男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」 (464)

母「今月ちょっと厳しくてさぁ……アンタちょっと市役所の近くにあるダンジョンで、色々拾って売ってきてよ。
こないだ実習授業で許可証作ったんでしょ?来週までの食費にはなるし」


男「やだよメンドイ。ていうか、いくら危険度ランク1のダンジョンだからってそれなりに魔物もいるんだぜ?」


母「アンタこないだまで剣道部だったでしょ?お兄ちゃんがプロになる前に使ってた『銅の剣』あげるから。
剣道の部活も引退したんだから、少しは家の事も助けなさいよ。バイトもしてないんだし」


男「そりゃあ、先週引退したばかりだからバイトだって探し中なんだよ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470915994

母「そうだ、アンタもお兄ちゃんみたいにプロを目指せばいいのよ。稼ぎもいいんだしさー」


男「聞けよ!大体、稼ぎがいい代わりに危険な仕事じゃん。俺は平和にのんびり生きていきたいの!!
大体、兄貴からの仕送りもあるのに何で金がねぇんだよ」


母「いやぁー……ちょっと闘技場で稼いでこようと思ったら……テヘッ☆」


男「このクソババァッ!!!あれ程生活費まで持って行くなって言ってんだろうがぁぁぁああッ!!!!」


母「誰がババァだコラァッ!!!まだ36歳のイケイケだろうがぁぁああッ!!!」ギリギリギリギリ!!


男「イテテテテ痛い痛い!!ギブギブギブギブ!!!」バンッ!バンッ!!

…………



母「とりあえず100ゴールドくらい稼いできてねー、いってらっしゃーい」


*1ゴールド→100円


男「クソォ……息子にコブラツイストなんざ極めやがって……イテテ……」

母「車には気をつけるのよー」

男「ダンジョンの魔物には気をつけなくていいんかい!!」


隙あらばギャンブルに勤しむ母親の愛(物理)に背中を押され、俺は家から1km程離れたところにある、市役所近くのダンジョンへと自転車で向かった。

ダンジョンとは。


100年以上前から、世界中に現れ始めた不思議な不思議な迷宮である。
ダンジョンの入口には旅の扉と呼ばれるワープ装置のようなモノがあり、それを通る事で、異空間に作られたダンジョンへと挑む事が出来る。
中は、1つの大きなフィールドであったり、建造物であったり、迷路のようになっていたりと様々で、危険度ランクによってより広く、より深い作りになっていく。
また、各地に昔から伝わる伝説の地や遺跡などに出現したダンジョンは、その特色を強く引き継いでいるモノが多い。



ダンジョンには危険度というモノが設定されており、それは旅の扉から発せられる色によって判断出来る。
危険度の高いダンジョンには、強力な魔物やタチの悪いトラップ。難解な暗号や仕掛けなどがある。

ちなみに、魔物は現在に至るまでダンジョン内でしか確認されていない。



ちなみに現在最高危険度のダンジョンに認定されているのは、70年前にエジプト『アブ・シンベル大神殿』内に出現したダンジョンである。

設定された危険度ランクは『72』



世界中から冒険家、傭兵、軍隊などが投入され、死者38万人という大勢というにはあまりにも多すぎる犠牲者を出したそうだ。
が、ダンジョンより回収されたあらゆる資源やアイテム、文献や財宝により、人類は加速的に文明の発展を遂げる事となった。
と、歴史の授業で習った。神殿ダンジョンの写真見たけど凄い荘厳というか壮大というか、とにかく凄かった。

つまり、ダンジョンとは、資源やアイテム、古代文明の宝庫なのだ。


なお、この最高難度ダンジョンを制覇した青年は、世界の影の支配者と呼ばれるほどの富と権力と武力を手に入れたとかいないとか。

その辺の事は俺みたいな一庶民にはわからない事だ。

男「あのー……すいません」

ガードマン「ん?あぁ、もしかしてダンジョンに入るの?学生さんみたいだけどいい銅の剣持ってるし、経験者?」

男「えっと……そうです。学校の授業以外では初めてですけど」

ガードマン「じゃあランク証明書見せてー。……うん、ランク2までの証明書だね。学校でダンジョンの中の事は教わってるよね?」

男「えぇまぁ。と言っても、授業用に整備されたダンジョンだったんで、ちょっと不安ですけど」

ガードマン「まぁランク1とは言え、魔物は出るからね。でも立派な銅の剣持ってるじゃない。それが使いこなせるならきっと大丈夫さ」

男「はぁ……」

ガードマン「じゃあ、入っていいよ。あ、あとコレ。『脱出の玉』。危なくなったらスグ使うんだよ?」

男「え?でもコレお金いるんじゃ」

ガードマン「初めてなんでしょ?じゃあオジサンからのプレゼントさ。アイテム一杯持ち帰りたいかもしれないけど、無茶しちゃダメだよ」

男「あ、ありがとうございます!!いってきます!!」


脱出用の魔法アイテムをガードマンのお爺さんから受け取り、俺はいよいよ、本物のダンジョンへと足を踏み入れた。


シュインッ!!



ガードマン「んー……男の子の旅立ちってのはいつ見てもいいもんだねぇ……」

少女「あのー……すいませーん」

ガードマン「あ、ダンジョンに入るの?じゃあ証明書をお願いね」

投下終了です。
現代に不思議なダンジョンがあったら的なSSになります。サラリーマンもいれば、魔法使いや戦士やガンナーなどもいる世界です。でも皆、大体現代人です。
ゴールドは、全世界共通通貨で。アイテム、武器やモンスターなどは色んなゲームや神話的なモノから取っていきます。
ではまた。


期待

おもしろそう
きたい

期待











『一(はじめ)市 市役所前ダンジョン』




出現時期 12年前

危険度ランク 1

主な魔物 スライム ラージアント








1F 憩いの広場


シュインッ!!


男「さて……意を決して初ダンジョンへと踏み入れたところだが……まぁ1Fは大体こうらしいしな」


ワイワイガヤガヤ
イラッシャーセー


ダンジョンに入って一層目。
殆どのダンジョンは、この一層目には魔物がいないし、新しくも生まれない。
なので、ダンジョンの外で商売をする為の土地がない地元の人達や、旅の商人、露天商などが、この一層目に店を構えているのだ。
基本ダンジョンは入ったら、最下層まで行くか魔法やアイテムを使う以外は出られない。
しかし一層目には、国が各市町村に配っている脱出用の永続魔法道具が配置されている為、許可証さえ持っていれば買い物をする為だけにダンジョンを訪れる事も可能なのだ。



グー……

男「そういや昼メシ食ってなかったな……ここで食ってくか。すいませーん、たこ焼き1つ」

店主「あいよー。兄ちゃん学生かい?頑張ってこいよー」

男「どうもー。……アチッ、熱ッ」ハフハフ

「あれ……もしかして先輩?」

男「ん?……あれ?魔少女じゃん。何でこんなところに」ハフハフ

魔少女「私は薬の材料を取りに……先輩こそどうして?」


魔少女。
俺の通っている高校の一個下の後輩であり、魔法部の新しい部長兼、『魔法薬学研究会』会長だ。


家が魔法使いの家系であり、コイツ自身も魔法使いである。ちなみに家は漢方やダンジョンで取れる素材で作る、魔法薬局を営んでおり、店がウチのすぐ前にあるので、小さいときから知ってる仲ではある。

大きく分類すれば幼馴染だろうが、そこまでの深い付き合いはない。一緒の高校に行くからという事で、それから関わる事がかなり増えた程度だ。

性格は物静か。運動音痴。インドア派。ただし魔法使いなだけあって知識欲は半端ない。

ちなみに、薬にダンジョン内の素材をよく使う為、普通ならば高校3年で取得するダンジョン許可証を、1年の終盤には取得していたという、中々の秀才である。


男「俺はまぁ……アレだ。ちょっと極秘の仕事で」

魔少女「またママさんが……ギャンブルで負けたんですか?」

男「うっ!?」

魔少女「この間……学校の実習でランク証明書取りましたよね?それで……早速生活費を稼いでこいと追い出されたとか?」ニヤリ


ちなみに推理モノが好きなようで、昔からコナ○やら金田○やらが部屋にあるらしい。貸してと言ったら全巻まとめて渡してきやがった。置く場所ないわ。

男「そのドヤ顔と黒い笑みを混ぜたような表情やめろ。あーあーそうだよ。あのクソババァ、ギャンブルの才能ねぇのにまた生活費に手ェ出しやがって」

魔少女「……ママさん……まだ伝えてないんですね……」ボソッ

男「ん?どうした?」

魔少女「いえ……何でもないです。それで……先輩も行くんですか?ダンジョン……」

男「あぁ、止む終えなくって感じだけどな。まぁランク1だし武器もそこそこいいの持ってるし大丈夫だろ」

魔少女「よかったら……一緒に行きませんか?」

男「へ?マジで?いやーそれなら凄い助かるわー。お前の魔法があれば、ランク1くらいの魔物くらいは余裕だろ」



実際、魔少女の魔法は中々凄い。
間違いなく、並の高校生のレベルでは無いだろう。去年はもう少しで全国大会にいけるところだったとか。

ただ……

魔少女「いえ……じゃあその代わりに……ハイ」つボストンバック

男「へ?バックを俺に?何で?」

魔少女「荷物持ちです……それ一杯に薬草入れて帰りたいので」

男「ゲッ……まぁ、心強い味方がそれで出来るならいっか……」

魔少女「 では……出発進行で」ガッ!!「へぶっ!!」

魔少女が何も無いところで盛大に転ぶ。
そう……彼女は運動音痴。超が3つ付くレベルのだ。


魔少女「……失礼しました。……では」


男「おい……お嬢さんパンツ。スカートめくれ上がってパンツ見えてますから」


魔少女「ッ!?」バッ!!


ピンクの何かヒラヒラふわふわした可愛らしいパンツを大サービスの魔少女は、その運動音痴に似合わぬ反応速度でスカートを戻す。


ちなみに、現役高校生である俺が、JKのパンツを見てなんでこんなに冷静かだって?
こんな全開のパンツ見せられても、全く何にも思わんわ!隠されてるからいいのだパンツは。

魔少女「……ダンジョンに入る前に……『フィジカル』!!」カッ!!

男「おぉ、身体能力を上げる魔法だっけ?」

魔少女「……フフッ……これで私の身体能力は、普段の倍」ガッ!!「へぶっ!!」


男「まぁ……0に0に何を掛けても……0なんだよなぁ」

どうしよも無い現実に、俺は魔少女から目を背ける。仕方ないんだ。それが現実なんだから。


魔少女「…………」グググッ……

俺「もういい……もう休め、魔少女……」

魔少女「……魔力……もってくださいよ……」

魔少女「4倍だぁぁぁああああ」カッ!!

男「何っ!?」

普段出さない大きな声……まぁ別に大きくはない声と共に、魔少女の身体を青白い魔力が覆っているが見えた。

ォォォオオッ…………

魔少女「さぁ……これならそうそう転びません。……その代わり、魔力の節約の為に他の魔法が使えなくなりますが」

ォォォオオッ…………



男「それ弱体化してんじゃねぇか!!いつもどうやって採取してんだよ」

魔少女「いつもはお父さんと一緒ですので……魔物は全部お父さんが」

男「俺荷物持つだけでメリットないじゃねぇーか。まぁいーや、ホラッ、さっさと行くぞ」

魔少女「待ってください……魔力の使いすぎで、お腹が減って……」ゼェッ、ゼェッ

男「お前もう、その魔法解けよ!デメリットしかないわ!!」


魔少女「……ほひほうははへふ(ごちそうさまです)」モグモグ

男「いいよ別に。その代わり、ヤバイ時は魔法頼むぞ」


結局、俺は魔少女にたこ焼きを奢り、消費した魔力を回復させてから、いよいよ本格的なダンジョンへと続く旅の扉の前に立った。


男「この旅の扉をくぐれば、いよいよ本番か……」

魔少女「大丈夫です……ここには大ケガするような魔物はいませんよ。……アチチッ」ハフハフ

男「それでも、端金目当てでケガしたくないからな。うし、行くか!」

魔少女「はい」


そして一歩。
俺は新たな世界に足を踏み入れた。

投下終了です。とりあえず魔法使いをパーティーに追加で。
魔少女は、物静かだけどノリはいいみたいな優しい子です。


>>8
>>9
>>10
ありがとうございます。暇なときに見てやってください。


ダンジョンってワクワクするよな

乙。これは楽しみ

おはようございます。>>1です。軽く投下していきます。
>>21
>>22
>>23
ありがとうございます。引き続き暇なときにどうぞ。

ダンジョンエリア『始まりの草原』



男「……これがダンジョンか……」

魔少女「ダンジョンの中は……魔力に満ちてますから好きです」スー、ハー


ダンジョンには様々なタイプがある。


広い開けたエリアを1つの階層とするモノ。

壁に阻まれた迷宮。

全階層が連なった、巨大な建造物を探索するモノ。

1つの都市がダンジョンと化しているモノ。



今回挑んだこのダンジョンは、広い開けた空間のタイプのようだ。

男「綺麗な草原だな……何だか旅行に来た気分だ」

見渡す限り、草原と丘の世界。
気持ちのいい風が吹き、シートを広げて弁当でも食べたい気分になる。

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira115740.jpg

男「そうだ、実習用じゃない初ダンジョンだし写メっとくか。魔少女はいいのか?」パシャッ

魔少女「私は……このダンジョンには何度も来てますから。よかったら撮りましょうか?」

男「マジで?じゃあよろしく。後でRINEで送ってくれよ」

魔少女「じゃあいきます……ハイチーズ。……あ」パシャッ

男「どうした?」

魔少女「先輩……横、気をつけた方がいいですよ」

男「え?」

携帯を持った魔少女が、男の横を指差している。その指の方を見てみると

スライム【……】プルプルッ

男「…………」

そこには膝下くらいの大きさの青い生き物。
スライムが俺の隣でジッとこっちを見ていた。

男「…………ッ!?やべッ!!」バッ!!

スライム【ピキー!!】ダンッ!!

男「ぐはぁぁぁああああっ!!!」ズザァァァアアアッ!!

咄嗟に銅の剣を身構えるが、スライムの方が一歩早く、体ごと体当たりされてそのまま吹っ飛ばされる。

男「痛ってぇぇえええ!!出てくるの早すぎんだろ魔物!!」

魔少女「先輩……油断し過ぎです。ここはもうダンジョンの中ですから」ボゥッ!!

男「ッ!?手から火の玉が……マジか!!」ダッ!!

スライムの体当たりの痛みが残りながらも、魔少女の魔法を目の当たりにし、それを放つ前に急いでスライムから離れる。


魔少女「『プチファイヤーボール』」バッ!!


スライム【ピー!!】ボンッ!!


放たれた野球ボール程度の大きさの火球がスライムに当たると、スライムは2、3回ほどはねながら吹き飛んでいった。

男「イテテ、何だ……火力抑えてたのか。流石だな」

魔少女「先輩……大丈夫ですか?回復いりますか?」

男「いや、大したダメージじゃないよ。剣でガードしたし、精々1発ガード上から殴られた程度」イテテ

魔少女「すいません……私がもっと早く気付けばよかったんですが」シュンッ……

男「いやー俺が初ダンジョンに浮かれてただけだし。助けてくれてありがとな魔少女」

正直浮かれていた。
実習の時は、引率の先生や他の生徒も大勢いたから全く危険はなかったが、今は自分と魔少女だけなのだ。
観光気分に浸るのも程々にしなければ。

男「ん?スライムがいつの間にか消えて、何か落ちてんだけど」

魔少女「魔物は……ダンジョンの魔力によって生まれた魔法生物ですから。倒せば消えるんです」

魔少女は、スライムの跡に残った3つのアイテムを拾い上げる。

魔少女「これは『青い液体』……服の染料などに使われてます。それとこれは『スライムゼリー』……そのまま食べてもいいですが、料理に使うと片栗粉みたいにとろみがでて、あんかけチャーハンなどが美味しいですよ」


魔物には、物体にダンジョンの魔力が注がれる事によって生まれるタイプと、生態系に魔力が影響を及ぼしたタイプ。
そして、別の次元から現れるタイプが存在する。
スライムは一番目のタイプだ。


ダンジョンに落ちているアイテムなども、魔力によって生み出されたモノや、元の資源が変質したモノである。

従ってダンジョン内の魔力レベルが高ければ高いほど、比例して強力なアイテムや魔物が生まれる。
魔力レベルが高いイコール危険度が高いという事だ。ダンジョンの危険度ランクもこうやって決められている。


男「そういや、その辺は実習で習ってたな。でも、残りの1つは何だ?何かの原石みたいに見えるけど」


魔少女「これは……『魔物の心』と呼ばれる、魔物が時々落とす結晶です。持ち帰り加工すれば、様々な効果がありますが……このままでも使う事は出来ます」ポイッ

魔少女は、手にした結晶にホンの少しの魔力を込め、それを地面に落とす。すると



ボンッ!!

スライム『ピキー』

男「おぉ!?スライムが出てきた!!」

魔少女「このように……このダンジョンの中でのみ、魔力を込めた人間に従う魔物が現れます。戦力が足りない時に、探索者が臨時でよく使う方法ですね」ヨシヨシ

男「へー、それは知らなかったな。俺もスライム倒して集めてみようかな」

魔少女「わかりました……じゃあ私はこの子とこの辺りの薬草を集めてますから、先輩はあの子達の相手をしてて下さい」

男「へ?……うぉ!?」

ふと視線を移すと、そこには8匹程のスライムの群れが、男と魔少女の目の前に現れていた。

魔少女「先輩なら……油断しなければ勝てるハズです。頑張って」ファイト

男「頑張ってって……いきなりこの数かよ。マジかー……」

魔少女「ちなみに……このくらいの数だと、青い液体が売れば5ゴールド。スライムゼリーで10ゴールド分くらいは最低でも稼げますよ先輩」ボソッ

男「よっしゃぁぁああ!!かかって来いや魔物共めが!!」


母親からのノルマ金額、100ゴールドを達成すべく、男は修羅の道へと向かう。

投下終了です。スライムはドラクエです。魔物の心もドラクエです。アイテムもドラクエです。まぁ王道ですからね。
多分また夜にでも投下します。
ではまた。

期待ゥー!



超期待してる!


いいねのんびり続けてくれ

こんばんわ、>>1です。軽めに投下していきます。

>>33
>>34
>>35
ありがとうございます。引き続きどうぞ。

魔少女「ママさん……いつまで先輩に秘密にしてるんですかね……」

スライム『ピー』

魔少女「薬草……集めてきてくれてありがとう」ナデナデ

魔少女「お金がないからダンジョン行けなんて……わざわざ回りくどい事をしなくてもいいですのに」




…………





男「うっし、7匹目。一気に襲いかかられない限り、やられる事はねぇな」ブンッ!!

スライム7【ピー!】パコーンッ!

銅の剣を横に倒し、野球のスイングでスライムを吹っ飛ばす。
囲まれないように逃げながら、一体ずつ仕留めていき、スライムの残りは3体となっていた。

スライム8【ピキー!!】ダンッ!!

スライムの一体が、先ほどのように勢いよく体当たりを仕掛ける。

男「真っ直ぐ体当たりだけじゃあ、当たりもしねぇよ!」スッ

男はそれを最小限の動きで横に避ける。
男は引退したものの、元々は剣道部である。幼少の頃から続けていた事により、身体の使い方は熟知していた。


よって魔物との戦いも、剣道の要領で対峙している。


剣道には基本的な技として面、小手、胴、突きとあるが、スライムの体当たりはただ単純に面を打ちにきているだけのような攻撃だ。
スピードも大してなく、一対一なら小学生でも勝てるだろう。


男「オラァァアアッ!!」ブンッ!


スライム8【ピー】パコーンッ!


男「ハイ8匹目ー。これで15ゴールドか、バイトよりは割がいいかもな」

男「あとはスライムが落としたのを回収してっと……お、さっきの魔物の心とかいうのもあんじゃん」ゴソゴソ

魔少女「あ……戻ってきましたね」


男「おーい魔少女。とりあえずさっきのスライム達は全部倒したぞー。で、魔物の心も2つ拾ったけど、これどうやってスライムを出すんだ?」


魔少女「お疲れ様です……結晶に魔力を込めれば出てきますよ。スライムならホンの少しの魔力で大丈夫です」


男「へー。……で、魔力ってどうやって込めんの?」


魔少女「……はぁ……」


男「おい、そんな憐れむような目で見んなよ」

魔少女「先輩……学校でもそれくらいは習うハズなんですが。いいです……私がやります」

スライム's『ピー!!』

男「おぉー出た出た!よーしお前ら!ここら辺に落ちてるアイテムを、片っ端から取って来い!!」

スライム's『……』


男「……あれ?言うこと聞かないんだけど……」


魔少女「魔物は……魔力を注いだ人の言うことしか聞きません。皆、お願いします」

スライム's『ピー!!!』ダッ!!


男「おぉ、行った行った。しかし便利だなー魔力が使えると。後で俺にも魔物の出し方教えてくれよ」

魔少女「先輩……もしダンジョン関係の仕事をするなら、ちゃんとした魔力の使い方くらい覚えておいた方がいいですよ?」

男「仕事なぁ~。言ってもダンジョンって稼げるけど危険もあるだろ?こういう小銭稼ぎならまだしも仕事としてはなぁ~」

魔少女「お兄さんも……第一線で活躍されてるんですから、先輩もそっちに進むんじゃないんですか?」

男「兄貴は別だよ別。剣道やってた時から別格だったからなぁー成績もいいし。あーゆう人間しか続けられないなら俺には向いてないだろ」

魔少女「そんなこと……ないです。先輩だって……」

スライム's『ピー!!』

男「お、戻ってきた。結構色々落ちてるモンなんだなー。どれどれ」

魔少女「先輩だって……」









『戦利品』

色んな薬草 魔少女のバック満タン分
青い液体 10ゴールド分
スライムゼリー 20ゴールド分
壊れた腕時計 3ゴールド
錆びた銅の剣 3ゴールド
うまい棒10本入り 1ゴールド
皮のベルト 10ゴールド
壊れたゲームボーイ 3ゴールド
洗濯板 1ゴールド

計50ゴールド

男「……なぁ……ゲームボーイやらベルトやらは百歩譲って置いとくんだが……」

魔少女「なんですか?」

男「うまい棒ってなんだよ!なんでうまい棒がこんなダンジョンの草原に落ちてんだよ!!しかも10本セットの奴!!」

魔少女「ダンジョンですから」モグモグ

男「食うな!落ちてたモンを食うな!!女の子が!!」

魔少女「大丈夫です……封はされてましたから。ダンジョンでは食料の現地調達も必要不可欠です」サクサク

男「なんだよ……なんなんだよ、謎すぎんぞダンジョン……ていうか初代ゲームボーイ初めてみたわ。めちゃくちゃデカイな……」


…………




魔少女「とりあえず……この辺りのアイテムは大体拾ったみたいですね。後は出口に向かいながら探しましょう」

男「おう。……そういえば、他の人全然見ないな。いくらこの草原が広いとはいえ、1人くらい見てもいいだろ」

魔少女「ダンジョンの一層目の入り口からは……一定時間毎に転送される空間が変化してますから。
このダンジョンだと……1時間毎に変化します。私達の前後に入った人がいないか少ないということでしょう」

ダンジョンの仕組みについて!!



1.ダンジョンは一定時間毎に、旅の扉からの転送先の空間が変化する。
転送される空間は各ダンジョン無数に存在し、同じ地形や形状の迷宮などは存在しない。その為、入る度にダンジョンが変化しているのだ。

ただし、建築物や遺跡、1つの街がダンジョンと化しているタイプのものは、空間が変化する事はない。
その為、何度も同じダンジョンに入ることとなる。が、基本的にそのタイプのダンジョンは危険度が高い。


また、無数にあるダンジョン空間から、最終的に行き着く空間は同じ。これが、ダンジョンの最奥地となる。
ただし、途中で空間が確定しているダンジョンもある。そこには大体露店や休憩所などがある。
たまに、とんでもない強敵やお宝が眠っていたりするが、クリア済みのダンジョンなら大体クリア者や先行組が退治・入手している。
故に、クリアされていない新しいダンジョンや危険度の高いダンジョンには、ダンジョン関係の仕事に就く者達が大勢挑戦しているのだ。



2.ダンジョン内に落ちているアイテムや素材は、魔少女が集めている薬草などのように、そのダンジョンに行けば必ず採取出来るモノと、ダンジョンの魔力によってランダムに生まれた・どこかの次元から転送されたモノに分けられる。

落ちているモノの金銭的な価値は、基本的にダンジョン魔力の高さ。危険度の高いダンジョンほど価値がある。


3.ダンジョン内で怪我を負って動けなくても、運が悪ければ誰も同じ空間内にいない。
そして死ねば、基本的に死体は見つからない。
故に、ダンジョンの出入りは厳重に管理されている。

男「要するに、道のりは無数にあるけど、中継地点や最後に行き着く先は一緒って事だな」

魔少女「先輩……実習真面目に受けてましたか?」

男「え?あ……まぁそれなりにな。ハハハ……」




男「という事は、魔少女もこの草原ダンジョンの出口はわからないんだな」

魔少女「はい……ダンジョンの種類が草原エリアという事と、探索エリアがこの階層のみというのは固定なのですが、それ以外は変化してますので」

男「という事は、誰も見つけていない超レアなアイテムが落ちている可能性もあるってわけだ。結構広いしな」

魔少女「まぁ……0ではありませんが。でも所詮は危険度1ですので……期待はしないほうが」

男「なんだよ冷めてんな魔少女。折角なんだしとことん探索しようぜ」

魔少女「私は……門限までに帰れれば大丈夫ですので付き合ってもいいですよ」

男「おう、サンキュー。お、あっちにデカイ森があんじゃん。行ってみようぜ」

投下終了です。
不思議なダンジョンでも何でパンなりおにぎりなり落ちてんの?って感じですよね。まぁダンジョンだから何でもありということで。
ではまた。

おつつつ

乙乙☆

次も期待して待ってる

これは期待、もっとたくさん読みたい

期待してたけど頭悪い系主人公なのわかった途端ダメだ
なんで学校で習う魔力の込め方知らないんだよ

こんにちわ、1です。引き続き軽く投下します。


>>48
>>49
>>50
>>52
ありがとうございます。引き続きゆるくいきます。

>>51
言われてみればそうですね。ちょっと描写が甘かったです。
とりあえず男は成績はだいたい主要教科は中の上くらいですが、ダンジョン系の実習は適当にやってました。ダンジョン関係の仕事に就く考えはなかったので。

ガードマン「今日はお客さん少なかったねぇ~。あの学生2人は大丈夫かな?」

男達がダンジョンへ突入してから3時間後。

辺りはそろそろ夕方になろうとしていた。

このガードマンの老人は、このダンジョンを担当してから色々な人間を見てきた。

初めて挑戦する若者が、再起不能レベルの重傷を負う姿を見た事もあった。

入っていったきり、もう二度と戻らなかった者達もいた。

ぜひ、あの学生2人にはそんな事になって欲しくないモノだ。
まぁ、あの少女は何度も入っているから問題無いだろうが。


ガードマン「あれからもう、20年近く経つのか……歳は取りたくないモノだねぇ……」

『始まりの草原西 森林エリア』


男「よし。んじゃ各自ココから離れすぎない程度にアイテム探しで。魔物がいるかもだから、スライムは3匹行動な。3匹なら簡単にやられねぇだろ」

スライム's『……』

男「あー……魔少女」

魔少女「……ゴー」

スライム's『ピー!!』ダッ!!

男「……何か悲しいな……年上としては……」

魔少女「先輩が……ちゃんと実習やらずに魔力を使えないのが悪いんです。じゃあ私も探してきます」ガサガサ

男「魔力なぁ……帰ったらマジで練習しよっかな。お、早速見っけ」ゴソゴソ



…………

10分経過



男「んー……色々見つけたけど大したモンはねぇなー」

花火セット 5ゴールド
壊れかけのラジオ 5ゴールド
自転車のサドル 2ゴールド
携帯灰皿 2ゴールド
2年前のカレンダー 1ゴールド

男「……もう深く考えんのはやめよう。ダンジョンなんだ。自転車のサドルや花火セットくらい落ちてるさ。うん」



男は考えるのはやめた。
『ダンジョンだから』
それで全ては解決するのだ。いいじゃないかダンジョンなんだから。


男「他の奴らも同じくらい集めてくるとしたら……うん、とりあえずノルマは達成出来そうだな。今度魔少女に何か奢ってやんなきゃなー……ん?」

ガサガサ

男「……何かこっちに来てるっぽいな。魔物か?」

茂みを掻き分けるような音を聞き取り、男は銅の剣を構える。
油断さえしなければ、このレベルのダンジョンなら対処出来る事は確認済み。先手さえ取られなければ大丈夫と、男は音の主を待つ。

ガサガサ ガサガサ

ラージアント【】ガサッ!!

男「ッ!?デカイ蟻だなオイ」

現れたのは、全長60cmほどの黒アリ、ラージアントである。
単純に、地上にいるアリがデカくなっただけ。
しかし、アリと言う生き物は自身の大きさの何倍何十倍の大きさのモノを運ぶ力がある。

たった60cmだが、このラージアントをそれに当てはめると、かなりの強敵だ。

ラージアント【キィッ!!】ザッ!!

男「おっとぉ!!」ギィンッ!!


ラージアント【ギギギギギッ!!!】グググッ!!

男「クッ……結構力あんじゃねぇか……」グググッ!!


ラージアントが男に?みつこうとするのを、銅の剣で防ごうとすると、その銅の剣をラージアントが?みつき、力比べとなった。

大きめのアリに指を噛まれた経験はないだろうか?かなりの力で噛み付いてきたと思う。

それが60cmもの大きさである。顎の力、首の力共に、人間にも引けを取らないだろう。

男「な……めんなぁぁぁあああッ!!!」ググッ!!

ラージアント【ギィッ!?】

力は強いが、所詮は60cmの虫。重量はそこまで重くはない。プロレスの神様カールゴッチの如く、男はラージアントごと、銅の剣を振り上げる。

そしてそのまま

男「オラァァアアッ!!!」ブンッ!!

ラージアント【ギッ】グシャアッ!!

銅の剣を思いっ切り振り下ろし、噛み付いている顎ごと、ラージアントの頭を砕いた。

シュゥゥウウッ……

ちょっとグロい光景だが、そこはダンジョン。
グロい光景ごとラージアントは消えていった。

男「ふぅ……今のはちょっと危なかったんじゃねーかな。大ケガしないって魔少女は言ってたけど、あの顎は危ねぇだろ」

高校生男子と互角の力を持つ顎の力だ。?みつかれれば痛いでは済まないだろう。

男「あれが群れで来たらヤバイなぁ。っと、今のアリのアイテム落ちてねぇかな?」ガサゴソ

蟻のフェロモン 3ゴールド
ラージアントの顎 3ゴールド

男「顎……使い道あんのか?あとは……フェロモンねぇ」

魔少女に借りた、このダンジョンについて書かれたガイドマップを片手に、アイテムの名称を確認する。

男「……そう言えばアリってフェロモンで仲間の位置がわかるんだよな?」

男はふと思った。もしさっきのアリが戦闘中に、フェロモンを出していたとしたら。




ラージアントの群れ【】ガサガサッ!!





予想は的中し、男の周囲にはラージアントの群れが集まっていた。
その数は10匹以上。
フェロモンにより、まだまだ増えていくだろう。



男「やっべ……こんなの絶対やられるじゃねぇかよぉぉおおおっ!!!」ダッ!!

ガサガサガサガサッ!!!

男は何の迷いもなく、一目散にその場から逃げ出す。
囲まれる事はなかったが、ラージアントの群れは男を追いかけていく。
振り向かなくても、音でわかる。追付かれれば割と冗談じゃすまない。


男「うぉぉおおおおッ!!!魔少女お助けぇぇええええっ!!!!」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!!

…………



オタスケェェェエエエエッ…………



魔少女「あ……先輩何かやらかしましたね。大方、ラージアントの群れにちょっかい出したのでしょう」スッ……

少し離れた位置で、のんびりとアイテムを探していた魔少女の耳に、男の叫びが聞こえてきた。

ラージアントは、というかアリは基本群れで行動している。先頭がフェロモンを所々で出しながら移動しているのだ。
その先頭のラージアントと戦えば、後列の群れとかち合うのは当然である。


魔少女「しょうがないですね……たこ焼きを奢ってもらいましたし。……『チェイス』!」カッ!


魔少女は追跡探知魔法を使い、男の行方を追う。闇雲に逃げているらしく、意外と距離は離れてはいなかった。


魔少女「この距離なら……これが使えそうですね。……『ファイヤーボール』」ボゥッ!!


魔少女の周囲に、15個ほどの火球が現れる。大きさはバスケットボール程のであろうか。


魔少女「そして更に……自動追跡魔法『オートチェイス』を『ファイヤーボール』に追加。先輩の後方、1mから10m辺りの生体反応に着弾設定」グググッ……


ドンッ!!!


火球が魔少女から放たれ、上空へと飛び上がる。
そして自動追跡魔法によって、目標を逃げている男の後方に設定。



魔少女「複合魔法……『メテオフォール(偽)』!!」



そして火球は上空から凄まじい速度で、男の後方目掛けて発射される。

投下終了です。アリはホントならもっと強いでしょうが、弱めに設定しとります。
ではまた。

細かいことは気にしなくて良いでしょそういうダンジョンもあるし

おはようございます。休みなので軽く投下していきます。

>>62
色々見直しながら、ゆっくり進めていきたいと思います。

…………


男「だぁぁああっ!!マジでしつけぇなぁコイツ等!!」ダッ!ダッ!!ダッ!!!


ガサガサガサガサッ!!!


森をジグザグと走り回り、気がつけば追いかけてくるラージアントは30匹ほどに増えていた。

割と絶対絶命の危機である。

男「流石に剣一本でこんな大群に勝てるわけねぇし!どっか隠れる場所ねぇのかよ!!」

♪ライ~ン♪


男「あぁ!?誰だよこんな時に!!魔少女!?」

通信用アプリ『RINE』によって男の携帯にメッセージが魔少女から送られてきた。内容は




『止まらないでください』




男「止まんなって!?言われなくても止まれねぇよ!!どうする気なんだ魔少女」ダッ、ダッ、ダッ!!

その瞬間

ドォォォオオオオオオンッ!!!

男「うぉおおっ!?な、何だ!?」

突如背後から響いた轟音と振動に思わず振り向くと、爆炎によって吹っ飛ぶラージアントと、上空から火の玉のようなモノが、次々に自分の方へと向かってくるのが見えた。


男「まさか……止まんなってそういう事かよぉぉおおおお!!!」ダッ!!


男は状況を理解して、全速力で走り出す。



ドォォォオオオオオオンッ!!
ドォォォオオオオオオンッ!!!
ドォォォオオオオオオンッ!!!!!

落下した火球が爆発し、それによって男を追いかけるラージアント達が吹き飛んでいく。

火球は、元々の威力に加わり、上空からの加速で更に威力を増している。1発でも当たれば、今の男の防御力では即あの世行きである。

まぁ、火球は男の後方に落ちるように設定されているので、そんな事はないのだが。


ドォォォオオオオオオンッ!!
ドォォォオオオオオオンッ!!!

男「魔少女ぉぉおおお!!お前、コレは流石にやり過ぎだろぉぉおおっ!!」ダッ、ダッ、ダッ!!

ドォォォオオオオオオンッ!!!
ドォォォオオオオオオンッ!!!!


そんな事は知らない男は、落下する火球から逃れるべく死に物狂いで走る。

魔少女「……ふぅ……魔力殆ど使っちゃいました……お腹すいた」ドサッ

魔法に魔法を掛け合わせるという、複合魔法。
やり方さえわかれば、魔法に通じる者ならば難しくないが、組み合わせ次第で非常に強力になり、魔力を大量に消費する為、魔法使いの必殺技と呼ばれている。

昔は、組み合わせによる魔法使いごとの個性が色濃く出て、その術式は秘伝ともされていたが、今の時代ネットが普及している為、アイデアと術式はネット上に大量に飛び交っている。

814:魔法使いさん
いいの考えた
ファイヤーボール系に追跡魔法系を重ねて上空から落としたらメテオじゃね?ウハw基礎魔法で極大魔法級wwマジ俺天才

815:魔法使いさん
割と複合魔法の基本戦法じゃね?

816:魔法使いさん
基本だな
でも威力あるし汎用性は高いぞ
誰か1人が魔物を惹きつければ殲滅できるし

817:◆暗黒棋士ガイアさん
剣で斬った方が早えしw魔法w効率悪ww

818:魔法使いさん
>>817
自スレに帰れ脳筋
色々漢字間違えてんぞ

819:魔法使いさん
ミサイル使った方が早くね?

820:魔法使いさん
>>819
お前はどんだけ重装備でダンジョンを歩き回る気だ


ましょうじょ(6才)「ふむふむ……」


ただし、それを上手く発現出来るかは術者の能力次第である。







魔少女「魔力が回復するまで……頑張ってくださいね先輩。……やはりうまい棒はチーズ味です」モグモグ

…………



男「ハァッ、ハァッ、駄目だ、もう走れねぇ」ゼェッ、ゼェッ

火球の雨が止み、追いかけてくるラージアントは全滅したらしく、男は息を切らしながら歩いていた。

正直、ラージアント達にはオーバーキルもいいとこである。

男「ハァッ、ハァッ、魔少女、アイツ、俺に恨みでもあんのか?」ゼェッ、ゼェッ

恨みどころか、かなりの親切設定な複合魔法である。

男「ハァッ、ハァッ、まぁ、助かったから、感謝するけど、ハァッ、ハァッ、アレ?」ゼェッ、ゼェッ




ふと男は森林地帯に、不思議な円形のスペースを見つける。

一本の大木のみが立っており、日が射し込んでいる神秘的な光景。
その大木の下には、何やら墓のようなモノ。

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira115881.jpg



そして

男「ボロボロの……女の子?」


墓に寄り添うように眠っている、ボロボロに汚れた少女の姿があった。


男「ま、まさか死んでんじゃ……」ソー……


男は恐る恐る少女に近づく。


15才前後に見える少女。格好はドレスのように見えるが朽ち果ててボロボロ。
そして少女の身体をよく見ると




男「この子…………まさか機械人形(オートマタ)か?」




両手は破壊され、土まみれの機械の骨組みのようなモノが剥き出しになっている。
義手の可能性もあったが、十中八九。
地上とダンジョンの英知が組み合わさった技術の結晶の1つ。


魔導式機械人形……『オートマタ』である。

投下終了です。
ちなみにこのSSは別に世界を救う勇者の話などではありません。1人の少年とその周囲の人間の、ダンジョン物語です。

剣道やってるけど実戦にはなんの役にも立たないよ

>>72
3段だけど自衛の為に小手アンド膝おすすめ。使う機会がない方がいいに決まってるけど。


>>58

世界観が現実準拠ぽかったのでつい計算しちゃったんだが、普通の蟻の体重を0.004g、体長を0.5cmとすると60cmの蟻はなんと7kgある
蟻がぶら下がった場所を1m先として、持つ場所を10cm先とすると70kgの荷物を持ち上げる力がないと剣は持ち上がらないどころか水平にすら持っていけない

まあダンジョンだから蟻も普通じゃなかったんだな!うん!

こんばんわ、1です。軽く投下していきます。

何か色々揉めてるので、>>76>>1が説明しましょう。

きっと重力が地上よりこのダンジョンは軽かったんです。
だって!ダンジョンなんだから!!

以上です。投下します。

男「オートマタ……何でこんなモンがこんなところに……」


森林地帯にポッカリと空いた円形のスペースに、ポツンと置かれた1つの墓。
そこに寄り添うように、少女の姿をした魔導式機械人形オートマタが眠っていた。


オートマタとは、簡単に言えば自我を持った人形である。
自分で考え、行動する。
側から見れば、普通の人間とそう変わらないだろう。


単純に、家庭用のモノもあるし、ダンジョン攻略のパートナーとして連れている者も多い。

そんな技術と魔導の結晶であるオートマタが、何故こんな所で捨てられているのか。

男「……とりあえずほっとくのもアレだしな……でもこの墓の下の人がコイツの持ち主だったら、引き離すのも悪い気がするし。んー」

死んだ持ち主と共に眠るオートマタという、映画のエンディングに出てきそうな感動的な話かもしれないと思うと、やはり放って置くのが正解なのか。



そうこうしている内に





魔少女「……先輩……」

先ほど男を助ける為に、魔力の大半を使ってしまった魔少女が、魔力を回復させて追いついたようだ。


男「ん?おぉ、魔少女。丁度よかった、実はコイツ」

魔少女「先輩……とうとう罪を犯してしまったんですね」ハァッ……

男「え?は?」


魔少女「先輩が……そのような女の子に手を出す人間だとは思いませんでした……安心してください、自首する時は私も付き添いますから」

男「はいストップ。魔少女ストップ。お前は重大な勘違いを」

魔少女「私の……私の管理不足でした。先輩が無事にお勤めから帰ってきた時は、私も社会復帰に協力します。
まずは地道に出所者更生用の職場をリストアップして」

男「やめろ!具体的に出所後の復帰プランまで考えるのはやめろ!!」


…………


魔少女「なるほど……オートマタですか。確かにこんなダンジョンに廃棄されているなんておかしいですね」

男「だろ?それも墓の側で倒れてんだぜ?何か映画のワンシーンみたいだよな」

魔少女「何処かに……製造年月日が記されているはず……」ゴソゴソ

男「え!?ちょ、バカ!!何やってんだお前!!」バッ!!


魔少女は、オートマタの作られた年代を調べようと、ボロボロのドレスを脱がし、身体中を調べていく。

人形とはいえ、見た目は完全に人間の少女なので、魔少女が色々弄ったり開いたりと、絵的にかなりヤバイ事になっている。
純情な男子高生には、直視しがたい光景である。本当は見たいが。


魔少女「ッ!?ありました……今から20年以上も昔に製造されたモノです」

男「20年!?そりゃまた結構古いなぁ。俺らが生まれるより昔か……あ」

魔少女「…………」


驚いた男は、つい目線を魔少女達に向けてしまい、少女を形取ったオートマタを色々と凝視してしまう。
見た目は人間と変わりはない。つまりモロ見えだ。

男「…………とりあえず上着かけといて…………」スッ……


男は経験値を獲得した。

男はレベルが上がった。

魔少女「で……どうします?先輩」

男「ん?どうって?」

魔少女「このオートマタ……恐らくまだ使用出来ますよ?」

男「え!?マジで!?壊れてねぇの!?」

魔少女「いえ、流石に壊れてはいます……ただ、専門店に行って修理してもらえばいいかと」

男「修理かー。でも金かかんだろ?高校生で払える額なのか?」

魔少女「そこはコツコツと貯める感じで……ダンジョンを回ればバイトよりは早いですよ?」

男「んー……でもなー……問題は、この墓の主とこのオートマタの関係だよな。無闇に引き離すってのもさぁ……こう……何かダメな気がしない?」

魔少女「墓の主がオートマタの主であるなら……もう死んでいるので大丈夫です。所有権はリセットされています」

男「いやそうじゃなくて……お前意外とドライなんだな……」

魔少女「そうですか?……それでどうします?アイテムとして考えるなら、危険度ランク1何かではとてもお目にかかれない超レアものですが」

男「ん~……んん~~~……」

……………………



ガードマン「そろそろ18時か……何事も無ければそろそろ戻ってくる頃だねぇ」

ダンジョンから脱出アイテム。もしくは最奥地から転送されてくると、ダンジョンの入り口周辺へと転送されてくる。

戻ってくれば、ガードマンが確認出来る仕組みだ。

ちなみに、ガードマンが男に渡した脱出用アイテム。アレは、遠隔操作でこちらからも転送させる事の出来る様になっている。

未成年の場合、20時を超えるとこちらから強制的に脱出させる規則となっているのだ。

これも、未成年の事故を防止する為の最低限の処置である。





シュインッ!!

男「お!戻れた戻れた!!いやー、アリの大群に追いかけられた時はどうなるかと思ったぜ」

魔少女「先輩……今度からダンジョンに入る前には、最低限そのダンジョンの魔物の生態くらい知っておいた方がいいです。その為にガイドブックが配られているんですから」


賑やかな声が聞こえてきた。どうやら帰ってきたようだ。


ガードマン「おぉー戻ってきたねぇ。収穫はあったかい?……ん?」

声の方へと振り向くと、少年と少女の姿があった。
そして





ガードマン「……少年……君が背負っている子は……」



少年の背には、ボロボロのドレスを着たボロボロの少女らしき姿が。

男「え?あ!?ストップ!ガードマンさんの今考えている事は恐らく誤解ですから!!これには深い理由が」

魔少女「先輩……面会には時々行きますから安心してください」

男「魔少女!!お前もちゃんと理由を説明して」






ガードマン「まさか…………そんな…………『エリス』……」






男「へ?」

魔少女「?」

ガードマンの老人が1つの名を呟く。

それはこの老人の遠い遠い思い出。












『おっちゃん!今日もダンジョンで一稼ぎしてくるぜ!!行くぞエリス!!』

『毎日お勤めご苦労様です。待ってくださいマスター』

『待ってよー○○ー。私も行くってばー』










泥だらけで眠っているオートマタを、老人はじっと見つめる。









ガードマン「そうかい……帰ってきたんだねぇ……『エリス』……」










老人の目に涙が滲む。
年老いて涙も枯れたと思っていたその目に。
20年近く前の思い出と共に。














男「……えっと……ガードマンさん?」

魔少女「先輩……空気読んでください。今は感動シーンというヤツです」

背に担いだオートマタを見つけた本人達は、いまいち状況を把握出来ていなかったが。

投下終了です。眠いのでいいところで中断です。
明日の朝に残りを投下します。ではまた。

…………


ガードマン「そうかい……ダンジョンの森の中に墓が……」

魔少女「はい……恐らくこのオートマタの子が作ったのでしょう。壊れた両手には土がビッシリ詰まっていましたから」

ガードマン「……昔……君らと同じ年くらいかなぁ……ダンジョンにしょっちゅう足を運ぶ少年がいたんだ」


ガードマンの老人は昔を思い出しながら語り始めた。


ガードマン「その少年に引っ付いて行くように、この子ともう1人、活発そうな女の子もダンジョンに入っていた。毎日のようにねぇ。
話を聞くと、修行がてらにダンジョン系の学校に入る為の資金稼ぎをしていたそうだ」

『おっちゃん!俺は世界中のダンジョンを冒険したいんだ!!まだ誰も見たことない景色を、お宝を一番に発見してやりたいんだ!!』


『マスターだけじゃ心配だから、私もお供するつもりです!」


『○○は年下の私より腕っぷしが弱いんだから、エリスと私がついててやらないとねー☆』





ガードマン「そして進学して卒業し、仕事をこなしながら許可ランクを順調に上げていった彼は、身重の奥さんと小さな男の子を置いて、この子と海外で新しく出現したダンジョンに挑戦した。
……そのまま彼が生きて帰って来ることはなかったけどね」


『マスターは……このダンジョンが大好きでした。だから眠る時はこのダンジョンの中で眠りたい。それが最後の言葉です』


ガードマン「……この子は彼の遺骨と共にこのダンジョンに入りそのまま……あれから20年近く経った。まさかもう一度会えるとはねぇ……」


魔少女「…………おじいさん…………」


魔少女の側で横たわるオートマタの少女を見つめながら、ガードマンの老人は語り終える。

男「魔少女ー!!ガードマンさーん!!やった!ノルマ達成した!!これであのクソババァの新技の実験台にならなくて済むわ!!」ヒャッホー




ガードマン「ハハハッ、よかったねぇー」

魔少女「……あぁ……今魔力が少なくなかったら……少なくなかったら……」ワナワナ……




シリアスブレイカーの使い手とも言わんばかり、満面の笑みを浮かべて小躍りしながら、男はダンジョンにて回収したアイテムの換金から戻ってきた。

ちなみに、ダンジョンアイテムの換金は、基本的には公的機関の換金所で行われている。


武器や防具、魔法道具などは直接店に売りに出した方が高く売れる事もあるが、多種多様なジャンク品なども多い為、換金所が収集品を受け取り、ジャンル毎に仕分けされ、各業者に売り渡すといった仕組みだ。

今回は近くの市役所に設置された換金所で男は換金してきたようだ。
ちなみに換金所員は公務員である。いつでも取引が行われるよう、3交代制で日夜行われているのだ。


今回、魔少女やスライム達が集めてきたモノを含め、160ゴールドの稼ぎである。


ダンジョン滞在時間は4時間ほど。時給40ゴールドと考えれば、破格の稼ぎだ。(1ゴールド→約100円)
その分、男はかなり死ぬような思いをしたが。

男「よし、早く行こうぜ魔少女。急がないとオートマタの修理に出せなくなっちまう」

魔少女「先輩……感動の話の余韻も感じさせてくれないんですね……」ハァッ……

ガードマン「この子の修理先をお探しかい?」

男「はい!あ、ガードマンさん、どこかいいお店知ってたりします?出来れば安いところが」


ガードマン「それなら、商店街にある『フリーダム(糸の切れたマリオネット)』という店に行くといいよ。私が連絡しておこう」


男「商店街か。ありがとうガードマンさん」

魔少女「いいお話……ありがとうございました」ペコリ

ガードマン「いやいや。こちらこそ古い知り合いに再び会えてよかったよ。……贅沢をいえば、彼のお墓に一度くらいは会いに行きたかったけどねぇ」

ダンジョン入り口から転送される空間の先は、無限に近いほど存在する。
同じダンジョンに再び入る事は、宝クジに当たるレベル以上の確率となるだろう。









男「行けるよ?」

ガードマン「……え?」

男は、即答で老人に応えた。

男「コイツがさ、オートマタが直ったら、この子がお墓まいりにいつでも来れるようにって、墓に探知魔法かけてんだ。頭いいよなー」ポンッ

魔少女「……ダンジョン救助用の……空間固定用の道具を使えばいつでもお墓のある空間に繋げられます」


ダンジョン探索の保険として、脱出用の魔法道具の他に、自分のいる空間を外に知らせる道具もある。
万が一の救助の時は、専用の魔法道具で、その空間を選んで繋げられるのだ。
最も、その階層までは自力で行かなくてはならない為、危険度が高いダンジョンほど救助に行ける人材も少なくなるが。


ガードマン「き、君たちは……ありがとう……」

男「こっちこそお店教えてくれてありがとでーす」フリフリ

魔少女「お墓に行く時は……いつでも言ってください。では」ペコリ


男と魔少女は、オートマタを担ぎ商店街へと向かう。

魔少女「先輩……お墓まいりを提案したのは先輩ですよね」


男「ん?んなもんどっちでもいいだろ。その為の魔法が使えるのはお前なんだし」


魔少女「フフッ……やはり先輩は先輩ですね」






その3人の光景を見て、ガードマンの老人には昔の光景が被って見えた。



ガードマン「あの頃のあの子達とそっくりだねぇ……」

投下終了です。ではまた。

おつつ

ええやん

よい



男はおじいさんの話聞いたん?

お早うございます。>>1です。
軽く投下しておきます。
>>100
>>101
>>102
ありがとうございます。引き続きどうぞ。

>>103
おじいさんが人形と墓の人物の知り合いである事は換金に行く前に聞いてますが魔少女が聞いた内容は聞いてません。

一(はじめ)市商店街 魔導式機械人形店 『フリーダム(糸の切れたマリオネット)』



「話はじーさんから聞いてるよ。懐かしい子が帰ってきたってな」


男「知ってるんですか?このオートマタの事」


「あぁ、20年くらい前にウチが扱った子だよ。元々ジャンク品だったんだが、当時君くらいの男の子が持ってきてね。ダンジョンで部品代を稼いで地道に直してたなぁ」


男「へぇ……あの、ちなみに修理代ってどれくらいになりそうですか?」


「んー、ざっと見積もって2000ゴールドくらいかなぁ」


男「に、2000ゴールド!?」


「各部のメンテナンスと魔導動力コアの交換。それに両手の復元もあるからね。一般的な流通部品が多いから修理自体は早く終わるんだけどね」


男「ど、どうする魔少女……」


魔少女「それは……普通にダンジョンで稼げばいいんじゃないですか?」

男「んな簡単に言うなよ……さっきのダンジョンだけでも10回以上潜らなきゃいけないだろ」

魔少女「ダンジョン探索というのは……そういうものです」


「まぁ懐かしいお客さんだ。1500にまけてもいいが……そこはやっぱ条件ってものがあるよなぁ」


男「条件?」

「この子の修理に必要な素材を調達してくれ。もう少ししたら仕入れようと思った材料がいくらかあるんだ」

魔少女「素材……ですか」

男「買ってくればいいんすか?」

「それでもいいが、出来るものはダンジョンで調達した方がいいだろう。君達の資金稼ぎにもなるしね」


男「やっぱダンジョンかぁー。今日の出来じゃあ、次は心配だな」

魔少女「その前に少し……特訓しないとダメですね。先輩は身体は出来てるんですからお勉強です」

男「修理代金ってローンでもいいですか?」

「別にかまわないよ。君達なら夏休みの間に払いきれるだろ。あ、これ素材のリストね」

魔導回路用の水晶 150ゴールド 水見市のダンジョン ランク2

人皮樹脂 60ゴールド

冷却用オイル 40ゴールド

魔導コア用の魔力結晶ランク1
250ゴールド ダンジョン レア

オートマタの服(お好み)
オートマタの武装(付けたいなら)




男「買うとなると結構高いなー」

魔少女「服は……私が選びます」

「修理が終わるのは、大体2週間後だな。それまでに素材は都合つけてくれると助かる。特に動力燃料の魔力結晶はな」

男「わっかりましたー。とりあえず買えるヤツから揃えてみます」

魔少女「よろしくお願いします」ペコリ

…………



男「今日はダンジョンから何やら付き合わせてありがとうな、魔少女。また何か奢るよ」

魔少女「いえ……オートマタなんて高価なモノやあのお爺さんのいい話も聞けましたので。あ、その時はチーズケーキでお願いします」

男「ハイハイ。しかし、今度は1人でダンジョンか。せめて魔物を出せるくらいは魔力の練習しないとな」

魔少女「……1人?」

男「ん?いや、お前も夏休みは色々予定あるだろ。流石に何度も」

魔少女「余計なお世話です……大体今の先輩が1人でダンジョンに行ったら全部治療費に持っていかれます」

男「ヒデーなお前」

魔少女「それに……あのお爺さんの話を聞いて、あのオートマタの子は必ず直してあげたいと私は思いました。何を言われてもついていきますよ」

男「ハイハイ、わかりましたよ。んじゃ、またな」

魔少女「はい……おやすみなさい」

ガチャッ!!

男「ただいまー」

母「おっかえりー!ねぇ、どうだったどうだった?」

男「どうもこうも疲れたわ、向かいの魔少女が居なかったらどうなってたか」

母「あら、魔少女ちゃんも一緒だったんだ。あとでお礼いっとかなきゃねー」

男「んでコレ。全部で160ゴールド。この金まで闘技場に注ぎ込んだらぶっ飛ばすからな」

母「へー、結構頑張ったのねーお疲れ。た・だー……」

男「は?まさか更に注ぎ込んだとか」

母「ブー!正解は、もっかい行ったら大勝ちしちゃったでしたー☆というわけで晩ご飯はお寿司デース!!」テヘペロ♪

男「だから行くなっていってんだろうがぁぁああ!!」

母「いいじゃないの勝ったんだから。アンタの初ダンジョン祝いって事で」

男「はぁ……俺は何の為にあんな思いを……」ガクッ

母「というわけでそのお金はアンタのお小遣いにしていいよ。魔少女ちゃんに何かご馳走してやりな」

男「それならまだいいけど……何か納得いかねぇ……」

…………


男「ハァッ……疲れた……」ドサッ

振り回されまくった1日を終え、男は自分のベットにダイブする。

♪ライ~ン♪

男「ん?魔少女から?」ピッ




『明日特訓です』




男「早速かよ!スパルタだなぁ……まぁ空いてるからいいけど」ピッ

男「ハァッ……もう寝よう……」ポイッ


携帯を放り出して死んだように眠る男。

その携帯の待ち受け画面には、ダンジョンの出口で魔少女とスライム3匹と共に写った写真が登録されていた。





本日の成果

160ゴールド
スライムのこころ 3つ
ラージアントのこころ 2つ
オートマタ『エリス』(修理中)

修理代 残り1500ゴールド

『魔女達の思惑』





…………


プルルルッ

プルルルッ


魔少女「はい……こんばんわです。ママさん」


母「魔少女ちゃん、今日はわざわざありがとねー☆」


魔少女「いえ……私も好きでやっていますから」


母「アイツどうだった?ダンジョンに興味持ってた?」


魔少女「そうですね……興味は持ってると思います。それにある出来事があったのでしばらくはダンジョンに挑んでいきますよ」


母「よかったー。アイツやりたい事がなさそうだったからさー。上の子もそうだったしアイツもダンジョンなら興味持つかなーって思ったのよねー」


魔少女「回りくどい……ママさん、先輩にいつまでウソついてるんですか?闘技場なんて言ったこともないのに」


母「あははー☆バレてた?つい上の子の時と同じ手をねー」


魔少女「そうやって……節約の口実にして先輩の為にお金貯めてるんですよね」


母「魔少女ちゃーん。頭の良すぎる子はお姉さん嫌いだなー」


魔少女「ママさん……お姉さんは流石にもう」


母「魔少女ちゃん?」


魔少女「ごめんなさい」


母「ま、冗談はおいといて……もし今度暇だったらさ。あの子に色々口実つけて特訓させてくれない?メニューは私が考えるからさー」


魔少女「実はもう……明日に行う事を考えてあります」


母「あらー流石ねー、じゃあ魔少女ちゃんに任せよっかな。いやー魔少女ちゃんはアイツのいいパートナーになるわねー☆」


魔少女「そのつもりですが……何か?」


母「え?」


魔少女「え?」


……………………

投下終了です。ダンジョン生活1日目でした。
ではまた。

二日目はよ!!
おつ

おつおつ

おはようございます、>>1です。それではダンジョン生活2日目開始です。

>>113
>>114
ありがとうございます。引き続き暇な時にどーぞ。

オートマタ素材納品期限まであと13日

次の日


ファミレス


魔少女「今日は……先輩がダンジョンで出来る事を増やしましょう。あ、チーズケーキもう一ついいですか?」モグモグ


男「おー、臨時収入入ったからドンドン食え。で、出来る事ってやっぱ魔力の使い方とかか?」


魔少女「それも重要ですが……折角軍資金があるので装備や魔法道具を整えるのもいいです」モグモグ


男「え?そんな一気に使っちゃうの?」


魔少女「これから……ダンジョンで稼ぐ為の投資です。昨日のように私が毎回助けられるとは限りませんから」ピーンポーン


男「んー……でもダンジョンの装備って高くね?160ゴールドくらいじゃ満足に揃えられないだろ」


魔少女「それに関しては……昨日手に入れた魔物の心を使います。あ、チーズケーキをもう一つ」


男「魔物の心?アレってダンジョンで魔物を仲間にするモンだろ?」


魔少女「昨日も言いましたが……魔物の心は色々な事に使えます。先輩は銅の剣を持ってますから、コレを使いましょう」

魔物の心について!!


1.ダンジョン内で、魔物の心の結晶に魔力を込めれば、即席でダンジョン内でのみ魔物を仲間にする事が出来る。
ただし、この場合魔物が力尽きれば魔物の心は消える。ダンジョンから持ち出す事も出来なくなる。

2.魔物の心を、武器や防具に取り付ける加工を行うと、その武器や防具に応じた魔物の技、『戦技』を使う事が出来るようになる。
その際、魔力を消費する。
異なる魔物の技を組み合わせ、新しい『合成戦技』を生み出す事も可能。ただし魔力消費力も多くなり、強化には毎回組み合わせた魔物の心が必要。
加工は店でしか出来ない為、ダンジョン内では基本不可。たまにダンジョン内に店を出してる物好きもいる。

3.魔物の心をアクセサリーに取り付ける加工を行えば、魔物を永続的に仲間に。もしくは大きく魔力を消費する『召喚』が出来るようになる。

4.加工を行う時は、魔物の心を重ねる事で能力が強化される。つまり、魔物の心を重ねれば重ねる程強くなり、魔力注入容量が増える。
ちなみに、注入する魔力が大きければ大きい程、基本的に強くなる。


5.魔物に関する事柄については、ダンジョン内以外での使用は不可能。魔物の力は使用者とダンジョン内の魔力がトリガーとなっている為である。
その為、お試し用のダンジョンなどが作られていたりする。

魔少女「以上が……魔物の心ついてです。色々上級な使い方もありますが、まずはこれが基本かと。あ、チーズケーキこっちです」

男「なるほど……ん?結局魔力の使い方がわからないと意味ないって事?」

魔少女「だから……昨日から何度も言ってるじゃないですか怒りますよ?」モグモグ

男「ヤバイじゃん!ケーキ食ってる場合じゃねぇよ!!」

魔少女「心配無用です……魔力の練習ならこのファミレスでも出来ます」コトッ

魔少女は、水が溢れそうなグラスを男の前に置く。


男「ん?飲めってコト?」

魔少女「違います……グラスに手を当てて、身体の中から手を伝って力を放出するイメージをしてください。魔力が放出されていれば水が揺れてグラスから溢れます」

男「え?それって水見しk」

魔少女「黙ってやってください……先輩が出来るようになるまで私はチーズケーキを頼み続けます。すいませーん」ピーンポーン

男「装備の資金が無くなるんだけど!?大体魔少女はそんなコトできんのか?」

魔少女「…………」スッ

魔少女はイラっとしながら人差し指をグラスにつける。
その瞬間

ドバァッ!!

男「うぉっ!?めっちゃ溢れた!!布巾布巾!!」フキフキ

魔少女「わかったなら……水を注いで早くやってください」ドヤッ

10分後

男「うーん……」

魔少女「すいませーん……チーズケーキおかわりで」ピーンポーン


20分後

男「あ、溢れた!溢れたぞ!!」

魔少女「グラスが揺れただけです……あ、おかわりお願いします」ピーンポーン



30分後

男「コツを……コツを教えてください……」土下座

魔少女「深呼吸して……吐くとともに身体の中の力を手から放出するイメージです。追加でお願いします」ピーンポーン



1時間後

男「あ、溢れた!これは成功だろ!!」チョロチョロ

魔少女「そうですね……でも弱すぎます。せめて布巾が必要なくらいは頑張ってください。面倒なのでホールごとください」ピーンポーン



2時間後


男「で……出来た……」ゴポゴポ……

魔少女「合格ですね……では魔物の心を加工しに行きましょう。ごちそうさまでした」

「お会計、40ゴールドになりまーす」

一市商店街


魔少女「さて……ようやく最低限の下地が出来たわけですが」

男「チーズケーキだけで40ゴールド……残り120ゴールド……」

魔少女「おいしかったです……まずは剣に能力をつけるところから始めましょうか」

男「残り119ゴールド……」ポチッ

ガタンッ!

魔少女「ジュースは買うんですね……さ、お店に行きましょう」

武器専門店『俺の武器』


魔少女「さて……いまここには、スライム3つとラージアント2つの心があります。
カタログによると……剣タイプの武器にこれらの心を加工した場合、こんな『戦技』が使えるようですね」


スライムの心→スラ・ストライク
ラージアントの心→ウォークライ

男「うん、どんな技なのかサッパリわからん」

魔少女「ちょっと待ってください……スラ・ストライクは力を溜めて突撃。ウォークライは力を上げる技だそうです」

男「ん?突撃って別に、魔力使わなくても出来るんじゃねーの?」

魔少女「魔力を纏うことで……威力やスピードが上がるんだと思います。それで、どちらにしますか?」

男「んー……」

魔少女「そんなに……悩む必要はありませんよ。これから色々試していけばいいんですから」


男はまだダンジョンを一回クリアしただけ。ゲームでいえばチュートリアルを終えただけだ。
これから無数に溢れるダンジョンに挑むかもしれないと考えれば、こんな序盤好きにすればいいのである。


男「じゃあ面白そうだから2つ組み合わせたヤツで」


魔少女「ですよね……先輩ならそう言うと思いました。じゃあそれでお願いします」

「あいよー!!お代は50ゴールドね!!嬢ちゃん可愛いからサービスで研磨もしてやろう!!」

ダンジョンアクセサリー店『私の装飾』



男「ひょっとして、武器屋のおっちゃんと親子だったりします?」

「あ、やっぱわかる?」


魔少女「とりあえず……スライムの召喚1つと残りを仲間にお願いします」


「あいよー!!お代は50ゴールドね!!」


男「女子なのに買い物が速いとは……」

魔少女「さっき……自分で悩む必要がないって言いましたから」ドヤッ

男「あらやだこの子男前」

魔少女「」ドヤッ!

男「あと17ゴールドかー。あっという間に無くなったな」ズズッ……

魔少女「何気にまたジュース2本買ってますからねぇ……あ、ごちそうさまです」ズズッ……

男「それでこれからどうする?17ゴールドであとは他に何が出来るんだ?」

魔少女「何を言ってるんですか……次は実戦です」

男「え!?もう!?昨日の今日だぞ!?」

魔少女「先輩は……昨日よりやれる事が増えましたから。昨日よりは楽だと思いますよ」

男「そんな急に変わるもんかねぇ~」

魔少女「目標は……昨日と同じ100ゴールドです。ただし2時間で先輩1人で稼いでください。私も色々特訓したいので」

男「え?マジで?2時間で俺1人じゃ、昨日の4分の1以下だぞ?」

魔少女「先輩……何のために、私が40ゴールド分のチーズケーキを食べたんですか?」

男「……あ」

投下終了です。次は男が強くなってダンジョン再突入です。

やったぜ。
おつ

おつ

こんばんわ、>>1です。暑いのでゆっくりと投下していきます。


>>126
>>127
>>128
ありがとうございます。引き続きどうぞ。

『一(はじめ)市 市役所前ダンジョン』 (2回目)



草原エリア『見晴らしのいい草原』


スライムは仲間を呼んだ。
スライムは仲間を呼んだ。
スライムは仲間を呼んだ。


スライム×16【ピキー!!】


男「……多くね?」

魔少女「昨日は……8匹でも余裕そうでしたので、仲間を呼ぶまで待ってみました」


スライムは仲間を呼んだ。
スライムは仲間を呼んだ。


スライム×24【ピキーーー!!】



男「増えてる!まだ増えてる!!ほら、あっちの方からスライムの群れがこっちに来てるの見えるし!!」

魔少女「これくらいやらないと……2時間、1人で100ゴールドは難しいですよ。
では頑張ってください。あ、お腹空いたらこれ食べてください」つおにぎり

男「同時にかかってこられるとキツイんだけどなぁ……」グッ!


男は銅の剣を構えて正面を見据える。

周囲を取り囲もうと、スライム達が跳ねながら移動している。完全に囲まれると流石にタコ殴りにされてしまうだろう。



男「んーまとまってるヤツ等から倒していくか。そんじゃあ早速」ググッ!!


男は銅の剣に意識を集中させる。

ファミレスで散々やった、魔力の操作である。
魔物の心を加えた武器は、魔力の注入をトリガーに戦技を発動する事が出来る。
操作に不慣れな為、発動には時間がかかるが。

カッ!!

男「お!きたきた、これが『戦技』かぁー」

戦技の発動と共に、男の身体を魔力が覆う。同時に銅の剣にも魔力が纏っていた。

魔力で覆われた事で、男の身体能力は全身の瞬発力と腕力。銅の剣は、剣の先端にある魔法がかかっている。

つまり

男「『突き』が強力になる技ってことだな。うし、いっくぞぉぉぉおおっ!!!」グググッ!!

ダンッ!!

男「突きぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいっ!!!!!!」ドンッ!!

男は剣道の突きの要領で大きく踏み込み、全身のバネを使って群れてまとまってるスライム達に向けて全力で突いた。


その瞬間


スライム's【ピ】ブワッ!!



【ピィィィイイイイイイッ!!!!!!】
ドォォォオオオオオオッ!!!!!!!




剣の先端から放たれた衝撃波が、直線上のスライム達を貫くように草原を走っていく。衝撃波によって貫かれたスライム達は宙に舞い上がり、そのまま消滅していった。






男「」(;゜0゜)






予想外過ぎるその威力に、突きを放った男自身が固まっている。


男「おいおい……いくらなんでも強力過ぎんだろ……あんだけいたのにもう6匹しか残ってねぇぞ?」

せいぜい4、5匹まとめて倒せれば上出来かと思えば、半分以上を一掃してしまい、男は逆に戸惑っていた。

男「うお……しかも何かすげー力を使った感じ……あと1発撃ったらもうダメだな」

魔法使いなどと比べ、平均的な魔力量であり、覚えたてな為に非効率な魔力の使い方をしている為、男の戦技使用可能回数は少ない。

更に、『合成戦技』は通常に比べて、より魔力を多く消費する。男では、一度の戦闘に二回が限度だろう。

男「とりあえず仲間呼ばれる前に、地道に倒しておくか」ニヤリ

スライム【ピ……ピーーー】 ガタガタガタガタ


ピーーーッ…………

男「よっしゃあ!!皆、回収は頼んだ!!」


スライム×8『ピーーー!!』ダッ!!


30体以上のスライムを倒した為、魔物の心もそれなりに落ち、男はようやく魔物を自分の手で仲間にする事が出来た。


8体のスライムによってあちこちに散乱したスライムからの戦利品はあっという間に集められていく。




VSスライム軍団 戦利品
青い液体 20ゴールド分
スライムゼリー 30ゴールド分




男「まだ30分くらいしか経ってないけど、もうノルマの半分行ったのか。いやー魔力使えるようになると、一気に楽になったなー」モグモグ

魔少女にもらったおにぎりを頬張りながら、男は戦利品の勘定を行う。

魔少女もダンジョンの中でよく食べ物を食べていたが、魔力を消費し、回復させようとすると腹が減りやすくなるようだ。

ダンジョンの中で食料が尽き、餓死するケースも少なからずある為、前に魔少女が言った通り確かに食料調達は探索の生命線となる。


男「そういや魔少女は、今頃何してんだろうな。自分も特訓したいって言ってたけど、一体何処まで行ったんだ?」モグモグ

…………



森林エリア『森人の庭』



魔少女「『ファイヤーボール』……『ウォーターボール』……『サンダーボール』……『エアロボール』……『アースボール』……」グググッ……



魔少女の目の前には、基本的な5種。『火、水、雷、風、地』の属性魔法球が浮かんでいる。
最も初歩的な属性攻撃魔法であるが、同時に5種もの魔法を繰り出すにはかなりの集中力と技術が必要である。


魔少女「5属性を……そのまま……合わせて……」グググッ……


魔少女により、5つの魔法球が融合していく。

互いに相反する属性魔法が細やかな調整によって、混ざり合って全く別のモノとなっていく。


バチバチッ!!バチバチバチバチッ!!!

魔少女「極大魔法……『アル……テ……』」カッ!!


ドォォォオオオオオオオオオオオッ!!!!!

男「うおっ!?何だ今の!!」バッ!!

突然、ダンジョン中に響き渡るような轟音と振動を、男は感じ取る。

周囲を見ると、1km程離れた森林地帯から煙が立ち上っていた。

男「まさか……魔少女のヤツ、何かやらかしたんじゃねぇだろうな」ダッ!!

回収した戦利品を広げたまま、男は煙の立ち上る森林へと走っていった。




ォォォォォオオオッ…………


魔少女「…………失敗ですね…………」フゥッ……


辺りに煙が立ち上る中、魔少女は座り込んでいた。
どうやらケガなどはしていないようだ。


魔少女「基本5属性を複合させた極大魔法……いくら簡単な魔法を用いても、そうそう習得出来るわけはない……ですか」

極大魔法。

複合魔法の更に上、5種以上の魔法を組み合わせた、熟練された魔法使いを目指す者にとっての最大の難関である。

例え、各属性の一番弱い魔法を組み合わせたとしても、その威力は計り知れない。

それは、魔少女の目の前に出来た直径5mほどの深いクレーターが物語っている。


魔少女「ですが……私ももっと強くならなければ……私が先輩を守らなきゃ……」






ズンッ……ズンッ……






魔少女「ッ!?何ですか……この振動は……」


まるで森が揺れているかのような地響きが、魔少女の近くで鳴り響いている。
まるで、巨大な何かが歩いているかのような。




ズンッ……ズンッ!




魔少女「……今日は運が悪いんですかね……私……」



トレント【ボォォオオオオオオオオオッ……】ズンッ!!



魔少女の目の前にゆっくりと現れたのは、大木がダンジョンの魔力によって魔物化したモノ、森の巨人『トレント』であった。

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira116125.jpg



投下終了です。
ゲームやってると、よく序盤なのに半端なく強い敵とかよくいますよね。トレントはあの枠です。

そういうのいいよね

こんばんわ、>>1です。今夜もゆっくり投下していきます。

>>139
>>140
ありがとうございます!!

今、男達が入っているダンジョンは危険度1である。



現れる魔物はスライムなど、比較的危険の少ない魔物達。
しかし、同じダンジョンでも無数にあるダンジョンエリアの中には、こういったイレギュラーな存在もいる。



トレントは危険度ランク10相当の魔物。
いくら魔少女が魔法に長けているとはいえ、現時点では到底敵わない魔物である。



魔少女「手持ちの魔物では……到底勝てそうにないですね。なら……」バッ!


魔少女は、魔物の心と加工したネックレスに魔力を込める。


魔少女「召喚……『スーパースラ・ストライク』」


スライム『ピキィィィイイッ!!!!』ポテンッ


その瞬間、何処からかスライムが魔少女の目の前に降ってきた。


ググググッ!!!


そして、これでもかと言わんばかりに力を溜めに溜め




スライム『ピィィィイイイイイイッ!!!!』ドンッ!!

トレント【ボォォオオオッ!!!】ドゴォォオオオッ!!!


ズシーンッ!!!



トレントへと全身全霊の力で体当たりをぶつけ、トレントはその衝撃で転倒した。



『召喚』とは、使用者の魔力で力を上げた魔物の力の全てを、一撃に集約することで爆発的に効果を高める、技術のいらない魔法である。



その力は、たかがスライムがこの巨大なトレントを転倒させるほど。



魔少女「今の内に……森からでましょう」ダッ


しかし、所詮はスライムの攻撃。
転倒はさせるもトレントの体力に対してのダメージは少なく、一時的に隙を作っただけに過ぎない。


魔少女の最善の手は、今のうちに逃げるということだ。



シュルルッ!!!


魔少女「あ……キャッ!!」ドサッ!!

しかし、トレントの伸ばした触手のような根に、魔少女は足を取られ、転倒してしまう。

トレント【ボォォオオオッ…………】


魔少女「く……離してッ……」ジタバタッ



そしてそのまま、魔少女はトレントの目の前に吊るし上げられる。
トレントは元々大木の魔物だ。肉食でない為、捕食により殺される事はない。
ただし、トレントは森の守り人とも呼ばれる大自然の魔物。先ほど魔少女の極大魔法失敗によって破壊された森に対して、怒っている可能性はある。


魔少女「とにかく……逃げなければ……逃げなきゃ……」ジタバタッ


魔少女の目に涙が見え始める。よほど焦っているのだろう。



植物である以上、火の魔法を使えば怯ませる事はできるだろう。ただしそれをやると、トレントが激昂するのは間違いない。

もう1つ、弱点と言える属性魔法があるが、どちらにせよ距離を離さなければならない。


手詰まりである。

男「突きぃぃぃぃいいいいいッ!!!!!」ダンッ!!



突如、男が現れ渾身の突きをトレントに突き刺す。

戦技によって強化された突きは、トレントの巨大な身体を一瞬だが浮かせた。


そして





ドォォォオオオオオオッ!!!!

トレント【ボォォオオオッ!!!】ズゥゥゥウンッ!!!

同時に発生した突きによる衝撃波で、そのままトレントを5mほど押し込み、再び転倒させた。


先ほど、スライムの群れを一掃した突きだ。



魔少女「キャッ!?」

男「おっとぉっ!?」ガシッ!!

同時に、トレントから解放され、地に落下しようとしていた魔少女を、何とかキャッチする。

男「あっぶねぇー……怪我してないか?魔少女」

魔少女「……遅いです……」グスッ

男「まぁそういうなよ。これでも途中から全力で走ってきたんだからさ」

魔少女「とりあえず……まだ終わってません」ググッ……


魔少女が意識を集中させると、初歩的な氷と風の属性魔法が発現し、互いに混じり始めた。


魔少女「複合魔法……『アイシクルガスト』!!」カッ!!

ブワァァァァァァアアアアッ!!!!

男「うぉ!?寒っ!!」

魔少女が複合魔法を発動した瞬間、辺りに氷点下の突風が吹き荒れる。

トレント【ボォォオオオッ…………】ギギギッ……

男「ん?あのデカイ木、動きがえらい鈍くなったぞ?」ガチガチッ……

魔少女「植物は水分が多く……基本、寒くなると活動しませんから……今の内に逃げましょう」

男「あいよー!おぉ……寒っ……」ダッ!!

トレントの動きが寒さで鈍ってる間に、男は魔少女を抱えて一目散に逃げ出した。


勝てない相手とは戦わない。


これが、ダンジョンの鉄則である。

『のどかな草原』



男「ハァッ、ハァッ、どうにか森から出てこれたか……」

魔少女「フゥッ……何とかなりましたね……」ギュッ……

男「ん?おいおい魔少女。森から出られたんだからもうそろそろ下りてくれよ」

魔少女「もう少し……怖かったんですから……」ギュッ……

魔少女は顔を見せずに男の服を握りしめている。
無理もない。

いつも冷静沈着とはいえ、まだ高校2年の女の子なのだ。
あのような巨大な魔物に追い詰められ、余程の恐怖を味わったのだろう。

男「はいはい……悪いな、早く助けられなくて」

魔少女「いえ……ありがとうございます……」グスッ

…………



男「で?お前はあんなところで何をしてたんだ?」


魔少女「その……ちょっと難しい魔法の特訓を……」


男「何で俺から離れてやってたんだ?」


魔少女「いえ……特に理由は」

男「な・ん・で・だ?」

魔少女「…………驚かせようと……思いまして…………」


男「……ハァッ……まぁ驚いたよ。別の意味でさ。何かあったかと思ったらゲームオーバー間近だったんだからよ。
ホント間に合ってよかったわー……」


魔少女「……ごめんなさい……」シュンッ……


男「大体、お前は今のままで十分凄いんだから、無理に特訓とかする必要ないだろー。俺の一個下なんだしじっくり時間をかけて」


魔少女「それじゃ駄目なんです!!」


男「うおっ!?お前がそんな大声出すなんて珍しいな……」


基本的には物静かなタイプの魔少女が声を荒げ、男は思わず驚く。

魔少女「今すぐにでも……強くならなきゃ……私が先輩を守らなきゃ……」


男「……はぁ?」


魔少女「昨日あのおじいさんの話を聞いて……少し怖くなったんです。やっぱりダンジョンっていうのは危険なところなんだって……一歩間違えれば命を落とすんだって……」


男「…………」


魔少女「思えば……先輩が昨日アリの大群に追いかけられた時も、もしかしたら死んじゃってたかもって思ったら……私怖くて……もっと先輩を守れるように強くならなきゃって……」


男「そぉい!!」ブンッ!!


魔少女「あ痛ッ!!」ビシィッ!!


男のチョップが、魔少女の頭へと突き刺さる。

魔少女「な……何ですか?」オロオロ

男「昨日助けてくれたのは感謝してる。が!!お前に守られっぱなしになる筋合いはねぇ!!」

魔少女「……え?」

男「さっきから聞いてりゃー先輩を守らなきゃー守らなきゃーって、お前は俺のオカンか!!そんなもんあのクソババァで間に合っとるわ!!」

魔少女「だって……先輩実際まだ弱い」

男「うっせーバーカッ!バーカバーカッ!!」

魔少女「な……し、小学生みたいな事言わないでください」

男「その小学生にお前は助けられたんだよバーカ!!いいか?何の為に2人でダンジョンに入ってんだ?お互いに助け合う為にだろうが!!
勝手に上から見下してんじゃねーよこの馬鹿ガキ!」

魔少女「見下すって……そんな……つもりは……」

男「いーや!あるね!!お前は無意識に俺の事見下してんだよ」

魔少女「違……いま……す……」プルプル……


男「そりゃあダンジョンなんざ来たことないから今はお前に世話かけっぱなしだけどなぁ!俺だって今から」




魔少女「だから!!違うって言ってるじゃないですかぁぁぁあああああ"あ"あ"あ"っ!!!!!」

男「うぉっ!?」ビクゥッ!!


魔少女「う"ぁぁああああああ"あ"あ"ああ"あ"っ!!!!」


魔少女は泣き出した。

男は驚いている。



魔少女「わだしはぁあ!!○○くんに危ない目にあっでほしぐないからぁぁああ!!だがらいっしょうげんめい頑張ってるのにぃぃぃいいいい"い"い"い"」

男「え?ちょ、魔少女?」



魔少女は盛大に泣き出した。

男に効果は抜群だ。




魔少女「ぞれなのにぃみぐだしてるとかぁぁぁあ!!そんなわげないのにぃぃぃいいいい!!!むがじまもっでぐれだからぁ!づぎはわたじがぁぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"」


男「わ、わかった!ゴメン!俺が悪かったから!!な!?」


魔少女「ばがぁぁぁぁぁああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」



ずっと魔少女のターンが続き、最終的には男が土下座し続けてようやく魔少女は泣き止んだ。

……………………




魔少女「…………」グスッ……

男「なぁ、機嫌直せよ魔少女」

魔少女「……嫌です……」

男「あーもー悪かったって。ありがとな、守ろうとしてくれて」

魔少女「…………歩きたくない…………」

男「え?」

魔少女「歩きたくないから……出口まではおぶってってください……」

男「はぁ……ハイハイわかりましたよ魔少女様っと」ヨッ




…………出口進行中…………



男「しっかし魔少女があんだけ泣くのを見るなんていつぶりだろうな。小さい頃はやんちゃでよくあんな感じでビービー泣いてたもんな」

魔少女「…………知りません…………」


男「んでしばらく会わなくなって、同じ高校目指してるからってまた会うようになって。久しぶりに見たらえらい大人しそうな子になっててびっくりしたなー」

魔少女「……先輩は……」

男「ん?」

魔少女「大人しくない……活発な私がいいですか?」

男「別にどっちでもー。どんな魔少女でも大事な妹分だからな」

魔少女「…………はい…………」ギュッ……



男「そういや久しぶりに魔少女に○○くんって呼ばれたな」

魔少女「……覚えてません……」



本日の成果

戦利品 無し(魔少女救出の為、草原に置いてきたまま)
スライムの心×7



修理代 残り1500ゴールド
所持金 残り17ゴールド

投下終了です。魔少女ガン泣き回でした。
とりあえず2人は恋愛関係ではなく親愛関係です。
そろそろチュートリアルダンジョンではなく、固定マップダンジョンやりたいですねー。
ではまた。

こんにちわ、1です。投下していきます。

オートマタ素材納品期限まであと12日




男「……しんどい……」


ダンジョン生活3日目。


2日連続でダンジョンに入り、前日は魔少女と色々あった為、男の疲労はピークに達していた。


♪ライ~ン♪

男「んあー?魔少女からか?」ピッ


『今日はゆっくりしてください。昨日やった魔力操作の練習だけはお忘れなく』


男「流石にあのスパルタ魔少女も今日は休みか……よっと」


男はグラスに水を注ぎ、両手をそえて集中する。

魔少女いわく、この練習は反復して感覚を馴染ませることが重要だそうだ。

戦技を使うにしろ召喚を使うにしろ、素早く無駄な魔力消費を抑える事が魔物との戦いの分かれ目となる。

その為に、毎日欠かさず行う事を、魔少女に強く言われていた。
最終目標は、呼吸をするのと同じ感覚で魔力の操作が出来るようにする事である。

男「といってもずっとやり続けると腹減るんだよなぁ。今は金ないしクソババァは仕事だし。後でカップラーメンでも食うか」

市立図書館


魔少女「……ふむふむ……」

魔少女は、昨日やろうとした極大呪文の理論を勉強する為に、図書館で魔導書を読んでいた。

ちなみに魔導書は、ダンジョンで拾う事もある。
高いランクのダンジョンにもなると、未知なる魔法も記されている為、高値で取引されているのだ。

ちなみに、それらの魔導書の詳しい内容をネットに書き込もうとすると、何故か文字化けするらしい。
複製禁止の魔法でも掛けられているのだろうか。

魔少女「んー……やはり根本的に技術が足りないようですね……地道に練習するしか……」

小さい頃から何度も読んできた図書館の魔導書だ。
内容は完璧に覚えているが、技術が足りないのはどうしよもない。
昨日に男が言った通り、地道に練習するしかなさそうだ。


魔少女「しかし……あれくらいで取り乱すとは、私もまだまだですね……」ハァッ……

不意に昨日の失態を思い出す。
彼処まで感情を剥き出しにしたのは何年ぶりだろうか。

「あれ?魔少女じゃん!おっすおっす!!」イェーイ

魔少女「……おっす……」イェーイ

「何読んでるの?あ、また魔法の本?飽きないわねーアンタも」

魔少女「理解出来れば……結構面白いですよ」

「そんなもんなの?あ、そういえばアンタどうなったのよ例の先輩と。昨日も一緒にダンジョン入ったんでしょ?」

魔少女「……昨日は……怒られちゃいました」

「え?何それ。アンタ何かやらかしたの?」

魔少女「まぁ色々……でも仲直りはしました」

「ふーん……何でアンタ達付き合ってないの?」

魔少女「私と先輩は……そういうのじゃないですから」

「わかんないなー。……あ、じゃあもし先輩が別の誰かと付き合いそうになったら」

魔少女「じっくりその女性と話し合います」ゴゴゴゴゴゴッ…………

「あ、はい」

「図書館ですのでお静かに」

魔少女「あ……はい」

男「……暇だな……」

ここ2日間が刺激的過ぎた為か、平和な日常が少し退屈に思えてきたようだ。
誰かの思惑通り、順調にダンジョンにハマっているようだ。

男「んー……そういやダンジョン系の学校ってどんなのがあるんだろうな」ピッ

おもむろに携帯を取り出し、ダンジョン専攻の大学や専門学校を探し始める。

男「うわ、偏差値高っ。今から入ろうと思うとかなり頑張らなきゃ無理だなぁ。専門は金めっちゃかかりそうだし……」

ダンジョン系の学科は、現地実習などが多い為に、授業料がバカ高い。専門学校ではなおさら高くなるだろう。


男「それに……条件が入試までに危険度ランク8以上の許可証が必要……か。これが一番しんどいんじゃないか?」


現在、男は学校の実習により、危険度ランク2までの許可を持っている。
これは、高校生以上ならば殆どの人間が持つ資格だ。
ダンジョンに入るにしろ入らないにしろ、とりあえずとっとけという制度である。


しかし、そこから上のランクに上がるには、国際ダンジョン協会の試験を受けなければならない。

試験はランクが1上がる毎に行われ、上に上がるにつれて要求される実力がどんどん上がっていく。


今の男の実力では、ランク3に上がれるかはよくて五分五分だろう。
なんせまだランク2のダンジョンにすら入った事がないのだから。


男「将来か……少し真面目に考えてみっかな……」

ダンジョン生活4日目

オートマタ素材納品期限まであと12日



『今日はエリスの修理素材を採りにいきましょう。13時に駅前集合です。お昼はしっかり食べてきてください、』


男「エリス?……あぁ、あのオートマタの事か。素材って何か取れるモンあったっけな?」ピッ

男は、携帯に保存していた修理材料リストを開く。





魔導回路用の水晶 150ゴールド 水見市のダンジョン ランク2

人皮樹脂 60ゴールド

冷却用オイル 40ゴールド

魔導コア用の魔力結晶ランク1
250ゴールド ダンジョン レア

オートマタの服(お好み)
オートマタの武装(付けたいなら)


男「こん中だったら……水晶か魔力結晶かな?他は買わなきゃいけないだろうし。そういや水晶のある水見市って何処だっけ?」ピッ


男は携帯で検索すると、どうやらここから電車で1時間ほど離れた山間の町だそうだ。

2人分の電車代だけで、所持金がちょうど底をつく。


男「あー……これだろうなー……探索失敗したら帰れねぇなこりゃあ」

駅前広場


魔少女「正解です……流石先輩」

男「お前なら考えそうな事だからなぁ。背水の陣ってヤツか」

行きの電車代だけで所持金が無くなる為、このダンジョン探索を失敗すれば、最悪交番でお金を借りて帰るしかない。

魔少女「先輩の昨日の動きを見た限り……ランク2でも通用するハズと考えました。昨日みたいなアクシデントがない限り……成功は7割を超えるかと」

男「まぁ、ここらでかなり稼がないとなぁ……1500ゴールドの道のりは険しいわ」ハァッ……

魔少女「1つランクが上がれば……稼げるお金もかなり違いますよ。では出発しましょう」

男「はいよー。しっかし1時間の電車とはちょっとした旅だな。金ないけど駅弁が欲しくなるわ」

魔少女「一応……お弁当なら作ってきました。食べたくなったら言ってください」

40分後


電車内


次は~○○、次は~○○

男「乗客えらい減ったな」

魔少女「この路線は……元々使用者が多いわけではないですからね。この先に向かうのは山の方のダンジョンに向かう人くらいです」

男「なるほどねー。じゃあ、この車両に残ってんのはダンジョン目的の人らって訳か」チラッ


男が周囲を見ると、大剣を側に置いたヘッドホンをつけた青年と、様々な召喚用装飾品を身にまとった女性のペアが見えた。
見る限り、かなりの上級者に思える。


魔少女「私達が向かっているダンジョンの他にも……高ランクダンジョンがいくつかあります。他の皆さんはそちらにいかれるかと」

男「そうなのか。確かにわざわざランク2のダンジョンに何て行きそうにない装備だよな。……ただ……」チラッ

男が再度周囲を見渡す。

そして乗車口の前に立っている1人の中年くらいの男を見る。

男「……何かカウボーイみたいなのがいるんだが……」ヒソヒソ

魔少女「見ては……ダメです」ヒソヒソ


カウボーイ「…………」


上はカウボーイハット、下はウエスタンブーツと全身西部時代からやってきたかのような装いの男は静かに外を眺めていた。

また、身長が高く割とダンディーな顔つきな為、カウボーイファッションが似合ってるっちゃ似合っている。
更に、両腰のホルスターに2丁、両脇ガンポケットに2丁、リボルバーが入っている。
恐らく、彼もダンジョン探検者なのだろう。


男「何で4丁も持ってんのかな?」ヒソヒソ

魔少女「それぞれに……違ったいくつもの魔力を感じます。恐らく戦技毎に使い分けているのではないかと」ヒソヒソ


武器にもよるが、1つの武器に取り付けられる戦技は基本、1つという訳ではない。
しかし有限には違いないので、武器を複数持つ者も多い。

男「へぇー……じゃああのカウボーイも強いのかな?」ヒソヒソ

魔少女「恐らく……もしもあの4丁全てを使いこなすのなら、とんでもない強さかと」ヒソヒソ


次は~水見~、次は~水見~、各ダンジョンへお降りの方は~次でお降り下さい~


男「あ、着いた。いよいよランク2のダンジョンかー」

魔少女「大丈夫です……今回は私が側にいますから」

男「あいよ、まぁー頼みにしてるわ」

水見駅前


ガヤガヤ
ガヤガヤ


男「おー、意外と人多いんだな。こんな山間の町なのに」

魔少女「そうですね……高ランクのダンジョンがある街は、物資と人の出入りが激しいですから」

男「そうなのか?」

魔少女「えぇ……外からくるダンジョン専門の業者や探検家、それらが回収してくる資源を買い取る小売業者や運輸業者。医療機関や武具の加工職人や露店、飲食店と、例を挙げればキリがないです。
それに……観光地としても活用出来ますからね」

男「なるほどなー。ちなみにこの町にはどんくらいダンジョンがあるんだ?」

魔少女「観光ガイドブックによると……全部で4つですね。高ランクから、24、21、12、2です。私達がこれから行くのはランク2の『水見の滝』ダンジョンですね」

男「ランク24か……それってどんくらい凄いんだろうな」

魔少女「この間……ダンジョンでトレントと遭遇しましたよね?アレがランク10相当の魔物です。
この町にいる大抵の探索者は、アレを簡単に倒せてしまうんでしょうね」

男「うっひゃあー、凄い人達ばっかなんだなー」

魔少女「ちなみに……日本の3大最高ランクダンジョンは60~65で、富士山頂にあるダンジョン『高天原』、東京新宿にあるダンジョン『無限城』、屋久島にあるダンジョン『シシガミの樹海』です」

男「そんなとこに入ったら俺らなんか5秒で死ぬだろうな」

魔少女「私は……1分保ちます」ドヤッ

…………



男「んじゃ、早速その『水見の滝』ってところに行くか。どこにあんだ?」

魔少女「あの山の麓に……入り口があるそうです。ちなみに中は固定型のダンジョンになっており、出口に向かうには更に山を登っていきます」

男「うわ……山登りとかマジかよ……てか魔少女、お前の運動神経でクリアできんのか?」

魔少女「そうですね……こんな時の為に登山用の靴と、折り畳み杖を持ってきてますので」カチカチッ

男「準備万端じゃねーか。はぁ……明日もまた筋肉痛だなこりゃ」











水見市ダンジョン 『水見の滝』


出現時期 35年前

危険度ランク 2

主な魔物 ????

投下終了です。いい嫁さんですよね魔少女。

オホー乙乙

現実にもダンジョンが有れば…

乙、この設定大好き、なんか元ネタあるのか?
一見平和に見えるけどダンジョンが発生し始めた頃は結構な死人が出てるんだろうな

突然世界にダンジョンが発生し始めて…っていうのは割と聞く気もする

元ネタは不思議なダンジョン系だろうな。この世界なら仕事が楽しそう。命懸けだろうけど

不思議のダンジョンは知ってるが現代舞台とそれに合わせた魔物の心のダンジョン内限定仕様、魔導書の文字化けとかの細かい設定が好きなんだ
ひょっとしたら最近のなろう小説とかラノベに元ネタあるのかと思ったんだよ

こんにちわ、1です。
投下していきます。

>>174
>>175
>>176
>>177
ありがとうございます。のんびり進めていきます。
>>178
元ネタは不思議なダンジョン以外は正直ないですねぇ……しいていうならシャドウハーツやペルソナかな?現代社会にダンジョンあったらどうすんのやろという感じなので。
細かい設定は大まかに考えて矛盾が見つかったら解決策を探す感じでできていきます。

『水見の滝 山の麓』



http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira117249.jpg





ザァァァァァァァァアアアアッ…………



男「いい具合に涼しいダンジョンだなー。虫に刺されそうだけど」

魔少女「こんな事もあろうかと……虫除けスプレーです」プシューッ

男「うぇっ!?いきなり人にかけんじゃねぇよ」ゴホッ!


麓付近にあった入り口から、2人はダンジョンに入る。
駅前にいた殆どの探索者は別にある高ランクのダンジョンへと向かったようで、周辺にはちょっとした素材を取りに来た者や、2人と同じ様にこのダンジョンの奥にある水晶を採りに来た者達が数人いる程度だ。


ダンジョンの中は、外と余り変わらない景色であった。

木々が生い茂り、川の水が流れる音が何処からか聞こえてくる。山頂までの道のりには、ある程度舗装された道。
草むらの中を突っ切るような事にはならないようだ。


外と違うのは、何処からか大きな滝の音が聞こえてきる事と













大ミミズ【ギシャァァアアアッ!!】

業者「戦技!『雷の杖』!!」バリバリバリッ!!!

大ミミズ【ギャァァァアアアッ!!】バリバリバリッ!!!


魔物が出て、探索者達との戦闘があちこちで始まってるくらいである。

男「おぉ!!流石プロの探索屋だな。2mくらいありそうなミミズを一撃で倒してるぞ。アレも戦技なのか?」

魔少女「そうですね……魔法とは違い、武器自体の力を使ってますので。威力は大したことがないですが、魔力の操作が出来れば誰でも使えます」

男「へぇー。俺のあの『何か凄い突き』よりは強そうだけどなー」

魔少女「合成戦技とはいえ……所詮ランク1相当の戦技ですから。先輩が剣道をやっていたのでそれなり有効に使えますが」

男「本来ならもうちょい弱い戦技なのね。てか思ったけど、プロの人らについてけば俺ら楽出来るんじゃね?」

魔少女「それでは……つまらないでしょ?」


男「まぁ確かに」


『立て看板』

左 静寂の小川
前 水見の滝
右 森人の憩い場(トレント注意!!)


魔少女「……どうします?」

男「右はダメだろ。絶対またトレントが出てくるパターンだろ」

魔少女「ですね……では換金素材を集める為にも左に寄り道しますか?」

男「いや、このまま真っ直ぐ水晶のある滝に向かう」

魔少女「ほう……それは何故?」

男「今回の遠征で資金は空っぽだろ?万が一にも失敗は許されないわけだ。
なら極力危険は避ける。最低限、エリスの為に水晶を取って帰るくらいの気持ちで丁度いいだろ。換金素材はその道中で戦ったり拾えるもので帰り賃くらいにはなる」

魔少女「先輩……考え無しに見えて意外に色々考えていたんですね……」

男「おいコラ」

魔少女「確かに……今回の最優先は無事に水晶を持ち帰る事です。それでは、できるだけ最短コースでクリアしましょう」



ガサガサガサッ!!


男「ッ!?おい、魔少女」

魔少女「えぇ……何か来ます」

進行ルートを決めた矢先、近くの茂みからガサガサと音が聞こえてくる。
どうやら、早速お出ましのようである。

シュルシュルシュルシュルッ!!!!

男「植物?めっちゃ蠢いてるけど」

蔓人形【…………】シュルシュルッ……


男「植物の蔓が集まって人型になりやがった……魔少女!解説!!」

魔少女「ガイドブックによると……その姿そのままに、『蔓人形』と呼ばれる魔物のようです。
ダンジョンの魔力によって自由に動くようになった植物が集まって人型を模した魔物……弱点は火ですね。焼きますか?」

男「いや、1匹だけなら俺がやる」


蔓人形の大きさは男とほぼ同じくらい。
ダンジョン探索のウォーミングアップには丁度いい相手である。

蔓人形【】ググググッ……

ブンッ!!

男「おっとぉ!!」パシィインッ!!

蔓人形の腕がムチのように男へと振り下ろされ、男はそれを横に躱す。
植物のしなやかな蔓によって生み出される威力は、本物のムチのようにまともに当たれば悶絶するだろう。

男「振り下ろすのは速いけど、予備動作がノロすぎてバレバレだっつーの!!」ブンッ!!

躱すと同時に、男は銅の剣を振り下ろす。
加工屋のサービスによって丁寧に研がれた剣は、銅の剣とは思えない斬れ味で蔓人形の銅を真っ二つに分けた。

男「うっし!まぁこんなもんだな」

魔少女「流石に……動きはいいですね。でもまだですよ」

蔓人形【】シュルシュルシュルシュルッ!!!

蔓人形の身体を構成する蔓が、分かれた胴体を再び繋ぎ合せようとする。
生命力の続く限り、蔓人形を倒しきることは出来ない。

男「よ!い!しょぉぉおお!!!」ブンッ!ブンッ!ブンッ!!

男は更に3度の斬撃を加え、蔓人形の生命力を尽きさせる。

シュゥゥウッ……

男「おっし撃破!コイツも1匹なら問題ねぇな」

魔少女「えっと……『丈夫な蔓』ゲットです」ゴソゴソ

男「お、それいくら?」

魔少女「1メーターで2ゴールドです……荷造り用の紐に使われますね」

男「……乱獲しまくるか?」

魔少女「持てる量も限られますし……落ちてるアイテムを拾った方が効率よさそうです。あ、『目覚まし時計』ゲットです」ヒョイ

男「山の中に目覚まし時計……謎だな。流石ダンジョン。……ん?」

蔓人形×4【】シュルシュルッ……

男「本格的においでなすったな……魔少女、何か手ある?」

魔少女「そうですね……先輩がまだまだ頑張れるなら……『エンチャント・ファイア』」ボゥッ!

男「おぉ、銅の剣が燃えた」

魔少女「とりあえず……簡単な魔法剣です。これでさっきより楽に倒せますよ」

男「よっしゃあ!!んじゃあ、片っ端からやってやるか!!」

『水見の滝 森人の憩い場』



カウボーイ「…………」

トレントA【ボォォオオオッ…………】

男と魔少女と共に電車に乗っていたカウボーイは、同じダンジョンのトレントのテリトリーにいた。

どうやら男達より先にダンジョンに入っていたようだ。




トレントB【ボォォオオオッ……】ズンッ!

更にもう一体のトレントが現れる。

トレントはテリトリーに入った森を荒らすを追い払う森の守り人。森に対して敵意がなければ特に警戒する必要はない。


しかし、敵意ある者がそのテリトリーで囲まれると、命に関わる。


カウボーイ「……戦技……」スッ……

カウボーイが、4つの拳銃の1つ、リボルバーを片手に持つ。

そして、もう片方の手を撃鉄に添え



カウボーイ「『炸裂弾』」ダダダァァアアアンッ!!!!



限りなく1つに近い、3つの銃声が辺りに鳴り響く。

カッ!!

ドドドォォォオオオオオオンッ!!!!

その瞬間、正面のトレントの巨体から、閃光と共に大きな爆炎が生まれる。

トレントA【ッ…………】ズズゥゥゥウンッ!!!

内側から爆発したかのようにトレントの巨体は燃え盛り、そのままその場に倒れる。


トレントB【ボォォオオオッ!!!】ブンッ!!

カウボーイ「」チャキッ


直後怒り狂ったように、もう一体のトレントが腕のように太く巨大に編み込まれた枝を、拳のようにカウボーイへと振り下ろす。

同時にカウボーイは、別の拳銃を自分のこめかみに当てる。

ドォォォオオオオオオンッ!!!

トレントの一撃が地に突き刺さる。
ただそれだけで、ダンジョン内に地震が起きたと錯覚しそうな地響きが辺りに鳴り響いた。


カウボーイ「『転移弾』」チャキッ


カウボーイは何事も無かったかのようにトレントの巨体の肩辺りに乗り、再びリボルバーを構え

ダァンッ!!!

1発の銃声が鳴り響くと共に、再び巨体が倒れたような地響きが辺りに鳴り響いた。

カウボーイ「『巨木の心』……依頼達成だな。2体で済んだのは運が良かったな、お前達」

2体目に倒したトレントから、カウボーイは魔物の心を得る。
その目の前には


トレント×3【ボォォオオオッ!!!!!】ズズゥゥゥウンッ!!!!

仲間を倒され、怒り狂ったトレント達が立ち塞がっていた。




カウボーイ「他の探索者達に矛先を向けられるのも迷惑な話だな……少し疲れるが」チャキッ

再び、カウボーイは片手をリボルバーの撃鉄に添える。

カウボーイ「『極氷弾』」

ダダダァァアアアンッ!!!


…………


カウボーイ「さて……たまにはのんびりと散歩でもするか」


銃をホルスターに直し、カウボーイはダンジョンの出口である山頂へと歩み始める。



トレント【】ヒョォォォォオオオオッ…………



その背後には、完全に凍てついた三体のトレントが、全く動かずにそびえ立っていた。


カウボーイ「3日もすれば動けるようになるだろ。その頃には怒りを忘れてくれればいいが……森を荒らして悪かったな」

投下終了です。
ちなみにカウボーイは別次元に強いです。



こういうの大好物だわ


こういう強キャラといつか並ぶ日が楽しみ

こんにちは、1です。軽めに投下していきます。

>>192
>>193
ありがとうございます。引き続きヒマな時にどーぞ

……………………


男「おい……さっきから凄え音と振動が伝わってくるんだが」

蔓人形の群れを魔少女のエンチャントのおかげで楽に倒し、戦利品を回収している男達にも、カウボーイの戦闘の余波が伝わっていた。

魔少女「あの方角……恐らくトレントのテリトリーで誰かが戦っているのでしょう」

男「助けに行った方がいいんじゃないか?」

魔少女「いえ……その心配は無用かと」

男「何でわかんだよ」

魔少女「微かに……銃声が聞こえました。その後に爆発音と巨大な何かが倒れる音と振動……それが何度も。恐らくトレントは全滅しているでしょう」

男「マジか……あんなデカブツをそんなあっさり何匹も倒せるなんて人間技じゃねぇな」

魔少女「相当に……高ランクの探索者だと思われます。そして銃声……銃を使う強そうな人。さっき見ませんでしたか?」

男「さっき?……あ!!あのカウボーイか!!」

魔少女「あの人も……このダンジョンに来ていたようですね」

男「何でこんなランク2のダンジョンにいんのかな?」


魔少女「仕事か……または自分が使うモノでトレントの素材が必要だったのでしょう。このダンジョンは空間固定型なので、生態系が確立してますからね。
あの『森人の憩い場』に行けば高確率でトレントに遭遇出来るんでしょう」

男「ランク2ダンジョンなのにランク10のトレントが確定で出るっておかしくねーか?」

魔少女「トレント以外は……ランク2相当かそれ以下ですからね。それにトレントは森を無闇に荒らしたり敵意を持たない限り、人を無闇に襲う事はありません。
更に、固定型ダンジョンなのでテリトリーも決まっています。総合的に考えれば居ないのと同じなんでしょう」

男「あぁ成る程。お前森を荒らしまくったからたまたまいたトレントに襲われたんだもんな」

魔少女「……その節は……反省してます」

男「ま、心配なさそうなら俺らも先に進むか」

魔少女「そもそも……私はともかく先輩が助けにいったところでトレントの群れ相手には何も出来ませんけどね」ププッ

男「お前本当に反省してる?お前も流石に無理だろう」

魔少女「ふふ……私は今回から秘密兵器があるのです」ドヤッ

男「え?何それ超見たい」

1時間後


『水見の滝 山頂まで300m』



ザァァァァァアアアアッ!!

男「ふぅ……結構歩いたな」

魔少女「そうですね……」プルプル

男「お前足が産まれたての子鹿みたいになってんぞ?」

魔少女「少し疲れました……どこかで休みませんか?」プルプル

男「そうだなぁ……ん?」

男が周囲を確認すると、100mほど先に滝が見えた。
どうやらその周囲は開けた見通しの良い場所になっているようだ。

男「おい、あっちに滝があるぞ。どうせだから彼処までいって休憩しようぜ」

魔少女「……もう膝が……」プルプル

男「んだよだらしねぇなー。こんな山道でおんぶする訳にもいかねえし……蔓人形の心使うか?」

魔少女「いえ……もう少し秘密にしておきたかったのですが……出てきて!!」カッ !!

キングスライム『オッス』ボヨンッ

男「はぁっ!?」

魔少女の仲間として現れたのは、頭に被った王冠と普通のスライムより遥かに大きな体で、スライム達の王様っぽい風貌から名付けられたキングスライムであった。

ランクは15相当である。


男「いや待て。何でそんな魔物をお前が持ってんだ?」

魔少女「加工屋さんで作りました……裏技で」ニヤリ

男「裏技!?そんなのあんの!?」

キングスライ『アルデ』

男「喋った!?」

魔少女「前回……先輩スライムの心大量に拾いましたよね?」

男「あ?あぁ、全部で7個だな。お前が欲しいっていうから全部あげたけど」

魔少女「私が持っていたのと合わせて8個分……実はこれをある特定の組み合わせで強化していくと、キングスライムを作る事が出来るんです」ドヤッ

男「それ反則じゃね?低ランクのヤツなら無双状態じゃねーか」

キングスラ『ンナワケアラヘンヤロ』


男「うるせぇ!!」

魔少女「いえ……作り出したものの、戦闘に使うには魔力消費が凄まじいので、結局低ランクの人は使えないんです。
この私ですら、戦闘には今は10秒が限界……まさに切り札ですね」

男「そんなとっておきのモンを今出してどうすんだよバカ!」

魔少女「戦闘時以外なら……実は普通のスライム8体分程度しか消費しないんです。なので、通常はダンジョンでの荷物持ちに使ったり移動手段に使ったりします。
ダンジョン駆け出しの魔法使いや……魔物使い系の人には割と使える裏技なんですよ。昔トリビアの泉でも紹介されてました。
……加工代そこそこしましたけどね……お年玉使っちゃいました」ヨイショ

男「へぇ~……うん、いや何ソイツの上に乗ってんのお前。何かそういう魔物いたよな確か」

魔少女「では……お先に滝まで行ってますね。あぁ……柔らかくて気持ちいい……」


キングス『オイテクデニイチャン』ボヨンッ!ボヨンッ!!


男「あ!待てこの野郎!!せめて俺も乗せろっつーの!!」ダッ!

投下終了です。
スライム8匹でキングスライムはドラクエネタです。現時点ではほぼ、宝の持ち腐れですね。

こんばんわ、1です。
今日もほどよく投下していきます。

『水見の滝 中流の滝』



http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira117579.jpg





ザァァァァァァァアアアアッ!!!!


魔少女「キングス……ありがとです」ナデナデ

キングス『ホナマタ』ボゥンッ!!

男「ハァッ、ハァッ、デカイくせにめちゃくちゃ速いなチクショウ……」

魔少女「ちょうど見通しもいいですし……ここで休憩しましょう。電車で食べなかったお弁当もありますし」バサバサッ

男「ピクニックシートなんて持ってきたのかよ、完全にピクニックだな。てか何処から出した?」

魔少女「最近……こういう嵩張る旅の荷物を別空間の保管場所から取り寄せられるように空間魔法を勉強してるんですよね」ジジジッ……

魔少女が手を広げると、直径30cmくらいの穴が空間に開く。
どうやらこの中に色々な道具を保管しているようだ。

男「それ四○元ポケッ○じゃねーか魔法凄ぇ!!……あれ?それ使えばダンジョンの道具持ち帰り放題じゃねぇの?」

魔少女「いえ……ダンジョンの道具は出口から脱出するか、脱出道具を使う事でしか持ち帰れないようです」

男「なるほど……ズルはできねぇんだな」

魔少女「なんにせよ……自分もダンジョンから出なければいけませんからね。お弁当食べながら戦利品の確認でもしましょうか」


……………………




丈夫な蔓 10ゴールド分
赤い植物の種 5ゴールド分
目覚まし時計 10ゴールド
リュックサック 15ゴールド
リュックサックに入っていたお菓子 消費
リュックサックに入っていた安物のブレスレット(魔物付)20ゴールド
リュックサックにくくられていた木製バット(戦技付)20ゴールド



男「もうお菓子くらいなら驚かねーや」モグモグ

魔少女「リュックサックは一瞬……別の探索者の荷物かと思いましたが、ゲームや映画でいう宝箱的なモノのようですね」

男「ゲームじゃあるまいし、宝箱なんてわかりやすいもの流石に置いてないよなー」

魔少女「そして……新しく武器と装飾品を初めて拾いましたが……」

男「これ戦技とか魔物の力がもう入ってるよな?使ってもいいのかな?」

魔少女「安全策をとるなら……持ち帰って業者さんに鑑定してもらうのが一番です。使うには通常通り魔力を流せば発動はしますが、どんな事になるかはわかりませんからね」


男「よし、じゃあまずはバットの戦技から」ググッ……

魔少女「えぇ……わかってましたよ使うって」ハァッ……

男がバットを握り魔力を通すと、バット全体にある魔法が発動する。

男「お、何かきた。魔少女、どんな感じがする?」

魔少女「感じる魔力の種類としては……爆破系に近いような」

男「んじゃ試しに石ころでも打ってみるか。せーの!!」ブンッ!

しかし男の攻撃は外れた。

魔少女「先輩……ダサいです」

男「うるせぇ!んじゃ気を取り直して」ブンッ!!

カキーンッ!!

男が手頃な大きさの石を宙に上げ、それをバットで打つと石は滝壺の方へと飛んでいった。

男「あり?何も起こらねぇや」

そして、石が滝壺の奥の岩壁に当たった瞬間

ドォォオオオンッ!!!

男「ッ!?何だ!?」

石がそこそこ威力のある爆発を起こした。

魔少女「どうやら……バットで打ったモノを爆弾にする戦技のようですね。そして衝撃で爆発すると」

男「え?それってどんな強いヤツでも打てば倒せるんじゃね?」

魔少女「流石に……そんなに強力ではないでしょう。飛ばせるモノ。あるいは大きさ、生命体以外。そんな条件があるハズです。詳しくは……やはり鑑定ですね」

男「なるほど。野球部なら狙った方向に打てるんだろうが、俺には使いこなせそうにねぇな」

魔少女「単純に……当てれば爆発するとかならよかったですね。その場合は先輩もバットも吹き飛びそうですが」

男「怖いなそれ。よし、次はこのブレスレットを……ん?」

男はふと先ほど爆破した滝壺の奥の岩壁を見る。
大した威力ではなかったのだが、岩壁が崩れているようだ。

更にその先には

男「おい……何かあの奥に道が続いてねぇか?」

魔少女「そうですね……ガイドブックにもあの道の事は書いてありません。という事は……」

男「俺達……新しい採取エリアを見つけちゃったのか?」

魔少女「恐らく……よかったですね先輩。固定型ダンジョンの場合、新しいルートや採取エリアなどを市に報告すると、報奨金がもらえますよ」

男「マジで!?いくら!?」

魔少女「ランク2ですと……多分200ゴールドだったような……」

男「おぉ!!一気に資金が増えんじゃん!!」

魔少女「しかし……どれだけ運がいいんですか先輩……たまたま拾った武器の戦技でたまたま岩壁を破壊したら道を見つけるなんて……」

男「どうせなら宝クジ当たって欲しいけどな。とりあえず写真と場所だけ記録しとくか」


…………


魔少女「よし……位置記録は大体ですがとれました。まぁ滝という目印があるので報告も楽でしょう」

男「写真もOKだ。あとは水晶だけとって帰るか……そういえば水晶のある滝ってここじゃあなかったのか?」

魔少女「その滝は……もっと山頂の出口付近にあるようですね」

男「……そこの道……洞窟になってんなら水晶くらいあるんじゃねぇの?」

魔少女「先輩……危険は極力避けるといったのは先輩では……」

男「いや、そうだけどさ……気になるじゃん」

魔少女「はぁ……わかりました。先にラージアントにある程度探索してもらいます。危険な魔物が中にいたら知らせてくれますから」カッ!


ラージアント『キー!』



男「流石魔少女!じゃあ知らせが来るまでここで待ってるか」


…………


ザァァァァァァァアアアアッ!!!


男「あぁ……お茶がうめぇ……」ズズッ……

魔少女「滝の音が……いい感じで心が安らぎますね……」ズズッ……

ラージアントが滝壺の洞窟へと進入して5分。
男達は、ピクニックシートに座り、存分にくつろいでいた。

この間にもラージアントは単身大冒険の最中だがとくに語られる事はないだろう。


ガサガサッ…………



カウボーイ「ここにも滝があったのか……ん?」

男「え?」

魔少女「あ……こんにちは」ズズッ……


…………


カウボーイ「君達もこのダンジョンにいたのか。あの電車の中で見た時には、高校生くらいなのに珍しいなぁと思ってたんだが……あ、お茶ありがとう」ズズッ……

魔少女「いえ……こちらもジロジロ見てしまってすいません」

カウボーイ「ん?あー、いーよいーよ。目立つからねぇこの格好は」

男「何でそんな格好してんすか?」

カウボーイ「格好いいじゃない」

男「えぇー……」

カウボーイ「まぁそれは半分冗談として……僕はダンジョン探索請負の会社……まぁいわゆるギルドだね。そこに所属してるんだが、方針がとにかく目立て!なんだよね。その方が宣伝にもなるし。
僕の他にも数人所属しているけど、皆どんな戦闘スタイルかわかりやすい格好をしてるよ」

魔少女「何か……芸能事務所みたいですね」

カウボーイ「ハハッ、確かにそうだ。まぁ格好だけつけても実力がないと笑い者だからね。
ウチのギルドは少人数だが、皆それなりの実力者だと思うよ」

男「ほぇー、因みに何てギルドなんすか?」

カウボーイ「あぁ、それじゃあ名刺を渡しておくよ。もしダンジョン関係で相談があればウチに遊びにおいで。お茶くらいは出すよ」つ名刺


男「『ダンジョンギルド 【RPG】 カウボーイ』……」



魔少女「そんな気軽に……行ってもいいんですか?」

カウボーイ「んー、ウチは割とそういうのラフだから。他の連中も学生のお客なんて珍しいから喜ぶんじゃないかな?」

魔少女「わかりました……ありがとうござい……ッ!?」バッ!!

お礼を言いながら頭を下げていた魔少女が、何かを感じ取り滝の洞窟の方へと振り向く。

男「ん?どうした魔少女」

魔少女「ラージアントが……何かにやられました」

男「……やっぱ魔物がいるってことか」

魔少女「えぇ……中はかなり広いようですし、私達のレベルでは無闇に入らない方がよさそうです」

カウボーイ「ん?あの洞窟がどうかしたの?」

…………


カウボーイ「へぇ……新しい採取地をねぇ……凄いじゃない」

男「偶然っすけどね」

魔少女「ですが……中の形状も把握できず、未確認の魔物もいる為、探索はやめておこうかと」

カウボーイ「うん、確かにそれが賢明だね。碌に調査もせずに欲に目が眩んで死んでいった探索者なんて腐るほど見てきたよ」

男「中の魔物をある程度誘い出せればどんなのがいるかわかるんだけどなー」

魔少女「そうですね……やりますか?」

男「できんの!?」

魔少女「拾ったアイテムに……『目覚まし時計』がありましたよね。あれを『丈夫な蔓』で洞窟の入り口に吊るしておけば」

カウボーイ「音に釣られて姿を現わすと……しかも洞窟だから音は反響して奥まで届く……凄いね彼女」

男「いやー……ホント頼りになりますよ」

魔少女「」ドヤッ








魔少女クラフトアイテムNO.1『魔物こいこい』

使用アイテム
目覚まし時計 1個
丈夫な蔓 2メートル

ジリリリリリリリッ!!!!


男「いい具合にうるさい目覚ましだな」

魔少女「これなら……洞窟の中に響き渡ると思います。問題は、洞窟の外の魔物まで呼び寄せなければいいんですが……トレントとか」

カウボーイ「あぁ、トレントなら僕があらかた倒したから大丈夫だよ」

男「あ」

魔少女「やっぱり……あの音はあなたでしたか」

カウボーイ「ん?」


大ミミズ×5【キシャァァァアアッ】ウネウネ

男「うわ、洞窟からミミズ出てきた」

魔少女「多いと気持ち悪いですね……焼いていいですか?」

カウボーイ「いや……これは何かから逃げてきてるみたいだ。本命はコッチだな」

ズンッ!!


男「……何か重そうな足音が聞こえてくるんだけど」


ズンッ!!


魔少女「やはり……無闇に洞窟に入らなくて正解だったようです」


ズンッ!!!


カウボーイ「でもコイツがいるって事は、そこには大体お宝があるんだよね」


ジリリリリリリリッ!!!

グシャァッ!!!







ゴーレム【ゴォオッ……】







現れてすぐに、洞窟の入り口に吊るされた目覚まし時計を握り潰した魔物。

それは、ダンジョンに眠る宝を守る目的で、石材で作られたとされる人型魔導兵器。


通称『ゴーレム』である。


危険度『ランク8相当』

投下終了です。
次回このダンジョンのボス戦です。

こんばんわ、1です。
皆さん色々な略称ありがとうございますw好きにお呼びください

今日もたらたらと投下していきます

ザァァァァァァァアアアアッ!!!!



男「これって……結構ピンチだったりする?」

魔少女「恐らく……私と先輩が全力で立ち向かっても、勝率2割といったところでしょうか」

カウボーイ「逃げ場の無い狭い洞窟で出会わなくてよかったね」



ゴーレム【ゴォオッ……ォォォォォオオオッ!!!!】


ォォォォォオオオッ!!!!!!



ゴーレムの低い力強い雄叫びが辺りに響き渡る。
男達にとっては明らかに格上の相手。しかも、一体だけとは限らない。
もしかすると、まだ洞窟の中にいるかもしれないのだ。




男「さて……逃げる用意は出来てるよな?」

魔少女「それは大丈夫です……ただ……」

男「ただ?」

魔少女「ゴーレムは……オートマタなどと原理は同じ、魔力結晶の魔力を原動力に動いているハズです」

男「魔力結晶って……エリスを直すのに必要な素材の1つだよな?まさか……」

魔少女「えぇ……ここであのゴーレムを倒す事が出来れば……その動力源である魔力結晶を得る事が出来るハズです」


男「だったら……なぁ?」ゴクリッ……

魔少女「えぇ……ですよね……」ゴクリッ……



男と魔少女は互いに覚悟を決める。
オートマタの少女、エリスを直す為にはいつかは通らなければならない道だ。


それをこんな開けた場所で相手は格上だが一体。

条件としては最高に整っている。

カウボーイ「さて……どうする?逃げる?戦う?なんならお茶のお礼に俺がやってもいいけど」スッ……

先ほどまでののんびりとした空気とは一転し、空気を凍てつかせるような戦闘モードにスイッチを切り替えたカウボーイが、ホルスターに装備したリボルバーに手をかける。

トレントの群れを相手に何の苦もなく完勝したカウボーイならば、その格下であるゴーレム一体など瞬く間に倒してしまうだろう。



男「いや……」

魔少女「あの1体は……私達が……」



しかし、男と魔少女はそれを拒否する。
この先、こんなイレギュラーな事態が何度も起こるだろう。時には逃げられない戦いをあるかもしれない。

そんな時、何度も他人に助けてもらえる訳がないのだ。
2人は言葉を交わさずとも、その結論に達した。


ここで自分達が倒すと。

カウボーイ「ふふん……いーね!いーよ君達!!それなら俺は君達とあのゴーレムとの戦いには一切手を加えない……あ、流石にマジで死にそうになったら助けるけどね。それが大人の役目だし」

カウボーイは、意気揚々とピクニックシートに座り、2人に話しかける。


カウボーイ「安心しなよ……君達の戦いを邪魔する魔物が来たら、俺が片付けてあげる……存分に戦いな」ニィ……



魔少女「ありがとうございます……」

男「邪魔が入らず死なないってだけでも破格の条件だろ」ザッ!


2人はそれぞれの前衛、後衛の戦闘スタイルに構え、ゴーレムと対峙する。

男「魔少女、解説!」

魔少女「ガイドブックには情報がありませんでした……ただ、見たところアレは最も簡易的に造られたゴーレム。ランクは8相当で、石の身体のために防御に長けていると記憶しています」

男「よし……魔少女、アイツを仕留めるのは一番火力のあるお前だ。俺がお前の準備が終わるまで相手するから、終わったらデカイのを叩き込め!!」

魔少女「先輩……大丈夫ですか?」

男「かなり不安だから、お前が前使ってた身体能力上げる魔法をかけてくれると助かる」

魔少女「わかりました……『フィジカル』!」

魔少女が手をかざすと、男の全身を魔法が覆う。

男「おぉ!身体がめっちゃ軽い!!」

魔少女「効果時間は1回3分です……それまでに私も準備を終わらせます」ググッ……

男「3分ね……どうにかやってみるか」トントンッ

男は軽くジャンプして身体の感覚を確かめる。
そして




男「先手必勝ォッ!!」ダンッ!!

一気にゴーレムへと距離を詰めた。

ゴーレム【ゴォオッ!!!】ブンッ!!

それを迎え撃つように、ゴーレムが右腕を振りかぶり右ストレートを放つ。

今の男の装備で当たれば、間違いなく骨折以上のダメージを負うだろう。


男「なんてな」ズザザァァアッ!!!


ゴーレム【ッ!?】

しかし、男はゴーレムの射程圏内から10cmほど離れたところで踏みとどまり、ゴーレムの右拳は空を切る。


そして

男「突きぃぃぃぃいいいいいいッ!!!!」ダンッ!!


ドォンッ!!!


一度踏みとどまり、溜まった慣性の力に更に前に踏み込む力を加え、男の唯一最大の戦技である『なんか凄い突き』をゴーレムへと放つ。


しかし








男「……硬ぇ……」ググググッ……

ゴーレム【ゴォォオオッ……】

渾身の一撃をゴーレムの胸へと突き刺すも、石の身体を持つゴーレムは想像以上に堅牢であった。

更に、重量故か銅の剣の先から放たれた衝撃波をゼロ距離で喰らっても少し体勢が崩れる程度である。
トレントと違い大きさは2mほど。重心も安定しているからだろう。

そして

カウボーイ「単純に火力不足だねぇ……ちょっと研いだくらいの銅の剣とランク1の戦技。それに彼の魔力操作の拙さ。
身体の使い方は十分合格点だが、上乗せするパワーが弱い弱い」

魔力。あるいは気力。
名前は違えど本質は同じ、人間の内に秘められた力である。

それを使いこなす事が、人間が魔物に生身で相対する方法。
例え幼稚園児でもそれが出来れば凄まじい力をダンジョンでは発揮する事が出来るのだ。



現に、世界には小学生でランク50という天才としか言いようの無い魔法使いの少年が存在する。



カウボーイ「魔力の基本すら覚えたのは最近だね?学校の授業では寝てたのかな」フフッ

ゴーレム【ゴォォオオッ!!】ガシッ!

ブンッ!!

男「うぉっ!!」ズザザァァアッ!!


銅の剣を掴み取られ、剣ごと男は投げ捨てられる。
単純な力の差は歴然である。


ゴーレム【ゴォオッ!!】ブンッ!

男「ヤバッ!!」ゴロンッ

ズンッ!!

すかさずゴーレムは倒れている男へと拳を振り下ろすが、男は横に転がりそれを避ける。


ゴーレム【ォォォオオッ!!!】ブンッ!!

ズンッ!
ズンッ!!
ズンッ!!!


更にゴーレムは追い打ちをかけてきたが、男は転がり続けて、連撃の隙を見て体勢ゴーレムから離れた。

魔少女の魔法で身体能力が上がっていなければ、この時点で終わっていただろう。

潰されたカエルの如く。

男「やっぱまともには敵わねぇな……だったら!!」ダンッ!!

魔法によって動きにブーストがかかっているため、男は容易くゴーレムの背後へと入り込む。

ゴーレム【ゴォォオオッ!!】ブォンッ!!

男「うぉっ!?」サッ!!


しかしゴーレムは腕を広げながらその場で回転し、男を寄せ付けない。



カウボーイ「彼だけでは絶対にゴーレムには勝てない。これは絶対だ。それならどうするか……」


男「近付くのも難しいか……どうしたもんかな」








魔少女「先輩……もっと離れてください」ググググッ……


後方に立つ魔少女の側に浮かぶ魔法球の数は3つ。
どれも属性は違う。

そしてそれらを維持しながら、反発しないように集中しながら混ぜ合わせる。


カウボーイ「お……いいね」


魔少女「火球……光球……風球……」ググググッ!!!


そして

男「撃て!魔少女ッ!!」ダッ!!

魔少女「三種複合魔法……『レイ・スラスト』ッ!!!」カッ!!

魔少女が複合魔法を放った瞬間、何十もの小さな光の刃がゴーレムへと放たれた。



ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ドドドドドドッ!!!!


小さな光の刃は、1つ1つが凝縮された高熱を帯びている。
その高熱は、ゴーレムの石の身体をも溶かすように斬り刻むほど。


何十もの刃は、男の攻撃で傷つくことのなかった石の身体へと確実にダメージを与えていく。


しかし

ゴーレム【ゴォオッ……】


魔少女「くっ……ハァッ……ハァッ……」ドサッ


光の刃を放出し続けていた魔少女が、突然地面に膝をつく。
魔法を発動させる為の魔力はまだ残っている。
だが、魔法を放出し続けるだけの体力が尽きたのだ。

ゴーレムの身体はいくつもの切り傷を受けているが、変わらず健在である。


魔少女「ハァッ……ハァッ……」


カウボーイ「知識は素晴らしい。技術も年の割には十分にある。だけど、体力が無いな。
発動させるだけならズバ抜けているが、それを維持させるだけのスタミナが足りない。魔法を使うにはその器である術者の体力は重要だよ?」


カウボーイは冷静に観察を続けている。

若い高校生の少年と少女。
素材は悪くない。
しかし、まだまだ足りて無いモノが多すぎる。

恐らくは、まだまだ実戦に慣れていない事が原因だろう。
目立った欠点を直すだけでも一気に成長すると見える。





カウボーイ「ま、今はここが限界か。手遅れになる前にここらで」スッ……
















魔少女「舐めないで……くださいッ!!!」ザッ!!


魔少女が声を張り上げ、再び立ち上がる。















魔少女「水・氷複合魔法……『フリージング』ッ!!」カッ!!

魔少女が魔法を練り合わせた右手を、滝から流れてくる大量の水に向ける。

ゴーレム【ッ!?】バシャアッ!!

その水の一部は魔少女によって操作され、ゴーレムの身体へとかけられる。

魔少女「魔力も体力も足りなければ……周りを利用します!」ググググッ!!

ゴーレム【ゴッ……】ピキピキピキッ!!


ゴーレムにかけられた水が、一気に熱を失い凍り始める。



魔少女「『クイックフリーズ』……」ググググッ……



本来なら魔少女が空気中から生み出した水を、かけられたモノが急速に凍り出す魔法であるが、大量の水源を利用する事でその消費魔力を大幅に減らす事が出来たのだ。

ピキピキピキッ!!パリィッ!!

ゴーレム【ゴッ……ゴォオッ!!】ズンッ!ズンッ!!


ゴーレムは身体の自由を氷結によって失いながらも、無理矢理身体を動かしながら魔少女の元へと向かってくる。

痛覚が無いため、無理な動きをしようが問題はないのだろう。




魔少女「キングスッ!!『キングストライク』ッ!!」カッ!!

魔少女は、キングスライムのキングスを封じ込めたキーホルダーを握り締め、残った全ての魔力を込める。



魔少女「維持する体力が無いのなら……一撃に込めます!!」

キングス『マカシトキ』ボヨンッ!!



何処からか降ってきたキングスは、その勢いそのままにゴーレムへと突進し

ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ズドォォォオオッ!!!

ゴーレムはそれを全身で受け止めた。

キングスライムの召喚。

本来の威力なら、ゴーレムを粉砕する事が出来ただろう。
更に強力な別の技を使う事も出来ただろう。


キングス【ヤルヤナイカ】ググググッ!!

ゴーレム【ゴォオオオオオオッ!!!!!】ググググッ!!



しかし、魔少女にはただでさえキングスライムを召喚として扱うには圧倒的に魔力が足りない上に、2度の複合魔法によって消費した分、ゴーレムにトドメを刺すには至らなかった。

ピキピキッ…………

しかしその巨体を受け止めた為、高熱の刃と冷気の複合魔法によってダメージを受けた石の身体に亀裂が走る。
いわゆる熱疲労というやつだ。


キングス【ホナ】シュンッ!!


魔少女「クッ……」


ゴーレム【ゴォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!】



カウボーイ「最後の意地か……いい根性じゃない。そういうの好きだよ俺は」

キングスの召喚が解け、全てを出し切った魔少女は今度こそ、力尽きて地面に倒れていく。


魔少女「……あとは……お願いしますね……」フラッ……






















魔少女「……先輩……」ドシャアッ!!
















男「ウォォォォォォォオオオッ!!!!!!」ダッ!!!


その瞬間、戦技を発動した男がゴーレムへと全力で突っ走っていた。















ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ブォンッ!!


ゴーレムはすかさず右腕を振りかぶり、向かってくる男へと右ストレートを繰り出す。

一回目の衝突と同じ展開だ。
先ほどは、男が踏みとどまりその拳を空振らせた。


男「ラァァァアアアアッ!!!」ブンッ!!

しかし、次はその右拳に突きを当てる。



ゴバァァアッ!!!


ゴーレム【ッ!?】

男「ガァッ!!」グラァッ……


激突の瞬間、ゴーレムの右腕は、突きとそれと同時に発動した衝撃波によって粉砕される。

突きの戦技の威力。ゴーレムの右ストレートに対するカウンター。
そして何より魔少女によって石の身体全体ににヒビが入るほどに蓄積されたダメージが、この結果に結びついたのだ。


しかし同時に男の銅の剣も折れ、男は衝撃でそのまま背後に勢いよく倒れ込む。



が。

ダンッ!!!


男「ラストォォォオオッ!!!!」ブチブチブチッ!!!




男は全身の力を使い踏み止まり、全身を捻りながら無理やり倒れ込むのを阻止する。
全身からは筋肉が切れるような嫌な音が聞こえてくる。



男「オオオオオオオオオッ!!!!」
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!!】


その捻れを戻す勢いのまま、折れた銅の剣で戦技を発動させる。
男の一度の戦闘で発動できる戦技は2回。
その限界を超え、文字通り最後の一撃である。



そして



ドゴォォォォォォォオオオッ!!!!!


ゴーレム【ゴッ……ゴ…………】ビキビキビキッ!!!




折れた銅の剣は、そのままひび割れたゴーレムの胴体を貫き、亀裂が全身に走ったゴーレムは、そのまま全身が砕けた。

男「よ……しゃあ…………」フラッ……


ドシャアッ!!!






カウボーイ「……最高……」パチパチッ……







全ての魔力を使い果たし、男が地に沈むのを見届けた後。
カウボーイは、男と魔少女へと静かに賞賛の拍手を贈る。



1つ、大きな壁を乗り越えた少年と少女へと。






『戦闘終了』






魔少女はレベルが上がった

魔少女は特性『女の意地』を会得した

男はレベルが上がった

男は特性『猪突猛進』を会得した





『ゴーレムの心』を手に入れた
ゴーレムの核である『魔力結晶(ランク1)』を手に入れた

投下終了です。
対ゴーレム戦でした。
ゴーレムはドラクエのゴーレムを想像してもらえれば。

あと>>1的にカウボーイは、野原ひろしの人の声をイメージしてます。FF15のアーデンというおっちゃんみたいなキャラな感じで。

ではまた。

おはようございます、1です。
軽くのんびりと投下していきます。
ご都合主義で揉めておりますが、まぁ1の実力不足という事で。

…………

魔少女「先輩……先輩!」

男「…………魔少女か…………」

目を開けると、魔少女が心配そうな顔でこちらを覗いている。
どうやら、あのゴーレムを何とか倒した後、気絶していたようだ。

男「お前は……大丈夫なのか?」

魔少女も魔力を使い果たして倒れていたのを覚えている。
魔少女がゴーレムの石の身体に亀裂を与えていなければ、絶対に勝てなかった相手だった。

魔少女「はい……カウボーイさんがレッ○ブルくれたので魔力は全快です」

男「え!?○ッドブルで魔力回復すんの!?ッ!!イテテ!!」ビキビキッ……


魔少女「まだ……動いちゃダメです。全身の筋肉が痛んでますから」ポゥッ……

そういいながら、魔少女は鈍く光る両手を男の身体に向ける。どうやら、ずっと回復魔法をかけ続けてくれていたようだ。

ご都合主義は気にならんです
ところで魔少女のヒステリーはこの先も治りませんか?

>>261
魔少女の男にたまに出るアレはヒステリーではなくただの駄々っ子です。親兄弟にする感じのヤツです。

男「サンキュー……しっかし強かったなーゴーレム。魔少女の魔法をあんだけ喰らっても倒れもしないなんて」

魔少女「ランク8相当ですから……今の私達にとってはボスキャラです」

男「だよなー。あんなのをアッサリ倒せる日がくんのかな?……あれ?カウボーイのおっちゃんは?」


ふと周りを見渡すと、カウボーイの姿が無い。
代わりに

男「何か魔物からの戦利品みたいなのが山積みなんだけど……寝てる間に何があったの?」

洞窟の入口側辺りには、大量の魔物を倒して得るようなアイテムが山積みになって置いてあった。

魔少女「カウボーイさんが……ゴーレムがいるって事は何かしらお宝があるって事で洞窟に入っていったんです。
そしたら中には魔物が大量にいたみたいで」

男「片っ端から倒しては持ちきれないアイテムをここに持ってきてるって事か……やっぱ入らなくて良かったな俺たち」

魔少女「そうですね……」

男「しっかしあのおっちゃんもちょっと白状だなー。魔少女こんなとこに残して1人で洞窟探索なんて」

魔少女「いえ……あの人はちゃんと護衛の魔物を置いていってます……充分すぎるくらいのを」

男「え?どこ?」キョロキョロ

魔少女「向こうです……」

男「向こう?……何あれ……」











キラーマシン『ケイカイチュウ……ケイカイチュウ……』ウィンッ、ウィィインッ









男が魔少女の指す方を見ると、そこには3m近いロボットのような魔物が、男達の周囲を警戒していた。


魔少女「『キラーマシン』……という魔物だそうです。いわゆる『異界』からダンジョンに来たロボットのようで、見た事も聞いた事もありませんが……魔物のランクは覚えてないけど大体40くらいだとか……」


男「40って……世界的にも上位プロ並みなんじゃねーの?しかも覚えてないって事は本人は軽く上を行くんだよな?……何者なんだよあのカウボーイ……」

…………


カウボーイ「いやぁー大漁大漁。ちょっとした小遣い稼ぎにはなったかなぁ」

洞窟を隅から隅まで探索しつくしたカウボーイの横には様々な装備品やアイテム、戦利品が山積みにされていた。

男「……これで大体いくらぐらいになるんだ?」

魔少女「少なく見積もっても……2000ゴールドにはなるかと」

1ゴールド→100円

カウボーイ「未発見のエリアでも、流石にランク2だと1エリア取り尽くしても5000超えもないよね。最近金銭感覚狂いそうだから僕みたいな庶民出にはちょうどいい金額だよ」

男「ちなみにランク40くらいの探索って一回の探索でどれくらいの儲けなんだ?」ヒソヒソ

魔少女「昔見たプロジェクトDという番組では……5万ゴールドは軽く超えると言ってましたね。ランクが上がるにつれて得られる資源やアイテムは、大企業の生産原料や文化遺産、美術品や貴重な金属類などにもかなり関わりますから」ヒソヒソ

男「ひょっとして、俺らとんでもない人と一緒にいるんじゃねーの?」

魔少女「今更すぎますよ……」

男「あ、でもこんだけの荷物どうやって持って帰るんだ?」

カウボーイ「ん?あぁ、知らないのかい?世の中にはこんなモノがあるんだよ」ゴソゴソ

カウボーイがポケットから何かの指輪を取り出す。

男「指輪?何かのダンジョンアイテムすか?」

カウボーイ「これは『保管の指輪』って言ってねぇ。こういうダンジョンで入手した大量のアイテムを、指輪の力で作り出した空間に保管する事が出来るのさ。そこそこレアだねぇ。
ダンジョンの中でしか物を入れる事は出来ないし、指輪のランクごとに保管出来る容量は決まっているけどねぇ」


そう言いながらカウボーイが指輪をアイテムの山に翳すと、山は綺麗さっぱり指輪の作った空間の中へと入っていった。


魔少女「上のランクのダンジョンには……こんな空間魔法のアイテムもあるんですね」

カウボーイ「ランクの低い保管の指輪なら専門店でも売ってるよ?そこそこ値が張るからダンジョンで拾った方がいいと思うけどね」

男「どれくらいっすか?」

カウボーイ「んー……一番下でこれくらいかなぁ」スッ

カウボーイは片手の平を広げて男の前に翳す。

男「500ゴールドか……ちょっと頑張ればエリスの修理代ついでに何とか買えそうだな」

カウボーイ「ん?違う違う。5万ゴールドだよ」

男「買えるかチクショウッ!!」

魔少女「私が……頑張っていつか同系統の魔法を覚えますので……」


少量だがダンジョンの外から空間魔法で物を持ち込む事の出来る魔少女でも、ダンジョンの物を別空間に入れる事はまだ出来ない。

いわゆるプロテクト的なモノがダンジョンアイテムには備わっているようだ。
恐らく正規の手順以外でのダンジョンアイテムの持ち出しを防ぐ為。魔法とはいわゆる、如何にバレないようにズルをするかという手段なのだ。

カウボーイ「あーそうそう、そういえばこれは保管せずにとって置いたんだ」

カウボーイが地面に落ちているアイテムを拾いあげる。
どうやら『鉄の剣』のようだ。銅の剣よりも1ランク上の武器である。


カウボーイ「少年はゴーレムとの戦闘で銅の剣が折れちゃったから……この武器なんてどうかな?戦技も何かついてるよ」つ鉄の剣


男「え?いや、俺は……」

魔少女「先輩……武器は手に入れられる時に手に入れた方がいいですよ」

カウボーイ「貰っておきなよ。力はつけられる時につけた方がいい」


男「じゃあ……折角なんで。……そういや折れちゃったんだな、俺の銅の剣……」

男はゴーレムとの死闘によって折れた銅の剣を見る。
ダンジョン初日に母親が渡した、兄のおさがり。

使用期間も短く特段思い入れがあるわけではないが、初めてのダンジョンから使い続けていたので何とも言えない気持ちになる。

男「短い間だったけど……ありがとな」

男は折れた銅の剣をしまい、引き続き魔少女の治療を受ける。

…………


魔少女「身体の調子は……どうですか?」

男「おう、だいぶ痛みが和らいだな。歩いていく分には問題ねぇや」

30分ほど魔少女の回復魔法を受け続けて、男の身体はどうにか動くようになった。
といってもあくまで応急処置。帰ったらゆっくり休ませなければならない。
明日も痛みが続くなら部活時代に世話になっていた整体にでも行くとしようか。

魔少女「それでは……山頂に向かいましょう。出口の近くにある滝に、目的の水晶があります。あ、それといい報告が1つ」

男「ん?どうした?」

魔少女「ダンジョンで……入手する予定でしたもう1つの素材『魔力結晶』をゴーレムから、無事に得ることが出来ました」

男「あ、そういえば……え!?マジで!?」

魔少女「えぇ……先輩がゴーレムの核ごと壊してないか心配でしたが……ゴーレムだった石の中にちゃんとありましたよ」

男「そっか……一時は不安だったけど先が見えてきたな。後は資金を集めて残りの材料を買えば……」

カウボーイ「そういえば君達は何でこのダンジョンに来たんだい?」

……説明中……


カウボーイ「えぇ子らや……」ホロリ……

男「おい、いい歳した中年のおっさんが泣いてるぞ」ヒソヒソ

魔少女「年をとると……涙もろくなるともいいますし……」


カウボーイ「要はそのオートマタの少女を直したいわけだ。だったら、さっき拾ってきたアイテムの山は君達に」

男「それはノーセンキュー」

魔少女「こういうのは……自分でやる事に意味があると思います」

カウボーイ「そうなの?僕だったら喜んでもらってくけどねぇ。手間が省けるし、ちまちまダンジョンに潜るのめんどくさいし」

男「とても最低でもランク40以上の探索者とは思えない発言だな」

魔少女「案外……こういう人に大物の素質があるんですよね」

カウボーイ「ま、せめてダンジョンの出口までは一緒についてあげるよ。少年はまともに動けないだろ?」

魔少女「それは……ありがたいです。先輩は今お荷物にしかなりませんから」

男「さらっとヒドイな魔少女」

カウボーイ「そういえば君達、手に入れたゴーレムの心の使い道はどうするんだい?」

男「どうって……どうする魔少女?」

魔少女「そうですね……キングス程ではないですが、私達に扱いきれるランクではないので……使えるまで保管しておくか、売却して資金の足しにするのがいいと思います」


カウボーイ「君達もしかして……『武器召喚』の事知らない?」


男「武器召喚?何すかそれ?」

魔少女「一応……魔物の心の特殊加工の1つとして聞いています。ですが、アレを使いこなすには相当な技量がいると聞きますが」


カウボーイ「まぁそうだね。でも使いこなす事が出来ればかなり強力な力になる。
少年……君のような魔力の少ない前衛タイプには特にね」

男「え?俺?」

『武器召喚とは!!』


魔物の心を用いた召喚術の1つ。

魔少女の使うモノは、魔物自身を呼び出し、魔物の力に使い手の魔力を上乗せして強力な一撃を放つ通常の召喚である。

非常に強力だが攻撃に使うには魔力を放出しっ放しなので消費量が激しく、基本的に魔少女のように後衛タイプの者が使う。


それに対し、武器召喚は魔物の力を武器という形に圧縮し、それを用いて戦う前衛向きの召喚である。

魔力を大きく放出するのは、通常武器で戦技を使う時と同じく、武器召喚にて戦技を使った時のみ。それなんてオーバーソウrとか言わない。

どちらも発動には装飾品に魔物の心を加工する必要がある。


ここらで簡単に各技を、物凄く簡単に数値化して比べよう。
例として術者のHP、MPをそれぞれ100、ランク1スライムの魔物の心を使っているとする。


通常武器攻撃(銅の剣)
ダメージ10

通常戦技
一回MP消費5
ダメージ30

合成戦技(+ラージアント)
一回MP消費35
ダメージ250

武器召喚
召喚時MP20消費

武器召喚攻撃
武器召喚後、継続的にMP・HP消費1
ダメージ35

武器召喚戦技
一回MP消費60
ダメージ500


仲間メンバーとして召喚
一回MP消費1
スライムの強さ変わらず(ダメージ2程度)

通常召喚
一回MP消費20
ダメージ100

継続召喚
通常召喚後、継続的にMP・HP消費5
継続的にダメージ50

極大召喚
1回MP消費100 魔物の心消滅
ダメージ1000


ちなみに魔法に関しては通常召喚・継続召喚と仕組みはほぼ同じである。


勿論、術者の技量・装飾品の質・特殊アイテムの装備・魔物との相性によって数値は大きく上下するが、基本は大体こんなモンである。それなんてオーバーソウrとか言わない。

カウボーイ「とまぁ、大体こんな感じだ。理解できたかい?」

男「まぁ大体は……ちなみにかなり技量が必要ってのは」

カウボーイ「そりゃあ常に一定量の魔力を放出しないといけないからな。今の君じゃあハッキリ言って無理」ビシッ!!

男「うぐっ」

カウボーイ「魔少女ちゃんは、キングスライムで継続召喚も出来てたからねぇ。まぁ魔法使いならその点は問題ないかな。優秀優秀」

魔少女「はぁ……ですが、私が武器を持ったところで」


カウボーイ「武器だって色々あるさ。魔少女ちゃんの魔法をブーストしたり仲間のサポートをしたり遠距離攻撃したり。魔力容量の多い魔法使いは、比較的ダンジョンにおいて有利なんだよ?」


魔少女「そう……なんですか?」


カウボーイ「そう!!さっきのゴーレム戦みたいに、少年が前に出て魔少女ちゃんの準備が出来るまで戦い、準備が出来たら大火力で攻撃。これが最もスタンダードな戦い方さ。
さっきの戦いは2人のどちらかが……特に魔少女ちゃんが居なかったら絶対に勝てなかったからねぇ」

男「それは確かに」ウンウン

魔少女「そんな……先輩がいたから魔法に集中出来たんですから……」

カウボーイ「ま、武器召喚も1つの戦い方って事で覚えておいてよ。何なら山頂までの道のり……俺が武器召喚を使って君達を護衛してあげよう。百聞は一見にしかずってねぇ」チャリ……

カウボーイは、首にぶら下げた十字架のネックレスに魔力を込める。


カウボーイ「武器召喚『キラーマシン』」カッ!!

『水見の滝 山頂の滝』

ザァァァァァ!!!!


ガサゴソガサゴソ

男「よっと……ホイ、これで水晶もゲットと……」

魔少女「何か……割とあっさり取れちゃいましたね」

男「しょうがねぇだろ……ここまで来る途中の魔物、全部カウボーイのおっちゃんが倒しちまったんだから」


カウボーイ「おっ、中々品質のいい水晶だねぇ。ギルドの奴等のお土産に僕も少し貰って帰ろうかな」



男「あの戦技……1体を……いや、あの数の1グループを一瞬てっておかしくね?」

魔少女「文字通り……何もかもが一瞬でしたよね……」


山頂までの道のり。
それなりに魔物は出てきたのだが、武器召喚を発現したカウボーイが全ての戦闘をこなしていた。


その戦う様は正に圧巻の一言であった。
というより、魔物達にとってはもはや虐殺であった。

…………


男「これが……武器召喚……」

魔少女「魔力が……信じられない程の魔力が発せられています……ただ余波のようなモノが流れているだけなのに……」


カウボーイがキラーマシンを武器召喚すると、カウボーイの手には大きなボウガンのような武器が現れた。


カウボーイ「『ビッグボウガン』。まぁキラーマシンが装備している武器の1つだね。僕のような銃士に適した武器と言えば、やはり銃タイプだからねぇ」スッ……

バシュゥッ!!

蔓人形【】ズンッ!!

カウボーイがビッグボウガンの引き金を引くと、大きな矢が放たれ何処からか現れていた蔓人形が爆散する。

あまりの矢の威力に、着弾した衝撃によるモノのようだ。

そして矢はボウガンに自動装填される。

トレント【ボォォォオオオオオッ!!!!】ズンッ!!ズンッ!!!

蔓人形×50【】シュルシュルシュルッ!!!


男「うわ、多っ!!何だコイツ等!?」

カウボーイ「あー……多分僕のせいだろうね。トレントの討ち漏らしが追いかけてきたんだろうねぇ」

魔少女「完全に囲まれていますね……とはいえ、あの蔓の魔物程度ならば、一方向に集中して攻撃すれば退路は開けると思います」

カウボーイ「いやぁ……別にいいよ?俺が全部ヤるから。君達にこの召喚武器の戦技の1つを見せてあげる。俺から離れちゃあ……ダメだよ?」スッ……

カウボーイの纏う空気が変わる。どうやら戦闘体勢に入ったようだ。


ブゥンッ……

魔少女「アレは……空間魔法?」

同時に、空中に幾つもの黒い穴が開く。
見たところ、魔少女が荷物を取り出すのに使った空間魔法に酷似している。






カウボーイ「召喚戦技……『レイニーエビル・ビッグボウガン』」






そしてカウボーイが引き金を引いた瞬間

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!






空中に現れた幾つもの黒い穴から、大きく太いボウガンの矢……というよりもはや槍が、正確に魔物達の群れを貫いていく。

蔓人形はともかく、トレントの巨体すらも一瞬で爆散していくその様は、正に虐殺であった。



カウボーイ「ふぅ……とまぁ、これが召喚武器ってヤツさ。参考になったかな?」ニコッ

男「正直レベルの次元が違いすぎて……現実じゃなくて映画見てる気分っすね」ゴクリッ……

魔少女「こんなの……例え私の極大魔法が完成しても足元にも及びませんね……」



ザァァァァァ…………



静かに流れていく滝の音。


眼下には数十の魔物とその数倍の槍のようなボウガンの矢の雨の跡。

初めて見る世界上位クラスの実力者の戦いに、男と魔少女はただただ呆然とし、同時に戦慄していた。

ダンジョン『水見の滝』入り口



男「ふぅ……無事に戻ってこれたな」

魔少女「何だかんだで……今日は危ない橋を渡ってしまいましたね。リターンは十分にありましたけど」

無事に目的の水晶に、おまけの魔力結晶まで手に入れた2人は、山頂の出口からダンジョンの外へと抜け出した。


カウボーイ「まだ夕方か……どうせだから荷物を換金した後に、駅前でご飯でも食べていくかい?」

男「お、いいっすねぇ。あ、俺らは役所に新エリアの報告もしないと」

魔少女「そうですね……色々戦い方について聞きたい事もありますし」




ブゥンッ……

カウボーイ「よーし。そうと決まれば早速」ガシィッ!!


その瞬間、唐突に発生した空間の穴から、カウボーイの腕を掴む両手が現れた。

カウボーイ「ゲッ!?マズイ」






ォォォォォォオオオォォォォオオオッ…………

「社ァァァアア長ォォォォォオオオッ!!!!」ズォオオッ!!
ォォォォォォオオオォォォォオオオッ………






男「ひぃぃぃいいいっ!!!!」

魔少女「 」( ゚д゚)


そしてすぐに、その穴から1人の女性が這い出てきた。まるで某TVから出てくるあの人のように。
その風貌は、顔の上半分が見えない程の長い黒髪に羽織った黒いローブ。


誰もがこの女性を見てこの名をイメージするだろう。




『魔女』と。




魔少女「ダ……ダンジョンの外なのに……自分自身を空間移動させるなんて……」



魔女「やぁっと見つけた!!アンタ一体、たかがランク2のダンジョンから帰ってくるのにどれだけ時間かかってんだよ!!」

カウボーイ「いや、魔女ちゃん。これには深い理由がね……」


魔女「言い訳すんな!!大体、社長のアンタが何で勝手に依頼を受けてんだ!?しかもタダで!!大方今日の夜の会食から逃げ出そうって魂胆なんだろうがそうはさせねぇぞ!?」


カウボーイ「いや、だってね?ギルドにこのっくらいの小さい女の子がなけなしのお小遣い持ってきて、『だんじょんでがんばってるおとうさんのためにつよいまものがほしい』なんて頼んでくるんだよ?そりゃあ男としていくしかないでし」


魔女「社長のテメェが行く理由になってねぇだろうがぁぁあああっ!!!!」ブンッ!!

カウボーイ「ぐはぁぁあああっ!!!」グシャァッ!!!



見た目は完全に陰キャラな魔女から繰り出された豪快な右ストレートによって、カウボーイは回転しながら地面へと倒れこむ。

魔女「全くこのおっさんは……あ!?あ、えっと……わ、わたくし株式会社『RPG』で社長秘書をやらせていただいております魔女ともうします」ペコッ!ペコッ!!


男「あ……ど、どうも……」

魔少女「あんな細い身体から……凄いパワーです……」


カウボーイ相手に凄んだ時とは一転、?然としてその光景を見ていた2人に対し、魔女は全力で腰を低くしながら社会人っぽい挨拶をしてきた。


魔女「えっとえっと、初めて会う人には名刺名刺、あれ!?」アタフタ


カウボーイ「ふふふ……彼女は昔、日本でもトップを争うレディースチーム『魔慈餓瑠(マジカル)☆』の総長だったんだがね……昔、僕がスカウトして立派な秘書兼探索者に育てあげたんだよ。
これがまたいわゆる丁寧語のコミュ障ってヤツで、今でもお客さんとか社外の人への丁寧な応対が不器用で一生懸命で拙いのが可愛くて可愛ぐ」グシャァッ!!

魔女「社長ォォォォォオオオッ!!!テメェ昔の話はすんなって何べん言ったらわかんだゴラァァァァアアアッ!!!」


魔少女「今……髪に隠れた顔が見えましたが、物凄い美人ですよ」ヒソヒソ

男「え?マジ?超見てぇ」

…………



男「ていうかおっちゃん社長だったんすか?ギルドなのに?」

カウボーイ「うん。ウチは小さなギルドから始めて今じゃあダンジョン発掘・貿易・アイテム開発・若手探索者育成と幅広くやってるからねぇ。で、名目上社長って枠に僕がいるってわけ」

魔少女「じゃあ……その格好も……」


カウボーイ「そー、僕の指示。やっぱり幅広い層から依頼を得るには目立ってなんぼの世界だからねぇ」


魔女「お陰でアタシまでこんな格好……マジで動き辛いったらありゃしない……」ブツブツ……


魔少女「魔女さんも……魔法使いなんですね。私もなんです」


魔女「え!?あ、えっと、そそうです!わたくしも僭越ながら魔法を少々取り扱っておりまして」アセアセ


魔少女「あの……普通に喋っていただければ……」




カウボーイ「彼女……言っとくけど強いよ?何ていうか……火力バカってヤツだから」


男「凄い魔法を使えるってことですか?でも……失礼かもすけどそんな凄い知識を持った人には見えないなー」


カウボーイ「まぁ元ヤンだからねぇ。使える魔法も基本的なのかシンプルなモノばかりで複合魔法も精々2種複合を数種類が限界。
だけどさ……彼女反則的な魔力容量と出力を持っててね?ただの初歩魔法が並の上位魔法より火力出るんだよ」

男「え?それ完全にチートじゃないですか」

カウボーイ「もしもあの子が極大魔法なんて覚えて使ったら、世界は簡単に消滅しちゃうだろうねぇ」ハッハッハ

男「よかった……失礼だけど馬鹿でよかった……」





魔少女「ダンジョンの外なのに……人間を移動させる空間魔法。凄いです!一体どれだけ複雑かつ強力な魔法が」キラキラ

魔女「あ、いやえと、わわたくしはですね!ただ思いっきり力を込めているだけででして、あまり術式とかそそういうのはちょっと」アセアセ

前科持ちでも冒険者にとっては箔付けになるか

…………


カウボーイ「というわけで、そろそろ僕はギルドに戻るとするよ。僕の名刺渡したよね?それがあれば多分ウチのギルドや会社にフリーパスだから、いつでも遊びに来て痛い!痛いって魔女ちゃん!!」

魔女「ほら!早く行けってんだよ!!一体どんだけ予定が詰まってると思ってんだ!!」ゲシッ!ゲシッ!!

魔女が絶大な魔力量で無理矢理開けて何処かに繋いだ空間の穴……いわゆる『ゲート』に、カウボーイが尻を蹴飛ばされながら魔女に詰め込まれる。


魔女「えっとえっと……そ、それでは失礼いたしまふる!!」ブゥンッ!!


恐らく噛んだのであろう魔女が穴に入ると、空間に空いた穴は消え、残されたのは男と魔少女の2人となった。


魔少女「嵐のような……すごい人達でしたね」

男「そうだな……さて、役所で換金して新しいエリアの報告をして、飯でも食ったら帰るか」

魔少女「そうですね……今日の遠征は大成功と言えるでしょうし、報告の報奨金で美味しいモノを食べましょう」

ダンジョン生活4日目

水見の滝 クリア

リザルト

水見の滝の水晶 材料納品
魔力結晶ランク1 材料納品

丈夫な蔓 8ゴールド
赤い植物の種 5ゴールド
蔓人形の心×2 10ゴールド

鉄の剣 お持ち帰り
リュックサック お持ち帰り
木製バット(戦技:爆破?)お持ち帰り
安物のブレスレット(未鑑定品)お持ち帰り
ゴーレムの心 お持ち帰り

新エリア発見報酬 180ゴールド

水見駅前定食屋『滝処ろ』
店長オススメセット×2 30ゴールド
みたらし団子×5 15ゴールド

帰りの電車賃15ゴールド

『143ゴールド獲得』



男「お前団子食いすぎだろ」

魔少女「先輩の……回復に魔力を使ってお腹減ってましたから……」モグモグ

男「そういや何でレッドブ○で魔力全回復出来んの?」

魔少女「カフェイン飲料や栄養ドリンクは……一時的な魔力回復にかなり効果的ですよ。今反動がきてますけど」モグモグ

投下終了です。
魔女さんが初歩魔法を使えば敵がヤバイ。
魔女さんが複合魔法を使えばダンジョンがヤバイ。
魔女さんが極大魔法を使えば世界がヤバイ。
そんな感じの人です。ではまた。

>>283
ダンジョン関係の仕事は実力が全てなのでアウトローな方達も活躍しております。

カウボーイすこ

乙でしたー

おつ

おつ、おもしろい

すいません投下ではありません、>>1です。

新しく登場した魔女さんですが、後々面倒くさい事になりそうなので

次回から魔女→ウィッチに名前を変更させていただきます。
ではまた。

こんばんわ、1です。今日もゆっくり投下していきます。

>>287
>>288
>>289
>>290
ありがとうございます。引き続きどうぞ。

ダンジョン生活5日目


男「全身が痛い……」

水見の滝の探索を終えた翌日。
男はゴーレム戦で酷使し過ぎた身体の痛みに悶えていた。

とはいえ、これくらいの代償を払わなければ到底ゴーレムを倒す事は出来なかっただろう。


母「ホラホラ、夏休みだからってダラダラすんな」ツンツン

そんな男に対し、母はクイックルワイパーの柄で男を突く。

男「うっとおしいなー……疲れてんだからそっとしといてくれ」

母「何言ってんの若いモンがー。お母さんの若い頃なんてそりゃあ毎日お父さんとダンジョン巡りだったわよー」

男「え?そうだったん?」

母「そうよー。お父さんが頼りないからお母さんともう1人の子がダンジョンの魔物を千切っては投げ千切って投げ」

男「あぁ、そこは大体想像出来るけど。……親父かー。会った事もないからわからないけど大変だったんだろうなー……こんなのに振り回されて」


母「もういやーねぇー☆誰がこんなのよ誰が☆」ギリギリギリッ!!!

男「痛い痛い痛い!!!今日は死ぬ!マジで死ぬから!!!」バンッ!バンッ!!


『続いてのニュースです。今日未明、東京都内の繁華街にて大規模な爆発がありました。警察ではテロの可能性もあると見て捜査を進めて』


…………


男「あのクソババァ……怪我人に腕ひしぎ十字固めなんて極めやがって……」

家で寝てても身体の痛みが取れないどころか悪化するので、男は昔から世話になっている整体に行くことに。

男「しっかし親父もダンジョンに行ってたんだな。結局は普通の会社員になったって話だけど」


男の父親は男が産まれる前に、交通事故で他界していると周囲からは聞いている。
昔の写真を見たことがあるが、男は父親似。男の兄は母親似のようだ。

男「ダンジョンが好きでも、好きなだけじゃあ探索者にはなれないんだなぁ。好きって訳でもない俺が探索者になれるかどうか……」



一(はじめ)高校

魔法部 部室


魔少女「Zzz……」zzZ……

「大会前の集まりなのに部長爆睡してるんだけど」

「普段からマイペースな人だけど部活は真面目なんだけどな」

「センセー、魔少女ちゃんどうします?」

魔法部顧問「うーん……明後日には全国大会の予選があるし叩き起こしたいところですが……珍しく疲れてるみたいですねぇ」

「ウチの高校じゃあ部長が唯一全国行きの可能性がありますからねぇ。無理させないようにしないと」

「最近元剣道部の先輩とダンジョンに潜ってるらしいからそのせいじゃない?」


魔少女「んー……○○くんおかわりー……」zzZ……

ダンジョン生活6日目


魔導式機械人形店 『フリーダム(糸の切れたマリオネット)』


男「こんちわー」

店長「おーいらっしゃい。今日は可愛い彼女はいないのかい?」

男「アイツは妹みたいなモンっすよ。今日は魔法の大会が明日あるから部活っす。エリスの修理はどんな感じっすかー?」

店長「君たちが早めに動力系の材料を持ってきてくれたおかげで順調だよ。予定通り来週には終わるだろうね」

男「そうっすか、来週が楽しみっすねぇ。あ、そう言えば残りの材料も買ってきましたよ」ガサガサ

男は、水見市で獲得した資金で買ってきた『人皮樹脂』と『冷却用オイル』を店長に渡す。


店長「お、仕事が早いねー。これで最低限の条件はクリア出来たわけだ。後は修理代と、欲を言えば服と武装ってわけだね」

男「修理代がなー……ちなみにエリスを受け取る時にいくらあればいいすか?」

店長「最低でも……1000ゴールドは欲しいね。残り500は夏休み中で大丈夫だけど」

男「1000ゴールドか……材料買って残りは40ゴールド……そろそろダンジョン行かねぇとなー」

店長「兄ちゃん達がギルドにツテがあれば、ギルドの仕事をこなすって選択もあるんだがなぁ。流石に高校生じゃあそうそうそんなツテを持ってねぇよなぁ」

男「探索者の養成所とかに入ってればいいんでしょうけどねー。……ん?ギルド?」


モヤモヤモヤ

カウボーイ『ヤッホー』

モヤモヤモヤ

ふと男は、カウボーイの格好をしたおっさんの姿を思い浮かべる。

男「あー!!その手があった!!おっちゃんありがとう!!」ダッ!!

……………………





男「あったあった名刺。えっとギルドの場所はっと……東京!?いや、そりゃあデカイ会社なんだろうからおかしくねぇけど……遠いよなぁ。当てが外れたか」ハァッ……


男が考えたのは、カウボーイに貰った名刺を元にカウボーイのギルド『RPG』に簡単な仕事をもらおうという事であった。
しかし、ギルドの所在地が東京のダンジョン内となっており、金を稼ぐ為の仕事を探しに行くために高い交通費を払う事になる為、どうやら企画倒れとなりそうだ。


男「大体、この『RPG』ってギルドの事何も知らねーよな俺。ちょっと調べてみようかな」ポチポチ


そんな感じで男は携帯でカウボーイのギルドについて検索を行う。
驚いた事に、ギルド検索のトップにはすぐにRPGというギルドのサイトが現れた。
どうやら日本でも、世界でも指折りののギルドのようだ。


男「マジであのおっさん、ココの社長なのか?とてもそうは見えなかったんだけど」ポチポチ

男がサイトを開くと派手なCGアニメーションと音楽が流れてきた。
この辺りはあの派手好きなカウボーイの趣味だろう。
男はそのまま、ギルドの説明が書かれているページを開く。


『ダンジョン探索・アイテム収集請負ギルド【RPG】』



当ギルドは、空間固定型ダンジョン内に広がる広大な敷地に設立された株式会社RPGの一部門となっております。

当ギルドではインターネット等を通じて世界中から要望のある、主にダンジョン探索・ダンジョン内のアイテム収集依頼などを取り扱っております。

当ギルドの探索者は当ギルドにて面接・実技試験を行い厳正なる審査を通過した者を採用しております。

このようにお客様からの依頼に100%お応えできるよう、プロの探索者の徹底した厳選を行っております。




男「審査って……やっぱそういうのあんのかよー。こりゃあギルドの仕事をするっていうのは無理だなー。……ん?」


落胆する男がそのままサイトを流し読みしていると、気になる一文を見つけた。


男「『当ギルドのスタッフから名刺を渡された方は、お近くのダンジョン内にて名刺に魔力を通していただくと、当ギルドへの直通ゲートをご利用いただくことが出来ます』……マジで!?」


どうやらカウボーイから渡されたこの名刺自体が、ダンジョンとギルドのあるダンジョンを結ぶ魔法道具となっているようだ。
こうする事で、このギルドは世界中から顧客や探索者を集めているのだろう。
調べてみると、広大な土地が広がる空間固定型のダンジョン内に、様々な建物やテーマパークやショッピングモールなどが建てられる事は昔からあるが、このダンジョン間ゲート技術を初めて作ったのはこのギルドのようだ。
その特許による資金もこのギルドが超巨大な企業に成長した要因の1つだろう。


男「これを使えばいつでもギルドに行けるのか……魔少女誘って行ってみるかな。学校に迎えに行くか」

一(はじめ)高校 剣道場


「キェェエエエエッ!!!!」パーンッ!!

「サァァァァアアアアッ!!!」ダーンッ!!

「小手ェエエィァァアアアッ!!!小手ェッ!!」


男「おー、このクソ暑いのにやってるやってる」


剣道部顧問「ん?おぉ、お前か。何だ?引退したばっかなのにもう練習したくなったのか?」

男「ゲッ!?お、お疲れっす……」

剣道部顧問「ちゃんと受験勉強はやってんのか?引退後の夏休みだからって遊んでばっかじゃあいかんぞ」

男「ハハ……勉強はちょっと……あ、自分こないだからダンジョンに行き始めたんすよ」

剣道部顧問「ほぉーダンジョンか。何だ、お前そっち系の進路を希望なのか?」

男「いやー元はそんなに興味なかったんですけどね。ちょっとした事がキッカケになって何回も潜るようになって色んなトコに行って人に会って……そうしてる内に少しずつ楽しくなってきたっていうか」

剣道部顧問「ふん……まぁ興味がある事に打ち込むのはいい事だ。教師としては安定を進めるモンだろうがまだお前は若いんだ。頑張れる事を頑張ればいい。繋がりも出来てきたみたいだしな」

男「先生……ありがとうございます」

剣道部顧問「ダンジョンの魔物にコテンパンにやられたら練習にこい。俺が鍛え直してやる」

男「いや……それは遠慮しときます」

魔法部 部室前




『魔法部練習の為、学校敷地内のダンジョンに移動しています』





男「学校のダンジョンか。差し入れでも持ってってやるか……魔少女の部活が終わったらそんまま直でギルドに行けるかな?」

一(はじめ)高校 実習用ダンジョン

『夕焼け空のグラウンド』


魔少女「火……水……雷……風……地……」ググググッ……

魔法部顧問「……コレは驚きました……まさか5種同時に魔法球を発現させるとは……」


現実を模した高校の校舎と永遠に変わらない夕焼け空のダンジョンにて、魔少女は5種複合魔法……すなわち極大魔法を発動する為の準備を行っていた。


魔少女「ここからが……山場です……」ググググッ……

魔法部顧問「魔法球を混ぜ合わせ……!?まさか極大魔法を!?魔少女さんが!?」

「……何か部長凄くね?」

「うん……2種複合とかはよくやってたけど5種複合なんて全国クラスでも……」

魔法部顧問「いけない!皆彼女から離れて!!」


顧問が他の部員を魔少女から遠ざける。
魔法使いの最高技術であり最終奥義である極大魔法。魔少女が完成させても失敗しても、その威力は凄まじいモノになる。
例え最も初歩的な属性魔法の組み合わせでも、人に当たれば骨も残らないだろう。

魔少女「順番に掛け合わせる属性の相性を……火は水に呑まれ……水は地に呑まれ……」ググググッ……


魔少女は属性魔法球を1つずつ掛け合わせていく。
今までは5種を同時に無理矢理混ぜ合わせて失敗していたが、相性がよい順に掛け合わせればどうかと試しているようだ。


そして、その思惑は成功したようである。



バチバチッ……バチバチッ……

魔少女「地は風に削られ……風は雷に裂かれ……」ググググッ!!

そして、最後の魔法球が混ぜ合わされた瞬間





魔少女「極大魔法…………『(プチ)アルテマ』…………」バチバチッ!!バチバチッ!!!」




魔少女の目の前には凄まじい魔力を放つ球体が現れていた。

基本5大属性魔法球を用いた、最も初歩で基本的な極大魔法の完成である。

魔少女「ようやく完成しましたが……これを発動するのに……約8分ですか……実戦では使えませんね……」ググググッ!!!

魔少女の手が震える。極大魔法を維持するのも限界のようだ。
魔少女はそのまま作り出した魔法球『プチアルテマ』を夕焼け空へと放つと


ドォォォオオオオオオンッ!!!!!!!!


「わっ!?」

「キャッ!!」

魔法球は途中で炸裂し、まるでミサイルが爆発したかのような爆炎と爆風が、夕焼け空を覆った。

爆風範囲はおよそ15mほど。もし地上でこれが炸裂すれば、少なくとも直径5mほどの空間には何1つ残らないだろう。


魔少女はとうとう、兵器並みの火力を手に入れたのだ。
これがアレばゴーレムは愚かトレントすら一撃だろう。

しかし


魔少女「これでは……形成維持も不安定ですし撃つ前に先輩がやられちゃいますね。もっと精度を上げて、時間も短縮しないと……」ブツブツ


改善するべき箇所は多いようだ。


魔法部顧問「ふ……ふふ……まさかウチの学校から極大魔法を完成させる生徒が出るとは……これは明日の県大会で全国大会出場間違いなし!!」

「部長ー。めちゃくちゃ凄いっすけど危ないっす」

魔少女「あ……ごめんなさい……」ペコ


男「……魔少女がどんどん人間離れしていく……」


「あ。あれって部長と噂の先輩じゃない?」


差し入れを片手に様子を見ていた男は、極大魔法の威力に呆然としていた。


…………


魔少女「差し入れ……ありがとうございます」モグモグ

男「お、おお。てかビックリしたわ。お前いつの間にあんな凄い事出来るようになったんだ?」

魔少女「アレは……前にダンジョンで暴発させた魔法の完成形です。色々やり方を試していたんですがようやく上手くいきました」

男「あー、トレントにやられそうになった時のヤツか!まだ数日しか経ってないのに凄いなお前」

魔少女「前々から……全国大会に出場する為に研究してましたから。それに今は先輩がダンジョンで魔物にやられない為にも」フンスッ

男「ハイハイ、頼りにしてますよっと。……俺もどうにかして強くならないと本格的にヤバイなこりゃあ」ハァッ……

…………



オツカレッシター



魔少女「ギルドへのゲート……ですか?」

男「おう。調べたらあのおっさんのギルドに行くのにダンジョンの中でこの名刺を使えばいいんだってさ」

魔少女「この名刺に……そんな高度で強力な魔法が込められていたとは……」

男「まぁダンジョンアイテムで作られた技術らしいけどな。どうする?部活終わったなら今から行くか?折角ダンジョンの中にいるんだし。でも明日大会ならもう休むか」


魔少女「そうですね……行きたいところですが、その……今日はかなり汗もかいてるので……」

男「ん?……別に汗臭くねぇけど」クンクン

魔少女「ッッッ!!!?『ファイヤーボール』!!」ボゥッ!!

男「おわっ!?危なッ!!何すんだテメェ!!」

魔少女「ファイヤーボール!ファイヤーボール!!ファイヤーボール!!!ファイヤーボール!!!!」ボゥッ!!

男「ちょっ!?マジかよ!!」ダッ!!

魔少女「ファイヤーボール!!!!!ファイヤーボール!!!!!!ファイヤーボール!!!!!!!」ドドドドドッ!!!

「凄ぇ……部長があんなに取り乱してるとこ初めてみた……」

「いいんすかアレ?あの先輩死ぬんじゃないすか?」

「あー大丈夫大丈夫。あの子にとってはお兄ちゃんに戯れてるようなモンだから」


魔少女「火球!火球!!火球!!!3種複合魔法『ガトリングファイヤーボール(最弱)』!!!」ドドドドドドドドドドドドッ!!!!

男「おまっ!?さり気なく新技の実験台にしてんじゃねぇぇぇええええっ!!!」ダッ!ダッ!!ダッ!!!


魔法部顧問「シンプルかつ強力な術式と素早い発動……やはり今年の魔少女さんなら全国大会出場間違いなし!!」


アッツゥゥゥウウッ!!!


「あ、当たった」

「花火くらいの威力だから大丈夫よ。多分」



男被弾。魔少女魔力切れの為、共に帰宅





魔少女「先輩……コレ、ウチの火傷用の塗り薬です」

男「サンキュー。ってお前の魔法で火傷したんだから礼を言うのもなんか違うな」

魔少女「ごめんなさい……でも先輩もデリカシーないです」ヌリヌリ

男「…………すまん」


母「……オホホッ☆」ニヤリ


6日目終了。





魔少女「先輩……コレ、ウチの火傷用の塗り薬です」

男「サンキュー。ってお前の魔法で火傷したんだから礼を言うのもなんか違うな」

魔少女「ごめんなさい……でも先輩もデリカシーないです」ヌリヌリ

男「…………すまん」


母「……オホホッ☆」ニヤリ


6日目終了。

投下終了です。ではまた。

こんにちわ、1です。久しぶりに投下していきます。

ダンジョン生活7日目


魔法部大会当日


男「お、もう火傷のとこ痛くない。魔少女んとこの薬はやっぱ効くなー」

母「アンタ今日魔少女ちゃんの応援に行くんでしょ?早く行かなくていいの?」

男「あ、もうこんな時間か。んじゃ行ってくる!!」




…………




大会会場
県立総合体育館隣 ダンジョン『鏡世界の体育館』


ワイワイガヤガヤ

男「流石に県内の魔法部が集う大会、めっちゃ人多いなー」


県の中心市街にある大きな体育館。その隣にある、現実の建築物とリンクした固定ダンジョン。

このダンジョンは現実と鏡合わせの世界のような仕組みになっており、範囲は大きな体育館から半径1kmほど。
ダンジョンの中の物は石ころ1つ一切壊せない。というより壊れても10秒ほどで元に戻るが、現実で何か物が壊れればダンジョンの中の物も壊れる仕組みだ。

よって思いっきり力を解放する事が出来るため、普段はダンジョン探索者や魔法使い、その他魔力を扱う者達のトレーニングダンジョンとして県によって解放されている。

ちなみに使用料は18歳以上は2時間1000円、中学生高校生は半額である。


魔法使いという者は総じて火力が高い。
その為、普通のダンジョンでは地形が変わってしまう事も多々あり、こういった壊す事のできないダンジョンなどで競技などは行われる。

魔少女「あ……先輩こっちです」フリフリ

魔少女がこちらに手を振っている。どうやら開会式などは全て終わったようだ。

男「流石にクールぶってるお前も緊張してきたんじゃねーのか?」

魔少女「ぶってるってなんですか……緊張はしてますけど同時に楽しみでもあります。自分の力を見せる場でもあり色んな人の魔法が観れる場でもありますから」

男「あわよくば便利そうな魔法があったらパクっちゃおうと?」

魔少女「もちろん……ダンジョンで使えそうな魔法があればいいですね」

男「ホント勉強熱心なこって……で、お前はいつ出番あんの?」


全国高校魔法大会では、様々な部門に分かれて競技・審査が行われている。体操や陸上競技みたいなモノだ。

魔少女「私は……去年と同じくフリースタイルと課題魔法です」

フリースタイルは、一対一でとにかく自分の出来る限りの魔法を披露し、審査する競技。
魔法大会の華であり、いわゆるショー形式である。

課題魔法は事前に発表された課題の魔法をどれだけ完成形に近づけるかという競技である。


男「去年はフリーで8位入賞まで行ったんだっけ?」

魔少女「えぇ……でも全国行きが4位からですので」

男「ま、お前なら今年は行けるだろ。ちゃっちゃと優勝してこいよ」

魔少女「……はい」ニコッ


…………


男「とまぁ、あっという間に去年と同じ準々決勝進出と」

魔少女「去年……負けた相手に勝てたのは嬉しかったです。同じ学年でしたし」

男「相手ポカンとしてたよなー。自慢気に2種複合とか使ってきたけど、こっちは普通に3種複合って。レベルが全然違ったって感じで」

魔少女「去年から……毎日一生懸命、勉強と練習をしてましたから」

男「最近はダンジョンでも色々やったしな。ま、あと一勝だ。気楽にやってこいよ」

魔少女「ですが……次の試合、去年の2位の人で優勝候補なんですよね……ほら、あそこでインタビュー受けてます」


パシャパシャ!!パシャパシャ!!

「あと一勝で全国への切符が手に入りますが、意気込みを聞かせてください」

テンプレ「ここまでこれたのは部員の皆や先生。そして支えてくれた両親のおかげです!皆の為に、あと一勝ではなくこのまま優勝まで頑張りたいと思います」



『キャーーーー!!!テンプレくーーーん!!!』


男「おーおー、テンプレ通りの綺麗な受け答えだこと。顔もテンプレみたいなイケメン寄りだしテンプレな黄色い声援飛んでるし何か気に食わねぇーなー」イライラ


魔少女「あの人は……魔力自体に特殊な特性『ドレイン』を持つ特異魔法使いです。その為、あの人にしか出来ない魔法も存在します」

男「特性?何それ?」

魔少女「そうですね……例えば水の属性の魔法を使ったとすると、普通は空気中の水分を集めたりして何も無いところから水が放たれたりします。
ですが……『ドレイン』の特性を持つ彼が使うと、物体から逆に水分を吸収するということです。このように魔力自体に特殊な性質を込める事の出来る魔法使いの事を特異魔法使いといいます。まぁ……魔法使いに限らず魔力を使う人に現れる体質のようなものですね」

男「へぇ……じゃあ植物とかに水の魔法を使うと枯れるとか?」

魔少女「枯れますね……人に使っても枯れます」

男「怖っ!物騒な魔法使いだなー」

魔少女「普通の魔法使いでも……やろうと思えば出来る事ですが、術式がかなり複雑になります。故に……特異持ちは最初から特定の複合魔法が使えるといったところですね」

男「へぇー何かズルイなそれ。ちなみに魔少女は?」

魔少女「特異持ちは多くはないので……ただ、20歳までに環境や訓練で後天的に現れるケースも珍しくないので私も先輩も可能性はあります」

男「俺は魔法使いにはなれないだろうけどあったら面白そうだな」

キャー!!キャー!!!


男「……しっかしモテてるなーアイツ。何かこう……胸の奥からイライラが」

魔少女「結構遊んでるって有名ですけど関係ないんでしょうね周りの女の子達には……でもあの人の相手ってことは、次の試合凄く注目されるんですよね……何か緊張してきました……」


男「ふーん……でもゴーレムとやった時とどっちが緊張する?」

魔少女「断然……ゴーレムですね。何か楽になってきました」

男「だろ?お前はあんなエセイケメンには到底出来ねぇ事やってきたんだからさ。自信持てよ。いつものドヤ顔でよ」

魔少女「……はい!」


…………


テンプレ「君!君が準々決勝の相手の子だよね。よろしくね」ニコッ

魔少女「……よろしくお願いします」

テンプレ「あれ?君近くで見たら結構可愛いねぇ。よかったらメールかRINE教えてよ?大会終わったら遊ぼ?」

魔少女「いえ……」イラ……

テンプレ「ん?もしかして彼氏いんの?」

魔少女「いないですけど……」イライラ……


『ピッ』


テンプレ「だったらいいじゃーん。じゃあこの試合俺が勝ったら教えてよ。俺の事知ってんでしょ?なんせ全国選手よ?自慢できるよー」

魔少女「てことは……私が勝てば教えなくていいんですね?」イライライラ

テンプレ「え?もしかして勝つつもり?俺に?アハハー凄い自信だねー。そんなに自信があるならさぁ……やっぱ俺が勝ったら今日大会が終わったらヤラせてよ」


プチッ


魔少女「……わかりました……じゃあ私が勝ったら、私が貴方に対して行う事に文句を言わないでくださいね?」

テンプレ「いーよいーよー何でもしてちょーだい。じゃあ頑張ってねー」

魔少女「……ありがとうございます……」

『ピピッ』


魔少女「……約束しましたからね……」

…………


テンプレ「火!風!2種複合『ヒートブレス』!」ゴォォオオッ!!

テンプレの掌からドライヤーを至近距離で当てたくらいの熱風が、5mほど先まで吹き荒れる。

審査員1「テンプレくんは掌に魔力を溜めて放出するタイプですね。このタイプは射程が短いですが出が速い」
審査員2「滑らかな術式ですねぇ。発動までの無駄が少ない」

テンプレ「水!地!ドレイン!!2種特異複合『クラップ』!」ドゴォオッ!!

テンプレが掌を地面に当てると、数m先の地面の水分が急激に枯渇し、直径5mほど地面が陥没した。

審査員1「彼の特性が出ましたね。様々な属性を吸収する力、中々珍しい特性です」

審査員3「様々な属性をなんなく組み合わせられる……大した技術ですよ」

テンプレ「地!水!風!ドレイン!!特異3種複合……」グググッ……

テンプレ「『デッドスペース』」


テンプレが掌を前にかざすと、直径3mほどの魔力の球体が現れる。
その球体の中は全ての空気が取り除かれ、完全な真空状態を作り出していた。

審査員1「これは凄い!実質4種複合の魔法……今すぐプロに転向しても通用しますよ彼は」

審査員2「単純にダンジョン活動だけでなく、完全な真空状態は様々なジャンルで研究に活用されますからね。いや大したものだ」

テンプレの魔法実演は、様々な観点から審査員に高評価を得ていた。
魔法の活用法とはダンジョンでの魔物との戦闘だけではない。未だ科学で簡単には再現出来ない事象を作り出すことで、技術の進歩に貢献する役割もあるのだ。

テンプレ「ふぅ……最終的には無重力状態を作り出すのが目標だけど、今はこれが限界かな。
ちょっと大人気なく本気出しちゃったけど、これで今日はあの子と……ん?」


自身の持てる全ての魔法を発揮し、勝利を確信したテンプレはふと魔少女の方を見る。

魔少女「……………………」ブツブツブツ


魔少女の周囲には、火・水・地・風・雷の基本5種属性の魔力球が浮かんでいた。


審査員1「あの生徒は一体何をしようとしてるんでしょうか?」

審査員2「基本属性の魔力球を5つ……いや、まさか……」

審査員3「こんな無名の高校生が極大魔法を成功させられるわけが……」


5つの魔法球は、順番に混ざり合い1つになっていく。
そして


魔少女「極大魔法……『プチアルテマ』」ググググッ……


完成させた魔法球を、魔少女が数十mほど離れた場所に撃ち、それが地面に着弾した瞬間


ドォォォオオオオオオンッ!!!!!


テンプレ「え……な……」

審査員1「これは……まさかあんな無名の高校生が極大魔法を成功させるとは……」



着弾地点から半径15mほどに爆風が広がり、爆心地には何も存在しなかった。

極めて基本的な魔法による5種複合魔法だが、その難易度は並の3種4種複合よりもかなり高く、成功させるだけでその名は少なくとも県内トップレベルには轟く事となる。

それを有名な魔法使いでもないこの少女がやったのだから会場内は驚きに満ち溢れていた。




魔少女「えっと……以上です」

…………



男「全国大会進出おめでとさーん」パチパチパチパチ

魔少女「ありがとうございます……疲れました……」グデー

男「結局あのまま優勝までいっちまったな。緊張が解けたんだろ」

魔少女「それはいいんですが……その後の取材の人達にインタビューされ続けたのが……」

男「無名の生徒がいきなり優勝だもんな。なんなら決勝は負ければよかったのに」

魔少女「それはそれで不自然ですから……」

男「ま、とりあえずお疲れさん。この後部の奴等と打ち上げだろ?俺は先に帰るわ」

魔少女「はい……応援に来てくれてありがとうございました」ペコッ

男「……俺も頑張らねぇと魔少女にドンドン置いてかれそうだな」ハァッ……

…………


テンプレ「やぁ……待ってたよ……」

魔少女「あなたは……準決勝ではお疲れさまでした」

テンプレ「……何がお疲れさまでしただ!!」バンッ!!

テンプレは、魔少女を脅すように自分の拳を思いっきり壁に叩きつける。

テンプレ「このクソブスがぁ……どーせ何かイカサマでもしてやがんだろうが!!俺にあんな恥をかかせやがって!!」

魔少女「イカサマとは?……私は自分に出来ることを堂々と披露しただけですけど」

テンプレ「しらばっくれてんじゃねぇ!!ボコボコにして審査員の前に突き出してやる!!」

テンプレが魔少女の制服に掴みかかろうとした瞬間


ピッ

テンプレ『だったらいいじゃーん。じゃあこの試合俺が勝ったら教えてよ。俺の事知ってんでしょ?なんせ全国選手よ?自慢できるよー』


魔少女の携帯から、準決勝前に2人が交わした会話が流れ出した。


テンプレ『え?もしかして勝つつもり?俺に?アハハー凄い自信だねー。そんなに自信があるならさぁ……やっぱ俺が勝ったら今日大会が終わったらヤラせてよ』


テンプレ「な……これは……」

魔少女「念のため……バッチリ録音しておきました。ついでにコレをネット上に拡散させる用意もできています」

テンプレ「この……消せよこのドブスがぁっ!!!」

魔少女「私に触れた瞬間……これの拡散を行います。元々貴方には黒い噂がついてましたから、すぐに広まるでしょうね」

テンプレ「く……この……」

魔少女「そういえば勝った方が言うことを聞くといってましたよね?……では金輪際私の目の前に現れないでください。守れなければ、これを拡散します。では……」


テンプレを冷たい視線で見下しながら、魔少女はその場を後にする。

テンプレ「ハハッ……もう終わりだ……大学の魔法特待も推薦も周りの期待も全部パァッ……何にも残っちゃいない……周りの馬鹿達と同じような底辺の将来……あははははは……」


完全に弱みを握られた。
今となっては立場は魔少女の方が上。その上あんな会話を録られていては手も出せない。
そして魔少女の気まぐれで、いつアレが世に出回るかもわからない。

これから一生、あの女に、あの弱みに怯えて暮らしていかなければならないのだ。






「だったらいっそ全部壊さないかい?」






失意に沈むテンプレへと、何者かが声をかける。

テンプレ「……誰だよ……アンタ……」

「君と同じ、力があるのにこの世界では存分に振るえない人間だよ……ならいっそこんな世界変えてしまった方がいいと思わないかい?君のような力のある人間が、こんな事で落ちぶれてしまうなんて勿体無いと思わないかい?」

テンプレ「……その通りだよ……何で僕のようなエリート魔法使いがこんな目に……」

「我々は君のような人間こそ次の世界を担う者だと信じている。どうだい?そんな世界を作ってみたくないかい?」

テンプレ「……一体何者なんだよアンタらは……」









「我々は『リバース』。世界の理を逆転させる者達さ。混沌渦巻く弱肉強食の世界へとね」ニィッ……







投下終了です。全てがテンプレ小物通りのテンプレくんでした。
ついでに敵対組織登場です。まぁテロリストです。もしかしたら、賛同しちゃう人が多いかもしれない目的があります。

ではまた。

こんばんわ、1です。
まさかテンプレくんでここまで盛り上がるとは思いませんでしたwそれでは軽めに投下します

ダンジョン生活8日目


魔少女宅
薬屋『ラストエリクサー』


魔少女母「あら、○○くんこんにちは。久しぶりね」

男「あ、どうも。お久しぶりです……あのー魔少女います?」

魔少女母「えぇ、いるわよ。ただ昨日の大会で疲れたのかまだ起きてこないのよね。どうせだから○○くん起こしてきてくれない?」

男「え?僕がっすか?……魔少女に怒られたりしないすかね……」

魔少女母「気にすることないわよー、ご近所だし昔は一緒にお風呂もお昼寝もしてたもの。懐かしいわね、すっかり私もおばちゃんになっちゃって」

男「おばちゃん……?……じ、じゃあとりあえず、起こしてきますね」


魔少女母「えぇ、お願いねー」


男「…………おばちゃんって…………どう見ても見た目精々中学生なんだがな……魔少女のおかんって一体……」

魔少女の母は見た目がとてつもなく若かった。そして可愛かった。
その為、この店の魔法薬などに美容とアンチエイジングの効果があると睨んだおば様達が、毎週のようにこの店の薬を買い漁りにくるのだ。

トントン

男「おーい魔少女ー、もう昼前だぞー起きろー」トントン


ノックもせずにラッキースケベなぞゴメンだと言わんばかりに、男は魔少女の部屋の前で声を上げる。

が、何の反応もない。まだ寝ているのだろうか。少なくとも着替えの最中とかではなさそうだ。


男「んー……しゃあない、入って起こすか。魔少女ー」ガチャ

男は仕方なく魔少女の部屋の中へと入る。


男「うぉ……本ばっかしだなー……流石知識欲の塊」


魔少女の部屋は女の子らしい部屋とはお世辞にも言えず、一面本棚で埋められていた。

この知識こそが今の魔少女の強さでもあるのだろう。


男「お、でもベッドの周りは結構かわいい感じに……うわぁ……」

ふと男はベッドの方に目を向ける。

男「……コイツ寝相悪過ぎだろ……」

そこにはベッドから上半身がずり落ち、布団代わりのタオルケットが顔を覆い、下半身はパンツどころか半ケツ丸出し状態の魔少女の姿があった。

正直エロいというよりちょっと引く光景である。


男「……ここにいたらコイツに殺される気がするな……見なかった事にしよう……」スッ……

バタンッ!!


魔少女「……………………ふぇ?」





…………


ファミレス


魔少女「先輩……朝ウチに来られてたんですね」

男「え?あ、あぁ、お前寝てたみたいだからすぐ帰ったけどな」

魔少女「そうですか……すいません、やはり疲れが出てたみたいですので」

魔少女母には口止めをしておいた。
あんな寝相を見られていたと知ったら、魔少女は恐らく烈火の如く荒れ狂うだろう。

男「まぁ当然だろ。今日くらいお前もゆっくりしてたらどうよ」

魔少女「そういうわけにはいきません……あのオートマタの子を引き取る日まであと1週間しかないんですから」

男「まぁなー、あと1週間で最低でも1000ゴールドは一端の高校生にはちとキツイよな」

魔少女「ダンジョンに毎日入るというのも……あまりいい手段とは言えません。蓄積された疲れが大ケガに繋がる恐れもありますから」


男「となると、やっぱ今1番いい手段は……」

魔少女「そうですね……やはりカウボーイさんのギルドを頼るの1番かと」


先日男が気付いた、カウボーイのギルドで仕事を受けるという案。
ギルドには大小様々な依頼が寄せられる。その中でも手軽な依頼をクリアし、なおかつダンジョンのアイテムを換金するという手段である。


男「とりあえず、まずは名刺を使ってあのおっさんのギルドに行ってみるか」


魔少女「そうですね……では市役所近くのダンジョンに行きましょう」

『一(はじめ)市 市役所前ダンジョン』




男「ダンジョンの中で名刺に魔力を込めればいいんだよな?」

魔少女「はい……それでギルドのあるダンジョンへのゲートが開くハズです」

男「んじゃ早速……」ググッ


カッ!!


男がカウボーイからもらった名刺に魔力を込めると、たちまち目の前の空間が歪み、別ダンジョンへの穴が開く。


男「うぉ、本当に道が出来た……なんかちょっと怖いな入るの」

魔少女「ゲートは安定しています……男の子なんですから腹をくくってください」

男「こういう時は女の方が度胸あるよなー……うし、行くか」

魔少女「はい」ニコッ

東京

ダンジョン『株式会社【RPG】中央エリア』



男「ここが……」

魔少女「ダンジョン内に作られたとはいえ……想像を遥かに超えるスケールですね。まるで一つの都市のようです」



ゲートを抜けるとそこは大都市でした。


思わずそう言いたくなるような光景が、男達の目の前に現れた。


そこら中にそびえ立つビル。
道路などがきちんと整備され、ダンジョンの外と変わらないように行き交う人々や車。

本当にダンジョンの中なのかと疑うほど、一つの完成された都市がそこにはあった。



男「さて……とりあえずどうしようか」

魔少女「まずは……カウボーイさんのところに向かいましょう。ほら、あそこに案内所があります」

受付嬢「いらっしゃいませ。こちらは株式会社RPG、中央エリア総合案内所でございます」


男「あ、ども。すいません、僕たちカウボーイさんって方にこの名刺をいただいてここに来たんですけど……」

受付嬢「名刺ですね、ご確認いたします。……ッ!?し、少々お待ちください!!」バタバタッ


案内所の受付おねーさんは、名刺を見るやいなや驚いた表情で奥へと姿を消した。


男「……どうしたんだろうな?」

魔少女「あの人は社長と言ってましたし……恐らくギルド部門のトップの方でしょうからね。アポイントもとってませんしもしかしたら会えないかもしれません」

男「そうなると困るよなー。最悪俺たちでギルドで仕事もらえるようにどうにかしないと」


受付嬢「お、お待たせいたしました!!会長は現在ギルドエリアにあるこちらの建物にいらっしゃいます。こちらの携帯ナビゲーターをお渡しいたしますので、指示に従ってお進みください」

男「お、よかったよかった。何とか会えそうだな」

魔少女「あれ?……今会長って……まぁ気にしなくてもいいですかね。行きましょう」


…………

受付嬢「な……何であんな高校生の子達に会長が……私だって初めて電話を繋いだのに……」

ギルドエリア
総合依頼案内所


『ギルド【RPG】伝説の秘宝からお子様のお使いまで、あらゆる依頼を受け付けます』


男「うおー、めちゃくちゃデカイビルだなー」

魔少女「ここに……世界中からあらゆる依頼が集まってくるんですね」

男「こんなデカイところにいるとは……流石社長っていうだけあるなーあのおっちゃん」


ナビゲーター『目的地までこの道をあと1kmです』

男「え?ここじゃねーの?」

魔少女「この先に……もっと凄いところがあるんでしょうか」

ギルドエリア端

寂れたビル内 事務所


カウボーイ「ウィッチちゃーんコーヒーちょーだい」

ウィッチ「あぁ!?こっちは忙しいんだよ!テメェで淹れやがれ!!」カチカチカチカチ

カウボーイ「ダメダメー、ウィッチちゃんのコーヒーじゃないと僕やる気でないんだよー……仕方ない、プリースト頼む」

プリースト「却下だ」ズズッ……


比較的新しい建物が並ぶ街通りの中、一つポツンと浮いたように建てられた寂れた小さなビルの中。
その中に、カウボーイ達の集まる事務所はあった。


パッと見る限り、先日会ったカウボーイとパソコンとにらめっこしているウィッチの他に、短髪の金髪で神父のような格好の、両腰にロングソードを携えた男がコーヒーを啜っている。

男「…………あれ?社長じゃなかったのこの人」

魔少女「いえ……さっき携帯で私も調べましたが、社長どころかこの【RPG】グループの会長だそうです……写真でも確認しました。権力としては1番上の方のハズですが……」

男「じゃあ何でこんな寂れた建物でダラダラしてんだよ……」


プリースト「む……客だぞ」

カウボーイ「おー、よく来たね2人ともーほらほら入って入って」

「「は……はぁ……」」

カウボーイがこちらに気づき、2人はボロボロのソファーへと案内された。

カウボーイ「よーこそ当ギルド【RPG】へ。歓迎するよー2人ともー。あ、ウィッチちゃんお茶ちょーだい」

ウィッチ「だから今手が離せねーって言ってんだろーがクソオヤジ!!申し訳ございませんお客様!!」

プリースト「俺が淹れよう」スッ……

カウボーイ「え!?僕には淹れてくれなかったのに!?」

男「なんか……想像とはかけ離れてんな……ギルドって……」

魔少女「あの……どうしてあんな立派な建物のギルドがあるのに皆さんこんなところにいらっしゃるんですか?」


カウボーイ「だって面倒くさそーじゃない」

プリースト「性に合わん」スッ……つお茶

ウィッチ「人が多すぎて緊張いたします」カチカチカチカチ


魔少女「納得しました……」


男「何で社長なんてウソついたんだ?社長どころか会長だなんて」


カウボーイ「え?社長だよ?この汚いギルド事務所【RPG】の」

プリースト「【RPG】グループの社長は我々の仲間が担当し実際にグループを動かしている。この男はただの創業者という事で名目上グループの会長となっているだけだ」

ウィッチ「この人がまともに企業のトップとしての仕事をするとお思いにますか?かといってここまで成長したグループを完全に放り出すのも勿体無いのでこういった方法を使っております」


男「……納得……」

カウボーイ「とりあえず紹介しとこうか。これが僕たちのギルド【RPG】だよ。メンバーは他にもいるけど、とりあえず今日はこないだ会ったウィッチちゃんと、この無愛想な神父っぽいヤツがプリースト。
ちなみにコイツ本物の神父ね。武器はロングソードの二刀流で神父というよりエクソシストみたいなヤツ」


プリースト「よろしく」


男「あ、ども。『男』です。……ていうかこれがギルドって事はあの大きな建物のギルドは……」

カウボーイ「あぁ、アレ?アレはアレでちゃんとしたギルドだよ。何て言ったらいいかなー……コッチのメンバーは本物の精鋭揃いで、アッチのメンバーは大衆的というか何というか……まぁよくて上の下くらいの冒険者達ってとこかな」

プリースト「基本的には彼らが。手に負えない大きな仕事は我々が遂行している」

男「なるほど……モ○ハンでいうG級冒険者ってヤツっすね」

カウボーイ「お、君もやってる?モ○ハン」



プリースト「で。何の様で来た?」

魔少女「あ……はい。実は、こちらのギルドで何かお仕事を紹介していただけないかと思いまして」

…………


プリースト「成る程。オートマタ修理の為か」

魔少女「はい……どうでしょうか。よろしければこちらのギルドに登録させていただきたいのですが」

カウボーイ「ウィッチちゃん」指パチンッ

ウィッチ「登録完了です」カチカチカチカチ

男「早っ!!え!?いいの!?そんな一瞬で決めてッ!!何か色々審査とかあるって聞いてたんだけど」


カウボーイ「審査ならやったじゃないのー、こないだ滝のダンジョンでさ」


男と魔少女がゴーレムと激闘を繰り広げていた時、カウボーイは一部始終それを観察していた。
結果、2人の将来性・人格共に問題なしという判断を出していた。

カウボーイ「というか実は、既に手続きやら何やらほとんどやっちゃってたんだよねー。後は本人達の了承のみってだけだったから」

魔少女「ということは……既にこのギルドに来ると予想していたと」

カウボーイ「そりゃあダンジョンでお金を稼ぎたいんならギルドの依頼受けた方が実入りはいいからねぇ。名刺も渡してたし近いうちに来るとは思ってたよ」

男「んじゃあ、もう俺たちはギルドの依頼を受けられるって事?」

カウボーイ「そうだよー。ほら、コレが少年のギルド所属証明書。チームの時は代表者1人が持ってりゃいいから。魔少女ちゃんも欲しいならあげておこうか?」

魔少女「そうですね……念の為、いただきます。先輩無くしそうですし」

男「否定はしない」

カウボーイ「まぁ後はギルドの受付嬢にでも丁度いい依頼を見繕ってもらってよ。期待してるよ2人共」ニィッ

投下終了です。
次元の違う最強格3人目、プリーストさん登場です。
次回は初クエストとなります。ではまた。


クエスト:オートマタの性格を決めよう

乙!

オートマータ…コンロビーヌを思い出した救われた物語を藤田さん書いてくれないかなぁ

あの頃のサンデーは輝いていた…


黒賀村編だけは絶対許さない

おはようございます、1です。軽めに投下していきます。

>>365
>>366
>>367
>>368
>>369
>>370
ありがとうございます。引き続き暇な時にどーぞ。

ギルドエリア 総合依頼案内所


男「さて。早速こっちまで戻ってきたわけだけど」

魔少女「このエリア全体で……依頼や情報などを集積しているようですね。まずは初心者用の簡単な依頼から……あのー」

オペレーター「はい。どうされましたか?」ニコッ


魔少女は1人の受付の女性らしき人に声をかける。
笑顔に思わず同じ女である魔少女さえトキメキそうな、大人な純和風の女性である。

魔少女「えっと……今回初めてこちらで依頼を受けようと思うのですが……やり方がわからなくて」

オペレーター「かしこまりました。では、ギルド所属証明書をご提示いただけますか?」

魔少女「ほら……先輩、さっき貰ったアレです」

男「ん?あぁ、俺が出すのか……お願いします」スッ……

オペレーター「はい。……あら。貴方達があの人の言っていた新人さんかしら?」

男「あの人?カウボーイのおっちゃんっすか?」

オペレーター「えぇ。私もあの小さな事務所のメンバーの1人だから。情報収集や依頼などの情報処理が主な仕事よ。よろしくね、お二方」ニコッ

魔少女「情報収集……ですか」

オペレーター「えぇ。紹介代わりに少し見せましょうか」カチッ

オペレーターがキーボードに手を添えると、一瞬で画面に魔少女の情報が現れる。

オペレーター「フムフム……ほぉほぉ……○○県の魔法部の大会で優勝と……流石あの人のお気に入りだけあって並ではないのね」


魔少女「え?……私の……まだ名前すら言ってないのに」

オペレーター「フフ、どうやったかは秘密ね。次にそっちの男の子はと…………あれ?特に目立った功績はないのかしら?」

男「まぁ、いわゆるちょっと動けるだけの普通の男子高校生ですんで」

オペレーター「じゃあこれからの活躍に期待ね。……あら……お兄さんがプロの探索者なのね。しかもこの3年間で若手トップクラスの功績を挙げてるわ」


男「いやー、アレは血ぃ繋がってんのか?って疑うレベルに優秀な兄貴ですからねー」


オペレーター「そう自分を卑下にしないの。じゃあ早速お仕事の説明をしましょうか」

ギルドの依頼とは!!




世界中に多数散らばるギルドには、未知のダンジョン探索から晩ご飯の材料に悩む主婦までありとあらゆる依頼が発注されている。
その依頼にギルドが達成難度を決めて、冒険者、探索者は自分の実力にあった依頼を受注するのだ。

主に目安となるのは、そのダンジョンの危険度ランクなどである。




オペレーター「貴方達はランク2までのダンジョンにしか入らないから受注範囲は非常に狭くなるけど……それでも数は膨大よ。さて、本日はどのような依頼をお探しかしら?」


男「んー、あり過ぎて悩むどころじゃないなこの数は」

ざっと検索してみたところ、ダンジョンランク2までという制限にも関わらず、依頼件数は万を軽く超えていた。これも世界各地の大都市からだけでなく、地方の中小ギルドとの連携が強い大手ギルドならではの光景である。

魔少女「まずは……私達の住む地域を中心として検索しましょう。そこから検索半径を徐々に広げ……早速いいのがヒットしましたね」


魔少女が一件の依頼に注目する。


『協力者求む。ダンジョン探索に同行してくれる方募集』

条件
明日の13時、仁市駅前集合→ダンジョンクリアまで同行出来る方


潜入予定ダンジョン
仁市第二運動公園ダンジョン(危険度ランク2)

報酬
100ゴールド
互いにダンジョンで得た金品の5割

男「仁市って、俺らの街の隣じゃん」

魔少女「確定報酬100ゴールド……更にダンジョンで稼いだお金の半分が入ります。
危険度2のダンジョンで私達と依頼者の合わせて3人で探索を行えば300から400ゴールドは固いかと。取り分はその半分ですから報酬と合わせて合計250ゴールドから300ゴールドほどの見込みがありますね」

オペレーター「依頼者は貴方達と同じ高校生のようね。実力も同程度、欲しい素材が最近このダンジョンに大量に出る傾向があるので、安全策として共に探索する人材が欲しいと。……これにする?」

魔少女「悪くないと思います……個人的に親しくなれば、私達の目的に協力してくれて、後日探索を手伝ってくれるかもしれませんから」

男「年が近い同業者の知り合いが出来るかもってのはメリットデカイな。これにするか」

「「じゃあこれで!!」」


オペレーター「フフ、了解。では依頼内容などを明記したメールを貴方達の携帯に送っておくわね。初仕事頑張って、怪我しないようにね」

男「ありがとうございまーす。うっし、んじゃ折角東京に来たんだし遊んで帰るか」

魔少女「却下です……先輩には、先日新しく手に入れた『鉄の剣』と魔力の練習をやってもらいます。ついでに武器の鑑定も。明日の仕事で使いモノにならないと困りますので」グイッ

男「嘘ーん!折角ここまできたのにー」ズルズルズル

魔少女「名刺があれば……またいつでも来れるじゃないですか。ほら、さっさと帰りますよ」ズルズルズル


オペレーター「フフ……若いっていいわね……本当に……」




8日目成果

ギルド【RPG】への登録を完了した
初めての依頼を受注した
カウボーイより譲り受けた『鉄の剣』を鑑定した
市役所横ダンジョンでの修行ついでに、40ゴールド獲得した

所持金55ゴールド
オートマタ引き取り代金 残り945ゴールド











ー同時刻ー


…………

南米 ペルー
マチュピチュ遺跡

ダンジョン『浮遊都市マチュピチュ』危険度ランク54




リバース幹部「くっ!!何なんだこの剣士は!!めちゃくちゃ強いじゃねぇか!!」

兄「さぁ、吐いてもらおうか。お前ら『リバース』がこのダンジョンで何をしていたのか」チャキッ

1人の日本人剣士が、いかにも悪そうな男に剣を向け尋問している。

その周りには、男の部下が数人、それらが従えていたモンスターなどが、剣士に斬られ倒れていた。


リバース幹部「り、リバース?はは、俺には何のことやら」ザクッ!!

グァァアアアッ!!!

兄「調べはついてるんだ。余計な手間を取らせるなら足のつま先からコイツを刺してくぞ?」

剣士はナイフを男の右足の甲に突き刺し、尋問を行う。
いや、既に拷問の域であろう。

リバース幹部「ぅぅ……た、ただこのダンジョンで入手出来る素材を採りに来ただけだ。貴重なモノだから市場には出回っていない……ただの探索だ!正当な手続きもした!!それの何が悪い!!」

兄「貴重な素材ねぇ……このダンジョンで、市場に出回らないレベルのごく少数しかとれないと言われている貴重な素材といえば、別次元へのワームホールを作る為に必須なレアクリスタルの一つ『浮遊結晶』だが……そんなモノを何故お前らが欲しがるんだ?」

リバース幹部「~~~~~ッ!?……ク……クククッ……ハハハハハッ……」

兄「ん?」

リバース幹部「知りたければ教えてやろう!!この世界を『裏返す』のさ!!強者のみが生き残る混沌の世界へとなぁ!!」

兄「それは何回も聞いた。お前のお仲間にな」

リバース幹部「弱者は穴にでも閉じこもればいい!!我々にこの世界は狭く、生温い!!ならば全てを反転させればよいのだ!!」

兄「それも聞いた。お前ら皆、同じ事しか喋らないのか?ゲームのキャラクターかよ」

リバース幹部「ゲーム?……ハハハッ……そう!これはゲームだよ!!我々が創り出す、これ以上にない壮大な世界を舞台にしたRPG(ロールプレイングゲーム)だ!!」カッ!!

突如、男の身体が光りだす。

兄「げ!?」











リバース幹部「『リバース』の創り出す世界に栄光あれぇぇぇえええッ!!!!」











ドォォォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!



そして、男の叫びと共に、周囲に爆炎が広がっていく。
爆炎は剣士どころかまだ息のある男の仲間をも飲み込んでいった。

ォォォォォオオオッ…………



兄「余計な事しなくても良かったのに。これやられると酔うんだよ」ゲホッ



爆炎が収まると、剣士は何事もなかったかの様に姿を現した。あれだけの熱量かつ広範囲の爆炎にも関わらず、気分は悪そうだが全くの無傷である。



魔術師「またそんな事言ってッ!ボクが君を『フェーズシフト』で別空間に飛ばさなかったら、君は今頃焼き焦げた匂いの、魔物のエサになってたところなんだから!!」フヨフヨフヨ



どこからか、フワフワと箒に乗った赤毛の少女が剣士の前に現れる。

見た所日本人の剣士とは違い、外国人。魔術の本場、イギリス出身の魔法使い19歳である。

兄「はいはい、サポート助かったよ魔術師。とりあえず敵の現在の目的も把握出来たし、今回は上出来だろ?」

魔術師「うん、わかればよし!ホラ、ジャパンのことわざにもあるでしょう?『おかしい仲にも礼儀あり』ってさ」

兄「『親しき』な。まぁ俺とお前ならおかしいである意味あってるけど」

魔術師「oh……ジャパンのことわざ難しいよ……それで?これからどうするの?ボスから奴等の次の情報が入るまでは自由だってさ」

兄「そうだなぁ……去年の正月ぶりに家に帰ろうかな。お袋や弟の顔を見にでも」

魔術師「ッ!?YEAH~~ッ!!!賛成賛成!!ボクジャパニーズフード大好きだもん!!スキヤキシャブシャブスシナンプラ~~♪」

兄「ナンプラー?あぁ、天ぷらか。てかお前も来るのか?」

魔術師「そりゃあ行くよ!ていうか連れてってよ!パートナーでしょ!?」

兄「はぁ……しょうがないなー」

投下終了です。
兄貴アンド魔術師登場でした。正統派主人公とその相方みたいな感じです。ちなみに2人の見た目は普通の動きやすい服装です。
カウボーイ達みたいにコスプレっぽくはなってません。プリーストさんは本物の神父なのでコスプレとは思ってません。

あけましておめでとうございます、1です。
遅くなりましたが夜辺りに投下します。ヒマな時にどうぞ

ダンジョン生活9日目 午後12時


男「ほんじゃ、初仕事行ってくるか」

魔少女「えぇ……行きましょう」ニコッ

母「車に気をつけるのよー☆」

男「もっと気をつけなきゃいけないもんが、いっぱいあるけどな」



仁市駅前

12時40分


男「結構早めに着いちゃったな。どっかで軽く何か食うか」

魔少女「でしたら……駅の近くに美味しいシュークリームを売っている店があるらしいです」グイッ、グイッ!!

男「腕引っ張んなって!俺的にはもうちょいガッツリ食いたいんだけどなー」

魔少女「コンビニで……ついでに何か買ってください。あ、あの店ですね」トテトテトテ


「シュークリームあと1セットでーす、次回販売は3時間後となっておりまーす」

「「すいませーん、シュークリームください」」


魔少女「ッ!?」バッ!!

「ッ!?」バッ!!

駅前にそびえる小さな店舗。
そこで売られている最後のシュークリームを求め、今見知らぬ金髪の少年と少女の2人が同時に注文を行なった。


金髪「なんやアンタ……ワシの方が早かったと思うんやがなぁ……」ピキッ……

魔少女「いいえ……私の方がコンマ3秒ほど早かったです。順番は守っていただかないと」ピキピキッ……

金髪「せやなぁ……順番は守らんとなぁ……まぁどうしてもというなら」ビキビキッ!!

魔少女「えぇ……どうしてもというなら……」ビキビキビキッ!!!







「「最初はグー!!ジャンッ!ケンッ!!」」


……………………


「ありがとうございましたー」


魔少女「正義は必ず勝つのです……」ドヤッ!!

金髪「あぁ……何でワシはグーを出してもうたんや……」


戦いの結果、魔少女が最後のシュークリームの入った袋をゲットしたようだ。
激闘を繰り広げた短髪の金髪な少年は酷く落ち込んでいる。


魔少女「よかったら……1個どうぞ。一袋に結構入ってるみたいですので」

金髪「おぉ……天使や。ココに天使がおる……あんがとうなぁ!!んーうまッ!!」モグモグ

男「3時間後に新しく焼いて販売されんだから待てばいいのに」

金髪「あかん。3時間後やったらワシは近くのダンジョンの中や。その前に、ここのシュークリームで景気付けときたかったからな」

男「へぇー、アンタもダンジョンに入るんだ。俺たちもこれから近くのダンジョンに入るんだよ」

金髪「おーお前らも探索者か!一緒のとこかもなー、ほな向こうで会ったらよろしくな。ワシは待ち合わせがあるから駅前で待たなあかんのよ」

男「おう、よろしく。俺達も駅前で待ち合わせだからそれまで情報交換でもしとくか」

魔少女「……………………」モグモグ

13:00 待ち合わせ場所


金髪「なんや、まだ来てないんか?プロなのに時間に疎いとは感心せんなー」

男「こっちもまだ来てないのかな?折角指定時間に来たのに」

魔少女「あのー……お二方もしかしてワザとですか?」


「「へ?」」


…………


金髪「なんやー、アンタらがワシの頼んだギルドの人らやったんかいなー」

男「アンタが依頼人だったのか!いやー、こういう事もあるんだなー」


魔少女「まるでコントを見てるようでした……改めまして、ギルド【RPG】から参りました、魔少女と申します」

男「俺は『男』だ。初仕事でダンジョン経験も浅いけど、給料分の働きが出来るよう頑張るからよろしくな」

金髪「ワシは『金髪』や!まぁワシも経験浅いし、最悪目的の素材がキッチリ手に入れば問題ないからよろしく頼むわ!」

魔少女「では……腹ごしらえも済んだ事ですし、行きましょうか。ダンジョンへ」

仁市第二運動公園ダンジョン






空間変異型ダンジョン 鉱山 全4層

出現時期 15年前

危険度2

主な魔物 ゴブリン ???

ダンジョン 第二層

『薄明かりの坑道』



男「ここは……鉱山のダンジョンなのか」


冒険前の準備を整える為の第一層を素通りし、そのまま本格的に探索が始まる第二層へと降りた男達は、周囲が岩に覆われ、ランプの灯りに灯された坑道のような通路に降り立った。


魔少女「そのようですね……このダンジョンは全4層の空間変異型。つまり決まった地図などは存在しません。私達は、この迷路のような坑道を探索しなければいけないというわけですね」

金髪「まぁ、通路はかなり広いし魔物と戦闘になっても問題ないやろ。まずは次の階層への出口を見つけよか」

男「ん?素材やアイテムを探さなくていいのか?」

金髪「それは二の次や。まずはワシら自身の安全の確保。先に出口見つけてそこを中心に探索すれば迷いにくくもなるやろ」


男「おー、それもそうだな。てかそういえば、お前が集めたい素材って何なんだ?わざわざギルドに依頼するくらいだし」

金髪「ん?あぁ、『火薬』や」

男「火薬ぅ~?」

金髪「ワシは探索者として武器を使うなら、やっぱ男気溢れた武器を使いたい!って昔から思うとってなぁー。まぁいわゆる『漢の浪漫』ってヤツやな。
んで色々候補はあったんやけど、まずはコレ!って武器を見つけたんや。せやけど、この武器の最大の魅力を使うにはアホみたいに火薬が必要になって、武器屋のオヤジが最初の何発か分はサービスしたるから、あとは自分で材料を用意しろ。そしたらまた作ったるって話でな。
そんで、このダンジョンに低品質やけど火薬を精製出来る鉱石が大量に出るって聞いてな?こうして人を呼んでいっぱい持って帰ったろってワケや」

魔少女「ようするに……」

男「俺らは荷物持ちって事かよ……通りでデカイカバン持ってると思った」

金髪「まぁ『男』の方にはそっちメインで働いてもらうかもなぁ~。魔少女ちゃんは魔法使えるんやろ?ならワシのアシお願いなぁー」

魔少女「了解しました」

男「まぁいいけど。……で、結局お前の武器は何なんだ?」

金髪「あぁ、コレやコレ」スッ……


金髪が右腕を上げると、そこにはゴテゴテした機械のような物が取り付けられていた。

それはリボルバーのシリンダーの様な機構と、そこからスプリング式に発射されるように付けられた金属の太い杭。
太い杭の先には近接戦闘に使えるように槍の穂先のような物が付いている。

男「ま……まさかそれは……」

金髪「あぁ……いわゆる『パイルハンマー』ってヤツや」

男「スゲー!!ヤベーカッケー!!超カッケーよ金髪ー!!」

魔少女「あの……それ右腕重くないですか?」




パイルハンマーーとは!!
火薬などによって杭などを瞬間的に撃ち出す、いわゆるロマンである。




金髪「まぁ試しに撃ってみたら1発で肩が外れてなぁー。そんで対策として撃つと同時に衝撃を緩和させる魔法が使えるいい戦技を買って組み込んだんや。おかげで武器代と合わせて半年分のバイト代が全部パーやけどな」ハッハッハ


男「スッゲー!俺にも今度使わせてくれよソレ!!」

魔少女「…………普通の銃などでよかったのでは?」

ゴブリンの群れ「キキーッ!!」

男「お、都合のいいところに魔物の群れが」

魔少女「あれはゴブリンですね……いわゆる小鬼です。洞窟のような暗く狭いところに生息する魔物ですね」

金髪「うっし!んじゃあ、準備運動がてらに一丁やったるか!!魔少女ちゃん、身体強化の魔法って使えたりするん?」

魔少女「もちろんです……『フィジカル』」カッ!!

金髪「お、身体が軽ぅなった!……んじゃやるか」スッ……

金髪は、10匹ほどのゴブリンの群れに対して、軽くステップを行いながらファイティングポーズをとる。

男「もしかしてボクシングやってたのか?」

金髪「いんや、喧嘩で身につけた我流や。でも伊達や酔狂だけで、この武器を選んだワケやないんやで」

魔少女「え?……そうなんですか?」


ゴブリンの群れ「キーッ!!」バッ!!

そして、手に棍棒などを持ったゴブリンの群れが、一斉に金髪へと襲い掛かってくる。

金髪「オラァッ!!」ブンッ!!

それらに対し、金髪の右拳に取り付けられた刃物が、素早く薙ぎ払うようにゴブリン達をまとめて斬りつけた。
数体のゴブリンはそれだけで後方に飛ばされる。

金髪「シュッ!!」ダンッ!!

そのまま金髪は前方に足を踏み込み、残りのゴブリンの一体に密着したまま照準を合わせ

金髪「ぶっ飛べや!!」カチッ!

ドォォォオオオオオオンッ!!!!

拳に仕込んだトリガーを引き、シリンダーの中の弾薬を炸裂させ、右腕から太い杭が発射された。

杭をモロに食らったゴブリンは即死し、他のゴブリン達もろとろ大きく後方に飛ばされる。


金髪「クゥゥゥウウッ……やっぱコレをぶっ放すのは最高やな!!」ガチャンッ!!

そして取り付けられたレバーを引き、杭を元の位置に戻すと同時に薬莢が排出される。

要は、デカイ大砲を備えたインファイターである。
重さや衝撃など様々なデメリットはあるが、戦技や魔法でデメリットを解消する事で使い手によっては凄まじい戦力を生み出すのだ。


まさに浪漫である。

魔少女「驚きました……凄まじい威力ですね。格上の魔物が相手でも通用しそうです」

金髪「まぁな!ただ弱点としてはやっぱ、いくら緩和してても衝撃で身体がヤワになるからなぁ~。一度の探索で何発も連続で気軽に撃てんってことやな」

男「じゃあこんなとこで撃つなよ!まだ始まったばかりなのに」

金髪「じゃあお前ならあの状況で撃たんのか?」

男「いいや、撃つね!!」

ガシッ!!(握手)

魔少女「とりあえず……戦力に問題は無さそうですね。1番弱いのは先輩ですし。まずは出口を探しましょう」

男「否定はしない」


戦利品
小鬼の石飾り(材質によって値が変わる) 大体10ゴールド分
ゴブリンの心 1個

探索30分経過



男「結構歩き回ったけど、出口どころか大部屋の一つも見つからんな」

魔少女「一応目印と……簡単なマッピングはつけています。まだ一度も同じ所を通ってませんから、それだけこの鉱山ダンジョンが広いという事でしょうね」

金髪「そら簡単にクリア出来る親切設計なら誰でも探索者になっとるわ。練習みたいなランク1とは違って、ランク2からはガチ探索やからなぁ」


男達は順調に迷っていた。
といっても魔少女が自分の歩幅を数えて、用紙にマッピングを行なっているので、順調な探索といえば順調である。


男「流石に普通の道にポンポン素材が落ちてるわけでもないからな。出来ればここら辺で一回広い空間に出たいもんだ」

魔少女「そうですね……あ!?ここ、さっき通った分かれ道のようです。作ってる地図とも一致してます」

金髪「てことは、ようやくあらかた探索出来たんか」

魔少女「そのようですね……いくつか選ばなかった分かれ道があったので、この中のどれかに次の階層への出口の部屋があるはずですが」

男「とりあえずこの分かれ道の先に行ってみようぜ」

探索40分経過


第二層

『採掘者の休息所』



男「おー!やっと通路以外の広い部屋に出た!!」

最初に選ばなかった分かれ道を進んでいくと、男達は坑道内に開けたエリアを見つけた。
このエリアには、採掘者達の為の簡易的な小屋のようなモノが数軒建てられている。といっても、ダンジョンが作られるさいにその膨大な魔力によって、現実の世界のどこかを写し取っただけなのだが。

金髪「この小屋で少し腰を下ろして休憩が出来そうやな」

魔少女「そうですね……ただし、先にこの小屋を全て調べましょう。魔物が潜んでいる可能性が高いですから」

そう魔少女が進言すると、三人はそれぞれ小屋の中を慎重に確認していく。


魔少女「……こっちの小屋は大丈夫です」

金髪「こっちも何もおらんわー」

男「どわぁぁあああ!?何かデッカいムカデがいる!!」


大ムカデ『キィィィイイッ!!!』バッ!!

ズザァァァアアアッ!!!

男の叫び声と共に、小屋の中から大ムカデと男が飛び出してくる。

大ムカデの大きさは成人男性ほど。
ガイドブック曰く、危険度2から3の魔物である。

男「くっ!?離れろ!!」ブンッ!!

男が鉄の剣を振ると、男に組みついていた大ムカデが一旦離れる。


魔少女「大ムカデ……私達には決して弱くはない魔物です」

金髪「加勢したろか男!?」

男「いや、まだいい!!この剣の試運転がてら、俺1人でやってみる」

魔少女「……わかりました。気をつけてくださいね、先輩」

金髪「おいおいええんか?アイツあんまり強くないんやろ?」

魔少女「火力でいえば……私や金髪さんの方が上です。でも、まぁ見ててください」

大ムカデ『キィィィッ!!!』バッ!!

大ムカデが男へと飛びかかってくる。この大きさ、噛む力も相当だろう。まともに噛みつかれれば大ダメージもある。


男「戦技……『倍加速』ッ!!」



ズシャアッ!!

大ムカデ『ギィィイッ!!』ズザァッ!!

しかし、男はカウンターで大ムカデの胴体へと横薙ぎに攻撃を加える。それも素早く、腰の入った一撃で。


金髪「速ッ!?何やアイツ、めちゃくちゃ動けるやんけ!!」

魔少女「あの鉄の剣に付いていた戦技の効果です……時間魔法『アクセル』と同種類の戦技。発動後、1秒間だけ自身の時間を加速させる事ができます。……先輩にとっては大当たり武器ですね」


滝の洞窟にて、カウボーイが洞窟内で見つけ、男へと譲り渡した鉄の剣。
これを鑑定したところ、この戦技が最初からつけられていた。正面から剣で戦う戦法の男にとってはベストな戦技である。

魔少女「昨日は……鑑定した後ずっと、あの戦技を使いこなす特訓をしていました。魔力の消費も大きくなく、使うタイミングがよければ絶大な効果を発揮する……先輩ならそのタイミングは絶対見逃しませんからね」


剣道に限らず、武術・格闘技を長くやっている人間なら、対峙する相手の隙を突いて技を繰り出すのは当たり前。

その隙を倍速で突けるのだ。弱いわけがない。


大ムカデ『キルルルルル……ッ!!』ザザァッ!!


金髪「あ!?あのムカデ逃げよった!!」

魔少女「いえ……恐らく身を隠しただけです。ムカデは素早くどこにでも潜む事が出来ますから……隙を見て飛びかかる気でしょう」

シー……ン……


男「……………………」


ザ……

大ムカデ「ギィィイッ!!!」ザザァッ!!

男「『加速』ッ!!」ブンッ!!

ズシャアッ!!!


静寂の中、男は全方向に神経を集中させ、大ムカデの這いずる音に反応すると同時に戦技を発動させる。
背後から飛びかかってきた大ムカデに対し、加速された反応で再び横薙ぎに斬る。


大ムカデ「ギッ……」ドシャアッ!!

男「うっし!終わり!!」

魔少女「戦技を瞬間的に発動させる訓練……少しは成果が出てきましたね。まだまだタイムラグはありますが」

大ムカデ「ギィィイッ!!」

金髪「ッ!?まだや!!」

魔少女「『ファイヤーボール』」ポゥッ!!

大ムカデ「キィィィッ!!!……」ドサッ

魔少女「これくらいは……とっさに出来るようにならなければ、その戦技は活かせませんよ?折角いい性能なんですから」

男「はいはい精進しますよー」

金髪「……ハハッ、こいつ等やるやん!!」

~休憩中~


魔少女「書いていた地図を見る限り……恐らくここら辺に次の階層への出口があると思われます。というより、恐らくこの辺り以外はこの階層は探索済みかと」

男「何だ、先に探索終わっちまったのか。意外に道中何にもなかったな。その分この小屋のエリアにまとめて落ちてたけど」

休憩前に男達は、小屋に落ちていたアイテムを拾い漁っていた。
ここにあった持って帰れそうなものだけで、100ゴールド分はあるだろう。

金髪「武器やアクセサリーみたいな装備品が、いっちゃん儲かるんやけどな。ゴツいもんばっかで持って帰れないんが勿体無いわー」

鉱山の休憩エリアらしく、鉱夫の使うツルハシなどの道具が落ちていたが、あくまで火薬鉱石狙いなのであまり多くは持ち帰れない。
男達は仕方なく、拾ったものを選別して、最低限の儲けを出そうとしていた。

魔少女「しかし……目的の火薬鉱石は見つかりませんでしたね」

金髪「恐らく掘り出した鉱石を保管しておく場所みたいなモンがあるんやろ。こんな休憩所みたいなもんがあるんや。次の階層には必ずあるハズ」

男「無かったら今回の戦利品を売って、その金で火薬買えよ」

金髪「市場で買うと金かかるからなぁー。今回持ってきた6発分だけで180ゴールドやで?この値段やと火薬の威力もイマイチやしそれなら自分で調達した方がえぇわ」

魔少女「とりあえず……まずは先に進みましょう」

くっ、ロマンは認めたるわ

金髪さん一応雇い主なんでしょRPGの大切な顧客にタメ口なのか……

すいません昨日は寝落ちです……投下予定だったとこまで投下します

>>413
金髪にはps4ゲーム「ブラッドボーン」ばりの浪漫溢れる改造変形バ火力武器をメインに使ってもらうつもりです。キャラはFF8のゼルをイメージしてます。ガテン系の気のいい兄ちゃんです
>>414
まぁ同い年だし金髪も気にしない性格なので。ドラクエ3のルイーダの酒場みたいなもんです


『下層への階段』


男「あったな、次の階層への道」

金髪「この部屋は何なんやろな?あちこちにデカイ岩がゴロゴロ落ちとるけど」

魔少女「この階段……先が真っ暗で何も見えませんね。恐らく、途中で別空間に繋がっているんでしょうが」

金髪「この階層はほぼほぼ探し尽くしたし、次行こうや」

男「そうだな。でもその前に……」チラッ



ゴブリンの群れ「キキーッ!!」


男「こいつ等どうする?」

金髪「ほっといて下降りてえぇんちゃう?」

魔少女「しかし……この魔物達を倒しておけば、換金するアイテムが増えますよ?」


ホブゴブリン「……ニンゲン……」


男「お、何かデカイ奴がいるぞ?しかも俺らの言葉喋ってるし」

ゴブリン達の群れの奥には、ボス格と思われる一回り体の大きなホブゴブリンと呼ばれる魔物もいた。

ゴブリンがランク1、ホブゴブリンがランク4となる。

この中で一番実力のある魔少女でも、ホブゴブリンを相手にするには骨が折れるだろう。

魔少女「……おかしいですね。先ほどの大ムカデといい危険度ランク2のダンジョンなのに、それ以上のランクの魔物がやけに頻繁に出てきてるような……」

男「でもまぁ、1体づつだろ?それに俺等も3人いるんだし、実力的には丁度いいんじゃないか?」

金髪「せやせや。金を稼がなあかんのも確かやし……やろか?」

男「おし……魔少女!とりあえず雑魚を片付けてくれねーか?」

魔少女「わかりました……火球・火球・火球ッ、3種複合魔法『ガトリングファイヤーボール』ッ!!」ボゥッ!!


ドドドドドドドドドッ!!!


前に突き出した魔少女の両手から、小さな火球が連射されていく。
火球はゴブリン達を次々と撃退していった。


魔少女「……ふぅ……これであらかた片付いたと思いますが……」


ホブゴブリン「…………」シュゥゥウッ……


男「親玉は殆ど無傷か。まぁ、そんな簡単な話じゃないよなぁ」

ダッ!!

男「おっ!?」

前に飛び出したホブゴブリンは、そのまま男へと殴りかかる。

ボクサー並みの両拳の連打により、男はひたすら躱す事しか出来なかった。

男「くっ、流石格上。やっぱ1対1じゃあちょっと厳しいな」

ホブゴブリン「ォォォォォオオオッ!!」シュシュシュシュッ!!!

魔少女「補助魔法をかけます……『フィジカル』」カッ!!

男「うっし!!これで身体が軽くな」

ホブゴブリン「オオオッ!!!」ブンッ!!

ドォンッ!!

男「がっ……は……」ドサッ……


一瞬の隙に、ホブゴブリンの渾身の拳が男へと当たり、男は岩壁へと衝突する。ダメージは大きいだろう。


魔少女「先輩!!」

ホブゴブリン「オオオッ!!」ダッ!!

そのままホブゴブリンは、魔少女へと突進していく。
か弱い魔少女がこの一撃をもらえば、ひとたまりもないだろう。

金髪「させるかボケェ!!」ブンッ!!

ズシュウッ!!

その前に、金髪が右腕のパイルハンマーでホブゴブリンの腕を斬りつける。腕に刻まれた傷はかなり深く、ホブゴブリンの攻撃を弱める事となるだろう。


しかし

ホブゴブリン「……ニンゲンン……」シュゥゥウッ……

金髪「ッ!?何や……傷がえらい勢いで治っていきよる……」

魔少女「あの魔物、何か変です……一体……」

通常ではあり得ない速さで、ホブゴブリンの傷が治っていく。格上の魔物ならば回復魔法などの様々な回復手段を持っているが、ホブゴブリンにはそれは無いはずである。

そもそも、人語を解している時点で、既に普通のホブゴブリンではない。


ホブゴブリン「ォォォォォオオオッ!!!!!」ゴキゴキゴキッ!!!


魔少女「身体が大きくなっていく……こんな事……」

金髪「なーんや……ヤバそうな匂いがプンプンすんなぁ」

雄叫びと共にホブゴブリンの身体が徐々に大きくなっていく。骨格すら作り変えられているようだ。

先ほどまでは精々150cmほどだった体長は、いまや180cmほどにまで大きくなった。より強く、より頑丈に。


魔少女「危険度6……7くらいはありそうですね……」

金髪「こら、ワシらの手に負えなさそうやな……」


ホブゴブリン改「ニィンゲェン……」ユラッ……

明らかに異常なホブゴブリンが、魔少女達へと攻撃を仕掛けようとしたその瞬間


ズシュッ!!

魔少女「ッ!?先輩……」

男「魔少女!!速攻で撃てるデカイ魔法をコイツに撃てッ!!」

魔少女「は、ハイ!」ググッ!!

ホブゴブリンの背後から、先ほど一撃を喰らった男がホブゴブリンの右腕を斬り落とした。

完全に不意をついた一撃だ。

ホブゴブリン改「グォォォオオオオオッ!!!」ガシィッ!!
男「ガハッ!?」

すかさずホブゴブリンが男の首を残った左手で掴む。プロレスラーのような肉体から繰り出される腕力は、とても男が抵抗できる力ではない。


金髪「隙だらけやでデカブツ」グッ!


そのホブゴブリンの背後には、右腕のパイルハンマーを構えた金髪が。


金髪「本日2発目やッ!!」カチッ!


ズドォォォオオオオッ!!!

ホブゴブリン「グガァァアアッ!!!」ドンッ!!

男「ブハァッ!!」ドサッ!

そのまま巨大な杭を放つパイルハンマーがホブゴブリンの背中へと炸裂し、ホブゴブリンは坑道の壁に叩きつけられる。
捕まえていた男を思わず放してしまうほどに強烈だったのだろう。

魔少女「撃ちます……二人とも避けてください!!」ググググッ!!

男「ヤバッ!!」ダッ!!

2つの練り上げられた魔力球を浮かび上がらせ、魔少女が叫ぶ。同時に男と金髪は全力でその場から離れる。


魔少女「火球、光球……2種複合『フレイムアロー』!!」ドドドドッ!!

1つの魔力球から、10発程の炎の矢がホブゴブリンへと放たれる。

ホブゴブリン「グォォォオオオオオッ!!!」

矢はホブゴブリンの身体を貫き壁へと突き刺さり、ホブゴブリンを壁に固定した。

魔少女「更に火球、火球……2種複合魔法『フレイムボール』」ドンッ!!

ドォォオンッ!!

そしてもう1つの魔力球から通常よりもふた回りほど大きな火球が、ホブゴブリンへと放たれ炸裂する。

どうやら魔少女は、2種複合の魔法を2つ作成していたようだ。
より複雑な3種複合よりも威力は劣るが、手早くダメージを与える為に考えたのだろう。

金髪「やったんか!?」

魔少女「いえ……金髪さんの武器で倒しきれないのでしたら、あの程度の魔法では無理です。ここは今すぐ退きましょう」

男「うし!そうと決まれば」チラッ


3人は同時に、次の階層へと続く階段へと目を向ける。
次の階層とは空間自体は直接繋がっていない。
ダンジョンの外から入ってきた人間達はそれを通り抜ける事ができるが、ダンジョンで生まれた魔物達には別階層へ行くことは出来ないのだ。


ホブゴブリン改「ォォォォォオオオッ!!!」

男「走れっ!!」ダッ!!

ホブゴブリンの雄叫びが響き渡ると同時に、3人は階段へと全力で走り出す。


ガラガラガラッ…………

金髪「うお!?アイツデッカイ岩持ち上げとんやけど」

男「いいから早く走れ!!」

ホブゴブリン改「ォォォォォオオオッ!!!」ブンッ!!

この部屋に無造作に転がっていた人を潰すには十分なほどの大きさの岩を、ホブゴブリンが男達目掛けて投げ飛ばす。

ドォォォオオオオオオンッ!!!


ホブゴブリン改「ニンゲン……ニンゲンンンンン!!!」

第三層

『火晶石の採掘坑道』


男「ハァッ……ハァッ……」

金髪「流石に……ちょっと死ぬかと思ったわ……」ハァッ……

魔少女「…………」ゼェッ……ゼェッ……

男「おい魔少女……一気に走り過ぎてダウンしてやがんな」

金髪「ここらでちょっと休もか……アイツも別の階層まで来られへんし」




……………………



カウボーイ「おーいプリっちー、ちょっと頼み事があるんだけどー」

プリースト「断る。そしてその呼び方はやめろ」

カウボーイ「まぁまぁいーじゃない。それでさー、ちょっと『例の件』でアクシデントがあっちゃってね?こないだここに来たあの少年達が危ないかもしれないんだよー。ちょっと片付けてきてくんない?」


プリースト「……『バグ』か?」


カウボーイ「そゆこと。頼んでいい?皆出払ってるからさぁ……」


プリースト「……ハァッ……場所はどれだ?」


…………



魔少女「ふぅ……ようやく呼吸が整いました」

金髪「魔少女ちゃんビックリするくらい体力ないなー、天は二物を与えずってヤツやな」

男「これでも無事に下に降りるまで体力が保っただけ大成長なんだがな」


魔少女「それでは進む前に……先ほどの件について話しておきましょう。なぜあのホブゴブリンはあれほど強力な個体となっているのか」

男「確かにどんだけダメージ与えても、治るだけでなく更に強くなるんだもんなー。何なんだアイツ」

金髪「突然変異ってヤツなんか?それでもあんな極端なヤツにはならへんやろ。『バグキャラ』やであんなの」

魔少女「この先……同じような特異個体が出てこないとも限りません。もし敵魔物に異常が見られれば即時撤退を。どうやら傷つければ傷つけるほど強力になるようなので、それならば交戦しなければよいだけですので」

男「了解。ギルドに戻ったらオペ姉さんに報告しとかなきゃな」

金髪「じゃ、引き続き探索といこか!さっさと火薬を見つけて脱出した方がよさそうや」

投下終了です。ではまた。

お久しぶりです。1です。軽く投下していきます。

『採石保管所』


金髪「あったぁぁあ!!ココやココ!!間違いあらへん」

傷つく度に異常な成長を遂げるホブゴブリンから階層を移動することで逃れた3人は、十数分程の探索で採掘してされた火薬石が保管されているであろう大部屋を見つけた。

男「ふぅーようやく見つけたなー。この階層もゴブリンばっかで疲れたわ」

魔少女「先程の……特異なホブゴブリンのような魔物がいなかったのは幸いです。それで金髪さん、目的の火薬石というのはどれになるんですか?」


金髪「え?……これぜんぶ火薬とちゃうんか?」

魔少女「恐らく……別種の鉱石も混じっていると思いますが……まさか……」

男「……これ全部調べなきゃならないパターンかもしかして」


しかし、石にも様々な種類がある為どれが目的の火薬石かはわからない。

魔少女「わかりました……火をつけてみましょう」

男「ちょっ!?ちょっと待て!!こんな火薬の塊みたいなモンに火をつけたら大爆発すんだろ」

魔少女「百も承知です……鉱石の小さなカケラや粒状のものに火をつけます。幸い品質は低いとの事なのでそれだけで怪我するような爆発は起きないでしょう。
それと、この部屋で火をつけると空気中に舞っている火薬の粉末で粉塵爆発を起こすかもしれませんから一通りカケラを集めたら別の部屋へと移動しましょう」

金髪「いやーなんや悪いなー」ハッハッハッ

男「自分の目的の素材のことくらいしっかり調べとけ馬鹿野郎!!」


『ただ広いだけの大部屋』


ボンッ!!

男「うぉっ!!石が軽く爆発したぞ」

魔少女「どうやらコレのようですね……黒いざらついた感じの鉱石です」

金髪「んじゃ、早速さっきの部屋に戻ってワシのパイルハンマーで粉々にして持って帰ろか!!」

男「だから爆発するって言ってんだろうがぶっ飛ばすぞこの野郎!!」

魔少女「私の水系の魔法で……高圧カッターのように切りましょう」

金髪「それ火薬湿気ったりせぇへん?」

魔少女「天日干しすれば……多分大丈夫じゃないでしょうか?本来なら、木ノミなどで削ったりするんでしょうが」


『採石保管場』


魔少女「水……風……複合魔法『ウォーターカッター』」ズシャァァアアッ!!

男「おー切れた切れた。あとはコレをバッグに詰めれるだけ詰めればいいか」

金髪「いやー、ホンマ魔少女ちゃんいてくれて助かったわ。ワシだけやったらとんだどれが火薬かわからんで無駄足になるとこやった」

魔少女「お仕事ですから……お役に立ててよかったです」

男「よっと……結構重いな。とりあえずコレで目標達成か?」

金髪「せやな!!こんだけアレば当面弾の火薬には困らんやろ!!ついでに金になりそうな鉱石も結構取れたし、あのヤバイヤツのようなんが出る前にささっと出口探して帰ろか」


『ォォォォォオオオオオオッ!!!!!!!』ビリビリビリッ!!!


男「ッ!?今のって……」

魔少女「まさか……魔物が階層を越えて追ってこれる訳が……」

金髪「おいおいまさかまたアイツかいな」


突如、坑道内に響き渡った雄叫びは、上の階層で3人を圧倒していたホブゴブリンをイメージさせていた。

ダンジョンにて階層を移動出来るのは、『ダンジョンの外』から来た冒険者のみ。
このダンジョンの魔物であるホブゴブリンに追ってこれるハズは無いのだ。


魔少女「こうなるのでしたら……先に出口を確保しておくべきでしたね。私のミスです」

男「なわけねーだろ。どっちにしたってあの雄叫びがヤツならどっかでカチ合うんだからな」

金髪「せやせや。それに、この階層でならもしかしたらアイツを倒せるかもしれへんで?」チラッ

金髪は、ふと目を部屋全体に向ける。
そこには、先程の入手した火薬石の岩が、至るところに配置されていることが確認出来た。


魔少女「確かに……多少リスクはありますが、ココなら……コレを使えば倒せるかもしれません」

…………



ホブゴブリン改『ニィンゲン……』


上の階層で死闘を繰り広げたホブゴブリンが、先程まで男達がいた採石保管場へと足を踏み入れる。

本来、そのダンジョンに生息する魔物は階層を跨ぐ事は出来ない。ここにこの魔物が降りてきた事自体が異例、異常なのだ。

しかし、ここはダンジョン。何が起きても行うべきは生きて地上へと戻る事。
どんな魔物が現れようとも、それが出来ればいいのだ。


例えどんな手段を用いても。


男「今だ魔少女!!」

魔少女「『ファイヤーボール』」カッ!!


そして魔少女が部屋の外から火球を撃ち込んだ瞬間、部屋の火薬岩に引火し、部屋は轟音とともに爆炎に包まれた。

パラパラッ……


魔少女「作戦成功ですね……火薬岩に粉塵爆発も合わせて大爆発です」

金髪「ッかー……ごっつー威力と爆音やったわー……あれ?どないしたんや男」

男「耳が……塞ぐの間に合わなかった……」キーン


男「しかし凄い爆発だったな……これなら流石のあのバケモンも木っ端微塵じゃないか?」

金髪「どれどれ……せやな。何処にも死体すら見当たらんわ」

魔少女「……ッ!?まだです!!」


部屋の中の様子を3人が伺う中、魔少女が何かに気付く。

爆発によって粉々になったハズのホブゴブリンの禍々しい気配を感じ取ったのだ。

そしてその瞬間、部屋中に散らばっていたホブゴブリンの肉片が一点に集まっていくのを確認する。

男「な……マジかよ!!まだ終わらないのか!?ホントどうやったら倒せるんだアイツ!!」

金髪「こうなったら逃げるが勝ちや!!流石にダンジョンの外までは追ってこられへんやろ!!」

魔少女「そうですね……目的のモノは手に入れました。後はダンジョン協会などに報告して任せましょう。行きますよ先輩」

男「あぁ、わかってる。だけど出口はまだ俺ら見つけてねえぞ?」

魔少女「この部屋にたどり着くまでに……おおよそのマッピングは済ませてあります。恐らくですが出口の見当はつきました。急ぎましょう」



ホブゴブリン極『ォォォォォオ"オ"オ"ッ!!!』


肉片は再生されると共に、ホブゴブリンを更に異形の化け物へと進化していく。上半身のみ再生された身体を見るだけで、先程までとは桁違いにレベルが上がっているのが感じられた。




男「うぉ!?もう上半身が殆ど再生しやがった!!よし、とっとと逃げるか!!」

魔少女「その前に……『ミラージュ』!!」

魔少女が魔法を発動させると、大部屋がもくもくと煙に包まれていく。

魔少女「簡易的な幻覚作用のある煙魔法です……これで少しは時間が稼げるハズ。行きましょう」

ダッダッダッ!!


男「本当にこの方向であってんのか魔少女!?」

魔少女「恐らく……としか言えません。先に階段を見つけられていればよかったのですが」

金髪「ダメやったらダメやったらや。そんときゃ腹括ってもう一回アイツをバラバラにしたらえぇ」

男「それもそうだな。魔少女がいなけりゃもっと迷ってたんだ。逃げられるチャンスがあるだけマシか」

魔少女「広い空間に出ます……恐らくこの先に……」


男「お……おぉ!!あった!!階段があった!!」


3人が辿り着いた先には、魔少女の見事な予想通りに最下層へと続く階段があった。
しかし周囲には火薬岩のような鉱石が転がっている。

ホブゴブリン極『ォォォォォオオオッ!!!』ボゥッ!!


同時に、距離はあるものの背後から追いかけてきた強靭に進化したホブゴブリンが、手から火球を放つ。

それは魔少女が散々ホブゴブリン相手に撃ち放ったファイヤーボールであった。
それは真っ直ぐに3人へと飛んでいく。

魔少女「そんな……まさか私の魔法を学習したという事ですか?」

男「この部屋にも火薬の岩っぽいのが転がってる!!早く逃げねぇと誘爆して全員丸焦げになんぞ!!」

金髪「階段に突っ込めぇぇええ!!」


ホブゴブリンの放った火球が通路の岸壁に衝突した瞬間


ドォォォオオオオオオンッ!!!!


階段のある空間全体を含め、ダンジョン内に爆炎が広がった。

最下層

『火蜥蜴の巣』


男「痛ててて……オイ、全員無事か?」

金髪「ワシは五体満足や。魔少女ちゃんは?」

魔少女「私も大丈夫です……どうにか全員無事に降りられましたね」

男「ここまでくれば、後はダンジョンから出るだけだ。さっさと……何だコレ……」

再び階層を越えてホブゴブリンが追いかけてくる前にダンジョンから脱出しようとする3人の眼前には、異様な光景があった。


本来このダンジョンの最下層には、洞窟内の火薬岩を主食とする『火蜥蜴』達の縄張りとなっている。

ランクは5ほど。見た目や大きさは火球を吐くコモドドラゴン。ランク2のダンジョンならばボスと言える魔物である。


その火蜥蜴達が怯えるように巣として作られた広い空間の隅で縮こまっていた。

投下おつ
敢えて言うけど
運営がサボってたから残ってるだけで
>>1が生存報告してないから本来は3月10日に強制html化されてるからな?

プリースト「来たか。思ったより遅かった」


男「アンタは……カウボーイのおっさんの事務所にいた……」

金髪「誰やこの兄さん?神父さんか?」

魔少女「プリーストさん……でしたね確か。何故貴方がこんなダンジョンにいるのですか?」


巣の中心には、教会の神父の格好をした男。

カウボーイに頼まれてこのダンジョンに直接転送してきたプリーストが、聖書のような本を開き立っていた。


プリースト「少々ココで問題が起きた」

男「問題?……あ!?もしかしてあのホブゴブリンのことっすか!?倒しても倒しても倒せないヤツ!!」

プリースト「遭遇していたか。よく無事だったな」

魔少女「プリーストさん達は……あのような魔物をご存知なんでしょうか?」

プリースト「知っている。あれは『バグ』だ」スッ……

バチバチバチバチッ!!!

ホブゴブリン極『ォォォォォオオオッ!!!!』

バチバチバチバチッ!!!


同時に、異形に進化したホブゴブリンが、ダンジョンの魔物には越えられないハズの階層の空間を破るように、最下層へと浸入してきた。


金髪「チッ!!やっぱ追ってくるんかい!!」

男「プリーストさん早くダンジョンから出ましょう!!アイツ倒しても倒しても復活して進化していくんです!!ダンジョンから出ればアイツも追っては」

プリースト「『バグ』はこの外にも出る。今までも何度も出現した」

魔少女「な……ダンジョンの外に魔物が?」


プリースト「退がれ。死ぬぞ」ビリッ!!

フワッ……

プリーストは、手に持った聖書のような本から2枚のページを破り、その2枚の紙片はプリーストの側で浮いている。

魔少女「あれは……魔道書?いえ、ならばページを破る意味が……あれは一体」

プリースト「…………」スッ……


そのままプリーストは、両腰にある鞘に収まった剣の柄に触れながら目を瞑る。

バチバチバチバチッ!!!!

ホブゴブリン極『ォォォォォオオオッ!!!』

バチバチバチバチッ!!!!

ズゥゥウウンッ!!!


ホブゴブリンは空間を完全に越え、最下層の地を踏みしめる。

見た目は既にホブゴブリンとは冗談でも言えない。背丈2メートルを優に超える鬼だ。

そして、目を瞑り静かに佇むプリーストへと突進し、鋭い爪を振りかざす。






プリースト「『主よ。私を許したまえ。貴方の造りし戒めを破るこの私を』」






そして瞬きほどの瞬間

鬼の四肢は胴体から切り離された。

男「……え?」


まさに一瞬だった。
いつ両腰の剣を鞘から抜いたのかもわからないほどに。



プリースト「『ゴルゴダの丘』」ブゥンッ……


ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!


そして切り離された四肢と胴体へと向かって、何十もの剣が突き刺さる。


3人に一瞬だけ見えたのは、破られた聖書らしき本の紙片が一枚、青い炎を上げて燃え、同時にプリーストの両手から何十もの魔法陣のようなものが形成されたこと。
恐らくはそこから放たれた剣だろう。鬼の胴体と四肢は、そのまま巣の壁面へと剣で突き刺さる。


それはまさに十字架に剣で磔にされているかのようであった。

男「……一瞬で……」

金髪「な……何やねん今の……」

魔少女「今のは……あの紙片を触媒に魔術を?……次元が……違いすぎますね……」


3人は、ただただ呆然としていた。自分達があれほど逃げ回っていたホブゴブリンに対し、この最下層に降り立ってから僅か5秒も経たない内に完全に無力化してしまったのだ。

男と魔少女は、プリーストがあのカウボーイと同じレベルの存在である事は予想していたが、あの滝のダンジョンで見たカウボーイよりも遥かに衝撃的であった。
まぁカウボーイが本気を出したわけでもないのでどちらが上など検討もつかないが。


ホブゴブリン『ォ……ォオオ……』グググッ……

男「ッ!?プリーストさん!!まだです!!アイツはまだ再生します!!」

バラバラにされ、磔にされたホブゴブリンが生きているのを確認し、男が叫ぶ。

そもそも火薬岩の爆発で粉々になっても再生したのだ。四肢を斬られ磔にされた程度ではまだ再生できるだろう。


ボゥッ!!


魔少女「また……あの紙片が燃えて」


プリースト「『グランドクルス』」スッ、スッ……


カッ!!!


2枚目の紙片が燃え、同時にプリーストが指先で軽く十字を切ると、十字架のように磔にされたホブゴブリンの前に光の十字が現れ、そこから強烈な光が発せられる。

男「グッ!?…………ッ!?消えた……」


光が消えた後3人が見たものは、ホブゴブリンが磔にされていた壁が十字架のように抉り取られた光景であった。


ホブゴブリンや刺さっていた剣は跡形も無く消えている。


プリースト「終わりだ。俺は帰るぞ」スッ

男「ちょ!?ちょっと待ってください!!あの化け物は結局何だったんですか!?」

魔少女「貴方の持っている本は……魔道書なのですか?それともまた別の」

プリースト「アレについてはカウボーイに聞け。この本はただの聖書だ。膨大な魔力と祝福を込めて書き記された」ブゥンッ!!


そう言い残し、プリーストは何らかの方法を用いて何処かへと転送された。

男「ちょっと!!……行っちまった。仕事人だなあの人」

魔少女「魔力と祝福を込めて書かれた聖書……とするとあの本自体……いえ、記述された文章自体に魔法の術式と発動の為の魔力が……」ブツブツ……

金髪「おーい魔少女ちゃんがトリップしとんのやけど」

男「あー昔から深く考えるとこうなるんだ。こんまま抱えて持って帰ろう」ヒョイッ

魔少女「そもそも文字に魔力を宿すとは一体……インクや紙自体に何か特殊な素材が使われているのか……そもそもたった一枚の紙片であれほどの大魔法を発動されるとは……」ブツブツ……

金髪「扱い慣れとるなー……うし!周りにおる火蜥蜴達が襲ってくる前に、さっさとダンジョンから脱出しよか!!」



『仁市第二運動公園ダンジョン 』をクリアした。

クエスト『協力者求む。ダンジョン探索に同行してくれる方募集』をクリアした。

18:20

仁市 駅前


金髪「うっし!!アイテムの換金も終わったし火薬岩から火薬の生成も注文したし、今日の探索は大成功やったな!!2人ともお疲れさん!!」

男「いやー疲れた疲れた。ギルドの依頼ってのは大変なんだなー」

魔少女「今回は……プリーストさんいわく『バグ』と言う魔物までいましたからね。アレは一体何だったのか」

金髪「まぁあのバケモンも神父さんが倒してくれたんやし、今は探索成功を祝っとこうや!!どや?どっか適当なファミレスでメシでも」

男「おーいいねー!!ついでに報酬の山分けもそこでやろうぜ」

魔少女「…………」



倒しても倒しても再生し、更に強靭に進化して何処までも追いかけてくる魔物『バグ』。あの存在は明らかに異常であった。

魔少女「アレは……自然に発生する魔物なのでしょうか?もしかして人為的な何かが……」

男「おーい魔少女!早く行こうぜー」

魔少女「……今は情報も少ないですし、考えても仕方ないですね……」

9日目成果


報酬
100ゴールド
ダンジョン内で稼いだ金品50%→190ゴールド

を獲得した。


金髪に探索協力を頼むことが出来るようになった。


所持金55ゴールド→345ゴールド→交通費食費諸々で330ゴールド


オートマタ引き取り代金 残り670ゴールド

投下終了です。

>>447
色々忙しくて申し訳ないです。


ではまた。

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