【ミリオンライブ】アイドルヒーローズ15話 (32)

アイドルヒーローズR/Vでは語られなかった物語

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471207508

※前スレ
【ミリオンライブ】アイドルヒーローズ17話 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471207508/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471377610

デストレイピア、デストル刀よりはるかに強力なダークパワーを放つ刺突剣

寸毫打ち合わせた少女にはその力の強大さが十分に理解出来た

しかし及ばない

この程度の力ならキネティックパワーには及ばない!

レイピアの動きは刀の線と違って点である

必殺の一撃以外であれば、1歩踏み込み拳を相手に叩き込むことができる

故に狙ってくるのは必殺に値する人間のピンポイントな弱点

そこから狙われる点を逆算する

正中線をカバーするように構えつつ、わざと弱点の1箇所にそれとなく隙を作り、打ち込ませる

マイティセーラーには造作もない勝負である


はずであった

狙い通りに突き出されるデストレイピアに全力の、破壊力抜群の正拳突きを繰り出す

ビルさえも両断するデストル刀とまともにカチあえるマイティセーラーの拳である

デストル刀よりも細身のデストレイピアが耐えられるはずもなく、あえなくひしゃげて刺突剣としての力を失った

「デストルドー、降伏してく

一瞬であった

獲物を失い、戦意も喪失しただろうと侮ってしまった

気づいた時にはすでに至近距離に敵がいた

レイピアを使った前後の素早い動きを元に空手を組み合わせた独自の歩法戦闘術

デストルドー総統を相手にしていたのに気を抜いた自分を恥じる

至近距離格闘を引き離せず後退を繰り返し、ついに壁際まで追い込まれ苛烈な蹴りと拳を受けてマイティセーラーは意識を失った

目を覚ました私はあたりを見回しながら現状を確認する

目立った身体的外傷は特になし、蹴られた腹と胸が少々痛む程度

両手・両足は拘束されている

かつて私の強大すぎる力を封印していた拘束具と同様の、いやそれ以上に力を押さえ込まれているのがわかる

ちょっと、解けそうにないな

壁はコンクリート打ちっぱなし、窓もなく今が昼なのか夜なのかもわからない

出口は1つ。ドアはないがどこに繋がってるのか暗くて見えないし見当もつかない

灯りは高い天井にポツポツとある蛍光灯だけ

天井まで5~7mほどであろうか

ホコリっぽさよりはジメジメした印象を受ける

そうこうしてあちこち観察したり考察したりするうちに見回りの下っ端がこの部屋を訪れ、何やら急いで連絡を取っている

「マイティセーラーが目覚めたようですわ、拘束具は機能しているみたいです。ハイ。……ハイ。では」

幸い口は拘束されていない。少し情報を聞き出せるか

「あなた、どうやら下っ端見回りのようですけれど」

「……」

反応ナシですか

「私はどのくらい眠っていましたか?今、何日の何時くらいですか?」

「……」

どうせ他にやることはないですし、続行

「本日は大変お日柄もよく……」

「……」ウズッ

あ、反応アリましたね

「誠におめでたい日となりました。私のためにお集まり頂いて誠にありがとうございま「結婚式のスピーチですの!?」

「何をやっているの、あなた達は……」

呆れた表情を作りながら田中琴葉が入室してくる

「これは、琴葉総統。大変お見苦しいところをお見せしましたわ」

深々と頭をさげる下っ端兼ツッコミ

「あなたはもう下がっていいわよ」

「しかし!」

「拘束具は機能しているのでしょう?十分です」

「万一ということもありますわ」

「ないわよ、万一なんて。あったとしてもマイティセーラーより私の方が強いもの」

あ、アタマにキそう

「お言葉ですがデストルドー総統様?あなたのレイピアを曲げたのが私だということをお忘れで?」


「拘束されててよくそんな口が聞けるわねマイティセーラー、拘束は意外と好みなのかしら」

な、な………っ!

「知りたくなかったわ、そんな性癖」

「せせせ性癖じゃないです!べ別に!」

「落ち着きなさい。あなたの性癖の話をしようと思ってここに来たわけではないの」

「……」

「私も忙しい身なの。単刀直入に言うわマイティセーラー」

「……」

「あなた、こちら側に来ない?」

「あなた、本当は気付いているのでしょう。この世界は弱肉強食、暴力と破壊による救世こそ今の世界に必要だと言うことに」

(…………)

「必要ではないです!破壊も暴力も生み出すのは悲しみだけ。悲しみより産まれる救世なんてものは、世界を不幸にするだけです!」

(これはまやかしだ)

(気付いてはならない)

「暴力や破壊は人に不幸をもたらします。あなた達が襲った街の大勢の人が悲しみ、怒り、苦しんでいるのがわからないのですか!?」

(まやかしの言葉だ)

(その矛盾に)

「確かに暴力は手っ取り早く相手を屈服させることが出来ます。屈服しない相手は消してしまえばいい。暴力と破壊は自分のエゴでしかない!!!」

(気付きたくない)





「気付いているかしら、マイティセーラー」



(辞めてください)

「…………………………何に、ですか」

(辞めてください辞めてください辞めてくれ辞めてくれ辞めてくれ!)

「マイティセーラー、それはあなた自身が体現しているということに!」



「あああああああっっっ!」

マイティセーラーは気付いていた

破壊と暴力

最もその力を持っているのは自分だということに

かつてダークセーラーと呼ばれる非常に強力な怪人と戦ったことがある

この怪人は一太刀でビルを両断し、橋を落とし、飛行機を墜落させた

これを止めなければ街は破壊し尽くされ、そこから破壊の波が伝播していただろう

それを防ぐために自分は出動したのだ

怪人と拳を合わせ、剣を交えマイティセーラーは気付いたのだ

ダークセーラーは強力な闇の力に飲み込まれ暴走した哀れな少女だということに

マイティセーラーは死闘の末、この哀れな少女を撃破したのだ

撃破

撃破

つまりは暴力による破壊、消去

屈服しなかった相手を消し去ったのだ

ダークセーラーを撃破したことで守られた街は本当に不幸だったのか

1人の少女を暴力で犠牲にしたあとの世界は救われてはいなかったのか

マイティセーラーは心のどこかで理解していた

破壊と暴力による救世を否定するのならば、今の世界も否定しなければならないのだと!

誰よりも多く破壊と暴力を正義の名のもとで執行してきたマイティセーラーはこのデストルドーの教義を否定できる存在ではないのだ!

むしろデストルドーの教義に則した暴力と破壊の化身、それがマイティセーラーではないのか!

ダークセーラーの少女、高山紗代子に!
デストルドーの幹部、リベリオンに!
名も知らぬ怪人に!
マイティセーラーは力を行使しなかったか!

否!否!否!

正義とは!

マイティセーラー、彼女は力を持ちすぎている

ダークセーラーを倒したということは同規模の災害ということ

管理せねば

万一反逆されたらどうする

万一暴走などされたらどうする

今度は止めるものがいない

早急に力を解析し、これの対抗手段を作らねば!

かつて国が管理していたほらあの……

ザ・ファースト

そう、それだ。それを中心に力を蓄えなければ

マイティセーラー1人に頼ったものではない組織を

デストルドーにもマイティセーラーにも対抗しうる組織を

いざとなれば、力を力で処理できる組織を!

「仲間は幻想……必要なものは力だけ」



「弱さは罪、必要なのは力」



「力こそ、正義……!!」

これは語られなかったアイドルヒーローズの幕間の物語

正義の名のもとの力!
力!力!力!

力を持った少女は力持つゆえに苦悩した

この苦悩は持たざる者には理解出来ず、孤立無援の戦いだ

彼女が救われるのはまた別のお話であるが、ここでは彼女は選択をしてしまった

彼女の選択はどう戦いに影響していくのか


次回【ミリオンライブ】アイドルヒーローズ16話
それぞれの戦い

次回もアイマスアイマスぅ♪

何かノってきちゃった
夏休み期間だからですかね

もう少しお遊びにお付き合いください

もう少し続けるかもなのでHTMLはしばらく保留します

①16話 元ダークセーラーとダークセーラーの話
②13話 ザ・ファーストの話
③もう書かなくていいよ、全部完成させてからちゃんと順を追ってやってくれ

どれかにしようかと思ってます

アイドルヒーローズ13話

「君の要望は大方理解したよ、一部解せないところもあるが……」

「ストラテジーのことですか?彼女以上の適任はいません。アイドルヒーローズとしての武力、戦略、知恵、決断力、大胆さを備えてますから」

「君がそこまで言うなら我々としてもやぶさかではない。君の戦線復帰の見返りとしては安いくらいだ」

「それと」

「わかっているよ、元ダークセーラーの少女も君に一任しよう。情報操作や事後処理の一部はこちらで引き受けよう」

こんな会話が成されたのが数時間前

デストルドーの騒ぎがあってからまだ1週間と経過していないが、今回はやけに早い対策だ

政府としてもデストル刀を確保出来なかったところを気にしているらしい

しかし、驚きはそこだけではない

マイティセーラーの力の解析

今までマイティセーラーが全力で戦う相手など存在しなかった

故に力の解析が進められなかったが、今回のダークセーラーとの戦いで破壊された街から力の残滓のサンプルが大量に得られたことが貢献しているのだろう

解析したものを元にマイティセーラーの力を再現し、第二・第三のマイティセーラーを創り出す

そして、その強大な力を持つセーラーズのまとめ役として白羽の矢がたったのが私というわけだ

始まりのヒーロー、ザ・ファースト

そして怪人、ついにはデストルドーを生み出してしまった諸悪の根源

最初はただただ目の前の暴力が許せなかった

悪しきを挫き、弱きを助ける

その一念のみに突き動かされ、暴力を振るうモノを排除していった

いつしかそのモノ達は怪人と呼ばれ、私はヒーローとして扱われるようになった

怪人と呼ばれるモノ達は単体で散発的に発生していたが、敗北を繰り返す事に次第に組織的になっていった

怪人組織に対抗すべく国の力を借り、ヒーローも組織化し力をつけた

これがデストルドーとアイドルヒーローズの始まり

間接的とはいえ、デストルドーの始まりは私にある

私はデストルドーが相手である限り、尽力を惜しむことは許されないのだ

今回のデストルドーが主犯となった事件は初めての大規模抗争へと発展した

デストル化ガス、ダークセーラー、デストル刀どれも街を破壊するにのに十分な力であった

事実、街一つが暴力の波に襲われ、壊滅状態になったしまった

多くの犠牲者も出たであろう


「今後、こういうことがないようにするための辞令だ」

「わかっています」

私の戦線に復帰が決定した

戦線の復帰に際してこちらが提示した条件は3つ

一つ、マイティセーラーの力を生み出す理があるなら、これを滅する理があるのが道理。これを直ちに解析すること

二つ、自分が抜けた組織の後釜にはストラテジーを据えること

三つ、元ダークセーラーの少女をザ・ファーストの管轄とし、情報操作及び一切の協力をすること

一つ目は当然、強大すぎるマイティセーラーの力を抑え込むためだ

毎度出撃するたびに自分の力で街を壊されたらたまったものではない

なるたけ自覚できるようにブローチのように身につけることの出来る抑制装置が望ましい

二つ目、私のかわりに事務やら組織整備、管理などを下せる現場を知った人間が必要だ

私の後釜に文民などが腰を据え、権力を握ったらアイドルヒーローズの即応性などに支障が出かねない

三つ目、もはや彼女はダークセーラーとして顔も知られ、まともに生きていくことは難しいだろう

ならば先の戦いで斃れたことにし、これをアイドルヒーローズの教訓として刻んだ方が良いと判断した

戦力になるようであればなおよしであるが


今までは後裔の育成や事務手続き、組織としてのネームとしてアイドルヒーローズの創設者として職務に就いていたが、これからは違う

これから生まれてくるであろうセーラーズを正しく導き、運用しなければならない

セーラーズ・ヘッドとして責務を果たすのだ

2度とこのような悲劇がないように……

これは語られなかったアイドルヒーローズの幕間の物語

ダークセーラー襲撃からデストルドーが再動するまでのヒーローの物語

自責の念に駆られる彼女はこうして戦線に復帰し、正しくセーラーズを導こうとする

彼女の英断が後のマイティセーラーやアイドルヒーローズに影響を与えるのだが、それはまた別のお話



次回、アイドルヒーローズ14話
準備を始めた組織たち

次回もアイマスアイマスぅ♪

書けば書くほどボロが出て、適当になっていくな……
ここらで一旦終わるか……

html依頼してきます

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