してくれた。

【主人公組のターン(遭遇判定):直下コンマ下一桁判定】
0:坂上空
98:笑形ニコ
76543:?
2:鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神神&主公人&左蛇野
1:透坂 愛衣

eすみませんら誤爆です
申しわけない、、、

 森を行く途中――

「会長さーんあっちにニコちゃんいたよー声かけようよー」

「笑形さんですって――」

早蕨の言葉を聞き、黒染は血相を変えて

「今すぐここを離れましょう」

と言った。

「えー、なんでー」

またもや口を尖らせて聞いてくる早蕨。

「何でもですッ! 早く行きましょう! 皆さんも着いて来てください!」

その声にいつもの余裕さは感じられなかった。

 訳も分からぬまま一年生と二年生らは黒染と石紙に着いて行った。
何故、彼女たちは笑形から逃げるようにその場を離れなければいけないのか。その原因は笑形の能力にあるのだが、それはまた別の機会に知ることとなるだろう。

【番長グループのターン:直下コンマ下一桁判定】
0987:?
654:鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神 神&主 公人&左 蛇野
321:透坂 愛衣

 鷲野マァクを始めとした番長グループ幹部によって編成される対生徒会魔人部隊。
彼らは生徒会の到着を待ちながら、遅めの昼食を取ることにした。
 各々が持参の弁当箱を広げる中

「あの――」

と、おずおずと話を切り出したのは地味で普通な男子、1年生の主公人だった。しかし「あのぉ」と言ったきり次の言葉がなかなか出てこない。

「何だい?」

マァクが尋ねる。

「あの……ですね」

「僕……正直、戦える気がしません」

主にとって、このハルマゲドンに参加することに関しての大義名分が明らかに欠けていた。
何となく〝前〟番長グループにいた彼は蟒蛇の口車に乗せられ、何か分からないけど何となくかっこいいからという理由で血判状に印を押し、何となくハルマゲドンに参加していた。
数日前までは蟒蛇の言う通り、希望崎に巣食う憎き独裁集団である生徒会を滅ぼし、新たな学園を造る支柱となるつもり満々であった。
今日になってからというもの自分が殺される妄想に憑りつかれ、怖くて仕方がない。
自分の周りの空気に流されやすい性格をこれ程恨んだことは無かった。
その不安さが言葉になって今、現れているという訳だ。

 それを聞いた、マァクは笑いながら主の背中を叩いた。あまりの勢いに彼は「ぐぇ」と悲鳴を上げる。

「アッハハハハ……実に初々しい不安感だね、主君! 君さ、魔人同士の戦闘に参加するのは初めてかい?」

「え、えぇ。小競り合いしてるのはよく見ますけど……実際自分が殺し合いに参加するなんてのは――」

「そうかいそうかい。アッハハハハ……じゃあさ、こう考えたらどうだい? 自分がこれからやることは『スポーツ』なんだって」

「えっ」

「ハルマゲドンだってルールがある。ルールに則って運営される身体を使った行為がスポーツならハルマゲドンだってスポーツの一つさ!」

主は頭痛がしてきた。

「逃げたければ逃げても良いのだぞ」

低く唸るような声で八神は言った。以外にも持参した弁当は手作りのキャラ弁であった。

「ハルマゲドン中、正門前には魔人警官が銃を持って立っている。そこを抜けようものなら問答無用で撃ち殺されるだろうがな」

八神はそう付け加えた。

どっちみち逃げ場はないのだ。主はとにかく自分だけは無事でありますようにと今まで信じてもいなかった神に祈った。

【遭遇判定:直下コンマ下一桁判定】
09876:?
5:透坂 愛衣
43:黒染莉央&早蕨風花&桃山百合華&電堂猛太&石紙鋏&天ヶ瀬神流
2:笑形ニコ
1:坂上空

※休憩

>>72
※お気になさらず。参加ありがとう

※再開します

その時――

「こんな所でピクニックとは呑気なものですわね」

草むらを掻き分け、黒染ら討伐隊一行が現れた。

完全に油断しきっていた主は腰を抜かす。

「ひえええッ、せ、生徒会だァ!」

「逃げても無駄です。ここから半径二〇メートルは電流の流れるワイヤーで包囲されています。無暗に動こうものなら感電死する可能性も――」

生徒会一行は十分程前の時点で、昼食を取る番長グループを既に発見。
電堂の装備する電動ワイヤーガンでワイヤーを張り巡らし、罠をしかけて置いてから彼らの前に姿を現したのだ。

「今ならまだ貴方達はやり直しが効きます。投降すれば……私が校長に直談判をして助命嘆願をしましょう」

黒染はそう呼びかけるが

「小賢しいマネを。貴様らに生かされるくらいならここで果てる方が良い」

八神は好戦止む無し腰に提げた鞘から片手剣を抜き、構えた。

「左君!」

 マァクがポリ袋を頭に被った青年――左蛇野に指示を出した。
左は食べかけの棒状の栄養食を箱にしまい、左ポケットからカッターナイフを取り出した。
左は袋の中でガサガサと笑いをこぼした。

「ねえ、鷲野ォ。誰のをもらっても良いんだろ?」

「ああ。構わないよ」

「やった。やったやったやったぞ。今日は最高の一日になりそうだァァ」

マァクの許可を得た左は、生徒会役員を見やり、指をさす。
すると――

「ど、れ、に、し、よ、う、か、な」

と歌い始める。順番に指さしていき、最後に止まったのは――

【直下コンマ下一桁判定】
098:早蕨風花(死亡&GAME OVER)
765:桃山百合華(死亡)
4321:電堂猛太(死亡)

桃山百合華だった。

「ピンク色の髪の子! 君に決めた!」

その瞬間。左以外の番長グループを含む周りにいる全ての者は、金縛りに会ったような感覚に襲われた。
意識はあるのに動けない。そんな感じだ。

左はゆっくりと歩きながら、桃山に近づいていく。
この間、誰も左を遠ざけることも邪魔することもできない。

左は身動きの取れない桃山の左手にそっと触れ、語りだす。

「嗚呼……いい匂いだ。いい匂い……。女の子特有の花のような香りだ。うっとりしちゃうね」

「……僕はね、左手が大好きなんだ。愛している。あ、愛しているの君じゃなく左手だからね。勘違いしないで。嗚呼、綺麗な爪だね、よく磨かれている。大事にされていた左手なんだねえ」

桃山は声も出せず、ただ眼だけで左を追い、青ざめた顔で彼を見つめていた。

「右利きの人にとって左手は日常で使う頻度は少ないからぞんざいに扱われがちだけど……良いねえ、幸せな左手だ」

「ま、これからその左手は僕の物なんだけど」

その言葉を最後に左は左手を大きく振り上げる。
ザクリ。カッターナイフを桃山の左手首に突き立てた。

「――ァぁあああああッ」

桃山の声にならない声が森に響いた。

悲鳴を上げようが何をしようが左のカッターナイフを動かす手は止まらない。

「骨まで挿入ったァ!」

ナイフが橈骨まで達した音を聞くと、今度はナイフを鋸よろしくギコギコと引き始めた。
左のポリ袋は返り血で赤く汚れる。しかしそれを拭うこともなく、行為は続いた。

 左蛇野の能力『左手強奪』は、左手があるもの(物・者)であれば必ずそれを奪う事ができる能力である。
彼が左手を奪う行為を行っている間は何人たりと邪魔させない。
左手を奪う間は、誰にも邪魔されず、自由で救われてなければいけない。独りで、静かで、豊かで、そんな環境面を重んじながら凶行に及びたい彼ならではの能力原理であった。

桃山の左手が切断され終わった頃。
彼女は口端に泡を付け絶命していた。苦悶の表情は痛みに抗いながらも、耐えきれなかったことを意味していた。

「よしよし」

と左は制服の尻ポケットに血に染まった桃山の手をしまった所でようやく金縛りは溶けた。

凶行を目の当たりにした早蕨や天ヶ瀬ら女子は、嘔吐する。

「ク、ソォォッ! 貴様ッ左ッ! よくもッ!」

怒りに震える石紙は飛びかかるのを堪え、一歩前へ、鷲乃らの元へ戻ろうとする左を呼び止めた。
振り返った彼に拳を突き出し叫ぶ。

「じゃんけんをしろッ! 俺とッ!」

「左蛇野……俺と……じゃんけんをしろ!」

「何を言っているんだ?」

鷲乃は困惑し、石紙を見る。
確かに仲間が殺されたこの状況で、その仲間を殺した相手にじゃんけんをしようと持ち掛けるとは正気の沙汰とは思えない。常識的な反応ではない。
しかし、魔人の場合! そのめちゃくちゃな状況があり得てしまうのだ!

「良いだろう」

左は快くそれを受け入れ拳を突き出した。

「何故だ! 左君! 君がそれを聞き入れる必要は――」

何故こんなにも簡単にその申し出を受け入れたか全く分からない。
しかし鷲乃は先の言葉を言いかけた所で気付く。
まさか――
生徒会副会長、石紙鋏の能力は――「じゃんけんを強制する能力」?

いや、それだけなら今このタイミングで発動する必要もない。この能力の真髄はじゃんけんの結果によって左右される『何か』にあるのだろう。
それとも、じゃんけんで隙を作っている間に誰かが左を攻撃してくるのか。

色々考えてから鷲乃は更に気づく。

身体が動かない。
じゃんけんを妨害しようと考えた途端身体が言うことを聞かなくなったのだ。
鷲乃は笑顔のまま舌打ちをした。あれはまるで――

左と同じタイプの能力ではないか!

石紙はいつもそうして来たかのように、じゃんけんのレギュレーションを説明し、『試合』を開始した。

「コールは『最初はグー』から。あいこ時の再勝負判定は無しとする! 良いな!」

「では行くぞ!」

「「最初はグー!」」

「「じゃんけん――」」

↓1【石紙が出したのは――:コンマ下一桁判定】
098:グー
7654:チョキ
321:パー

↓2【左が出したのは――:コンマ下一桁判定】
098:グー
7654:チョキ
321:パー

 石紙鋏の能力『じゃんけん勝負!(ロック・ペーパー・アンド・シザーズ)』は、名指しした相手にじゃんけんを強制させる能力。
更に勝てば相手に致命傷を与えることができ、負けると自身が致命傷を負う。

じゃんけんとは即ち武道である。石紙はじゃんけん好きが高じて、じゃんけんという遊びの中にある競技性と精神性に魅力を見出した。

そんな彼がある日妄想したのは、武道として大成したじゃんけんの姿であった。

世界に数多ある手遊びの一つに甘んじている今のじゃんけんを憂い、輝かしい武道としてのじゃんけんを妄想したのだ。

それが彼を魔人に覚醒させる!

彼の妄想したじゃんけんのあるべき姿を相手に強制させる能力に目覚めたのである。

武道であるからには勝敗は分かりやすい方が良い。
負けた者は吹っ飛び、瀕死になるくらいが丁度いい。スポーツ漫画とかでもそういう描写あるもんな!
そんな経緯でこの能力は存在しているのだ。


そして結果は――
石紙がグーを出し
左がパーを出した。

結果は石紙の負け。

石紙は左から発せられたじゃんけんのオーラに吹き飛ばされ、瀕死の重傷を負い倒れた。

※休憩

※続けます

「馬鹿! 生き急ぎすぎよ!」

黒染は石紙を叱責した。
石紙の能力は強力であると同時に、不確定要素が多い。
激情に駆られ、能力を迂闊にも発動し自滅することは自陣営を不利に追い込むということ。
とは言え、黒染は彼をこれ以上責めることはしなかった。

仲間が殺され、気が立っているのは彼女とて同じ。
彼が出ていなければ彼女が飛び出していたところだった。

とにかく今はこの不利な状況を打破することが先だ。

「早蕨さん! 能力の発動を許可します!」

黒染は早蕨に合図をした。

↓1【どうする?】
1:発動しない
2:『嵐の女王(テンペスター)』発動! ※精神力を1~3まで任意の数消費選択してください
3:『嵐の女王(テンペスター)』最大出力で発動! ※精神力を4消費します

早蕨は黒染の合図に黙って頷いた。

 『嵐の女王(テンペスター)』――早蕨の持つ能力の名である。
この能力は、彼女の『認識』する風を自由に操るというものであり、用途も様々。
彼女の幼少期憧れたピーターパンのように「風に乗る」ことで空中を自由に移動したり、
カマイタチを発生させ、攻撃に転用することが可能である。

「なんだこの風は!」

八神が近くの大木を盾に叫んだ。
番長グループ魔人らに不自然なほど局地的な追い風、暴風が襲い掛かっているのだ。
彼らは風を前に目を開けることすら難しく、攻撃ができない。
早蕨は「嵐の女王」で風を起こし、敵の身動きを封じたのだ。

「よくやりました早蕨さん! では皆さん、行きますよ!」

黒染の号令に、電堂、天ヶ瀬が攻撃準備を始める。
「嵐の女王」の効果は生徒会役員らにも適用されていた。
早蕨の認識により、彼らの周りには都合よく風が吹かない!

その時である。

「いやいやいや……ちょっと待ってよ。ちょっと待って。その能力はフェアじゃないなあ」

鷲野マァクが生徒会の前に立ちはだかる。
彼には何故か「嵐の女王」が効いていないようだった。
生徒会陣営に一瞬動揺が走った。しかし――

「怯むな! 行くぞ!」

その理由はともかくと電堂らは番長グループに飛びかかった!

【戦闘判定:直下コンマ下一桁判定】
098765:生徒会陣営の攻撃!
4321:鷲野マァクの攻撃!

【補正】
【人数補正】+2
【生徒会陣営:遭遇ボーナス(坂上空・笑形ニコ)】+2
【番長G:遭遇ボーナス(透坂愛衣)】-1

しかし、鷲乃独りで到底敵う相手では無かった。

生徒会陣営は倒すのに面倒そうな鷲乃を無視し、他の魔人を攻撃し始めた。

 まず、黒染が八神の前に立ち、攻撃をしかける。
巨大な鎧騎士と小柄な黒いパーカー姿の少女。対格差は歴然であるが、体術能力含め彼女は八神より上回っていた。

黒染の打撃は鎧を容易にへこませる程の力を持つ。
一発、拳を撃ち込まれる度、八神は後退し、兜の中で血を吐いた。

八神は攻撃を防ごうと剣を縦に構えるが、その動きを取ろうとする度、「嵐の女王」の邪魔が入り上手く動けない。

【ダメージ判定:直下コンマ下一桁判定】
0:8(八神死亡)
987:7(八神死亡)
654:6(八神死亡)
321:5(八神瀕死)

「ぐあッ!?」

その言葉を最後に八神の姿が消えた。

「八神君!」

鷲乃は彼を探すがどこにも見当たらなかった。

あの瞬間、彼はどこに消えたのか。



彼は黒染の攻撃に耐えつつ、一歩また一歩と後退して行った。

「ぐあッ!?」

また一歩下がった、その時であった。
ガクリと足を踏み外したような感覚が八神を襲った。
しかしおかしい。辺りは風は強いが視界良好。引っかかる場所などどこにも――

あった!

八神の足下に巨大な黒い穴が広がっていたのだ!
黒い穴は、彼を阻む風とはまた違った力を伴い、彼自身を吸い込もうとゴゴと唸りを上げる。
片足が穴にはまってしまった。穴から足を抜こうと動かすが、引っ張られる力の方が強い。
身体を動かせば動かすほど穴に吸い込まれていくようだ。


やめろ。この我をどこに連れて行こうとするのだ。離れろ! 離れろ! あれは……あの穴は一体何なのだ――!


『ダークホール』である。
黒染莉央の『漆黒の闇』は、自分以外の全てを物理法則を無視し暗黒世界に放り込む『ダークホール』を生成する能力。
黒染は、八神の逃げ込んだ先にダークホールを生成していたのだ。

八神は助けを叫ぼうと声を出したが、既にその全身は闇の中に在り、音さえもその中に飲み込まれていた。

八神神――行方不明。

電堂は左の元へ向かう。
右袖の下から電動高周波ブレードを伸ばし、それを素早く振り下ろした。

「桃山と石紙先輩の仇! 死んで償え!」

左は風にも負けず、桃山から奪った左手を愛でていた所に攻撃を受け、死亡。
首を切断されたものの、奪った左手は執念深く握られ離すことは無かった。

※中断。次回エロ

※続けます

追い詰められた主は最早発狂寸前であった。

能力を使わない戦闘においては番長を上回る力を持つ八神、学園を恐怖に陥れた左の二人がやられた。

殺されるとしたら――次は自分。

能力を使う余裕など無く、無我夢中で逃げるがとうとう追い詰められてしまった。


今更ながら主は思う。

――付く陣営を間違えた!

そもそも自分が番長グループに入る必要など無かったのだ。断ることもできた。
何故それをしなかった?
自分を責めた所でもうどうにもならない。


目の前にはポニーテールの女子生徒会役員が立つ。
彼女の名前を主は知っていた。

「天ヶ瀬 神流」

生徒会役員2年の彼女の名前は、男子の話の中――特にエロい話をする際、よく出てくる。

平均的な身長、黒髪ポニーテール、制服は校則通り着こなす。そして巨乳。
性格は極めて明るく、しかしうるさくはない。
先日行われた体育祭では生徒全員にスポーツドリンクを手渡ししていた。
ドリンクを渡す際の笑顔は常に誰にでも向けられ、「頑張ってね!」と手を握られた童貞男子は卒倒ものだった。

健全な可愛らしさが彼女にはあったのだ。
それがなんかエロいと1年男子の中では評判であった。

そんな彼女が今、自分を恐らく殺すべく目の前に立っている。


(あ、俺、殺されるんだ、これから。うわあ嫌だなあ痛いんだろうなあ。左先輩とか首もげちゃってたし、嫌だなあ怖いなあ。あ、能力出せば――)

(あームリ、精神がムリだもん。出しても多分殺されるし、今冷静なのも逆にそういうやつだし。とにかくムリ。足も動かないしおしっこもちょっと出てる)


主は諦めて、目を瞑り、「天ヶ瀬先輩になら殺されるのもちょっとアリかな」と〝その時〟を待った。

顔に柔らかな感触、両肩に温もりを感じ、主は目を開いた。

目の前に花の香りがいっぱいに広がった。
彼は本能的に自分が今どこに居るのかを理解した。

(今――俺――おっぱいに居る!)

腰を抜かした主を天ヶ瀬は殺すでもなく優しく抱きしめていたのだ。

理解はした。
しかし混乱は消えない。
主は天ヶ瀬の柔らかく大きな胸に顔をうずめながら考えた。

何故、俺を殺さない?

だが、その考えも

「怖かったね。ごめんね。でも……これが私たちの仕事だから……ごめんね」

と耳元で囁かれたことで、その憂いを帯びた吐息交じりの声の中に溶けていった。

「俺……殺されるの……? これから……あなたに……天ヶ瀬先輩に……」

恐怖と妙な安心感の混じった虚ろな目で主は尋ねる。自分の命はやっぱり惜しいのだ。

それに天ヶ瀬は優しく答えた。

「ううん。大丈夫だよ。殺さないよ――」

殺さない。
その言葉を聞き、主は涙を流し安堵した。自分の命は安全な場所に置かれた。
俺は殺されない。

不安と恐怖から解放されたからか、主はいよいよ大声を上げて泣き出した。

それに勃起していた。フル勃起だった。

当然のことである。
自然の理。動物の本能。自らの死が迫る時、種族保存をすべく性欲が飛躍的に向上するのだ。

天ヶ瀬はよしよしと主の頭を撫で、そのまま手を彼の制服のズボンへ伸ばす。
そして布越しからも分かる怒張したモノを優しく擦った。主はビクリと身体をのけぞらせる。
突然始まった愛撫に最初驚きはしたものの、それを拒むことはなかった。

主は天ヶ瀬とセックスする気満々だったのだ!

「ううん。大丈夫だよ。殺さないよ」
この言葉には続きがあった。

「――貴方に利用価値があるから」


黒染が、桃山と天ヶ瀬を討伐隊として呼んだ理由。
それは彼女たちは強力な〝洗脳能力〟を持つからである。
利用価値のある者であれば洗脳して番長グループから生徒会陣営へ寝返らせる。
それさえできれば、学園に流れる血を少なく済ませることができる。
これが狙いだった。

しかし、彼女らのみで番長グループの元へ走らせる訳にはいかない。

桃山の〝女性のみ〟を自分の虜にする「百合の楽園(レズハーレム)」。

そして天ヶ瀬の「天使の抱擁」。

これらの能力行使には性行為をしなければならない。
当たり前だが行為中、攻撃に晒される危険がある。

彼女たちを守る為、攻防に長けた能力を持つ黒染が生徒会室を出なければならないのはこの為であった。
更に言えば彼女が内心嫌っている早蕨をわざわざ呼んだのも、彼女の防衛力に目を付けてのことだった。


天ヶ瀬が主とセックスしている間、邪魔は許さない。
黒染、早蕨に守られながら行為は恙無く進む。

ひくひくと震える主の一物は天ヶ瀬の手の中。
その先端からは透明な液体が溢れ、彼女の指を伝う。

「だしたいよお」

主は自分の中で込み上げて来る子種を手の中にブチ撒けてしまいたいと言う。
が、それはさせない。

「だーめっ」

天ヶ瀬は、主が射精しないよう根本を指でキツく絞めた。
そして――

「それを出すのはね……ここ」

膝丈のスカートを捲り、その奥の濡れぼそった下着のさらに奥を指した。
能力を完遂させるには彼女の膣内で射精をしてもらう必要がある。外で出されるのは困るのだ。

「じゃあ……しぇ、しぇんぱぃ……おれ……おれ……いれたい。挿りぇたいよォッ!」

言われるがまま主は餌をねだる猫のように甘えた声を出す。

「いいよ。おいで」

すると天ヶ瀬は下着をずらした。
そのまま挿入しやすいよう秘部を指で開き誘導すると、彼のモノはにゅぶにゅぶと水音を立てその中へ吸い込まれていった。


それもこれも「天使の抱擁」の効果である。
現在の彼は自分の意志で性行為を行っていると〝認識〟している。
が、そうではない。まず、彼女に抱きしめられた時点で主がこうなることは決まっていた。
天ヶ瀬と触れ合うことで、彼女に対して母性や癒しを感じ、性交したいと思わせるまでがこの能力なのだ。

彼女に能力を行使されるまで憔悴しきっていた彼がここまで身体を動かすことが出来るようになったのも能力によるものだった。

そんなことはいざ知らず、腰を振る男の姿があった。

(憧れの先輩とっ)

(俺! エッチしてる!!)

(見たかケンジ! マコト! ユウタ!)

(俺! あの天ヶ瀬先輩とセックス――)

天ヶ瀬の膣内(奥)に自分の一物を深く突き刺したその瞬間に果てたのだ。

三こすり半。

主は早漏であった。
散々射精を止められ限界であったという点から考えれば仕方のない事だが。

主は己の不甲斐なさと天ヶ瀬と思わぬところでセックスできた幸福感、イッた時の快感と共に意識を失ったのであった。

天ヶ瀬は、しな垂れかかった主の耳元で

「いっぱいビューって出せたね。良かったね。これからキミも私たちの仲間だよ」

と激励する。

主はその甘い声に意識を取り戻した後、もう一度射精し、「あぁァゥっ!」と叫び再び意識を失った。

【生徒会(仲間)のターン:直下コンマ下一桁判定】
098765:笑形ニコ
4321:坂上空

ずずんと何か大きなものが倒れた音が聞こえた。

間違いない。
笑形ニコは、この音は戦闘をしている音だと感づいた。

急がなければ――。
考えるより先に身体が動いていた。
音のする方へ走り出していたのである。


黒染からは「貴方はハルマゲドンの間、単独で行動すること」と言われている。
その理由は黒染も誰も教えてはくれなかった。

恐らく自分を戦闘に巻き込みたくないと考えているのだろう、と笑形はいたってポジティヴにその真意を推測する。

笑形は自分が魔人であることを自覚していない。
ちょっと他人より身体の丈夫な普通の女の子だと認識をしていた。

だから――

だから、普通の女の子である自分を巻き込むまいとしているのだろう。
そう思い込んでいた。

しかし、仲間の危機とあらばそうも言っていられまい。

彼女は生徒会の面子が大好きだった。
恥ずかしがりなのか全然自分に会ってくれない黒染生徒会長も
いつも気遣ってくれる石紙副会長も
早蕨も
桃山も
天ヶ瀬も
電堂も
大好きだった。

そんな仲間を助ける為、彼女は走る。

【遭遇判定:直下コンマ下一桁判定】
09876:?
54:透坂 愛衣
32:【戦闘中】黒染&早蕨&電堂&石紙&天ヶ瀬&主 vs 鷲乃&喜瀬市
1:坂上空

走っている途中のことであった。

笑形は肩を強く掴まれ、足を止めた。

「誰!?」

不思議なことに、そこには誰もいなかった。
だが、掴まれた感触は残る。笑形の顔に息がかかった。

いない。だが、確実にいる。彼女は確信した。

見えない透明な何かが自分を攻撃しようとしている。

平和主義を掲げる彼女だったが、仲間を傷つける敵であれば致し方ない。
足下に落ちる枝を拾い、見えない敵に構えた。

【戦闘判定:直下コンマ下一桁判定】
0:笑形の攻撃!
987654321:透坂の攻撃!

【補正】
【生徒会陣営:遭遇ボーナス(番長G討伐隊・坂上)】+2
【番長G:遭遇ボーナス(鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神 神&主 公人&左 蛇野)】-1

※休憩。予想外

笑形はがむしゃらに枝を振り回した。
それだけであった。相手の姿は見えないし、全く動きも読めないのでこうする他なかったのだ。

動きが読めない。

それは笑形を襲う透坂愛衣も同じであった。


彼女の能力「透明化」はその名の通り自らの姿を透明にする能力である。
特色と言えばそこしかない。
見えなくなっているだけなので、実体はある。即ち、切られれば大なり小なり傷付くということ。

魔人の力で振るわれる木の枝は、常人が行うそれとは比べ物にならない程の破壊力を持っていた。
今の笑形はナイフを無暗に振り回す凶悪な不良モヒカンと同じ。
迂闊に触れれば重症。最悪死ぬかもしれない。

が、透坂はそれが分かっていながら彼女に接近してしまった。正気とは思えない!

そう。
正気ではなかったのだ!

何に関しても無関心、無感動、無表情を決め込む彼女であったが、それはあくまでポーズであり、本心ではない。
実のところ彼女は、想定範囲以上の出来事の発生を大の苦手としていた。

彼女の予想の中では、透明化に翻弄された笑形が成す術無く自分に殺されていたのだが。
予想外の反撃に出られると、頭がうまく働かない。
思い通りにいかないと癇癪を起こす子供のように、うわーっと叫びながら飛び出してしまったのだ。

しかし空振り。
透坂の拳は明らかにブレており、笑形には届かない。

その通り過ぎ様にピッ、と枝が透坂の肩をなぞった。

その痛みにさえ気付かない彼女はもう一撃笑形に食らわせようとする。


一方の笑形はとある異変に気が付いていた。

自分の足下に落ちる新しい血糊。

それは自分が振り回す枝で、一瞬撫ぜた透明な刺客から流れた血。

笑形はそこから敵の位置を割り出した。

この一撃は先の物とは違う。がむしゃらではない。

手の中の短い枝一本。狙うは資格の首筋。

当たるか――?

【ダメージ判定:直下コンマ下一桁判定】
0:4
987:2
654321:1

枝は透明な何かに刺さった。
肉を突き刺したような感触に驚き、笑形は枝を持つ手を放した。

彼女の目には、何もない空間に枝が浮いているように見えた。
枝を伝う血の滴。

「ぐ、あぁ……あ」

うめき声と共に空間が歪む。

そこに現れたのは――右腕に枝が深く突き刺さった全裸の女だった。
女は笑顔だった。

*

「残るは貴方一人ですね。鷲乃マァク」

「あぁ――」

鷲乃を黒染、早蕨、電堂、そして意識を取り戻した石紙が取り囲む。
抵抗する様子はないようだ。

だが、余裕の笑みは崩さなかった。

この期に及んで状況を覆せる何かが存在するのか――黒染は疑った。
そこで質問をした。

「貴方……何を笑っているんです?」

鷲乃は答えた。

「いや、さ。面白いなァって思ってね」

「何がです?」

「そりゃあこのハルマゲドンのことさ! 本当に楽しいスポーツだよ! さっきまでさ、僕らが優勢だと思ってたんだよ? でも皆やられちゃって、僕らの切り札だった主クンなんかセックスし始めちゃってさ。ククク……」

「それの何がおかしいの!? 今から貴方は……場合によっては殺されるのかもしれないのよ!」

「構わないよ」

鷲乃はあっけらかんとしていた。

「ど、どうして……自分が死ぬことに何か思うところは――」

「いやーないよーそういうスポーツだし。君たちもそういう覚悟をしてここへ来ているんだろ? じゃなきゃダメだよ。スポーツへの冒涜だ」

「貴方、いったい何を言っているの?」

「――さぁ、殺してみなよ。このスポーツはどちらかの陣営が全滅するまで続くんだ。だから僕が死んでもまだ蟒蛇サンとか火紅クンが残っている。ゲームは終わらない」

彼は続けた。

「僕も精一杯抵抗させてもらうよ」

その言葉と共に地面が隆起し始める。これが鷲乃の能力か――!?

いや違う!

彼の気迫で地面が動いた。それだけだった!


「」

揺れ、割れる大地を前に生徒会陣営は必死にしがみ付き、何とか崩落に巻き込まれないよう退避した。

セックス疲れで戦闘に参加できそうにもない天ヶ瀬と主を背負い、一行は物陰に隠れる。

「気迫でここまでとは……恐れ入ったな」

石紙は額に汗をかく。

「対話は不可能だな。どうする会長」

電堂は黒染に指示を待った。

「……投降の意志は無いと見て、これより鷲乃マァクを討伐します」


4人はもう一度、鷲乃の前に姿を現した。

「あはははは! 僕と一緒に何人死んでくれるかな?」

鷲乃の言葉に4人は返すことは無かった。

「早蕨さん」

黒染は先程と同じように早蕨に合図をした。

↓1【どうする?】
1:発動しない
2:『嵐の女王(テンペスター)』発動!

※中断。少なくてごめんなさい

※再開

【戦闘判定:直下コンマ下一桁判定】
09876:生徒会陣営の攻撃!
54321:鷲乃マァクの攻撃!

【補正】
【人数補正】+2
【瀕死:石紙鋏】-1

 早蕨の「嵐の女王(テンペスター)」が発動し、局地的暴風が鷲乃を襲う。

その隙に黒染、電堂、石紙が攻撃を始めた。

 まず黒染――
隆起する地面に素早く飛び移り、接近。
能力は使わない。
彼女は、鷲乃が「嵐の女王(テンペスター)」を無効化したように見えたことを思い出していた。

身体強化能力だと聞いていたはずだが――

もし、あれが本来の鷲乃の能力であれば――

黒染は自分の攻撃は強力すぎることを知っていた。
彼女が魔人に覚醒してから、この能力を完璧に扱えるようになるまで5年かかった。

自分の能力を使うには、大きな責任が伴う。

もし無効化、あるいは反射されたら――

優勢を保っていた生徒会陣営は崩壊してしまう。


慎重に攻撃をしなければいけない。

目の前の屠らねばならない敵と責任に挟まれながら、鷲乃に拳を奮う。

【ダメージ判定:直下コンマ下一桁判定】
0:7
987:5
654:4
321:3

【???:直下コンマ下一桁判定】
098:早蕨死亡(GAME OVER)
765:電堂死亡
4321:石紙死亡

(よし、当たった――)

黒染の拳に鷲乃の顔面を殴り潰した感覚が伝わった。


その背後で誰かが倒れた。

振り返ると、そこには顔面の潰れた早蕨があった。
無論、渾身の一発を受けた彼女は、即死した。

「え……?」

理解できず、黒染は鷲乃の方を見た。

鷲乃は嬉しそうに笑っていた。顔に傷一つ付いていないさわやかな笑顔だった。

「あ、あぁあ」

――やられた!

ここで黒染は自分がしでかした事に気が付く。
早蕨を殺したのは――自分。
どういう理由かは分からないが、黒染の放った打撃は反射能力あるいは攻撃対象変更能力によって早蕨に当たってしまった、らしい。

あれ程嫌っていた相手でも殺そうとは思わなかった。
まさか、自分が、まさか。殺してしまうとは。

絶望の表情で黒染はその場に立ち尽くしていた。



彼女たちはまだ知らないが、〝それ〟を行ったのは鷲乃ではない。
鷲乃が背負う巨大なリュックの中の少女「喜瀬市 結羽」が自らの能力「あとはまかせた」を使い攻撃対象を変更していたのである。
数分前の「嵐の女王(テンペスター)」無効化もそれに同じ。

めんどくさがりな彼女は、能力で自分や自身の所有物へのダメージ、能力効果、責務やストレスを全て他人に押し付けることができる。

更に彼女は、下の世話から夜のお相手まで、尽くしてくれる相手を随時募集中だった。

全ての物事をスポーツであると割り切る鷲乃とは相性が良く、良い関係であった。

彼女は鷲乃を自身の所有物とし、彼に降りかかる能力の全てを無効化、反射していたのだ。

【GAME OVER】

※エピローグは後で

※先に勝敗判定を

※現在生存者は

※生徒会(主人公)陣営が7人(黒染、電堂、石紙、天ヶ瀬、主、笑形、坂上)

※番長グループ陣営が5人(蟒蛇、火紅、鷲乃、喜瀬市、透坂)で――

※生徒会(主人公)陣営の勝利とします。勝負に負けて試合に勝った的なやつです

※生存者判定を行います。現在生存者の差を出して、2人です

【生存者判定(1人目):直下コンマ下一桁判定】
0:黒染
9:電堂
87:石紙
6:天ヶ瀬
5:主
43:笑形
21:坂上

※一人目の生存者は石紙鋏

※能力発動はしなくていいやつでした。でも、発動してほしかった。どうしても

※なんか好きなんだよなんか

【生存者判定(2人目):直下コンマ下一桁判定】
0:黒染
9:電堂
8:天ヶ瀬
7:主
654:笑形
321:坂上

※2人目の生存者は笑形ニコ

※透坂との決着が付けられず申し訳ない

※平和主義なのに戦わせてしまったのはもうこうするしかなかった。申し訳ない

※幸せになってくれ。なんか戦場でラブコメとかしてくれ

※不遇な設定が好き

※では少々お待ちください

 黒染は茫然自失の所を鷲乃に襲われ致命傷を負う。
そこで彼女は、自分を除く生徒会陣営を全員退避させ、直径200mの地形全てを飲み込むであろう巨大なダークホールを生成。
自身を犠牲に、鷲乃と喜瀬市を闇の世界へと引きずり込むことに成功した。


一方、笑形は死に際の透坂から驚愕の事実を聞かされることとなる。
「とにかくあかるいダンゲロス計画」

理不尽に発生する悲劇、所謂「鬱展開」を嫌う一女生徒「蟒蛇噛奈」は、ダンゲロス内で現在未来含め起こるであろうありとあらゆる「鬱展開」を否定するにはどうすれば良いのか常日頃考えていた。

そこで思い至ったのが「全生徒にどんな悲しみでも受容できる画一的なメンタリティを与える計画」即ち「とにかくあかるいダンゲロス計画」だった。

悲しみを受容できる精神にするには全生徒をアホにする必要がある。
自身の能力「陶源郷」で学園に居る全ての者を常時酩酊状態にし、笑いの絶えないとにかくあかるい学園を造りあげる、それが計画の具体的な方法だった。
全ての物事を面白おかしく、茶化せるくらいでなければ人間生きていくことはできない、という一般論の行きつく先がここという訳だ。

そもそも蟒蛇が番長グループに顔を出し始めたのは先月辺りからである。
そう、彼女はこの計画を行う足がかりとして番長グループに所属していたのだ。
更に彼女は今月に入り、鷲乃を始めとする現体制に不満を持つ魔人をスカウト。前番長を暗殺し、自らがその地位に着いた。

計画の最後に、生徒会を潰し、今度は生徒会に生徒会長として君臨することで学園総アホ化を推し進める。
これが今回のハルマゲドン勃発の顛末であった。



その頃、坂上は蟒蛇と火紅と遭遇。
坂上は能力を発動しようとするも、蟒蛇によって酩酊状態にされ失敗。その隙に火紅の圧倒的な忍術の前に倒れた。

 笑形は番長G討伐隊と合流。最後の戦いに挑む。

5対2。数ではこちらが有利かと思われていたがそう簡単に勝てる相手では無かった。

「陶源郷」で混乱させてからの忍術攻撃という連携技で天ヶ瀬と電堂が倒れされると、生徒会は一気に不利へと追い込まれた。
戦況悪化、友の死による悲しみからとうとう笑形の顔から笑顔が消え「破顔一生」の効果も消えた。
もはやここまでか。そう思った時、なんと主公人が自ら囮になると進言。逆転の光が差し込んだ。

主は元番長グループ。属する魔人の能力は知っていた。

火紅の能力「影法師」の瞬間位置転換効果の裏を読み、主を囮に彼をおびき寄せ、倒すことに成功。

更に主はそのまま、蟒蛇に自分の能力「D・K・N(どうして・こう・なった)」を発動。
命を賭したラッキースケベを彼女に仕掛ける。

主は蟒蛇と接触。ラッキースケベは見事成功。
美しいまんぐり返しを描きながら転倒。シックスナインの体位で彼女を抑え込んだ。

激しい抵抗を受ける主は石紙にこう叫んだ。

「もう俺の力じゃ蟒蛇さんを止められない! アンタの背中の幟で、俺ごと貫けッ!」

一瞬戸惑った石紙だったが、意を決して幟で2人を貫いた。



「普通の生徒で終わりたくなかったんだ。最期だけかっこよかっただろ? なぁ――」

と言い、主は力尽きる。

これで全ては終わった


――かに見えた。


鬱展開を許さないギャグ原理主義の亡霊と化した蟒蛇は、自分の胸に深々と刺さった幟を引き抜き再び立ち上がる。
胸の谷間に隠していたスキットルが即死を防いだらしい。

彼女を前に、石紙と笑形に三度危機が訪れる。

蟒蛇は、2人にハルマゲドンを中止して共に「とにかくあかるいダンゲロス計画」を共に進めないかと提案する。
そうすれば、これからが戦闘が発生して仲間を失ったりすることもない。
全員アホになってしまえば、感性なんかはもう似たり寄ったりになってしまうのだから気にすることはない。彼女はそう語った。

「そんなの嫌です!」

答えたのは笑形だった。

「確かに……それを行えばいずれ起こる悲しい出来事はなくなるかもしれません。それは良い事かもしれません。でも……みんながアホになって、そこに生まれる笑顔は本当の笑顔じゃありません! アホの笑顔です! アホ面です!」

「笑顔の形は一つでも、笑顔の理由は人それぞれです。人それぞれの笑顔の理由を奪うなんてしちゃ……いけない!」


「笑形クンの言う通りだ」

石紙も満身創痍の身体を起こしてそれに賛同する。

「蟒蛇噛奈、学園に蔓延る悲しみをどうにかしたい、その気持ちは受け取った。だが、君のやったことは到底許されることではない」

「じゃあ、殺すの? 私を? 殺せるの? 私を?」

「それは分からんな。そればっかりは――」

石紙は拳を固く握り、前へ突き出した。

「こいつに聞いて見なきゃあ分からんな」

「先輩それは――!」

「笑形クン、黙って見ていてくれ! ……次は……負けない。皆が付いていてくれるからな」

彼は全ての決着をじゃんけんで着けるつもりだった。

「行くぞ。蟒蛇噛奈ッ! コールは『最初はグー』から。あいこ時の再勝負判定は無しとする! 行くぞ!」




「「最初はグー!!」」


「「じゃんけん――」」

空を見上げ考える。

――私のしてきたことは間違いだったのだろうか。

頭が働かない。

――目の前の男の手は開かれていて、私の手は固く握られている。ってことは……ああ、よくわからない。眠いな、酒を飲んでいないのに、眠い

身体は痛く、息は苦しい。
しかし、顔は笑っていた。
まさかラッキースケベに翻弄され、じゃんけんに負けて倒されるとは――

面白いことこの上ない。

そうだ、こういうのを望んでいたのだ。こうでなければ楽しくない。

――やっぱり……カオス展開って……サイコー



満たされた表情で蟒蛇は死んでいった。

*

石紙は笑形に肩を貸され、生徒会室へと帰還した。

討伐隊が生徒会室を出た後、番長グループの急襲があったが犠牲無く見事生徒会室を守り抜いたらしい。
黒染が気にしていた防衛マニュアルはキチンと守られていたのだ。
彼女の指導は間違いなかったと言うべきだろう。しかしもう彼女はいない。

「これから忙しくなるな、笑形クン」

「はい。これからも私、頑張ります」

「ああ。だが……失ったものは大きいな」

「はい」

「生徒会……討伐隊にも友人がいただろう」

「……桃山さんと早蕨先輩……あ、坂上先輩と今度お茶しに行こうって。でももう――」

「そうか……まあ、その、いつだって明るく楽しくなんて簡単には……いかんものだよなあ」

「……」

「その……何を言いたいかというと……笑形クン――」


「――君は少し泣いてもいいと思うんだ」


【「とにかくあかるいダンゲロス」 閉幕】

※中断

※キャンペーン第1回目終了です。

※次のキャンペーンについてアイデア・要望あったら教えてください

※まー基本こんな8vs8の殺し合いで行きたいと思います

※次キャンペーンのコンセプトを決めます

※皆さんのやりたいことを教えてください

※わざわざ自分で決めるのがめんどくさいと思ったそこのあなた! 選択肢から選ぶこともできますよ

1:いいから早く新しいの始めようぜ!(ルールはそのまま8vs8へ)

2:転校生欲しい……欲しくない?(ルールはそのまま8vs8vs転校生まず1人で三つ巴の戦いに)

↓1~3までの意見を優先して考えます

※意見がそこそこ出ました。協力ありがとうございます

※では次の中から選んでください

1:8vs8(ルールは前回とほぼ同じ。転校生が絶対来ないわけではない)

2:8vs8vs転校生1人(ルールは前回とほぼ同じ。転校生の追加注文もあります)

3:8vs8(ルールは前回とほぼ同じ。陣営を性別で分け、男子校vs女子校の図式でハルマゲドンを行う)

※先に2つ来たもので進めていきたいと思います

1

※では8vs8から始めたいと思います

※今回は前回の……

【直下コンマ下一桁判定:前回の――】
0:前回とは別世界
9876:1年後(続投キャラ:笑形ニコ)
54321:数日後(続投キャラ:石紙鋏、笑形ニコ)

※前回とは別の世界戦のお話のようです

※これがどういうことかというと――

※今まで死亡したキャラや生存したキャラも参戦可能だ、ということなのです。所属が変わっちゃってもOKです

※設定を微妙に変えたい場合は募集時に再投稿してください

※設定変更を伴う再投稿時にはステータスが変わるかもしれません。ご了承ください

※ではキャンペーンの内容を決めるのでキーワードを一つください

↓1

「今までのキャラ」というのは、つまり前回のハルマゲドン参戦者だけでなく過去スレのキャラでもOKという事?
安価下

度胸試し

>>165
※は、はい! そういわれると思っておりました

※OKです! でももう色々と忘れてしまったので、前前スレ以前のキャラを指名する際は、いつのスレの奴か教えてください!

>>169
解答ありがとう
まあ自分はこのスレから参加してるので、送るのは新キャラになるがな!

>>3にもある通り「自分のキャラ以外でも好きに設定追加してOK」です 投稿する際はその辺も踏まえてお願いします

※自分が投稿していないキャラでも登場させたい場合は指名をお願いします

【プロローグ】

突如ダンゲロスに古代遺跡が出現!

まぁここまでは良くあることなのだが……

ここで学園を二分する陣営番長グループ、生徒会とで遺跡に対する意見が別れた。

普通に入って探検したい番長グループ。

触らぬ神に祟りなし。
遺跡の中に凶悪な超古代魔人が眠ると踏み、遺跡内の立ち入りを禁じたい生徒会。

双方の意見の食い違いは抗争にまで発展。

ダンゲロスハルマゲドン勃発!

入るなって言ったら入りたくなっちゃうだろ!

【「水曜スペシャル ダンゲロス探検隊 校庭の真ん中に遺跡! 超古代魔人は実在した!!」開幕!】


【勝利条件】
・敵陣営の全滅
・敵陣営の投了
・主人公の死亡時:主人公陣営の残り人数>敵陣営残り人数

【敗北条件】
・主人公の死亡時:生徒会残り人数>番長G残り人数or転校生生存
・味方陣営の投了

【GAME OVER条件】
・主人公死亡

【特殊ルール】
・コンマ判定時00を除くゾロ目が出た場合、>>1の判断で「超古代魔人」が出現します。
・超古代魔人は、なんか分かんないけど怒ってるので第3陣営として番長G、生徒会、転校生を襲います

※ということで今回の主人公はどちら側の陣営につきますか?

※「番長G」「生徒会」のどちらかを選んでください

↓1

※主人公の所属は番長Gとなりました。生徒会の制止を振り切り、古代遺跡に足を踏み入れちゃいましょう

※では、主人公と番長Gのキャラを作ってください

※前にも言った通り、以前のキャラを死亡生存関わりなく参戦させることが可能です

※ただ参戦してほしい場合はそのキャラの名前だけ書いて投稿してください。重複した場合は安価下です

※設定を変更、追加する場合は>>3のテンプレに従い、再度投稿しなおしてください

※もちろん新キャラの投稿も可能です

※ゆっくり待ちましょう

↓1【主人公:今回こそ出番が多ければいいなー】

↓2~8【番長G陣営魔人ら】

蟒蛇噛奈

1スレ目>>572
無理なら安価↓

【名前】
【性別】女
【学年】3
【性格】夢見がち
【見た目・所持品】緩く編んだ銀髪にナイトキャップとネグリジェ
【能力名】浮わついた道化師(バルーンピエロ)
【能力原理】触れたものの浮翌力を操る風船を大量に作り出す
普段はこの風船にのって移動する
相浮翌力を増して手をどこかに飛ばしたり逆に浮翌力をマイナスにして押し潰すことも出来る

【名前】清水 美穂 (しみず みほ) 
【性別】女 
【学年】2 
【性格】おっとりしていて面倒見が良い 
【見た目・所持品】爆乳に近い奇乳 セミロングでスケスケのドレスを着用 
【能力名】母性開放 
【能力原理】母乳を相手にかけると母親として認識して無防備になる 
【備考】妊娠していないが母乳が出る体質。パイズリが得意で男性の
精気を亡くなるまで吸い取ることができる。

>>184すいません名前射れ忘れました
【名前】枕野 寝子(まくらの ねこ)

※ごめんなさい書き忘れていました

※キャラ投稿は一陣営につき一人一回だけ!

>>184は無効です。ごめんなさい

※番長Gは>>185で締め切ります

※続いて皆さんには番長を決めてもらいます

※番長が死亡するとマイナス補正が発生するので選ぶのは慎重に

>>1は蟒蛇、木須島、合羽之あたりを選ぶと良いと思ってます

※先に3票入ったキャラが番長です。直下からどうぞ

蟒蛇

※では番長は今回も蟒蛇で

※次に生徒会の魔人をとお願いします

※生徒会長は>>1が決めます

↓1~8【生徒会陣営魔人】

【名前】八女 太郎(やめ たろう)
【性別】男
【学年】2
【性格】極度の面倒臭がり屋。可能なら呼吸すらしたくないらしい
【見た目・所持品(武器含む)】学校指定の制服(ただし気崩れまくりでヨレヨレ)、死んだ魚のような目
【能力名】万年退屈男(ボウリング・インフェクション)
【能力原理】自身の「極度の面倒くさがり」という性質を周囲に伝搬させる
能力の効果範囲内にいる時間が長いほどその性質は強まり、最初のうちは倦怠感程度だったのが次第に動く事が面倒になり、最終的には呼吸や心臓を脈動させる事すら面倒になって死亡してしまう
最大効果範囲は八女の視界内に収まる程度で、効果範囲は彼の意思である程度絞ることができ
相手のみを一方的に効果範囲内にすることが可能だが、基本的に面倒だからと使いたがらない
【備考】歩くどころか立つことすら面倒らしく、基本的に地面に寝転がっている(その為移動する際は基本的に他者に運んでもらう)
しかしおだてられると弱く、自分に出来る範囲の事ならなんでもやっちゃうちょろい奴

【名前】黄泉 鬼帝(こうせん きてぃ)
【性別】女
【学年】2
【性格】物静かで誰かの為に尽くすのが好き
【見た目・持ち物(武器含む)】セーラー服にメイドの要素を足した服を着た黒髪をアップでまとめたスレンダーな女性
【能力名】冥土インHELL
【能力原理】地面から2メートル超の金棒や鋸を(通常サイズの拷問器具なども)取り出す
取り出したものを本人は軽々と扱うことができる
【備考】能力で取り出したもの握ってる間は口が悪くなり相手の顔が苦痛に歪むのが大好きになる

※こちらも締め切りです。

※集計する為、中断します。前回くらいは時間がかかります。お許しください

※再開します

希望崎学園校庭。

普段この場所では体育の授業や部活動の練習などが行われている。

しかし、今はそれどころではない。人もいない。

その理由は一目見れば分かる。

学校にはおよそ似つかわしくない風景。
校庭ド真ん中に巨大な遺跡が建っているのだ。

柱や壁が石で出来た、神殿を模した古びた建造物。
大きな門の上には荘厳な装飾が施されており、日本語で「むかしにつくりました」と書かれてある。
その為、校内生徒は「昔に作ったって書いてあるし、なんか古いっぽいから」という理由でこれを「遺跡」と呼んでいた。

この遺跡が突如現れてから早一週間、校内に不穏な空気が流れ始めた。

番長グループと生徒会の対立だ。

生徒会では危険性を考えた上、一般生徒の遺跡の立ち入り禁止を呼び掛けていた。
ところが番長グループは好奇心から安易に遺跡に入りたがり、度々生徒会の注意を受けていた。

だが、注意勧告もわずか5日間で千回を超えるとなると、生徒会もその怒りを我慢できずにいられない。
むしろこれだけ我慢できたのだから褒めてほしいくらいだった。

日頃の迷惑行為を受けていることもあってか生徒会長の怒りはとうとう爆発。

対立を深め、いよいよ両陣営全面戦争で決着を付けるしかないということになり、まさしく今日――

ハルマゲドンが行われようとしていた。

現在、遺跡には黄色いテープが張られ、厳戒態勢の中、遺跡の中に一歩たりとも通してなるものかと生徒会役員らが警備を行っていた。

生徒会はあくまで学園の為、こうしてハルマゲドンの最中であっても遺跡の警備は怠らないのであった。

 遺跡入り口前では、古い駄菓子屋に置いてありそうなブリキのロボットを大きくしたようなものが立っていた。
ロボットは周りの役員らを労いながら、自ら辺りの監視を行っていた。
彼女こそ、ロボット界の革命児こと生徒会長「針簿亭ぽんこⅡ」である。
見てくれはこんなだが、学園に襲い来る脅威から生徒らを幾度となく救ってきた優秀な会長であり、周りからの評価も高い。

「会長、そろそろ時間だ。生徒会室に戻って、指揮を――」

彼女にそう声をかけたのはオールバックにサングラスをかけた男子生徒――「物部ギオン」だった。

 生徒会陣営はハルマゲドンを行うにあたって、当日の番長グループの行動を幾つか予測したところ、生徒会に攻撃するのに手いっぱいでさすがにこの期間は遺跡に近づこうとは思わないだろうと踏んでいた。

針簿亭もハルマゲドン開始の時刻に合わせ、戦闘要員らに指示を出すべく、監視・警備は他に任せて自分はて生徒会室へ戻ろうとしていた。

そんな時だった――


「番長グループのお通りだァーーーーーーーーッ!」


と遠くからよく通る声が一つ。
警備を行っていた一般生徒会役員に緊張が走る。

ごう、と強い風が吹き、グラウンドの砂が舞った。

その中心を走るのは番長グループ。

一般生徒会役員らを蹴散らして、真直ぐ遺跡へと向かって走って来る。

番長グループの不良らはそれぞれが走りながら

「パラリラパラリラ」

とか

「ブゥォーン! ブンブン!」

とかバイクのような擬音を叫んでいた。


「そうか。話には聞いていたが、あれが――」

物部は膝を打つ。



あれが――徒歩暴走族!


徒歩暴走族と化した番長グループが、生徒会の予想に反し遺跡へと進軍を開始しているのだ! この勢い、もう止められる者はいない!

一団の一番前を走るのは泣く子も黙る番長「蟒蛇噛奈」。
彼女はパラリラとか言うのが恥ずかしくて別に何も言っていない。

その後ろを走るのは美少女数名。
番長が蟒蛇になってからグループの女性化が進み、構成員のおよそ半数、幹部については殆どが女子だった。
しかし、レディース化が進んだところでその勢いは変わらない。
むしろ悪質化している。それは以前の遺跡無断侵入に関しても言えることだった。

そして、彼女たちの脇を固めるのはなんとカッパとピンク色のクマ。
一般生徒会役員らは自分の目を疑う。

なんだこれは、どこのチンドン屋だ。

そんなツッコミするまでもなく、彼らは番長グループらに吹き飛ばされてしまう。


「止まれ! 止まらないと撃つぞ!」

針簿亭が右手のロケットパンチを構え最後通告をするが、その声も空しく砂埃の中にかき消されてしまう。

突然の出来事に対処のしようがないまま、番長グループは徒競走でゴールするかのように立ち入り禁止のテープを切り遺跡の中へ消えて行ってしまった。

「蟒蛇め……本当に訳が分からん奴だ。会長、どうする?」

物部は針簿亭に聞く。
彼女は小さく頷いて答えた。

「物部先輩、みんなを連れてきてくれ。追うぞ」

*

遺跡入り口を抜けるとそこには何もないだだっ広い空間が待っていた。

お宝や、そうでなくとも楽しいことが待っていると見込んで突入した番長グループは拍子抜けしてしまった。

彼らはテンション低く、その場に寝転がりおしゃべりを始めた。

「こーんな広い空間何に使えば良いのかなー。せっかく見つけたんだからさー何か楽しいことに使おうよー」

最初に話し始めたのは黒髪短髪、褐色肌の少女――木須島セップだった。

「装飾が綺麗だわ……改装してダンスホールにしたらどうかしら。舞踏会を開くの。あ、私はダンス苦手だけど」

ステージらしき場所の淵で優雅に足を組み、提案した仮面の女は「鹿鳴院 円舞」。
しかしこの提案は「武道会」と勘違いした番長Gの面々によって却下されてしまう。

「ぬいぐるみをいっぱいおいてモフーってしたいなーって、ぬいちゃんはおもってるみたいよ!」

「胡桃木 縫」の持つウサギのぬいぐるみが喋った。彼女は自ら話すことは無く、ぬいぐるみやパペットを腹話術を通して会話する。

話はなかなかまとまらなかった

そんな中で――

「おーいみんなー、いいもんめっけたー」

と彼らを呼ぶ声がした。突撃の際にも聞こえたよく通る良い声だった。

彼らを呼んだのは人語を話すピンク色の熊。「くまの大五朗」。
学生服を着ているのを見て分かる通り、彼も希望崎学園に通う学生である。
動物園で生まれた普通のツキノワグマだったが、檻の外の自由な暮らしを夢見るうちに魔人へと覚醒。
紆余曲折あって学生としてこの学園に通うことに、という経緯がある。

呼ばれた先にあったのは、人が一人通れるくらいの大きさの穴と看板だった。
看板にはやはり日本語でこう書かれている。「この下、めいきゅうとかあるんで」。

これを見た番長グループらは目を輝かせた。
彼ら新しい物や物珍しいものが大好きなのである。

「よくやったダイゴロー!」

「さっすがちんぽに骨が入ってるだけあるね!」

「えへへ」

ここで番長蟒蛇が思い付いた。

「そろそろ生徒会の奴らがこっちへ来る。何人かに分かれて迷宮で迎え撃つわよ」

「殺した数が一番多かった奴は、このだだっ広い空間を何に使っても良いってことにしない?」

「酒蔵にしても良し、家にしても良し、ぬいぐるみを置くも良し、男ばっかりを引っ張てきて乱交パーティするも良し」

「どう? 楽しくない?」

楽しくないわけがない。彼らは番長グループ、ルール無用の不良集団なのだ。

※中断。今回はこんな感じで進みます

※次回から戦闘をしたりしなかったりします

※再開します

木須島らは、腕に覚えのある大五朗や鹿鳴院と別れ、迷宮奥へと進んだ。

 迷宮は、遺跡と同じく古びた石で作られた壁で囲われた教室程の広さの部屋と部屋部屋を繋ぐ細長い一本道で構成される。
壁には松明が掛けられており、薄暗くはあるが行動に支障は伴わない程度であった。

しかし奇妙なことに番長グループ、この部屋に既視感を抱いていた。

何だろうとしばらく考えた後、彼らは気づく。

壁に赤いスプレー缶で書かれた「喧嘩上等」の文字、煙草の吸殻、日本酒の空き瓶、車屋で働く先輩からもらったポリ袋、麻雀卓。

このレイアウトはまさに不良のたまり場。

長身の男子生徒――「合羽之マァク」は何かを確かめるかのように、「喧嘩上等」と書かれた壁を指でなぞる。

「分かるのか、合羽之」

蟒蛇は聞いた。

「ああ――専門ではないが、何となくは分かる。ほら、お前らも歴史の授業で習っただろう」

全員が首を横に振る。彼女たちは学校に来てはいるもののロクに授業に出ていない為、そんな難しいことは知らないのだ。

「全く」と合羽之はため息を吐いた。
彼女らに比べ、彼は目立つことを好まない。生徒会から番長グループに所属する魔人だと知られぬため、普段は学生生活をそつなくこなす普通の高校生で通していた。
それ故、授業にもちゃんと出席している。
先生の話さえ聞いていれば、こんなこと簡単に分かるものだ。

「この遺跡は内装から見て分かる通り――失われた文明……『古代ヤンキー文明』のものだ」

「「「「「な、なんだってー!」」」」」

古代ヤンキー文明――

人類がこの地球に誕生して数十万年。
人口増加、技術の進歩、都市経済の発展、信仰の発生などの過程で成立し栄えた社会――「文明」。

それらの源流を「古代文明」と呼ぶ。

有名なものではメソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・黄河文明がなどある。
独自の文化を持ち、現代社会の祖として今なお歴史を学ぶ上で欠かせない要素となっている

希望崎学園があるここ日本でも近年、青森県青森市にある三内丸山遺跡の研究の進歩により縄文時代の発展を「縄文文明」と呼び、古代文明社会として位置づけようとする動きがある。

しかし、日本に存在するとされる古代文明は他にもあった。

それが、古代ヤンキー文明である。
古代ヤンキー文明とは縄文時代と時を同じくして生まれた日本独自の文化を育む文明であった。
この文明は高度な文化と、野蛮性を兼ね備えており、ヤンキーを下品な存在だと嫌う一部の有力者から無かったことにされた「失われた文明」なのだ。
最近ではオカルト誌やインターネットなどで、復権の兆しを見せつつあり、考古学者もその存在を再確認しようと動きを見せ始めている。

さて、読者諸兄らは「ヤンキー」を1980年代後半から90年代初頭を生きた不良少年少女らの呼称だとお思いだろう。が、それは少し違う。
ヤンキーは古代にも存在した! というか「ヤンキー」という言葉は古代より存在していたのだ!


現代におけるヤンキーの本来の語源は北部アメリカ人を指す俗語とされている。
が、驚くべきことにこんな説もある。

古代ヤンキー文明は我々現代人使う言語に近い「ヤンキー語」と簡単な文字を通して部族内での高度なコミュニケーションを行っていた。
1960年代に出土した古代ヤンキー遺跡には、壁にこのような文字が書かれてある。

「おれら、ヤンキーであることにほこりとかもってっから。ヤンキーまじつえーから」

この文章が示す通り、古代ヤンキー語において彼らは恐らく戦士或いは兵士のことを「ヤンキー」と呼称し、自らがそれであることを自覚した上で、それに誇りを持っていた。

古代ヤンキーの語彙力は極めて低く、喧嘩っ早い。それにより諍いが絶えなかったとされるが、一度仲間としての絆を結べばそれは決して崩れることはなかったらしい。
ここから推察するに彼らは、一見暴力的だが根は非常に温厚な人種だったのではないだろうか。

古代ヤンキーは奇抜な髪形(後のリーゼント)や特殊な服装(後のボンタン、カッターシャツ)を好み、自らを着飾ることで自分が戦士であることを周囲にアピールしていた。
また、アウトローであることにこだわりを持つ。
古代ヤンキーが自分の武勇伝を語ったとされる石板が見つかっている。そこには自分が小学生の頃から行ってきた犯罪履歴や殴った人物の名前が記されてあった。

そう、偶然の一致ではない。
古代ヤンキーは近代ヤンキー(1980年代後半から90年代初頭を生きた不良少年少女らを指す)の祖だった!

当時の不良少年少女らが「ヤンキー」として現れたのには意味があった。
近代ヤンキーとは、古代ヤンキー文明の文化を復興すべく彼らの生活を模倣する者のこと。
近代ヤンキーは、実はヤンキールネッサンスを起こすべく立ち上がった文化運動推進派だったのだ!


そして、今木須島らが立つこの遺跡こそ現代に甦った失われし文明「古代ヤンキー文明」の遺跡だった。

なおこの話を合羽之は彼女たちに説明したが、殆ど聞いていなかった。彼氏にメールとかしてた。

(そんな遺跡が何故今ここに――)

遺跡が突如、校内グラウンドに出現したのは何故か、合羽之は考える。
前提として魔人の仕業であることには間違いはない。
どんな理由があってここに遺跡を出現させたのか、それともグラウンドの下に元々あった遺跡が浮上したのか。
疑問は尽きない。

が、そんなことを知ったところで自分に何か利益がある訳ではない。
まして今はハルマゲドンの最中である。これについて調べるのは少なくともハルマゲドンが終わってから――合羽之はそこで推理を凍結させた。
無駄なことはできるだけしたくないのだ。

ふと、周りへ意識を戻すと女性陣が自由に部屋の探索を始めていた。
まったく自由な奴らだ。彼の気苦労は絶えない。

【遭遇判定:コンマ下一桁判定】
09:くまの大五朗
87:鹿鳴院円舞
65:?
43:?
21:?

※超古代ヤンキーが番長グループを襲う!

※中断

※まだ作ってませんごめんなさい

※久々の再開。許してください! なんでもしますから!

【直下コンマ下一桁】
0:遺跡を消したやべーやつ
987:ちんこでっかいやべーやつ
654:岩のやべーやつ
321:サシでやりあうやべーやつ

※ゾロ目なので追加です

【直下コンマ下一桁判定:古代ヤンキー(2人目)】
0:遺跡を消したやべーやつ
987:ちんこでっかいやべーやつ
654:岩のやべーやつ
321:卑怯で侍なやべーやつ

「ふぅ――」

そんな女性陣を尻目に合羽之は小休止。
床に座り、壁に背をもたれかけた。

女性陣は探索を続けていた。
歴史的建造物である説明したところで無駄。その探索の仕方には圧倒的に慎重さに欠けていた。
開かないロッカー風装飾品を蹴り壊して開いたり、花瓶を落としたり、挙句の果てには古代の教科書と思しき書物に折り目を付け始めたりと無茶苦茶だ。

言って聞く相手では無いと長い付き合いから重々承知していた合羽之だったが、さすがに黙っていられなくなり立ち上がった。

――その時だった。

どこか遠くから何かが近づいて来るような音が聞こえた。

「なんだ?」

音のする方に全員が注目する。やはり何かがこちらに向かっているようだ。
しかし足音とはまた違う感じだ。
生徒会長でロボットの針簿亭の機械的歩行音ともまた違う。
では何なのか。



 彼らは視認するまで分からなかった。
しかし、今となってはこの音の正体がはっきりと分かる。
部屋と部屋を繋ぐ細長い道いっぱいに迫って来る巨大な丸い岩。それが転がる音だ。
冒険映画によくある演出! 遺跡に足を踏み入れた探検家を襲う罠の一つ! それが番長グループを轢き潰さんと速度を上げ迫りくる!

 それを先導するのは、長楊枝を加えた時代錯誤なセーラー服を来た女だった。
彼女はこう叫んだ。

「オラーーーーーっ! 古代ヤンキー様のお通りだよォーーーーーっ!」

 番長グループの面々は、各々の能力でこの岩を破壊あるいは止める手立てはないかと考えた。
まず前提として、岩が岩を先導する古代ヤンキーを名乗る女が召喚したものだった場合、女を殺せば岩はピタリと止まるかもしれない。
だが、それならば何故彼女は岩の前に立つのだろうか。
自分を守るため、岩の後ろに隠れていれば良いはずだ。

こんな無謀なことをするのは、命知らずの古代ヤンキーであるからに違いない。さすが古代ヤンキー、やることが違う。
だとするなら、この女と岩は無関係。
さらに、この岩自体が魔人である可能性もある。

 その推理は実際当たっていた。
この岩は魔人。映画に出てくる転がる岩の罠に憧れた古代ヤンキーの少女が魔人に覚醒し、岩にその姿を変じたのだ。

 ――では、岩自体を止めるしか解決方法はない。
しかし、能力の分からない古代ヤンキーの女の妨害があるかもしれない。

 ここで導き出される答えはただ一つ。

「逃げるわよっ!」

「「「「「応ッ!」」」」」

部屋を抜けてしばらく進んだ先に直角のカーブがある。
あの勢いで転がる岩なら間違いなく曲がり切れない。突き当りにぶつかり粉々に砕け散るはずだ。

今はとにかく逃げなければ、あの巨大な岩に潰され死ぬこととなる。

蟒蛇の号令と共に番長グループは一目散に逃げ出した。

【逃走判定:コンマ下一桁判定】

↓1【木須島セップ】
098:逃走成功!
7654321:逃走失敗…

↓2【岡佐蓮】
098765:逃走成功!
4321:逃走失敗…(死亡)

↓3【胡桃木縫】
09876:逃走成功!
54321:逃走失敗…(死亡)

↓4【合羽之マァク】
098765:逃走成功!
4321:逃走失敗…(死亡)

↓5【清水美穂】
098:逃走成功!
7654321:逃走失敗…(死亡)

↓6【蟒蛇噛奈】
098765:逃走成功!
4321:逃走失敗…

↓7【古代ヤンキーの女】
0987:逃走成功!
654321:逃走失敗…(死亡)

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