穂乃果「参議院選挙だよ!」 (27)

部室

海未「そういえばもうすぐ参議院選挙ですね」

穂乃果「そういえばテレビでそんなこと言ってたような……」

凛「? そうだったかにゃ?」

花陽「凛ちゃんニュース見てないの?」

凛「凛、そういう政治のこととか疎いから……」

真姫「確か今回から18歳に選挙権が引き下げられるんだったわね」

ことり「高校3年生でも投票できるって言ってたよ!」

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穂乃果「えっ、じゃあにこちゃんも投票できるの!?」

にこ「あのねぇ、私はまだ17なの。18歳じゃないとダメなのよ」

海未「どうやら選挙日の翌日までに18歳の誕生日が来た人じゃないと投票権は与えられないみたいですね」

穂乃果「海未ちゃん詳しいね」

海未「はい、まぁ。私も来年には選挙に行けるようになるんですし、これを機に少し勉強してみたんです」

花陽「さすが海未ちゃん……」

真姫「にこちゃんの誕生日は7月22日だから選挙の日には間に合わないってことね」

海未「はい、同じ理由で絵里も無理ですね」

ことり「あれ、ってことは……」

ガララ

絵里「みんなおまたせ。生徒会の仕事がようやく片付いたわ」

希「はろー」

穂乃果「希ちゃん!」

希「? 穂乃果ちゃんどうしたん?」

穂乃果「希ちゃんって選挙行けるの?」ダダッ

希「えっ!?」

海未「穂乃果! いきなり突進するから希がびっくりしてるじゃないですか!」

穂乃果「あぁごめんごめん」アハハ

海未「希はもう18歳ですよね。今度の参議院選挙に投票できるんじゃないかと穂乃果は聞いています」

希「あぁ選挙ね、そうやでー。この前ウチの家にも投票用紙が届いてん」

全員「おぉー!!」

穂乃果「そうなんだ、すごいね!」

希「まぁ確かにウチも大人扱いされてるんやなぁと思ってちょっと嬉しくなったわ」

絵里「そうなのよね。なんか希に先を越されてしまったみたいでちょっと悔しいわ」

ことり「じゃあこの中で投票権があるのは希ちゃんだけか~」

真姫「希は選挙には行くつもり?」

希「そうやなぁ、それが国民の権利やと思うし……。やっぱり若者の政治離れが叫ばれてるやん? ウチはちゃんと投票に行って自分の意思を示したい」

花陽「希ちゃんは大人だねぇ」

海未「でも確かに大事なことです。若者の投票率は特に低いみたいですからね。今回18歳に引き下げられて世間の注目が集まっていますから、みんな投票に行って欲しいです」

穂乃果「ねぇねぇ希ちゃん! 希ちゃんって誰に投票するつもりなの!?」

海未「ちょっと、そういうのはあまり聞かないほうがいいですよ」

穂乃果「なんで?」

海未「なんでといいますか……、やっぱり人それぞれ考えはあるでしょうから」

希「うーん、そうやけど実はまだウチ、悩み中やねんなぁ」

凛「悩み中?」

希「候補者や政党がそれぞれいろんなこと言ってるけど、誰を選んだらいいんかなぁって。初めての選挙やし、難しいわぁ」

ことり「確かにそうだよね、急にこの中から選べって言われても困るよね……」

にこ「しかもあれでしょ? 東京都選挙区ってやたら人数多くない? なんであんなに立候補者いるのよ」

絵里「確かにそうね」

穂乃果「東京都選挙区?」

海未「知らないんですか? まぁまだ知らなくても無理はないかも知れないですけど」

希「参議院選挙は選挙区と比例代表っていう2つの選び方があって、その選挙区が各都道府県に振り分けられてるんよ」

海未「例えば東京だったら東京都選挙区っていうのがあって、今回だったらそこに立候補した人の中から投票数上位6人が当選、それ以下は落選になるってことです」

穂乃果「はぁ」

凛「あの顔絶対分かってないよ」

花陽「東京都選挙区ってそんなに多いの?」

にこ「多いもなにも、他の選挙区だったら3,4人なのに東京だけ30人近くいたわよ」

穂乃果「30人!? それじゃあ選ぶ方も大変だね」

絵里「あら、なんでにこが知ってるの? あなた選挙に関係ないじゃない」

にこ「ちょ、関係ないってのはおかしくない? だいたいそれを言うならあんただってそうでしょ」

絵里「まぁそうだけど……」

にこ「私はね、同級生の希が選挙に行くってなって、今までは遠い存在だった政治がなんだか身近に感じられるようになったの。それでちょっと調べてみたりしたわけ。私だってもうすぐ18歳になるわけだしね」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「何よその目は……」

穂乃果「ううん、何でもないよ!」

にこ「なんか癪に障るわね」

海未「でも立候補者が多いのは仕方ないのかもしれません。東京都選挙区は定数が全国で一番多い6もありますからね」

真姫「一人区だったら勝ち目が無いような人もここぞとばかりにこぞって立候補するわけね」

にこ「単に目立ちたいって人もいるでしょ」

海未「そうかもしれません」

絵里「でもそういう人がたくさん集まれば逆に埋没してしまうような気もするけど……」

花陽「それにしても30人って、希ちゃん大変だね……」

希「まだ時間はあるし、いろいろ政策とか見て考えよっかなと思ってる。若者のためになる政治をしてくれる人を選びたいなぁ」

ことり「それはその通りだね」

にこ「若者のためねぇ」

花陽「どうしたのにこちゃん」

にこ「いや、どの候補者も綺麗事言ってるけどさ、本当に実行できるわけ? 選挙のための絵空事のようにしか聞こえないんだけど」

真姫「私も。結局はパフォーマンス合戦でしょ、あんなの」

ことり「パフォーマンス合戦って……」

海未「確かにそういう見方もあるかもしれませんが、日本の未来のことを真剣に考えてくれている人も少なからずいるわけです。私たちは
そういった候補者たちのことをしっかりと見極めなくてはならないのだと思います」

真姫「へぇ、海未、あんたしっかり考えてるのね」

海未「私だってもうすぐ18ですし。そういう真姫はどうですか?」

真姫「私? そうねぇ、言われてみれば今まであまり関心無かったかも。でも海未の言うとおりかも知れないわ。これからの私たちの未来に関わってくることだし」

凛「でもさぁ凛いつも思うんだけど、若者が選挙に行かないってよく言うけど、行ってもあまり意味ないんじゃない? だってたかが一票でしょ?」

海未「たかが一票、されど一票ですよ凛。一人の票は確かに小さな物ですが、それが積み重なって大きなものになるんです」

絵里「そうね。多くの人がそう考えて選挙に行かないと、結局一部の人だけに有利なように政治が動いてしまう危険が有るわ」

希「投票することそれ自体だけじゃなくて、今のウチのように投票に行くことで政治のことを国民が真剣に考えるようになるってのも大事やと思うんよ」

凛「そっかー、みんな偉いなぁ」

海未「それに、たった一人の行動が世の中を変えることだってあります。私たちはそれを今実際に体験しているではありませんか? ですよね、穂乃果?」

穂乃果「へ? 私?」

海未「穂乃果が言い出さなかったら、私たちはスクールアイドルを始めていませんでした。この音ノ木坂だって廃校が正式決定していたでしょう。でも穂乃果の一歩が、我々を夢の舞台へ連れて行き、そして一つの学校の未来を変えたのです」

穂乃果「そんな、大げさだよ」アハハ

絵里「大げさなんかじゃないわ。廃校を救ったのも穂乃果のおかげよ。たった一人の行動が世の中を変えることがある。それを穂乃果は示してくれた。そのことを身をもって体験している私たちが、どうして一票の力を無視できるというのよ?」

ことり「選挙も同じなんだね……」

海未「はい、だから投票には行くべきなんです。分かりましたか、凛?」

凛「う、うん。なんか凛分かった気がするよ! よーし、凛の力で日本を変えてやるぞーー!!」

花陽「凛ちゃんはまだ選挙権ないよ」

凛「あ、そうだった」

アハハハハ

花陽「でもいざ選挙に行くってなっても、さっき希ちゃんが言ってたように誰に投票したらいいかとか分かんないよね。適当に投票してもその人に悪いし……」

海未「だから今のうちから勉強しておくんです。これからの未来を切り開いていくのは私たちなんですから」

希「よっしゃ、うちも頑張るで! μ'sの代表としてしっかり考えて選挙に行くわ」

絵里「その意気よ、希!」

にこ「……」

ことり「にこちゃん?」

にこ「あ、あぁそうね。聞いてたら選挙って、私が思ってたより凄いものなんだなって思えてきたわ」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「私も、今度自分が選挙に行けるようになったときは、真剣に検討して票を入れることにする。だから希、今回は頼んだわよ!」

希「にこっち……」

にこ「スクールアイドル規制法に賛成している人には絶対入れちゃダメだからね!」

真姫「そんな法案聞いたことないわよ!」

海未「さぁさぁみなさん! 今日もそろそろ練習を始めますよ!」

全員「はーい!!」

穂乃果「みんなも選挙に行こうね!」

おわり

以上です。ありがとうございました。
総務省のパンフレットに載ってそうな内容になってしまいました。

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