男「オレオレ詐欺やったるでぇ!!」 (24)

男「金が必要なんや!せやけどチマチマ働いてる暇は無い!」

男「せや、ここはいっちょ銀行強盗して一攫千金や!」

男「いや、ちょい待ち。銀行強盗は流石にムズいな」

男「近所の銀行の窓口のお姉さん、めっちゃタイプやねん…緊張してまうわ、きっと」

男「『か、金をだしぇ!』とか噛んでしまうにきまっとる!」

男「…うし」

男「ここは安パイでオレオレ詐欺や!一時期ブームになったしイケるやろ!!」

男「クカカカカカ!よっしゃ!稼いだるでぇぇ!!」

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プルルル プルルルル

『はい、もしもし』

男「お、出たで。よっしゃ俺のアカデミー賞レベルの演技力見せたるわ!」

男「あーもしもし。オレオレ。オレやけど」

『えっ?ああ、アンタかい。どうしたのさ』

男「よし、イケるでこれは…!」

男「あー、いきなりで悪いんやけど…」

『あんたまーたこんな時間までゴロゴロ寝とったんかい。ハロワにはちゃんと行ってるんだろうねぇ?』

男「え?あ、いや…」

『はぁ…。また仕送り催促の電話だろ?今月でもう何度目だい。一体何に使ってるのかは知らないけどさ』

男「あの、ちょっ、話聞いて」

『お父さんが知ったらまたブン殴られるわよ、アンタ。いい加減バイトぐらいはしなって言ってるだろ』

男「……すんません」

『…ほんと、しょうもない子だよ。もうこれが最後だからね。お父さんたちももう歳なんだから、いつまでも甘やかしてあげられる訳じゃないんだからね」

男「………ほんま、すんません」

『じゃあ、後で振り込んどくから。たまには嬉しい知らせを聞かせておくれ?」

男「…がんばります」グスン

『じゃあね。……ちゃんとご飯食べるんだよ?』

ブツンッ

男「…」

男「……」

男「…あかん、心が痛いわ」

男「一応振り込ませることには成功したわ。…どこぞのクズ息子の口座やけど」

?「クク…情けない奴め」

男「誰やっ!」

兄「俺だ」

男「お前か」

兄「オレオレ詐欺とは自分のペースに相手を載せて騙すもの。それをあろうことかこちらの要件を切り出す暇も無いままとは、情けない!」

兄「出来の悪い弟に、俺自ら真のオレオレ詐欺というものを見せてやろう!」

男「おお、何や無駄に自身ありげやな…流石は弟の犯罪行為を目の当たりにして止めもしないだけのことはあるわ」

兄「ケケカーッ!さぁ、荒稼ぎさせてもらおうかぁ!」

プルルル プルルルル

『はいぃ、もしもし?』

男「見せてもらうで。良い歳こいてプリキュア鑑賞が欠かせない長兄の実力を!」

兄「アイカツも欠かさんぞ!」

兄「あー、もしもし?オレオレ、オレだけど」

『オレ?オレって誰だい?』

兄「忘れちゃったのか?オレだよ、ほら、オレ」

『……あ、あんた…まさか、マサオかい…?』

男「ここん家の息子はマサオ言うんやな」

兄「そうそうマサオだよ。あのさ、ちょっと相談が」

『あんたぁーーーーっ!!マサオだよぉー!!マサオが生きてたんだよぉーーー!!』

兄「え」

男「お?」

『マサオ!!ほ、本当にマサオなのか!?』

兄「お、おぉ…父さん、か?」

『ああ…!父さんだよ!おまえの父さんだよ!!』

『お父さん、マサオなんだよねぇ?本当にマサオなんだよねぇ!?』

『4年前に旅行先のギアナ高地での飛行機事故で行方不明になっていたマサオなんだよねぇ!?』

兄「」

『マサオ!今どこにいるんだ!?生きていてくれたんだな……!』

『父さんも母さんも、お前はきっとずっとどこかで生きていると………ずっと…、信じ……信じ、て……』

『ぐすっ…うぐ、ヒック……』

兄「……」

兄「ごめん、父さん、母さん、オレもういかないと」ブツッ

兄「…」

男「…」

兄「……」

男「…何やねん、世界仰天ニュースもビックリや」

兄「マサオ君がどこかで今も生きていることを祈るか」

?「見てられないなぁ」

男「誰や!」

兄「何奴!」

弟「ボクだよ」

男「お前か」

兄「幻の6人目並に存在感のない奴め」

弟「二人とも甘い、甘いよ。まるで冬のミカンのようさ…」クックッ

弟「いいかい?オレオレ詐欺は相手から金を騙し取るのが目的なんだよ?いちいち相手の家庭の事情なんか気にしていたらやってられないよ」

男「おお、正論や…クズの理屈やけど」

兄「そこまで言うからには、お前にはよほどの自身があるようだな」

弟「クックックッ…出来の悪い兄達はそこで指でも咥えて見ていなよ」

男「ってかお前もノリノリなんやな。我が家族のことながら道徳心とか無いんか」

弟「ニャガニャガニャガ。さぁ、絞り尽してあげるよぉ!」

プルルル プルルルル

『もしもーし?』

男「さぁ、見せてもらおうかフォロワー2桁の実力を」

兄「お前、それは1桁の俺への当てつけか?」

弟「もしもし?オレオレ、オレだよ」

『オレ?』

弟「もう、わからない?ほら、オレだってば」

『ああ、サバ太郎か!久しぶりじゃないか』

弟「そうそうサバ太郎だよ久しぶり…ってサバ!?」

男「なんちゅーミングセンスしとんねん…」

兄「ある意味DQNネームのほうがマシかもしれんな…」

弟「サバ……あ、ううん、何でもない。あのさ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」

『うん?…お前、ちょっとおかしいな。本当にサバ太郎か?」

弟「えっ?そ、そんなことないよ。どこがおかしいのさ」

男「おかしいのはお前のネーミングセンスや」

『だって、いつものサバ太郎なら語尾に必ず「デュフフ」をつけるじゃないか』

兄「どんな精神構造してるんだサバ太郎」

弟「ご、ゴメン…久しぶりに電話したから緊張してたのかもしれないデュフフ」

男「プッ」

兄「フプッ」

弟(アトデ、コロス)

『それでどうした?電話してくるなんて珍しいな』

弟「う、うん。ちよっと頼みたいことがあるんだ……あるのデュフフ」

『なんだなんだ、また誰かヤッちまったのか?それとも消してほしい奴がいるのか?』

弟「ちょっとお金が必要になって………え?」

『え、金?珍しいな。今度は金で解決するのか?いつもならあの山に埋めるか叔父さんとこの船で…」

ガチャッ

弟「…」

兄「…」

男「…」

弟「…怖いわ!!」

兄「サバ太郎何者だよ……闇が深すぎるだろ」

男「アカン…今夜一人でおトイレいけそうにないわ。お兄ちゃん」

兄「お前が金髪ツインテールの義妹だったなら付き合ってやってもよかったんだが」

?「揃いも揃って情けない…」

男「誰や!」

兄「何奴!」

弟「出てこい!」

父「私だ」

男「父ちゃん!」

兄「ダディ!」

弟「ハゲ!」

父「大の男が3人揃って何と無様な」

父「不甲斐ない息子たちに、私自ら真のオレオレ詐欺というものを見せてやろう」

男「差すが父ちゃん!息子たちの犯罪行為を止めるどころか参加するんか!」

兄「やれやれ…ならば家長のお手並み拝見といこうか」

弟「うっ、ハゲに日の光が反射して…まぶしっ」

父「グロロ~~ッ。刮目せよ、これがオレオレ詐欺というものだ!」

プルルル プルルルル

『もすもすー?』

男「父ちゃんの腕前見せてもらうでぇ」

兄「ふふ…ブックオフのアルバイト歴45年の実力、得と拝見しようか」

弟「ちょっ、親父もうちょい向こういって。そこいるとハゲに光が反射して目が…」

父「もしもし、オレだよオレ。オレオレ。悪いんだけどさぁ、ちょっと事故を起こしちゃって金が必要になっちゃったんだよ」

『あぁ?あんだってぇー?』

父「だから、金が必要になっちゃったんだって」

『ああー?カレーが必要?婆さんやぁー、ワシゃあビーフストロガノフがええんだがのぉ」

父「カレーじゃねぇよ、金だよ!」

男「あかん、相手ご高齢すぎるわ」

兄「しかし若々しい好物だな」

弟「親父の太陽拳でボクの網膜がヤバいんだけど」

父「金が、必要、なんだって!」

『カヌレぇ?おまえさん、まぁそんなナウいもん欲しがるのぉ…婆さんやぁーい』

父「カヌレでもカレーでもねぇよ!もう婆さんに代わってくれ!もしくは補聴器もってこい!」

『ばあさーん、ばあさんやぁー……ばあさんどこじゃあ…』

『……おお、そうじゃ。婆さんは10年前に逝ってしもうたんじゃった…ほっほっほっ』

父「このボケ老人野放しにして逝くな婆さん!」

『おおー?ほんでカレーが欲しいんじゃったっけかぁ?』

父「インド人だってそこまでカレーに執着せんわ」

『ちぃと待っとれー…おーいサバ太郎ー、カレー持ってきてくれんかー』

ブツッ

父「…」

男「まさかのサバ太郎やな…」

兄「ははっ、世間は狭いな」

弟「目がぁー、目がぁー」

父「…こんな筈では」

男「あかん、あかんわどいつもこいつも!」

兄「見知らぬオカンに説教されてたお前に言われたくないぞ」

弟「あんたも大概だったじゃないか、これだからアニオタは」

兄「失礼な!鉄オタでもあるぞ!」

父「しかしこれでは稼げんなぁ…また稼ぎが悪いと母さんにボコられてしまうぞ」

男「ん、そういやオカンどこいったん?」

兄「うむ、そういえば姿が見えんな」

弟「ああ、ママならさっき「男が事故を起こしてお金が必要らしい」って銀行行ったよ」

男「ほぅ、さよか」

兄「マミーも大変だな」

父「まったくだ」


「「「「あはははははははははははははははははははははは」」」」








サバ完!!!!

ムシャクシャしてやった。後悔はしていない。時々無性にこういうバカをやりたくなる。…え、ただの病気だって?ハハッ(裏声
みんなもオレオレ詐欺とハムスターの脱走には気を付けような

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