ほむら「クリスマスなんてくだらない」 (129)

ほむら「何が聖夜よ。何がメリークリスマスよ」

ほむら「ケーキ食べて、チキン食べて、ツリーに登って、イルミネーション眺めて、ベッドの上でジングルベルしたいだけじゃない」

ほむら「ええ、そうよ。私はシングルベルよ。 これまでも、これから先もずっとそうよ。」

それが私の選んだ道。後悔なんてあるわけないじゃない。 まどかの為だもの。

私は悪魔になった。 悪魔にクリスマスを祝う資格はない。

ほむら「……というわけで、今日の晩御飯はアジの開きときんぴらごぼうよ」

偽街の子供達「イツモドオリダ!」

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QB「やあ、暁美ほむら。メリークリスマス」ヒョコッ

ほむら「黙りなさいインキュベーター」パンッ!

QB「ひどいじゃないか。 挨拶しただけなのに」ヒョコッ

ほむら「次、私の前で『メリークリスマス』なんて言ったら、ヒイラギの枝で串刺しにして七面鳥と一緒に焼くわよ?」

QB「クリスマスを1人で過ごすのが寂しいからって、僕に八つ当たりするのは止めてくれよ」

ほむら「寂しくなんかないわよ。 ただ、貴方にムカついているだけ」

QB「クリスマスを一緒に過ごしてくれる人が1人もいない自分には腹が立たないのかい?」

ほむら「子供達がいるじゃない」

QB「子供達だって? 彼女達は……クララドールズは君の使い魔、つまり文字通り操り人形じゃないか。 聖夜に人形遊びをするのが悪魔なのかい?」

ほむら「……黙りなさい。 貴方で遊んでもいいのよ?」

QB「……やれやれ、今になってそんなに怒るくらいなら、どうしてあの時鹿目まどかの誘いを断ったんだい? 内心物凄く嬉しかった癖に、訳が分からないよ」

ほむら「まどかは私のような嫌われ者に関わってはいけないのよ。 そしたらあの子まで嫌われ者になってしまうじゃない……」

ほむら「それに、私が彼女に接触することによって記憶と力が戻ってしまうかもしれない……それだけは避けたいのよ」

ほむら「まどかには、何が何でも人間として幸せになってもらわなくちゃ……」

QB「でも君が彼女の誘いを断った時、彼女は悲しそうな顔をしていたじゃないか」

ほむら「私一人ぐらいいなくても大丈夫よ。 さやか達がいるんだから」

ほむら「暖かい家庭、優しい友達に囲まれてクリスマスを過ごしている……今のまどかは幸せなハズよ」

ほむら「私はそれを遠くから眺めてるだけでいいのよ……」

QB「じゃあ、なんで今は眺めてないんだい?」

ほむら「だぁーまぁーりぃーなぁーさぁーい!」

QB「じゃあ家族と過ごせばよかったじゃないか。 両親はまだ健在なんだろう?」

ほむら「……ええ、『クリスマスなんだから実家に帰ってきなさい』ってマm……お母さんから電話があったわ」

QB「なんて答えたんだい?」

ほむら「『友達からクリスマスパーティーに招待されたからいけない』って答えたわ」

QB「……嘘はついてないね。 うん。 そのパーティーに参加するとは一言も言ってないね」

ほむら「少し寂しそうだったけど『良いお友達が出来たのね。お母さん安心したわ』って言ってくれたわ」

QB「そうかい」

ほむら「年末に帰るように言われたけど、それも断ったわ」

QB「暁美ほむら、君は……」

ほむら「だってしょうがないじゃない……私は悪魔になったんだもの……親に会わせる顔なんてないわ……」

QB「君が悪魔になっただなんて、君の両親にわかるわけないじゃないか」

ほむら「入院してた頃とはキャラがまるで変わってしまってるし……」

QB「一人暮らしで大変だったんだと思ってくれるさ」

ほむら「それにしたって限度があるじゃない……」

QB「つまり君は自ら進んで茨、いやヒイラギの道を歩もうとしてるんだね。 どうかしてるよ」


ほむら「……まどかの為だもの。 まどかの為なら苦しみすら……寂しさすら愛おしいのよ……ふふふ……」

QB「やっぱり寂しいんだね」

ほむら「……用がないならさっさと消えなさい」

QB「わかったよ……さようなら、暁美ほむら」トテトテ

ほむら「……」

QB「ああ、そうだ。 最後に1つだけいいかい?」クルッ

ほむら「……なによ?」

QB「メリークリスマス」

ほむら「」つヒイラギの枝

QB「」ササッ

ほむら「……くだらない……」

ほむら「クリスマスなんてくだらない……」

ほむら「こんなくだらない日は寝るに限るわ」

ほむら「まだ8時だけど寝るわ。 悪魔だもの」

ほむら「お風呂は……今日はいいわ。 悪魔だし」

ほむら「それじゃあ、おやすみなさい……」カチッ

偽街の子供達「オヤスミナサーイ」

ほむら「zzzz」

「……むら、ちゃん……」

ほむら「うぅーん……まどかぁ……」ムニャムニャ・・・・・・

「ほ…………むら……むら……!」

ほむら「まどかぁ……けんたっきーおいしいね……」ムニャムニャ・・・・・・

「ほむらちゃんッ!!」

ほむら「きゃぁッ!?」

まど神「もう! ほむらちゃんたらねぼすけなんだから!」プンプン!

ほむら「アイエエエ!? マドカァー!? マドカナンデ!?」

ほむら「そんな……どうして覚醒してるの……」

まど神「クリスマスだからだよ」

ほむら「理由になってないわ……」

まど神「クリスマスには奇跡が起きるんだよ。 一夜限りだけどね」

ほむら「ああ、今夜だけなのね。 よかったわ」

まど神「ちっともよくないよほむらちゃん」

ほむら「それで、どうしてここに来てくれたのかしら?」

まど神「それはね、ほむらちゃんにバツとチャンスを与えるためだよぉ!」ウェヒヒ!

ほむら「罰……そうよね。 私は罰を受けるべき存在よね……貴女の意志を、覚悟を、踏みにじったんだもの……」

ほむら「いいわ、どんな罰でも受ける覚悟はできてる……ただ、これだけは言っておくわ……」

ほむら「私は、貴女の意志を、覚悟を踏みにじってでも貴女を救いたかった! 貴女に人間としての幸せな人生を……ッ!!」

まど神「……ほむらちゃん、何か勘違いしてない?」

ほむら「……えっ?」

まど神「別にそのことについて怒ってるワケじゃないよ。 確かにちょっと痛かったけど、あのままだとキュゥべえに支配されちゃってたわけだし。 結果
オーライってやつだね」ウェヒヒ

ほむら「……ああ、元はと言えば私がアイツに貴女の事を話したせいで……」

まど神「いやぁ、あれはしょうがないよ。 まさかキュゥべえがあんな実験するなんて思わないもんフツ―。 だからそんなに気にしないで」ウェヒヒ

ほむら「じゃあ……私はどうして罰を受けるの……? 貴女は何を怒っているの……?」

まど神「……ほむらちゃん、私言ったよねぇ……?」

ほむら「な、何を……?」

まど神「『独りぼっちになっちゃダメだよ』って……」

ほむら「あ……!」

まど神「それなのにほむらちゃんは……わたしからの誘いも断って……実家にも帰らない……」

まど神「クリスマスなのに……進んで独りぼっちになろうとしてる……」

まど神「こんなのってないよ……このままじゃあほむらちゃんは……」

ほむら「……別に、独りでクリスマスを過ごそうが私の勝手でしょう?」

ほむら「私は一人でいるのが好きなのよ。 だからいつも一人なの」

まど神「ウソ……絶対ウソだよ……本当は寂しいのに……そんな無理して…」

ほむら「無理なんてしてないわ。 だって、私は悪魔、神に等しい貴女を貶めた魔なるモノ。 だからクリスマスなんて祝わないし、祝う資格もない」

まど神「そんなことないよ……悪魔もクリスマスを祝っていいと思うよ」

ほむら「鹿目まどか、貴女は優しすぎる……」

ほむら「でも、これは私の選んだ道なの。 貴女さえ幸せなら私の事はどうでもいいの。 だから私の事は放っといて頂戴」

まど神「ほむらちゃんは事あるごとに私の選んだ道をジャマしてきたのに何言ってるの?」

ほむら「うぐっ……」

まど神「だから、今度はわたしがほむらちゃんの選んだ道をジャマするね?」ウェヒヒッ

ほむら「……勝手にしなさい。 何をされようが私の意志は揺るがないわよ」

まど神「じゃあバツの内容を説明するね!」ウェヒヒ

ほむら「……どんな罰でも受け入れるわ」

まど神「今から、ほむらちゃんの元に3人の魔女が現れます!」

ほむら「魔女ですって……? しかも3匹も……?……そいつらを倒せばいいの? それともひたすら攻撃を耐えてればいいの?」

まど神「最後まで聞いてよ……3人の魔女は、それぞれ『過去のクリスマス』『現在のクリスマス』『未来のクリスマス』を案内してくれるから、彼女達の言
うことをよく聞いてね! 以上!」

ほむら「……え? それだけ?」

まど神「そうだよ! じゃあまずは『過去のクリスマス』からだよ! もうすぐ来るからちょっと待っててね……」スゥ・・・・・・

ほむら「! まどかぁ!! 待って!! 消えないで!!」

まど神「……ガンバってねほむらちゃん……これはほむらちゃんにとって『チャンス』でもあるんだから……」フッ・・・・・・

ほむら「まどかぁー!!」

ほむら「うぅ……まどかぁ……」グスッ

???「なにシケたツラしてやがんだ?」

ほむら「……! 杏子……」

オフィーリア「へえ、こんな姿でもアタシだってわかるのか?」

ほむら「何度か見たもの」

オフィーリア「さやかとどっちが多かった?」

ほむら「圧倒的にさやか」

オフィーリア「だろうな」

ほむら「何しに来たの?」

オフィーリア「アンタに『過去のクリスマス』を見せに来たのさ」

ほむら「『過去のクリスマス』?」

オフィーリア「説明するより実際に見せた方が早いな……乗りな」

ほむら「馬に乗るなんて初めてだわ……よいしょっと」

ほむら「……」ジィーッ

オフィーリア「? どうした?」

ほむら「……貴女の頭の炎を消したらどうなるのかしら……?」ウズウズ

オフィーリア「バカやめろ! アタシが消えちまう!」

ほむら「あら、そうなの? ごめんなさい」

オフィーリア「まったく……じゃあ、行くぜ! 『過去のクリスマス』へ! しっかり捕まってな!」パカラッパカラッ

ここは現在と過去の狭間。時空間。

かつて私が何度も通った道。

見慣れた道……のハズだった。

ほむら「なにこれ……」

上も下も無いような空間は黄色の五芒星で彩られ、紙人形のトナカイが飛び回っている。

クレヨンで描いたようなクリスマスツリーが群生し、アルミで出来た煙突から綿の煙が噴き出ていた。

オフィーリア「クリスマス仕様なんだよ」

ほむら「知らなかったわ」

オフィーリア「とりあえず十年前のクリスマスからだな……着いたぜ」

ほむら「ここは……どこかで見たような……」

オフィーリア「アンタはよーく知っているハズだぜ?」

ほむら父「ほむらは喜んでくれるかな?」

ほむら母「物心ついて初めてのクリスマスだものね……まあ、大丈夫でしょう」

ほむら「パパ!? ママ!? なんで!?」

オフィーリア「だってお前のクリスマスなんだからな。 親がいるのは当たり前だろ?」

ほむら「えっ、私のクリスマスって……まさか、こんな感じで私の過去を見せていくつもりなの?」

オフィーリア「そうだよ。 過去って言ってもクリスマスだけだけどな」

ほむら「やめなさい! 今すぐに!」

オフィーリア「やだよ、これはバツなんだからな」

ペドほむ「ぱぱー! ままー! みてー! さんたさんがくれたー!」テトテトテト

ほむら母「まあ! よかったわねー! 何をくれたの?」

ペドほむ「ぷー○んのぬいぐるみー!」

ほむら母「すごーい! うらやましいわー」

ほむら父「ほむらがいつも良い子にしてるからサンタさんが来てくれたんだぞー」

ペドほむ「さんたさん、ありがとー!」

ほむら父「おいおい、パパはサンタさんじゃないぞーwwwwww」





オフィーリア「……あれがこーなるのか……」

ほむら「うるさいわね……」

オフィーリア「あ、言い忘れてたけど、向こうにはアタシ達の姿は見えないし声は聞こえないから安心しろよ」

ほむら「当然ね」

オフィーリア「次は3年前のクリスマスを見に行こうぜ」

ほむら「ずいぶん間があるのね」

オフィーリア「全部見せてもいいんだぜ?」

ほむら「さっさと行きましょう」

オフィーリア「よっしゃ、しっかり捕まってろよ!」パカラッパカラッ

オフィーリア「着いたぜ、3年前のクリスマスだ!」




ロリほむ「ねえ、ママ……」

ほむら母「あら、どうしたのほむら? サンタさんからプレゼント来なかったの?」

ロリほむ「来たよ……ゲームボーイミクロが……」

ほむら母「あら、よかったじゃない。欲しかったんでしょ?」

ロリほむ「ねぇママ、前から聞きたかったんだけど……」

ほむら母「なぁに、ほむら?」

ロリほむ「……ホントはサンタさんなんていないんでしょ?」

ほむら母「……誰から聞いたの?」

ロリほむ「よし子ちゃんから……去年」

ほむら母「去年から知ってたの?」

ロリほむ「ごめんなさい……知っているのがバレたらプレゼントもらえなくなると思って……」

ほむら母「あら、そんなことはないわよ。 ほむらがサンタを信じてても信じてなくても、クリスマスはクリスマスだもの。 親が子にクリスマスプレゼントをあげるのは当然のことなのよ」

ロリほむ「ママ……」

ほむら母「ささ、そんな悲しそうな顔をしないで。 『サンタさん』が悲しむわよ?」

ロリほむ「……うん」

ほむら父「そうか、サンタの正体を知ったのか」

ロリほむ「うん……」

ほむら父「ほむらも大人になったってことか。 少し寂しくなるなぁ」

ロリほむ「ごめんなさい……」

ほむら父「あ、いや、謝ることはないんだよ。 嬉しくもあるんだから」

ほむら母「そうね。 むしろ今まで、いつ気づくのかって心配してたのよ」

ロリほむ「そ、そうだったの!?」

ほむら父「そりゃそうだよ。 想像してごらん、サンタを信じてるハタチの女を」

ロリほむ「……なんかやだ」

ほむら父「だろう? だからほむらがサンタの正体に気がついたのはめでたいことなのさ」

ほむら母「じゃあほむらのサンタ卒業を記念して、今年のクリスマスは豪勢に行くわよ~!」

ほむら父「おっ、いいねぇ!」

ロリほむ「ありがとう、ママ!」

ほむら父「でも、これで来年からはクリスマスプレゼントを買うのが楽になるな。 だって本人を店に連れてって選ばせればいいんだもんなwwww」

ほむら母「もう、お父さんったらwwww」

ロリほむ「あははwwww」

オフィーリア「なるほど、人はこうやって大人になるんだな」

ほむら「まだ中学生よ私達」

オフィーリア「それを一番忘れているのは、アンタなんじゃないかい?」

ほむら「……」

オフィーリア「まーいいや。 次で『過去のクリスマス』は最後だ。 最後は……」

ほむら「去年のクリスマス……」

オフィーリア「その通りさ。 さあ、行こうぜ」

ほむら母「メリークリスマス! 今日はごちそうよ! チキンとケーキを買ってきたわ!」

ほむら父「いつもの味気ない病院食のことは忘れてパーッと食べるんだパーッと!」

メガほむ「……うん」

ほむら母「どうしたの? やっぱり七面鳥がよかったかしら?」

メガほむ「えっ!? あっ、いや、そうじゃなくて……」

ほむら父「……もしかして、明日の手術が怖いのか?」

メガほむ「……ごめんなさい」

ほむら母「謝ることはないわよほむら。 手術が怖いのはみんなそうなんだから」

ほむら父「すぐに謝るのはお前の悪いクセだぞ」

メガほむ「ごめんなさい……」

ほむら父「おいおい……」

ほむら母「……いい? ほむら、よく聞いて。 怖がることは悪いことではないのよ」

ほむら父「悪いのは恐怖を乗り越えないことだよ。 恐怖を乗り越えてこそ、人は成長できるんだ」

メガほむ「……じゃあやっぱり私、悪い子だよ……乗り越えられそうにないもん……」グズッ

ほむら父「ほむら……」

ほむら母「大丈夫よ、ほむら。 貴女ならきっと乗り越えられる。 貴女は自分で思ってるよりもずっと強い子なのよ」ギュッ

メガほむ「ママ……」

ほむら母「それに、明日はクリスマス。 サンタさんはいないけど、神様はいる」

ほむら母「クリスマスには奇跡が起きるのよ。 だからきっと大丈夫」

メガほむ「……うん!」

ほむら父「さあ、辛気臭い話はこれまでだ! 明日に備えてじゃんじゃん食べるんだほむら!」

メガほむ「うん!」

オフィーリア「……これで『過去のクリスマス』は終わりさ」

ほむら「……」グズッ

オフィーリア「どうだったよ『過去のクリスマス』は?」

ほむら「……別に……」グズッ

オフィーリア「お前が泣いてるところなんて初めて見たよ」

ほむら「どうして……こんな大事なことを……忘れていたんだろうって思って……」

オフィーリア「無理もないさ。 アンタは地獄のような1ヶ月を何度も繰り返してきたんだ。 

オフィーリア「でも、今のアンタは違う。 地獄の1ヶ月から解放され、こうしてクリスマスを迎えている」

オフィーリア「クリスマスがくだらない物じゃないとわかっただろう? じゃあそれを楽しむべきだ」

ほむら「お断りよ」

オフィーリア「はぁ!? なんでわざわざ厳しい道を進もうとするんだよ!? わけがわからねぇよ!」

ほむら「『愛による孤立』、それが私の選んだ道だからよ」

ほむら「それは何を見せられても、何を言われても変わらない」

ほむら「私はまどかが幸せに生きてさえいれば、あとはどうでもいいの」

オフィーリア「それが、どうしてクリスマスを1人で過ごす事につながるのか、イマイチよくわからない。 せめて家族と過ごすなりなんなりしろよ」

ほむら「そんなことを言っても、貴女の目的はわかっているわよ、佐倉杏子」

オフィーリア「なんだと?」

ほむら「今の私がどれだけ、両親から愛されるに値しない人間かわからせたいんでしょう? だからあんな物を見せたのでしょう?」

ほむら「でも残念ね。 そんなことは私が一番よくわかってるのよ」

オフィーリア「いやいや、そんなことはないだろ」

ほむら「私が両親にどれだけの迷惑をかけたと思っているの?」

ほむら「通院、入院、手術、転校、引っ越し、仕送り……数え上げればキリがない」

ほむら「そのあげくに悪魔になって……こんなに親不孝な娘はいないと思うわ」

オフィーリア「それは違うねほむら。 アタシはただ、アンタがどれだけ両親に愛されていたのかわかってほしかっただけだ」

オフィーリア「自分で親不孝だって自覚してるんなら、改めればいいだろ。 今から親孝行すればいいだけの話だ」

オフィーリア「……それこそ、アタシやマミにはできないことなんだからさ」

ほむら「……」

オフィーリア「それにな、アンタはそんなに親不孝じゃないよ」

オフィーリア「親不孝な娘ってのは、勝手な願い事で家族を一家心中に追い込んだアタシみたいなヤツのことを言うんだぜ?」

オフィーリア「それに比べればアンタはずっとマシな方だ」

ほむら「……」

オフィーリア「だから自分を責めるな。 そんな姿を親に見せ続けたら、それこそ親不孝だ」



ほむら「……それでも」

ほむら「それでも私は、実家には帰らない。 まどかとも過ごさない」

オフィーリア「おい!」

ほむら「もう決めたことなのよ。 貴女が何を見せ、何を言っても、私の決意は揺らがない」

ほむら「もう誰にも頼らない。 まどかにも、家族にも、貴女にも」

ほむら「悪魔になった私なら、それをやりとおせる。 怖いモノなんて何もないわ」

オフィーリア「いいや、アンタは怖がっている! アンタはなんやかんやと言い訳して、家族と向き合うことから逃げているだけだ!」

ほむら「黙りなさい。 もう貴女の出番はないわ」

オフィーリア「なんだと!?」

ほむら「残念だったわね。 貴女のした物は時間のムダでしかなかった」

ほむら「消え失せなさい!」フゥーーッ!

オフィーリアの頭の火を吹き消した瞬間、視界が暗転した。

気がついた時には、あの殺風景な寝室にいた。

ほむら「……くだらない」

そうつぶやくと、私は再び眠りについた。

一人っ子という設定で話を進めてきましたが、それもありそうですね。

クリスマスなので風呂入ってきます。

再開します。

眠りを妨げる者がいる。

正確には眠りを妨げる者「達」がいる。

バイオリンにトランペット。 やたらやかましいオーケストラ。

そして、見覚えのある指揮者。

ほむら(あれは上条恭介の後ろ姿……ということは)

オクタヴィア「やっほー、悪魔。 やっとお目覚めですかー?」

ほむら「……美樹さやか」

オクタヴィア「この姿でもあたしだってわかるなんて、さやかちゃん感激ですなー」

ほむら「何十回その姿を見させられたと思ってるの?」

オクタヴィア「あー、その節はゴメン」

オクタヴィア「ところでこの歌、いい歌だと思わない?」

ほむら「知ってるわこの歌。 『旧支配者のキャロル』よね」

オクタヴィア「確かに同じ節だけど違うから。 『鐘のキャロル』だよ」

ほむら「ああ、パクリなのね」

オクタヴィア「いや、こっちがオリジナルだから……っていうかあんた、そういう歌知ってるんだね。 意外だよ」

ほむら「私にとっての旧支配者はまどかだもの」

オクタヴィア「怖いことを言うのはやめろ。 あと、どっちかというとキュゥべえだと思う」

ほむら「キュゥ支配者?」

オクタヴィア「」ブフォッ!!

ほむら「それで? 貴女が2人目の魔女なのよね? 何をしに来たのかしら?」

オクタヴィア「あんたに『現在のクリスマス』を見せに来たんだよ」

ほむら「見せるも何も、今この瞬間じゃない」

オクタヴィア「んー、説明すんのがメンドくさいから、今から見せるよ!」

ほむら「相変わらず適当なのね。 安心したわ」

オクタヴィア「それじゃしっかり捕まってよ!」

そう言うと、さやかは私の体を握り締めた。

ほむら「ちょっ、この状態じゃ捕まるも何もないじゃないの、っていうか、もう少し優しく握りなさいっ!」グググ・・・・・・

オクタヴィア「やーだよー! それじゃーしゅっぱーつ!」

オクタヴィア「とーちゃくぅー!」

ほむら「まどかの家じゃない!」

オクタヴィア「なんで実家はすぐに思い出せなかったのに、まどかの家はすぐにわかるのさ?」

ほむら「愛よ」ファサァ

オクタヴィア「親に対する愛はないのか……親不孝にもほどがあるでしょ」

ほむら「最大の親不孝って、親よりも早く死ぬことだと思うの」

オクタヴィア「ぐぬぬ」

ほむら「それより、どうしてまどかの家に?」

オクタヴィア「あんたが一番見たい『現在のクリスマス』を見せるためだよ」

まどか「いらっしゃい、みんな! メリークリスマス!」

さやか「メリークリスマス! オジャマシマス!」

杏子「うおお、食い物があんなに!」

なぎさ「チーズケーキもあるのです!」

マミ「もう、2人とも食べ物のことばっかり! ごめんなさいね鹿目さん」

まどか「いえいえ、こんなに喜んでもらえるなんて、それはとっても嬉しいなって思ってしまうのでした」

さやか「あれ? キュゥべえは?」

マミ「寄り道するから遅くなるって言ってたわ」

なぎさ「先に始めちゃってもいいとも言ってたです」

まどか「じゃあ、キュゥべえいないからプレゼント交換は後回しにして、先にご飯食べよう!」

杏子「よっしゃー早く食おうぜ! もう待ちきれねえよ!」ジュルリ

まどか「神さまのお恵みが、みんなにありますように」

杏子「おっ、食う前にお祈りするなんてエラいじゃんか」

まどか「アメリカでは普通だよ」

さやか「『いただきます』みたいなモンか」

なぎさ「いただきますなのですー!」ムシャムシャ

杏子「この鶏肉うめぇ! うめぇえうめぇ!」ガツガツ

さやか「それ七面鳥だよ」

マミ「こらこら、2人ともそんなにがっついちゃって」

まどか「おかわりはたくさんあるから遠慮しないでねー」

杏子「いよっ、女神様!」





ほむら「まどかが楽しそうでよかったわ」

オクタヴィア「あんたも参加すりゃよかったのに」

ほむら「冗談でしょう……あら? あいつは……」

QB「やあ、まどか。 メリークリスマス」

まどか「あっ、キュゥべえ! メリークリスマス!」

マミ「あら、キュゥべえったらずいぶん遅かったじゃない。 どこに行ってたの?」

QB「まどかに言われた通りに暁美ほむらを誘いに行ってきたんだ。 無駄足だったけどね」

まどか「……そっか……ダメだったんだ……」

さやか「……なに? あんたまたアイツを誘ったワケ?」

まどか「う、うん」

さやか「あんなヤツに構うことないって! もうほっときなよ!」

まどか「でも……」

さやか「でももだってもない! 大体、まどかはあいつに甘すぎるんだよ!」

杏子「お、おい、何もそこまで怒ることないだろ」

マミ「そうよ美樹さん、せっかくの楽しいパーティーなんだから」

さやか「……ごめん、まどか」

まどか「あっそんな気にしなくていいよぉ!」アタフタ







ほむら「ほら、見なさい。 私の話題が出るだけでこの空気」

ほむら「参加したらどうなるかわかったものじゃないわ。 やっぱり私の選んだ道は正しかったのよ」

オクタヴィア「無い胸張って言うことじゃないよね」

QB「それにしてもひどい目にあったよ。 挨拶しただけなのに」

マミ「なにかされたの?」

QB「『次、私の前で「メリークリスマス」なんて言ったら、ヒイラギの枝で串刺しにして七面鳥と一緒に焼くわよ?』なんて言われたんだ」

さやか「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

杏子「声がwwwwwwwwww声がそっくりwwwwwwwwww」

なぎさ「ウケるのですwwwwwwwwwwww」

マミ「ちょっwwwwwwww暁美さんにwwwwww悪いわよwwwwwwww」

まどか「キュゥべえwwwwwwwwww」

QB「君達人間はいつもそうだ。 僕が声帯模写をすると決まって同じ反応をする」

QB「『わけがわからないわ』」ファサッ

全員「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」







ほむら「……まどかが楽しそうでよかったわ。 ええ。 よかったわ」

オクタヴィア「声震えてるよ」

杏子「それにしても、アイツも変わったヤツだよなあ。 こんなに楽しいパーティーに参加しないなんてさ」ムシャムシャ

QB「本人曰く『私はクリスマスを祝う資格がない』んだってさ」

杏子「なんじゃそりゃ? もしかしてアイツ、ユダヤ人なのか?」

まどか「そっか……ほむらちゃんってユダヤ人だったんだ……それなのにクリスマスパーティーに誘っちゃうなんて、悪い事しちゃったな……」

さやか「いやいやいや、そんなワケないでしょ」

マミ「でも、どうして来ないのかしらねえ」

なぎさ「不思議なのです」

さやか「何も不思議な事なんてないよ。 単にあいつが冷酷で傲慢で自分勝手なひねくれ者ってだけだよ」

杏子「おいおい、なんでそこまでアイツを嫌うんだよ?」

さやか「だって、せっかくまどかが誘ってやったってのに、アイツはそっけなく断ったんだよ!? ひどいと思わない!?」

まどか「わたしは、ほむらちゃんはそんなにひどい子じゃないと思うな。 むしろ、かわいそうな子だと思う」

さやか「かわいそう? あいつが?」

まどか「うん、いつも独りぼっちで、寂しそうで、それなのに無理をして……」

まどか「それで寂しい思いをして損するのは、ほむらちゃんなのに……それでも強がって、ますます殻に閉じこもって……このままじゃほむらちゃんの未来はとんでもないことになっちゃうよ」

まどか「でも、根気強く誘えば、いつかほむらちゃんもわかってくれると思うんだ。 ほむらちゃんは一人じゃないって。 人生はそんなに悪い事ばかりじゃないって」


ほむら「……まどか……」


さやか「……まどかは優しいなあ、さすがはあたしの嫁だ」

まどか「よ、よめ!? 何を言ってるのさやかちゃん!?」アタフタ

さやか「あっはっはwwwwwwwwジョーダンジョーダンwwwwww」

杏子「しょうがねぇなあ、そこまで言うならアタシが連れてきてやるよ」

まどか「ホント!?」

杏子「ああ、どうにか説得して連れてくるぜ」

さやか「あの強情な意地っ張りを説得する方法なんてないと思うけどねぇ」

杏子「なーに、いい方法を思いついたのさ。 じゃあ、ちょっくら行ってくるぜ!」

まどか「よろしくね、杏子ちゃん」

杏子「おう、まかしとけ! ケーキとチキンはとっとけよな!」

さやか「だから七面鳥だってばさ! いってらっしゃい!」

オクタヴィア「杏子があんたを誘いに行くってさ。 よかったじゃん」

ほむら「ありがたいけれど、パーティーには絶対行かないわ」

オクタヴィア「……あんた、さっきのまどかの話を聞いてなかったの?」

ほむら「私がまどかの話を聞き逃すわけないじゃない」

オクタヴィア「だったらパーティーに参加しなよ。 まどかを愛してるんでしょ?」

ほむら「愛してるからパーティーに行かないのよ。 私はまどかを守りたいのであって、まどかと結ばれたいわけじゃない」

ほむら「私なんかがまどかの傍にいることは、絶対まどかの為にならない」

ほむら「だから、まどかの好意に甘えるわけにはいかないのよ」

オクタヴィア「はぁ……まぁいいや。 早く次の『現在のクリスマス』を見に行くよ」

オクタヴィア「とーちゃくぅー!」

ほむら「……私の実家ね」

オクタヴィア「正解! じゃあ、あんたの両親がどんなクリスマスを過ごしているのか見に行こー!」

ほむら「ちょ、ちょっと待って!」

オクタヴィア「何を怖がってるのさ? 向こうには姿も見えないし、声も聞こえないよ?」

ほむら「そうじゃなくて……その……」

オクタヴィア「?」

ほむら「……ベッドでジングルベルしてたらどうしよう……」

オクタヴィア「まだ8時だし、大丈夫でしょ。 さ、いこいこ」

ほむら「ま、待ってってばー!」

ほむら母「メリークリスマス、お父さん」チンッ

ほむら父「ああ、メリークリスマス」チンッ

ほむら母「……ほむらがいないクリスマスなんて、久しぶりね」

ほむら父「……そうだな」

ほむら母「……寂しい?」

ほむら父「少しな。 でも、あの子は今友達と過ごしてるんだろう? ほむらが楽しんでいると思えば、この寂しさも苦じゃないさ」

ほむら母「……でも、ホントに友達と過ごしてるのかしら……」

ほむら父「どうしたんだ藪から棒に」

ほむら母「……このまえ電話した時に思ったんだけどね」

ほむら父「ああ」

ほむら母「なんだか、冷たかったのよ。 態度も、声も」

ほむら父「ほむらにもとうとう反抗期が来たのか……」

ほむら母「それですむならいいんだけどね。」

ほむら父「どういうことだ?」

ほむら母「正直、あれがほむらだとはとても思えないのよ。 あんなに心も体も弱弱しい子だったのに、今はとんでもなく強い子になってる気がする」

ほむら父「成長期だからな。 ほむらも一人暮らしで色々あったんだろう」

ほむら母「そういうレベルじゃないのよ。 本当に、何もかもが変わってる。 まるで存在そのものが変わったみたいで……」

ほむら父「おいおい、魔法じゃあるまいし」

ほむら母「本当にあれがほむらなのだとしても……あんな態度で、お友達が出来るのかしら……」

ほむら父「……考えすぎだろう、いくらなんでも」

ほむら母「そうかしら……」

ほむら父「例えお前の言う通りだとしても、私達にはどうすることもできない」

ほむら父「私達に出来るのは、あの子を見守ることだけだ」

ほむら母「でも……」

ほむら父「大丈夫だよ。 お前の言う通りに強くなったなら何の心配もない」

ほむら父「それに、例えどんなに変わってもあの子は私達の子だ。 そうだろう?」

ほむら母「……そうね」

眠くなってきたので一旦ここで切り上げます。

20時には再開出来ると思います。

それではみなさん、メリークリスマス!

クリスマスをだいぶ過ぎたけど気にしなーい。

約束の時間を一時間もオーバーしてごめんなさい。

再開します。

オクタヴィア「いやあ、やっぱり親ってのはすごいねえ。 会ってもないのにあんたが変わったって見抜いちゃったよ」

ほむら「……ふん」

オクタヴィア「どうしたらあんなにいい人達からこんなのが生まれるのかねえ」

ほむら「種と畑が良いからって良い野菜が出来るとは限らないのよ」

ほむら「腐ったカボチャ、化け猫の口から生えた毒カボチャ。 それが私よ」

ほむら「何の役にも立ちはしない。 役立たずで有害な……」

オクタヴィア「……いいかげんにしなよ」

オクタヴィア「なんであんたはいつだって! そうやって自分を犠牲にして! 役に立たないとか、意味がないとか思い込んで!」

オクタヴィア「勝手に自分を粗末にしないでよ!」

オクタヴィア「あんたを失えば悲しむ人がいるって、どうして気づかないのさ!?」

ほむら「……何度も魔女化してまどかを泣かせてきた貴女にだけは言われたくないわ」

オクタヴィア「このッ……!」

オクタヴィア「……もういい、わかった。これだけは見せたくなかったけど……」

オクタヴィア「思い知らせてやるよ。 あんたがどれだけ恵まれた立場なのかをね」

そう言うと、オクタヴィアは私の体を握り、再び宙を舞った。

次の瞬間には暗く、湿った場所にいた。

オクタヴィア「着いたよ。 これがもう一つの『現在のクリスマス』」

オクタヴィア「『現実のクリスマス』とも言えるかもね」

そこには、見知らぬ男が大勢いた。 女もいたような気がする。

お前ら1「ファミチキうめぇwwwwwwww」

お前ら2「ミニスカサンタ! ミニスカサンタ!」

俺「俺『安心しろお嬢さん達、トナカイはもう逃げていったぞ』

  ショートボブ『ステキ……!』

  ポニーテール『つきあってください!』

  ショートボブ『ちょっと! 横取りしないでよ、この泥棒ねこ!』

  ポニーテール『早い者勝ちよバーカ!』

  俺『こらこら、喧嘩はよくないよ』

  ショートボブ&ポニーテール『ごめんなさーい、仲良くしまーす』

  俺『それでいいのだ。 はっはっは!』……っと。 ふへへへへ」カタカタカタ

ほむら「なによこいつら……」

オクタヴィア「ミジメでしょ。 この人達はクリスマスなのに誰にも誘われず、誰にも相手にされないから、こうやってミジメに過ごすしかなかったんだよ」

ほむら「……私みたいね」

オクタヴィア「あんたには誘ってくれた人がいたじゃん。 ムダにしたけど」 

ほむら「……」

オクタヴィア「ところであんた、愛の力で悪魔になったのよね」

ほむら「ええ」

オクタヴィア「ってことはあんたサキュバスだよね?」

ほむら「は?」

オクタヴィア「つまり、あんたならこの人達を助けられるんだよね?」

ほむら「ごめんなさい、貴女が何を言っているのかさっぱりわからないわ」

オクタヴィア「おーい、そこの人達! ここにいる悪魔があなた達を楽しませてくれるそうですよー!」

ほむら「ちょっ」

いつの間にか、私はミニスカサンタの服を着させられていた。

お前ら3「マジで!?」

お前ら4「あんたがサンタか!」

俺「うーん、ショートボブだったらなー」

お前ら1「俺のファミチキをブチ込んでやるぜ!」

お前ら2「ミニスカサンタ! ミニスカサンタ!」

俺「その前にポニーテールにしてくれる? おさげでもいいけど」

お前ら5「服は脱がせる? 脱がせない?」

お前ら6「アホかお前何のためのコスプレだよ?」

ほむら「ちょっ、ちょっと! 美樹さやか! 助けて!」

オクタヴィア「えー? 助けてほしいのー? 自分でどーにかしたらー? 悪魔になれば怖いモノなんて何もないんでしょー?」

ほむら「どういうワケか力が出ないのよ! お願いだから助けて!」

オクタヴィア「んー、じゃあ『今後はクリスマスを楽しみます』って言ったら助けてあげるよ」

ほむら「っ!……」

オクタヴィア「さあ、どうすんの? このままだとこの人達にあんなことやこんなことされちゃうよ? 早く言いなよ、さあ、早く!」

ほむら「お断りよ」

オクタヴィア「ちょっ」

ほむら「そう言えばまどかが言ってたわね。 私に罰を与えるって」

オクタヴィア「うん。 確かにこれはあんたに対するバツだよ。 でも……」

ほむら「だったら私はこいつらを喜んで受け入れるわ」

オクタヴィア「えっ」

俺&お前ら「やったぜッ!!」

オクタヴィア「ちょっ、ちょっと待ってよ! あんた正気!? もはやクレイジーサイコレズですらなくなってるよ!?」

ほむら「勘違いしないで。 まどかの罰だから受け入れるってだけよ」

お前ら7「よくわからないけどそういうことだ! てめーはジャマだから帰れ半魚人め!」

お前ら3「合意を得たってことは、法的にセーフだな!」

お前ら4「早く始めようぜ!」

ほむら「仕方ないわね……」

オクタヴィア「~~~~~ッ!! あぁ!! もうっ!!」バッ!

突然オクタヴィアが飛びかかり、私を空高くさらって行った。

俺&お前ら「ああっ! 女神さま!!」

オクタヴィア「こいつは悪魔だって言ってるでしょ!!」

そう言いながら高度を上げていき、とうとう雲より高く飛んでいた。

雲の上から見る見滝原の夜景はイルミネーションで輝いていて、とても綺麗だった。

ほむら「……罰を与えるんじゃなかったの?」

オクタヴィア「ちょっと脅かすだけのつもりだったんだよ! それなのにあんたは……」

ほむら「別に私がどんな目に遭おうと貴女には関係ないでしょう? むしろ嬉しいんじゃないかしら?」

オクタヴィア「もしあんたの言う通りだったら、こうやってあんたを助けてないよ」

ほむら「……よくわからないわ。 貴女は私を敵視してたハズなのに……」

オクタヴィア「それとこれは別! あたしの目的はあんたに罰を与えることだけじゃないんだよ!」

オクタヴィア「あたしは気づいて欲しかっただけだよ。 確かにあんたは嫌われ者だけど、そんなあんたを助けたいと思ってる人達がいるってことを」

オクタヴィア「こうやって、手を差し伸べてくれる人がたくさんいるってことを」

ほむら「……」

オクタヴィア「……でも、あんたはその手を振り払った。 何回も、何回も」

オクタヴィア「このままじゃあんたは破滅する。 間違いなく」

ほむら「……」

オクタヴィア「最後に一つだけ教えてあげるよ。 どんな魔法を持ってても、過去は変えられない。 絶対に」

オクタヴィア「でも未来は変えられるんだ。 あんたが変われば未来は変えられる」

オクタヴィア「多分、このクリスマスが最後のチャンスだよ。 今夜で全てを変えられるかもしれない」

ほむら「……」

オクタヴィア「……さて、これで『現在のクリスマス』はおしまい。 あたしの出番もこれまでだね」

ほむら「……そう」

オクタヴィア「家まで送るよ。 どっちだっけ?」

ほむら「あの辺よ」

オクタヴィア「あっちね。 わかった」グッ

そう言うとオクタヴィアは振りかぶって……

ほむら「えっ?」

オクタヴィア「ひっさーつ! 火の玉ストレートぉ!!」ブンッ!!

私を思いっきりぶん投げた。

ほむら「美樹さやかあああああああっ!!!」ゴオオオオオ

彼女の狙いはかなり正確で、私は見事に我が家のベッドに着地した。

どうして壁に激突しなかったのかは、わからない。

ほむら「……くだらない」

風呂入ってきます。

「未来のクリスマス」は書き溜め完了してるので、投下のペースを早く出来ると思います。

お待たせしました。 再開します。

ほむら「『このままだと破滅する』ですって?」

ほむら「『未来は変えられる』ですって?」

ほむら「くだらない……本当にくだらないわ」

ほむら「私は世界を創り変えた悪魔。 そんな私が破滅するなんてありえない。 未来を変える必要なんてないわ」 

QB「本当にそう思うのかい?」

ほむら「!……インキュベーター……まさか貴方が最後の魔女だというの?」

QB「いや、僕は魔女じゃないよ。 僕は『彼女』の使いとして来たんだ。 『彼女』は喋ることができないからね」

ほむら「……『彼女』?」

QB「窓の外を見てごらん。 黒いローブをまとった魔女がいるだろう?」

ほむら「……ええ」

QB「彼女が『未来のクリスマス』を見せてくれるハズさ」

ほむら「……」

QB「……ついてくるがいい。 それが君の運命だ」

謎の魔女「……」ヒタヒタ

ほむら「見たことない魔女ね。 あの魔女は何者なの? 私と関係があるの?」

QB「何を言っているんだい? 君は何度も彼女を見てきたじゃないか」

ほむら「……記憶にないわ」

QB「そんなハズはないと思うけどね。 まぁいいや」

ほむら「ところで、『未来のクリスマス』って聞いたけど、どれくらい先の未来なのかしら?」

QB「来年のクリスマスだね」

ほむら「えっ、まさかと思うけど来年、再来年、十年後百年後と『未来のクリスマス』を延々と見せるつもりなの?」

QB「いや、その心配はないよ。 君に見せる『未来のクリスマス』なんて『来年のクリスマス』だけで充分だ」

QB「だって、ここから先のクリスマスは君に全く関係のない出来事なんだからね」

ほむら「ちょっと、それってどういう意味……あら?」

QB「さやかと杏子にマミやなぎさがいるね」

ほむら「それだけじゃないわ。 中沢君に筑紫仁美、上条恭介……ちょっと待って。 クラスメイト全員じゃない。 先生までいるわ」

QB「みんな悲しそうな顔をしているね。 泣いている者もいる」

ほむら「どうして冬休みなのに、みんな制服を着ているのかしら……」

ほむら「あら? まどかは? まどかはどこにいるのかしら?」

謎の魔女「……」ヒタヒタ

QB「……どうやら僕達の目的地は彼女達と同じみたいだね」

ほむら「まどかは? ねぇ、まどかはどこにいるの!? マドカァー!!」

QB「うるさいな。 行けばわかるよ」

ほむら「……ここは……」

QB「『見滝原ホール』……葬式の会場だね」

ほむら「……お葬式だから、みんな制服なのね……」

QB「よく見たら先生が喪服着ているしね。 さあ、行こうか。 まどかがこの先にいるのかもしれない」

ほむら「……」

QB「……行かないのかい?」

ほむら「……関係ないでしょ」

QB「もしかして、怖いのかい?」

ほむら「そんなわけ、ないじゃない……」

QB「もしかして、誰の葬式か気づいたのかい?」

ほむら「……いいえ、見当もつかないわ」

QB「じゃあ行くべきだ。 答えを確かめなければ。 この先に何があろうと、君は見届ける必要がある」

QB「それが君の未来、君の運命なんだからね」

ほむら「……」

ほむら「……行くわ」

QB「そうかい。 それはよかった。 『彼女』も喜んでいるよ」

謎の魔女「……」

ほむら「……そんな……」ガクッ

ほむら「嘘よ……こんな……こんな未来……認めない……」

QB「残念だけど、事実だよ。 数ある未来の内の一つだ」

ほむら「そんな……なんで……どうして……」







ほむら「まどかあああああああぁぁぁぁっ!!」

QB「鹿目まどか、享年15歳。 彼女は人としてのあまりにも短い人生を終え、円環の理へと帰って行った」

謎の魔女「……」

QB「確かにこれは君達の言う『悲劇』と呼べる物だろう」

「うぅ……まどか……」 「ちくしょう……こんなことって……」 「鹿目さん……」

QB「でも、彼女の死がこんなにも多くの人間の涙を誘い、彼女はこんなにも多くの人間に哀悼されている」

「ばかやろうっ……親よりも先に死にやがってっ……」 「あんなに良い子だったのに……」 「まろかー」

QB「つまり、まどかはこんなにも多くの人間に愛されていた。 生きることを望まれていたんだ」

「あいつのせいで……!」 「あの悪魔さえいなければ……!」 「まどかは今も元気に……!」

QB「これだけでも、彼女の人生は幸せな物だったんじゃないかな」

ほむら「ふざけたことを言わないで……」ギリッ

QB「やれやれ、慰めたつもりだったんだけどな」

ほむら「まどかは……どうして死んだの? どうしてこんなに早く死ななければならなかったの? 死因は何?」

QB「死因に関してははっきりとしたことはわからないけど、一つだけはっきりしていることがある」

QB「彼女は……鹿目まどかは殺害されたのさ」

ほむら「なっ……!」

謎の魔女「……」

QB「正確には相討ちになったと言うべきかな。 彼女は、とある強大な敵と戦っていた」

QB「そして雪の降るクリスマス・イヴの夜に……とうとうその敵を骨の欠片一つ残さずに消滅させた」

QB「しかし、力尽きてしまった。 力を使いすぎたんだ。 人間という脆い器が持つには、余りにも強大な力を」

ほむら「……そいつを……」ガシッ

QB「ぐえっ」

ほむら「そのくそったれの名前を教えなさい!! インキュベーター!!」

QB「君もよく知っている人物だよ。 でもそれを教えるのは僕じゃない」

謎の魔女「……」ヒタヒタ

QB「『彼女』だよ。 さあ、ついて行こうか」

ほむら「……」

ほむら「……墓場……そいつはここに住んでいるの?」

QB「『相討ちになった』ってさっき言ったじゃないか」

ほむら「……なるほど、死んだのね。 ざまあみなさい」

QB「だから敵討ちはできないよ。 まあ、この世界に干渉すること自体不可能だけどね」

ほむら「構わないわ。 そいつの墓を見るだけでもいい」

QB「そんなことをしてどうするんだい?」

ほむら「決まっているじゃない。 元の時代に戻った時に、そいつを探し出して[ピーーー]ためよ。 まどかが殺される前にね」

ほむら「その前に、墓石にツバをひっかけてやるわ」

QB「君と同じことをした者は大勢いたそうだよ。 罵詈雑言を落書きした者までいる」

ほむら「当然ね」

謎の魔女「……」ヒタヒタ

ほむら「ところで、墓があるということは、そいつは魔獣じゃなくて人間よね?」

QB「正確には人間じゃないけどね」

ほむら「ということは魔法少女ね。 それなら2人ほど心当たりがあるわ」

QB「それも少し違うんだよね」

ほむら「……どういうこと?」

QB「彼女が生前、なんて呼ばれていたか教えてあげるよ」

QB「『黒い羊』……『黒いまな板』……『狂った雌犬』…………『クレイジーサイコレズ』」

QB「一番多かったあだ名が『悪魔』だったかな」

ほむら「……ちょっと待って、まさか……」

謎の魔女「……」ピタッ

QB「着いたみたいだね。 あれが、まどかを殺した者の墓だ」

ほむら「ずいぶん小さくて、ボロボロの汚い墓ね」

QB「その辺の石ころに名前を彫っただけだからね」 

ほむら「……そいつに家族はいなかったの?」

QB「両親がいたけど、彼女に殺されたよ」

ほむら「……そう」

QB「さあ、墓石に刻まれた名前を見るがいい。 誰の名前が刻まれていても、それが君の運命だ」

ほむら「……」

QB「どうしたんだい? そんなに遠くから墓の文字が見えるのかい?」

ほむら「……いいえ」

QB「だったらもっと墓に近寄りなよ。 まどかを殺した者を知りたいんだろう? 元の時代に戻ったら彼女を探し出して[ピーーー]んだろう? 墓石にツバをひっかけるんだろう?」 

ほむら「……黙りなさい」

QB「もしかして、怖いのかい?」

ほむら「……」

否定できない。

何故かはわからないけれど、とても怖い。

インキュベーターはそいつを「君もよく知っている人物」だと言った。

「悪魔」と呼ばれているとも言った。

私がよく知っている、「悪魔」と呼ばれる者。

私の知る限り、それは一人しかいない。

しかし、それは絶対にありえない。

ありえないはずだ。

QB「やれやれ、教えろと言ったのは君なのに、直前になって怖がるなんて、わけがわからないよ」

ほむら「……」

QB「まぁ、僕は別に構わないけどね。 『彼女』はがっかりするだろうけど」

謎の魔女「……」

QB「一つだけ言わせてもらうけど、ちゃんとした結果を知らなければ、まどかを救えないんじゃないかな?」

ほむら「……」

見なければ。

墓石に刻まれた名前を見なければ。

ほむら「……」ザッ ザッ

私の予想は間違っている。

ほむら「……」ザッ ザッ

間違ってるにきまってる。

ほむら「……」ザッ ザッ

まどかを殺した憎いそいつの名前は

ほむら「……」ザッ ザッ

自分の両親まで殺したという外道の名前は

ほむら「……」ザッ ザッ

誰にも愛されず、みんなから嫌われ恨まれ死んでいった、哀れなそいつの名前は

ほむら「……」ザッ ザッ

落書きだらけで汚いちっぽけな墓石に刻まれたそいつの名前は

ほむら「……っ!」




















『アケミホムラノバカ』




どうして私がまどかの葬儀に参列していなかったのか、よくわかった。

ほむら「嘘よ……私が……まどかを[ピーーー]なんて……」

QB「きっかけは、君がまどかからのクリスマスパーティーの誘いを断ったことさ。 あれがきっかけで君達の仲は急激に悪化した」

QB「仲違いによる誤解が誤解を生み、とうとう君達は敵対した」

QB「そして、なんやかんやいろいろあって、こうなったのさ」

ほむら「……そんな……」ドサッ

謎の魔女「……」スッ・・・・・

QB「……どうやら僕の役割は終わったみたいだね。 元の時代に戻るまで『彼女』とゆっくり過ごすといい」

ほむら「……そう」

QB「ああ、そうだ。 最後に1つだけいいかい?」クルッ

ほむら「……なによ?」

QB「メリークリスマス」

ほむら「……」

私の前に、黒いローブをまとった魔女がたたずんでいる

未だに、『彼女』の正体がわからない。 しかし、私と関わりのある魔女なのは確かだ。

『彼女』なら、この未来を変える方法を知っているかもしれない。

謎の魔女「……」

ほむら「……貴女は、誰なの……?」

謎の魔女「……」

ほむら「インキュベーターは、私が何度も貴女を見たと言ってた」

謎の魔女「……」

ほむら「でも、どうしても思い出せないの。 ごめんなさい。 戦った魔女はみんな覚えているつもりだったのに」

謎の魔女「……」 

ほむら「だから教えて。 貴女は一体誰なの?」







謎の魔女「……ワタシヲ ワスレルナンテ ヒドイナァ ホムラチャン」

ほむら「……っ!」

その、聞きなれた可愛らしい声を聞いた瞬間、背筋が凍った。

魔女の正体に気づいたのだ。

私は、『彼女』をよく知っている。

何度も見た。 そのたびに時間を巻き戻した。

彼女の絶望は全世界の絶望であり、私の絶望だった。

二度と見たくなかったのに、見てしまった。

十日で世界を滅ぼす魔女。

かつて親友だった魔女。

守り切れなかった親友。



ほむら「……まどか」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!! セイカイ ダヨ! ホムラチャン!」

黒いローブだと思っていたのは、彼女の体そのものだった。

彼女が元の大きさに戻っていく。

世界を覆い尽くす大きさに。

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、ホムラチャン ワタシニ ヒドイコト シタヨネェ」

ほむら「……あ……ぁ……」

クリームヒルト「イタカッタヨ ヤケルヨウダッタヨ トッテモ クルシカッタヨ」

ほむら「ご……ごめんなさい……ごめんなさい、まどか……」

クリームヒルト「イマサラ アヤマラレタッテ モウ オソインダヨ」

ほむら「お……遅くなんかない! これは未来なのよ! こんな未来、変えてみせる!」

ほむら「私が変われば未来は変えられる! こんな結末をなかったことにできる!」

ほむら「これからは人間関係を大切にするわ! まどかと遊ぶし、親孝行だってするし、美樹さやかとだって仲良くする!」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「だから……だから……墓石の文字を消して!! あのちっぽけな墓石から!! 私の名前を消してよぉ!!」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「……まどか?」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「まどか!? 聞いてるの!? まどかぁ!!」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「まどかぁ!!」ガシッ!

思わず、まどかの足元にすがってしまった。

ほむら「この未来は変えられるのよね!? そうよね!?」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「何か言って!! 何か言ってよまどかぁ!!」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「もしかして変えられないの!? 変えられないから答えないの!?」

クリームヒルト「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ほむら「変えられないなら、どうしてこんなもの見せたのよ!?」 

クリームヒルト「ホムラチャン」

ほむら「な……なに?」

クリームヒルト「ガンバッテ」ゲシッ!

ほむら「えっ……」

まどかに蹴り飛ばされた私は、奈落の底を落下し続けていた。

底が見えない。 どこまでも深い闇。 どこまでも墜ちていく。

そう言えば聞いたことがある。 地獄の最下層にたどり着くまで三千年間落下し続けると。

そうか、これが私に対する罰なのか。

親友の意志を踏みにじり、親友を裏切り、親友を殺した悪魔に対する。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

悪魔に身を堕としても,世界を創り変えても貴女を救えないなんて。

ほむら「まどかあああああああぁぁぁぁっ!!」

今日はここまでです。 sagaミスって恥ずかしいOrz

どんどんクリスマスから遠ざかってるけど、明日終わらせるので許してください。

 

ちょっと気になったんだけど
オクタちゃんがほむほむに手を差し伸べてくれる人がたくさんいたのに振り払ったって言ってるけど
それって本編の事ではなくこのSSのクリスマスのお誘いしてくれたまどかとか両親の事を言ってるって事であってる?

>>89
だいたいあってますが、本編の事も言ってます。

叛逆の物語で魔法少女達がほむらを助ける為に戦っていたのに、ほむらは円環の理を引き裂いたあげく「もう貴女達の助けはいらない」という態度をとってますからね。 

杏子のリンゴをクララドールが拒否したあのシーンはそういう意味だと思いますし。


というわけで、再開します。

気がついた時には、あの殺風景な寝室にいた。

これからどうすればいいのか考える事にした。

インキュベーターは、私がまどかの誘いを断ったことがきっかけだと言った。

……断った。

……もう、断ってしまった。

ほむら「……そう、そういうことなのね……」

どうしてまどかが狂ったように笑っていたのか、よくわかった。

もう、未来は変えられない。

あの救いようのない結末を、なかったことにする事は出来ないのだ。

ほむら「まどかぁ……」

今の私にできるのは、むせび泣くことだけだった。

ほむら「そんな……こんな……こんなことになるなんて……」

ほむら「まどかのためを思ってやったことが……こんな……」

ほむら「ごめんなさい……ごめんなさい、まどか……」

ほむら「未来を変えられない無力な私を許して……」

ほむら「……いや、まだ、変えられる……」

ほむら「私が死ねば……私が死ねばまどかは……」フラッ

その時、ノックの音がした。

杏子「お、開いてんじゃん。 入るぞー」

ほむら「杏子……」

杏子「なにシケたツラしてやがんだ?」

ほむら「別に……何か用かしら?」

杏子「まどかがアンタをもう一回パーティーに誘いたいっていうからさ」

ほむら「!」

杏子「嫌だったらいいんだぜ。 無理強いするつもりは……」

ほむら「行くわ! ぜひとも行かせてもらうわ! 連れてって頂戴! さあ、早く!」

杏子「お、おう」

ほむら「あ、少し寄り道してもいいかしら? プレゼント交換をするんでしょう?」

杏子「ああ、いいぜ。 どこに行くんだ?」

ほむら「CD屋よ」

杏子「ふーん」

杏子「おーい、今戻ったぞー!」

まどか「待ってたよ杏子ちゃ……あっ!」

ほむら「メ、メリークリスマス、まどか……」

まどか「ほむらちゃん! 来てくれたんだね! よかったぁ!」

ほむら「ごめんなさい、遅れてしまって……」

まどか「うぇひひ、気にしなくていいよぉ! さあ、入って入って!」

ほむら「お、おじゃまします……」

なぎさ「あっ、ほむらが来たのです!」

マミ「あら、こんばんわ。 ずいぶん遅かったわね」

ほむら「遅くなってごめんなさい」

さやか「……ふーん、きたんだ」

ほむら「……別に、貴女の為に来たわけじゃないわ」

まどか「2人とも! 今日はクリスマスなんだからケンカしちゃダメだよ!」

ほむら「ご、ごめんなさい」

さやか「ま、まあ、今日ぐらい仲良くしてあげないこともなくもなくもないでありますぞえわよ?」

杏子「日本語でOK」

さやか「……ねぇ、杏子」ヒソヒソ

杏子「んー?」

さやか「あの強情な意地っ張りをどうやって連れてきたのさ?」

杏子「へへっ、ちょっとした裏技があるのさ」

さやか「……あんた、まさか……」

杏子「さーて、チキンチキンっと」

さやか「ごまかさないでよ。 あとそれ七面鳥だってばさ」

マミ「さあ、暁美さんもきたことだし、プレゼント交換するわよー!」

さやか「いえーい!」ドンドンパフパフー!

杏子「待ってましたー!」

まどか「ほむらちゃん、プレゼント持ってきた?」

ほむら「もちろんよ」

なぎさ「じゃあ早速始めるのです!」

まどか「ミュージック、スタート!」

♪グロ~~オオオオオ~~オオオオオ~~~オオオオオ~リア~

さやか「いや、いい歌だけどさ、プレゼント交換の時に流す曲じゃなくない?」

杏子「気にしない、気にしない」

まどか「ミュージック、ストップ!」

杏子「よっしゃー、早速開けるぜ!……なんじゃこりゃ? 宇宙食?」

QB「フリーズドライしたモチだよ。 実際に宇宙空間で使用された品さ。 東京ハンズで買ったんだ」

杏子「アンタのかよ! 結構いいセンスしてんじゃん、ありがとな!」

さやか「あんたは食べ物ならなんでもいいんでしょ……おっ、『鐘のキャロル』のCDじゃん! 誰よこれ?」

ほむら「私よ。 貴女に届いたのね」

さやか「ふーん、あんたにしてはいいセンスしてんじゃん」

ほむら「もっと素直になりなさいよ」

さやか「あんたがそれを言うか」

まどか「まあまあ」

なぎさ「わーい! カマンベールなのですー!」

マミ「あらよかったわ。 それ私のプレゼントなのよ」

なぎさ「ありがとうなのです! マミは何が当たったですか?」

マミ「私は……あら、ステキな手袋じゃない。 誰のかしら?」

まどか「あっ、それわたしのです。 プレゼント交換に手作りってどうなのかなって思ったんですけど……」

マミ「手作りなの!? すごいじゃない! ありがとう、大切にするわね」

ほむら「……私が欲しかった……」ボソッ

さやか「どんまいwwwちなみにあんたは何もらったの?」

ほむら「クリスマスな自由帳、10冊」

なぎさ「それ、なぎさのなのです。 大切にするのです」

ほむら「ありがとう」ニコッ

さやか「wwwww」

QB「このクッキーをくれたのは誰だい?」

さやか「あたしだよ。 まさかあんたに当たるとは思わなかったよごめん」

まどか「ってことはこのチョコレートは杏子ちゃん? ありがとね!」

杏子「おうよ!」

>>102

讃美歌106番「あら野の果てに」のつもりでしたが、わかりづらくてすみません。

俺もバンプはわかりませんごめんなさい。

ただ、さやかちゃんなら恭介の影響で知っててもおかしくないような気がします。

まどか「あっ、そうだ! ほむらちゃんのぶんのごちそうを持ってくるね!」

ほむら「えっ、私の分があるの?」

杏子「いいなー」

さやか「あんたさっきさんざん食べたでしょうが」

まどか「はい、ほむらちゃん! まずは七面鳥だよ!」

ほむら「ありがとう、まどか。 いただくわ」

まどか「どうぞめしあがれ!」

ほむら「とても美味しいわ」モグモグ

まどか「ホント? よかったぁ」

ほむら「それにしても、私の分の七面鳥があると思わなかったわ。 用意がいいのね」モグモグ

まどか「キュゥべえが、ほむらちゃんの分にって持ってきてくれたんだ!」

ほむら「」ブフッ!

QB「どうだいほむら? 美味しいだろう? 今日はクリスマスだから、七面鳥の味を完全に再現してるんだ」

QB「いつもお世話になってるからね。 そのお礼さ。 嬉しいだろう?」

ほむら「こ・ろ・す」ユラリ

QB「助けてまどか!」ピョーン!

まどか「あわわわわ、キュゥべえにひどいことしちゃダメだよほむらちゃん!」

さやか「いや、キュゥべえの肉を食べさせたあんたが悪いと思うよ」

まどか「えっ……あれってキュゥべえのお肉だったの?」

さやか「知らなかったんかい」

杏子「ってことは、キュゥべえを捕まえれば、七面鳥をおかわりできるのか!?」ジュルリ

ほむら「そういうことよ杏子。 一緒に七面鳥狩りをしましょう」

杏子「おう! 一緒に頑張ろうぜ!」グッ!

ほむら「ええ」ガシッ!

杏子「あっ! 天井に逃げやがった!」バタバタ

ほむら「角に追い詰めるのよ!」バタバタ

QB「助けて! 助けてまどか! 助けて!」

まどか「……頑張ってね」

QB「『マドカァー!』」

杏子「ホントだ! 七面鳥だ! うめえうめえ!」ガツガツ

QB「ひどいじゃないか全く。 僕の分も食べるなんて」

さやか「いやいや、ツッコむとこそこじゃない」

杏子「あー、うまかった! おかわり!」

QB「また君の一時の食欲を満たすために死んでくれとでも言うつもりかい?」

ほむら「『宇宙の為に死んでくれ』と言われるよりはマシよ」

マミ「ケーキを新しく焼いたからキュゥべえを追い回すのはやめなさい佐倉さん」

なぎさ「ホコリが舞うし、鹿目さんのご家族に迷惑をかけるのです」

QB「僕の心配をしているわけじゃないんだね」

マミ「キュゥべえの分もあるから、そんなスネないの」

QB「別にスネてるわけじゃないんだけどね。 感情ないし」

マミ「はいはい」

さやか「さーて、プレゼント交換もしたし、ごちそうも平らげちゃったし、何をしますかねー?」

杏子「夜は長いからどんどんアイデアを出そうぜ!」

なぎさ「じゃあ、『さっきの踊りとどこが違うでしょう?』ごっこをするのです!」

さやか「なにそれ?」

なぎさ「なぎさのクラスで流行ってる遊びです!」

杏子「よくわかんないけど面白そうだな、どんな遊びだ?」

なぎさ「それは……ゴニョゴニョゴニョ……って遊びなのです」

杏子「おー、いいねーやろうぜ!」

さやか「えっ、これをやるの? なんか恥ずかしいなー」

まどか「えっ、なに? なに?」

マミ「聞こえなかったんだけど」

ほむら「私も」

なぎさ「じゃあ3人はそこで見てるのです! 2人とも! 用意はいいですか?」

杏子「おうよ!」

さやか「えーい! やるしかない!」

なぎさ「それではスタート!」

なぎさ&杏子&さやか「ハイッ! ハイッ! ハイヤハヤハヤハヤ ハァーイッ!」

なぎさ「この踊りをよく覚えておくのです!」←ウルトラマンのポーズ

杏子「……」←ガッツポーズ

さやか「……」←マッスルポーズ

まどか「wwwwww」

さやか「ちょっ! 笑わないでよまどかwww」

ほむら「うーん……」

杏子「真面目にやられると、それはそれでキツいモノがあるなぁ……」

なぎさ「覚えたですか?」

マミ「覚えたわw」

なぎさ「じゃあ二回目の踊りスタートです!」

なぎさ&杏子&さやか「ハイッ! ハイッ! ハイヤハヤハヤハヤ ハァーイッ!」

なぎさ「違いがわかったですか?」←ウルトラマンのポーズ

杏子「……」←ガッツポーズ

さやか「……」つQB

まどか「あっ! さやかちゃんがキュゥべえのしっぽをつかんでる! さっきまでキュゥべえはいなかったのに!」

マミ「あっ、ホントだ!」

ほむら「さすがまどかね」

さやか「あちゃー、バレたかー」

QB「わけがわからないよ」ブラーン

なぎさ「3人とも、ルールがわかったですか?」

まどか「まあ、なんとなく」

マミ「ええ、まあ」

ほむら「そうね。 大体は」

なぎさ「じゃあ、3人も踊るのです」

まどか&マミ&ほむら「えっ」

まどか&マミ&ほむら「ハイッ! ハイッ! ハイヤハヤハヤハヤ ハァーイッ!」



まどか「こ、この踊りをよく覚えといてね!」←どこかの拳法家みたいなポーズ

マミ「……」←ダブルピース

さやか「うーん、まどかはどこかの拳法家みたいなポーズで、マミさんがダブルピースかー」

杏子「あれ? ほむらがいなくね?」

なぎさ「……あっ(察し)」

まどか&マミ&ほむら「ハイッ! ハイッ! ハイヤハヤハヤハヤ ハァーイッ!」



まどか「ち、違いがわかったかな?」←どこかの拳法家みたいなポーズ

マミ「……」←ダブルピース

ほむら「……」←荒ぶる鷹のポーズ



杏子「うーん、いきなり現れた『荒ぶる鷹のポーズをしてるあいつ』かな?」

さやか「いやー、それはないでしょ。 いくらなんでもあからさますぎるよ」

なぎさ「そうなのです。 あれはきっとひっかけなのです」

ほむら「そんなわけないでしょう……」プルプル

さやか「とりあえず写メっとこ」パシャッ

ほむら「ちょっ」

さやか「後で送るからLINE教えてよ」

ほむらの実家

ほむら母「……あら?」ピローン

ほむら父「どうした?」

ほむら母「ほむらからLINEがくるなんて珍しい……あらまあ」

ほむら父「おっ、楽しそうじゃないか。 パーティーに誘われたというのは本当だったんだな。 よかったよかった」

ほむら母「えぇ……よかった……本当によかった……」グスッ

ほむら父「おいおい、なにも泣くことはないだろ泣くことは」

ほむら母「だってあの子……友達ができて……こんなに楽しそうに……」グスッ

ほむら父「……そうだな。 会えないのは少し寂しいが、楽しそうでよかったよ」 

ほむら母「あら、また来たわ」ピローン

ほむら父「今度はなんだ」

ほむら母「『大みそかには帰ります』……だって」

さやか「さーて、次は何をやろっか?」

ほむら「オセロ持ってきたわ」

さやか「ごめん、できればみんなでできるやつで」

ほむら「ちょっと待ってて……トランプがあったわ」

さやか「あんたのカバン中どうなってんの?」

まどか「じゃあポーカ……ババ抜きやろうよ!」

さやか「いやポ、七並べとかどうかな?」

杏子「そこは大富豪だろ!」

マミ「ポ、ブラックジャックやりましょ!」

なぎさ「ポーカーやりたいのです! なぎさのクラスで流行ってるのです!」

さやか「小学生に対する配慮を一切無視する小学生。 嫌いじゃないよ」

杏子「勝負の前にお祈りだ! ロイヤルストレートフラッシュが来ますように!」

さやか「あーっ! ずるいよ杏子!」

マミ「まあまあ、みんなでお祈りすればいいじゃない」

QB「僕に『祈祷』の概念はよくわからないけれど、とりあえず試してみるよ」

ほむら「……えっ? 私もお祈りするの?」

まどか「そうだよ」

ほむら「神に?」

まどか「神『さま』だよ」

ほむら「……そう」

まどか「……いやなの?」

ほむら「いいえ、喜んでお祈りするわ」

まどか「うぇひひ、そうこなくっちゃ」

杏子「ロイヤルストレートフラッシュが来ますように」

なぎさ「杏子じゃなくてなぎさに来ますように」

マミ「志望校に受かりますように」

QB「暁美ほむらがブタだけを引きますように」

さやか「ほむらにだけは勝てますように」

ほむら「まどかに良い手が来ますように」

まどか「神さまのお恵みが、みんなにありますように」


終わり

クリスマスを3日も過ぎてやっと完成した……後半グダグダになって反省してます。

元ネタのクリスマスキャロルみたいに「神さまのお恵みが、みんなにありますように」で締めたかったのでこうなりました。

とにかく、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

メリークリスマス!  神さまのお恵みが、みんなにありますように!


おまけ

クリスマスキャロルがどういう話かわからない人は、この動画を観ましょう。 みんな大好きトランプさんが出てくるよ!

https://www.youtube.com/watch?v=cP6VqB4klpQ

英語だからよくわからないけど、動きだけでも面白いですよ!

大変乙でした

来年はQBがスクルージ役で書いて下さい

>>120

QBにとっての「悲惨な末路」ってなんなんだろう……

「あんなに魔法少女を犠牲にしたのに、結局宇宙の滅亡は防げなかった」ぐらいしか思いつかないですね……

でもまあ、最善は尽くします。

あれ? PCだとリンクがはれてない。 どうなってんだこれ

Donald Trump vs Ebenezer Scrooge. Epic Rap Battles of History Season 3.

↑これで検索検索ぅ!

>>121
与えられたプログラム通りに多くの魔法少女を犠牲にしたのに、実は惑星インキュベーターはとっくの昔に滅亡していて、せっかく集めて転送した相転位エネルギーは何も無い宇宙空間にドブの廃液のようにダダ漏れしているだけで、それでもキュウべえに任務完了を宣言してくれるべきQB星人はもういないから、これからもプログラム通りに無意味に魔法少女を犠牲にする仕事を未来永劫続けなければならない

なんてどう?

乙でした
クリスマスキャロル懐かしかったわ
>>90
助ける(円環に連れてく)ために戦っていたのは間違いないけど、受け入れて円環されたら他の魔法少女で実験続いて
将来的にQBに円環が制御される未来が待ってるから…
手を差し伸べたのに振り払った、助けはいらないという態度を取った、と責めるのは酷な気がする

乙でした

ほのぼのだと、べえさんはやっぱりコメディリリーフが似合うね
ほむらが見た悪夢って、結局杏子の幻術だったのかな?

>>124
いいですね。 あとは、改心したQBが何をするかですね。

>>125
責めてはないです。 ああしなければ、魔法少女全体が破滅するのもわかってます。

だからこそ、ほむらちゃんに救いがなさすぎるのです。 あの子は自分を責めすぎだと思います。

>>126
ご想像にお任せします。

では、HTML化してきます。

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