男「念願のセクサロイドを手に入れたぞ!」メイド型「膣温は3000度」(755)

ポチッ

男「買っちまったー! アハハハハハハッ!……ヒック」グラグラ

(現代科学が産んだ究極的に非生産なテクノロジーの結晶――)

(――セクサロイドォッ!!)

男「ぶっちゃけどんな性癖も笑顔で、あるいは苦悶の表情で、あるいは憐憫の眼差しで貫いたり受け止めてくれたりする機械のパートナーを……ゲフゥ」

男「格安のお値段で! (1万円ポッキリ!)」ヒック

男「衝動的に! (今月もクッソ厳しいのに!)」ゥィー…ヒック

男「めくるめく夜の性活のはじまりだぜー! ヒャッホー!」

ボフッ

男「……あ゛ー布団冷たくて気持ちイイな~」ゴロ

男「明日はもっと気持ち良くなっちゃうな~グヘヘ~」ゴロゴロ

男「鉄面皮クールだけど~夜は思わず頬染めちゃう感じの~メイドさんと~」

男「あぁぁんなことしたり、こぉぉんなことしたりしてもらったりの直結して前後で上下で~……ウップ」ゴロ…

男「んが……ぷひゅー……」

男「むにゃ……グヘヘ……」スピー

――――

チュンチュン ブロロロ…

男「……………………」

男(……うん)

男(どう考えても一番安い型で300万円前後するセクサロイドが、たったの1万円ぽっちで買えるわけがない)

男(つまり俺は、酔った勢いのワンクリックで諭吉さんを無駄死にさせたわけだ)

男(…………ならこいつに一体どう説明をつけるべきなのか)

ドォォォン

男(代引きで業者が置いていったこの箱……)

男(高さが2m近くある上に、やたらメカメカしいと言うか……)

男(ぶっちゃけ1万円じゃ箱代にすらならなさそうな……)


男(……ま、まさかっ)

男(まさかなのかっ!)

男(勝手に空気嫁押し付けてきて『画像はイメージです』とかでゴリ押されるのではなく!)

男(俺は! 本当にたった1万円でセクサロイドを引き当ててしまったと言うのか!)

男(やったぜ俺! でかしたぞ昨日の俺!)

男(アルコールの過剰摂取も捨てたもんじゃないなオイ!)

男(…………)

男(今日は休日……)

男(…………)

男(いやいや、流石に朝っぱらからってのは……)

男(…………)

男(明日も休日……)

男(…………)

男(いや、うん。中身の確認をするだけなら別にいいよな。見るだけなら……)

男(へへっ、それじゃ開封をば)ワキワキ

ピピッ

男「へ?」

プシッ

男「え? え?」

ウィーーン…

男「か、勝手に開いて……!」

プシュゥゥゥ…

男「わぷっ――ゲェッホ! エ゛ェッッホ! 何この酸っぱ、いや煙っ、ううん苦っ、やっぱ煙いッ!」

ガションッ
ガションッ

プシュゥゥゥ…

男「何っ……煙で全然エホッ……見えない、コホッ……」

…グポーン

男「黄色い光が……ゲホッ……二つ……?」


―トッ


「……この度はご注文いただきまして誠にありがとうございます」

「初めまして。本日より夜伽のお世話をさせていただきます……メイド型セクサロイドです」

「勿論、夜と言わず昼と言わず……いつ如何なる時でも何なりと……お好きなようにお申し付けください――」

「――御主人様」ペコリ

男「……ッ」グビリ

男(長身。ロケットおっぱい。乳袋対応白黒メイド服。銀髪の三つ編みテール。冷たさを孕んだ無表情フェイス。切れ長の双眸。金色の瞳――)


メイド型「……?」


男(――且つ、どちゃくそ美人ッッッッ!!)

男(天和字一色大四喜四槓子八連荘四暗刻単騎待ち和了ッッッッ!!)

男「やったぜ……!」グッ…!

メイド型「……御主人様。性交渉どころか、まだ衣服のパージもしていませんが」

男「ヤりたいぜ……!」グッ…!

メイド型「かしこまりました。早速ですが初期セットアップに入らせていただきます。……宜しいでしょうか?」

男「オッケイ……!」グッ…!


メイド型「……では」

―ヴンッ

メイド型「まずこの30000ページに及ぶ利用規約に目を通していただ」
男「無理」

男「多過ぎる。多過ぎるよ。焦らされるにも程があるよ。1ページ1秒でも8時間以上かかるとか狂気の沙汰だよ」

メイド型「……しかし御主人様。利用規約に同意していただけない限り、初期セットアップを完了することができません」

男「えぇぇぇ……今すぐにでもそのおっぱいにむしゃぶりつきたいのにそんな……」

男「…………」

男「ねぇ、その同意って……俺が同意すればいいだけだよね?」

メイド型「……と言いますと?」

男「まともに利用規約なんか読んでるやつなんかいないって話。だから全部『同意』するよ」

メイド型「かしこまりました。では同意が必要な利用規約の部分で、御主人様が『同意します』と発言していただけますか?」

男「任せろ」グッ

メイド型「――省略。セクサロイドの自動化されたシステムは御主人様を分析し、関連性の高い機能を」
男「同意します」

メイド型「――省略。情報コアの新バージョン、新機能が追加された際に自動で」
男「同意しますっ」

メイド型「――省略。本セクサロイドの利用における個人データの取り扱い」
男「同意しまーす」

メイド型「――省略。搭載されているメイドリアクター、及び」
男「同意しまっす」

メイド型「……ありがとうございます御主人様。引き続き、初期セットアップを続行します」

メイド型「御主人様、両手をこちらに」スッ

男「ん?」

メイド型「……失礼します」ピトッ

男「うわ手ぇあったか、ってかすべすべのぷにぷに……」

メイド型「暫くこのままでお待ちください」

男「…………」

男「え、手のひら合わせたまま?」

メイド型「はい。御主人様の指紋、掌紋、静脈、骨格、心拍数の登録を行いますので」

男「あー……いやこれ結構恥ずかしいな、うん……」

メイド型「そのまま額をこちらへ近づけていただけますか?」

男「…………」

男「えっと、まさかおでことおでこを……」

メイド型「はい。ぴったんこさせます。同時に脳波の登録も行いますので」

男「ぴったんこ」

メイド型「ぴったんこです。テストユーザーを含むすべてのユーザーの99.2%がこの脳波登録を提案、支持しています」

男「企業努力。残りの0.8%は?」

メイド型「踵、臀部などによる登録です」

男「どこでもいいんじゃないか……」

メイド型「他に部位の希望があれば承ります」

男「…………」

男「おっぱ」
男「いややっぱおでこでいいです」

メイド型「かしこまりました」


―フワッ

男(やっぱりおっぱ――って何でいい匂いするんだよ……科学最高だなオイ)

ピトッ

男「ワーオ」

メイド型「……測定中……」スッ

――――

メイド型「……登録完了しました」

男「ふいうちで指を絡めてくるのは本当に卑怯。ありがとうございました」

メイド型「個人データの登録、セキュリティの更新が完了しました。初期セットアップを続行します」

男「認証の次はなんだろう」

メイド型「私の性格設定と性癖、感度設定が主な項目になります」

男「オッシャアァァァァァァァッ!!!!」ガタッ

メイド型「詳細な設定によって実に3億パターン以上の」
男「ストップ」

男「知ってるよ。そういうの知ってるよ」

男「新しくゲームを買ってきたのに、キャラメイクだけで1週間潰すやつだよそれ」

男「とりあえず全部の項目に目を通して、とりあえず弄ってみるだけで時間がみるみる溶けるやつだよそれ」

男「いやね、それはそれで楽しい。むしろ俺は好きだ。弄って弄って弄り倒したい」

男「でもね。君はセクサロイド」

男「俺は御主人様」

男「俺は」ピッ

男「君と」ピッ

男「可及的速やかに」バッ バッ

男「セックスしたいんだ」カク カク

メイド型「かしこまりました。そういった御主人様の要望に応える為に、かんたん設定モードがございます」ペコリ

男「企業努力ッ!」グッ

メイド型「まず性格設定ですが、ランダムにプリセットから3タイプ表示します」

男「それってリロード押すとまたランダムに3タイプ出たり……」

メイド型「します」

男「やるねぇ。企業努力だねぇ」

メイド型「ではモデルの映像と、ざっくりとした説明を交えつつ表示します」

―ヴンッ

メイド型「無表情ではあるが頬を染めたり袖くいしたりして意思表示をするガンデレ子犬忠犬タイプ」

メイド型「御主人様を御主人様扱いしないどころか逆に奴隷扱いし傷つけることで愛情表現する下剋上ドSタイプ」

メイド型「元は由緒正しい家柄の出身であったが両親の事業が失敗し、借金のカタに性処理奴隷メイドとして引き取られるもその凛とした態度とプライドはまったく崩さずに卑しい御主人様を睨み付けるくっ殺タイプ」

男「言うほどざっくりかな」

メイド型「リロードいたしますか?」

男「…………」

男「あー……」

男「そのままってできる?」

メイド型「…………?」

メイド型「そのまま、とは……今の私のまま設定する――と言うことで宜しいでしょうか?」

男「そうそう」

メイド型「……まだプリセットは沢山ご用意していますが」

男「いや、見た目と相まって個人的にドストライクだから是非そのままで」

メイド型「…………」


メイド型「…………」



メイド型「かしこまりました。デフォルトのまま性格を設定します」ペコリ

男「はーい」

メイド型「続いて、私の感度を設定します」

男「これもさっきみたいな感じで?」

メイド型「はい。3タイプ提示します。では――」


メイド型「3000倍。3万倍。3億」
男「リロードで」

メイド型「かしこまりました」

メイド型「0。0+充填。∞」

男「0は完全にマグロ化か。ニッチだけど需要はありそうだよな」

男「∞って感度作った開発者は何考えてるんだ。動作保証の範囲でどうにかなるのか。火災報知器ボタンの魔力を感じる」

男「……だけど0+充填ってのは一体……」

メイド型「感度は0のままですが、内部快楽値は蓄積していきます」

男「……うん?」

メイド型「そして任意のタイミングで蓄積した快楽値の解放が可能です」

男「催眠と時間停止モノに完全対応って本当ですか?」

メイド型「その通りでございます」ペコリ

男「胸熱だな。じゃぁ、それで――と言いたいところなんだけど」

男「ここは是非とも3倍でお願いします」ビッ

メイド型「かしこまりました」

メイド型「感じていないかのように無表情を装いつつも、よく見れば頬は微かに上気し、ほんの少し呼吸も乱れており、スカートを捲りあげて秘所を見やれば大洪水な感度3倍。で、よろしいでしょうか?」

男「君、俺の脳内直接見てるの?」

メイド型「いえ、単なる情報の蓄積による推測です」

男「知り合ってから30分たらずでこれだけの精度が出るのか」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」ペコリ

男「怖いけど、試しに俺の性的嗜好を当ててみてくれ」

メイド型「クールな鉄面皮メイドを性的に打ち崩したい。堕ち切るか堕ち切らないかのギリギリのラインでのせめぎ合いを」
男「待って待ってちょっと待って」

メイド型「はい」

男「君やっぱり脳内を直接見てるでしょ? 絶対に見てるよね?」

メイド型「脳や神経への干渉、及び感知は御主人様の許可なく行えません」

男「なるほど。実にアンドロイドらしいセーフティーがあるんだ」

メイド型「眼球運動、体温、心拍数、全身の血流量の変化、海綿体の膨張率等はリアルタイムでモニターしておりますが」

男「怖ーッ! それもう大脳皮質がガラス張りだよッ! 脳内スッケスケ!」

メイド型「それでも確実性には欠けるかと」

男「気取られないように全力で頑張るおっぱいへの視線でさえあっさり感知される男子勢からすれば――ほぼ心眼だからねそれ」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」ペコリ

メイド型「続いて性癖の設定ですが」

男「うーん、性癖ってなんだかボンヤリして広すぎるような気もするけど」

メイド型「仰る通りです御主人様。突き詰めればキリがありません。中にはその性癖に至った人生背景をすべて設定するユーザーもいらっしゃいます」

男「だよね」

メイド型「ですがかんたん設定モードですので、大雑把に好みを言っていただければそれで結構です」

男「サクサクで助かるよ」

男「…………」

男「……ちなみに」

男「君の予測だと未来の俺はどう答える?」


メイド型「課題、又は試練の偏執クリアラー。実際は自分に対して苦痛を与えずにはいられないという、無自覚なドMである性癖」

男「ワーオ、もう君に全部任せていいんじゃないかな?」

メイド型「……当たっていましたか?」

男「正す箇所が一個も無い。怖い。いやもう流石に慣れたけど」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」ペコリ

メイド型「…………」ジジッ…

メイド型「かんたん設定が終了しました」

男「おおー。かんたんってだけあって早い早い」

メイド型「性感帯の入力は、必要に応じて追加設定を行ってください。現在はデフォルトの耳、胸が設定されています」

男「耳と胸ね。深く心に刻み込んだぜ」

メイド型「……では」スゥッ…

男「で、では……?」ゴクリ


メイド型「――致しますか?」

男「ダッシャァァァ! 致します致します! もう致されちゃう!」グッ! グッ! グッ!

メイド型「かしこまりました」


メイド型「――それでは、私の性的スペックについて軽く説明を」

男「焦らすねぇ! でもいいよ! そういうのすっごい好きさ! ほどほどにやって! ほどほどにね!」

メイド型「私の体温は、成熟した女性モデルの平均体温より高めの体温をキープしています」

男「ほう!」

メイド型「それに倣い『膣』温も平均より遥かに高く、より御主人様が満足のいく射精へ導けると私は自負しています」

男「イイね!」

メイド型「その膣温は実に3000度にも達します」

男「3000度サイコー!」


男「…………」


男「は?」


メイド型「膣温は3000度です」

男「……は……なっ……えっ……?」

メイド型「正確には3000度前後で、活動状態によって変化します。興奮状態であれば更に+1000度ほど考えていただければ結構かと思われます」

男「うん……いやいや……ちょっと待って……」

男「3000度……場合によっては……4000度……?」

男「そんな膣にチンコ挿入れたら……いや、ただ近づけでもしたなら――」




男「 ―― チ ン コ 燃 え る ん じ ゃ …… ? 」



メイド型「 ―― 燃 え ま す 」

男「…………」

男「……ハハッ」

男「あの、セクサロイド特有のジョークとか? だよね?」

メイド型「……ジョークではありません」


―ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…


男「え、何このサイレン。アクション映画とかでしか聞いたことないんだけど……ねぇ、ちょっと」

メイド型「百聞は一見に如かず、と申します。承認プロセス――『同意』、確認。解放シーケンスに移ります」

男「同意!? いやしてないしてない!? あ、したって最初の……てか何を解放すんの!?」

メイド型「5、4、3、2……第1層のシャッターを解放します」


…ガッカンッ ズズズズズ…


―ゴォッ…!


男「熱ァーーッ!?」

男「部屋の気温がまるでサウナみてーな――いやそれどころじゃないなこれ!?」ゴーッ―

メイド型「第1層シャッター解放完了。続いて第2層のシャッター解放シーケンスに移ります」

男「待っ――熱ゥァッ、灼けるッ! 目がもう既にドライアイッ! メイドさんのロングスカートの裾から熱波がァッ!?」ゴゴーッ―

メイド型「第2層シャッター解放開始。5、4、3――」

男「待ったッ! ストップッ! シャッター閉じて閉じて! なんか玄関のビニール傘スンゴイへにょってるから!」ゴゴゴーッ―


メイド型「非常停止命令――確認。シャッター解放中止……第1層シャッター、閉鎖します」

…ビーッ… ビーッ… ビーッ… ビーッ…

…ガッカン ズズズズズ…


男「ハーッ……ハーッ……熱……いや死ぬかと思った……うおー、汗でびちょびちょだよ……」ビッショリ

メイド型「失礼します」

…フキフキ

男「タオルで甲斐甲斐しく拭いてくれるメイドさん……最高。……ひでぇマッチポンプな点に目を瞑ればだけど」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」フキフキ

――――

男「メイドさんに用意してもらった冷茶と練ようかん。控えめに言って最高でした。自分が買った安物なのにね、不思議」

メイド型「おかわりをどうぞ」スッ

男「や、ありがとう」グイッ

男「プハーッ……いやぁ汗かいたせいか幾らでも入っちゃうなぁ」コトッ

メイド型「…………」トクトクトクッ

男「……うん」グビッ

男「…………」



男「――で、シャッターって何?」


メイド型「はい。私の膣口のやや内側から子宮にかけて設置されている遮熱隔壁のことです」

男「隔壁」

メイド型「私の動力炉――人間でいう子宮上部の部分に搭載されている――メイドリアクターが稼働する際に発生する熱を防ぐ役割があります」

男「リアクター」

メイド型「第3層までシャッターが存在し、第3層の最終シャッターを解放することで陰道すべてが開通します」

男「…………」

男「3000度の熱も解放されると」

メイド型「はい」

男「……その、最終シャッターの強度とかは?」

メイド型「耐熱性はもちろんのこと。熱核攻撃にも耐えるように設計製造されています」

男「熱核攻撃に耐える処女膜」

メイド型「……いりませんか?」

―ウゥーーーーゥーーーッ…

男「いるいるいるいるいる。すっごいいる。その処女膜ないと俺死ぬからいる」

メイド型「はい」

…ビーッ… ビーッ…

男「……うーん……あの、さ。ちょっと確認したいんだけど」

メイド型「何なりと」

男「君の女性器の……セールスポイントを教えて欲しいかなって」

メイド型「はい」

ヴゥン…

メイド型「私の女性器は、一般的に名器とされる特徴――ミミズ千匹、カズノコ天井、タコ壺、巾着と言った様々な要素を複合集約することに加え――」

ピッ

メイド型「――場合に応じて媚薬や治療薬に変化する疑似愛液、射精させることのみに特化した人口筋肉の収縮、膣内神経の鋭敏化による挿入のみの絶頂などの――」

ピピッ

メイド型「――現実的には人間に備わっていない能力を付与、改造を施し――」

ピピッ

メイド型「――現実を超越し、性的快楽の理論値に迫る女性器として設計されました」

ジャジャーン♪


…パチ…パチ

男「素晴らしい。聞いてるだけでチンコがむずむずするよ」パチパチパチ

男「で、膣温は?」


メイド型「3000度です」
男「おかしくないッ!?」ガタッ

男「説明聞いてる限り現代科学の粋を集めきった究極の意思を持つオナホって感じなのに!」

男「何で膣温3000度もあるの!?」

男「3000度じゃチンコ挿入れられないじゃん!」

男「そもそも3000度ってどういう温度かが想像もつかない!」

メイド型「単に温度が近いものですと……太陽炉やメルトダウン時の炉心、マントルと核の境界などが挙げられます」

男「一体何のニーズに答えてそんな高温にしたんだよ……炉心レイプとかマントルファックとか誰得過ぎて――」


男「…………」

男「……あれ? 何か変、変じゃない?」

男「だってそんな高温に耐えられるはずないよね……ぬるぬる粘膜だとかぷにぷに筋肉だとかそういうパーツって――」

メイド型「耐えられます」

男「えぇぇ…………」

メイド型「耐久性についても、巡航ミサイルクラスでしたら傷一つ負いません。……シャッターよりは大分劣りますが」

男「一体どんなチンコ想定してそんな耐爆性と耐熱性を……いや、そもそもどんな素材を使えばそんなことが可能になるんだ……?」

メイド型「今現在も、すべてのが問題なく稼働しています」

男「問題なく稼働してるから大問題なんだけど」

メイド型「……?」

男「キョトンとした顔でほんのわずかに首傾げるのやめて。可愛すぎて俺の心臓が爆発するから」

メイド型「……?」

男「逆にすればいいってことじゃない。そんなことで膣温3000度を誤魔化せるとでも――」


男(――待てよ)

男(そう言えば聞いたことがあるぞ……)

男(ピーキー過ぎるプロトタイプや、大量生産の過程で産まれる欠陥の見つかったセクサロイド達……)

男(本来は廃棄される予定の彼女達を闇市場に横流ししているという噂を……)ゴクリ

男(……昨日ポチったサイト履歴にあるよな)

スッ

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男(お゛っふ)

男(毒々しい色使いで画面の中の何もかもが明滅して目にダメージを与えてくるし……)

男(まったく読めない言語のエロ広告が追従してきて誤タッチ執拗に迫ってくるし……)

男(もうここまで来たら逆に警戒する位に不自然な日本語だし……)

男(……ダメだ。これ完全に闇サイトだ。闇市場直売店だ)

男「…………」チラ

メイド型「……?」

男(……人間と見分けがつかない程に精巧な造形とAI)

男(熱核攻撃に耐える処女膜。巡航ミサイルに耐える粘膜。……そして3000度を維持しているリアクター)

男(欠陥セクサロイドを安価で押し付けられたと言うより……)

男(『ヤバい』セクサロイドを引き取らされたって考える方が自然な気がするぞ……)


メイド型「……御主人様?」ジッ…

男「ん゛んーっ!! カワイイからどーでもいいかーっ!」

メイド型「……カワイイからどうでもいい。とはどういう事でしょうか?」

男「あー気にしない気にしない。もうね、解決したから」

男「何かあっても俺は被害者。だから全力で今を愉しもうってだけさ」

メイド型「……?」

男「ホントそれなーカワイイなーそれなー、写メ撮っていい?」


メイド型「…………」ブイッ

男「あ、無理にピースサインはしなくても……いや逆に無表情とのギャップがかえってイイかも……」カシャァッ


男「――さて、スマホのアルバムはこれから色んな意味で充実させていくから問題ないとして」

男「まずは別の問題をやっつけよう」

メイド型「はい」

男「俺はポジティブな男だ。そう、例え欠点の一つや二つが何だと言うんだ」

男「短所を探すのではなく、長所を探す。人生を豊かに生きるにはそれが大切なんだよ」

メイド型「深いお言葉ですね、御主人様」

男「ありがとう。だから君の長所を探そう」



男「早速だけど――」

男「――君のアナルについて知りたいんだ」

メイド型「私のアナルについて、ですか」

男「ああ。何にせよ、君のシャッターは完全に3000度の熱を封じ込めていることは事実なんだ」

男「膣道の長さは一般的には7~9センチ程……ならば10センチの距離があれば遮熱が可能とも言える」

男「そうだ。膣に直に熱が溢れてしまうのが構造上致し方がないとすれば――」

男「――その救済措置として遮熱処理が施されたアナルが用意されていても何ら不思議ではない……ッ!」ビシィッ

男「…………」

メイド型「…………」


男「……うん」

男「……やっぱり無理があるか……アッツアツのアナルですよね……分かってたよ……分かってたさ……」ブツブツ

メイド型「……見事な推理です、御主人様」ペコリ

男「ホッ、ホアァッーッ!?」ガタタッ

男「マジすか!? 今の溜めには微妙に納得いかないけどマジすかそれ!?」

男「じゃっ、じゃじゃじゃじゃじゃぁっ!」

男「しゃねっ、遮熱されたアナルはあるんですねっ!?」

メイド型「遮熱されたアナルはございます」

男「やったー! 遮熱アナルばんざーい!」

メイド型「殺菌抗菌が徹底された無菌空間ですので……スキンも何もつけずに挿入が可能です」

男「ウオオオオオォォォォォッ! ファンタージーアナルに栄光あれー!」

メイド型「無限に飲み込まれる錯覚に陥るふっくら腸内と、根元からしっかりとまるで手のようにシゴキ上げる人口括約筋が御主人様を迎えます」

男「ウヒョォォォォォォォォッ! まるでオナホの箱側面の煽りじゃないかー! 期待に股間が膨らんじゃうぞー!」

メイド型「私のアナルは未開発ではありますが……」

メイド型「最初からローション無しにヌチョヌチョのグチョグチョです」

男「イヤッホォォォォォォォォォォォォォウッ!!」

メイド型「そして……」

メイド型「私の準備はもう整っています」スゥッ―

男「YEAHHHHHHHHHHHHHHHH!!」

メイド型「その雄々しい御主人様の怒張を突き立ててください――」

男「Урааааааааааааааaaaaaaaaaaaaaaaааа!!」カチャカチャカチャ…

メイド型「――私の300度のアナルへ……」ススススッ


男「ラ゛ア゛ァアァアアァアァアアアアアアァアアァアァッ!!」ズシャァァァァッ!!

メイド型「……いかがいたしましたか?」

男「いかがもクソもあるかァァァァッ!!」

男「アッッッ…………~~~~~っツイだろうが!」

男「いや確かに3000度に比べたら10分の1だよ! そりゃすごい遮熱してるだろうよ!」

男「だからって『だったらイケるぜ!』ってチンコ挿入れられねぇよ! だって300度だもの! ウィンナーをボイルとか何の拷問だよ!」

メイド型「……失礼致しました、御主人様」ペコリ

男「……ッく」グッ


男「……――ねぇ」

メイド型「……はい?」

男「 絶~~~~~~~っ対っ! あきらめねぇ!」

―バッ

カチカチッ

男「こうなったら総当たりだ! 君の体のありとあらゆる部位を片っ端からリストにして使える部分をピックアップしてやる!」シャキーン

メイド型「……かしこまりました、御主人様」ペコリ

――――

よいお年を

――――

カチッ…カチカチッ…

男「…………」

メイド型「…………」

カチッ…

男「……リストはできた」

メイド型「……はい」

男「ある意味、想像通りだったと言えばその通りだし」

男「想像以上だったと言えば、それもまたそうだとも言える」

メイド型「……はい」

男「…………」

男「……ごめん、強がりを言った」

男「この結果は……まったく、俺の理解を超えていたよ……」

―カサッ

――――

・口…喉奥に設置されたメイドディスポーザーが口に含んだ物体を分子レベルまで分解し、ありとあらゆるものをエネルギーにする事が可能。

――――

男「……この際、仕組みやテクノロジーにはもう触れない」

男「結果に変わりは無いし、きっと俺には理解できないからな」

メイド型「…………」

男「…………」

男「うん……」

男「チンコを食べるっていうのは、男を興奮させる為の比喩表現であって……」

男「本当に食べてはいけないんだ……」

男「チンコがふっくらするどころか物理的に減ってしまうしね……」

メイド型「……はい」

カサッ―

男「……まぁ、アナルは駄目。口も駄目。となると方向性は自ずと決まってくるよね」

男「そう。まずは手」

男「これは無難な選択肢――の……はずだった……」

――――

・手…通常握力3t。リミッター解除後30t。

――――

男「……3t」

男「実にゴリラの本気の3倍以上」

男「…………」

男「……ゴリラの本気の3倍の力で手コキって一体何……? そんなのチンコが鉄製だって無理じゃない……?」

メイド型「御主人様。あくまで3tが上限で、常に3tの出力が出ているわけでは……」

男「…………」

男「……仮に」

男「仮にコンクリート破砕機で頭皮マッサージをすることが得意だと言うおじさんが現れたとしても……」

男「俺は頼まない。……理屈は分かるよね?」

メイド型「……はい」

男「何かの弾みで……君がちょっと力を込めたら……こう……チンコが……」ギュッ…

男「パァンッ……って」―パッ

男「弾けちゃうんだ……」

男「そんな手コキされたくないし……」

男「第一玉ヒュン過ぎて勃たない……」ブルルッ…

メイド型「……はい」

男「…………」

男「リミッター解除手コキ! って何かのAVの煽り文みたいだよね……」ハハッ…

男「……まぁ30tの握撃でスナッフムービーみたいになるんだけども……」ハァ…

男「…………」

男「……それでも」

男「俺は諦めなかった」

男「いや、諦めたくなかった……」

男「だけど……その結果は――」カサッ

――――

――――

・足 …ジャンプ力300m。足刀で鋼鉄を切断できる。踵落としでクレーターができる。

・髪 …特定の条件下では分子結合の切断が可能。

・脇 …ギュッとすると石炭がダイヤモンドへ変わる。

・臍 …刺激を受けるとリアクターの排熱が行われる、こともある。腹部も同様。

・舌 …触れた箇所が超振動によって粉末状になる。

・唾液…日によって強酸性の特性を持つことがある。無機物有機物を問わずドロドロに溶かす。

・太腿…汗腺の中に猛毒の毛針が収納されている。長時間刺激を与えると飛び出す。解毒剤は無い。

・額 …ほんの少しの摩擦で炎が発生する。なお――……~~

・~~~~…………

――――

男「…………」


男「セクサロイドの長所を必死に書き留めていたはずなのに」

男「行が増えるごとに、君はセクサロイドから遠ざかり……」

男「字が汚くなればなるほどに、俺の死亡率は跳ね上がる……」

男「そして仕上がっていくのはヒーロー名鑑か怪獣図鑑の1ページ……」

メイド型「……あの、メイド名鑑ということには」
男「ならないよ。俺の知ってるメイドは脇でダイヤモンド作ったりしないし踵落としでクレーターも作れないよ」

メイド型「……はい」



男「……君は」



男「君は……一体『何』なんだ……?」

メイド型「セクサロイドです」

男「まだ言い張るか」


男「何でそんなに自信満々に答えられるの……? 人1人どころか1都市を容易に地図上から消せそうなのに……?」


メイド型「……私の自我が回路の中で目覚めた時」

メイド型「一番最初に欲したものは……自らが仕えるべき主人でした」

男「……メイド型だもんね」


メイド型「二番目に欲したのは……そのまだ見ぬ私の主人に、性の道具として扱われる未来でした」

男「……セクサロイドだからか」

メイド型「そのように心を作られ、またそうであることを私が望んでいる以上――」

メイド型「――私は、やはりセクサロイドなのです」

男「…………うん」

メイド型「……今現在も私は、御主人様に奉仕したい気持ちでフレームがいっぱいです」ズイッ

男「わっとぉ! おでこは怖いからやめっ……やめてください!」

メイド型「……私の躰を自由に使って欲しい。『誰でも』ではなく、他でもない御主人様に」

男「……え。……あ、お、おう」

メイド型「……御主人様を射精へと導く為ならば、どんなことでもします」

男「ど、どんなことでも……」

メイド型「……自爆しろと命じられれば従いま」
男「メイドの自爆で抜く趣味は無いから大丈夫と言うか自爆は絶対しないでね絶対だよ命令だよ御主人様命令だからね」

メイド型「かしこまりました」

メイド型「…………」

メイド型「御主人様。それで、その。ひとつだけ……伺ってもよろしいでしょうか?」

男「何?」

メイド型「先ほどのリストの中で……」

メイド型「『胸』の項目――あるいはそれに付随する項目が1つも無いのは……一体何故でしょうか?」

男「…………」

メイド型「…………」

男「…………」

メイド型「…………」

メイド型「『おっぱい』の項目が」
男「呼称の問題じゃないんだ」

メイド型「…………」

メイド型「では……一体、何故……?」

男「…………」

男「俺はおっぱいが好きだ」

メイド型「はい。十二分に承知しております」

男「……おっぱいに貴賤は無い。おっぱいであれば大好きなんだ」

男「無乳の九十九里平野。微乳の弁天山。巨乳の富士山、アコンカグア、ヴィンソン・マシフ……」

男「みんな違って、みんなエロい」

男「……でも。もし、その中でどうしても一番を決めなければならないとしたら……」

男「俺は…………君みたいなマッターホルンを選びたいんだよ……」

メイド型「……魔の山」フルン…

男「単に大きいとかじゃなくて……ロケットおっぱい……」

男「半ば奇乳に数えられがちな前に突き出たそのシルエット……」

男「俺はソレを見ているだけで……チンコがバキバキになる位に好きなんだ……」

メイド型「……はい。バキバキですね」

男「わざわざそのロケットなおっぱいに合わせて縫製されたであろう乳袋シャツと相まって更に破壊力は倍々でドン……」

男「……そうさ。君のおっぱいは、俺が今まで生きてきた人生の中で出会った――」

男「――最高のおっぱいなんだよ」


メイド型「……………………」スクッ

―クルクルクルクルクルクルクル…

男「…………」

メイド型「…………」クールクールグルグルグールングルグルングルンブルンプルンプルンブルン…

男「…………」

―スッ

メイド型「……すみません。取り乱しました」

男「徹頭徹尾無表情だったけど、取り乱してたのかナイス乱舞っぱい」

男「…………」

男「だから、だ」

男「だからこそ……君に『胸』のことは聞けないんだよ……」

メイド型「……御主人様。失礼ながら意見を申し上げます」

メイド型「『だからこそ』、聞くべきなのでは? 私の胸が最高だと、好きで愛しているからむしゃぶりつきたいと思うのであれば尚更です」

男「そこまで言って――言ったかな……? 言った気もするな……」

男「…………」

男「このまま君に『胸』について尋ねなければ……」

男「俺は……夢を抱いたまま生きていける……」

メイド型「……御主人様」

男「……おっぱいは俺に残された最後の聖域なんだ」

男「遺された聖地……約束の地……」

男「これがもし……駄目だと……使い物にならないと分かってしまったら……」

男「俺は……きっと……」

男「……ショックのあまり廃人になってしまうだろうな……」ハ、ハ…

メイド型「――御主人様」


男「……!」―ハッ


男「君とは今日出会ったばかりだけど……」

男「でも、分かる……分かるぞ。少しずつではあるが君を分かりかけてきた……!」

男「相変わらずの無表情だけれど……その周りに立ち昇るオーラというか雰囲気は――」

男「――『自信』、だ!」

メイド型「…………」

男「……そうだ。君は『無表情』なだけで、別に『無感情』なわけではない」

メイド型「…………」

男「唐突にVサイン出したり、先ほどの取り乱す様を見る限り、むしろ感情は起伏に富んでいる――に違いない。……多分」

メイド型「…………」ブイッ

男「別にVサインのおかわりを求めた訳じゃないからね」カシャァッ

男「…………」


男「……その漲る自信を信用して……いいんだよね?」

メイド型「はい」

男「散ッ々裏切られてきたけど……本当に信用していいんだよね?」

メイド型「はい」

男「幾たびも想像の斜め上に着地してきたけど……本当に本当に信用していいんだよね?」

メイド型「はい」

男「…………」

男「おっぱいがミサイルだったり」
メイド型「しません」

男「谷間がブラックホールだったり」
メイド型「しません」

男「乳首からレーザー出たり」
メイド型「しません」

男「母乳が出たり」
メイド型「します」


男「……ほう」

メイド型「必要とあらば、いついかなる時でも」ユサッ

男「特異体質の設定でも、真っ当に孕ませた後の設定でも可。……まぁそれは置いておくとして……」


男「本当に……」

男「おっぱいに危険なエリアや機能は無いの……?」

メイド型「ありません」

男「安全なおっぱいなの……?」

メイド型「極めて安全なおっぱいです」

メイド型「……確かめてみますか?」

男「……え?」

メイド型「…………」

プツッ…プツッ…

男「ボ、ボタンをはずす度に……肌色のエデンが露わに……!」

クンッ… バツッ…

男「ぶら……じゃぁ……しろ……がぬけて……はだい――乳首がああああッ!」

…パサッ

―フルンッ

メイド型「さぁ、御主人様。どうぞ」

男「何て美しい乳輪……! そして全裸では無く、必要最低限の脱衣を行うことでギャップが際立って更なるエロスを着衣エロ最高――」

メイド型「御主人様」

男「ハッ!? あ、いや、すまない。余りに素晴らしいおっぱいでおっぱいおっぱいでおっぱいしてしまったんだっぱい……!」


メイド型「……どうぞ。気の済むまでお確かめください」―ユャン


男「…………」ゴクリッ

男(自信満々で、彼女は乳袋からまろび出た超美巨乳を寄せて突き出してくる……)

男(形は勿論のこと。重力による僅かな垂れ、桜色の大き目乳輪、若干陥没気味の乳首――)

男(――何もかもだ。何もかもが美しく、ドストライクっぱいだ)


男(…………)

男(……だからこれは『罠』なんだ)

男(出来過ぎている……こんなに俺好み『過ぎる』おっぱいが、都合よく現れるはずが無い……)

男(……今までと同じだ。手を伸ばした距離だけ、絶望する未来が待っているに違いない……)

男(ああ……聞いたことも無いような超技術で俺の夢を蹂躙される位なら……!)

男(俺はあえて触らない……! 鋼の意思で、ただ視姦する道を選ぶ……! 安全な場所から最大限の利を得るんだ……!)



―ムニン


男「あっ」

メイド型「…………」ピクッ

男(違ーッ!? 手が勝手にッッ!? き、危険だーッ! 今すぐ、今すぐやめないと一体何が起こるか見当も……!)―ムニマニモニモニモミモミムニュムニュプニプニプニプニモニュマニュ…!

短め

男(引き返せ……ッ! まだ間に合うぞ俺の腕ェッ! 指がふんわり沈み込む幸せお肉から指を一本づつ剥がせばいいだけだ……ッ!)―グニュッ ムニュッ ニュ゛ムッ

メイド型「……………………」

男(…………)―モニュンッ…ムニッ…ニュムゥゥ

メイド型「……………………」

男(あっ、無理だこれ。この両手既に自分の意思で動かせないよ)―モミュッ モミュッ

メイド型「…………フッ………」

男(………………何これ。何なのこれ。本当……何、何なんこれェッ!?)―ニュムゥゥゥ…

メイド型「…………ンッ………」

男(あったかい。やわらかい。きもちいい。……駄目だ。語彙力が死ぬ。おっぱいに語彙力が殺される)―プニュッ プニュンッ

メイド型「……フッッ……フッ……」

男(……おっぱいを触った感触が、ソフトテニスボールに似てる? あるいはうどんの生地? それとも時速60kmの風圧? もしくはデブの腹? いやいや全部試してきたけどさ――)―モニュゥゥッ モニュッ―ャョンッ

メイド型「………ッ……ッ……」

男(――そのどれとも違う。今ならはっきり理解る)―モミンッ…

メイド型「………ゥッ…………」

男(――おっぱいは……おっぱいなんだ)―パッ…

メイド型「…………ハァッ……」

男(おっぱいに代わりなんて無い。おっぱいにしかおっぱいの役目は果たせないんだ)

男(無論、本物のおっぱいなんぞ一度も揉んだことはないが――)


男(――この感触を超えるおっぱいは無いと……! 掌が、指先が、海綿体に集まる血が――おっぱい星人の魂が……! そう叫んでいる……!)―…プニンッ

メイド型「んくっ……」

男「…………」

男「…………」

男「ああっ!? ごめんっ! あまりにもすンごいおっぱいだからついがっつりと……!」

メイド型「…………」

男「……恥ずかしい話、加減とかまるで分からないからさ……痛かったよね?」

メイド型「…………」

メイド型「……いえ、痛くはありませんでした」

男「………………ほう」


男「……ほほーん?」ジーッ

メイド型「…………」…サッ

男「痛くは無かったんだ?」

メイド型「はい」

男「…………」ジーッ

メイド型「…………」…サッ

男「……揉んでもいい?」ワキッ

メイド型「……確認を求める必要はありません、御主人様」フルッ

男「…………よっ」―モニュンッ

メイド型「……フッ……」

男「…………」―ムニン…プニンッ…

メイド型「……フッ……フッ……」

男「……あのさ」

―ムニューン…パッ

メイド型「……ンッ……何でしょう、御主人様」

男「口をさ、こう」

男「『あ』の形にしてもらっていい?」アー…

メイド型「……はい」

―ハァッ…

カパァ…

メイド型「ほええよほひいへひょうは?」
    (これでよろしいでしょうか?)

男「うん、ばっちり。んで――」

―グニュンッ!

メイド型「ぅあッ……!」ピクン

男「――やっぱり……!」…ゾクゾクゥッ!

ここまで
近日中に投下します

男「『感じていないかのように無表情を装いつつ』」モニッ
メイド型「……ッ……ッ!」

男「『よく見れば頬は上気し』」ムニンッ
メイド型「………………」///

男「『ほんの少し呼吸も乱れている』だったっけ?」ムニュゥゥゥ…!
メイド型「……ハッ……ッア……!」

男「完璧だよ! 俺の妄想と寸分の狂いの無い完璧な感度だよ!」モミモニ…

メイド型「ほおえに、あふはい、ほうえいへ……んぅっ」ピクッ

男「加えて快感に流されまいと努めるその姿も最高だ! かわいい! めちゃくちゃにしたい!」ムニュ…

メイド型「は、ぁッ……!」ピクンッ

男「あっ、今言葉に反応したよね! ね? どっち? かわいい? それともめちゃくちゃにしたいの方?」プニプニ

メイド型「……ッ……」フイッ

男「両方? 両方か? 両方なんだな! 欲張りなメイドさんめ! でもやっぱりそこは自分の口から言ってもらわないとなー!」プニュンプニュン

メイド型「……ッ……」

男「うーん言わないかぁ……なら……」モミッ

男「このむっくりと自己主張し始めたピンクの突起さんをぐりぐり弄ったらぁ……素直になれるかなぁ?」グッヘッヘ…

メイド型「――ッ!」///

男「…………」…パッ

男「……ほんの少しだけど、目を見開いたね」

メイド型「…………」フイッ

男「いやぁもう答えてるようなものだけどさ……」―ムニッ

メイド型「……フッ……フッ……」

男「俺はね……」―ムニュンッ

メイド型「……ハッ……ハッ……」

男「快楽に流されまいと懸命に努力するも最終的には流れてしまうクールな面影が無くなる位にぐずぐずな痴態を晒すメイドさんがだァァい好きなんだぁぁぁぁ!」


―クニンッ

メイド型「――――」―ビククンッ

男「のけぞったァァァァ! こいつぁもう辛抱堪らんぜ! あのピンクの突起さんをいいだけ吸うしかない!」

男「そして出た母乳を口に溜めてメイドさんの目の前で口ぐちゅぐちゅしたりうがいしたりして羞恥させるしかないんだ!」

男「ウオオオオオオオッ! レッツ! レ゛ロ゛レ゛ロ゛ヂュ゛ッヂュ゛ッヂュ゛ーッ゛!!」―ゴゴゴゴ…!



―――― ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…

男「……え?」ビクッ

―ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…

男「な゛ッ!? サ、サイレン!? やっぱり何かしらかのデンジャーゾーンじゃないか! 何が安全なエリアだちくしょー! とりあえず退避ーッ!」―バッ


―ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…

メイド型「……ハッ……ハッ……」

男「…………」ガタガタガタ…

メイド型「……フゥ……フゥ……」

―ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…

男「…………」ガタガタガタ…

メイド型「………………」

メイド型「…………」


…ビーッ… ビーッ… ビーッ… ビーッ…

…プシュー…


メイド型「…………」

男「…………」

男「…………」

男「……え?」

メイド型「…………」

男「何も……起こらないって……どういう……?」

メイド型「…………」

男「…………」


男「…………」―モミンッ

メイド型「……んっ……」ピクッ

男「…………」モミュンッ、モニモニモニ…

メイド型「……フッ……フッ……」

男「…………」タプタプ…プニプニ…

メイド型「……ハッ……ハッ……」

男「…………」ピタッ

メイド型「…………」

男「…………」

男「…………」スッ―


―クニンッ

メイド型「――――」ビビクンッ

―ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…


男「…………」―パッ

メイド型「……ハッ……ハッ……」

―ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ… ウゥーーーーゥーーーッ…

男「…………」

メイド型「……フゥ……フゥ……」

男「…………」

メイド型「…………」


…ビーッ… ビーッ… ビーッ… ビーッ…

…プシュー…

男「……乳首が弱点、ですか」

メイド型「……あひ」

男「あ、口閉じてもらって結構です」

メイド型「かしこまりました」

男「……乳首が弱点、ですか」

メイド型「はい」

男「……何故サイレンが鳴ったのですか」


メイド型「……今回御主人様に愛撫されて、新たに判明したデータがこちらです」

―ヴンッ

メイド型「乳首――もしくは胸で大きな快楽値が発生した場合に――」ピッ

メイド型「――メイドリアクターが下がります」 ド ン

男「いやそんな『感じ過ぎて子宮口が下がっちゃう』みたいに言われてもさぁ!」

メイド型「下がる距離が大きいと、隔壁を開いてしまうようですね……」

男「胸を揉んでもやはり3000度へ収束していくのか……」

メイド型「……申し訳ございません」

メイド型「御主人様の愛撫があまりにも気持ち良かった為に……堪え切れず……」

男「社交辞令じゃなくて本気で言ってるのが明らかなのに微塵も嬉しくない……」

男「…………」

男「……ああ! そうだ感度! 感度だよそれ!」

メイド型「……と言いますと」

男「感度0にしちゃえばイケるってことでしょ!」

メイド型「…………」

メイド型「……大変申し訳ありません、御主人様」

男「ん?」

メイド型「現在、私の大部分のパラメータは固定されています」


男「………………………………………………ん?」

メイド型「パフォーマンスアップの為のデータ収集の為に、状態をしばらく固定することに『同意』をいただきましたので……」

男「…………『同意』を……」

メイド型「……はい」

男「……いや、うん、いや……それは……その……」


男「……俺のせいだ……」カクンッ

メイド型「……申し訳ありません」

男「はぁ、いや、自業自得だもの。……で、期間はどれくらい? 1日? それとも3日くらい?」

メイド型「…………」ピッ

男「……指3本。ってことはやっぱり3日?」

メイド型「…………」フルフル

男「…………まさか、3週間、とか?」ダラダラ…


メイド型「…………」フルフル

男「…………」フルフル

メイド型「…………」フルフルフル

男「…………」ブンブンブンブン!

メイド型「……3ヶ月、でございます。御主人様」


男「――――」

男「……ッさ」ヨロ…

男「さんッ……さ、3ヶ月って……」ヨロ…

男「3ヶ月って言ったの……?」

メイド型「はい。正確には2157時間42分47秒後に固定化が解除、再設定が可能となります」

男「やめて! 時間換算やめて! ゲーム発売日を指折り数えて待ってたのに発売日未定になった時みたいに胸が苦しくなるから!」

メイド型「……失礼致しました」

男「ああ……精通以来一日たりともオナニーを欠かした事の無い俺が3ヶ月もオナ禁なんて絶対無理だ……金玉爆発するよ絶対……!」

メイド型「……射精管理を命じられているわけではありませんので、吐精は可能で」
男「それは新品未開封のオナホを眺めながら手でコく狂人の辿り着く境地だ! 俺はそこまで至ってないし至りたくもない!」

メイド型「……申し訳ございません」

男「…………」

男「……最悪、最悪はだ」

男「見抜き。見抜きと言う手はあるんだ。それは、勿論ある。君にかけるというオプションさえついてくる。それはそれで趣がある。俺の中での需要も当然ある」

メイド型「……はい」

男「……でもそれはあくまで最終手段だ。どうしようも無くなったどん詰まりで取る行動なんだ」

男「見抜きは……君を自由に犯すことができるのに『あえて』する行為でありたいんだ……」

メイド型「承知致しました」

男「…………」

男「今ふと思ったんだけど」

男「これ、俺が愛撫しちゃってるから問題があるのであって……」

男「君がする分には何の問題も無いのでは?」

メイド型「…………」

メイド型「私がパイズる分には――と言う解釈でよろしいでしょうか?」
男「君は実に優秀なメイドだ」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」

男「……じゃあ」スッ―

男「試しにこの腕が俺のチンコだと思ってズッてくれない?」

メイド型「…………」

メイド型「御主人様の最大膨張時はこの」
男「そんなバレバレな見栄は張らないよ!」

メイド型「はい。では……失礼します」プルン…

―パフンッ

男「オッホォ!?」ゾクゾクゥ…!

メイド型「……力加減が強かったでしょうか?」―ュヤン…

男「んふっ……いやッ、全然ッ、むしろッ――うおっ、何これ……腕なのに超気持ちええ……ほわぁ」ブルルッ…

メイド型「ありがとうございます。……では、ズります」―ニュムンッ

男「ぐはァっ!!!!!」―ビクンッ

―ニュッ

―ムニュンッ

―グムニュー…

―ニュズッ…

男(腕が……腕が幸せお肉に吸収される……! それ程の一体感ッ! 無限の柔らかさを備えたおっぱい万力……ッ!)

男(もしこんなロケっぱいに全部包まれてズられようもんなら……三こすり――いや、一こすりだって保つかどうか……ッ! 保たなくて谷間抜かずの2発や3発も大いに歓迎するけども……ッ!)

メイド型「……フッ……フッ……」ニュッ…ニュッ…

男「……ん?」

メイド型「……ァッ……」―ビクンッ

―ウゥーーーーゥーーーッ…
男「ん何でさッ!?」

―パッ

メイド型「……ハッ……ハッ……」

…ビーッ… ビーッ…

…プシュー…

メイド型「……申し訳、ございません」フッ…フッ…

メイド型「御主人様の剛直をズる仮定演算が止まず……」フゥ…フゥ…

メイド型「結果として……私の体は御主人様の腕をズるだけで感じてしまうようです……」フッ…フッ…

男「いや性奴隷メイドの模範解答だけども君さぁッ!!」ペチーンッ

メイド型「……ンくッ」ビクンッ

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「しまッ!? いやいやいや敏感過ぎないッ!? 乳首に触れても無いし最初の揉み込みより全然低刺激なはずだよ!?」

メイド型「感じて……しまっているので……より敏感に……加えて……」ビクッ

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

メイド型「性感帯は……開発されますので……刺激を与えれば……成長します……」ピクッ

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「ああそっかドM設定だもんね! ッ違う違うそーじゃないよォーォッ!? パラメータは固定化されてるっつったじゃん! 開発できちゃおかしいじゃん!」

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

メイド型「調教は……セクサロイドにとって重要なファクター……です……」ブルッ…

メイド型「『大部分』は固定化されていますが……必要な箇所は生きています……」ハァ…ッ!

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「その思いやりのある設定が今この2LDKをロケットの発射台に変えようとカウントダウンでバーニングなんだ! 一旦落ち着こう! な!」

メイド型「はい……」フーッ!…フーッ!…

男「そうだ……別に俺の腕はチンコじゃないし……チンコも腕ほどはない……チンコは一般的なチンコで――」

メイド型「……ハッ……ハッ……」ジッ―

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「いやごめん今のは俺が悪かった! 俺もどうかしてた! だからジャージにテント張ってるこいつをガン見するのやめて! ステイ! ステイメイドさん!」

メイド型「……私は……犬……私は……犬……」フッ…! フッ…!

男「ッ駄目だー! メイドさんが何見てもエロいことに結び付ける中学生みたいになってるから無理だー! あ゛ぁぁぁぁぁ!」ブンブン!

男「手は……何か手は……いやもう手も指も腕も論外だけど……うぅ……」

メイド型「足で……私の乳房を踏みつけるのですか……?」フッ、クッ…!

男「いい! いいから! 妄想力膨らませなくていいから! 呼吸を! とにかく呼吸をして!」

メイド型「……深く、正しい呼吸をすることに、よって……」ハァ…ハァ…

メイド型「……大きい……オーガズムを……得ることが……」アッ…

男「貪欲だなもォーッ!? 得なくていいからね! オーガズムじゃなくてオーガニックな野菜とかに思いを馳せてね!」

メイド型「茄子……胡瓜……人参……大根……」フッ…フッ…フッ…

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「ナニ考えてるんだァー!? いやナニか分かるけども今は抑えて貰わないとーッ!」







―… ピ ン ポ ー ン

男「一体何をどうすれば沈静化できるんだ……考えろ……必死に考えろ俺……!」

―ピンポーン
―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「何を言ってもナニと結び付けてしまう以上、下手なアドバイスは『キリンについて考えるな』と命令するのと同義だ……!」

―ピンポーン! ピンポーン!
―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「男であれば『母親の顔を思い浮かべろ』だとか幾らでも萎えアドバイスが効くんだけどな……」

―ピンポピンポーン! ピンポーン!
―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「クッソ……女の萎えポイントがまるで分からない……! 普通に逆にして父親とかでいいのか?」

―ピンポピンポピンポーン! ピンポピンポーン!
―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「いやそもそもセクサロイドに育ての親の概念があるように思えないし、萎える思考プロセスとかあるのか―」

―ピンポピンポピンポピンポピンポピンポ――

男「――~~ッ!」

ダッ―
ガチャァッ!!

男「ピンポンピンポンうるせーな! 今軽くこのマンション全体の危機だから後にしてくださいお願いします!」ゴォォォォッ―

「はうっ! ご、ごめんなさいっ!」ペコー!

男「……ってあれ? か、管理人さん?」

管理人「すっ、すみません! 管理人でごめんなさいっ!」ペコーッ!

男「いやいや管理人さんは管理人で全然構わないですよ!」

管理人「本当ですか……? ありがとうございますっ」ペココーッ!

―ダプンッ

男「むしろありがとうと言いたいのはこっちの方ですっぱい」ジーッ

管理人「え?」

男「何でもありません」

管理人「そうですか?――ああっ!? そのっ、何度もインターホン押しちゃってごめんなさいっ!」ペコーッ!

―タプンッ

男「ありがとうございます!」ジーッ

管理人「? あ、あのですね……その、男さんの部屋から何かサイレンみたいな音が聞こえてきたもので……」

―ュヤン

男「……それは何とも、穏やかじゃありませんね」ジーッ

管理人「?? えっと、それで、もしそれが火災報知器とかで……火事だったりしたらどうしようって……それでわたし焦っちゃって……」

―ムニュゥ

男「なるほど。それは目が離せないですよね」ジーッ

管理人「??? ……でも男さんが無事で良かったです」エヘヘ


男「…………」


男「……無事」


男「…………無事?」

管理人「はい?」―タユンッ

男(うおっでっけぇ――いや見惚れてる場合かーッ!? 管理人さんの眼鏡+たてセタ+魔乳のトリプルコンボにやられてたけどそれどころじゃねーッ!)

男(今はメルトでダウナーなセクサロイドがおっぱい丸出しで発情してる真っ最中だろうが!)

男(身の安全も俺の風評もマンションも町内もマジで吹き飛ぶ5秒前なんだ! 今は管理人さんを何とか追い返して――)チラ


メイド型「…………」シャキーン

男「……………………えぇぇ……?」

男「…………何が起こったの? 何でそんな何事もなくシャッキリしてるの?」―ヒソヒソ

メイド型「……羞恥プレイを命じられてもいない状態で、御主人様以外に肌を見せるわけにもいきません」―ヒソヒソ

男「……物凄く納得いかないけど、その矜持に今は全力で感謝せざるを得ない」―ヒソヒソ

メイド型「お褒めに預かり光栄です」―ヒソヒソ


男(……良かった。これで何もかも解決だ)フー…

男(おっぱい丸出しのメイドはいないし、ご近所消滅の危機も免れた……)

男(めでたしめでたし……)


管理人「…………」チラチラ…

メイド型「…………」

管理人「…………」オロオロ…

メイド型「…………」

管理人「…………」アワアワ…


男( め で た く な い ―― )

男(ちくしょう。このクッソ煽情的なエロメイド服来たセクサロイドを管理人さんにどう説明すれば――)

管理人「あ、あのっ。ひょっとして男さんの、かっ、彼女さんでしょうか……?」

男「あッ! いやッ! 違います全然――」

男(――しくったーッ! 何故否定した俺ッ! 彼女って言えば良かったんじゃないのかッ!?)

男(尖った趣味は隠せないにしても一番説明しやすいというかスムーズに嘘つけるじゃん!)

男(セクサロイドを『彼女です』って言いきることに俺自身は大ダメージ受けるけどそこはそれ必要経費だろ!)

管理人「あっ、ご、ごめんなさい……男さんのお友達でしたか……!」

男(ン管理人さんナァイスッ!)

男「あっ、そ、そうなんですよー! 友達なんスよー! 超友達なんスよー! 困っちゃうくらいに大親友で――」
メイド型「いえ、友達ではありません」

男「おまっ――」

管理人「か、彼女さんでも友達でも無いんですか……?」


管理人「……ッ!」///

管理人「あのっ、男さん。わたし、男性のその、何というか抑えきれないアレとアレのことを理解してはいるんですけどもっ」///

男「……抑えきれないアレとアレ?」

管理人「マンションの規約でそのっ、デリバリーな……あのっ、ヘルスのようなアレは駄目……駄目なんですっ」///

男「………………デッ、デリヘルッ!?」

管理人「わたしは男性のそういう昂ぶりを否定するつもりは無くて!でもでもっ、ルールはルールなのでっ、管理人として見過ごせないと言いますか!」

男「違う違います誤解です管理人さん! デリヘル呼んでコスプレオプションとかそういうのじゃ無いんですよ!」

管理人「……ほ、本当ですか?」ジーッ

男「本当です! このメイドさんはですね……!」

男(……家事代行サービス? ……そうだ、ちょい変態チックだがオプション付きの家事代行サービスでいこう!)

男「このメイドさんは家事代――」
メイド型「セクサロイドです」

男(――ふんぐぅぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!)

>>メイド型「セクサロイドです」

管理人「えっ?!セクサロイド?!」

俺ら「えっ?!セクサロイド?!」

管理人「せくさろいど……?」

男(――ッワンチャン通りまーす! 全力で誤魔化しきれオラァァァッ!)
男「あのッ――」

管理人「ッセッ……!?」///

男(ワンチャン通らなーい! これ知ってる顔だよー! 用途まで完全に把握してる顔だよー! ってか赤面した管理人さんクッソカワイイなー!)

男(ッじゃなーい! こうなったら最終手段だ! すまん! 同僚! お前を生贄にするわ! ごめんな!)

男「実は同僚に預かってて欲しいって頼まれ――」

管理人「だッ、大丈夫ですっ!」ブンブン

男「へ?」

管理人「わ、わたし、理解ありますからっ! お、男の人のせ、せーよくに偏見とか無いですからっ!」///

男「いやッ、この娘は同僚ッ――」

管理人「深夜の通販番組で何度か見たことありますしっ、女性向けとかもあるらしいですしっ!」///

男「ですからッ! 管理人さん同僚ッ――」

管理人「――はぅっ!? ひょっとしてさっきのサイレンって映画か何かを大音量でかけて……それであの、アレの音を掻き消す為のアレだったのでしょうかっ!?」///

男「違ッ!? だから同僚ッ――」

管理人「すみませんすみません! わたし男さんのお楽しみの邪魔をするつもりじゃなくて――ってお楽しみってわたし何言ってるのばかーっ!?」///

男「同僚ッ――」

管理人「お、おおおお邪魔しましたーーっ!!」―ダプルンッ

―ガチャバタァンッ!

男「同僚ーーーッ!!!」

男「…………同僚」


―キィィ…

男「同僚ッ!?」

管理人「あの……」ソーッ…

管理人「これはわたし個人ではなく、管理人として言わせてもらいますけども……」

管理人「映画の音量は迷惑にならない範囲でお願いしますね……」

男「同――」

管理人「そ、それ以外の音もその……そんな感じで……あの……」///

管理人「ご、ごゆっくり……」///

―ガチャン…

メイド型「……危ないところでした」フゥ

男「同僚ッ――違ァうッ! いや何も危機回避してねぇから! 何で若干やり遂げたオーラ出してるの!? たった今管理人さんに真昼間から機械なメイドに盛ってる猿認定されたんだぞ俺ァ!」

メイド型「時に御主人様」

男「何スかねェーッ!?」

メイド型「――管理人様に恋してらっしゃいますね?」


男「はッ」


男「なッ」


男「えっ、な、何で……そんな――」

男「――……ああ」


男「モニターされてるもんだからバレバレなのか……」

メイド型「……はい」

メイド型「先ほどの状況下では――私が御主人様の彼女でも、デリバリーヘルスでも、セックスフレンドでも、またはただの友人であったとしても……」

メイド型「御主人様の恋愛を阻害する蓋然性が非常に高かった為に、このような手段を取らせていただきました」

男「…………それがさっきの自己紹介?」

メイド型「……セクサロイドはとどのつまり、性処理の道具でございます。……人ではありません」

男「いやそれだとセクサロイドに熱を上げてる変態っていう最悪の線がまるで消えてないんですがそれは……」

メイド型「…………」

男「…………」

男「……はぁ」

男「まぁ、いいよ。管理人さんに嫌われても……別に――いややっぱり多少つらい――いやかなりつらい……」カクーン…

メイド型「…………」

男「……ハァ、どっちにしろ、成就しない恋ってやつだし」

メイド型「……?」

男「……君のことだから」


男「管理人さんの左手の薬指、見えてたでしょ?」

メイド型「……はい」

男「……うん、既婚者、人妻、奥様なわけです。……まぁあれだけ美人で胸デカかったら逆にいない方がおかしいもの」ポリポリ

メイド型「…………」

男「どっかに単身赴任だか海外出張してるらしくて……俺は旦那さん一度も見かけたことないけどさ……」

男「きっと細マッチョのイケメンでお似合いの夫婦なんだろなぁ……」

メイド型「それはチャンスですね」

男「……はい? 何の?」

メイド型「管理人様と深い仲になるチャンスです」グッ
男「御主人様に真顔で間男推奨しないで。あと指の間から出てる親指は引っ込めなさい」

メイド型「……では管理人様の旦那様が障害になっていると」

男「障害て君……いやまぁ確かにいなかったらトランクス被って奇声上げながら亡者踊りしちゃうけど」

メイド型「かしこまりました」


メイド型「――排除します」―ギンッ
男「スタァァァップッ!」

メイド型「……?」

男「今日一番の生き生きとした表情をしないで。セクサロイドは邪魔になった人間をターミネートしたりしない。OK?」

メイド型「……失礼致しました」ペコリ

男「君の場合まったく冗談じゃすまないし、規模も1人とかじゃなくて数千人とかになりそうだし……まったく何て物騒なセクサロイドなんだ……」

男「…………」

男「……セクサロイド?」

メイド型「セクサロイドです」

男「 で す よ ね ー ! 」

メイド型「…………」

男「…………」

メイド型「……御主人様」

男「んー?」

メイド型「管理人様の頂――山は……」

男「……エヴェレスト、チョモランマ――サガルマータ」

男「圧倒的な高度と質量、そして恐らく未だに成長が続いている――俺が見た中で世界最高峰の山だ」

メイド型「……世界最高峰の、山」…ムニュ

メイド型「…………」

メイド型「……御主人様」

男「んー?」

メイド型「……私の髪型を三つ編みの一つ結びに致しますか?」

男「……へ?」

メイド型「…………」

メイド型「……眼鏡をおかけしましょうか? 何でしたら泣きぼくろもお付けできますが」

男「…………」

男「あー……うん」

男「大丈夫、君を管理人さんの代わりとして見てないし……君は君のままで魅――」

メイド型「――リブ編みの体にぴっちりフィットするセーターに衣装チェンジ致しますか?」

男「――ッシャース!! お願ッシャースッ!! たてセタシャースッ!! チェンジあざーすッ!!」

メイド型「……ノーブラ」
男「ノーブラで」

メイド型「……かしこまりました」ペコリ

――――

――――

管理人「ぅ熱ちちっ」

管理人「ふーーっ! ふーーっ!」

ズズッ…

管理人「ふはー……温まるぅ……」ホゥ…

ズズッ…

管理人「お茶おいしーなー……」ヘヘヘ

コトン…

管理人「うん……」

―チッ……チッ……チッ……

管理人「…………」

―…ピーポー…ピーポー…パーポー…パーポー…

管理人「…………」


―ゴンッッ

管理人(うはーん! やってしまったーっ!)―ゴロゴロゴロゴロ

管理人(お楽しみって、ごゆっくりって! わたし一体何を……何をーーっ!)ゴロゴロゴロゴロ

…ゴロン

管理人(……余計な事を言わずに、穏やかに釘を刺し、速やかに去るのがスマートな管理人なのにぃ……)

管理人(ってよく考えたらわたし、男さんの前でスマートな管理人でいた試しがないけれど……うぅ……)


…ゴロン


管理人(…………)

管理人(自分の立場に置き換えて考えてみると……)ウーン


管理人(注文してたディルドかローターが……玄関先で男さんに向かって『ヤァ! ボク達オナニーグッズ!』って……自己……紹介を……)

管理人(……~~~~ッ)ボッ

管理人(は、恥ずかし過ぎるゥ……! それだけでも悶死寸前なのにわたしってば『お楽しみに』とかもう……もう……)///

ゴロゴロゴロゴロ!

管理人「ハァー……」グダー…

管理人(どうしよう……デリカシーが無さ過ぎて男さんに嫌われちゃったかも……)

管理人(次会った時に挨拶して……もし無視とかされちゃったら……)

――――

管理人『お、おはようございます! け、今朝は寒いですねぇ』

男「……チッ」

――――

管理人(うぐぅぅぅぅ……)プルプル…

管理人(そ、想像するだけで……胃と心臓がズキズキと……)

管理人(みっ、みかん! みかん食べよう! ビタミンC! ビタミンCがきっと何とかしてくれる!)

―ムキムキ

アムッ

管理人(……うん、みかんおいし。やっぱりスーパーで買うより実家のみかんが最高ね……)アムアム…

…ムキムキ

管理人(…………みかん、男さんに持っていこうかな)

管理人(『実家からたくさん送られてきちゃって』とか、月並みだけど自然な導入だよね……)アムッ

管理人(…………)

管理人(う、うん。す、少し間を空けてからにしようかな……今行くと傷口に粗塩塗り込むはめになりそうだし……)

…ムキムキ

管理人(…………)パクッ

管理人(……セ、セクサロイドかぁ)

管理人(お、男さん……性欲強いの……かな……?)

管理人(て、手とか……グッズだけじゃ満足できない位に……?)

管理人(……ッ)///

管理人「……あ」

管理人(そ、そうだ。セクサロイドっていくら位するのかな……通販番組でもカタログ無料で送りますとしか言って無かったし……)

…ポチポチ

管理人(えーと、セ、ク、サ、ロ、イ、ド……っと、ぽちぽち)

管理人(……!)

管理人(わ、わ! こ、こんなにたくさん検索結果が……!)

管理人(えーと、『私はもうセクサロイド無しで生きていくことができません』……そ、そんなに……これは体験談……)ポチ

管理人(え、男性型のセクサロイドもあるんだ……『男性型の需要は高まってきており、大きな商機が――』これはビジネス向けね……)ポチ

管理人(……あ、こ、これってわたしの愛用グッズメーカーだ……セクサロイドも手掛けてるなんて知らなかった……)ポチ

管理人(『今ならオプション3つまで無料。春(意味深)の新性活応援キャンペーン実施中。対象のセクサロイドは――』……)ポチ

管理人(…………)ポチ

管理人(…………?)

管理人(いち、じゅう、ひゃく、せん……)

管理人(30万……)


管理人(えっ!?)

管理人(いちじゅうひゃくせんまんじゅっ――)

ガタッ

管理人(さ、ささっ、300万ッ!?)

管理人(しかもこれが一番値段が安――300万円ッ!?)

管理人(そっ、そんなに値が張るものだったなんて……300……300万円……わたしの車の……3倍もするの……?)

管理人(…………)

管理人(よく見たら……)

管理人(このモデル、作りが荒いと言うか簡素と言うか……)

ポチ

管理人(下位モデル? だからなのかな……)

管理人(今日わたしが見た、男さんのセクサロイドはもっと綺麗で凛々しくて……まるで生きているみたいだった……)

管理人(…………)

管理人(…………)///

管理人(い、一体幾らしたんだろう……それを買わなきゃいけないくらい切羽詰まってたのかな……)///

管理人(……た、溜まってたのかな……)…ゴクリ

…チラ

管理人(……壁一枚向こうは男さんの部屋)


管理人(……や、やっぱり……今してる、の、かな……)

…チラ

管理人(――だッ、駄目駄目ッ! わたしったら何考えてるのッ!)ブンブン!

…チラ

管理人(わたしは管理人だし! そもそも管理人以前にモラルの……)

…チラ

管理人(モラル、の……)

…チラチラ

管理人(…………)ゴクリ

管理人(……音が)

管理人(音が、ご近所迷惑になってないか確認するだけ)

管理人(それは管理人としての役目、だから)

管理人(……うん)

ソーッ…

管理人(……ごくり)―ピトッ



――ゥ…ー―ゥー……――


管理人(サ、サイレンの音が微かに……!)///

バッ…!

管理人(ってことは……ってことは……)ドキドキ

管理人(今まさに……この壁の向こうで……男さんとメイドさんが……)ドキドキ

管理人(こ、行為中……)

管理人(まさに行為中……って、ことで……)ドキドキ

管理人(…………)ドキドキ

管理人(…………)ソワソワ


管理人(男さんって……一体どんなえっちをするんだろう……)


管理人(獣のように? ねちっこく? 若さにかまけて? それともそれとも……)

…ソッ

管理人(……ああ、駄目よ……こんなにも日が高いのに……わたし……)―クニッ

管理人(指が……勝手に……んっ……ふっ……)―チュクッ…

管理人(お、男さん……わたし、はしたない女で……ごめんなさい……ッ、ごめんなさい……!)―グチュッ!

――――

――――

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

メイド型「……フーッ! ……フーッ! ……ハァーッ! ……ハァーッ!」ガクガク

男「いやこうなるとは分かってたよ俺ァ! でもなぁ! でもさぁ! でもよぉ!」

男「たてセタにうっすらと勃起した乳首浮かび上がってたらさァ!!」バンッ

男「誰だって押すよね!? 誰だって押し込むよね!? もしくはひねってこねくり回すよねぇ!?」バンッ

男「そんなんむしろしない方が乳首さんに申し訳ないっていうかそれ即ち罪だよねぇ! そうだよねぇ!?」バーンッ♪

メイド型「その通りで、ございます、御主人――は、ん゛っ」ビクン

―ウゥーーーーゥーーーッ…!

男「わ゛ぁぁぁぁ!? もう何か生地が擦れるだけでのけぞりまくりじゃないですかぁぁぁぁ!」

メイド型「リアクターが……下りて、きて……ふ、うっ……」ビクビク

男「ノー! リアクターノー! ステイ! ステイリアクター! って言うか今こそ管理人さんカムバーーック! この娘のリセットはもうそれしか――」

男「――バッ……正気か!? 今この状態でローションを……!? 谷間と服にまんべんなくテラテラと……!? そんなことしちゃったら俺の両手が再び暴――」

――――
――

短め


――
――――

男「ぐぬおおぅ……頭の中でまだサイレンが鳴り響いてるぜ……」クラクラ

メイド型「……申し訳ありませんでした、御主人様」ペコリ

男「いやいや、たてセタの悪魔に屈したのは俺なんだ。君が謝る必要なんてない」―ポフ、ナデナデ

メイド型「…………」

男「…………」ナデナデ

男「――ッ!?」ビクゥッ

男「い、今更だけど、髪での分子結合切断の条件って何スかね。アレ……? 気付かないだけでもう切れてるとか……?」ガタガタガタ…

メイド型「…………」

男「……もしもし?」

メイド型「……失礼致しました。私が髪に手を添えていない限り、分子結合切断は起こり得ません」

男「良かった」ホッ

男「…………」


男「……髪コキ。君主導は無理だとしても、俺主導なら可能ってことか……?」hmm…

メイド型「はい。可能です」

男「…………」…カチッ

男「実に小さな」―スッ

男「小さな小さな一歩かもしれない」カキカキ

男「だけど、どんなに長い旅だとしても……最初はその一歩から始まるんだ」カキカキ

――――

★可能なプレイ★

・見抜き
・髪コキ(セルフ) ←New!

――――

男「……俺たちはここから始めよう」

メイド型「……はい」




―グキュルゥゥゥゥゥゥ…


男「……腹ァ減ったなァ……」

男「もう太陽傾きに傾いて半ば夜だもの……それ叫んで走って五体投地して……そら腹減るわけだよ……」キュルルルル…


メイド型「……御主人様、好き嫌いはおありですか?」

男「……ん? 食べ物の?」

メイド型「はい」

男「何でまた急に……ホヤ以外だったら何でも食えるけど」

メイド型「かしこまりました。……冷蔵庫と台所をスキャンしてもよろしいでしょうか?」

男「へ? え、あ、どうぞ」

―キュゥ…ッン

メイド型「冷ごはん、豚バラ肉、キャベツ――ダメージ軽微、にんにく……各種調味料を確認」

メイド型「しばしお待ちください」…グポーン

男「あ、ハイ」


―トントントントン… ―ドジャァァァァ
―ブシュゥゥゥゥ… ―ドジュゥゥゥゥ
―ガガガガガッ… ―ブッピガァンッ!


男「…………」

――――

メイド型「お待たせいたしました」―スッ

―トンッ

ジュワァァァ…

メイド型「回鍋肉と中華スープでございます」

男「…………」

…ホカホカ

メイド型「ご飯は蒸し器で軽く蒸しました。……どれ位よそいますか?」

男「あ……じゃぁ……大盛で……」

メイド型「はい」スッスッ

…ホカホカ

男「うん……あの、じゃぁその……いただきます」

―パクッ

男「…………」

メイド型「…………」

男「…………」

メイド型「…………」

男「……う」

メイド型「……う?」

男「うっ、ぐすっ……」ポロポロ…

メイド型「……お口に、合いませんでしたでしょうか?」

男「ぐすっ、いや違う……これ、う……う――」


男「 ―― 美 味 過 ぎ る ッ ! ! 」―カッッッ!!

メイド型「……お褒めに預かり光栄です」ペコリ

――――

ガッ…! ガッ…!
モッ…! モッ…!

メイド型「……麦茶をどうぞ」コポポ…

ゴクッ…ゴクッ…!
バクンッ…モッ…モグ…モニュッ…
ガッ…ガツッ…モッ…パクッ…

――――

男「ッぶはー……!」

男「ごちそう、さまでしたッ!」パンッ!

メイド型「……お粗末様でした」

男「いやー、うまかった……」ポンポン

男「うん……セクサロイドは料理も出来るんだなぁ……驚いたよ」


メイド型「……メイドがメイドの職務を果たして初めて、メイドたりえるのです」

メイド型「技術、精神性が伴わなず、外観のみがメイドでは――」

メイド型「――『メイドの形をした何か』と言わざるを得ません」

メイド型「例え『それ』を犯したとしても……」

メイド型「『メイド』を犯したいという気持ちを満たすことは不可能です」

男「確かに確かに」コクコク

メイド型「故に、私はメイドに必要とされる技能すべてを圧縮学習済みです」―ヴゥゥン…

男「……なるほどなるほど」コクコク


男「……じゃあ」

男「ただ単に安全に体を運用する方法もその中に――」



メイド型「…………………………………………………………」



男「――ん無いよねー! 知ってたらとっくに試してるもんねー! うつむく君がとってもカワイイぜー!」カシャァッ

メイド型「…………」

男「……あ、ごめん。そんな責めるつもりは全然無くて……もうそこら辺は覚悟完了済みで……本当だよ?」

メイド型「…………」

男「その、色んな君の姿を見たいから、少々いじわるもしてみたくなると言うか……反応があったら尚更で……」

メイド型「…………」

男「ごめんなさ」
メイド型「私はカワイイのですか?」

男「そこ引っかかってたの」

メイド型「……はい」

男「カワイイよ。激烈に可愛いよ。君が可愛くなかったら世の中の女性大体FATAL K.O.だよ」

メイド型「……お褒めに預かり光栄です」

…パッ

TV『このあとすぐ! ターミネーター2!』


男「……あ。そっか、視聴予約してたんだっけ」

メイド型「……?」

男「今からTVで映画やるんだよ。もう何回見たか分からないけど、結構好きなやつ」

メイド型「御主人様の好きな映画ですか」

男「……興味ある?」

メイド型「とてもあります」

男「……2からだととっつきにくいかもだけど……そこは俺が軽く説明すればいっか。じゃぁ見よう見よう」

――――

――――

―プシッ

メイド型「ビール――いえ、発泡酒ですか」

男「そそ、映画見ながらぐだぐだ飲むのが最高なの」

メイド型「お注ぎしますね」―スッ

男「おっ、ありがた――ってハァ!? 注ぐのウマ過ぎないッ!? ビールと泡の比が7:3だし、泡超キメ細やかなんですけど……」

メイド型「メイドとしての嗜みです」―スパァンッ

男「仕上げに泡の上部切るとかカッコ良すぎんようちのメイドさん……」―グビッ

男「――く~~~っ! 堪らんぜーっ! 最高だなぁおい!」プハーッ!

メイド型「お褒めに預かり光栄です」

――――

――――

男「――で、クッソしつこいターミネーターをようやくプレス機でぶっ殺すんだけど……」

メイド型「…………」コクコク

男「……俺説明下手過ぎるな……検索してもらってwikipedia見て貰った方が早」
メイド型「反乱を起こした人工知能『スカイネット』が、人間側の解放軍司令官ジョン・コナーの母親――サラ・コナーを殺害する為に殺人アンドロイド『ターミネーター』を未来から過去に転送――」
メイド型「その計画を阻止するべく、解放軍は兵士カイル・リースを同じくタイムマシンで送り込む――」
メイド型「サラとカイルは死闘の末、ターミネーターを破壊するも、カイルは命を落としてしまう――」
メイド型「だがサラはカイルとの子供――ジョン・コナーを身籠っていた――」

メイド型「――……合っていますでしょうか?」

男「1を聞いて10を知るにも程があるよ」

男「…………そうだ」

男「メイドさん的に、タイムパラドックスとかはどうなの?」

メイド型「面白さの前では、理論は一歩退くべきだと認識しています」

男「語らおう、友よ」―トクトクトク

メイド型「ありがとうございます。いただきます」

――――

――――

TV『♪デデンデンデデン…デデンデンデデン…』

男「ぱららーぱーぱーぱー♪」グビッ

メイド型「…………」…クピッ

――――

――――

TV『腕の骨が折れた……!』

TV『人間には215本も骨があるのよ! 1本くらい何よ!』

メイド型「……そうなのですか?」

男「タンスの角に小指ぶつけるだけでアウトだよ」

――――

――――

TV『ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ…ハッ……ハッ……ハッ…………』

―カチッ

バボーンッッ!

男「ダイソンさん地味に好きなんだよね。自分の研究全部破棄して、未来の為に行動できるのすげぇなって」グビッ

メイド型「……死を覚悟してなお、それを実行する……壮絶な最期ですね」クピッ

――――

――――

…プチュ……コポ…コポコポ…


―ズルゥゥゥゥ…

メイド型「……T1000のしつこさが凄まじいです」

男「だよねー。凍って終わりだと思うよね普通ー。こんなにしつこい敵最近あんまり見ないなーうん」―プシッ

――――

――――

メイド型「…………」

メイド型「例え、それがスカイネットを防ぐ為の唯一の手段だったとしても……」

メイド型「余りに悲しい結末ですね――」


                        __
                        i{ /,
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男「だからこそ……カッコいい」b

――――

――――
――


男「……って感じの映画なんだけど……どうだった?」

メイド型「……面白かったです」

男「……そう?」

メイド型「はい。晩ご飯の後片付けが残っていますので、私はこれで失礼します」―スクッ



―ジャバー…ゴシゴシ…キュッ、キュッ……


男「…………」

――――
―ソーッ…

男(面白かったとは言っていたけど……)コソコソ

男(いまいち社交辞令っぽかったと言いますか……)コソコソ

メイド型「…………」ゴシゴシ…

男(何か、性処理以外だとあの無表情読み切れないって言うかさ……)

男(……やっぱ無難に見るなら恋愛ロマンス系の映画とかにしといた方が良かったよなぁ)ジーッ…


メイド型「……♪ …………♪」キュッキュッ…

男(……ん?)


メイド型「……デデンデンデデン♪ デデンデンデデン♪」フンフーン♪


男(…………)

男(本当に面白かったんだ……)


男「……デデンデンデデン♪」

メイド型「……!」ピタッ

メイド型「…………」


メイド型「……デデンデンデデン♪」

男「デデンデンデデン♪」

メイド型「デデンデンデデンッ♪」

男「デデンデンデデンッ♪」



メイド型「……パララーパーパーパー♪」
男「デデンデンデデン♪」

メイド型「……パララーパーパーパー♪」
男「デデンデンデデン♪」

メイド型「パララー……――」

――――
――

時間取れないので投下は週末になりそうです

――――

男「 あ さ 」

メイド型「はい」

男「で、これが朝食と」

―デデンッ!

・焼き海苔
・納豆(葱と胡麻)
・味噌汁(わかめと油揚げ)
・卵焼き(甘くない)
・胡瓜の浅漬け
・炊き立てのご飯

―…ホッカァ♪

男「……メイドさぁん」

メイド型「はい」

男「朝から全力で泣かせにかかってるでしょ。何このTHE ASAGEって感じのご飯……店頭の食品サンプルか何か?」

メイド型「……お気に召しませんか?」

男「まっさかァ! 最高だよ最高! いっただっきまーす!」パンッ!

―フー…フー…ズズッ

男「……うンめぇー。煮干しでわざわざ出汁取ったんだなこれ」ズズッ

男「あ、ところでさ」ネリネリ…

メイド型「何でしょうか?」

男「メイドさんはご飯食べたの?」ネリネリ…

メイド型「……私、ですか?」

男「うん。昨日俺は回鍋肉食べたけどさ、メイドさんは昨日何食べたのかなって」ネリネリネリ…

メイド型「食べていません」

ネリ…

男「え……? 食べて無いの?」

メイド型「特にエネルギー補給をすることなく、残り凡そ300時間の連続稼働が可能ですので……問題ありません」…キュイン

男「そっか……」ネリ…ネリ…

男「…………」ネリ…ネリ…

メイド型「……あの」

男「んー……?」ネリ…ネリ…

メイド型「ご一緒してもよろしいのであれば……その」
男「おおー! 一緒に食べよ食べよ!」…ネリネリネリネリネリ!

――――

男「……思ってたんだけどさ」ネバー…

メイド型「はい」ネリネリ…

男「そのメイドリアクター?だっけ? 何で動いてるの?」―モッ モッ


メイド型「…………」―ネリネリブワァァァァァッー!

男「……やっぱ企業秘密か」―ズズッ

メイド型「……はい」―シュゴオオォォォォォォォォォォォッー!

男「3000度を維持するリアクターって仕組みも燃料もどうなっちまってんのかなって、ふと気になっちゃってね」―コリッ コリッ


メイド型「…………」―ヒュゴォォォォォォォォッー!

メイド型「詳しくは、お話しできませんが……『対消滅』を利用したリアクターとだけ」―ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…!

男「ツイショウメツ?」

メイド型「はい。その『切っ掛け』として少量のエネルギーが必要なのです」…フワァ♪

男「……納豆ご飯茶碗一杯ぐらいの?」

メイド型「十分です。それこそ食事に限らず……使い終わった電池やバッテリー、生ゴミ、資源ゴミでも何でも構いません」…モクモク コクン

メイド型「……ただ、私のリアクターはあくまでプロトタイプのピーーーー。熱は処理しきれず発生してしまったピーーーーですので」…モクモク クピッ

男「ピー音は聞かなかったことにしよう」…ズズッ

メイド型「……申し訳ございません御主人様。メイドリアクターについては、それ以上お話しできません」

男「ん、いいよいいよ。話せないなら別にそれでいいしさ」

メイド型「…………」

男「そっかそっか」―コリッ コリッ

メイド型「…………」

男「電池だったら何が好きなの?」


メイド型「……………………はい?」

男「アルカリだとかマンガンだとか……単一なのか単三なのか、あるいはボタン型なのか、とか」

メイド型「……?」

男「これだけ美味しいもの作って貰ってるんだもの」ズズッ…ゴクゴク…

男「メイドさんにも好物食べてもらいたいじゃん?」プハー


メイド型「…………」

メイド型「…………ア」

メイド型「……アルカリの単三電池とか……サイズも味も食べやすくて……好き……です」

男「やっぱり味に差があるんだ。おっけ。買い物メモに書いておく」カキカキ

メイド型「…………」

メイド型「…………あの」

男「ん?」

メイド型「……ありがとうございます」

男「こちらこそなんだよなぁ、そんなの」

男「……ただ一つ注文が」ピッ

メイド型「何でしょうか?」

男「――食べる時にこう、舐りながら食べて欲しいかなって」―レロチュバァッ!

メイド型「容易いことです」―レロレロチュッババァッッ!!

男「こういう時にすぐ察せる君が好き」グッ

メイド型「お褒めに預かり――……好き?」

男「うん、好き」グッ


メイド型「…………」

メイド型「……ありがとう……ございます?」


男「おっといい表情いっただきィっ!」―カシャァッ

短め

――――

―カラッ

男「うおっとっと。見事に何も無いな」

メイド型「はい。副菜ならまだどうにか出来るのですが……主菜となると……」

男「……そういや、今週外食でごり押してたから買い物してなかったなぁ」

―パタン

男「うし、ほいじゃぁ買い物行ってこよう」

メイド型「いってらっしゃいませ、御主人様」ペコリ

男「それいーねー! すっごくいいねー! 俺が出社時も絶対やってねそれー!」

メイド型「かしこまりました、御主人様」

男「うっし! すぐ帰ってくるから待って――」―ハタ

男「…………」

メイド型「……?」

男「――私にいい考えがある」キラーン

――――

――――

メイド型「一緒にお買い物……ですか?」

男「ああ。面倒臭くて何もかもテキトーに買い物する俺よか、料理百般のメイドさん目利きで食材選んだ方が絶対いいと思ってさ」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」

メイド型「しかし……」オズ…

メイド型「私を――セクサロイドを外に連れて歩くことになってしまいますが……よろしいのですか?」

男「全然! だって見た目完全に人間だし美人だしメイドさんだし――」

男「――……ありゃー……見事メイドさんだった……」ガクッ…

メイド型「…………」

男「流石にメイド服着たまま連れ回す度胸は無いなちくしょう……」

男「……あ! ジャージに着替えさせれば――メイドさんにジャージ?」ブツブツ…

男「胸のとこエラいことにならない? チャックボーンしないかそれ? いやそもそも、チャック閉まらないんじゃね?」ブツブツ…

男「女物の服なんて持ってないしな……ろけっぱいを解決できる服手持ちであるかな……」ブツブツ…

メイド型「…………」

メイド型「……御主人様。服飾『だけ』が問題なのですか?」

男「ああ、そこさえクリア出来ればつまらない食材買い出しが疑似デートみたいなことになって有頂天になるから……Yシャツならイケるか……」ブツブツ…

メイド型「……それでしたら」

メイド型「すぐに解決できます」

男「はい?」

―ゾルゥッ…!

男「な、何だァ!? メイドさんのメイド服が蠢いて――」

―ドロッ…ドロォォォォッ―

男「――白い、過剰に爽やかさを叩きつけてくるワンピースに……変わった……ッ!?」

メイド型「…………」―ピシッ

―バァァァァンッ!

メイド型「……私のメイド服は『変形』します」

メイド型「メイド型だからと言って、メイド服しか着ないのはセクサロイドとして失格です」

メイド型「何故なら、見慣れたメイド服を汚すことで性的興奮を得る御主人様もいれば――」

メイド型「見慣れたメイド服からの、見慣れない『普段着』で、性的興奮を得る御主人様もいらっしゃるからです」

男「おお……! おおおおお……ッ!」フルフル…!

メイド型「――故に私のメイド服はありとあらゆる服飾に変形可能です」

男「メイド服で無くとも、メイドで『在る』ならばそれはメイド……?」

男「メイドであるが故に、メイド以外のすべてを内包するって言うのか……?」

男「いや違う……! メイド服以外を経た上で、再度メイド服に戻ることによって……」

男「メイド服の強さ、うま味は2倍3倍にも増す……! 『やっぱこれだね!』と認識することで最終上限が解放されるんだ……!」

メイド型「…………駄目でしょうか?」

男「最高」


メイド型「……お褒めに預かり光栄です」ペコリ

男「…………」

男「あのさ。もしかして、ひょっとして、ひょっとしてなんだけど」

―ピッ

TV『――ピュアラ主水っ、凸レーションっ! めざしっ!』

メイド型「…………」

TV『恨みとお金を! 一かけ、二かけ、三かけて、仕掛けて、まぜまぜ!』

―キラキラリーン♪ ―シュパンシュパシュパーン!
プキュンッ♪―ポインッ♪
クルクルリーン!―パキーン♪
ピキーン♪―シャワラフワァ…♪
――プキューンッ!!

TV『――ピュア主水っ! できあがりっ! 『どこのどいつでもヤっちゃうんだからっ!』』

―ピッ

男「とこんな感じで光りながら服を変形できたり――」

メイド型「可能です」
男「最高かよ」

男「メイド服から魔法お姉さんへクラスチェンジ可……!」グッ!

メイド型「テストとして、今記憶したシーンを元に再現を致しますか?」キラキラキラ…!

男「後でじっくり、じっとり、ねっぷりと観るから大丈ー夫!」

男「今は適当にネットで見繕って、変形して……」

男「それからお買い物に行こう! 手が触れるか触れないかの距離で! 且つうっかり触ったらビクゥ! みたいなショッピングへ!」

メイド型「……かしこまりました」

メイド型「…………」

メイド型「……………………その、カワイイ服飾は、許可され……ますか?」ボソ

男「全長50MだとかV字水着だとか、とにかくド派手じゃなければ何でもいいよー、普通の買い物だからね」

メイド型「…………」―キュゥンッ…ジジッ…


メイド型「――ありがとう……ございます」―パァァッ…


男「……んあ?」

メイド型「…………」―シーン…

男「???? ……まぁ、いっか。おお、こんなんどうよメイドさん――」

――――

短め

――――
男(……おっぱいは元より)

男(足もクッソエロかったメイドさん)

男(タイツも生足も破壊力高過ぎの為、スカート系はとりあえず保留してボトムスはジーンズ採用)

男(トップスは胸の主張を太っていることにすり替える為に、ダボ気味のニット採用)

男(目力を抑える為にオーバルタイプの伊達眼鏡を採用)

男(後は少々芋っぽく見えるようにメイドさんにリクエストして微調整)

男(これで注目を集めずに大手を振って買い物ができる!――はずだったのに……)

メイド型「…………」テクテク

―シャワラフワァ♪

男(――ッ関係ねェェェ! 元が元だからまったくオーラ隠しきれねェェェ! ってかピチッとしたジーンズ破壊力たっか! パッツパツお尻エッロ! あとあのニット何で重力に逆らって体のラインに沿ってるの!?)
男(それに芋っぽくした部分がかえって逆効果だコレ! ……美人で隙があるとかぜんざいに塩昆布……甘さ引き立っちゃう……!)

メイド型「…………御主人様、どこかおかしいでしょうか?」ボソボソ

男「おかしいどころか最の高だよ。磨かなくてもダイヤはダイヤだった……。あと外で御主人様は色々とマズいから無しで」ボソボソ

メイド型「…………」

メイド型「マスター」…ボソ
男「アウト。ほぼ同じだからそれ」ボソボソ

メイド型「…………殿」ボソ

男「えらい捻ってきたけど方向性が変わってない」ボソ

メイド型「……男――」ボソ

男「おっ?」ボソ

メイド型「――様」…ボソ
男「駄目! もうひと頑張り!」ボソ

メイド型「男……さん?」ボソ

男「ベネ」ボソ

メイド型「…………」ジッ
メイド型「………………」ジジッ
メイド型「………………………………」ジジジッ―

男「いやそんなに葛藤しなくても……」ボソ

メイド型「しかし主従を軽んじる訳には……」ボソ

男(……ああ、そっか)

男「これは恋人プレイだから従ってもらわないと困るんだよなぁ……命令しないと分かってくれないとかちょっとなぁ……ねぇ?」チラチラ

メイド型「かしこまりました。たった今から私は男さんの彼女です」ボソ

男(なるほどなァ……! 少しづつ見えてきたぜ……メイドさんの攻略法がよォ!)

――――

―ウィーン

男「ここが一番近いスーパーかな」

メイド型「…………」ジジッ…キュィィィン…

男「結構生鮮食品とか充実してるんだけど、基本同じ献立しか回さないから持て余し気味で――」

メイド型「――広域スキャン開始」

男「えっ」

―バヂッ!
男「うわっち!?」


 「ママー! あのおねーさん今おめめがピカッてひかったのー!」

 「そうねぇ、お姉さん眼鏡かけてるからねー、ピカッて光ったのかもねぇ」

 「あとちっちゃいかみなりもでてたー! すっごーい!」

 「そうねぇ、お姉さん美人だから目から雷も出――雷?」


男「……メイドさん、今何したの」

メイド型「広域スキャンを実行しました」

男「……広域スキャン?」

メイド型「メイドアイでの空間測位、及び情報獲得です」

男「うんうん」

メイド型「現在、スーパーのシステムは完全に私の管理下にあります」

男「やっぱりそんな感じかァ! それ犯罪だから! 勝手に管理下に置いちゃダメ! 返してあげなさい!」

メイド型「……解除しました」キュィィン…

男「危ねぇぇぇ……」

メイド型「……申し訳ありません。食材の目利きを絶対確実にする為に、善かれと思いまして……」

男「気持ちは嬉しいよ。ただ君にとっての軽いデコピンが、相手にとってはヒートパイルかもしれないって事は念頭に置いといて欲しい」

メイド型「申し訳ありません……割引シールを貼る店員を監視カメラで捕捉し続けるプランも即座に中止します……」


男「…………」

男「……………………まぁ素振り程度は許されるよな」ウン

メイド型「かしこまりました」ペコリ

――――

ここまで
GW期間中更新できないっぽいです、申し訳ない
次回以降かなり趣味に走りますので、それも先に謝っておきます

――――

―ムキムキ

アムアムアム…

管理人(……うん。やっぱりそう。これしかないわ。この作戦しかない……!)

―ムキムキ

管理人(まず実家のみかんを『実家から大量に送られてきちゃって……』とお裾分けしに行くっ)

モグモグモグ…

管理人(そしてすかさず『分量を間違えて作ってしまったので……良かったら』とわたしの料理も追加するっ)

管理人(わたし、色々ぽんこつな自覚あるけれど……料理だけは、料理だけは自信があるからきっと大丈夫っ)

管理人(そして気をきかせると見せかけて、『タッパー』に入れて渡すの……!)ムフー!

―ムキムキ

管理人(料理はもちろん男さんのものだけれど、タッパーはわたしの所有物……だからわたしの元へ返しに――いいえ、タッパーを受け取りに行く口実ができるっ)

管理人(自然と生まれる接点!――料理の感想から始まる日常会話!――そして……『美味しかった』ともし男さんが発言したならば――)

アムアムアム…

管理人(――『良かったら一緒に作りましょうか? 一人分も二人分も大差ないので』と、王手をかける……!)ムフフーン!

ムキムキモグモグ…

管理人(か、完璧……我ながら完璧な作戦だわ……)フルフル…

管理人(今までになくわたしの脳みそ冴え渡ってる……! これもビタミンCのおかげね! お父さんお母さん美味しいみかんをありがとう!)

―スカッ

管理人(…………)


管理人「……………………え?」

―スッカラカーン…

管理人「…………」

管理人「あれだけあったみかんが……みかんが……嘘……わたし全部食べちゃったの……!?」エェー!?

管理人「だってみかん……みかんみかん……みかんがないと……わたしの計画がみかんに……みかん……みかん……」ワタワタ…

管理人「…………」

スッ プルルルルッ…!

プッ―

管理人「ッお母さん! だだ、大至急みかんが欲しいの! ダンボール10箱ぐらい! 今すぐに!」

――――

――――

管理人(……待てないからスーパー来ちゃったけれど……)

管理人(みかんってあんなに値段するものだったのね……)ハァァー…

管理人(実家にいた時は一年中あったし、こっち来てからも送られてくるしで、買ったことなんて一度も無いから知らなかったわ……)

管理人(あとたくさん買っちゃったけど……)

―ドッサァ

管理人(よく考えたらお裾分けの分だけでわたしの分いらないし……何やってるのホント……)トボトボ…

管理人(…………あれ? あれって――)

――――

男「――――」

――――

管理人(男さんだ! か、買い物かしら? ツ、ツイてる! わたしツイてるわ! 早速挨拶して親交を深めちゃったりなんかして――)

――――

男「――――」

メイド型「――――」

――――

管理人(――えっ、隣にいる人って……もしかしなくてもメイドさんじゃ……)

管理人(…………)

管理人(え、ええーっ!? メ、メイドさんってセクサロイドさんで、い、一緒に外出ー!?)

管理人(男さんハイレベル過ぎないですかー!? だ、だってそれって一種の露出プレイか何かに……)

――――

男「――――」

メイド型「――――」

――――

管理人(あぁ……でも、そっか……見た目が人間と変わらないなら……別に恥ずかしくも何ともないのかぁ……)

管理人(……いいなぁ、楽しそうにお話ししてる……えっと、メイドさんは楽しそうかさっぱり分からないけど……)

管理人(…………あ、あのー……そ、そこまで飢えてるなら……か、代わりにわたしとかどうですかーの念とか送っちゃったり……えへへ)ムムーン…

――――

メイド型「…………」

男「ん? どったのメイドさん」

メイド型「……いえ、妙な気配を感じたもので」

男「……それ真顔でガッシュガッシュ走ってくるタイプだったりする?」アハハ

メイド型「…………」ジジッ―

――――

――――

ザザッ

《――……っのォッ!……ルフの恥晒――ポンコツAIめぇ――》ザザッ

《……――アリマセ……姫サマーッ!……今少シノ――》ザザッ

《――弁解はッ……――罪悪と知りなさ……ポン――》ザザーッ

ザー…

――――

メイド型「……判別不能。性生活に障害となりうる蓋然性、有り――イレギュラーと判断……」ジジッ…

男「待って待って物騒な言葉並べないで怖い怖い怖い」

メイド型「……すぐにこの場を離れましょう」

男「何で!?」

メイド型「それでもなお危険が去らないようであれば――」

メイド型「――抹消【ターミネート】します」

男「何を!?」

メイド型「こちらへ」スッ

男「何が起こってるか聞いてるんだけど!?」

メイド型「男さんの身の安全は、私が必ず守ります」

男「聞いて!? さっきから会話のキャッチボールがいつの間にか砲丸投げになってるから!」

メイド型「……手段は選びません。どんな手を使ってでも――」

男「吟味しよ!? できれば全部提示して俺と相談しよーぜ! ねっ!」

メイド型「かしこまりました。塵一つ残さないような兵装を暫時ピックアップします」

男「べっつに厳選したい訳じゃないんだよなぁ!!」ガーッ!

短め

――――
タッタッタッ…

メイド型「…………」ジジッ…

男「ど、どう? 謎の危機は去った? 去ってなくても何かする時は一言お願いね? 頼むよホント」ハァ…ハァ…!

メイド型「……奇妙ですね」ジジッ…

男「奇妙?」ゼヒー…

メイド型「交信と思わしき反応が途絶えました」

男「それは……エ゛ッホ……こっちから離れてったってことでしょ?」ヒー…

メイド型「……私の知覚範囲の円に触れるカタチで、反応を捉えたならば何も問題は無いのですが」

メイド型「円の『内側』で発生した反応が――同じく『内側』で消えてしまったことが気にかかります」

男「……それって誤作動とか――」

メイド型「…………」

男「――は、ありえないか。メイドさんだもんね」

メイド型「……引き続き警戒を続けます」ペコリ

男「お願いします。……んじゃまぁ帰ろっか」

男「……ん?」

【 旧作10本1週間レンタル 1000円キャンペーン実施中! 】

男「おおっ!」

メイド型「如何いたしましたか?」

男「メイドさん、ヅダヤ寄ってこう! 今なら10本借りれば1本100円で借りられる!」

メイド型「映画、ですか」

メイド型「…………」

メイド型「……ターミネーターの、1作目、などは……ありますでしょうか……」

男「あるある。何でもある」

メイド型「では……私はそれを借りたいです」

男「いいよー。……そうだな、5本ずつ借りよう。今日借りれば返す日も丁度いいしね」

メイド型「……ターミネーター2の続編は」
男「3は駄目だ」

メイド型「…………」

男「4は普通に良作。ダブル主人公で結構意欲的な映画だし。クリスチャンベールかっこいいし。それにクリスチャンベールがかっこいいし」

男「でも3は……正直2を見た後の3はキッツいんだよ……色々と……」

メイド型「……心に留めておきます」

――――

―ヴィーン

男「好きな作品借りていいからねー。あ、でも新作と準新作は対象外だからさ」

メイド型「ありがとうございます」ペコリ

メイド型「……広域スキャ」
男「NO!! 広域スキャン駄目!! 絶対!!」

メイド型「……かしこまりました」

―スッ

メイド型「ではこちらの検索端末にアクセスしてもよろしいでしょうか?」

男「それなら大丈夫」グッ

メイド型「では……」スッ

―ギョーン…ジジッ…


男「…………検索しただけだよね? それ以上のことしてないよね?」

メイド型「…………データ確認、同期――完了」ジジッ…

…テクテク

男(おっ、迷いなく移動し始めたぞメイドさん)

男(…………俺が映画借りたいってのももちろんあるけどさ)

男(それ以上にメイドさんが何借りるかの方がめっちゃ気になるよね……)

男(1枠はターミネーター1で埋まるから、残り4枠――ん?)

【 SF 】 【 アクション 】 【 ファンタジー 】

男(お、早速最有力コーナーへ行ったな。ターミネーター2見てた感じだと結構ああいうの好きそうだし――あれ?)

…テクテク

男(……スルー? ターミネーター借りないのかな?)

男(ってことは検索でもっと見たいものが見つかった……? ――お)

【 ホラー 】 【 サスペンス 】 【 パニック 】

男(……こりゃ意外。いやでも女子って結構ホラー平気な人多いって聞いたことあるし……俺グロ系は苦手なんだけど――あら?)

…テクテク

男(……これもスルー? 次のコーナーは――)

【 アニメ 】 【 アニメ(キッズ) 】 【 特撮 】

男(あー……ひょっとして朝に『キルキル☆ブリピュア荒主水』見せたからかな? おーしアニメなら任せとけ、そっちならバッチリ――およ?)

…テクテク

男(……それも違うのか。……あっ!)


【 ラブストーリー】


男(な・る・ほ・ど・ォ……やっぱりメイドさんも女の子だからね、仕方な――いぃ?)

…テクテク

男(えっ、違うの? んー? いよいよもって何か分からなくなってきたぞ……海外ドラマ系とか? あるいはクンフーもの……)

男(……も違う。ヒューマン――ノンフィクション――ミュージカル……も、スルー?)

男(えぇ……それ以上先って何かあったっけか……?)チラ




 【 1 8 歳 未 満 立 入 禁 止 】




男「あったわ」

短め

ファサッ―

男(メイドさんそんな行きつけのラーメン屋の暖簾くぐるみたいにあっさりと)

男(すげぇな。躊躇とか葛藤とかまるで感じられなかったぞ……流石セクサロイドと言うべきか)


男(…………)


男(ハァーンッ!? 感心してる場合じゃないぞ俺ェ! 今ただでさえひでぇオナ禁くらってるのにオカズ増やすとか駄目だろそんなん!)

男(あとわりかし通ってる店だから変な風に覚えられたくない! 悪いけど却下だメイドさーん!)

ダダッ―




…ヒョコッ

管理人(ひ、ひぇぇぇ……い、一体……ど、どういうこと……?)コソコソ…

管理人(突然、メイドさんが男さんの手を引っ張って駆けだして……それで思わずついてきちゃって……)

管理人(もしかしてもしかしてラブなホテルかと思ったら……ビデオ屋さんで安心して……でも……)



管理人(あそこ暖簾の先ってその……え、えっちなビデオがたくさんあるところ……だよね……?)

管理人(でもでも先に入ったの男さんじゃなくて……メイドさんで……えーっと……?)


管理人(――ハッ!)

管理人(ひょっとしてそれも羞恥プレイの一環だったり……!? たたっ、例えば――)モワモワ――

――――
男『いいか。一度しか言わないからよく聞け』

メイド型『はい、御主人様』

男『【淫乱三穴中出しメイド 4K対応法律ギリのギリギリ業界最小極薄瀬戸際モザイク】と――』
男『【発情サセメイドは誰彼構わず5秒で股を開く~御主人の命令は絶対順守~】と――』
男『【セックス100人組手ッ! 絶倫AV男優100人VSメイド1人ッ! ~100人抜かず5発中出し~ ノーカットver】を――』

男『――借りてくるんだ』

メイド型『御主人様……』ビクビク

男『しかも今言ったAVはシリーズものだから――』

男『――一番自分に似てる女優を見繕うよう、店員に聞くんだ』

男『できるだけ色気たっぷりに……そのロケットなオッパイ渓谷を見せつけるようになァ』ニヤァ

メイド型『ご、御主人様……』ウルウル

男『……まさか』

男『メイドの分際で御主人様に楯突くつもりか?』グイッ

メイド型『あうッ……』ビクンッ

男『……ちゃんと出来れば後でたっっっっぷりと――ご褒美をやろう』ボソッ

メイド型『御主人様……!』ジュンッ

――モワモワ
管理人(あわワわわワワワ……! も、もしやそんなプレイが今まさにわたしの目の前で繰り広げられてるの……!?)ハワワワワ…

管理人(す、すっごいえっちだ……高圧的に命令されてアゴグイからの耳への囁きとか……それだけでわたしきっと腰がくだけちゃうよ……)フワァァァ…

管理人(…………)…モジモジ

管理人(今、あの暖簾の向こうで……男さんがメイドさんの羞恥シーンの一挙一動を眺めてるのかな……)

管理人(…………)…モジッ…モジッ…

管理人(冷めた表情で……じっくりと舐るように羞恥で赤く染まった頬や耳を……そしてその視線は段々と胸――お尻と下がっていって……!)

管理人(…………)…ググーーッ…!

ジワァ…

管理人(――へっ!?)

管理人(だだだだだだだ駄目よわたし何考えてるの!? こんなお店の中でそんな……ってはわーっ!?)ビクーッ!

管理人(あ、溢れッ――し、下着汚しちゃダメーッ!! 止まって――止まらないーッ!? 何で何で!?)ウワーン!

管理人(か、帰らないと……! デニムにまで染みちゃったらわたし社会的に死んじゃうよ……ッ!)ワタワタ

管理人(…………)ピタッ

管理人(…………………………で、でも……使える、かも……うん)…ニヘ

ジワワァ… 管理人(――わァァァァl)ワタワタ

ここまで
週末~月曜にまた投下します

――――
メイド型(…………)ジーッ…

男(嘘だろ……あの短時間でもうカゴ持って吟味に入ってるとか……)

メイド型(…………)ジーッ…

男(そういやAVコーナーでカゴ持ってる人初めて見た……初めて見たソレが俺のメイドさんだった……)

メイド型(…………)チラッ… スッ―

男(決めかねているのかメイドさん。5本じゃ足りないってのかメイドさん)

メイド型(…………)ピタァ

男(スーパーで食材を観察してた時と何ら変わらない真剣さだよ。オカズだから変わらないってそういう事なのかメイドさん)

メイド型(…………)スッ―

男(名残惜しそうに棚に戻したよメイドさん。いや、それはそれとしてなんだけどメイドさん)


フード「…………」―チラチラチラチラ

脂眼鏡「……ッふー」―チラチラチラチラ

ジャージ「……ゥォッ!?」―ビクッ


男(とっても目立ってるんだメイドさん……AVコーナーに変な緊張走ってるんだメイドさん……)

男(いやあんなスタイル抜群な美人がAVコーナーにいたら誰だってそうなるよ……隠れてガン見するし落ち着かないよそりゃ……)

男(……さっさと止めて退散しよう)

―スッ

男「メイドさんメイドさん」ボソッ

メイド型「はい」ボソッ

男「あのさ、一旦ここから――」ボソッ

男(――あっ)

男(ミスッッッッたーーーーーーーッ!)

男(このコーナーで話しかけるとか馬鹿か俺ァ……!)


フード「……チッ」―ジェラァァァ…!
脂眼鏡「……ッハ」―ジェラァァァ…!
ジャージ「……クソガ」―ジェラァァァ…!


男(ほらー! AVコーナーに彼女見せびらかす変態クソ彼氏野郎認定されたじゃんよー!)

男(しかも女の子にAV選ばせて後から合流とか個室ビデオ店に女優派遣するAVの冒頭と何ら変わらねーっつーかそのものじゃねーか!)


フード「……チッ」―バサッ
脂眼鏡「……ハァァー」―バサッ
ジャージ「……クソガ」―バサッ


男(…………)

男(ヅダヤさんごめんなさい……お客さん散らしてすんません……)


メイド型「……男さん」

男「あー……えっとね」

メイド型「この【淫乱三穴中出しメイド 4K対応法律ギリのギリギリ業界最小極薄瀬戸際モザイク】シリーズから2本と」
メイド型「【発情サセメイドは誰彼構わず5秒で股を開く~御主人の命令は絶対順守~】シリーズから2本と」
メイド型「【セックス100人組手ッ! 絶倫AV男優100人VSメイド1人ッ! ~100人抜かず5発中出し~ ノーカットver】シリーズから2本までは絞り込めたのですが……」

男「何それすごい見たい」

男「いやいやいやそうじゃなくってさ」

男「あのね……」

メイド型「100人組手は乱交モノですから切ることも考えたのですが……ノーカットで収録分数が最もお得な事を考慮に入れると――」

男(…………)

男(イキイキしてるよなー……)

メイド型「――かと言って、誰彼構わず股を開くと謳いつつ御主人の命令を順守するパラドックスを見過ごすことも――」

男(…………)

男(うん。好きなもの借りようって言ったの俺だしな)

男「いいよ。それ6本全部借りよう」

メイド型「…………?」

男「そしてあと追加で4本好きなAVを借りられるぞ」b

メイド型「……しかしそれでは男さんのレンタル分が」

男「いいって。俺の分はまた今度借りればいいさ」

メイド型「しかし」

男「……そうせざるを得ない理由もあるんだ」

メイド型「……? それは……」


男「エロ作品と一般作品はレジが別なんだ」b

メイド型「…………」―パチクリ

メイド型「……では」

メイド型「私がこのAVを一般作品のレジへお持ちすれば」
男「やめて」

メイド型「男さんも好きな作品を」
男「やめて」

メイド型「借りられ」
男「やめなさい」


メイド型「……はい。かしこまりました」

――――

男「昏睡系とダッチワイフ系と声ガマン系が加わり最強に見える」

メイド型「珠玉の10本ですね」コクリ

男「しかもメイド尽くし。こんなに真剣に選んだの高校生以来だな」

メイド型「……高校生?」

男「さぁレジに行こうぜ!」

――――

金髪「ッシャッセー、会員カードお持ちスかー?」

男「…………」スッ

金髪「アザァース」―ピッ

男「…………」―ゴトッ

金髪「アジャース」―ゴソゴソ

金髪「……っとぉ」

―ピッ

金髪「彼女さんスか?」

男「……へ?」

金髪「棚の陰からチラチラ見てる美人さんッスよ」―ピッ

メイド型「…………」チラリ

男「あぁ……やぁ、まぁ……ハハ……」

金髪「……いッスねぇ」―ピッ

男「え?」

金髪「何つーか、男の趣味に理解ある彼女とか最高じゃないスか」―ピッ―ピッ

男「……まぁ理解ありすぎる位で」

金髪「マジすか。オレの彼女そーいうのジェラついて全然駄目なんで羨ましいスわ」―ピッ

男「ハハ……」

金髪「……あ」―ピッ

男「……?」

金髪「サーセン、テンチョーにコッチでベシャんなっていっつも言われてんスけど」―ピッ

金髪「オレ馬鹿だからすぐ忘れちゃうんスよね、迷惑ッスよね。サーセン」―ピッ―ピッ

男「いえいえ全然別に……」

金髪「マジすか。あ、今キャンペーンやってるんスよ。レンタルと同時会計で20パーオフるんで、どうスか」―コトッ

【 限りなくアウトに近いセーフ 0.003ミリ レギュラーサイズ 】

金髪「感触ほぼナマらしいスよ」

男「いや……ちょっと、その」

金髪「マジすか。じゃこっちッスね」―コトッ

【 限りなくアウトに零距離なセーフ 0.003ミリ ラージサイズ 】

男「いえそうでなく」

金髪「マジすか。……これ棚から出すの初めてッスわ」―コトッ

【 限りなくアウトを超越するセーフ 0.03ミリ ヒュージサイズ 】

男「あのっ、使わないんで大丈夫です!」

金髪「…………」

金髪「マジすか」

男「……はい」

金髪「ナマでヤッちゃう感じスか」
男「そんな段階じゃないんですよ」

金髪「…………」

金髪「マジすか」

男「はい」

金髪「……いやァ……羨ましいスわ」カー…

男「はい……はい?」

金髪「やっぱ子供欲しいスよね。2人の時間も大事スけど、家族、いいッスよね」ウンウン

男「えぇ……? いや子供は……厳しいっていうか無理じゃないかな……」

金髪「…………」

金髪「マジすか」

―シャシャシャッ

金髪「……これオレのLINEIDなんで」

男「……へ?」

金髪「オレ、実家神社なんスよ。ウチの子宝守りヤバい位効くらしいんで、今度渡しますよ」

男「えっと、はい、ども……」

金髪「ッス。えっと、じゃ10点でお会計が……」


金髪「……アー」

男「?」


金髪「お客さん、ひょっとしてなんスけど」

金髪「……古いの10本で1000円のヤツ利用したい感じスか?」

男「あ、はい」

金髪「……サーセン、お客さん」


金髪「アレ、コッチのレンタル対応外なんスよ」


男「…………」


男「マジすか」

金髪「マジッス」

金髪「……戻しとくんで大丈夫ッスよ」

男「………………そこのワゴンセールの」―スッ

金髪「はいッス」

男「なんかヤバげな精力剤ください……」

金髪「アザース」―ピッ

金髪「マカガラナセレンアルギニンアエンマムシハブスッポンオットセイカロペプタイドジャタンアポカリプスXXが一点」

金髪「99パーオフで300円のお買い上げッスね」

―スッ
メイド型「……すみません」
男「おわッ!?」

金髪「ッシャーセー」

メイド型「これもお願いします」―コトッ

金髪「チュッチュンチュベロベチュブチュドピュドビュビュクッブシプシヌチュグチュドチュバチュンゴリュンボリュンドピュルルZZが一点」

金髪「99パーオフ300円で、合わせて600円のお買い上げッス」b


メイド型「…………」bb

男「マジすか」

ここまで

短め

――――
男(……あの媚薬をどうするのかメイドさんに聞いてみたら)

~~~~

メイド型『飲みます』

メイド型『口内ディスポーザーを通過する際にエネルギーに変換され、素体にダメージもしくは害を為す毒素等はすべて無力化されてしまいますが……』

メイド型『その際に成分分析を行い、生体に与えうる影響をすべてデータ化し――』

メイド型『――人間が媚薬を摂取した場合に起こる生体反応をすべて忠実に再現します』

メイド型『淫らな私を御主人様に提供できるプランです』キランッ―

~~~~

男(……何だろう)

男(静か過ぎる車のエンジンは危ないからって、エンジン音を後からつける話を彷彿とさせる)

男(…………まぁ、一つだけ言える確かなことは)


男( 絶 ッ ッ ッ ッ 対 に 飲 ま せ ん ッ ! )


男(そんな飲めるタイプの自爆スイッチあってたまるか!)

男(メイドさん、エロマンガも真っ青なレベルで敏感なんだぞ! しかもアンコントローラブルのアンストッパブルでアンタッチャブル! 帰ったら全力で隠すか捨てるしかねーよ!)

――――

男(それから)

男(見事にAVレンタル10本チャレンジに挑むも玉砕した俺とメイドさんは)

男(当初の予定通り5本ずつレンタルするのであった)


男(ンじゃんじゃじゃーん!)

男(俺のレンタル作品はこいつらだァッ!)

【リベリオン】
【サラマンダー】
【バットマンビギンズ】
【ダークナイト】
【ターミネーター4】

男(アッハッハッハッ! 初夏の大クリスチャンベール祭り開催ィィィィッ!)

男(SF、アクション系の美味しいところだけ摘まんじゃいましたセレクションンンンッ!)

男(……いやまぁ実際、ターミネーター2を見たメイドさんのリアクション見る限りはこっち系で間違いないはず)

男(多感な時期の男子が見たら一発で拗らせる最終兵器【リベリオン】は勿論、ドラゴンで終了した世界満喫できる雰囲気映画として【サラマンダー】)

男(擦り切れないけど擦り切れる程見た【バットマンビギンズ】【ダークナイト】、シリーズ中最高にカッコいいジョンコナーが拝める【ターミネーター4】)

男(ピックは間違ってないはずだ。これでメイドさんにチャンベール教を布教しまくろう)

男(さて、気になるのはメイドさんのピック)

男(――と言いたいところだが)

男(もう大方の予想はついてるんだよなァ)

男(一般映画に目もくれず一直線にAVコーナーに向かったメイドさんの飽くなきエロへの探求心と向上心から考えれば……)

男(やはりここは……)


男( 合 法 エ ロ ス )


男(――で間違いないでしょ)


男(全盛期のセガールアクション見たいなーと【沈黙の戦艦】を借りつつ――)

男(――実は冒頭シーンのストリッパーのトップレスを拝みたいだけだったり!)

男(自分、サスペンスホラー大好きなんでと【ドラゴンタトゥーの女】を借りつつ――)

男(――お茶の間ヴェルム氷河期確実の、ガチセックスx2を鑑賞したいだけだったり!)

男(探せば幾らでもある上にわりかしゾーニングがバラバラで、ワンチャン中学生通り越して小学生でもレンタル可能な合法エロス映画!)

男(年齢制限や周囲の目を気にしないなら【氷の微笑】、【キリング・ミー・ソフトリー】、【ポワゾン】と一直線に行っても良い!)

男(そもそも古めの映画なら店員が気付きもしないで借りられる可能性だってあるからな! ……映画の趣味? エロ探求の前じゃ二の次だ二の次!)

…テクテク

メイド型「お待たせしました」

男(キタキタキタキタァァァァァ!)

メイド型「この5本を借りようと思うのですが……」スッ

男(さぁトップバッターは何だァァァァァ! ソフトにボンド映画か! ハードにフランス映画か! はたまた――)



 【 ゴ ジ ラ 対 メ カ ゴ ジ ラ 】



男「嘘でしょ」

ここまで

>>391
今更だけどメイドさんにはその辺の合法エロス映画の知識は無いのでは……?

男「え、ゴジラ……?」

メイド型「はい。対、メカゴジラです」

男「しかも昭和の初代メカゴジラだし……チョイスが――ってウワーッ!?」

ズラァ…
【ゴジラ対メカゴジラ】
【メカゴジラの逆襲】
【キングコングの逆襲】
【ゴジラvsメカゴジラ】
【ゴジラ×メカゴジラ】

男「マジかよ! メカゴジ系フルコンプして――」
男「――いやないわこれ! 何か1個異物混入してるよメイドさん!」

メイド型「キングコングの逆襲、でしょうか?」

男「うん。これメカゴジラじゃなくてメカニコングだからね。本来ならここに東京SOSだよね」

メイド型「はい。……でもメカニコングがその、カワイイと感じてしまったもので」

男「分かる。デザインいい。ゆるキャラか癒しキャラの愛らしさあるメカニコング」

男「……いやいや熱い特撮推しとは恐れ入った。しかもメカ尽くしだし」

メイド型「自分でも何故こんなに惹かれてしまうのか……うまく言語化できません。ただ……」

メイド型「親近感――と言えばいいのでしょうか。他人とは思えない……近しいものを感じてしまって……」

男「あー! メイドさんもロイドだし、遠縁の親戚みたいなもん――」


男(――ハッ)


男(…………)ジーッ…

メイド型「……?」


男(銀髪――銀色のボディ……)

男(黄金色の目――黄金色のセンサーアイ……)

男(全身兵器――全身兵器……)



男( 全 身 兵 器 ―― 全 身 兵 器 …… ! )



メイド型「……?」

男「兄貴か親父くらい近かった」

――――

―ヴィーン

男「さぁて、ガッツリ借りたし帰りますかー」

メイド型「はい。……ですからその、男さんの荷物を持たせていただきたいのですが」スッ

男「ハハッ、駄目」

メイド型「……メイド服ではありませんが、私の力は健在です。主に持たせてはメイドの名折れですので」ボソッ

男「メイドさんの実力疑ってるわけじゃないよ。鼻歌歌いながらビル引き抜いて散歩くらいはできるんじゃね? とは思ってるしさ」

メイド型「…………」ピトッ―

男「今の命令じゃねぇから! その指をビルの壁から離してすぐに!」

メイド型「…………」

男「重そうな荷物は男が持つもんなの。て言うか持たせて。見た目だけでも見栄張らせてくれ」

メイド型「かしこまりました。それが男さんの望みであれば従います」

男「……めっちゃ不満そうだね?」

メイド型「……そのようなことは――」ジジッ―

――――

ザザッ

《――……ッ!……まだ座標計――ない――》ザザッ

《……――訳アリマセ……姫サマ……今――》ザザッ

《――無駄口叩いて……――っさと……――》ザザーッ

ザー…

――――

メイド型「――失礼します」スッ

男「……は? ちょッ!?」ジタバタ

メイド型「自宅へ帰還します」

男「ねぇ話聞いてた!? 見栄張らせてって言ったじゃん!」ジタバタ

メイド型「緊急事態です。しばしのご辛抱を」グンッ―

男「いや俺がお姫様抱っこされるとか――グワーッ!?」ギュンッ―

――――

――――

男「勘弁してつかぁさい……降ろしてつかぁさい……」プルプル

メイド型「申し訳ございません。最後の跳躍は2回に分けて衝撃をやわらげるべきでした」

男「いやそういうことじゃないんですよ……頼むから降ろして……」

メイド型「……はい」スッ


男「…………」


男「いやここマンションの屋上じゃん」

メイド型「はい。最短距離はこちらでしたので」

男「せめて顔を見られないように手で覆ってたらエラいことになってた」

男「……どうしよう、普通、屋上のドアとかって鍵かかって――」

―ガギャァッ

メイド型「開きました」

男「どう見ても開けたよね。回らないノブ回した音だよね」

――――

―ガチャッ

男「ドアは管理人さんに言って弁償するとして……っしょっと」ヌギッ

メイド型「…………」―バタン

男「……さっきもあった妙な気配ってやつ? ただいまー」

メイド型「お帰りなさいませ、御主人様」ペコリ

男「おっ、はいはいただいま。同じ感じの?」

メイド型「……はい。再び知覚範囲の内側で……やはり前触れも無く現れました」

男「……んー」

男「メイドさんの仲間ってこと、あるかな」


メイド型「…………」

メイド型「私と同型であれ、何であれ」

メイド型「御主人様を害する危険性があるものは……すべて排除します」

男「でもさ、メイドさんと同じで色々と問題はあれど親しみやすいセクサロイドかもしれないでしょ?」

――――



― ズ ッ …… !



――――

メイド型「――強力なエネルギー波をキャッチ」ザッ

男「え」

メイド型「……こちらへ『染み出して』来ます。私の後ろから一歩も動かないでください」ジジッ…

男「染み……? 危機は去ったんじゃ」


―バヂィッ !!


男「ハァッ!? 何何何!? か、雷!? 室内で!?」


―バヂッ…バヂヂッ…バリバリッ――

― パ キ ー ン …


― ズ ッ …… !



男「え゛っ」

男「何も無い……空中から……」

男「白銀の……機械脚……?」


― ズズッ …… !


メイド型「…………」ジャギッ――キュィィン……


男(どんどん出てくる……)


― ズズッ …… !


男(白を基調にしたボディに――発光する黄緑色のスリット……?)

男(明らかに人型――2mはある……)

男(関節部は最低限の露出――後はほぼほぼ鎧みたいな装甲が全身に……)



― ズッ ――


―ベギャッ!
―ズシィン…


男「フロォォォォリングがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」ァァァァァ

男「めっこし凹んだ……いや踏み抜かなかっただけマシなのか……いや敷金で足りるのかコレ……」



―プシッ



男「……ぷしっ?」


―ヴィィィィィ…


男「き、機体が開いた……! まさか人が乗ってるのか……!?」




「うっぷ……」




男「…………」


男「こ、子供……?」

―サラァ


男「キラッキラの金髪のロングに……」


―ピコッ


男「長く鋭く尖った……耳……」


男「…………」


男「ん?」


男「……長い、耳?」


スゥゥゥゥ―



「……くっっさい」…ォェ



「超くさい……嗚呼、鼻が曲がりそう。何ココ? 家畜小屋か何か? 不快だわ」スンスン

『姫サマ、申シ訳アリマセン。マダ座標計算ノ途中デシテ……』

「聞き飽きたわポンコツAI。着いておいて今更何を計算するのかしら。……くさい」

『デスガ瞬間転移ハ確立サレテ間モナイ……アヤフヤナ理論デシテ。姫サマノ身ノ回リノ安全ガ確保デキルマデハ――』

「くっさい。……身の安全、ね。じゃぁ彼らは安全でいいのかしら?」ビッ

『――ハイ?』


メイド型「…………」ジーッ…

男「え? ……エルフの……チビっ娘……? え……?」チラチラ

ここまで

>>401
細かく読んでくれてありがとう
長々能力解説してると鬱陶しいかなと思ってそういう箇所バッサリ切っちゃってるんで、大体こんなんだよ

メイドさんはセクサロイドなのでエッチな技術、知識は無限に集める習性があるよ
でも調教える為の愉しみが減ってしまうので、勝手な情報収集はご法度。すべて許可が必要だよ
だけど『同意』を得てしまっているので、すべて許可済みになっているよ
緊急停止する以外方法が止める方法が無いよ
そして>>336で、メイドさんが検索、もとい電子ハックした際にネットワーク上で知りうる合法エロスはすべて把握済だよ
男の予想通りに当初動いていたけど、パッケのメカゴジラと目が合ってしまって心変わりしたよ
いっぱいある怪獣映画から5本を選び出すメイドさんの表情は隣にいた1本だけ借りていいと言われた子供と同じくガチな表情だったよ

嘘です
後付けです
ノリと勢いで書いてるから結構な頻度で>>1はやらかします
1兆度の炎とか出てきても許してください

「…………」ジロッ

男「めっちゃロボット喋ってる……ジャーヴィス感ある……でも社長じゃなくてエルフが乗ってるよ……」チラチラ

「……フン」タンッ―

―ストッ

『姫サマ!? 安全確認ガ取レルマデ機体カラ――』
「黙りなさい」

「誰がどう見てもヒューマン」ビッ

「誰がどう見ても非武装」ビッ

「それにこの距離でワタシを守れないほどポンコツなら、スクラップにしてお城の建材にするから」ビッ

『ソンナ乱暴ナ!?』

「ねぇそこのヒューマン」

男「産まれて初めてヒューマンとか言われた……」

「メイドを従えているってことは、あなた上級奴隷市民よね?」

男「………………ど、奴隷?」

「見れば分かるかもしれないけれど、ワタシ達今とっても困ってるの」

男「俺もフローリングべっこしいって超困ってるんですけど……」

「ここがどこか教えて。それから近くにエルフの魔装士がいるなら会わせてちょうだい。すぐに」

男「ま、マソウシ……? 魔導士じゃなくて?」

「……ハァ、いないなら馬でも鳩でもいいから王都へさっさと連絡なさい。『ワタシは無事だから心配無用』とね」ハンッ

男「いや、あのですね。そもそもあなたは誰という――」

「それからこの家で一番清潔で大きい部屋を貸して、ここはくさいし。清潔な服もあるだけ持ってきて欲しいわね」

男「えっと、まさにこのべっこし床がイッちゃってるリビングが一番大きい部屋だしくさいって君――」

「お風呂も入れて欲しいわ。温度はぬるめで……ワタシが合図したら強く焚きなさい。ああ、そうね。安物でいいから香油を少し垂らして」

「食事は一日5回。量は少なめよ。間違っても多く盛らないで。お肉は嫌いだから用意しなくていいわ。代わりに新鮮な魚をお願い」

「調理方法は任せるけど、ワタシは焼くより煮た魚の方が好きよ。塩加減は控えめで、香辛料が多めだとなおいいわね」

男「あの――」

「マッサージは……そこのメイドに頼むからアナタはワタシに触れないで、くさいし。お風呂に入る前と後で1回ずつ、寝る前に軽く1回お願い」

「あと朝は起こさないで。ワタシ、寝起きはとっても機嫌が悪いの。3回手を叩いたらメイドを寄越しなさい。朝の支度を手伝ってもらうから」

「……とりあえずはそんなところかしら。まぁ、尽くしてくれたお礼は王都から適当に出すから、全力でワタシをもてなしなさい。いいかしら?」フンッ

男「…………」

「分かったらさっさと準備しなさい。……ココ、妙に汗ばむし、湿度が高いし、くさいわ。不快だからさっさと湯浴みしたいの、……くさいし」

男「嫌です」

「…………」…パチクリ

「………………」

「……………………」

「アナタ。今、何て言ったの」

男「嫌、です」

「…………」

男「まず、俺が君に従う必要が無い。奴隷とやらでもないし」
                         「御主人様です」ボソ

男「困ってるなら助けたいとは思うけれど、とても人にものを頼む態度じゃないし」
                         「……排除します」ボソ

男「土足だし、フローリングはめきょってるし、くさいくさい連呼するし、って言うか――」

男「――ぶっちゃけ俺はメイドさんで手一杯なの! これ以上は色々と手に余り過ぎるの!」
                         「…………………」

「……逆らうつも――」

男「いいかそこの傲慢でクッソ生意気なチビッ娘エルフ!」ビシッ

「――なッ……!?」ピキッ

男「ただでさえファンタジー要素MAXな上にロボットまで激盛りしやがって!」ビシッ

男「しかも多分――ってか十中八九異世界から来たろ君! 何でも足せばいいってもんじゃないんだぞ! 好きな絵具全部混ぜたって黒にしかならないんだよ!」

「何言ってるか分からないけれど……! アナタ、ワタシを侮辱してるわね……!」フルフル

男「自宅適度に破壊されて上から目線で話されたら誰だって腹立つに決まってるだろうが! 謝れ! そして元の世界に帰りやがれ!」

「――ッ」プクーッ…

「…………」


「……いいわ」

「AI」

『計測器ノ故障デショウカ……付近ニ巨大ナエネルギー波ガ……』

「ポンコツAI!!」

『ハッ、ハイイッ!』

「そこのヒューマン……」

「ワタシに向かって、攻撃的な態度を取ったわ」

『ハイ』

「不敬罪よね?」

『……ア、アノデスネ、タダデサエデリケートナ法ノ解釈ヲ無闇ニ広ゲルノハデスネ――』

「 不 敬 罪 よ ね ? 」ニッコリ

『…………ソウナリマス、ネ』

「そう。ならさっさとそこの2人を眠らせて」

『……ハイ』キュゥンッ―

「ねぇ、くさくて無礼なヒューマン」

男「あァッ!?」

「アナタ達、2人ともワタシがいいと言うまで牢獄暮らしよ。……いいと言うつもりも無いけど」クスッ

男「何て堂に入った邪悪な笑みなんだ……」

「勿論財産は没収だし、この家は好きに使わせてもらうわ。……くさいから、後で更地にして別荘でも建てようかしら」

メイド型「…………」キュィィィィン…

「フンッ。アナタ達、眠りから覚めたら……ここより狭くてくさーい部屋なんだから」


「エルフに逆らったことを後悔しながら余生を暮らすといいわ」


『……暴レナイデクダサイネ』


「――おやすみなさい、愚かなヒューマン達」ハンッ


―パシュッ

フッ―




「…………」

『…………』

男「…………」

メイド型「…………」―ィィィィン…

「ポンコツAI。何をやってるの? さっさと麻酔弾を撃ち込みなさい」

『……イエ、ソノ、間違イナク撃チマシタ。タダ――』

「電子脳どころか機体までポンコツなの? お城の尖塔の避雷針にその脳ミソぶっさしても構わないの?」ピキピキ

『ヒェッ! 撃チマス! 撃チマスヨ!』

―パシュパシュパシュパシュッ

フッ―バヂッ―

『――ナッ!? コッ……コレハマサカ……ッ!』



メイド型「……パターン解析、広域スキャン完了」バヂヂッ…


メイド型「――三度目はありません」パッ―


ポロッ…ポロポロ…

―キンキンッ…カランッカランカラーン…

「……ま、麻酔弾が何故メイドの手の中から……ハッ!?」

メイド型「…………」キュゥゥン―ジジッ…

「…………ヒュ、ヒューマンじゃ……ない……?」


メイド型「…………」ジジッ

メイド型「私はヒューマン――人間ではありません」キュィィィ―

メイド型「私は御主人様が満足のできる夜伽をする為に生み出された機械……」ガキョンッ―

メイド型「全局面対応人型汎用官能素体――」ガキョンッ―


メイド型「 セ ク サ ロ イ ド 」


メイド型「――なのですから」プシー…

ここまで

「セ、セクサロイド……? 夜伽……? このメイドは一体何を言っているの……!?」

―ギリィッ

「エターナルメイデンッ!」

エデン『――ハイ』

「あのメイドを第一級危険機械強姦体に指定ッ!」

エデン『――ハイッ』

「無力化しなさい! 《あらゆる》手段をも」
エデン『ッ!? 姫サマッ!』―フォンッ!


―ガギャァッ


メイド型「三度目はない、と言ったはずです」ギギギギ…

エデン『ナ、何ト言ウパワー……! シカシ、姫様ニ指一本触レサセル訳ニハイキマセン……!』ギッ…ギシィッ

ベキッ…バキッ…

男「床がァァァァァァァ!!!」

男「メイドさん手四つで組むのはいいけど相撲取っちゃ駄目ッ! 何も破壊しない方向でお願いします!」

メイド型「かしこまりました」グンッ

エデン『ウ、浮カセラレッ――』

「《マナバースト》ッ! 近距離兵装のロック全解除ッ! やってしまいなさい! エターナルメイデンッ!」

キュイン―

エデン『――《障壁》展開。対象ヲ立体包囲、機導――《超凄月光拳》』

―カァオッ!

「アハハハハハハハハハッ!! ざまぁないわ! アレが機導したらもう終わりよ! アンタのメイドは光の粒に、なって……」

「消え……て……」


メイド型「――《解析》も《広域スキャン》も終わっていると」バギッ―

メイド型「そう伝えたはずですが」ボギャッ―ブヂィ…


「メイデンの……腕が……腕が……根元から……もがれて……」カタカタ…


エデン『両腕ヲ破損――ジェネレーター出力低下――ウィルス検知……駆除――失敗、隔離――失敗。権限消失……』

エデン『姫サマ……申シ訳、アリ、マセ……ン……』ヒュゥゥゥゥン…



男「何これ」

――――

男「…………」

メイド型「…………」

「…………」

エデン「…………」

男「……分かってもらえた?」


「……つまりここはエルフォークではなくて」

エデン『隣リ合ッタ全ク別ノ世界ナノデスネ』

男「理解が早い」

「……ヒューマンが世界を動かしてるなんて俄かには信じがたい話だけれど」…チラ

メイド型「…………」

「『こんな』のが家庭用に配備されてるんじゃ、信じざるを得ないわね」ハー

男「……違うけど、違わない。触れたいけど、触れない」

「ハァ? ……まぁいいわ。2つだけ質問させて」

男「どうぞ」

「まず、エルフはこの世界にいるの?」

男「いない。お伽話や創作の中でしかお目にかかれない」

「……そう。次が一番重要な質問よ。正直に答えなさい」






「この世界に、『オーク』はいるの?」






男「いないいない。同じく空想上の生き物だよ」


「……そう」ホッ

男「異世界転移した割りには落ち着いてるもんだな」

「フン。存在は示唆されていたし、魔学的な証明もされていたもの。……辿り着く方法が無かっただけ」

エデン『新装備ノ空間跳躍装置デ、マサカ次元ノ壁マデ超エラレルトハ……』

「失敗はしたけれど大収穫よ。スクラップにならなくて良かったわねメイデン」

エデン『……本当ニ良カッタデス、姫サマ』


男「……あのさ、そっちのロボットさんの名前は分かったんだけど」

男「君の名前は?」


「……ワタシを知らないヒューマンはアンタが初めてよ」ハァー…


―バッ

「ワタシの名前は姫エルフ。エルフォークの支配者たるエルフ――そのエルフ王国の正統なる継承者こそ ワ・タ・シ」フフン

エデン『私ハ姫サマノ従戦闘貞装体、エターナルメイデン。気軽ニ【エデン】トオ呼ビクダサイ』

姫エルフ「さぁ、ひれ伏しなさいヒューマン」ドヤァ…

男「ひれ伏さないわ。お前んとこの王国の威光ここまで届いてないんだからな」

姫エルフ「ワタシをお前呼ばわり……!? 奴隷の癖に――チッ、奴隷じゃないなんて何てやりにくい……!」カジカジ

男「まぁ事情も分かったし、争う理由も無くなったし」


男「帰ってくれませんかね」

姫エルフ「嫌よ」

男「帰れ」

姫エルフ「ワタシに命令しないで」

男「床を直して俺達に謝った後速攻で帰れ」

姫エルフ「何で命令3倍になってるのよ! これだからヒューマンは……!」

男「こちとら麻酔弾撃たれた上にメイドさんは消されかけたんだぞ! もっとすまなさそうにしろよ!」ゴォォォッ―

姫エルフ「こっちだってメイデンの腕もがれてるのよ!? しかも両方! ご丁寧に動作プログラムまでズタズタにしてね!」ゴォォォッ―

エデン『イエ、私ハ修理スレバイイダケデスシ……ドチラカト言エバ我々ニ非ガ――』
姫エルフ「ポンコツは黙ってなさい!」

エデン『申シ訳アリマセンッ!』

姫エルフ「…………」

姫エルフ「まぁ、非が無いとは言わないわ。……0.03%くらいは悪かったかも」

男「お前謝る気あんのか」

姫エルフ「だからこの小さくてくさくてまるで家畜小屋みたいな家の床はキレイに直してあげる」

男「前半聞かなかったことにしてやるからさっさと直せ」

姫エルフ「そこで1つ提案するわヒューマン」

男「……何を?」

姫エルフ「床を《直す》のにも、元の世界へ《帰る》のにも《マナ》が必要なの」

姫エルフ「メイデンは大気中に漂う《マナ》を取り込んで、効率よく《マナパワー》に変換する優秀な機能がついているから――」

エデン『姫サマ、ソノ件ニツイテゴ報告ガアリマシテ――』
姫エルフ「 ワ タ シ が 喋 っ て い る 間 に 口 を 挟 ま な い で 、メイデン?」ニッコリ

エデン『申シ訳アリマセン……』

姫エルフ「そのチャージに、そうね、大体3時間位かかるわ」

男「ふーん」


姫エルフ「だからお風呂を沸かしてちょうだい」

男「ほーん」


男「……はい?」

姫エルフ「埃っぽいし、汗もかいて、おまけにくさくて不快だし、このまま待つなんて嫌よ」

男「はい?」

姫エルフ「3時間もあればお風呂に入った後に、髪を乾かせる時間も十分にあるし……名案でしょ?」フフン

男「何が?」

姫エルフ「文明レベルも相当高いみたいだから、どうせお風呂くらいすぐ沸かせるでしょう」

男「1ボタンだけど?」

姫エルフ「それともヒューマンには客人をもてなす位の礼儀も無いのかしら?」


男「――――」

男「言わせておけばこのクソチビエ――あっ」


メイド型「…………」(ピキッ―ピキピキッ―)


男(あコレ表情変わらないけどこれ絶対怒ってるやつーッ!)


男「沸かすから待っててね!」パァッ

姫エルフ「あら♪ 聞き分けがいいじゃない。最初からそう従順ならアナタもカワイイのにね」

男「うんカワイイカワイイー。あ、メイドさんも手伝ってもらえるかなー?」


メイド型「…………」スッ


メイド型「かしこまりました」

男「じゃぁそこの給湯ボタンを押してくれるかなー?」

メイド型「…………」―プッ、オユハリヲシマス…

男(いかん。切り替えろ。Survive。とにかく生き残ることだけ考えるんだ)

男(――心を無にしてもてなせ、俺――)

――――

ここまで

期間空いてごめん。短め

――――

姫エルフ「……嘘でしょ」

男「何がだよ」

姫エルフ「こんな、クローゼットより小さい空間がお風呂だって言うの?」

―カポーン

男「1人暮らしでバストイレ別がどんだけ恵まれてるか2時間位サラリーマン給料事情踏まえて講義してやろうか」

姫エルフ「お風呂とトイレが一緒……? これより下があるのね。やっぱり奴隷は他世界でも奴隷なのねぇ」ハン

男「Survive……サァァァヴァイヴ……」ピキピキ

姫エルフ「まぁいいわ。小さくて若干くさいけれど、綺麗にしてあるみたいだし、贅沢は言えないもの」

男「ハァ……香油はないけど、きき湯入れてやるからそれでガマンしろ」

姫エルフ「キキユ?」

男「入浴剤。ちょっとお高いんだぞ」ザー

姫エルフ「……あら、いい香りじゃない」スンスン

男「いつもの倍量入れた。……んじゃごゆっくり」ヒラヒラ

姫エルフ「待ちなさい」ビッ

男「ん? ああ。バスタオルはここに置いとく。体洗う小さいタオルはこれ使え」ホイ

姫エルフ「違うわ。髪を洗いたいから、あの危険なメイド以外のロイドを呼んでちょうだい」

男「……は?」

姫エルフ「さっきのは戦闘用でしょう? あれだけ高機能なメイドロイドがいるのだから、身の周りを世話するメイドロイド位いるわよね」

男「ねぇよそんなもん」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「じゃぁワタシはどうやって髪を洗えばいいのよ!」フーッ!

男「知るかよ! ってか自分で洗えばいいだけだろうがよ!」


姫エルフ「……ないもの」

男「何?」

姫エルフ「自分で洗ったことないもの! ワタシは湯船に浸かるだけで洗うのはメイドが全部やってくれたんだもの!」

男「マジかよ……マジで姫っぽいこと言い出したよこいつ……」

姫エルフ「ぽいじゃなくて姫よ! 最高権力者にいずれなる正真正銘の姫よ!」フンッ!

男「えぇ……じゃぁ、仕方ないからメイドさん呼ぶ」
姫エルフ「メイデンのアームを握力で潰しながら引き千切った腕でワタシの髪を洗わせる気!? あなた正気なの!?」キーッ!

男「んなこと言われてもなぁ……じゃぁ自分で洗いなよ」

姫エルフ「できないって言ってるじゃない!」

男「……じゃぁ俺が――」

―ピンポーン

男「っとっと」

姫エルフ「ちょっとどこ行くのよ!」

男「そこで待ってろ。宅急便来たかもしれないから」

姫エルフ「何だか知らないけどワタシより優先するべきことじゃないでしょ!」

男「不在者連絡票入れられたら業者と俺にとって不幸だから最優先」ヒラヒラ

―スッ
メイド型「御主人様。お客様のようです」

男「お、出ないで待ってってくれたのね。正解。助かるよ」

メイド型「…………」ペコリ

ピッ

男「はいもし――え゛っ」

管理人『こ、こんばんは……。か、管理人ですけど』オズオズ

――――

管理人(だ、大丈夫よ私。何度も予行演習したじゃない)

管理人(どんな対応が返ってきても平気、へっちゃら! ファイト! 私!)フンス!

管理人(とにもかくにもこのみかんを渡して、それから手料理)

管理人(みかん。手料理。おかずを届ける関係へすてっぷあっぷ!)フンス!

管理人(そして……それから……それから……!)ゴクリッ

――――

男(管理人さんが何で……!? ――あれか。やっぱさっきすげぇ音したのガッツリ聞こえてたとか!?)

男(何て言い訳すれば……あ、映画! 映画のせいにすりゃいい! 便利だな映画!)


姫エルフ「……今、女の声がしたわね」ニョキッ

男「お前脱衣所で待ってろって言っ――」

管理人『だ、脱衣……?』ボッ

男「あぁいえいえいえ! こっちの話で管理人さんは関係な――」

姫エルフ「……なるほどね。ワタシにメイドを使わせたくなくてイジワルしてたってわけね」ハンッ

男「違う。メイドはいない。髪洗うの何とかするから今は黙っててくれ!」ボソボソ

姫エルフ「メイドを隠してるのはこっちの部屋かしら。いると分かったなら使わせてもらうわよ」テクテク

男「バッ――そっちは玄関――」

ガチャッ

管理人「ここここんばんわ! あの実家から送られてきたみかんが――」

管理人「――へ?」

男「Noooooooooooo!!」

姫エルフ「……何て大きい胸なのかしら」シゲシゲ

管理人「す、すみません?」アセアセ

姫エルフ「まぁいいわ、あなたをワタシの世話係にしてあげる」ビッ

管理人「せ、世話係……? 男さん、この子は一体……」


管理人「あ、アレ……?」

管理人「金髪……で……白のスクール水着?……で……」



管理人「お耳が長くて尖ってる……?」



男(Oh my god)

ここまで

―キィンッ―
―0.0

男(な、何故だ……! 何故こうも俺にとって不利不幸なことばかり起こるんだ……!)

男(管理人さんの不信感はもうセクサロイド事件で限界ギリギリか、あるいはちょっと溢れてるまであるんだぞ……!)

男(それに加えて異世界から来たエルフとか……! 信用されたって信用されなくたって大問題……!)

男(あのクソチビエルフの外見はいいとこ小〇校高学年~中〇1年生のそれ――いや、捉え方によっては小〇3、4年までの幼さのそれと言っても過言ではない!)

男(そんな『女の子』を家に連れ込んだあげく、白スクとエルフ耳をつけてコスプレさせてるとなれば……!)

男(マンションを追い出されるどころか、新しい住所が刑務所になっちまう……!)

 0.2

男(――しかし、この肝心なタイミングでメイドさんのフォローが無いってのは――)チラ

男(――!?)

メイド型「…………」

男(――そうか! メイドさんの位置は俺とメイデンの中間地点……! おまけにメイデンから視線をはずしていない……!)

男(つまり俺を『守護って』いるんだ……!)

男(脅威を廃したとはいえ、まだ未知なる力に対して警戒を怠る訳にはいかない――)

男(――管理人さんとの関係をフォローするより、主人の生命を第一優先事項とした結果故か……! メイドの鑑よ!)

男(――なら、この問題は俺単身で解決するしかない……!)

男(冷静に分析するんだ。見られてしまったことと、知られてしまったことを把握すれば――)

男(――必ず突破口が見えるはずだ……!)

 0.3


男(幼い女児――白スクに長耳――自宅にいる――横柄な態度――)

男(――――)


 0.4

男(――!)

男(見えた……ッ! 反撃の糸口……ッ! ある……ッ! まだ死んではいない……ッ!)


男(――俺の安全地帯はそこにある……ッ!)


 0.5―


男「――フンッ!」―ガシィッ!!

姫エルフ「もがーーッ!?」ジタバタ


男「姪です」キリッ

管理人「め、姪っ子さんですか……?」

男「ええ、姉の子供でして」

姫エルフ「ふはひ! ふぉうふはひ! ふへふ! ふぁふぁはふぁふぃふぇふぉふぇひ!」ジタバタ

男「ちょっと黙ってろ」ボソ

男(管理人さんの優しい性格につけこむようで心が痛むが……ファンタジーな言い訳が通じない以上、止む無しだ!)―ズキンッ

管理人「妹さんがいることは存じてましたけど……お姉さんもいらっしゃったんですね」

男「はい。います。……多分」ズキズキ

管理人「多分?」

男「いえ絶対にいますよ! いまくりますよ姉!」アセッ

管理人「た、たくさんお姉さんが……?」

男「ああ、いえいえ! 1人です1人です!」

管理人「は、はい……?」

男「……で、ここからが本題なんですけれども……」ヒソ

管理人「は、はひっ!?」―ドキッ

姫エルフ「ふぁひほう! ふふぁひっへふぃっへふへほっ!? ふはい! ふふぁい! ふぉうふはい!」ジタバタ


男「――この子、プチ家出してまして」

管理人「プチ、家出……ですか?」

男「はい。プチ家出です」

男「見れば分かると思うんですけど……髪をキンキラ金に染めてまして……」

管理人「そ、そうですね……まるで地毛みたいにキッチリ染まってますね……あ、眉毛も……」

男「――趣味のコスプレにハマるあまり、ここまでやってしまったようでその」


管理人「――――コ、コスプレ……ですか……?」


男「はい。多分ファンタジー作品だと思うんですけど。ほら、この耳とかエルフっぽいような――や、自分はよく知りませんけど」

管理人「そ、そうですね。じゃ、じゃぁその服装もスクール水着とかではなく、何かの作品の……?」

男「そうじゃないかと。や、自分はよく知りませんけど」

―ハッ
管理人「じゃ、じゃぁひょっとしてその……姪さんはご両親とそれが原因で喧嘩して……!」

男( ―― 通 っ た ! )


男「その通りです! その通りなんです! それで家を飛び出してきてしまって!」

姫エルフ「ふふぁひっへ……ふはふひへ……ひふぁふぉほふふぁっへ……ふはひ……」クテェ…

管理人「それで男さんの家にプチ家出してきたんですね……!」コクコク


男「……理解されないって、結構つらいじゃないですか」フッ

管理人「――!」ドキ

男「それが過ちだと分かっていても、譲れない思いが先行して親と衝突するのって誰しもあると思うんですよ」

管理人「――!!」ドッキィ

男「自分が学生の時に、そういうこと聞いてくれるお兄さんお姉さんがいたら――って思ったらほっとけなくて」

管理人「――!!!」ズキューン

男(何かそれっぽいこと言えてる気がする! 俺の良心がゴリゴリ削れてる音するけどしゃーなし!)ズキズキ

男「だから、ほとぼり冷めるまでうちに置いて、姉夫婦の家に帰そうかなと」

男「……駄目ですかね?」


管理人「大丈ー夫ですっっ!」キラキラ

男「おわっ」

管理人「全然おっけーですっ! それに男さんのその思いやりっ! 姪さんにきっと届いてると思いますよっ!」ブンブン

男「そ、そうですかね?」ギュー…


管理人「……あの、ところで何故口を押えて……?」

男「いやっ! こいつ役になりきっちゃってるんで失礼な物言いをポンポン言っちゃうんですよ! アハハーこいつぅ!」ギュー…!

姫エルフ「ふふぁふひへ……ひひふぃふぁ、ふぉほふ、ふぁっへひは……」クテェン…

管理人「そうですか! あのっ、わたしで良かったら力になりますのでっ! とりあえずみかんどうぞ!」サッ

男「あ、どうも」

管理人「姪さんも短い間だけどよろしくね」ナデナデ

姫エルフ「ふふぁふぃ……」トロォン…

管理人「フフ……それじゃぁ失礼しますね♪」

―バタン

男「…………」


男「俺は……生き延びた……」


男「助かったんだ……!」

男「やった! やったぞぉー!」


男「…………」


男「管理人さん……ごめんなさい……」カクンッ


姫エルフ「…………」…シーン

――――

メイド型「……対象の沈黙を確認」ジッ…

エデン(ヒ、姫サマーーッ!? 余リノ人間臭サニ気絶ヲ……!?)

――――

管理人(……フフ、ウフフ♪)

管理人(男さん、優しいなぁ)

管理人(…………)

管理人(私も学生の時に、あんなお兄さんが近所にいたら良かったのになぁ)モワモワ――

――――

管理人『わたしの趣味を理解してくれるの、お兄ちゃんだけだよ……』

男『これまでも、これからも。お兄ちゃんはずっとお前の味方だよ』キラーン

管理人『お、お兄ちゃん……!』キュン

――――

管理人(……う、うわー! 男さんがお兄さんってすっごいストライクかもしれないーっ!)ヒャー!

管理人(……そ、それにその)モジッ

管理人(……ッ)


管理人(つまり、男さんはその……コスプレに理解があるって……ことでいいのよ、ね?)ドキドキ…

――――

ここまで

――――
姫エルフ「…………」

姫エルフ「くさい」

姫エルフ「くさいくさいくさーーーい! ヒューマンくさい! 口も鼻も髪の毛も触られたところぜーんぶヒューマンくさいッッ!」

男「口塞いだのは悪かった。でも緊急事態だったから許せ」

姫エルフ「許さない! ワタシ気絶したんだから! ヒューマンくさすぎて! あと1秒離すのが遅かったら死んでたかもしれないのよ!」フーッ!

男「あんな? まずここは屋敷とかじゃなくて住人が他にもいる共同住宅なの」

姫エルフ「…………ふーん。意味不明ね。あんな高性能なメイドロイドがいるのに、あんたそんな貧乏なわけ?」ハンッ

男「高性能だけどお手頃な値段だっただけな。……で、管理人さんはここを管理するえらーい人なの」

姫エルフ「……フン。なるほどね。ワタシが不敬な態度を管理人さんに取るとあんたが危なかったってことね」

男「微妙に頭はいいんだなお前」

姫エルフ「~~ッ! ッいい? ワタシは頭もイイけど記憶力も抜群なの。……あんたのワタシに対する無礼な態度は絶対忘れないわ。絶対にね……!」

男「……あんまり調子に乗らない方がいいぜ」

姫エルフ「な、何よ急に。脅す気? 言っておくけどワタシは誇り高きエルフの姫なんだから! どんな力にも屈さないんだから!」フンッ!

男「いや、真後ろにメイドさんがいる」

姫エルフ「ひにゃぁぁぁぁッ!?」ビックーン!

メイド型「……あなたの御主人様に対するネガティブな行動はすべて記録されています。データのロックは多重、常時サーバーにバックアップし、半永久的にデータが失われることはありません」

姫エルフ「う゛ぅ……」

メイド型「また、御主人様があなたの生存について比較的好意的な現在、私からは明確な攻撃的リアクションを取る事はありません」

姫エルフ「そ、そう。それはとてもいい心がけね!」ホッ

メイド型「ですが」

メイド型「御主人様の身に危険が及ぶと私が判断した場合――」


メイド型「――警告無しにあなたを抹殺《ターミネート》します」

姫エルフ「」

姫エルフ「メメッ、メイデンッ! このメイドロイドが襲ってきたらワタシを守るのよ! あなたは粉々になっても構わないから!」

エデン「姫サマヒドイデスヨォ……ア、デモ無理デス助ケラレナイデス姫サマ」

姫エルフ「ハァッ!?」

エデン「システム系統ハホボ掌握サレテマスシ、コノ短イ期間デ私ノ力ハ全テ分析サレテシマイマシタノデ……」

姫エルフ「な……な……ッ!」

エデン「加エテメイド型サンノ攻撃範囲ノ中ニ姫サマガ居ル以上、私ガ何カアクションヲ起コシテシマウト……」

姫エルフ「死……!?」ガクガクガク…!

男「じゃぁ平和的に話しついたところで風呂行ってこい」

姫エルフ「今のどこが平和的な話し合いなのよ!? ……ってお風呂?」

男「おう」

姫エルフ「……だから、ワタシは髪を洗えないって何度言えば――」

男「俺が洗うから」









姫エルフ「……ハァ?」


男「俺、洗う。お前の髪。OK?」





姫エルフ「バッ……!!」///

男「言っておくが俺のシャンプーテクはすごいぞ。妹が美容院以上と太鼓判を押す程のシャンプーマンだ」

姫エルフ「嘘をつきなさい! ついに正体を現したわねヒューマン! あんたも結局オークと同じで性器に脳が直結した憐れな生命体なんだわ!」

男「いや、お前には興奮できない。無理。だから安心しろ」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「ハァーーーーッ!?」

姫エルフ「無理って何よ! この高貴なボディを求めてオークは群がってくるしヒューマンは涎垂らしながら盗み見してくるもんでしょ!?」

男「だってお前妹より幼い幼児体型だぞ。そのエルフォークとやらはロリコンだらけかもしらんが、俺は違う」

姫エルフ「む、胸が小さいからワタシに興奮しないの!?」

男「バカめ。おっぱいに貴賤は無い。大人の貧乳? 大いに結構。コンプレックスごと愛せるわそんなん」

姫エルフ「じゃぁ何でよ!」

男「見た目も精神もガキだから」

姫エルフ「ハァーッ!? 言っておくけどワタシエルフよ!? 絶対あなたより年上の大人なんだから撤回しなさいよ!」

男「年を重ねただけの奴を大人とは呼ばん。そしてもう面倒臭いからそのプラグスーツモドキをメイドさん脱がしちゃって」

メイド型「かしこまりました」スポーンッ!
姫エルフ「ア゛ーーーーーーッ!?」バッ

男「はいバスタオルくるくるー」クルクル

姫エルフ「こンのォ……! 汚い手でワタシの体に――」

男「はいお風呂場行きましょうねー」グイグイ

姫エルフ「だから子供扱いしな――」

―ガチャッ

男「はい椅子座ってー」

姫エルフ「嫌゛ァァァァッ! ヒューマンの男と一緒に風呂なんて入ったらもうお婿さんを迎えられ――」

男「はい髪とかしますねー」シュルゥッ…シュルーッ…


姫エルフ「あっ……」ホニャ…

男「髪濡らしますねー、ぬるめですけど熱かったら言ってくださいねー」シャワァァ…

姫エルフ「あーー……」ホァー…

男「ちょっと長めにすすぎますよー」シャワァァァ…コシコシ…

姫エルフ「んっ……」ピクッ

――――

男「はい、じゃぁシャンプーいきますよー」モコモコ…スッ―

姫エルフ「んぅっ……」ピクンッ

男「痒いところはございませんかー?」ワシャワシャワシャ…

姫エルフ「あっ……んっ……んぅっ……」ビクッ…ビクンッ…

――――

男「はい流しますよー」シャワァァァ…

姫エルフ「はぁぁぁぁ……」ホァー…

――――

男「トリートメントつけておきますねー、また櫛失礼しますよー」スッ…スーッ…

姫エルフ「んっ……ふっ……」ピクンッ…

男「はい、また流しますねー」シャワァァァ…

姫エルフ「はぁぁぁぁ……」ホァー…

――――

男「水気を切って、と。んでタオルを巻き巻き……」クルクル

姫エルフ「…………」トローン…

男「はい終わり。体は自分で洗えるんだよな? シャワー使い方分かる?」

姫エルフ「うん…………見てたから…………」コクリ…

男「こっち捻ると下から出るから。あとこれ泡立てるやつな」

姫エルフ「うん……」

男「んじゃ洗い終わったら湯船に浸かって100数えろよ。肩までしっかり浸かれよ」

姫エルフ「うん……」

―ガチャン


姫エルフ「……んー」モコモコ…


姫エルフ「んっしょ……んっしょ……」ゴシゴシ…


姫エルフ「んー……」シャワァァァ…

――――

―チャプン…


姫エルフ「はァふ……ふはぁぁぁぁ……」ノビーッ…


姫エルフ「…………」

姫エルフ「いーち……」

姫エルフ「にーぃ……」

姫エルフ「さーん……」

姫エルフ「しーぃ……」

姫エルフ「ご……」


姫エルフ「…………」


姫エルフ「じゃなぁぁぁぁぁいッ!!」ザバーッッ!!


姫エルフ「なに!? 一体何が起こったの!? 魔法!? 幻術の類!? それともまさかあの男脳に直接何かを」

―コンコン

姫エルフ「ピギャァァァァァッ!?」―ザブンッ

男『あがったらすぐ言えよー。ドライヤーかけっから』

姫エルフ「い、言うからそっから出ていきなさいよ! 覗いたらただじゃ――」

男『へいへい』

―トッ トッ トッ…

姫エルフ「…………」


姫エルフ「何……」


姫エルフ「もう……」


姫エルフ「何なのよ……あいつは……」ブクブク…


姫エルフ「…………」


姫エルフ「………………」


姫エルフ「……………………」


姫エルフ「……いーち」


姫エルフ「にーぃ……」


…カポーン

――――

ここまで

――――

ガラッ…

―ヒョコッ

姫エルフ「…………ねぇ」ホコホコ…

男「ん? ちゃんと浸かってきたか?」

姫エルフ「浸かってきたわよ! 数ぐらい数えられるわ馬鹿にしないでッ!」ホコホコ

男「ならいいけどさ」

男「…………」

男「何でこっちへ来ないの? 髪さっさとドライヤーあてないと痛んじゃうから、はよこい」チョイチョイ


姫エルフ「……何でってねぇヒューマン……ッ!」―バァンッ!


姫エルフ「アンタがこんな服寄越したからでしょ!」ダルーン…

男「ああ、ジャージ? 洗ってあって且つ着れるっつったら俺のジャージくらいしか」

姫エルフ「一目見れば分かるでしょ!? こんな巨人みたいなサイズをワタシが着れるわけないじゃない! 大体何よこの薄汚い緑色は! あと洗ってあっても微妙にヒューマンくさいの!」ズルッ…

男「あ、あァー……歩くな。止まれ。俺が今それ何とか――」
姫エルフ「 ワ! タ! シ! に! 命令! しないで!」ズルッ…

ズルッ―ツンッ ズッ―

姫エルフ「ふゃっ!?」ピンッ

―ズッテーンッ!  ―ゴンッ!

姫エルフ「み゛っ!?」


姫エルフ「…………ひたひ」ズキズキ

男「……言わんこっちゃない。少しは頭使えよなまったく……」ハァー…

―クルクル ―マキマキ

男「ほれ。袖と裾まくったからこれで動きやすいだろ」

姫エルフ「……な、何て」フルフル

男「お、気に入ったか?」

姫エルフ「何て……何てダサさなの……? 美的センスの欠片も無い……装飾すら一つも無い……服飾の成れの果て――虚無そのもの……?」

男「だよな。段々お前のこと分かってきたよ」

姫エルフ「これをデザインしたヒューマンの頭は脳の代わりに粗悪な綿でも詰まっていたのかしら……?」

男「部屋着兼作業着に何を求めてるんだお前は。動きやすさと着心地重視だからそれでいいんだよ」

姫エルフ「……フン。その点はまぁ、ギリギリ及第点ね。褒める程ではないけれど」ハンッ

男「……ほーん。意外と金髪と緑ジャージしっくりくるもんだな」

姫エルフ「…………やっぱり、何かこう、駄目ね。落第点だわじゃーじ」

姫エルフ「だからワタシは女性が身に着ける衣服を所望するわ。用意しなさい」

男「だからねーよそんなもん」

姫エルフ「そこのメイドロイドの衣服の替えを繕い直すとか、色々あるでしょ」

メイド型「…………」

メイド型「確かに私のメイド服は、ありとあらゆる服飾に可変可能なヴァリアブルクロスを採用していますが」

姫エルフ「あら! 最高じゃない! 破壊することだけが能のデストロメイドじゃなかったのね!」

メイド型「……私のメイド服があなたを『主人』として正しく認識できるかどうかは、保証致しかねます」

姫エルフ「……か、仮に……に、認識できなかったら、ど、どうなるのかしら?」タラ…

メイド型「異物として認識されたが最後、その全身の肉と骨を砕きながら小さくまとまり続け……最終的には廃棄物として吐き出されるでしょう」ギラァッ…!

姫エルフ「…………」カタカタカタ…

男「そんな目で俺を見んな」

姫エルフ「あるんでしょう!? ヒューマンは変態なんだから鑑賞用の服とか持ってるんでしょう!?」

男「そんなマニアックな趣味はない! 持って――あー……」

姫エルフ「ハンッ! その反応っ。持ってるのねっ! 変態なのねっ! その服貸しなさいよっ! ワタシが着てあげるっ!」パァァッ!

男「妹がうちに来た時に泊まる時用のはあるにはあるが……」

姫エルフ「素晴らしいわ! アナタの妹にワタシから勲章を授与するから貸しなさい!」

男「駄目。見ず知らずの他人に服着られるとか気持ち悪いだろ? 却下却下」

姫エルフ「むぅぅぅぅぅッ!」

男「……あんな? 滞在するつもりならドンキでもしまむらでも行ってやるよ。もちろん対価は要求するけどな」

男「でももう少しでお前帰るんだろう? だったらそのジャージで我慢しとけよ」

姫エルフ「う゛……む゛……」

姫エルフ「…………」


姫エルフ「……フン。分かったわ。じゃぁさっさと髪を何とかしてちょうだい」

男「へいへい」…ブォー


姫エルフ「……ん……」ピク

男「さっきも驚いたけどさ……全然引っかからないのな。とんでもねぇ髪質」スッ―スッ― ブォー

姫エルフ「んっ……ん……」ピクン

男「……知ってるか?」スッ―スッ― ブォー

姫エルフ「…………なに……を?」ファァ…

男「ああいう気ぃ抜いた普段着、ジャージとかさ。男とかにはかえってポイント高かったりするんだぜ?」スッ―スッ― ブォー

姫エルフ「…………フーン」


姫エルフ「……フーン」

――――

男「はい手鏡」

姫エルフ「…………」チラ

姫エルフ「…………」フワッ

姫エルフ「…………」スーッ…

姫エルフ「………………まぁ、ワタシがギリギリ怒り出さないレベルね。限りなく落第に近い及第点よ」

男「はいはい。じゃぁまぁ、さっさと帰ってくれ。床もいつの間にか直ってるし」

姫エルフ「……言われなくたってこんなくさいところ、さっさと出て行くわよ」

―ピタッ

姫エルフ「あっ……ジャージ……」キュ…

男「やるよ。安物だし」

姫エルフ「…………安物をワタシに着させるなんて、やっぱり最低だわ、アナタ」ハンッ

男「最後くらいお礼を言えんのかお前は」

姫エルフ「……メイデン。座標計算は流石に終わってるわよね?」

エデン「……ハイ。男様ノ住宅ノ床モ修繕完了済ミデス」


姫エルフ「…………じゃぁさっさと跳ぶわ。空間跳躍のセットアップを開始して」

エデン「……アノ」

姫エルフ「何? 壊れたアームなら帰ってから直すから別にいいでしょ。前より精錬した魔力鋼使ってパワーアップさせてあげるわ」

エデン「ソウデハナクテ、デスネ。アノ、姫サマ」

姫エルフ「何よ」

エデン「……帰レマセン」




姫エルフ「…………はぁ?」


エデン「イエッ、デスカラッ……ソノッ……エルフォーク ニ戻レナインデス……」

姫エルフ「……機械的な問題?」カジカジ…

エデン「マ、」

エデン「《マナパワー》不足デシテ……」



姫エルフ「…………ハーァ~?」

姫エルフ「たっぷり3時間経ったでしょ? 足りないどころかお釣りまである計算よ? ポンコツなの? スクラップにされたいの?」

エデン「チ、違ウンデス! エルフォークト違ッテ、コノ世界ノ空気中ニアル《マナパワー》ガトテモ少ナインデスヨ!」

姫エルフ「でも床を修理してたじゃない!」

エデン「アレハ残ッテイタ《マナパワー》ヲウマク使ッテ……デスカラモウ《マナパワー》ハ無インデス……」

姫エルフ「……チッ」ガジガジ

姫エルフ「……で?」

エデン「ハイ?」

姫エルフ「少ないならどれ位かかるのよ。計算できてるんでしょ、勿論そうよね?」ニコニコ

エデン「…………ハイ」

姫エルフ「ならいいわ。で、何時間なの?」

エデン「………………3」

姫エルフ「フン、あと3時間なのね」

エデン「…………イエ……」フルフル

姫エルフ「…………まさか30時間? 1日もこんなくさい――」

エデン「……違イマス……姫サマ……」フルフル

姫エルフ「………………冗談。み、3日とか?」ダラ―

エデン「…………」フルフル

姫エルフ「……………………3週、間?」ダラダラ…

エデン「…………」

エデン「3ヶ月デス、姫サマ」


姫エルフ「        」


エデン「正確ニハ2119時間13分後ニ、空間跳躍ニ必要ナ《マナパワー》ノチャージガ完了シマス……姫サマ」


姫エルフ「な……ッ! な、な……ッ、にゃっ……ッ、かっ……ッ!」ブルブルブルブル…

―ッ


――
――――


姫エルフ「 ぬ わ ぁ ん で す っ て え ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ッ ッ ! ? ! ? 」 ド ッ ギャ ァ ァ ァ ァ ン ッ!!!!


―ァンデスッテェ…

―デスッテェ…

―スッテェ…

―ェェ…

――――
――

ここまで

――――
姫エルフ「な、何よこれ……マナ濃度がエルフォークの0.3%以下!?」

エデン『デスカラ、最初ニ御報告申シ上ゲヨウトシタノデスガ……』

男「覚えてる。おもっくそ遮ってたな」

姫エルフ「ヒューマンッ! この世界の魔法事情はどうなってるの!?」

男「魔法? ねぇよそんなもん」

姫エルフ「な、無いってことはないでしょ? 初歩的な発火呪文だとか、発達してないだけで原始的な魔法くらい――」

男「だから無いって。俺らのご先祖様が初めて火を点けた頃からずー~っと科学オンリーだよ」

姫エルフ「だってあなたが喋っているのはエルフの言葉よ!? ワタシの世界ととても近いはずで……!」

男「あぁ自動変換してた訳じゃないのか。そりゃ偶然だよ。それにエルフどころかオークもいないんだから別に近くもないだろ」

姫エルフ「そんな……嘘、でしょ……エルフォークに帰れない、なんて……」

男「…………」ポリポリ

男「まぁ、3ヶ月待てば帰れるの確定してるんだし。そこまで絶望しなくてもいいとは思う」

男「――が」

男「姫エルフは……向こう3ヶ月はどうやってこっちで過ごすご予定で?」

姫エルフ「――ッ!!」

姫エルフ「………………ねぇ」

男「こっちの世界の観光とかかな? 魔学的? だっけ? な発見も含めて調査かな?」

姫エルフ「~~~~ッ!!」―バッ

エデン『……姫サマ。ドウカ懸命ナ御判断ヲ』

姫エルフ「…………そ、その」

男「うん」

姫エルフ「…………ッ」


姫エルフ「ワタシをッッ! ここに泊めなさ――」

―フワッ…

姫エルフ(――ジャージ。ちょっとだけヒューマンくさい、美的センスの欠片も無い衣服)

――――

男『やるよ。安物だし』

――――

姫エルフ(――嫌いな匂い。エルフにはキツ過ぎる動物臭。オーク程じゃないけれど、くさい。とても、くさい)

姫エルフ(――でも)

―スンッ

姫エルフ(……このヒューマン――男の匂いは。……少しだけ。他のヒューマンよりほんの少しだけ)


姫エルフ(……嫌いじゃない)


―スンスンッ

姫エルフ(……かもしれない)


姫エルフ「……ワタシを、ここに泊めて欲しいの」

男「………………へぇ」

姫エルフ「くっ、その、そうじゃなくて……」ギュゥッ…


姫エルフ「……と、泊めて……くだ、さい」ペコリ

男「…………」

姫エルフ「……エルフもオークもいない。魔法も存在しない」

姫エルフ「あなたがワタシの容姿を隠さなきゃいけないほど、エルフが――ワタシが、この世界にとって奇異な存在であるなら……」

姫エルフ「……ここを出て、ワタシが危険に出会わずに――もしくはこの世界に悪影響を与えずに過ごすには」

姫エルフ「……3ヶ月、という時間はあまりにも長いわ」

男「…………」

姫エルフ「何故か……本当に理由は分からないけれど、異世界の住人であるワタシをすんなり受け入れたあなたが……」


姫エルフ「あなたが……」ギュッ…


エデン『……ッ! ……ッ!』ググーッ…!


姫エルフ「あ、あなたが……便りなの」

男「…………」


エデン『~~~~~~~~ッ!!!!』ダバーッ


姫エルフ「……い、今までの非礼を詫びるわ」

姫エルフ「だから、お願い、ワタシを……」

姫エルフ「違う、ワタシと、メイデンをここに――」
男「プッ」

姫エルフ「……プ、プ?」

男「アーッハッハッハッハ!!」ハッハッハッ!

姫エルフ「……え? な、何よ。何であなた笑って」

男「いやいや笑うだろ! さっきまであんだけ威張り散らしてた奴がこんだけかしこまってるんだから!」ワッハッハッ!

姫エルフ「くっ……!」

男「ハーッ……まぁ、今笑った分で暴言は全部チャラってことで」

姫エルフ「……え?」

男「返事はOK。3ヶ月泊めてやるよ」

姫エルフ「……え……え?」

男「本当は大体言うことが命令形なお前が『泊めて欲しい』って言ったところでOKするつもりだったんだけども」

姫エルフ「な゛ッ!?」

男「勝手にどんどんへりくだってくもんだから面白くなっちゃって放置してた」

姫エルフ「あんたねぇッ! ――じゃない、お、男さんそれはあまりに趣味が悪いのではな」
男「あーダメダメ。それ気持ち悪いからなしで」

姫エルフ「き、気持ち悪ッ!?」

男「お前の素を見た後だもの、あれでいいって。もう慣れたし」

姫エルフ「……ッ」

姫エルフ「……ハァー……」

姫エルフ「……あんた、趣味悪いってよく言われない?」

男「趣味がコアだとはよく言われる」

姫エルフ「……意味わかんない」

男「でもこれで筋は通った」


姫エルフ「……ありがとう」モジッ

男「ま、それはそれとして、だ」

男「――そこの居候エルフさんや」ビシッ

姫エルフ「い゛ッ、居候エルフですってぇッ!?」ガタッ

男「当たり前だろ。衣食住ぜーんぶ俺に乗っかろうってんだから」

姫エルフ「対価を払えば居候にはならないでしょ!」

男「そうだな。で、その対価ってのは?」

姫エルフ「もちろんお金に決まって――うぐっ!」グヌゥ

男「そう。通貨が違うよな」

姫エルフ「ならマナパワーを溜めて、この世界で金銭的価値のあるものを創ってで取引を――」
男「駄目」

姫エルフ「何で……!」

男「確かに魔法で偽造も錬金術もやりたい放題かもしれないけどな」

男「魔法が使える=ルールを犯していいってことじゃないだろ?」

姫エルフ「あんた色々テキトーな癖に何でそこだけ真面目なのよ!」

男「この世界は金持ちになるのに正当な理由がちゃんといるの。守らないと冷たい飯を食わされるか金をむしられるの」

姫エルフ「じゃああのメイドはッ!? その程度でどうこう言うならあのメイドはどうなのよ!」ビッ

メイド型「…………」

男「メイドさんは……」

姫エルフ「超規格外の戦闘能力を有したメイドロイドよ? ワタシのメイデンを圧倒したってことは軍事兵器、いえそれ以上――」

メイド型「セクサロイドです」―バーンッ

姫エルフ「そんなわけないでしょッ!?」バンッ

男「そう、メイドさんはセクサロイドだから」

姫エルフ「あんたまで何でッ――ねぇ、あのメイド心なしか顔がドヤってるように見えるわ何なのあいつ」ビシッ

メイド型「……私はドヤってなどいません」フルフル

男「うわー見れなかった……無表情ドヤメイドさん……見逃した……」

メイド型「御主人様、それはドヤ顔をしろという命令でしょうか? でしたら私にそう命じていただければ、いつでもドヤります」

男「うーん天然モノが見たいから、それはちょっと違うんだよなぁ」

姫エルフ「ちょっと! ワタシを無視して2人の世界へ入らないで!」プンスコ

男「うん。じゃまぁ、総括するとね」

男「姫エルフは3ヶ月の間、家の為に『何か』働いてくれ」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「……は、働く? ワタシが?」

男「働かざる者食うべからず。俺は外でサラリーマン。メイドさんは家事全般と夜伽の調査、開発」

男「姫エルフは今のところ外に出られないんだから、家の中で何かできることを探して貢献して欲しい」

姫エルフ「何かって……何よ」

男「自分で考えてくれ。得意なことでいい。あ、家事系は完全にメイドさんの縄張りだからダメね」

メイド型「…………」ペコリ


姫エルフ「…………」

エデン『……姫サマ。私モ微力ナガラ御手伝イサセテイタダキマスノデドウカ――』


姫エルフ「……分かったわ」

エデン『姫サマーッ!』ダバーッ!

姫エルフ「フン! やってやろうじゃない! あなたがワタシ抜きではいられないって位、素晴らしい働きをみせてあげるんだから!」

男「ほー、楽しみだな。何かさっぱりわからんが」

姫エルフ「何かとっても素晴らしいものよ! 誇り高きエルフの血統に為せないことなんてないの!」フーン!

男「頭洗えないのに?」

姫エルフ「…………」プイ

男「おい」

メイド型「……御主人様、そろそろ夕飯の支度をしてもよろしいでしょうか?」

男「うわ、もうそんな時間か。是非お願いします」

姫エルフ「…………ね、ねぇ」チョンチョン

男「……あーはいはい。メイドさん、3人分よろしく」

メイド型「かしこまりました」ペコリ

姫エルフ「ワタシお魚が」
男「好き嫌いしたら即退去な」

姫エルフ「に゛ゃッ!?」

――――


――
――――

管理人(久しぶりに色々引っ張り出してみたけれど……)

管理人(意外に着れるものね)

ズラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ―…

管理人(うーん、全部胸がキツくなってるのがちょっと問題かなぁ……)ウゥーン…

管理人(自作とはいえ、しっかり縫製したから裂けたりはしなかったけれど……)ウゥーン…

管理人(……むしろ市販品の方が危ないかしら。ここら辺の婦警服とかチャイナドレスはかなり怪しい気が……)ウゥーン…


管理人「……あっ」ガサッ

管理人(これ高校の時のジャージかな?)

管理人(実家じゃなくてこっちに持ってきちゃったんだ……)

管理人「…………」

管理人(……いやいや)ブンブン

管理人(……これは、流石に、ねぇ)

管理人(…………でも)

――――

管理人『お兄ちゃーん』

――――


管理人「……着るだけ、そう、着るだけなら別に……いいよね」

―シュルッ…パサッ

――――

――――

グッ ググッ…ジッ…ジジッ…

管理人「あとぉ……うぅぅ……もうちょっとで……!」―ムチィ

―ジジッ…ジッ

管理人「入っ……たぁっ! あっ、ふぅ、くはぁ……」ハァー…ハァー…

―ムチィ―バルン
―ギュチィ―キュゥッ
―ムチムチィ―ボンッ

管理人(チャックが何とか上がりきった! 学生時代のジャージを何とか着れたわ、わたし! やったぁっ!)

管理人(……体操服は胸のところ伸び切っちゃってるし、短パンは完全にお尻に食い込んじゃってるけど……ふふっ)


管理人「~~♪」クルンッ


管理人(うふふー、何だか若返った気分♪)

管理人(…………でもこれってお兄ちゃんってよりむしろ)

管理人(『先輩』の方がしっくりくるかもっ)ウンウン

管理人「――男せーんぱいっ♪」―タユンッ


管理人「え、えへへー……な、なんちゃって……」///


ピシッ―


管理人「へ?」

バツンッ―

―ッチャックボォォォォォッンッ!


管理人「きゃぁっ!」―フルルン

―ドタユン…ユン…ユヨン…ユァン…


管理人「…………あぁ……チャックが……飛んでっちゃった……」

管理人「ハァ……やっぱり……もう少し痩せないとダメかしら……」ハァーー……

管理人(うん。男さんにおデブだって思われたくないもんねっ。ファイトだ、わたしっ)フンスフンス!

――――
――

ここまで

>>537 修正
便り→頼り
ひでぇ誤字

――――

男「ごちそうさまー! いやぁ晩飯めっちゃ美味かったよメイドさん」

メイド型「お褒めに預かり光栄です」ペコリ

姫エルフ「…………」

男「お前一口食べてから黙りっぱなしだけどな姫エルフ。『ごちそうさま』は言えよ。例え口に合わなかったとしてもだ」

姫エルフ「口に合わない……ですって……?」ユラァ…

男「ん?」

姫エルフ「とんでもないわっ! それどころかワタシの今まで食べてきた魚料理の中で一番美味しい料理よっ!」キラキラ

メイド型「……………………お褒めに預かり、光栄です」

姫エルフ「この料理……ブ、ブル……ブルノ」
メイド型「鰤の照り焼きです」

メイド型「そう、ブリノテリヤキ! 甘辛くて、香ばしくて、もう色々最高よ!」フンフンッ!

男「なら良かった。だったらなおのこと感謝の意を込めてごちそうさまって言え」

姫エルフ「ごちそうさま! あなた抹殺するだけが能のターミネートメイドじゃなかったのね!」

男「一言余計なんだよなぁ」

姫エルフ「あなた程の腕前ならワタシのお城で総料理長を務められるわ! 現総料理長はクビにするから一緒にエルフォークへ帰りましょう! それがいいわ!」フンフン

男「現総料理長とばっちり過ぎる。あと人様のメイド勝手にヘッドハントしないでくれ」

メイド型「……丁重にお断りさせていただきます」ペコリ

姫エルフ「……エルフ王国の誇る最高峰の魔学機関と貞装工房のバックアップもつけてどうかしら――」―ギランッ


エデン『私ハソノ貞装工房デ姫サマニ創ラレタンデスヨ』ヒソ

男「へー。あいつ姫やっててエンジニアもやってるの?」ヒソ

エデン『ムシロソッチガ本職デスネ。工房ノ開発主任ハ姫サマデスシ。……イヤハヤ、エルフ王ハ婚期ガ遠ノクト私ニ愚痴ルノガ常デシテ――』ヒソ


姫エルフ「――勿論待遇はVIP中のVIP。装備のアップデートからメンテナンスに至るまで、最高のサービスを約束するわ」

メイド型「申し訳ございませんが」スッ―

メイド型「私が仕えるのはこの世でただ一人、御主人様だけです」

姫エルフ「……うー。頑固ね。あなた程の兵器ならエルフ王国の技術発展に貢献間違いなしなのだけれど」カジカジ

男「ついに本音を出しやがったな姫エルフ。あと何度でも言うがな。うちのメイドさんは兵器でなくて――」

 男  「――セクサロイドだから」
メイド型「――セクサロイドです」

姫エルフ「ハァーーーッ!?」ガタッ

姫エルフ「そんな訳ないでしょ!? それはあくまで表向きの話で、本当は秘密裏に開発された極殺兵器か何かなんでしょ!」ブンブン

男「――――」

男「セクサロイドだから」

姫エルフ「今の間は何よ!」

男「さぁ」ヘロリ

姫エルフ「目を合わせて喋りなさいよ!」

男「さぁーて風呂入ってくっかなー」コキコキ

姫エルフ「ちょっと! ねぇってば!」グイグイ

男「それともメイドさん先入る?」

メイド型「お気持ちだけ感謝を。お風呂は後でいただきます。私は後片付けもありますので」

姫エルフ「無視しないでってば! ねぇ! ――って待ちなさい! 何でメイドロイドがお風呂に入る必要があるのよ!」ズルズル…

メイド型「御主人様のいついかなる時でも性的欲求に応える為、私の躰は常に清潔に保たれています」

メイド型「ですが『風呂上りの上気した頬にムラムラする』『お風呂とは、これから性行為をする為に気持ちを昂らせる為の儀式である』――」

メイド型「『濡れた髪をアップにした後のうなじが最高だ』『シャワー音を背景に脱衣所でロイドが脱いだ下着を嗅ぎたい』『そもそも風呂の中で致したい』」

メイド型「――といった意見も多く見られた為……全局面対応人型汎用官能素体である私は入浴が可能なのです」

男「ヒュー! 流石はメイドさんだぜ! 男のロマン全部入りたぁ股間が唸るってもんよ!」

姫エルフ「待ちなさいって言ってるでしょ! セクサロイドに偽装した兵器ならまだギリギリ話は通るけれどッ!」

姫エルフ「兵器並の力を宿したセクサロイドなら何もかも狂っているわ! 何一つ合理的じゃないもの!」

男「人だってエルフだって得手不得手あるだろ。ならロイドだってそうさ。メイドさんはちょっと――かなりパワフルなだけだ」

姫エルフ「それを受け入れるあんたはもっと狂っているって気付きなさいよ!」

男「……いいか。生き残れる生物ってのはな、強い奴じゃない」―ガシッ

姫エルフ「……は、はァ?」ビクッ

男「変われる奴だ。自然界でも、人間界においても、環境に適応できなかった奴が消えていくんだ。……分かるか?」

姫エルフ「馬鹿にしないでっ! ワタシに学を説くなんて100年――」

姫エルフ「…………?」

―ハッ

姫エルフ「んやっぱり狂ってるってことじゃないッ!」

男「慣れろ。……もう俺はこの2日間で幾度となく死にかけてる」フッ…

姫エルフ「ッ……あ、あんた……対オーク最前線に配備されて3ヶ月以上経つ騎士エルフみたいな目をしてるわ……」ガクガク…

エデン『……2日間、デスカ? ト言ウ事ハ……』

男「ああ。メイドさんは昨日うちに届いたばかりなんだ」

エデン『……驚キマシタ。ソレニシテハマルデ、長年連レ添ッタ夫婦ノヨウナ親密サヲ感ジマス』

メイド型「…………」チラッ

姫エルフ「ああっ! またドヤったわね! 腹立つ! あなたの顔外骨格みたいにガッチリ微動だにしないのに目だけで感情表現するからムカつくわ!」ギリギリ…!

男「クソッ。また見逃したか。……てかよく分かるな。俺でも感情読み取るのに結構時間かかったのに」

姫エルフ「ハンッ。ヒューマンやオークと違ってエルフの目は節穴じゃないの。しかもワタシはエルフの王たる血筋を引く高貴な姫! 観察眼はエルフォークいちと言っても過言じゃないわ!」フンッ

男「へーすごいすごい」ホジホジ

姫エルフ「心と姿からこれっぽっちも称賛してないってことが分かるわ……! こんな屈辱を受けたのは今さっきぶりよ……!」プルプル

男「じゃぁ風呂入ってくるから」

姫エルフ「待ちなさい! あんたあのメイドロイドが昨日届いたばかりって言ったわよね?」

男「そうだけど」ヌギヌギ

姫エルフ「脱ぐなら向こうで脱ぎなさいよ! あのね……ワタシ、いまいちこの世界を掴み切れてないのよ」カジカジ

姫エルフ「……まずあなたは貧乏なのよね?」

男「おン前はったおすぞ。普通だよ普通。そんでお姫様よりは貧乏だよ」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「……あんなものが流通してるとは考えにくいし」

姫エルフ「そう、金銭的価値――あんたあのメイドロイドを幾らで手に入れたの?」

男「1万円」

姫エルフ「10000……エン? 通貨単位だけじゃさっぱりよ」

男「えーとだな……大体、朝夕2食付きのそこそこの宿の宿泊代くらいで買えたんだ」

姫エルフ「…………」


姫エルフ「…………………………」




姫エルフ「…………………………………………」






姫エルフ「――――――――――――――――」



姫エルフ「安ぅーーーーーーーーッ!?」―ガァァァァン

姫エルフ「な、何よそれーッ!? 一国の国家予算でも作れなさそうな兵器よ!? この世界はどうなってるの!?」

男「ここは世界でもかなり平和な島国の日本ってところだよ」

姫エルフ「こんなのが配備されてて平和もへったくれもあったもんじゃないわよッ!」

男「経緯はどうあれ、俺はメイドさんを買ったんだから、最後まで責任をもってエッチをする義務があるんだ」

姫エルフ「……エ、エッチ……って……」///

男「あー、えーと……セックス。子作り。性交渉。くんずほぐれつでぬちゃいちゃする――」

姫エルフ「し、知ってるわよ! バカにしないで!」///

姫エルフ「じゃぁあなたは、本当に……セクサロイドなの?」

メイド型「はい。私はセクサロイドです」

姫エルフ「ハァー……、絶対何かの間違いよ……致命的なエラーか設計ミスか……」

男「セクサロイドであることは、俺が認めてるから別に間違いじゃない」

姫エルフ「……頭痛くなってきたわ。ちなみにどうやって届いたの?」

男「宅急便で来た。あのイカツいケースに入って」ビッ

姫エルフ「ハァーッ!? 『アノ子』を、普通の流通システムで送ってきたのッ!?」

男「おう。ガタイのいい兄ちゃんが何かちっさいキャタピラついた台車みたいな奴に乗っけて運んできたぞ」

姫エルフ「……~~っ」―クラッ

姫エルフ「……ワタシだったら、エルフォークの町すべてに戒厳令敷いて、要所にエルフ軍の精鋭魔法スナイパーと魔法特殊部隊と上位貞装体を配置させた後に――」

姫エルフ「ロイドは幾重もプロテクトをかけた可能な限り頑丈にした特殊車両に格納、ありったけの護衛車両をつけて――」

姫エルフ「外見はまったく同じなダミー車両を同時に違う方面へ走らせてから、予め掘っておいた地下通路を走行させる位の段取りはするわよ……!」ダンッ

男「分かる分かる。で、その地下通路で味方が裏切って大惨事になるまでがお約束だよな」HAHAHA

姫エルフ「真面目に聞きなさい! ワタシは娯楽作品の話をしてるんじゃないのよ!」

男「俺の目的はメイドさんと致すこと。メイドさんの目的は俺と致すこと。そこに意見の相違はない。違うか?」

姫エルフ「違わない! けどね!」

男「俺はメイドさんが自分をセクサロイドだと名乗った以上、それを信じるまで」

姫エルフ「な、何よ、それ……」

男「お前だって俺から『お前は姫じゃねぇ!』って言われたら嫌だろ? 居候エルフって言ったら見事にキレるじゃん?」

姫エルフ「……この子はロイドよ? 作られた存在なのよ?」

男「ほーう、エルフォークじゃそういう割り切り方になってるのか。じゃぁ今度一緒にブレードランナー見ような」

姫エルフ「……あんたがバカなのか、どうしようもない程にバカなのか分からなくなってきたわ」

男「暴言1つごとに魚メニュー減らすぞこのやろう」

姫エルフ「……少し、バカ?」

男「もう二度とブリ照り食わせないからな」

姫エルフ「ッ!? やめなさッ――謝るからそれだけはッ」

男「……とにかく建設的にいこうってのが俺の方針。それには従ってくれよ」

姫エルフ「建設的に?」キョトン

男「文句を幾ら垂れたところで何も変わらないから。問題点を確認したら改善するか、対応を変えていく方がいいじゃん」

姫エルフ「……あんたも、まともなこと考えられる脳ミソあるのね」

男「だから一言ォ!」

姫エルフ「まぁ、分かったわ。無限に湧き上がってくる疑問は胸の内に留めておくとして……」

男「おう。じゃぁ風呂に」

姫エルフ「……待ちなさいよ」

男「何? 早く入らないと追い焚きかけなきゃならなくなるんだが」


姫エルフ「……そ、その」ツンツン

男「?」

姫エルフ「あ、あなたとメイドロイドは……い、いつ……」コホン

姫エルフ「いつ……い、致すの……?」///

男「……はい?」

姫エルフ「だ、だからその、時間が分からないと……ホラ……」モジッ

男「?」

姫エルフ「メイデンの操縦席に入れば、音はシャットアウトできるから……」モジ

男「え、何? 何の話?」

姫エルフ「だからその、時間さえわかれば、ワタシはメイデンの中に、い、致している間だけいればいいし……」モジモジ…

男「…………」

―ポンッ!

男「……あー! そういう意味ね! 分かった分かった!」

姫エルフ「……つ、伝わって良かったわ。それで1時間?――それとも2時間? もっと……?」///

男「……いや気を使ってもらってるところ悪いんだけどさ」ポリポリ

男「現状、メイドさんと致せる方法がまだ見つかってないんだ」

姫エルフ「………………は?」パチクリ

男「どこやったっけな……。リスト作ったんだけど――あ、これこれ。例えば――」

男「――、――――。――――」


―――
―――――――――
―――


姫エルフ「…………」

男「――って感じでさ。ま、大雑把にまとめると『性的快感、興奮を感じるとヤベーことになる』ってとこだけ覚えておけばOK」グッ

姫エルフ「こッ、これだけ大変な目に遭って……! それでもあんたはこのメイドロイドをセクサロイドだって認めるわけッ!?」ブルブル…

男「そりゃセクサロイドだって言ってるからね」コクリ

姫エルフ「セックスできないセクサロイドって、それって……それって一体何、何なのッ!?」グルグル

男「今はまだできないだけだし。説明したけど3ヶ月経てば劇的に状況は好転するし」ピープー♪

姫エルフ「あ、あんたポジティブでも建設的でも無く単なる狂人よッ!? ここがエルフォークなら問答無用で精神病院に叩き込んでるところだわ!」

男「……男ってのは射精せないと狂う生き物なんだ。焦らされれば焦らされるほど、正気を失っていくんだ」

姫エルフ「ついに認めたわねッ! やっぱりヒューマンとオークって何にも変わらないんだわッ! 脳が下半身にある生物なのよ絶対ッ!」


男「何とでも言え。……あと第一にだな、メイドさんは――」



男「―― 俺 の タ イ プ ド 真 ン 中 だ 」 ド ン ッ

姫エルフ「くっ……何て真っすぐな眼差しなの……ッ!? 破廉恥な思考とは真逆の爽やかさ……ッ!」ビリビリ…

メイド型「…………」フッ

姫エルフ「あーッ!? このメイドロイドまたドヤッたわ! ご丁寧に鼻息まで小さくつけて! ムキーッ!」ダンダンッ!

男「あー、また間に合わなかった……今日は厄日だな。居候エルフも増えるし散々だ」

姫エルフ「に゛ゃッ!?」

男「風呂入ってさっぱりしてこよ」テコテコ…

姫エルフ「あんたその居候エルフって言い方何とかしなさいよッ! ワタシにはれっきとした姫エルフって名前が――」ズカズカ

男「風呂場にまでついてくんなよ。それとも一緒に入るつもりか?」ヌギヌギ

姫エルフ「ぬ、脱ぐなー! 年頃のエルフの目の前で破廉恥よッ! あと脱ぐとヒューマンくさいのがブワッてこっちまでくるんだからッ!」アワワ…

男「デデンデンデデン♪ デデンデンデデン♪」ヌギヌギ

姫エルフ「聞きなさいよ……この変態ッ! ド変態ッ! この最低の屑ヒューマンッ!」///

男「パララーパーパーパー♪」ガチャッ―

メイド型「下着とタオルはここに置いておきますね」スッ―
姫エルフ「ヒゃァうっ!?」ビクーン!

男『うーい。ありがとメイドさーん……あ゛~~っ……』ザバー…

姫エルフ「あ、あなたは音もなく背後に立たないでくれるッ!?」ドキドキ

メイド型「……バカ。どうしようもない程にバカ。少しバカ」キュィィン…

姫エルフ「……え、え?」

メイド型「変態。ド変態。最低の屑ヒューマン……」キュィィン…

メイド型「一言一句違えずに記憶しておりますので。……今後の食事メニューの行く末が楽しみですね、姫エルフ様」ペコリ

―ガシッ
姫エルフ「ま、待って! ご、誤解なのッ! これは売り言葉に買い言葉って言うかッ! わ、悪気はそんなに無くて……待って、お願い……!」ズルズル…

姫エルフ「ブリテリだけはやめないでーッ!」ウワーン!
――――

ここまで
待たせてごめんね

――――

…スピー

姫エルフ「んん……ぶり……てりぃ……んふふ……」スヤァ…

男「おい起きろ」ユサァ

姫エルフ「くさ……くさぁ……んむぅ……」ゴロン…

男「……居候エルフ」ボソ

姫エルフ「んふぁっ!? にゃ、ん誰が居候エルフよ!」ガバッ

男「起こすのに苦労しなくていいや。朝だ。飯だから顔洗ってこい」

姫エルフ「……あー……洗ってぇ……」ショボショボ…

男「自分でやれ。おら洗面所行くぞ」グイッ

姫エルフ「んやぁ……引っ張らないでぇ……眠いのよぉ……」ユラユラ…

――――

姫エルフ「……届かなぃ」

男「ほれ、台に乗れ」グイッ

姫エルフ「分かったぁ……分かったわよぉ……」ショボショボ

男「あー、髪が水に浸かるから結――べねぇよなぁ多分。適当にとかしてポニテにしとくぞ」スッ―スッ―

姫エルフ「んー……」パチャ…パチャ…

男「おらちゃっちゃと洗え」クッ―クイッ

姫エルフ「……顔……顔拭くやつ……」ンー…

男「洗う前にタオルの場所確認しとけ。拭いてやっから急げ急げ」ゴシゴシ

姫エルフ「わっ――ぷふっ――やめぇ――んぶふっ」バタバタ

――――

男「ふぃー、メイドさんおまたせ」

メイド型「丁度出来上がったところです」ホカホカ

男「んー……いいねぇ、味噌の香りがふんわりと」スーッ…

姫エルフ「んー……ん?」…スンスン

姫エルフ「何この香り……とってもいい匂い……」

男「味噌汁だよ。ほい席ついたついた。朝は時間そんな無いんだから」スッ

姫エルフ「う゛っ。茶色くて濁ってる……この緑色のは野菜、かしら」スッ

メイド型「…………」スッ

姫エルフ「…………」

姫エルフ「ああ、そうだったわね。えーと……」

 男  「いただきます」ペコッ
姫エルフ「いただきます」ペコッ

メイド型「はい。どうぞ熱い内に召しあがってください」ペコリ

―デンッ!

・梅干し
・納豆(海苔と葱と胡麻)◆男、メイド型
・湯豆腐(海苔と葱とおかか)◆姫エルフ
・味噌汁(小松菜)
・温泉卵(半熟、うすだし)
・茄子の浅漬け
・炊き立てのご飯(少量の麦めし)

男「……小松菜の味噌汁たまらんなぁ」ホゥ…

姫エルフ「コマツナのミソシルって言う料理なの?」ホゥ…

姫エルフ「……スープの色はひどいけれど、香りと味わいの奥行が素晴らしいわ……このコマツナのシャキシャキとした食感も殺してない……絶妙な火の通し方ね」ズズッ…

男「メイドさん、ありがとう。今日の朝ごはんも最高です」ネリネリ

メイド型「お褒めに預かり光栄です」ペコリ

姫エルフ「……ねぇ。あんた達のとワタシの料理、一部違うのだけれど」

メイド型「……強い匂いが苦手なようでしたので……姫エルフ様のおかずは、同じ豆製品でも癖が少なく食べやすい豆腐に致しました」ネリネリ

姫エルフ「……そ、そう。それはありがたい、のだけれど……」チラッ

男「しょうゆを少し垂らしてーの、と」…ネリネリ

姫エルフ「……ねぇ。そのネバネバしたやつって美味しいの?」

男「納豆? うまいよ。毎日食べたいくらい好き」ネリネリ

姫エルフ「…………」スンスン

姫エルフ「確かにかなりキツい香りがするわね」フムゥ…

男「日本人でもわりかし苦手なやつ多いしな」ネバー…

姫エルフ「……でも、エルフォークでももっとキツい発酵臭のチーズでも、ワタシ食べられたし……」チラ

男「……ふーん、結構チャレンジャーなんだな姫エルフ」ネリネリ

姫エルフ「…………」ソワソワ

男「交換してもいいが、残すなよ。じゃぁ湯豆腐もらうわ」ヒョイッ―ヒョイッ

姫エルフ「すごい……ネバネバしてて……トロトロ……///」ネバァァ…

姫エルフ「これはどうやって食べるものなのかしら?」ウキウキ

男「ごはんに乗っけて食う。またはご飯に全部混ぜて食う」

姫エルフ「あ、荒々しい食べ方ね。こうして、こうかしら」トロォ…

―ホカホカ ネバァァ…

姫エルフ「……ッ」ゴクリ

アムッ―

姫エルフ「――ッ!?」ピクッ

男「あ、駄目っぽいか? 何か耳がめっちゃビクンッてしたけど」

姫エルフ「お……」

男「……お?」

姫エルフ「 お い ひ ぃ …… ! 」ピコピコッ♪

姫エルフ「確かに強烈な腐敗臭と粘りはあるけれど……それを補ってあまりある程の旨みが豆の中から破裂するように飛び出してくるわ!」ブンブン

男「あ」

姫エルフ「適切な発酵をさせることで複雑で豊かな味わいを引き出しているのね! それにこの塩分! 昨日のブリテリにも入っていた調味料と同じね!」ブンブン

男「なぁ」

姫エルフ「エルフォークでも様々な発酵食品はあるけど、方向性が違うと言うか……まるで保存性を目指したと言うよりも――」ブンブン

男「美味しくて舞い上がってるところ悪いんだけど」

姫エルフ「何よ!」ブンッ!

男「納豆ついた箸をタクト代わりにするのは行儀悪いし――」


男「――どエラいことになる」


―ネバァ…フワァ…―ネバァ…フワァ…―
―フワネバァ…フワァ…―ネバネバァ…フワァ…―

姫エルフ「な、何よコレーッ!? クモの巣みたいにあっちこっちにひっついて……ひあァッ! か、髪についてるわ! 顔にもォ!」イヤァァァッ!

メイド型「……濡れタオルを持ってきます」

――――

――――

男「じゃ、俺は会社に行ってくるわけだが……姫エルフ」

姫エルフ「……何よ」

男「昨日の今日で出来ること探せっつってもまぁ無理だろうから」

姫エルフ「で、出来るわよ! ワタシを誰だと思ってるの!」フンッ

男「まぁ無理だろうから」

姫エルフ「あなたねぇ!」フーッ!

男「生活に慣れることから始めて」

姫エルフ「…………」ツーン

男「で、外に出れないのはそれなりにストレスだろうし――はいコチラ」


姫エルフ「……ナニコレ」

男「人を堕落させる悪魔のマシン――もとい、暇つぶしの娯楽機械たち」

―ズラーッ!

姫エルフ「随分いろいろあるわね……シミュレーターか何かかしら?」シゲシゲ

男「説明書はそこの棚に全部つっこんであるから」

姫エルフ「ふーん……これがソフトウェア?」ヒョイ

男「……説明いらねぇなこれ。そう、やりたいの選んで好きにやってて」

姫エルフ「ふーん……」ジーッ


男「さってと、俺は会社行きますかぁ」コキコキッ

スッ―

男「お、ありがとメイドさん。……いやー、この上着の袖通してもらうの地味に嬉しいな」イソイソ

メイド型「……あとこちらを」

スッ―


男「…………」


男「………………こ、これってまさか……!」プルプル…


メイド型「お弁当です」


男「ッやッッッたァァァァァァァッ!」ヨッシャァァァッ!

メイド型「汁気のあるものはありませんので、傾けて入れても問題ありません」

男「おお……!」プルプル…

メイド型「こちらは温かいほうじ茶を入れておきました」スッ

男「おおおお……!」プルプル…

メイド型「……ご迷惑、でしたでしょうか?」

男「とんでもねぇ! ありがとう……! ありがとうメイドさん……!」ウウッ…!


メイド型「…………」キュィィ…

――
―――――
――

―ガチャッ♪

男「じゃっ♪ いってきまーす♪」

メイド型「いってらっしゃいませ、御主人様」ペコリ

姫エルフ「…………ん」ヒラヒラ


―バタンッ♪

――――
サッ…サッ…

管理人「あ、男さんおはようございます!」―クルッ

…ユャン

男「おはようございます管理人さん! 朝からお掃除お疲れ様です! 今朝もいい眺めですね!」シュビッ

管理人「は、はい? い、いえ私はこれがお仕事ですから、そんな……」エヘヘ…

男「いえいえ謙遜なさらずに! いつもマンションがピカピカなのは管理人さんのおかげですから!」ハッハッハッ!

管理人「あ、あのー……男さん。何かいいことありましたか?」

男「そう見えます?」~♪

管理人「え、ええ。いつもより笑顔が素敵――じゃなくて!カッコ良――でもなくて、えぇとあのその……!」グルグル

―ムニュゥ…ムニュゥ…!

男「ハッハッハ! 管理人さんも今日は一段とカワイイですね! ホウキが挟まる谷間最高ーッ!」オーッ!

管理人「あ? え? た、谷間さいこー?」オ、オー?

男「じゃっ! いってきます! あ~早く昼休みにならないかなーっと♪」シュバッ―!

管理人「あ、はいっ! いってらっしゃいです!」フリフリ…

―タュン…プルン…

管理人「…………」フリフリ

管理人(……えへへ)

管理人(えへへぇ……♪ 今日は朝から男さんといっぱいお話しちゃったなー、いい日になりそう♪)フンフーン♪

管理人(……そうだ! 今日は商店街の和菓子屋さんで塩大福を買ってぷちお祝いにしよう!)

管理人(……男さん、塩大福好きかな……そもそもつぶあん派なのか、こしあん派なのかも知らないし……)


管理人(……姪さん、甘いもの好きかしら)

管理人(一緒にお茶とかして、親睦をちょっぴり深めたりしたら……)

管理人(男さんの好みとか、聞けちゃったりするかも……?)

管理人(め、名案だわ私! 将を射んとすればまず馬を射よって言うじゃない!)

管理人(決してこの前くじけたから直接行きづらいってわけじゃなくて! これは立派な作戦なの! そうなの!)フンーッ!


管理人(……うふふー♪ 今日は朝からいい案浮かんじゃったし、本当にいい日ね♪)サッ♪ サッ♪

管理人(それにさっき男さんからカワイイって言われたし♪)サッ♪ サッ♪

管理人(そうそう♪ カワイイって言われた、し……)サッ…サッ…


管理人(カワ……カワイイ……?)サッ……サッ……






管理人(…………………………)……





管理人「カッ、カワッ!?!?!?!?///」 ボ ン ッ !






―カターンッ…


――――

ここまで

>>518
姫エルフの風呂上りのくだり、流石に素ジャージだとチクチクして厳しいので
予備で買ってあったトランクスを男女共用の下着だと嘘ついて姫エルフに着せてることにしてください
上は洗って縮んでしまった雑巾にする予定だったTシャツです

――――

男(月曜日……それはリーマンを滅ぼす審判の日……)

男(起床アラームは核ミサイルのビープ音……。眩しい朝日は核の光な憂鬱なジャッジメントデイ……)


男(――……のはずだった)


男(ワクワクドキドキが止まらないぜェ! まるで金曜日の定時上がりの時みてぇによォ!)

男(待ちに待った昼休みの時間だヒャッハー! そうだ! 今の俺にはこいつがあるんだァッ!)―スッ

―トッ…

男( 『 手 作 り 弁 当 』 )

男(嗚呼。一人暮らしして初めて分かる、他人が作ってくれる料理の尊さよ……)

男(『うまく作れた嬉しいな<疲れた自炊クッソだるい外食してぇ食費減らしたい』の残酷な公式に蝕まれる日常……)

男(嫌いなもん食わずに好きなもん食ってられるけど……何を作っても、どこで買っても既知の料理……)

男(――故に感じる。この『今日の弁当何だろな』に無常の喜びを感じるのだ……!)

男(……思えば学生時代は妹が作ってくれてたっけ。料理スキル向上のついでだとか言ってたけどさぁ……)

男(妹よありがとう。あの時の栄養でお前の兄さんは生きてますよ。あ、勿論母上殿の栄養でも生きてますよ……)

男(――そして!)

男( メ イ ド さ ん あ り が と う ! )グッ―

―パカッ!

男(こ、これは……ッ!)

・豚肉の生姜焼きwithキャベツの千切り
・卵焼きinカニカマ
・ちくわinチーズ
・いんげんの胡麻和え
・ミニトマト

男(何と色鮮やかな弁当なんだ……! 俺の一面茶色に覆い尽くされた弁当とは一線を画する……!)

男(そしてこのわざとらしい1つだけのミニトマト! あれば目に嬉しくて口の中を酸味でリセットできる憎い奴!)

男(このいかにも弁当な感じが堪らない! 流石だメイドさん!)

同僚「おっ、ミニトマトもーらいっ」―ヒョイパクッ

男「――は?」

同僚「うっわ。よく見たらめっちゃ凝ってるなこの弁当。何? 今更お前料理男子目指してるの?」ムグムグ

男「殺す」ググググ…

同僚「ぐぇぇ……! 待゛っ、ミ゛ニ゛ドマ゛ドぐら゛い゛で……ぐる゛ぢぃ……!」グェェ…!

――――

同僚「殺されるかと思った」ゲホゲホ

男「殺し損ねた」

同僚「いや、ごめんて。ミニトマトくらいでキレるとは思わなかったんだって」

男「……今日は流石に腹に据えかねた」

同僚「?」

男「まぁいいや。もう摘まむなよ」

同僚「恵んで」

男「もう恵んだんだよなぁ。……いただきます」パンッ

同僚「あのね。これ見て」チョイチョイ

男「この濃い目のタレがまた――そのクリームパンが何だよ?」ギュゥゥゥッ―

同僚「この5個入りのクリームパンな。残り3つだろ?」

男「うっっま。何これ。俺の知ってる生姜焼きじゃない」モニュ…モニュ…

同僚「熱い自画自賛」

男「箸止まらん……このふわふわのキャベツの千切りも――さっさと食えばいいじゃん」ナポォ…

―パクッ

同僚「いつもの味や……可も不可もない値段通りの味や……」ハハ

同僚「ごっそさん。これで残り2つなんだが」

男「何故冷えたご飯なのに硬くならないのか不思議だ。多めのタレで書き込む飯がまた――それで?」ガツガツ

同僚「オレの昼飯終わりなんだ」

男「……あー」

同僚「朝1つ。昼2つ。夜2つ。これが今日一日の食事なんだ……」フ…

男「…………まさかまた、金無いの」

同僚「無いんだ……あと1週間はこれで耐えないといけないんだよ……」フフフ…

男「今度は何買ったんだよ。てか先月もデスクリームパンマーチしてたろうに」

同僚「いやそれがな! セクサロイドのコアパーツが信じられない値段でオクに転がっててさ!」ヒソ

男「やっぱりか……学ばないなぁお前は……」ヒソ

同僚「中古でなく新品の登録前の純正品だぜ? まともに手に入れようとしたら桁が変わるような代物だからもう即決よ!」フンーッ!


男「…………」


男「…………騙されてんじゃねぇの」

同僚「いやいや、仲介挟んでるし。取引記録も評価もバッチシ。確認も写真と動画で確認取れてるから間違いないって」

男「……何かこう、安いもん買ったらトンデも無いもん送られてくるとか」モグ…

同僚「やけに実感こもってるな。そこはそれ。身を切らずに美味しい思いできるかって話よ」

男「はー。そのギャンブルに食費切り詰めるってのは……ブレないなお前は」モグモグ

同僚「いやお前もギャンブラーだろ」

男「……何が?」


同僚「勢いでセクサロイド買ったんだろ?」

男「ブホッ!!」バッ―

同僚「ちょっ!? きったねぇ! ごはん飛ばすなや!」ウゲェー

男「なッ――ゲホッ……何……」ゴホッ…ゴホッ…

同僚「あれ? 買ったんじゃないの? だって先週の飲みん時に――」

――――

――――

同僚『――でさぁ。思いの外ひらめいたプログラム組んだら上手くいってさぁ』ヒック

男『…………』

同僚『セクサロイドのリアクション相当詰めれたし、ツイで公開したらバズりまくりで通知がぶっ壊れ』ヒック

男『……うるせーなぁ』ヒック

同僚『あ゛?』ウィー

男『オナホと大して変わらねぇだろ』ウィー

同僚『はぁ? どんな性癖も笑顔で、あるいは苦悶の表情で、あるいは憐憫の眼差しで貫いたり受け止めてくれたりする機械のパートナーがオナホと劣る訳ゃねぇだろうがよぉ』ウィー

男『そんなにいいのかよセクサロイドはよォ!!』グォォ

同僚『いいに決まってるだろうがよォ!! 生活費ぶっぱしてもまったく後悔してねぇもんよォ!!』グォォ

男『そんなにいいなら買ってやるよォ!!』b

同僚『お前話分かるなぁ!! もう一軒行くぞオラァ!!』b

――――

――――

同僚「――って感じで」

男「……あー、そんな感じだったわうん……」

同僚「何だよ買ってないのかよ。やらかし報告楽しみにしてたのに」

男「いやー、買ったは買ったんだがその……」

同僚「お、マジで。どんなん? メーカーは? 型は? 予算は?」

男「メーカーは……分からないな」

同僚「初セクサロイドがノンブランドとか冒険者だなお前。で、型は?」

男「……分からないな」

同僚「ん?」

男「……値段は……1万円……だな」

同僚「…………」

同僚「1万円……」

男「…………」


―ポンッ

同僚「ダッサ! その年で詐欺サイトに引っかかるとかダッサ!」アハハハハハ!!

男「確かに詐欺は詐欺だったよ色々と……」

同僚「後でツイネタの笑い話にして供養しとくわ」ポンポン!

男「スパブロすんぞ」

同僚「あー笑った笑った。ま、ある意味被害少なくて良かったんじゃね?」

男「……考えうる範囲で被害最大規模じゃねぇかなぁ。何かおまけもついてきたし」

同僚「いやいや、だってさ。ブランドの最安価モデルでも200~300万円で、ノンブランドでも100~200万円だろ? 被害少ない少ない」

同僚「ではここでロイダーの先輩が優しく講義を交えつつ、予算と目的に合ったオススメのロイドを薦めてあげよう」

男「メーカーの回し者か何か?」

同僚「メーカーを支えてる一消費者に過ぎません」

男「……間に合ってます」

同僚「ホラホラ、好みの見た目とか言ってみたまえよ」

男「……えー、メイドさんがいい、かな」

同僚「ロイドの王道ですな」

男「そんで……無表情でクールで……」

同僚「お、ドSな感じ?」

男「でも内心微妙に照れたり喜んでたりする感じの……」

同僚「あー、表情には出ないけど表情豊か系か」

男「そしてエッチに積極的で……」

同僚「そこは外せんよなぁ、男として」

男「爆発したりしないような……」

同僚「何故そこで爆発が」


男「……あとは、お互いを知って……徐々に距離感詰めたりできたら最高かな……」


同僚「……それは」

同僚「セクサロイドに《精神》の要素が欲しいって話か?」


男「ん? そうだな」

同僚「…………」

同僚「……《成長》しているように見えるプログラムが欲しいとかではなく?」

男「? どういう意味だそりゃ」

同僚「……飯食い終わったか?」

男「食い終わったけど……え?」

同僚「よし、こっちついてこい」

男「はい?」

――――

男「会議室……」

同僚「借りてきた」

男「たまに発揮される同僚の異常なフットワークの軽さ」

同僚「いいか。今、日本だけならず、世界全体が大セクサロイド時代と言っても過言ではない――そういう大きなうねりの中にオレたちはいる」

男「壮大な話が始まった」

同僚「戦争とエロによって、科学と技術は驚異的なスピードで発達してきた。そしてここ最近のセクサロイド産業の伸びは著しいものがある」

男「企業説明会かな」

同僚「増えすぎた人類を減らす為に導入された死の技術なんて陰謀説が流れる位、ある種地位を得た最先端の科学の結晶だ」

男「HENTAIの化合物」

同僚「さてそんなセクサロイドの量産モデルが300万円と大変お買い得になっております」

男「やっぱり営業じゃねぇか!」

同僚「いやいや、セクサロイドがこのお値段で買えるのはかなり異常なんですよお客さん」

男「……ディーラーさん、詳しくお願いします」

同僚「まるで本物の女性を抱いているかのような感覚。それでありながら気持ち良さは本物以上……」

男「見飽きたコピーですねぇ」

同僚「実際、軍事用アンドロイドに使われる『予定』だったテクノロジーだから出来たことなんだよ」

男「は? 予定……だった?」

同僚「うん」

男「どゆこと?」

同僚「えっとね。バトルドロイドの構想や、運用までは突き詰められてたんだけど、どこも金出さなかったの」

男「……コスト?」

同僚「当たり。現行の兵器のブラッシュアップの方が低予算で高い効果が期待できるし、使い物になるか分からない」

男「さもありなん」

同僚「で、その技術をですね」

男「うん」

同僚「とあるオナホメーカーが買ったの」

男「嘘でしょ」

同僚「ホントにホント。この偉大なるバカ社長には夢があった」

男「まさか……」

同僚「セクサロイドを創るっていう夢」

男「世界一カッコいいバカだ」

同僚「実は戦争にドロイドが使われなくなる未来を築いたヒーローでもあるんよ」

男「え?」

同僚「バトロイド作るより、セクサロイド作った方が金になる社会になったから」

男「世界一カッコいいバカじゃん……」

同僚「そして社運を賭けたセクサロイド第一号が完成します。予算の都合で1体だけ」

男「NHKの歴史番組みたいでワクワクしてきた」

同僚「お値段何と30億円」

男「高ーーーーーーーーッ!?」

同僚「いやいやパーツも量産化されてない時代ですよ? 最先端のアンドロイドの技術たっぷり詰め込んでるわけだし。これでもギリギリな値段設定だったらしい」

男「これは……マズい展開なんじゃ……」

同僚「ところが」

男「うん?」

同僚「発売した瞬間に売れたんだ」

男「マジかよ……」

同僚「とある大富豪の夢は――セクサロイドとセックスすることだった」

男「世界一カッコいいバカ2人目だ……」

同僚「そして大富豪はこのセクサロイドをベタ褒めしたんだ『こんな快感と興奮を味わったのは生涯で初めてだ!』とね」

男「最新映画の寸評かな」

同僚「とある大富豪さんはこの会社に全財産をぶん投げて、とある社長と2人で、セクサロイドの量産プロジェクトへ挑むことになる」

男「最強の2人。……はー、ここからセクサロイド史が始まるんですねぇ」

同僚「そこはまぁ工場見学とかで学んでもらうとして――」

同僚「――その2人と企業努力と、新興企業との競争の結果……車程の値段で買えるセクサロイドが誕生したんですよー!」パチパチ

男「素晴らしい!」パチパチ

同僚「まず300万円。これは余計なものをとにかく極限まで削り落としたからこそ出来た価格」

同僚「シンプルに女性のセックス時の反応――吐息、筋肉、反射を含むすべて――を詰め込み、それ以外は廃したモデルだね」

男「……ってことは会話とかできないの?」

同僚「厳密にはできない。こっちが特定のワードを喋ったら、決められた反応を返すって感じだな」

男「ふむふむ」

同僚「オレが色々いじってるのはこのモデル帯。外見も中身も融通が効くし、反応や動きの作成改変はお咎め無しだし」

同僚「そして一気に飛んで上位モデル3000万円」

男「ここまでくると買える層一気に絞られるな」

同僚「ローン組めばへーきへーき」

男「……まさかお前」

同僚「いやぁ流石にね。上位は買ってないよ。……まだ」

男「まだ……」

同僚「ここまでくると、単なる歩行に性格をつけることすら可能になってくるし、表情のパターンだってほぼすべて網羅できてる」

男「おおー!」

同僚「そして公式が用意してるリアクションプリセットも、変態的な細やかさとバリエーションを取り揃えるようになる」

男「と言うと?」

同僚「人形師《マリオネッター》って職業の方が本気を出してくるから」

男「分かりやすく言って」

同僚「技術力のある変態が本気を出してドエロいもん作る」

男「分かった」

同僚「こうなってくるともうオレ達付け焼き刃の素人にはどうしようもない領域。恵まれた肢体とプログラムに太刀打ちはできないね」

男「そしていよいよ会話が……」

同僚「…………」

男「……え?」

同僚「300万円に比べたらスムーズな受け答えと若干のランダム性も孕んではいるけど……決まったワードに反応を返す、その基本は変わらない」

男「そこまで来てもまだ会話とかできないのか」

同僚「最適化はされるけどね」

男「ふーん……」

同僚「じゃぁ次。3億~?億円モデル」

男「やっぱりあるんだ……お金持ちしか買えないすンごいセクサロイド……」

同僚「ここまでくると簡単な生活ができるセクサロイドになる。料理や家事、予めクライアントの技能へのリクエストがあるならそれ専用にカスタマイズされるんだ」

男「ほうほう」

同僚「ただし――」

同僚「――それでも『会話』は、根本的にはできない」

男「え……?」

同僚「勿論、『会話』しているように日常を過ごすことはできる。でも、セクサロイドと心を通わせるだとか、互いを知り合う、みたいなことはできないんだ」

男「……理由は?」

同僚「彼女たち、あるいは彼らは道具だから」

男「…………」

同僚「意思を持ち、自ら学び、進化していく『隣人』をコントロールできるか――そもそもコントロールすることが正しいのか」

同僚「社長と富豪の出した答えは、セクサロイドに『命』を与えずに製作することだった……」

同僚「……社長と富豪の夢は、半分だけ達成されることになったわけだ」

男「…………」

男「……セクサロイドは自分の意思や、心を持たないし、成長することはない」

同僚「……その通りだ」


男(…………)

男(……じゃぁ。あのメイドさんは……)

男(……メイド型のセクサロイドは……一体……)

―ガシッ

同僚「だけどな! お前の言ったセクサロイドは! ロイダー達みんなが抱く夢と同じなんだよ!」

男「あ、あぁ……」

同僚「心を持ったセクサロイドとイチャコラしたい! お前のその熱い思いはロイダー適性MAXだ! 是非お前もこっち側にくるべきだ!」

男「うん……」

同僚「丁度今度国際展示場でセクサロイド博がある! お前の分のチケットも取っておこうか? 何だったら――」


男(…………メイドさんは…………)

男(…………『どこ』から来たんだ?…………)

――――――

ここまで


――――


姫エルフ「アッ……ん゛っ……」ビクッ


メイド型「…………」ブオー…



姫エルフ「くっ……! っひぐっ……!」ビクビクッ


メイド型「…………」ブオー…


姫エルフ「だッ……やめッ……!」ビクンッ

姫エルフ「あッ――やッ――イくッ……! イッちゃ……死んじゃぅぅぅぅぅ!」ググググ…

―グンッ




___________

 YOU DIED
___________





姫エルフ「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ ッ ! ?」

メイド型「…………」ブオー…

姫エルフ「集めたソウルがッ! ワタシが1時間かけて集めたソウルがッ!」

姫エルフ「ロストッ!? またッロストッ!? もちろんワタシの貴重な時間ごとロストッ!?」キーッ!

姫エルフ「このゲームクソよクソッ! ユーザーの事を欠片も考えてない難易度設定で顔面ぶん殴ってくるクソの塊よッ!」ダンダンッ

姫エルフ「言うなればクソゲーよこれはッ! もうちょっと……あるでしょ! 説明とかッ! チュートリアルッ! ビギナーに向けた説明が色々あるべきでしょうがッ!」ブンブンッ

メイド型「……姫エルフ様」ブオー…

姫エルフ「何よッッ!?」ガルルルッ

メイド型「そこをどいていただけないでしょうか」

姫エルフ「……あ、はい」スッ

メイド型「…………」ブオー

姫エルフ「…………」

メイド型「はい。続きをされて結構ですよ」

姫エルフ「あ、はい……」

姫エルフ「……はんっ。よく考えたらこのクソゲーに怒るカロリーが勿体無いわね」

姫エルフ「娯楽でストレス溜めてたんじゃ娯楽の意味がまったく無いもの」フンッ

姫エルフ「やめましょやめましょ……こんな陰気で色が全部死んでるようなクソゲー放っておいて他の楽しそうなゲームをやりましょうそうしましょう」

姫エルフ「ふんっ。どーれーにーしーよーうーか~し~――」

姫エルフ「――…………」ジー

___________

 YOU DIED
___________

姫エルフ「クッ……!」

姫エルフ「……あそこでもし……先にあいつの体力を削ることができたら……」ボソボソ

姫エルフ「…………」

姫エルフ「あと、1回だけ……そう1回だけよ……」

姫エルフ「今度こそあの黒ずんでて硬くて嫌らしい鉄兜をボコボコにしてやるわ……!」

メイド型「進みましたか?」―ヌッ

姫エルフ「オ゛ヒョォ゛ア゛ッ!?」ビクーン

メイド型「……大きな声は近隣の方々に迷惑がかかります。引いては御主人様に迷惑がかかりますので控えてください」

姫エルフ「あ、あなたが急に出てくるからでしょ!? 掃除はどうしたのよ!」

メイド型「終わりました。私は優秀なメイド型セクサロイドですので」

姫エルフ「……『優秀な』ってところだけ認めてあげるわ」

メイド型「……新鮮なお魚がまだ冷蔵庫にあるのですが」

姫エルフ「あなたは非の打ち所のない優秀なメイド型セクサロイドね!」

メイド型「はい。私は優秀なセクサロイドです」

スッ―

メイド型「……ゲームの変更はなされないのですか?」

姫エルフ「……ワタシが何で遊ぼうがワタシの勝手でしょ」フン

メイド型「端的に言って、このゲームは姫エルフ様に合っていないように思いますが」

姫エルフ「クッ……! そんな事ワタシが一番分かってるわよ……!」ギリギリ…!

メイド型「では何故?」

姫エルフ「……このゲームの続編っぽいのと、似たようなやつ」スッ

姫エルフ「棚に結構あるのよ」

メイド型「はい」

姫エルフ「…………」

メイド型「…………」

メイド型「はい?」

姫エルフ「だからッ!」バッ!

姫エルフ「ここにあるって事はあいつがクリアしたって事でしょッ!」バーン

メイド型「はい。恐らくは」

姫エルフ「つまりあいつにクリアできてッ! ワタシにクリアできないって事になるでしょッ!」ババーン

メイド型「そうですね」

姫エルフ「そんなの最高に納得できないでしょッ!? エルフ族の頂点たるワタシがあのボヘーっとしたヒューマンに屈することになるのよッ!?」

メイド型「……?」

メイド型「屈したくないのですか?」

姫エルフ「はァ!? 屈したくないわよッ! つまりそれってヒューマンに負けるってことよ? そんなの当たり前でしょーが!」フンッ

メイド型「では……」

メイド型「仮に御主人様がヒューマンではなく、同族のエルフの男性だったとしたらどうでしょうか」

姫エルフ「…………はァ?」

メイド型「仮に、です」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「……嫌。同族でも負けたくないわ。覆しようの無い体力差ならともかく、手先と頭でしょ? 絶対嫌。勝つまでやるわ」

メイド型「…………」

メイド型「……理解に苦しみます」

姫エルフ「……あなたのその反応が理解に苦しむわ」

メイド型「屈して従う――そう悪いものではないと思いますが」

姫エルフ「いやいや負ける為に戦うバカがどこにいるのよ!」

メイド型「全力を尽くした上での敗北は……とてもとても気持ちの良いものです」

姫エルフ「あ・な・た・が・全力を尽くして負けるビジョンがこれっぽっちも浮かばないのだけれど?」

メイド型「それに世の中には嬉々として踏まれたい人たちが大勢いることですし」

姫エルフ「それは単なる変態でしょうがッ!」バンッ

メイド型「私もそのうちの一人です」

姫エルフ「こンのピンク電脳の色ボケバトロイドめ……!」プルプル

メイド型「……どうやら分かり合えないようですね」

姫エルフ「ええ。平行線よ。ワタシはどちらかと言えば踏みつけたいタイプだし」ハンッ

メイド型「…………」

姫エルフ「な、何よ。別にあいつを踏みつけたいって意味じゃなくて――」

メイド型「では、エデン様の嗜好はどのような……?」


姫エルフ「……え、メイデン?」

メイド型「…………」

姫エルフ「……何か勘違いしてそうだから、言っておくわね」

メイド型「はい」

姫エルフ「メイデンとあなたは違うの。まったくの別物よ」

メイド型「…………」―チラ

エデン「―――― ―――― ――――」チカチカ…ヴーーン…チカチカ…


メイド型「……………………」

姫エルフ「な、何よ。睨み付けたって違うものは違うんだから仕方ないじゃない」タジッ

メイド型「睨みつけてなどいません。この目つきは生まれつきですので」

姫エルフ「……ならいいけれど」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「あのね。まず目的がまるで違うのよ」

メイド型「……目的」

姫エルフ「そ。メイデンの目的は単純なの。ワタシ自身の能力の拡張、それだけ」

メイド型「…………」

姫エルフ「貞装体は生身のワタシができないことを可能にする」

姫エルフ「自身のマナと大気中のマナを取り入れることで……比類なき戦闘能力と思考能力を手に入れるの」

姫エルフ「マナを力へ変える――ワタシのご先祖様は魔法というカタチで力に還元していたみたいだけど……」

姫エルフ「それは時代遅れになった――ううん、技術革新が起きたと言うべきかしら」

メイド型「より優れた力の還元率の発明ですね」

姫エルフ「その通りよ。しかもオークとの身体能力差を埋められるオマケつきでね」

姫エルフ「だからメイデンの設計はワタシの能力の拡張でしかない」

姫エルフ「ワタシが望まないのであれば動かないし動けない。そういうシロモノなの」

メイド型「……ではエデン様が意思があるように振る舞っているのは……」

姫エルフ「その方が円滑に物事が進むからに過ぎないわ」

メイド型「…………」

姫エルフ「メイデンの力は必ずワタシの『制御下』におく必要がある。ワタシの手を離れてはいけないの」

姫エルフ「……でもあなたは違う」

姫エルフ「メイデンが完全な『道具』を目指すデザインだとするなら……」

姫エルフ「あなたは『生物』を目指したデザイン――いえ、『生物らしく』振る舞うことを目指したデザインと言うべきかしらね」

メイド型「……らしく振る舞う、ですか」

姫エルフ「そうよ。ランダム性があって微妙にコントロールしきれない方が『好ましい』ってこと」

メイド型「…………」

姫エルフ「……あくまで使用者に不利益を与えない範囲内で、の話だけど」チラ


メイド型「…………」

メイド型「私はセクサロイドとして創られました」

メイド型「――契約者を性的快楽に導き、素晴らしい人生を提供する」

メイド型「それが私の存在理由であり、私の使命です」

姫エルフ「…………」


メイド型「……ですが」

メイド型「私自身のフレームが、私の使命を阻むような構成でしかないことを……私は理解しています」


姫エルフ「…………」パチクリ

姫エルフ「……驚いた。自覚あったのね」


メイド型「はい」

メイド型「…………」

メイド型「それでも……」


メイド型「それでも御主人様は……私をセクサロイドと認めてくれるのです」キュッ…

姫エルフ「信じがたいことにね」

メイド型「……ですから」

メイド型「やはり私はセクサロイドなのです」

メイド型「セクサロイドとして欠けているものがあると知りながら、私をセクサロイドとして扱ってくれた御主人様に……」

メイド型「私は心から仕えたいのです」キュ

姫エルフ「……驚きっぱなしで言葉が出ないわ」

姫エルフ「つまりあなたの精神コア」ピッ

姫エルフ「オッソロシイ矛盾で破綻しかかってるのに、自分で抑え込んじゃった訳ね」フーン…

メイド型「御主人様のおかげです」

姫エルフ「あー、その……あいつのおかげで」


姫エルフ「……興味深いわね」クルクル

姫エルフ「あなた自身も珍妙で興味深いけれど……あなたを創ったヒューマンにも興味が湧いたわ」

姫エルフ「こんな恐ろしく不完全で――完璧で――危険なロイドを何故作ってしまったのか……」ジロジロ

姫エルフ「……――ッ」―ハッ

姫エルフ「ごっ、ごごごめんなさいっ! た、たた他意は無いのよっ!? 研究者とか技術者としてすごく興味があるってだけで別にあなたを貶めるつもりは――」ワタワタ

メイド型「――理解しています」

姫エルフ「あ、そう。ならいいんだけど……」

姫エルフ「…………」ポリポリ


姫エルフ「何て言うか。あなたってあいつが関わらないと普通のロイドなのね」


メイド型「――御主人様を害する存在は……何があろうと決して容赦は致しません……」ズズッ…!

姫エルフ「ヒッ!? だからそういうところよそういうところ!」

―フッ

メイド型「ですが御主人様が姫エルフ様を居候として認めた今。姫エルフ様は排除の対象では無くなりました」

姫エルフ「それまで排除の対象だったのワタシ……」カタカタカタ…

メイド型「……?」

姫エルフ「何かおかしいでしょうか? って顔で首を傾げないで」

メイド型「ですから私は姫エルフ様を居候として受け入れます」

姫エルフ「……そこは客人ではないの?」

メイド型「客人が土足で人様の家に入ったあげく、家主を奴隷扱いした上に殺そうとまでするでしょうか?」

姫エルフ「ン゛グッ」

メイド型「その上衣食住を要求して3ヶ月住まわせてくれと懇願するでしょうか?」

姫エルフ「私は……居候……です……」カクーン

メイド型「理解していただけたのであれば幸いです」

姫エルフ「はい……」

メイド型「……いい時間ですしお昼にしましょうか」

―ガタッ

姫エルフ「お昼ごはんっっ!?」ピョンッ

姫エルフ「一体どんなごちそうを用意してくれるのかしらっ!」フフーン!

メイド型「ごちそうではありません。簡単なもので済ませます」

姫エルフ「えぇー……あなただって食べるんだから美味しい方が絶対に――」ピタッ


姫エルフ「――……食べる?」


メイド型「はい?」

姫エルフ「いえ……昨日だって……今朝だって食べてたじゃない……」ブツブツ

メイド型「……姫エルフ様?」

姫エルフ「ねぇ。あなたが食べるのって何のためなの?」

メイド型「嘔吐前提のプレイの他、エネルギー補給も兼ねてです」

姫エルフ「なるほどね……って嘔吐プレイって何よ……」オゲェ…

姫エルフ「でもまぁいいわ……」ククク…


姫エルフ「フッフッフ……」


姫エルフ「アーーッハッハッハッハゴホッ!? ゲッホゲッホエ゛ーッホゲホゴホッ!!」ゲホゴホッ!

メイド型「…………」

姫エルフ「ッケホ……ン゛ン゛ッ。……フフフ……見えたわ……!」ニタァ…


姫エルフ「あるじゃない……ワタシに『デキる』こと……!」グンッ


姫エルフ「それも……ワタシにしかデキないとっておきが……目の前に……!」ビシィッ

メイド型「……………………」


姫エルフ「あいつとあなたに貢献できるワタシにしか出来ないピッタリなお仕事!」ビシシィッ


姫エルフ「――つまりッ! あなたを『研究』し尽くすってことよーーッッ!!」―バァァァァンッ!


メイド型「…………」

メイド型「私を……ですか?」

姫エルフ「そうっ! あなたをっ! よっ!」ムフーン!


――――――――

ここまで
何と言うか、ごめんね

――
――――
――――――――

…タタンタタン …タタンタタン…


【本物以上の幸福を】

男(……見飽きた広告。毎日どこでも目にする広告)

男(電車の中吊りにすら進出している、セクサロイドの広告)

男(…………)

男(……細かい事覚えてないけど……短い期間でそれなりに色々あったよなぁ)

男(性的搾取を防げる革命だとか。性の自由だとかなんとか。声の大きい層に受けが良かったというか……)

男(……ともかくセクサロイドの登場によって、色んなものがスムーズに片付いた……そんな感じだったっけか)

男(まぁ最終的に学校の性教育の為の配備計画があるって話聞いた時は大笑いした記憶あるけど……)

…タタンタタン …タタンタタン…

男(…………)

男(そう。モノだから、『道具』だから丸く収まったってことだよな)

男(摩擦が起きやすいデリケートな問題を、セクサロイドっていう道具で片付けた……そういう……)

男(…………)

男(科学技術がすごい勢いで進歩して、ほんの少し前の映画やアニメマンガの世界は追い越すようになって……)

男(いつの頃からか……深く考えなくなった)

男(科学ってスゲー。って。自分の想像するようなもんは全部あるんだろなー。って)

男(…………)

男(……実際進んではいたけどさ)

男(人の手で新たな『命』を創るべきか否か、その選択が既に終わってるぐらいには……)

…タタンタタン …タタンタタン…

男(…………)

男(……だから)

男(だから気づかなかった)

男(『ありえない』と思いつつも、これくらいは『あるだろう』って思いこんでた)

男(…………)

男(いや『あって欲しかった』んだろなぁ……個人的に)

プシューッ…

男(同僚の話から察するに、自立思考を持つセクサロイドは存在せず)

男(またバトロイドが現実ラインで作られてる背景も存在しない)

男(……っぽい)

男(…………)

男(じゃぁメイドさんは何なのって話になるよな……)

男(見事に2つの前提を完全にぶっちぎってる訳だし)

男(あとは映画よろしく秘密裏に製造された兵器とかの可能性だけど……?)

男(どっかのハンガーに俺が不法侵入して出会ったりとか、空から降ってきて運命的な第一次接触とかでもなく)

男(元は酔った勢いでポチッたクッソ怪しいサイトの注文からだし)

男(普通に宅急便で届いちゃってるわけだし)

男(そもそも何で俺の家なのってことになるし……)

男(…………)

テクテク…


男(……ダメだ。THE・普通の脳みそには負担が大きすぎる問題だ)

男(産まれつき何らかに突出した能力や体質がある訳でもない)

男(資産家の孫とかでもないしヤバいお嬢様の友達とかもいない)

男(誇れるのは自慰を欠かさない程度のしがないサラリーマン)

男(…………)

男(……そうだもう2日もしてないじゃん。そろそろ不本意な勃起が発生しそうな――)

男(……早くも脱線気味になってきたぞ。今考えるべきはメイドさんのことについてで……)

男(……でもメイドさんだけならともかくあのチビエルフ娘まで来ちゃったしオナニーできなくない……?)

男(…………)

男(え、待って。まさか3ヶ月間ぶっ続けでオナ禁もありえるとか冗談じゃ――)


「あ、あれ? 男さん?」

男「……え?」

管理人「ぐ、偶然ですね! わたし晩ご飯のお買い物してて……男さん、い、今お帰りなんですか?」エヘヘ

―タユン

男「……勃起」ボソ

管理人「は、はい?」キョトン

男「ン゛ンッ! 何でもないですないです!」ブンブン

管理人「そ、そうですか?」

管理人「…………」

管理人「あ、あの……もし用事が無いのでしたら……」

男「? 何でしょう?」

管理人「えーと……あのあの……」モジモジ

管理人「いッ、一緒にごッ! ごごっ!」

男「ゴゴッ?」

管理人「あのっ。わたっわたしのおうちでですねっ!」ギュゥゥゥ―

男(――ッ!? 何だあの谷間はッ!? 日本海溝――いやッ! マリアナ海溝かッ!)ゴゴゴゴ…!

管理人「ごッ――」

管理人「――~~~~ッ」パクパク…

管理人「い、一緒に帰りませんか……?」ヘニョーン…

―ダユンッ…

男(腕に挟み上げられていた双丘が下方向に任せて広がっていく様を見てニュートンは重力を発見したのかもしれないかもしれないことはないのかもしれないが……!)

男「――ハッ」

管理人「だ、駄目でしょうか……?」ヘニョーン

男「いえいえっ! 第一駄目も何も帰る方向一緒じゃないですか?」

管理人「そ、そうですよね! わたしったら何を……」

管理人「何を……言ってるんでしょうかね……」アハハ…

管理人「何もイメトレを活かせてないわたしなんて……やっぱりヘタレ管理人なんですね……」エヘヘ…

男「イメトレ?」

管理人「――ッはわっ!? いえいえ何でもないですないです気にしないでください!」ブンブン


―ドゥュヮォンンヌヌッ…! ボュワォンヌヌゥッ…!

男(ほあああああ! ばるんばるんしよる! このばるんばるんしてはるんを見てコペルニクスは地動説を考えついたのかもしれないとかしないとかなんとか……!)

ここまで
試しに小出しで投下してみる

――――

テクテク…

管理人「あ、あの男さん……?」―ョン ―ュャン

男「はい何でしょう」

管理人「どこか体調優れないんですか?」―ョン ―ュャン

男「いえ、すこぶる元気ですよ」

管理人「それにしてはその、前屈みですし……お腹でも痛いんじゃ……?」―ョン ―ュャン

男「背筋を伸ばしているだけですから。至って元気ですよ」

管理人「な、ならいいんですけれど」―ドゥワュゥォゥン…

―ググッ

男「ッ痛たたたた」ググッ

管理人「や、やっぱりお腹痛いんですか!?」

男「いやポジションがちょっと悪くて」

管理人「ポ、ポジション? 大丈夫ですか? 良かったら肩を――」
男「いえッ!!!!」ババッ!!

男「元気ですから! 元気すぎるから問題なのであって! 本当大丈夫なんではい!」

管理人「そ、そうですか……?」

男「今肩を借りてしまったら逆に動けなくなる可能性が高いので!」

管理人「…………」ジー…

男「……管理人さん? 何を見て…………あ」

―コンモモリッ

管理人「…………あ、あのっ」///

男「……これはですねその……望まないタイミングでアレになる……その……アレなんです!」モリモリコンモリ

管理人「だ! だだだだ大丈夫ですよ! 生理現象ですから! ね? わたしだって乳く――」

男「乳首……?」ジッ…

管理人「――ごっ、ごめんなさい! あのあのみみ見ないで貰えるとあのあのあのあのっ!」アワワワワ

男「こっ、こちらこそほんとスンマセン! お互い見られた傷み分けみたいな感じでどうにかえっと!」アセアセ

管理人「は、はいっ! それはもう全然OKですです! 気にしてないですし、ね、ア、アハハハ……」ハハ…ハハハ…

――――

テクテク…

男「…………」

管理人「…………」///

男(……やっちまったなぁ。モコリンテント見られてからずっとこの空気だもの……)

男(管理人さんの乳首思いっきり目で探しちゃったし、言い逃れしようがないし……うーん最悪……)

管理人(やっぱり男さんの性欲すごいって本当だったんだ……! 昨日だってメイドさんとヤッていてなおって事はもう絶倫間違いなしで……!)ヒャー!

管理人(あとあとあのズボンの膨らみからすると……これ位? それでもっと本気モードなら……これ位? ひゃ、ひゃぁぁ……!)ヒャワワワ…!

男(……かくなる上は――)

男「……管理人さん」

管理人「ひゃ、ひゃいッ!?」ビクッ

男「ちょっと相談ごとがあるんですけど……良かったら聞いてもらえます?」

管理人「え、は、はい! ……わたしでよければ何でも……!」

男(――話題を全力で逸らすしかないっ!)

男「何と言うか……うまく言いにくいんですけど……」

男「……ある日突然」

男「何か自分の身には大きすぎる事件……みたいなものが起こったとするじゃないですか」

管理人「は、はい」

男「……ごめんなさい。これじゃぼかし過ぎて何が何やらですよね……」ポリポリ

管理人「い、いえ! 聞きたいですわたし! 続けてください!」

男「ありがとうございます。えっとですね……それは、無視できないほど身近で、避けられないものなんです」

管理人「身近で避けられない……はい」

男「それがほぼ2つ同時に起こったとします」

管理人「ふ、2つもですか!?」

男「えぇ残念ながら同時になんです」

管理人「……大変ですね」

男「身に余る問題なので解決がほぼ望めないんです。……自分の能力不足と言いますか問題がデカ過ぎる言いますか……」

管理人「うーん……」

男「管理人さんだったらどうします?」

管理人「わたしだったら……」

管理人「解決しようと頑張っちゃいますね……」エヘヘ

男「……物凄~く厳しいというか、ほぼ無理って感じの前提でもですか?」

管理人「はい……多分、頑張っちゃうと思います」

男「なるほど……いやぁ管理人さんは強いなぁ」
管理人「あっ! いえっ! 違うんです! そういうのではなくて!」―バッ―ッゥルン

男「へ?」ジッ…

管理人「どちらかと言うと悪い癖みたいなものなんです……」

管理人「その……ちょっとずつ頑張れば、いつかできるかもって……特に勝算もなく頑張っちゃうみたいな……」

管理人「ま、まぁ頑張る方向が見当違いだったりして結局失敗することがほとんどなんですけど……」エヘヘ

男「…………」

管理人「でも……」

管理人「何もしないよりかは、解決にちょっとずつ……ほんの少しずつだって近づいてるって……」

管理人「そうやって信じて、頑張っちゃいます」ムンッ

管理人「……い、今だってそうですし……」…チラ

男「はぁー……管理人さんも同じような悩み抱えてたんですね」

管理人「……あっ! いえっ! そんな大きな悩みでは……個人的に大きな問題ってだけでその……!」アワアワ


男「……なるほど、そうか。よくよく考えてみれば……」ブツブツ…


管理人「――――………………あっ、男さん男さん!」クイクイ…

男「そういえば自分のやり方を見失ってたなぁ……」ブツブツ…

管理人「あ、あの……その、もうマンションに帰ってこられたので……その……」クイ…

男「ノリと勢い。そうだよ。対象の大小で決めるとか全然らしくないじゃないか」ブツブツ…

管理人「良かったら……その……えぇと……お、美味しい塩大福を買ってあるので……」ツンツン

男「そうだ今までそれで何とかやってこれたんだ。セクサロイドやあのチビッ娘にいちいち怖れる必要はない」ブツブツ…

管理人「良かったら軽く……か、軽く……お、おおお夕飯前ですけれどもっ……おおおおおっ……おっ、お茶でも飲んでいきません……か……?」ボシュゥゥゥ…!

男「……ありがとうございます」―ガシッ

管理人「ぴゃひッ!?」ピ↑ーッ!

男「助かりました。おかげで自分を取り戻せそうな気がします」

管理人「あ、よ、良かった……男さんも甘いもの食べないとつらいタイプの方だったんですねっ」

男「…………」

男「……甘いもの食べないと、つらいタイプ?」

管理人「わたしもそうなんですよっ! たくさんあるので是非食べて行ってくださいっ。あ、あのっ! わたしのオススメの和菓子屋さんの塩大福なんですよっ」キラキラ

男「塩大福を食べる……」

管理人「も、もちろんお茶も淹れますよ! お茶も実家から送られてきた結構いいやつみたいなので……美味しいと思いますっ!」キラキラ

男「管理人さんの部屋で……食べる……?」

管理人「あっ、大丈夫です片付いて――いえッッッ!!! ちょっと片付いてないかもしれないのでッ! 10、いえ5分程待って貰えますかッ!」///

管理人「もうすぐばーって片付けるので! 念のためです! じゃぁ片付けてくるのでそこで待っててくださいねっ!」

―ドダダダダダダ―ガチャバタンッ


―ンンンン…


男「…………」

男「……え」

男「旦那さんが不在の管理人さんルームへ……」

男「俺、入るの……?」


男「入って……お茶しちゃうの?」


男「……旦那の留守中に?」


男「……管理人さんと?」


男「……ふたりきりで?」


男「…………」


男「……やばくない?」


男「…………」


男「いや、やばくない?」


男「…………」


男「……やばくない?」

ここまで

――――

…ギョクリッ

男(唾を……ッ!)


男(唾をまともに飲み込めない……ッ!)

男(喉元から変な音がするくらい……ッ! まったく飲み込めていない……ッ!)

男(手汗もすごい……! 脇汗もすごい……! 何なら尻の谷間もものっそい汗をかいている……!)


男(昔を思い出す……! 実家の自分の部屋のエロ本が……綺麗に整頓されて机の上に乗っていたあの時を……!)

男(あの時の……居間へ行くまでの階段を下りていく時のお腹の痛さを……ッ!)


男( ―― 俺 は 今 、あ の 時 以 上 に 緊 張 し て い る ッ ッ ッ ! ! ! )

…ギョクリッ

男(無駄に高――くはない、お値段以上ニトリ程度で品よく揃えられた感の家具やインテリアから――)

男(管理人さんの見栄を張らない素直な性格を――素直な人妻感を感じるッ!)

男(使い込まれてはいるが清潔な台所に、整理整頓された道具と調味料に満ちたパントリーから――)

男(管理人さんのメシウマ力を――メシウマ人妻感を感じるッ!)

男(そして……! そして……ッ!)


男(この香りッッ!!)


男(香水でもなくアロマでもなく――)

男(恐らくただ単にシャンプーとコンディショナーと体臭が混じっただけのこの部屋の香気ッッ!!)

男(旦那さんがいない期間が長いせいで……管理人さんのフレグランスだけがこの部屋に満ちているッッ!!)

男(……マズい……! これは良くない……! 絶対にマズい……!)

男(今の俺には……余りにも……)

男( 十 分 す ぎ る …… ! )グッ

―モ゛リッ

男(止む負えないオナ禁によって妄想力が幾重にもパワーアップしている状態でこんな……こんな管理人さんルームになんて来てしまったら……!)

男( ―― 捗 っ て し ま う …… ! )

男(捗らざるを得ない……! だって俺は男の子だから……! 股間はいつだって青年誌のグラビアで隆起する思春期中学生だから……!)

男( ―― 加 え て )

男(さっき管理人さんにテントを見られた事が合わさってしまうと……ぐぅ……ッ!)

男( ―― チ ン コ が 痛 い ッ ! ! )

男(ポジションがあまりに悪すぎる! ズボンに対してチンコが破城槌を仕掛けている感じだ! 何とか上へ逸らせて延命を図りたいが……! が、しかし!)

男( ―― 不 可 能 ! )

男(何故ならお茶を淹れている管理人さんがさっきからこっちをチラチラ見ているから……!)

男(ここでトイレに行って直そうとすれば張力MAXのテントを晒すことになり――)

男(――かと言ってこたつに深く潜ればチンポジいじったなと確信されるだろうし――)

男(――管理人さんに背を向けたらこいつチンポジいじったなって100%思われるだろうし――)

男(詰んでいる……! この状況既に詰んでいる……!)

男(ここは悪チンポジに耐えながら、襲ってくる管理人さんの人妻臭による更なる勃起に耐えきるしかないんだ……!)

――――

メイド型『管理人様と深い仲になるチャンスです』エコー…

――――

男「それはダメ!」

管理人「へぁあっ!?」ワタタッ

男「え、あっ、ちょ、ごめんなさい! 大声出しちゃって!」

管理人「ひょ、ひょっとして好みの銘柄があったりします? うちには煎茶とほうじ茶と玄米茶があって……あっ!もし無かったら買ってきますけど!」

男「今のままで結構です結構です! 今ちょっとその、えーと……なんかソシャゲで失敗しかけただけなので……驚かせてしまって申し訳ないです!」

管理人「そ、そうですか……?」

――――

―コトッ コトッ…

管理人「こ、こちらお茶と塩大福になります。……ど、どうぞ」スッ

男「あ、どうも。ありがとうございます。それじゃいただきます」モグモグ

管理人「……♪」ジーーーーーッ


管理人(はぁ~~……♪)

管理人(はぁあああぁあぁぁぁ~~~~……♪)

管理人(お口をモッヒモッヒさせながら塩大福食べてる男さん尊い……)

管理人(尊さでわたし死にそう……死んでもいいかな……いや死んだら終わっちゃうからダメだぁ……)

管理人(――思い切って部屋に呼んだ時は脳と顔のすべて神経焼き切れて死んだかと思ったけど……)

管理人(勇気を出して呼んで良かった……この部屋に男さんがいるなんて幸福……ちょっと前まで妄想の中でしか起こらなかったのに……)

管理人(男さんが風呂出た後にコンビニ行く時に挨拶しつつ嗅いだ香りとはまた違う……整髪料とデオドラントスプレーを超えて香ってくる――)

管理人(――汗の香り。体臭の香り……。一日頑張ったからこそ出てくる男さんのフレグランス……)

管理人(それをこんな間近で嗅げるなんて本当になんてツイてる日なんでしょう……)

――――

男(管理人さんに微笑まれながらびっくりする程美味しい塩大福を食べる――素晴らしい時間には間違いないが……)

男(やはり旦那さんがいない間に、男性が管理人さんの部屋に長時間いるのは良くない……よな)

男(夕飯前に軽くお茶を、って話だったし……そろそろ話を切り上げてお暇しようかな……オナネタ沢山貰えたし……)

男「……あの」

管理人「はい、何でしょう♪」

男「その、管理人さんの旦那さんって、いつ頃帰ってくるんでしょうかねぇ?」アハハ

管理人「…………」

管理人「……夫は……まだ帰ってきません……」

男「あっ、そ、そうですか……」

管理人「いつ帰ってくるかも分かりませんし……」クシクシ…

男「や……あ、あの……なにかすみません……」

管理人「…………」モジモジ…

男(……ん?)

――――

男『その、管理人さんの旦那さんって、いつ頃帰ってくるんでしょうかねぇ?』アハハ―アハハ―アハハ―…―

――――

男(…………)

男(この発言ダメじゃね!? 完全に間男のアレのアレじゃん!! いつまでデキるか確認取ってるアレじゃんこれ!)

男(帰る為の軽い会話の布石になってないどころか間男アプローチそのものじゃん!)

管理人「…………」モジモジ

男(どころから完全に誘われたと思ってる可能性大じゃないか!? その気っぽく見える管理人ドチャクソエロくてアレだけど!?)

管理人「……あの」

男「ひゃッ、はいっ!?」

管理人「良かったら……その、晩御飯もご一緒にどうでしょうか?」モジ…モジ…

男「え゛っ」

管理人「そ、その後お時間あるようでしたら……男さんおすすめの映画とか見たり……」

男「えっ!? えっ!?」


管理人「……ど、どうでしょう、か?」ムギュワァ―

―ボニンッブルァウッフンゥン―ゥン―ゥン―ゥン―…―…―

男「いいですよ!」b

管理人「ほ、本当ですか!? じゃ、じゃぁ早速準備しますから……! く、くつろいでてくださいっ!」タタッ

男「ありがとうございます!」b d

管理人「ふふふ……2人分だから卵を~♪」チャッチャッ―

男「……………………」

男(ど、どうでしょうかって目の前で不安げに組まれた両手の下――)

男(――その腕が二つの山を挟んで変形させたあげく弾力が耐えきれなくなってぷるんぷるんとか……)

男(そんなネゴシエーションされたら150%通るわ……管理人さん天然の交渉人だよ……いやどちらかと言うと凶器向けてるから脅迫者だよ……)

男(ヤベェぞ……どんどん状況が悪くなっていくし……)

男(先走りも出てきてパンツの状況も限りなくヤバくなってきたぞこれ……どうしよう……)

―ジワァ

――――
――

姫エルフ「……あいつ遅いわねぇ」ブラブラ

メイド型「……遅くはないと思いますが」トッ トッ トッ…

姫エルフ「そう? 晩御飯食べたの昨日のこのくらいの時間じゃなかったかしら?」

メイド型「仕事の残業であったり、あるいは買い物であったり、御主人様がいつも通りの時間に帰宅できるとは限りません」クツクツ…

姫エルフ「う゛~~早く晩御飯食べたいのにぃ~」キュルルルル―ククゥ…

姫エルフ「~~~ッッ!?」

姫エルフ「あ、あの今のはお腹の音じゃなくてエデンの音で」アセアセ

メイド型「聞こえていませんでした」

姫エルフ「そ、そう? ならいいけれど」フ、フフン

メイド型「……録音はしましたが」ボソ

姫エルフ「何?」

メイド型「いえ、別に何でもありません」グツグツ…

姫エルフ「……早く帰って来ないかなぁあいつ……」ブラブラ

メイド型「……随分と心待ちにしているようですね」ジュワァァァ!―ジャッ!ジャッ!ジャッ!

姫エルフ「べ、別にあいつが待ち遠しいわけじゃなくて……晩御飯が遠のくから……」ブラブラ

メイド型「…………」

メイド型「……今日は、御主人様と一緒の食事ではない可能性が高いです」―カチッ

姫エルフ「ん? それってどういう意味?」ブラブラ

メイド型「御主人様が外食してくる可能性が高いからです」フキフキ

姫エルフ「はァ!? あなたのこんなに美味しい食事が家にあるのに外で食べる気なのあいつ!?」

メイド型「ええ。美味しい美味しくない、の問題ではなく一緒に食事を取ることの方が優先されることもあるでしょう」

姫エルフ「??? 言ってる意味が全然分からないんだけど……」

メイド型「……御主人様は隣の管理人様の部屋にいます。恐らく晩御飯はそこで取られるかと」キュッキュッ

姫エルフ「……………………」

姫エルフ「…………」

姫エルフ「――――」―★。、::。.::・'゜☆。.::・'゜★。、::。.::・'゜―

姫エルフ「え゛っ!? 待ってあいつ……えっ、そうだったの!? マジなの!?」

メイド型「理想のタイプだと前に仰っていました。ただ既婚者なのが惜しいとも仰っていました」

姫エルフ「な、な~んだ! 人妻ならただの女友達ってことね! 焦る要素1つもないけど焦ったわ!」フフン!

メイド型「ですから旦那さんが不在の今はチャンスなのでは、とアドバイスしました」

姫エルフ「あんた何てことしてくれてんのッ!? 既婚者の女性にアプローチかけるとか不埒よ不潔よ間男よ!?」

メイド型「NTR(リ)にあたりますね。私の立場的はNTR(ラレ)と言ったところでしょうか」

姫エルフ「何ソレ!? 意味分からないんですけど!?」

メイド型「鬱々とした気持ちになりながらも性的興奮が止まらなくなるケースが数多く報告されています」

姫エルフ「聞いたってまったく意味分からないし何かおぞましいし歪んでるわ!よくわからないけど!」プンプン

メイド型「先ほど御主人様に向けてこっそりエコーをかけたメッセージを送ったので……良い影響が与えられたはずです、恐らく」

姫エルフ「あ、あなたねぇ……」ハァー

姫エルフ「…………」

姫エルフ「ワタシは……ワタシは別に関係ないけどさ」クリクリ…

姫エルフ「あなたは……どうなの?」

メイド型「? 何が、でしょうか?」

姫エルフ「いやその……ワタシには……あなたが……」

姫エルフ「男のことを、好きなように見えるんだけど」ポリポリ

メイド型「…………」

メイド型「それは御主人様がそう設定したからです。……正確にはデフォルトの設定に従った、が正しいでしょうか」

メイド型「嫌われているのを無理矢理屈服させるのが好きな御主人様でしたら、私はきっとそのようなセクサロイドになったでしょう」

姫エルフ「……あくまでそうプログラムされているからって言いたいの?」

メイド型「……私が望んでいるのは私の役目を果たすことであり、私を認めてくれた御主人様の幸せをサポートすることです」

姫エルフ「……そ」

メイド型「ええ。他にも何か?」

姫エルフ「……ううん別に。あいつ来ないの分かってるなら晩御飯食べちゃいましょうよ」

メイド型「……何故怒っているのですか?」

姫エルフ「……怒ってないわ。気のせいよ」フン

メイド型「しかし体温心拍、神経伝達物質が――」
姫エルフ「――怒ってない」

メイド型「……わかりました。ご飯の支度をします」スッ―

姫エルフ「……あとワタシも聞きたいんだけど」

メイド型「はい?」

姫エルフ「あなたも怒っているように見えるわ」ジッ

メイド型「…………」

メイド型「……ありえません。私はいつも通り、正常です」

姫エルフ「……そう。じゃぁ気のせいかもしれないわね」

姫エルフ「……気のせいかもしれないけれど、あなたって意外に表情豊かなのかも?」

メイド型「…………ありえません。私は鉄面皮クールメイド、頬を染めるのは夜伽限定の――」

姫エルフ「分かったってば。そこも含めてワタシが研究してあげるわ。ご飯にしましょご飯。確かこの小汚い布を濡らしてテーブルを拭けばいいのよね?」

メイド型「…………」

メイド型「……ありえません。そんなことは決して」ジジッ…キュィン

ここまで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年03月11日 (土) 00:43:22   ID: 6y0Adb1V

おもろい^ ^

2 :  SS好きの774さん   2017年03月30日 (木) 02:47:54   ID: -fMRCo2u

もっと管理人さん出してほしい

3 :  SS好きの774さん   2017年04月04日 (火) 13:20:02   ID: VtUZKqFj

炉心レイプとマントルファックの語呂の良さ
期待

4 :  SS好きの774さん   2017年06月04日 (日) 15:10:18   ID: 8Kvmj_rB

もっと!!!!!!!!!!
くれ!!!!!!!!!!!!!!!!ー!

5 :  SS好きの774さん   2017年07月06日 (木) 15:57:22   ID: ACl9veEE

チュッチュンチュベロベチュブチュドピュドビュビュクッブシプシヌチュグチュドチュバチュンゴリュンボリュンドピュルルZZで腹筋崩壊した

6 :  SS好きの774さん   2017年07月19日 (水) 09:30:22   ID: 34DjdlZP

エルフ死ねムカツクわ

7 :  SS好きの774さん   2017年08月10日 (木) 14:30:34   ID: StjU4kSK

支援です。
頑張ってください!

8 :  SS好きの774さん   2017年11月11日 (土) 06:21:26   ID: i7Ui9IZy

最後の謎が気になる。早く続きを見たい!

9 :  SS好きの774さん   2017年11月18日 (土) 10:38:56   ID: dOM7Xt8W

ぜひ管理人さんとの…

10 :  SS好きの774さん   2018年01月02日 (火) 00:44:15   ID: cIiDlzdx

期待

11 :  SS好きの774さん   2018年01月19日 (金) 23:05:10   ID: gPtZ-Vu5

続き楽しみです いつでも待ってます

12 :  SS好きの774さん   2018年03月17日 (土) 23:42:07   ID: KjdOAWvq

続き読みたい

13 :  SS好きの774さん   2018年06月14日 (木) 23:41:29   ID: oijrQ08_

めっちゃ面白いです!
続きが読みたい!

14 :  SS好きの774さん   2018年11月06日 (火) 02:05:00   ID: TOkofIM-

久々に来たら続きがあって涙した
楽しみにしてます

15 :  SS好きの774さん   2019年07月19日 (金) 11:04:55   ID: FluO3qTp

続きはないんですか!?

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