曜「千歌ちゃん日記」 (28)

突然だけど、私は今日から日記を書き始めようと思う。どうして今日からかというと、今日は千歌ちゃんとアイドルをすると決めた日だからなのだ!小さい頃からずっと、千歌ちゃんと一緒に何かしたいと思っていたけど、なかなか何かを一緒にする機会に恵まれなかった。今までに何度か私から誘ってみた事はあったけど、返事はすべてノー!だからこそ、私はこのチャンスを大切にしたい。というわけで、渡辺曜!輝かしいスクールアイドル生活に向けて、前力前進ヨーソローであります!

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今日は、私と千歌ちゃんの2人で始めたスクールアイドルに梨子ちゃんという新しいメンバーが入った。まあ千歌ちゃんが強引に押して押して押しまくった末に渋々入ったって感じだけど・・・。何はともあれ、作曲が出来る梨子ちゃんが入ってくれて、私達はラブライブを目指せるようになった!ラブライブの決勝に出れるようにこれまで以上に頑張らないと!でも、千歌ちゃんと2人きりが良かったなぁ・・・。

今日は私たちのファーストライブをした。大きなハプニングはあったけど、私たちは見事体育館を満員にし、大成功を収めることが出来た!途中、停電が起きて音楽が止まった時に、泣きながら歌おうとした千歌ちゃん。普段千歌ちゃんは私のことを完璧で強い人だって思ってるみたいだけど、千歌ちゃんの方がよっぽど強いって私は改めて思った。そんな千歌ちゃんだからこそ私は好きになったのかも、なんて。

今日は、花丸ちゃんとルビィちゃんが新しく加わった。5人になって、ようやくちゃんとした部として認められた私たち!人数が増えたから練習の時もとっても賑やかで楽しい。千歌ちゃんは1年生の中ではルビィちゃんがお気に入りみたいでよく話しかけてる。その横では当然の如く梨子ちゃんがいて、優しそうに微笑んでいる。そこは私の定位置だったのに。

今日は1人で沼津まで衣装に必要な生地を買いに行った。千歌ちゃんも誘ってはみたけど、予定があるみたいで断られた。残念。そういうわけで1人で沼津で買い物をしていると、反対車線に見覚えのある顔を見かけた。梨子ちゃんだ。折角だし声でも掛けようかと思いながら横断歩道で待っていると、梨子ちゃんの元に駆け寄って行く千歌ちゃんの姿が。

なんだ、千歌ちゃんの約束って梨子ちゃんとだったんだ。どうして私に教えてくれなかったんだろう。梨子ちゃんと遊ぶって。昔は何でもお互い教えあって、秘密事も無かったのに。千歌ちゃんも変わっちゃったのかな?それとも梨子ちゃんが隠すように言った?うん、そっちの方がありえる。だって千歌ちゃんが私に隠し事なんて、まったく信じられないことなんだもん。結局私は1人で生地を買って1人でバスに乗って1人で帰った。

今日は善子ちゃんが新しく入った。自称堕天使でちょっと痛い子だけど話してみると意外と真面目で礼儀正しい子だった。ちなみに、善子ちゃんを誘った時に、みんなで堕天使風衣装を着たんだけど千歌ちゃんがとっても可愛かった。まあ、千歌ちゃんは堕天使って感じじゃなかったけど。千歌ちゃんはむしろピュアな所とか天使だと思う。無意識の可愛いさって言うのかな?梨子ちゃんやルビィちゃんたちが千歌ちゃんに惹かれるのも無理はない。だからといって千歌ちゃんを渡すつもりは無い。千歌ちゃんは私の、私だけのものだ。

今日はAqoursのみんなで千歌ちゃん家に集まった。私がいつものようにベッドの上に座ったら、千歌ちゃんは私の隣ではなく梨子ちゃんの隣に座った。当たり前のように、昔からそうであったかのように。千歌ちゃんはとても楽しそうだった。梨子ちゃんもみんなも楽しそうだった。私はほとんど喋らなかった。善子ちゃんは私が喋ってないのに気付いて、ことあるごとに話を振ってくれたけど、千歌ちゃんは一度も話を振ってくれなかったし、私の方をほとんど見てもくれなかった。もう千歌ちゃんの隣にいる人は私じゃないんだなと感じた。帰りのバスでは、善子ちゃんが気を使ってどうにか盛り上げようとしてくれた。本当に名前の通り善い子だった。もし私が善子ちゃんと付き合っても千歌ちゃんは何も感じないのだろうな。

今日の東京でのライブはこれまでに無いぐらいの大失敗だった。いや、大丈夫と書いたら少し語弊があるかな?まあともかく、結果は散々だった。しかも私たちのパフォーマンスがベストだったにも関わらず、だ。私は今までで一番悔しかったし、他のみんなもとても悔しがっていた。ただ千歌ちゃんを除いて。千歌ちゃんは悔しがっているみんなを元気づけようと目一杯明るく振舞った。

だけど、千歌ちゃんが一番悔しそうだったし、辛そうだった。だから私は、千歌ちゃんに「悔しくないの?」と聞いた。千歌ちゃんは私には本心を話してくれると思ってたし、千歌ちゃんにこういくとを聞けるのは私しかいないと想っていたから。だけど千歌ちゃんが本心を出してくれることは無かった。やっぱりみんながいるから強がっちゃうのかな?明日の朝、みんながいない時に千歌ちゃんと話をしてみよう。

今日は千歌ちゃんと話そうと、朝早く千歌ちゃん家の側のバス停に着いた。そこで私は見てしまった。千歌ちゃんと梨子ちゃんが海に入っているところを。千歌ちゃんが梨子ちゃんに抱きついているところを。そして、千歌ちゃんが泣きながら自分の思っていることを全部ぶちまけているところを。私には一度も言ってくれなかった千歌ちゃんの弱音を梨子ちゃんには言っている。私には見せない顔を梨子ちゃんには見せている。私には言ってくれなかった本音を梨子ちゃんには言っている。幼なじみの絆は隣人との絆には負けるということを思い知らされた。本当は帰りたかったが、後ろを見たら1年生たちが来ていたので帰るわけにはいかなかった。私はいつも通りの笑顔で千歌ちゃんたちの元へ駆けて行った。

今日は千歌ちゃんが風邪で休んだので梨子ちゃんとお見舞いに行くことになった。千歌ちゃんは風邪で休んだわりには元気で、みかんをたくさん食べていた。この調子なら明日は元気で学校に来れそう。その帰り、近くの海で梨子ちゃんと少し話をした。どうやら梨子ちゃんは転入前にここで千歌ちゃんと出会ったらしい。梨子ちゃんは、千歌ちゃんが「普通な私でも輝きたい!」って言ってたなぁなんて、少し懐かしそうに話した。私は聞いたことがなかった。

今日は3年生であるダイヤさん、マリーさん、果南ちゃんが加入した。お互いに自分の思いを伝え合わなかったがために、二年間も仲違いしていたらしい。私にはどうしても他人事には思えなかった。きっと千歌ちゃんは何も感じていないのだろう。最近私は千歌ちゃんのことがよく分からなくなっていた。千歌ちゃんは私のことをどう思っているんだろう。

私は千歌ちゃんと何かに夢中になりたくてスクールアイドルを始めた。千歌ちゃんはどうなんだろうか。多分千歌ちゃんにとって私はただの数合わせでしかないのだろう。部活として成立させるためには5人必要だから。そもそも、他のメンバーはだいぶ強引に誘ったのに、私に対してはそういったものが一切無かった時点で、千歌ちゃんは私がメンバーに入ることを望んでいなかったのかもしれない。もうAqours辞めようかな・・・。

昨日と今日で私たちは合宿をした。私は海の家で料理を作っていた。千歌ちゃんは梨子ちゃんと一緒だった。夜中に千歌ちゃんは梨子ちゃんを起こして外に出て行った。私は外で、2人が帰ってくるのをずっと待っていた。やがて2人は帰って来て、堤防の上で話をしはじめた。どうやら千歌ちゃんは梨子ちゃんにピアノコンクールに出て欲しいらしい。ラブライブというのは千歌ちゃんの一番大きな夢で、地区予選はその夢を叶えるにはとても重要なものだった。

それなのに千歌ちゃんは梨子ちゃんにピアノコンクールに出て欲しいと言う。つまり千歌ちゃんの中では自分の夢よりも梨子ちゃんの方が大事だという結論が出たみたいだ。私は一度も千歌ちゃんにそんな事を言われたことは無い。そして、2人はその後長い間抱き合っていた。その様子を見て、千歌ちゃんの隣にはもう私はいないのだと確信した。私はこっそり部屋に戻って寝たふりをした。

先々週から夏休みに入っていた。千歌ちゃんは毎日のように遊び回っていた。ある時は梨子ちゃんと、ある時はルビィちゃんと、ある時は花丸ちゃんと、ある時は善子ちゃんと、ある時はダイヤさんと、ある時はマリーさんと、ある時は果南ちゃんと。だけど私が誘われる事は無かった。理由はもちろん分かってる。私が高飛び込みの練習があるからだ。だけど昔は練習があろうがお構い無しに誘って来てた気がする。きっと今は私以外にも遊ぶ相手がいるから私のことはどうでもいいのだろう。

ねえ千歌ちゃん、私は一体いつから千歌ちゃんの一番じゃなくなったのかな?いつから千歌ちゃんの隣は私じゃなくて梨子ちゃんに変わったのかな?いつから私は本音を言う相手じゃなくなったのかな?いつから私は千歌ちゃんの中からいなくなったのかな?いつから私の存在価値は衣装担当だけになったのかな?いつから千歌ちゃんは私のことを見てくれなくなったのかな?いつから私は千歌ちゃんを信じられなくなったのかな?いつから私は千歌ちゃんから好かれてることに自信が持てなくなったのかな?いつから私は弱くなったのかな?いつから私は千歌ちゃんに純粋な笑顔を見せられなくなったのかな?

もう疲れたよ。何をしてても思い浮かぶのは千歌ちゃんが梨子ちゃんと、ルビィちゃんと、花丸ちゃんと、善子ちゃんと、ダイヤさんと、マリーさんと、果南ちゃんと楽しそうに話す姿ばかり。だけど千歌ちゃんが私に笑顔で話しかけてくる姿が思い浮かばないし、思い出せない。千歌ちゃんのことを考えれば考えるほど、思えば思うほど、千歌ちゃんの笑顔が、姿が、声が、全てが遠ざかっていく。

写真を見ても他人事にしか見えない。でも、こうやって千歌ちゃんのことを書いてる間だけは少しだけ千歌ちゃんを感じることが出来る。笑顔が可愛い千歌ちゃん。小さい頃からずっと一緒にいる千歌ちゃん。無自覚な魅力を振りまいている千歌ちゃん。いつも元気な千歌ちゃん。たまに大人びた表情を見せる千歌ちゃん。安心した顔で寝ている千歌ちゃん。みかんを食べて幸せそうな千歌ちゃん。授業で当てられて困った顔の千歌ちゃん。真剣な顔で練習している千歌ちゃん。

千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん千歌ちゃん

曜ちゃんごめんね。私、曜ちゃんがこんなに悩んでたことに気付いてなかった。曜ちゃんの部屋でこの日記を見つけた時はビックリしたけど、私は読めて良かったと思ってるよ!だって曜ちゃんの本心が赤裸々に書かれてるんだもん!それとさっきも言ったけど、本当に曜ちゃんのこと大好きだからね!曜ちゃんはずっと千歌の一番でずっと千歌の隣だよ!確かに梨子ちゃんやルビィちゃんたちとも仲良いけど曜ちゃんは特別だもん!だから梨子ちゃんたちに嫉妬したら駄目だよ!

それから話は変わるけど、この日記、ただの交換日記じゃなくてお互いの不満なんかを書くようにするのはどうかな?お互いに面と向き合わない分本音をぶつけやすいし、お互いにもっと分かり合えると思うんだ!というわけで早速不満を書かせてもらうと、曜ちゃんキス下手すぎ!ファーストキスで窒息死するかと思ったじゃん!次するまでに少女漫画とかで勉強しててね!
P.S.日記より手紙みたいになっちゃったけど、交換日記ってこんなものなのかなぁ。

終わりです
読みづらくてすまない

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