男「痛車を作ったぜ!」 (14)

男「痛車を作ったぜ!」

友人「車好きでアニメ好きなお前なら、いつかやるだろうな……と思ってたけど、マジで作ったのか!」

男「まだ試作段階だけどな。こっち来てくれ」

友人「おう」

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友人「え……!?」

友人「これが痛車? なにも描かれてないし、フツーじゃね?」

男「ふっふっふ、まあとりあえず乗ってみろって」

友人「おう」ガチャッ

車『いてっ!』

友人「うわっ!?」ビクッ

友人(シートに座って……)ドスッ

車『いたたたたっ!』

友人(ドアを閉める)バタンッ

車『うぎゃああああっ!』

友人「なんだよこれ!? いちいち痛がりやがって! なんなんだよこれ!?」

男「そりゃあ、なんたって“痛車”だからな」

男「ちなみにハンドル操作、ギアチェン、アクセルブレーキ……あらゆる動作に反応して痛がる仕組みだ」

友人「あっ、そういうことか……なるほどな!」

友人「――ってアホか!」

友人「こんな車うるさすぎて、乗れねーだろ! 助手席に座るのだって痛がるだろうしよ!」

男「そう焦りなさんな」

友人「!?」

男「この車は試作っていったろ? だからさっきの声も、そこらの音声ソフトのやつだ」

友人「……どういうことだよ」

男「今、俺はコネを利用して、女性声優何人かにオファーをかけてる」

友人「なんでお前にそんなコネが……!?」

男「まあ聞け」

男「で、さっきの悲鳴が女の悲鳴になったところを想像してみろよ」

友人「あっ……」



車『いやぁぁぁぁぁん!』

車『あんっ、らめぇっ!』

車『いたぁいんっ!』





友人「……いい」

男「だろ?」ニヤッ

男「ってわけで、今度声優さんたちにレコーディングやってもらうから、期待しててくれよ!」

友人「おう! 完成したら絶対乗せてくれよ!」

二週間後――



男「痛車が完成したぜ!」

友人「よっ、待ってました! さっそく声を聞かせてくれよ!」

男「こっちだ」

友人(きっとものすごく色っぽい仕上がりになってるんだろうなぁ……)

友人「じゃあまずドアを……」ガチャッ

車『いてぇじゃねーか! バーロー!』

友人「え!?」

友人「シートに座って……」ドスンッ

車『いたぁっ! 許さないぞ、ばいきんまん!』

友人「ええ!?」

友人「ドアを閉めて……」バタンッ

車『いたたっ! やったわね! カツオ~!』

友人「……」

友人「……なぁ」

男「ん?」

友人「なんなんだよ、この人選は!? たしかに皆さん超一流だけどさぁ!」

友人「つーかこの人ら、普通に悲鳴上げる演技もできるだろうになんでキャラ演じさせてんだよ!」

男「つい……」

友人「つい、じゃねーよ!!!」





― おわり ―

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