男「魑魅魍魎住まう山に」 (18)

――――御免下され、一晩宿を貸してもらってもよろしいでやしょうか?

ああ、有り難うございやす

いやぁ、麓の村で聞いた噂話に怯えながら歩いていたらすっかり日が暮れてしまいやしてね

なんでもこの山には化け物がうじゃうじゃしてるとか、其処の所どうなんです旦那?

……はー、本当に出やがるんですかい

なら何故旦那はそんなおっかない山に?

はあ、修行ですかい、旦那はもしや御侍様か何かで?

鍛冶師でございやすか、てことはもしかすると其処らにある刀は全部旦那が?

そいつぁ凄い、こんな数金持ちの蔵でも見やせんぜ

……て事で旦那、少し相談がありやして……

あっし、東の都と西の都を往き来する商人でやして……

其処にある刀を何本かいただければ都で売り払って銭に換えられるんでやすが……どうです、悪い話じゃないで御座いやしょう

…………全部!? いいんでやすか?

……なら御言葉に甘えていただきやす

へへ、お近づきの印としてコイツをお受け取りくだせえ

そいつぁ緋緋色金と言いやして、なんでもえらい貴重な金属なんだとか

あっしには変わった色の石っころにしか見えやせんが人によっちゃあ金よりも価値のある物だと聞いてやす

っと、夜も更けてきた頃ですし今日はここいらで床に就きましょうや

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────なんじゃ、何かと思ぅたら人間かえ



献上物も無いのなら立ち去れ、この社はワシの根城じゃ




ぬ? おかしな事を言う、ワシが稲荷神だとしたらこんな瓦解した社に棲むわけがなかろう


この六尾が見えんのか? 昔は九本あったんじゃがの




まあそれはよい、何にせよ其処らの獣に喰われとぅなかったら今直ぐに立ち去れ、ワシもお主を喰う気はない







…………いや、気が変わった、お主はワシが喰らう




いいや待たん、喰われとぅないのなら其の包みの中を差し出せたもぅ




ほほう、塩結びか……


どれ、一つ……




はむ……んぐ……んぐ………





ん~♪ お主中々にわかっておるではないか、そうじゃ塩結びというのは少し塩っ辛くなくてはな





なんじゃ握り飯の一つや二つ寛容せえ、お主は帰って食えばよかろう



…んぐ……んぐ……くふぅ………




人間、ワシはお主が気に入った、寝床へ案内せぇ




住人が一人二人増えた処で何ら問題はなかろうよ



ええいつべこべ言わずに案内せえ、それともこんな眉目秀麗可憐な少女を有象無象で溢れる地に放る気か?




なに、夜伽の相手でもしてやろうて



これから世話になるぞ、人間

また、昼にでも

妖怪のレパートリーあんまないんで、なんか、適当に、書いておいてもらえると、うれしいんじゃないでしょうか





オラァァーーー!!!



死にたくなけりゃ酒を寄越せェェ!!!!



酒だァ、酒酒ェェ!!!!!!!!!!!!





アァン? 壁だァ? ンなモン勝手に壊れたんだろうがよォ




ンな事より酒だァ、酒を寄越せェ! じゃねえとブッ飛ばすぞ!!!




あだぁ!? 手前ェ……天下の酒呑童子サマに手を挙げるたァ良い度胸じゃねェか……!



痛ァ!? な、なんだよ、なんでそんなに怒ってんだよ……



正座ァ!? なんでオレがそんなっ……わ、わかった、わかったからそんな怒んなよぅ…………



………いや、まあ……それは………悪かった、ケド………



……なんだよぉ………そんな怒るなよぉ…………



……う…………



……うぐぐ…………ぅ……………




…………うぐ……うぅ………あい……御免、なさい…………







……住み込み? い、いやでも壁の直し方なんてしらねえしよォ……




わ、わかったって…………ったくぅ……




…………くそ、オレに説教垂れやがって……ぜってぇ喰ってやる……!



な、なんも言ってねえよ!



……! 大吟醸!!! くれるのか!!?



人間、お前イイヤツだな!!



他の人間はキライだけどお前は大好きだ!!!






………………




………ばあ



…………




……おどろいた……?



…………そう




……ちがう、迷子じゃない



ずっとここに住んでた、貴方と……




座敷わらし? ……そう呼ばれることもある……




ん……狐の怪、来た、だから、出てきた……



そう、護る、食べさせない……



褒めてくれる……? 嬉しい……!




ん、ふ……撫でられるの気持ちいい




もっと……



……♪






ごはん? ……うん、一緒に食べる



うん……雑煮、すき……



狐も一緒……?……大丈夫、護る……




ん……



ん、おんぶ……




んふ~♪ ……背中、おっきい……♪


ごはん食べたら、遊んでくれる?



……うん、うれしい




ずっと一緒、私、護る……

あんま浮かばないんで、また、夜にでも






────やあこんばんはお兄さん、良い夜だね




ふふ、そんなに驚かなくてもいいじゃないか




こんなに満天の星空なんだ、大きな木に登って眺めようと思う奴がいても不思議じゃないだろう? お兄さんみたいに、さ




ああいや、特別気を悪くしたという訳じゃないさ




ただ、その、ふふ……キミの反応が可笑しくてね



……ふふふ、顔をそんなに赤らめて……かわいらしい人だよ、キミは



……え? かわいい? ボクが、かい?



………………




…………ああ、いや、その、なに、そういう世辞は言われ慣れていないものでね……あまりからかわないでくれ、少しむず痒い……




……世辞じゃない?



……………………



…………五月蝿いな、今は此方を見ないでくれ……



かわっ!? な、何度も繰り返さないでくれっ!



……はあ……キミは今まで会った人間の中で特に意地が悪いよ、まったく



失礼な、拗ねてなんかいないさ



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